JP2002201275A - ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造法

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JP2002201275A
JP2002201275A JP2000401703A JP2000401703A JP2002201275A JP 2002201275 A JP2002201275 A JP 2002201275A JP 2000401703 A JP2000401703 A JP 2000401703A JP 2000401703 A JP2000401703 A JP 2000401703A JP 2002201275 A JP2002201275 A JP 2002201275A
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solvent
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Satoshi Inoue
井上  敏
Osamu Komiyama
治 小味山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶化速度が速く、かつ白色度が高く、更に
は、エポキシ樹脂等との接着性に優れ、加えて、高い機
械的強度を兼ね備えたPASを得ることができるばかり
でなく、著しくろ過性に優れたPASが得られ、従っ
て、操作性を大きく改善することができるPAS製造法
を提供する。 【解決手段】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
物とパラ及びメタジハロ芳香族化合物とを反応させてポ
リアリーレンスルフィドを製造する方法において、該メ
タジハロ芳香族化合物の量が、パラ及びメタジハロ芳香
族化合物の全量に対して0.5〜10モル%であり、パ
ラジハロ芳香族化合物の反応率が0乃至80%未満の時
点でメタジハロ芳香族化合物の全量を反応系に添加して
反応せしめ、次いで、得られた反応後のポリアリーレン
スルフィドのスラリーに酸又は水素塩を、該スラリーの
pHが7.0〜11.0となるような量で添加し、次い
で、得られたスラリーをろ過し、得られた含溶媒ろ過ケ
ーキを非酸化性ガス雰囲気下に加熱して溶媒を除去する
ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィドの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下ではP
PSと略すことがある)に代表されるポリアリーレンス
ルフィド(以下ではPASと略すことがある)は、耐熱
性、成形加工性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性等に優
れるため、近年、電気・電子機器部品、自動車機器部
品、あるいは化学機器部品用等の材料として広く利用さ
れてきている。
【0003】特開平8−157600号公報には、有機
アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化
合物を反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する
方法において、パラジハロ芳香族化合物、及び反応系内
のパラジハロ芳香族化合物の反応率が0乃至80%未満
の時点で仕込ジハロ芳香族化合物の全量に対して0.5
〜10モル%のメタジハロ芳香族化合物を反応系に添加
し、かつ反応中、反応缶の気相部分を冷却することによ
り反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流
せしめることにより得たポリアリーレンスルフィドを水
洗浄及び酸処理することを特徴とする、接着性に優れた
ポリアリーレンスルフィドの製造法が開示されている。
該方法により、従来のPASの持つ高い耐熱性と機械的
強度に加えて、エポキシ樹脂等との接着性に優れたPA
S樹脂組成物を得ることができる。
【0004】また、特開平10−130388号公報に
は、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ
芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィド
を製造する方法において、反応後のポリアリーレンスル
フィドのスラリーに酸又は水素塩を、該スラリーのpH
が7.0〜11.0となるような量で添加して酸処理す
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法
が開示されている。該方法により、結晶化速度が速く、
かつ白色度が高いばかりではなく、更に、高い機械的強
度を兼ね備えたPASを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、結晶化速度
が速く、かつ白色度が高く、更には、エポキシ樹脂等と
の接着性に優れ、加えて、高い機械的強度を兼ね備えた
PASを得ることができるばかりでなく、著しくろ過性
に優れたPASが得られ、従って、操作性を大きく改善
することができるPAS製造法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)有機ア
ミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とパラ及びメタジハ
ロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィ
ドを製造する方法において、該メタジハロ芳香族化合物
の量が、パラ及びメタジハロ芳香族化合物の全量に対し
て0.5〜10モル%であり、パラジハロ芳香族化合物
の反応率が0乃至80%未満の時点でメタジハロ芳香族
化合物の全量を反応系に添加して反応せしめ、次いで、
得られた反応後のポリアリーレンスルフィドのスラリー
に酸又は水素塩を、該スラリーのpHが7.0〜11.
0となるような量で添加し、次いで、得られたスラリー
をろ過し、得られた含溶媒ろ過ケーキを非酸化性ガス雰
囲気下に加熱して溶媒を除去することを特徴とするポリ
アリーレンスルフィドの製造法である。
【0007】上記の特開平8−157600号公報に記
載の方法は、反応後スラリーをろ過し、次いで、水洗浄
及び酸処理を施すことから、反応後スラリーを反応缶か
ら取出すと言う操作が必要であった。また、特開平10
−130388号公報に記載の方法では、エポキシ樹脂
等との接着性に優れたPASは得られない。本発明で
は、上記各方法の欠点が排除されているばかりでなく、
著しく優れたろ過性を有するPASが得られたのであ
る。
【0008】好ましい態様として、(2)パラジハロ芳
香族化合物及びメタジハロ芳香族化合物を同時的に反応
系内に添加する上記(1)記載の方法、(3)メタジハ
ロ芳香族化合物の量が、1.0〜5.0モル%である上
記(1)又は(2)記載の方法、(4)酸又は水素塩を
添加した後のポリアリーレンスルフィドのスラリーのp
Hが7.5〜10.0である上記(1)〜(3)のいず
れか一つに記載の方法、(5)酸又は水素塩を、仕込ア
ルカリ金属硫化物1モルに対して0.2〜10モル%の
量で添加する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載
の方法、(6)酸又は水素塩を、仕込アルカリ金属硫化
物1モルに対して0.5〜6.0モル%の量で添加する
上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の方法、
(7)含溶媒ろ過ケーキの加熱を150〜250℃で行
う上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法、
(8)含溶媒ろ過ケーキの加熱を180〜230℃で行
う上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の方法、
(9)溶媒を除去した後、加熱後のろ過ケーキを水に分
散させることにより水洗浄を行う上記(1)〜(8)の
いずれか一つに記載の方法、(10)ポリアリーレンス
ルフィドの重合反応を、反応缶の気相部分を冷却するこ
とにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相
に還流せしめながら行う上記(1)〜(9)のいずれか
一つに記載の方法を挙げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で添加するパラ及びメタジ
ハロ芳香族化合物において、メタジハロ芳香族化合物の
量の下限はパラ及びメタジハロ芳香族化合物の全量(以
下、全DCBと略すことがある)に対して0.5モル
%、好ましくは1モル%であり、上限は10モル%、好
ましくは5.0モル%である。上記範囲未満では、製造
されたPASの接着性が劣り、上記範囲を超えては、製
造されたPASの融点が著しく低下し、PAS本来の性
質である耐熱性が損なわれ、実用性に問題が生じ好まし
くない。
【0010】メタジハロ芳香族化合物は、反応系内のパ
ラジハロ芳香族化合物の反応率が0乃至80%未満の時
点で添加される。パラジハロ芳香族化合物の反応率が8
0%以上では、製造されたPASの接着性が劣り、また
粘度低下を引起こし、かつメタジハロ芳香族化合物が反
応系に未反応のまま残存するため好ましくない。好まし
くはパラ及びメタジハロ芳香族化合物は、反応系に同時
的に添加される。このように両者を同時的に添加するこ
とにより、PASの接着性を更に良好にすることができ
る。重合反応系に添加するパラ及びメタジハロ芳香族化
合物の合計量は、アルカリ金属硫化物1モルに対して、
好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.9
6〜1.05モルである。該範囲内で使用することによ
り、高分子量のPASを得ることができる。該添加量が
上記範囲未満では、著しく低分子量のPASしか得られ
ず、またパラ及びメタジハロ芳香族化合物の反応率が低
下し、経済的にも不利である。上記範囲を超えては、解
重合を起こすので好ましくない。メタジハロ芳香族化合
物を反応途中に装入する場合には、例えばメタジハロ芳
香族化合物をそのまま、あるいは有機アミド系溶媒とし
て使用するN‐メチルピロリドン等に溶解して、加圧注
入ポンプを用いて反応缶内に圧入することにより行うこ
とができる。
【0011】本発明の方法において用いられるパラ及び
メタジハロ芳香族化合物は公知である。例えば、特公昭
45‐3368号公報、特開平2‐103232号公報
又は特公平4‐64618号公報記載のものから選ぶこ
とができる。
【0012】パラジハロ芳香族化合物としては、例えば
p‐ジクロルベンゼン、p‐ジブロモベンゼン、1‐ク
ロロ‐4‐ブロモベンゼン等のジハロゲン化ベンゼン、
あるいは2,5‐ジクロルトルエン、2,5‐ジクロル
キシレン、1‐エチル‐2,5‐ジクロルベンゼン、1
‐エチル‐2,5‐ジブロモベンゼン、1‐エチル‐2
‐ブロモ‐5‐クロロベンゼン、1,3,4,6‐テト
ラメチル‐2,5‐ジクロルベンゼン、1‐シクロヘキ
シル‐2,5‐ジクロルベンゼン、1‐フェニル‐2,
5‐ジクロルベンゼン、1‐ベンジル‐2,5‐ジクロ
ルベンゼン、1‐フェニル‐2,5‐ジブロモベンゼ
ン、1‐p‐トルイル‐2,5‐ジクロルベンゼン、1
‐p‐トルイル‐2,5‐ジブロモベンゼン、1‐ヘキ
シル‐2,5‐ジクロルベンゼン等の置換ジハロゲン化
ベンゼン等が挙げられる。上記のうちジハロゲン化ベン
ゼンが好ましく、このうちp‐ジクロルベンゼンが特に
好ましい。また、これらの化合物は、夫々単独で又は混
合物として使用することができる。
【0013】メタジハロ芳香族化合物としては、例えば
m‐ジクロルベンゼン、m‐ジブロモベンゼン、1‐ク
ロロ‐3‐ブロモベンゼン等のジハロゲン化ベンゼン、
あるいは2,4‐ジクロルトルエン、2,4‐ジクロル
キシレン、1‐エチル‐2,4‐ジブロモベンゼン、1
‐エチル‐2‐ブロモ‐4‐クロロベンゼン、1,2,
4,6‐テトラメチル‐3,5‐ジクロルベンゼン、1
‐シクロヘキシル‐2,4‐ジクロルベンゼン、1‐フ
ェニル‐2,4‐ジクロルベンゼン、1‐ベンジル‐
2,4‐ジクロルベンゼン、1‐フェニル‐2,4‐ジ
ブロモベンゼン、1‐p‐トルイル‐2,4‐ジクロル
ベンゼン、1‐p‐トルイル‐2,4‐ジブロモベンゼ
ン、1‐ヘキシル‐2,4‐ジクロルベンゼン等の置換
ジハロゲン化ベンゼン等が挙げられる。上記のうちジハ
ロゲン化ベンゼンが好ましく、このうちm‐ジクロルベ
ンゼンが特に好ましい。これらの化合物は、夫々単独で
又は混合物として使用することができる。
【0014】本発明の方法において、反応後のPASス
ラリーに添加される酸又は水素塩の量は、酸又は水素塩
添加後のPASスラリーのpHが7.0〜11.0とな
るような量である。好ましくは該スラリーのpHが7.
5〜10.0となるように添加される。該スラリーのp
Hが7.0未満では、得られたPASの分子量の低下を
生じるため好ましくなく、また、PASの白色度の向上
を図ることもできない。pHが11.0を超えては、結
晶化温度Tc を高めることができず、また、Na含有
量、灰分等の不純物量が低下しないため好ましくない。
該酸又は水素塩の添加量は、上記のようにPASスラリ
ーのpHが7.0〜11.0となるような量であればよ
く、用いられる酸又は水素塩の種類、若しくは反応後の
PASスラリーのpH等に依存するが、仕込みアルカリ
金属硫化物1モルに対して、上限が好ましくは10モル
%、特に好ましくは6.0モル%であり、下限が好まし
くは0.2モル%、特に好ましくは0.5モル%であ
る。
【0015】本発明において使用する酸は、有機酸とし
て、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草
酸、カプロン酸、モノクロロ酢酸等の飽和脂肪酸、アク
リル酸、クロトン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、安
息香酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、あ
るいはメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の
スルホン酸等が挙げられ、無機酸として、例えば、塩
酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸又はリン酸等が挙げら
れる。また、水素塩としては、例えば、硫酸水素ナトリ
ウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等
を使用し得る。実機での使用においては、金属部材への
腐食が少ない有機酸が好ましい。
【0016】本発明の方法において、PASスラリーを
酸又は水素塩で処理する方法は、好ましくは下記に示す
通りである。
【0017】まず、PAS重合工程で生成したPASス
ラリーに酸又は水素塩を添加する。この際、酸又は水素
塩が液体であるときは、そのまま又は他の溶媒、好まし
くは下記において述べるPAS重合時に使用する有機ア
ミド系溶媒(例えばN‐メチルピロリドン)で希釈して
添加し、また、酸又は水素塩が固体であるときは、適切
な媒体例えば水、上記有機アミド系溶媒等に酸を溶解し
て添加する。
【0018】酸処理の温度は、好ましくは常温からPA
Sの重合反応温度までの任意の温度を採ることができる
が、特に好ましくは常温〜250℃である。処理温度
が、上記下限未満では、本発明の効果を十分に達成でき
ない。酸処理の時間は、処理温度及び処理されるPAS
の性質等により異なるが、好ましくは5分間〜24時
間、特に好ましくは20分間〜3時間である。処理時間
が、上記下限未満では、上記と同様に本発明の効果を十
分に達成できない。また、圧力については特に制限はな
く、該処理は、好ましくは、反応終了後の反応缶中に酸
又は水素塩を圧入することにより行われる。
【0019】また、本発明において、酸又は水素塩を添
加する前又は同時に酸の解離を促進する目的でPASス
ラリーに水を添加することもできる。水の添加量は、仕
込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、上限が好まし
くは100モル%、特に好ましくは60モル%であり、
下限が好ましくは1.0モル%、特に好ましくは5モル
%である。該水の添加に際しては、PAS重合時に使用
する有機アミド系溶媒(例えばN‐メチルピロリドン)
に水を混合して添加することができる。
【0020】本発明においては、上記酸又は水素塩で処
理して得られたPASスラリーをろ過した後、得られた
含溶媒ろ過ケーキを非酸化性ガス雰囲気下に加熱して溶
媒を除去する
【0021】例えば、上記のようにして処理されたPA
Sスラリーをろ過し、溶媒を含むPASケーキを得る。
次いで、該PASケーキは、ヘリウム、アルゴン、水
素、窒素等の非酸化性ガス気流中、好ましくは窒素ガス
気流中で加熱される。該加熱温度は、上限が好ましくは
250℃、特に好ましくは230℃であり、下限が好ま
しくは150℃、特に好ましくは180℃である。上記
上限を超えては、PASの架橋が生じ、接着強度が低下
する。上記下限未満では、得られるPASの粒径が小さ
くなり、良好なろ過性を有するPASを得ることができ
ない。また、加熱時間は、上限が好ましくは24時間、
特に好ましくは10時間であり、下限が好ましくは10
分間、特に好ましくは1時間である。上記上限を超えて
は、PASの着色が激しくなり、上記下限未満では、溶
媒回収が不十分になり経済的に不利である。該加熱は、
好ましくは200mmHg〜3気圧、より好ましくは4
00mmHg〜3気圧、特に好ましくは常圧下で行われ
る。上記の加熱による溶媒除去を行うことにより、従来
の水洗浄により溶媒を除去する方法に比べて、水洗浄等
の工程を簡略化でき、かつ溶媒の回収率を著しく向上せ
しめることができ、更には、得られたPASのろ過性を
著しく改善し得るため、生産性が著しく高くなり、コス
ト的に非常に有利である。
【0022】このようにして溶媒が除去されたPASに
好ましくは、次いで水洗浄を施す。水洗浄は、好ましく
は上記加熱後のろ過ケーキを水に分散させることにより
行われる。例えば、上記のようにして得られた加熱後の
PASケーキを、重量で好ましくは1〜5倍の水中に投
入して、好ましくは常温〜90℃で、好ましくは5分間
〜10時間攪拌混合した後、ろ過する。該攪拌混合及び
ろ過操作を好ましくは2〜10回繰り返すことにより、
PASに付着した溶媒及び副生塩の除去を行って水洗浄
を終了する。上記のようにして水洗浄を行うことによ
り、フィルターケーキに水を注ぐ洗浄方法に比べて少な
い水量で効率的な洗浄が可能となる。また、副生塩の除
去を容易にするため密閉系で水の沸点以上にまで加熱し
て水洗を行う加圧水洗を実施することもできる。
【0023】本発明において、有機アミド系溶媒中でア
ルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させて
PASを製造する方法は特に制限されない。例えば、特
公昭45‐3368号公報に記載の有機アミド系溶媒中
でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応さ
せてPASを製造する方法、特公昭52‐12240号
公報記載のアルカリ金属カルボン酸塩を使用する方法、
米国特許第4038263号明細書に記載のハロゲン化
リチウム等の重合助剤を使用する方法、特公昭54‐8
719号公報に記載のポリハロ芳香族化合物等の架橋剤
を使用する方法、特公昭63‐33775号公報に記載
の異なる水の存在量下、多段階反応を使用する方法等が
挙げられる。
【0024】好ましくは、特開平5‐222196号公
報に記載された、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPASを製造
する方法において、反応中に反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめる方法を使用することができる。該方
法を使用することにより、比較的溶融粘度V6 の高いP
ASを製造することができ、従って、引張強度、衝撃強
度等の機械的強度の高いPASを得ることができるため
好ましい。
【0025】該方法において、還流される液体は、水と
アミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに比較して
水含有率が高い。この水含有率の高い還流液は、反応溶
液上部に水含有率の高い層を形成する。その結果、残存
のアルカリ金属硫化物(例えばNa2S)、ハロゲン化
アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマー等が、そ
の層に多く含有されるようになる。従来法においては2
30℃以上の高温下で、生成したPASとNa2S等の
原料及び副生成物とが均一に混じりあった状態では、高
分子量のPASが得られないばかりでなく、せっかく生
成したPASの解重合も生じ、チオフェノールの副生成
が認められる。しかし、本発明では、反応缶の気相部分
を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多量に液相上
部に戻してやることによって上記の不都合な現象が回避
でき、反応を阻害するような因子を真に効率良く除外で
き、高分子量PASを得ることができるものと思われ
る。但し、本発明は上記現象による効果のみにより限定
されるものではなく、気相部分を冷却することによって
生じる種々の影響によって、高分子量のPASが得られ
るのである。
【0026】該方法においては、従来法のように反応の
途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加
することを全く排除するものではない。但し、水を添加
する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われ
る。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反
応の間中一定である。
【0027】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相の上層に
入る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜
り、そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合に
は、冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は
反応缶壁を伝わって液相中に入る。
【0028】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を超えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0029】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、重合系の水分量が所定の量となるよう、必要に
応じて脱水または水添加する。水分量は、好ましくは、
アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2.5モル、特
に0.8〜1.2モルとする。2.5モルを超えている
と、反応速度が小さくなり、しかも反応終了後の濾液中
にフェノール等の副生成物量が増大し、重合度も上がら
ない。また、pH調節の際に加えられる水と合計すると
アルカリ金属硫化物1モルに対し1.4モルを超えるた
め、亜鉛化合物を添加する際に系内水を予めフラッシュ
して調節する等の操作が発生し、操作が煩雑化する。
0.5モル未満では、反応速度が速すぎ、十分な高分子
量の物を得ることができないと共に、副反応等の好まし
くない反応が生ずる。
【0030】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0031】該方法において使用する有機アミド系溶媒
は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メ
チルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムア
ミド、N,N‐ジメチル(又はジエチル)アセトアミ
ド、N‐メチル(又はエチル)カプロラクタム、1,3
‐ジメチル‐2‐イミダゾリジノン、ホルムアミド、ア
セトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチ
ルウレア、N,N´‐エチレン‐2‐ピロリドン、2‐
ピロリドン、ε‐カプロラクタム、ジフェニルスルホン
等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好まし
い。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0032】アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえ
ば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物であ
る。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、こ
れらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞ
れに対応する水酸化物で中和して用いることができる。
安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0033】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物をアルカリ金属
硫化物1モルに対して好ましくは0.005〜1.5モ
ル%、特に好ましくは0.02〜0.75モル%の量で
使用することもできる。
【0034】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0035】本発明の方法により製造されたPASは、
結晶化速度が速く、かつ白色度が高いばかりではなく、
更に、高い機械的強度を兼ね備えている。また、ナトリ
ウム等の不純物含有量も少ない。従って、射出成形用と
して適している。また、該PASは、急激な結晶化が進
行しないので、成形収縮等によるクラック発生等を抑制
することができ、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂と高い
接着性を有する。従って、電気・電子部品の封止等の分
野において有用である。
【0036】本発明のPASを成形加工する際には、慣
用の添加剤、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウ
ム、シリカ、酸化チタン等の粉末状充填剤、又は炭素繊
維、ガラス繊維、アスベスト繊維、ポリアラミド繊維等
の繊維状充填剤を混入することができる。
【0037】更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することも
できる。
【0038】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0039】
【実施例】実施例において、PPSの各性状は下記の通
りに測定した。
【0040】<粒径分布>日機装株式会社製湿式粒度分
布測定装置マイクロトラックSRAを用いて、乾燥直前
の含水ろ過ケーキの粒度分布を測定した。累積50体積
%の粒径(D50)を求めた。
【0041】<ろ過性>乾燥直前の含水ろ過ケーキ30
gに水70gを加えて攪拌しスラリー化した。該スラリ
ーを、電動ポンプを使用して3.3×104Paの減圧
下で直径60mm、保留サイズ1μmのろ紙を用いて減
圧ろ過を実施した。この時のろ過が終了するまでのろ過
時間とろ液量を計測し、下記式によりろ過性を求めた。
【数1】 ろ過性(g/秒)=ろ液量(g)/ろ過時間(秒)
【0042】<溶融粘度V6 >島津製作所製フローテス
ターCFT‐500Cを用い、300℃、荷重1.96
MPa 、L/D=10で6分間保持した後に測定した
粘度(ポイズ)である。
【0043】DSCにより、結晶化温度Tc 及び融点T
m を測定した。装置としては、セイコーインスツルメン
ツ製示差走査熱量計DSC6200を用い、以下のよう
にして測定した。試料10mgを窒素気流中、昇温速度
20℃/分で室温から320℃まで昇温した後、320
℃で5分間保持して溶融した。次いで10℃/分の速度
で冷却した。このときの発熱ピーク温度を結晶化温度T
c とした。再び室温から320℃まで10℃/分の速度
で昇温した時の吸熱ピーク温度を融点Tm とした。
【0044】<ナトリウム含有量>PPS粉末を700
℃マッフル炉で燃焼した後、その残渣を塩酸で溶解し、
原子吸光分析計として、島津製作所製AA‐670を用
いて測定した。
【0045】<接着強度>接着強度の測定は下記の通り
に行った。PPS40重量部にガラスファイバー(CS
3J‐961S、商標、日東紡績株式会社製)30重
量部と炭酸カルシウム(SL−1000、商標、竹原化
学工業株式会社製)30重量部を混合した後、二軸異方
向回転押出機を用い320℃で混練して、ペレットを作
成した。得られたペレットから、シリンダー温度320
℃、金型温度130℃に設定した射出成形機により、J
IS K6850に従う試験片を作成した。JIS K
6850に準拠し、得られた試験片をエポキシ樹脂系接
着剤[長瀬チバ株式会社製、主剤(XNR3101、商
標)/硬化剤(XNH3101、商標)=100重量部
/33.3重量部]を用いて90℃、30分の硬化条件
で接着した後、引張速度5mm/分、チャック間距離1
30mmで引張試験を行い、接着強度を測定した。
【0046】
【実施例1】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.65重量%Na2S)15.4
41kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下、NM
Pと略すことがある)38.0kgを仕込んだ。窒素気
流下攪拌しながら212℃まで昇温して、水3.640
kg(硫化ソーダ1モル当り水1.13モル)を留出さ
せた。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで
冷却し、パラジクロロベンゼン(以下、p‐DCBと略
すことがある)17.287kg、メタジクロロベンゼ
ン(以下、m‐DCBと略すことがある)0.357k
g(全DCBに対して2.0モル%)及びNMP16.
0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて
9.8×104Paに加圧して昇温を開始した。液温2
60℃まで4時間かけて昇温し、液温が260℃になっ
た時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。該温
度で2時間保持して反応を行った。反応終了後、散水を
止めて冷却し、液温が150℃になった時点で、酢酸
0.432kg(硫化ソーダ1モルに対して6.0モル
%)を加圧注入ポンプでオートクレーブ中に圧入し、次
に150℃で30分間攪拌して酸処理した後、冷却し
た。該処理時のスラリーのpHは、9.4であった。
【0047】得られたスラリーをろ過して溶媒を除去
し、次に含溶媒ろ過ケーキを窒素気流中、220℃で約
6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉
末に常法により水洗浄、ろ過を7回繰り返した後、得ら
れた含水ろ過ケーキを一部サンプリングし、粒径分布及
びろ過性の測定を行った。残りの含水ろ過ケーキは、1
20℃において約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥し、白
色粉末状のポリマーを得た。
【0048】
【実施例2】酢酸に代えて、シュウ酸二水和物0.15
1kg(硫化ソーダ1モルに対して1.0モル%)をN
MP0.856kgに溶かした溶液を加えたことを除
き、実施例1と同一に実施し白色粉末状のポリマーを得
た。
【0049】
【実施例3】酢酸に代えて、硫酸水素ナトリウム一水和
物0.166kg(硫化ソーダ1モルに対して1.0モ
ル%)をNMP0.166kgに溶かした溶液を加えた
ことを除き、実施例1と同一に実施し白色粉末状のポリ
マーを得た。
【0050】
【実施例4】p‐DCBを17.464kg、m‐DC
Bを0.176kg(全DCBに対して1.0モル%)
を用いて重合し、酢酸に代えて、シュウ酸二水和物0.
266kg(硫化ソーダ1モルに対して1.5モル%)
をNMP1.507kgに溶かした溶液を加えたことを
除き、実施例1と同一に実施し白色粉末状のポリマーを
得た。
【0051】
【実施例5】p‐DCBを16.229kg、m‐DC
Bを1.411kg(全DCBに対して8.0モル%)
を用いて重合し、酢酸0.721kg(硫化ソーダ1モ
ルに対して10.0モル%)を加えたことを除き、実施
例1と同一に実施し白色粉末状のポリマーを得た。
【0052】
【比較例1】p‐DCBを17.605kg、m‐DC
Bを0.035kg(全DCBに対して0.2モル%)
を用いて重合し、酢酸0.144kg(硫化ソーダ1モ
ルに対して2.0モル%)を加えたことを除き、実施例
1と同一に実施し白色粉末状のポリマーを得た。
【0053】
【比較例2】p‐DCBを15.523kg、m‐DC
Bを2.117kg(全DCBに対して12.0モル
%)を用いて重合し、酢酸に代えて、シュウ酸二水和物
1.513kg(硫化ソーダ1モルに対して10.0モ
ル%)をNMP8.573kgに溶かした溶液を加えた
ことを除き、実施例1と同一に実施し白色粉末状のポリ
マーを得た。
【0054】
【比較例3】反応終了後、得られたスラリーに酸を添加
せず、そのままろ過して溶媒を除去した後、次いで、定
法に従って水洗浄を5回実施した。その後、50℃で酢
酸0.072kg(硫化ソーダ1モルに対して1.0モ
ル%)を加えて酸処理を実施した。酸処理後、再び水洗
浄を3回実施した。上記以外は実施例1と同一に実施し
白色粉末状のポリマーを得た。
【0055】以上の結果を表1に示す。
【表1】 *1:「同」はp‐DCBと同時に添加したことを示
す。 *2:硫酸水素ナトリウムを示す。 *3:反応後スラリーをろ過後、酸処理を施したもので
ある。
【0056】実施例1〜3は、添加する酸の種類を変
え、かつ本発明の範囲内で酸添加後のスラリーのpHを
変化させて酸処理したものである。得られたPPSのろ
過性は優れており、かつ結晶化速度、接着性等にも優れ
ていた。実施例4は、m−DCBの添加量を本発明の範
囲内で減らしたものであり、実施例5は、m−DCBの
添加量を本発明の範囲内で増やしたものである。いずれ
も、ろ過性は優れており、かつ結晶化速度、接着性等に
も優れていた。
【0057】一方、比較例1は、m−DCBの添加量を
本発明の範囲未満に減らし、かつ酸添加後のスラリーの
pHを本発明の範囲を超えて増加せしめたものである。
接着強度が著しく低下した。比較例2は、m−DCBの
添加量を本発明の範囲を超えて増加せしめ、かつ酸添加
後のスラリーのpHを本発明の範囲未満に減らしたもの
である。ろ過性が著しく低下した。また、結晶化速度も
低下した。比較例3は、特開平8−157600号公報
記載の発明に従うものである。本発明のような酸処理を
施さないとろ過性が著しく低下することが分った。
【0058】
【発明の効果】本発明は、結晶化速度が速く、かつ白色
度が高く、更には、エポキシ樹脂等との接着性に優れ、
加えて、高い機械的強度を兼ね備えたPASを得ること
ができるばかりでなく、著しくろ過性に優れたPASが
得られ、従って、操作性を大きく改善することができる
PAS製造法を提供するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
    物とパラ及びメタジハロ芳香族化合物とを反応させてポ
    リアリーレンスルフィドを製造する方法において、該メ
    タジハロ芳香族化合物の量が、パラ及びメタジハロ芳香
    族化合物の全量に対して0.5〜10モル%であり、パ
    ラジハロ芳香族化合物の反応率が0乃至80%未満の時
    点でメタジハロ芳香族化合物の全量を反応系に添加して
    反応せしめ、次いで、得られた反応後のポリアリーレン
    スルフィドのスラリーに酸又は水素塩を、該スラリーの
    pHが7.0〜11.0となるような量で添加し、次い
    で、得られたスラリーをろ過し、得られた含溶媒ろ過ケ
    ーキを非酸化性ガス雰囲気下に加熱して溶媒を除去する
    ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。
  2. 【請求項2】 含溶媒ろ過ケーキの加熱を150〜25
    0℃で行う請求項1記載の方法。
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