JP4900365B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融流動性に優れ、かつ金属含有量や溶融時の揮発性成分の発生量が少なく、成形安定性、耐湿熱性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)樹脂は優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形、押出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品、フィルム、繊維などに使用されている。
しかし、PPS樹脂はその融点が高い故に、溶融加工温度が高く、そのため溶融加工時に揮発性成分が発生し易い。特に、電気電子部品のように電気絶縁性が求められるPPS樹脂は金属含有量を低下させるために酸処理が行われる。このようなPPS樹脂は、その揮発成分の発生が著しく、金型汚れや金型ベント詰まりによる成形不良を起こす場合があり、揮発成分の低減が強く望まれている。かかる揮発成分はPPS樹脂を融点以下の温度で熱処理をすることにより低減し得るが、過度な熱処理は、溶融粘度の過度な上昇やゲル化物生成による成形性の悪化などの弊害をもたらす。本発明は、酸処理したPPS樹脂を特定の条件で熱酸化処理を行うことによって、金属含有量が少なく、且つかかる溶融粘度を大きく上昇させずに、揮発性成分が大きく減少する事を見い出したものである。
PPS樹脂を熱酸化処理することは以前より行われている。例えば特許文献1にはポリマー粘度が5000〜16000ポイズ(500〜1600Pa・s)(310℃、剪断速度200/秒)の範囲内、非ニュートニアン係数nが1.5〜2.1の範囲内になるようにPPS樹脂にキュアリングを施し、これを溶融押し出しして得られる押出成形物が開示されている。しかし、5000ポイズはメルトフローレートに換算すると100g/10分未満であり、かかるPPS樹脂は溶融粘度が高すぎるために射出成形時の流動性が著しく悪化するため、特にフィラー含有PPS樹脂組成物の射出成形には不向きである。また該特許に開示されているPPS樹脂は熱酸化処理度合いも比較的大きく、熱酸化処理度合いが大きすぎると、ガス低減効果が飽和する反面、溶融流動性は低下する難点がある。
特許文献2には、重量平均分子量が30,000以上で、かつ平均粒径が50μm以下の粒状PPS樹脂を熱酸化処理する方法が開示されている。しかし、特許文献2に記載されている様に、重量平均分子量が30,000以上で、平均粒径が50μm以下のPPS樹脂を得るには、特殊な重合装置または粉砕が必要となり、コストもかかり一般的な方法ではない。更にかかる微細なPPS粒子は溶融混練時の押出機への噛み混み性に劣り、単位時間あたりの溶融混練押し出し量が少なくなるため経済的に不利益である。
特許文献3には低酸素雰囲気下でPPS樹脂を硬化させる方法が開示されているものの、特定の条件下で熱酸化処理を行うことにより、優れた溶融流動性と低揮発成分化を両立しえることについては何ら記載されていない。
特許文献4には重合後のPPS樹脂をフラッシュ回収し、130℃以上の熱水で洗浄、濾過した後、酸性水溶液で処理する方法が開示されている。本方法では確かにイオン性不純物や揮発性成分が減少するものの、実施例では乾燥PPSを窒素気流下で180℃、4時間処理しているため揮発性成分の低減効果は小さい。
特開昭63−207827号公報(特許請求の範囲) 特開平6−248078号公報(特許請求の範囲) 特開平1−121327号公報(特許請求の範囲) 特開2002−293934号公報(特許請求の範囲、実施例)
本発明は、溶融流動性に優れ、かつ金属含有量や溶融時の揮発性成分の発生量が少なく、成形安定性、耐湿熱性に優れたPPS樹脂を得ることを課題として検討した結果達成されたものである。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、酸処理を施した比較的低粘度のPPS樹脂を、比較的軽度に熱酸化処理することにより、溶融時の揮発性成分の発生量が著しく減少してかつ溶融流動性に優れ、さらには金属含有量が低減されることにより成形安定性、耐湿熱性に優れたPPS樹脂の製造方法を見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、
1.ポリフェニレンスルフィド樹脂を酸または酸の水溶液に浸漬させて、pH2〜8かつ120〜200℃でポリフェニレンスルフィド樹脂を処理する酸処理工程で酸処理し、次いで熱酸化工程で熱酸化処理することにより、(1)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下であり、かつ、(2)550℃で灰化させたときの灰分率が0.3重量%以下であり、かつ、(3)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残さ量が4.0重量%以下であり、かつ、(4)メルトフローレート(ASTMD−1238−70に準ず。温度315.5℃、荷重5000gにて測定)が500g/10分を越える性質を有するポリフェニレンスルフィド樹脂を製造することを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法、
.PPS樹脂を酸処理する工程の前に80〜200℃で熱水処理する工程を含んでなることを特徴とする、上記1項に記載のPPS樹脂の製造方法、
.PPS樹脂を熱酸化処理する工程において、酸素濃度2体積%以上の雰囲気下、160〜270℃、0.2〜50時間の条件でPPS樹脂を加熱処理することを特徴とする上記1項または2項に記載のPPS樹脂の製造方法、
.PPS樹脂がフラッシュ法で回収されたPPS樹脂であることを特徴とする、上記1項〜項いずれかに記載のPPS樹脂の製造方法、
より構成されるものである。
本発明によれば、溶融時の揮発性成分の発生量が著しく減少してかつ溶融流動性に優れ、さらには金属含有量が低減されることにより成形安定性、耐湿熱性に優れたPPS樹脂が得られる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 0004900365
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 0004900365
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、(1)真空下、320℃で2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下であり、好ましくは0.28重量%以下、さらに好ましくは0.22重量%以下であることが望ましい。熱酸化処理後のガス発生量が0.3重量%を上回ると、金型や金型ベント部に付着する揮発性成分が増加し、転写不良やガスやけが起こりやすくなるため好ましくない。熱酸化処理後のガス発生量の下限については特に制限しないが、ガス発生量を低減するまで熱酸化処理する時間が長くなると、経済的に不利であり、また、熱酸化処理する時間の長期化により、ゲル化物が生じ易くなり、成形不良を引き起こす一因となり得る。
なお、上記ガス発生量とは、PPS樹脂を真空下で加熱溶融した際に揮発するガスが、冷却されて液化または固化した付着性成分の量を意味しており、PPS樹脂を真空封入したガラスアンプルを、管状炉で加熱することにより測定されるものである。ガラスアンプルの形状としては、腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmである。具体的な測定方法としては、PPS樹脂を真空封入したガラスアンプルの胴部のみを320℃の管状炉に挿入して2時間加熱することにより、管状炉によって加熱されていないアンプルの首部で揮発性ガスが冷却されて付着する。この首部を切り出して秤量した後、付着したガスをクロロホルムに溶解して除去する。次いで、この首部を乾燥してから再び秤量する。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差よりガス発生量を求める。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、(2)550℃で灰化させたときの灰分率が0.3重量%以下であり、好ましくは0.2重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である。灰分率が0.3重量%を上回ることは、PPS樹脂の金属含有量が多いことを意味する。金属含有量が多いと電気絶縁性が劣るだけでなく、溶融流動性の低下、耐湿熱性の低下の原因になるため好ましくない。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、(3)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解して、ポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残さ量が4.0重量%以下である必要があり、好ましくは3.5重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以下であることが望ましい。残さ量が4.0重量%を上回ることは、PPS樹脂の熱酸化架橋が過度に進行し、樹脂中のゲル化物の増加を意味する。PPS樹脂の熱酸化架橋を過度に進行させても、揮発分低減効果は少なく、一方で溶融流動性の低下、ゲル化物による成形不良等の原因になるため好ましくない。残さ量の下限については特に制限しないが、1.5%以上、好ましくは1.7%以上である。残さ量が1.5%を下回ると、熱酸化架橋の程度が軽微すぎるため、溶融時の揮発成分はそれほど減少せず、揮発分低減効果が小さい可能性がある。
なお、上記残さ量は、PPS樹脂を約80μm厚にプレスフィルム化したものを試料とし、高温濾過装置および空圧キャップと採集ロートを具備したSUS試験管を用いて測定されるものである。具体的には、まずSUS試験管にポアサイズ1μmのメンブランフィルターをセットした後、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂および20倍重量の1−クロロナフタレンを秤量して密閉する。これを250℃の高温濾過装置にセットして5分間加熱振とうする。次いで空圧キャップに空気を含んだ注射器を接続してから注射器のピストンを押し出し、空圧による熱時濾過を行う。残さ量の具体的な定量方法としては、濾過前のメンブランフィルターと濾過後に150℃で1時間真空乾燥したメンブランフィルターの重量差より求める。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、(4)メルトフローレート(ASTM D−1238−70に準ず。温度315.5℃、荷重5000gにて測定)が500g/10分を超える範囲である必要がある。メルトフローレートが500g/10分以下であると、特にフィラーを高充填して使用する場合にPPS樹脂組成物の溶融流動性が著しく悪化し、成形が不安定となるため好ましくない。本発明の製造方法により得られるPPS樹脂の溶融粘度の上限については特に制限はないが、実用に耐える強度を有する樹脂(組成物)を得る観点から、1Pa・s(300℃、剪断速度1000/秒)以上であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は上記(1)〜(4)の性質をすべて満足する必要がある。
本発明は、PPS樹脂を酸処理し、次いで熱酸化処理をすることにより、特定の性質を有するPPS樹脂をうる方法であるが、この本発明において必須の酸処理および熱酸化処理を施す前のPPS樹脂はいかなる方法で得られたものでも良く、したがって、市販されているPPS樹脂を用いることもできるし、以下に述べるようにモノマーを重合して製造することもできる。
以下に、本発明の必須の酸処理および熱酸化処理を施す前のPPS樹脂を製造する方法を述べる。 まず、使用するポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選択される。
[分子量調節剤]
生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度のPPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩および/または水が好ましく用いられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)n(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これら重合助剤を用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜0.7モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いることは、流動性と高靭性が高度にバランスした樹脂組成物を得る上で有効な手段の一つである。その場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.5モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが添加が容易である点からより好ましい。
次に、前工程、重合反応工程、回収工程を順を追って具体的に説明する。
[前工程]
スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.5〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂粉粒体を製造することが好ましい。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選択される。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
[回収工程]
重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。
PPS樹脂の最も好ましい回収方法は、急冷条件下に行うことであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2 以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉粒体状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
フラッシュ法は、溶媒回収と同時に固形物を回収することができ、また回収時間も比較的短くできることから、経済性に優れた回収方法である。この回収方法では、固化過程でNaに代表されるイオン性化合物や有機系低重合度物(オリゴマー)がポリマー中に取り込まれやすい傾向がある。
但し、本発明の製造方法に用いられるPPS樹脂の回収法は、フラッシュ法に限定されるものではない。本発明の要件を満たす方法であれば、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法(クエンチ法)を用いることもやぶさかではない。しかし、経済性、性能を鑑みた場合、本発明の製造方法はフラッシュ法で回収されたPPS樹脂を用いることがより好ましい。
次に本発明の必須要件であるPPS樹脂の酸処理と熱酸化処理について詳述する。
本発明のPPS樹脂の製造方法は、たとえば上記重合反応工程、回収工程を経て得られたPPS樹脂を酸処理工程で酸処理することが必須であり、酸処理する工程の前に熱水処理する工程を含んでなることが好ましい。また、酸処理する工程や熱水処理する工程の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよい。
本発明における酸処理に用いる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなPPS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸の水溶液を用いるときの水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。酸の水溶液は、pH1〜7が好ましく、pH2〜4がより好ましい。pHが7より大きいとPPS樹脂の金属含有量が増大するため好ましくなく、pHが1より小さいとPPS樹脂の揮発成分が多くなるため好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめ、必要により適宜撹拌および加熱することも可能である。加熱する際の温度は120〜200℃であり、150〜200℃が好ましい。120℃未満では酸処理効果が小さく、金属含有量が増大し、200℃を超えると圧力が高くなりすぎるため安全上好ましくない。また、酸の水溶液でPPS樹脂を浸漬せしめて処理した際のpHは、酸処理によりpH2〜8となるようにする。pHが8より大きくなると得られるPPS樹脂の金属含有量が増大するため好ましくない。
酸処理の時間は、PPS樹脂と酸の反応が十分に平衡となる時間が好ましく、80℃で処理する場合は2〜24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01〜5時間が好ましい。
酸処理におけるPPS樹脂と酸または酸の水溶液との割合は、PPS樹脂が酸または酸の水溶液中に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PPS樹脂500gに対して、酸または酸の水溶液0.5〜500Lが好ましく、1〜100Lがより好ましく、2.5〜20Lがさらに好ましい。PPS樹脂500gに対して酸または酸の水溶液が0.5Lより少ないとPPS樹脂が水溶液に十分浸漬しないため洗浄不良となり、PPS樹脂の金属含有量が増大するため好ましくない。また、PPS樹脂500gに対して、酸または酸の水溶液が500Lを超えると、PPS樹脂に対する溶液量が大過剰となり生産効率が著しく低下するため好ましくない。
これらの酸処理は所定量の水および酸に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に酸処理を施す方法などにより行われる。酸処理後の処理溶液から水溶液とPPS樹脂を分離する方法はふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。処理液から分離されたPPS樹脂表面に残留している酸や不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法は濾過装置上のPPS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPPS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPPS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
本発明では酸処理する工程の前に熱水処理を行うことが好ましく、その方法は次のとおりである。本発明における熱水処理に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理温度は80〜250℃が好ましく、120〜200℃がより好ましく、150〜200℃がさらに好ましい。80℃未満では熱水処理効果が小さく、揮発するガス発生量が多くなり、250℃を超えると圧力が高くなりすぎるため安全上好ましくない。
熱水処理の時間は、PPS樹脂と熱水による抽出処理が十分である時間が好ましく、80℃で処理する場合は2〜24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01〜5時間が好ましい。
熱水処理におけるPPS樹脂と水との割合は、PPS樹脂が水に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PPS樹脂500gに対して、水0.5〜500Lが好ましく、1〜100Lがより好ましく、2.5〜20Lがさらに好ましい。PPS樹脂500gに対して水が0.5Lより少ないとPPS樹脂が水に十分浸漬しないため洗浄不良となり、揮発するガス発生量が増大するため好ましくない。また、PPS樹脂500gに対して、水が500Lを超えると、PPS樹脂に対する水が大過剰となり生産効率が著しく低下するため好ましくない。
これらの熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。熱水処理後の処理溶液から水溶液とPPS樹脂を分離する方法に特に制限は無いが、ふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。処理液から分離されたPPS樹脂表面に残留している不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法に特に制限は無いが、濾過装置上のPPS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPPS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPPS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
また、これら酸処理や熱水処理時のPPS末端基の分解は好ましくないので、酸処理や熱水処理を不活性雰囲気下とすることが望ましい。不活性雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどがあげられるが、経済性の観点から窒素雰囲気下が好ましい。
本発明では酸処理する工程や熱水処理する工程の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよく、その方法は次のとおりである。本発明でPPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
これら酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄は、これらを適宜組み合わせて行うことも可能である。
本発明では熱酸化処理する前に、PPS樹脂を酸処理することにより、初めて溶融流動性に優れ、かつ金属含有量や溶融時の揮発成分の発生量が少なく、成形安定性、耐湿熱性に優れたPPS樹脂が得られることを見いだしたものである。熱酸化処理をする前に、PPS樹脂を酸処理しないと、優れた溶融流動性と溶融時の揮発成分の抑制を両立することができず、結果として、成形性、耐湿熱性に優れたPPS樹脂を得ることができない。
本発明のPPS樹脂の製造方法は、上記酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄をした後に、熱酸化処理を行う。熱酸化処理とは、PPS樹脂を、酸素雰囲気下においての加熱またはH等の過酸化物もしくはS等の加硫剤を添加しての加熱による処理を施すことであるが、処理の簡便さから酸素雰囲気下においての加熱が特に好ましい。
本発明の熱酸化処理のための加熱装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率良く、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましく、パドル式ドライヤー、流動層乾燥機、KIDドライヤー、スチームチューブドライヤー、さらにはインクラインドディスクドライヤー、ホッパードライヤー、縦型撹拌乾燥機などが例示できる。なかでもパドル式ドライヤーや流動層乾燥機、KIDドライヤーが均一かつ効率的に加熱する上で好ましい。熱酸化処理の際の雰囲気における酸素濃度は2体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、安全操業的に50体積%程度が限界であり、25体積%以下がより好ましい。熱酸化処理において酸素濃度が2体積%以上となれば、酸素、空気、オゾンなどの酸化性ガスに、窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気などの非酸化性の不活性ガスを混入しても問題ない。加熱装置内で熱酸化処理が行うことができれば、加熱装置の上部、下部、側面のどの位置から酸化性ガスや不活性ガスを導入しても特に制限はないが、より簡便な方法としては加熱装置上部からのガスの導入が挙げられる。また、酸化性ガスや不活性ガスは、加熱装置導入前に混合させてから装置に導入してもよいし、加熱装置の異なる場所から別々に酸化性ガスと不活性ガスを混入してもよい。本発明の熱酸化処理温度は、160〜270℃が好ましく、より好ましくは160〜220℃である。270℃を上回る温度で熱酸化処理を行うと、熱酸化処理が急激に進行するため、その制御が困難となり流動性が著しく低下するため好ましくない。一方、160℃未満の温度では、熱酸化処理の進行が著しく遅く揮発成分の発生量が多くなるため、好ましくない。処理時間は、0.2〜50時間が挙げられ、0.2〜25時間がより好ましく、0.3〜15時間が更に好ましく、0.5〜10時間が一段と好ましく、1〜5時間が一層好ましい。処理時間が0.2時間未満であると十分な熱酸化処理が行えず揮発成分が多いため好ましくなく、処理時間が50時間を超えると熱酸化処理による架橋反応が進行して流動性が低下すると同時に、250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残さ量が多くなり成形安定性が低下するため好ましくない。
また熱酸化処理の前後に、熱酸化架橋を抑制し、水分除去を目的として乾式熱処理を行うことも可能である。その温度は100〜270℃が好ましく、120〜200℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.2〜50時間が好ましく、0.2〜25時間がより好ましく、0.3〜15時間が更に好ましく、0.5〜10時間が一段と好ましく、1〜5時間が一層好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率良く、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましく、パドル式ドライヤー、流動層乾燥機、KIDドライヤー、スチームチューブドライヤー、さらにはインクラインドディスクドライヤー、ホッパードライヤー、縦型撹拌乾燥機などが例示できる。
かくして本発明の製造方法により得られたPPS樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形品、フィルム、シート、繊維などに適用することが可能であるが、特に射出成形用途に好適に適用される。
なお、本発明の効果を得る上で、本発明の製造方法により得られるPPS樹脂を100%用いて成形品とすることが最も好ましいが、必要に応じ、上記条件を満たさないPPS樹脂とブレンド使用する事を排除するものではない。ブレンド比率としては、本発明の製造方法により得られるPPS樹脂を75〜25%(例えば75%、50%、25%)ブレンドするなど適宜必要に応じ選択することは可能である。
また本発明の製造方法により得られるPPS樹脂には本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を添加することも可能である。例えば、柔軟性の高い熱可塑性樹脂を少量添加することにより柔軟性及び耐衝撃性を更に改良することが可能である。但し、この量が組成物全体の50重量%を超えるとPPS樹脂本来の特徴が損なわれるため好ましくなく、特に30重量%以下の添加が好ましく使用される。熱可塑性樹脂の具体例としては、エポキシ基含有オレフィン系共重合体、その他のオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、その他、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を越えるとPPS樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の添加がよい。
また、本発明の製造方法により得られるPPS樹脂には機械的強度、靱性などの向上を目的に、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシランを添加してもよい。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
かかるシラン化合物の好適な添加量は、PPS樹脂100重量部に対し、0.05〜5重量部の範囲が選択される。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で充填材を配合して使用することも可能である。かかる充填材の具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはタルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、カーボンナノチューブ、フラーレン、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これらの充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
かかる無機フィラーの配合量は通常、PPS樹脂100重量部に対し、0.0001〜500重量部の範囲が好ましく、0.001〜400重量部の範囲がより好ましい。無機フィラーの含有量は、強度と剛性、その他特性のバランスから用途により適宜変えることが可能である。
混練機は、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に供給してPPS樹脂の融解ピーク温度+5〜60℃の加工温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。副原料を用いる際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
このようにして得られる本発明のPPS樹脂(組成物)は、特に射出成形用途に適しており、その具体的用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体封止部品、液晶表示装置部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナー、エンジンコントロールユニットケース、エンジンドライバーユニットケース、コンデンサーケース、モーター絶縁材料、ハイブリッドカーの制御系部品ケースなどの自動車・車両関連部品、その他の各種用途が例示できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例において、材料特性については下記の方法により行った。
[ガス発生量]
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにPPS樹脂3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプルの首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差をガス発生量(重量%)とした。
[灰分率]
予め550℃で空焼きしたルツボにサンプル5gを精秤し、550℃の電気炉に24時間入れて灰化させた。ルツボに残った灰分量を精秤し、灰化前のサンプル量との比率を灰分率(重量%)とした。
[残さ量]
空圧キャップと採集ロートを具備したセンシュー科学製のSUS試験管に、予め秤量しておいたポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターをセットし、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂100mgおよび1−クロロナフタレン2gを計り入れてから密閉した。これをセンシュー科学製の高温濾過装置SSC−9300に挿入し、250℃で5分間加熱振とうしてPPS樹脂を1−クロロナフタレンに溶解した。空気を含んだ20mLの注射器を空圧キャップに接続した後、ピストンを押出して溶液をメンブランフィルターで濾過した。メンブランフィルターを取り出し、150℃で1時間真空乾燥してから秤量した。濾過前後のメンブランフィルター重量の差を残さ量(重量%)とした。
[メルトフローレート(MFR)]
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。但し、MFRが1000g/10分を超える低粘度品は流動性が高すぎるため本測定方法では測定が困難である。溶融粘度の低いPPS樹脂(例えば、実施例11〜18、比較例14〜17)は、下記のキャピログラフによる溶融粘度の測定を行った。なお、MFR=500g/10分のPPS樹脂の溶融粘度を測定したところ約80Pa・s(300℃、剪断速度1000/秒)であった。架橋度などに大きな違いがなく溶融粘度の剪断速度、温度依存性に大きな違いがない場合、PPS樹脂の溶融粘度が80Pa・sより低い時は、MFRが500g/10分を超えることをあらわしている。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、300℃で溶融粘度の測定を行った。
[降温結晶化温度(Tmc)の測定]
パーキンエルマー社製DSC7を用い、サンプル量約10mg、窒素雰囲気下、昇温・降温速度20℃/分で、
(1)50℃から340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(2)100℃まで降温
(3)再度340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(4)再度100℃まで降温
した際、(4)にあらわれる降温結晶化ピーク温度を降温結晶化温度(Tmc)とした。
[成形安定性]
PPS樹脂を100重量部、ガラス繊維(日本電気硝子社製ECS03TN−103/P)67重量部をドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5)を用い、スクリュー回転数300rpmでシリンダー出樹脂温度が320℃となるように温度を設定し、溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。120℃で一晩乾燥したペレットを、ファナックロボショットα−30i射出成形機(ファナック社製)に供し、射出速度300mm/秒、射出圧力40MPa、シリンダー設定温度300℃、金型温度150℃、射出時間1秒、冷却時間20秒、スクリュー回転数100rpm、背圧1MPa、サックバック10mmの条件で、棒状成形品(幅12.7mm、厚み0.5mm、サイドゲート0.5mm×5.0mm)を連続成形し、成形品の長さを棒流動長として測定した。最初の20ショットを捨てた後、100ショットの棒流動長の最大と最小の差を求め、100ショットの平均棒流動長に対して最大と最小の差が5%以下のものを成形安定性が「優れる(A)」、5%〜10%のものを「良好(B)」、10%を超えるものを「劣る(C)」とした。
[耐湿熱性]
PPS樹脂を100重量部、ガラス繊維(日本電気硝子社製ECS03TN−103/P)67重量部ドライブレンドした後、日本製鋼所社製TEX30α型2軸押出機(L/D=45.5)を用い、スクリュー回転数300rpmでシリンダー出樹脂温度が320℃となるように温度を設定し、溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。120℃で一晩乾燥したペレットを、射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて樹脂温度300℃、金型温度150℃で80mm×80mm×2.0mm厚の試験片を作成した。得られた試験片上に20mm×20mm×0.5mm厚の銅板を置き、温度60℃、湿度90%の恒温恒湿槽に設置し、10日間(240時間)湿熱処理を行った。処理後の銅板を目視確認し、銅板表面に変化が無いものを「良好(B)」、銅板表面に変色があるものを「劣る(C)」とした。
[参考例1]PPS−1の調製
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.4g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13860.0g(140.0モル)、酢酸ナトリウム1894.2g(23.1モル)、及びイオン交換水10500.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14772.1gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.023モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10646.7g(72.4モル)、NMP6444.9g(65.1モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で70分保持した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水53リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してPPS−1のケーク18000g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。
[参考例2]PPS−2の調製
重合時に酢酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は、参考例1と同様にして重合を行い、PPS−2のケーク16800g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。
[比較例1]
PPS−1に熱水処理、酸処理、および熱酸化処理を施さなかった。
[比較例2]
PPS−1に熱水処理および酸処理を施さずに熱酸化処理を施した。
熱酸化処理したPPS−1の粉末を容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、表1に示す条件で熱酸化処理を施した。なお、酸素濃度12%での熱酸化処理は、空気1.0リットル/分、窒素0.96リットル/分を加熱装置に導入し、酸素濃度計を加熱装置内に設置して酸素濃度を測定した。
[比較例3、4]
PPS−1に熱水処理を施さずに酸処理を施し、その後熱酸化処理は施さなかった。
比較例3、4ではPPS−1のケーク18000g、イオン交換水40リットル、および酢酸700g(比較例3)または酢酸43g(比較例4)を撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持して酸処理を施した。酸処理時のpHは表1のとおりであった。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次いで、70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下120℃で4時間乾燥し、酸処理を施したPPS−1の粉末を得た。
[実施例1〜4、比較例5〜11]
PPS−1に熱水処理を施さずに酸処理を施した。
実施例1〜4、比較例5〜11では、PPS−1のケーク18000g、イオン交換水40リットル、および酢酸700g(実施例1、4、比較例5、7〜10)または酢酸43g(実施例2、3、比較例6)または酢酸7g(比較例11)を撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃(実施例1〜4、比較例5〜9、11)または70℃(比較例10)まで昇温し、30分保持して酸処理を施した。酸処理時のpHは表1のとおりであった。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次いで、70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下120℃で4時間乾燥し、酸処理を施したPPS−1の粉末を得た。
酸処理したPPS−1の粉末を容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、表1に示す条件で熱酸化処理を施した。なお、酸素濃度12%での熱酸化処理(実施例1、4、比較例5、7〜11)は、空気1.0リットル/分、窒素0.96リットル/分を加熱装置に導入し、酸素濃度計を加熱装置内に設置して酸素濃度を測定した。酸素濃度21%での熱酸化処理(実施例2、3、比較例6)は、空気1.96リットル/分の空気雰囲気下で行った。
[実施例5〜10、比較例13]
PPS−1に熱水処理を施した後に酸処理を施し、その後熱酸化処理を施した。
実施例5〜10、比較例13では、PPS−1のケーク18000g、イオン交換水40リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持して熱水処理を施した。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケーク、イオン交換水40リットル、および酢酸700g(実施例5、7〜10、比較例13)または酢酸43g(実施例6)を撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持して酸処理を施した。酸処理時のpHは表1のとおりであった。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次いで、70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下120℃で4時間乾燥し、熱水処理および酸処理を施したPPS−1の粉末を得た。その後、熱水処理および酸処理を施したPPS−1の粉末を表1に示す条件で熱酸化処理を施した。酸素濃度2%での熱酸化処理(実施例10)は、空気0.18リットル/分、窒素1.78リットル/分を加熱装置に導入し、酸素濃度計を加熱装置内に設置して酸素濃度を測定した。酸素濃度12%での熱酸化処理(実施例5、6、8、9)または21%での熱酸化処理(実施例7)時の空気および窒素量は実施例1〜4、比較例5〜11と同様である。酸素濃度0%での熱酸化処理(比較例13)は、窒素量1.96リットル/分の窒素雰囲気下で行った。
[比較例12]
比較例12では、酸処理を施さなかったこと以外は実施例5と同様の方法で熱水処理、熱酸化処理を施した。
得られたPPS樹脂のガス発生量、灰分率、残さ量、MFR、およびTmcの測定結果を表1に示す。
実施例1〜10からわかるように、酸処理時のpHや温度、および熱酸化処理時の温度、時間、そして酸素濃度を制御することにより、MFRが500g/10分を超える溶融粘度を有しながら、ガス発生量、灰分率、残さ量が少ないPPS樹脂を得られることがわかる。
また、成形安定性および耐湿熱性の評価結果も表1に示す。ガス発生量、灰分率、残さ量が低く、MFRが500g/10分を超えるPPS樹脂を用いることで初めて成形安定性や耐湿熱性が良好となることがわかる。
一方、比較例1では酸処理を施していないためMFRが低く灰分量が高く、更に熱酸化処理を施していないためガス発生量が多い。比較例2では熱酸化処理を施しているが酸処理を施していないため、MFRが低く灰分量が高い。比較例3、4では酸処理を施しているが熱酸化処理を施していないため、ガス発生量が多い。比較例5、6では熱酸化処理温度が低いため、ガス発生量が多い。比較例7では熱酸化処理時間が短いため、ガス発生量が多い。比較例8では熱酸化処理時間が長いため、残さ量が多くMFRが低い。比較例9では熱酸化処理温度が高いため、残さ量が多くMFRが低い。比較例10では酸処理温度が低いため、灰分率が高くMFRが低い。比較例11ではpHがアルカリ性であり酸処理効果が発現しないため、灰分率が高くMFRが低い。比較例12では酸処理を施していないため、灰分率が高くMFRが低い。比較例13では熱酸化処理時の酸素濃度が低すぎるため酸化による不純物除去効果が低くガス発生量が多い。
比較例1〜13ではこれら問題点を有しているため、成形安定性および耐湿熱性の評価では良好な結果が得られないことが表1からわかる。
Figure 0004900365
[比較例14]
PPS−2を熱水処理、酸処理、および熱酸化処理に施さなかった。
[比較例15]
PPS−2に熱水処理および酸処理を施さずに熱酸化処理を施した。
比較例15では、PPS−2を用いたこと以外は比較例2と同様に行った。
[比較例16、17]
PPS−2に熱水処理を施さずに酸処理を施し、その後熱酸化処理は施さなかった。
比較例16では、PPS−2を用いたこと以外は比較例3と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
比較例17では、PPS−2を用いたこと以外は比較例4と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
[実施例11〜13、比較例18]
PPS−2に熱水処理を施さずに酸処理を施し、その後熱酸化処理を施した。
実施例11では、PPS−2を用いたこと以外は実施例1と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
実施例12では、PPS−2を用いたこと、および熱酸化処理を6時間施したこと以外は実施例2と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
実施例13では、PPS−2を用いたこと以外は実施例4と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
比較例18では、PPS−2を用いたこと、および酸処理の酢酸量を43gとしたこと以外は比較例9と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
[実施例14〜18]
PPS−2に熱水処理を施した後に酸処理を施し、その後熱酸化処理を施した。
実施例14ではPPS−2を用いたこと以外は実施例5と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
実施例15ではPPS−2を用いたこと以外は実施例6と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
実施例16ではPPS−2を用いたこと、および熱酸化処理を200℃、2時間行ったこと以外は実施例7と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
実施例17ではPPS−2を用いたこと以外は実施例8と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
実施例18ではPPS−2を用いたこと以外は実施例10と同様に行った。酸処理時のpHは表2のとおりであった。
得られたPPS樹脂のガス発生量、灰分率、残さ量、MFR、およびTmcの測定結果を表2に示す。
PPS−1よりも溶融粘度の低いPPS−2を用いた実施例11〜18からわかるように、酸処理時のpHや温度、および熱酸化処理時の温度、時間、そして酸素濃度を制御することにより、MFRが500g/10分を超える溶融粘度を有しながら、ガス発生量、灰分率、残さ量が少ないPPS樹脂を得られることがわかる。
また、成形安定性および耐湿熱性の評価結果も表2に示す。ガス発生量、灰分率、残さ量が低く、MFRが500g/10分を超えるPPS樹脂を用いることで初めて成形安定性や耐湿熱性が良好となることがわかる。
一方、比較例14では酸処理を施していないため灰分量が高く、更に熱酸化処理を施していないためガス発生量が多い。比較例15では熱酸化処理を施しているが酸処理を行っていないため、灰分量が高い。比較例16、17では酸処理を施しているが熱酸化処理を行っていないため、ガス発生量が多い。比較例18では熱酸化処理温度が高いため、残さ量が多くMFRが低い。
比較例14〜18ではこれら問題点を有しているため、成形安定性および耐湿熱性の評価では良好な結果が得られないことが表2からわかる。
Figure 0004900365
本発明によれば、溶融流動性に優れ、かつ金属含有量や溶融時の揮発性成分の発生量が少なく、成形安定性、耐湿熱性に優れたPPS樹脂が得られる。

Claims (4)

  1. ポリフェニレンスルフィド樹脂を酸または酸の水溶液に浸漬させて、pH2〜8かつ120〜200℃でポリフェニレンスルフィド樹脂を処理する酸処理工程で酸処理し、次いで熱酸化工程で熱酸化処理することにより、(1)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下であり、かつ、(2)550℃で灰化させたときの灰分率が0.3重量%以下であり、かつ、(3)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解してポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残さ量が4.0重量%以下であり、かつ、(4)メルトフローレート(ASTMD−1238−70に準ず。温度315.5℃、荷重5000gにて測定)が500g/10分を越える性質を有するポリフェニレンスルフィド樹脂を製造することを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法。
  2. ポリフェニレンスルフィド樹脂を酸処理する工程の前に80〜200℃で熱水処理する工程を含んでなることを特徴とする、請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法。
  3. ポリフェニレンスルフィド樹脂を熱酸化処理する工程において、酸素濃度2体積%以上の雰囲気下、160〜270℃、0.2〜50時間の条件でポリフェニレンスルフィド樹脂を加熱処理することを特徴とする、請求項1または2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法。
  4. ポリフェニレンスルフィド樹脂がフラッシュ法で回収されたポリフェニレンスルフィド樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法。
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