JP7452192B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、製造方法および成形品 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、製造方法および成形品 Download PDF

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Description

本発明はポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関し、成形時のバリ発生量が少なく、かつ耐衝撃強度、流動性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法および成形品に関するものである。更に詳しくは、低温時の耐衝撃強度に優れた成形品、とりわけ水廻り用配管部品に関する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す場合もある)は高耐熱性のスーパーエンジニアリングプラスチックに属し、機械的強度、剛性、難燃性、耐薬品性、電気特性および寸法安定性などに優れることから、各種電気・電子部品、家電部品、自動車部品、機械部品および水廻り用途部品などの用途に幅広く使用されている。しかしながら、ポリフェニレンスルフィド樹脂は成形時にバリが発生し易く、例えば上記水廻り部品では、異物混入の原因となる他、嵌合部の組付け不良を引き起こすことからその使用が制限されるのが現状であった。
ポリフェニレンスルフィド樹脂のバリ低減については、これまでにもいくつかの検討がなされている。例えば、特許文献1にはポリフェニレンスルフィド樹脂に有機リン酸アルカリ金属化合物を添加する方法が開示されている。
特許文献2には、ポリフェニレンスルフィド樹脂にポリフェニレンエーテル系樹脂、またはポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物を添加する方法が開示されている。
この様に、いずれの特許文献においても、機械的性質および流動性を維持しながら充分にバリを低減させる方法は報告されてない。
特開昭64-54066号公報(特許請求の範囲) 特開2002-284996号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、引用文献1に開示された発明は、バリ低減の効果は不十分であり、有機リン酸アルカリ金属化合物の添加量が多いため、機械的性質の低下や流動性の悪化を併発するなどの問題がある。また、引用文献2に開示された発明も、バリ低減の効果は不十分である他、機械的物性とりわけ耐衝撃強度の低下が著しく、水廻り用途など優れた衝撃強度が必要な用途には使用できない。
本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂が本来有する耐薬品性や機械的性質および成形加工性を損なうことなく、成形時のバリ発生量が少なく、かつ耐衝撃強度、流動性に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、その製造方法および成形品を得ることを課題とする。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機燐酸塩、高いガラス転移温度を有するポリマーであるポリフェニレンエーテルを特定の割合で添加することにより、機械的性質、とりわけ耐衝撃強度および成形加工性を維持しながら著しくバリを低減できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(B)有機燐酸塩0.01~8重量部(C)ポリフェニレンエーテル0.5~8重量部、および(D)熱可塑性エラストマーを5~45重量部を配合してなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
2.前記(B)有機燐酸塩が、下記の方法にて測定した分解温度が400℃以上であることを特徴とする1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
分解温度の測定方法:常圧、空気流量200mL/minの雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/分で熱重量分析を行った際、100℃到達時点の試料重量を基準重量とし、基準重量から10%重量減少する温度を分解温度とする、
3.前記(C)ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が1,000~20,000であることを特徴とする1~2のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
4.前記(C)ポリフェニレンエーテルがスチレン基、およびメタクリル酸メチル基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有することを特徴とする1~3のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
5.前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、前記(B)有機燐酸塩と前記(C)ポリフェニレンエーテルとの重量割合(B)/(C)が0.01~5であることを特徴とする1~4のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
.前記(D)熱可塑性エラストマーが、(D1)α-オレフィンとα,β-不飽和酸のグリシジルエステルとを共重合成分とするグリシジル基含有共重合体および(D2)エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンを共重合成分とするエチレン・α-オレフィン共重合体を含有することを特徴とする1~5のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
.前記(C)ポリフェニレンエーテルの体積平均粒子径を500μm以下として溶融混練することを特徴とする1~6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、
.1~6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品、
.前記成形品が、水廻り用途の配管部材であることを特徴とするに記載の成形品、
である。
本発明によれば、機械的性質および成形加工性を維持しながら成形時のバリの発生量が大きく低減するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得ることができる。また、高温条件下だけでなく低温条件下においても、比較的高い耐衝撃強度が発現することから、氷点下以下の凍結条件下で使用される用途にも好適なポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および成形品が得られる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂
本発明で用いられる(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略することがある)は、下記構造式で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 0007452192000001
耐熱性の観点からは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、更には90モル%以上含む重合体が好ましい。また(A)PPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 0007452192000002
かかる構造を一部有するPPS共重合体は、融点が低くなるため、このような樹脂組成物は成形性の点で有利となる。
本発明で用いられる(A)PPS樹脂の溶融粘度に特に制限はないが、より優れた耐衝撃強度を得る意味からその溶融粘度は高い方が好ましい。例えば80Pa・sを超える範囲が好ましく、200Pa・s以上がさらに好ましく、600Pa・s以上がさらに好ましい。上限については1000Pa・s以下であることが好ましい。また、溶融成形加工性の観点から、150~300Pa・sのPPS樹脂とともに、500~800Pa・sの高粘度PPS樹脂を一部併用することも、本発明の成形時のバリの低減を促進する上で好ましく例示できる。
なお、本発明における溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/sの条件下、東洋精機社製キャピログラフを用いて測定した値である。
以下に、本発明に用いる(A)PPS樹脂の製造方法について説明するが、上記構造の(A)PPS樹脂が得られれば下記方法に限定されるものではない。
まず、製造方法において使用するポリハロゲン芳香族化合物、スルフィド化剤、重合溶媒、分子量調節剤、重合助剤および重合安定剤の内容について説明する。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
ポリハロゲン化芳香族化合物とは、1分子中にハロゲン原子を2個以上有する化合物をいう。具体例としては、p-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロ-p-キシレン、1,4-ジブロモベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1-メトキシ-2,5-ジクロロベンゼンなどのポリハロゲン化芳香族化合物が挙げられ、好ましくはp-ジクロロベンゼンが用いられる。また、異なる2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることも可能であるが、p-ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度の(A)PPS樹脂を得る点から、スルフィド化剤1モル当たり0.9から2.0モル、好ましくは0.95から1.5モル、更に好ましくは1.005から1.2モルの範囲が例示できる。
[スルフィド化剤]
スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
あるいは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素からアルカリ金属硫化物を調整し、これを重合槽に移して用いることができる。
仕込みスルフィド化剤の量は、脱水操作などにより重合反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95から1.20モル、好ましくは1.00から1.15モル、更に好ましくは1.005から1.100モルの範囲が例示できる。
[重合溶媒]
重合溶媒としては有機極性溶媒を用いるのが好ましい。具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドンなどのN-アルキルピロリドン類、N-メチル-ε-カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらはいずれも反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMPと略記することもある)が好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、スルフィド化剤1モル当たり2.0モルから10モル、好ましくは2.25から6.0モル、より好ましくは2.5から5.5モルの範囲が選ばれる。
[分子量調節剤]
生成する(A)PPS樹脂の末端を形成させるか、あるいは重合反応や分子量を調節するなどのために、モノハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を、上記ポリハロゲン化芳香族化合物と併用することができる。
[重合助剤]
比較的高重合度の(A)PPS樹脂をより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは、得られる(A)PPS樹脂の粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独であっても、また2種以上を同時に用いることもできる。なかでも、有機カルボン酸塩、水、およびアルカリ金属塩化物が好ましく、さらに有機カルボン酸塩としてはアルカリ金属カルボン酸塩が、アルカリ金属塩化物としては塩化リチウムが好ましい。
上記アルカリ金属カルボン酸塩とは、一般式R(COOM)(式中、Rは、炭素数1~20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基である。Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは1~3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物、無水物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p-トルイル酸カリウム、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
アルカリ金属カルボン酸塩は、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩および重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して反応させることにより形成させてもよい。上記アルカリ金属カルボン酸塩の中で、リチウム塩は反応系への溶解性が高く助剤効果が大きいが高価であり、カリウム、ルビジウムおよびセシウム塩は反応系への溶解性が不十分であると思われるため、安価で、重合系への適度な溶解性を有する酢酸ナトリウムが最も好ましく用いられる。
これらアルカリ金属カルボン酸塩を重合助剤として用いる場合の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.01モル~2モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.1~0.6モルの範囲が好ましく、0.2~0.5モルの範囲がより好ましい。
また水を重合助剤として用いる場合の添加量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常0.3モル~15モルの範囲であり、より高い重合度を得る意味においては0.6~10モルの範囲が好ましく、1~5モルの範囲がより好ましい。
これら重合助剤は2種以上を併用することももちろん可能であり、例えばアルカリ金属カルボン酸塩と水を併用すると、それぞれより少量で高分子量化が可能となる。
これら重合助剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、重合助剤としてアルカリ金属カルボン酸塩を用いる場合は前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが、添加が容易である点からより好ましい。また水を重合助剤として用いる場合は、ポリハロゲン化芳香族化合物を仕込んだ後、重合反応途中で添加することが効果的である。
[重合安定剤]
重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。上述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常0.02~0.2モル、好ましくは0.03~0.1モル、より好ましくは0.04~0.09モルの割合で使用することが好ましい。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、ポリマー収率が低下する傾向となる。
重合安定剤の添加時期には特に指定はなく、後述する前工程時、重合開始時、重合途中のいずれの時点で添加してもよく、また複数回に分けて添加してもよいが、前工程開始時或いは重合開始時に同時に添加することが容易である点からより好ましい。
次に、本発明に用いる(A)PPS樹脂の好ましい製造方法について、前工程、重合反応工程、回収工程、および後処理工程と、順を追って具体的に説明するが、勿論この方法に限定されるものではない。
[前工程]
(A)PPS樹脂の製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ポリハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。
また、上述したように、スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで、あるいは重合槽とは別の槽で調製されるスルフィド化剤も用いることができる。この方法には特に制限はないが、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温~150℃、好ましくは常温から100℃の温度範囲で、有機極性溶媒にアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を加え、常圧または減圧下、少なくとも150℃以上、好ましくは180~260℃まで昇温し、水分を留去させる方法が挙げられる。この段階で重合助剤を加えてもよい。また、水分の留去を促進するために、トルエンなどを加えて反応を行ってもよい。
重合反応における、重合系内の水分量は、仕込みスルフィド化剤1モル当たり0.3~10.0モルであることが好ましい。ここで重合系内の水分量とは重合系に仕込まれた水分量から重合系外に除去された水分量を差し引いた量である。また、仕込まれる水は、水、水溶液、結晶水などのいずれの形態であってもよい。
[重合反応工程]
有機極性溶媒中でスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物とを200℃以上290℃未満の温度範囲内で反応させることにより(A)PPS樹脂を製造する。
重合反応工程を開始するに際しては、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温~240℃、好ましくは100~230℃の温度範囲で、有機極性溶媒とスルフィド化剤とポリハロゲン化芳香族化合物を混合する。この段階で重合助剤を加えてもよい。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時であってもさしつかえない。
かかる混合物を通常200℃~290℃の範囲に昇温する。昇温速度に特に制限はないが、通常0.01~5℃/分の速度が選択され、0.1~3℃/分の範囲がより好ましい。
一般に、最終的には250~290℃の温度まで昇温し、その温度で通常0.25~50時間、好ましくは0.5~20時間反応させる。
最終温度に到達させる前の段階で、例えば200℃~260℃で一定時間反応させた後、270~290℃に昇温する方法は、より高い重合度を得る上で有効である。この際、200℃~260℃での反応時間としては、通常0.25時間から20時間の範囲が選択され、好ましくは0.25~10時間の範囲が選ばれる。
なお、より高重合度のポリマーを得るためには、複数段階で重合を行うことが有効である場合がある。複数段階で重合を行う際は、245℃における系内のポリハロゲン化芳香族化合物の転化率が、40モル%以上、好ましくは60モル%に達した時点であることが有効である。
なお、ポリハロゲン化芳香族化合物(ここではPHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。PHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ポリハロゲン化芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)-PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)-PHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔PHA仕込み量(モル)-PHA残存量(モル)〕/〔PHA仕込み量(モル)〕。
[回収工程]
(A)PPS樹脂の製造方法においては、重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。回収方法については、公知の如何なる方法を採用してもよい。
例えば、重合反応終了後、徐冷して粒子状のポリマーを回収する方法を用いてもよい。この際の徐冷速度には特に制限は無いが、通常0.1℃/分~3℃/分程度である。徐冷工程の全工程において同一速度で徐冷する必要はなく、ポリマー粒子が結晶化析出するまでは0.1~1℃/分、その後1℃/分以上の速度で徐冷する方法などを採用してもよい。
また上記の回収を急冷条件下に行うことも好ましい方法の一つであり、この回収方法の好ましい一つの方法としてはフラッシュ法が挙げられる。フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、8kg/cm以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ、溶媒回収と同時に重合体を粉末状にして回収する方法であり、ここでいうフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気が挙げられ、その温度は通常150℃~250℃の範囲が選ばれる。
[後処理工程]
(A)PPS樹脂は、上記重合、回収工程を経て生成した後、酸処理、熱水処理、有機溶媒による洗浄、アルカリ金属やアルカリ土類金属処理を施されたものであってもよい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。(A)PPS樹脂の酸処理に用いる酸は、(A)PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のような(A)PPS樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液に(A)PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場合、pH4の水溶液を80~200℃に加熱した中にPPS樹脂粉末を浸漬し、30分間撹拌することにより十分な効果が得られる。処理後のpHは4以上、例えばpH4~8程度となってもよい。酸処理を施された(A)PPS樹脂は残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、酸処理による(A)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。(A)PPS樹脂を熱水処理するにあたり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上とすることが好ましい。100℃未満では(A)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果が小さいため、好ましくない。
熱水洗浄による(A)PPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作に特に制限は無く、所定量の水に所定量の(A)PPS樹脂を投入し、圧力容器内で加熱、撹拌する方法、連続的に熱水処理を施す方法などにより行われる。(A)PPS樹脂と水との割合は、水が多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、(A)PPS樹脂200g以下の浴比が選ばれる。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解が好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。さらに、この熱水処理操作を終えた(A)PPS樹脂は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄するのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。(A)PPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、(A)PPS樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく、例えばN-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中に(A)PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒で(A)PPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温~300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温~150℃の洗浄温度で十分効果が得られる。圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
アルカリ金属、アルカリ土類金属処理する方法としては、上記前工程の前、前工程中、前工程後にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法、重合工程前、重合工程中、重合工程後に重合釜内にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法、あるいは上記洗浄工程の最初、中間、最後の段階でアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法などが挙げられる。中でももっとも容易な方法としては、有機溶剤洗浄や、温水または熱水洗浄で残留オリゴマーや残留塩を除いた後にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加する方法が挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属は、酢酸塩、水酸化物、炭酸塩などのアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの形でPPS中に導入するのが好ましい。また過剰のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩は温水洗浄などにより取り除く方が好ましい。上記アルカリ金属、アルカリ土類金属導入の際のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン濃度としてはPPS1gに対して0.001mmol以上が好ましく、0.01mmol以上がより好ましい。温度としては、50℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。上限温度は特にないが、操作性の観点から通常280℃以下が好ましい。浴比(乾燥PPS重量に対する洗浄液重量)としては0.5以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。
本発明においては、耐衝撃強度に極めて優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得る観点から、有機溶媒洗浄と80℃程度の温水または前記した熱水洗浄を数回繰り返すことにより残留オリゴマーや残留塩を除いた後、酸処理もしくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩で処理する方法が好ましく、いずれかの異なる方法で洗浄したPPS樹脂を併用することもできる。
その他、(A)PPS樹脂は、重合終了後に酸素雰囲気下においての加熱および過酸化物などの架橋剤を添加しての加熱による熱酸化架橋処理により高分子量化して用いることも可能である。
熱酸化架橋による高分子量化を目的として乾式熱処理する場合には、その温度は160~260℃が好ましく、170~250℃の範囲がより好ましい。また、酸素濃度は5体積%以上、更には8体積%以上とすることが望ましい。酸素濃度の上限には特に制限はないが、50体積%程度が限界である。処理時間は、0.5~100時間が好ましく、1~50時間がより好ましく、2~25時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
また、熱酸化架橋を抑制し、揮発分除去を目的として乾式熱処理を行うことが可能である。その温度は130~250℃が好ましく、160~250℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5~50時間が好ましく、1~20時間がより好ましく、1~10時間がさらに好ましい。加熱処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
但し、(A)PPS樹脂は、本発明の目標を達成するために熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない、実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。また本発明では、溶融粘度の異なる複数の(A)PPS樹脂を混合して使用してもよい。
(B)有機燐酸塩
本発明で用いられる(B)有機燐酸塩は一般に5価の燐酸塩であり、下記構造式で示されるジアリールホスフェート金属塩である。
Figure 0007452192000003
(上記構造式中、R1は水素原子または炭素原子数1~4のアルキル基を示し、R2およびR3は同一または相異なり、炭素原子数1~9のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子を示す。)
上記構造式において、R1で示される炭素原子数1~4のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等があり、R2およびR3で示される炭素原子数1~9のアルキル基は、上記R1で示される炭素原子数1~4のアルキル基の他に、アミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2-ヘチルヘキシル、ノニル等が例示できる。
本発明で用いられる有機燐酸塩化合物では、上記構造式のR1が水素原子、R2およびR3が第3ブチルであって、Mがナトリウムである化合物が特に好ましく、具体的にはリン酸2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウムが好ましい。当該化合物は、市販されている製品としては(株)アデカからアデカスタブ(登録商標)、例えばアデカスタブ(登録商標)NA-11という商品名で入手できる。
(B)有機燐酸塩の配合量としては、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.01~8重量部である必要があり、好ましい下限量としては、0.02重量部以上であり、0.03重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上が最も好ましい。好ましい上限量としては、5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、1重量部以下が最も好ましい。(B)有機燐酸塩の配合量が0.01重量部未満の場合はバリ低減の効果が小さく、8重量部を超える場合はバリ低減の効果が下がる他、成形時の流動性低下、ガス発生量増加、衝撃強度低下を引き起こすため好ましくない。
また、本発明で用いられる(B)有機燐酸塩は、分解温度(常圧において、空気流量200mL/minの雰囲気下で30℃から昇温速度10℃/分で熱重量分析を行った際、100℃到達時点の試料重量を基準重量とし、基準重量から10%重量減少する温度)が400℃以上であることが好ましい。これは、有機燐酸塩が結晶核剤として(A)PPS樹脂や特に(D)熱可塑性エラストマーに作用するが、10%重量減少する分解温度が400℃以上とすることで、溶融混練時に揮発して実質的な配合量が減少することがなく、分解して化学構造が変化することがなく、バリの発生を抑制する効果を得ることができる。10%重量減少する温度の上限は特に限定しないが、PPS樹脂中の分散性やコストの観点から、500℃以下が好ましい範囲として例示できる。
(C)ポリフェニレンエーテル
ポリフェニレンエーテルは、下記一般構造式で示される構造単位を含む。
Figure 0007452192000004
(式中、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6個のアルキル基または炭素数6~8個のアリール基を示す。)上記構造式で示される重合体の一種単独であっても、二種以上が組合わされた共重合体であってもよい。好ましい具体例では、R5およびR6が炭素原子数1のアルキル基であり、R7およびR8が水素原子である。例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、が挙げられる。また、PPE共重合体としては、上記ポリフェニレンエーテル中に、アルキル三置換フェノール、例えば、2,3,6-トリメチルフェノールに由来する構造単位を含有する共重合体を挙げることができる。
(C)ポリフェニレンエーテルの配合量としては、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.5~8重量部である必要があり、好ましい下限量としては、0.8重量部以上であり、1重量部以上がより好ましい範囲として例示できる。好ましい上限量としては、6重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が最も好ましい。(C)ポリフェニレンエーテルの配合量が、0.5重量部未満ではバリの低減効果が小さく、8重量部を超える場合は、むしろバリの低減効果が下がる他、機械的性質、特に耐衝撃強度が著しく低下すると共に、成形時の流動性低下および成形時のガス発生量が増加するため好ましくない。また、(C)ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、1,000~20,000であることが好ましく、数平均分子量のより好ましい下限としては、1,000以上が例示でき、1,500以上がさらに好ましい。平均分子量のより好ましい上限としては、18,000以下が例示でき、16,000以下がさらに好ましい。数平均分子量が1,000未満では、成形加工時のガス発生量が多くなるため好ましくない。数平均分子量が20,000を超えると、(A)PPS樹脂中への分散性が悪くなるため、バリの低減効果が小さくなるため好ましくない。なお、ここで言う数平均分子量とは、ポリスチレン基準の相対平均分子量である。
更には、(C)ポリフェニレンエーテルとしては、末端変性した変性ポリフェニレンエーテルであることが低バリ化の観点から好ましく、スチレン基、およびメタクリル酸メチル基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有することが好ましい。具体的には(C)ポリフェニレンエーテルの両末端をスチレン変性したもの、および両末端をメタクリル酸メチルで変性したものから選択されるいずれかが著しくバリ低減効果が高くなるため好ましい。
こうした官能基の存在により、(A)PPS樹脂中への(C)ポリフェニレンエーテルの分散性が向上しやすく、バリ低減の効果が高くなる他、耐衝撃強度の向上にも繋がる。また、(C)ポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレン樹脂組成物を製造する際には体積平均粒子径が500μm以下の大きさのものを使用することが好ましい。体積平均粒子径が500μmを超えるポリフェニレンエーテルについては、粉砕等を行い体積平均粒子径が500μm以下にしてから溶融混練することで、バリ低減効果が更に高くなる。これは体積平均粒子径を500μm以下にすることで樹脂組成物中への(C)ポリフェニレンエーテルの分散性が向上するためである。なお、ここで(C)ポリフェニレンエーテルの体積平均粒子径は、以下の方法で測定する。日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を微粒子の体積平均粒子径とした。
また、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、(B)有機燐酸塩と(C)ポリフェニレンエーテルの配合量の重量比(B)/(C)は、0.01以上であることが好ましい。0.02以上がより好ましく、0.03以上が最も好ましい。好ましい上限は5以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.1以下が最も好ましい。(B)/(C)を0.01~5にすることで、バリ低減の効果がより高くなる。
(D)熱可塑性エラストマー
本発明は、さらに(D)熱可塑性エラストマーを配合することが好ましい。(D)熱可塑性エラストマーとしては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-オクテン共重合体、エチレン/プロピレン/共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸/グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル-g-マレイミド共重合体、エチレン/プロピレン-g-無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン-1-g-無水マレイン酸共重合体などを挙げることができる。これらは各々単独、あるいは混合物の形で用いることができる。
前記(D)熱可塑性エラストマーの配合量として、好ましい下限量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、5.0重量部以上であり、6.0重量部以上が最も好ましい。好ましい上限量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、45重量部以下が好ましく、25重量部以下がより好ましく、15重量部以下が最も好ましい。(D)熱可塑性エラストマーの配合量が5.0重量部以上とすることで成形品とした際の耐衝撃強度が向上し、45重量部以下とすることで成形品のクリープ特性を維持し、成形時のガス発生量を抑制できるため好ましい。耐衝撃強度とクリープ特性およびガス発生量の点から、(D)熱可塑性エラストマーを、5重量部以上45重量部以下の範囲で配合することが好ましい。
熱可塑性エラストマーでも、特に好ましくは、(D1)α-オレフィンとα,β-不飽和グリシジルエステルを共重合成分とするグリシジル基含有共重合体(以下、(D1)グリシジル基含有共重合体と称する場合がある)および(D2)エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンを共重合成分とするエチレン・α-オレフィン共重合体(以下、(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体と称する場合がある)を含む混合物が好ましい。
前記(D1)グリシジル基含有共重合体は、α-オレフィン、α,β-不飽和酸のグリシジルエステルおよび必要に応じてこれらと共重合可能な不飽和モノマーを共重合することにより得られる共重合体である。前記(D1)グリシジル基含有共重合体における全共重合成分中、α-オレフィン、およびα,β-不飽和酸のグリシジルエステルを合計60重量%以上含有することが好ましい。
α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-オクテン等を挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
α,β-不飽和酸のグリシジルエステルとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。メタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
また、上記成分と共重合可能な不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、スチレンなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
前記(D1)グリシジル基含有共重合体の好ましい例としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃強度をより向上させる観点から、前記(D1)グリシジル基含有共重合体はα-オレフィンとα,β-不飽和酸のグリシジルエステルを共重合成分とするグリシジル基含有二元共重合体であることが好ましく、具体的には、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体がより好ましい。
特に好ましいエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体は、住友化学工業(株)からボンドファースト(登録商標)、例えばボンドファーストEという商品名で入手できる。
前記(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンを共重合してなるものである。上記エチレンと上記炭素数3以上20以下のα-オレフィン以外にも、本発明の効果に悪影響を与えない範囲内において他の成分を加えることができる。この場合において、他の成分としてα,β-不飽和酸のグリシジルエステルを共重合成分として有するものは、前記(D1)グリシジル基含有共重合体とする。すなわち、(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体はグリシジル基を有さない。
前記(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体の炭素原子数3以上20以下のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどが挙げられ、1-ブテンおよび1-オクテンが特に好ましい。
さらに、前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、前記(D1)グリシジル基含有共重合体と前記(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体の配合の重量比(D1)/(D2)として、好ましい下限は、0.3以上であり、0.4以上が最も好ましい。好ましい上限は、1.5以下が好ましく、1以下が最も好ましい。(D1)/(D2)を0.3~1.5にすることで、成形品とした際の衝撃強度がより向上し、かつバリ発生量が少なくなる。
(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体としては、エチレン/1-ブテン共重合体が好ましく、特に好ましいエチレン/1-ブテン共重合体は、三井化学(株)からタフマー(登録商標)、例えばタフマー(登録商標)A0550Sという商品名で入手できる。
原料の混合順序については特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し、これと更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
無機フィラー
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には、必須成分ではないが、本発明の効果を損なわない範囲で無機フィラーを配合して使用することも可能である。かかる無機フィラーの具体例としてはガラス繊維、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填材、あるいはフラーレン、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、シリカ、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などの非繊維状充填材が用いられ、なかでもガラス繊維、シリカ、炭酸カルシウムが好ましく、さらに炭酸カルシウムやシリカが、防食材、滑材の効果の点から特に好ましい。またこれらの無機フィラーは中空であってもよく、さらに2種類以上併用することも可能である。また、これらの無機フィラーをイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用してもよい。中でも炭酸カルシウムやシリカ、カーボンブラックが、防食材、滑材、導電性付与の効果の点から好ましい。
かかる無機フィラーの配合量は、(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、30重量部以下の範囲が選択され、10重量部未満の範囲が好ましく、1重量部未満の範囲がより好ましく、0.8重量部以下の範囲が更に好ましい。下限は特に無いが0.0001重量部以上が好ましい。無機フィラーの配合は材料の弾性率向上に有効である反面、30重量部を超えるような多量の配合は靱性の大きな低下をもたらすため、好ましくない。無機フィラーの含有量は、靱性と剛性のバランスから用途により適宜変えることが可能である。
その他の添加物
さらに、本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、(C)ポリフェニレンエーテルおよび(D)熱可塑性エラストマー以外の樹脂を添加配合してもよい。その具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、などが挙げられる。
また、改質を目的として、以下のような化合物の添加が可能である。ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、(3,9-ビス[2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)などの様なフェノール系酸化防止剤、(ビス(2,4-ジ-クミルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト)などのようなリン系酸化防止剤、その他、水、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を配合することができる。上記化合物は何れも組成物全体の20重量%を超えると(A)PPS樹脂本来の特性が損なわれるため好ましくなく、10重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の添加がよい。
樹脂組成物の製造方法
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法としては、単軸、二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機に原料を供給して、(A)PPS樹脂の融解ピーク温度+5~100℃の加工温度で溶融混練する方法などを代表例として挙げることができる。この際、二軸の押出機を使用し、せん断力を比較的強くすることが好ましい。具体的には、L/D(L:スクリュー長さ、D:スクリュー直径)が20以上、好ましくは30以上であり、ニーディング部を2箇所以上、好ましくは3箇所以上有する二軸押出機を使用し、スクリュー回転数を150~1000回転/分、好ましくは300~1000回転/分として、混合時の樹脂温度が(A)PPS樹脂の融解ピーク温度+10~70℃となるように混練する方法などを好ましく用いることができる。L/Dの上限については特に制限しないが、60以下が経済性の観点から好ましい。また、ニーディング部箇所の上限についても特に制限しないが、生産性の観点から10箇所以下であることが好ましい。
このようにして得られるPPS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、トランスファー成形など各種成形に供することが可能であるが、特に射出成形用途に適している。
本発明のPPS樹脂組成物は、成形加工性や機械的性質特に低温時の耐衝撃強度を維持しながら成形時のバリ発生量が従来よりも著しく少なく異物管理や柔軟性を求められる水廻り配管部品に適用できる。配管部品は継手、弁、サーボ、センサー、パイプ、ポンプのいずれかであり、特に住設配管継手、給湯器部品に好ましく用いられる。住設配管継手では昨今耐薬品性の観点から他樹脂からの切替え需要が多数あるが、従来のPPS樹脂組成物からなる配管部品ではバリが多く使用に制限があった。本発明のPPS樹脂組成物からなる配管部品は成形加工性や機械的性質を維持しながら上記課題を解決したため、住設配管継手に適用することができる。
配管部品に流れる液体は、水の他に、アルコール類、グリコール類、グリセリンなどを含む不凍液でもよく、その種類、および濃度は特に限定されない。
その他本発明で用いられるPPS樹脂組成物からなる成形品の適用可能な用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、民生用コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品への適用も可能である。その他、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディマー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品、家電、食器、箸、タッパー等の食品接触部品など各種用途が例示できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例12は参考例とする。
[測定方法]
(1)スパイラル流動長
1.0mm厚みのスパイラルフロー金型を用い、シリンダー温度320℃、金型温度130℃、射出速度230mm/sec、射出圧力98MPa、射出時間5sec、冷却時間15secの条件で成形し、流動長を測定した(使用成形機:住友重機製“SE-30D”)。この流動長の値が大きい程、溶融流動性に優れていると言える。
(2)バリ長さ
SE30D射出成形機を用い、円周上に(a)幅5mm×長さ20mm×厚み1000μm、(b)幅5mm×長さ20mm×厚み700μm、(c)幅5mm×長さ20mm×厚み500μm、(d)幅5mm×長さ20mm×厚み300μm、(e)幅5mm×長さ20mm×厚み100μm、(f)幅5mm×長さ20mm×厚み50μm、(g)幅5mm×長さ20mm×厚み20μm、(h)幅5mm×長さ20mm×厚み10μm、の8つの突起部を有する40mm直径×3mm厚の円盤形状金型を用い、成形温度320℃、金型温度130℃の温度条件で射出成形し、(b)の突起部が先端まで充填される時の(h)の突起部の充填長さを測定しバリ長さとした。なお、ゲート位置は円板中心部分とした(バリ長さが短いと低バリ性が良好である)。
(3)シャルピー衝撃強度の測定
シリンダ温度320℃、金型温度140℃にて、ISO3167に準じた1A型ダンベル片(4.0mm厚み)を射出成形し、中央部を80mmに切り出しVノッチを加工した試験片(4.0mm幅、ノッチあり)を作成し、23℃および-20℃の温度条件下でISO179に準じて測定したものである。この値が高いほど耐衝撃強度が高く、好ましい。
(4)加熱減量の測定
配合物を溶融混練し、大気下120℃で8時間乾燥して得られたPPS樹脂組成物ペレットを130℃で3時間予備乾燥した後、約10gをアルミカップに精秤した。これを大気下320℃で2時間処理した際の重量減少を測定した。加熱減量が少ないほどガス発生量が少ないといえる。
(5)有機燐酸塩の分解温度
試料を常圧、空気流量200mL/minの雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/分で熱重量分析を行った際、100℃到達時点の試料重量を基準重量とし、基準重量から10%重量減少する温度を分解温度とした。
(6)ポリフェニレンエーテルの体積平均粒子径
日機装製レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置MT3300EXIIを用い、分散媒としてポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(商品名ノナール912A東邦化学工業製 以後、ノナール912Aと称す)の0.5質量%水溶液を用いて測定した。具体的にはマイクロトラック法によるレーザーの散乱光を解析して得られる微粒子の総体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが50%となる点の粒径(メジアン径:d50)を体積平均粒子径とした。
[参考例1](A)PPS-1の重合
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2957.21g(70.97モル)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)11434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次にp-ジクロロベンゼン10235.46g(69.63モル)、NMP9009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70000gで洗浄、濾別した。70000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPS-1は、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1000/s)であった。
[参考例2](B)有機燐酸塩
B-1:リン酸2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム((株)アデカ製“アデカスタブ”(登録商標)NA-11(商品名)、分解温度432℃)
B-2:リン酸エステル塩A/リン酸エステル塩B/有機化合物の複合物((株)アデカ製“アデカスタブ”(登録商標)NA-27(商品名)、分解温度317℃)。
[参考例3](C)ポリフェニレンエーテル
C-1:ポリフェニレンエーテル(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製PX100F(商品名)、数平均分子量Mn=16,000、体積平均粒子径=730μm)
C-2:ポリフェニレンエーテル(SABIC社製“ノリル”PPO646(商品名)、数平均分子量Mn=21,700、体積平均粒子径=840μm)
C-3:ポリフェニレンエーテル(SABIC社製“ノリル”SA90(商品名)、数平均分子量Mn=1,700、体積平均粒子径=4120μm)
C-4:両末端にスチレン基を含有するポリフェニレンエーテル(三菱ガス化学(株)製OPE-2st(商品名)、数平均分子量Mn=2,200、体積平均粒子径=450μm)
C-5:両末端にメタクリル酸メチル基を含有するポリフェニレンエーテル(SABIC社製“ノリル”SA9000(商品名)、数平均分子量Mn=1,700、体積平均粒子径=520μm)。
[参考例4](D)熱可塑性エラストマー
D1-1:エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製ボンドファーストE(商品名))
D1-2:エチレン/メタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製ボンドファースト7M(商品名))
D2-1:エチレン/1-ブテン共重合体(三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)A0550S(商品名))
D2-2:エチレン/1-オクテン共重合体(ダウケミカル社製“エンゲージ”(登録商標)ENGAGE8842(商品名))
D2-3:エチレン/ブチルアクリレート共重合体(Arkema製“ロトリル”(登録商標)35BA40(商品名))
D-4:アミノ基変性スチレン/ブタジエン共重合物の水素添加物(旭化成(株)製“タフテック”MP10))。
[実施例1~10、13~16、18~20]
表1に示す(A)PPS樹脂、(B)有機燐酸塩、(C)ポリフェニレンエーテルおよび(D)熱可塑性エラストマーを表1に示す割合でドライブレンドした後、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM-26SS)に供給し、シリンダー温度320℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量40kg/時間にて溶融混練した。ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表1および表2に示す通りであった。
[実施例11]
(C)ポリフェニレンエーテルを乳鉢で粉砕し、32メッシュ(目開き:500μm)の篩に掛けて体積平均粒子径を485μmとした。それ以外は、実施例5と同様に溶融混練した後、ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表2に示す通りであった。
[実施例12]
表1に示す(A)PPS樹脂、(B)有機燐酸塩および(C)ポリフェニレンエーテルを表2に示す割合でドライブレンドした後、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM-26SS)に供給し、シリンダー温度320℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量40kg/時間にて溶融混練した。ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表2に示す通りであった。
[実施例17]
(C)ポリフェニレンエーテルを乳鉢で粉砕し、32メッシュ(目開き:500μm)の篩に掛けて数平均粒子径を490μmとした。それ以外は、実施例14と同様に溶融混練した後、ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表2に示す通りであった。
[比較例1]
表3に示すとおり、(B)有機燐酸塩、(C)ポリフェニレンエーテルを配合しない以外は、実施例12と同様に溶融混練した後、ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表3に示す通りであった。
[比較例2]
表3に示すとおり、(B)有機燐酸塩、(C)ポリフェニレンエーテルを配合しない以外は、実施例5と同様に溶融混練した後、ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表3に示す通りであった。
[比較例3]
表3に示す(A)PPS樹脂、(B)有機燐酸塩および(D)熱可塑性エラストマーを表2に示す割合でドライブレンドした後、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM-26SS)に供給し、シリンダー温度320℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量40kg/時間にて溶融混練した。ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表3に示す通りであった。
[比較例4]
表3に示す(A)PPS樹脂、(C)ポリフェニレンエーテルおよび(D)熱可塑性エラストマーを表2に示す割合でドライブレンドした後、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM-26SS)に供給し、シリンダー温度320℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量40kg/時間にて溶融混練した。ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表3に示す通りであった。
[比較例5~8]
表3に示す(A)PPS樹脂、(B)有機燐酸塩、(C)ポリフェニレンエーテルおよび(D)熱可塑性エラストマーを表2に示す割合でドライブレンドした後、東芝機械(株)製二軸押出機(TEM-26SS)に供給し、シリンダー温度320℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量40kg/時間にて溶融混練した。ダイスから吐出するストランドを水浴中で急冷してから、ストランドカッターによりペレット化した。得られたペレットを130℃で3時間熱風乾燥した後、先に記載した方法に従ってスパイラル流動長、バリ長さ、シャルピー衝撃強度および加熱減量の測定を行った。結果は表3に示す通りであった。
Figure 0007452192000005
Figure 0007452192000006
Figure 0007452192000007
上記比較例1と実施例12の結果を比較して説明する。(B)有機燐酸塩および(C)ポリフェニレンエーテルを併用添加することで、バリ長さが減少した。
次に、比較例2と実施例2~5の結果を比較して説明する。(B)有機燐酸塩および(C)ポリフェニレンエーテルを併用添加することでバリ長さが減少した。低減効果は(B)および(C)の添加量によって異なり、実施例5の添加量の場合、バリ長さだけでなく機械的物性も最も優れる結果であった。また、比較例3、4と実施例2を比較すると、(B)有機燐酸塩または(C)ポリフェニレンエーテルのどちらか一方の添加では、バリ低減効果は発現しない。更に、比較例5と実施例2、比較例6と実施例2をそれぞれ比較して説明する。(B)有機燐酸塩および(C)ポリフェニレンエーテルを併用添加した場合でも、(B)または(C)の量が本願発明の範囲を超えるとバリ低減の効果が発現しない上、加熱減量の増加およびスパイラル流動長、機械的物性、特に低温時の耐衝撃強度が低下した。比較例7と実施例2、比較例8と実施例2をそれぞれ比較すると、(B)有機燐酸塩または(C)ポリフェニレンエーテルのどちらかの添加量が本願発明の範囲内であっても、バリ低減効果は発現しなかった。なお、実施例4、5と実施例18~20より、例え(B)有機燐酸塩および(C)ポリフェニレンエーテルの添加量が本願発明の範囲内であっても、(B)/(C)によってバリ低減効果は異なり、(B)/(C)が0.05の時に最もバリが減少した。
比較例2と実施例5~10を比較して説明する。実施例5~10のいずれにおいても、バリ長さは、比較例2と比較して減少した。ただし、バリ低減効果は(D1)グリシジル基含有共重合体および(D2-1)~(D2-3)のエチレン・α-オレフィン共重合体を使用する場合が高く、(D-4)スチレン/ブタジエン共重合系では効果が小さかった。また、実施例5、6、9と実施例7、10を比較すると、(D1)グリシジル基含有共重合体と(D2)エチレン・α-オレフィン共重合体を併用添加した場合、最も高いバリ低減効果を発現した。
実施例5と実施例13、14を比較して説明する。数平均分子量が20,000以上になると、バリ低減効果が下がる上、スパイラル流動長および耐衝撃強度が低下した。一方、数平均分子量が1.000~3,000になると著しくバリ低減効果が高くなり、機械的物性も向上した。また、実施例14と実施例15、16を比較すると、共重合体の末端を変性した変性ポリフェニレンエーテルを使用した実施例15、16の方がバリ低減効果が高く、耐衝撃強度も優れる結果となった。更に、実施例5と実施例11、実施例14と実施例17を比較すると、(C)ポリフェニレンエーテルの体積平均粒子径を500μm以下として溶融混練することで、バリ長さが減少し、耐衝撃強度、特に低温時の耐衝撃強度が著しく向上した。以上のとおり、(C)ポリフェニレンエーテルを低分子量化、末端変性および体積平均粒子径を500μm以下として溶融混練することで、樹脂組成物内に(C)ポリフェニレンエーテルが分散しやすくなり、バリ低減の効果が高くなる他、破壊の起点となり難くなったため、耐衝撃強度が向上した。

Claims (9)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対して、(B)有機燐酸塩0.01~8重量部(C)ポリフェニレンエーテル0.5~8重量部、および(D)熱可塑性エラストマー5~45重量部を配合してなることを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 前記(B)有機燐酸塩が、下記の方法にて測定した分解温度が400℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
    分解温度の測定方法:常圧、空気流量200mL/minの雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/分で熱重量分析を行った際、100℃到達時点の試料重量を基準重量とし、基準重量から10%重量減少する温度を分解温度とする。
  3. 前記(C)ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が1,000~20,000であることを特徴とする請求項1~2のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. 前記(C)ポリフェニレンエーテルがスチレン基、およびメタクリル酸メチル基から選ばれる少なくとも一つの官能基を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対する、前記(B)有機燐酸塩と前記(C)ポリフェニレンエーテルとの重量割合(B)/(C)が0.01~5であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. 前記(D)熱可塑性エラストマーが、(D1)α-オレフィンとα,β-不飽和酸のグリシジルエステルとを共重合成分とするグリシジル基含有共重合体および(D2)エチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンを共重合成分とするエチレン・α-オレフィン共重合体を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 前記(C)ポリフェニレンエーテルの体積平均粒子径を500μm以下として溶融混練することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1~のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形品。
  9. 前記成形品が、水廻り用途の配管部材であることを特徴とする請求項に記載の成形品。
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