JP4241621B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィドの製造方法に関し、さらに詳しくは、所望の溶融粘度を有するポリアリーレンスルフィドを安定して製造することができるポリアリーレンスルフィドの製造方法に関する。
ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」と略記する)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、「PAS」と略記する)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックである。PASは、押出成形、射出成形、圧縮成形などの一般的溶融加工法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野において汎用されている。
PASの代表的な製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒中で、硫黄源であるアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させる方法が知られている。硫黄源としては、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との組み合わせも使用されている。
PASの製造方法において、安定した品質のPASを得るには、原料、副原料などの純度が高く、かつ一定であることを前提として、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とのモル比、共存水分量、重合温度、重合時間などの重合条件を厳密に制御する必要がある。例えば、重合反応系において、共存水分量が過小であると生成PASの分解などの好ましくない反応が起こりやすく、逆に、過大であると重合速度が著しく遅くなったり、好ましくない副反応が起こる。
原料のアルカリ金属硫化物としては、通常、多量の結晶水を含有している水和物が使用されている。さらに、これらの原料は、水溶液として反応系に添加される場合がある。したがって、これらの原料を反応槽に投入した時点では、多量の水分が系内に存在する。そこで、一般に、PASの製造に際し、重合工程の前工程として、有機アミド溶媒と硫黄源とを含む混合物を加熱脱水して、重合反応系の水分量を調節するための脱水工程が配置されている。
脱水工程は、通常、重合反応溶媒である有機アミド溶媒の存在下で操作され、蒸留により水を系外へ排出し、水分量がアルカリ金属硫化物1モル当たり、通常0.3〜5モル、好ましくは0.5〜2.0モル程度になるまで行われる。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合には、重合反応に先立って、水を添加して水分量を所望の範囲に調節する。共存水分量を調節した後、反応系にジハロ芳香族化合物を仕込んで、加熱することにより重縮合反応を行う。
上記脱水工程において、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物と水とが反応して、硫化水素(HS)が平衡的に解離して揮散する。脱水工程において、加熱により水を留去する際に、水は、有機アミド溶媒と同伴して系外に排出されるか、あるいは蒸留により有機アミド溶媒と水とが分離され、水のみが排出されるが、同時に、生成した硫化水素も揮散して系外に排出される。脱水工程における硫化水素の揮散は、PASの工業的製法において、以下のような問題点を引き起こす。
第一に、硫化水素の揮散によりアルカリ金属硫化物などの硫黄源の量が変動するため、製品ポリマーのロット毎の溶融粘度が変動する。一般に、原料(特にアルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物)の切替、PASのグレード変更に伴う原料組成の変動、あるいは加熱脱水速度の変更や蒸留塔における還流比の変動などに伴う揮散硫化水素量の変動などにより、生成ポリマーのロット毎の品質に変動が生じる。さらに、同一原料を用い、かつ、実質的に同一条件で製造しても、脱水工程で揮散する硫化水素の量が変動するため、生成ポリマーのロット間の溶融粘度にバラツキを生じる。
第二に、硫化水素の揮散によって、高重合度PASの安定的な製造が困難になる。例えば、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との重合反応様式は、2成分の重縮合反応であるため、高重合度のPASを得るには、一般に、これら両成分のモル比を1:1付近に精度よく調整することが望ましい。そこで、脱水工程で揮散する硫化水素の量を予測して仕込み硫黄源(アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物)の量を調整しているが、硫化水素の揮散量の変動幅が大きく、両成分の正確な反応モル比を制御することは困難である。
実際に揮散した硫化水素の量が予測量より少なかった場合、ジハロ芳香族化合物に対するアルカリ金属硫化物のモル比が過剰になり、急激な分解反応等の望ましくない副反応が生じやすくなる。したがって、高重合度のPASを安定的に製造するには、揮散する硫化水素量の厳密な制御と測定が不可欠となっている。しかし、脱水工程での硫化水素の揮散量の変動により、目標溶融粘度の達成と溶融粘度のバラツキの低減は、困難であった。
従来、脱水工程における硫化水素の揮散に伴う問題を解決するために、幾つかの提案がなされている。例えば、脱水工程で揮散する硫化水素を定量して、反応系内に存在する硫黄源の量を精度良く求める方法が提案されている(例えば、特公昭63−33775号公報)。この方法によれば、重合工程におけるアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とのモル比を精度良く合わせることは可能であるが、脱水工程で揮散する硫化水素の定量のために特別の専用装置の導入が必要であり、しかも分析時間のロスが生じる。
脱水工程で揮散した硫化水素をアルカリ金属水酸化物の水溶液に吸収させて、次バッチの脱水工程及び/または重合工程にリサイクルして再利用する方法が提案されている(例えば、特開平2−160833号公報)。しかし、この方法は、回収した硫化水素の水溶液を次のバッチの脱水工程にリサイクルする場合、脱水すべき水分量が増加するため、エネルギーロスが大きい。回収した硫化水素の水溶液を次のバッチの重合工程にリサイクルする場合は、前述した水が多く共存する系での重合反応に伴う問題が起こる。
脱水工程で発生した硫化水素を水酸化ナトリウム水溶液に吸収させ、1規定の塩酸で中和滴定を行って、揮散した硫化水素を定量する方法が提案されている(例えば、特開平2−160834号公報)。しかし、硫化水素を水酸化ナトリウム水溶液に捕集して定量する方法は、そのための専用装置の導入が必要であり、しかも定量する作業が新たに発生し、生産効率が低下する。また、回収した硫化水素を含む水酸化ナトリウム水溶液を反応系にリサイクルする場合には、水酸化ナトリウムと水の増加に伴う重合反応上及びPAS品質上の問題が発生する。
脱水工程中に揮散する硫化水素を、脱水工程が行われている系外で、有機アミド溶媒に吸収させて回収し、回収した硫化水素を硫黄源として重合反応に再利用する方法が提案されている(例えば、特開平9−286861号公報)。この方法によれば、脱水工程で揮散する硫化水素を回収し、再利用することにより、硫化水素の揮散に伴う諸問題を解決し、溶融粘度の変動が少なく、品質の安定したPASを製造することができる。しかし、この方法でも、揮散した硫化水素が有機アミド溶媒に吸収される量に変動があり、より正確に硫化水素の量を把握する方法が望まれていた。
PASの品質の中でも溶融粘度は、最も重要な品質のひとつである。ジハロ芳香族化合物のアルカリ金属硫化物に対する仕込み比率(以下、「P/S比」と略記する)がPASの溶融粘度に強く影響することが知られているが、有機アミド溶媒中において、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物を、必要に応じてアルカリ金属水酸化物を添加して、加熱して重合させるPASの製造方法において、P/S比を一定に管理するための工業的に採用可能な優れた方法は、未だ提案されていない。
本発明の目的は、所望の溶融粘度を有するポリアリーレンスルフィドを安定して製造することができるポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供することにある。
特に、本発明の目的は、脱水工程を円滑に行うことができると共に、反応系外への揮散等によって損失する硫化水素量を比較的簡単な方法により極めて正確に算出することができ、その算出量に基づいて、仕込み硫黄源と仕込みジハロ芳香族化合物とのモル比を正確に管理し設定することができ、それによって、所望の溶融粘度を有するポリアリーレンスルフィドを安定して製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させる重合工程を含むPASの製造方法において、重合工程の前工程である脱水工程において、蒸留塔を連結した反応槽内で、前記混合物を加熱し、気化した蒸気を蒸留塔に導いて、各成分に蒸留分離し、蒸留塔の底部から取り出される有機アミド溶媒を主成分とする高沸点留分を反応槽内に還流し、他方、蒸留塔の頂部から取り出される水と硫化水素とを含む低沸点留分を冷却して、冷却により凝縮しない硫化水素を排出すると共に、凝縮した水の一部を蒸留塔内に還流し、残りの水を排出する方法により脱水工程を行い、そして、蒸留塔内に還流した水の量と還流せずに排出した水の量との合計水量と反応槽から排出した硫化水素量との間の関係式を予め求めておき、該関係式に基づいて、合計水量の測定値から、反応槽から排出した硫化水素量を算出する方法に想到した。
上記方法により算出した硫化水素量(排出した硫化水素量)に基づいて、脱水工程後の混合物中に残存する硫黄源量(仕込み硫黄源量)を算出し、算出した硫黄源の量に基づいて、硫黄源とジハロ芳香族化合物との仕込みモル比を調整することができる。この方法によれば、排出した硫化水素を捕集して定量分析を行うことなく、正確に硫化水素量を算出することができ、ロット毎の溶融粘度のバラツキが極めて小さなPASを安定して製造することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源(A)、並びに必要に応じて添加したアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱脱水して、混合物中の水分量を調節する脱水工程の後、残存する混合物を含有する系内にジハロ芳香族化合物(B)を仕込み、有機アミド溶媒中で硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)とを重合反応させる重合工程を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法において、
(1)脱水工程において、蒸留塔を連結した反応槽内で、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源(A)、並びに必要に応じて添加したアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱し、気化した蒸気を蒸留塔に導いて、各成分に蒸留分離し、
蒸留塔の底部から取り出される有機アミド溶媒を主成分とする高沸点留分を反応槽内に還流し、
蒸留塔の頂部から取り出される水と硫化水素とを含む低沸点留分を冷却して、冷却により凝縮しない硫化水素を排出すると共に、凝縮した水の一部を蒸留塔内に還流し、残りの水を排出し、
(2)蒸留塔内に還流した水の量と還流せずに排出した水の量との合計水量と排出した硫化水素量との間の関係式を予め求めておき、該関係式に基づいて、合計水量の測定値から排出した硫化水素量を算出し、
(3)算出した硫化水素量に基づいて、脱水工程後の混合物中に残存する硫黄源(A)の量(以下、「仕込み硫黄源量」という)を算出し、算出した硫黄源(A)の量に基づいて、硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)との仕込みモル比を調整し、次いで、
(4)重合工程において、有機アミド溶媒中で、硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)とを重合反応させる
ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法が提供される。
図1は、本発明の製造方法で使用する装置の一例を示す説明図である。
1.硫黄源
本発明では、硫黄源として、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源を使用する。アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。これらのアルカリ金属硫化物は、通常、水和物として市販され、使用される。水和物としては、例えば、硫化ナトリウム9水塩(NaS・9HO)、硫化ナトリウム5水塩(NaS・5HO)等が挙げられる。アルカリ金属硫化物は、水性混合物として使用してもよい。
硫黄源として、アルカリ金属水硫化物をアルカリ金属水酸化物と組み合わせて使用することができる。アルカリ金属水硫化物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属水硫化物は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。これらの中でも、工業的に安価に入手できる点で、水硫化ナトリウム及び水硫化リチウムが好ましい。また、アルカリ金属水硫化物は、水溶液などの水性混合物(すなわち、流動性のある水との混合物)として用いることが処理操作や計量などの観点から好ましい。
アルカリ金属水硫化物の製造工程では、一般に、少量のアルカリ金属硫化物が副生する。本発明で使用するアルカリ金属水硫化物の中には、少量のアルカリ金属硫化物が含有されていてもよい。この場合、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属硫化物との総モル量が、脱水工程後の仕込み硫黄源になる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、工業的に安価に入手できる点で、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物は、水溶液などの水性混合物として用いることが好ましい。
本発明の製造方法において、脱水工程で脱水されるべき水分とは、水和水、水溶液の水媒体、及びアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物との反応などにより副生する水などである。
2.ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物は、芳香環に直接結合した2個のハロゲン原子を有するジハロゲン化芳香族化合物である。
ジハロ芳香族化合物の具体例としては、例えば、o−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、p−ジハロベンゼン、ジハロトルエン、ジハロナフタレン、メトキシ−ジハロベンゼン、ジハロビフェニル、ジハロ安息香酸、ジハロジフェニルエーテル、ジハロジフェニルスルホン、ジハロジフェニルスルホキシド、ジハロジフェニルケトン等が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素の各原子を指し、同一ジハロ芳香族化合物において、2つのハロゲン原子は、同じでも異なっていてもよい。これらのジハロ芳香族化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジハロ芳香族化合物の仕込み量は、脱水工程後に系内に残存する硫黄源(アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物)1モルに対し、通常0.90〜1.50モル、好ましくは0.95〜1.20モル、より好ましくは1.00〜1.09モルである。
3.分子量調節剤、分岐・架橋剤
生成PASに特定構造の末端を形成させ、あるいは重合反応や分子量を調節する等のために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)を併用することができる。分岐または架橋重合体を生成させるために、3個以上のハロゲン原子が結合したポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくてもよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物等を併用することも可能である。分岐・架橋剤としてのポリハロ化合物としては、トリハロベンゼンが好ましい。
4.有機アミド溶媒
本発明では、脱水反応及び重合反応の溶媒として、非プロトン性極性有機溶媒である有機アミド溶媒を用いる。有機アミド溶媒は、高温でアルカリに対して安定なものが好ましい。
有機アミド溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム化合物;N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物等が挙げられる。これらの有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機アミド溶媒の中でも、N−アルキルピロリドン化合物、N−シクロアルキルピロリドン化合物、N−アルキルカプロラクタム化合物、及びN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物が好ましく、特に、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、及び1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。
本発明の重合反応に用いられる有機アミド溶媒の使用量は、硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kgの範囲である。
5.重合助剤:
本発明では、重合反応を促進させ、高重合度のPASを短時間で得るために、必要に応じて各種重合助剤を用いることができる。重合助剤の具体例としては、一般にPASの重合助剤として公知の有機スルホン酸金属塩、ハロゲン化リチウム、有機カルボン酸金属塩、リン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中でも、有機カルボン酸金属塩が安価であるため、特に好ましい。
重合助剤の使用量は、用いる化合物の種類により異なるが、仕込み硫黄源1モルに対し、一般に0.01〜10モルとなる範囲である。
6.脱水工程
脱水工程は、望ましくは不活性ガス雰囲気下、アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物を、必要に応じてアルカリ金属水酸化物の存在下に、有機アミド溶媒中で加熱し、蒸留により水を系外へ排出する方法により実施する。アルカリ金属硫化物は、通常、水和物または水性混合物として使用するため、重合反応に必要量以上の水分を含有している。また、硫黄源としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合は、等モル程度のアルカリ金属水酸化物を添加し、有機アミド溶媒中でin situで反応させる。
脱水工程では、水和水(結晶水)や水媒体、副生水などからなる水分を必要量の範囲内になるまで脱水する。脱水工程では、重合反応系の共存水分量が、硫黄源1モルに対して、通常0.3〜5モル、好ましくは0.5〜2モル程度になるまで脱水する。脱水工程で水分量が少なくなり過ぎた場合は、重合工程の前に水を添加して所望の水分量に調節してもよい。
これらの原料の反応槽への投入は、一般的には、常温から300℃、好ましくは常温から200℃の温度範囲内で行われる。原料の投入順序は、順不同でよく、さらには、脱水操作途中で各原料を追加投入してもかまわない。脱水工程に使用される溶媒としては、有機アミド溶媒を用いる。この溶媒は、重合工程に使用される有機アミド溶媒と同一であることが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。有機アミド溶媒の使用量は、反応槽に投入する硫黄源1モル当たり、通常0.1〜10kg程度である。
脱水操作は、反応槽内へ原料を投入後の混合物を、通常、300℃以下、好ましくは100〜250℃の温度範囲で、通常、15分間から24時間、好ましくは30分間〜10時間、加熱して行われる。加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、あるいは両者を組み合わせた方法がある。脱水工程は、バッチ式、連続式、または両方式の組み合わせ方式などにより行われるが、本発明の製造方法では、バッチ式が好ましい。
脱水工程を行う反応槽は、後続する重合工程に用いられる重合槽(反応缶)と同じであっても、あるいは異なるものであってもよい。また、反応槽の材質は、耐腐食性の材質がよく、特にチタン材が好ましい。脱水工程では、通常、有機アミド溶媒の一部が水と共に反応槽外に排出される。その際、硫化水素は、ガスとして排出(揮散)される。
脱水工程では、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源、並びに必要に応じて添加したアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱して脱水を行う。本発明の製造方法では、蒸留塔を連結した反応槽内で脱水工程を行う。該反応槽内で、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源、並びに必要に応じて添加したアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱し、気化した蒸気を蒸留塔に導いて、各成分に蒸留分離する。蒸留塔の底部から取り出される有機アミド溶媒を主成分とする高沸点留分は、反応槽内に還流する。
他方、蒸留塔の頂部から取り出される水と硫化水素とを含む低沸点留分は、冷却して凝縮させる。冷却により凝縮しない硫化水素は、ガスとして排出(揮散)する。冷却により凝縮した水の一部を蒸留塔内に還流し、残りの水を排出する。残りの水は、貯槽に溜めておいてもよい。その際、蒸留塔内に還流する水は、例えば、流量計に通して、積算量を測定する。蒸留塔内に還流しない残りの水は、排出するが、その積算量も測定する。残りの水の全量を貯槽に溜めておく場合には、脱水工程後に貯槽内に溜まった水量を測定し、積算水量とする。
図1を参照しながら、脱水工程での本発明の方法をより具体的に説明する。図1は、本発明の製造方法で使用する装置の一例を示す説明図である。脱水反応を行う反応槽(例えば、重合槽)1の上部と蒸留塔3をライン2で接続し、蒸留塔3の塔頂からのライン4で冷却器5及び貯槽6に順次接続する。蒸留塔3としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒と水とを効率的に分離することができる高性能の蒸留塔を使用することが望ましい。
蒸留塔3の底部からは、有機アミド溶媒を主成分とする留分が取り出されるが、この留分は、ライン10を通して反応槽1内に還流する。蒸留塔3の塔頂からは、水と硫化水素とを含む留分が取り出される。この留分は、水(水蒸気)を主成分とするが、硫化水素も随伴する。塔頂からの留分は、ライン4を通って冷却器5に導かれ、冷却される。水蒸気が冷却により凝縮して水になり、貯槽6に溜められる。その際、冷却により凝集しない硫化水素は、貯槽に溜まることなく、非凝集性のガス成分としてライン7から排出される。硫化水素を排出することにより、蒸留塔3での蒸留を円滑に実施することができる。排出された硫化水素は、有機アミド溶媒に吸収させるなどの任意の方法により回収することができる。
本発明の方法では、貯槽6に溜められた水の一部を蒸留塔3内に還流させる。その際、還流する水の量を流量計9で積算する。貯槽6内の水の一部を蒸留塔3内に還流することにより、蒸留塔3による有機アミド溶媒と水との分離を円滑かつ効率的に行うことができる。還流する水は、通常、蒸留塔の塔頂もしくは上部に還流することが望ましい。
冷却した水を貯槽6内に溜めることなく、その一部を蒸留塔3内に還流し、残りをライン8で排出してもよい。あるいは、貯槽6の容量が小さい場合には、蒸留塔3に還流しない水の一部を貯槽6内に溜め、残りをライン8より排出してもよい。いずれの場合も、蒸留塔3内に還流する水の量と、還流しないで排出する水の量を測定する。脱水工程後、貯槽6内に溜めた水は、ライン8から排出することができる。なお、本発明において、「排出」とは、反応槽及び蒸留塔内に還流されることなく、前記装置の外に排出することを意味する。
脱水工程において、蒸留塔内に還流した水の量と還流せずに排出した水の量との重量比は、通常、90:10〜10:90、好ましくは80:20〜20:80、より好ましくは30:70〜70:30の範囲内になるように還流条件を設定する。
蒸留塔内に還流する水の量をR、還流しないで排出する水の量をE、その比率をR/Eとしたとき、R/Eが大きいほど、蒸留塔での加熱負荷が増えてエネルギーの損失となり、逆に、R/Eが小さいと、蒸留塔内での有機アミド溶媒と水との分離が不良となり、有機アミド溶媒の一部が水と共に蒸留塔の塔頂から留出し、排出されることになり、有機アミド溶媒の損失等の問題が生じる。
7.揮散硫化水素量の算出
本発明では、脱水工程において、蒸留塔内に還流した水の量を流量計で測定し、還流せずに排出した水の量(通常は、貯槽に溜まった水の量)とを合計する。他方、蒸留塔内に還流した水量と還流せずに排出した水量との合計水量と排出した硫化水素量(「揮散硫化水素量」ともいう)との間の関係式を予め求めておき、該関係式に基づいて、合計水量の測定値から排出した硫化水素量を算出する。
このような関係式は、脱水工程での合計水量と揮散硫化水素量との間の関係について実際に測定した膨大な実験データをデータベースとして用い、回帰分析することにより作成することができる。データベースを回帰分析すると、線形モデルや非線形モデル(両対数モデルや片対数モデル)の関係式を作成することができるが、蒸留塔内に還流した水量と還流せずに排出した水量との合計水量と排出した硫化水素量との間の関係は、例えば、下記の関係式(I)
y=ax+b (I)
(式中、xは、脱水工程で蒸留塔内に還流した水の量と還流せずに排出した水の量との合計水量(焚き上げ水量)であり、yは、反応槽から排出した硫化水素量であり、a及びbは、いずれもパラメータである。)
で表わされる線形モデルによって、正確に把握することができる。関係式(I)において、a及びbは、装置及び運転条件によって変動するパラメータである。a及びbは、実験データを回帰分析することにより求めることができる。
関係式(I)に合計水量の測定値(x)を代入すると、反応槽から排出した硫化水素の量(y)を算出することができる。脱水工程で排出した硫化水素の量が分かれば、その量と最初に反応槽内に投入した硫黄源の量とから、反応槽内に残留する硫黄源の量を算出することができる。
そこで、本発明では、算出した硫化水素量に基づいて、脱水工程後の混合物中に残存する硫黄源の量(実際の「仕込み硫黄源量」である)を算出し、算出した硫黄源(A)の量に基づいて、硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)との仕込みモル比を調整する。硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)との仕込みモル比は、硫黄源(アルカリ金属硫化物及び/またはアルカリ金属水硫化物)1モルに対し、通常0.90〜1.50モル、好ましくは0.95〜1.20モル、より好ましくは1.00〜1.09モルである。重合工程でのロット毎の溶融粘度のバラツキが小さなPASを得るには、硫黄源1モルに対するジハロ芳香族化合物の仕込みモル量を1.00〜1.09の範囲内で一定に調整することが望ましい。
8.重合工程
重合工程は、脱水工程終了後の混合物にジハロ芳香族化合物を仕込み、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物を加熱することにより行われる。脱水工程で用いた反応槽とは異なる重合槽を使用する場合には、重合槽に脱水工程後の混合物とジハロ芳香族化合物を投入する。脱水工程後、重合工程前には、必要に応じて、有機アミド溶媒量や共存水分量などの調整を行ってもよい。また、重合工程前または重合工程中に、重合助剤その他の添加物を混合してもよい。
脱水工程終了後に得られた混合物とジハロ芳香族化合物との混合は、通常、100〜350℃、好ましくは120〜330℃の温度範囲内で行われる。重合槽に各成分を投入する場合、投入順序は、特に制限なく、両成分を部分的に少量ずつ、あるいは一時に投入することにより行われる。
重合反応は、一般的に100〜350℃、好ましくは、120〜330℃、より好ましくは170〜290℃で行われる。当該反応の加熱方法は、一定温度を保持する方法、段階的または連続的な昇温方法、あるいは両方法の組み合わせが用いられる。重合反応時間は、一般に10分間〜72時間の範囲であり、望ましくは30分間〜48時間である。当該工程に使用される有機アミド溶媒は、重合工程中に存在する仕込み硫黄源1モル当たり、通常、0.1〜10kg、好ましくは0.15〜1kgである。この範囲であれば、重合反応途中でその量を変化させてもかまわない。
重合反応開始時の共存水分量は、仕込み硫黄源1モルに対して、通常、0.3〜5モルの範囲とすることが好ましい。ただし、低分子量ポリマーやオリゴマーを得たい場合、あるいは特別の重合方法を採用する場合などには、共存水分量をこの範囲外としてもよい。例えば、共存水分量を、アルカリ金属硫化物等の硫黄源1モル当たり、0.1〜15モル、好ましくは0.5〜10モルの範囲内にすることができる。また、重合反応の途中で共存水分量を増加させたり、逆に、蒸留により減少させてもかまわない。
重合反応の途中で共存水分量を増加させる重合方法としては、例えば、仕込み硫黄源1モル当たり、0.5〜2.4モル、好ましくは0.5〜2.0モルの水が存在する状態で、170〜270℃、好ましくは180〜235℃の温度で反応を行って、ジハロ芳香族化合物の転化率を50〜98モル%とし、次いで、仕込み硫黄源1モル当たり、2.0モルを超え10モル以下、好ましくは2.5〜7.0モルの水が存在する状態となるように水を添加すると共に、245〜290℃の温度に昇温して反応を継続する方法がある。
特に好ましい重合方法としては、重合工程において、
(1)有機アミド溶媒と硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)とを含有する反応混合物を、仕込み硫黄源(A)1モルに対して0.5〜2.0モルの水の存在下に、170〜270℃に加熱して重合反応を行い、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98%でプレポリマーを生成させる工程1、及び
(2)仕込み硫黄源(A)1モル当たり2.0モル超過、10モル以下の水が存在する状態となるように反応系内の水量を調整すると共に、245〜290℃に加熱して、重合反応を継続する工程2
を含む少なくとも2段階の重合工程により重合反応を行う方法が挙げられる。
上記工程1において、温度310℃、剪断速度1,216sec−1で測定した溶融粘度が0.5〜30Pa・sのプレポリマーを生成させることが望ましい。工程2では、工程1で生成したプレポリマーの溶融粘度よりも大きな溶融粘度のポリマーが生成するように、重合反応を継続する。
生成ポリマー中の副生食塩や不純物の含有量を低下させたり、ポリマーを粒状で回収する目的で、重合反応後期あるいは終了時に水を添加し、水分を増加させてもかまわない。本発明の重合工程には、その他公知の重合方法の多く、あるいはその変形方法を適用することができ、特に、特定の重合方法に限定されない。重合反応方式は、バッチ式、連続式、あるいは両方式の組み合わせでもよい。バッチ式重合では、重合サイクル時間を短縮する目的のために、2つ以上の反応槽を用いる方式を用いてもかまわない。
本発明の製造方法において、重合反応後の後処理は、常法によって行うことができる。例えば、重合反応の終了後、冷却した生成物スラリーをそのまま、あるいは水などで希釈してから、濾別し、水洗・濾過を繰り返して乾燥することにより、PASを回収することができる。生成物スラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。上記濾別・篩分後、PASを重合溶媒と同じ有機アミド溶媒やケトン類(例えば、アセトン)、アルコール類(例えば、メタノール)等の有機溶媒、高温水などで洗浄してもよい。生成PASを、酸や塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
本発明のPASの溶融粘度(温度310℃、剪断速度1,216sec−1で測定)は、特に限定されないが、好ましくは30〜800Pa・s、より好ましくは40〜500Pa・sの範囲内である。2段階で重合反応を行う場合には、後段工程(工程2)では、前段工程(工程1)で生成したプレポリマーの溶融粘度を超過する溶融粘度を有するPASが得られる。
本発明の製造方法により得られるPASは、そのままあるいは酸化架橋させた後、単独で、もしくは所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂を配合し、種々の射出成形品やシート、フィルム、繊維、パイプ等の押出成形品に成形することができる。本発明の方法により得られるPASは、溶融粘度のロット間バラつきが少ないために、これらの加工を安定的に行うことができ、得られる成形品も諸特性のバラつきの少ない高品質のものが得られる。PASとしては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性の測定法は、次のとおりである。
(1)溶融粘度:
乾燥ポリマー20gを試料として用い、東洋精機製キャピログラフ1−Cにより溶融粘度を測定した。この際、キャピラリーとして、1mmφ×10mmLのフラットダイを使用し、設定温度は、310℃とした。試料を測定炉に導入し、5分間保持した後、剪断速度1,216sec−1で溶融粘度を測定した。
1.脱水工程
図1に示す設備を用いて、重合工程の前工程として脱水反応を行った。反応槽1にN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と略記)1,275kgを投入し、150℃に加熱した後、濃度64重量%の水硫化ナトリウム302kg(NaSH換算で3.45kmol)及び濃度75重量%の水酸化ナトリウム179kg(NaOH換算で3.36kmol)を加え、反応槽内の温度が192℃に達するまで加熱して、脱水反応を行った。
脱水反応後、貯槽6内に120kgの水が抜き出されていた。脱水反応中に蒸留塔3に還流された水量は、流量計9により130kgと積算されており、貯槽6内に溜まった120kgの水量と合わせて、蒸留塔3を通過した合計水量(以下、「焚き上げ水量」という)は、250kgと算出された。
多数の脱水反応を繰り返して得られたデータベースから、蒸留による脱水工程時において、反応系外に揮散して損失する硫化水素量y(kg)と蒸留時の焚き上げ水量x(kg)との間には、下記関係式(I)
y=ax+b (I)
で表わされる直線関係(a及びbは、それぞれパラメータである)のあることが判明している。a及びbは、装置及び運転条件によって変動するパラメータであるが、前記の実験条件においては、a=0.0119、b=−0.783であった。
この関係式(I)から、焚き上げ水量が250kgの場合、揮散した硫化水素量は2.2kg(0.06kmol)と算出され、この値を用いて反応槽内に残存する硫黄源の量を算出したところ、3.38kmolとなった。
また、図1のライン7に10%NaOH水溶液のトラップを設置し、トラップ及び貯槽6内の硫化水素量をヨードメトリー分析で定量し、損失S分量を測定したところ、0.06kmolに相当する値が得られ、本発明の方法により算出された値に一致した。
2.重合工程
この反応槽にp−ジクロロベンゼン(以下、「pDCB」と略記)503kg(3.42kmol)を加えて、モノマー比であるpDCB/硫黄源のモル比を1.012に調整した。その後、反応槽内の混合物を220℃まで昇温して5時間反応させた。その後、水69kgを反応槽内に加え、反応混合物を260℃まで昇温し、5時間反応させた。
反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却し、そして、反応混合物を目開き150μm(100メッシュ)のスクリーンを通して、生成した粒状ポリマーを篩分した。粒状ポリマーをアセトンで2回洗浄し、さらに3回水洗を行って、洗浄ポリマーを得た。この洗浄ポリマーを濃度0.6重量%の酢酸水溶液中に浸漬して酸処理を行った。この後、粒状ポリマーを2回水洗した。粒状ポリマーを乾燥したところ、溶融粘度が140Pa・sのポリフェニレンスルフィドが得られた。結果を表1に示す。
実施例2〜10
蒸留塔における還流比を変更したり、反応槽の加熱量を変更したりして、焚き上げ水量を250〜350kgの範囲内で変動させたこと以外は、実施例1と同じ装置と条件で脱水工程を行った。脱水工程後、各焚き上げ水量を関係式(I)に代入して、揮散した硫化水素量を算出し、その値に基づいて反応槽内に残存する硫黄源の量を算出した。算出した硫黄源量に基づいて、反応槽に実施例1と同じモノマー仕込み比となるようにpDCBを加え、重合反応及び後処理を行った。実施例2〜10は、焚き上げ水量を300kg前後の量に設定した場合における本発明の方法の有効性を確認するための実験である。実施例1を含めた合計10回の実験の結果、得られたPPSの溶融粘度は、最小値が124Pa・sで、最大値が155Pa・sであり、平均値が138Pa・s(標準偏差9.7)であった。結果を表1に示す。
焚き上げ水量を500kgとした以外は、実施例1と同じ装置と条件で脱水工程を行った。一般式(I)から、焚き上げ水量が500kgの場合、揮散硫化水素量は5.2kg(0.15kmol)と算出され、この値から反応槽内に残存する硫黄源の量は3.30kmolと算出された。この反応槽に、実施例1と同じモノマー仕込み比となるように、490kg(3.34kmol)のpDCBを加え、重合反応及び後処理を行った。その結果、溶融粘度が139Pa・sのPPSが得られた。
焚き上げ水量を600kgとした以外は、実施例1と同じ装置と条件で脱水工程を行った。一般式(I)から、焚き上げ水量が600kgの場合、揮散硫化水素量は6.4kg(0.19kmol)と算出され、この値から反応槽内に残存する硫黄源の量は3.26kmolと算出された。この反応槽に実施例1と同じモノマー仕込み比となるように、485kg(3.30kmol)のpDCBを加え、重合反応及び後処理を行った。その結果、溶融粘度が142Pa・sのPPSが得られた。結果を表1に示す。
Figure 0004241621
[比較例1〜10]
脱水工程における焚き上げ水量から損失硫黄分(以下、「損失S分」と略記)を算出した実施例に対して、比較例1〜10では、焚き上げ水量を調査せず、実施例1で算出し損失S分量に基づいて、pDCB仕込み量を決定し、重合反応を行った。すなわち、実施例1〜10と同じ設備を用いて、脱水反応、重合反応及び後処理を行った。
反応槽にNMP1,275kgを投入し、150℃に加熱後、濃度64重量%水硫化ナトリウム302kg(NaSH換算で3.45kmol)、濃度75重量%水酸化ナトリウム179kg(3.36kmol)を仕込み、反応槽内の温度が192℃に達するまで加熱して脱水反応を行った。脱水工程で揮散した硫化水素量は、実施例1で算出したのと同じ2.2kg(0.06kmol)であると仮定して、この値を用いて反応缶内に残存する硫黄源の量を3.38kmolと算出した。算出した硫黄源量に基づいて、反応槽内にpDCB503kg(3.42kmol)を仕込み、モノマー比であるpDCB/硫黄源のモル比を1.012に調整した。
反応槽内の混合物を220℃まで昇温して5時間反応させ、次いで、水69kgを反応槽内に加えて、260℃まで昇温し、5時間反応させた。反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却し、そして、反応混合物を目開き150μm(100メッシュ)のスクリーンを通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗を2回、さらに水洗を3回行い、洗浄ポリマーを得た。洗浄ポリマーを濃度0.6重量%酢酸水溶液に浸漬して、さらに2回水洗した後、乾燥した。
合計10回の実験(比較例1〜10)により、得られた各ポリマーの溶融粘度は、最小値が75Pa・sで、最大値が151Pa・sであり、平均値が105Pa・s(標準偏差22.6)であり、溶融粘度のばらつきが極めて大きくなった。結果を表2に示す。
[比較例11]
本発明である脱水工程における焚き上げ水量から損失S分の算出を行わず、図1のライン7に10%NaOH水溶液のトラップを設置し、トラップ及び貯槽6中の硫化水素量をヨードメトリー分析で定量し、損失S分量を決定した。
反応槽にNMP1,275kgを投入し、150℃に加熱後、濃度64重量%水硫化ナトリウム302kg(NaSH換算で3.45kmol)及び濃度75重量%水酸化ナトリウム179kg(3.36kmol)を加え、反応槽内の温度が192℃に達するまで加熱して脱水反応を行った。脱水反応後、捕集液のヨードメトリー分析を行ったところ、揮散した硫化水素量は、0.10kmolと定量された。この値から反応槽内に残存する硫黄源の量は3.35kmolと算出された。この硫黄源量に基づいて、反応槽内にpDCB498kg(3.39kmol)を加えて、モノマー比であるpDCB/硫黄源のモル比を1.012に調製した。
反応槽内の混合物を220℃まで昇温して1時間反応させ、その後、230℃まで30分間かけて昇温し、さらに1.5時間反応させた。その後、水69kgを反応槽内に加えて、260℃まで昇温し、5時間反応させた。反応終了後、反応混合物を室温付近まで冷却し、そして、反応混合物を目開き150μm(100メッシュ)のスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗を2回、さらに水洗を3回行い、洗浄ポリマーを得た。この洗浄ポリマーを濃度0.6重量%酢酸水溶液に浸漬して、さらに2回水洗した後、乾燥した。得られたPPSの溶融粘度は、142Pa・sであった。結果を表2に示す。
Figure 0004241621
本発明によれば、有機アミド溶媒中で硫黄源とジハロ芳香族化合物とを重合反応させる重合工程を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法において、前工程の脱水工程を円滑に行うことができると共に、反応系外に揮散して損失する硫化水素量と蒸留時の焚き上げ水量との間の関係式に基づいて、仕込み硫黄源と仕込みジハロ芳香族化合物とのモル比を正確に設定することができ、それによって、所望の溶融粘度を有するポリアリーレンスルフィドを安定して製造することができる。

Claims (9)

  1. 有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源(A)、並びに必要に応じて添加したアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱脱水して、混合物中の水分量を調節する脱水工程の後、残存する混合物を含有する系内にジハロ芳香族化合物(B)を仕込み、有機アミド溶媒中で硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)とを重合反応させる重合工程を含むポリアリーレンスルフィドの製造方法において、
    (1)脱水工程において、蒸留塔を連結した反応槽内で、有機アミド溶媒、アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の硫黄源(A)、並びに必要に応じて添加したアルカリ金属水酸化物を含む混合物を加熱し、気化した蒸気を蒸留塔に導いて、各成分に蒸留分離し、
    蒸留塔の底部から取り出される有機アミド溶媒を主成分とする留分を反応槽内に還流し、
    蒸留塔の頂部から取り出される水と硫化水素とを含む留分を冷却して、冷却により凝縮しない硫化水素を排出すると共に、凝縮した水の一部を蒸留塔内に還流し、残りの水を排出し、
    (2)蒸留塔内に還流した水の量と還流せずに排出した水の量との合計水量と反応槽から排出した硫化水素量との間の関係式を予め求めておき、該関係式に基づいて、合計水量の測定値から、反応槽から排出した硫化水素量を算出し、
    (3)算出した硫化水素量に基づいて、脱水工程後の混合物中に残存する硫黄源(A)の量(以下、「仕込み硫黄源量」という)を算出し、算出した硫黄源(A)の量に基づいて、硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)との仕込みモル比を調整し、次いで、
    (4)重合工程において、有機アミド溶媒中で、硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)とを重合反応させる
    ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  2. 前記関係式が、下記の関係式(I)
    y=ax+b (I)
    (式中、xは、脱水工程で蒸留塔内に還流した水の量と還流せずに排出した水の量との合計水量であり、yは、反応槽から排出した硫化水素量であり、a及びbは、いずれもパラメータである。)
    で表わされる線形の関係式である請求項1記載の製造方法。
  3. 脱水工程において、前記混合物を100〜250℃の温度に加熱する請求項1記載の製造方法。
  4. 脱水工程において、蒸留塔内に還流した水量と還流せずに排出した水量との重量比が90:10〜10:90の範囲内になるように還流条件を設定する請求項1記載の製造方法。
  5. 脱水工程において、仕込み硫黄源(A)1モルに対する共存水分量が0.3〜5モルの範囲内となるように加熱脱水を行う請求項1記載の製造方法。
  6. 脱水工程において、反応槽の上部と蒸留塔とを接続し、蒸留塔の塔頂からの留分を冷却器及び貯槽に順次送り、蒸留塔の底部からの留分を反応槽内に還流し、貯槽に溜まった水の一部を蒸留塔内に還流させ、その際、還流する水の量を流量計で積算するように構成した装置を用いて加熱脱水を行う請求項1記載の製造方法。
  7. 脱水工程後、仕込み硫黄源(A)1モルに対するジハロ芳香族化合物(B)の仕込み量を1.00〜1.09モルの範囲内に調整する請求項1記載の製造方法。
  8. 重合工程において、
    (I)有機アミド溶媒と硫黄源(A)とジハロ芳香族化合物(B)とを含有する反応混合物を、仕込み硫黄源(A)1モルに対して0.5〜2.0モルの水の存在下に、170〜270℃に加熱して重合反応を行い、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98%でプレポリマーを生成させる工程1、及び
    (II)仕込み硫黄源(A)1モル当たり2.0モル超過、10モル以下の水が存在する状態となるように反応系内の水量を調整すると共に、245〜290℃に加熱して、重合反応を継続する工程2
    を含む少なくとも2段階の重合工程により重合反応を行う請求項1記載の製造方法。
  9. 工程1において、温度310℃、剪断速度1,216sec−1で測定した溶融粘度が0.5〜30Pa・sのプレポリマーを生成させる請求項8記載の製造方法。
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