JP2010053335A - ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、スルフィド化剤100モルに対しジハロゲン化芳香族化合物を95モル以上105モル未満、モノハロゲン化化合物を0.01モル以上5モル未満で反応させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【選択図】なし
Description
1.有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、スルフィド化剤100モルに対しジハロゲン化芳香族化合物を95モル以上105モル未満、モノハロゲン化化合物を0.01モル以上5モル未満で反応させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
2.ハロゲン化化合物の合計量がスルフィド化剤100モルに対し98モル以上108モル未満で反応させることを特徴とする1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
3.モノハロゲン化化合物がモノハロゲン化芳香族化合物であることを特徴とする1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
4.モノハロゲン化化合物がクロロベンゼンであることを特徴とする3記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
5.有機カルボン酸金属塩、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸金属塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩、およびアルカリ土類金属リン酸塩から選ばれる少なくとも一種の化合物の存在下で反応を行うことを特徴とする1〜4いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
6.ポリアリーレンスルフィド樹脂をクエンチ法で回収し、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の塩素含有量が1000ppm以下であり、重量平均分子量が3万以上18万未満であることを特徴とする1〜5いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
7.ポリアリーレンスルフィド樹脂をフラッシュ法で回収し、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の塩素含有量が2000ppm以下であり、重量平均分子量が1万以上10万未満であることを特徴とする1〜5いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
8.得られるポリアリーレンスルフィド樹脂のクロロホルム抽出量が1重量%以上であることを特徴とする7記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
9.フラッシュ法で回収したポリアリーレンスルフィド樹脂を、80℃以上の液体に浸漬させる処理を1回以上行うことを特徴とする7または8記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
10.フラッシュ法で回収したポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる液体が80〜200℃であり、熱水、酸または酸の水溶液、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の水溶液から選ばれる1種以上の液体であることを特徴とする9記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
11.酸または酸の水溶液に浸漬させる処理において、処理後の液体のpHが2〜8であることを特徴とする10記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
12.フラッシュ法でポリアリーレンスルフィド樹脂を回収した後、80〜200℃の熱水にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる処理をした後、濾過して、濾過液とポリマーを分離した後、酸または酸の水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる処理をすることを特徴とする10または11記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
13.クロロホルム抽出成分を1重量%以上含み、塩素含有量が2000ppm以下であり、重量平均分子量が1万以上10万未満であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂。
本発明で用いられるスルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
本発明では重合溶媒として有機極性溶媒を用いる。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、およびこれらの混合物などが反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでも、特にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましく用いられる。
本発明で用いるジハロゲン化芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼン、および1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロゲン化芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。また、PAS共重合体を製造するために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明で用いるモノハロゲン化化合物としては、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのモノハロゲン化ベンゼン、1−クロロトルエン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、1−クロロアニリン、2−クロロアニリン、3−クロロアニリン、1−クロロ安息香酸、2−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、1−クロロフェノール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノールなどのハロゲン以外の置換基をも含むモノハロゲン化ベンゼン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレンなどのナフタレン環を含むモノハロゲン化ナフタレン、1−クロロアントラセン、2−クロロアントラセン、9−クロロアントラセン、1−ブロモアントラセン、2−ブロモアントラセン、9−ブロモアントラセンなどのアントラセン環を含むモノハロゲン化アントラセン、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、2−クロロジフェニルエーテル、4−クロロジフェニルエーテル、2−ブロモジフェニルエーテル、4−ブロモジフェニルエーテル、2−クロロジフェニルスルフィド、3−クロロジフェニルスルフィド、4−クロロジフェニルスルフィド、2−ブロモジフェニルスルフィド、3−ブロモジフェニルスルフィド、4−ブロモジフェニルスルフィド、3−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、3−ブロモベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−クロロジフェニルスルホキシド、4−クロロジフェニルスルホキシド、2−ブロモジフェニルスルホキシド、4−ブロモジフェニルスルホキシド、2−クロロジフェニルスルホン、3−クロロジフェニルスルホン、4−クロロジフェニルスルホン、2−ブロモジフェニルスルホン、3−ブロモジフェニルスルホン、4−ブロモジフェニルスルホン、(4−クロロフェニル)フェニルメタン、2−(4−クロロフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェニル)−2−フェニルプロパン、(4−ブロモフェニル)フェニルメタン、2−(4−ブロモフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−2−フェニルプロパンなどのベンゼン環を2個以上含むモノハロゲン化化合物、2−クロロフラン、2−クロロピロール、2−クロロチオフェン、2−クロロイミダゾール、2−クロロオキサゾール、2−クロロチアゾール、2−ブロモフラン、2−ブロモピロール、2−ブロモチオフェン、2−ブロモイミダゾール、2−ブロモオキサゾール、2−ブロモチアゾールなどのモノハロゲン化複素環式化合物、などを挙げることができる。なかでも、経済性の観点からするとモノハロゲン化ベンゼンやモノハロゲン化ナフタレンが好ましい。また、異なる2種以上のモノハロゲン化化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本発明においては、高重合度のPASをより短時間で得るために重合助剤を用いることも好ましい態様の一つである。ここで重合助剤とは得られるPASの粘度を増大させる作用を有する物質をさす。このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸金属塩、水、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸金属塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上同時に用いても差し障りない。なかでも、有機カルボン酸金属塩および/または水が好ましく用いられる。
本発明では、実質的に直鎖状PASの分子量低下を抑制しながら塩素含有量が低減され、かつ揮発性成分が低減されたPAS樹脂を得ることができるが、分岐または架橋重合体を形成させるために、トリハロゲン化以上のポリハロゲン化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物及びハロゲン化芳香族ニトロ化合物などの分岐・架橋剤を併用することも可能である。ポリハロゲン化合物としては通常に用いられる化合物を用いることができるが、中でもポリハロゲン化芳香族化合物が好ましく、具体例としては、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、1,4,6−トリクロロナフタレン等を挙げることができ、中でも1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンが好ましい。前記、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物としては、例えばアミノ基、メルカプト基及びヒドロキシル基などの官能基を有するハロゲン化芳香族化合物を挙げることができる。具体例としては2,5−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロアニリン、2,3−ジクロロアニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、2,2’−ジアミノ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノ−2’,4−ジクロロジフェニルエーテルなどを挙げることができる。前記、ハロゲン化芳香族ニトロ化合物としては、例えば2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,5−ジクロロニトロベンゼン、2−ニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,5−ジクロロ−2−ニトロピリジン、2−クロロ−3,5−ジニトロピリジンなどを挙げることができる。分岐・架橋剤は構造中に塩素等のハロゲンを含むため、多量に用いるのは好ましくない。分岐・架橋剤の添加量はスルフィド化剤100モルに対し0.7モル未満が好ましく、0.1モル未満が更に好ましい。
本発明のPASの製造においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としては、チオフェノールの生成が挙げられ、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、およびアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。前述した有機カルボン酸金属塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する重合安定剤の一つに入る。また、スルフィド化剤としてアルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいことを前述したが、ここでスルフィド化剤に対して過剰となるアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
本発明のPASの製造方法において、スルフィド化剤は通常水和物の形で使用されるが、ジハロゲン化芳香族化合物を添加する前に、有機極性溶媒とスルフィド化剤を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去することが好ましい。なお、この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分の水を添加して補充することが好ましい。
本発明においては、有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を接触させてPASを製造するにあたり、重合反応開始後、200℃から260℃までの反応を平均昇温速度0.1℃/分以上で行う工程(重合工程A)、次いで、250℃以上で反応を継続する工程(重合工程B)を含むことが望ましい。本発明においてはPASの重合を少なくとも重合工程A(以下、工程Aと略する場合もある)と重合工程B(以下、工程Bと略する場合もある)を含む方法で行うことで、短い重合時間でも効率よくポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることが可能である。
平均昇温速度(℃/分)=[t1(℃)−t2(℃)]/m(分)
で計算される平均速度である。従って、前述した平均昇温速度の範囲内であれば、必ずしも一定速度である必要はなく、定温区間があってもよいし、多段で昇温を行っても差し障り無く、本発明の本質を損なわない限りは一時的に負の昇温速度となる区間があっても良い。
工程Aにおける反応は、工程Aの終了時のジハロゲン化芳香族化合物の転化率が60モル%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上になるように行うことが望ましく、これにより高重合度のPASを得やすくなる傾向がある。なお、ジハロゲン化芳香族化合物(以下DHAと略する場合もある)の転化率は、以下の式で算出した値である。DHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕]×100%
(b)上記(a)以外の場合
転化率=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕]×100%。
クエンチ法とは、重合反応物を高温高圧の状態から徐々に冷却して反応系内のPAS成分を析出させ、かつ70℃以上、好ましくは100℃以上の状態で濾別することでPAS成分を含む固体を回収する方法である。なおここで、ポリマー成分が析出した状態とは、生成したポリマー成分の少なくとも60%以上が重合溶媒に溶融解しない状態になっている状態である。
平均冷却速度(℃/分)=[t1(℃)−t2(℃)]/m(分)
で計算される平均速度である。従って、前述した冷却速度の範囲内であれば、必ずしも一定速度である必要はなく、定温区間があってもよいし、多段で冷却を行っても差し障り無い。なお、前記したTs(℃)としては、例えば前述した有機極性溶媒の好ましい使用量範囲においては約180℃から約250℃が例示できる。
フラッシュ法とは、重合反応物を高温高圧(通常250℃以上、0.8MPa以上)の状態から常圧もしくは減圧の雰囲気中へフラッシュさせ溶媒回収と同時に重合体を粉粒状にして回収する方法であり、ここでフラッシュとは、重合反応物をノズルから噴出させることを意味する。フラッシュさせる雰囲気は、具体的には例えば常圧中の窒素または水蒸気があげられ、その温度は通常150〜250℃の範囲が選択される。
かくして得られたPASは常圧下および/または減圧下に乾燥する。かかる乾燥温度としては、120〜280℃の範囲が好ましく、140〜250℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、減圧下などの不活性雰囲気でも、酸素、空気などの酸化性雰囲気、空気と窒素の混合雰囲気の何れでも良い。乾燥時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜30時間が好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
本発明の方法により、スルフィド化剤100モルに対し、ジハロゲン化芳香族化合物を95〜105モル未満、モノハロゲン化化合物を0.01モル以上5モル未満で反応させることにより、クエンチ法で回収を行った場合には、塩素含有量が1000ppm以下、重量平均分子量が3万以上18万未満のPASを得ることができ、フラッシュ法で回収を行った場合には、塩素含有量が2000ppm以下、重量平均分子量が1万以上10万未満であり、かつクロロホルム抽出量が1重量%以上であるPASを得ることができる。
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:SSC−7100(センシュー科学)
カラム名:GPC3506(センシュー科学)
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)。
ダイアインスツルメンツ社製自動試料燃焼装置AQF−100を用い、ポリマー1〜2mgを最終温度1000℃で燃焼させ、発生したガス成分を希薄な酸化剤を含んだ10mLの水に吸収させ、吸収液を炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム混合水溶液を移動相とするDIONEX社製イオンクロマトグラフィーシステムICS1500に供し、ポリマー中の全塩素含有量の測定を行った。
腹部が100mm×25mmφ、首部が255mm×12mmφ、肉厚が1mmのガラスアンプルにポリマー3gを計り入れてから真空封入した。このガラスアンプルの胴部のみを、アサヒ理化製作所製のセラミックス電気管状炉ARF−30Kに挿入して320℃で2時間加熱した。アンプルを取り出した後、管状炉によって加熱されておらず揮発ガスの付着したアンプル首部をヤスリで切り出して秤量した。次いで付着ガスを5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量した。ガスを除去した前後のアンプル首部の重量差を揮発性成分量(ポリマーに対する重量%)とした。
クロロホルム抽出量は、ポリマー10gを90℃のクロロホルム100gで3時間ソックスレー抽出し、この抽出液からクロロホルムを留去した際に得られる成分の重量をポリマー重量に対する割合で表す。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.27kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11.45kg(115.50モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.1モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水9.77kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.4モルであったため、本工程後の系内のスルフィド化剤は68.6モルであった。
重合時に使用するp−DCB10.16kg(69.15モル)、CB0.170kg(1.509モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.07kg(68.53モル)、CB0.247kg(2.195モル)、酢酸ナトリウム2.29kg(27.86モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.16kg(69.15モル)、CB0.116kg(1.029モル)、酢酸ナトリウム0.517kg(6.30モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCBを10.44kg(71.00モル)とし、クロロベンゼンを使用しなかったこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.64kg(72.37モル)、CB0.170kg(1.509モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB9.48kg(64.48モル)、CB0.170kg(1.509モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.29kg(69.97モル)、CB0.386kg(3.430モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.64kg(72.37モル)、CB0.463kg(4.116モル)としたこと以外は実施例1と同様に重合および洗浄を行った。
撹拌機および底栓弁付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8.26kg(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2.94kg(70.63モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)14.57kg(147.00モル)、及びイオン交換水3.19kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水7.53kgおよびNMP0.28kgを留出した時点で加熱を終え冷却を開始した。この時点での仕込みアルカリ金属水硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.01モルであった。また、硫化水素の飛散量は1.40モルであったため、本工程後の系内のスルフィド化剤は68.60モルであった。
実施例5と同様の方法で重合、フラッシュ法で回収を行い、回収物を得た。その後、得られた回収物およびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、75℃で15分洗浄した後、フィルターで濾過し、ケークを得た。この操作を4回実施した後、ケークおよびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、150℃まで昇温した。その後、オートクレーブを冷却し、内容物を取り出した。内容物をフィルターで濾過し、ケークを得た。その後、得られたケークおよびイオン交換水74リットル、酢酸0.816kgを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、150℃まで昇温した。その後、オートクレーブを冷却し、内容物を取り出した。内容物をフィルターで濾過し、ケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することで、乾燥PPSを得た。
重合時に使用するp−DCB10.06kg(68.46モル)、CB0.347kg(3.09モル)としたこと以外は実施例5と同様に重合および回収、洗浄を行った。
重合時に使用するイオン交換水5.50kg、CB0.170kg(1.51モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.10モル)としたこと以外は実施例5と同様に重合および回収、洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.39kg(70.66モル)とし、クロロベンゼンを使用しなかったこと以外は実施例5と同様に重合および回収、洗浄を行った。
重合時に使用するp−DCB10.08kg(68.60モル)、CB0.772kg(6.86モル)としたこと以外は実施例5と同様に重合および回収、洗浄を行った。
実施例5と同様の方法で重合、フラッシュ法で回収を行い、回収物を得た。その後、得られた回収物およびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、75℃で15分洗浄した後、フィルターで濾過し、ケークを得た。この操作を4回実施した後、ケークおよびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温した。その後、オートクレーブを冷却し、内容物を取り出した。内容物をフィルターで濾過し、ケークを得た。得られたケークを窒素気流下、120℃で乾燥することで、乾燥PPSを得た。
実施例9のケークおよびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温する操作において、酢酸0.816kgをオートクレーブ内に添加すること以外は実施例9と同様に重合および回収、洗浄を行った。
実施例9のケークおよびイオン交換水74リットルを攪拌機付きオートクレーブに入れ、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、195℃まで昇温する操作において、酢酸カルシウム1.074kgをオートクレーブ内に添加すること以外は実施例9と同様に重合および回収、洗浄を行った。
実施例5で得られた乾燥PPS全量に対して、240℃にて、酸素濃度2体積%雰囲気下で0.5時間乾式熱処理を行った。酸素濃度2体積%での熱処理は、空気0.18リットル/分、窒素1.78リットル/分を撹拌機付き加熱装置に導入し、酸素濃度計を加熱装置内に設置して酸素濃度を測定した。
実施例5で得られた乾燥PPS全量に対して、230℃にて、酸素濃度15体積%雰囲気下で15時間乾式熱処理を行った。
Claims (13)
- 有機極性溶媒中でスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物およびモノハロゲン化化合物を反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、スルフィド化剤100モルに対しジハロゲン化芳香族化合物を95モル以上105モル未満、モノハロゲン化化合物を0.01モル以上5モル未満で反応させることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- ハロゲン化化合物の合計量がスルフィド化剤100モルに対し98モル以上108モル未満で反応させることを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- モノハロゲン化化合物がモノハロゲン化芳香族化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- モノハロゲン化化合物がクロロベンゼンであることを特徴とする請求項3記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 有機カルボン酸金属塩、アルカリ金属塩化物、有機スルホン酸金属塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩、およびアルカリ土類金属リン酸塩から選ばれる少なくとも一種の化合物の存在下で反応を行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂をクエンチ法で回収し、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の塩素含有量が1000ppm以下であり、重量平均分子量が3万以上18万未満であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- ポリアリーレンスルフィド樹脂をフラッシュ法で回収し、得られるポリアリーレンスルフィド樹脂の塩素含有量が2000ppm以下であり、重量平均分子量が1万以上10万未満であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 得られるポリアリーレンスルフィド樹脂のクロロホルム抽出量が1重量%以上であることを特徴とする請求項7記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- フラッシュ法で回収したポリアリーレンスルフィド樹脂を、80℃以上の液体に浸漬させる処理を1回以上行うことを特徴とする請求項7または8記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- フラッシュ法で回収したポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる液体が80〜200℃であり、熱水、酸または酸の水溶液、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の水溶液から選ばれる1種以上の液体であることを特徴とする請求項9記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- 酸または酸の水溶液に浸漬させる処理において、処理後の液体のpHが2〜8であることを特徴とする請求項10記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- フラッシュ法でポリアリーレンスルフィド樹脂を回収した後、80〜200℃の熱水にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる処理をした後、濾過して、濾過液とポリマーを分離した後、酸または酸の水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬させる処理をすることを特徴とする請求項10または11記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
- クロロホルム抽出成分を1重量%以上含み、塩素含有量が2000ppm以下であり、重量平均分子量が1万以上10万未満であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂。
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