JP2023068631A - ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Yuki Okuda
洋一 長谷川
Yoichi Hasegawa
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Abstract

【課題】ポリフェニレンサルファイド樹脂が本来有する優れた機械的強度、難燃性を大きく損なうことなく、耐冷熱衝撃性、耐トラッキング性に優れるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物とその成形品を提供する。【解決手段】(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維を60重量部以上150重量部以下、(C)非繊維状無機充填剤を50重量部以上140重量部以下、および(D)エラストマーを1重量部以上15重量部未満配合してなるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物であって、前記(D)エラストマーが(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有することを特徴とする、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンサルファイド樹脂が本来有する優れた機械的強度、難燃性を大きく損なうことなく、耐冷熱衝撃性、耐トラッキング性に優れるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物とその成形品に関する。
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す場合もある)樹脂は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性、機械的強度、および寸法安定性などに優れているため、電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに広く用いられている。
近年、自動車の電動化に伴い、バスバーなど、金属インサートしてなる樹脂成形品の自動車への搭載が大幅に増加している。自動車の使用環境は多岐に渡るため、環境温度の高低変化があっても金属インサート成形品の割れが発生しない、耐冷熱衝撃性に優れた樹脂組成物が求められる。
加えて、自動車部品は軽量化を目的に薄肉化の要求が高まっているが、一般的に樹脂成形品は、薄肉部ほど機械的強度および難燃性は低下しやすく、これらの特性が向上した樹脂組成物が求められる。
更に、電気電動車は高出力化に伴い、定格電圧が上昇する傾向にあるため、絶縁体表面へ高電圧を印加した際に生じるトラッキング破壊にも耐え得る樹脂成形品が求められる。
PPS樹脂は、他のエンジニアリングプラスチックに比べて耐冷熱衝撃性に劣ることから、特許文献1には、PPS樹脂にアクリル酸エステルを含む反応性オレフィン系共重合体、アクリル酸ブチルを含む未変性オレフィン系共重合体、および無機充填材を配合してなる樹脂組成物が記載されている。また、特許文献2には、PPS樹脂に長手方向に直角な断面の長径と短径の比である異形比が3.0以上である繊維状無機充填剤と非繊維状無機充填剤およびオレフィン系共重合体を配合してなる樹脂組成物が記載されている。
更に、PPS樹脂は、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂等の他のエンジニアリングプラスチックに比べて耐トラッキング性に劣ることから、特許文献3には、PPS樹脂に無機充填剤およびオレフィン系共重合体を所定の量含有することで、耐トラッキング性および耐高低温衝撃性を両立させた樹脂組成物の記載がされている。
特開2017-155221号公報 特願2020-109135号公報 特開2020-105502号公報
しかしながら、特許文献1に開示された樹脂組成物は、耐冷熱衝撃性が改善されているものの、耐トラッキング性は低く、難燃性については具体的な記載がないが、オレフィン系共重合体を多量に配合しているために、難燃性は不十分と考えられる。
特許文献2に開示された樹脂組成物は、耐冷熱衝撃性が改善されているものの、耐トラッキング性と難燃性についての具体的な記載はなく、オレフィン系共重合体を多量に配合しているために、難燃性は不十分と考えられる。
特許文献3に開示された樹脂組成物は、耐トラッキング性および耐高低温衝撃性を両立させているものの、難燃性についての具体的な記載はなく、オレフィン系共重合体を多量に配合しているために、難燃性は不十分と考えられる。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(1)(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維を60重量部以上150重量部以下、(C)非繊維状無機充填剤を50重量部以上140重量部以下、および(D)エラストマーを1重量部以上15重量部未満配合してなるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物であって、前記(D)エラストマーが(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有することを特徴とする、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(2)(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(B)異形断面ガラス繊維を80重量部超150重量部以下配合してなることを特徴とする(1)に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(3)(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(B)異形断面ガラス繊維を100重量部以上150重量部以下配合してなることを特徴とする(1)項または(2)項に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(4)(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(C)非繊維状無機充填剤を60重量部超140重量部以下配合してなることを特徴とする(1)項~(3)項のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(5)前記(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂が、250℃で20倍重量の1-クロロナフタレンに5分間かけて溶融し、ポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が、4.0重量%以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂であることを特徴とする(1)項~(4)項のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(6)(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を0.1重量部以上9重量部未満配合してなることを特徴とする(1)項~(5)項のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(7)前記(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体が、α,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構造を含むオレフィン系共重合体であり、全樹脂組成物を100重量部としたときのα,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構成単位の含有量が、0.01重量部以上0.15重量部未満であることを特徴とする(1)項~(6)項のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
(8)(1)項~(7)項のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなる成形品。
(9)前記成形品が、UL94に準拠して測定した難燃性が、試験片厚み1.5mmt以下においてV-0であることを特徴とする(8)項に記載の成形品。
(10)前記成形品が、IEC60112(2003)に準拠して測定した耐トラッキング性が、175V以上であることを特徴とする(8)項または(9)項に記載の成形品。
(11)前記成形品が、金属インサート成形品である、(8)項~(10)項のいずれかに記載の成形品。
本発明は、異形断面ガラス繊維を使用すると共に、PPS樹脂に、異形断面ガラス繊維、非繊維状無機充填剤、およびエラストマーを所定の割合で配合することにより、PPS樹脂が本来有する優れた機械的強度、難燃性を大きく損なうことなく、耐冷熱衝撃性、耐トラッキング性に優れるPPS樹脂組成物とその成形品を提供することができる。
耐冷熱衝撃性-1の評価に用いた成形品の概略図である。 耐冷熱衝撃性-2の評価に用いた成形品の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(A)PPS樹脂
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 2023068631000001
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2023068631000002
以下に、本発明で用いるPPS樹脂の製造方法を述べる。まず、使用するポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロ-p-キシレン、1,4-ジブロモベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp-ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、全ポリハロゲン化芳香族化合物に対し、p-ジハロゲン化芳香族化合物を70モル%以上、更には90モル%以上とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンなどのN-アルキルピロリドン類、N-メチル-ε-カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選択される。
[分子量調節剤]
生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度のPPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えばアルカリ金属カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、アルカリ金属カルボン酸塩および/または水が好ましく用いられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)(式中、Rは、炭素数1~20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1~3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p-トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これら重合助剤を用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル~0.7モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1~0.6モルの範囲が好ましく、0.2~0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いることは、流動性と高靭性が高度にバランスした樹脂組成物を得る上で有効な手段の一つである。その場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.5モル~15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6~10モルの範囲が好ましく、1~5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02~0.2モル、好ましくは0.03~0.1モル、より好ましくは0.04~0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することがより好ましい。
次に、前工程、重合反応工程、回収工程を、順を追って具体的に説明する。
[前工程]
スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温~150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180~245℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.5~10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂粉粒体を製造することが好ましい。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温~215℃、好ましくは100~215℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃~290℃未満の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01~5℃/分の速度が選択され、0.1~3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250~290℃未満の温度まで昇温し、その温度で通常0.25~50時間、好ましくは0.5~20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃~245℃で一定時間反応させた後、270~290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃~245℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25~10時間の範囲が選択される。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点で次の段階へ昇温することが有効である。
[回収工程]
重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。
PPS樹脂の最も好ましい回収方法は、急冷条件下に行うことであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉粒体状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃~250℃の範囲が選択される。
フラッシュ法は、溶媒回収と同時に固形物を回収することができ、また回収時間も比較的短くできることから、経済性に優れた回収方法である。この回収方法では、固化過程でNaに代表されるイオン性化合物や有機系低重合度物(オリゴマー)がポリマー中に取り込まれやすい傾向がある。
但し、本発明に用いられるPPS樹脂の回収法は、フラッシュ法に限定されるものではない。本発明の要件を満たす方法であれば、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法(クエンチ法)を用いることもできる。しかし、経済性および性能を鑑みた場合、本発明の製造方法はフラッシュ法で回収されたPPS樹脂を用いることがより好ましい。
PPS樹脂の製造工程においては、上記重合反応工程、および回収工程を経た後、熱酸化処理を行うこともできる。また、熱酸化処理工程の前に熱水処理工程、および酸処理工程を行うこともできる。また、酸処理工程や熱水処理工程の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよい。酸処理工程、熱水処理工程、および有機溶媒による洗浄は、これらを適宜組み合わせて行うことも可能である。
酸処理に用いる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなPPS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸の水溶液を用いるときの水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。酸の水溶液は、pH1~7が好ましく、pH2~4がより好ましい。pHが7以下とすることでPPS樹脂の金属含有量が増大しないため好ましく、pHが1以上であることでPPS樹脂の揮発成分量を抑制でき好ましい。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめことが好ましく、必要により適宜撹拌および加熱することも可能である。加熱する際の温度は80~250℃が好ましく、120~200℃がより好ましく、150~200℃がさらに好ましい。80℃以上とすることで酸処理効果が得られ、金属含有量が増大しないため好ましく、250℃以下とすることで圧力上昇も抑制でき安全上好ましい。また、酸の水溶液でPPS樹脂を浸漬せしめて処理した際のpHは、酸処理により8未満となることが好ましく、pH2~8がより好ましい。pHが8未満とすることで得られるPPS樹脂の金属含有量が増大しないため好ましい。
酸処理の時間は、PPS樹脂と酸の反応が十分に平衡となる時間が好ましく、80℃で処理する場合は2~24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01~5時間が好ましい。
酸処理は、PPS樹脂が酸または酸の水溶液中に十分に浸漬された状態で処理することが好ましい。酸処理におけるPPS樹脂と酸または酸の水溶液との割合は、PPS樹脂500gに対して、酸または酸の水溶液0.5~500Lが好ましく、1~100Lがより好ましく、2.5~20Lがさらに好ましい。PPS樹脂500gに対して酸または酸の水溶液が0.5L以上とすることでPPS樹脂が水溶液に十分浸漬するため洗浄不良を抑制でき、PPS樹脂の金属含有量が増大しないので好ましい。また、PPS樹脂500gに対して、酸または酸の水溶液が500L以下とすることで、PPS樹脂に対する溶液量が大過剰にはならず、生産効率が著しく低下することがないため好ましい。
これらの酸処理は所定量の水および酸に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に酸処理を施す方法などにより行われる。酸処理後の処理溶液から水溶液とPPS樹脂を分離する方法はふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。処理液から分離されたPPS樹脂表面に残留している酸や不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法は濾過装置上のPPS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPPS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPPS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
本発明では酸処理する工程の前に熱水処理を行うことが好ましく、その方法は次のとおりである。本発明における熱水処理に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理温度は80~250℃が好ましく、120~200℃がより好ましく、150~200℃がさらに好ましい。80℃以上とすることで熱水処理効果が得られ、揮発するガス発生量を抑制でき、250℃以下とすることで圧力上昇を抑制できるため安全上好ましい。
熱水処理の時間は、PPS樹脂と熱水による抽出処理が十分である時間が好ましく、80℃で処理する場合は2~24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01~5時間が好ましい。
熱水処理におけるPPS樹脂と水との割合は、PPS樹脂が水に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PPS樹脂500gに対して、水0.5~500Lが好ましく、1~100Lがより好ましく、2.5~20Lがさらに好ましい。PPS樹脂500gに対して水が0.5L以上とすることでPPS樹脂が水に十分浸漬するため洗浄不良を抑制でき、揮発するガス発生量が増大しないので好ましい。また、PPS樹脂500gに対して、水が500L以下とすることで、PPS樹脂に対する水が大過剰にはならず、生産効率が著しく低下することがないため好ましい。
これらの熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。熱水処理後の処理溶液から水溶液とPPS樹脂を分離する方法に特に制限は無いが、ふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。処理液から分離されたPPS樹脂表面に残留している不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法に特に制限は無いが、濾過装置上のPPS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPPS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPPS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
また、これら酸処理や熱水処理時のPPS末端基の分解は好ましくないので、酸処理や熱水処理を不活性雰囲気下にて実施することが望ましい。不活性雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどがあげられるが、経済性の観点から窒素雰囲気下が好ましい。
本発明では、酸処理工程や熱水処理工程の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよく、その方法は次のとおりである。本発明でPPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温~300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温~150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
本発明で用いられるPPS樹脂は、好ましくは上記酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄をした後に、熱酸化処理を行うことで得られたものを用いることが好ましい。熱酸化処理とは、PPS樹脂を、酸素雰囲気下においての加熱またはH等の過酸化物もしくはS等の加硫剤を添加しての加熱による処理を施すことであるが、処理の簡便さから酸素雰囲気下においての加熱が特に好ましい。
PPS樹脂の熱酸化処理のための加熱装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。熱酸化処理の際の雰囲気における酸素濃度は1体積%以上、更には2体積%以上とすることが望ましい。本発明の効果を発揮するためには、酸素濃度の上限は5体積%以下が好ましい。酸素濃度5体積%以下で熱酸化処理を行うことで、熱酸化処理が過剰に進行することがなく、熱酸化処理をおこなったPPS樹脂を含む成形品の靭性が損なわれることがない。一方、酸素濃度1体積%以上での熱酸化処理を行うことで、十分な熱酸化処理を行うことができ、揮発成分が少ないPPS樹脂を得ることができるので好ましい。
PPS樹脂の熱酸化処理温度は、160~270℃が好ましく、より好ましくは160~230℃である。270℃以下で熱酸化処理を行うことで、熱酸化処理が急激に進行することがなく、熱酸化処理をおこなったPPS樹脂を含む成形品の靭性が損なわれることがないので好ましい。一方、160℃以上の温度で、熱酸化処理を行うことで、適切な速度で熱酸化処理を進行させることができ、揮発成分の発生量が少ないPPS樹脂を得ることができるので好ましい。
熱酸化処理の処理時間は、0.5~30時間が好ましく、0.5~25時間がより好ましく、2~20時間がさらに好ましい。処理時間を0.5時間以上とすることで十分な熱酸化処理を行うことができ揮発成分が少ないPPS樹脂を得ることができるので好ましい。処理時間を30時間以下とすることで、熱酸化処理による架橋反応を制御することができ、熱酸化処理をおこなったPPS樹脂を含む成形品の靭性を損なうことがないので好ましい。
本発明で好ましく用いられるPPS樹脂のメルトフローレート(ASTM D-1238-70に従って、温度315.5℃、荷重5000gにて測定)は100g/10分以上であることが好ましく、300g/10分であることがより好ましい。上限としては、5000g/10分以下であることが好ましく、3000g/10分以下であることがより好ましい。100g/10分以上であることで、成形性に優れるPPS樹脂を得ることができ、5000g/10分以下であることで、機械強度に優れるPPS樹脂を得ることができるので好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、250℃で20倍重量の1-クロロナフタレンに5分間かけて溶解させ、ポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が4.0重量%以下であることが好ましい。残渣量が4.0重量%を上回ることは、PPS樹脂の熱酸化架橋が過度に進行し、樹脂中のゲル化物の増加を意味する。PPS樹脂の熱酸化架橋を過度に進行させることでPPS樹脂の靭性は低下し、耐冷熱衝撃性が低下し易くなるため好ましくない。残渣量の下限については特に制限しないが、1.5%以上、好ましくは1.7%以上である。残渣量が1.5%を下回ると、熱酸化架橋の程度が軽微すぎるため、溶融時の揮発成分はそれほど減少せず、揮発分低減効果が小さい可能性がある。
なお、上記残渣量は、PPS樹脂を約80μm厚にプレスフィルム化したものを試料とし、高温濾過装置および空圧キャップと採集ロートを具備したSUS試験管を用いて測定されるものである。具体的には、まずSUS試験管にポアサイズ1μmのメンブランフィルターをセットした後、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂および20倍重量の1-クロロナフタレンを秤量して密閉する。これを250℃の高温濾過装置にセットして5分間加熱振とうする。次いで空圧キャップに空気を含んだ注射器を接続してから注射器のピストンを押し出し、空圧による熱時濾過を行う。残さ量の具体的な定量方法としては、濾過前のメンブランフィルターと濾過後に150℃で1時間真空乾燥したメンブランフィルターの重量差より求める。
(B)異形断面ガラス繊維
本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維を60重量部以上150重量部以下配合することが必須である。
本発明の(B)異形断面ガラス繊維は、扁平形状の断面を有するガラス繊維(以下扁平ガラス繊維と略す場合がある)であり、ガラス繊維を長さ方向に垂直に切断した場合の断面において、長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径と垂直方向の最長の直線距離)の比(以下扁平率と略すことがある)が1.3~10であることが好ましい。好ましくは1.5~7であり、さらに好ましくは1.5~5である。この扁平率が1.3以上であると、樹脂組成に良好な耐冷熱衝撃性が備わり、10以下であれば、樹脂組成物が良好な機械的強度を有する。
扁平ガラス繊維は、その断面の長径が10~80μmであることが好ましく、ガラス繊維の紡糸が容易となり、ガラス繊維の強度を高く維持することができる。より好ましくは、15μm以上、50μm以下である。また、その断面の短径が2~20μmであることが好ましく、より好ましくは4μm以上、15μm以下である。
なお、ガラス繊維断面の長径と短径の比(扁平率)は、走査型電子顕微鏡により観察し、無作為に選択した50本のガラス繊維の断面の長径と短径を測定してその比を算出し、その数平均を算出することにより求めた値である。
成形品中における扁平ガラス繊維の配向を等方化することで、成形品の異方性が低減され、耐冷熱衝撃性に優れる成形品を得ることができる。
本発明に用いる(B)異形断面ガラス繊維配合量の下限は、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、60重量部以上である必要があり、80重量部を超えることが好ましく、100重量部以上がさらに好ましい。上限としては、150重量部以下である必要があり、130重量部以下が好ましい。(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維が60重量部未満では、機械的強度および耐冷熱衝撃性が低下し、150重量部超では、難燃性および耐トラッキング性が低下する。
本発明に用いる(B)異形断面ガラス繊維は、収束剤又は表面処理剤で処理されていることが好ましい。収束剤又は表面処理剤としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物およびチタネート系化合物等の官能性化合物が挙げられ、エポキシ含有量の多いエポキシ系化合物が強化繊維の反応性向上の観点から特に好ましい。
扁平ガラス繊維の市販品としては、例えば、日東紡(株)社からCSG3PA-830という商品名で入手でき、日本電気硝子(株)社からT-760FGFという商品名で入手できる。
(C)非繊維状無機充填剤
本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(C)非繊維状無機充填剤を50重量部以上140重量部以下配合することが必須である。
かかる(C)非繊維状無機充填剤の具体例としては、フラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラック、シリカ、黒鉛などが用いられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら非繊維状無機充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これらの非繊維状無機充填剤をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
中でも機械的強度および耐冷熱衝撃性の観点から、炭酸カルシウムであることが好ましい。
本発明に用いる(C)非繊維状無機充填剤の配合量の下限値は、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、50重量部以上である必要があり、60重量部を超えることが好ましい。上限としては、140重量部以下である必要があり、110重量部以下が好ましい。(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(C)非繊維状無機充填剤が50重量部未満では、難燃性および耐トラッキング性が低下し、140重量部を超えると機械的強度および耐冷熱衝撃性が低下する。
(D)エラストマー
本発明のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(D)エラストマーを1重量部以上15重量部未満配合する。(D)エラストマーは、(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有することが必須である。
本発明における(D)エラストマーの配合量の下限としては、1重量部以上である必要があり、3重量部以上が好ましく、6重量部以上がさらに好ましい。上限としては、15重量部未満である必要があり、12重量部以下が好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(D)エラストマーが1重量部未満では、靭性および耐冷熱衝撃性が低下し、15重量部以上では、難燃性が低下する。
本発明に用いる(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体の配合量の下限としては、耐冷熱衝撃性を得る観点から(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましく、2重量部以上がさらに好ましい。(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体の配合量の上限としては、難燃性を得る観点から、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、9重量部未満が好ましく、7重量部以下が好ましく、5重量部以下がさらに好ましく例示できる。
エポキシ基を有するオレフィン系共重合体としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、イソブチレンなどのα-オレフィン単独、または2種以上を重合して得られる(共)重合体、α-オレフィンとアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β-不飽和酸およびそのアルキルエステルとの共重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体(“/”は共重合を表す、以下同じ)、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体などに、エポキシ基を有する単量体成分(官能基含有成分)を導入することにより得られる。官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体などが挙げられる。これらの官能基含有成分を導入する方法は特に制限なく、オレフィン系(共)重合体を(共)重合する際に共重合させたり、オレフィン系(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入させたりするなどの方法を用いることができる。特に有用なオレフィン系(共)重合体に官能基含有成分を導入して得られるエポキシ基を有するオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン-g-メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/1-ブテン-g-メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。あるいは、エチレン、プロピレンなどのα-オレフィンとα,β-不飽和酸のグリシジルエステルに加え、更に他の単量体を必須成分とするエポキシ基含有オレフィン系共重合体もまた好適に用いられる。
中でも耐冷熱衝撃性の観点から、α,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構造を含むオレフィン系共重合体が好ましく、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体がさらに好ましい。α,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構成単位の含有量の下限としては、全樹脂組成物を100重量部としたとき、0.01重量部以上が好ましく、0.03重量部以上がさらに好ましい。α,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構成単位の含有量の上限としては、全樹脂組成物を100重量部としたとき、0.15重量部未満であることが好ましく、0.10重量部以下であることがさらに好ましい。全樹脂組成物を100重量部としたとき、α,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構成単位の含有量を0.01重量部以上とすることで、耐冷熱衝撃性を維持することができ、0.15重量部未満とすることで、難燃性も維持できる。
更に、(D)エラストマーとして、(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体と、(D-2)極性官能基を有しないエラストマーを併用して用いることが優れた成形性、耐冷熱衝撃性を得る上で好ましい。これらの比率に特に制限は無いが、重量比で(D-1)/(D-2)=5/95~95/5が好ましく、(D-1)/D-2)=10/90~90/10の範囲が、成形性、耐冷熱衝撃性のバランスに優れるため、より好ましい。
一方、(D-2)極性官能基を有しないエラストマーとしては、(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を構成するオレフィン系共重合体と同様の共重合体が好ましい。中でも耐冷熱衝撃性の観点から、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体が好ましい。
更に、本発明で用いるPPS樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、機械的強度、靱性などの向上を目的に、シラン系化合物を任意で添加することができる。シラン化合物としては、γ-イソシアネートトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基を有する変性シリコーンオイルなどのシラン化合物を挙げることができる。なかでもエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基を有するアルコキシシランが優れた機械強度、耐冷熱衝撃性を得る上で特に好適である。かかるシラン化合物の好適な添加量は、(A)PPS樹脂100重量部に対し、0.05~3重量部の範囲が選択される。
更に、本発明で用いるPPS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、更に他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないが、その具体例としては、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ビニル芳香族化合物系ブロック共重合体などが挙げられる。
更に、本発明で用いるPPS樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲において、(B)異形断面ガラス繊維に該当しない繊維状充填剤を配合して使用することも可能である。かかる充填剤の具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、セルロースナノファイバー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。また、これらの充填剤をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。
更に本発明のPPS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、高い耐熱性及び熱安定性を保持するために、フェノール系、およびリン系化合物の中から選ばれた1種以上の酸化防止剤を配合することが好ましい。かかる酸化防止剤の配合量は、耐熱改良効果の点からは(A)PPS樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、特に0.02重量部以上であることが好ましく、成形時に発生するガス成分の観点からは、5重量部以下、特に1重量部以下であることが好ましい。また、フェノール系及びリン系酸化防止剤を併用して使用することは、特に耐熱性及び熱安定性保持効果が大きく好ましい。
本発明のPPS樹脂組成物の調製方法には特に制限はないが、各原料を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して、280~380℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法などのいずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも可能である。
このようにして得られる本発明のPPS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に射出成形に適している。
本発明のPPS樹脂組成物からなる成形品は、UL94に準拠して測定した難燃性が試験片厚み1.5mmt以下においてV-0であることが好ましい。これにより、PPS樹脂組成物からなる成形品が、難燃性が求められ、かつ軽量化を目的とした薄肉部を含む製品にも適用可能となる。試験片厚み1.5mmt以下においてV-0の難燃性を発現するためには、元来難燃性が高いポリフェニレンサルファイド樹脂や不燃成分である非繊維状無機充填剤の配合量を増やすことや、燃焼成分であるエラストマーの配合量を減らすことで可能であるが、ポリフェニレンサルファイド樹脂の配合量を増やすことで耐トラッキング性が低下する欠点がある。また、非繊維状無機充填剤の配合量を増やすことで機械的強度および耐冷熱衝撃性が低下する欠点があり、エラストマーの配合量を減らすことで耐冷熱衝撃性が低下する欠点がある。本発明では(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維の配合量を60重量部以上150重量部以下とし、(C)非繊維状無機充填剤の配合量を50重量部以上140重量部以下とし、(D)エラストマーの配合量を1重量部以上15重量部未満とすることで、難燃性、耐トラッキング性、機械的強度および耐冷熱衝撃性を両立でき、好適である。更に、(D)エラストマーが(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有することで、耐冷熱衝撃性に優れたPPS樹脂組成物を得ることができる。
本発明のPPS樹脂組成物からなる成形品は、IEC60112(2003)に準拠して測定した耐トラッキング性が175V以上であることが好ましい。IEC60664には、自動車部品等の製品に対して、耐トラッキング性が175V未満の材料を、製品の定格電圧630Vを超える製品使用環境の汚染度3の箇所に使用することは望ましくない(使用しないことを検討する必要がある)と記されているため、耐トラッキング性が175V以上である樹脂組成物からなる成形品は、高電圧の印加される製品にも適用可能となる。175V以上の耐トラッキング性を発現するためには、元来耐トラッキング性が低いポリフェニレンサルファイド樹脂の配合量を減らし、ガラス繊維や非繊維状無機充填剤を多量に配合することで可能であるが、機械的強度および耐冷熱衝撃性が低下する欠点があり、また、ガラス繊維を多量に配合することで難燃性が低下する欠点がある。本発明ではガラス繊維に異形断面ガラス繊維を用いることで、175V以上の耐トラッキング性を有し、かつ機械的強度および耐冷熱衝撃性に優れたPPS樹脂組成物を得ることができる。
本発明のPPS樹脂組成物からなる成形品は、ウエルド部や薄肉部およびコーナー部の耐冷熱衝撃性に優れることが好ましい。ウエルド部はガラス繊維の配向の影響により機械強度が弱いため耐冷熱衝撃性に劣り、また、薄肉部およびコーナー部は、耐冷熱衝撃性試験において樹脂と金属の線膨張係数差により発生する応力が集中しやすいため、耐冷熱衝撃性に劣る。ウエルド部や薄肉部およびコーナー部の耐冷熱衝撃性に優れるPPS樹脂組成物からなる成形品は、低温から高温の広い温度域の環境下で使用される製品や軽量化を目的とした薄肉部を含む製品にも適用可能となる。ウエルド部や薄肉部およびコーナー部の耐冷熱衝撃性に優れるためには、エラストマーや異形断面ガラス繊維を多量に配合することで可能であるが、難燃性が低下する欠点がある。本発明では(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維の配合量を60重量部以上150重量部以下とし、(C)非繊維状無機充填剤の配合量を50重量部以上140重量部以下とし、(D)エラストマーの配合量を1重量部以上15重量部未満とし、前記(D)エラストマーが(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有することで、難燃性および耐冷熱衝撃性を両立でき、好適である。
本発明のPPS樹脂組成物は、機械的強度、難燃性、耐冷熱衝撃性、耐トラッキング性に優れていることから、薄肉部を含む成形品および金属インサート成形品、特に電気・電子部品や自動車・車両関連部品などへ適用できる。
その他、本発明のPPS樹脂組成物の適用可能な用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、民生用コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品への適用も可能である。その他、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、ウォーターポンプハウジング、エンジン冷却モジュール、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品など各種用途が例示できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[参考例で製造したPPS樹脂の評価方法]
(1)メルトフローレート(MFR)
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM-D1238-70に準ずる方法で測定した。
(2)残渣量
空圧キャップと採集ロートを具備したセンシュー科学製のSUS試験管に、予め秤量しておいたポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターをセットし、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂100mgおよび1-クロロナフタレン2gを計り入れてから密閉した。これをセンシュー科学製の高温濾過装置SSC-9300に挿入し、250℃で5分間加熱振とうしてPPS樹脂を1-クロロナフタレンに溶解した。空気を含んだ20mLの注射器を空圧キャップに接続した後、ピストンを押出して溶液をメンブランフィルターで濾過した。メンブランフィルターを取り出し、150℃で1時間真空乾燥してから秤量した。濾過前後のメンブランフィルター重量の差を残渣量(重量%)とした。
[参考例]PPSの調製
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.91kg(69.80モル)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.10モル)、及びイオン交換水10.5kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14.78kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
その後200℃まで冷却し、p-ジクロロベンゼン10.45kg(71.07モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温した。270℃で100分反応した後、オートクレーブの底栓弁を開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水76リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した76リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
得られたケークおよびイオン交換水90リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、pHが7になるよう酢酸を添加した。オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水76リットルを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPSを得た。
得られたPPSは、MFRが600g/10分、残渣量が0.7重量%であった。
実施例および比較例に用いられる原料を以下に示す。
(A)PPS樹脂
PPS-1:参考例に記載の方法で重合したPPS樹脂を、酸素濃度2%、220℃、12時間で熱酸化処理を行った。得られたPPSは、MFRが400g/10分、残渣量が1.9重量%であった。
PPS-2:参考例に記載の方法で重合したPPS樹脂を、酸素濃度11%、220℃、12時間で熱酸化処理を行った。得られたPPSは、MFRが100g/10分、残渣量が13重量%であった。
(B)異形断面ガラス繊維
B-1:チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製T-760FGF、3mm長、短径7μm、長径28μm、扁平率4)
(B’)円形断面ガラス繊維
B’-1:チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製T-760H、3mm長、平均繊維径10.5μm、扁平率1)
(C)非繊維状無機充填剤
C-1:重質炭酸カルシウム(三共製粉(株)社製エスカロン#800、50%平均粒子径3.5μm)
(D)エラストマー
D-1(a):エチレン・グリシジルメタクリレート・アクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)社製ボンドファースト7M、エチレン67質量%、グリシジルメタクリレート6質量%、アクリル酸メチル27質量%)
D-1(b):エチレン・グリシジルメタクリレート・アクリル酸メチル共重合体(住友化学(株)社製ボンドファースト7L、エチレン70質量%、グリシジルメタクリレート3質量%、アクリル酸メチル27質量%)
D-2(a):エチレン・アクリル酸n-ブチル共重合体(アルケマ(株)社製ロトリル35BA40)。
[樹脂組成物からなる成形品の測定評価方法]
本実施例および比較例における測定評価方法は以下の通りである。
(1)難燃性
樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度320℃、金型温度145℃に設定した住友重機械工業(株)社製射出成形機(SE-50D)に供給し、UL94に規定されるUL試験片形状の金型を用いて、射出速度120mm/s、試験片の先端まで充填された時の射出圧力に5MPa足した射出圧力、射出時間8s、冷却時間10sの条件にて射出成形し、評価用試験片を得た。この試験片を用いてUL94垂直試験に準拠して難燃性を評価した。難燃性はV-0>V-1>V-2の順に低下しランク付けされ、V-2を満たさないものはVアウトと示される。試験片の厚みは1.5mmと0.7mmを用いた。同じ難燃性のランクでは試験片厚みが薄いほど難燃性に優れ、1.5mm以下でV-0を示すことが好ましい。
(2)耐トラッキング性
樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度320℃、金型温度130℃に設定した住友重機械工業(株)社製射出成形機(SE50DUZ-C160)に供給し、角板(80mm×80mm×3.0mmt)用の金型を用いて、充填時間0.5s、充填圧力の50%の保圧とする条件にて射出成形し、角板(80mm×80mm×3.0mmt)を得た。この試験片を用いて、IEC60112(2003)に準拠して、トラッキング破壊が生じない最大電圧を測定した。電解液は0.1%塩化アンモニウム水溶液を用いた。この最大電圧が大きいほど耐トラッキング性に優れ、175V以上が好ましい。
(3)耐冷熱衝撃性-1
樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度320℃、金型温度130℃に設定した住友重機械工業(株)社製射出成形機(SE-30D)に供給し、中央部に2つの孔を有するカセット形状の金属を金型内にセットし、充填時間0.5s、充填圧力の60%の保圧とする条件にて射出成形し、図1に示す評価用金属インサート試験片を得た。この試験片を、130℃×1時間で処理後、-40℃×1時間で処理することを1サイクルとして、冷熱衝撃処理し、10サイクル毎に目視によりクラックの発生有無を確認した。本試験片は、中央部に孔を設けることで、ウエルド部を意図的に発生させた試験片であり、ウエルド部の耐冷熱衝撃性を想定したものである。クラック発生が認められたサイクル数で耐冷熱衝撃性を評価した。50サイクル以上クラックが発生しなければ実用上問題のない製品レベルといえるが、クラック発生までの処理回数が多いほど耐冷熱衝撃性に優れ、好ましい。
(4)耐冷熱衝撃性-2
樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度320℃、金型温度130℃に設定した住友重機械工業(株)社製射出成形機(SE-50DUZ)に供給し、金属ブロックを金型内にセットし、射出速度100mm/s、試験片の先端まで充填された時の射出圧力に5MPa足した射出圧力、射出時間12sの条件にて射出成形し、図2に示す評価用金属インサート試験片を得た。この試験片を、130℃×1時間で処理後、-40℃×1時間で処理することを1サイクルとして、冷熱衝撃処理し、10サイクル毎に目視によりクラックの発生有無を確認した。本試験片は、最薄部の肉厚が0.6mmと薄く、また、コーナー部に応力が集中しやすい試験片であり、薄肉部およびコーナー部の耐冷熱衝撃性を想定したものである。クラック発生が認められたサイクル数で耐冷熱衝撃性を評価した。300サイクル以上クラックが発生しなければ実用上問題のない製品レベルといえるが、クラック発生までの処理回数が多いほど耐冷熱衝撃性に優れ、好ましい。
(5)引張強度
樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業(株)社製射出成形機(SE-50D)に供給し、ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片形状の金型を用いて、充填時間0.8s、充填圧力の75%の保圧の条件にて射出成形し、評価用試験片を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、つかみ具間距離:115mm、試験速度:5mm/minの条件で、ISO 527-1、-2(2012)に準拠して引張強度を測定した。140MPa以上であれば実用上問題のない製品レベルといえるが、この値が高いほど機械的強度に優れ、好ましい。
[実施例1~7、比較例1~8]
シリンダー温度を320℃、スクリュー回転数を400rpmに設定した、26mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(東芝機械(株)製TEM-26SS)を用いて、参考例1、2で得た(A)PPS樹脂100重量部に対して、(C)非繊維状無機充填剤および(D)エラストマーを表1および表2に示す重量比で原料供給口から添加して溶融状態とし、(B)異形断面ガラス繊維および(B’)円形断面ガラス繊維を表1および表2に示す重量比で中間添加口から供給し、吐出量30kg/時間で溶融混練してPPS樹脂組成物ペレットを得た。このPPS樹脂組成物ペレットを用いて前記の各特性を評価した。その結果を表1および表2に示す。
なお、実施例の表中、「樹脂組成物中のα,β-不飽和酸のグリシジルエステル含有量」とは、全樹脂組成物を100重量部としたときのα,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構成単位の含有量を表す。
Figure 2023068631000003
Figure 2023068631000004
実施例1~7は、(B)異形断面ガラス繊維を用い、(A)~(D)の各成分を所定の配合量にすることで、難燃性(試験片厚み1.5mmt以下V-0)、耐トラッキング性(175V以上)、耐冷熱衝撃性-1(50サイクル以上)、耐冷熱衝撃性-2(300サイクル以上)、および引張強度において、バランスよく優れることがわかった。
比較例1より、(B)異形断面ガラス繊維を使用していないため、耐冷熱衝撃性に劣ることがわかった。
比較例2より、(B)異形断面ガラス繊維が、(A)PPS樹脂100重量部に対して60重量部未満であり、かつ、(C)非繊維状無機充填剤が(A)PPS樹脂100重量部に対して140重量部を超えており、耐冷熱衝撃性および引張強度に劣ることがわかった。
比較例3より、(B)異形断面ガラス繊維が、(A)PPS樹脂100重量部に対して150重量部を超え、かつ、(C)非繊維状無機充填剤が(A)PPS樹脂100重量部に対して50重量部未満であり、難燃性に劣ることがわかった。
比較例4より、(B)異形断面ガラス繊維が、(A)PPS樹脂100重量部に対して60重量部未満であり、かつ、(C)非繊維状無機充填剤が(A)PPS樹脂100重量部に対して50重量部未満であり、耐トラッキング性に劣ることがわかった。
比較例5より、(D)エラストマーを使用しておらず、耐冷熱衝撃性に劣ることがわかった。
比較例6および7より、(D)エラストマーが(A)PPS樹脂100重量部に対して15重量部以上であり、難燃性に劣ることがわかった。
比較例8より、(D)エラストマーが(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有するエラストマーを含まず、耐冷熱衝撃性に劣ることがわかった。
本発明の樹脂組成物は、PPS樹脂が本来有する優れた機械的強度、難燃性を大きく損なうことなく、耐冷熱衝撃性、耐トラッキング性に優れるため、薄肉部を含み、金属インサートされた自動車部品や電気電子部品などの成形品に好適である。
1.インサート金属
2.ゲート
3.金属インサート成形品
4.インサート金属
5.ゲート
6.金属インサート成形品

Claims (11)

  1. (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、(B)異形断面ガラス繊維を60重量部以上150重量部以下、(C)非繊維状無機充填剤を50重量部以上140重量部以下、および(D)エラストマーを1重量部以上15重量部未満配合してなるポリフェニレンサルファイド樹脂組成物であって、前記(D)エラストマーが(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を含有することを特徴とする、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  2. (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(B)異形断面ガラス繊維を80重量部超150重量部以下配合してなることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  3. (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(B)異形断面ガラス繊維を100重量部以上150重量部以下配合してなることを特徴とする請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  4. (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(C)非繊維状無機充填剤を60重量部超140重量部以下配合してなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂が、250℃で20倍重量の1-クロロナフタレンに5分間かけて溶融し、ポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターで熱時加圧濾過した際の残渣量が、4.0重量%以下であるポリフェニレンサルファイド樹脂であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  6. (A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重量部に対して、前記(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体を0.1重量部以上9重量部未満配合してなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  7. 前記(D-1)エポキシ基を有するオレフィン系共重合体が、α,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構造を含むオレフィン系共重合体であり、全樹脂組成物を100重量部としたときのα,β-不飽和酸のグリシジルエステルに由来する構成単位の含有量が、0.01重量部以上0.15重量部未満であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載のポリフェニレンサルファイド樹脂組成物からなる成形品。
  9. 前記成形品が、UL94に準拠して測定した難燃性が、試験片厚み1.5mmt以下においてV-0であることを特徴とする請求項8に記載の成形品。
  10. 前記成形品が、IEC60112(2003)に準拠して測定した耐トラッキング性が、175V以上であることを特徴とする請求項8または9に記載の成形品。
  11. 前記成形品が、金属インサート成形品である、請求項8~10のいずれかに記載の成形品。
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