JPWO2010013847A1 - 多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物およびシリコーンゴムスポンジの製造方法 - Google Patents

多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物およびシリコーンゴムスポンジの製造方法 Download PDF

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Abstract

(A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン、(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(C)水と無機系増粘剤からなる混合物、(D)乳化剤、(E)ヒドロシリル化反応触媒および(F)硬化遅延剤から少なくともなり、複数の個別の組成物として保存され、前記個別に保存される複数の組成物が(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないことを特徴とする、多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。

Description

本発明は、複数の個別に保存される組成物からなる多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物およびシリコーンゴムスポンジの製造方法に関する。
シリコーンゴムスポンジは耐熱性、耐候性に優れ、軽量であり熱伝導率も低いことから自動車部品;複写機やプリンター等の画像形成装置のロールやベルト;各種シール部品に使用されている。従来、熱分解性有機発泡剤や各種の揮発成分を配合したシリコーンゴム組成物がシリコーンゴムスポンジの製造に使用されていたが、金型を用いた成形が難しく、金型キャビティ形状の再現性に乏しいという問題があった。
特開2005−62534号公報には、水と界面活性剤を含有する付加反応硬化型の定着ローラ用シリコーンゴムスポンジ形成性組成物が記載されている。しかし、この組成物は、水を均一・安定にシリコーンゴム組成物に分散させることが困難なことから、調製が難しく、また、得られた組成物の保存安定性も乏しいという問題があった。
また、特開2002−114860号公報には、ヒドロシリル化反応架橋性のシリコーンゴム組成物に水を含有した吸水性ポリマーを配合した、シリコーンゴムスポンジ形成性組成物が記載されている。また、WO2005/085357国際公開パンフレットには、ヒドロシリル化反応架橋性のシリコーンゴム組成物、水溶性ポリマーの水溶液および乳化剤からなるシリコーンゴムスポンジ用エマルション組成物が記載されている。これらのスポンジ形成性組成物は、加熱等により硬化・架橋して含水状態のシリコーンゴム成形体を形成し、次いで加熱等により水を除去することでシリコーンゴムスポンジを形成することができる。しかし、これらのスポンジ形成性組成物では、配合するポリマーに起因して、成形時の金型汚れが発生したり、得られるスポンジの耐熱性が悪化したり、外観不良を起こしたりするという問題があった。また、得られるスポンジ気泡の細かさも十分ではなかった。
特開2004−346248号公報には、ヒドロシリル化反応架橋性のシリコーンゴム組成物、スメクタイトクレーを含有する水および乳化剤からなるシリコーンゴム用エマルション組成物が記載されている。しかし、この組成物には、得られるスポンジ成形物の収縮率が大きく、金型キャビティ形状の再現性に乏しいという問題があり、また、得られるスポンジ気泡の細かさや均一性も十分ではなかった。
水を含有するオルガノポリシロキサン組成物は、オルガノポリシロキサンと水との相溶性が低いことに起因して水が分離しやすく、取り扱いに注意が必要であった。また、組成物中の水の分散が均一でなくなったり、貯蔵安定性が悪化したりすることがあったため、水の配合量を多くすることが難しく、例えば0.55g/cm以下の密度のシリコーンゴムスポンジを得ることが困難であるという問題もあった。
本発明の目的は、スポンジ成形時の収縮率が小さく、未架橋成分のブリードアウトのない、微細で均一な連続気泡を有するスポンジを形成し得、貯蔵安定性に優れた多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物および多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を用いたシリコーンゴムスポンジの製造方法を提供することにある。
本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、
(A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン 0〜90質量部および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン 10〜100質量部からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
(D)乳化剤 0.1〜15質量部、
(E)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)
および
(F)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
から少なくともなり、複数の個別の組成物として保存され、前記個別に保存される複数の組成物が(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないことを特徴とする。
また、上記
多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、さらに(G)シリカ微粉末を(A)成分100質量部に対して20質量部以下の範囲で含有することが好ましい。
また、上記(C)成分は、水とスメクタイトクレーの混合物であることが好ましい。また、スメクタイトクレーとしては、スメクタイトクレーとアニオン性ポリマーとからなる親水性複合物が好ましい。また、蒸気(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1モルに対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が1.5〜20の範囲であることが好ましい。また、上記(E)成分は、白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒であることが好ましい。
本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物としては、(I)(A)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分および(D)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;並びに(I)(A)成分、(D)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;が例示される。
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、下記工程1〜3からなることを特徴とする。
工程1:多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の個別に保存された複数の組成物を混合して、下記(A)〜(F)成分から少なくともなるスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製する工程(ただし、前記個別に保存された複数の組成物は(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まない。)。
(A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン 0〜90質量部および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン 10〜100質量部からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
(D)乳化剤 0.1〜15質量部、
(E)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)
および
(F)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
工程2:工程1で得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化して含水状態のシリコーンゴム成形体を得る工程。
工程3:工程2で得られた含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去してシリコーンゴムスポンジを得る工程。
また、上記シリコーンゴムスポンジは、画像形成装置の定着部材の弾性材料用に好適に使用でき、前記定着部材としては、ローラやベルトであることが好ましい。
本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、架橋・硬化して微細で均一な連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジを形成し、得られたシリコーンゴムスポンジの収縮率が小さいという特徴を有し、成形時に未架橋成分がブリードアウトしないので金型汚れや外観不良を起こしにくいという特徴を有する。また、水と無機系増粘剤からなる混合物が、主剤であるポリジオルガノシロキサンとは個別に保存されるので、水の分離などの懸念が無く、貯蔵安定性に優れ、より密度の小さいシリコーンゴムスポンジの製造を可能にし、得られるシリコーンゴムスポンジの密度を目的に応じて変更できるという特徴を有する。本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、微細で均一な連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジを効率よく製造することができ、より密度の小さいシリコーンゴムスポンジの製造を可能にし、得られるシリコーンゴムスポンジの密度を目的に応じて容易に変更できる。また、前記シリコーンゴムスポンジは、微細で均一な連続気泡を有するという特徴を有する。
第1図は、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の個別に保存された複数の組成物を混合し、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製する方法の好ましい一形態を示す概略図である。
以下に、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物について詳細に説明する。
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンであり、本発明のシリコーンゴム組成物の主剤である。(A)成分は(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さないポリジオルガノシロキサンと(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサンからなる。(A1)成分と(A2)成分の配合比は(A1):(A2)=0:100〜90:10の範囲であり、(A1):(A2)=0:100〜75:25の範囲であることが好ましく、(A1):(A2)=10:90〜50:50の範囲であることがより好ましい。(A1)成分と(A2)成分を併用することで、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物から形成されるシリコーンゴムスポンジの収縮率が著しく改善するからである。
(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さないポリジオルガノシロキサンの粘度は25℃において、0.1〜100Pa・sであることが好ましく、0.1〜40Pa・sの範囲がより好ましい。なお、(A1)成分のポリジオルガノシロキサンは、極少量の分子鎖末端が水酸基やアルケニル基以外の有機基に置換されていてもよい。(A1)成分のオルガノポリシロキサンのシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよく、また両者の混合物でもよいが、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しから成り、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基で封鎖された、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであることが好ましい。
(A1)成分中のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基である。また、(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等の、通常、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の、非置換又は置換の1価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。
(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサンの粘度は25℃において、0.1〜100Pa・sであることが好ましく、0.1〜40Pa・sの範囲がより好ましい。(A2)成分中アルケニル基は分子鎖側鎖の他に、分子鎖末端に存在してもよい。なお、(A2)成分のポリジオルガノシロキサンは、少量の分子鎖末端が水酸基などに置換されていてもよい。(A2)成分のオルガノポリシロキサンのシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐状でもよく、また両者の混合物でもよいが、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しから成り、分子鎖両末端がアルケニルジオルガノシロキシ基またはアルケニル基を含まないトリオルガノシロキシ基で封鎖された、実質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンであることが好ましい。
(A2)成分中のアルケニル基は、前記(A1)成分と同様である。また、(A2)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基も前記(A1)成分と同様である。
(B)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンであり、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の架橋剤である。ケイ素原子に結合した水素原子は末端シロキサン単位、および/または、ポリマー鎖中のシロキサン単位に位置することができる。このオルガノポリシロキサンは直鎖状のシロキサンポリマーであることが好ましく、RHSiO2/2単位、および/または、R2XSiO1/2単位(これらの式中、Rは、上記(A)成分における、アルケニル基以外の有機基と同様の炭素数1〜10の、好ましくは炭素数1〜8の、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、好ましくはメチル基である。Xは水素原子もしくはRを表す。)を分子中に必須に含有し、R2SiO2/2単位を任意に含有するものである。
(B)成分中に存在するケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル数の合計量は、前記(A)成分中のアルケニル基1個当たり、0.4〜20個であることが好ましく、1.5〜5.0個であることがより好ましい。したがって、前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の相対量は、この関係が維持されるように、例えば、1〜1000質量部の範囲で適宜決定されることが好ましい。
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物は、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化して得られるシリコーンゴムを多孔質状、すなわちシリコーンゴムスポンジとするための成分である。(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して10〜250質量部であり、好ましくは20〜200質量部であり、より好ましくは40〜150質量部である。
(C)成分の配合量が10質量部未満であると、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋硬化してなるシリコーンゴムが多孔質状、すなわちシリコーンゴムスポンジとなり難く、250質量部を超えると、形成されるシリコーンゴムスポンジの強度が損なわれるからである。
(C)成分において水は、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化した後、硬化物中から除去されることでシリコーンゴムを多孔質状、すなわちシリコーンゴムスポンジとするための成分である。(C)成分中の水は清浄であればよく、その種類は制限されない。例えば、水道水、井戸水、イオン交換水、蒸留水などが例示される。(C)成分の(A)成分への分散が安定するという点から、(C)成分中の水はイオン交換水であることが好ましい。
(C)成分中の増粘剤は、天然または合成の無機系増粘剤であり、水と混合することで(C)成分の粘度を高め、(C)成分の(A)成分中への分散を容易にし、(A)成分中の(C)成分の分散状態を安定させるために配合される。具体的には、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライトおよびノントロナイト等の粘土鉱物を主成分とするベントナイトなどの天然または合成のスメクタイトクレー;および、これらとポリアクリル酸のようなアニオン性ポリマーなどとからなる親水性複合物が例示される。その配合量は、(C)成分中の水100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
中でも、ベントナイト(モンモリロナイト)、ヘクトライトクレー、サポナイトクレーなどのスメクタイトクレーであることが好ましい。水に分散させたときの粘度の上昇が大きく、後述する(D)乳化剤の使用量を少なくすることができるからである。このような、スメクタイトクレーとしては、例えば水熱合成品であるスメクトン(登録商標:クニミネ工業(株)製)、ルーセンタイト(登録商標:コープケミカル(株)製)、天然精製品であるクニピア(登録商標:クニミネ工業(株)製)、ベンゲル(登録商標:(株)ホージュン製)、ベントン(登録商標:エレメンティス(株)製)、ビーガム(登録商標:バンダービルト社製)等が入手可能である。これらのスメクタイトクレーのpHはシリコーンゴムスポンジの耐熱性を維持する点からpH5.0〜9.0であることが好ましい。
(D)成分の乳化剤は、従来公知のものが使用でき、アニオン系、カチオン系、両性イオン系及びノニオン系のいずれでもよい。具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドのようなノニオン系界面活性剤;ポリシロキサン・ポリオキシエチレングラフト共重合体のようなオルガノポリシロキサンからなるノニオン系界面活性剤;脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩のようなカチオン系界面活性剤;高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリエチレングリコール硫酸エステル塩のようなアニオン系界面活性剤;カルボキシベタイン型またはグリシン型の両性イオン系界面活性剤が例示される。中でも、後述する(E)成分を触媒とするヒドロシリル化反応に影響が少ないことからノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
これらの乳化剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。乳化剤のHLB値(2種以上を併用するときは、その重量平均HLB値)が、1以上10以下のものが好ましく、1.5以上6未満であることがより好ましく、3.5以上6未満であることが特に好ましい。(D)乳化剤の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜15質量部であり、好ましくは0.2〜3質量部である。
(E)ヒドロシリル化反応触媒としては、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒及びロジウム系触媒から選ばれる少なくとも1種の触媒であることが好ましく、より具体的には、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、これらを熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒などの白金系触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が使用され、特に好ましくは白金系触媒であり、中でも、白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒は、混合装置中での好ましくない組成物の硬化を防止する点で好ましい。。(E)成分は触媒として有効量(いわゆる触媒量)であればよく、具体的には、例えば前記(A)及び(B)成分の合計量に対して触媒の量(金属元素分として)が質量換算で0.01〜500ppm、好ましくは0.1〜100ppm程度の割合で配合される。
白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒としては、白金系触媒を白金金属原子として0.01重量%以上含有し、軟化点が40〜200℃、好ましくは50〜100℃である熱可塑性樹脂からなる、平均粒子径が0.01〜500μmの微粒子状白金系触媒であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、式:CSiO3/2で示されるシロキサン単位を主成分とし、他に、式:(CSiO2/2で示されるシロキサン単位、式:CHSiO3/2で示されるシロキサン単位、式:(CHSiO2/2で示されるシロキサン単位、式:CH(CH=CH)SiO2/2で示されるシロキサン単位、式:CH(C)SiO2/2で示されるシロキサン単位、式:(CHSiO1/2で示されるシロキサン単位を含有する軟化点を有する熱可塑性シリコーン樹脂;アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルセルロース樹脂、ポリシラン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の軟化点は一定温度で昇温できるホットプレート上でこの樹脂が軟化する状態を顕微鏡で観察することにより求められる。
白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒の調製方法としては、白金系触媒と熱可塑性樹脂を溶剤中で均一に混合した後、この混合物をスプレードライヤーなどを用いて気相粒状化する気相乾燥法が例示される。
(F)硬化遅延剤は、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の硬化速度や作業可使時間を調整するための成分であり、具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、フェニルブチノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールなどの炭素−炭素三重結合を有するアルコール誘導体;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどのエンイン化合物;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラヘキセニルシクロテトラシロキサンなどのアルケニル基含有低分子量シロキサン;メチル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、ビニル−トリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シランなどのアルキン含有シランが例示される。
(F)成分の配合量は、本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の使用方法や成形方法に応じて適宜選択される。一般的な配合量としては、(A)成分100質量部に対して0.001質量部〜5質量部の範囲である。
本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物から形成されるシリコーンゴムスポンジの強度を向上させるという点から、さらに(G)補強性シリカ微粉末を配合することが好ましい。(G)成分としては、特に限定されないが、ヒュームドシリカ及び沈降シリカが好適である。また、これらのシリカ微粉末は、例えば鎖状オルガノポリシロキサン、環状オルガノポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、各種オルガノシラン等で表面処理されたものであってもよい。補強性シリカ微粉末の比表面積は、50〜350m2/g、特に80〜250m2/gであることが好ましい。なお、比表面積は、例えばBET吸着法により求めることができる。
(G)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対し、20質量部以下(即ち、0〜20質量部)であることが好ましく、より好ましくは0〜15質量部、さらに好ましくは0〜10質量部である。
その他に、従来シリコーンゴムに添加配合することが周知とされる各種の添加剤、例えば、ヒュームド酸化チタン等の補強充填剤;粉砕石英、結晶性シリカ、珪藻土、アスベスト、アルミノ珪酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の非補強充填剤;これらの充填剤をオルガノシラン、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で表面処理したもの;アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを配合してもよい。また必要に応じて顔料、耐熱剤、難燃剤、内部離型剤、可塑剤、受酸剤、無官能のシリコーンオイル等のシリコーンゴム組成物に公知の添加剤を配合してもよい。また、本発明のシリコーンゴム組成物は水を含むので、防腐剤や防錆剤を配合してもよい。防腐剤としてはパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光色素;チアゾリン系、イソチアゾリン系、ビグアナイド系、トリアジン系、アイオダイン系、イミダゾール系、ピリジン系の防腐剤が例示される。中でも、微量の配合で防腐効果を示す点から、チアゾリン系やイソチアゾリン系の防腐剤であることが好ましい。防腐剤の配合量は、一般的には本発明組成物100質量部に対して0.001〜5質量部である。
本発明の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて(G)成分およびその他の任意成分からなるが、複数の個別の組成物としてパッケージ・保存されることを特徴とする。なお、これらの個別に保存される複数の組成物は、シリコーンゴムスポンジ形成時に混合され、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて(G)成分およびその他の任意成分を上記配合比で含有するスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物として使用される。前記個別に保存される複数の組成物は、(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないことが必要である。
前記個別に保存される組成物が(A)成分と(C)成分を同時に含むと、保存中に(C)成分の分離が起こりやすい傾向がある。また、(A)成分と(C)成分を同時に含む組成物は、(C)成分の分離が起こりやすくなることから(A)成分に対する(C)成分の配合量に制限があり、例えば0.55g/cm3以下の密度のシリコーンゴムスポンジを得ることが困難であった。
前記個別に保存される組成物が(B)成分と(C)成分を同時に含むと、長期保存中に(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が(C)成分中の水と反応して水酸基に変化することがあり、得られるシリコーンゴムの品質が安定しない傾向がある。
前記個別に保存される組成物が(B)成分と(E)成分を同時に含むと、保存中に(B)成分中のケイ素原子結合水素原子同士が(E)成分により反応したり、さらに(A)成分が存在すると(A)成分と(B)成分のヒドロシリル化反応が進行したりして、保存安定性が損なわれる傾向がある。
このような多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物としては、(I)(A)成分、(E)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(E)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(F)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分および(D)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(D)成分、(E)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなる三成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;(I)(A)成分、(E)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(B)成分、(C)成分、および(D)成分を含まない個別に保存される組成物、(II)(A)成分、(B)成分、(F)成分、および必要に応じて(G)成分からなり、(C)成分、(D)成分、および(E)成分を含まない個別に保存される組成物、(III)(C)成分からなり、(A)成分、(B)成分、および(D)成分を含まない個別に保存される組成物、および(IV)(D)成分からなり、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含まない個別に保存される組成物からなる四成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物;が例示される。
前記個別に保存される複数の組成物は、それぞれ、(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないようにして、上記(A)〜(F)成分あるいはこれらに必要に応じて(G)成分および各種添加剤を均一に混合して調製することができる。ここで使用するミキサーとしてはホモミキサー、パドルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、真空混合攪拌ミキサーが例示されるが、特に限定されるものではない。なお、(G)成分を配合する場合は、予め、(A)成分の一部と(G)成分とを配合したシリカマスターバッチを調製した後、残余の(A)成分と他の成分を混合することが好ましい。
次に、本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法について詳細に説明する。
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法は、下記工程1〜3からなる。なお、下記工程1における(A)〜(F)成分および個別に保存された複数の組成物は上記の通りである。
工程1:多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の個別に保存された複数の組成物を混合して、下記(A)〜(F)成分から少なくともなるスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製する工程。
(A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン 0〜90質量部および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン 10〜100質量部からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
(D)乳化剤 0.1〜15質量部、
(E)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)
および
(F)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
工程2:工程1で得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化して含水状態のシリコーンゴム成形体を得る工程。
工程3:工程2で得られた含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去してシリコーンゴムスポンジを得る工程。
また、前記スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物は、さらに(G)シリカ微粉末を(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で含有することが本発明の製造方法により得られるシリコーンゴムスポンジの強度を向上させるという点から好ましい。(G)成分については、上記の通りである。
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法における工程1としては、(i)個別に保存された複数の組成物を混合装置に投入、混合して、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製しタンクなどに貯蔵するバッチ方式;(ii)個別に保存された複数の組成物をそれぞれ個別に容器に貯蔵し、各容器に接続された計量供給装置などにより混合装置に供給・混合して、成形に供する量のスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を連続的に工程2に供給する連続方式;(iii)前記バッチ方式と連続方式を組み合わせた方式が例示されるが、これらに限定されるものではなく、目的とするシリコーンゴムスポンジ製品の種類、形状や大きさ、成型方法にあわせて適宜選択できる。
なお、前記工程1としては、個別に保存された複数の組成物を混合して一段階でスポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製してもよく、複数の段階を経てスポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製してもよい。複数の段階を経たスポンジ形成性液状シリコーンゴムの調製としては、複数の個別に保存された組成物を混合して混合物を調製し、次いで残余の個別に保存された組成物を前記混合物に混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製する方法;複数の個別に保存された組成物を混合して第1の混合物を調製し、残余の個別に保存された組成物を混合して第2の混合物を調製し、次いで、前記第1と第2の混合物を混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴムを調製する方法;が例示される。
また、工程1において、(C)成分を含有する個別に保存された組成物の配合量を変えることで、得られるシリコーンゴムスポンジの密度を必要に応じて変えることが可能である。
(i)バッチ方式の工程1としては、具体的には、500〜3000rpmで回転する攪拌羽根などの分散機構を備えた混合装置に個別に保存された複数の組成物を投入、混合し、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を予め所定量調製してタンクなどに貯蔵する方法が例示される。
(ii)連続方式の工程1としては、具体的には、複数の組成物をそれぞれ個別に容器に貯蔵し、各容器に接続された計量供給装置によりスタティックミキサーやピンミキサー、連続乳化装置などのダイナミックミキサーなどの混合装置に供給・混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製しつつ成形に供する量を工程2に供給する方法が例示される。混合装置としては、(C)成分の分散に要する時間の点から、ダイナミックミキサーであることが好ましい。なお、混合装置は複数であってもよく、例えば、第1の混合装置で(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分および必要に応じて(G)成分からなり、(B)成分と(F)成分を含まない混合物1を調製し、第2の混合装置により、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(F)成分および必要に応じて(G)成分からなり(E)成分を含まない混合物2を調製し、第1の混合装置および第2の混合装置と計量供給装置などを介して接続された第3の混合装置により前記混合物1と混合物2とを混合して調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を連続的に工程2に供給してもよい。計量供給装置については特に限定されないが、例えば、シリンダーポンプ、モノポンプ、ギアポンプ、ダイアフラムポンプ、スクリューポンプが例示される。また複数の組成物を貯蔵する容器がペール缶やドラム缶である場合は、ペールポンプやドラムポンプなどの自動吸い上げ装置と計量供給装置を組み合わせて使用することが好ましい。
(iii)バッチ方式と連続方式を組み合わせた工程1としては、具体的には、複数の組成物を個別に容器などに貯蔵し、各容器に接続された計量供給装置などにより、スタティックミキサーやピンミキサー、連続乳化装置などのダイナミックミキサーなどの混合装置に供給・混合することで、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を予め所定量調製してタンクなどに貯蔵し、必要量を工程2に供給する方法;個別に保存された複数の組成物を500〜3000rpmで回転する攪拌羽根などの分散機構を備えた混合装置に所定量投入して(I)(A)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分および必要に応じて(G)成分からなり(B)成分と(F)成分を含まない混合物1を調製してタンクなどに貯蔵し、同様にして、(II)(A)成分、(C)成分、(D)成分、(B)成分、(F)成分および必要に応じて(G)成分からなり(E)成分を含まない混合物2を調製して混合物1とは別のタンクなどに貯蔵し、これらのタンクに接続された計量供給装置などにより前記混合物1と混合物2とをスタティックミキサーやピンミキサー、連続乳化装置などのダイナミックミキサーなどの混合装置に供給・混合して、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を工程2に連続的に供給する方法;が例示される。
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法における工程2のスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化させる方法は、特に限定されないが、120℃未満、好ましくは100℃未満、特に好ましくは50〜90℃で工程1において調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を加熱することが好ましい。具体的には、例えば、工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を成型用の金型のキャビティに注入し、加圧下で100℃未満、好ましくは50〜90℃の温度に保持して含水状態のシリコーンゴム成形体を成形する方法;工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を樹脂フィルム等の剥離性基材上にコーティングし、例えば50〜120℃に加熱して硬化させる含水状態のシリコーンゴム成形体を成形する方法;工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を合成繊維織布、樹脂フィルム、金属板、ガラスクロスなどの基体上にコーティングし、例えば50〜120℃に加熱して基体上に含水状態のシリコーンゴム被覆層を形成する方法;工程1で調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物をノズルから吐出し、例えば80〜100℃の熱水中に導入して含水状態のシリコーンゴム成形体を成形する方法;が例示される。
本発明のシリコーンゴムスポンジの製造方法における工程3の含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去する方法は、特に限定されないが、工程2で調製した含水状態のシリコーンゴム成形体を120〜250℃で加熱して水を除去することが好ましい。なお、工程2において、合成繊維織布、樹脂フィルム、金属板、ガラスクロスなどの基体上にスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物をコーティングし熱風や赤外線等により基体上に含水状態のシリコーンゴム成形体を連続的に形成する場合などでは、工程2と工程3が同時に進行する場合もある。しかし、均一で微細な気泡を有するシリコーンゴムスポンジ層を得るためには、このような連続的な成形工程においても、120℃未満の温度でスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の含水状態をできるだけ保ちながら硬化させ(工程2)、次いで120℃以上好ましくは120〜250℃で加熱して含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去する(工程3)ことが好ましい。
次に、本発明のシリコーンゴムスポンジについて説明する。
本発明のシリコーンゴムスポンジは、スポンジ成形物の金型キャビティ形状再現性に優れるという点から、収縮率が10%以下であることが好ましい。収縮率は、金型で成型したスポンジ試験片の長さ(L1)と対応する金型キャビティの長さ(L0)から以下の式で求めることができる。
収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100
本発明のシリコーンゴムスポンジは、加熱による熱変形(熱膨張)が小さく、変形回復性に優れる点から、90%以上の気泡が連続気泡であることが好ましい。ここで気泡が連続気泡であるかどうかは、シリコーンゴムスポンジを水中に沈め、減圧することで、連続気泡中の空気を水に置換して調べることができる。スポンジ中の全気泡に対して連続気泡の占める割合、すなわち連続気泡率は水の密度を1.0g/cm3として以下の式で求めることができる。
連続気泡率(%)={(吸水した水の質量)/(気泡部分体積)}×100
式中気泡部分体積は以下の式で求めることができる。
気泡部分体積(cm3)={(スポンジ質量)/(スポンジ密度)}−{(スポンジ質量)/(ゴム密度)}
式中ゴム密度は、(C)成分と(D)成分を含まない他は同様にして調製したスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化させて得られるシリコーンゴム成形体の密度を測定することで得られる値であり、スポンジ気泡壁の密度を表す。
また、本発明のシリコーンゴムスポンジは、成形時の収縮率が小さく金型キャビティ形状の再現性に優れ、微細で均一な連続気泡を有することから、画像形成装置の定着部材の弾性材料として有用である。定着ロールの場合、芯金上にシリコーンゴムスポンジ層を形成するものであるが、この場合、芯金の材質、寸法等はロールの種類に応じて適宜選定し得る。定着ベルトの場合、無端ベルト上にシリコーンゴムスポンジ層を形成するものであるが、この場合、無端ベルトの材質、寸法等はベルトの種類に応じて適宜選定し得る。
また、上記シリコーンゴムスポンジ層の外周に更にフッ素樹脂層やフッ素ゴム層を設けてもよい。この場合、フッ素系樹脂層は、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブなどにより形成され、上記シリコーンゴム層を被覆する。ここでフッ素系樹脂コーティング材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂などが挙げられるが、これらのうちで特にPFAが好ましい。
なお、上記シリコーンゴムスポンジ層の厚さは適宜選定されるが、シリコーンゴムスポンジのゴム弾性を有効に利用する点で0.05〜80mmであることが好ましく、特に0.1〜50mmであることが好ましい。また、その上に形成されるフッ素樹脂又はフッ素ゴム層の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例中粘度は25℃における測定値である。
<密度>
JIS K6268に準じて測定した。
<硬さ(Asker C)>
JIS K7312に規定されたタイプC硬さ試験機を用いた試験方法に準ずる。厚さ6mmの試験片を使用した。
<引張強さ、伸び>
JIS K6251に準じて測定した。
<熱伝導率>
厚さ12mmの熱伝導率測定用シリコーンゴム試験片を作製し、この試験片の熱伝導率を京都電子工業製「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて測定した。
<気泡状態>
JIS K6262に規定された圧縮永久歪測定用試験片の断面を目視にて観察し、断面全体に渡って気泡状態が均一なものを均一、一部過大気泡が認められるものを不均一、断面に多数の過大気泡が認めら試験片表面に亀裂が生じたものを破裂と評価した。
<平均気泡サイズ>
硬さ測定用試験片をカミソリ刃で切断した中心部分を走査型電子 微鏡にて観察し、0.04mm2面積当り(気泡の数は200〜300個程度)の気泡の直径を測定して平均(数平均)を求め平均気泡径を測定した。また、平均気泡径測定時に認められた最大の気泡の気泡径を最大気泡径とした。なお、気泡が がって扁平な層状の空孔が多く認められ、気泡の直径の測定が困難な場合を層状と評価し、平均気泡径と最大気泡径は測定しなかった。
<収縮率>
長さ 70mm、幅 50mm、厚さ 6mmのキャビティを有する金型を用いて成型した、硬さ測定用試験片の長尺方向の長さを測定して、次の式に代入して求めた。
収縮率={(70−測定値(mm))/70}×100
<連続気泡率>
JIS K6262に規定された圧縮永久歪み用のシリコーンゴムスポンジ試験片の質量と密度を測定し、次の式に代入して気泡部分の体積を求めた。式中ゴム密度は、(C)成分と(D)成分を含まない他は同様に調製したシリコーンゴム組成物を架橋・硬化してなる圧縮永久歪み用試験片の密度である。
気泡部分体積={(スポンジ質量)/(スポンジ密度)}−{(スポンジ質量)/(ゴム密度)}
さらに、スポンジ片を水中に保持し、−750mmHg減圧下3分間放置して水を吸収させ、吸水した水の質量を計り、水の密度を1.0g/cm3として次の式に代入し連続気泡率を求めた。
連続気泡率(%)={(吸水した水の質量)/(気泡部分体積)}×100
<金型汚れ>
上記収縮率測定用試験片を成形した金型を冷却後、キャビティ内を指蝕して付着物の有無を調べた。成形前と変化無い場合を良好、オイル状の付着物が認められた場合を付着有と評価した。
[調製例1]
粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン 100質量部、BET比表面積225m2/gのフュームドシリカ 40質量部、ヘキサメチルジシラザン 7質量部、水 2質量部、粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約10.9質量%) 0.2質量部をロスミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合した後、減圧下200℃で2時間加熱処理して流動性のあるシリカマスターバッチを調製した。
[調製例2]
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%) 71.4質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、ノニオン系界面活性剤(ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、商品名:カオーホモテックスSP−200V、花王社製、HLB3.0) 0.1質量部、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 0.6質量部、白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属含有量約4000ppm) 0.4質量部、および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物1を調製した。
[調製例3]
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%) 57.3質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、動粘度63mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.70質量%) 13.1質量部、ノニオン系界面活性剤(ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、商品名:カオーホモテックスSP−200V、花王社製、HLB3.0) 0.1質量部、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名;レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 0.6質量部、硬化遅延剤としてエチニルシクロヘキサノール 0.03質量部、および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物2を調製した。
[調製例4]
スメクタイトクレー(有機ポリマー複合親水性精製ベントナイト(pH6.5)、(株)ホージュン製) 1質量部とイオン交換水 99質量部をホモミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と無機系増粘剤の混合物である組成物(c−1)を調製した。
[調製例5]
水溶性ポリマー(アクリル酸ナトリウム、ナカライテスク(株)製)1質量部とイオン交換水 99質量部をディスパーミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と有機系増粘剤の混合物である組成物(c−2)を調製した。
[調製例6]
水溶性ポリマー(カルボキシメチルセルロースナトリウム、ナカライテスク(株)製)3質量部とイオン交換水 97質量部をディスパーミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と有機系増粘剤の混合物である組成物(c−3)を調製した。
[調製例7]
スメクタイトクレー(有機ポリマー複合親水性精製ベントナイト(pH6.5)、(株)ホージュン製) 1質量部、イオン交換水 99質量部およびノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 0.65質量部をホモミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と無機系増粘剤の混合物である組成物(c−4)を調製した。
[調製例8]
スメクタイトクレー(有機ポリマー複合親水性精製ベントナイト(pH6.5)、(株)ホージュン製) 1質量部、イオン交換水 99質量部およびノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 0.65質量部、イソチアゾリン系防腐剤(10%水溶液) 0.005質量部をホモミキサーに投入し、室温で均一になるまで混合して、水と無機系増粘剤の混合物である組成物(c−5)を調製した。
[実施例1〜4]
調製例2で調製した組成物1、調製例3で調製した組成物2、および、調製例4で調製した組成物(c−1)を表1の配合比でデンタルミキサーに投入し、25℃で均一に混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製した。得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を圧縮成形機を用いて90℃/10分の条件下で架橋・硬化させ、含水状態の各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間、開放系に放置して試験片中の水を除去し、シリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらのシリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、熱伝導率、収縮率、連続気泡率を測定した。その結果を表1に示した。
[実施例5]
調製例2および調製例3において、ノニオン系界面活性剤(ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、商品名:カオーホモテックスSP−200V、花王社製、HLB3.0) 0.1質量部およびノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 0.6質量部を配合しなかった以外は同様にして組成物3、組成物4をそれぞれ調製した。組成物3、組成物4、および、調製例7で調製した組成物(c−4)を個別に容器に貯蔵し、各容器に接続した計量供給装置により表1に示す配合比で組成物3、4、(c−4)をピンミキサーに供給し、25℃で混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を連続的に調製した。得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を圧縮成形機を用いて90℃/10分の条件下で架橋・硬化させ、含水状態の各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間、開放系に放置して試験片中の水を除去し、シリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらのシリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、熱伝導率、収縮率、連続気泡率を測定した。その結果を表1に示した。
Figure 2010013847
[実施例6]
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%) 71.4質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を白金金属原子として0.4質量%含有する、軟化点が85℃である熱可塑性シリコーン樹脂からなる平均粒子径が1μmの微粒子状白金系触媒 0.8質量部および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物5を調製した。
上記調製例1で調製したシリカマスターバッチ 9.4質量部、粘度7,500mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基含有量約0.31質量%)57.3質量部、粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量 0.23質量%) 12質量部、動粘度63mm/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子含有量約0.70質量%) 13.1質量部、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3) 1.2質量部、硬化遅延剤としてエチニルシクロヘキサノール 0.03質量部、および、ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物 6質量部を均一になるまで混合して組成物6を調整した。
組成物5、組成物6、および、調製例4で調製した組成物(c−1)を個別に容器に貯蔵し、各容器に接続した計量供給装置により表2に示す配合比で、組成物(c−1)、5、6をピンミキサーに供給し、25℃で混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を連続的に調製した。なお、各組成物は、ピンミキサーの吐出口反対側端部の 拌軸駆動装置側から組成物(c−1)、6、5の順序でピンミキサーに供給した。
得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を圧縮成形機を用いて90℃/10分の条件下で架橋・硬化させ、含水状態の各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間、開放系に放置して試験片中の水を除去し、シリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらのシリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、熱伝導率、収縮率、連続気泡率を測定した。その結果を表2に示した。
[実施例7]
実施例6で調製した組成物6において、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製、HLB4.3)1.2質量部を配合しなかった以外は同様にして組成物7を調製した。
組成物7、実施例6で調製した組成物5、および、調製例8で調製した組成物(c−5)を個別に容器に貯蔵し、各容器に接続した計量供給装置により表2に示す配合比で、組成物(c−5)、7、5をピンミキサーに供給し、25℃で混合してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を連続的に調製した。なお、各組成物は、ピンミキサーの吐出口反対側端部の 拌軸駆動装置側から組成物(c−5)、7、5の順序でピンミキサーに供給した。
得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を圧縮成形機を用いて90℃/10分の条件下で架橋・硬化させ、含水状態の各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間、開放系に放置して試験片中の水を除去し、シリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらのシリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、熱伝導率、収縮率、連続気泡率を測定した。その結果を表2に示した。
Figure 2010013847
[比較例1〜3]
シリカマスターバッチ、(A)成分、(C)成分、(D)成分およびその他の原料を表1の配合比でホモミキサー(特殊機化(株)製)に投入し、25℃で均一になるまで混合した。ついで、得られた混合物に(B)成分、(E)成分および(F)成分を配合し脱気してスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製した。得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を圧縮成形機を用いて90℃/10分の条件下で架橋・硬化させ、含水状態の各種試験片を作製した。次にこれらの試験片を200℃で4時間、開放系に放置して試験片中の水を除去し、シリコーンゴムスポンジ試験片を得た。これらのシリコーンゴムスポンジ試験片を用いて、密度、硬さ、引張強さ、伸び、収縮率、連続気泡率を測定した。その結果を表3に示した。
Figure 2010013847
以下に表3中の語句を説明する。
シリカマスターバッチ
調製例1で調製したシリカマスターバッチ。乾式シリカ含有量約 27質量%。
[A成分]
A−1成分
a−1:粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン。ビニル基含有量 0.23質量%。
[B成分]
b−1:動粘5.0mm2/sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体。ケイ素原子結合水素原子含有量約0.74質量%
[C成分]
c−1:調製例4で調製した水と無機系増粘剤の混合物。スメクタイトクレー含有量1.0質量%
c−2:調製例5で調製した水と有機系増粘剤の混合物。アクリル酸ナトリウム含有量1.0質量%
c−3:調製例6で調製した水と有機系増粘剤の混合物。カルボキシメチルセルロースナトリウム含有量3.0質量%
[D成分]
d−1:ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O10V、花王社製)。HLB4.3。
d−2:ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、商品名:レオドールSP−O30V、花王社製)。HLB1.8。
d−3:ノニオン系界面活性剤(ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、商品名:カオーホモテックスSP−200V、花王社製)。HLB3.0。
d−4:ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、商品名:イオネットDL−200、三洋化成社製)。HLB6.6。
d−5:ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、商品名:イオネットDO−600、三洋化成社製)。HLB10.4。
[E成分]
白金系触媒:白金の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液。白金金属含有量約4000ppm。
[F成分]
硬化遅延剤:エチニルシクロヘキサノール。
[その他成分]
[顔料マスターバッチ]
ベンガラ(商品名:バイフェロクス、バイエル社製)40質量部と粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン60質量部の混合物。
以上のような本発明のシリコーンゴム組成物は、成形性に優れ、成形後に微細で均一な連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジになるので、電子写真複写機、レーザビームプリンター、オンデマンド印刷機、ファクシミリ等の画像形成装置に使用されるロールやベルトの弾性材料や、断熱材、吸音材、クッション、パッキン、ガスケット、パッドなどの高温下で使用されるスポンジ用途に好適に使用される。ロールやベルトとしては、現像ロール、加圧ロール、ヒートロールが例示される。特には、電子写真複写機、レーザビームプリンター、オンデマンド印刷機、ファクシミリ等の画像形成装置において、転写紙などの転写材上に転写されたトナー画像を加熱・加圧により定着させる定着部に用いられる定着用部材、特に定着用ロールやベルトに好適に使用することができる。
1:第1の個別に保存される組成物の容器。2:第2の個別に保存される組成物の容器。3:第3の個別に保存される組成物の容器。4:計量供給装置。5:ダイナミックミキサー。6:吐出口。7:攪拌軸駆動装置。

Claims (17)

  1. (A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン 0〜90質量部および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン10〜100質量部からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン100質量部、
    (B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
    (C)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
    (D)乳化剤 0.1〜15質量部、
    (E)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)
    および
    (F)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
    から少なくともなり、複数の個別の組成物として保存され、前記個別に保存される複数の組成物が(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まないことを特徴とする、多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  2. さらに(G)シリカ微粉末を(A)成分100質量部に対して20質量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項1記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  3. (C)成分が水とスメクタイトクレーの混合物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  4. スメクタイトクレーが、スメクタイトクレーとアニオン性ポリマーとからなる親水性複合物であることを特徴とする請求項3記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  5. (E)成分が、白金系触媒を熱可塑性樹脂中に分散させた微粒子状白金系触媒であることを特徴とする請求項2記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  6. (I)(A)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物;(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物;および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなることを特徴とする請求項2記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  7. (I)(A)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物;(II)(A)成分、(B)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物;および(III)(C)成分および(D)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなることを特徴とする請求項2記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  8. (I)(A)成分、(D)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物;(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物;および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなることを特徴とする請求項2記載の多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物。
  9. 下記工程1〜3からなるシリコーンゴムスポンジの製造方法。
    工程1:多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の個別に保存された複数の組成物を混合して、下記(A)〜(F)成分から少なくともなるスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製する工程(ただし、前記個別に保存された複数の組成物は(A)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(C)成分を同時に含まず、(B)成分と(E)成分を同時に含まない。)。
    (A)(A1)分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さない、ポリジオルガノシロキサン 0〜90質量部および(A2)分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン10〜100質量部からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサン 100質量部、
    (B)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((B)成分中ケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、前記(A)成分中のアルケニル基1モル当たり、0.4〜20となる量)、
    (C)水と無機系増粘剤からなる混合物 10〜250質量部、
    (D)乳化剤 0.1〜15質量部、
    (E)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物を架橋させるのに十分な量)
    および
    (F)硬化遅延剤 0.001〜5質量部
    工程2:工程1で得られたスポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を架橋・硬化して含水状態のシリコーンゴム成形体を得る工程。
    工程3:工程2で得られた含水状態のシリコーンゴム成形体から水を除去してシリコーンゴムスポンジを得る工程。
  10. スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物が、さらに(G)シリカ微粉末を(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で含有することを特徴とする請求項8記載のシリコーンゴムスポンジの製造方法。
  11. 多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物が(I)(A)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物;(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物;および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなることを特徴とする請求項10記載のシリコーンゴムスポンジの製造方法。
  12. 多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物が(I)(A)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物;(II)(A)成分、(B)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物;および(III)(C)成分および(D)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなることを特徴とする請求項10記載のシリコーンゴムスポンジの製造方法。
  13. 多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物が(I)(A)成分、(D)成分、(E)成分、および(G)成分からなり、(B)成分および(C)成分を含まない個別に保存される組成物;(II)(A)成分、(B)成分、(D)成分、(F)成分、および(G)成分からなり、(C)成分および(E)成分を含まない個別に保存される組成物;および(III)(C)成分からなり、(A)成分および(B)成分を含まない個別に保存される組成物からなることを特徴とする請求項10記載のシリコーンゴムスポンジの製造方法。
  14. 工程1において、多成分型スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物の複数の組成物を個別の容器に保存し、それぞれの容器に接続された計量供給装置によりダイナミックミキサーに導入し混合することにより、スポンジ形成性液状シリコーンゴム組成物を調製することを特徴とする請求項9〜13の何れか1項に記載のシリコーンゴムスポンジの製造方法。
  15. 請求項9〜14のいずれか1項に記載された製造方法で得られたシリコーンゴムスポンジ。
  16. 画像形成装置の定着部材の弾性材料用である事を特徴とする請求項15に記載のシリコーンゴムスポンジ。
  17. 画像形成装置の定着部材がローラまたはベルトである事を特徴とする請求項16記載のシリコーンゴムスポンジ。
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