JP2004091569A - シリコーンフォーム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気孔の大きさが小さく、剛性及び断熱性に優れるシリコーンフォーム及び該シリコーンフォームをフォーム形成の前後において体積変化が小さい状態で製造できるシリコーンフォームの製造方法を提供すること。
【解決手段】アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部、界面活性剤1〜300重量部、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン0.1〜50重量部、水20〜1500重量部及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1工程、該油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る第2工程及び該湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る第3工程を含むシリコーンフォームの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部、界面活性剤1〜300重量部、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン0.1〜50重量部、水20〜1500重量部及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1工程、該油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る第2工程及び該湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る第3工程を含むシリコーンフォームの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝材や断熱材として好適に用いられるシリコーンフォーム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコーンフォームの製造方法として種々の方法が知られている。例えば、硬化時に発泡する種類のシリコーンゴムを用いて硬化させることによりシリコーンフォームを得る方法や、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、乳化剤、発泡剤としての水及び粘稠剤を含有する水性エマルションをベースとして、加熱時の水蒸気の発生により発泡させる方法(特公平7−122000号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような気体を発泡させる方法では、シリコーンフォーム中の気孔の径が数百〜1000μm程度と大きいため、剛性や断熱性が不充分になり易かった。また、気体によって発泡させるため、発泡硬化前後の体積変化が大きく、型による成形が困難であるという問題もあった。さらに、気体によって発泡させるため、気孔の大きさのばらつきが大きく、均一な大きさに制御することが困難であるという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、気孔の大きさが小さく、剛性及び断熱性に優れるシリコーンフォーム及び該シリコーンフォームをフォーム形成の前後において体積変化が小さい状態で製造できるシリコーンフォームの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させると、気孔の大きさが小さく、剛性及び断熱性に優れるシリコーンフォームをフォーム形成の前後において体積変化が小さい状態で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部、界面活性剤1〜300重量部、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン0.1〜50重量部、水20〜1500重量部及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1工程、該油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る第2工程及び該湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る第3工程を含むことを特徴とするシリコーンフォームの製造方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、密度が0.10〜0.80g/cm3、平均気孔径が5〜100μmであることを特徴とするシリコーンフォームを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1工程は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る工程である。
【0009】
本発明で用いられるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
R1 nSiO(4−n)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の置換又は非置換一価炭化水素基、nは1.95〜2.08、好ましくは1.98〜2.02の正数である。)で示されるオルガノポリシロキサンであって、分子中に平均2個以上の珪素原子に結合したアルケニル基を有するものである。
【0010】
ここで、R1は、珪素原子に結合した炭素数1〜12、特に1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基やこれらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がF,Cl,Br等のハロゲン原子やシアノ基などで置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0011】
この場合、上記R1で示される置換又は非置換の一価炭化水素基のうち、少なくとも平均2個はアルケニル基であり、アルケニル基の量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g中に0.0001〜1モル、特に0.001〜0.1モルが好ましい。なお、アルケニル基は分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していてもよく、両者に存在してもよい。
【0012】
また、上記式(1)中、nは1.95〜2.08、好ましくは1.98〜2.02の正数であり、このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの分子構造はジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状であることが好ましい。また少なくとも分子鎖両末端にアルケニル基を有するものであることが好ましいが、一部分にR1SiO3/2単位やSiO4/2単位を含む分岐状構造を有していてもよい。なお、このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、その分子鎖末端がトリビニルシリル、メチルジビニルシリル、ジメチルビニルシリル又はトリメチルシリル基などのトリオルガノシリル基で封鎖されていることが好ましい。
【0013】
このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの粘度は、25℃で通常25cSt以上であり、好ましくは25〜500,000cSt、さらに好ましくは250〜10,000cStであると、撹拌によるエマルション化が容易であるため好ましい。
【0014】
本発明で用いられる界面活性剤としては、例えば、親水性基変性オルガノポリシロキサンが挙げられる。ここで、親水性基変性オルガノポリシロキサンとは、水酸基、エーテル結合を有する有機基等の親水性基を有しているオルガノポリシロキサンをいう。本発明では、界面活性剤の疎水性部分がオルガノポリシロキサンであると、油層に含まれるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びハイドロジェンオルガノポリシロキサンと相溶性が良いため好ましい。このような親水性基変性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、カルビノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びカルボキシル変性シリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0015】
なお、親水性基変性オルガノポリシロキサンは分子の両末端又は片末端のみが親水基で変性されたものであると、親水性基変性オルガノポリシロキサンが立体障害による水滴の分散効果を示すため独立気孔構造のフォームが得られ易くなる。一方、親水性基変性オルガノポリシロキサンは分子の側鎖が親水基で変性されたものであると、水滴間の静電反発力が弱く、エマルション中で水滴が隣接して存在するため連続気孔構造のフォームが得られ易くなる。従って、親水性基変性オルガノポリシロキサンの種類は、製造するシリコーンフォームに望む気孔構造に合わせて適宜選択すればよい。
【0016】
本発明において、界面活性剤のHLBは、結果として油中水滴型エマルション硬化原料が得られればよいため特に限定されるものではないが、通常0〜6、好ましくは0〜4である。
【0017】
また、界面活性剤の25℃における粘度は、通常10〜30000cSt、好ましくは10〜1000cStである。粘度が該範囲内にあると、撹拌によるエマルション化が容易であるため好ましい。
【0018】
本発明で用いられるハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のSiH基(即ち、ケイ素原子に結合した水素原子)を有するオルガノポリシロキサンであり、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化剤(架橋剤)として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができるが、通常、下記平均組成式(2)
R2 aHbSiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、R2は上記R1と同様の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基や、これらのハロゲン置換体などの非置換又は置換一価炭化水素基であり、脂肪族不飽和結合を含有しないものが好ましく、特に、メチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。a,bは0.8≦a≦2.2、0.002≦b≦1で0.802≦a+b≦3、好ましくは1≦a≦2、0.01≦b≦1で1.01≦a+b≦2.5を満たす正数である。)で示されるものを用いることができる。
【0019】
上記SiH基は1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあってもよい。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が1〜10,000cSt、特に1〜1,000cStであると、撹拌によるエマルション化が容易であるため好ましい。またオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、重合度、すなわち、1分子中のケイ素原子の数が2〜500個、特に4〜200個であることが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる白金族系触媒は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのアルケニル基とハイドロジェンオルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子を付加反応させるための触媒である。白金族系触媒としては白金族の金属単体とその化合物があり、これには従来公知のものを用いることができる。例えば、白金黒、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体上に吸着させた微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。
【0021】
第1工程では、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を混合して、これらを含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る。本発明において、油中水滴型エマルション硬化原料とは第2工程の加熱硬化の原料をいい、具体的には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を含む混合物であって、油中水滴型エマルションを呈するものをいう。
【0022】
油中水滴型エマルション硬化原料の調製の際におけるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン等の混合順序は、特に限定されるものでなく、例えば水に適当な順序で溶解していってもよいし、これらを同時に混合してもよい。ただし、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンは水と接触すると加水分解し易いため、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと水とは、第2工程の直前に接触させることが好ましい。
【0023】
このようにハイドロジェンオルガノポリシロキサンと水とを第2工程の直前に接触させる方法としては、具体的には、第1工程において、まず、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、水及び白金族系触媒を混合して油中水滴型エマルション予備原料を得る第1(a)工程を行い、次に、該油中水滴型エマルション予備原料にハイドロジェンオルガノポリシロキサンを添加して油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1(b)工程を行う方法が挙げられる。なお、本発明において、油中水滴型エマルション予備原料とは、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、水及び白金族系触媒を含む混合物であって、油中水滴型エマルションを呈するものをいう。
【0024】
油中水滴型エマルション硬化原料又は油中水滴型エマルション予備原料の調製の際における混合方法としては、一般的な撹拌機を用いて行ってもよいが、ホモジナイザ等の乳化機を用いると油中水滴型エマルション硬化原料又は油中水滴型エマルション予備原料の生成が迅速に行われるため好ましい。
【0025】
油中水滴型エマルション硬化原料における界面活性剤の配合量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常1〜300重量部、好ましくは5〜100重量部である。界面活性剤の配合量が該範囲内にあると、油中水滴型エマルションを得易いため好ましい。
【0026】
油中水滴型エマルション硬化原料におけるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの配合量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常0.1〜50重量部である。ハイドロジェンオルガノポリシロキサンの配合量が該範囲内にあると、得られるシリコーンフォームの機械的強度及び耐熱性が十分に高くなるため好ましい。
【0027】
また、油中水滴型エマルション硬化原料において、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとの配合比率は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個に対して、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子の割合が通常0.5〜10個であり、好ましくは1〜4個である。配合比率が該範囲内にあると、得られるシリコーンフォームの機械的強度及び耐熱性が十分に高くなるため好ましい。
【0028】
油中水滴型エマルション硬化原料における水の配合量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常20〜1500重量部、好ましくは100〜300重量部である。水の配合量が該範囲内にあると、油中水滴型エマルションを得易く、また、得られるシリコーンフォームの空隙率が大きくなり易いため好ましい。なお、水の配合量が100重量部未満であると、油中水滴型エマルションを得易いけれども、空隙率が小さくなることによりフォームが硬くなり易いため好ましくない。また、水の配合量が300重量部を越えると、空隙率が大きくなりソフトなフォームを作製できるけれども、油中水滴型エマルションを得難いため好ましくない。
【0029】
油中水滴型エマルション硬化原料に対する白金族系触媒の配合量は、付加反応を促進できる程度の公知の量でよいが、例えば、油中水滴型エマルション硬化原料に添加した後の濃度が、白金族金属量に換算した量で、通常0.5〜1000ppmになるようにする。白金族系触媒の配合量が該範囲内にあると、通常付加反応が十分に促進され、且つ、経済的であるため好ましい。
【0030】
第1工程を行うと、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン及び白金族系触媒が油層にある液状又はクリーム状の油中水滴型エマルション硬化原料が生成する。油層中に分散する水層には水が含まれ、界面には上記界面活性剤が存在する。なお、第1(a)工程後に得られる油中水滴型エマルション予備原料は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び白金族系触媒が油層にある液状又はクリーム状の油中水滴型エマルション硬化原料が生成する。
【0031】
第2工程は、上記油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンを硬化させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る工程である。
【0032】
加熱温度は、通常50〜100℃、好ましくは60〜80℃である。加熱温度が該範囲内にあると、油層が硬化する前の水の揮発を抑制することができるため好ましい。加熱温度が、100℃を越えると水が沸騰することにより、フォーム内に生成する気孔が粗大になるため好ましくない。加熱温度が、50℃未満であると油層が硬化するのに長時間を要するため好ましくない。また、加熱時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0033】
第2工程を行うと、湿潤状態のシリコーンフォームが得られる。該湿潤状態のシリコーンフォームは、油中水滴型エマルション硬化原料の油層中のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとがそのまま付加反応して硬化したものであるため、水層に由来する略均一な大きさの気孔を有するシリコーンフォームが得られる。なお、シリコーンフォームは、上記のように界面活性剤として分子の両末端又は片末端のみが親水基で変性された親水性基変性オルガノポリシロキサンを用いるとシリコーンフォームの気孔構造が独立気孔構造になり易く、分子の側鎖が親水基で変性された親水性基変性オルガノポリシロキサンを用いるとシリコーンフォームの気孔構造が連続気孔構造になり易い。
【0034】
第3工程は、湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る工程である。水分の除去には、通常用いられる乾燥機等が用いられる。硬化温度は、通常100〜180℃、好ましくは120℃〜160℃である。
【0035】
第3工程を行うと、シリコーンフォームが得られる。該シリコーンフォームは、気孔径が小さく且つ気孔径が略均一である。該シリコーンフォームの密度は、通常0.10〜0.80g/cm2、好ましくは0.20〜0.40g/cm2である。気孔の平均径は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。また、該シリコーンフォームの空隙率は、通常15〜90%、好ましくは20〜50%である。ここで、空隙率とは、空隙の全体積を嵩体積で除した値をいう。
【0036】
本発明で得られるシリコーンフォームは、例えば、緩衝材、断熱材等として使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
【0038】
実施例1
25℃における粘度3500cStのアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製KE106)100重量部、水300重量部及び25℃における粘度130cStの片末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製X−22−176DX)80重量部をハイブリッドミキサ(キーエンス株式会社製)にて15分間撹拌した後、25℃における粘度500cStのハイドロジェンオルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製CAT−RG)10重量部を加え1分間撹拌して、オルガノポリシロキサンが油層に含まれる液状の油中水滴型エマルション硬化原料を得た。なお、信越化学工業株式会社製KE106には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン以外に、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させるに十分な量の白金族系触媒が含まれている。このエマルション硬化原料を鋳型に注入して70℃で3時間加熱して付加反応させて硬化させた。この後、得られた湿潤状態のシリコーンフォームを、150℃の乾燥機中に2時間放置してシリコーンフォームを得た。該シリコーンフォームは独立気孔構造であり、密度が0.39g/cm2、気孔の平均径が15μmであり、空隙率が60%であり、硬化前後の体積変化率は−5%であり、硬化後に収縮した。ここで、体積変化率は、硬化後の体積から硬化前の体積を引いた値を硬化前の体積で除したものである。
【0039】
実施例2
白金族系触媒の配合量を1重量部とし、水の配合量を330重量部とし、片末端カルビノール変性シリコーンオイル80重量部に代えて25℃における粘度110cStの両末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF6003)25重量部及び25℃における粘度150cStの側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF6015、HLB:4)25重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、クリーム状の油中水滴型エマルション硬化原料を得、実施例1と同様にしてシリコーンフォームを得た。該シリコーンフォームは連続気孔構造であり、密度が0.35g/cm2、気孔の平均径が80μmであり、空隙率が65%であり、硬化前後の体積変化率は−3%であり、硬化後に収縮した。
【0040】
比較例1
白金族系触媒の配合量を1重量部とし、水の配合量を330重量部とし、片末端カルビノール変性シリコーンオイル80重量部に代えて25℃における粘度130cStの側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF6011、HLB:12)30重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、液状の水中油滴型エマルション硬化原料を得た。このエマルション硬化原料を実施例1と同様にし鋳型に注入して70℃で3時間加熱して硬化させたところ、エマルション硬化原料中のオルガノポリシロキサンのみが塊状に硬化し、湿潤状態のシリコーンフォームは得られなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係るシリコーンフォームの製造方法によれば、得られるシリコーンフォームは、気孔径が小さく且つ気孔径が略均一であり、剛性及び断熱性に優れる。また、該方法によれば、第2工程で油中水滴型エマルション硬化原料から湿潤状態のシリコーンフォームを形成する際の体積変化が小さい。このため、緩衝材や断熱材として好ましいシリコーンフォームを型による成形で容易に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝材や断熱材として好適に用いられるシリコーンフォーム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコーンフォームの製造方法として種々の方法が知られている。例えば、硬化時に発泡する種類のシリコーンゴムを用いて硬化させることによりシリコーンフォームを得る方法や、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、乳化剤、発泡剤としての水及び粘稠剤を含有する水性エマルションをベースとして、加熱時の水蒸気の発生により発泡させる方法(特公平7−122000号公報)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような気体を発泡させる方法では、シリコーンフォーム中の気孔の径が数百〜1000μm程度と大きいため、剛性や断熱性が不充分になり易かった。また、気体によって発泡させるため、発泡硬化前後の体積変化が大きく、型による成形が困難であるという問題もあった。さらに、気体によって発泡させるため、気孔の大きさのばらつきが大きく、均一な大きさに制御することが困難であるという問題があった。
【0004】
従って、本発明の目的は、気孔の大きさが小さく、剛性及び断熱性に優れるシリコーンフォーム及び該シリコーンフォームをフォーム形成の前後において体積変化が小さい状態で製造できるシリコーンフォームの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させると、気孔の大きさが小さく、剛性及び断熱性に優れるシリコーンフォームをフォーム形成の前後において体積変化が小さい状態で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部、界面活性剤1〜300重量部、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン0.1〜50重量部、水20〜1500重量部及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1工程、該油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る第2工程及び該湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る第3工程を含むことを特徴とするシリコーンフォームの製造方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、密度が0.10〜0.80g/cm3、平均気孔径が5〜100μmであることを特徴とするシリコーンフォームを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
第1工程は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る工程である。
【0009】
本発明で用いられるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
R1 nSiO(4−n)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の置換又は非置換一価炭化水素基、nは1.95〜2.08、好ましくは1.98〜2.02の正数である。)で示されるオルガノポリシロキサンであって、分子中に平均2個以上の珪素原子に結合したアルケニル基を有するものである。
【0010】
ここで、R1は、珪素原子に結合した炭素数1〜12、特に1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基やこれらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がF,Cl,Br等のハロゲン原子やシアノ基などで置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0011】
この場合、上記R1で示される置換又は非置換の一価炭化水素基のうち、少なくとも平均2個はアルケニル基であり、アルケニル基の量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100g中に0.0001〜1モル、特に0.001〜0.1モルが好ましい。なお、アルケニル基は分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していてもよく、両者に存在してもよい。
【0012】
また、上記式(1)中、nは1.95〜2.08、好ましくは1.98〜2.02の正数であり、このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの分子構造はジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状であることが好ましい。また少なくとも分子鎖両末端にアルケニル基を有するものであることが好ましいが、一部分にR1SiO3/2単位やSiO4/2単位を含む分岐状構造を有していてもよい。なお、このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、その分子鎖末端がトリビニルシリル、メチルジビニルシリル、ジメチルビニルシリル又はトリメチルシリル基などのトリオルガノシリル基で封鎖されていることが好ましい。
【0013】
このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの粘度は、25℃で通常25cSt以上であり、好ましくは25〜500,000cSt、さらに好ましくは250〜10,000cStであると、撹拌によるエマルション化が容易であるため好ましい。
【0014】
本発明で用いられる界面活性剤としては、例えば、親水性基変性オルガノポリシロキサンが挙げられる。ここで、親水性基変性オルガノポリシロキサンとは、水酸基、エーテル結合を有する有機基等の親水性基を有しているオルガノポリシロキサンをいう。本発明では、界面活性剤の疎水性部分がオルガノポリシロキサンであると、油層に含まれるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン及びハイドロジェンオルガノポリシロキサンと相溶性が良いため好ましい。このような親水性基変性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、カルビノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びカルボキシル変性シリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0015】
なお、親水性基変性オルガノポリシロキサンは分子の両末端又は片末端のみが親水基で変性されたものであると、親水性基変性オルガノポリシロキサンが立体障害による水滴の分散効果を示すため独立気孔構造のフォームが得られ易くなる。一方、親水性基変性オルガノポリシロキサンは分子の側鎖が親水基で変性されたものであると、水滴間の静電反発力が弱く、エマルション中で水滴が隣接して存在するため連続気孔構造のフォームが得られ易くなる。従って、親水性基変性オルガノポリシロキサンの種類は、製造するシリコーンフォームに望む気孔構造に合わせて適宜選択すればよい。
【0016】
本発明において、界面活性剤のHLBは、結果として油中水滴型エマルション硬化原料が得られればよいため特に限定されるものではないが、通常0〜6、好ましくは0〜4である。
【0017】
また、界面活性剤の25℃における粘度は、通常10〜30000cSt、好ましくは10〜1000cStである。粘度が該範囲内にあると、撹拌によるエマルション化が容易であるため好ましい。
【0018】
本発明で用いられるハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のSiH基(即ち、ケイ素原子に結合した水素原子)を有するオルガノポリシロキサンであり、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化剤(架橋剤)として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができるが、通常、下記平均組成式(2)
R2 aHbSiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、R2は上記R1と同様の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜8のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基や、これらのハロゲン置換体などの非置換又は置換一価炭化水素基であり、脂肪族不飽和結合を含有しないものが好ましく、特に、メチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。a,bは0.8≦a≦2.2、0.002≦b≦1で0.802≦a+b≦3、好ましくは1≦a≦2、0.01≦b≦1で1.01≦a+b≦2.5を満たす正数である。)で示されるものを用いることができる。
【0019】
上記SiH基は1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあってもよい。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が1〜10,000cSt、特に1〜1,000cStであると、撹拌によるエマルション化が容易であるため好ましい。またオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、重合度、すなわち、1分子中のケイ素原子の数が2〜500個、特に4〜200個であることが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる白金族系触媒は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのアルケニル基とハイドロジェンオルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子を付加反応させるための触媒である。白金族系触媒としては白金族の金属単体とその化合物があり、これには従来公知のものを用いることができる。例えば、白金黒、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体上に吸着させた微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。
【0021】
第1工程では、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を混合して、これらを含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る。本発明において、油中水滴型エマルション硬化原料とは第2工程の加熱硬化の原料をいい、具体的には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン、水及び白金族系触媒を含む混合物であって、油中水滴型エマルションを呈するものをいう。
【0022】
油中水滴型エマルション硬化原料の調製の際におけるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン等の混合順序は、特に限定されるものでなく、例えば水に適当な順序で溶解していってもよいし、これらを同時に混合してもよい。ただし、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンは水と接触すると加水分解し易いため、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと水とは、第2工程の直前に接触させることが好ましい。
【0023】
このようにハイドロジェンオルガノポリシロキサンと水とを第2工程の直前に接触させる方法としては、具体的には、第1工程において、まず、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、水及び白金族系触媒を混合して油中水滴型エマルション予備原料を得る第1(a)工程を行い、次に、該油中水滴型エマルション予備原料にハイドロジェンオルガノポリシロキサンを添加して油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1(b)工程を行う方法が挙げられる。なお、本発明において、油中水滴型エマルション予備原料とは、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、界面活性剤、水及び白金族系触媒を含む混合物であって、油中水滴型エマルションを呈するものをいう。
【0024】
油中水滴型エマルション硬化原料又は油中水滴型エマルション予備原料の調製の際における混合方法としては、一般的な撹拌機を用いて行ってもよいが、ホモジナイザ等の乳化機を用いると油中水滴型エマルション硬化原料又は油中水滴型エマルション予備原料の生成が迅速に行われるため好ましい。
【0025】
油中水滴型エマルション硬化原料における界面活性剤の配合量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常1〜300重量部、好ましくは5〜100重量部である。界面活性剤の配合量が該範囲内にあると、油中水滴型エマルションを得易いため好ましい。
【0026】
油中水滴型エマルション硬化原料におけるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの配合量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常0.1〜50重量部である。ハイドロジェンオルガノポリシロキサンの配合量が該範囲内にあると、得られるシリコーンフォームの機械的強度及び耐熱性が十分に高くなるため好ましい。
【0027】
また、油中水滴型エマルション硬化原料において、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとの配合比率は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個に対して、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子の割合が通常0.5〜10個であり、好ましくは1〜4個である。配合比率が該範囲内にあると、得られるシリコーンフォームの機械的強度及び耐熱性が十分に高くなるため好ましい。
【0028】
油中水滴型エマルション硬化原料における水の配合量は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、通常20〜1500重量部、好ましくは100〜300重量部である。水の配合量が該範囲内にあると、油中水滴型エマルションを得易く、また、得られるシリコーンフォームの空隙率が大きくなり易いため好ましい。なお、水の配合量が100重量部未満であると、油中水滴型エマルションを得易いけれども、空隙率が小さくなることによりフォームが硬くなり易いため好ましくない。また、水の配合量が300重量部を越えると、空隙率が大きくなりソフトなフォームを作製できるけれども、油中水滴型エマルションを得難いため好ましくない。
【0029】
油中水滴型エマルション硬化原料に対する白金族系触媒の配合量は、付加反応を促進できる程度の公知の量でよいが、例えば、油中水滴型エマルション硬化原料に添加した後の濃度が、白金族金属量に換算した量で、通常0.5〜1000ppmになるようにする。白金族系触媒の配合量が該範囲内にあると、通常付加反応が十分に促進され、且つ、経済的であるため好ましい。
【0030】
第1工程を行うと、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン及び白金族系触媒が油層にある液状又はクリーム状の油中水滴型エマルション硬化原料が生成する。油層中に分散する水層には水が含まれ、界面には上記界面活性剤が存在する。なお、第1(a)工程後に得られる油中水滴型エマルション予備原料は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び白金族系触媒が油層にある液状又はクリーム状の油中水滴型エマルション硬化原料が生成する。
【0031】
第2工程は、上記油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサン及び前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンを硬化させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る工程である。
【0032】
加熱温度は、通常50〜100℃、好ましくは60〜80℃である。加熱温度が該範囲内にあると、油層が硬化する前の水の揮発を抑制することができるため好ましい。加熱温度が、100℃を越えると水が沸騰することにより、フォーム内に生成する気孔が粗大になるため好ましくない。加熱温度が、50℃未満であると油層が硬化するのに長時間を要するため好ましくない。また、加熱時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは0.5〜3時間である。
【0033】
第2工程を行うと、湿潤状態のシリコーンフォームが得られる。該湿潤状態のシリコーンフォームは、油中水滴型エマルション硬化原料の油層中のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとがそのまま付加反応して硬化したものであるため、水層に由来する略均一な大きさの気孔を有するシリコーンフォームが得られる。なお、シリコーンフォームは、上記のように界面活性剤として分子の両末端又は片末端のみが親水基で変性された親水性基変性オルガノポリシロキサンを用いるとシリコーンフォームの気孔構造が独立気孔構造になり易く、分子の側鎖が親水基で変性された親水性基変性オルガノポリシロキサンを用いるとシリコーンフォームの気孔構造が連続気孔構造になり易い。
【0034】
第3工程は、湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る工程である。水分の除去には、通常用いられる乾燥機等が用いられる。硬化温度は、通常100〜180℃、好ましくは120℃〜160℃である。
【0035】
第3工程を行うと、シリコーンフォームが得られる。該シリコーンフォームは、気孔径が小さく且つ気孔径が略均一である。該シリコーンフォームの密度は、通常0.10〜0.80g/cm2、好ましくは0.20〜0.40g/cm2である。気孔の平均径は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。また、該シリコーンフォームの空隙率は、通常15〜90%、好ましくは20〜50%である。ここで、空隙率とは、空隙の全体積を嵩体積で除した値をいう。
【0036】
本発明で得られるシリコーンフォームは、例えば、緩衝材、断熱材等として使用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
【0038】
実施例1
25℃における粘度3500cStのアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製KE106)100重量部、水300重量部及び25℃における粘度130cStの片末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製X−22−176DX)80重量部をハイブリッドミキサ(キーエンス株式会社製)にて15分間撹拌した後、25℃における粘度500cStのハイドロジェンオルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製CAT−RG)10重量部を加え1分間撹拌して、オルガノポリシロキサンが油層に含まれる液状の油中水滴型エマルション硬化原料を得た。なお、信越化学工業株式会社製KE106には、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン以外に、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させるに十分な量の白金族系触媒が含まれている。このエマルション硬化原料を鋳型に注入して70℃で3時間加熱して付加反応させて硬化させた。この後、得られた湿潤状態のシリコーンフォームを、150℃の乾燥機中に2時間放置してシリコーンフォームを得た。該シリコーンフォームは独立気孔構造であり、密度が0.39g/cm2、気孔の平均径が15μmであり、空隙率が60%であり、硬化前後の体積変化率は−5%であり、硬化後に収縮した。ここで、体積変化率は、硬化後の体積から硬化前の体積を引いた値を硬化前の体積で除したものである。
【0039】
実施例2
白金族系触媒の配合量を1重量部とし、水の配合量を330重量部とし、片末端カルビノール変性シリコーンオイル80重量部に代えて25℃における粘度110cStの両末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF6003)25重量部及び25℃における粘度150cStの側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF6015、HLB:4)25重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、クリーム状の油中水滴型エマルション硬化原料を得、実施例1と同様にしてシリコーンフォームを得た。該シリコーンフォームは連続気孔構造であり、密度が0.35g/cm2、気孔の平均径が80μmであり、空隙率が65%であり、硬化前後の体積変化率は−3%であり、硬化後に収縮した。
【0040】
比較例1
白金族系触媒の配合量を1重量部とし、水の配合量を330重量部とし、片末端カルビノール変性シリコーンオイル80重量部に代えて25℃における粘度130cStの側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF6011、HLB:12)30重量部を用いた以外は実施例1と同様にして、液状の水中油滴型エマルション硬化原料を得た。このエマルション硬化原料を実施例1と同様にし鋳型に注入して70℃で3時間加熱して硬化させたところ、エマルション硬化原料中のオルガノポリシロキサンのみが塊状に硬化し、湿潤状態のシリコーンフォームは得られなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係るシリコーンフォームの製造方法によれば、得られるシリコーンフォームは、気孔径が小さく且つ気孔径が略均一であり、剛性及び断熱性に優れる。また、該方法によれば、第2工程で油中水滴型エマルション硬化原料から湿潤状態のシリコーンフォームを形成する際の体積変化が小さい。このため、緩衝材や断熱材として好ましいシリコーンフォームを型による成形で容易に製造することができる。
Claims (5)
- アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部、界面活性剤1〜300重量部、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン0.1〜50重量部、水20〜1500重量部及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1工程、該油中水滴型エマルション硬化原料を加熱して油層中の前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを付加反応させ、湿潤状態のシリコーンフォームを得る第2工程及び該湿潤状態のシリコーンフォーム中の水分を除去してシリコーンフォームを得る第3工程を含むことを特徴とするシリコーンフォームの製造方法。
- 前記第1工程が、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100重量部、界面活性剤1〜300重量部、水20〜1500重量部及び白金族系触媒を含む油中水滴型エマルション予備原料を得る第1(a)工程及び該油中水滴型エマルション予備原料にハイドロジェンオルガノポリシロキサン0.1〜50重量部を添加して油中水滴型エマルション硬化原料を得る第1(b)工程からなることを特徴とする請求項1記載のシリコーンフォームの製造方法。
- 前記界面活性剤が、親水性基変性オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコーンフォームの製造方法。
- 前記親水性基変性オルガノポリシロキサンが、カルビノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル及びカルボキシル変性シリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも1種のシリコーンオイルであることを特徴とする請求項3記載のシリコーンフォームの製造方法。
- 密度が0.10〜0.80g/cm3、平均気孔径が5〜100μmであることを特徴とするシリコーンフォーム。
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