JP5516383B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を200℃以上280℃未満の温度範囲内で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、スルフィド化剤100モルに対しジハロゲン化芳香族化合物を95モル以上105モル未満、モノハロゲン化化合物を0.01モル以上5モル未満で反応させ、なおかつ少なくとも下記の工程1及び2を行うことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を反応させる際、230℃以上245℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてポリアリーレンスルフィドを得る工程。
(2)前記工程1の230℃以上245℃未満の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)が0.5以上であることを特徴とする(1)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(3)前記工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での昇降温時間を含めた重合時間(T1)が1.5時間以上4時間未満であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(4)前記200℃以上245℃未満の重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)が1.2以上であることを特徴とする(3)記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(5)ハロゲン化化合物の合計量がスルフィド化剤100モルに対し98モル以上108モル未満で反応させることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(6)モノハロゲン化化合物がモノハロゲン化芳香族化合物であることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(7)モノハロゲン化化合物がクロロベンゼンであることを特徴とする(1)〜(6)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
(8)ポリアリーレンスルフィドをフラッシュ法で回収することを特徴とする(1)〜(7)いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましく用いられる。
本発明で用いるジハロゲン化芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼン、および1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロゲン化芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。また、PAS共重合体を製造するために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明で用いるモノハロゲン化化合物としては、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのモノハロゲン化ベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2−ブロモトルエン、3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、4−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、3−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、2−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−クロロ安息香酸、2−ブロモ安息香酸、3−ブロモ安息香酸、4−ブロモ安息香酸、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフェノール、2−クロロニトロベンゼン、3−クロロニトロベンゼン、4−クロロニトロベンゼン、2−ブロモニトロベンゼン、3−ブロモニトロベンゼン、4−ブロモニトロベンゼン、2−クロロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ブロモベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸などのハロゲン以外の置換基をも含むモノハロゲン化ベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレンなどのナフタレン環を含むモノハロゲン化ナフタレン、1−クロロアントラセン、2−クロロアントラセン、9−クロロアントラセン、1−ブロモアントラセン、2−ブロモアントラセン、9−ブロモアントラセンなどのアントラセン環を含むモノハロゲン化アントラセン、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、2−クロロジフェニルエーテル、4−クロロジフェニルエーテル、2−ブロモジフェニルエーテル、4−ブロモジフェニルエーテル、2−クロロジフェニルスルフィド、3−クロロジフェニルスルフィド、4−クロロジフェニルスルフィド、2−ブロモジフェニルスルフィド、3−ブロモジフェニルスルフィド、4−ブロモジフェニルスルフィド、2−クロロベンゾフェノン、3−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、2−ブロモベンゾフェノン、3−ブロモベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−クロロジフェニルスルホキシド、3−クロロジフェニルスルホキシド、4−クロロジフェニルスルホキシド、2−ブロモジフェニルスルホキシド、3−ブロモジフェニルスルホキシド、4−ブロモジフェニルスルホキシド、2−クロロジフェニルスルホン、3−クロロジフェニルスルホン、4−クロロジフェニルスルホン、2−ブロモジフェニルスルホン、3−ブロモジフェニルスルホン、4−ブロモジフェニルスルホン、(4−クロロフェニル)フェニルメタン、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)−2−フェニルプロパン、(4−ブロモフェニル)フェニルメタン、2−(4−ブロモフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−2−フェニルプロパンなどのベンゼン環を2個以上含むモノハロゲン化化合物、2−クロロフラン、2−クロロピロール、2−クロロチオフェン、2−クロロイミダゾール、2−クロロオキサゾール、2−クロロチアゾール、2−ブロモフラン、2−ブロモピロール、2−ブロモチオフェン、2−ブロモイミダゾール、2−ブロモオキサゾール、2−ブロモチアゾールなどのモノハロゲン化複素環式化合物、などを挙げることができる。なかでも、経済性の観点からするとモノハロゲン化ベンゼンやモノハロゲン化ナフタレンなどのモノハロゲン化芳香族化合物が好ましく、特にクロロベンゼンが好ましい。また、異なる2種以上のモノハロゲン化化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明においては、重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。重合助剤を用いる一つの目的はPASを所望の溶融粘度に調整するためであるが、他の目的としては揮発性成分量を低減するためである。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸金属塩、水、アルカリ金属塩化物(但し、塩化ナトリウムは除く)、有機スルホン酸金属塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上同時に用いても差し障りない。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
本発明では、高い溶融流動性を有する実質的に直鎖状PASの塩素含有量が低減され、かつ揮発性成分量が低減されたPASを得ることができるが、分岐または架橋重合体を形成させ所望の溶融粘度に調整するために、トリハロゲン化以上のポリハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物及びハロゲン化芳香族ニトロ化合物などの分岐・架橋剤を併用することも可能である。ポリハロゲン化合物としては通常に用いられる化合物を用いることができるが、中でもポリハロゲン化芳香族化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,4,6−トリクロロナフタレン等を挙げることができ、中でも1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンが好ましい。前記、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物としては、例えばアミノ基、メルカプト基及びヒドロキシル基などの官能基を有するハロゲン化芳香族化合物を挙げることができる。具体例としては2,5−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,2’−ジアミノ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノ−2’,4−ジクロロジフェニルエーテルなどを挙げることができる。前記、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物としては、例えば2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,5−ジクロロニトロベンゼン、2−ニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,5−ジクロロ−2−ニトロピリジン、2−クロロ−3,5−ジニトロピリジンなどを挙げることができる。
本発明のPASの製造においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。前述した有機カルボン酸金属塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
本発明のPASの製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ジハロゲン化芳香族化合物やモノハロゲン化化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
本発明である、高い溶融流動性を有しながら少ない揮発性成分量と少ない塩素含有量を兼ね備えたPASを得るためには、特定の重合工程を経る必要がある。かかる重合工程とは、有機極性溶媒中で、スルフィド化剤と所定量のジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を200℃以上280℃未満の温度範囲内で反応させてPASを得る際、
<工程1>230℃以上245℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてPASのプレポリマーを生成させる工程、及び
<工程2>245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてPASを得る工程、
のことである。該工程を経ることにより、本発明のPASを短時間で効率よく得ることができる。
平均昇温速度(℃/分)=[t1(℃)−t2(℃)]/m(分)
で計算される平均速度である。従って、前述した平均昇温速度の範囲内であれば、必ずしも一定速度である必要はなく、定温区間があってもよいし、多段で昇温を行っても差し障り無く、本発明の本質を損なわない限りは一時的に負の昇温速度となる区間があっても良い。
(a)ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕]×100%
(b)上記(a)以外の場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕]×100%。
また、工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)を1.2以上にすることが好ましい。かかる比が高いほど、低い温度での重合時間を十分確保しジハロゲン化芳香族化合物の転化率を高めることができると同時に工程2での重合時間を短時間に抑え、高い溶融流動性と少ない揮発性成分量を確保できる。そのため、T1/T2は3以上がより好ましく、5以上がいっそう好ましい。T1/T2の上限は特に制限されるものではないが、好ましい溶融流動性を備えたPASを得るうえで、30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
本発明のPASの製造においては、重合工程終了後に、重合工程で得られたPAS成分および溶剤などを含む重合反応物からPASを回収する。回収方法としては、例えばフラッシュ法、すなわち重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、0.8MPa以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ溶媒回収と同時に重合体を粉粒状にして回収する方法や、クエンチ法、すなわち重合反応物を高温高圧の状態から徐々に冷却して反応系内のPAS成分を析出させ、かつ70℃以上、好ましくは100℃以上の状態で濾別することでPAS成分を含む固体を回収する方法等が挙げられる。
かくして得られたPASは常圧下および/または減圧下に乾燥する。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲が好ましく、140〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気、空気と窒素の混合雰囲気の何れでも良いが、溶融粘度の関係から不活性雰囲気が好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
本発明によれば、高い溶融流動性を有しながら少ない揮発性成分量と少ない塩素含有量を兼ね備えたPASが得られる。本発明のPASが得られることにより、生産効率の悪化につながる金型汚れや金型ベント詰まりが大幅に改善できるとともに、高い溶融流動性が求められる複雑形状化した射出成形品にも対応でき、なおかつ環境負荷低減につながる。つまり、従来では成し得なかった高い生産性と環境負荷低減の両立を達成することができる。
本発明により得られたPASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形用途のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成形することができるが、特に射出成形用途に好適に適用される。その射出成形用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナー、エンジンコントロールユニットケース、エンジンドライバーユニットケース、コンデンサーケース、モーター絶縁材料、ハイブリッドカーの制御系部品ケースなどの自動車・車両関連部品、その他の各種用途が例示できる。
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用いた。300℃に設定したシリンダーにサンプル約20gを投入し、5分保持した後、剪断速度1216sec−1で溶融粘度の測定を行った。
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにサンプル3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発性成分の付着したアンプル首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。揮発性成分を除去した前後のアンプル首部の重量差を揮発性成分量(ポリマーに対する重量%)とした。
ダイアインスツルメンツ社製自動試料燃焼装置AQF−100を用い、ポリマー1〜2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させ、吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、ポリマー中の全塩素含有量の測定を行った。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で128分反応を行った後、238℃〜245℃までを0.8℃/分で9分かけて昇温した。工程1の重合時間は(T1)は188分、(T1a)は150分であった。工程1終了時に反応物をサンプリングし、サンプル中に残存するp−DCB量をガスクロマトグラフにて定量した結果からp−DCBの消費率、つまり転化率を算出したところ、92%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した。工程2の重合時間(T2)は12分であった。
重合時に使用するp−DCB9.86kg(67.09モル)、CB0.347kg(3.09モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。p−DCBの転化率は91.5%であった。
以下の反応条件で工程1と工程2を行ったこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で89分反応を行った後、238℃〜245℃までを0.8℃/分で9分かけて昇温した。T1は149分、T1aは111分であった。p−DCBの転化率は91%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から270℃までを0.8℃/分で31分かけて昇温した。T2は31分であった。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム0.29kg(3.5モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
洗浄時の酢酸量を75gとしたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。乾燥後に得られたPPSを容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、表1に示す条件で熱酸化処理を施した。なお、酸素濃度2%での熱酸化処理は、空気0.18リットル/分、窒素1.78リットル/分を加熱装置に導入し、酸素濃度計を加熱装置内に設置して酸素濃度を測定した。
実施例1と同様に重合およびフラッシュ操作を行いPPSと塩類を含む固形物を回収した。得られた回収物およびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、75℃で15分洗浄した後、フィルターで濾過し、ケークを得た。得られたケークを75℃のイオン交換水で15分洗浄、濾過する操作を3回行った後、ケークおよびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温して熱水洗浄を行った。オートクレーブを冷却し、内容物を取り出し、内容物をフィルターで濾過し、ケークを得た。その後、ケークおよびイオン交換水74リットル、酢酸0.4kgを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温して酸処理を行った。オートクレーブを冷却し、内容物を取り出した。内容物をフィルターで濾過し、ケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することで、乾燥PPSを得た。
得られたPPSを容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、表1に示す条件で実施例5と同様に熱酸化処理を施した。
重合時に使用するp−DCBを10.19kg(69.29モル)、クロロベンゼン(CB)を0.270kg(2.40モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。p−DCBの転化率は92.5%であった。
重合時に使用するクロロベンゼンをp−クロロ安息香酸0.188kg(1.20モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。p−DCBの転化率は92%であった。
重合時に使用するクロロベンゼンを4−クロロフタル酸ナトリウム0.198kg(0.89モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。p−DCBの転化率は92%であった。
重合時に使用するp−DCB10.19kg(69.29モル)、CB0kg(0モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。p−DCBの転化率は93%であった。
重合時に使用するp−DCB9.68kg(65.86モル)、CB0.772kg(6.86モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。p−DCBの転化率は89%であった。
以下の反応条件で工程1を行い、工程1終了後に工程2を行わずにフラッシュ操作を行ったこと以外は実施例7と同様の操作を行った。フラッシュ後、重合時に使用したNMPの95%以上が揮発除去されるまで230℃の撹拌機付き装置内で3時間乾固し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で149分反応を行った。T1は200分、T1aは162分であった。p−DCBの転化率は94%であった。
以下の反応条件で工程1と工程2を行ったこと以外は実施例7と同様の操作を行った。
<工程1>200℃から220℃までを0.8℃/分で25分かけて昇温した。220℃の定温状態で131分反応を行った後、220℃から245℃までを0.8℃/分で31分かけて昇温した。T1は168分、T1aは19分であった。p−DCBの転化率は88.5%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した。T2は12分であった。
以下の反応条件で工程1と工程2を行ったこと以外は実施例7と同様の操作を行った。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から238℃までを0.6℃/分で13分かけて昇温した。238℃の定温状態で117分反応を行った。T1は168分、T1aは130分であった。p−DCBの転化率は92%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から255℃までを0.8℃/分で12分かけて昇温した後、260℃の定温状態で60分反応を行った。T2は72分であった。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.82kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本脱水工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。なお、硫化水素の飛散に伴い、系内には水酸化ナトリウムが新たに1.4モル生成している。
<工程1>200℃から230℃までを0.8℃/分で38分かけて昇温し、引き続き230℃から245℃までを0.6℃/分で25分かけて昇温した。T1は63分、T1aは25分であった。p−DCBの転化率は65%であった。
<工程2>工程1に引き続き、245℃から276℃までを0.6℃/分で52分かけて昇温し、その後276℃の定温状態で65分反応を行った。T2は117分であった。
比較例6と同様に脱水工程、工程1、工程2を行った後、実施例6と同様に洗浄、熱酸化処理を行った。
Claims (8)
- 有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を200℃以上280℃未満の温度範囲内で反応させるポリアリーレンスルフィドの製造方法において、スルフィド化剤100モルに対しジハロゲン化芳香族化合物を95モル以上105モル未満、モノハロゲン化化合物を0.01モル以上5モル未満で反応させ、なおかつ少なくとも下記の工程1及び2を行うことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法。
工程1:有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を反応させる際、230℃以上245℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T1a)が30分以上3.5時間未満であり、工程終了時点でのジハロゲン化芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるように反応させてポリアリーレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
工程2:245℃以上280℃未満の温度範囲内において、昇降温時間を含めた重合時間(T2)が5分以上1時間未満で反応させてポリアリーレンスルフィドを得る工程。 - 前記工程1の230℃以上245℃未満の重合時間(T1a)と工程2の重合時間(T2)の比(T1a/T2)が0.5以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記工程1を含む200℃以上245℃未満の温度範囲での昇降温時間を含めた重合時間(T1)が1.5時間以上4時間未満であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- 前記200℃以上245℃未満の重合時間(T1)と工程2の重合時間(T2)の比(T1/T2)が1.2以上であることを特徴とする請求項3記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- ハロゲン化化合物の合計量がスルフィド化剤100モルに対し98モル以上108モル未満で反応させることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- モノハロゲン化化合物がモノハロゲン化芳香族化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- モノハロゲン化化合物がクロロベンゼンであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
- ポリアリーレンスルフィドをフラッシュ法で回収することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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