JP2002003603A - ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法

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JP2002003603A
JP2002003603A JP2000192059A JP2000192059A JP2002003603A JP 2002003603 A JP2002003603 A JP 2002003603A JP 2000192059 A JP2000192059 A JP 2000192059A JP 2000192059 A JP2000192059 A JP 2000192059A JP 2002003603 A JP2002003603 A JP 2002003603A
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reaction
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polyarylene sulfide
pas
polymerization
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Satoshi Inoue
井上  敏
Osamu Komiyama
治 小味山
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TOOPUREN KK
Tohto Kasei Co Ltd
Original Assignee
TOOPUREN KK
Tohto Kasei Co Ltd
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合時に重合助剤を用いず、重合工程の途中
において重合系の水分量をコントロールする必要のない
簡便なポリアリーレンスルフィド樹脂の製法において、
ポリアリーレンスルフィド樹脂の性状を一定にし、生成
ポリマーの回収時におけるろ過性能の優れたポリアリー
レンスルフィド樹脂の製造方法の提供。 【解決手段】 有機アミド系溶媒中、アルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
スルフィド樹脂を製造する方法において、反応缶の気相
部分を冷却することにより反応缶の気相の一部を凝縮さ
せ、これを液相に還流せしめ、かつ反応系の180〜2
75℃の範囲における反応温度までの昇温速度を平均
0.01〜1.0℃/分にすることを特徴とするポリア
リーレンスルフィド樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィド樹脂の製造方法に関し、特に反応スラリーのろ
過性が優れることによる後処理工程時間が短縮されるポ
リアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド(以下、PP
Sと略すことがある)に代表されるポリアリーレンスル
フィド(以下、PASと略すことがある)は、耐熱性、
成形加工性、耐薬品性、難燃性、電気的特性、寸法安定
性等に優れるエンジニアリングプラスチックであり、射
出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形等の各種成形
法により、各種成形品、フィルム、繊維等に成形可能で
あるため、近年、電気・電子機器部品、自動車機器部
品、あるいは化学機器部品用等の材料として広く利用さ
れてきている。
【0003】PASを製造する方法としては、例えば、
特公昭45−368号公報に記載されるように、N−メ
チル−2−ピロリドンなどの有機溶媒中で、硫化ナトリ
ウム等のアルカリ金属硫化物とp−ジクロルベンゼン等
のジハロ芳香族化合物とを反応させる方法を基本とし、
重合反応時に重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩
を用いる方法(特公昭52‐12240号公報)、重合
反応を二段階で行い、第二段階の反応において積極的に
多量の水を添加する方法(特開昭61‐7332号公
報)、あるいは重合反応中、反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめる方法(特開平5‐222196号公
報)等が挙げられる。
【0004】これらの方法においては、有機アミド溶媒
中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを約1
80〜280℃の温度範囲内で反応させPASを製造し
ている。しかし、該反応は急激な発熱反応を伴い、望ま
しくない副反応等が生じ易く、その場合は、得られるP
AS粒子の形状が一定とならず、得られたPASスラリ
ーをろ別し、水洗ろ過を繰返して行うことによりPAS
を分離するプロセスにおいては、時間がかかり過ぎて経
済的なプロセスとなり得ない場合があった。
【0005】上記の課題を解決するために、反応温度近
辺における反応系の昇温速度を制御することが試みられ
ている。例えば、特開平1−299826号公報におい
ては、架橋PASの3段階重合法における第2段階重合
時に、245〜290℃の昇温時の昇温速度を10〜1
00℃/時間とすることによって、生成するポリマーの
凝集・肥大化及び微粉化を抑え、適度な大きさの顆粒状
の架橋PASを得る方法を記載している。しかしなが
ら、この方法は、高溶融粘度の架橋PASの製法であ
り、各段階での重合反応系中の水分量の調節が複雑で、
反応途中に水分を追加しなければならず、プロセス的に
経済的な方法ではない。
【0006】また、特開平4−255721号公報にお
いては、反応液を220以下の温度から260以上に昇
温する時に、平均して0.5℃/分以下の昇温速度で反
応を行い、副反応を抑え高重合度のPASを得る方法が
記載されている。しかしながら、この方法は、反応系の
水分量を0.3モル未満とし、重合助剤であるアルカリ
金属カルボン酸塩を用いる反応であり、比較的多量の重
合助剤を使用するため重合助剤の回収に多大なコストが
かかり、工業的規模での生産方法として望ましいもので
はない。
【0007】さらに、特開平8−183858号公報に
おいては、高分子量PASの2段階重合法における工程
1で、220℃から240℃までの間を平均0.1〜
1.0℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させるこ
とによって、急激な発熱反応を抑制しながら、全体の重
合時間を大幅に短縮して粒状の高分子量PASを得る方
法を記載している。しかしながら、この方法は、粒状の
高分子量PASの製法であり、各段階での重合反応系中
の水分量の調節が複雑で、反応途中に水分を追加しなけ
ればならず、プロセス的に経済的な方法ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重合
時に重合助剤を用いず、重合工程の途中において重合系
の水分量をコントロールする必要のない簡便なポリアリ
ーレンスルフィド樹脂の製法において、ポリアリーレン
スルフィド樹脂の性状を一定にし、生成ポリマーの回収
時におけるろ過性能を向上させることで後処理工程時間
が短縮されるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、反応缶の気相部分を冷
却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、こ
れを液相に還流せしめるポリアリーレンスルフィドの重
合反応において、反応温度までの特定温度範囲におい
て、特定の昇温速度を採用することにより、粒子性状が
安定したPASポリマーを得ることができ、反応スラリ
ーのろ過性能を改善し、ポリアリーレンスルフィド樹脂
の生産性を改善することができることを見出し、本発明
を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、(1)有機アミド系
溶媒中、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを
反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方
法において、反応缶の気相部分を冷却することにより反
応缶の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せし
め、かつ反応系の180〜275℃の範囲における反応
温度までの昇温速度を平均0.01〜1.0℃/分とす
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製
造方法である。
【0011】また、本発明は、(2)反応系の200〜
260℃の範囲における反応温度までの昇温速度を平均
0.05〜1.0℃/分とすることを特徴とする上記発
明(1)に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造
方法である。
【0012】本発明の好ましい態様は、以下の通りであ
る。 (3)重合反応を230〜275℃で、0.1〜20時
間行う上記発明(1)又は(2)に記載のポリアリーレ
ンスルフィド樹脂の製造方法。 (4)重合反応を240〜265℃で、1〜6時間行う
上記発明(1)又は(2)に記載のポリアリーレンスル
フィド樹脂の製造方法。 (5)重合反応を195〜240℃で、0.1〜20時
間及び240〜270℃で、1〜10時間の2段反応で
行う上記発明(1)又は(2)に記載のポリアリーレン
スルフィド樹脂の製造方法。 (6)重合反応を210〜240℃で、0.5〜10時
間及び240〜265℃で、1〜6時間の2段反応で行
う上記発明(1)又は(2)に記載のポリアリーレンス
ルフィド樹脂の製造方法。 (7)反応系の水分量が、アルカリ金属硫化物1モル当
たり0.5〜1.7モルである上記発明(1)乃至
(6)のいずれかの方法に記載のポリアリーレンスルフ
ィド樹脂の製造方法。 (8)反応系の水分量が、アルカリ金属硫化物1モル当
たり0.8〜1.2モルである上記発明(1)乃至
(6)のいずれかの方法に記載のポリアリーレンスルフ
ィド樹脂の製造方法。 (9)上記発明(1)乃至(8)のいずれかの方法で製
造されたポリアリーレンスルフィドを気相酸化性雰囲気
下、180〜270℃の温度で0.5〜300時間熱処
理を行うポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。 (10)上記発明(1)乃至(8)のいずれかの方法で
製造されたポリアリーレンスルフィドを気相酸化性雰囲
気下、200〜270℃の温度で1〜96時間熱処理を
行うポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のポリアリーレンスルフィ
ドの重合方法は、有機アミド系溶媒中、アルカリ金属硫
化物とジハロ芳香族化合物を反応させてポリアリーレン
スルフィドを製造する方法において、反応缶の気相部分
を冷却することにより反応缶の気相部の一部を凝縮さ
せ、これを液相に還流せしめて反応させる際に、反応系
を180〜270℃までの温度範囲において、反応温度
までの昇温速度を平均0.01〜1.0℃/分に制御す
ることが必須であり、この昇温速度の制御により、得ら
れるPASの粒子性状を一定にし、PASスラリーのろ
過性能を改善するものである。以下に各要件について説
明する。
【0014】1.有機アミド系溶媒 本発明において使用する有機アミド系溶媒としては、P
AS重合のために知られており、例えばN−メチル−2
−ピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル(又はジ
エチル)アセトアミド、N−メチル(又はエチル)カプ
ロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、ホルムアミド、アセトアミド、ヘキサメチルホスホ
ルアミド、テトラメチルウレア、N,N’−エチレン−
2−ピロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタ
ム、ジフェニルスルホン等、及びこれらの混合物を使用
でき、NMPが好ましい。
【0015】2.アルカリ金属硫化物 アルカリ金属硫化物としては、例えば硫化リチウム、硫
化ナトリウム(NaS)、硫化カリウム、硫化ルビジ
ウム、硫化セシウム及びこれらの混合物である。これら
のアルカリ金属硫化物は、水和物及び水溶液であっても
良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和
物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用いるこ
とができる。これらのアルカリ金属硫化物の中では、硫
化ナトリウムが安価であって工業的には好ましい。
【0016】3.ジハロ芳香族化合物 ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、
m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2,5
−ジクロロトルエン、p−ジブロモベンゼン、1,4−
ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロ
ベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−
ジブロモビフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、2,
5−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、
2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリ
ン、3,5−ジクロロアニリン、4,4’−ジクロロフ
ェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホ
キシド、4,4’−ジクロロフェニルケトン、およびこ
れらに類するものならびにそれらの混合物が含まれる。
なかでもp−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロ
ベンゼンを主成分とするものが好ましい。
【0017】本発明の方法においては、必要に応じて、
PASの分子量をより大きくするために、1分子当り3
個以上のハロゲン置換基を有する、例えば1,3,5−
トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン
等のポリハロ芳香族化合物を用いることができる。ポリ
ハロ芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物1モルに対し
て好ましくは0.005〜1.5モル%、特に好ましく
は0.02〜0.75モル%の量で使用するのが好まし
い。
【0018】4.重合反応 本発明の方法においては、反応缶内の有機アミド溶媒中
でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応させ
てPASを製造する方法であるが、特開平5−2221
96号公報に記載された反応缶の気相部分を積極的に冷
却して、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してや
ることによって反応溶液上部に水含有率の高い層を形成
する方法を用いる。すなわち、反応缶の気相部分を積極
的に冷却することにより、残存のアルカリ金属硫化物
(例えばNaS)、ハロゲン化アルカリ金属(例えば
NaCl)、オリゴマー等がその層に多く含有されるよ
うになり、従来法に比較し、反応を阻害するような因子
を効率良く除外でき、必要に応じて、高分子量PASを
得ることができる。
【0019】反応缶の気相部分の冷却は、公知の冷却手
段により行え、反応缶内の上部に設置した内部コイルに
冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外部
コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶上
部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方法、
反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒素
等)を吹き付ける方法、反応缶上部に従来備えられてい
る保温材を取外す方法等の方法が考えられるが、いずれ
の方法を用いても良い。
【0020】反応時の気相部分の冷却は、反応が1段で
行われる場合では、反応開始時から行うことが望ましい
が、少なくとも250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。2段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標であり、反応
缶内圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に
行うのが好ましい。
【0021】本発明の方法による重合反応系は、先ず不
活性ガス雰囲気下で、重合系の水分量が、アルカリ金属
硫化物1モル当り、好ましくは0.5〜1.7モル、よ
り好ましくは0.8〜1.2モルとなるように、必要に
応じて脱水または水添加をする。水分量が1.7モルを
超えると、副反応の発生が著しくなり、系内水分量の増
加とともに、反応生成物中のフェノール等の副生成物が
増大する。0.5モル未満では、反応速度が速すぎて十
分な高分子量物を得ることができない。
【0022】次いで、反応系を昇温して、180〜27
5℃の温度範囲における昇温速度を平均0.01〜1.
0℃/分、好ましくは200〜260℃の温度範囲にお
いて平均0.05〜1.0℃/分に制御することが必要
である。昇温速度が1.0℃/分を超えると、昇温時に
反応熱が著しく生じて反応の制御が困難になり、また、
得られた反応スラリーのろ過性は悪くなる。一方、昇温
速度が0.01℃/分未満であると反応時間が長くなり
過ぎるため経済性が悪化する。本発明でいう昇温速度、
例えば0.5℃/分というのは、1分間に0.5℃ずつ
昇温させる方法ではなく、10分かけて5℃上昇させる
方法をとるものであり、平均昇温速度である。
【0023】ここで、重合反応は、180〜275℃の
間の温度で行わせるが、二段以上の多段反応も含む。よ
り高い分子量のPASを得るには、2段以上の反応温度
プロフィールを用いることが好ましい。1段重合反応の
場合、反応温度は230〜275℃で、反応時間は0.
1〜20時間、好ましくは240〜265℃で1〜6時
間である。また、2段階重合反応の場合、第1段階は反
応温度195〜240℃で、反応時間0.1〜20時
間、第2段階は反応温度240〜270℃で反応時間1
〜10時間、好ましくは、第1段階は反応温度210〜
240℃で、反応時間0.5〜10時間、第2段階は反
応温度240〜265℃で反応時間1〜6時間である。
【0024】それぞれ、温度が低過ぎると反応速度が小
さすぎ、実用的ではない。温度が高すぎると反応速度が
速すぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみな
らず、副反応速度が著しく増大する。特に、2段反応に
おいては、第1段の終了は、重合反応系内ジハロ芳香族
化合物の残存率が1〜40モル%で行うことが好まし
い。残存率が40モル%を超えると、第2段階の反応で
解重合など副反応が生じやすく、一方、1モル%未満で
は、最終的に高分子量PASを得難い。その後昇温し
て、最終段階の反応は、反応温度240〜270℃の範
囲で、1〜10時間行うことが好ましい。温度が低いと
十分に高分子量化したPASを得ることができず、また
270℃より高い温度では解重合等の副反応が生じや
すくなり、安定的に高分子量物を得難くなる。
【0025】得られたPASは、気相酸化性雰囲気下、
PASの融点未満の温度で加熱処理しても良い。熱処理
温度は、好ましくは180〜270℃、特に好ましくは
200〜270℃である。該温度が上記下限未満では、
硬化速度が不十分で加熱処理に要する時間が増加し、上
記上限を超えては、硬化速度が高くなり過ぎて溶融粘度
の制御ができず、またPASのゲルを生じる。また、加
熱処理に要する時間は、上記の加熱処理温度等により異
なるが、好ましくは0.5〜300時間、特に好ましく
は1〜96時間である。該時間が上記下限未満では、熱
処理による効果が十分に得られず、上記上限を超えては
PAS粒子同士が融着しやすくなり、2次粒子が著しく
大きくなったり、容器缶壁への付着が生じ好ましくな
い。
【0026】該加熱処理は、好ましくは空気、純酸素等
又はこれらと任意の適当な不活性ガスとの混合物のよう
な酸素含有ガスの気相酸化性雰囲気下で実施される。不
活性ガスとしては、水蒸気、窒素、二酸化炭素等又はそ
れらの混合物が挙げられる。上記ガスの酸素含有ガス中
の酸素の濃度は、好ましくは0.5〜50体積%、特に
好ましくは10〜25体積%である。該酸素濃度が、上
記上限を超えてはラジカル発生量が増大し、溶融時の増
粘が著しくなり、また色相が暗色化して好ましくなく、
上記下限未満では、熱酸化速度が遅くなり好ましくな
い。
【0027】5.ポリアリーレンスルフィドの回収(後
処理) 本発明の方法では、上記のようにして得られたPASス
ラリーからのポリアリーレンスルフィドの回収は、常法
にしたがって行うことができる。例えば、PASスラリ
ーをろ過し、溶媒を含むPASケーキを得、該PASケ
ーキを、窒素ガス気流中、好ましくは150〜250℃
の温度で、好ましくは10分間〜24時間加熱して、得
られたPAS粉末に水洗浄・ろ過を数回繰り返した後、
乾燥してPASを得る溶媒乾燥処理法によりPASを得
ることができる。あるいは、PASスラリーをろ過し、
溶媒を除去後、水洗浄・ろ過を数回繰り返した後、乾燥
してPASを得る直接水洗処理法によりPASを得るこ
とができる。本発明の方法により製造されたPASは、
粒子性状が安定しており、ろ過性能が優れている。
【0028】6.生成PAS 本発明の方法で得られたのPASは粒子性状が優れ、成
形加工する際には、慣用の添加剤、例えばカーボンブラ
ック、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン等の粉末状
充填剤、又は炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、
ポリアラミド繊維等の繊維状充填剤を混入することがで
きる。更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑
剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することもでき
る。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。なお、実施例における試験方法は、以下の通りであ
る。
【0030】(A)ろ過性:重合後に得られた反応スラ
リー100gを50℃に加熱した後、電動ポンプを用い
て3.3×10Paの条件で直径60mm、保留サイ
ズ1μmのろ紙を用いて減圧ろ過を行った。この時のろ
過が終了するまでのろ過時間とろ液量を計測し、下記式
により、ろ過性を求めた。ろ過性(g/sec)=ろ液
量(g)/ろ過時間(sec)
【0031】(B)溶融粘度(V6):島津製作所製フ
ローテスター、CFT−500Cを用い、300℃、荷
重=1.96×10Pa、L/D=10/1で6分間
保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
【0032】(C)粒度分布:湿式粒度分布測定装置
(日機装(株)製マイクロトラックSRA)を用いて、
得られた反応スラリーの粒度分布測定を行い、累積の5
0vol%の粒径(D50:体積換算において、50%
となる粒径)を求めた。
【0033】実施例1 150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソー
ダ(60.91重量%NaS)15.375kgとN
−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略すことが
ある)38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しなが
ら216℃まで昇温して、水3.740kgを留出させ
た(硫化ソーダ1モル当たり水1.05モル)。その
後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パ
ラジクロロベンゼン(以下、p−DCBと略すことがあ
る)18.000kg及びNMP16.0kgを仕込ん
だ。液温150℃で窒素ガスを用いて9.8×10
aに加圧して昇温を開始した。液温200〜260℃の
間を0.7℃/分の平均速度で昇温し、液温260℃に
なった時点でオートクレーブ上部への散水を開始した。
該温度で2時間保持して反応を行った。反応終了後、散
水を止めて、室温にまで冷却した。
【0034】得られた反応スラリーを一部サンプリング
して、ろ過性と粒度分布の測定を行った。残りの反応ス
ラリーは、ろ過して溶媒を除去し、次に常法により水洗
浄、ろ過を7回繰り返した後、120℃で約8時間、熱
風循環乾燥機中で乾燥し、粉末状のポリマーを得た。ポ
リマーの溶融粘度を表1に示す。
【0035】実施例2 液温200〜260℃の間を0.33℃/分の平均速度
で昇温した以外は、実施例1と同様にして粉末状のポリ
フェニレンスルフィドポリマーを得た。ろ過性、粒度分
布、溶融粘度を表1に示す。
【0036】実施例3 液温200〜260℃の間を0.17℃/分の平均速度
で昇温した以外は、実施例1と同様にして粉末状のポリ
フェニレンスルフィドポリマーを得た。ろ過性、粒度分
布、溶融粘度を表1に示す。
【0037】実施例4 p−DCBを18.186kg用い、液温200〜26
0℃の間を0.08℃/分の平均速度で昇温した以外
は、実施例1と同様にして粉末状のポリフェニレンスル
フィドポリマーを得た。ろ過性、粒度分布、溶融粘度を
表1に示す。
【0038】実施例5 反応時間を3時間にした以外は、実施例2と同様にし
て、粉末状のポリフェニレンスルフィドポリマーを得
た。ろ過性、粒度分布、溶融粘度を表1に示す。
【0039】実施例6 p−DCBを18.092kg用い、液温200〜24
0℃の間を0.33℃/分の平均速度で昇温し、240
℃で1時間反応させ、さらに240〜260℃の間を
0.33℃/分の平均速度で昇温し、260℃で2時間
反応させた以外は、実施例1と同様にして粉末状のポリ
フェニレンスルフィドポリマーを得た。ろ過性、粒度分
布、溶融粘度を表1に示す。
【0040】比較例1 液温200〜260℃の間を1.2℃/分の平均速度で
昇温した以外は、実施例1と同様にして粉末状のポリフ
ェニレンスルフィドポリマーを得た。ろ過性、粒度分
布、溶融粘度を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂
製造方法は、重合助剤を用いることもなく、反応途中に
反応系に水を加えることもなく、簡便な方法で、反応ス
ラリーのろ過性を大幅に改善することにより、後工程時
間が短時間で実施できるため、生産性が向上し、経済的
に有利な方法であるとともに、溶融粘度の大きい高分子
量PASが得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミド系溶媒中、アルカリ金属硫化
    物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
    スルフィド樹脂を製造する方法において、反応缶の気相
    部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮
    させ、これを液相に還流せしめ、かつ反応系の180〜
    275℃の範囲における反応温度までの昇温速度を平均
    0.01〜1.0℃/分にすることを特徴とするポリア
    リーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応系の200〜260℃の範囲におけ
    る反応温度までの昇温速度を平均0.05〜1.0℃/
    分にすることを特徴とする請求項1に記載のポリアリー
    レンスルフィド樹脂の製造方法。
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