JP2019172914A - 特定のフェノールユニットを含むポリフェニレンエーテルおよびその製造方法。 - Google Patents

特定のフェノールユニットを含むポリフェニレンエーテルおよびその製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電特性に加え、耐熱性と成形性も兼ね備えたポリフェニレンエーテルの提供。【解決手段】特定のフェノールユニットを含む新規なポリフェニレンエーテル樹脂であって、一例として以下に示された構造を有するポリフェニレンエーテル。【選択図】なし

Description

本発明は、特定のフェノールユニットを含む新規なポリフェニレンエーテル樹脂であって電気・電子機器用の材料として好適に利用できるポリフェニレンエーテルおよびその製造方法に関する。
電気・電子用途の材料には、高度情報化社会での大量データを高速で処理するための低誘電特性を有する材料が求められている。中でもポリフェニレンエーテルは、誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れ、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電特性が優れていることが知られているため、ポリフェニレンエーテル系ポリマーは、高周波用成形材料として、高周波数帯を利用する電子機器に備えられるプリント
配線板の基材を構成するための基板材料等として使用されている。
一方、基板材料等の成形材料として利用する際には、誘電特性に優れるだけではなく、耐熱性や成形性等に優れていることも求められる。この点、従来のポリフェニレンエーテルは、熱可塑性であり、充分な耐熱性を得ることができない場合があった。このため、ポリフェニレンエーテルに、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を添加したものを用いることや、ポリフェニレンエーテルを変性させたものを用いること等が提案されてきた(特許文献1)。
特許文献1には、所定のポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p−エテニルベンジル基やm−エテニルベンジル基等を少なくとも1つ以上有してなる変性ポリフェニレンエーテル化合物が記載されている。
また、ポリフェニレンエーテルを変性させたものを含有する樹脂組成物としては、例えば、特許文献2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物が挙げられる。特許文献2には、ポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p−エテニルベンジル基やm−エテニルベンジル基等を有し、且つ数平均分子量が1000〜7000であるポリフェニレンエーテルと架橋型硬化剤とを含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献3にはポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、メタクリル基を有した変性ポリマーについて記載されている。
ポリフェニレンエーテルの有するもう一つの問題として、一般的に比較的高分子量であり、軟化点が高いため、粘度が高く、流動性が低いという傾向があるということがある。このようなポリフェニレンエーテルを用いて、多層プリント配線板等を製造するために使用されるプリプレグを形成し、形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すると、製造時、例えば、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいという成形性の問題が生じるおそれがある。
そこで、このような問題の発生を抑制するためには、比較的低分子量のポリフェニレンエーテルを用いることが考えられる。このような比較的低分子のポリフェニレンエーテルの合成法としては、テトラメチルビスフェノール等の低分子フェノール存在下に2,6−キシレノール等のモノマーを重合する方法(重合法)か、高分子量のポリフェニレンエーテルをラジカル開始剤と低分子フェノール存在下に再分配反応を行うことにより分子量を低下させたポリフェニレンエーテルを合成する方法(再分配法)がある。
一般に重合法によるポリフェニレンエーテルを製造において低分子量体が生成するような状況の場合には、副生成物の選択率が高くなることや、収率が低下することが知られている。
比較的低分子量のポリフェニレンエーテルの製造方法として、2,4,6−トリメチルフェノールを加えることでその添加量に応じ得られるポリフェニレンエーテルの分子量を変化させる製法(例えば、特許文献4 参照)が提案されており、また同明細書中には、溶媒としてポリフェニレンエーテルの良溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン)とポリフェニレンエーテルの貧溶媒(例えばケトン、エーテル、アルコール)の混合溶媒を用い、良溶媒/貧溶媒の比を変えることにより種々の分子量のポリマーが得られる旨の提案がされている。しかしこの方法は不正確で要求する分子量のポリマーを得る方法としては適当なものではないと述べられている。
また、同様にポリフェニレンエーテルの良溶媒として芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン等)、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒として脂肪族炭化水素(例えばn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン等)の混合溶媒中で実施された方法が開示されている(例えば、特許文献5 参照)。しかし、同公報明細書中並びに比較例中には生成水やアミン類が反応系内に均一に存在した状態で反応を進めると、オリゴポリフェニレンエーテルが粒子を不均一状態に生じた場合に反応容器などに付着しやすくなる欠点があると記載されており、満足のいくものではなかった。
一方、再分配法の場合、上記の重合法に比べ、比較的容易に低分子量体を得ることが出来るが、低分子量体の生成量の制御が困難であり、極低分子量な成分や開始剤由来の副生物が多量に生成するなどの問題がある。
特開2004−339328号公報 国際公開第2004/067634号パンフレット 特許第5147397号公報 米国特許第3440217号明細書 特公昭50−6520号公報
本発明は、誘電特性に加え、耐熱性と成形性も兼ね備えたポリフェニレンエーテルを提供することを目的とする。
また、本発明は、このようなポリフェニレンエーテルを、開始剤由来副生物や極低分子量体を生成することなく、高純度で製造することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、分子内に特定の構造を有する新規なポリフェニレンエーテルが耐熱性に優れていることを見出した。
そして、このようなポリフェニレンエーテルを、開始剤由来副生物や極低分子量の成分を大量に生成することなく製造する方法を検討したところ分子内に前記特定構造と同じ構造を有する低分子フェノール化合物を用いて再分配反応を行った場合には、開始剤由来副生物や極低分子量成分を多量に生成させることなく、前記ポリフェニレンエーテルが低分子量で得られることが判明し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
下記式(1)〜(6)のいずれかの構造を有するポリフェニレンエーテル。
式(1)−(6)中、
n、mは、繰り返し単位を表し、0〜100の整数であって、同時に0になることはなく、
Xは、2価の任意の連結基である。
1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。R3は、C1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
式(7)中
11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
[2]
式(7)で表される炭化水素基が、式(1)〜(6)においてR1が結合しているベンゼン環と直接結合している,[1]記載のポリフェニレンエーテル。
[3]
式(7)におけるR11およびR13がメチル基である,[1]または[2]記載のポリフェニレンエーテル。
[4]
式(7)で表される炭化水素基が、t−Bu基である,[1]から[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[5]
ポリスチレン換算の数平均分子量が,500−30000である,[1]から[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[6]
[1]から[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルを0.5〜95質量%含む,ポリフェニレンエーテル組成物。
[7]
下記式(8)で表されるポリフェニレンエーテルと、下記式(1’)〜(6’)のいずれかで表されるフェノール化合物とを反応させる工程を含む、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
式(1’)−(6’)中、
Xは、2価の任意の連結基である。
1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。
式(7)中
11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
式(8)中、R3は、C1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。pは1〜100の整数である。
[8]
[1]から[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルと、その末端フェノールと反応しうる多官能硬化剤を含む硬化剤組成物。
本発明のポリフェニレンエーテルは、プリプレグ形成等の成形時には適切な流動性を有し、しかも、硬化時には、十分な硬化反応性を有するので、耐熱性の高い硬化物を得ることが出来る。
実施例1で得られたポリフェニレンエーテル1の1H−NMR測定結果である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、式(1)−(6)の構造を有するポリフェニレンエーテルである。
式(1)−(6)中、
n、mは、繰り返し単位を表し、0〜100の整数であって、同時に0になることはなく、
Xは、任意の2価の連結基である。
1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。
3は、各々独立にC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
式(2)中
bは、独立に0または1であり、
11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり、
12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり、bは各々独立に0または1で、
13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
Xの具体的例としては以下の構造が挙げられる。
また、Xの別の具体例としては、窒素、リン、ケイ素等の原子又はこれらを含む基も挙げられ、その場合の例としては以下のような構造が挙げられる。
上記式において、R4〜R9は同じでも異なっていてもよく、水素またはC1〜C8の炭化水素基を示す。k及びlは同じでも異なっていてもよく、0〜4の整数である。
4〜R9の具体例としては、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルn−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。
本実施形態におけるポリフェニレンエーテルの好ましい分子量範囲に限定はなく、プリント基板の製造に用いる場合には、その際に用いる溶媒に溶解する範囲であれば、どの分子量範囲でも構わないが、良好な成形性を得るためには、GPCを用いたポリスチレン換算分子量において数平均分子量(Mn)で500〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは700〜15000、さらに好ましくは700〜10000である。
また、分子量分布は、Mw(重量平均分子量)/Mnで1.1〜5であることが好ましく、Mw/Mnは、より好ましくは、1.4〜4、さらに好ましくは、1.5〜3の範囲である。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは高い硬化反応性を有し、耐熱性の高い硬化物を得ることが出来る。その理由は明らかではないが、その中心に含まれる特定構造、すなわち式(7)で表される炭化水素基を有するフェノール化合物由来の構造、により溶媒親和性等が高くなっているためと推測される。ただし、機序はこれによらない。
本実施形態のポリフェニレンエーテルの製造方法に限定はないが、式(7)で表される炭化水素基を有するフェノール化合物を用いて、公知の再分配反応法によって製造した場合には、開始剤由来副生物や極低分子量成分を多量に生成させることなく、本実施形態のポリフェニレンエーテルを低分子量で製造できることが分かった。
再分配反応による製造の場合は、公知の反応条件に定められた条件に従い製造することが可能である。この場合、得られるポリマーは、原料となるポリフェニレンエーテルよりも分子量が低くなるため、目的の分子量に合わせ、原料ポリフェニレンエーテルと低分子フェノール化合物の比率を調製する必要がある。
本実施形態において、反応は、不活性ガス雰囲気下、反応溶媒中に、式(7)で表される炭化水素基を有し、式(1)におけるXを誘導できるフェノール化合物(以下、「低分子フェノール」ということがある。)と、原料ポリフェニレンエーテルを溶媒に所定の比率で溶解させ、反応所定温度に昇温した後、反応溶媒に希釈したラジカル開始剤を反応系内にフィードすることにより、進行させることが出来る。再分配反応に使用する反応溶媒は、原料を溶解可能で、ラジカル開始剤との反応性が低く、ラジカル開始剤を分解しうる温度まで加熱可能な沸点を有することが好ましい。通常、反応は、常圧下沸点以下の温度で行えるが、還流条件下で行ってもかまわない。また、用いる反応溶媒の沸点が低すぎる場合は、オートクレーブ等の加圧反応器中で行うこともできる。
上記低分子フェノールとしては、例えば、下記の式(1’)−(6’)で表されるような、ビスフェノール化合物が挙げられる。なお、下記式中、X、R1およびR2は、各々、式(1)―(6)のX、R1およびR2と同一である。
ポリフェニレンエーテルの製造方法に用いる低分子フェノールの具体例としては、6−t−ブチル−3−メチルカテコール、4,6−ジ−t−ブチルベンゼンー1,2,3−トリオール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、1,4−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,6−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2、5−ジ−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジ−t−ブチルベンゼン、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,5−ビス−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−ベンゼン−1,4−ジオール、2,2−エチリデンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2−ブチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、α2、α2−(2,3,5,6−テトラメチルビス(6−t−ブチル−2,4−キシレノール)、2,6−ジ−t−ブチル{[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルファニル]メチル}フェノール、6,6−ジ−t−ブチル−4,4−ビ−オルソクレゾール、3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニルスルフィド、3,3,5,5−テトラーt−ブチル(1,1−ビフェニル)−4,4、−ジオール、トリエチレングリコールビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2,2−(1,3−フェニレン)ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアクリロニトリル、2,6−ジ−t−ブチル−4− 3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフィエニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン, 2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)、プロブコール、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン等が挙げられ、好ましくは、例えば6−t−ブチル−3−メチルカテコール、4,6−ジ−t−ブチルベンゼンー1,2,3−トリオール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、1,4−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,6−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2、5−ジ−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジ−t−ブチルベンゼン、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,5−ビス−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−ベンゼン−1,4−ジオール、2,2−エチリデンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2−ブチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、α2、α2−(2,3,5,6−テトラメチルビス(6−t−ブチル−2,4−キシレノール)、6,6−ジ−t−ブチル−4,4−ビ−オルソクレゾール、3,3,5,5−テトラーt−ブチル(1,1−ビフェニル)−4,4−ジオール、トリエチレングリコールビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4− 3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフィエニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)、プロブコールである。
より好ましくは、例えば、6−t−ブチル−3−メチルカテコール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、1,4−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,5−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,6−ジヒドロキシ−2−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2、5−ジ−t−ブチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−2,6−ジ−t−ブチルベンゼン、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,5−ビス−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−ベンゼン−1,4−ジオール、2,2−エチリデンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2−ブチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、6,6−ジ−t−ブチル−4,4−ビ−オルソクレゾール、3,3,5,5−テトラーt−ブチル(1,1−ビフェニル)−4,4、−ジオール等が挙げられる。
また、原料ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、以下式(8)の構造を有するものが挙げられる。なお、下記式(8)中、R3およびR4は、各々、式(1)のR3およびR4と同一であり、pは1〜100の整数である。
反応溶媒としては、例えば、ベンゼン、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、トルエン、クメン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ジエチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、オクタン、ヘキサン、シクロペンタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム等が挙げられ、好ましくは、ベンゼン、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、メチル−n−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、オクタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム等が、より好ましくはベンゼン、m−キシレン、o−キシレン、p−キシレン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、メチル−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム等とこれらの混合溶媒系が挙げられる。
原料ポリフェニレンエーテルの分子量に限定はないが、例えば、目的に応じて、Mn=100000〜5000、好ましくはMn=50000〜5000、より好ましくはMn=30000〜5000の範囲のものを用いることが出来る。
反応時のポリフェニレンエーテルの濃度は、ポリフェニレンエーテルが溶解し、撹拌可能な濃度であれば構わない。具体的には、例えば、0.5〜70wt%、好ましくは5〜65wt%、より好ましくは10〜60wt%の範囲である。
低分子フェノールと原料ポリフェニレンエーテルの比は、目的とするポリフェニレンエーテルの分子量によって決定されるため、目的分子量に応じて任意の比に設定することが出来る。
本実施形態において反応時の仕込み比率は、例えば、低分子フェノールと原料ポリフェニレンエーテルの水酸基の比率で示すことが出来る。低分子フェノールの一モルあたりの水酸基量は、その分子構造から求めることが出来、原料ポリフェニレンエーテルの一モルあたりの水酸基量は、その数平均分子量をベースとして算出できる。また、重合方法により、原料ポリフェニレンエーテルに片末端水酸基のポリマーと、両末端水酸基のポリマーが混在する場合は、NMR等の測定により、補正を行ってもよい。反応時の低分子フェノールと原料ポリフェニレンエーテルの水酸基の好ましい比率としては、例えば、低分子フェノールの水酸基/原料フェノールの水酸基=0.5/100〜80/100であり、好ましくは低分子フェノールの水酸基/原料フェノールの水酸基=1/100〜50/100であり、より好ましくは低分子フェノールの水酸基/原料フェノールの水酸基=5/100〜30/100である。
低分子フェノールと原料ポリフェニレンエーテルの仕込み方法に限定はなく、通常あらかじめ全量を反応開始前に反応器に仕込むのが一般的であるが、目的に応じて、分割して反応系に添加してもかまわない。また、あらかじめ溶解させた低分子フェノールまたは原料ポリフェニレンエーテル溶液を、反応開始後も反応系中に添加し続けてもかまわない。
溶媒とともに、反応に用いる開始剤としては、例えば、ラジカルを発生することが出来る任意の過酸化物を用いることが出来る。
本実施形態において用いることが出来る過酸化物としては、例えば、p−メンタンハイドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジスクシニック酸、ジイソブチリルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−3―メチルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2―エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、キュメンハイドロペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ジイソブチルベンゼンハイドロペルオキシド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンジルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t―ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソブチルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシネオダカノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート等とこれらの混合物が挙げられる。
より好ましくは、例えば、p−メンタンハイドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、過酸化ジスクシニック酸、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−3―メチルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2―エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5―トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンジルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヒドロキシペルオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t―ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、t−ヘキシルペルオキシイソブチルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエートである。
また、反応時にナフテン酸コバルト等の金属触媒を共存させてもかまわない。
反応温度は、原料ポリフェニレンエーテルと低分子フェノールが溶解する温度でかつ、反応時開始剤ラジカルを発生できる温度であれば構わない。目安として、使用する開始剤の一時間半半減期温度の±20℃の範囲で実施することが好ましい。
また、開始剤添加後、反応を完結させる目的で、加熱条件で撹拌を継続し、反応を継続してもかまわない。
開始剤の添加方法は、反応開始時に一括で添加する方法、反応途中に数回分割して添加する方法、反応開始時から連続でもしくは断続的に添加する方法等があり、目的とするポリマー、開始剤の性質、反応条件のコントロール等の目的に応じて、いずれの方法を取ってもかまわない。また、必要に応じて、事前に、低分子フェノールもしくは低分子フェノールの一部と開始剤を反応させ、これを原料ポリフェニレンエーテルもしくは原料ポリフェニレンエーテルと低分子フェノールを溶解させた反応系中に添加する方法を採用してもよい。或いは、原料ポリフェニレンエーテルもしくは原料ポリフェニレンエーテルの一部と開始剤を反応させ、その後、低分子フェノールもしくは原料ポリフェニレンエーテルと低分子フェノールを溶解させた反応系中に添加する方法を採用することもできる。
反応時間は、反応温度、基質、原料濃度にもよるが、通常、0.5〜6時間程度で反応させることが出来る。
反応後のポリフェニレンエーテル溶液(以下、「ポリマー溶液」ということがある。)の処理方法に限定はなく、例えば、ポリマー溶液を、アルコール等の貧溶媒中に、添加し、再沈殿によりポリマーを析出させ、その後溶媒との分別後乾燥させることができる。再沈殿に用いることが出来る貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、n−ヘキサン等が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。
また、その他の方法としては、反応後、減圧下に溶媒を留去する方法がある。この場合、必要に応じて溶媒留去前に重合禁止剤等のラジカル安定化剤を添加してもかまわない。
また、ポリフェニレンエーテル回収前に、開始剤由来化合物、反応副生物を除く目的で、ポリマー溶液を洗浄することもできる。ポリマー溶液の洗浄時は、水、もしくは水/アルコール混合溶媒系が好適に用いることが出来る。また必要に応じて、洗浄溶媒に水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリを添加してもかまわない。
得られたポリフェニレンエーテルの同定は、NMR、IR、GPC等によって行うことが出来る。必要に応じて、反応後に、未反応ポリマー、溶媒に不溶な副生物等が生じた場合は、濾過等の操作を実施後、上記操作を行ってもかまわない。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、低誘電特性を有し、耐熱性に優れるので、各種電気・電子機器用の材料として好適に使用できる。特に、本実施形態のポリフェニレンエーテルは、良好な流動性・成形性も兼ね備えているので、電気・電子部品(プリント配線板基材等)用のプリプレグの製造に好適に使用できる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは、単独で熱可塑性樹脂として使用してもよいし、公知の各種添加剤と組み合わせてポリフェニレンエーテル樹脂組成物として使用することもできる。この場合、組成物中のポリフェニレンエーテルの含有量は、例えば、0.5〜95質量%とすることができる。
さらに、本実施形態のポリフェニレンエーテルは、その末端フェノールと反応しうる多官能硬化剤と組み合わせ、硬化剤組成物として使用することもできる。このような多官能硬化剤としては、例えば、エポキシ化合物が挙げられる。このような硬化剤組成物中のポリフェニレンエーテルの含有量に限定はないが、例えば、10〜60質量%とすることができる。硬化剤組成物には、その他、Br系難燃剤やシリカ、熱可塑性エラストマー等の公知の添加剤を添加することもできる。
本実施形態のポリフェニレンエーテルは高い硬化反応性を有するので、耐熱性の高い硬化物を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて、本実施形態を詳細に説明していくが、本実施形態は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(ポリフェニレンエーテルの合成反応)
反応は、すべて、基本的に不活性ガス雰囲気下で実施した。反応に使用する溶媒は、市販の試薬をそのまま利用した。使用した原料、試薬類は以下のとおりである。
1.溶媒:
トルエン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルイソブチルケトン:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルエチルケトン:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
エチレングリコールジメチルエーテル:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
メタノール:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
イソプロパノール:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
エタノール:和光純薬工業株式会社製試薬特級品をそのまま使用した。
2.開始剤:
ナイパーBMT:日本油脂株式会社製製品をそのまま使用した。
3.原料ポリフェニレンエーテル:
S202A(ポリスチレン換算数平均分子量16000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S203A(ポリスチレン換算数平均分子量10000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S202A及びS203Aは、いずれも下記の構造を有する。
4.低分子フェノール:
4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール):株式会社ADEKA製製品(AO−40)をそのまま使用した。
4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール):アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール):アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
テトラメチルビスフェノールA:旭有機材株式会社製製品をそのまま使用した。
ビスフェノールA:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
(ポリフェニレンエーテルの同定、分析)
1.数平均分子量測定
分子量は、クロロホルム溶媒下、GPCにて測定を行った。分子量は、標準ポリスチレンを用いた検量線をベースにポリスチレン換算法で求めた。
ポリマー中に含まれる低分子量分は、GPC測定結果を積分分子量に換算し、全体の分子量分布のうちの低分子領域の面積分として算出した。
2.NMR測定
重クロロホルムに、5wt%濃度となるように試料を溶解し、NMR測定を実施した。反応の進行は、低分子フェノールユニットの芳香族のピークと、水酸基のプロトンピークから、低分子フェノールの水酸基のピークが消失することを確認することにより確認した。
生成物のうち8.0ppmと8.2ppm付近に開始剤由来の副生物のピークが存在する。開始剤由来の副生物は、主鎖の2,6位のメチル基のピークを1としたときの8.0ppmと8.2ppm付近に開始剤由来の副生物のピーク面積で算出した。
3.溶液粘度測定
各サンプルの20質量%メチルエチルケトン溶液200mlをビーカーに入れ,B型回転粘度計を用いて25℃で回転数30rpmで粘度を測定した。
(実施例1)
ポリフェニレンエーテル1の合成
500ml3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS202A100g、トルエン150g、メチルエチルケトン50gを入れ、低分子フェノールとして4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)13.4gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40質量%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始した時点を反応開始とした。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、80℃で4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリフェニレンエーテル1を回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。乾燥させたポリマーの1H−NMR測定結果を図1に示す。
1H−NMRにより、反応進行をモニターし、反応進行とともに4.5ppm付近にある、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)の水酸基のピークが減少し最終的に消失していることを確認した。また、生成物は、2.1ppm付近に、ポリフェニレンエーテルユニットのメチル基に相当するピークが確認され、6.5ppm付近に、ポリフェニレンエーテルユニットのメタ位のプロトンのピークが確認された。4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)ユニットに相当するピークは、4.1ppm付近のブチリデン炭素のメチンプロトンと、7.1ppm付近と6.5ppm付近のフェノールユニットの水酸基に対してメタ位、オルト位に相当するプロトンの高磁場側へのシフトが確認された。さらに、1.3ppm付近の水酸基に対してオルト位のt−ブチルキ基のプロトンがわずかながらシフトし、分裂していることを確認した。これにより原料の4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)がポリマー中に取り込まれていることを確認した。以上の1H−NMRの結果から、生成物は以下の構造であると推定された。
GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1700であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は約10質量%であった。1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は13.1x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は126cPoisであった。
(実施例2)
ポリフェニレンエーテル2の合成
500ml3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS203A100g、トルエン200gを入れ、低分子フェノールとして4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)9.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40質量%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始した時点を反応開始とした。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、80℃で4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリフェニレンエーテル2を回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、また、実施例1と同様に、低分子フェノールの芳香族ピークのシフトから、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1900であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は9.7質量%であった。1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は12.8x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は151cPoisであった。
(実施例3)
ポリフェニレンエーテル3の合成
500ml3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルS202A100g、メシチレン200gを入れ、低分子フェノールとして4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)9.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを150℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40質量%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始した時点を反応開始とした。開始剤を1時間かけて滴下し、滴下後、150℃で1時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリフェニレンエーテル3を回収した。その後、これを真空下100℃で3時間を乾燥させた。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、また、実施例1と同様に、低分子フェノールの芳香族ピークのシフトから、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1700であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は11.2質量%であった。1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は13.1x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は138cPoisであった。
(実施例4)
低分子フェノールとして4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)10.2gを用いた以外は実施例3と同様の方法、ポリフェニレンエーテル4を製造した。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、また、実施例1と同様に、低分子フェノールの芳香族ピークのシフトから、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は11.5質量%であった。
1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は13.0x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は132cPoisであった。
(比較例1)
低分子フェノールとしてテトラメチルビスフェノールAを用いた以外は実施例1と同様の方法でポリフェニレンエーテル5を製造した。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1700であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は16.2質量%であった。
1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は16.4x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は138cPoisであった。
(比較例2)
低分子フェノールとしてビスフェノールAを用いた以外は実施例2と同様の方法でポリフェニレンエーテル6を製造した。
1H−NMRにより、低分子フェノール水酸基のピークが消失しており、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれていることを確認した。GPC測定の結果、ポリスチレン換算での分子量はMn=1600であった。
GPC測定の結果におけるMn<500の成分は17.4質量%であった。
1H−NMRで測定した主鎖のメチル基に対する開始剤由来副生物のピーク面積比は16.8x10-3であった。
また、20質量%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は132cPoisであった。
本発明のポリフェニレンエーテルは、誘電特性に優れ、さらに、耐熱性と成形性にも優れるので、電気・電子機器の材料等のあらゆる用途に利用でき、とりわけ、高度情報化社会での大量データを高速で処理するために用いられる材料として有用である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)〜(6)のいずれかの構造を有するポリフェニレンエーテル。
    式(1)−(6)中、
    n、mは、繰り返し単位を表し、0〜100の整数であって、同時に0になることはなく、
    Xは、2価の任意の連結基である。
    1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。R3は、C1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
    式(7)中
    11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
    12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
    13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
    前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
  2. 式(7)で表される炭化水素基が、式(1)〜(6)においてR1が結合しているベンゼン環と直接結合している,請求項1記載のポリフェニレンエーテル。
  3. 式(7)におけるR11およびR13がメチル基である,請求項1または2記載のポリフェニレンエーテル。
  4. 式(7)で表される炭化水素基が、t−Bu基である,請求項1から3のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
  5. ポリスチレン換算の数平均分子量が,500−30000である,請求項1から4のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルを0.5〜95質量%含む,ポリフェニレンエーテル組成物。

  7. 下記式(8)で表されるポリフェニレンエーテルと、下記式(1’)〜(6’)のいずれかで表されるフェノール化合物とを反応させる工程を含む、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
    式(1’)−(6’)中、
    Xは、2価の任意の連結基である。
    1、R2は、各々独立に水素原子、C1〜C6の炭化水素基、または式(7)で表される炭化水素基を含む置換基であり、R1のうち少なくとも1つは式(7)で表される炭化水素基を含む。
    式(7)中
    11は、各々独立にC1−8のアルキル基であり,
    12は、各々独立にC1−8のアルキレン基であり,bは各々独立に0または1であり,
    13は、水素原子、C1−8のアルキル基またはフェニル基のいずれかを示し、
    前記アルキル基、アルキレン基およびフェニル基は、C1−8の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
    式(8)中、R3は、C1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基,R4は水素原子またはC1−6の飽和又は不飽和の炭化水素基であって、前記飽和又は不飽和の炭化水素基は、C1−6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。pは1〜100の整数である。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルと、その末端フェノールと反応しうる多官能硬化剤を含む硬化剤組成物。


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