JP5630258B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 Download PDF

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

本発明は、重合反応後のポリマー溶液を回収する場合、熱交換器を使用することで短時間に加熱し溶媒回収することで生産性が改善され、回収されるポリマーの加工時に発生するガスの増加を抑制し、安価で高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂の中でもポリアリーレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、電気特性に優れた性能を有するため高機能、高性能のエンジニアリングプラスチックとして注目されている。近年、これらの特性を活かして自動車部品、電気電子部品、精密機器部品さらには一般機器部品として幅広く使用され、その需要は急速に伸びている。特に近年では、環境負荷低減やコスト削減の目的で成形品の小型化、軽量化が盛んに行われ、成型品形状がより複雑化している。その複雑形状の成型品に対応できる溶融流動性の高いポリアリーレンスルフィド樹脂が求められているが、溶融流動性が高いポリアリーレンスルフィド樹脂には概して低分子量成分を多く含んでいるため、溶融時のガスが多い傾向にある。かかるガスは金型汚れや金型ベント詰まりを引き起こし生産効率が悪化するという問題を引き起こすため、特に溶融時のガス量の少ないポリアリーレンスルフィド樹脂が強く求められている。
本発明は、加工時に発生するガスを低減させて高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂を、生産性を落とすことなく製造する方法を見出したものである。
比較的安価なポリアリーレンスルフィド樹脂の代表的な製造方法としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)などの有機極性溶媒中で硫化ナトリウムなどのスルフィド化剤とp−ジクロロベンゼンなどのジハロゲン化芳香族化合物とを反応させ、重合終了後に、ポリアリーレンスルフィド樹脂、溶媒などを含む重合反応物から、高温高圧の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気へ重合反応物をフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉粒状に回収するフラッシュ法が従来より知られている。この方法はポリアリーレンスルフィド樹脂と溶媒の固液分離と回収が一度に実施できるため効率が良く、比較的安価にポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる方法として広範に利用されている。特許文献1では、ポリアリーレンスルフィド反応液スラリーから溶媒を回収する方法として、伝熱量を大きくするため縦型ジャケット付き撹拌槽内にフラッシングし、減圧下で撹拌と加熱により溶媒回収を行う方法が開示されている。本方法では過熱による品質の劣化を回避し、溶媒の回収率が高くなるが、フラッシングする反応液スラリーの温度が低ければ、コンデンサーで詰まるなどの問題が生じ、生産性が悪化するため好ましくない。特許文献2では、下流セパレーターを有する熱交換器にポリマー溶液を通過させることによる間接的な熱交換によって、ポリマー溶液を蒸発させる多段式の連続方法が開示されている。本方法では装置が複雑であり、ポリマーと溶媒の固液分離と回収が一度に実施できないためエネルギーコストが高くなり、溶媒の沸点以下では溶媒が凝縮することにより揮発しにくくなるため効率的ではなく、また更なる段階で250℃から350℃に温度を上げた場合、副反応の進行を引き起こす問題が生じる。特許文献3では、熱交換器を備えた溶媒除去装置を用いる条件として、熱交換器の入口分散部における不活性溶媒の蒸気圧と該入口分散の内圧を≦1.5kg/cmの範囲に維持する事で、熱交換器への供給圧力変動や、閉塞を回避する事により、流路内に留まった品質劣化や残留溶媒の増加などの問題を解決する方法が開示されている。このように熱交換器を用い溶媒除去を行う方法は知られているが、熱交換器の温度条件や滞留時間の制限による副反応の抑制について開示されていない。
特開昭61−53324号公報(特許請求の範囲) 特表2002−522564号公報(特許請求の範囲) 特開平3−174404号公報(特許請求の範囲)
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消するために検討した結果達成された
ものである。したがって、本発明は加工時に発生するガスを低減させて高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂を、生産性を落とすことなく製造する方法を提供することにある。
本発明は、以下のような手法にてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造することで、上記課題が解決できる。すなわち、本発明は、
(1)ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを有機極性溶媒中で210〜255℃で重合反応を行い、次いで、そのポリマー溶液を熱交換器に供給し、昇温速度1.5℃/分以上で260〜295℃まで加熱、フラッシュ(高温高圧下から常圧へ)することにより、有機極性溶媒を分離回収するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
(2)熱交換器におけるポリマー溶液の滞留時間が30分以内であり、昇温速度が5℃/分以上である前記1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
(3)パイラル式、2重管式、多管式、プレートフィン式、フィンチューブ式熱交換器のいずれかから選ばれる熱交換器を使用して加熱を行う前記1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
本発明によって、加工時に発生するガスを低減させて高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂を、生産性を落とすことなく製造することが可能となった。
本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂の製造フローの概略図である。 二重管式熱交換器の概念図である。 スパイラル式熱交換器の概念図である。 多重管式熱交換器の概念図である。
以下、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法について説明する。
本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂とは、下記式で表される繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたは、
Figure 0005630258
上記繰り返し単位と、上記繰り返し単位1モル当たり、1.0モル以下、好ましくは0.3モル以下の下記繰り返し単位とからなる共重合体である。
Figure 0005630258
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、ポリハロゲン化芳香族化合物およびスルフィド化剤を有機極性溶媒中で重合して得られる。スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物などが使用できる。
[アルカリ金属硫化物]
本発明で用いるアルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウム、硫化ルビジウムおよび硫化セシウムなどが挙げられ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウムおよび水硫化セシウムなどが挙げられ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物、水溶液として、あるいは無水物の形で用いることができる。
硫黄源の添加時期には特に制限は無く、後述する前工程、重合工程いずれの段階でも系内に導入可能であるが、重合工程の前までに導入するのが最も好ましい。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物の具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1,5−ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、および4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどが挙げられ、これらのなかでもp−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、および4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどが好ましく用いられ、特にp−ジクロロベンゼンが更に好ましく用いられる。なお、異なる2種類以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることももちろん可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ジハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のポリアリーレンスルフィド樹脂を得る点から、硫黄成分1モルに対して0.1から3モル、好ましくは0.5から2モル、更に好ましくは0.9から1.2モルの範囲である。
ジハロゲン化芳香族化合物の添加時期には特に制限はないが、重合工程の前までに系内に導入することが好ましい。
[有機極性溶媒]
本発明において用いられる有機極性溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホンおよびテトラメチレンスルホキシドなどが挙げられ、なかでもN−メチル−2−ピロリドンが好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、反応系の有機極性溶媒量が、硫黄成分1モルに対して0.8から10モル、好ましくは2から8モル、より好ましくは2.5から7モルの範囲である。有機極性溶媒量が上記の範囲未満では、副反応が起こりやすくなり、上記の範囲を越えると、重合度が上がりにくくなる。
有機極性溶媒の添加時期には特に制限はないが、重合工程の前までに系内に導入することが好ましい。
[重合安定剤]
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制することができる。重合安定剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属塩を併用することも可能である。なかでも、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムおよび水酸化マグネシウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
重合安定剤の導入時期については特に制限はないが、重合工程の前までに系内に導入することが好ましい。
このアルカリ金属塩の使用量としては、硫黄成分1モルに対して1.0モルから2.00モル、好ましくは1.005モルから1.5モル、更に好ましくは1.01モルから1.20モルの範囲が好ましい。
[重合助剤]
本発明においては、重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。重合助剤を用いる一つの目的はポリアリーレンスルフィド樹脂を所望の溶融粘度に調整するためであるが、他の目的としてはガス量を低減するためである。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸金属塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸金属塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上同時に用いても差し障りない。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
有機カルボン酸金属塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物を好ましい例として挙げることができる。有機カルボン酸金属塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。有機カルボン酸金属塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。有機カルボン酸金属塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記有機カルボン酸金属塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると推定しており、安価でかつ反応系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。
重合助剤として上記有機カルボン酸金属塩を用いる場合の使用量は、仕込みスルフィド化剤1モルに対し、0.01モル以上0.7モル未満の範囲が好ましく、0.02モル以上0.6モル未満の範囲がより好ましく、0.02モル以上0.55モル未満の範囲がいっそう好ましい。
重合助剤として有機カルボン酸金属塩を使用する場合、その添加時期には特に制限はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、添加の容易性からすると、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが好ましい。
重合助剤として水を用いる場合、水単独で用いることも可能であるが、有機カルボン酸金属塩を同時に用いることが好ましく、これにより重合助剤としての効果をより高めることができ、より少ない重合助剤の使用量でも短時間で所望の溶融粘度のポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができる傾向にある。この場合の重合系内の好ましい水分量の範囲は、スルフィド化剤1モルに対し0.8モル以上3モル未満であり、0.85モル以上1.8モル未満がより好ましい。水分量が多すぎると反応器内圧の上昇が大きく、高い耐圧性能を有した反応器が必要となるため、経済的にも安全性の面でも好ましくない傾向にある。重合系内の水分量を前記範囲にする段階のジハロゲン化芳香族化合物の転化率は、後述するように60モル%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であることが好ましい。
また、重合後に水を添加することも好ましい様態の一つである。重合後に水を添加した後の重合系内の水分量の好ましい範囲は、スルフィド化剤1モルに対して1〜15モルであり、1.5〜10モルがより好ましい。
[前工程]
重合工程の前に、完全混合型反応器に硫黄源、ジハロゲン化芳香族化合物および有機極性溶媒、必要に応じて重合安定剤および重合助剤を加え、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、常温から220℃の範囲で脱水反応を行い、反応系内の水分量の調節を行ってもよい。ここでの完全混合型反応器とは、オートクレーブが挙げられる。
ここでいう反応系の水分量とは、原料仕込み時に水溶液および水和物として反応系内に導入した水から、反応系外に除去された水分量を差し引いた量である。この量に特に制限はないが、特に仕込みの硫黄成分1モルに対して、好ましくは0から2.0モルの範囲であることが、重合速度、副生成物抑制の点から好ましい。
[重合工程]
重合温度は210℃〜280℃であり、好ましくは215℃から270℃であり、更に好ましくは225℃から255℃である。210℃よりも重合温度が低いと重合が不十分となり、目的のポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができず、重合温度が高くなると溶融粘度増大や副反応の進行を引き起こす問題が生じる。重合時間は、他の反応条件によって広く変化するため特に規定はないが、一般には、0.01〜20時間、好ましくは0.2〜10時間、さらに好ましくは0.5〜5時間の範囲内である。重合時間が0.01よりも短いと重合度が上がらず、10時間よりも長いと生産性が悪くなり好ましくない。
そして、この重合は一般に、窒素のような不活性雰囲気下で行われるのが好ましい。
[フラッシュ方法]
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂粉粒体の製造方法においては、重合終了後に、ポリアリーレンスルフィド樹脂、溶媒などを含むポリマー溶液を反応容器1から熱交換器2に供給し、ポリマー溶液の温度を+5℃〜295℃まで加熱してからフラッシュさせる容器4に供給し、排気口3から溶媒回収したのち、排出口5からポリアリーレンスルフィド樹脂を粉末状及び/または粉粒状にして回収する。
加熱温度は好ましくは重合反応終了後の温度+5℃〜290℃、より好ましくは重合反応終了後の温度+5℃〜285℃であり、更に好ましくは重合反応終了後の温度+5℃〜280℃である。260℃未満ではフラッシュエネルギーが小さくなるため、重合溶媒の気化熱が減少し効率的にフラッシュ回収出来ないという問題が発生し、300℃以上では副反応の進行を引き起こす問題が生じる。
また、熱交換器2におけるポリマー溶液の昇温速度は1.5℃/分以上であり、好ましくは2.5℃/分以上であり、より好ましくは5分以上である。昇温速度が1.5℃/分より遅いと滞留時間が長くなり、副反応の進行を引き起こす問題が生じる。さらに、熱交換器2内での滞留時間は好ましくは30分以内であり、より好ましくは25分以内であり、更に好ましくは20分以内である。滞留時間が長いと副反応の進行を引き起こす問題が生じる。
また、本発明のフラッシュ時には、上記とは別にフラッシュさせる容器4を加熱しておく事が好ましい。加熱温度は、210〜255℃以下が好ましい。溶媒の沸点以下では溶媒が凝縮することにより揮発しにくくなるため、効率が悪くなる。また、255℃以上では、ポリアリーレンスルフィド樹脂の一部が溶融し、容器への付着や塊となり、抜き出し不良となるなどの問題が生じる。
また、ポリマー溶液からの溶媒回収が不足する場合は、フラッシュ後に210〜255℃の窒素または水蒸気などの雰囲気下で加熱を継続しても良いが生産性の面で長時間継続することは好ましくない。
[熱交換器]
熱交換器2は、かかるポリマー溶液を本発明の範囲内で加熱するに足る総括伝熱係数・伝熱面積・排出能力を持ち合わせれば特に限定されるものではないが、本発明において用いられる熱交換器2の具体例としては、二重管式、スパイラル式、多管式、プレート式、プレートフィン式、プレートフィンチューブ式などが挙げられる。
ポリマー溶液を反応容器中でフラッシュに必要な加熱を行うことは可能であるが、排出ラインが細く排出に時間かかり、滞留時間が長くなるために、副反応の進行を引き起こす問題が生じてしまい好ましくない。
[洗浄方法]
かかるフラッシュ法で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂には重合副生物であるアルカリ金属ハロゲン化物やアルカリ金属有機物などのイオン性不純物を含んでいるため、洗浄を行うことが通例である。洗浄条件としては、かかるイオン性不純物を除去するに足る条件であれば特に限定されるものではない。洗浄液としては例えば水や有機溶媒を用いて洗浄する方法が挙げられ、簡便かつ安価にポリアリーレンスルフィド樹脂を得る点で、水を用いた洗浄が好ましい方法として例示できる。使用する水の種類としてはイオン交換水、蒸留水が好ましく用いられる。洗浄でのポリアリーレンスルフィド樹脂と洗浄液の割合は、洗浄液が多いほうが好ましいが、通常、洗浄液1Lに対し、ポリアリーレンスルフィド樹脂100〜2gの浴比が好ましく選択され、20〜2.5gが更に好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度は50℃以上220℃以下が好ましく、150℃以上210℃以下がより好ましく、さらには180℃以上220℃以下がより好ましい。100℃以上の液体での処理の操作は、通常、所定量の液体に所定量のポリアリーレンスルフィド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、攪拌することにより行われる。洗浄は複数回行ってもよく、各洗浄での洗浄温度が異なっていても良いが、イオン性不純物の少ないポリアリーレンスルフィド樹脂を得るには、150℃以上の温度で少なくとも1回、好ましくは2回以上洗浄を行うのが良く、各洗浄の間にはポリマーと洗浄液を分離する濾過工程を経ることがより好ましい方法である。
本発明では洗浄時に洗浄添加剤を用いてもよく、かかる洗浄添加剤として酸、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が例示できる。酸を用いる場合、上記水に有機酸または無機酸等を添加して酸性にした水溶液中にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させ、加熱洗浄後の水溶液のpHが2〜8であることが好ましい。有機酸、無機酸としては、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸等が例示でき、これらに限定されるものではないが、酢酸、塩酸が好ましい。洗浄添加剤としてアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用いる場合、上記水にアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を添加した水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる方法が例示でき、かかるアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の量はポリアリーレンスルフィド樹脂に対し、0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜0.7重量%が更に好ましい。アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩としては、上記有機酸または無機酸のカルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明である溶融流動性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂が得られる限りいずれの洗浄添加剤を用いても差し支えないが、酸で処理するとより高い溶融流動性が得られると同時に、得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を550℃で灰化させたときの灰分率が低く、電気絶縁性が求められる用途に優れた性能を発揮するという特徴が発現するため、好適な方法として例示できる。電気絶縁性の観点からすると、かかる灰分率は0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましい。
かくして得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は常圧下および/または減圧下に乾燥する。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲が好ましく、140〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気、空気と窒素の混合雰囲気の何れでも良いが、溶融粘度の関係から不活性雰囲気が好ましい。乾燥時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
[その他の後処理方法]
本発明ではガス発生量の少ないポリアリーレンスルフィドが得られるが、さらにガスを除去するために、或いは架橋高分子量化するために、酸素含有雰囲気下、130〜260℃の温度で処理することも可能である。
架橋高分子量化は抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行う場合、その温度は130〜250℃が好ましく、160〜250℃の範囲がより好ましい。また酸素濃度2体積%未満、更には1体積%未満とすることが望ましい。減圧乾燥することも好ましい方法の一つである。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、0.5〜20時間がより好ましく、0.5〜10時間が更に好ましい。
架橋高分子量化を目的として乾式熱処理する場合、その温度は160〜260℃が好ましく、170〜250℃の範囲がより好ましい。また酸素濃度2体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。処理時間は、1〜100時間が好ましく、2〜50時間がより好ましく、3〜25時間が更に好ましい。
加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
[発生ガス量]
上記の発生ガス量の測定には、以下に示す方法で算出した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を130℃の真空オーブンにて3時間乾燥させ、ポリフェニレンスルフィド樹脂3gをガラスアンプル管に真空封入した。該ガラスアンプル管の片側(ポリフェニレンスルフィド樹脂のある方)を320℃に設定されたセラミックス電気管状炉:ARF−30K(アサヒ理化製作所製)に2時間放置し、その後、ガラスアンプル管の非加熱部(ポリフェニレンスルフィド樹脂のない方)を先端から約10cm程を切り落とす。切り落としたガラスアンプル管の初期重量とガラスアンプル管に凝集・付着した成分をクロロホルム5gで洗浄した後、3時間、60℃で乾燥させたガラス管の重量との差から真空状態で320℃、2時間後のポリフェニレンスルフィド樹脂からの発生物質量を算出した。最終的に、この得られた発生物質量を初期のポリフェニレンスルフィド樹脂量3gで割った値を発生ガス量として算出した。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、316℃で溶融粘度の測定を行った。
[樹脂組成物と用途]
本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、単独で用いてもよいし、所望に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維などの無機繊維やチタン酸カリウムウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、ワラステナイト、セリサイト、カオリンなどのウィスカを添加することができ、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート、などのケイ酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの金属化合物、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素及びシリカなどの無機充填剤、着色防止剤、可塑剤、防食剤、酸化防止剤、熱安定剤、渇剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、離型剤、結晶核剤等の添加剤および着色剤などの添加剤を添加することもでき、さらには、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、酸無水物基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミドアセタールおよびポリイミドなどの樹脂を配合して用いることもできる。
本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質が優れ、特に含有不純物量が少ないため溶融時の発生ガスが少ないという優れた特徴を有するものであり、押出成形による繊維、シート、フィルムおよびパイプなどの押出成形用さらには射出用の成形品としても幅広く利用可能である。
これら成形品の具体的用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、プロジェクター部品、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品;照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品;その他各種用途が例示できる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらによって何ら制限をうけるものではない。
[発生ガス量]
発生ガス量の測定には、以下に示す方法で算出した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を130℃の真空オーブンにて3時間乾燥させ、ポリフェニレンスルフィド樹脂3gをガラスアンプル管に真空封入した。該ガラスアンプル管の片側(ポリフェニレンスルフィド樹脂のある方)を320℃に設定されたセラミックス電気管状炉:ARF−30K(アサヒ理化製作所製)に2時間放置し、その後、ガラスアンプル管の非加熱部(ポリフェニレンスルフィド樹脂のない方)を先端から約10cm程を切り落とす。切り落としたガラスアンプル管の初期重量とガラスアンプル管に凝集・付着した成分をクロロホルム5gで洗浄した後、3時間、60℃で乾燥させたガラス管の重量との差から真空状態で320℃、2時間後のポリフェニレンスルフィド樹脂からの発生物質量を算出した。最終的に、この得られた発生物質量を初期のポリフェニレンスルフィド樹脂量3gで割った値を発生ガス量として算出した。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、316℃で溶融粘度の測定を行った。
[実施例1]
攪拌機および底栓弁付きの20m反応容器1に、47%水硫化ナトリウム20.0キロモル、48%水酸化ナトリウム20.2キロモル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)45.1キロモル、酢酸ナトリウム1キロモル、及びイオン交換水5.6キロモルを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで2時間かけて徐々に加熱し、水124.5キロモルおよびNMP4.5モルを留出したのち、反応容器1を160℃に冷却した。また、硫化水素の飛散量は1モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)20.4キロモル、NMP15.1キロモルを加え、反応容器1を窒素ガス下に密封した。その後、以下の処理条件で工程1〜工程3を行った。
〈工程1〉400rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分で117分かけて昇温し、270℃で60分反応を行った。
〈工程2〉直ちに反応容器1の底栓弁を開放し、内径45.9mm、長さ126m、伝熱面積18m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度300℃の二重管式熱交換器を用い、ポリマー溶液を12トン/時間で供給した。ポリマー溶液の温度を270℃から290℃まで1.0分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
〈工程3〉得られた固形物およびイオン交換水15mを撹拌機付き反応容器に入れ、70℃で30分洗浄した後、フィルターで加圧濾過した。次いで得られたケークに70℃に加熱したイオン交換水1.5m追加してリスラリー化したのち、フィルターで加圧ろ過してケークを得た。得られたケークおよびイオン交換水12mとポリアリーレンスルフィドに対して0.5%の酢酸を加え、撹拌機付き反応容器に仕込み、反応容器内部を窒素で置換した後、190℃まで昇温し、30分保持した。その後反応容器を冷却して内容物を取り出した。内容物をフィルターで加圧ろ過した後、これに70℃のイオン交換水1.5mを追加してリスラリー化したのち、加圧濾過してケークを得た。
得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、ポリアリーレンスルフィド樹脂を得た。
後処理後、得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=3.0Pa・s、発生ガス量=1.2wt%であった。
[実施例2]
工程1と工程2以外は実施例1と同じ方法で行った。
〈工程1〉400rpmで撹拌しながら、200℃から230℃まで0.7℃/分で42分かけて昇温し、230℃から255℃まで0.18℃/分で136分かけて昇温し、反応を行った。
〈工程2〉直ちに反応容器1の底栓弁を開放し、内径74.9mm、長さ60m、伝熱面積14.1m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度300℃の二重管式熱交換器を用い、ポリマー溶液を12トン/時間で供給した。ポリマー溶液の温度を255℃から280℃まで1.3分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後、得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=2.2Pa・s、発生ガス量=0.5wt%であった。
[実施例3]
工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程2〉熱交換器2を流路間隔0.0061m、流路幅0.5m、流路長さ11.9m、伝熱面積11.9m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度300℃としたスパイラル式熱交換器を用い、ポリマー溶液を11トン/時間で供給した。ポリマー溶液の温度を255℃から280℃まで0.2分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=2.2Pa・s、発生ガス量=0.5wt%であった。
[実施例4]
工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程2〉熱交換器2を内径25.4mm、長さ6m、本数9本、パス数4、伝熱面積17.2m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度300℃の多管式熱交換器を用い、ポリマー溶液を12トン/時間で供給した。ポリマー溶液の温度を255℃から280℃まで0.2分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=2.2Pa・s、発生ガス量=0.5wt%であった。
[実施例5]
工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程2〉熱交換器2を内径234.9mm、長さ60m、伝熱面積44.2m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度300℃の二重管式熱交換器を用い、ポリマー溶液を12トン/時間で供給し、ポリマー溶液の温度を255℃から280℃まで13分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=2.2Pa・s、発生ガス量=0.7wt%であった。
[実施例6]
工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程2〉熱交換器2を内径314.9mm、長さ60m、伝熱面積59.3m、熱媒入り温度310℃、熱媒出口温度300℃の二重管式熱交換器を用い、ポリマー溶液を12トン/時間で供給した。ポリマー溶液の温度を255℃から290℃まで23分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=2.5Pa・s、発生ガス量=0.7wt%であった。
[比較例1]
工程1と工程2以外の条件は実施例1と同じ方法で行った。
〈工程1〉400rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分で117分かけて昇温し、270℃で60分温度を保持し、270℃から290℃まで1.5℃/分を13分で昇温した。
〈工程2〉直ちに反応容器1の底栓弁を開放し、熱交換器2を経由することなく、撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
ポリマー溶液を反応容器1から完全に排出する時間は55分要した。固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=7.0Pa・s、発生ガス量=1.5wt%であった。
[比較例2]
工程1と工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程1〉400rpmで撹拌しながら、200℃から230℃まで0.7℃/分で42分かけて昇温し、230℃から255℃まで0.18℃/分で136分かけて昇温し、255℃から280℃まで1.5℃/分を17分で昇温した。
〈工程2〉直ちに反応容器1の底栓弁を開放し、熱交換器2を経由することなく、撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
ポリマー溶液を反応容器1から完全に排出する時間は55分要した。固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=6.6Pa・s、発生ガス量=1.2wt%であった。
[比較例3]
工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程2〉熱交換器2を内径269.9mm、長さ60m、伝熱面積50.8m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度305℃の二重管式熱交換器を用い、ポリマー溶液を12トン/時間で供給した。ポリマー溶液の温度を255℃から300℃まで17分間で昇温したのち、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、200重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=5.3Pa・s、発生ガス量=0.7wt%であった。
[比較例4]
工程2以外は実施例2と同じ方法で行った。
〈工程2〉熱交換器2を内径269.9mm、長さ60m、伝熱面積50.8m、熱媒入口温度310℃、熱媒出口温度305℃の二重管式熱交換器を用い、工程2のポリマー溶液温度を255℃のまま二重管式熱交換器内で保持し、直ちに撹拌機付きの250℃に加温したフラッシュさせる容器4にフラッシュさせ、20分溶媒を揮発除去し、PPSと塩類を含む固形物を回収した。二重管式熱交換器内の滞留時間は17分であった。
工程2で得られた固形物のNMP残留量を分析した結果、12000重量ppmであった。
後処理後得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、溶融粘度=2.2Pa・s、発生ガス量=0.7wt%であった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005630258
表1からわかるように、ポリマー溶液を熱交換器を用いて昇温速度1.5℃/分以上で加熱しフラッシュをすることで得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は発生ガス量が少なく高品質であった。
一方、比較例1,2では熱交換器を用いず、ポリマー溶液を反応容器中で加熱しているので、昇温速度が1.5℃/分であっても、滞留時間が長くなり、発生ガス量が大きくなる傾向がある。比較例3では、熱交換器を用いているが、ポリマー溶液を300℃まで加熱したため、ポリマーの溶融粘度が必要以上に高くなった。比較例4では、熱交換器を通しただけで、昇温を行っておらず、溶媒の除去が不十分であった。
1.反応容器
2.熱交換器
3.排気口
4.フラッシュさせる容器
5.排出口
6.熱媒
7.ポリマー溶液
8.流路間隔
9.流路幅

Claims (3)

  1. ポリハロゲン芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを有機極性溶媒中で210〜255℃で重合反応を行い、次いで、そのポリマー溶液を熱交換器に供給し、昇温速度1.5℃/分以上で260〜295℃まで加熱、フラッシュ(高温高圧下から常圧へ)することにより、有機極性溶媒を分離回収するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  2. 熱交換器におけるポリマー溶液の滞留時間が30分以内であり、昇温速度が5℃/分以上である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
  3. パイラル式、2重管式、多管式、プレートフィン式、フィンチューブ式熱交換器のいずれかから選ばれる熱交換器を使用して加熱を行う請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
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