JPWO2009107811A1 - 基板型光導波路素子、波長分散補償素子、光フィルタならびに光共振器、およびそれらの設計方法 - Google Patents

基板型光導波路素子、波長分散補償素子、光フィルタならびに光共振器、およびそれらの設計方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、光導波路が、コアとそのコアの幅方向の中央に、光の導波方向に沿って配置されるとともに屈折率が前記コアよりも低いギャップ部とを備え、前記コアが、前記ギャップ部により分離された2つの領域を備え、これら2つの領域にまたがって単一のモードが伝搬されるシングルモード光導波路を構成している。

Description

本発明は、波長分散補償素子、光フィルタ、光共振器等の各種用途に利用可能な基板型光導波路素子およびその設計方法に関する。
本願は、2008年2月29日に、日本に出願された特願2008−051346号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
偏光依存性を考慮しない光導波路構造における波長分散補償については、以下の例がある。
特許文献1には、導波路中にブラッググレーティングパターンを有する分散補償素子として、複数個の波長チャンネルに対する波長分散を補償するよう、周期が空間的に変化したブラッググレーティングの要素を複数個有する素子が開示されている。又、特許文献1では、導波路の光軸に沿った方向での複数個の要素からなるブラッググレーティングの屈折率分布n(z)は次式のような正弦波的な変化(zは光伝搬軸上の点の位置)を示すとも開示されている。
Figure 2009107811
各波長チャンネルのブラッググレーティングパターンに対応する正弦波成分において、局所周期pはzとともに徐々に変化する(チャープする)。特許文献1のFIG.3では、zの増大に対して局所周期が減少する方向にチャープしている。また、原点位相φはグレーティング要素iごとに離散的に変化する。上式のように、おのおののチャンネルに対応するブラッググレーティングパターンを独立に定義し、それらを重ね合わせることによりブラッググレーティングパターンが形成される。特許文献1には、ブラッググレーティングパターンを光ファイバ中に形成した場合が例示されている。
特許文献2には、導波線路中に、ある一つの周期を有するブラッググレーティングが形成され、このブラッググレーティングと重なるように導波線路中にサンプリング構造が形成され、複数の波長チャンネルで波長分散補償を行なう波長分散補償素子が記載されている。前記サンプリング構造は、ブラッググレーティングの周期よりも長い、ある一つの周期で位相サンプリングしたパターンで構成される。位相サンプリングの各周期は、導波路の光軸に沿った方向で複数の空間領域に分割され、隣接する空間領域が互いに接した境界ではブラッググレーティングの位相が不連続に変化する。特許文献2のFIG.1Aから1Dに示されているように、一つの空間領域内では、位相の不連続な変化はない。
特許文献3には、二本の光導波路を複数の方向性結合器で結合し、隣接する二個の方向性結合器で挟まれた領域の二本の導波路の光路長は互いに異なり、かつ二本の導波路のうち少なくとも一方に位相制御器が設けられた構造を基本構成要素として波長分散補償を行なう二入力・二出力の光分散等化器が記載されている。この文献には、この導波路を用いて分散スロープを補償するデバイスが示されており、波長分散を補償する素子を光入力部に設けている。さらに補償効果を高めるためには、前記基本構成要素を直列に接続する段数を増大することが示されている。
特許文献4には、光路差を有する二本の導波路の片側に正の値から負の値の範囲の振幅結合率を有する方向性結合器を備えた構造を基本構成要素とし、それが直列的に組み合わされて、帰還(すなわち反射)のない二入力・二出力の光回路を構成する光信号処理器の設計方法が記載されている。この設計手法では、光回路の特性を2行2列のユニタリ行列を用いて表し、クロスポートの所望の出力特性を与え、光回路の未知パラメータである方向性結合器の振幅パラメータを算出することにより、光回路の構成を決定する。実施例には、この設計方法に基づく波長分散補償素子の設計例が示されている。
特許文献5には、フォトニック結晶を用いた高屈折率の導波路による広帯域の波長分散補償素子が記載されており、透過型の光導波路構造で波長分散補償を行なう。波長分散の符号を変化させることができる。
非特許文献1には、特許文献2と類似の設計手法を適用して実際のファイバブラッググレーティング波長分散補償素子を作製し、その結果について記載されている。まず、中心波長において単一のチャンネルのブラッググレーティングパターンを非特許文献2の知見を用いて設計する。グレーティングパターンは、所望の反射および波長分散のスペクトル特性から逆散乱解法により導出される。ただし、ファイバブラッググレーティングではグレーティングパターンを作製するために屈折率を変化させる範囲に限界があるため、その限界を越えないように上記スペクトル特性を逆フーリエ変換してアポダイズ(apodaize)するという操作を加える。以上により、ブラッググレーティングのピッチは位置とともに連続的に変化するパターンが得られる。その後、複数チャンネルのブラッググレーティングパターンを位相サンプリングにより設計する。ファイバブラッググレーティングでは屈折率の変化範囲に制限があるため、位相サンプリングが有効としている。
非特許文献2には、レイヤー・ピーリング(Layer Peeling)法による逆散乱問題の解法のアルゴリズムが記載されており、ファイバブラッググレーティングを用いた波長分散補償素子の解析例が示されている。
非特許文献3には、基板上でのチャープ型ブラッググレーティング導波路を用いた波長分散補償素子が記載されている。この波長分散補償素子は、銀イオン交換によりシリカガラス基板上に矩形光導波路コアを形成し、さらにコア上部のシリカクラッド中にブラッググレーティングパターンを形成したものである。グレーティングピッチを徐々に変化させるため、光導波路のコアの伝搬軸を曲げている。波長800nmのレーザ光パルスを入射し、7mmのグレーティング長の光導波路に対して58ps/nmが得られている。長さ50mmのグレーティングにより、波長1550nmで50km相当の光ファイバの波長分散補償が可能になるとしている。
非特許文献4のFig.1(a)(b)およびFig.3(a)には、矩形のシリコン(屈折率3.48、幅180nm×高さ300nm×2箇所)に挟まれた中央ギャップ領域のシリカガラス(屈折率1.46、幅50nm×高さ300nm)に光が閉じ込められる構造のスロット型光導波路素子が記載されている。
米国特許第6865319号明細書 米国特許第6707967号明細書 日本国特許第3262312号公報 日本国特許第3415267号公報 日本国特許第3917170号公報 H.Li,Y.Sheng,Y.Li and J.E.Rothenberg、"Phase−only sampled fiber Bragg gratings for high−channel−count chromatic dispersion compensation"、Journal of Lightwave Technology、2003年、第21巻、第9号、p.2074−2083 R.Feced,M.N.Zervas,and M.A.Muriel、"An Efficient inverse scattering algorithm for the design of nonuniform fiber Bragg gratings"、IEEE Journal of Quantum Electronics、1999年、第35巻、第8号、p.1105−1115 C.J.Brooks,G.L.Vossler and K.A.Winick、"Integrated−optic dispersion compensator that uses chirped gratings"、Optics Letters、1995年、第20巻、第4号、p.368−370 Vilson R.Almeidaら、"Guiding and confining light in void nanostrucure"、Optics Letters、2004年、第29巻、第11号,p.1209−1211
光通信で伝送される情報量は増加の一途をたどっている。これに対しては、(I)信号の伝送速度を増す、(II)波長多重通信のチャンネル数を増す、といった対策が進められている。
光通信では光パルスを用いて光信号が伝送される。そこで、上記(I)に関しては、次の問題が発生する。伝送速度が増すと光パルスの時間幅が短縮し、時間軸上で隣接する光パルス間の間隔が狭まるため、光パルスの時間波形を制御することが重要となる。伝送路である光ファイバ中では、光の波長によって伝搬速度が異なるという波長分散のため、光ファイバを伝搬するに伴い光パルスの時間幅が拡がってしまう。このため、光ファイバとは逆の符号の波長分散を持つ光素子を光ファイバ伝送路中に設けて、伝送路を伝搬した後の光パルスの波長分散を除去するという波長分散補償にかかる技術が必要になる。上記特許文献1〜5は、(I)に関して波長分散補償素子にかかる技術を提供するものである。特に、特許文献1,2では、波長多重光ファイバ通信の複数のチャンネルに対応する多チャンネル波長分散補償素子に関する技術が記載されている。
一方、(II)の対策を進めると、光部品の数が増すとともに伝送経路も複雑になるため、光通信設備の大型化、複雑化、高額化につながるという問題が生じる。
光通信設備の大型化・複雑化を避けるには、設備を構成する装置の部品や回路など、構成要素の小型化、さらには小型化した構成要素を集積化して部品点数の増大を避けることが必要である。光部品の小型化を遂行するには、光部品を構成する基本要素である光素子を小型化することが必須である。光通信用の光素子は光導波路を用いて構成されることが多い。このため、光導波路を小型化することが、光部品の小型化を進める上で重要である。光導波路を小型化するには、シリコン(Si)などの屈折率の高い材料を用いることが必須である。これは、媒質中の光の波長はその媒質の屈折率に反比例するため、屈折率が高いほど光導波路のコア幅などの寸法が小さくなるからである。Siの屈折率は約3.5で、シリカ(SiO)の屈折率(約1.5)に比べて2.3倍以上である。Siなどの高屈折率材料は、平板の基板上に形成されるため、複数の光導波路を結合することが容易で、複数の光部品を集積化する目的に適している。
光部品の高額化を避けるには、光素子の製造コストを低減することが重要である。光導波路が小型化されると、光素子一個あたりに占める原材料コストが減少し、単価を削減することができる。Siなどの高屈折率材料は、平板の基板上に形成されるため、大面積基板を用いて多数の光素子を一つの基板上に製造することができ、製造コストをさらに削減することが可能になる。
ところで、SiおよびSi系の高屈折率材料を用いて平面基板上に光導波路を形成し、小型で集積化に適する波長分散素子を実現するには、光導波路の設計において、光導波路の実効屈折率が、基板面に平行な偏光状態および直交する偏光状態に対して互いに等しくなければならない。これは、平面基板上の高屈折率光導波路のコアの断面形状は、半導体光ファイバの円形コア断面とは異なるためである。偏光により光導波路の実効屈折率が異なれば、光導波路で発生する波長分散が偏光により変化する。その場合、波長分散補償素子の性能は、光ファイバを伝搬する光パルスの偏光に左右されてしまう。
以上の課題を解決するためには、従来技術では困難である。以下、前述の従来技術ごとに詳述する。
(1)特許文献1の技術
特許文献1の技術においては、デバイス構造例として光ファイバを用いたブラッググレーティングを形成する場合のみが記載されている。すなわちこの技術は、光ファイバブラッググレーティングを主な対象としている。光ファイバの断面は円形であり、その光学特性は伝搬する光の偏光方向には依存しない。そのため、偏光依存性を低減するための光導波路の設計に関する技術の提供は一切ない。偏光依存性を考慮した設計では、基板面に平行な偏光と垂直な偏光おのおのに対し実効屈折率を独立に定義して、両実効屈折率が一致するように導波路構造を最適化することが必要になる。しかし、この文献では前式のように偏光にかかわりなく単一の実効屈折率n(z)が定義されている。したがって、この文献の技術を、基板上の偏光依存性を低減した高屈折率光導波路からなる波長分散補償素子の設計に応用することは不可能である。
また、特許文献1による波長分散補償素子の設計方法は、ブラッググレーティングの実効屈折率パターンの形状を前式の決めておいて、その構造からシミュレーションで得られる波長分散の特性が所定の特性に近づくように、実効屈折率の振幅、素子長などの式中のパラメータを決定するという手順によるものである。この設計方法では、各波長チャンネルに対応するブラッググレーティングパターンを重ね合わせるだけでブラッググレーティング光導波路が構成される。よって、波長チャンネル間の干渉を除去することが設計方法の中に取り入れられておらず、波長チャンネル間の干渉により波長分散特性が劣化するという問題がある。さらに、この設計方法は、所定の素子寸法や光学特性からブラッググレーティングの実効屈折率パターンを特定する設計方法とは、手順の流れが逆である。素子の小型化を達成するためには、素子長を事前に決定することは必須であるが、これは、特許文献1の設計方法では不可能である。
(2)特許文献2の技術
特許文献2には、特許文献1と同様に偏光依存性を考慮した設計に関する記載がない。したがって、この文献の技術を、基板上の偏光依存性を低減した高屈折率光導波路からなる波長分散補償素子の設計に応用することは不可能である。
この文献では、主としてグレーティングの位相サンプリングに基づき、グレーティング導波路を設計するという方針が採用されている。これは、この文献が光ファイバのように屈折率が1.4〜1.5の範囲にある低屈折率光導波路を対象としていて、光導波路の実効屈折率を変化できる範囲が狭いという制約のためである。特許文献2には、その技術が基板上の導波路にも適用できると記載されているが、あくまで同様の低屈折率光導波路に適するだけである。したがって、特許文献2の技術は、反射型の光導波路において実効屈折率を大幅に変化させることにより、反射率を低減することなくグレーティング長を出来る限り短縮して小型化するという目的には適さない。
さらに、特許文献2には、位相サンプリングパターンは、グレーティング構造を作製するときボイドによる性能劣化を回避するのに有効であるという趣旨の記載がある。これは、この文献が光ファイバグレーティングの作製を念頭として、紫外線照射で光ファイバにグレーティングパターンを焼き付けるという製造方法を対象としているからである。基板上の高屈折率光導波路を対象とするのであれば、ボイドによる性能劣化という制約はないはずである。
(3)特許文献3の技術
特許文献3には、偏光依存性を低減する技術の記載はない。この文献の光導波路単体では、分散スロープを補償することのみが可能であり、波長分散を補償することはできない。波長分散を補償するためには別の光素子を当該光導波路に接続した構成とする必要があるため、この文献の技術で小型化を達成することは不可能である。
(4)特許文献4の技術
特許文献4には、偏光依存性を低減する技術の記載はない。この文献の波長分散補償素子では位相特性が原点に関して反対称になることから、隣接するスペクトル領域での波長分散が反転してしまう。よって、この波長分散補償素子は、ある限定されたスペクトル領域、すなわち特定のスペクトル領域チャンネルのみを対象とした波長分散補償には用いることができるが、波長多重光ファイバ通信への応用を目的として複数のチャンネルの波長分散を補償する用途には利用できない。
(5)特許文献5の技術
特許文献5の技術は、波長の広い帯域での波長分散補償が可能であるが、多チャンネル化には対応していない。そのため、その波長分散値は大きくない。よって、波長多重光ファイバ通信への応用を目的として、長距離(例えば40km)の光ファイバ伝送路の波長分散を補償する用途には利用できない。
(6)非特許文献1の技術
非特許文献1の技術は、特許文献2と同様の問題がある。
(7)非特許文献3の技術
平板基板上に形成されたブラッググレーティング光導波路であるが、光導波路コアの上部のクラッド領域にのみグレーティングパターンが形成されている。よって、基板面に対して平行もしくは垂直な方向に直線偏光した光に対して、それぞれ光導波路の実効屈折率は異なる。このため、波長分散の性能は偏光状態により大きく異なってしまう。この文献での実験は、Ti:サファイアレーザを光源として実施されている。Ti:サファイアレーザは通常直線偏光した光を出射する。この文献には偏光状態に関する記載がなく、偏光の相違による実効屈折率の差をどのようにして解消するのか考慮されていない。したがって、この文献の技術を、基板上の偏光依存性を低減した高屈折率光導波路からなる波長分散補償素子の設計に応用することは不可能である。
(8)非特許文献4の技術
非特許文献4の技術は、矩形のシリコンに低屈折率の中央ギャップが挟まれ、この中央ギャップを狭くすることによりこの低屈折率領域に伝搬光が閉じ込められるという特殊な構造が特徴であり、伝搬光を主に高屈折率領域に閉じこめる一般的な光導波路とは光の伝搬原理自体が大きく異なっている。この構造に該当してしまったものは、コア・リブ側壁よりもむしろスロット側壁の加工精度が散乱に大きな影響を与えるようになってしまう。また、高屈折率部よりも低屈折率部のほうに導波光が分布するということから、高屈折率部の屈折率を可変して光学特性を可変するという目的にも適さない。
モードソルバーでFig.3の光導波路構造の計算を行ったところ、2箇所のシリコン領域への光閉じこめ係数は42.7%であり、これに対して幅50nm×高さ300nmの面積である中央ギャップ領域への光の閉じこめ係数は48.0%であって、伝搬光は主に中央ギャップ(スロット)領域に閉じこめられていることが分かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造プロセスにおいて生じる不可避のコア側壁荒れの影響を低減することができる基板型の光導波路素子、ならびにそれを用いた波長分散補償素子およびその設計方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を採用した。
すなわち、
(1)本発明は、光導波路が、コアとそのコアの幅方向の中央に、光の導波方向に沿って前記コアよりも屈折率が低いギャップ部を備え;前記コアが、前記ギャップ部により分離された2つの領域を備え、これら2つの領域にまたがって単一のモードが伝搬されるシングルモード光導波路を構成していることを特徴とする基板型光導波路素子を提供する。
(2)上記(1)に記載の基板型光導波路素子では、第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンが、前記光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した領域に形成され;前記第1のブラッググレーティングパターンが、前記光の導波方向に沿って前記光導波路の前記コアの両外側壁に形成された凹凸であり;第2のブラッググレーティングパターンが、前記光の導波方向に沿って前記コアの幅方向中央でかつこのコアの上部に形成された溝の両内側壁に形成された凹凸であり;前記光の導波方向に沿って見た場合に、前記第1のブラッググレーティングパターンにおけるコア幅の広い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンにおける溝幅の狭い部分とが対応し、なおかつ前記第1のブラッググレーティングパターンのコア幅の狭い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンの溝幅の広い部分とが対応していることが好ましい。
(3)上記(1)または(2)に記載の基板型光導波路素子では、前記ブラッググレーティングパターンは、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含むことが好ましい。
(4)上記(1)〜(3)に記載の基板型光導波路素子では、前記光導波路にブラッググレーティングパターンを有し、このブラッググレーティングパターンが、局所周期が3通り以上の離散値のみをとり;これら離散値が、前記光導波路の全長にわたってそれぞれ複数箇所に存在し;これらすべての離散値のうちで最も分布頻度の高い値をMとし、このMよりも大きい値でかつこのMに最も近い値をAとし、前記Mよりも小さい値でかつこのMに最も近い値をBとした場合、A−Mで表される差が、M−Bで表される差と等しいことが好ましい。
(5)上記(1)〜(4)に記載の基板型光導波路素子では、前記光導波路のコアが、リブ構造をなす凸部を有する内側コアと、この内側コアの上側に設けられて前記凸部の周面を被覆する外側コアとを備え、前記外側コアの屈折率が、前記内側コアの平均屈折率よりも低いことが好ましい。
(6)また、本発明は、上記(1)〜(5)に記載の基板型光導波路素子からなる波長分散補償素子であって、光導波路にブラッググレーティングパターンを有し、複数の波長チャンネルに対して、信号光が前記光導波路に入射してから反射するまでに前記光導波路を伝搬する距離が波長に応じて異なることにより、前記光導波路における波長分散および分散スロープを補償する波長分散補償素子を提供する。
(7)また、本発明は、上記(6)に記載の波長分散補償素子の設計方法であって、前記波長分散補償素子が、第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した二つの領域に形成された光導波路を有し;光の導波方向と直交する断面で見た場合に、前記二つの領域の寸法を変化させ、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する前記光導波路の実効屈折率を等化して、両偏光に対する共通の実効屈折率を求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と、パラメータとして波長分散、分散スロープおよび反射率を指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の、前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と、前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1のブラッググレーティングパターンおよび前記第2のブラッググレーティングパターンを得る波長分散補償素子設計工程と;を有することを特徴とする波長分散補償素子の設計方法を提供する。
(8)上記(7)に記載の波長分散補償素子の設計方法では、前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取る粗視化工程を有することにより、この粗視化工程によりブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることが好ましい。
(9)また、本発明は、上記(1)〜(5)に記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする光フィルタを提供する。
(10)また、本発明は、上記(9)に記載の光フィルタの設計方法であって、前記光フィルタが、第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した二つの領域に形成された光導波路を有し;前記光の導波方向と直交する断面で見た場合に、前記二つの領域の寸法を変化させ、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する前記光導波路の実効屈折率を等化して、両偏光に対する共通の実効屈折率を求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と、パラメータとして反射率および位相の二つを指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と、前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1及び第2のブラッググレーティングパターンを得る光フィルタ設計工程と;を有することを特徴とする光フィルタの設計方法を提供する。
(11)上記(10)に記載の光フィルタの設計方法での、前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることが好ましい。
(12)また、本発明は、第1の反射ミラーとなる第1の光導波路と、第2の反射ミラーとなる第2の光導波路と、これら第1の光導波路及び第2の光導波路との間に挟まれた第3の光導波路とを有し、これら第1の光導波路と第3の光導波路と第2の光導波路とが直列に接続されて単一の基板型光導波路を形成する光共振器であって、前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、上記(1)〜(5)に記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする光共振器を提供する。
(13)また、本発明は、上記(12)に記載の光共振器の設計方法であって、前記反射ミラーが、第1のブラッググレーティングパターンおよび第2のブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した二つの領域に形成された光導波路を有し、前記光の導波方向と直交する断面で見た場合に、前記二つの領域の寸法を変化させ、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する前記光導波路の実効屈折率を等化して、この実効屈折率を両偏光に対する共通の実効屈折率を求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と、パラメータとして反射率および位相の二つを指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と、前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1および第2のブラッググレーティングパターンを得る反射ミラー設計工程を有することを特徴とする光共振器の設計方法を提供する。
(14)上記(13)に記載の光共振器の設計方法では、前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることが好ましい。
上記(1)に記載の発明によれば、基本モードのモードフィールド径が広がるため、製造プロセスにおいて生じる不可避の高屈折率材料コア側壁の荒れが光学特性に与える影響(散乱損失)を抑制することができる。
上記(2)に記載の発明によれば、ブラッググレーティングパターンを有する基板型光導波路素子において、光学特性の偏光依存性を低減することができる。
上記(3)に記載の発明によれば、サンプルドグレーティングよりも導波路長を短縮することができる。
上記(4)に記載の発明によれば、徐々にピッチが変化する従来のチャープ型グレーティングと比較して、製造プロセスにおける公差管理が容易になり、製造歩留まりの向上に寄与する。
上記(5)に記載の発明によれば、高屈折率材料からなるコアとクラッドの2種類のみからなる従来の高比屈折率差埋め込み型光導波路と比較して、高屈折率材料からなる内側コアへの光の閉じ込めが弱くなるため、製造プロセスにおいて生じる不可避の内側コア側壁の荒れが光学特性に与える影響(散乱損失)を抑制することができる。
上記(6)に記載の発明によれば、光学特性の変動が少ない波長分散補償素子を実現することができる。
上記(7)に記載の発明によれば、二通りのブラッググレーティングパターンを有する波長分散補償素子の設計を容易に実現することが可能になる。
上記(8)に記載の発明によれば、さらに小型化した波長分散補償素子を設計することが可能になる。
上記(9)に記載の発明によれば、光学特性の変動が少ない光フィルタを実現することができる。
上記(10)に記載の発明によれば、二通りのブラッググレーティングパターンを有する光フィルタの設計を容易に実現することが可能になる。
上記(11)に記載の発明によれば、さらに小型化した光フィルタを設計することが可能になる。
上記(12)に記載の発明によれば、光学特性の変動が少ない光共振器を実現することができる。
上記(13)に記載の発明によれば、二通りのブラッググレーティングパターンを有する光共振器の設計を容易に実現することが可能になる。
上記(14)に記載の発明によれば、さらに小型化した光共振器を設計することが可能になる。
図1Aは、本発明の基板型光導波路素子の第1形態例を示す断面図である。 図1Bは、同基板型光導波路素子の部分斜視図である。 図2は、本発明の基板型光導波路素子の第2形態例を示す断面図である。 図3Aは、本発明の基板型光導波路素子におけるグレーティング構造の部分平面図である。 図3Bは、同グレーティング構造の断面図である。 図3Cは、同グレーティング構造の部分斜視図である。 図4Aは、本発明の基板型光導波路素子におけるグレーティング構造の別の例を示す部分平面図である。 図4Bは、同グレーティング構造の別の例を示す断面図である。 図4Cは、同グレーティング構造の別の例を示す部分斜視図である。 図5は、本発明の基板型光導波路素子の第3形態例を示す断面図である。 図6Aは、winに対する実効屈折率の変化の一例を示すグラフである。(b)はwinの変化に伴うwoutの変化の一例を示すグラフである。 図6Bは、はwinの変化に伴うwoutの変化の一例を示すグラフである。 図7は、基板型光導波路素子の第3形態例におけるneffに対するwinおよびwoutの変化を示すグラフである。 図8は、波長分散補償素子の実施例1および参考例1で求められる群遅延時間の波長依存性を示すグラフである。 図9は、波長分散補償素子の実施例1における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図10は、図9の実効屈折率プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図11は、図9の実効屈折率プロファイルの一部を拡大して包絡線とともに示すグラフである。 図12は、波長分散補償素子の実施例1におけるピッチの分布を示すグラフである。 図13Aは、波長分散補償素子の実施例1で得た群遅延時間の波長依存性を示すグラフである。(b)〜(d)は(a)の一部を拡大して示したグラフである。 図13Bは、図12Aの波長1571nm付近を拡大して示したグラフである。 図13Cは、図12Aの波長1590nm付近を拡大して示したグラフである。 図13Dは、図12Aの波長1610nm付近を拡大して示したグラフである。 図14は、波長分散補償素子の実施例1における光導波路寸法プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図15は、基板型光導波路素子の参考例を示す断面図である。 図16は、基板型光導波路素子の参考例1におけるneffに対するwinおよびwoutの変化を示すグラフである。 図17は、波長分散補償素子の参考例1における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図18は、波長分散補償素子の参考例1における光導波路寸法プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図19は、波長分散補償素子の実施例2で求められる群遅延時間の波長依存性を示すグラフである。 図20は、波長分散補償素子の実施例2における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図21は、波長分散補償素子の実施例2におけるピッチの分布を示すグラフである。 図22は、波長分散補償素子の実施例2で得た群遅延時間の波長依存性を示すグラフである。 図23は、波長分散補償素子の実施例3で求められる群遅延時間の波長依存性を示すグラフである。 図24は、波長分散補償素子の実施例3における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図25は、波長分散補償素子の実施例3におけるピッチの分布を示すグラフである。 図26は、波長分散補償素子の実施例3で得た群遅延時間の波長依存性を示すグラフである。 図27は、波長分散補償素子と光伝送路との接続方法の一例を示す説明図である。 図28は、光フィルタの実施例1に対して指定する光学特性を示すグラフである。 図29は、光フィルタの実施例1における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図30は、図29の実効屈折率プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図31は、光フィルタの実施例1における光導波路寸法プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図32は、光フィルタの実施例2に対して指定する光学特性を示すグラフである。 図33は、光フィルタの実施例2における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図34は、図33の実効屈折率プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図35は、光フィルタの実施例2における光導波路寸法プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図36は、光フィルタの実施例3に対して指定する光学特性を示すグラフである。 図37は、光フィルタの実施例3における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図38は、図37の実効屈折率プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図39は、光フィルタの実施例3における光導波路寸法プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図40は、光フィルタの実施例4に対して指定する光学特性を示すグラフである。 図41は、光フィルタの実施例4における実効屈折率プロファイルを示すグラフである。 図42は、図41の実効屈折率プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図43は、光フィルタの実施例4における光導波路寸法プロファイルの一部を拡大して示すグラフである。 図44は、光共振器の構成例を示す模式図である。 図45は、第1および第2の反射ミラーの各々の反射スペクトルを下側に示し、両者の積を上側に示したグラフである。 図46は、Fabry−Perot共振の強度特性を下側に示し、光共振器の透過特性を上側に示したグラフである。 図47は、単一の反射チャンネルを有する光学素子の一例において、遅延時間の周波数依存性を上側に示し、複素電界反射率の絶対値と位相を下側に示したグラフである。 図48は、図1A及び図1Bに示す基板型光導波路素子の実施例1におけるコアの光強度分布のシミュレーション結果を示す等高線図である。 図49は、図2に示す基板型光導波路素子の実施例2におけるコアの光強度分布のシミュレーション結果を示す等高線図である。 図50Aは、比較例1の基板型光導波路素子の概略構成を示す断面図である。 図50Bは、同基板型光導波路素子の部分斜視図である。 図51は、比較例2の基板型光導波路素子の概略構成を示す断面図である。 図52は、図50A及び図50Bに示す基板型光導波路素子の比較例1におけるコアの光強度分布のシミュレーション結果を示す等高線図である。 図53は、図51に示す基板型光導波路素子の比較例2におけるコアの光強度分布のシミュレーション結果を示す等高線図である。
符号の説明
1,1A…第1のコア領域
2,2A…第2のコア領域
3,3A…ギャップ部(中央ギャップ)
4,4A…基板型光導波路素子
5,5A…基板
6,6A…下部クラッド
7,7A…上部クラッド
10…コア
12…側壁
12a…凹部(コア幅の狭い部分)
12b…凸部(コア幅の広い部分)
13…溝
13a…凹部(溝幅の広い部分)
13b…凸部(溝幅の狭い部分)
15…突起
15a…凹部(突起幅の狭い部分)
15b…凸部(突起幅の広い部分)
20,30…基板型光導波路素子
21,31…内側コアの第1のリブ
22,32…内側コアの第2のリブ
23…中央ギャップ
24,34…外側コア
25,35…基板
26,36…下部クラッド
27,37…上部クラッド
101…波長分散補償素子
102…光サーキュレータ
150…光共振器
151…第1の光導波路(反射ミラー)
152…第2の光導波路(反射ミラー)
153…第3の光導波路。
以下、実施の形態に基づいて本発明を説明する。
<基板型光導波路素子の第1形態例>
図1A及び図1Bに、本発明の基板型光導波路素子の第1形態例を模式的に示す。図1Aは断面図、図1Bは部分斜視図である。
この基板型光導波路素子においては、シングルモード光導波路を構成し、光導波路が基板5上に形成され、該光導波路のコア1,2の幅方向の中央に、光の導波方向に沿ってコア1,2よりも屈折率が低い材料からなるギャップ部3を備えている。コア1,2は、ギャップ部3により分離され、シングルモード光導波が前記コア1,2にまたがって伝搬される。具体的には、光導波路は、基板5上に形成された下部クラッド6と、下部クラッド6上に形成された2つのL字型の領域からなるコア1,2と、コア1,2の中央に挿入されたギャップ部3と、コア1,2およびギャップ部3の上に形成された上部クラッド7から構成されている。本形態例の光導波路は、直線導波路に限らず、曲がり導波路であっても良い。
この例では、コア1、2は、第1のリブ1と第2のリブ2の2領域からなる。第1および第2のリブ1,2はギャップ部3よりも高屈折率の材料からなる。第1のリブ1と第2のリブ2との高さは等しく、図1Aではtで示される。
第1および第2のリブ1,2は、おのおの同一形状で、互いの突き合せ部分で凸部を形成する。具体的には、第1および第2のリブ1,2は平面部1a,2aと、その平面部1a,2aの縁の上に位置する高さtの直方体部1b,2bとから構成される。直方体部1b,2bは、幅wの凸部を構成している。直方体部1b,2bを構成する材料と平面部1a,2aを構成する材料は同じである。ギャップ部3の幅はwであり、第1および第2のリブ1,2よりも低屈折率の材料から構成される。
第1および第2のリブ1,2を構成する材料としては、シリコン(Si)などの高屈折率材料が挙げられる。また、ギャップ部3の材料としてはシリカ(SiO)、窒酸化シリコン(SiO)あるいは窒化シリコン(Si)などが挙げられる。例えばSiOでは屈折率が1.5となるように、Siでは屈折率が2.0となるように、組成比x:yを制御したものが挙げられるが、高屈折率リブ1,2のSiより低屈折率であれば、他の組成比でも良い。
第1のリブ1と第2のリブ2には、媒質中に適宜の不純物を添加することにより、それぞれP型またはN型の導電性を付与したものとすることができる。すなわち、第1のリブ1をP型領域として、第2のリブ2をN型領域としても良い。逆に、第1のリブ1をN型領域として、第2のリブ2をP型領域としても良い。
半導体からなる高屈折率コアに導電性を付与する不純物(ドーパント)は、母体媒質に応じて適宜選択できる。例えば、母体媒質がシリコン等のIV族半導体である場合は、P型極性を与える添加物としてホウ素(B)等のIII族元素が、また、N型極性を与える添加物としてリン(P)や砒素(As)等のV族元素が挙げられる。
このように、コアのうち第1のリブ1および第2のリブ2をSi等の半導体からなる高屈折率リブとし、かつ一方をP型、他方をN型とすることにより、コアの面内にP−I−N接合が構成される。そして、第1のリブ1と第2のリブ2のそれぞれに電圧を印加する電極パッドを設けて、2つのリブ1,2間に電位差を与えることにより、キャリア濃度変化による屈折率の変化を誘起させ、前記電極素子の光学特性を可変とすることができる。
なお、第1のリブ1および第2のリブ2に極性(P型またはN型)が反対の導電性を付与すること、および電圧を印加する電極パッドを設けることは本形態例において必須の構成ではなく、コア1,2に外部電圧を印加しないで利用することも可能である。
上記コア1,2およびギャップ部3は、基板5上に成膜された下部クラッド6上に存在する。コアの上は、上部クラッド7で覆われている。上部クラッド7および下部クラッド6は、コアの屈折率よりも低い材料から構成される。上部クラッド7の材料と下部クラッド6の材料は、特に限定されない。具体例としては、基板5の材料としてSi、上部クラッド7および下部クラッド6の材料としてSiOが挙げられるが、特にこれに限定されない。上部クラッド7および下部クラッド6はコアの厚みに応じて十分な厚みを有すればよい。
本形態例の基板型光導波路素子によれば、高屈折率材料からなるコアにおいて基本モードのモードフィールド径が広がるため、製造プロセスにおいて生じる不可避のコア側壁の荒れが光学特性に与える影響(散乱損失)を抑制することができる。
<基板型光導波路素子の第2形態例>
図2に、本発明の基板型光導波路素子の第2形態例の断面図を模式的に示す。この基板型光導波路素子は、光導波路のコアがリブ構造(L字型)ではなく、断面矩形状の矩形導波路である点を除いては、図1A及び図1Bの第1形態例と同様に構成されている。
具体的には、コアの第1および第2の領域1A、2Aは、それぞれ高さt、幅wである矩形状の断面を有する。第1および第2の領域1A,2Aはギャップ部3Aよりも高屈折率の材料からなる。第1および第2の領域1A,2Aとギャップ部3Aの高さは等しく、図2ではtで示される。ギャップ部3Aの幅はwであり、第1および第2の領域1A,2Aよりも低屈折率の材料から構成される。
本形態例の基板型光導波路素子によれば、高屈折率材料からなるコアにおいて基本モードのモードフィールド径が広がるため、製造プロセスにおいて生じる不可避のコア側壁の荒れが光学特性に与える影響(散乱損失)を抑制することができる。
<グレーティング構造の例>
上記形態例の基板型光導波路素子においては、コア形状・寸法の周期的変動によるグレーティング構造を設けることができる。グレーティング構造を設ける場合には、後述するように、前記リブ1,2およびギャップ部3の上に外側コアを設け、該外側コアの側壁または上部にブラッググレーティングパターンを設けることが好ましい。ブラッググレーティングパターンの設計には、パラメータとして波長分散、分散スロープおよび反射率からなる三つを指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、ブラッググレーティングを有する光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得る方法が挙げられる。
特に、外側コアの側壁および上部にブラッググレーティングパターンを設けると、これらの二通りのブラッググレーティングパターンにより、光学特性の偏光依存性を低減できるので、好ましい。そこで、以下、光導波路に二通りのブラッググレーティングパターンを有する基板型光導波路素子の形態例および設計方法について記述する。
図3A〜図3Cに、本発明の基板型光導波路素子におけるグレーティング構造の一例を模式的に示す。光導波路において光の伝搬方向に導波路の幅または厚みを周期的に変化させると、光導波路の実効屈折率が周期的に変化し、ブラッググレーティングを構成することができる。図3A〜図3Cではコア10のみを図示し、クラッドの図示を省略したが、クラッドがコア10の周囲を囲んでいるものとする。また、クラッドの下には基板(図示せず)が存在し、コア10の底面14は基板面に平行である。水平方向とは基板面に平行な方向をいい、垂直方向とは基板面に垂直な方向をいう。本グレーティング構造を本発明の基板型光導波路素子に適用する場合は、コア10が外側コアであるものとして適用することが好ましい。
図3Aはコア10の一部の平面図である。符号Cは光導波路コア10の水平面内での単一の中心軸を表し、光は光導波路中を中心軸Cに沿って伝搬する。この光導波路は、ブラッググレーティングパターン(詳しくは後述する。)を有しており、この光導波路のスペクトルには少なくとも一つの反射帯が現れる。反射帯の中心波長λは、ブラッググレーティングの周期をp、光導波路の実効屈折率をneffとするとき、λ=2p/neffにより与えられる。ここで実効屈折率neffは、光導波路のコア10の幅を平均幅wとした場合の値である。
コア10の平均幅wは、コア10の横幅woutの一周期での平均値に等しく、光導波路全体にわたり中心軸Cに沿って一定値である。コア10の側壁12に凹部12aと凸部12bが交互に形成され、横幅woutは一周期pごとに交互に振動して第1のブラッググレーティングパターンを形成する。このブラッググレーティングパターンは、矩形断面(図3B参照)を有する光導波路の水平方向の幅(すなわち横幅wout)が交互に変化したものとみなされる。
矩形断面の光導波路では、光の直線偏光した電界が主として水平方向に沿う場合(以下TE型偏光)と、主として垂直方向に沿う場合(以下TM型偏光)に対して、それぞれ固有の導波モードが存在する。そして、おのおのの導波モードに固有の実効屈折率が存在するという偏光依存性が存在する。
TE型偏光での固有モードの実効屈折率neff TEは、TM型偏光での固有モードの実効屈折率neff TMに比べ、光導波路の幅の変化に対して敏感に変化する。一方、TM型偏光での固有モードの実効屈折率neff TMは、TE型偏光での固有モードの実効屈折率neff TEに比べ、光導波路の高さ(すなわち厚み)の変化に対して敏感に変化する。
したがって図1A及び図1Bに示すように、光導波路コア1のギャップ部3にはブラッググレーティングパターンを設けることなく、側壁2に凹凸2a,2bを設けてコア1の幅のみを周期的に変化させた場合には、偏光依存性が大きくなってしまう。よってブラッググレーティングの偏光依存性を低減するには、光導波路の幅を周期的に変化させるのみならず、光導波路の高さも周期的に変化させる必要がある。
このため、本基板型光導波路素子では、二通りのブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面において互いに異なる領域に位置する。
また、二通りのブラッググレーティングパターンが、光の導波方向に沿って並列した領域に形成されている。すなわちそれぞれのブラッググレーティングパターンが中心軸Cに沿って存在する範囲は、同一である。
これにより、第1のブラッググレーティングパターンと第2のブラッググレーティングパターンとの組み合わせによって、TE型偏光への作用とTM型偏光への作用を等化し、偏光依存性を低減することができる。
矩形光導波路(断面が略矩形状の光導波路)への適用を考慮すると、第1のブラッググレーティングパターンをコアの一方または両方の側壁に設け、第2のブラッググレーティングパターンをコアの上面および/または底面に設けることが好ましい。本形態例では、基板上でのコアの形成を容易にするため、第1のブラッググレーティングパターンをコアの両側壁に設け、第2のブラッググレーティングパターンをコアの上面に設けるものとしている。そしてコア10の形状は、中心軸Cを含む垂直方向の平面に対して水平方向に対称(図3Aでは中心軸Cに対して上下に対称)となっている。
ブラッググレーティングを有する光導波路を基板上に形成するためには、次のような作製手順を取る。
まず、基板上に下部クラッドとなる材料を一面に成膜する。次にコアを構成する材料を下部クラッド上に成膜し、ブラッググレーティングの形状に加工する。その後、上部クラッドとなる材料を、下部クラッドおよびコアの上に成膜し、コアが断面の周囲を下部クラッドおよび上部クラッドで取り囲まれるようにする。
後で述べるように、複数の波長チャンネルでの波長分散補償に対応するには、ブラッググレーティングの周期的変動の振幅や周期は一定ではなくなる。よって、コアをそのような一定でない周期的変動に対応する形状に成形加工することが必要になる。コアの幅の成形加工は、複数チャンネルの波長分散補償に対応するグレーティングパターン(横幅woutの周期的変動)を含む光学マスクを用いた描画(リソグラフィ)とエッチングにより実現できる。
一方、コアの高さの成形加工のため、エッチングする深さをブラッググレーティングパターンに応じて変化させるのは困難である。すなわち、エッチングによってコア上部にグレーティングパターン(コア高さの周期的変動)を形成するには、エッチング深さの周期的変動を実現する必要がある。しかし、基板面内に沿う水平面内での不均一かつ制御不能なエッチングの深さ変動を無視すると、同条件でのエッチング深さはほぼ一定である。したがって、コアの高さをブラッググレーティングパターンに応じて成形加工することは困難である。
図3Bは、中心軸Cに直交する面内でのコアの断面を示す。本形態例のコア10では、コアの高さを変化させる代わりに、図3A〜図3Cに示したように、コア上部に設けた溝(トレンチ)13の幅winを周期的に変化させる。コアの高さはtoutであり、溝13の深さはtinである。図3Aに示すように、溝13は中心軸Cに沿う方向に延在し、溝13の幅winの中点の水平方向の座標は、中心軸C上に位置する。
これにより、コア10の高さを周期的に変化させるのと等価的に実効屈折率を変化させることができる。溝13の側壁には凹部13aと凸部13bが交互に形成され、溝幅winは一周期pごとに交互に振動して第2のブラッググレーティングパターンを形成する。溝13内では深さtinは一定であるから、光学マスクを用いた描画(リソグラフィ)とエッチングにより幅winの周期的変動を有する溝13を実現できる。
このような手法によれば、コア上部に設ける溝の幅winをコア幅woutと同様に成形加工することにより、幅方向と高さ方向との両方にブラッググレーティングを有する光導波路を構成することができる。したがって、幅方向の第1のブラッググレーティングパターンによる実効屈折率の変化と、高さ方向の第2のブラッググレーティングパターンによる実効屈折率の変化を対応させることにより、偏光依存性を低減することができる。
図3A〜図3Cに示す構造においては、光の導波方向において、側壁12のコア幅woutの広い部分(凸部12b)と溝13内側壁の溝幅winの狭い部分(凸部13b)とが対応し、かつ側壁12のコア幅woutの狭い部分(凹部12a)と溝13内側壁の溝幅winの広い部分(凹部13a)とが対応している。このように、第1のブラッググレーティングパターンの凹凸と第2のブラッググレーティングパターンの凹凸とが同期しており、それぞれの局所周期pが一致している。これにより、光導波路寸法の設計が容易になるので好ましい。
コアの高さ変化と等価の変化を生じるには、コア上部に設ける構造として、溝(トレンチ)13の代わりに、図4A〜図4Cに示すように突起(リッジ)15を設けても良い。溝13は実効屈折率の制御の容易さから好ましいが、材料あるいはプロセス条件などによる制約がある場合には、突起15を選択しても良い。突起15は、コアを構成する材料をもう一層成膜して、幅方向の周期変動を光学描画(リソグラフィ)とエッチングにより形成することによって製造することができる。
図4A〜図4Cに示す構造においては、光の導波方向において、側壁12のコア幅woutの広い部分(凸部12b)と突起15の幅winの広い部分(凸部15b)とが対応し、かつ側壁12のコア幅woutの狭い部分(凹部12a)と突起15の幅winの狭い部分(凹部15a)とが対応している。このように、第1のブラッググレーティングパターンの凹凸の周期と第2のブラッググレーティングパターンの凹凸の周期とが同期しており、それぞれの局所周期pが一致している。これにより、光導波路寸法の設計が容易になるので好ましい。
溝13および/または突起15は、コア10の幅方向中央かつ垂直方向上部に形成されることが好ましい。この場合は、溝13および/または突起15の幅winの中点の水平方向の座標は、コア10の中心軸C上に位置する。また、溝状の構造物と突起状の構造物を併用して第2のブラッググレーティングパターンを構成することもできる。
図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Cに示す溝13および突起15は、光の導波方向につながったものであるが、局所周期ごとに凹部および/または凸部を形成することによっても、コアの高さ方向に周期的変化を与えることができる。コア10の上面11に形成された溝13および突起15は、コア10の幅方向中央の一部に形成されたものであるが、コア10の厚み自体を変化させても構わない。
これらの構成の中では、製造プロセス上、コア上部の構造物の幅方向変化によってコアの高さ方向に周期的変化を与えることが好ましく、特に、図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Cに示すように、コア10の幅方向中央かつ垂直方向上部に形成された突起状の構造15および/または溝状の構造13から第2のブラッググレーティングパターンを構成することが好ましい。溝状の構造13は、コアを構成するのに材料を1層のみ成膜することで得られるので、最も好ましい。
<基板型光導波路素子の第3形態例>
偏光依存性を低減したブラッググレーティング光導波路の構造として、図5のような断面構造を有する光導波路が挙げられる。偏光依存性を低減する原理の簡単な説明のために、図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Cの基板型光導波路素子ではコア10の断面構造は一様とした。しかし、光導波路の寸法を変えて実効屈折率を変化させる場合、実効屈折率の精度を上げるためには、図5に示すような複合コア構造を有する光導波路が好ましい。
図5の断面構造を有する基板型光導波路素子20のコアは、内側コア21,22と外側コア24の2領域からなる複合コアである。
この例では、内側コアは、第1のリブ21と第2のリブ22の2領域からなり、これらの間に中央ギャップ23が設けられる。第1および第2のリブ21,22は外側コア24よりも高屈折率の材料からなる。中央ギャップ23は、外側コア24よりも高屈折率の材料からなる必要はない。第1および第2のリブ21,22と中央ギャップ23の高さは等しく、図5ではtで示される。第1および第2のリブ21,22の間に中央ギャップをおくと、単一偏光状態に単一モードしか存在しないという条件を保持しながら、内側コアに光が閉じ込められる領域の断面積を拡大することができる。また、外側コア24に形成されたブラッググレーティング(後述)の加工誤差による実効屈折率の精度劣化を低減することができるので、実効屈折率の偏光依存性を低減するのにも有効である。
第1および第2のリブ21,22は、おのおの同一形状で、互いの突き合せ部分で凸部を形成する。具体的には、第1および第2のリブ21,22はそれぞれ厚みtの平面部21a,22aと、その平面部21a,22aの縁の上に位置する高さt、幅wの直方体部21b,22bとから構成される。直方体部21b,22bを構成する材料と平面部21a,22aを構成する材料は同じである。中央ギャップ23の幅はwであり、第1および第2のリブ21,22よりも低屈折率の材料から構成される。
、t、w、wの例としては、t=250nm、t=50nm、w=280nm、w=160nmが挙げられるが、特にこれに限定されない。
一実施例としては、第1および第2のリブ21,22をシリコン(Si)、中央ギャップ23をシリカ(SiO)とする組み合わせが挙げられる。中央ギャップ23をシリカ(酸化シリコン)の代わりに、窒酸化シリコン(SiO)あるいは窒化シリコン(Si)から構成しても良い。例えばSiOでは屈折率が1.5となるように、Siでは屈折率が2.0となるように、組成比x:yを制御したものが挙げられるが、高屈折率リブ21,22のSiより低屈折率であれば、他の組成比でも良い。
第1のリブ21と第2のリブ22には、媒質中に適宜の不純物を添加することにより、それぞれP型またはN型の導電性を付与したものとすることができる。すなわち、第1のリブ21をP型領域として、第2のリブ22をN型領域としても良い。逆に、第1のリブ21をN型領域として、第2のリブ22をP型領域としても良い。
半導体からなる高屈折率コアに導電性を付与する不純物(ドーパント)は、母体媒質に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、母体媒質がシリコン等のIV族半導体である場合は、P型極性を与える添加物としてホウ素(B)等のIII族元素が、また、N型極性を与える添加物としてリン(P)や砒素(As)等のV族元素が挙げられる。
このように、コアのうち第1のリブ21および第2のリブ22をSi等の半導体からなる高屈折率リブとし、かつ一方をP型、他方をN型とし、絶縁体からなる中央ギャップ23で離隔することにより、内側コア21,22の厚さtで表される面内にP−I−N接合が構成される。そして、第1のリブ21と第2のリブ22のそれぞれに電圧を印加する電極パッドを設けて、2つのリブ21,22間に電位差を与えることにより、キャリア濃度変化による屈折率の変化を誘起させ、電極素子の光学特性を可変とすることができる。また、P型・N型領域を構成する2つのリブ21,22の間に絶縁体からなる中央ギャップ23を設けることにより、P型領域とN型領域との間のリーク電流を抑止する効果があり、消費電流を大幅に低減することが可能になる。具体的には、中央ギャップが無い構造では、2つのリブの間に数Vの電圧を印加したときに、P型・N型領域間にサブミリアンペア(sub−mA)程度の電流が流れた。これに対して、中央ギャップを設けた場合は、30〜40Vの電圧を印加しても、P型・N型領域間のリーク電流はサブナノアンペア(sub−nA)程度に過ぎなかった。
なお、第1のリブ21および第2のリブ22に極性(P型またはN型)が反対の導電性を付与すること、および電圧を印加する電極パッドを設けることは本形態例において必須の構成ではなく、内側コア21,22に外部電圧を印加しないで利用することも可能である。
外側コア24は内側コア21,22の上に配置されている。外側コア24の屈折率は、内側コア21,22の平均屈折率よりも低い。材料としては、Siが挙げられるが、他の材料でも構わない。図5には現されないが、外側コア24の上面24aと側壁24bには、それぞれ図3A〜図3Cのコア10と同様な第1および第2のブラッググレーティングパターンが形成されている。
具体的には、外側コア24の幅woutを周期的に変化させた第1のブラッググレーティングパターンと、外側コア24の上面24aに形成された溝(トレンチ)24cの幅winを周期的に変化させた第2のブラッググレーティングパターンを備えている。外側コア24の厚みはtoutで、溝24cの深さはtinである。
out、tinの例としては、tout=600nm、tin=100nmが挙げられるが、特にこれに限定されない。win、woutは周期的に変化する。
なお、図5に示す例では、上面24aのブラッググレーティングパターンは溝24cから構成されているが、上述したように、突起15(図4A〜図4C参照)を採用しても良い。
上記複合コアは、基板25上に成膜された下部クラッド26上に存在する。複合コアの上部および側壁は、上部クラッド27で覆われている。上部クラッド27および下部クラッド26は、複合コアの平均屈折率よりも低い材料から構成される。上部クラッド27の材料と下部クラッド26の材料は、同じでも異なっても構わない。具体例としては、基板25の材料としてSi、上部クラッド27および下部クラッド26の材料としてSiOが挙げられるが、特にこれに限定されない。上部クラッド27および下部クラッド26は複合コアの厚みに応じて十分な厚みを有すればよい。例えば、上述の複合コアの寸法例に対しては、下部クラッド26の厚みは2000nm程度、上部クラッド27の最大厚み(平面部21a,22a上の厚み)は2000nm程度である。
内側コアの平均屈折率(二つのリブおよび中央ギャップを合わせた全体の平均屈折率)が外側コア24の平均屈折率よりも高いと、複合コアに光が導波されるとき、より多くの電界が内側コアに存在するため、woutおよびwinにより変化する実効屈折率の割合は、コアが一様な場合に比べて減少する。よって、外側コアに形成したブラッググレーティングパターンの加工寸法に誤差があっても、実効屈折率に与える影響は小さくなる。よって、実効屈折率の精度を高めることができる。平板基板上での微細加工においては、一般に約10nmの誤差を考慮する必要がある。図5のような複合コアによれば、加工精度による実効屈折率の誤差への影響を、実効屈折率の平均値の80ppm以下とすることができる。なお、ここで実効屈折率の平均値とは、図3Aに示すように、平均幅wでの光導波路の実効屈折率を指す。
<波長分散補償素子の実施例1>
次に、偏光依存性を低減したブラッググレーティング光導波路の設計において、本発明にて新たに提案する手順を説明する。この手順による設計の流れの概要を箇条書きで記載すると、以下の各ステップになる。
[1]偏光依存性を低減した光導波路の断面構造の寸法を指定して、断面におけるTE型偏光およびTM型偏光の固有モードの電界分布を計算する。各固有モードの電界分布から実効屈折率を算出し、実効屈折率から断面構造を決めるための光導波路寸法との対応関係を得る。
[2]所望の波長分散特性および反射特性を指定し、光導波路の構造決定に必要なデータを準備する。
[3]光導波路長を与えておき、逆散乱問題解法により上記[2]の波長分散特性および反射特性から、光導波路の中心軸Cに沿う方向での実効屈折率の形状分布(プロファイル)を導出する。
[4]上記[1]で得た実効屈折率と光導波路寸法との対応関係に基づき、[3]で得た実効屈折率の形状分布からブラッググレーティング光導波路の形状(光導波路の中心軸Cに沿う方向での光導波路寸法のプロファイル)を決定する。
以下ステップ[1]から[4]までを順に説明する。
なお、ステップ[1]は、ステップ[4]の前に完了していれば良いから、各ステップを[1]→[2]→[3]→[4]の順序で行なっても、[2]→[3]→[1]→[4]の順序で行なっても、[2]→[1]→[3]→[4]の順序で行なっても、[1]と[2]および[3]をそれぞれ並行して行っても、構わないのは勿論である。
すなわち、本設計方法は、ステップ[1]からなる光導波路の断面構造の設計工程(a)と、ステップ[2]および[3]からなるブラッググレーティングパターン設計工程(b)と、ステップ[4]からなる波長分散補償素子の設計工程(c)を有するものであって、工程(a)と工程(b)の順序は限定されない。
ここでは、図5の複合コアを有する光導波路構造において、第1および第2のリブ21,22をSi、中央ギャップ23をSiO、外側コア24をSi、基板25をSi、下部クラッド26をSiO、上部クラッド27をSiOで構成し、t=250nm、t=50nm、w=280nm、w=160nm、tout=600nm、tin=100nm、下部クラッド26の厚みを2000nm、上部クラッド27の最大厚みを2000nmとした場合で算出した。なお、本発明の設計方法が、図3A〜図3Cおよび図4A〜図4Cのように一様コアを有する光導波路構造に対しても適用可能である。
(ステップ[1])
本実施例の場合、「断面構造を決めるための光導波路寸法」とは、側壁24bに形成した凹凸による第1のブラッググレーティングパターンに対してはwout、上面24aの溝24cに形成した第2のブラッググレーティングパターンに対してはwinを指す。そこで、woutおよびwinを指定して固有モードの電界分布をフィルムモードマッチング法(FMM法)、有限要素法もしくはビーム伝搬法により計算し、固有モードに対応する実効屈折率を求める。その結果、woutおよびwinと実効屈折率の対応関係が得られる。
その結果の一部を図6A及び図6Bに示す。図6Aはwinに対する実効屈折率の変化を示すグラフであり、図6Bはwinの変化に伴うwoutの変化を示すグラフである。ここでは、winとwoutを同時に変化させている。図6Aにおけるmode1はTE型偏光(偏光度98%以上)、mode2はTM型偏光(偏光度97%以上)である。図6Aによれば、neff TEとneff TMとの差は20ppm以下であり、加工誤差による実効屈折率の変化分よりも小さい。したがって、偏光依存性は無視できる。以下、mode1の実効屈折率をこの光導波路の実効屈折率neffとする。
なお、ここではmode1の実効屈折率を以下の設計手順で用いることとしたが、neff TEとneff TMとの差が誤差未満であるから、代わりに、mode2の実効屈折率を光導波路の実効屈折率neffとしたり、mode1・mode2両モードの実効屈折率の平均を光導波路の実効屈折率neffとしたりしても良い。
本実施例では、neffの平均値を2.3480とする。横軸にneff、左縦軸にwin、右縦軸にwoutをそれぞれ設定し、neffに対するwinおよびwoutの関係をグラフで示したものが図7である。以上より、ある位置におけるneffが与えられると、winおよびwoutが決まり、その位置における光導波路の断面構造が決まる。
(ステップ[2])
波長分散補償素子に求められる波長分散の特性は、対象とする光ファイバ伝送路の波長分散を打ち消すべく、光ファイバ伝送路の波長分散とは符号が逆で、絶対値は等しい。本実施例では、伝送する光信号の波長帯域はLバンド領域(1566.31〜1612.65nm)にあり、光伝送路が長さ40kmの分散シフトファイバ(G653)により構成されているとして、波長分散補償素子に課すべき波長分散を規定する。また、対象とする光伝送路では、周波数の間隔が100GHz(波長間隔に換算すると約0.84nm)のLバンドITUグリッドの50チャンネル分の光信号が伝送されるものとする。伝送する光信号のビットレートは40Gbit/s、各チャンネルの使用帯域は80GHzとし、使用帯域外では遅延時間は一定値と規定する。
分散シフトファイバは、Lバンドでは異常分散(anomalous dispersion)を示し、波長が長くなるほど群遅延時間が増す。光伝送路の長さを40km、使用帯域の中心波長を約1590nmとすると、波長分散値は116ps/nm、分散スロープ(高次の波長分散)値は2.8ps/nmとなる。
波長分散補償素子は、波長が長くなるほど群遅延時間が減少するという正常分散(normal dispersion)を発生する。分散シフトファイバの波長分散補償を行なうには、波長分散補償素子の波長分散および分散スロープの絶対値は、分散シフトファイバにおけるそれらの値と等しくする必要がある。
以上より、波長分散補償素子に求められる群遅延時間の波長依存性を図示すると、図8に示すようになる。一つの波長チャンネル内では、一定の波長分散および分散スロープを発生する必要があるため、群遅延時間は連続的であることが必要である。しかし、波長チャンネル間では、光信号のスペクトルは互いに隔たり、独立しているため、各波長チャンネルの境界では群遅延時間が不連続に変化しても支障ない。波長チャンネル間で不連続な変化を繰り返す群遅延時間の特性により、単一の光導波路の同一の領域に複数の波長チャンネルのブラッググレーティングパターンを重ね合わせることができる。
設計に必要な特性は、ブラッググレーティング光導波路の反射率の強度および位相のスペクトル、すなわち複素反射率スペクトルである。反射率の強度は、波長領域1570〜1612.2nmで平坦であり、85%と設定する。反射率の位相にはブラッググレーティング光導波路の波長分散の特性が反映される。群遅延時間τと位相φとの間には、次の式1の関係が成り立つ。
Figure 2009107811
ここで、変数λは波長、定数πは円周率、cは光速度(媒質中)である。式1の両辺を積分することにより、群遅延時間τから位相φが求められる。以上より複素反射率スペクトルが得られ、これを所定の特性として次のステップ[3]で利用する。
本発明では、ブラッググレーティングの振幅が変化して位相は振幅に従属して変化するという振幅変調型のブラッググレーティングを用いた設計を、後述する粗視化という処理を用いて行なう。粗視化を容易にするため、設計の入力データとして用いる複素反射率スペクトルにおいては、周波数の原点すなわち0Hzから所定の群遅延時間特性が求められる周波数領域をすべて含める。
(ステップ[3])
このステップでは、ステップ[2]で得た所定の複素反射率スペクトルから、ブラッググレーティング光導波路の中心軸Cに沿う方向での実効屈折率プロファイルを導出する。以下、その導出過程について説明する。
まず、マクスウェル(Maxwell)方程式より光導波路中の電界E(z)および磁界H(z)に対して次式を得る。ここで、zはブラッググレーティング光導波路の中心軸Cに沿う座標であり、座標原点(z=0)を光導波路の始端に置き、終端でzが最大値をとるものとする。したがって、zの最大値はブラッググレーティング光導波路の全長となる。
Figure 2009107811
Figure 2009107811
iは虚数単位、ωは周波数、μは透磁率(真空中)、εは誘電率(真空中)である。式2および式3から結合モード方程式を構築するため、次の式4および式5のようにE(z)およびH(z)を結合モード方程式における進行波A(z)および後退波A(z)に変換する。反射波はA(z)に対応する。
Figure 2009107811
Figure 2009107811
avはブラッググレーティング光導波路の平均屈折率であり、本実施例ではnav=2.3480である。結合モード方程式は、進行波A(z)および後退波A(z)を用いると、次の式6および式7のように表される。
Figure 2009107811
Figure 2009107811
ここで、波数k(z)は次の式8で、結合モード方程式におけるポテンシャルq(z)は式9で表される。clightは光速度(真空中)である。
Figure 2009107811
Figure 2009107811
ポテンシャルq(z)が決まれば、ブラッググレーティング光導波路の実効屈折率プロファイルは、次の式10より与えられる。
Figure 2009107811
ブラッググレーティング光導波路の全長zを10.2mmと指定する。全長の見積もりは次のようにして行なう。ブラッググレーティング光導波路で発生すべき群遅延時間の最大値に真空中の光速度を乗じ、さらに実効屈折率の平均値で除する。非特許文献2の逆算散乱法を高屈折率光導波路のグレーティングパターン設計に応用し、以下の手順により複素率反射スペクトルR(λ)からポテンシャルq(z)を求める。
まず、式4および式5の解を次の式11および式12のように表す。
Figure 2009107811
Figure 2009107811
(z)およびA(z)はそれぞれ+z方向および−z方向に伝搬する。式11および式12中の積分項は反射の影響を表している。式11および式12から、結合方程式が次のゲルファント(Gel’fand)−レヴィタン(Levitan)−マルチェンコ(Marchenko)方程式(式13および式14)に変換される。
Figure 2009107811
Figure 2009107811
ここで、y=−clightt(tは時間)であり、y<zである。r(z)は、波数を変数とした複素反射率スペクトルR(k)の逆フーリエ変換であり、インパルス応答に相当する。r(z)を与えて式13および式14を解くことにより、q(z)が求められる。q(z)は次の式15で与えられる。
Figure 2009107811
求めたq(z)を式10に適用すれば、実効屈折率プロファイルneff(z)が得られる。本実施例における実効屈折率プロファイルをブラッググレーティング光導波路の全長にわたってプロットしたものが図9のグラフである。z=0mmがブラッググレーティング光導波路の始端(入射端および出射端)に、z=10.2mmがブラッググレーティング光導波路の終端に対応する。また、実効屈折率の振幅は光導波路全長にわたり変化している。
式10および式15のポテンシャルq(z)は実数とする。その結果、複素反射率スペクトルR(k)からインパルス応答(言い換えると「時間応答」)を与えるr(z)へと変換するための演算は実数型となり、振幅が変化して位相が振幅に従属して変化する。
なお、結合モード方程式のGel’fand−Levitan−Marchenko方程式に基づく逆散乱解法は、次の文献に記述されている。
G.Xiao and K.Yashiro、“An Efficient Algorithm for Solving Zakharov−Shabat Inverse Scattering Problem”、IEEE Transaction on Antennas and Propagation、2002年、第50巻、第6号、p.807−811
図10は、図9のグラフの横軸を拡大して、実効屈折率プロファイルの一部を表示したものである。図10に示すように、実効屈折率は座標zの関数として振動し、ブラッググレーティングパターンを形成していることが示される。
本発明の振幅変調型ブラッググレーティングでは、ブラッググレーティングの振幅を変化させて、振幅変調型としてブラッググレーティングパターンを構成する。その結果、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転するという特徴がある。ブラッググレーティングの振動の位相は、振幅の変化に従属して変化する。
振幅変調の例を示すため、図9の実効屈折率分布の一部を拡大して、ブラッググレーティング振幅の包絡線(点線)とともに図11に示す。包絡線は振幅の極大値に対してのみ表示してある。振幅の極小値に対する包絡線に対しても、極大値に対する包絡線と同一の点で符号が反転するため、極大値に対する包絡線を考慮するだけで十分である。矢印が包絡線の勾配の符号が反転する導波路の座標点を示す。符号の反転は孤立した単一の座標点で生じるという階段的な急峻な変化あるいは不連続な変化を示す。
これに対し、サンプルドブラッググレーティングでは、符号の反転が生ずる場合、それは二点を介して発生し、階段的な急峻な変化あるいは不連続な変化は現れない。さらに、その二点間では振幅が連続的にゼロになる導波路領域が存在する。本実施例の振幅変調型グレーティングでは、包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点で包絡線振幅はゼロとならず、振幅が連続的にゼロとなる領域は存在しない。よって、サンプルドブラッグレーティングよりも導波路長を短縮することができる。
包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点は導波路上で複数個存在する。おのおのの座標点では、付随的に位相の不連続な変化をともなう。位相が不連続変化すると局所周期(ピッチ)が変化するため、ピッチがその座標点で中心波長(1590.83nm)をnavで除した値の半分とは異なる値をとる。包絡線の勾配の符号が反転する座標点を特定する精度は、横軸にとっている導波路の座標zの離散化の刻みによる。その刻みをΔPとすると、座標点を特定する精度は±ΔPの範囲にある。このように、本発明の振幅変調型ブラッググレーティングには、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転し、その結果、ピッチが離散的に変化する座標点が存在する。
本発明では、他の実施例すべてを含めて、座標zの離散化の分解能は座標zの離散化の刻みΔPを意味する。
本実施例の実効屈折率分布において光導波路全長にわたり実効屈折率の変動のピッチを測定すると、図12のように離散的変化をすることがわかる。ここで、ピッチはブラッググレーティングのパターンを規定する実効屈折率の変化の極大値をすべて抽出し、おのおのの隣接極大値間の距離として求めている。縦軸のピッチは200nmから450nmまでの範囲に設定した。出現頻度が最も高いピッチの値が主ピッチあるいはピッチの中心値であり、中心波長(1590.83nm)をnavで除した値の半分に対応する。本実施例では、ピッチの離散的変化はΔPを変化の最小単位とし、主ピッチより増加・減少分はΔPの整数倍となる。よって、ピッチの離散的な変化量は、横軸にとっている導波路の座標の離散化の刻みが変われば、それに応じて変化する。
ピッチの離散的な変化は、チャープトブラッググレーティングには見られない特徴である。チャープトブラッググレーティングでは、ピッチは光導波方向に沿って連続的に変化する。チャープトブラッググレーティングでは、ブラッググレーティングの振幅も同時に変化するが、振幅の変化はアポダイズのような副次的特性の実現に利用されるにとどまる。フィルタの反射スペクトルのチャンネル数・位相特性などの主要な特性はブラッググレーティングの周波数を光の導波方向に沿って変化させることによって達成される。本ステップでは、チャープトブラッググレーティングを構成することはできない。チャープトブラッググレーティングを構成するには、複素反射率スペクトルR(ν)から時間応答(インパルス応答)への変換を複素数型へと切り替える必要がある。その結果、式15により得られるq(z)は複素数となる。q(z)が複素数であると、q(z)からneff(z)を求めるにあたり、neff(z)は実数であるため、q(z)の実部のみをとることが必要である。よって、振幅変調型ブラッググレーティングとチャープトブラッググレーティングとは設計方法を異にし、互いに異なる範疇に分類される。振幅変調型に相対することから、チャープトブラッググレーティングは、周波数変調型に分類される。
本発明では、他の実施例すべてを含めて、当該複素反射率スペクトルからインパルス応答への変換に用いる演算は実数型とし、振幅変調型ブラッググレーティングを対象とする。振幅変調型ブラッググレーティングを選択するための条件(詳細は後の補足で述べる。)は、粗視化により、座標軸の離散化の分解能すなわちsampling周期を反射帯の幅の半値に対応するピッチの変化分以上とする。言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上にする。
このとき、次の二つの条件を満足させることが好ましい。(I)指定するスペクトル特性の周波数範囲を原点(周波数ゼロ)から該当するスペクトルチャンネルの存在する領域まですべてを含める。(II)上述の複素反射率スペクトルからインパルス応答への変換において実数型を選択する。
ここで、(I)は粗視化を容易にするため、(II)はチャープトブラッググレーティングが対象でないので、処理が複雑になる複素数型を選択する必要がないためである。
ピッチの値は5つの離散値をとり、そのうち中間値およびその上下の値をとる3つの値に頻度が集中する。図12には、3つの値を含む領域を縦軸に示している。その中でも、中央のピッチ(340nm)を取る頻度が最も高く、これが主ピッチになる。図12の縦軸の範囲でのピッチの最小値(272nm)と最大値(408nm)の平均値は主ピッチに一致する。実効屈折率の平均値(2.3480)と主ピッチの積がブラッググレーティングの反射帯の中心波長の半値を与えるとして中心波長を算出すると1597nmとなり、図8の波長帯の中心とほぼ一致する。よって、主ピッチから+68nmあるいは−68nm分、変化することを繰り返すことが主な原因になって、中心波長のまわりに複数の波長チャンネルの波長分散が発生している。以上より、本実施例のブラッググレーティングパターンは、振幅が連続的に変化すると同時にピッチが離散的に変化することにより形成される。
ピッチが限られた数(少ない数)の離散値を取ることは、平面基板上の製造プロセスにおける加工頻度を維持する上で有効である。グレーティングパターンは光学マスクによるパターン描画に基づいて作製される。ピッチが連続的に変化すると、光学描画の精度をすべてのピッチにわたり維持することが困難になり、チャープ型ブラッググレーティングのパターンは設計と異ることが懸念される。ピッチの変化が少数の離散値に限定されている場合には、描画条件の最適化が容易であり、描画精度が損なわれない。よって、本実施例による設計手法は、平面基板上の光導波路を作製する用途に適している。
図9に示した実効屈折率プロファイルを持つブラッググレーティング光導波路の波長分散特性をシミュレーションにより再現し、入力データとして用いた特性(図8)と一致することを確認した。確認のシミュレーションは、式6および式7の結合モード方程式に図9の実効屈折率プロファイルを代入して解くという、順問題として実行した。その結果である複素反射率スペクトルの位相成分に式1を適用すると、図13Aに示すように群遅延時間の波長依存性が得られる。図13Aと図8を比較すると、所定の波長分散特性が再現されていることが分かる。
(ステップ[4])
ステップ[1]で用意した光導波路の寸法と実効屈折率との対応関係に基づき、ステップ[3]で求めた実効屈折率プロファイルを、光導波路の寸法の分布データ(プロファイル)へと変換する。実効屈折率を与えると、決めるべき寸法パラメータであるwoutおよびwinが求まる。よって、座標zの各点での実効屈折率とwoutおよびwinを対応づけることにより、光導波路寸法woutおよびwinの分布データが得られる。
図10に示したブラッググレーティングパターンは正弦波的な形状を有する。光学マスクを用いた描画およびドライエッチングによるパターン転写プロセスでは、一定の幅の線(ライン)と幅とがピッチに応じて変化する空白(スペース)の組み合わせが繰り返し配列される矩形波的な形状を採用すると、ドライエッチング後の形状の揺らぎが少ない。そこで、実効屈折率のプロファイルから光導波路寸法woutおよびwinのプロファイルデータを得た後、矩形波的な形状のプロファイルに変換する。ただし、矩形波的な形状への変換の際、次の2つの制限を課すことにする。
(1)ライン幅を180nmに固定する(スペースはピッチに応じて変わる)。
(2)正弦波的形状のブラッググレーティングパターンがカバーするコア面積と一致するように矩形波的形状のラインの振幅を調整する。
以上の流れに従い、図14に示すwoutおよびwinのプロファイルが得られる。図14の横軸の範囲は、図10の横軸と同じ領域にとってある。コア上部に溝を設け、溝の幅をブラッググレーティングパターンに応じて変化させているため、woutが増すとwinが減少するという反位相的な変化を示す。コア上部に突起を設け、突起の幅をブラッググレーティングパターンに応じて変化させた場合には、woutが増すとwinも増すという順位相的な変化を示す。
以上、ステップ[1]から[4]により、偏光依存性を低減したブラッググレーティング光導波路を作製する手順を記述した。素子長は、光ファイバブラッググレーティングを用いた場合に比べて半分以下であると見積もられる。以上の記述に基づいて光導波路を製造することにより、偏光依存性を低減した小型の波長分散補償素子を提供できる。反射型の光導波路であるので、z=0から入射した光はブラッググレーティング光導波路を伝搬し、入射方向とは逆に伝搬してz=0から出射する。なお、ステップ[1]は、ステップ[4]の前に実行する限り、ステップ[2]またはステップ[3]のいずれの後に実行しても良い。
outおよびwinを同時に変化させず、片方のみを変化させると、偏光依存性を低減できず、neff TEとneff TMとの差が最大で約1000ppmとなり、本実施例における差の50倍に達する。図13B〜図13Dに示すように群遅延時間と波長との間には線形関係が保持されており、変更の変動に伴う群遅延時間の変動は、本実施例に比べて略50倍大きくなってしまう。つまり、本実施例により、高屈折率光導波路を用いた波長分散補償素子において、波長分散の偏光依存性を略1/50に低減することが可能になる。
本実施例に記載したブラッググレーティング光導波路は、他の波長領域の波長分散補償にも利用できる。他の波長帯での波長分散補償素子の例として、他の実施例でCバンド領域を対象とした事例を提供する。
<基板型光導波路素子の参考例>
図15に、本参考例の基板型の光導波路素子の断面構造を示す。図15に示した断面を有する基板型光導波路素子30のコアは、内側コア31,32と外側コア34の2領域からなる複合コアである。本参考例は、内側コア31,32が中央ギャップを有しない点が異なる以外は、図5に示す第3形態例と同様である。外側コア34、外側コア34の側壁34bに形成される第1のブラッググレーティングパターン、上面34aの溝34cに形成される第2のブラッググレーティングパターン、基板35、下部クラッド36、上部クラッド37の構成は、図5に示す第3形態例と同様である。
この例では、内側コア31,32は、第1のリブ31と第2のリブ32の2領域からなり、これらの間に中央ギャップは設けられない。第1および第2のリブ31,32は外側コア34よりも高屈折率の材料からなる。第1のリブ31と第2のリブ32の高さは等しく、図15ではtで示される。第1および第2のリブ31,32は、おのおの同一形状で、互いに水平方向に反転した形状を有する。具体的には、第1および第2のリブ31,32はそれぞれ厚みtの平面部31a,32aと、その平面部31a,32aの縁の上に位置する高さt、幅wの直方体部31b,32bとから構成される。直方体部31b,32bを構成する材料と平面部31a,32aを構成する材料は同じである。第1のリブ31と第2のリブ32は中央の接合部33で接合している。
中央ギャップがないと内側コアの断面積が減少するので、第1および第2のリブ31,32のサイズ変動による実効屈折率の変動が大きくなる。しかし、中央ギャップを設けるための製造プロセスが省略できるため、製造プロセスを簡略化でき、製造期間の短縮とコスト削減が可能になる。素子の性能よりも、製造期間短縮やコスト削減を優先する場合には、本参考例の構造が好ましい。
本参考例の基板型光導波路素子においては、上述の第3形態例と同様に、第1のリブ31と第2のリブ32に、媒質中に適宜の不純物を添加することにより、それぞれP型またはN型の導電性を付与できる。そして、第1のリブ31と第2のリブ32のそれぞれに電圧を印加する電極パッドを設けて、2つのリブ31,32間に電位差を与えることにより、キャリア濃度変化による屈折率の変化を誘起させ、電極素子の光学特性を可変できる。
なお、第1のリブ31および第2のリブ32に極性(P型またはN型)が反対の導電性を付与すること、および電圧を印加する電極パッドを設けることは本参考例において必須の構成ではなく、内側コア31,32に外部電圧を印加しないで利用することも可能である。
また、第1のリブ31および第2のリブ32が添加物の有無も含めて同一の材料から構成されても良い。この場合は中央の接合部33が存在せず、2つのリブ31,32が一体化された層として内側コアを構成できる。
<波長分散補償素子の参考例1>
本参考例は、波長分散補償素子に関する参考例1として、図15の複合コア(中央ギャップなし)を有する光導波路構造において、第1および第2のリブ31,32をSi、外側コア34をSi、基板35をSi、下部クラッド36をSiO、上部クラッド37をSiOで構成し、t=250nm、t=50nm、w=100nm、w=160nm、tout=600nm、tin=100nm、下部クラッド36の厚みを2000nm、上部クラッド37の最大厚みを2000nmとした場合で算出した。
本参考例1においても、実施例1と同様にステップ[1]に従い、実効屈折率に対するwoutおよびwinの変化を算出する。その結果を図16に示す。本参考例1では、実効屈折率の平均値は2.2225である。
さらに、実施例1と同様にステップ[2]〜[4]に従い、長さ40kmの分散シフトファイバに対して周波数間隔100GHzのLバンドITUグリッド50チャンネルの波長分散補償素子を設計する。波長分散補償素子に課すべき群遅延時間の波長依存性は、実施例1について図8に示したものと同じである。反射率も波長領域1570−1612.2nmで85%とする。よって、所定の特性は、実施例1と同じ複素反射率スペクトルとなる。伝送する光信号のビットレートも実施例1と同じく40Gbit/sとして、各波長チャンネルの使用帯域は80GHzと規定する。
ブラッググレーティング光導波路の全長を10.737mmとして、図17の実効屈折率プロファイルを得る。このプロファイルは、図9のプロファイルとは以下の点を除いて同様である。参考例1では、実効屈折率の平均値が実施例1よりも小さくなった分だけ、プロファイルが中心軸方向に拡大され、光導波路の全長が伸びている。
図16に示した関係から、実施例1のステップ[4]と同様にしてwoutおよびwinのプロファイルが得られる。その一部を拡大したものを図18に示す。本参考例1のブラッググレーティング光導波路も、Lバンド以外の波長帯に対応するように設計できる。その場合、対応する波長帯において求められる複素反射率スペクトルを実施例1に記載したステップ[2]に従って求め、ステップ[3]および[4]に従って形状を設計できる。
<波長分散補償素子の実施例2>
次に、実施例2として、実施例1と同様に図5に記載の断面構造を有するブラッググレーティング光導波路を用いて、実施例1のステップ[2]から[4]にしたがい、Cバンド(1528.77〜1577.03nm)内で周波数間隔が100GHzのITUグリッド40チャンネルの波長分散補償素子の設計例について記述する。
光導波路を構成する材料は実施例1と同様である。対象とする光ファイバは長さ30kmの標準分散単一モードファイバ(G652)とする。波長1550nmでは波長分散値は510ps/nm、分散スロープ値は1.74ps/nmとなる。伝送光信号のビットレートは10Gbit/s、各波長チャンネルの使用帯域は20GHzとし、使用帯域外では群遅延時間は一定であると規定する。波長分散補償素子に必要とされる群遅延時間の波長依存性を図示すると、図19に示すようになる。ここで、横軸の範囲は1533.85〜1565.58nmである。反射率は図19の横軸に示す波長全域で平坦であり、85%とする。
ブラッググレーティング光導波路の長さを9.9mmとして、図20の実効屈折率のプロファイル(形状分布)が得られる。z=2mm付近に分布するピークおよびz=6.5〜7mm付近に分布するピークは、使用帯域から外れる領域での反射率および群遅延時間を平坦にするために存在する。よって、使用帯域20GHz内の群遅延時間変化に寄与するブラッググレーティング長は最大で前記二つのピーク間の距離差に相当し、5mm以下と考えられる。しかし非特許文献1に示された結果に基づき、同等の機能を有する光ファイバブラッググレーティングに要する長さを見積もると、約10mmと考えられる。したがって、本実施例によれば、波長分散補償に必要な光導波路長が光ファイバブラッググレーティングの場合の半分以下に短縮される。
図21は、全長にわたるピッチの変化をピッチ範囲200〜450nmの範囲で示した。図12と同様に、中央のピッチを取る頻度が最も高く、これが主ピッチになる。また、図21の縦軸の範囲でのピッチの最小値(中央値の次に小さい離散値)と最大値(中央値の次に大きい離散値)の平均値は主ピッチに一致する。
実施例1と同様に、図20で与えられる実効屈折率の形状分布を式6および式7の結合モード方程式に代入して解くことにより、図22に示す波長分散特性が得られる。図22と図19を比較すると、所定の波長分散特性が再現されていることが分かる。
実施例1と同様に、図7に示した実効屈折率neffに対するwinおよびwoutの関係から、ブラッググレーティング光導波路の寸法を決定することにより、偏光依存性を低減した小型のCバンド用波長分散補償素子を作製できる。
<波長分散補償素子の実施例3>
次に、実施例3として、実施例1と同様に図5に記載の断面構造を有するブラッググレーティング光導波路を用いて、実施例1のステップ[2]から[4]にしたがい、Lバンドの単一の波長チャンネルに対する波長分散補償素子の設計例について記述する。
光導波路を構成する材料は実施例1と同様である。対象とする光ファイバは長さ30kmの分散シフトファイバである。反射率は85%とし、群遅延時間の波長依存性は、図23に示す特性を指定して、所定の複素反射率スペクトルが得られる。
ブラッググレーティング光導波路の長さを8.13mmとして、図24の実効屈折率のプロファイル(形状分布)が得られる。図24の実効屈折率プロファイルにおける実効屈折率変化の包絡線のピークは、z=4.2mm付近にある。
また、全長にわたるピッチの変化をピッチ範囲200〜450nmの範囲で示すと図25のようになる。本実施例の場合、ピッチは3つの値のみを取る(縦軸の範囲外に離散値は現れない)。図12と同様に、中央のピッチ(340nm)を取る頻度が最も高く、これが主ピッチになる。また、最大値(中央値の次に大きい離散値)は中心値より68nm大きく、最小値(中央値の次に小さい離散値)は中心値より68nm小さい。最大値と最小値の平均値は主ピッチである中心値に一致する。
図25に示すように、実効屈折率のピーク位置よりも前端側と後端側では、ピッチの離散的変化の傾向は反転する。ピーク位置よりも前端側では、ピッチは中心値と最大値のみの二値のみをとる。つまり、中心値から長波長側で二値(binary)変化を示す。一方、ピーク位置よりも後端側では、ピッチは中心値と最小値のみの二値のみをとり、中心値から短波長側で二値変化を示す。ピッチが連続的に変化するチャープ型ブラッググレーティングよりも単純なピッチ変化のブラッググレーティングにより、波長分散補償が可能になる。実施例1でのブラッググレーティングは、本実施例のパターンを基礎として、複数のパターンの合成により構成されたものと考えられる。
実施例1と同様に、図24で与えられる実効屈折率プロファイルを式6および式7の結合モード方程式に代入して解くことにより、図26に示す波長分散特性が得られる。図26と図23を比較すると、所定の波長分散特性が再現されていることが分かる。
以上より、Lバンド内での単一の波長チャンネルに対する偏光依存性を低減した波長分散補償素子を作製できる。異なる波長帯で使用する素子の製造も、おのおのの波長帯に対応する波長分散の特性を考え、本実施例の思想を用いてブラッググレーティング光導波路を設計することにより実現できる。
<波長分散補償素子と光伝送路との接続方法>
実施例1ないし3の波長分散補償素子では、ブラッググレーティング光導波路から出射した光信号は、入射した光信号の経路を逆方向に伝搬する。つまり、出射信号光が入射信号光と同一の経路上を伝搬するため、出射信号光を入射信号光から分離する方法が必要になる。本実施例では、図27に示すように、波長分散補償素子101に光サーキュレータ102を接続して、入射信号光を波長分散補償素子に入射するポートと、出射信号光を波長分散補償素子から取り出すポートを有する波長分散補償素子の構成について説明する。
本実施例の波長分散補償素子101は、本発明の波長分散補償素子に該当するものであれば、実施例1ないし3の波長分散補償素子101のいずれかでも良く、別のものでも良い。波長分散補償素子101の前端部側に光サーキュレータ102を接続する。光サーキュレータ102には、入射信号光を伝搬する入射用光ファイバ103と、波長分散補償素子101と光サーキュレータ102とを接続する結合用光ファイバ104と、出射信号光を伝搬する出射用光ファイバ105が接続されている。
入射信号光は、光サーキュレータ102によって入射用光ファイバ103から結合用光ファイバ104に移り、波長分散補償素子101に入射する。波長分散補償素子101内で反射した出射信号光は、結合用光ファイバ104から光サーキュレータ102を経て出射用光ファイバ105に移る。結合用光ファイバ104と波長分散補償素子101との接続に伴う損失を低減するため、結合用光ファイバ104の先端(波長分散補償素子101側の先端)をレンズ加工したり、結合用光ファイバ104と波長分散補償素子101との間にマイクロレンズを配置したり、結合用光ファイバ104を波長分散補償素子101のブラッググレーティング光導波路の前端部に密着接続することが好ましい。接続に伴う損失は、例えば約1dBである。光サーキュレータ102内部での損失は約1dBであるので、光サーキュレータ102の接続に伴う光損失の合計は約2dBである。
波長分散補償の対象とする光ファイバ伝送路に対して図27に示す構成100を設置するには、光ファイバ伝送路の発信機側に入射用光ファイバ103を接続し、光ファイバ伝送路の受信機側に出射用光ファイバ105を接続すれば良い。これにより、光ファイバ伝送路上に設置可能で、光挿入損失の低い小型の波長分散補償素子を構成できる。
<光フィルタの実施例1>
上述の基板型光導波路素子の第3形態例にある基板型光導波路を用いて、10個の異なる波長チャンネルに反射帯を有する光フィルタを構成する。光フィルタの設計方法は、以下のステップ[1]〜[4]からなる。
[1]光導波路コアの断面構造の寸法(win/wout)を指定して、断面におけるTE型偏波およびTM型偏波での固有モードの電界分布を計算する。両偏波での実効屈折率が等しくなるように上記寸法を調節する。異なる実効屈折率に対して、偏波依存性が解消されるよう、win/woutを決定する。その上で、実効屈折率から光導波路コアの断面構造の寸法を決定できるように、実効屈折率とwin/woutとの対応関係を得る。このステップは光導波路の断面構造の設計工程となる。
[2]光フィルタとして所望の反射特性を指定し、光導波路の構造決定に必要なデータを得る。反射特性として指定するのは、各波長での反射率および位相である。周波数範囲には、原点(周波数ゼロ)から所望の反射特性を含む周波数領域すべてを含める。
[3]光導波路長を与えておき、逆散乱問題解法によりステップ[2]で得た複素電界反射率スペクトルから光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を導出する。本ステップには、複素電界反射スペクトルを時間応答に変換する計算過程が含まれるが、それは実数型の変換とする。
ステップ[2]および[3]は、ブラッググレーティングパターン設計工程となる。
[4]ステップ[1]で得た実効屈折率を光導波路コアの断面寸法との対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率の形状分布からブラッググレーティング光導波路の光導波方向に沿う形状を決定する。このステップは、光フィルタ設計工程となる。
なお、上述した波長分散補償素子の設計ステップにならい、ステップの順序を入れ替えることができる。
以下、光フィルタを設計するための各ステップについて、詳細を説明する。
・ステップ[1]
導波路の断面構造は図5のとおりである。
TE偏光での実効屈折率を導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図7となる。
・ステップ[2]
10個の異なる波長チャンネルに反射帯を有する光フィルタの光学特性を指定する。光通信では、波長の代わりに周波数を用いてスペクトル領域を区別する場合が多い。本実施例では、以下、周波数の関数として光フィルタのスペクトル特性を論ずる。各周波数での反射率および位相より複素電界反射率スペクトルR(ν)を計算する。直交座標系ではR(ν)は実数成分と虚数成分とから構成されるが、極座標系に座標変換して、複素電界反射率を電界反射率の絶対値と位相に分離した方が光フィルタの特性を取り扱う上で便利である。そこで、次の式Aのように極座標表示で複素電界反射率を表現する。
Figure 2009107811
ここで、Rは電界、νは周波数、|R(ν)|は電界反射率の絶対値、φ(ν)は位相である。反射率の絶対値は1(すなわち100%)で規格化する。各チャンネルの反射帯で、電力反射率|R(ν)|が0.9(90%)となるよう、電界反射率の絶対値は0.95(95%)とする。
本実施例の光フィルタでは、各チャンネルの反射帯での波長分散はゼロと設定する。波長分散がゼロの場合、位相は周波数に対して線形な関数となる。以上より、本実施例の光フィルタに対して指定する光学特性を図示すると、図28のようになる。図28では、左の縦軸に電界反射率の絶対値|R(ν)|、右の縦軸に位相φ(ν)をとり、それぞれ実線および破線でプロットしてある。横軸は単位をTHzとした周波数νであり、192.6THzから193.6THzまで0.1THz間隔で10個のチャンネルに等分割して光学特性を指定している。中心周波数は193.1THzである。中心波長に換算すると、1552.52nmとなる。各チャンネルでの反射帯のスペクトル幅は0.01THzであり、その範囲内で位相が線形変化していることがわかる。
図28のような各チャンネルの矩形状の反射帯のスペクトル形状を逆フーリエ変換により時間波形に変換すると、sinc関数型のインパルス波形となる。反射帯のスペクトルの幅をΔνとすると、sinc関数型インパルス波形の主ピークは、Δt=3/(Δν)程度の時間領域内に収まる。よって、図28の各チャンネルの反射帯を生ずる光導波路では、光が入射してから反射するまでに要する伝搬時間はΔt程度もしくはそれ以上でなければならない。図28の各反射帯の周波数領域で線形変化する位相は、この伝搬時間による位相遅延を反映している。
図28には、反射帯が存在するチャンネル付近の周波数帯のみを表示してある。所望の光学特性として逆散乱解法の対象とする光学特性では、原点(0THz)から反射チャンネルが存在する周波数帯すべてを含める。ただし、図28以外の周波数領域では、反射チャンネルは存在しないので電界反射率の値はゼロである。
・ステップ[3]
逆散乱問題解法に基づき、光フィルタを構成する光導波路の導波方向での実効屈折率分布を導出する。その手順は、上述した波長分散補償素子の設計方向におけるステップ[3]で説明したとおりである。
光導波路の全長を指定する際には、ステップ[2]でのΔtに応じた光路長を最小値として、光導波路の損失および許容寸法をもとに指定する。光導波路長を指定した後、逆散乱問題解法によりポテンシャルq(z)を求める。q(z)を上述の式10に代入して、実効屈折率分布neff(z)が得られる。ここで、複素反射率スペクトルR(ν)からインパルス応答を導出する際に用いる変換は実数型とする。
その結果、上述の式15により得られるq(z)も実数となり、ブラッググレーティングの振幅が変化して位相は振幅に付随して変化する振幅変調型ブラッググレーティングの実効屈折率分布が得られる。本発明での振幅変調の定義は後で述べる。
eff(z)を図29および図30にプロットする。横軸zは光導波方向の座標を表す。z=0mmがブラッググレーティング光導波路の始端、z=33.0605mmが終端である。グレーティング光導波路の屈折率分布の平均値に対応するnavは、本実施例では2.348となる。
図30は、光導波路の一部に対して、図29の実効屈折率分布を拡大したものである。中心周波数(193.1THz)に対応する中心波長(1552.52nm)をnavで除した値の半分を周期としてneffが振動して、ブラッググレーティングを規定するパターンを示していることがわかる。
本発明の振幅変調型ブラッググレーティングの特徴として、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転するということがある。すなわち、本発明では、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する変化を振幅変調と呼ぶ。
符号の反転は孤立した単一の座標点で生じるという階段的な急峻性あるいは不連続性を示し、符号が反転する二点間で振幅が連続的にゼロになる導波路領域が介在するという、サンプルドブラッググレーティングが有する特性は現れない。本発明の振幅変調型グレーティングでは包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点でのみ振幅ゼロとなるため、実質的に振幅がゼロとなる領域は存在しない。よって、サンプルドブラッグレーティングよりも導波路長を短縮することができる。
包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点は導波路上で複数個存在する。おのおのの座標点では、付随的に位相の不連続変化をともなう。位相が不連続変化すると局所周期(ピッチ)が変化するため、ピッチが当該座標点で中心波長(1552.52nm)をnavで除した値の半分とは異なる値をとる。包絡線の勾配の符号が反転する座標点を特定する精度は、横軸にとっている導波路の座標zの離散化刻みによる。その刻みをΔPとすると、座標点を特定する精度は±ΔPの範囲にある。
このように、本発明の振幅変調型ブラッググレーティングには、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転し、その結果、ピッチが離散的に変化する座標点が存在する。ピッチはブラッググレーティングのパターンを規定する実効屈折率の変化の極大値をすべて抽出し、おのおのの隣接極大値間の距離として求める。出現頻度が最も高いピッチの値が主ピッチあるいはピッチの中心値であり、中心波長(1552.52nm)をnavで除した値の半分に対応する。本実施例では、主ピッチは約401.2nmである。ピッチの離散的変化はΔPを変化の最小単位とし、主ピッチより増加・減少分はΔPの整数倍となる。よって、ピッチの離散的変化量は、横軸にとっている導波路の座標の離散化刻みが変われば、それに応じて変化する。
ピッチの離散的変化は、チャープトブラッググレーティングには見られない特徴である。チャープトブラッググレーティングでは、ピッチは光導波方向に沿って連続的に変化する。チャープトブラッググレーティングでは、ブラッググレーティングの振幅も同時に変化するが、振幅の変化はアポダイズのような副次的特性の実現に利用されるにとどまり、フィルタの反射スペクトルのチャンネル数・位相特性などの主要な特性はブラッググレーティングの周波数を光の導波方向に沿って変化させることによって達成される。本ステップでは、チャープトブラッググレーティングを構成することはできない。チャープトブラッググレーティングを構成するには、複素反射率スペクトルR(ν)から時間応答(インパルス応答)への変換を複素数型へと切り替える必要がある。その結果、式15により得られるq(z)は複素数となる。q(z)が複素数であると、q(z)からneff(z)を求めるにあたり、neff(z)は実数であるため、q(z)の実部のみをとることが必要である。よって、振幅変調型ブラッググレーティングとチャープトブラッググレーティングとは設計方法を異にし、互いに異なる範疇に分類される。振幅変調型に相対することから、チャープトブラッググレーティングは、いわば、周波数変調型に分類される。
・ステップ[4]
ステップ[1]で用意した光導波路寸法winおよびwoutと実効屈折率neffとの対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率分布neff(z)をwinおよびwoutの分布データ(プロファイル)に変換する。図6Aおよび図6Bに示した対応関係より、実効屈折率を与えると決めるべき寸法パラメータであるwinおよびwoutが求められる。図30のように実効屈折率分布におけるブラッググレーティングパターンは正弦波的形状を有する。
光学マスクを用いた描画およびドライエッチングによるパターン転写プロセスでは、一定の幅の線(ライン)と幅とがピッチに応じて変化する空白(スペース)の組み合わせが繰り返し配列される矩形波的形状を採用すると、ドライエッチング後の形状の揺らぎが少ない。そこで、実効屈折率のプロファイルから光導波路寸法woutおよびwinのプロファイルデータを得た後、矩形波的形状のプロファイルに変換する。ただし、矩形波的形状への変換の際、次の2つの制限を課すことにする。
(1)本実施例では、ライン幅を140nmに固定する。一方、スペースはグレーティングのピッチに応じて変化する。ライン幅には、加工精度の限界値よりも大きな値を設定する。
(2)正弦波的形状のブラッググレーティングパターンがカバーするコア面積と一致するよう矩形波形状のライン振幅を調節する。
以上の流れに従い、図31に示すwoutおよびwinのプロファイルが得られる。図31の横軸の範囲は、図30の横軸と同じ領域にとってある。
本実施例の光フィルタの用途は、例えば、光増幅器を経た後、波長多重されたチャンネルの信号光のみを偏光によらず反射光として取り出し、信号光周辺の波長領域に存在する自然放出光ノイズを除去することに用いることができる。なお、チャンネル数、チャンネル間隔、反射帯のスペクトル幅は本実施例の数値に限定されるものではなく、用途に応じて最適の数値を指定し設計できる。
<光フィルタの実施例2>
本実施例は、電力反射率が約40%のビームスプリッタの設計例である。ビームスプリッタは、各チャンネルの信号光を二経路に分岐する用途に使用できる。
このビームスプリッタの設計方法は、電力反射率のパラメータを変更するほかは、実施例1の光フィルタと同様に実施される。
本実施例においても設計のステップは、実施例1と同様に4つのステップからなる。ステップ[1]での実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は実施例1と同一のものを用いる。ステップ[2]において、各チャンネルの反射帯での電力反射率が約0.4(40%)となるよう、電界反射率の絶対値は0.64(64%)とする。各チャンネルの反射帯での波長分散はゼロと設定する。本実施例の光フィルタに対して指定する光学特性を図示すると、図32のようになる。実施例1と同じく、192.6THzから193.6THzまで0.1THz間隔で10個のチャンネルに等分割して光学特性を指定している。中心周波数は193.1THzであり、各チャンネルでの反射帯のスペクトル幅は0.01THzであり、その範囲内で位相が線形変化している。
ステップ[3]で導出される導波路の実効屈折率プロファイルは図33および図34に示される。また、ステップ[4]において得られる矩形波的形状のwinおよびwoutプロファイルは、図35に示される。
<光フィルタの実施例3>
本実施例は、単一の反射帯を有する光フィルタの設計例である。設計のステップは実施例1および2と同様である。反射帯の電力反射率は約90%とする。実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は実施例1および2と同一である。指定する光学特性は図36に示される。反射帯のスペクトル幅は0.01THzである。
この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図37および図38に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図39に示す。本実施例の光フィルタは、特定の単一チャンネルの信号光を反射光として取り出すことに用いることができる。
なお、反射帯のスペクトル幅は0.01THzに制限されることはない、任意の幅を指定して設計することができる。
<光フィルタの実施例4>
本実施例は、0.1THz間隔の波長チャンネルに対するインターリーバの設計例である。本実施例においては、チャンネル間隔を0.2THzとして、各チャンネルの反射帯の幅を0.1THzとして光フィルタを設計する。指定する光学特性は図40に示される。この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図41および図42に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図43に示す。
本実施例の光フィルタ(インターリーバ)は、0.1THz間隔の各チャンネルに対して、信号光を奇数番号・偶数番号チャンネルの二経路に分岐することができる。
<光共振器>
図44に示すように、光共振器150は、両端に反射ミラー151,152となる光導波路(第1の光導波路151および第2の光導波路152)を配置し、これら反射ミラー151,152の間に、光共振器媒質を含む第3の光導波路153が挟まれた構成となる。本発明では、第1の光導波路151と第3の光導波路153と第2の光導波路152が直列に接続されて単一の基板型光導波路として形成され、その両端の反射ミラー151,152には、ブラッググレーティングパターンを有し反射機能を有する光導波路を用いる。そして、反射機能を有する光導波路の設計は、所望の反射特性を設定することで、上述した光フィルタの設計方法に従って実施可能である。光共振器媒質となる第3の光導波路153は、反射ミラー151,152間で光が共振するための、所定の光路長を有するものであれば良い。
共振器外部に光を取り出す必要があるので、少なくとも一方のミラーの反射率は1(100%)より低い。例えば図44に示すように、第2の光導波路152の反射ミラーから透過した一部の光を出射させるため、出射用の第4の光導波路154が設けられる。第4の光導波路154は、第1〜第3の光導波路と直列に接続されて単一の基板型光導波路として形成されることが好ましい。
<光共振器の実施例1>
光共振器は、複数の波長チャンネルのいずれかを選択する機能を有するように設計する。複数の波長チャンネルの例は、例えば、周波数間隔が100GHzで並んだITUグリッドである。かかる機能を有する光共振器の構成要素の光学特性について、図45および図46に基づいて説明する。図45の下側のグラフに、第1の反射ミラーの電力反射スペクトル(実線)および第2の反射ミラーの電力反射スペクトル(破線)を示す。
第1および第2の反射ミラーの電力反射スペクトルの積として得られたスペクトルを図45の上側のグラフに示す。第1および第2の反射ミラーの反射帯の電力反射率を0.9(90%)とする。光共振器中で共鳴する光の波長は、双方のスペクトルの反射域が重なる領域に制限される。これは、一般にバーニア機能と呼ばれ、互いに異なる櫛型の電力反射スペクトルを有する光フィルタを二つ組み合わせて、特定の波長成分を抽出する用途に用い、さらに、一方の光フィルタの特性を可変することにより、抽出する波長成分を可変することに用いられる。
図45の特性を有する第1および第2の光導波路を含む光共振器の共鳴特性は、図46の上側のグラフ(total)となる。縦軸は常用対数スケールで表示している。仮に、両端ミラーの電力反射率が波長に依存せず0.9と一定であるとすると、その共鳴特性は図46の下側のグラフ(FP)となる。この共振特性では、共振ピークを1として規格化している。また、光共振器の光学長は1000μmとしている。光導波路の実効屈折率を1.94945とすると、光学長から導波路長に換算して約513μmとなる。図46の上側のグラフの共鳴特性は、図45の上側のグラフのスペクトルに図46の下側のグラフの特性をかけたスペクトルを基礎としている。図46の上側のグラフの共鳴特性は、193.1THz(1552.52nm)にピークを有する。
第1の光導波路の実効屈折率を固定しておき、第2の光導波路の実効屈折率を変化させ、第2の反射ミラーにおけるブラッググレーティングパターンの局所周期を変化させることにより、バーニア機能を利用して、第1の反射ミラーの反射スペクトルに対して、異なる単一チャンネルの波長成分を選択することができる。すなわち、第2の光導波路の実効屈折率を変化させることにより、選択波長が可変となる。もちろん、第1の反射ミラーの実効屈折率を変化させたり、あるいは両方の反射ミラーの実効屈折率を変化させてもよい。図46の上側のグラフでは、サイドチャンネル抑圧比は約24dBである。
選択した波長チャンネルでの共鳴電力を最大にするには、光共振器媒質である第3の光導波路を伝搬する際に生ずる位相シフト、すなわち第3の光導波路の実効屈折率を調節すればよい。図46の上側のグラフでは、位相シフトは0.477πとしてある。
以下、第1の反射ミラーとなる第1の光導波路の設計の手順について説明する。
本実施例での第1の反射ミラーの設計方法は、以下のステップ[1]〜[4]からなる。
[1]光導波路コアの断面構造の寸法(win/wout)を指定して、断面におけるTE型偏波およびTM型偏波での固有モードの電界分布を計算する。両偏波での実効屈折率が等しくなるように上記寸法を調節する。異なる実効屈折率に対して、偏波依存性が解消されるよう、win/woutを決定する。その上で、実効屈折率から光導波路コアの断面構造の寸法を決定できるように、実効屈折率とwin/woutとの対応関係を得る。このステップは光導波路の断面構造の設計工程となる。
[2]反射ミラーとして所望の反射特性を指定し、光導波路の構造決定に必要なデータを得る。反射特性として指定するのは、各波長での反射率および位相である。周波数範囲には、原点(周波数ゼロ)から所望の反射特性を含む周波数領域すべてを含める。
[3]光導波路長を与えておき、逆散乱問題解法によりステップ[2]で得た複素電界の反射率スペクトルから光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を導出する。本ステップには、複素電界反射スペクトルを時間応答に変換する計算過程が含まれるが、それは実数型の変換とする。
ステップ[2]および[3]は、ブラッググレーティングパターン設計工程となる。
[4]ステップ[1]で得た実効屈折率を光導波路コアの断面寸法との対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率の形状分布からブラッググレーティング光導波路の光導波方向に沿う形状を決定する。このステップは、反射ミラー設計工程となる。
なお、上述した波長分散補償素子の設計ステップにならい、ステップの順序を入れ替えることができる。
以下、第1の反射ミラーを設計するための各ステップについて、詳細を説明する。
・ステップ[1]
導波路の断面構造は図5のとおりである。
TE偏光での実効屈折率を導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図7となる。
・ステップ[2]
図45の下側のグラフにある電力反射スペクトルと所望の位相特性より、グレーティング光導波路の複素電界反射率スペクトルR(ν)を計算する。直交座標系ではR(ν)は実数成分と虚数成分とから構成されるが、極座標系に座標変換して、複素電界反射率を電界反射率の絶対値と位相に分離した方が反射ミラーの特性を取り扱う上で便利である。そこで、上述した式Aのように極座標表示で複素電界反射率を表現する。
反射率の絶対値は1(すなわち100%)で規格化する。各チャンネルの反射帯で、電力反射率|R(ν)|が0.9(90%)となるよう、電界反射率の絶対値は0.95(95%)とする。
本実施例の反射ミラーでは、各チャンネルの反射帯での波長分散はゼロと設定する。波長分散がゼロの場合、位相は周波数に対して線形な関数となる。以上より、本実施例の反射ミラーに対して指定する光学特性を図示すると、図28のようになる。図28では、左の縦軸に電界反射率の絶対値|R(ν)|、右の縦軸に位相φ(ν)をとり、それぞれ実線および破線でプロットしてある。横軸は単位をTHzとした周波数νであり、192.6THzから193.6THzまで0.1THz間隔で10個のチャンネルに等分割して光学特性を指定している。中心周波数は193.1THzである。中心波長に換算すると、1552.52nmとなる。各チャンネルでの反射帯のスペクトル幅は0.01THzであり、その範囲内で位相が線形変化していることがわかる。
図28のような各チャンネルの矩形状の反射帯のスペクトル形状を逆フーリエ変換により時間波形に変換すると、sinc関数型のインパルス波形となる。反射帯のスペクトルの幅をΔνとすると、sinc関数型インパルス波形の主ピークは、Δt=3/(Δν)程度の時間領域内に収まる。よって、図28の各チャンネルの反射帯を生ずる光導波路では、光が入射してから反射するまでに要する伝搬時間はΔt程度もしくはそれ以上でなければならない。図28の各反射帯の周波数領域で線形変化する位相は、この伝搬時間による位相遅延を反映している。
図28には、反射帯が存在するチャンネル付近の周波数帯のみを表示してある。所望の光学特性として逆散乱解法の対象とする光学特性では、原点(0THz)から反射チャンネルが存在する周波数帯すべてを含める。ただし、図28以外の周波数領域では、反射チャンネルは存在しないので電界反射率の値はゼロである。
・ステップ[3]
逆散乱問題解法に基づき、反射ミラーを構成する光導波路の導波方向での実効屈折率分布を導出する。その手順は、上述した波長分散補償素子の設計方向におけるステップ[3]で説明したとおりである。
光導波路の全長を指定する際には、ステップ[2]でのΔtに応じた光路長を最小値として、光導波路の損失および許容寸法をもとに指定する。光導波路長を指定した後、逆散乱問題解法によりポテンシャルq(z)を求める。q(z)を上述の式10に代入して、実効屈折率分布neff(z)が得られる。ここで、複素反射率スペクトルR(ν)からインパルス応答を導出する際に用いる変換は実数型とする。
その結果、上述の式15により得られるq(z)も実数となり、ブラッググレーティングの振幅が変化して位相は振幅に付随して変化する振幅変調型ブラッググレーティングの実効屈折率分布が得られる。本発明での振幅変調の定義は後で述べる。
eff(z)を図29および図30にプロットする。横軸zは光導波方向の座標を表す。z=0mmがブラッググレーティング光導波路の始端、z=33.0605mmが終端である。グレーティング光導波路の屈折率分布の平均値に対応するnavは、本実施例では2.348となる。
図30は、光導波路の一部に対して、図29の実効屈折率分布を拡大したものである。中心周波数(193.1THz)に対応する中心波長(1552.52nm)をnavで除した値の半分を周期としてneffが振動して、ブラッググレーティングを規定するパターンを示していることがわかる。
本発明の振幅変調型ブラッググレーティングの特徴は、前記<光フィルタの実施例1>で述べたとおり、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転するということである。
・ステップ[4]
ステップ[1]で用意した光導波路寸法winおよびwoutと実効屈折率neffとの対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率分布neff(z)をwinおよびwoutの分布データ(プロファイル)に変換する。図6Aおよび図6Bに示した対応関係より、実効屈折率を与えると決めるべき寸法パラメータであるwinおよびwoutが求められる。図30のように実効屈折率分布におけるブラッググレーティングパターンは正弦波的な形状を有する。
光学マスクを用いた描画およびドライエッチングによるパターン転写プロセスでは、一定の幅の線(ライン)と幅とがピッチに応じて変化する空白(スペース)の組み合わせが繰り返し配列される矩形波的形状を採用すると、ドライエッチング後の形状の揺らぎが少ない。そこで、実効屈折率のプロファイルから光導波路寸法woutおよびwinのプロファイルデータを得た後、矩形波的形状のプロファイルに変換する。ただし、矩形波的形状への変換の際、次の2つの制限を課すことにする。
(1)本実施例では、ライン幅を140nmに固定する。一方、スペースはグレーティングのピッチに応じて変化する。ライン幅には、加工精度の限界値よりも大きな値を設定する。
(2)正弦波的形状のブラッググレーティングパターンがカバーするコア面積と一致するよう矩形波形状のライン振幅を調節する。
以上の流れに従い、図31に示すwoutおよびwinのプロファイルが得られる。図31の横軸の範囲は、図30の横軸と同じ領域にとってある。本実施例において示した図29〜図31は、上述の光フィルタの実施例1で示したものと同一である。
以上、第1の反射ミラーとなる第1の光導波路の設計手順を説明したが、第2の反射ミラーとなる第2の光導波路についても、図45の下側のグラフの電力反射スペクトルと所定の位相特性に基づき、同様にして、設計することができる。
第3の光導波路は、第1の光導波路と第2の光導波路との間に直列に接続する。第3の光導波路の長さは前述のとおりである。基板上の光導波路を用いる場合には、第1、第3及び第2の光導波路が直列接続された光導波路を光学マスク上に定義することができる。
本実施例の光共振器の用途は、特定の周波数成分を取り出す光フィルタ、およびレーザ用共振器として用いることができる。レーザ用共振器として利用する場合には、第3の光導波路は光利得により光増幅機能を有することが必要である。偏光依存性を低減することにより、任意の偏光に対応する光共振器を作製することができる。
<振幅変調型のブラッググレーティングについて>
上記の説明では、本発明による振幅変調型のブラッググレーティングは、チャープトブラッググレーティングとは異なるものとしている。一方、以下に述べる標本化定理(sampling theorem)によると、ブラッググレーティングパターンは一義的に定義され、振幅変調型やチャープトブラッググレーティングという相異は現れない。ただし、それは連続的な実効屈折率分布に対して適用されるのであって、粗視化(coarse graining)した離散的な実効屈折率分布には適用されない。その点について、以下補足する。
ブラッググレーティングの実効屈折率分布は、光の伝搬方向に沿う座標軸に対して、一定の間隔で標本化(sampling)された離散点に関する実効屈折率分布として得られる。ナイキスト(Nyquist)・シャノン(Shannon)・染谷(Someya)によって導かれた標本化定理をブラッググレーティングの実効屈折率分布に適用すれば、設計により得られた実効屈折率分布における離散点の座標間隔すなわちsampling周期が、対象とするブラッググレーティングの実効屈折率の正弦波的変化の局所周期(ピッチ)の半分以下であるとすると、離散的な実効屈折率分布に対応する連続的な実効屈折率分布が一義的に求められる。連続的な実効屈折率分布を求めるには、次の式Bのように、sinc関数を用いたWhittaker−Shannon内挿公式を用いる。
Figure 2009107811
ここで、zは連続座標とし、q(z)は連続的座標で定義された実効屈折率分布を与えるポテンシャル、q(nZIS)は離散的座標で定義された実効屈折率分布を与えるポテンシャルを表し、ZISはsampling周期である。実施例では、sampling周期はピッチの1/5であるので、連続的な実効屈折率分布が一義的に決まる。nは離散的な座標点を指定する整数である。現実には、ブラッググレーティング長は有限であるので、nは有限となる。離散的な波形から(もとの)連続的な波形を再現することを再構築(reconstruction)という。所定の光学特性を有するブラッググレーティングを実現するには、実効屈折率分布が一義的に再構築できることが必要である。ポテンシャルから実効屈折率neffを得るには、上述の式10が用いられる。
ところで、光学露光によりブラッググレーティングパターンを形成するには、光学マスク用のブラッググレーティングパターンのデータを準備しなければならない。光学マスク用のパターンデータは、GDSフォーマットなどのデジタルファイルとして用意される。連続的な実効屈折率分布ではデータ点数は無限となるため、ファイル容量が無限大となってしまう。よって、データ点数が有限の離散的な実効屈折率分布を光学マスク用パターンデータとして利用しなければならない。以上より、連続的な実効屈折率分布を再構築しても、それを離散的な分布に変換する必要がある。このため、マスクパターンデータには、再構築前の離散的実効屈折率分布が用いられる。離散的な実効屈折率分布では、離散化のsampling周期や離散化の形式によって、実効屈折率分布の形状は異なる。このことが、振幅変調型やチャープトブラッググレーティングという相異を発生させる。所定の光学特性を再現する精度をさらにあげたい場合には、再構築後の実効屈折率分布を離散化したものをマスクデータとして用いればよい。
例えば、図47のような光学特性を所定の特性として指定する場合を考える。図47には、単一の反射チャンネルを有する光学素子の特性を例に示してある。図47の上側のグラフには、遅延時間の周波数依存性を、図47の下側のグラフには、複素電界反射率の絶対値と位相をプロットしてある。反射チャンネルの周波数幅は約1.244THzである。中心周波数は193.1THzである。反射チャンネルの幅の半値のスペクトル占有率は中心周波数に対して約0.32%にすぎず、狭帯域である。なお、本発明の各実施例では、各チャンネルの幅はさらに狭い。
以上の特性を満たすブラッググレーティングをチャープトブラッググレーティングにより構成すると、ブラッググレーティングの座標軸の離散化に関して、ピッチを最大でもわずか0.32%だけ変化させるに対応する分解能が求められる。つまり、各ピッチを離散化する区分数は少なくとも、0.32%の逆数313点である。ピッチが光導波方向に連続的に変化することを再現するには、さらに分解能を上げる必要があり、データ点数はさらに増大する。よって、チャープトブラッググレーティングを精密に構成しようとすると、データ点数が膨大になり、マスクデータの処理自体が困難になってしまう。また、0.32%というピッチの最大変化分は、ピッチの中心値を340nmとすると、わずか、1nm程度である。チャープさせるには、それをさらに細分化する必要があるが、ナノメートル以下の精度で光学マスクパターンを精密に作製することは困難である。
よって、振幅変調型が製造プロセスの精度向上および処理時間短縮とコスト低減の観点から有利であると言える。以上で述べたように、振幅変調型ブラッググレーティングのパターンを選択するには、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取るという粗視化を行なえばよい。それによって、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの連続的変化が積算され、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が孤立した単一の座標点で反転し、それに付随して位相が不連続に変化するという特性が現れる。
以下、実施例と比較例との比較をもって本発明を具体的に説明する。
コア側壁荒れの影響について評価するため、モードソルバーを用いて基本伝搬モードをシミュレーションし、リブの実効屈折率を計算した。また、実施例1,2では、コア領域への光閉じ込め係数を算出した。
<シミュレーションの実施例1>
実施例1では、図1A〜図1Bに示す第1形態例の基板型光導波路素子において、上部クラッド7・下部クラッド6および中央ギャップ3を屈折率1.45のSiOとし、高屈折率リブ1,2を屈折率3.48のSiとした。各部の寸法は、直方体部1b,2bの高さt=250nm、平面部1a,1bの厚みt=50nm、直方体部1b,2bの幅w=280nm、中央ギャップ3の幅w=160nmとした。
図48は、実施例1のシミュレーション結果としてのコアの光強度分布を等高線図で表したものである。なお図48には、参考のため各材料の界面を併記した。この結果、w=280nmに対する基本伝搬モードの実効屈折率は2.1640であった。また、高屈折率リブ1,2のうち、それぞれが幅w×高さ(t+t)の断面積を有する2箇所のリブ領域への光閉じ込め係数は70.5%であり、伝搬光は主にシリコンコア領域に閉じ込められていることが分かった。
さらに、製造時にエッチング工程において発生するコア(リブ)側壁荒れの影響を評価するため、wのみを275nmおよび285nmに変更して同様のシミュレーションにより基本伝搬モードの実効屈折率を計算したところ、それぞれ2.1458および2.1827であった。すなわち、wの−1.79%変動に対して実効屈折率は−0.84%変動し、wの+1.79%変動に対して実効屈折率は+0.86%変動したことになる。
<シミュレーションの実施例2>
実施例2では、図2に示す第2形態例の基板型光導波路素子において、上部クラッド7A・下部クラッド6Aおよび中央ギャップ3Aを屈折率1.45のSiOとし、高屈折率コア1A,2Aを屈折率2.0の窒化ケイ素とした。各部の寸法は、コア1A,2Aおよび中央ギャップ3Aの高さt=600nm、コア1A,2Aの(片側での)幅w=340nm、中央ギャップ3Aの幅w=160nmとした。
図49は、実施例2のシミュレーション結果としてのコアの光強度分布を等高線図で表したものである。なお図49には、参考のため各材料の界面を併記した。この結果、w=340nmに対する基本伝搬モードの実効屈折率は1.5690であった。また、それぞれが幅w×高さtの断面積を有する2箇所の窒化ケイ素コア領域への光閉じ込め係数は41.2%であった。これに対して、幅w×高さtの断面積を有する中央ギャップ領域への光閉じ込め係数は22.1%であって、伝搬光は主に窒化ケイ素コア領域に閉じ込められていることが分かった。
さらに、製造時にエッチング工程において発生するコア側壁荒れの影響を評価するため、wのみを335nmおよび345nmに変更して同様のシミュレーションにより基本伝搬モードの実効屈折率を計算したところ、それぞれ1.5663および1.5717であった。すなわち、wの−1.47%変動に対して実効屈折率は−0.17%変動し、wの+1.47%変動に対して実効屈折率は+0.17%変動したことになる。
<シミュレーションの比較例1>
比較例1では、図50A及び図50Bに示す中央ギャップのない基板型光導波路素子において、上部クラッド207および下部クラッド206を屈折率1.45のSiOとし、高屈折率リブ201,202を屈折率3.48のSiとした。各部の寸法は、直方体部201b,202bの高さt=250nm、平面部201a,201bの厚みt=50nm、リブの幅2w=380nm(片側wでは190nm相当)とした。各部の材料、ならびにtおよびtは上記実施例1と同じである。また、wはシングルモード伝搬する条件として求めた値である。
図52は、比較例1のシミュレーション結果としてのコアの光強度分布を等高線図で表したものである。なお図52には、参考のため各材料の界面を併記した。この結果、2w=380nmに対する基本伝搬モードの実効屈折率は2.4905であった。製造時にエッチング工程において発生するコア(リブ)側壁荒れの影響を評価するため、2wのみを370nmおよび390nmに変更して同様のシミュレーションにより基本伝搬モードの実効屈折率を計算したところ、それぞれ2.4657および2.5149であった。すなわち、2wの−2.6%変動に対して実効屈折率は−1.0%変動し、2wの+2.6%変動に対して実効屈折率は+0.98%変動したことになる。
<シミュレーションの比較例2>
比較例2では、図51に示す中央ギャップのない基板型光導波路素子において、上部クラッド307および下部クラッド306を屈折率1.45のSiOとし、高屈折率コア301を屈折率2.0の窒化ケイ素とした。各部の寸法は、コア301の高さを600nm、コア301の幅を680nm(実施例2の2wに相当)とした。各部の材料、ならびにコアの断面寸法は上記実施例2と同じである。
図53は、比較例2のシミュレーション結果としてのコアの光強度分布を等高線図で表したものである。なお図53には、参考のため各材料の界面を併記した。この結果、コア幅680nmに対する基本伝搬モードの実効屈折率は1.6482であった。製造時にエッチング工程において発生するコア側壁荒れの影響を評価するため、コア幅のみを670nmおよび690nmに変更して同様のシミュレーションにより基本伝搬モードの実効屈折率を計算したところ、それぞれ1.6446および1.6517であった。すなわち、コア幅の−1.47%変動に対して実効屈折率は−0.22%変動し、コア幅の+1.47%変動に対して実効屈折率は+0.21%変動したことになる。
<シミュレーションの比較例3>
上記非特許文献4のFig.1(a)(b)およびFig.3(a)に記載の構造について、上記実施例1,2および比較例1,2と同様にモードソルバーを用いて基本伝搬モードをシミュレーションしたところ、矩形のシリコンコア領域(屈折率3.48、幅180nm×高さ300nm×2箇所)への光閉じ込め係数は42.7%であった。また、中央ギャップ領域のシリカガラス(屈折率1.46、幅50nm×高さ300nm)への光閉じ込め係数は48.0%であった。このことから、伝搬光は主に中央ギャップ領域(スロット領域)に閉じ込められていることが分かった。
<実施例と比較例との比較>
本実施例1と比較例1との比較、ならびに実施例2と比較例2との比較により、中央ギャップを設けた各実施例のほうが、コア幅の変動に対する基本伝搬モードの実効屈折率の変動が小さいことが分かる。すなわち本実施例によれば、コア側壁荒れの影響を低減することができる。
また、実施例1、2と比較例3との比較により、比較例3では主に中央ギャップ領域に伝搬光を閉じ込めるのに対して、本実施例では主に高屈折率コアに伝搬光を閉じ込めるという違いが分かる。この違いは、比較例3では中央ギャップを狭くすることにより、低屈折率の中央ギャップ領域に伝搬光を閉じ込めるという特殊な構造としている。
本発明は、非特許文献4および比較例3とは異なり、主に高屈折率コアに伝搬光を閉じ込めるものである。このため、高屈折率コアの側壁荒れが光学特性に影響を与える。これに対して、高屈折率コアを2領域に分けてその間に低屈折率のギャップ領域を設けることにより、高屈折率コアの側壁荒れの影響を抑制する。
本発明によれば、製造プロセスにおいて生じる不可避のコア側壁荒れの影響を低減することができる基板型光導波路素子、ならびにそれを用いた波長分散補償素子およびその設計方法を提供することができる。

Claims (14)

  1. 光導波路が、コアとそのコアの幅方向の中央に、光の導波方向に沿って配置されるとともに屈折率が前記コアよりも低いギャップ部とを備え;
    前記コアが、前記ギャップ部により分離された2つの領域を備え、これら2つの領域にまたがって単一のモードが伝搬されるシングルモード光導波路を構成している;
    ことを特徴とする基板型光導波路素子。
  2. 第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンのそれぞれが、前記光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した領域に形成され;
    前記第1のブラッググレーティングパターンが、前記光の導波方向に沿って前記光導波路の前記コアの両外側壁に形成された凹凸であり;
    前記第2のブラッググレーティングパターンが、前記光の導波方向に沿って前記コアの幅方向中央でかつこのコアの上部に形成された溝の両内側壁に形成された凹凸であり;
    前記光の導波方向に沿って見た場合に、前記第1のブラッググレーティングパターンにおけるコア幅の広い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンにおける溝幅の狭い部分とが対応し、なおかつ前記第1のブラッググレーティングパターンのコア幅の狭い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンの溝幅の広い部分とが対応している;
    ことを特徴とする請求項1に記載の基板型光導波路素子。
  3. 前記第1のブラッググレーティングパターン及び前記第2のブラッググレーティングパターンは、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含むことを特徴とする請求項1または2に記載の基板型光導波路素子。
  4. 前記光導波路にブラッググレーティングパターンを有し;
    このブラッググレーティングパターンが、局所周期が3通り以上の離散値のみをとり;
    これら離散値が、前記光導波路の全長にわたってそれぞれ複数箇所に存在し; これらすべての離散値のうちで最も分布頻度の高い値をMとし、このMよりも大きい値でかつこのMに最も近い値をAとし、前記Mよりも小さい値でかつこのMに最も近い値をBとした場合、A−Mで表される差が、M−Bで表される差と等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
  5. 前記光導波路のコアが、リブ構造をなす凸部を有する内側コアと、この内側コアの上に設けられて前記凸部の周面を被覆する外側コアとを備え;
    前記外側コアの屈折率が、前記内側コアの平均屈折率よりも低い;
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
  6. 光導波路にブラッググレーティングパターンを有し;複数の波長チャンネルに対して、信号光が前記光導波路に入射してから反射するまでにこの前記光導波路を伝搬する距離が波長に応じて異なることにより、前記光導波路における波長分散および分散スロープを補償する;波長分散補償素子であって、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする波長分散補償素子。
  7. 請求項6に記載の波長分散補償素子の設計方法であって、
    前記波長分散補償素子が、第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した領域に形成された光導波路を有し;
    前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する前記光導波路の実効屈折率を等化して、両偏光に対する共通の実効屈折率を求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と、
    パラメータとして波長分散、分散スロープおよび反射率の三つを指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の、前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と、
    前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1のブラッググレーティングパターン及び前記第2のブラッググレーティングパターンを得る波長分散補償素子設計工程と、
    を有することを特徴とする波長分散補償素子の設計方法。
  8. 前記ブラッググレーティングパターン設計工程で、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に取る粗視化工程をさらに備え;
    この粗視化工程により、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることを特徴とする請求項7に記載の波長分散補償素子の設計方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする光フィルタ。
  10. 請求項9に記載の光フィルタの設計方法であって、
    前記光フィルタが、第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した光導波路を有し;
    前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する前記光導波路の実効屈折率を等化して、両偏光に対する共通の実効屈折率を求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と、
    パラメータとして反射率および位相の二つを指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と、
    前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記二通りのブラッググレーティングパターンを得る光フィルタ設計工程と、
    を有することを特徴とする光フィルタの設計方法。
  11. 前記ブラッググレーティングパターン設計工程で、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に取る粗視化工程をさらに有し;
    この粗視化工程により、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成される;
    ことを特徴とする請求項10に記載の光フィルタの設計方法。
  12. 第1の反射ミラーとなる第1の光導波路と、第2の反射ミラーとなる第2の光導波路と、これら第1の光導波路及び第2の光導波路との間に挟まれた第3の光導波路とを有し;これら第1の光導波路と第3の光導波路と第2の光導波路とが直列に接続されて単一の基板型光導波路を形成する光共振器であって、
    前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする光共振器。
  13. 請求項12に記載の光共振器の設計方法であって、
    前記反射ミラーが、第1のブラッググレーティングパターン及び第2のブラッググレーティングパターンが光の導波方向と直交する断面で見た場合に、光の導波方向に沿って並列した光導波路を有し;
    前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する前記光導波路の実効屈折率を等化して、両偏光に対する共通の実効屈折率を求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と、
    パラメータとして反射率および位相の二つを指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と、
    前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記二通りのブラッググレーティングパターンを得る反射ミラー設計工程と、
    を有することを特徴とする光共振器の設計方法。
  14. 前記ブラッググレーティングパターン設計工程で、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に取る粗視化工程をさらに有し;
    この粗視化工程により、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成される;
    ことを特徴とする請求項13に記載の光共振器の設計方法。
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