JP2003176357A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法

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JP2003176357A JP2001376263A JP2001376263A JP2003176357A JP 2003176357 A JP2003176357 A JP 2003176357A JP 2001376263 A JP2001376263 A JP 2001376263A JP 2001376263 A JP2001376263 A JP 2001376263A JP 2003176357 A JP2003176357 A JP 2003176357A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応容器内壁へのポリマーの付着を防止しつ
つ、適度な平均粒子径を有し粒度分布の狭いポリアリー
レンスルフィドを高い生産性で製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィドを製造する方
法において、(1)アルカリ金属硫化物1モル当たり
0.5〜2モルの水を存在させ、重合転化率が90モル
%以上となるまで重合反応を行う工程、(2)(1)の
工程の後、有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填
剤を生成するポリアリーレンスルフィドの理論量に対し
1〜70容量%、及び相分離剤を添加し、重合反応を行
う工程、からなるポリアリーレンスルフィドの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアリーレンスル
フィドの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは
反応容器内壁へのポリマーの付着を防止しつつ、適度な
平均粒子径を有し粒度分布の狭いポリアリーレンスルフ
ィドを高い生産性で製造する方法に関するものであると
伴に、得られるポリアリーレンスルフィドは、重合反応
後のスラリーの移送が容易となり生産性を向上させるこ
とができるばかりでなく、重合工程において充填剤を添
加するため、重合反応後のポリアリーレンスルフィドと
各種配合剤を押出機等にて配合するコンパウンド工程を
簡略化することが可能となる。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド(以下、PA
Sと記す。)、その中でも特にポリフェニレンスルフィ
ド(以下、PPSと記す。)は、優れた機械的特性、電
気的特性、耐熱性、難燃性、耐薬品性等を有するエンジ
ニアリングプラスチックとして、自動車部品、電子・電
気機器部品、機械部品等の各種原材料として広く用いら
れている。
【0003】そのようなPASの代表的な製造方法とし
ては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(以下、NM
Pと記す。)等の非プロトン性有機極性溶媒中でp−ジ
クロロベンゼン等のポリハロゲン化芳香族化合物と硫化
ナトリウム等の金属硫化物とを反応させるという方法が
一般的に知られている。しかしながら、該方法において
は分子量の低いポリマーしか製造できず、そのままで成
形加工を行うことが困難であるためこの低分子量ポリマ
ーを空気中で加熱処理し酸化架橋させることにより高分
子量化する方法が採られてきたが、得られたPASは高
度の架橋や分岐が生成するため、成型加工性や機械的特
性に劣るものであった。
【0004】そこで、重合方法を改良することによって
高分子量PASを製造する方法が提案されている。例え
ば特公昭52−12240号公報には重合助剤としてア
ルカリ金属有機酸塩の存在下、重合する方法、特開昭6
1−7332号公報には予備重合後、相分離剤として水
を添加する方法、特開平3−258833号公報には相
分離剤として特定の炭化水素溶剤を添加する方法などが
提案されている。
【0005】これらような方法による重合反応系は液−
液二相分離状態(分散相:濃厚ポリマー溶液相、連続
相:希薄ポリマー溶液相)で重合反応が進行することに
よりPASの高分子量化が達成されると伴に、分散相で
の合一と分散を繰り返し一定粒子径に収束し顆粒状のP
ASとなることが知られている。しかし、合一が支配的
になった場合、粗粒化ついには大きな塊状となりポリマ
ーの移送が困難になる、粒度分布が広がるためにハンド
リング性が悪くなる、PASの回収率が低くなるために
生産性が悪化するという問題を有する。
【0006】そこで、上記のような課題を解決する方法
として、特開昭63−46228号公報には、相分離剤
として水を用い、重合温度パターンを制御することによ
りPASの凝集を防止する製造方法が提案され、特開平
4−114036号公報や特開2000−290375
号公報には、特殊な形状を有する撹拌翼を用いPASの
粒子径を制御する方法が提案され、さらに特開平6−1
92424号公報には、水酸化ナトリウムの添加量を制
御して反応容器内壁へのポリマーの付着を防ぐ方法も提
案されている。
【0007】一方、生成したPASは、繊維、フィルム
シート等にそのまま用いられる場合もあるが、各種成形
部品として各種充填剤を配合して用いる場合がほとんど
である。そして、PASに各種充填剤を配合する場合に
は、PASと各種充填剤を押出機等によって溶融混練し
配合する方法が一般的であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−
46228号公報に提案の方法には、重合時の重合温度
パターンが複雑であると伴に、後段重合に長時間を要す
るため生産性に劣るという課題があった。また、特開平
4−114036号公報や特開2000−290375
号公報に提案の方法には、特殊な形状を有する撹拌翼が
必要である等の課題があった。さらに特開平6−192
424号公報に提案の方法では、そのポリマー付着防止
効果が十分でなかった。
【0009】そこで、本発明は、PASを製造する際
に、PASが反応容器内壁に付着するのを防止しつつ、
粒度分布の狭くハンドリング性や重合スラリーの移送性
に優れ、さらには重合反応後のPASと各種充填剤を押
出機等にて配合するコンパウンド工程をも簡略化するこ
とが可能となる、生産性に優れるPASの製造方法を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の2つの
工程を経るPASの製造方法を見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0011】すなわち、本発明は、有機極性溶媒中でア
ルカリ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物とを重
縮合させてPASを製造する方法において、少なくとも
下記の2工程を経ることを特徴とするポリアリーレンス
ルフィドの製造方法に関するものである。 (1)アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2モル
の水を存在させ、重合温度180〜260℃の条件下で
ポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの重合転化率が
90モル%以上となるまで重合反応を行う工程。 (2)(1)の工程の後、有機極性溶媒に不溶又は重合
系に不溶の充填剤を生成するポリアリーレンスルフィド
の理論量に対し1〜70容量%、及び相分離剤を添加
し、重合温度240〜270℃で重合反応を行う工程。
【0012】以下に、その詳細について説明する。
【0013】本発明で用いるアルカリ金属硫化物として
は、アルカリ金属硫化物であればいかなるものでもよ
く、具体的には硫化リチウム,硫化ナトリウム,硫化カ
リウム,硫化ルビジウム,硫化セシウムなどが挙げら
れ、これらの中でもコストや入手の容易さなどから硫化
ナトリウムが好ましい。また、これらアルカリ金属硫化
物は一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用い
てもよく、無水の形でも、水和物として用いてもよい。
【0014】また、アルカリ金属硫化物としては、アル
カリ金属水硫化物と塩基との反応により得られるものを
用いてもよく、アルカリ金属水硫化物としては、具体的
には水硫化リチウム,水硫化ナトリウム,水硫化ルビジ
ウム,水硫化カリウム、水硫化セシウムなどが挙げら
れ、これらの中でもコストや入手の容易さなどから水硫
化ナトリウムが好ましい。そして、これらアルカリ金属
水硫化物は一種を単独で用いても二種以上を併用しても
よく、無水の形でも、水性混合物として用いても良い。
また、アルカリ金属水硫化物は、硫化水素と塩基との反
応により得られるものを用いてもよい。塩基としては、
アルカリ金属水硫化物をアルカリ金属硫化物に転化でき
るもの、あるいは硫化水素をアルカリ金属水硫化物に転
化できるものであればいかなるものでもよく、通常、ア
ルカリ金属水酸化物等が使用され、そのようなアルカリ
金属水酸化物としては、具体的には水酸化リチウム,水
酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化ルビジウム、
水酸化セシウムなどが挙げられ、これらの中でもコスト
や入手の容易さなどから水酸化ナトリウムが好ましく、
これらは一種を単独で用いても二種以上を併用してもよ
い。また、アルカリ金属硫化物とアルカリ金属水硫化物
と塩基とを併用することもできる。さらには、アルカリ
金属硫化物及び/又はアルカリ金属水硫化物と共に、硫
化水素と塩基とを併用することもできる。
【0015】本発明で用いるポリハロゲン化芳香族化合
物は、芳香族環に直接ハロゲン原子が2個以上結合した
ハロゲン化芳香族化合物であり、ジハロゲン化芳香族化
合物がよく使用され、そのようなジハロゲン化芳香族化
合物としては、例えばp−ジクロロベンゼン,m−ジク
ロロベンゼン、p−ジブロムベンゼン,o−ジブロムベ
ンゼン,p−ジヨードベンゼン,m−ジヨードベンゼ
ン,o−ジヨードベンゼン等のジハロゲン化ベンゼン
類;ジクロロトルエン,ジブロモトルエン,ジヨードト
ルエン,ジクロロキシレン,ジクロロエチルベンゼン,
テトラメチルジクロロベンゼン,シクロヘキシルジクロ
ロベンゼンなどのアルキル置換ジハロゲン化ベンゼン類
又はシクロアルキル置換ジハロゲン化ベンゼン類;ジク
ロロビフェニル,ジブロモビフェニル,ジヨードビフェ
ニル等のジハロゲン化ビフェニル類;ジクロロナフタレ
ン,ジブロモナフタレン,ジヨードナフタレン等のジハ
ロゲン化ナフタレン類;さらにはジクロロジフェニルサ
ルホン、ジブロモジフェニルサルホン、ジクロロベンゾ
フェノン、ジブロモベンゾフェノンなどが挙げられ、こ
れらの中でも入手が容易で、製造後のPASの耐熱性に
優れることからp−ジクロロベンゼンを用いPPSとす
ることが好ましい。これらジハロゲン化芳香族化合物は
一種を単独又は二種以上を併用してもよい。ジハロゲン
化芳香族化合物の使用量は特に制限はないが、前記アル
カリ金属硫化物1モルに対し、通常0.90〜1.20モ
ルであることが好ましく、特に高分子量PASが得られ
ることから0.94〜1.00モルであることが好まし
い。
【0016】また、本発明で用いるポリハロゲン化芳香
族化合物としては、1分子中に3個以上のハロゲン原子
を有するポリハロゲン化芳香族化合物をあげることがで
き、そのようなポリハロゲン化芳香族化合物としては、
例えばトリクロロベンゼン,トリブロモベンゼン,トリ
ヨードベンゼン,テトラクロロベンゼン,トリクロロナ
フタレン等が挙げられる。そして、これら1分子中に3
個以上のハロゲン原子を有するポリハロゲン化芳香族化
合物は、通常、得られるPASの分子量や分岐度を調整
するためにジハロゲン化芳香族化合物と併用され、一種
を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0017】本発明で用いる有機極性溶媒とは、非プロ
トン性有機極性化合物であることが好ましく、そのよう
な溶媒としては、例えばアミド化合物,ラクタム化合
物,尿素化合物,有機硫黄化合物,環式有機リン化合物
などが挙げられる。アミド化合物としては、例えばN,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチ
ルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、
N,N−ジメチル安息香酸アミドなどが挙げられる。ま
た、前記ラクタム化合物としては、例えばカプロラクタ
ム、N−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラク
タム、N−イソプロピルカプロラクタム、N−イソブチ
ルカプロラクタム、N−ノルマルプロピルカプロラクタ
ム、N−ノルマルブチルカプロラクタム、N−シクロヘ
キシルカプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム
類;NMP、N−エチル−2−ピロリドン、N−イソプ
ロピル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリ
ドン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N−ノ
ルマルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−
2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリ
ドン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−
メチル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N
−メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリド
ン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどが挙げられる。前記尿素化合物と
しては、例えばテトラメチル尿素、N,N’−ジメチル
エチレン尿素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素など
が挙げられる。前記有機硫黄化合物としては、例えばジ
メチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジフェニ
ルスルホン、1−メチル−1−オキソスルホラン、1−
エチル−1−オキソスルホラン、1−フェニル−1−オ
キソスルホランなどが挙げられる。前記環式有機リン化
合物としては、例えば1−メチル−1−オキソホスホラ
ン、1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラン、1
−フェニル−1−オキソホスホランなどが挙げられる。
これらの有機極性溶媒は一種を単独で用いても二種以上
を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも入手が容
易で、PAS製造時の化学的安定性に優れ容易に比較的
高分子量のPASを製造することが可能となることから
NMPが好ましい。有機極性溶媒の使用量に特に制限は
なく、通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し1〜2
0モルで用いることができ、生産性に優れ、粒径の制御
が容易となることから3〜10モルであることが特に好
ましい。
【0018】本発明で用いる相分離剤とは、重合反応系
においてPASの製造溶媒である有機極性溶媒中でPA
Sを濃厚ポリマー溶液と希薄ポリマー溶液に相分離でき
るものであればいかなるものでもよく、例えば水、炭化
水素系溶媒、酢酸塩、スルホン酸塩、ハロゲン化リチウ
ムなどが挙げられる。そして、炭化水素系溶媒として
は、例えばイソオクタン、n−デカン、p−シメン、ト
リメトキシベンゼン、クメン、メチルサルフォン、ケロ
シン、n−テトラデカン等が挙げられる。酢酸塩として
は、例えば酢酸リチウム、酢酸ナトリウム等のアルカリ
金属酢酸塩、酢酸カルシウムなどのアルカリ土類金属酢
酸塩等が挙げられる。スルホン酸塩としては、例えばス
ルホン酸リチウム、スルホン酸ナトリウム等のアルカリ
金属スルホン酸塩などが挙げられる。ハロゲン化リチウ
ムとしては、例えば塩化リチウム,フッ化リチウム等が
挙げられる。これらの中でもより効果的に相分離剤とし
ての効果を発現し、容易に高分子量を有するPASが得
られることからイソオクタン、アルカリ金属酢酸塩、ア
ルカリ土類金属酢酸塩、ハロゲン化リチウム、水が好ま
しい。これら相分離剤は一種を単独で用いても二種以上
を併用してもよい。
【0019】そして、相分離剤の使用量としては、重合
反応系にPASの濃厚ポリマー溶液相が生成する量であ
れば特に制限はなく、例えば相分離剤として水を用いる
場合、通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し2〜7
モルであり、好ましくは2.1〜5モルである。また、
イソオクタンのような炭化水素系溶媒を用いる場合、通
常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し0.2〜6モル
であり、好ましくは0.3〜4モルである。さらに、ア
ルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、ハロゲン
化リチウム、アルカリ金属スルホン酸塩を用いる場合、
通常前記アルカリ金属硫化物1モルに対し0.01〜3
モルであり、好ましくは0.02〜0.5モルである。
【0020】本発明で用いる充填剤とは、重合反応に用
いる有機極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填剤であ
ればいかなるものでもよく、例えば粉粒状、板状、繊維
状の充填剤であり、粉粒状充填剤としては、粉粒状であ
ればいかなるものでもよく、例えばガラスビーズ、シリ
カ、石英粉末、ガラス粉、硅酸カルシウム、カオリン、
タルク、クレーなどの硅酸塩;酸化鉄、酸化チタンなど
の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの様
な金属の炭酸塩;硫酸バリウムなどの金属の硫酸塩;そ
の他カーボンブラック、各種金属粉末等が挙げられる。
板状充填剤としては、例えばガラスフレーク、マイカ、
各種の金属箔等が挙げられる。繊維状充填剤としては、
例えばガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、さらに
ステレンス、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物など
が挙げられる。これらの充填剤は一種を単独で用いても
二種以上を併用してもよい。また、これらの充填剤は、
エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系
化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリ
マーで、予め表面処理又は収束処理を施したものであっ
てもよい。ここで、充填剤が有機極性溶媒に可溶又は重
合系に可溶である場合、反応器内壁へのポリマーの付着
防止が達成できない。
【0021】本発明における充填剤の使用量としては、
本発明の製造方法により生成するPASの理論量に対し
1〜70容量%であり、より好ましくは10〜60容量
%である。ここで、充填剤が70容量%を越える場合、
重合反応系内において充填剤が沈降するために本発明の
目的を達成することができない。一方、充填剤が1容量
%未満である場合、反応容器内壁へのポリマーの付着が
おこりやすく本発明の目的を達成することができない。
ここで、生成するPASの理論量とは原料であるアルカ
リ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物から重縮合
反応により重合転化率100%として得られるPASの
理論質量と得られるPASの密度から算出されたもので
ある。
【0022】本発明の製造方法は、有機極性溶媒中でア
ルカリ金属硫化物とポリハロゲン化芳香族化合物とを重
縮合させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法に
おいて、少なくとも以下の2工程を経るものである。
【0023】(1)の工程は、アルカリ金属硫化物1モ
ル当たり0.5〜2モルの水を存在させ、重合温度18
0〜260℃の条件下でポリハロゲン化芳香族化合物の
PASへの重合転化率が90モル%以上となるまで重合
反応を行う工程である。
【0024】(2)の工程は、(1)の工程の後、有機
極性溶媒に不溶又は重合系に不溶の充填剤を生成するポ
リアリーレンスルフィドの理論量に対し1〜70容量
%、及び相分離剤を添加し、重合温度240〜270℃
で重合反応を行う工程である。
【0025】さらに本発明においては、本発明の効果が
実現される限り、上記2工程の前後又は中間に補助的な
工程を附加してもよい。
【0026】以下に、本発明の製造方法について具体的
に説明する。
【0027】本発明でいう(1)の工程とは、PASプ
レポリマーを製造する予備重合工程であり、アルカリ金
属硫化物1モル当り0.5〜2モルの水を含む重合反応
系で、重合温度180〜260℃の条件下、ポリハロゲ
ン化芳香族化合物のPASへの重合転化率が90モル%
以上となるまで重合を行う工程である。通常、有機極性
溶媒中でアルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2モル
の水を含む重合系で180〜260℃の温度条件下で反
応させる。
【0028】ここで、重合反応系の水の量をアルカリ金
属硫化物1モル当り0.5〜2モルの範囲にする方法と
しては、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り0.
5モルに達しない場合、必要量の水を添加すればよい。
一方、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り2モル
を越える場合、不必要量の水を系外に留出させればよ
い。そして、重合反応系内の含有水量はアルカリ金属硫
化物1モル当たり1.0〜1.6モルの範囲であること
が特に好ましい。ここで、含有水量がアルカリ金属硫化
物1モル当り0.5モル未満である場合、予備重合中の
PASプレポリマーの分解等が発生しやすくなる。一
方、含有水量がアルカリ金属硫化物1モル当り2.0モ
ルを越える場合、重合速度が著しく低下したり、予備重
合中のPASプレポリマーの分解が発生しやすくなる。
【0029】該(1)工程の重合温度としては180〜
260℃であり、さらに180〜250℃であることが
好ましい。ここで、重合温度が180℃未満である場
合、重合反応系の反応速度が小さくなり、ポリハロゲン
化芳香族化合物のPASへの重合転化率を90モル%以
上とするのに長時間を有する。一方、重合温度が260
℃を越える場合、予備重合中のPASプレポリマーの分
解が発生しやすくなる。
【0030】該(1)工程のおけるポリハロゲン化芳香
族化合物のPASプレポリマーへの重合転化率は90モ
ル%以上、特に後述する(2)工程における重合時間の
短縮化がはかれることから98モル%を超えることが好
ましい。重合転化率が90モル%未満である場合、後述
する(2)工程における重合の際、PAS分解等の望ま
しくない反応が起こり易く、収率が低下する等の弊害を
生ずるため好ましくない。本発明でいうポリハロゲン化
芳香族化合物のPASへの重合転化率とは、原材料であ
るポリハロゲン化芳香族化合物のPASへの転化率を示
すものであり、以下に示す式により算出する事ができ
る。
【0031】(イ)ポリハロゲン化芳香族化合物(PH
と記す。)をアルカリ金属硫化物よりモル比で過剰に添
加した場合は、以下の式により算出を行った。 転化率(%)=(PH仕込量−PH残存量)/(PH仕
込量−PH過剰量)×100 (ロ)ポリハロゲン化芳香族化合物(PHと記す。)を
アルカリ金属硫化物よりモル比で少なく添加した場合
は、以下の式により算出を行った。 転化率(%)=(PH仕込量−PH残存量)/(PH仕
込量)×100 本発明でいう(2)の工程は、上述の(1)工程で得ら
れたPASプレポリマーの高分子量化及び顆粒化を達成
すると伴に、得られたPASに充填剤を配合する工程で
あり、(1)の工程の後、生成PASに対し1〜70容
量%に相当する充填剤及び相分離剤を添加し、重合温度
240〜270℃で重合反応を行う工程である。
【0032】該(2)工程における重合温度は240〜
270℃であり、245〜265℃であることが特に好
ましい。ここで、重合温度が240℃未満である場合、
高分子量のPASが得られにくくなる。一方、重合温度
が270℃を越える場合、PASの分解が発生する恐れ
がある。また、(2)工程における重合時間は特に制限
はなく、その中でもPASの高分子量化が達成でき、分
解の発生をおさえられることから0.5〜5時間が好ま
しく、1〜3時間であることがより好ましい。
【0033】該(2)工程における相分離剤の添加時期
として特に制限はなく、本発明の目的が達成されるもの
であればいかなる時期でもよく、その中でもより効率的
に高分子量のPASを製造できることから、(2)工程
に入ると同時に相分離剤を存在させることが好ましい。
【0034】また、該(2)工程における充填剤の添加
時期としては特に制限はなく、本発明の目的を達成され
るものであればいかなる時期でもよく、その中でもPA
Sの反応装置内壁への付着防止を効率的に行うことを可
能とし、充填剤の添加を効率的に行えることから相分離
剤の添加と同時に行うことが好ましい。また、充填剤の
添加方法としては、そのまま固形分として重合反応系に
添加してもよいし、該(2)工程における相分離剤が液
体である場合は、相分離剤に充填剤を予め分散させたス
ラリーとして添加する事が好ましい。該充填剤の添加
は、全量を短時間に一括して仕込んでもよいし、2回以
上に分割して仕込んでもよい。
【0035】本発明に於ける(1)の工程から(2)工
程への切り替えは、(1)の工程で得られた重合スラリ
ーを別の反応容器に移して(2)工程を行ってもよく、
また、同一の反応容器内で(1)の工程を行った後、
(2)工程を行ってもよい。さらに、(1)の工程から
得られた重合体スラリーよりPASプレポリマーを単離
した後、該PASプレポリマーと有機極性溶媒を混合し
た後、(2)工程を行ってもよい。また、その際単離さ
れたPASプレポリマーは有機極性溶媒又は水等で洗浄
されたものであってもよい。
【0036】本発明の製造方法により得られるPASの
回収方法としては特に制限はなく常法によって行うこと
ができ、例えば(2)工程の後、得られた重合スラリー
をそのまま、あるいは水や有機溶媒で希釈し、ろ別後、
水洗ろ過を繰り返し、乾燥することによりPASを回収
する方法、重合スラリーを高温状態のままろ過し、ろ別
後、水洗ろ過を繰り返し、乾燥することによりPASを
回収する方法等を挙げることができる。また、得られた
PASはさらに重合溶媒と同じ有機溶媒、他の有機溶
媒、高温水でさらに洗浄・精製してもよいし、酸等で処
理することも可能である。
【0037】また、本発明により得られるPASは充填
剤を含有するものでありそのまま用いる事も可能である
し、さらに必要に応じて上述の充填剤、公知の顔料、難
燃剤、安定化剤、他のポリマー等とを配合してもよい。
【0038】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】以下に実施例により得られたPASの評価
・測定方法を示す。
【0040】〜溶融粘度の測定〜 ダイス(L/D=2/0.5)を装着した高化式フロー
テスター(島津製作所製、商品名フローテスターCFT
−500形)を用い、試料を315℃で5分間保持した
後、315℃、剪断速度=200(秒)-1のときの溶融
粘度を求めた。
【0041】〜平均粒子径及び粒度分布の測定〜 得られたPAS粉体50gを、メッシュサイズが3.5
メッシュ、4.7メッシュ、6.5メッシュ、8.6メ
ッシュ、12メッシュ、16メッシュ、22メッシュ、
30メッシュ、42メッシュ、60メッシュ、83メッ
シュ、100メッシュ、140メッシュの標準篩を装着
した振とう機(田中化学機械製、商品名ロータップフル
イ振とう機RD−2)を用いて15分間振とうし、14
0メッシュ篩下の留分及び3.5メッシュ篩上の留分以
外の篩上留分を用いて、下記式(1)に示す対数正規分
布式に従って最小二乗法で近似したときのm(最頻度粒
子径)を平均粒子径と呼び、σ(幾何標準偏差)を粒度
分布と呼ぶ。ここで、f(x)は各篩上留分の重量を投
入量(50g)で割った重量百分率であり、xはあるメ
ッシュサイズの篩と、このメッシュサイズより1つ小さ
なメッシュサイズの篩との、平均の目開きの値である。
【0042】
【数1】 実施例1 アンカー型攪拌翼を備えた15lオートクレーブに、N
MP3232g(32.65mol)、2.9水塩硫化
ナトリウム1823g(14.12mol)、水酸化ナ
トリウム19.2g(0.480mol)を仕込み、窒
素ガスで置換後、100rpmで攪拌し脱水を行いなが
ら2時間かけて200℃まで昇温し、水333g、硫化
水素0.35モルを留出させた。その際、系中の水の量
は硫化ナトリウム1モル当たり、1.53であった。
【0043】その後、170℃まで冷却し、p−ジクロ
ロベンゼン(以下、DCBと記す。)2140g(1
4.56モル)、NMP1783gを加えたところ、内
温は140℃に低下した。その後、225℃に昇温して
3時間重合し、さらに250℃で2時間重合した後に室
温まで冷却し、PPSプレポリマースラリー(P−1)
を得た。この際のDCBのPPSへの重合転化率は9
8.2%であった。
【0044】次にアンカー型攪拌翼を備えた2lオート
クレーブに、PPSプレポリマースラリー(P−1)1
028g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し単位
1.70モル)、水62.7g(3.48モル)、ガラ
ス繊維(セントラル硝子製、商品名EFDE50−0
1;比重2.6、平均長50μm)48.3g(PPS
の理論量に対して10容量%に相当。)を仕込み、窒素
ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.
9m/s)で攪拌しながら90分かけて250℃まで昇
温し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応
系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得られたPPS
スラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセトン洗浄、
水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られたPPSの
平均粒子径は470μm、粒度分布は1.4であり、粒
度分布の狭いポリマーであった。またオートクレーブ内
はきわめて清浄であった。得られたPPSの測定結果を
表1に示す。
【0045】実施例2 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−
1)714g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し
単位1.15モル)、イソオクタン174g(1.53
モル)、ガラスビーズ(ポッターズバロティーニ製、商
品名EGB−731;比重2.6、平均径30μm)3
7.2g(PPSの理論量に対して20容量%に相
当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500r
pm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分
かけて260℃まで昇温し、180分保持し重合を行っ
た。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却し
た後、実施例1と同様な方法によりPPSの回収を行っ
た。得られたPPSの平均粒子径は420μm、粒度分
布は1.4であり、粒度分布の狭いポリマーであった。
またオートクレーブ内はきわめて清浄であった。得られ
たPPSの測定結果を表1に示す。
【0046】比較例1 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−
1)732g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し
単位1.18モル)、イソオクタン179g(1.57
モル)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500r
pm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分
かけて260℃まで昇温し、180分保持し重合を行っ
た。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却し
た後、実施例1と同様な方法によりPPSの回収を行っ
た。得られたPPSの平均粒子径は390μm、粒度分
布は1.5であり、粒度分布の狭いポリマーであった
が、オートクレーブ内は汚染されていた。得られたPP
Sの測定結果を表1に示す。
【0047】比較例2 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−
1)982g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し
単位1.63モル)、水60g(3.33モル)、ガラ
スフレーク(日本板硝子製、商品名REF−015;比
重2.6、平均径15μm)178g(PPSの理論量
に対して30容量%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置
換後、撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/
s)で攪拌しながら100分かけて280℃まで昇温
し、180分保持し重合を行った。重合終了後、反応系
を25℃まで1℃/分で冷却した後、実施例1と同様な
方法によりPPSの回収を行った。得られたPPSは粗
大粒子であり、平均粒子径及び粒度分布は測定不可能で
あった。またオートクレーブ内は汚染されていた。得ら
れたPPSの測定結果を表1に示す。
【0048】比較例3 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例1により得られたPPSプレポリマースラリー(P−
1)951g(理論的に導き出されるPPSの繰り返し
単位1.57モル)、水58.1g(3.2モル)、ガ
ラスビーズ(ポッターズバロティーニ製、商品名EGB
−731;比重2.6、平均径30μm)268.5g
(PPSの理論量に対して40容量%に相当。)を仕込
み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を600rpm(翼先端
速度2.3m/s)で攪拌しながら80分かけて230
℃まで昇温し、180分保持し重合を行った。重合終了
後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、実施例
1と同様な方法によりPPSの回収を行った。得られた
PPSは微粉であり、平均粒子径及び粒度分布は測定不
可能であった。またオートクレーブ内はきわめて清浄で
あった。得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0049】比較例4 アンカー型攪拌翼を備えた15lオートクレーブに、N
MP3232g(32.65mol)、2.9水塩硫化
ナトリウム1823g(14.12mol)、水酸化ナ
トリウム17.2g(0.430mol)を仕込み、窒
素ガスで置換後、100rpmで攪拌し脱水を行いなが
ら2時間かけて200℃まで昇温し、水437g、硫化
水素0.50モルを留出させた。その際、系中の水の量
は硫化ナトリウム1モル当たり、1.16であった。
【0050】その後、170℃まで冷却し、DCB20
35g(13.84モル)を加えたところ、内温は14
0℃に低下した。その後、235℃に昇温して3時間重
合した後に室温まで冷却し、PPSプレポリマースラリ
ー(P−2)を得た。この際のDCBのPPSへの重合
転化率は88.1%であった。このPPSプレポリマー
スラリー(P−2)の一部を多量の水で何度も洗浄し乾
燥したPPSの溶融粘度は測定不能(0.5Pa・s以
下)であった。
【0051】アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレ
ーブに、得られたPPSプレポリマースラリー(P−
2)1008g(理論的に導き出されるPPSの繰り返
し単位1.63モル)、水60.0g(3.33モ
ル)、ガラス繊維(日本電気硝子製、商品名ECS03
T−717G;比重2.6、平均長3000μm)3
7.2g(PPSの理論量に対して20容量%に相
当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500r
pm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分
かけて260℃まで昇温し、180分保持し重合を行っ
た。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却し
た。PPSは集塊しており、分解臭がした。得られたP
PSの測定結果を表1に示す。
【0052】実施例3 実施例1で得られたPPSプレポリマースラリー(P−
1)4kgを水8kgに再沈させた後、ろ紙によりろ別
し固形分をさらに水洗浄し、乾燥して清浄化PPSプレ
ポリマー(P−3)を得た。この清浄化PPSプレポリ
マー(P−3)の溶融粘度は9.2Pa・sであった。
【0053】そして、アンカー型攪拌翼を備えた2lオ
ートクレーブに、得られた清浄化PPSプレポリマー
(P−3)126g(比重1.33、PPSの繰り返し
単位1.16モル)、NMP428g(4.31モ
ル)、水27.1g(1.50モル)、イソオクタン1
77g(1.55モル)、48%水酸化ナトリウム水溶
液9.6g(NaOH/PPSプレポリマー繰り返し単
位=0.1モル比)、炭酸カルシウム(白石工業製、商
品名ホワイトンP−50;比重2.75、平均径10μ
m)208g(PPSの理論量に対して39.7容量%
に相当。)、カーボンブラック(三菱化学製、商品名M
A100;比重2.24、平均径0.02μm)1.3
g(PPSの理論量に対して0.3容量%に相当。)を
仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を500rpm(翼
先端速度1.9m/s)で攪拌しながら90分かけて2
60℃まで昇温し、30分保持し重合を行った。重合終
了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得ら
れたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセ
トン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られ
たPPSの平均粒子径は580μm、粒度分布は1.5
であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオート
クレーブ内は清浄であった。得られたPPSの測定結果
を表1に示す。
【0054】実施例4 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例3により調整した清浄化PPSプレポリマー(P−
3)122g(比重1.33、PPSの繰り返し単位
1.13モル)、NMP414g(4.18モル)、水
26.2g(1.46モル)、イソオクタン171g
(1.50モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液9.
3g(NaOH/PPSプレポリマー繰り返し単位=
0.1モル比)、ガラスフレーク(日本板硝子製、商品
名REF−015;比重2.6、平均径15μm)28
8g(PPSの理論量に対して50容量%に相当。)を
仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を600rpm(翼
先端速度2.3m/s)で攪拌しながら90分かけて2
45℃まで昇温し、30分保持し重合を行った。重合終
了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷却した後、得ら
れたPPSスラリーをろ紙によりろ別し、固形分をアセ
トン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを回収した。得られ
たPPSの平均粒子径は520μm、粒度分布は1.4
であり、粒度分布の狭いポリマーであった。またオート
クレーブ内は清浄であった。得られたPPSの測定結果
を表1に示す。
【0055】実施例5 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例3により調整した清浄化PPSプレポリマー(P−
3)201g(比重1.33、PPSの繰り返し単位
1.86モル)、NMP659g(6.65モル)、水
110g(6.13モル)、ガラスビーズ(ユニオン
製、商品名UB−1820S;比重2.6、平均径82
0μm)52.7g(PPSの理論量に対して10容量
%に相当。)を仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌翼を5
00rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪拌しながら
90分かけて250℃まで昇温し、30分保持し重合を
行った。重合終了後、反応系を25℃まで1℃/分で冷
却した後、得られたPPSスラリーをろ紙によりろ別
し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥しPPSを
回収した。得られたPPSの平均粒子径は950μm、
粒度分布は1.5であり、粒度分布の狭いポリマーであ
った。またオートクレーブ内は清浄であった。得られた
PPSの測定結果を表1に示す。
【0056】比較例5 アンカー型攪拌翼を備えた2lオートクレーブに、実施
例3により調整した清浄化PPSプレポリマー(P−
3)203g(比重1.33、PPSの繰り返し単位
1.88モル)、NMP667g(6.73モル)、水
104g(5.75モル)、48%水酸化ナトリウム水
溶液15.6g(NaOH/PPSプレポリマー繰り返
し単位=0.1モル比)を仕込み、窒素ガスで置換後、
撹拌翼を500rpm(翼先端速度1.9m/s)で攪
拌しながら90分かけて260℃まで昇温し、30分保
持し重合を行った。重合終了後、反応系を25℃まで1
℃/分で冷却した後、得られたPPSスラリーをろ紙に
よりろ別し、固形分をアセトン洗浄、水洗浄し、乾燥し
PPSを回収した。得られたPPSの平均粒子径は28
0μm、粒度分布は1.6であり、粒度分布の狭いポリ
マーであったが、オートクレーブ内は汚染されていた。
得られたPPSの測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【発明の効果】本発明により、反応容器内壁へのポリマ
ーの付着を防止しつつ、生産性が高く粒度分布の狭いポ
リアリーレンスルフィドを得ることが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 7/20 C08K 7/20 C08L 81/02 C08L 81/02 Fターム(参考) 4J002 CN011 DA036 DE236 DL006 FA016 FA046 FA086 FD016 GM00 GN00 GQ00 4J030 BA03 BB29 BB31 BC02 BC08 BC09 BD22 BE02 BG10 BG26 BG27

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物とポ
    リハロゲン化芳香族化合物とを重縮合させてポリアリー
    レンスルフィドを製造する方法において、少なくとも下
    記の2工程を経ることを特徴とするポリアリーレンスル
    フィドの製造方法。 (1)アルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2モル
    の水を存在させ、重合温度180〜260℃の条件下で
    ポリハロゲン化芳香族化合物のポリアリーレンスルフィ
    ドへの重合転化率が90モル%以上となるまで重合反応
    を行う工程。 (2)(1)の工程の後、有機極性溶媒に不溶又は重合
    系に不溶の充填剤を生成するポリアリーレンスルフィド
    の理論量に対し1〜70容量%、及び相分離剤を添加
    し、重合温度240〜270℃で重合反応を行う工程。
  2. 【請求項2】相分離剤が、水,イソオクタン,アルカリ
    金属酢酸塩,アルカリ土類金属酢酸塩及びハロゲン化リ
    チウムからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の相
    分離剤であることを特徴とする請求項1に記載のポリア
    リーレンスルフィドの製造方法。
  3. 【請求項3】充填剤が、有機極性溶媒に不溶又は重合系
    に不溶の粉粒状充填剤,板状充填剤及び繊維状充填剤か
    らなる群より選ばれる少なくとも一種以上の充填剤であ
    ることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の
    ポリアリーレンスルフィドの製造方法。
  4. 【請求項4】充填剤が、ガラスビーズ,炭酸カルシウ
    ム,カーボンブラック,ガラスフレーク及びガラス繊維
    からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の充填剤で
    あることを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載のポ
    リアリーレンスルフィドの製造方法。
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