JP2002179792A - ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法Info
- Publication number
- JP2002179792A JP2002179792A JP2000383393A JP2000383393A JP2002179792A JP 2002179792 A JP2002179792 A JP 2002179792A JP 2000383393 A JP2000383393 A JP 2000383393A JP 2000383393 A JP2000383393 A JP 2000383393A JP 2002179792 A JP2002179792 A JP 2002179792A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- reaction
- temperature
- mol
- producing
- alkali metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
Abstract
において重合系の水分量をコントロールする必要のない
簡便なポリアリーレンスルフィド樹脂の製法において、
ポリアリーレンスルフィド樹脂の性状を一定にし、生成
ポリマーの回収時におけるろ過性能の優れたポリアリー
レンスルフィド樹脂の製造方法を提供すること。 【解決手段】 有機アミド系溶媒中、アルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
スルフィド樹脂を製造する方法において、ポリハロ芳香
族化合物をアルカリ金属硫化物1モルに対して、0.0
05〜1.5モル%添加し、反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめ、かつ反応系の180〜275℃の温
度範囲における反応温度までの昇温速度を平均0.01
〜1.0℃/分に制御するポリアリーレンスルフィド樹
脂の製造方法。
Description
ルフィド樹脂の製造方法に関し、さらに詳しくは、反応
スラリーのろ過性に優れ、後処理工程時間が短縮される
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関する。
PS」と略すことがある。)に代表されるポリアリーレ
ンスルフィド樹脂(以下、「PAS」と略すことがあ
る。)は、耐熱性、成形加工性、耐薬品性、難燃性、電
気的特性、寸法安定性などに優れるエンジニアリングプ
ラスチックであり、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブ
ロー成形などの各種成形法により、各種成形品、フィル
ム、繊維などに成形可能であるため、近年、電気・電子
機器部品、自動車機器部品あるいは化学機器部品用など
の材料として広く利用されてきている。
特公昭45−368号公報に開示されるように、N−メ
チル−2−ピロリドンなどの有機溶媒中で、硫化ナトリ
ウムなどのアルカリ金属硫化物とp−ジクロルベンゼン
などのジハロ芳香族化合物とを反応させる方法を基本と
し、重合反応時に重合助剤としてアルカリ金属カルボン
酸塩を用いる方法(特公昭52‐12240号公報)、
重合反応を2段階で行い、第2段階の反応において、多
量の水を添加する方法(特開昭61‐7332号公
報)、あるいは重合反応中、反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめる方法(特開平5‐222196号公
報)などが挙げられる。
媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、
約180〜280℃の温度範囲内で反応させ、PASを
製造している。しかしながら、該反応は急激な発熱を伴
い、望ましくない副反応などが生じ易い。その場合に
は、得られるPAS粒子の形状が一定とならず、PAS
スラリーを濾別し、水洗ろ過を繰返し行うことによりP
ASを分離するプロセスにおいて、時間がかかり過ぎて
経済的なプロセスとなり得ないという問題があった。
辺における反応系の昇温速度を制御することが試みられ
ている。例えば、特開平1−299826号公報におい
ては、架橋PASの3段階重合法における第2段階重合
時に、245〜290℃の温度範囲の昇温速度を10〜
100℃/時間とすることによって、生成するポリマー
の凝集・肥大化および微粉化を抑え、適度な大きさの顆
粒状の架橋PASを得る方法を開示している。しかしな
がら、この方法は、高溶融粘度の架橋PASの製法であ
り、各段階での重合反応系中の水分量の調節が複雑で、
反応途中に水分を追加しなければならず、プロセス的に
経済的な方法ではない。
いては、反応液を220以下の温度から260以上に昇
温する時に、平均して0.5℃/分以下の速度で昇温し
て反応を行い、副反応を抑え高重合度のPASを得る方
法が開示されている。しかしながら、この方法は、反応
系の水分量をアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化
物、硫化水素から選ばれた硫黄源中の硫黄1モル当り
0.3モル未満とし、重合助剤であるアルカリ金属カル
ボン酸塩を用いる反応であり、比較的多量の重合助剤を
使用するため重合助剤の回収に多大なコストがかかり、
工業的規模での生産方法として望ましいものではない。
おいては、高分子量PASの2段階重合法における、工
程1での220℃から240℃までの温度範囲を、平均
0.1〜1.0℃/分の速度で昇温させながら反応させ
ることによって、急激な発熱反応を抑制しながら、全体
の重合時間を大幅に短縮して粒状の高分子量PASを得
る方法を開示している。しかしながら、この方法は、粒
状の高分子量PASの製法であり、各段階での重合反応
系中の水分量の調節が複雑で、反応途中に水分を追加し
なければならず、プロセス的に経済的な方法ではない。
時に重合助剤を用いず、重合工程の途中において重合系
の水分量をコントロールする必要のない簡便なポリアリ
ーレンスルフィド樹脂の製造方法において、ポリアリー
レンスルフィド樹脂の性状を一定にし、生成ポリマーの
回収時におけるろ過性能を向上させることで、後処理工
程時間が短縮されるポリアリーレンスルフィド樹脂の製
造方法を提供することにある。
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアリーレンスルフ
ィドの重合反応において、該反応系に、特定量のポリハ
ロ芳香族化合物を添加し、反応缶の気相部分を冷却する
ことにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液
相に還流せしめ、かつ反応温度までの特定温度範囲にお
いて、特定の昇温速度に制御することにより、粒子性状
が安定したPASを得ることができ、反応スラリーのろ
過性能を改善し、ポリアリーレンスルフィド樹脂の生産
性を改善し得ることを見出し、本発明を完成した。
有機アミド系溶媒中、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香
族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂
を製造する方法において、ポリハロ芳香族化合物をアル
カリ金属硫化物1モルに対して、0.005〜1.5モ
ル%添加し、反応缶の気相部分を冷却することにより反
応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せし
め、かつ反応系の180〜275℃の温度範囲における
反応温度までの昇温速度を平均0.01〜1.0℃/分
に制御するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法が
提供される。
(1)において、ポリハロ芳香族化合物をアルカリ金属
硫化物1モルに対して、0.11〜0.75モル%添加
するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法が提供さ
れる。
る。 (3)重合反応を230〜275℃で、0.1〜20時
間行う上記発明(1)または(2)に記載のポリアリー
レンスルフィド樹脂の製造方法。 (4)重合反応を240〜265℃で、1〜6時間行う
上記発明(1)または(2)に記載のポリアリーレンス
ルフィド樹脂の製造方法。 (5)重合反応を195〜240℃で、0.1〜20時
間および240〜270℃で、1〜10時間の2段反応
で行う上記発明(1)または(2)に記載のポリアリー
レンスルフィド樹脂の製造方法。 (6)重合反応を210〜240℃で、0.5〜10時
間および240〜265℃で、1〜6時間の2段反応で
行う上記発明(1)または(2)に記載のポリアリーレ
ンスルフィド樹脂の製造方法。 (7)反応系の水分量が、アルカリ金属硫化物1モル当
たり0.5〜1.7モルである上記発明(1)ないし
(6)のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹
脂の製造方法。 (8)反応系の水分量が、アルカリ金属硫化物1モル当
たり0.8〜1.2モルである上記発明(1)ないし
(6)のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹
脂の製造方法。 (9)上記発明(1)ないし(8)に記載のいずれかの
方法で製造されたポリアリーレンスルフィド樹脂を、さ
らに気相酸化性雰囲気下、180〜270℃の温度にて
0.5〜300時間熱処理を行うポリアリーレンスルフ
ィド樹脂の製造方法。 (10)上記発明(1)ないし(8)に記載のいずれか
の方法で製造されたポリアリーレンスルフィド樹脂を、
さらに気相酸化性雰囲気下、200〜270℃の温度に
て1〜96時間熱処理を行うポリアリーレンスルフィド
樹脂の製造方法。
ド樹脂の製造方法は、有機アミド系溶媒中、アルカリ金
属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応させてポリアリー
レンスルフィド樹脂を製造する方法において、ポリハロ
芳香族化合物をアルカリ金属硫化物1モルに対し0.0
05〜1.5モル%添加し、反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめ、かつ反応系の180〜275℃の温
度範囲における反応温度までの昇温速度を平均0.01
〜1.0℃/分に制御することが必須であり、この昇温
速度の制御により、得られるPASの粒子性状を一定に
し、PASスラリーのろ過性能を改善するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
重合において使用することが知られている、例えば、N
−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略すこ
とがある。)、N−エチルピロリドン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチル(またはジエチル)
アセトアミド、N−メチル(またはエチル)カプロラク
タム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホル
ムアミド、アセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミ
ド、テトラメチルウレア、N,N’−エチレン−2−ピ
ロリドン、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ジフ
ェニルスルホンなどが挙げられ、これらは、1種または
2種以上の混合物としてを使用できる。これらの中、特
にNMPの使用が好ましい。
化ナトリウム(Na2S)、硫化カリウム、硫化ルビジ
ウム、硫化セシウムおよびこれらの混合物が挙げられ
る。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水溶
液であってもよい。また、これらにそれぞれ対応する水
硫化物および水和物を、それぞれに対応する水酸化物で
中和して用いることもできる。これらのアルカリ金属硫
化物の中では、硫化ナトリウムが安価であって工業的に
好ましい。
m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2,5
−ジクロロトルエン、p−ジブロモベンゼン、1,4−
ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロ
ベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、4,4’−
ジブロモビフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、2,
5−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、
2,4−ジクロロアニリン、2,5−ジクロロアニリ
ン、3,5−ジクロロアニリン、4,4’−ジクロロフ
ェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホ
キシド、4,4’−ジクロロフェニルケトンおよびこれ
らに類するもの並びにそれらの混合物などが挙げられ
る。p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロベン
ゼンを主成分とするものが好ましい。
分子量を高める目的で、1分子当り3個以上のハロゲン
置換基を有するポリハロ芳香族化合物を用いる。ポリハ
ロ芳香族化合物としては、例えば、1,2,3−トリク
ロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,
3,5−トリクロロベンゼン、1,3−ジクロロ−5−
ブロモベンゼン、2,4,6−トリクロロトルエン、
1,2,3,5−テトラブロモベンゼン、ヘキサクロロ
ベンゼン、1,3,5−トリクロロ−2,4,6−トリ
メチルベンゼン、2,2’,4,4’−テトラクロロビ
フェニル、2,2’,6,6’−テトラブロモ−3,
3’,5,5’テトラメチルビフェニル、1,2,3,
4−テトラクロロナフタレン、1,2,4−トリブロモ
−6−メチルナフタレンなど、およびそれらの混合物が
挙げられ、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,
5−トリクロロベンゼンが好ましい。また、他の少量添
加物として、末端停止剤、修飾剤としてのモノハロ化物
を併用することもできる。
化物1モルに対して0.005〜1.5モル%、好まし
くは0.11〜0.75モル%、特に好ましくは0.1
5〜0.65モル%の量で使用する。反応系における、
ポリハロ芳香族化合物の添加量が、アルカリ金属硫化物
1モルに対して0.005モル%未満であると、ろ過性
の改善効果が減少し、一方、アルカリ金属硫化物1モル
に対して1.5モル%を超えると、重合反応の制御が困
難となる。
リ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を反応させてPAS
を製造する方法であるが、特開平5−222196号公
報に記載された、反応缶の気相部分を積極的に冷却し
て、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻すことによ
って、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する方法
を用いる。すなわち、反応缶の気相部分を積極的に冷却
することにより、残存のアルカリ金属硫化物(例えば、
Na2S)、ハロゲン化アルカリ金属(例えば、NaC
l)、オリゴマーなどがその層に多く含有されるように
なり、従来法と比較して、反応を阻害するような因子を
効率よく除外でき、必要に応じて、高分子量PASを得
ることができる。
段により行え、反応缶内の上部に設置した内部コイルに
冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外部
コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶上
部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方法、
反応缶外部の上部に水をかけるまたは気体(空気、窒素
等)を吹き付ける方法、反応缶上部に従来備えられてい
る保温材を取外す方法などの方法が考えられるが、いず
れの方法を用いてもよい。
行われる場合には、反応開始時から行うことが望ましい
が、少なくとも250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。2段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常、反応缶内圧力が最も適した指標であり、反
応缶内圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度
に行うのが好ましい。
応系は、先ず不活性ガス雰囲気下で、重合系の水分量
が、アルカリ金属硫化物1モル当り、好ましくは0.5
〜1.7モル、より好ましくは0.8〜1.2モルとな
るように、必要に応じて脱水または水添加を行う。水分
量が、アルカリ金属硫化物1モル当り1.7モルを超え
ると、副反応の発生が著しくなり、系内水分量の増加と
ともに、反応生成物中のフェノールなどの副生成物が増
大する。一方、アルカリ金属硫化物1モル当り0.5モ
ル未満では、反応速度が速すぎて、十分な高分子量物を
得ることができなくなる。
5℃の温度範囲における反応温度までの昇温速度を平均
0.01〜1.0℃/分、好ましくは200〜260℃
の温度範囲における昇温速度を平均0.05〜0.8℃
/分に制御する。昇温速度が1.0℃/分を超えると、
昇温時に反応熱が著しく生じて反応の制御が困難にな
り、また、得られた反応スラリーのろ過性が悪くなる。
一方、昇温速度が0.01℃/分未満であると、反応時
間が長くなり、経済性が悪化する。
/分とは、1分間に0.5℃ずつ昇温させる方法を意味
するのではなく、10分かけて5℃上昇させる方法を意
味する、平均昇温速度のことである。
〜275℃の温度範囲で行うが、2段以上の多段反応で
行ってもよい。より高い分子量のPASを得るには、2
段以上の反応温度プロフィールを用いることが好まし
い。1段重合反応の場合には、反応温度230〜275
℃にて、反応時間0.1〜20時間、好ましくは反応温
度240〜265℃にて、反応温度1〜6時間である。
また、2段重合反応の場合には、第1段階は、反応温度
195〜240℃にて、反応時間0.1〜20時間、第
2段階は、反応温度240〜270℃にて、反応時間1
〜10時間、好ましくは、第1段階は、反応温度210
〜240℃にて、反応時間0.5〜10時間、第2段階
は、反応温度240〜265℃にて、反応時間1〜6時
間である。
ると、反応速度が小さすぎ実用的ではなく、一方、反応
温度が上記範囲より高すぎると、反応速度が速すぎて十
分に高分子量のPASが得られないのみならず、副反応
速度が著しく増大する。特に、2段重合反応において
は、第1段階の終了は、重合反応系内のジハロ芳香族化
合物の残存率が1〜40モル%の時点とすることが好ま
しい。ジハロ芳香族化合物の残存率が40モル%を超え
ていると、第2段階の反応で、解重合など副反応が生じ
やすく、一方、ジハロ芳香族化合物の残存率が1モル%
未満では、最終的に高分子量PASを得難い。その後昇
温して、最終段階の反応は、反応温度240〜270℃
の範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。温度が2
40℃より低いと、十分に高分子量化したPASを得る
ことができず、また、270℃より高い温度では、解重
合などの副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物
を得難くなる。
PASの融点未満の温度で加熱処理を行ってもよい。熱
処理温度は、好ましくは180〜270℃、特に好まし
くは200〜270℃である。該温度が上記範囲未満で
は、硬化速度が不十分で加熱処理に要する時間が増加
し、上記範囲を超えては、硬化速度が高くなり過ぎて溶
融粘度の制御ができず、またPASにゲルを生じる。ま
た、加熱処理に要する時間は、上記の加熱処理温度など
により異なるが、好ましくは0.5〜300時間、特に
好ましくは1〜96時間である。該時間が上記範囲未満
では、熱処理による効果が十分に得られず、上記範囲を
超えては、PAS粒子同士が融着しやすくなり、2次粒
子が著しく大きくなったり、容器缶壁への付着が生じ好
ましくない。
素など、またはこれらと任意の適当な不活性ガスとの混
合物のような酸素含有ガスなどの気相酸化性雰囲気下で
実施される。不活性ガスとしては、水蒸気、窒素、二酸
化炭素など、またはそれらの混合物が挙げられる。上記
酸素含有ガス中の酸素の濃度は、好ましくは0.5〜5
0体積%、特に好ましくは10〜25体積%である。該
酸素濃度が、上記範囲を超えてはラジカル発生量が増大
し、溶融時の増粘が著しくなり、また色相が暗色化し、
上記範囲未満では、熱酸化速度が遅くなり、いずれも好
ましくない。
処理) 本発明の方法では、上記のようにして得られたPASス
ラリーからのポリアリーレンスルフィド樹脂の回収は、
常法に従って行うことができる。例えば、PASスラリ
ーをろ過し、溶媒を含むPASケーキを得、該PASケ
ーキを、窒素ガス気流中、好ましくは温度150〜25
0℃にて、10分間〜24時間加熱して、得られたPA
S粉末に水洗浄・ろ過を数回繰り返し行った後、乾燥し
てPASを得る溶媒乾燥処理法によりPASを得ること
ができる。
を除去後、水洗浄・ろ過を数回繰り返した後、乾燥して
PASを得る直接水洗処理法によりPASを得ることも
できる。本発明の方法により製造されたPASは、粒子
性状が安定しており、ろ過性能が優れている。
形加工する際には、慣用の添加剤、例えば、カーボンブ
ラック、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタンなどの粉
末状充填剤、または炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト
繊維、ポリアラミド繊維などの繊維状充填剤を混入する
ことができる。さらに、必要に応じて、酸化防止剤、熱
安定剤、滑剤、離型剤、着色剤などの添加剤を配合する
こともできる。
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。なお、実施例における試験方法は、以下の通りであ
る。
リー100gを50℃に加熱した後、電動ポンプを用い
て3.3×104Paの減圧下で、直径60mm、保留
サイズ1μmのろ紙を用いて減圧ろ過を行った。この時
のろ過が終了するまでのろ過時間と、ろ液量を計測し、
下記式により、ろ過性を求めた。 ろ過性(g/sec)=ろ液量(g)/ろ過時間(se
c)
ローテスター、CFT−500Cを用い、300℃、荷
重:1.96×106Pa、L/D=10/1にて、6
分間保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
(日機装(株)製マイクロトラックSRA)を用いて、
得られた反応スラリーの粒度分布測定を行い、累積50
体積%の粒径(D50は、体積換算における累積50%
となる粒径)を求めた。
ーダ(60.91重量%Na2S)15.375kgと
NMP38.0kgを仕込んだ。窒素気流下にて攪拌し
ながら、216℃まで昇温して、水3.740kgを留
出させた(硫化ソーダ1モル当たり水1.05モル)。
その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却
し、p−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略
すことがある。)18.000kg、1,2,4−トリ
クロロベンゼン(以下、「1,2,4−TCB」と略す
ことがある。)21.8g(仕込み硫化ソーダ1モル当
り0.10モル%)およびNMP16.0kgを仕込ん
だ。液温150℃で、窒素ガスを用いて9.8×104
Paに加圧して昇温を開始した。液温200〜260℃
の温度範囲を0.7℃/分の平均速度で昇温し、液温2
60℃になった時点で、オートクレーブ上部への散水を
開始した。該温度で2時間保持して反応を行った。反応
終了後、散水を止めて、室温まで冷却した。
して、ろ過性と粒度分布の測定を行った。残りの反応ス
ラリーは、ろ過して溶媒を除去し、次いで常法により水
洗浄、ろ過を7回繰り返した後、120℃で約8時間、
熱風循環乾燥機中で乾燥し、粉末状のPPSを得た。反
応条件並びに得られたPPSのろ過性、粒度分布および
溶融粘度を表1に示す。
込み硫化ソーダ1モル当り0.11モル%)とし、液温
200〜260℃の温度範囲を0.33℃/分の平均速
度で昇温したこと以外は、実施例1と同様にして粉末状
のPPSを得た。反応条件並びに得られたPPSのろ過
性、粒度分布および溶融粘度を表1に示す。
均速度で昇温したこと以外は、実施例1と同様にして粉
末状のPPSを得た。反応条件並びに得られたPPSの
ろ過性、粒度分布および溶融粘度を表1に示す。
2,4−TCBを163.3g(仕込み硫化ソーダ1モ
ル当り0.75モル%)とし、液温200〜260℃の
温度範囲を0.33℃/分の平均速度で昇温したこと以
外は、実施例1と同様にして粉末状のPPSを得た。反
応条件並びに得られたPPSのろ過性、粒度分布および
溶融粘度を表1に示す。
して、粉末状のPPSを得た。反応条件並びに得られた
PPSのろ過性、粒度分布および溶融粘度を表1に示
す。
2,4−TCBを87.1g(仕込み硫化ソーダ1モル
当り0.40モル%)とし、液温200〜260℃の温
度範囲を0.33℃/分の平均速度で昇温し、240℃
にて1時間、さらに昇温し260℃にて2時間反応を行
ったこと以外は、実施例1と同様にして粉末状のPPS
を得た。反応条件並びに得られたPPSのろ過性、粒度
分布および溶融粘度を表1に示す。
速度で昇温したこと以外は、実施例1と同様にして粉末
状のPPSを得た。反応条件並びに得られたPPSのろ
過性、粒度分布および溶融粘度を表1に示す。
ル当り0.0047モル%)としたこと以外は、実施例
1と同様にして粉末状のPPSを得た。反応条件並びに
得られたPPSのろ過性、粒度分布および溶融粘度を表
1に示す。
1モル当り1.6モル%)としたこと以外は、実施例1
と同様にしてPPSの製造を行ったが、得られた反応ス
ラリーに流動性が無かったため、ろ過性の測定は、でき
なかった。また、溶融粘度の測定においても十分な流れ
性が得られず、測定不能であった。反応条件並びに得ら
れたPPSのろ過性、粒度分布および溶融粘度を表1に
示す。
の製造方法によれば、重合助剤を用いることなく、反応
途中に反応系に水を加えることもない簡便な方法にて、
反応スラリーのろ過性を大幅に改善することができ、後
処理工程が短時間で実施できるため、生産性が向上し、
経済的に有利な方法であるとともに、溶融粘度の大きい
高分子量ポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる。
Claims (2)
- 【請求項1】 有機アミド系溶媒中、アルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレン
スルフィド樹脂を製造する方法において、ポリハロ芳香
族化合物をアルカリ金属硫化物1モルに対して、0.0
05〜1.5モル%添加し、反応缶の気相部分を冷却す
ることにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを
液相に還流せしめ、かつ反応系の180〜275℃の温
度範囲における反応温度までの昇温速度を平均0.01
〜1.0℃/分に制御することを特徴とするポリアリー
レンスルフィド樹脂の製造方法。 - 【請求項2】 ポリハロ芳香族化合物をアルカリ金属硫
化物1モルに対して、0.11〜0.75モル%添加す
ることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンス
ルフィド樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000383393A JP4820486B2 (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000383393A JP4820486B2 (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002179792A true JP2002179792A (ja) | 2002-06-26 |
JP4820486B2 JP4820486B2 (ja) | 2011-11-24 |
Family
ID=18851057
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000383393A Expired - Lifetime JP4820486B2 (ja) | 2000-12-18 | 2000-12-18 | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4820486B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008260858A (ja) * | 2007-04-12 | 2008-10-30 | Tosoh Corp | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 |
CN109438706A (zh) * | 2018-10-25 | 2019-03-08 | 宜宾天原集团股份有限公司 | 聚苯硫醚生产中反应温度的精度控制方法 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02258837A (ja) * | 1988-12-13 | 1990-10-19 | Phillips Petroleum Co | 新規なポリアリ―レンスルフィド樹脂の調製方法 |
JPH06145354A (ja) * | 1992-11-12 | 1994-05-24 | Tonen Chem Corp | ポリアリーレンスルフィドの粒径制御方法 |
JPH06157756A (ja) * | 1992-11-18 | 1994-06-07 | Tonen Chem Corp | 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
JPH06298937A (ja) * | 1993-04-20 | 1994-10-25 | Tonen Chem Corp | 粉体塗装用高分子量ポリアリーレンスルフィド |
JPH07292107A (ja) * | 1994-04-22 | 1995-11-07 | Tonen Chem Corp | 高分子量ポリアリーレンスルフィド |
JPH10195196A (ja) * | 1997-01-09 | 1998-07-28 | Tonen Chem Corp | ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
JP2002003603A (ja) * | 2000-06-27 | 2002-01-09 | Toopuren:Kk | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
-
2000
- 2000-12-18 JP JP2000383393A patent/JP4820486B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02258837A (ja) * | 1988-12-13 | 1990-10-19 | Phillips Petroleum Co | 新規なポリアリ―レンスルフィド樹脂の調製方法 |
JPH06145354A (ja) * | 1992-11-12 | 1994-05-24 | Tonen Chem Corp | ポリアリーレンスルフィドの粒径制御方法 |
JPH06157756A (ja) * | 1992-11-18 | 1994-06-07 | Tonen Chem Corp | 高分子量ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
JPH06298937A (ja) * | 1993-04-20 | 1994-10-25 | Tonen Chem Corp | 粉体塗装用高分子量ポリアリーレンスルフィド |
JPH07292107A (ja) * | 1994-04-22 | 1995-11-07 | Tonen Chem Corp | 高分子量ポリアリーレンスルフィド |
JPH10195196A (ja) * | 1997-01-09 | 1998-07-28 | Tonen Chem Corp | ポリアリーレンスルフィドの製造法 |
JP2002003603A (ja) * | 2000-06-27 | 2002-01-09 | Toopuren:Kk | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008260858A (ja) * | 2007-04-12 | 2008-10-30 | Tosoh Corp | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 |
CN109438706A (zh) * | 2018-10-25 | 2019-03-08 | 宜宾天原集团股份有限公司 | 聚苯硫醚生产中反应温度的精度控制方法 |
CN109438706B (zh) * | 2018-10-25 | 2021-05-04 | 宜宾天原集团股份有限公司 | 聚苯硫醚生产中反应温度的精度控制方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4820486B2 (ja) | 2011-11-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5221877B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 | |
JP2004244619A (ja) | ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法 | |
JP4241621B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 | |
JP3646737B2 (ja) | 反応性に富むポリアリーレンスルフィド | |
JPH04145127A (ja) | ポリアリ―レンスルフィドの製造方法 | |
JP3610990B2 (ja) | 接着性に優れたポリアリーレンスルフィド | |
JP2001172387A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 | |
JP2004107567A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 | |
JP3690046B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JP2005344045A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 | |
JPH08170016A (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 | |
JP2604673B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JP2002201275A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JP3614486B2 (ja) | 接着性に優れたポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JPH10195197A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JPH08269199A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JPH08176302A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JP4894090B2 (ja) | ポリフェニレンスルフィドの製造方法および押し出し成形品 | |
JP4820486B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 | |
JP3023924B2 (ja) | カルボキシル基含有アリーレンスルフィド系共重合体の製造方法 | |
JP3797446B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JP2002003603A (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 | |
JPH05320343A (ja) | ポリアリーレンスルフィドの製造法 | |
JPH04275334A (ja) | フェニレンスルフィドポリマーの製造法 | |
JP3538878B2 (ja) | 管状押出成形物用の高分子量ポリアリーレンスルフィド |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061218 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090811 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090901 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090930 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100921 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101028 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110816 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110905 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140909 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4820486 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |