JP3603359B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、溶融結晶化温度が高くて、溶融時における溶融粘度安定性、白色度に優れ、またポリマー中のナトリウム含有量、溶融時における発生ガス量が少ない等の諸物性に優れるポリアリ−レンスルフィド(以下、PASと略す)の製造法、更にはこれらの諸物性のバランスがよいうえ、製造する際のこれらポリマー物性の再現性が良好なPASの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂であるPASは、主に射出成形用途に使用される、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に非常に優れるエンジニアリングプラスチックである。しかしながら、従来の市販のPAS樹脂は低分子量であるために、溶融粘度が不足しており、エクストウル−ダ−によるペレット化の際に安定した運転が不可能であったり、射出成形の際にはバリが多く発生したり、その成形物の機械的強度も多くの場合不十分であることが問題であった。この問題点は、酸素の存在下、およそ220℃〜融点以下の温度でPASを適度な時間熱処理することにより解決されるが、架橋、分岐構造をとることによる成形加工物の靱性不足、着色、また過度な熱処理による溶融結晶化温度の低下等の新たな問題点を生じてくることがあり、万全な解決策とはいえないものであった。
【0003】
PASが製品化されるまでには、製造から精製にいたるまで多くのプロセスを経るが、その一つである前述の熱処理は、低沸点物が低減化されることによる溶融時のガス発生を抑える効果が大きく、そのためペレット化や射出成形加工の際の作業性を大幅に向上させるという利点があることを特徴としている。しかしながら、多種類に及ぶPASの不純物成分として前述の熱処理で除去することが出来ないものとして、ナトリウムイオンが挙げられる。ナトリウムイオンを多量に(1000ppm以上になると顕著である)含有するPAS樹脂は、電気特性や耐湿寸法安定性に劣り、それ故特に電気、電子分野でのPAS樹脂の使用に支障をきたしている。このナトリウムイオンの存在形態は、スルフィド化剤として硫化ソ−ダあるいは水硫化ソ−ダ等を用いた場合、PAS分子鎖成長末端、未反応のスルフィド化剤、副生塩化ナトリウムに由来するもの等種々考えられるが、いずれのものも前述の熱処理によって除去不可能なものである。
【0004】
このナトリウムイオンを除去する手段として、反応に用いた溶媒で粗精製PASを洗浄する方法、叉は他の有機溶媒で洗浄する方法等があり、この方法によるとナトリウムイオン含量を大幅に減少させる効果がある。しかしながら製造コストのアップ、洗浄後の有機溶媒の回収処理の問題、また洗浄したPAS中の残存する有機溶媒が射出成形時に再ガス化する問題等のマイナス点も多い。
【0005】
その他の除去手段として特開昭62−223232号公報には、重合反応終了後の極性有機溶媒を含んだポリフェニレンスルファイド(PPS)のスラリーに無機酸または有機酸を加えpH6以下で攪拌洗浄し、ろ過、水洗、乾燥する精製方法が記載されている。かかる方法によれば確かにナトリウムイオン含量を大幅に減少させることはできる。しかし、酸処理のみを施したPASでは溶融時における発生ガス量が著しく増加し、また白色度、溶融粘度安定性等の物性もかなり劣っていた。さらに、乾燥工程の前工程に於いてPASを含む系が酸性の場合、乾燥後に於いてもPASに酸がどうしても残留するため、このPASを押し出し機、成形機等でペレット化、成形加工する場合、溶融したPASが接触する機械の金属部分を腐食させるおそれがある。
【0006】
一方特開昭63−63721号公報記載の方法は溶融ポリマーが結晶化する際に微球晶性を示すPASを得ることを目的としてはいるが、重合によって生成させたPASを反応液から分離した後、この分離ポリマーをpH値2未満の強酸溶液中で0〜150℃、5〜150分間処理すること、この酸処理後のPASに付着残留する強酸溶液を除去のために弱塩基(アンモニア)で中和、水洗して取り出すと色調が優れたPASが得られるとの開示がある。しかしながら、重合反応系より一旦分離したPASポリマーを用い、これを強酸溶液処理、塩基による中和処理と水系における処理のみを施す前記方法では、ナトリウムイオン含量が低減できず、また溶融結晶化温度も低くかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶融結晶化温度、純度(含有ナトリウムに関して)が高くまた溶融時にける溶融粘度安定性、白色度が良好であり、また溶融時における発生ガス量も少ないポリアリ−レンスルフィド(以下、PASと略す)を従来方法より一層簡便な手段で得ることにある。また、さらなる本発明の目的は、これらの諸物性のバランスがよいうえ、製造する際のこれらポリマー物性の再現性に優れるPASの製造法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討していたところ、反応系より分離したPASポリマーを水系中で強酸による処理、アルカリによる中和処理を行う従来の方法では、水でスラリ−化した際、水は水との親和性が低いPAS粒子の表面のみで接しているに過ぎず、このためここに酸あるいはアルカリを添加しても、水と接触したPAS粒子の表面にのみ作用するだけ損であると考察し、あえて前段階である反応系で酸性下の攪拌処理、ついでアルカリ性下の攪拌処理を施したところ、反応系の有機極性溶媒中ではPAS粒子内部にまで有機極性溶媒が浸透し易い状態にあるためここで酸処理、アルカリ処理を施すとPAS粒子の表面のみならず内部まで充分浸透親和させることができ、むしろ水系スラリー中よりも均一でかつ高効率な処理が行えること見い出した。
【0009】
さらにまた本発明者らは、生成ポリマーおよび有機極性溶媒を含む反応系において酸添加による攪拌処理(1)、ついでアルカリ添加による攪拌処理(2)をした後、分離された処理ポリマーを再び水に分散させた水性スラリー(A)に酸添加による攪拌処理(3)を施し、該スラリーよりポリマーを分離後、再度水に分散させた水性スラリー(B)に対してアルカリ添加による攪拌処理(4)行った後分離されたPASポリマーは、諸物性のバランスがよく、また製造時におけるこれらポリマー物性の再現性が優れることを見い出した。
【0010】
即ち本発明は、ポリハロゲン化芳香族化合物及びスルフィド化剤を有機極性溶媒中で重合し、該重合反応が終了した後の生成したポリアリーレンスルフィドポリマーを含む反応系に有機酸または無機酸を添加して攪拌処理(1)を行い、しかる後、前記反応系に更に無機アルカリを添加して攪拌処理(2)を行い、次いで処理ポリマ−を反応溶媒から分離することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法にかかわる。
【0011】
さらにまた本発明は、前記した方法により分離されたポリアリ−レンスルフィドを水に分散させた水性スラリー(A)に有機酸または無機酸を添加して攪拌処理(3)を行ってからポリマーを分離し、このポリマーを再び水に分散させた水性スラリー(B)に無機アルカリを添加して攪拌処理(4)を行い、次いでポリマーを分離することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法にかかわる。
【0012】
本発明で用いるポリハロゲン化芳香族化合物は、p−ジクロルベンゼン、m−ジクロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ジブロムベンゼン等のジハロベンゼンであり、これに併用出来る共重合成分としては、芳香核に直接結合した2個以上のハロゲン原子を有するハロゲン化芳香族化合物、例えば、トリクロルベンゼンテトラクロルベンゼン、ジクロルナフタレン、トリクロルナフタレン、トリブロムベンゼン、ジブロムナフタレン、ジヨ−ドベンゼン、トリヨ−ドベンゼン、ジクロルジフェニルスルホン、ジブロムジフェニルスルホン、ジクロルベンゾフェノン、ジブロムベンゾフェノン、ジクロルジフェニルエ−テル、ジブロムジフェニルエ−テル、ジクロルジフェニルスルフィド、ジブロムジフェニルスルフィド、ジクロルビフェニル、ジブロムビフェニル等及びこれらの混合物が挙げられる。尚、分岐構造によるポリマ−の粘度増大を図るために、一分子中に3個以上のハロゲン置換基を持つポリハロ芳香族化合物を少量ジハロ芳香族化合物と併用させても良い。
【0013】
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、硫化アルカリ金属化合物の単独、該化合物あるいは他の硫黄源と水酸化アルカリ金属の併用等が挙げられる。
硫化アルカリ金属化合物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの混合物が含まれる。かかる硫化アルカリ金属化合物は、水和物及び/叉は水性混合物として、あるいは無水の形として用いることができる。尚、硫化アルカリ金属中に微量存在する重硫化アルカリ金属、チオ硫酸アルカリ金属と反応させるために、少量の水酸化アルカリ金属を加えても問題ない。尚、硫化アルカリ金属化合物としては、1〜2水塩の硫化ナトリウムが好ましい。
【0014】
他の硫黄源としては、例えば水硫化アルカリ金属化合物、硫化水素、チオアミド、チオ尿素、チオカルバネ−ト、チオカルボン酸、二硫化炭素、チオカルボキシレ−ト、硫黄、五硫化燐等である。好ましい硫黄源としては、水硫化アルカリ金属化合物である。特に水硫化アルカリ金属化合物としては、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム、及びこれらの混合物が含まれる。かかる水硫化アルカリ金属化合物は、水和物及び/叉は水性混合物あるいは無水の形で用いることができる。かかる水硫化アルカリ金属化合物としては水硫化ナトリウムが好ましく、水酸化アルカリ金属化合物と併用して用いられるが、該化合物の代わりにN−メチルー4ーアミノ酪酸ナトリウム叉は炭酸アルカリ金属化合物を併用しても良い。
【0015】
又、水酸化アルカリ金属化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、及びこれらの混合物が挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0016】
尚、硫黄源と水酸化アルカリ金属化合物との割合は、硫黄元素1モルに対して水酸化アルカリ金属化合物0.8〜3.0モルが適当である。特に水酸化アルカリ金属化合物と併用する場合、その使用量は水硫化アルカリ金属化合物1.00モルに対し0.9〜1.2モルの範囲が適当である。炭酸アルカリ金属化合物を併用する場合には、水酸化アルカリ金属化合物の使用割合の1/2程度が適当である。又、N−メチルー4ーアミノ酪酸ナトリウムを併用する場合のその使用量は、アルカリ金属の水硫化物1.00モルに対し0.9〜1.2モルの範囲が適当である。
【0017】
上記硫化アルカリ金属化合物叉は水硫化アルカリ金属化合物の各水和物を使用する場合には予め溶媒中で脱水せしめた後に反応に用いる必要がある。尚、水硫化アルカリ金属化合物の脱水の際には水酸化アルカリ金属化合物叉はN−メチルー4ーアミノ酪酸ナトリウムを共存せしめた方が良い。
【0018】
本発明で用いられるスルフィド化剤の使用量はポリハロゲン化芳香族化合物1モルに対し硫黄元素が0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モルとなるように選択される。
【0019】
本発明において使用される極性有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルー2ーピロリドン、N−エチルー2ーピロリドン、N−メチルーεーカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド等あるいはこれらの混合物より選択される。これらの溶媒の内ではN−メチルー2ーピロリドンが好ましい。有機極性溶媒の使用量はポリハロゲン化芳香族化合物に対するモル比で2.5ないし20の範囲で、好ましくは3ないし10の範囲である。
【0020】
ポリハロゲン化芳香族化合物及びスルフィド化剤を有機極性溶媒中で重合が行われる際の反応温度は、一般に200℃〜300℃、好ましくは210℃〜300℃である。圧力は重合溶媒及び重合モノマ−であるポリハロ芳香族化合物を実質的に液相に保持するような温度範囲であるべきであり、一般に1.1Kg/cm2〜200Kg/cm2、好ましくは1.1Kg/cm2〜20Kg/cm2の範囲より選択される。反応時間は温度及び圧力により異なるが、一般に10分ないし約72時間の範囲であり、好ましくは1時間ないし48時間である。
【0021】
PASはポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤及び重合助剤を混合し、好ましくは不活性雰囲気下で加熱することにより製造されうる。各成分の混合の順序には特に制限はなく、重合工程に際して上記成分を部分的に少量づつあるいは一時に添加することにより行われる。
【0022】
本発明方法においては、まず前記した重合反応が終了した後の生成したポリアリーレンスルフィドポリマーを含む反応系に有機酸または無機酸を添加して攪拌処理(1)を行い、しかる後、前記反応系に無機アルカリを添加し更に攪拌処理(2)を行い、次いで生成ポリマ−を反応溶媒から分離する。
【0023】
この攪拌処理(1)において用いる有機酸または無機酸とは、有機酸叉は無機酸のプロトン供与体を意味する。例えば、有機酸としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、2ーメチルプロピオン酸、アミノプロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタミン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロドデカンカルボン酸、安息香酸等のカルボン酸類、ナフタリンーαースルホン酸、ナフタリンーβースルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸類等が、無機酸としては、塩酸、硫酸、燐酸が挙げられる。これらの酸の中に於いては、化学的な安定性、汎用性、経済性の観点から特に塩酸、硫酸が好ましい。
【0024】
又、攪拌処理(2)を行う際に用いる無機アルカリとは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物の溶液、水酸化ベリリウム、、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物の溶液が挙げられる。これらの無機アルカリの中では、化学的な安定性、汎用性、経済性の観点から特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0025】
PASの重合反応終了後に攪拌を行いながら有機酸または無機酸を添加する攪拌処理(1)では、その添加量は有機極性溶媒スラリ−のpHを7未満とするに充分な量だけ任意に添加する。好ましくはpH5未満とする量を用いる。酸は市販の高濃度品でも支障はないが、取扱い時の安全性、pHコントロ−ルのし易さの観点から、水溶液としたものが最も好ましい。
【0026】
酸性下の攪拌処理(1)における処理温度は、70℃〜200℃、好ましくは70℃〜130℃、更に好ましくは70℃〜90℃の範囲が推奨温度である。処理時間は、5分〜120分、好ましくは20〜60分の範囲である。
【0027】
この攪拌処理(1)を行なった後の酸性を示すPASの有機極性溶媒スラリ−に攪拌しながら無機アルカリを添加して攪拌処理(2)を行う。無機アルカリの添加量は有機極性溶媒を含む反応系スラリ−のpHをアルカリ性とする量、好ましくはpH10以上とするに充分な量だけ添加する。用いるアルカリは市販の高濃度品でも支障はないが、取扱い時の安全性、pHコントロ−ルのし易さの観点から、水溶液としたものが最も好ましい。
【0028】
アルカリ性下の攪拌処理(2)における処理温度は、70℃〜200℃好ましくは70℃〜150℃、更に好ましくは70℃〜130℃の範囲が推奨温度である。処理時間は、5分〜120分好ましくは20分〜60分の範囲である。このアルカリ処理は溶融結晶化温度の向上、溶融時の粘度安定性、色調(特に白色度)の変化をきたさない意味に於いて非常に重要である。又、乾燥工程の前工程に於いてPASを含む系が酸性の場合、乾燥後に於いてもPASに酸がどうしても残留するため、このPASを押し出し機、成形機等でペレット化、成形加工する場合、溶融したPASが接触する金属部分を腐食させるおそれがあるため、前述のアルカリ処理はPASの物性の安定化のみではなく、機器の耐久性に関する観点でも重要となる。後述するPAS水性スラリ−をアルカリ処理する場合も機器の耐久性に関する観点では同様な利点となる。
【0029】
尚、反応終了後のPASスラリ−は、反応に用いた有機極性溶媒中では100℃以下においても、有機極性溶媒が比較的多量な場合、攪拌によって充分な均一性を示す液状を呈する。添加した酸若しくはアルカリを反応系内に存在するPASに充分均一に作用させるためには、有機極性溶媒の使用量は前記したように通常ポリハロゲン化芳香族化合物に対するモル比で2.5ないし20の範囲内であって且つ酸及びアルカリ処理を行う温度に於いて、PASスラリ−が液状を呈するのに必要な最低限の量を用いるとよい。
【0030】
重合反応によって生成したポリマーと有機極性溶媒を含む反応系中での酸処理及びアルカリ処理を行う前記方法に引き続いて、該反応系からPASを分離した後、これを水に分散させた水性スラリー(A)に有機酸または無機酸を添加して攪拌処理(3)を行ってからポリマーを分離し、このポリマーを再び水に分散させた水性スラリー(B)に無機アルカリを添加して攪拌処理(4)を行い、次いでポリマーを分離する、いわゆる反応系における酸処理(1)−アルカリ処理(2)、水系における酸処理(3)、水系におけるアルカリ処理(4)をおこなった後分離したPASでは、前記した諸物性のバランスがよく、また製造時におけるこれらポリマー物性の再現性が優れる。
【0031】
後段の水性スラリ−中における攪拌処理の際に用いられる酸や無機アルカリは前記した反応系における処理と同様、水溶液としたものが取扱い時の安全性、pHコントロ−ルのし易さの観点から最も好ましい。
【0032】
水性スラリー中に酸を添加し攪拌する(攪拌処理(3))条件としては、pH7未満の酸性下がよい。また無機アルカリを添加し、攪拌する(攪拌処理(4))条件としては、pH7以上の中性またはアルカリ性下がよい。
【0033】
攪拌処理(3)、攪拌処理(4)における処理温度は、いずれも30℃〜90℃好ましくは60℃〜80℃の範囲が好適な温度である。処理時間は、5分〜120分好ましくは20分〜60分の範囲である。
【0034】
生成ポリマーおよび有機極性溶媒を含む反応系における処理(酸、アルカリ)を施した後、該反応系から分離したPASポリマー、或いはかかる処理を施した後に更に水性スラリー系での酸処理、水性スラリー系でのアルカリ処理を施した後、分離したPASポリマーは、いずれのの場合でも通常の水洗、乾燥を経ることによって十分優れた物性のPASポリマー製品が得られるが、該ポリマーの水洗を150℃〜280℃の高温、高圧水によって耐圧容器内で洗浄する(熱水洗浄)と、PAS中のナトリウムイオンを減少させることが一層容易となる、ポリマー物性の再現性に優れる等の利点があり、本発明方法によって得られたPASポリマーの水洗手段としては極めて好適な手段であると言える。
【0035】
この高温、高圧水による洗浄(熱水洗浄)には攪拌機を有する耐圧容器を用いた方がよい。かかる洗浄を施したPASは100℃〜150℃で10〜15時間乾燥する。
【0036】
反応系における処理後、好適には水系スラリーにおける処理後に、ろ別し、分離したPASポリマーを水洗し、好適には熱水洗浄し、さらに乾燥して得たPASは、ナトリウム含有量や溶融時発生ガスが少なく、且つ白色度、溶融結晶化温度が高く、溶融粘度安定性に優れたPASを再現性良く安定的に製造可能である。特に、汎用性の高い酸及びアルカリを用いれば(例えば塩酸、苛性ソ−ダ等)安価に製品を提供することができ、pHのコントロ−ルのみで実質的に実施可能な本製造方法は、大がかりな設備の拡大も必要なく、非常に経済的である。
【0037】
本発明による製造方法で製造されたPASは、特に電気、電子部品に適している他、寸法安定性を要求される機械、自動車部品、チュ−ブ、パイプ、繊維、フィルム、そしてブロ−成形品にも利用される。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の方法を実施例に従って説明する。物性評価は以下のように行った。
【0039】
(1)最終ポリマー中のナトリウム含有量
パウダー状ポリマ−を白金るつぼ中で硫酸分解せしめ、蒸留水で希釈後、炎光分析によりナトリウム金属元素の定量を行い、ナトリウム含有量(PASポリマ−に対する含有量、単位 ppm.)として表示した。
【0040】
(2)白色度
カラ−マシ−ン(日本電色製)を用いパウダ−状のPASを測定した。
(3)溶融結晶化温度
示差走査熱量計(DSC;パ−キンエルマ−社製)を用い、窒素気流下、溶融状態から20℃/分の条件で冷却した際の結晶化による発熱ピ−クを読みとることにより決定した。
【0041】
(4)溶融時発生ガスの評価
予め密閉ガラス容器中でPASを320℃で15分間溶融させ、発生するガス分を室温まで冷却しつつトラップし、得られたガスの凝結物を1CCのアセトンに溶解させ、これをキャピラリ−カラムを備えたガスクロマトグラフにかけ、発生ガスのピ−ク面積の総和を相対比較することにより行った。
【0042】
(5)溶融粘度安定性
メルトインデクサ−(東洋精機製)を用い、5分間溶融状態保持及び20分間溶融状態保持の場合のメルトフロ−値(各々MFR5、MFR20)を次式に代入し評価した。
【0043】
【数1】
(MFR5÷MFR20)×100
【0044】
〈合成例、(実施例、比較例に共通)〉
1000lオ−トクレ−ブにN−メチル−2−ピロリドン460.9Kg、72.5%水硫化ナトリウムフレ−ク110Kgを仕込み昇温を開始し、昇温過程において苛性ソ−ダの水溶液112.3Kg(48%)を仕込み、系内水を留去しつつ220℃まで3時間かけて昇温した。(留去した系内水は、約210Kgであった。)。
【0045】
次いでp−ジクロロベンゼン210KgをN−メチル−2−ピロリドン115Kgに溶解させてから1時間かけて仕込み、220℃、最高圧力4.2Kg/cm2で1.5時間、更に245℃、最高圧力8.5Kg/cm2で2時間反応せしめた。
反応終了後、反応時の攪拌回転数を保ったまま、90℃まで冷却した。
【0046】
実施例 1
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5 %)を15Kg添加し60分処理した。(処理後のpHは2.6であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を20.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0047】
次いで水系における酸およびアルカリによる洗浄を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに塩酸(17.5%)を25.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは3.1であった。)
【0048】
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7 Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0049】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら昇温し、1時間等温保持した後、3時間かけて80℃まで冷却した後、PASをろ別した。(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)
全ての酸及びアルカリによる洗浄と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0050】
実施例 2
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に硫酸(50.0 %)を7.6Kg添加し60分処理した。(処理後のpHは2.6であった。)
【0051】
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を20.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
次いで水系における酸およびアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに硫酸(50.0%)を12.0Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは3.1であった。)
【0052】
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0053】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら昇温し、1時間等温保持した後、80℃まで冷却した後、PASをろ別した(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)
全ての酸及びアルカリによる洗浄と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0054】
実施例 3
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5%)を11.6Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは5.0であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を15.9Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0055】
次いで水系における酸およびアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに塩酸(17.5%)を25.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは3.1であった。)
【0056】
更に、この酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0057】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら昇温し、1時間等温保持した後、80℃まで冷却した後、PASをろ別した(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)。
【0058】
全ての酸及びアルカリによる洗浄と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0059】
実施例 4
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に硫酸(50.0 %)を5.9Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは5.1であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を15.8Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0060】
次いで水系における酸およびアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに硫酸(50.0%)を12.0Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは3.1であった。)
【0061】
更に、この酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0062】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら昇温し、1時間等温保持した後、80℃まで冷却した後、PASをろ別した(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)。
【0063】
全ての酸及びアルカリによる洗浄と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0064】
実施例 5
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5%)を15.0Kg添加し60分処理した。(処理後のpHは2.6であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を20.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0065】
次いで水系における酸およびアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに塩酸(17.5%)を18.9Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは5.0であった。)
【0066】
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.4Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0067】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら昇温し、1時間等温保持した後、80℃まで冷却した後、PASをろ別した(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)。
全ての酸及びアルカリによる処理と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0068】
実施例 6
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5%)を15.0Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは2.6であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を20.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0069】
次いで水系における酸およびアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに硫酸(50.0%)を12.0Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは5.0であった。)
【0070】
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0071】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら2時間かけて昇温し、1時間等温保持した後、3時間かけて80℃まで冷却した後、PASをろ別した。(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)
全ての酸及びアルカリによる処理と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0072】
実施例 7
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5 %)を15.0Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは2.6であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を20.3Kg添加し60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0073】
次いで水系における酸およびアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒をPASからろ過する事により分離した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに塩酸(17.5%)を25.3Kg添加し、60分処理した(処理後のpHは3.1であった。)
【0074】
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7 Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
【0075】
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度耐圧反応釜中で水によりスラリ−化し、200℃まで攪拌しながら昇温し、1時間等温保持した後、3時間かけて80℃まで冷却した後、PASをろ別した。(ろ別時のPASスラリ−のケ−キは水で洗浄した。)
全ての酸及びアルカリによる処理と、高温、高圧水による洗浄処理を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0076】
この実施例7と同様な実験を10回試みたところ、得られたPASの物性値の再現性は良好であった。
【0077】
実施例 8
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5%)を15.0Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは2.6であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を20.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0078】
次いで水系における酸及びアルカリによる処理を行なうため、まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに塩酸(17.5%)を25.3Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは3.1であった。)
【0079】
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を1.7Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは10であった。)
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し、PASケ−キは水で十分洗浄した。得られたPASケ−キの高温、高圧水による洗浄処理は行なわず、PASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0080】
この実施例8と同様な実験を10回試みたところ、得られたPASの物性値の再現性は良好であった。
【0081】
実施例 9
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5%)を20.0Kg添加し60分処理した。(処理後のpHは1.8であった。)
この後、更に攪拌を行ないながら反応内容物に苛性ソ−ダ(24%)を22.5Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
【0082】
本実験に於いては水系における酸およびアルカリによる処理は行なわずに、反応に用いた有機極性溶媒中に於けるアルカリ処理の後、ポリマ−をろ別し、ケ−キを水で十分洗浄した。
【0083】
反応に使用した有機極性溶媒中に於ける酸及びアルカリによる処理と、水による洗浄を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0084】
比較例 1
反応後の釜内容物が90℃となったら、反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去した。残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、PAS水性スラリ−からPASをろ別した(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)。
得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、PAS水性スラリ−からPASをろ別した(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)。この後、このPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0085】
比較例 2
反応後の釜内容物が90℃となったら、攪拌を行ないながら反応内容物に塩酸(17.5%)を20.0Kg添加し60分処理した。(処理後のpHは1.8であった。)
反応に用いた有機極性溶媒中に於ける酸処理の後、ポリマ−をろ別し、ケ−キを水で十分洗浄した。
反応に使用した有機極性溶媒中に於ける酸による処理と、水による洗浄を施したPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0086】
比較例 3
反応後90℃まで冷却を行ない、釜内容物に酸及びアルカリを加えることなく水系における酸及びアルカリによる洗浄を行なった。
【0087】
まず反応に用いた溶媒を真空攪拌乾燥機で留去し、残った副生成物を含むPASを1570lの水でスラリ−化し、これに塩酸(17.5%)を28.5Kg添加し、60分処理した(処理後のpHは1.8であった。)
更にこの酸処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し(ろ別時のPASケ−キは水で洗浄した。)、得られたPASケ−キを再度水でスラリ−化し、これに苛性ソ−ダ(24%)を2.1Kg添加し、60分処理した。(処理後のpHは14であった。)
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し、ろ別時のPASケ−キは水で十分洗浄した。得られたPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。
【0088】
この比較例3と同様な実験を10回試みたところ、得られたPASの物性値のふれが大きく、再現性は悪かった。ポリマー中のナトリウム含有量のふれが特に大きかった。
【0089】
比較例 4
比較例3において用いた苛性ソ−ダ(24%)に代えてアンモニア水を用いて同様に処理した。(処理後のpHは10であった。)
このアルカリ処理後のPAS水性スラリ−からPASをろ別し、ろ別時のPASケ−キは水で十分洗浄した。得られたPASケ−キを、150℃、8時間乾燥した。最終ポリマー中のナトリウム含有量は、330ppmであり、比較例3と同じに悪かった。
【0090】
【表1】
【0091】
*1)単位:(ガスクロマトグラフ;ピーク面積,×105)
*2)単位:(MFR5÷MFR20)×100 、(315.6℃)
【0092】
【表2】
【0093】
*1)単位:(ガスクロマトグラフ;ピーク面積,×105)
*2)単位:(MFR5÷MFR20)×100 、(315.6℃)
【0094】
【発明の効果】
重合後の反応系で直接酸添加による処理、アルカリ添加による処理を行う本発明方法では、従来法に比べて簡便であり、またナトリウム含有量が少ない、白色度、溶融結晶化温度が高い、溶融時発生ガスが少ない、溶融粘度安定性に優れる等の諸物性のバランスがよいPASが得られる。またかかる反応系における処理の後に分離したPASを再び水性スラリ−とし、これに酸処理を施し、分離後再び水性スラリーとしてからアルカリ添加による処理を施し、再度分離する方法によれば、再現性のあるPASの製造が可能である。特に、汎用性の高い酸及びアルカリを用いれば(例えば塩酸、苛性ソ−ダ等)安価に製品を提供することができ、pHのコントロ−ルのみで実質的に実施可能な本法は、大がかりな設備の拡大も必要なく、非常に経済的である。
Claims (14)
- ポリハロゲン化芳香族化合物及びスルフィド化剤を有機極性溶媒中で重合し、該重合反応が終了した後の生成したポリアリーレンスルフィドポリマーを含む反応系に有機酸または無機酸を添加して攪拌処理(1)を行い、しかる後、前記反応系に更に無機アルカリを添加して攪拌処理(2)を行い、次いで処理ポリマ−を反応溶媒から分離することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。
- 請求項1に記載の方法により分離されたポリアリ−レンスルフィドを水に分散させた水性スラリー(A)に有機酸または無機酸を添加して攪拌処理(3)を行ってからポリマーを分離し、このポリマーを再び水に分散させた水性スラリー(B)に無機アルカリを添加して攪拌処理(4)を行い、次いでポリマーを分離することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。
- 攪拌処理(1)が酸性下で行われる請求項1に記載の製造法。
- 酸性下の攪拌処理(1)が、温度条件として70〜200℃、時間条件として5〜120分のもとで行われる請求項3に記載の製造法。
- 攪拌処理(2)が、アルカリ性下で行われる請求項1に記載の製造法。
- pH10以上のアルカリ性下で行われる請求項5に記載の製造法。
- アルカリ性下の攪拌処理(2)が、温度条件として70〜200℃、時間条件として5〜120分のもとで行われる請求項6に記載の製造法。
- 攪拌処理(3)が酸性下で行われる請求項2に記載の製造法。
- 酸性下の攪拌処理(3)が、温度条件として30〜90℃、時間条件として5〜120分のもとで行われる請求項8に記載の製造法。
- 攪拌処理(4)が、pH7以上の中性またはアルカリ性下で行われる請求項2に記載する製造法。
- 中性またはアルカリ性下の攪拌処理(4)が、温度条件として30〜90℃、時間条件として5〜120分のもとで行われる請求項10に記載の製造法。
- 無機酸が塩酸、硫酸、燐酸からなる群から選択されたもの叉はこれらの混合物であり、有機酸が一価叉は二価脂肪族カルボン酸、環状脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、スルホン酸から選択されたもの叉はこれらの混合物である請求項1または2記載の製造法。
- 無機アルカリが、アルカリ土類金属、アルカリ金属水酸化物から選択されたもの叉はこれらの混合物である請求項1または2記載の製造法。
- 請求項2に記載の製造法により分離されたポリアリーレンスルフィドを、温度条件として150℃〜280℃、時間条件として30分〜300分、密閉容器中加圧下で熱水で洗浄し、しかる後該ポリマ−を分離することを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造法。
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