JP2019172914A - 特定のフェノールユニットを含むポリフェニレンエーテルおよびその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
Description
配線板の基材を構成するための基板材料等として使用されている。
特許文献1には、所定のポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p−エテニルベンジル基やm−エテニルベンジル基等を少なくとも1つ以上有してなる変性ポリフェニレンエーテル化合物が記載されている。
また、ポリフェニレンエーテルを変性させたものを含有する樹脂組成物としては、例えば、特許文献2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物が挙げられる。特許文献2には、ポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p−エテニルベンジル基やm−エテニルベンジル基等を有し、且つ数平均分子量が1000〜7000であるポリフェニレンエーテルと架橋型硬化剤とを含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3にはポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、メタクリル基を有した変性ポリマーについて記載されている。
そこで、このような問題の発生を抑制するためには、比較的低分子量のポリフェニレンエーテルを用いることが考えられる。このような比較的低分子のポリフェニレンエーテルの合成法としては、テトラメチルビスフェノール等の低分子フェノール存在下に2,6−キシレノール等のモノマーを重合する方法(重合法)か、高分子量のポリフェニレンエーテルをラジカル開始剤と低分子フェノール存在下に再分配反応を行うことにより分子量を低下させたポリフェニレンエーテルを合成する方法(再分配法)がある。
比較的低分子量のポリフェニレンエーテルの製造方法として、2,4,6−トリメチルフェノールを加えることでその添加量に応じ得られるポリフェニレンエーテルの分子量を変化させる製法(例えば、特許文献4 参照)が提案されており、また同明細書中には、溶媒としてポリフェニレンエーテルの良溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン)とポリフェニレンエーテルの貧溶媒(例えばケトン、エーテル、アルコール)の混合溶媒を用い、良溶媒/貧溶媒の比を変えることにより種々の分子量のポリマーが得られる旨の提案がされている。しかしこの方法は不正確で要求する分子量のポリマーを得る方法としては適当なものではないと述べられている。
また、同様にポリフェニレンエーテルの良溶媒として芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン等)、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒として脂肪族炭化水素(例えばn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン等)の混合溶媒中で実施された方法が開示されている(例えば、特許文献5 参照)。しかし、同公報明細書中並びに比較例中には生成水やアミン類が反応系内に均一に存在した状態で反応を進めると、オリゴポリフェニレンエーテルが粒子を不均一状態に生じた場合に反応容器などに付着しやすくなる欠点があると記載されており、満足のいくものではなかった。
一方、再分配法の場合、上記の重合法に比べ、比較的容易に低分子量体を得ることが出来るが、低分子量体の生成量の制御が困難であり、極低分子量な成分や開始剤由来の副生物が多量に生成するなどの問題がある。
また、本発明は、このようなポリフェニレンエーテルを、開始剤由来副生物や極低分子量体を生成することなく、高純度で製造することを目的とする。
そして、このようなポリフェニレンエーテルを、開始剤由来副生物や極低分子量の成分を大量に生成することなく製造する方法を検討したところ分子内に前記特定構造と同じ構造を有する低分子フェノール化合物を用いて再分配反応を行った場合には、開始剤由来副生物や極低分子量成分を多量に生成させることなく、前記ポリフェニレンエーテルが低分子量で得られることが判明し、本発明の完成に至った。
[1]
下記式(1)〜(6)のいずれかの構造を有するポリフェニレンエーテル。
n、mは、繰り返し単位を表し、0〜100の整数であって、同時に0になることはなく、
Xは、2価の任意の連結基である。
R1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。R3は、C1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
R11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
R12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
R13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
[2]
式(7)で表される炭化水素基が、式(1)〜(6)においてR1が結合しているベンゼン環と直接結合している,[1]記載のポリフェニレンエーテル。
[3]
式(7)におけるR11およびR13がメチル基である,[1]または[2]記載のポリフェニレンエーテル。
[4]
式(7)で表される炭化水素基が、t−Bu基である,[1]から[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[5]
ポリスチレン換算の数平均分子量が,500−30000である,[1]から[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[6]
[1]から[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルを0.5〜95質量%含む,ポリフェニレンエーテル組成物。
[7]
下記式(8)で表されるポリフェニレンエーテルと、下記式(1’)〜(6’)のいずれかで表されるフェノール化合物とを反応させる工程を含む、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
Xは、2価の任意の連結基である。
R1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。
R11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
R12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
R13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
[8]
[1]から[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルと、その末端フェノールと反応しうる多官能硬化剤を含む硬化剤組成物。
n、mは、繰り返し単位を表し、0〜100の整数であって、同時に0になることはなく、
Xは、任意の2価の連結基である。
R1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。
R3は、各々独立にC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
bは、独立に0または1であり、
R11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり、
R12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり、bは各々独立に0または1で、
R13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
R4〜R9の具体例としては、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルn−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。
また、分子量分布は、Mw(重量平均分子量)/Mnで1.1〜5であることが好ましく、Mw/Mnは、より好ましくは、1.4〜4、さらに好ましくは、1.5〜3の範囲である。
本実施形態において、反応は、不活性ガス雰囲気下、反応溶媒中に、式(7)で表される炭化水素基を有し、式(1)におけるXを誘導できるフェノール化合物(以下、「低分子フェノール」ということがある。)と、原料ポリフェニレンエーテルを溶媒に所定の比率で溶解させ、反応所定温度に昇温した後、反応溶媒に希釈したラジカル開始剤を反応系内にフィードすることにより、進行させることが出来る。再分配反応に使用する反応溶媒は、原料を溶解可能で、ラジカル開始剤との反応性が低く、ラジカル開始剤を分解しうる温度まで加熱可能な沸点を有することが好ましい。通常、反応は、常圧下沸点以下の温度で行えるが、還流条件下で行ってもかまわない。また、用いる反応溶媒の沸点が低すぎる場合は、オートクレーブ等の加圧反応器中で行うこともできる。
より好ましくは、例えば、6−t−ブチル−3−メチルカテコール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、1,4−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,6−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2、5−ジ−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジ−t−ブチルベンゼン、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,5−ビス−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−ベンゼン−1,4−ジオール、2,2−エチリデンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2−ブチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、6,6−ジ−t−ブチル−4,4−ビ−オルソクレゾール、3,3,5,5−テトラーt−ブチル(1,1−ビフェニル)−4,4、−ジオール等が挙げられる。
本実施形態において反応時の仕込み比率は、例えば、低分子フェノールと原料ポリフェニレンエーテルの水酸基の比率で示すことが出来る。低分子フェノールの一モルあたりの水酸基量は、その分子構造から求めることが出来、原料ポリフェニレンエーテルの一モルあたりの水酸基量は、その数平均分子量をベースとして算出できる。また、重合方法により、原料ポリフェニレンエーテルに片末端水酸基のポリマーと、両末端水酸基のポリマーが混在する場合は、NMR等の測定により、補正を行ってもよい。反応時の低分子フェノールと原料ポリフェニレンエーテルの水酸基の好ましい比率としては、例えば、低分子フェノールの水酸基/原料フェノールの水酸基=0.5/100〜80/100であり、好ましくは低分子フェノールの水酸基/原料フェノールの水酸基=1/100〜50/100であり、より好ましくは低分子フェノールの水酸基/原料フェノールの水酸基=5/100〜30/100である。
本実施形態において用いることが出来る過酸化物としては、例えば、p−メンタンハイドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジスクシニック酸、ジイソブチリルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−3―メチルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2―エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、キュメンハイドロペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ジイソブチルベンゼンハイドロペルオキシド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンジルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t―ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソブチルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシネオダカノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート等とこれらの混合物が挙げられる。
より好ましくは、例えば、p−メンタンハイドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジスクシニック酸、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−3―メチルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2―エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンジルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t―ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソブチルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエートである。
また、反応時にナフテン酸コバルト等の金属触媒を共存させてもかまわない。
また、開始剤添加後、反応を完結させる目的で、加熱条件で撹拌を継続し、反応を継続してもかまわない。
また、その他の方法としては、反応後、減圧下に溶媒を留去する方法がある。この場合、必要に応じて溶媒留去前に重合禁止剤等のラジカル安定化剤を添加してもかまわない。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、単独で熱可塑性樹脂として使用してもよいし、公知の各種添加剤と組み合わせてポリフェニレンエーテル樹脂組成物として使用することもできる。この場合、組成物中のポリフェニレンエーテルの含有量は、例えば、0.5〜95質量%とすることができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは高い硬化反応性を有するので、耐熱性の高い硬化物を得ることができる。
反応は、すべて、基本的に不活性ガス雰囲気下で実施した。反応に使用する溶媒は、市販の試薬をそのまま利用した。使用した原料、試薬類は以下のとおりである。
1.溶媒:
トルエン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルイソブチルケトン:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルエチルケトン:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
エチレングリコールジメチルエーテル:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
メタノール:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
イソプロパノール:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
エタノール:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
2.開始剤:
ナイパーBMT:日本油脂株式会社製製品をそのまま使用した。
3.原料ポリフェニレンエーテル:
S202A(ポリスチレン換算数平均分子量16000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S203A(ポリスチレン換算数平均分子量10000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S202A及びS203Aは、いずれも下記の構造を有する。
4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール):株式会社ADEKA製製品(AO−40)をそのまま使用した。
4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール):アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール):アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
テトラメチルビスフェノールA:旭有機材株式会社製製品をそのまま使用した。
ビスフェノールA:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
1.数平均分子量測定
分子量は、クロロホルム溶媒下、GPCにて測定を行った。分子量は、標準ポリスチレンを用いた検量線をベースにポリスチレン換算法で求めた。
ポリマー中に含まれる低分子量分は、GPC測定結果を積分分子量に換算し、全体の分子量分布のうちの低分子領域の面積分として算出した。
2.NMR測定
重クロロホルムに、5wt%濃度となるように試料を溶解し、NMR測定を実施した。反応の進行は、低分子フェノールユニットの芳香族のピークと、水酸基のプロトンピークから、低分子フェノールの水酸基のピークが消失することを確認することにより確認した。
生成物のうち8.0ppmと8.2ppm付近に開始剤由来の副生物のピークが存在する。開始剤由来の副生物は、主鎖の2,6位のメチル基のピークを1としたときの8.0ppmと8.2ppm付近に開始剤由来の副生物のピーク面積で算出した。
3.溶液粘度測定
各サンプルの20質量%メチルエチルケトン溶液200mlをビーカーに入れ,B型回転粘度計を用いて25℃で回転数30rpmで粘度を測定した。
ポリフェニレンエーテル1の合成
500ml3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS202A100g、トルエン150g、メチルエチルケトン50gを入れ、低分子フェノールとして4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)13.4gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40質量%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始した時点を反応開始とした。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、80℃で4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリフェニレンエーテル1を回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。乾燥させたポリマーの1H−NMR測定結果を図1に示す。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は約10質量%であった。1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は13.1x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は126cPoisであった。
ポリフェニレンエーテル2の合成
500ml3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS203A100g、トルエン200gを入れ、低分子フェノールとして4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)9.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40質量%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始した時点を反応開始とした。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、80℃で4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリフェニレンエーテル2を回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は9.7質量%であった。1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は12.8x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は151cPoisであった。
ポリフェニレンエーテル3の合成
500ml3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS202A100g、メシチレン200gを入れ、低分子フェノールとして4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)9.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを150℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40質量%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始した時点を反応開始とした。開始剤を1時間かけて滴下し、滴下後、150℃で1時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリフェニレンエーテル3を回収した。その後、これを真空下100℃で3時間を乾燥させた。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は11.2質量%であった。1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は13.1x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は138cPoisであった。
低分子フェノールとして4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)10.2gを用いた以外は実施例3と同様の方法、ポリフェニレンエーテル4を製造した。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、また、実施例1と同様に、低分子フェノールの芳香族ピークのシフトから、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は11.5質量%であった。
1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は13.0x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は132cPoisであった。
低分子フェノールとしてテトラメチルビスフェノールAを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリフェニレンエーテル5を製造した。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1700であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は16.2質量%であった。
1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は16.4x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は138cPoisであった。
低分子フェノールとしてビスフェノールAを用いた以外は実施例2と同様の方法でポリフェニレンエーテル6を製造した。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は17.4質量%であった。
1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は16.8x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は132cPoisであった。
Claims (8)
- 下記式(1)〜(6)のいずれかの構造を有するポリフェニレンエーテル。
n、mは、繰り返し単位を表し、0〜100の整数であって、同時に0になることはなく、
Xは、2価の任意の連結基である。
R1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。R3は、C1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
R11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
R12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
R13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。 - 式(7)で表される炭化水素基が、式(1)〜(6)においてR1が結合しているベンゼン環と直接結合している,請求項1記載のポリフェニレンエーテル。
- 式(7)におけるR11およびR13がメチル基である,請求項1または2記載のポリフェニレンエーテル。
- 式(7)で表される炭化水素基が、t−Bu基である,請求項1から3のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
- ポリスチレン換算の数平均分子量が,500−30000である,請求項1から4のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
- 請求項1から5のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルを0.5〜95質量%含む,ポリフェニレンエーテル組成物。
-
下記式(8)で表されるポリフェニレンエーテルと、下記式(1’)〜(6’)のいずれかで表されるフェノール化合物とを反応させる工程を含む、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
Xは、2価の任意の連結基である。
R1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。
R11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
R12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
R13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
- 請求項1から7のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルと、その末端フェノールと反応しうる多官能硬化剤を含む硬化剤組成物。
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