JP2018141149A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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峻右 近藤
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Abstract

【課題】高い機械的強度を維持したまま、耐熱水性、耐不凍液性に極めて優れるPPS樹脂組成物、および射出成形された成形品の提供。
【解決手段】(A)加熱処理されたポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材を20〜300重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は高い機械的強度を維持したまま、耐熱水、耐不凍液性に極めて優れるPPS樹脂組成物、および射出成形された成形品を提供する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略す)は、剛性、耐熱性、耐熱水性、耐薬品性および成形加工性をバランスよく備えているため、電気・電子部品、水廻り部品および自動車部品などに広く用いられている。
これらの用途には、機械的強度が必要であり、これまで、PPS樹脂をガラス繊維で補強したPPS樹脂組成物や、酸処理を施したPPS樹脂を用いたPPS樹脂組成物などが提案されてきた。
例えば、特許文献1〜3には、機械的強度を発現させる目的で、PPS樹脂にガラス繊維を配合し、また、酸洗浄を施したPPS樹脂を使用したPPS樹脂組成物が開示されている。
また、水廻り部品や自動車冷却部品などの用途においては、耐熱水性や耐湿熱性、耐不凍液性が必要であり、これまで、金属含有量が低減されたPPS樹脂を用いたPPS樹脂組成物や、ある特定の添加剤を添加したPPS樹脂組成物などが提案されてきた。
例えば、特許文献4、5には、耐湿熱性を向上させる目的で、金属含有量を低減したPPS樹脂を使用したPPS樹脂組成物が開示されている。また、特許文献6には、脂肪酸金属塩、特許文献7には、脂肪族ポリカルボジイミド系樹脂を配合したPPS樹脂組成物が開示されている。
一般的に、金属含有量の多いPPS樹脂は、ガラス繊維による補強効果が得られにくく、機械的強度に劣るため、主に繊維用途に好適に使用される旨が、特許文献8〜11に開示されている。
特開2013−133374号公報 特開2010−77347号公報 特開2014−28917号公報 特開2009−144141号公報 特開2016−188289号公報 特開2014−65841号公報 特開2005−239917号公報 特開2013−82761号公報 特開2010−229233号公報 国際公開第2006/059509号 特開2002−332351号公報
本発明は、高い機械的強度を維持したまま、耐熱水、耐不凍液性に極めて優れるPPS樹脂組成物、および射出成形された成形品を提供するものである。
近年の自動車は、搭載される部品点数の増加に伴い、エンジンルーム内の省スペース化のニーズが強くなっている。そのため、製品は小型化され、かつ1つの部品ではなく複数の部品を組み合わせ、複数の機能を一体化したモジュールへと開発がシフトしている。それに伴い、より薄肉、かつ複雑な形状となるため、高い機械的強度が必要となる。
また、自動車冷却部品においては、その内壁面に接して熱水や不凍液などの液体が流れるため、耐熱水性、耐不凍液性に優れるPPS樹脂が使用されているが、製品の高性能化に伴い、より過酷な環境に晒されるため、これまで以上に高い耐熱水性、耐不凍液性が必要となる。
従って、機械的な強度に加え、高温の液体に長期間晒された際に、強度低下しにくい耐熱水、耐不凍液性を有するPPS樹脂が求められている。
しかしながら、特許文献1〜3では、機械的強度に関する記載はあるものの、耐不凍液性に関する具体的な検討は実施されていない。また、特許文献4、6では、耐湿熱性に関する記載があるものの、これらを参考に検証した結果、本発明における耐不凍液性を満足するものではなかった。特許文献5、7では、耐不凍液性、耐熱水性に関する記載はあるものの、機械的強度が不足しており、本発明における機械的強度を満足するものではない。更に、特許文献8では、加熱処理を施していないPPS樹脂を用いているため、本発明における機械的強度を満足するものではなく、また、特許文献9〜11では、機械的強度向上に向け、ガラス繊維を配合するなどの具体的な検討は実施されていない。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、下記を提供するものである。
(1)(A)加熱処理されたポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材を20〜300重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、下記条件(i)、(ii)および(iii)を満たすポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(i)溶融結晶化温度ピークが、100〜210℃である。
(ii)ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片を用い、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠し測定した引張強度が175MPa以上である。
(iii)ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片を用い、不凍液に、135℃、2,000時間浸漬処理した後、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠し測定した引張強度の、上記(ii)で測定した引張強度に対する引張強度保持率が75%以上である。
(2)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の加熱処理が、酸素濃度2体積%以下の雰囲気下、210〜270℃で0.2〜50時間の加熱処理である(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(3)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の加熱処理が、酸素濃度2体積%を超える雰囲気下、160〜270℃で0.1〜17時間の加熱処理である、(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(4)前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、1,000ppmを超えるナトリウムを含有するポリフェニレンスルフィド樹脂である(1)〜(3)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(5)前記(B)無機充填材が、エポキシ基を含む収束剤で処理されたガラス繊維を含む(1)〜(4)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(6)前記ガラス繊維の強熱減量が、0.5重量%以上である(5)に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(7)前記(A)加熱処理されたポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、さらにアミド基含有化合物を0.01〜3.0重量部配合してなる(1)〜(6)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
(9)前記成形品が、不凍液に触れる成形品である請求項8に記載の成形品。
(10)前記成形品が、ハウジングと、該ハウジングに内包されたバルブと、該ハウジングに結合された少なくとも3つ以上のパイプとを含み、該ハウジングの内部に流れる液体の流量、および流路が、該ハウジングに内包されたバルブの開閉により制御される成形品である(8)または(9)に記載の成形品。
本発明は、加熱処理をしたPPS樹脂と無機充填材を特定量配合することで得られる、溶融結晶化温度が低く、引張強度が高く、高温の不凍液処理を行った後の引張強度保持率が高いPPS樹脂組成物が、高い機械的強度と、優れた耐熱水性、耐不凍液性とを両立し、不凍液に接触する成形品に好適であることを見いだしたものである。本発明のPPS樹脂組成物は、水廻り部品や自動車冷却部品に有用であり、特に、複数の部品を組み合わせた小型、複雑形状の自動車冷却部品に有用である。
ハウジングと、該ハウジングに内包されたバルブと、該ハウジングに結合された少なくとも3つ以上のパイプとを含む成形品の概略図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性が必要とされるため、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂)を含む組成物である。
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
以下に、本発明の製造方法において使用するポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp−ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のPPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるスルフィド化剤も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からスルフィド化剤を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いることが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選択される。
[分子量調節剤]
生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度のPPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば、有機カルボン酸金属塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
上記有機カルボン酸金属塩とは、一般式R(COOM)(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1〜3の整数である。)で表される化合物である。有機カルボン酸金属塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。有機カルボン酸金属塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
有機カルボン酸金属塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記有機カルボン酸金属塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これら重合助剤を用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル〜0.7モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1〜0.6モルの範囲が好ましく、0.2〜0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いることは、流動性と高靭性が高度にバランスした樹脂組成物を得る上で有効な手段の一つである。その場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.5モル〜15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6〜10モルの範囲が好ましく、1〜5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤として有機カルボン酸金属塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述の有機カルボン酸金属塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02〜0.2モル、好ましくは0.03〜0.1モル、より好ましくは0.04〜0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが容易である点からより好ましい。
次に、前工程、重合反応工程、回収工程を、順を追って具体的に説明する。
[前工程]
スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180〜260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.5〜10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200〜290℃の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂を製造することが好ましい。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機極性溶媒にスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を加える。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は特に制限はなく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃〜290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01〜5℃/分の速度が選択され、0.1〜3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250〜290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25〜50時間、好ましくは0.5〜20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば、200℃〜260℃で一定時間反応させた後、270〜290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃〜260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25〜10時間の範囲が選択される。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点で次の段階に移行することが有効である。
[回収工程]
重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。
PPS樹脂の好ましい回収方法は急冷条件下に行うことであり、好ましい一つの回収方法としてフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm2 以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉粒体状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には、例えば、常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃〜250℃の範囲が選択される。
フラッシュ法は、溶媒回収と同時に固形物を回収することができ、また回収時間も比較的短くできることから、経済性に優れた回収方法である。この回収方法では、固化過程でNaに代表されるイオン性化合物や有機系低重合度物(オリゴマー)がポリマー中に取り込まれやすい傾向がある。
但し、本発明の製造方法に用いられるPPS樹脂の回収法は、フラッシュ法に限定されるものではなく、本発明の要件を満たす方法であれば、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法(クエンチ法)を用いてもよい。しかし、経済性、性能を鑑みた場合、フラッシュ法で回収されたPPS樹脂を用いることがより好ましい。
[洗浄工程]
本発明では上記重合反応工程、回収工程で得られたポリマーを特定の条件で洗浄する工程が必須であり、その洗浄工程は(1)重合により得られたポリマーを80〜200℃の熱水で1回以上洗浄する工程、(2)濾過することにより濾過液とポリマーとを分離する工程、(3)分離したポリマーを、アルカリ金属を含む水溶液、アルカリ土類金属を含む水溶液、または熱水から選ばれる1種以上の水溶液に浸漬させて80〜200℃で1回以上洗浄する工程、である。以下に各工程を具体的に説明する。
(1)重合により得られたポリマーを80〜200℃の熱水で1回以上洗浄する工程
本発明における熱水処理に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましいが、熱水処理後のpHがアルカリ性となるようにアルカリ金属水酸化物などを添加してもよい。特に、熱水処理中のpHが10以上であれば、カルボン酸末端を持つ不純物の除去率が高くなり、熱処理時に揮発成分を低減しやすくなるために好ましい。また、熱水処理温度は80〜200℃が必要であり、120〜200℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。80℃未満では熱水処理効果が小さく揮発性成分が多くなり、200℃を超えると圧力が高くなりすぎるため安全上好ましくない。
熱水処理の時間は、PPS樹脂と熱水による抽出処理が十分である時間が好ましく、例えば、80℃で処理する場合は2〜24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01〜5時間が好ましい。
熱水処理におけるPPS樹脂と水との割合は、PPS樹脂が水に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PPS樹脂500gに対して、水0.5〜500Lが好ましく、1〜100Lがより好ましく、2.5〜20Lがさらに好ましい。PPS樹脂500gに対して水が0.5Lより少ないとPPS樹脂が水に十分浸漬しないため洗浄不良となり、揮発性成分が増大するため好ましくない。また、PPS樹脂500gに対して、水が500Lを超えると、PPS樹脂に対する水が大過剰となり生産効率が著しく低下するため好ましくない。
これらの熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。
また、熱水処理前に80℃未満の水で洗浄し濾過することで、不純物を予め低減させておくことも好ましい態様の一つである。
(2)濾過することにより濾過液とポリマーとを分離する工程
本発明では上記工程(1)の熱水洗浄後に濾過を行い、濾過液とポリマーとを分離することが必須である。濾過方法に特に制限は無いが、ふるいやフィルターを用いた濾過が簡便であり、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過などの方法が例示できる。また、濾過により分離されたPPS樹脂表面に残留している不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄方法に特に制限は無いが、濾過装置上のPPS樹脂に水をかけながら濾過する方法や、予め用意した水に、分離したPPS樹脂を投入した後に再度濾過するなどの方法で水溶液とPPS樹脂を分離する方法が例示できる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
(3)分離したポリマーを、アルカリ金属を含む水溶液、アルカリ土類金属を含む水溶液、または熱水から選ばれる1種以上の水溶液に浸漬させて80〜200℃で1回以上洗浄する工程
本発明では上記工程(2)の分離を行った後、分離したポリマーを、アルカリ金属を含む水溶液、アルカリ土類金属を含む水溶液、または熱水から選ばれる1種以上の水溶液に浸漬させて80〜200℃で1回以上洗浄することが必要である。洗浄温度は120〜200℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。本工程を経ることでポリマー中の不純物が極めて低いレベルまで低減でき成形時に発生する揮発性成分を著しく低減できる。また、熱水での洗浄ではPPSにI価の金属イオンが導入されることでより安定した成形性が確保できるため、より好ましい洗浄方法である。洗浄温度が80℃未満では揮発性成分の除去が不十分になるとともに熱水で洗浄を行う場合はPPSへの金属イオンの導入が不十分となる。200℃を超えると圧力が高くなりすぎるため安全上好ましくない。
洗浄処理時間は、例えば、80℃で処理する場合は2〜24時間が好ましく、200℃で処理する場合は0.01〜5時間が好ましい。
洗浄処理する際のPPS樹脂と水との割合は、PPS樹脂が水に十分に浸漬された状態で処理することが好ましく、PPS樹脂500gに対して、水0.5〜500Lが好ましく、1〜100Lがより好ましく、2.5〜20Lがさらに好ましい。PPS樹脂500gに対して水が0.5Lより少ないとPPS樹脂が水に十分浸漬しないため洗浄不良となる。また、PPS樹脂500gに対して、水が500Lを超えると、PPS樹脂に対する水が大過剰となり生産効率が著しく低下するため好ましくない。
これらの洗浄処理操作に特に制限は無く、所定量の水溶液または水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱・撹拌する方法、連続的に処理を施す方法などにより行われる。洗浄に用いる水は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
洗浄処理に用いるアルカリ金属を含む水溶液中のアルカリ金属としては、Li、Na、およびKなど、アルカリ土類金属を含む水溶液中のアルカリ土類金属としては、Ca、Mg、Baなどが例示できる。これら金属成分は金属イオンとして水溶液中に分散しているものであり、酢酸イオン、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオンおよび炭酸イオンを対アニオンとする水溶性塩の形で水に添加して水溶液にすることが好ましい。具体的に好適な水溶性塩としては、酢酸Ca、酢酸Mg、塩化Ca、臭化Ca、炭酸Ca、水酸化Ca、酢酸Na、酢酸K、炭酸Na、炭酸Kなどが例示でき、安価で良好な耐不凍液性を得られる水溶性塩としては酢酸Caや酢酸Naがより好ましい。水に対する水溶性塩の濃度は0.001〜5重量%程度が好ましい。
本工程(3)の後、工程(2)同様濾過により濾過液とポリマーを分離することが好ましく、分離後にPPS樹脂表面に残留している不純物を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
本発明に必須の上記工程(1)〜(3)すべてにおいて、PPSを処理する場がpH8を越えていることが優れた耐熱水、耐不凍液性を得るために好ましい。pHが8以下となると溶融結晶化温度が210℃を超えるため、高い溶融結晶化温度ゆえに薄肉成形品成形時に、未充填等の問題が発生しやすくなる。pHが8を越えていれば優れた耐熱水、耐不凍液性が確保できるため、PPSを処理する場がpH8を越える範囲内であれば酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピオン酸などの酸や酸を含む水溶液を適宜添加して処理しても差し障り無い。また、上記工程(1)〜(3)においてPPS末端基の分解は好ましくないので、工程での雰囲気を不活性雰囲気下とすることが望ましい。不活性雰囲気としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどがあげられるが、経済性の観点から窒素雰囲気下が好ましい。
本発明では工程(1)の前に有機溶媒により洗浄する工程を含んでもよく、その方法は次のとおりである。本発明でPPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
[加熱処理工程]
本発明では、上記洗浄工程を経た後に熱処理を行うことで初めて機械的強度が高く、かつ耐不凍液性に優れたPPS樹脂が得られることを見出したものである。以下に熱処理工程を具体的に説明する。
本発明では、高い機械的強度を有するPPS樹脂を得るために熱処理を行うが、過度な熱処理は溶融流動性の低下および樹脂中のゲル化物の増加により、成形時の未充填等の原因となるため好ましくない。しかしながら、熱処理が軽度すぎると揮発性成分低減効果が小さく、樹脂の強度が低下する傾向にある。本発明の熱処理によれば、溶融流動性を損なうことなく、ゲル化物の発生を抑制しつつ、機械的強度を向上したPPS樹脂を得ることが可能となる。
熱処理は熱処理温度および熱処理時間を特定の範囲にすれば、高い酸素濃度雰囲気下でも低い酸素濃度雰囲気下でも差し支えないが、低い酸素濃度雰囲気下での熱処理が好ましい。
高い酸素濃度雰囲気の条件としては酸素濃度が2体積%を超える濃度であることが好ましく、熱処理温度は160〜270℃、熱処理時間は0.1〜17時間行うことが望ましい。ただ、酸素濃度が高い条件下では揮発性成分の低減速度が速いものの、同時に酸化架橋が急速に進行するためゲル化物が発生しやすくなる。そのため概して低温・長時間または高温・短時間で熱処理を行うことが好ましい。低温・長時間熱処理する具体的な条件としては160℃以上210℃以下で1時間以上17時間以下が好ましく、170℃以上200℃以下で1時間以上10時間以下がより好ましい。熱処理温度が160℃を下回る温度で熱処理を行っても揮発性成分の低減効果が小さく機械的強度の改善効果は小さい。また、低温であっても酸素濃度2体積%を超える濃度の条件においては熱処理時間が17時間を越えると酸化架橋が進行しゲル化物が発生しやすくなる。高温・短時間熱処理する具体的な条件としては210℃を超え270℃以下で0.1時間以上1時間未満が好ましく、220℃以上260℃以下で0.2〜0.8時間がより好ましい。熱処理温度が270℃を超えると酸化架橋が急激に進行しゲル化物が発生しやすくなる。また、高温であっても熱処理時間が0.1時間を下回ると揮発性成分の低減効果が小さく機械的強度の改善効果は小さい。
低い酸素濃度雰囲気の条件としては酸素濃度が2体積以下であることが好ましく、熱処理温度は210〜270℃、熱処理時間は0.2〜50時間行うことが望ましい。酸素濃度が低いと揮発性成分の低減効果が小さくなる傾向にあるため概して高温・長時間で熱処理を行うことが好ましく、220℃〜260℃の熱処理温度条件下2〜20時間行うことがより好ましい。熱処理時間が210℃を下回る場合は揮発性成分が低減せず機械的強度の改善効果は小さく、熱処理時間が50時間を越えて行うと生産性が低下する。
本発明の熱処理のための加熱装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率良く、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましく、パドル式ドライヤー、流動層乾燥機、KIDドライヤー、スチームチューブドライヤー、さらにはインクラインドディスクドライヤー、ホッパードライヤー、縦型撹拌乾燥機などが例示できる。なかでもパドル式ドライヤーや流動層乾燥機、KIDドライヤーが均一かつ効率的に加熱する上で好ましい。熱処理の酸素濃度を調整するために、酸素、空気、オゾンなどの酸化性ガスに、窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気などの非酸化性の不活性ガスを混入しても問題ない。加熱装置内で熱処理が行うことができれば、加熱装置の上部、下部、側面のどの位置から酸化性ガスや不活性ガスを導入しても特に制限はないが、より簡便な方法としては加熱装置上部からのガスの導入が挙げられる。また、酸化性ガスや不活性ガスは、加熱装置導入前に混合させてから装置に導入してもよいし、加熱装置の異なる場所から別々に酸化性ガスと不活性ガスを混入してもよい。
上記重合反応工程、回収工程、洗浄工程、加熱処理工程を経て得られたPPS樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと略することもある)は500g/10分以下であることが好ましく、400g/10分以下、更に好ましくは300g/10以下である。MFRが500g/10分を超えると、重合度が低すぎるため、機械的強度が低下する。下限としては、80g/10分を超える範囲であることが、成形性の点から好ましく、100g/10分以上であることが好ましい。ここで、MFRは、測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に従って測定した値である。
本発明の製造方法により得られるPPS樹脂は、500℃で焼成し、次いで530℃で6時間焼成して得られた灰分を塩酸で溶解し、原子吸光光度計:AA−6300(島津製作所製)で測定したナトリウム含有量が、1,000ppmを超えていることが好ましい。ナトリウム含有量が1,000ppmを超えるPPS樹脂を用いることで、PPS樹脂組成物の優れた耐不凍液性を発現することができるので好ましい。
かくして得られたPPS樹脂は、複雑、かつ多種多様な構造を有するポリマーであり、一般式(構造)又は特性により直接特定することは不可能又は非実際的であるが、上記のごときPPS樹脂を得るための製造法(加熱処理)によって、初めて特定することが可能となる。
例えば、上記のごとき製造法を採用することで、優れた機械的強度と、耐熱水、耐不凍液性を備えたPPS樹脂組成物に好適なPPS樹脂を得ることが可能であり、本発明にはかかる(A)加熱処理されたPPS樹脂を用いることが必要である。このような(A)PPS樹脂を、本発明のPPS樹脂組成物に配合されるPPS樹脂として配合することが好ましいが、PPS樹脂の少なくとも20重量%をこのようなPPS樹脂とすることで、PPS樹脂組成物に優れた機械的強度と、耐熱水性、耐不凍液性を備えることができる。PPS樹脂組成物に配合されるPPS樹脂の少なくとも30重量%をこのようなPPS樹脂とすることが好ましく、50重量%以上が更に好ましい。
本発明のPPS樹脂組成物における(B)無機充填材の配合量は、(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材20〜300重量部である。優れた機械的強度と寸法安定性を並立させる意味において必要である。
(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材が20重量部未満の場合は、組成物としての適切な強度が得られないため好ましくない。(B)無機充填材が300重量部を超える場合は、組成物の溶融流動性が低下し、適切な成形加工性が得られず、また、機械的強度も得られないため好ましくない。特に、(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材を20〜300重量部の範囲が好ましく、30〜290重量部の範囲が特に好適である。(A)PPS樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材が30〜290重量部の範囲では、優れた耐熱性と組成物としての適切な機械的強度、寸法安定性を兼ね備えるため特に好ましい。
かかる(B)無機充填材としての繊維状充填材としては、具体的には、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、ガラスフラットファイバー、異形断面ガラスファイバー、ガラスカットファイバー、扁平ガラス繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維、ロックウール、PAN系やピッチ系の炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、セラミック繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、などが挙げられ、これらは2種類以上併用することも可能である。中でもガラス繊維、炭素繊維が好ましく、特にガラス繊維が好ましい。また、これら繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましく、中でもエポキシ基を含む収束剤で処理することが好ましい。
かかるガラス繊維の強熱減量は、0.2重量%以上であることが好ましく、0.5重量%以上であることがより好ましい。加熱減量が0.2重量%以上のガラス繊維を用いることで、PPS樹脂組成物の機械的強度を向上させる効果に優れ、また、耐熱水、耐不凍液性の観点からも好ましい。ここで、ガラス繊維の強熱減量は、JIS R3420(2013) ガラス繊維一般試験方法 7.3水分率及び強熱減量に準拠して測定した値である。
また、(B)無機充填材としての非繊維状充填材の具体例としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、ハイドロタルサイトなどの珪酸塩、酸化珪素、ガラス粉、酸化マグネシウム、酸化アルミ(アルミナ)、シリカ(破砕状・球状)、石英、ガラスビーズ、ガラスフレーク、破砕状・不定形状ガラス、ガラスマイクロバルーン、二硫化モリブデン、酸化アルミニウム(破砕状)、透光性アルミナ(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、酸化チタン(破砕状)、酸化亜鉛(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)などの酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛、窒化アルミニウム、透光性窒化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物などが挙げられ、ここで金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。また、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、フラーレン、グラフェンなどが挙げられ、これらは中空であってもよく、更にはこれら充填材を2種類以上併用することも可能である。中でも炭酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛が好ましい。
更に、本発明のPPS樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、機械的強度、靱性などの向上を目的に、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基およびウレイド基の中から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するシラン化合物を添加してもよい。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、およびγ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。なかでもエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基を有するアルコキシシランが優れたウエルド強度を得る上で特に好適である。かかるシラン化合物の好適な添加量は、PPS樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部の範囲が選択される。
本発明のPPS樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、更に他の樹脂をブレンドして用いてもよい。かかるブレンド可能な樹脂には特に制限はないが、その具体例としては、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、芳香族系ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシル基やカルボン酸エステル基や酸無水物基やエポキシ基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、エポキシ基含有ポリオレフィン共重合体などが挙げられる。
なお、本発明のPPS樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば、前記以外の酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダートフェノール系、ヒドロキノン系、リン系、ホスファイト系、アミン系、硫黄系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、ステアラート、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、熱安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどの滑剤、ビスフェノールA型などのビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの強度向上材、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤および発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
中でも、離型剤として用いられる、エステル基含有化合物やアミド基含有化合物は、優れた離型性を得る上で好ましく、アミド基含有化合物は、優れた離型性と耐不凍液性とを両立する上で特に好ましい。アミド基含有化合物としては、例えばアミド系ワックスなどが挙げられる。かかる化合物の好適な添加量は、PPS樹脂100重量部に対し、0.01〜3.0重量部の範囲が好ましく、0.05〜1.0重量部の範囲が特に好ましい。
本発明のPPS樹脂組成物の調製方法には特に制限はないが、各原料を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど通常公知の溶融混合機に供給して、280〜380℃の温度で混練する方法などを代表例として挙げることができる。原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法などのいずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
このようにして得られる本発明のPPS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に射出成形用途に適している。
本発明のPPS樹脂組成物は、水廻り部品や自動車冷却部品、特に、複数の部品を組み合わせた小型、複雑形状の自動車冷却部品に適しているが、ここで言う複雑形状の自動車冷却部品とは、例えば、ハウジングと、前記ハウジングに内包されるバルブと、前記ハウジングに結合された少なくとも3つ以上のパイプとを含んでおり、ハウジングの形状は、四角形状、三角形状、楕円形状などいずれの形状、またはそれぞれの複合形状であってもよく、そのハウジングにリブ、ボス、フランジが設置されていてもよい。また、前記ハウジングに内包されるバルブの形状は、球体形状、円柱形状などいずれの形状、またはそれぞれの複合形状であってもよく、そのバルブに孔が開いていてもよい。また、バルブの数は、1つでもよく、また、2つ以上であってもよい。また、前記ハウジングに結合されるパイプの形状は、真っ直ぐであっても、曲がっていてもよく、また、パイプの断面形状は、円形状、楕円形状、四角形状などいずれの形状でもよい。また、そのパイプにリブ、ボス、フランジが設置されていてもよい。また、少なくとも3つ以上のパイプは、それぞれが同じ形状であっても、異なる形状の組み合わせであってもよい。また、パイプの結合方法は、例えば、ボルト締結であってもよく、また、熱板溶着などの溶着であっても、射出成形により、ハウジングの一部として成形してもよい。また、バルブの内包方法は、ハウジングをケースとフタに分割し、ケース内にバルブを内包し、フタをボルト締結してハウジングとしてもよく、また、フタを熱板溶着などで溶着してハウジングとしてもよい。
ハウジング内部に流れる液体は、水であっても、アルコール類、グリコール類、グリセリンなどを含む不凍液であってもよく、その種類、および濃度は特に限定されない。また、高温であっても、低温であっても、これらが繰り返し流れてもよい。
ハウジングに内包されたバルブの開閉は、エンジンの駆動力を利用しても、モーターの駆動力を利用してもよい。
以上のように、本発明のPPS樹脂組成物は、機械的強度に優れるだけでなく、耐熱水性、耐不凍液について均衡して優れている。すなわち、本発明のPPS樹脂組成物は、高い機械的強度と、耐熱水性、耐不凍液性に優れるという特性を有しているため、水廻り部品や自動車冷却部品に有用であり、特に、複数の部品を組み合わせた小型、複雑形状の自動車冷却部品に有用である。
本発明のPPS樹脂組成物は、示差走査型熱量計で求めた溶融結晶化ピーク温度が100〜210℃である。好ましくは120〜210℃以下である。溶融結晶化ピーク温度が210℃を超えると、溶融結晶化速度が速いため、薄肉成形品の成形時に未充填部が発生しやすく、生産性が低下し、また、本発明における優れた耐不凍液性が得られないため好ましくない。一方、溶融結晶化ピーク温度が100℃を下回ると、成形後にアニール処理を施しても結晶化しにくく、機械的強度の低下につながるため好ましくない。ここで、溶融結晶化温度は、PPS樹脂組成物のサンプル量約10mg、窒素雰囲気下、昇温・降温速度20℃/分で、
(i)50℃から340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(ii)100℃まで降温
(iii)再度340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(iv)再度100℃まで降温
した際、(iv)に現れる溶融結晶化ピーク温度を溶融結晶化温度(Tmc)とした。
本発明のPPS樹脂組成物は、ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片を用い、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠し測定した引張強度が175MPa以上である。好ましくは、180MPa以上である。ISO試験片での引張強度が175MPaよりも低い場合は、成形品としての十分な強度を満たせないため好ましくない。
また、本発明のPPS樹脂組成物は、ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片を用い、不凍液に、135℃、2,000時間浸漬処理した後、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠し測定した引張強度の、上記で測定した引張強度に対する引張強度保持率が75%以上である。不凍液処理後の引張強度の強度保持率は80%以上が好ましい。不凍液処理後の引張強度の強度保持率が75%未満の場合は、不凍液処理によりに機械的強度が低下し、成形品の割れの起点となるため好ましくない。引張強度が180MPa以上、不凍液処理後の引張強度の強度保持率が80%以上であれば、より優れた機械的強度と、耐熱水、耐不凍液性とを兼ね備えるため、特に好ましい。ここで、引張強度保持率を測定する際に用いる不凍液は、フォルクスワーゲン純正LLC(G13)50重量部と、蒸留水で50重量部を混合した不凍液を使用する。
その他本発明のPPS樹脂組成物の適用可能な用途としては、例えば、センサー、LEDランプ、民生用コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品への適用も可能である。その他、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品など各種用途が例示できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[PPS樹脂の測定方法]
(1)金属含有量の特定方法
金属含有量は、以下に示す方法にて測定した値を使用した。得られたPPS樹脂を500℃で焼成し、次いで530℃で6時間焼成して得られた灰分を塩酸で溶解し、原子吸光光度計:AA−6300(島津製作所製)で測定した。ランプは、ナトリウム、およびカルシウムのホロカソードランプを使用し、測定されたナトリウム含有量とカルシウム含有量の合計を金属含有量とした。
(2)メルトフローレート(MFR)
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1278−70に従って測定した。
[参考例1]PPSの重合(PPS−1)
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.4g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13860.0g(140.0モル)、酢酸ナトリウム1894.2g(23.1モル)、およびイオン交換水10500.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14772.1gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.023モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)10646.7g(72.4モル)、NMP6444.9g(65.1モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、270℃で70分保持した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら内容物を攪拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去した。
得られた固形物およびイオン交換水53リットルを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してPPS樹脂ケーク18000g(その内PPS樹脂7550gが含まれる)を得た。
前記PPS樹脂ケーク18000g、イオン交換水40リットルを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、5分保持して熱水処理を施した。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケーク、イオン交換水40リットル、および酢酸カルシウム一水和物50gを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、5分保持して処理を施した。オートクレーブ冷却後、内容物をポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次いで、70℃に加熱した60リットルのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。得られたケークを窒素気流下120℃で4時間乾燥し、PPSの粉末を得た。その後、PPSの粉末を空気0.18リットル/分、窒素1.78リットル/分の撹拌機付き加熱装置に導入し、酸素濃度2%で熱処理を施した。酸素濃度は、酸素濃度計を加熱装置内に設置して測定した。得られたPPS樹脂の金属含有量は1420ppmであり、そのうち、ナトリウム含有量は740ppmであった。また、MFRは129g/10分であった。
[参考例2]PPSの重合(PPS−2)
空気1.0リットル/分、窒素0.96リットル/分の撹拌機付き加熱装置に導入し、酸素濃度12%で熱処理を施したこと以外は、参考例1と同様に行った。得られたPPS樹脂の金属含有量は1390ppmであり、そのうち、ナトリウム含有量は710ppmであった。また、MFRは106g/10分であった。
[参考例3]PPSの重合(PPS−3)
酢酸カルシウムを仕込まなかったこと以外は、参考例1と同様に行った。得られたPPS樹脂の金属含有量は1360ppmであり、そのうち、ナトリウム含有量は1360ppmであった。また、MFRは166g/10分であった。
[参考例4]PPSの重合(PPS−4)
酢酸カルシウムを仕込まなかったこと、および空気1.0リットル/分、窒素0.96リットル/分の撹拌機付き加熱装置に導入し、酸素濃度12%で熱処理を施したこと以外は、参考例1と同様に行った。得られたPPS樹脂の金属含有量は1340ppmであり、そのうち、ナトリウム含有量は1340ppmであった。また、MFRは134g/10分であった。
[参考例5]PPSの重合(PPS−5)
酢酸カルシウムを仕込まなかったこと、および撹拌機付き加熱装置での熱処理を施さなかったこと以外は、参考例1と同様に行った。得られたPPS樹脂の金属含有量は1350ppmであり、そのうち、ナトリウム含有量は1350ppmであった。MFRは223g/10分であった。
[参考例6]PPSの重合(PPS−6)
前記PPS樹脂ケーク18000g、イオン交換水40リットル、および酢酸43gを撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持して酸処理を施したこと、および酢酸カルシウムを仕込まなかったこと以外は、参考例1と同様に行った。酸処理時のpHは7であった。得られたPPS樹脂の金属含有量は400ppmであり、そのうち、ナトリウム含有量は400ppmであった。また、MFRは261g/10分であった。
[実施例および比較例で用いた配合物]
本実施例および比較例に用いた配合物は以下の通りである。
(A)PPS樹脂
PPS−1:参考例1に記載の方法で重合したPPS樹脂(酸素濃度2%で加熱処理、金属含有量1420ppm,ナトリウム含有量740ppm)
PPS−2:参考例2に記載の方法で重合したPPS樹脂(酸素濃度12%で加熱処理、金属含有量1390ppm,ナトリウム含有量710ppm)
PPS−3:参考例3に記載の方法で重合したPPS樹脂(酸素濃度2%で加熱処理、金属含有量1360ppm,ナトリウム含有量1360ppm)
PPS−4:参考例4に記載の方法で重合したPPS樹脂(酸素濃度12%で加熱処理、金属含有量1340ppm,ナトリウム含有量1340ppm)
PPS−5:参考例5に記載の方法で重合したPPS樹脂(加熱処理なし、金属含有量1350ppm,ナトリウム含有量1350ppm)
PPS−6:参考例6に記載の方法で重合したPPS樹脂(酸素濃度2%で加熱処理、金属含有量400ppm,ナトリウム含有量400ppm)
(B)無機充填材
B−1:チョップドストランド(日本電気硝子株式会社製 T−760H 3mm長 平均繊維径10.5μm 強熱減量0.5重量%)
B−2:チョップドストランド(日本電気硝子株式会社製 T−747H 3mm長 平均繊維径10.5μm 強熱減量0.4重量%)
(C)添加剤
C:エポキシ基含有アルコキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM−303)
(D)離型剤
D−1:ポリエチレンワックス(三井化学株式会社製 ハイゼックス 7000FP)
D−2:アミド基含有化合物(共栄社化学株式会社製 ライトアマイド WH−255)
D−3:エステル基含有化合物(クラリアントケミカルズ株式会社製 モンタンワックス Licowax E)
[測定評価方法]
本実施例および比較例における測定評価方法は以下の通りである。
(1)引張強度
ISO 527−1、2(2012)に準拠して測定を行った。具体的には次のように測定を行った。本発明のPPS樹脂組成物ペレットを、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業株式会社製射出成形機(SE−50D)に供給し、ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片形状(4mm厚み)の金型を用いて、中央平行部の断面積を通過する溶融樹脂の平均速度が400±50mm/sとなる条件で射出成形を行い、試験片を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、つかみ具間距離:115mm、試験速度:5mm/minの条件で、ISO 527−1、−2(2012)に準拠して引張強度の測定を行った。
(2)引張強度保持率
本発明では、試験片を以下の方法で135℃の不凍液に2000時間浸漬した後、引張強度を測定し、上記(1)で測定した引張強度に対する強度保持率を引張強度保持率とした。
不凍液は、フォルクスワーゲン純正LLC(G13)を、蒸留水で50重量%水溶液に希釈して調製した。135℃の温度で、2,000時間、ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片形状(4mm厚み)の試験片を不凍液に浸漬処理した後、付着した液体を拭き取り、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、つかみ具間距離:115mm、試験速度:5mm/minの条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠して引張強度の測定を行った。(不凍液浸漬処理後の引張強度/(1)記載の引張強度)から算出される値を百分率で表示し、その値を引張強度保持率とした。75%以上であれば実用上問題のない製品レベルといえるが、この値が高いほど耐不凍液性に優れ好ましい。
(3)溶融結晶化温度(Tmc)
パーキンエルマー社製DSC7を用い、サンプル量約10mg、窒素雰囲気下、昇温・降温速度20℃/分で、
(i)50℃から340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(ii)100℃まで降温
(iii)再度340℃まで昇温し、340℃で1分間ホールド
(iv)再度100℃まで降温
した際、(iv)に現れる溶融結晶化ピーク温度(Tmc)とした。
(4)ガラス繊維の強熱減量
JIS R3420(2013) ガラス繊維一般試験方法 7.3水分率及び強熱減量に準拠して測定した。
(5)離型性
本発明のPPS樹脂組成物ペレットを、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業株式会社製射出成形機(SE−50D)に供給し、ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片形状(4mm厚み)の金型を用いて、中央平行部の断面積を通過する溶融樹脂の平均速度が400±50mm/sとなる条件で射出成形を行い、ランナーが金型の固定側に残るか否かを確認した。5回成形を行い、5回とも金型の固定側に残らなければ○、1回〜4回金型の固定側に残った場合は△、5回とも金型の固定側に残れば×として、金型からの離型性を評価した。
[PPS樹脂組成物の製造]
シリンダー温度を320℃、スクリュー回転数を400rpmに設定した、26mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(東芝機械株式会社製TEM−26)を用いて、参考例1〜6で得たPPS樹脂(A)100重量部を表1に示す重量比で原料供給口から添加して溶融状態とし、(B)無機充填材を表1に示す重量比で中間添加口から供給し、吐出量30kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて前記の各特性を評価した。その結果を表1に示す。
かくして得られるPPS樹脂組成物は、高い機械的強度と、優れた耐熱水、耐不凍液性とを両立するという未知なる特性を有するため、水廻り部品や自動車冷却部品に有用であり、特に、複数の部品を組み合わせた小型、複雑形状の自動車冷却部品に有用に用いられる。
1.ハウジング
2.バルブ
3.軸
4.パイプ
5.孔部
6.パッキン

Claims (10)

  1. (A)加熱処理されたポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材を20〜300重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、下記条件(i)、(ii)および(iii)を満たすポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
    (i)溶融結晶化温度が、100〜210℃である。
    (ii)ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片を用い、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠し測定した引張強度が175MPa以上である。
    (iii)ISO 20753(2008)に規定されるタイプA1試験片を用い、不凍液に、135℃、2,000時間浸漬処理した後、引張速度5mm/min、雰囲気温度23℃の条件で、ISO 527−1,−2(2012)に準拠し測定した引張強度の、上記(ii)で測定した引張強度に対する引張強度保持率が75%以上である。
  2. 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の加熱処理が、酸素濃度2体積%以下の雰囲気下、210〜270℃で0.2〜50時間の加熱処理である請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の加熱処理が、酸素濃度2体積%を超える雰囲気下、160〜270℃で0.1〜17時間の加熱処理である、請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂が、1,000ppmを超えるナトリウムを含有するポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 前記(B)無機充填材が、エポキシ基を含む収束剤で処理されたガラス繊維を含む請求項1〜4のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 前記ガラス繊維の強熱減量が、0.5重量%以上である請求項5に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 、前記(A)加熱処理されたポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、さらにアミド基含有化合物を0.01〜3.0重量部配合してなる請求項1〜6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
  9. 前記成形品が、不凍液に触れる成形品である請求項8に記載の成形品。
  10. 前記成形品が、ハウジングと、該ハウジングに内包されたバルブと、該ハウジングに結合された少なくとも3つ以上のパイプとを含み、該ハウジングの内部に流れる液体の流量、および流路が、該ハウジングに内包されたバルブの開閉により制御される成形品である請求項8または9に記載の成形品。
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