JP2016046095A - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる高耐電圧コネクター - Google Patents
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Abstract
Description
1.(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材を30〜150重量部、(C)リン系酸化防止剤を0.01〜0.5重量部および(D)フェノール系酸化防止剤を0.01〜0.5重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる、耐電圧がAC300V r.m.s.(1分間)以上の高耐電圧コネクター。
2.(C)リン系酸化防止剤が、フォスファイト系酸化防止剤である前記1項記載の高耐電圧コネクター。
3.(D)フェノール系酸化防止剤が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤である前記1または2項記載の高耐電圧コネクター。
4.(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の少なくとも10重量%以上が、(a)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下、(b)550℃で灰化させたときの灰分率が0.3重量%以下、かつ(c)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解してポアサイズ1μmのPTFEメンブレンフィルターで熱時加圧濾過した際の残さ量が4.0重量%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂である前記1〜3項のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
5.高耐電圧コネクターが自動車用であることを特徴とする前記1〜4項のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
6.ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(E)エポキシ基、酸無水物基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するポリオレフィン系共重合体の配合量が0.5重量部未満であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である前記1〜5項のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
7.ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(F)ポリフェニレンエーテルの配合量が1.0重量部未満であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である前記1〜6項のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
8.ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(G)流動性改良剤の配合量が0.1重量部未満であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である前記1〜7項のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
(1)PPS樹脂 本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
本発明で用いられるポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3.5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくは、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3.5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼンなどのポリクロロベンゼンが好ましく用いられ、更にp−ジクロロベンゼンが特に好ましく用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p−ジクロロベンゼンで代表されるp−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
本発明においては、生成するPPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。モノハロゲン化化合物としては、モノハロゲン化ベンゼン、モノハロゲン化ナフタレン、モノハロゲン化アントラセン、ベンゼン環を2個以上含むモノハロゲン化化合物、モノハロゲン化複素環式化合物、などを挙げることができる。なかでも、経済性の観点からするとモノハロゲン化ベンゼンが好ましい。また、異なる2種以上のモノハロゲン化化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明においては、重合度調節のために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、さらにはナトリウム、リチウムのカルボン酸塩および/または水が特に好適に用いられる。
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
本発明に用いる(A)PPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることによりPPS樹脂を製造する。
(a)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)−PHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)−PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕
[回収工程]
本発明で用いる(A)PPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。本発明で用いるPPS樹脂は、公知の如何なる回収方法を採用しても良い。
本発明で用いられる(A)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理または有機溶媒による洗浄を施されたものであってもよい。
(1)ガス発生量
腹部が100mm×25mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルにPPS樹脂3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプルの首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差をガス発生量(重量%)とした。
予め550℃で空焼きしたルツボにサンプル(PPS樹脂)5gを精秤し、550℃の電気炉に24時間入れて灰化させた。ルツボに残った灰分量を精秤し、灰化前のサンプル量との比率を灰分率(重量%)とした。
空圧キャップと採集ロートを具備したセンシュー科学製のSUS試験管に、予め秤量しておいたポアサイズ1μmのPTFEメンブランフィルターをセットし、約80μm厚にプレスフィルム化したPPS樹脂100mgおよび1−クロロナフタレン2gを計り入れてから密閉した。これをセンシュー科学製の高温濾過装置SSC−9300に挿入し、250℃で5分間加熱振とうしてPPS樹脂を1−クロロナフタレンに溶解した。空気を含んだ20mLの注射器を空圧キャップに接続した後、ピストンを押出して溶液をメンブランフィルターで濾過した。メンブランフィルターを取り出し、150℃で1時間真空乾燥してから秤量した。濾過前後のメンブランフィルター重量の差を残さ量(重量%)とした。
測定温度315.5℃、5000g荷重とし、ASTM−D1238−70に準ずる方法で測定した。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム0.402kg(4.90モル)、及びイオン交換水3.82kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水8.09kgおよびNMP0.28kgを留出した後、反応容器を200℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。その後200℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン10.18kg(69.25モル)、NMP9.37kg(94.50モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から235℃まで昇温し、235℃で30分反応した後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温し、270℃で70分反応した。その後、270℃から250℃まで15分かけて冷却しながら水2.52kg(140.0モル)を圧入した。ついで250℃から220℃まで75分かけて徐々に冷却した後、室温近傍まで冷却し内容物を取り出した。内容物を約35リットルのNMPで希釈しスラリーとして85℃で30分撹拌後、80メッシュ金網(目開き0.175mm)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を同様にNMP約35リットルで洗浄濾別した。得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収する操作を合計3回繰り返した。得られた固形物および酢酸30gを70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過し、更に得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収した。このようにして得られた固形物を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、乾燥PPS−1を得た。得られたポリマーのガス発生量は0.16重量%、灰分率0.04重量%、残さ量0.9重量%、MFRは621g/10分であった。
撹拌機および底に弁のついたオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.4g(70.0モル)、96%水酸化ナトリウム2925.0g(70.2モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13860.0g(140.0モル)、酢酸ナトリウム1894.2g(23.1モル)、及びイオン交換水10500.0gを仕込み、常圧で窒素を通じながら240℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14772.1gおよびNMP280.0gを留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.08モルであった。また、硫化水素の飛散量は仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.023モルであった。
PPS樹脂粉末(PPS−2)を容積100リットルの撹拌機付き加熱装置に入れ、200℃、酸素濃度21%で2時間熱酸化処理を施した。なお、熱酸化処理は、空気1.96リットル/分の空気雰囲気下で行いPPS−3を得た。得られたポリマーのガス発生量は0.16重量%、灰分率0.14重量%、残さ量1.9重量%、MFRは554g/10分であった。
本実施例および比較例に用いた配合物は以下の通りである。
PPS−1:参考例1に記載の方法で重合したPPS樹脂
PPS−2:参考例2に記載の方法で重合したPPS樹脂
PPS−3:参考例3に記載の方法で重合したPPS樹脂。
B−1: チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製 T−747H 3mm長、平均繊維径10.5μm)
B−2: 硫酸バリウム(堺化学工業社製)。
C−1:3,9−ビス[2,6−ビス(1,1−ジメチチルエチル)−4−メチルフェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサー3,9−ジフォスファスピロ[5,5]ウンデカン((株)アデカ社製 アデカスタブ PEP36)。
D−1:ベンゼンプロパン酸,3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−,2,4,8,10−テトラオキサピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイルビス(2,2−ジメチル−2,1−エタンジイル)エステル((株)アデカ社製 アデカスタブ AO−80)。
E−1:エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体(E/GMA=88/12重量%)、MFR=3g/10分、密度940kg/m3、なお、MFRはJIS K6760に定められた方法(190℃、2160g荷重)で測定した。
F−1:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル) 商品名:S201A(旭化成ケミカルズ社製)
(G)流動性改良剤
G−1:攪拌翼、留出管を備えた反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸48.0g(0.35モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル30.9g(0.17モル)、テレフタル酸5.41g(0.033モル)、固有粘度が約0.6dl/gのPET10.4g(0.054モル)、トリメシン酸42.0g(0.20モル)、および無水酢酸76.3g(フェノール性水酸基合計の1.1当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた後、250℃まで昇温して脱酢酸縮合反応を行った。反応器内温が250℃に達した後、安息香酸14.7g(0.12モル)を加えて280℃まで昇温させた。酢酸の理論留出量の100%が留出したところで加熱、攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出し、流動性改良剤(G−1)を得た。
本実施例および比較例における測定評価方法は以下の通りである。
ISO 178法に準拠して測定を行った。具体的には次のように測定を行った。本発明のPPS樹脂組成物ペレットを、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業株式会社製射出成形機(SE−50D)に供給し、ISO 20753に規定されるタイプA1試験片形状の金型を用いて、中央平行部の断面積を通過する溶融樹脂の平均速度が400±50mm/sとなる条件で射出成形を行い試験片を得た。この試験片の中央平行部を切り出し、タイプB2試験片を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、スパン64mm、試験速度:2mm/sの条件で測定を行った。
ISO 527−1、2法に準拠して測定を行った。具体的には次のように測定を行った。本発明のPPS樹脂組成物ペレットを、熱風乾燥機を用いて130℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度:310℃、金型温度:145℃に設定した住友重機械工業株式会社製射出成形機(SE−50D)に供給し、ISO 20753に規定されるタイプA1試験片形状の金型を用いて、中央平行部の断面積を通過する溶融樹脂の平均速度が400±50mm/sとなる条件で射出成形を行い試験片を得た。この試験片を、23℃、相対湿度50%の条件で16時間状態調節を行った後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下、つかみ具間距離:114mm、試験速度:5mm/sの条件で測定を行った。
両端にゲートを有し、試験片中央部付近にウェルドラインを有するASTM4号ダンベル片を、射出成形機を用いてシリンダー温度320℃、金型温度135℃の条件で成形した。成形片を100本成形し金型を強制的に汚染させた後、測定用のサンプルを10本取得し、歪速度5mm/min、支点間距離114mmの条件で引張強度測定を行なった。
1mm厚みのスパイラルフロー金型を用いて、シリンダー温度320℃、金型温度140℃、射出速度230mm/sec、射出圧力98MPa、射出時間5sec、冷却時間15secの条件で成形し、流動長を測定した(使用成形機:住友重機製”SE−30D”)。この値が大きいほど流動性に優れると言える。
図1に示す成形品(成形品サイズ;長さ55mm、幅20mm、厚み2mm、ゲートサイズ;幅2mm、厚み1mm(サイドゲート)、ガスベント部最大長さ20mm、幅10mm、深さ5μm)のガス評価用金型で、シリンダー温度325℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sとして、樹脂組成物ごとの充填時間が0.4秒となるよう射出圧力を50〜80MPa内で設定して連続成形を行い、10ショット毎に金型ガスベント部の金型汚染状況を目視にて観察した(使用成形機:住友重機製”SE−30D”)。付着までのショット数が100ショット以上あれば実用上、使用可能なレベルといえるが、このショット数が大きいほどモールドデポジット性に優れ、好ましい。図1(a)はモールドデポジット評価用成形品の上面図であり、図1(b)はその側面図である。
シリンダー設定温度を310℃、スクリュウ回転数を200rpmに設定した、44mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44)を用いて、参考例1〜3で得たPPS樹脂(A)100重量部および(C)添加剤を表1に示す重量比で原料供給口から添加して溶融状態とし、(B)無機充填材を表1に示す重量比で中間添加口から供給し、吐出量40kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて下記の各特性を評価した。その結果を表1に示す。
実施例1、2の樹脂組成物を用い、幅40mm、奥行き13mm、高さ20mm、平均厚み0.5mm、端子数40のコネクターの成形を行った。7000ショットの連続射出成形を行い、金型汚染による不具合の発生しないことを確認した。またHIOKI社製耐圧試験機により耐電圧を測定し、AC1000V r.m.s.(1分間)以上であることを確認した。
(b)金型汚染性評価用成形品の側面図
4:キャビティ部分
5:ゲート部分
Claims (8)
- (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)無機充填材を30〜150重量部、(C)リン系酸化防止剤を0.01〜0.5重量部および(D)フェノール系酸化防止剤を0.01〜0.5重量部を配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる、耐電圧がAC300V r.m.s.(1分間)以上の高耐電圧コネクター。
- (C)リン系酸化防止剤が、フォスファイト系酸化防止剤である請求項1記載の高耐電圧コネクター。
- (D)フェノール系酸化防止剤が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤である請求項1または2記載の高耐電圧コネクター。
- (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の少なくとも10重量%以上が、(a)真空下320℃×2時間加熱溶融した際に揮発するガス発生量が0.3重量%以下、(b)550℃で灰化させたときの灰分率が0.3重量%以下、かつ(c)250℃で5分間、20倍重量の1−クロロナフタレンに溶解してポアサイズ1μmのPTFEメンブレンフィルターで熱時加圧濾過した際の残さ量が4.0重量%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂である請求項1〜3のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
- 高耐電圧コネクターが自動車用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
- ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(E)エポキシ基、酸無水物基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するポリオレフィン系共重合体の配合量が0.5重量部未満であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である請求項1〜5のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
- ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(F)ポリフェニレンエーテルの配合量が1.0重量部未満であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である請求項1〜6のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
- ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(G)流動性改良剤の配合量が0.1重量部未満であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である請求項1〜7のいずれか記載の高耐電圧コネクター。
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