JP6356254B2 - 基板型光導波路素子及び基板型光導波路素子の製造方法 - Google Patents

基板型光導波路素子及び基板型光導波路素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、下部クラッドと上部クラッドとの間に2つのコアが形成された基板型光導波路素子に関する。
現在、光通信で伝送される情報量は増加し続けている。こうした情報量の増加に対して、信号速度の高速化、波長多重通信を用いたチャネル数の増設などの対策が進められている。このうち、信号速度の高速化を可能にする次世代の100Gbpsデジタルコヒーレント伝送技術では、単位時間当たりに送信可能な情報量を2倍にするために、電界が直交する2つの偏波に異なる情報を載せる偏波多重方式が利用されている。しかしながら、偏波多重方式を利用する変調方式では、複雑な構成の光変調器が必要になり、装置の大型化、高額化といった課題が生じる。こうした課題に対して、製造プロセスが簡単である、集積化による光学素子の小型化が可能、大口径ウェハによる製造コストの低コスト化が可能などのメリットを持つ、シリコンをコアに用いた基板型光導波路による光変調器が非特許文献1に記載されている。
偏波多重方式では、基板型光導波路内でTE偏波とTM偏波を多重する偏波ビームコンバイナ(Polarization Beam Combiner:PBC)が用いられる。図33の(a)は、PBC101の構成を示すブロック図である。PBC101は、第1の入力ポート102と、第2の入力ポート103と、出力ポート104とを備えている。PBC101は、入力ポート102に入力されたTM偏波と、入力ポート103に入力されたTE偏波とを多重し、この多重したTM偏波及びTE偏波を出力ポート104から出力する。なお、図33の(a)に示す矢印の長さは、PBC101に入力するTE偏波のパワー及びTM偏波のパワーを表す。後で参照する図33の(b)及び(c)においても、矢印の長さが各偏波のパワーを表すことは同様である。
ここで、TE偏波は、基板型光導波路内で光の進行方向に対して垂直な面内において基板に水平な方向(以下、幅方向もしくはx方向と呼ぶ)の電界成分が主となるモードを指す。また、TM偏波は、基板型光導波路内で光の進行方向に対して垂直な面内において基板に垂直な方向(以下、高さ方向もしくはy方向と呼ぶ)の電界成分が主となるモードを指す。
PBCにおいて重要となる性能は、偏波多重時の損失及び偏波消光比である。
TM偏波の損失は、入力ポート102に入力されたTM偏波のパワーに対する、出力ポート104におけるTM偏波のパワーの割合を示すものであり、式(1)で定義される。
Figure 0006356254
TE偏波の損失は、入力ポート103に入力されたTE偏波のパワーに対する、出力ポート104におけるTE偏波のパワーの割合を示すものであり、式(2)で定義される。
Figure 0006356254
エネルギー効率の観点から損失は小さい方がよい。
一方、偏波消光比(Polarization Extinction Ratio:以下「PER」とも記載)は、PBCの一方の入力ポート(例えば入力ポート103)にTM偏波とTE偏波とを入力した場合に、出力ポート104から出力されるTM偏波のパワーと、TE偏波のパワーとの割合を示すものである。次式で定義される(図33の(b)を参考。図中の矢印の長さは、各偏波のパワーを表す)。
TM偏波を入力する入力ポート102に、同じパワーのTM偏波及びTE偏波を入力した場合(図33の(b)を参照)、PERは、式(3)で定義される。
Figure 0006356254
TE偏波を入力する入力ポート103に、同じパワーのTM偏波及びTE偏波を入力した場合(図33の(c)を参照)、PERは、式(4)で定義される。
Figure 0006356254
以上のように、PERは、1つの入力ポートにTM偏波及びTE偏波が入力された場合における一方の偏波のパワーが抑圧される程度を表している。PERは、例えば以下の観点で重要である。非特許文献1で開示されている偏波多重変調器のように、PBCは、偏波ローテータ(Polarization Rotator:以下「PR」とも記載)の後段に接続される。PRは、TE偏波をTM偏波に変換させるデバイスであるが、変換不足のため、PRから出力されるTM偏波にわずかにTE偏波が混入する。この混入したTE偏波は、PBC101の出力ポート104において多重対象となるTE偏波(図33の(a)に示すTE偏波)とクロストークする。このクロストークは、信号の品質低下を招く。そのため、PBC101は、PRの出力に混ざって入力されるTE偏波のパワーを抑制することによって、出力ポート104で生じるクロストークを抑圧することが好ましい。即ち、PERが高いほど出力ポート104で生じるクロストークを抑制でき、偏波多重する際の信号品質の低下を抑えることが出来る。
以上で述べたPBCの2つの性能は、広い波長帯域で良好であることが好ましい。これは以下の理由による。光通信では、波長多重方式が広く利用されているため、光変調器を含む多くの光コンポーネントは、広い波長帯域で動作することが好ましい。広い波長帯域とは、例えばCバンド(波長範囲1530〜1565nm)やLバンド(波長範囲1565〜1625nm)を含む帯域を指す。PBCをこのような光コンポーネント内で利用する場合、同様に広い波長帯域で、損失が低く、PERが高いことが好ましい。
PBCの従来技術として、非特許文献2及び特許文献1が挙げられる。
非特許文献2は、偏波ビームスプリッタに関するものである。偏波ビームスプリッタは、図33の(a)に示すPBC101の出力ポート104にTE偏波及びTM偏波を入力し、入力ポート102からTM偏波を出力し、入力ポート103からTE偏波を出力することによって実現できる。以上のように、偏波ビームスプリッタは、PBCと同等の機能を実現可能であるため、PBCの従来技術として取り上げる。非特許文献2は、合同なコア形状を持つ2つの矩形導波路を隣接させた方向性結合器によってTE0とTM0の偏波分離を実現している。ここで、TE0及びTM0は、それぞれTE偏波、TM偏波の中で実効屈折率が最大の導波モードを指す。図34に非特許文献2に記載された偏波ビームスプリッタ201の構成の概略図を示す。図34の(a)は、光の進行方向に垂直な断面における、偏波ビームスプリッタ201の方向性結合器の断面図である。図34の(b)及び(c)は、偏波ビームスプリッタ201の上面図である。偏波ビームスプリッタ201は、下部クラッド204と、上部クラッド205と、下部クラッド204と上部クラッド205とによって埋設されているコア202及び203を備えている。
偏波ビームスプリッタ201は、方向性結合器の結合長がTE0よりもTM0の方が短くなることを利用して偏波の多重又は分離を可能としている。より具体的には、TE0が方向性結合器の隣接導波路へ移りきる前に、TM0が移りきることを利用して、各偏波の多重(図34の(c))又は分離(図34の(b))を可能としている。
特許文献1は、偏波ソーター(polarization sorter)に関するものであるが、PBCと同等の働きが可能である。従って、偏波ソーターをPBCの従来技術として取り上げる。特許文献1に記載の偏波ソーターは、断熱変換を用いたモードソーティング(adiabatic sorting)によって、偏波分離を行っている。
特許文献1のFig.2a〜2cに記載されているように、特許文献1に係る偏波ソーターは、2つの互いに隣接する導波路12及び14から成り、それぞれコアの高さが異なる。さらに、一方のコアの幅が光の進行方向に対して連続的に変化するモードソーティング部46を有し、この領域におけるモードソーティングによって偏波分離を行う。ここで、モードソーティングとは、導波路を光の進行方向に対して連続的に変化させたときに実効屈折率の順番と偏波が保持されることを利用した偏波分離の方法である。
例えば、導波路12の入力ポート30のTE偏波(特許文献1のFig.6に記載のTE−1)と、導波路14の入力ポート36のTE偏波(特許文献1のFig.6に記載のTE−2)との実効屈折率の大小関係が、導波路12の出力ポート32と、導波路14の出力ポート34とにおいて入れ替わる。一方、導波路12の入力ポート30のTM偏波(特許文献1のFig.6に記載のTM−1)と、導波路14の入力ポート36のTM偏波(特許文献1のFig.6に記載のTM−2)との実行屈折率の大小関係は、導波路12の出力ポート32と、導波路14の出力ポート34とにおいて変化しない。
実効屈折率における上記の大小関係を満たすことによって、導波路12の入力ポート30に入力されたTE偏波は、導波路14の出力ポート34から出力され、導波路12の入力ポート30に入力されたTM偏波は、導波路12の出力ポート32から出力される。このようにして、特許文献1に係る偏波ソーターは、導波路12の入力ポート30に入力されたTE偏波及びTM偏波を偏波分離する。
実効屈折率における上記の大小関係を満たすためには、偏波ソーターのデバイス全長にわたって隣接する2つの導波路12及び14の断面におけるコア形状は、合同であってはならない。そのため、特許文献1のFig.2a〜2cに示すように、隣接する導波路である導波路12及び導波路14の高さは、それぞれ異なっている。
米国特許出願公開第2008/0152277号明細書(公開日:2008年6月26日)
Po Dong, et al., "112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon," ECOC2012 Th.3.B.1 (2012). Hiroshi Fukuda, et al., " Ultrasmall polarization splitter based on silicon wire waveguides," OPTICS EXPRESS, Vol. 14, No. 25, 12401 (2006). Allan W. Snyder and John D. Love, "Optical Waveguide Theory," CHAPMAN&HALL, London (First edition 1983, Reprinted 1991). Yosi Shani, et al., "Integrated Optical Adiabatic Devices on Silicon," IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS, VOL. 27, NO. 3 (1991). Daoxin Dai, et al., "Mode conversion in tapered submicron silicon," OPTICS EXPRESS, Vol. 20, No. 12 (2012).
非特許文献2の方向性結合器による構造は、簡単な製造プロセスで作製可能であるが、損失の波長依存性が大きく、また製造誤差に弱いという問題がある。
非特許文献2において、2つの導波路が隣接する部分の長さLは、TM偏波の結合長に合わせる必要がある。ここで、結合長とは隣接する導波路へ光が完全に移りきるのに必要な長さである。例えば、ある波長(第1の波長とする)において結合長がLcであり、L=Lcとしたとする。このとき、第1の波長を有するTM偏波の損失は、原理的にはゼロである。
しかしながら、波長が第1の波長から第2の波長へ変化したとき、導波路のコアからの光の浸み出しの程度が変わる為、隣接する導波路への結合の強さが変化する。その結果、第2の波長における結合長は、第1の波長における結合長から変化する。その結果、L=Lcでは第2の波長を有するTM偏波は隣接導波路へ移りきらない、もしくは移ったTM偏波が戻ってきてしまう。そのため、第2の波長を有するTM偏波は、出力ポートで損失が生じてしまう。即ち、非特許文献2は、波長が変化したときにTM偏波の損失の増加量が大きいという問題がある。
さらに、製造誤差によって導波路のコアの高さや幅が変化したとき、TM偏波の光のコアへの閉じ込めの程度が変わる為、結合長が変化する。その結果、波長が変化したときと同様に、製造誤差が無い場合に比べてTM偏波の損失が大きく増加するという問題が生じる。
特許文献1は製造プロセスが複雑であり、その結果コスト増加や歩留り低下を招くという問題がある。
特許文献1の構造は、モードソーティングを行う為に、モードソーティング部46において次の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:隣接する2つの導波路を導波する2つの同一偏波(例えば、特許文献1のFig.6に記載のTE−1及びTE−2)は、実効屈折率が同一になる断面が存在する。
条件2:隣接する2つの導波路を導波する他方の2つの同一偏波(例えば、特許文献1のFig.6に記載のTM−1とTM−2)は、実効屈折率が常に異なっている。
これらの条件を満たすために、特許文献1においては、隣接する導波路でその高さを変える構成が採用されている。このような導波路構造を製造する場合、高さを変える為にコアのエッチング回数が増加する。例えば、シリコン導波路では、SOI(Silicon-On-Insulator)ウェハの最上部のシリコン層をエッチングすることでコアを形成することが可能であるが、2段階の高さを持つコアを作製する為には、最低2回のエッチングが必要となる。このような余分なプロセスは、コスト増加を招き、また新たに生じる製造誤差要因によって歩留りの低下を招くため、好ましくない。
なお、1回のエッチングで上記の条件1及び2が満たせない理由は、以下の通りである。1回のエッチングでコアを作製した場合、コアの高さは同じとなる。このとき、条件1を満たすためには、ある断面でコアの幅を同一にして、2つの隣接導波路のコア形状を合同にする必要がある。なぜなら、コア幅が異なる場合、コアへ光が閉じ込められる程度が変わる為、実効屈折率が隣接する導波路の同一偏波間で変わってしまい、条件1は常に満たされない。しかしながら、以上で示したようにコア形状を合同にすることで条件1を満たすと、条件1の対象となる偏波だけでなく、全ての偏波で実効屈折率が同一となることから、条件2を満たすことは不可能となる。従って、条件1、2を同時に満たすためには、特許文献1で記載されているように2つの隣接する導波路の高さを変えるなどして、異なる導波路構造で、条件1を満たす必要がある。そのためには、1回のエッチングに加えて、さらなるプロセスが必要となる。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、広い波長範囲においてTM偏波の損失を低く抑え、かつ、製造が容易な基板型光導波路素子及び光変調器を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、屈折率がNcl1である下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された、屈折率がNco(Nco>Ncl1)である第1のコア及び第2のコアと、上記第1のコア及び上記第2のコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された、屈折率がNcl2(Nco>Ncl2)である上部クラッドとを備えた基板型光導波路素子において、上記第2のコアが存在しない場合の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とし、上記第1のコアが存在しない場合の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2として、(A)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、(B)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、(C)上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足し、(D)上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、(E)上記下部クラッドの屈折率Ncl1と上記上部クラッドの屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上である、ことを特徴とする。
Figure 0006356254
なお、上記(E)の発明特定事項を、「上記並走区間において、上記第1のコアと上記第2のコアとの間の間隙に存在する媒質の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上である」と置き換えてもよい。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子の製造方法は、屈折率がNcl1である下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された、屈折率がNco(Nco>Ncl1)である第1のコア及び第2のコアと、上記第1のコア及び上記第2のコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された、屈折率がNcl2(Nco>Ncl2)である上部クラッドとを備えた基板型光導波路素子の製造方法において、上記第2のコアが存在しない場合の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とし、上記第1のコアが存在しない場合の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2として、以下の条件(1)〜(4)を満足する上記第1のコア及び上記第2のコアを形成するコア形成工程を含む、ことを特徴とする。
(1)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、
(2)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足し、
(3)上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、
(4)上記下部クラッドの屈折率Ncl1と上記上部クラッドの屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上である。
Figure 0006356254
本発明は、広い波長範囲においてTM偏波の損失を低く抑え、かつ、製造が容易な基板型光導波路素子及び光変調器を提供する。
本発明の第1の実施形態に係るPBCの機能の概要を示すブロック図である。(a)は、入力されたTM偏波及びTE偏波を上記PBCが多重する様子を示し、(b)は、上記PBCが備える2つの入力ポート及び2つの出力ポートにおけるTE偏波の導波モードの名称を定義し、(c)は、上記PBCが備える2つの入力ポート及び2つの出力ポートにおけるTM偏波の導波モードの名称を定義する。 (a)は、本発明の第1の実施形態においてコアの実効屈折率を計算するために用いた構造を示す断面図である。(b)及び(c)は、それぞれ、(a)に示した構造において比屈折率差を5%及び40%とした場合に得られた規格化実効屈折率を示すグラフである。 (a)及び(b)は、図2の(a)に示した構造を実際に製造した場合に形成され得るコアの形状を示す模式図である。 図2の(a)に示した構造を用いて、コアの高さhで規格化したWupperのシミュレーション結果を示すグラフである。 (a)は、本発明の第1の実施形態に係るPBCの構成を示す斜視図である。(b)は、(a)に示すPBCが備えるコアの構成を示す斜視図である。 (a)は、図5に示したPBCの構成を示す上面図である。(b)〜(d)は、それぞれ、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線における上記PBCの断面図である。 (a)は、本発明の第1の実施例に係るPBCの構成を示す上面図である。(b)は、(a)に示すPBCの、光の進行方向に対して垂直な断面の断面図である。 (a)は、本発明の第1の実施形態に係るPBCが備えている2つのコアの何れか一方を備えていない(一方のコアのみを備えている)矩形状導波路の実効屈折率の計算結果を示すグラフである。(b)は、図7に示したPBCの第2のコアを備えていない矩形状導波路の構成を示す断面図である。(c)は、図7に示したPBCの第1のコアを備えていない矩形状導波路の構成を示す断面図である。 図7に示したPBCにおいて、光の進行方向に対して垂直な断面における導波モードの実効屈折率を計算した結果を示すグラフである。 図7に示したPBCにおいて、Xを−100から100まで変化させた場合に得られたδTE0/CTE0及びδTM0/CTM0を示したグラフである。 図7に示したPBCのA−A’線による断面における、TE0とTM0との電界分布のシミュレーション結果を示すグラフである。 図7に示したPBCのB−B’線による断面における、TE0とTM0との電界分布のシミュレーション結果を示すグラフである。 図7に示したPBCのC−C’線による断面における、TE0とTM0との電界分布のシミュレーション結果を示すグラフである。 図7に示したPBCのD−D’線による断面における、TE0とTM0との電界分布のシミュレーション結果を示すグラフである。 図7に示したPBCのE−E’線による断面における、TE0とTM0との電界分布のシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係るPBCの構成を示す上面図である。 図16に示したPBCのport1−1にTM0を入力したときに、port2−2から出力されるTM0の損失をFDTDによって計算した結果を示すグラフである。 (a)は、図16に示したPBCのport1−1にTM0を入力したときのEy成分の電界分布をシミュレーションした結果を示すグラフであり、(b)は、port1−1にTE0を入力したときのEx成分の電界分布をシミュレーションした結果を示すグラフである。 図16に示したPBCと図35に示したPBCとにおいて、(a)は、port1−1にTM0を入力し、port2−2からTM0を出力するときのTM0の損失を計算した結果を示したグラフであり、(b)は、port1−1にTE0とTM0をそれぞれ入力した時に、port2−2から出力されるそれぞれの偏波の損失比であるPERを計算した結果を示したグラフであり、(c)は、port1−2にTE0を入力し、port2−2から出力するときのTE0の損失を計算した結果を示したグラフであり、(d)は、port1−2にTE0とTM0をそれぞれ入力した時に、port2−2から出力されるそれぞれの偏波の損失比であるPERを計算した結果を示したグラフである。 図16に示したPBCにおいて、製造誤差がTM0の損失に与える影響をFDTDで計算した結果を示すグラフである。 図35に示したPBCにおいて、製造誤差がTM0の損失に与える影響をFDTDで計算した結果を示すグラフである。 本発明の一実施例において作製したPBCにおいて、(a)は、port1−1にTM0を入力し、port2−2からTM0を出力したときの損失の測定結果を示すグラフであり、(b)は、port1−1にTE0とTM0をそれぞれ入力した時に、port2−2から出力されるそれぞれの偏波の損失比であるPERの測定結果を示すグラフであり、(c)は、port1−2にTE0を入力し、port2−2から出力するときの損失の測定結果を示すグラフである。 (a)は、本発明の第3の実施形態に係るPBCの構成を示す上面図であり、(b)は、本発明の第3の実施形態の変形例に係るPBCの構成を示す上面図である。 本発明の第4の実施形態に係る偏光子の構成を示す上面図である。 本発明の第5の実施形態に係る変調器の構成を示すブロック図である。 本発明の第6の実施形態に係る基板型光導波路素子の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態に係るリブ導波路の基本形状を示す断面図である。 (a)は、第7の実施形態に係る上記リブ導波路を含むPBCの構成を示す上面図であり、(b)〜(d)は、それぞれ、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線における上記PBCの断面図である。 (a)は、本発明の第8の実施形態に係るリッジ導波路の作製方法を示す断面図であり、(b)は、当該リッジ導波路の基本形状を示す断面図である。 (a)は、第8の実施形態に係る上記リッジ導波路を含むPBCの構成を示す上面図であり、(b)〜(d)は、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線における上記PBCの断面図である。 (a)は、第8の実施形態の一変形例としてのリッジ導波路を含むPBCの構成を示す上面図であり、(b)〜(d)は、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線における上記PBCの断面図である。 (a)は、図30の(a)に示すA−A’線と同じ位置で、第8の実施形態の他の変形例としての矩形導波路を含むPBCを切断した場合における断面図であり、(b)は、上記A−A’線と同じ位置で、第8の実施形態のさらに他の変形例としてのリブ導波路を含むPBCを切断した場合における断面図である。 (a)は、一般的なPBCの構成を説明するブロック図である。(b)は、(a)に示すPBCの第1の入力ポートに同じパワーのTE偏波及びTM偏波を入力した場合に、出力ポートから出力されるTE偏波及びTM偏波のパワーを表す概念図であり、(c)は、(a)に示すPBCの第2の入力ポートに同じパワーのTE偏波及びTM偏波を入力した場合に、出力ポートから出力されるTE偏波及びTM偏波のパワーを表す概念図である。 非特許文献2に記載された偏波ビームスプリッタの構成を示す概略図である。(a)は、光の進行方向に垂直な断面における、偏波ビームスプリッタの方向性結合器の断面図である。(b)及び(c)は、偏波ビームスプリッタの上面図である。 (a)は、本発明の比較例に係るPBCの構成を示す上面図であり、(b)は、(a)に示すA−A’線におけるPBCの断面図である。
〔第1の実施形態〕
本実施形態に係るPBC1は、比屈折率差の大きな導波路を用いたテーパ化方向性結合器を備えていることによって、広い波長範囲においてTM偏波の損失を低く抑え、かつ、製造が容易な基板型光導波路素子を提供する。なお、広い波長範囲とは、例えばCバンド(波長範囲1530〜1565nm)やLバンド(波長範囲1565〜1625nm)を含む波長範囲を指す。
まず、基板型光導波路素子であるPBC1の特徴を、図1〜図6を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るPBC1の概要を示すブロック図である。図1の(a)に示すように、PBC1は、下部クラッドと上部クラッドとによって埋設された2つの導波路(WG1及びWG2と呼ぶ)を備えており、4つのポート(port1−1、port1−2、port2−1、port2−2)を有する。
また、各ポートの断面におけるTE偏波とTM偏波の名称を図1の(b)のように定義する。図において、i,jをそれぞれ0以上の整数とすると、TEiは、WG1もしくはWG2において、TE偏波のうち実効屈折率が(i+1)番目に大きな導波モードを意味し、TMjは、WG1もしくはWG2において、TM偏波のうち実効屈折率が(j+1)番目に大きな導波モードを意味する。
図1は、PBC1の構成を示すブロック図である。図1の(a)は、入力されたTM偏波及びTE偏波をPBC1が多重する様子を示す。図1の(b)は、PBC1が備える2つの入力ポート、並びに、2つの出力ポートにおけるTE偏波の導波モードの名称を定義する。図1の(c)は、入力ポート、並びに、出力ポートにおけるTM偏波の導波モードの名称を定義する。
図1の(a)及び図5に示すように、PBC1は、2つの導波路であるコア13及びコア14を備えている。以下において、コア13の一方のポートを入力ポート13aと呼び、他方のポートを出力ポート13bと呼ぶ。また、コア14の一方のポートを入力ポート14aと呼び、他方のポートを出力ポート14bと呼ぶ。
また、図1の(b)に示すように、入力ポート13aにおけるTE偏波のことをTEi@13aと定義し、出力ポート13bにおけるTE偏波のことをTEi@13bと定義し、入力ポート14aにおけるTE偏波のことをTEi@14aと定義し、出力ポート14bにおけるTE偏波のことをTEi@14bと定義する。図1の(c)に示すように、入力ポート13aにおけるTM偏波のことをTMj@13aと定義し、出力ポート13bにおけるTM偏波のことをTMj@13bと定義し、入力ポート14aにおけるTM偏波のことをTMj@14aと定義し、出力ポート14bにおけるTM偏波のことをTMj@14bと定義する。i及びjは、それぞれ0以上の整数である。TEiは、コア13又はコア14におけるTE偏波の導波モードのうち、実効屈折率がi+1番目に大きな導波モードを意味する。TMjは、コア13又はコア14におけるTM偏波の導波モードのうち実効屈折率がj+1番目に大きな導波モードを意味する。
PBC1は、非特許文献3及び4に記載されているテーパ化方向性結合器の原理を基礎原理としており、これらのテーパ化方向性結合器と同様の特徴を備えている。
非特許文献3では、直径が光の進行方向に対して変化する2本の光ファイバを、それぞれ隣接させたTAPERED COUPLERS(本実施形態では、テーパ化方向性結合器とも呼ぶ)を示している。一般的なテーパ化方向性結合器において、2本の光ファイバの比屈折率差は、5%以下である。非特許文献3では、テーパ化方向性結合器の用途として、隣接導波路への光パワーの100%の移動について言及している。
非特許文献4では、コア幅が光の進行方向に対して変化する2つの矩形状のコアを、それぞれ隣接させたADIABATIC ASYMMETRIC DIRECTIONAL COUPLERS(本実施形態におけるテーパ化方向性結合器に相当)を開示している。その中で、コアとクラッドの材料は、P添加SiOとSiOとを開示している。非特許文献4に記載はないが、比屈折率差は一般に5%以下である。非特許文献4では、テーパ化方向性結合器の用途として、隣接導波路への光パワーの100%の移動について言及している。
PBC1は、非特許文献3及び4のいずれかと同様である以下の特徴を備えている。
特徴1:コア13とコア14とは、矩形状コアである。
特徴2:コア13の高さとコア14の高さとは、等しい。
特徴3:コア13とコア14とは、それぞれ距離を置いて配置される。
特徴4:コア13の幅とコア14の幅との大小関係は、(1)光の進行方向に対して垂直な断面であって入力ポート13aと入力ポート14aとを有する側の断面である入射端面において、コア14の幅よりコア13の幅の方が大きく、(2)光の進行方向に対して垂直な断面であって出力ポート13bと出力ポート14bとを有する側の断面である出射端面において、コア13の幅よりコア14の幅の方が大きく、(3)上記入射端面と上記出射端面との間の少なくとも一断面において、コア13の幅とコア14の幅とは等しい。
特徴5:コア13の幅とコア14の幅とは、光の進行方向に沿って連続的に変化する。ただし、コア13及びコア14のうち、一方のコアのコア幅が変化せず、他方のコアのコア幅が連続的に変化するような場合も含む。
以上の特徴1〜5を満足することにより、次の効果を得ることが出来る。
特徴1によって、基板型光導波路で作製することが可能となる。ここで、矩形状コアとは、巨視的にみて断面が矩形状である場合を意味する。台形状コア及び平行四辺形状コアのように、コア側壁が傾斜を持つような形状のコアも、矩形状コアに含まれる。また、断面を構成する角が微視的にみて曲線からなるコアも、矩形状コアに含まれる。微視的にみて角が曲線からなる角丸形状であっても、巨視的にみれば矩形状といえるためである。
特徴2によって、一回のエッチングによって2つのコア(コア13及びコア14)を形成でき、製造プロセスの簡素化が可能である。一般に、PBCは、下部クラッド、その上に配置される矩形状コア、及び下部クラッドと矩形状コアとを覆う上部クラッドを備えている。下部クラッドは、例えばSOIウェハのBOX(Buried Oxide)層を用い、矩形状コアはSOIウェハ最上位層のシリコン層をエッチングで加工することで作製可能である。上部クラッドは、空気クラッドにしてもよいし、コアを守る為にSiOやSiを堆積させてもよい。このような導波路は、シリコン導波路と呼ばれる。
特徴2が成立する場合、このようなPBCでは、一回のエッチングだけでコア13及びコア14を形成可能となる。従って製造プロセスが簡素化できる。特に、シリコン導波路を含む光回路全般において、光閉じ込めの強い矩形状コアの導波路によって配線することが多いため、このような配線とPBCとを一括して作製することが可能である。
製造プロセスを簡素化することで、PBCの製造コストを下げることができる。また、製造プロセスの増加によって生じる製造誤差を抑えることが出来るため、PBCを製造する場合の歩留りも向上する。
特徴3によって、コア形成時の製造プロセスであるリソグラフィの要求精度を下げることが出来、製造プロセスの簡素化が可能である。特徴3によって、コア13とコア14とが接することは無い。もし、2つのコアが接する場合、連続的にコア13とコア14とのそれぞれのコアの間隔は、徐々に小さくする必要がある。しかし、リソグラフィは露光時の光の回折によって、実際に作製可能なコア間隔には限度がある。また、より狭いコア間隔を必要とする場合、製造プロセスの難度が上昇する。そのため、特徴3を満足することによって、PBC1の製造プロセスの簡素化が可能である。
特徴4〜5によって、広い波長範囲において低損失、かつ製造誤差にも強い構造を実現可能となる。
一般に、高さが等しい矩形状コアを備えているPBCでは、コアの幅が大きいほどコアの断面積が増すことから、TEi及びTMjのコアへの光の閉じ込めが強くなる。その結果、屈折率の高いコアの影響を受けて、各導波モードの実効屈折率は増加する。特徴4より、入力ポート13aと入力ポート14aとを含む入射端面において、コア13のコア幅はコア14のコア幅よりも大きいため、TEi@14a(TMj@14a)よりもTEi@13a(TMj@13a)の実効屈折率が大きくなる。一方、出力ポート13bと出力ポート14bとを含む断面において、コア14のコア幅はコア13のコア幅よりも大きいため、TEi@13b(TMj@13b)よりもTEi@14b(TMj@14b)の実効屈折率が大きくなる。さらに、特徴5より、コア13とコア14とは連続的にコア幅を変化させるので、TEi(TMj)の実効屈折率は、光の進行方向に対して連続的に変化する。その結果、次の4つの導波モードの組み合わせC1〜C4は、連続した実効屈折率曲線で接続される。
組み合わせC1:TEi@13aとTEi@14b
組み合わせC2:TEi@14aとTEi@13b
組み合わせC3:TMj@13aとTMj@14b
組み合わせC4:TMj@14aとTMj@13b
ここで、実効屈折率曲線とは、光の進行方向に対する座標に対して、各座標のコア13とコア14とを含む導波路断面における導波モードの実効屈折率をプロットしたものを意味する。一般に、同一の実効屈折率曲線上にある導波モード同士は、光の進行方向に対するコア幅の変化を十分緩やかにする、即ち、入力ポート13a、入力ポート14a、出力ポート13b、及び出力ポート14bのそれぞれのコア幅を固定して、コア13とコア14との光の進行方向に対する長さ(以降、テーパ長と呼ぶ)を十分長くとることで、ほとんどエネルギー損失無く変換することが可能である。このような変換は、断熱変換と呼ばれる。
したがって、組み合わせC3と組み合わせC4とに注目すると、特徴4〜5よりテーパ長を長くすることで、TMjをコア13からコア14へ、又は、コア14からコア13へ低い損失で移すことが可能となる。
以上の原理について、非特許文献3を基にさらに詳しく述べる。まず、次の値を定義する。ここで、λは光波長を表す。
TEi@WG1:コア13が単独で存在する場合のTEiの実効屈折率
TEi@WG2:コア14が単独で存在する場合のTEiの実効屈折率
これらは、非特許文献3の式(19−14)の
Figure 0006356254
について、それぞれ
Figure 0006356254
に対応する。
TMj@WG1:コア13が単独で存在する場合のTMjの実効屈折率
TMj@WG2:コア14が単独で存在する場合のTMjの実効屈折率
これらは、非特許文献3の式(19−14)の
Figure 0006356254
について、それぞれ
Figure 0006356254
に対応する。
TEi:コア13のTEiとコア14のTEiとの光結合の強さ
TMj:コア13のTMjとコア14のTMjとの光結合の強さ
これらは、非特許文献3の式(19−14)のC(z)に対応する。
δTEi=(π/λ)×|NTEi@WG1−NTEi@WG2|
δTMj=(π/λ)×|NTMj@WG1−NTMj@WG2|
ただし、上述した各変数の定義は、光の進行方向に対して垂直な断面における局所モードを考慮している。δTEiは、コア13のTEiとコア14のTEiとの位相速度の差に関係し、δTMjは、コア13のTMjとコア14のTMjとの位相速度の差に関係する。δTEi(又はδTMj)は、その値が0に近いほどコア13とコア14との位相が整合していることを表す。
以下、TMjがコア13からコア14へ移るときの条件を説明する。
TMj<<δTMjのとき、光結合の強さに対して位相が整合しない度合いが勝る為、コア13のTMjはコア13に、コア14のTMjはコア14にそれぞれ局在する。言い換えると、コア13のTMjとコア14のTMjは、ほとんど相互作用せず、独立してコア13とコア14とが存在する場合と同様の電界分布になる。
一方、CTMj>>δTMjのとき、光結合の強さが位相が整合しない度合いに勝る為、コア13のTMjは、コア13とコア14とにまたがって存在する。コア14のTMjも同様に、コア13とコア14とにまたがって存在する。このような導波モードは、スーパモードと呼ばれる。言い換えると、コア13のTMjとコア14のTMjとは、それぞれ相互作用すると言える。
特徴4を満たすことで、入力ポート13a及び入力ポート14aを含む入射端面におけるδTMj、並びに、出力ポート13b及び出力ポート14bを含む出射端面におけるδTMjは、大きくなる。その結果、入射端面におけるTMj及び出射端面におけるTMjは、いずれも一方の導波路(コア13又はコア14)に局在する。
光の進行方向に対して、コア13のコア幅とコア14のコア幅とを徐々に近づけることによって、δTMjは0に近づく。そのため、コア13とコア14とにおける光結合が徐々に強くなる。コア13のコア幅と、コア14のコア幅とが等しくなるとき、即ち、コア形状がコア13とコア14とで合同となるとき、δTMj=0となり、TMjの電界は、コア13とコア14とに同じパワーの割合で存在する。このコア13とコア14とにおける光結合を介して、TMjは、コア13とコア14との間を移動する。
以上を踏まえると、次の理由から、広い波長範囲でTMjの損失は、小さくなる。
上述したように、テーパ化方向性結合器において、TMjが導波路間を移る部分は、それぞれの導波路のコア幅が等しい、即ち、コア形状が合同となる箇所の断面付近である。もし、波長が変化したとしても、常に上記で示したコア幅が等しくなる断面においてコア13とコア14とのそれぞれのTMjの実効屈折率が一致するので、導波路間のTMjの移動は成立する。即ち、特徴1〜5を備えているPBC1は、広い波長帯域で、低損失動作する。
製造誤差に強い理由は、次の通り。製造誤差としては、(1)コア幅が設計値より変化する、(2)コア高さが設計値より変化する、(3)コアの屈折率が設計値より変化する、(4)クラッドの屈折率が設計値より変化する、などが挙げられる。コア幅が設計値より変化する場合、特徴4が満たされていれば、常にWG1とWG2のコア幅が等しくなる断面が本発明の内部に存在するため、TMjの移動は可能である。コア高さが設計値より変化する場合であっても、一般に、同一高さのコアであるコア13,14は同一プロセスで作製されるため、コア高さは、コア13とコア14とで常に等しくなる。従って、同様に特徴2が満たされていれば、TMjの移動は可能である。コアの屈折率が設計値より変化する場合であっても、コア13,14は同一プロセスでされるため、コア13の屈折率とコア14の屈折率とは、等しいと見なせる。また、クラッドの屈折率が設計値より変化する場合であっても、クラッドに対するコア13の比屈折率差とクラッドに対するコア14の比屈折率差とは、等しいと見なせる。そのため、TMjの移動は可能である。
また、コアの高さがコア13とコア14とで異なった場合、及び、コア形状が非対称な台形になる場合でも、TMjの実効屈折率が、入力ポート14aよりも入力ポート13aの方が大きく、出力ポート13bよりも出力ポート14bの方が大きい、という関係を維持していれば、TMjの移動は可能となる。
以上より、PBC1は製造誤差に強いと言える。
PBC1は、以上の特徴に加えて非特許文献3及び4には開示されていない、次の2つの特徴を更に備えている。
特徴6:コア13及びコア14の至る所で、TMjの実効屈折率はTEiの実効屈折率よりも常に小さい。
特徴7:コア13及びコア14は、下部クラッド11及び上部クラッド12に対して比屈折率差が大きな材料から構成される。
ここで、比屈折率差は次式で定義する。
Figure 0006356254
ここで、Ncoはコアの屈折率、Nclはクラッドの屈折率を表す。クラッドが複数の材料から構成される場合は、下部クラッド11及び上部クラッド12の屈折率を、それぞれ、Ncl1及びNcl2とし、最も屈折率の大きな材料の屈折率をNclとする。
特徴6〜7を備えていることにより、本発明はPBCとしての機能を有する。即ち、図1の(b)において、TMjの光パワーのみが隣接導波路(WG1からWG2又はWG2からWG1)へ移動し、TEiの光パワーは、そのごく僅かしか隣接導波路へ移動せず、大部分が同一の導波路から出力される、という効果を有する。その結果、例えば、TMjをコア13の入力ポート13aに、TEiをコア14の入力ポート14aにそれぞれ入力すると、両方の偏波はコア14の出力ポート14bから同時に出力される。従って、PBC1は、PBCとして機能する。また、出力ポート14bにTEiとTMjとを同時に入力すると、TMjは入力ポート13aから出力し、TEiは入力ポート14aから出力する。従って、PBC1は、偏波ビームスプリッタとしても機能する。
以下、効果を奏する理由を述べる。
特徴6を備えていることによって、TEiは、TMjよりもコアへの光閉じ込めの程度が大きくなる。これは、実効屈折率の大小が、コアへの光の閉じ込めの強弱に対応するためである。言い換えると、TMjの方が、クラッドに光が大きく浸み出すと言える。さらに、特徴7を備えていることによって、TEiとTMjとのクラッドへの光の浸みだしの程度の差をより大きくすることが出来る。言い換えれば、TEiとTMjとの実効屈折率の差をより大きくすることが出来る。これは以下の理由による。
TEiの電界は、幅方向(x方向)の電界成分(Ex)が主であり、TMjの電界は、高さ方向(y方向)の電界成分(Ey)が主である。コア幅を大きくすると、光の閉じ込めが大きくなり、それに応じて実効屈折率が増加するが、この増加率はTMjに比べTEiの方が大きい。これは、電界のコアとクラッドとの境界条件から説明できる。マクスウェルの方程式より、コア側面(左右両方)における電界の境界条件は、式(6)及び式(7)で定められる。
Figure 0006356254
Figure 0006356254
ここで、各パラメータは以下の通り。
Figure 0006356254
は、側面境界上のクラッド側のExを表し、
Figure 0006356254
は、側面境界上のコア側のExを表し、
Figure 0006356254
は、側面境界上のクラッド側のEyを表し、
Figure 0006356254
は、側面境界上のコア側のEyを表す。
TEiには、式(6)が大きく関係し、TMjには、式(7)が大きく関係する。式(6)を見ると、Nco>Nclである為、コア側面境界でExは不連続になり、
Figure 0006356254
よりクラッド側に大きく電界が分布する。ただし、特徴6が満たされる場合、TEiよりもTMjの方が、クラッドへの電界の浸み出しが小さい。その為、コア幅が大きくなると、外側に大きく分布していたExがコアに分布することになり、コアに大きく電界が閉じ込められる。
一方で、式(7)を見ると、Eyはコア側面境界で連続的に変化する。その為、コア幅の変化に対して、Ex成分ほどの変化はない。従って、コア幅を大きくすると、Eyが主電界であるTMjに比べて、Exが主電界であるTEiの方がコアへの光閉じ込めが大きくなる。その結果、実効屈折率の増加率もTEiが大きくなる。しかしながら、式(5)で示す比屈折率差が小さいと、TEiの境界面上における不連続性が小さくなり、コア幅に対するTMjの閉じ込めの程度と同程度となる。一方で、比屈折率差が大きいと、TEiの境界面における不連続性が大きくなり、TEiは、TMjと比べてより強くコアの中に閉じ込められる、言い換えると、比屈折率差を大きくすることによって、TEiのクラッドへの浸み出しを小さくすることが出来る。その結果、特徴7によって、コア幅を増やすことで、TEiとTMjとのクラッドへの光の浸みだしの程度に、大きな差をつけることが可能となる。
比屈折率差が大きさに起因して、TEiとTMjの実効屈折率にどのような変化が生じるかをみるため、比屈折率差が5%の場合と、40%の場合とにおいて、コア幅に対するTE0及びTM0のそれぞれの規格化した実効屈折率を計算した。その計算の結果を、図2に示す。図2の(a)は、計算に用いたコアの構成を示す断面図である。図2の(b)は、比屈折率が5%である場合の計算結果を示すグラフであり、図2の(c)は、比屈折率が40%である場合の計算結果を示すグラフである。図2の(a)に示すように、コアの高さhは220nmとし、シリコン製であるコアの屈折率は3.47として、比屈折率差に応じて上部クラッドの屈折率(=下部クラッドの屈折率)を定めた。TE0及びTM0の波長は、1550nmとした。また、規格化した実効屈折率は、式(8)により求めている。
Figure 0006356254
図2の(b)及び(c)の結果を比較すると、比屈折率差が5%の場合は、コア幅を大きくしてもTE0とTM0とにおいて、規格化実行屈折率の差が非常に小さい。具体的には、コア幅400nmから1000nmの範囲において、規格化実行屈折率の差の最大値は、0.01であった。一方、比屈折率差が40%の場合、規格化実行屈折率の差が非常に大きいことが分かる。具体的には、コア幅400nmから1000nmの範囲において、規格化実行屈折率の差の最小値は、0.23であった。実効屈折率は、コアへの光閉じ込めを表し、言い換えると、クラッドへの光の浸みだしの程度を表す。そのため、比屈折率差が大きい場合は、TE0とTM0とのクラッドへの光の浸みだしの程度に、大きな差が生じるといえる。
以上より、本発明ではTEiに比べTMjの方がクラッドへの光の浸み出しが大きい。クラッドへの光の浸み出しが大きいと、隣接する導波路への光結合が強まる。そのため、特徴6〜7を備えていることによって、式(9)が常に成立する。
Figure 0006356254
この関係は、TEi及びTMjが、断熱変化によって導波路間を移動するのに必要なテーパ長に関係する。このテーパ長の評価指標として、非特許文献3の式(19−3)のZbがあげられる。この値が大きいほどテーパ長を長くする必要がある。Zbは、同一偏波においてコア13とコア14とを導波する2つの導波モードの伝搬定数の差(実効屈折率の差/(2π/λ))によって決まるので、TEiとTMjとのそれぞれのZbは、式(10)及び式(11)のように書ける。
Figure 0006356254
Figure 0006356254
最もZbが大きくなるのは、コア13とコア14とのそれぞれのコア幅が等しくなる時で、このときδTEi=0及びδTMj=0となる。したがって、式(10)は式(12)になり、式(11)は式(13)になる。
Figure 0006356254
Figure 0006356254
これより、光結合が大きいほど、短いテーパ長で導波路間の断熱的な移動が起こる。特徴6〜7を備えていることによって、式(9)の関係が成立することから、Zb(TMj)は、Zb(TEi)より短くなる。即ち、テーパ長として、TMjが断熱的に導波路間を移動するのに必要な長さを設定することで、TMjを低損失に移動させ、かつTEiはほとんど導波路間を移動させない、ということが可能となる。
さらに、特徴7を備えていることによって、PBC1は、次の効果を奏する。TEi及びTMjの導波路間の移動は、それぞれCTEi>>δTEi及びCTMj>>δTMjとなる範囲で強く行われる。導波路間の移動が行われる範囲(相互作用領域と呼ぶ)で断熱変換を行うためには、他の部分よりも特に長いテーパ長を必要とする。これは、式(10)及び式(11)からも分かり、CTEi>>δTEi及びCTMj>>δTMjのとき、Zb(TEi)及びZb(TMj)はそれぞれ大きくなる。
PBC1は、コア13及びコア14のコア幅を変えることで、TMjを一方の導波路に局在している導波モードから、他方の導波路に局在している導波モードに移している。式(6)及び式(7)で示したように比屈折率差が大きい場合、コア幅を変化させたときの実効屈折率の変化量がTMjよりもTEiの方が大きい。そのため、コア幅の変化に対して、δTEiは、δTMjよりも急激に変化し、その結果、テーパ部分全体に占める相互作用領域の割合がTEiよりもTMjの方が多くなる。したがって、同じテーパ長でも、相対的にTEiよりもTMjの方が、緩やかに導波路間の光パワーの移動がおこり、その結果、TMjのみ選択的な導波路間の移動が可能となる。
以上に示したように、PBC1は特徴6〜7を備えていることによって、TMjのみ選択的に導波路間の移動を可能する。その結果、PBC1は、PBCとしての機能を有する。
以上の条件を満たす比屈折率差は次のように与えられる。式(6)より、比屈折率差が大きいほど、コア幅に対するTEiの実効屈折率の増加の影響が顕著となり、その結果、大きなCTMjとCTEiとの差が得られる。支配的なパラメータは、式(6)の
Figure 0006356254
であり、これが2以上であれば、TEiとTMjのコア幅を変化させたときの実効屈折率の変化量の差は2倍以上となり、その結果、TEiとTMjの分離の程度に2倍以上の差を付けれるため、十分であるといえる。このとき、比屈折率差は25%以上となる。従って、PBC1は、比屈折率差が25%以上であることを必要条件とする。
なお、非特許文献3及び4には、比屈折率差が小さい(例えば、5%以下)テーパ化方向性結合器についてのみ記載されている。前述したように、比屈折率差が小さいとTEiとTMjとの特性が類似する。例えば、比屈折率差=5%のとき、
Figure 0006356254
となり10%しか差が生じない。そのため、このような比屈折率差が小さいテーパ化方向性結合器は、TMjの導波路間の移動だけでなく、TEiの導波路間の移動も同程度生じる。そのため、非特許文献3及び4では、隣接導波路間への光パワーの100%移動についてのみ開示している。言い換えれば、非特許文献3及び4に係るテーパ化方向性結合器は、PBCとして機能することは出来ない。
〔好ましい構成1〕
PBC1において、(1)コア13及びコア14は、Siからなり、(2)下部クラッド11は、SiOからなり、(3)上部クラッド12は、空気、SiO、及びSiの何れかからなることが好ましい。
この構成によれば、SOIウェハをCMOSプロセスによって加工することによって、PBC1を容易に製作できる。また、この構成によれば、高い比屈折率差を持つ導波路を得ることが可能となる。具体的には、上部クラッドが空気又はSiOからなる場合、比屈折率差は約41%であり、上部クラッドがSiからなる場合、比屈折率差は約32%である。
下部クラッド11は、SOIウェハのBOX層を利用することで形成できる。コア13及びコア14は、SOIウェハの最上位層であるSi層をエッチングによって加工することで形成できる。上部クラッド12は、コア形成後に所望の材料(SiO又はSi)を堆積させることで形成できる。なお、上部クラッド12が空気からなる場合は、SiO又はSiを堆積する必要はない。
特に、上部クラッド12としてSiOを用いる場合、下部クラッド11と同じ材料であるため、下部クラッド11と上部クラッド12との境界における応力を小さくでき、PBC1を制作するときの歩留まりをより高めることができる。
〔好ましい構成2〕
PBC1において、(1)コア13及びコア14は、Siからなり、(2)下部クラッド11は、SiOからなることが好ましい。その上で更に、コア13の幅を幅W1、コア14の幅を幅W2とした場合に、幅W1及び幅W2は、式(14)を満たす範囲内で変化することが好ましい。
Figure 0006356254
ここで、hは、コア13及びコア14の高さを表す。また、Wupperは、式(15)で表される。なお、式(15)においてeは、ネイピア数である。
Figure 0006356254
これより、TE0とTM0との偏波多重又は分離を行う場合に、TM0の過剰損失を下げることが可能となる。
TE0とTM0とを対象とした場合、特徴6を満たすためには、コアの幅W1及び幅W2は、コアの高さhより大きい必要がある。これは、矩形導波路において、コア幅=コア高さとなるとき、コアの断面形状が正方形となり、TE0とTM0とは、90度回転した同一の電界分布を示す為である。
コア幅の最大値Wupperは、次のように定まる。実際の製造において、コア側壁が下部クラッド11の上面に対して完全に垂直にならず、図3の(a)及び(b)に示すような台形状になる場合がある。これは、巨視的には矩形状とみなせるが、次の点でTM0の損失増加につながる。非特許文献5が示すように、図3の(a)及び(b)のような高さ方向に非対称な屈折率分布を持つ場合、TM0とTE1との実効屈折率が同じになるようなコア幅では、TM0とTE1とは、相互作用する。
その結果、TM0の一部がTE1に変換し、過剰損失を生じさせる。したがって、この不要な損失を防ぐためには、コア幅は、TE1とTM0との実効屈折率が同じになるコア幅よりも小さくする必要がある。そのため、TE1とTM0との実効屈折率が同じになるコア幅をWupperとする。高さhで規格化したWupperのシミュレーション結果を、図4に示す。ここで、波長は、1550nmとした。図4に記載のドットは、シミュレーション結果を示し、点線は、このシミュレーション結果を内挿した曲線を示す。この曲線より、Wupperは、式(15)のように定められる。
以上より、TE0とTM0との偏波多重又は分離を行う場合、TM0の過剰損失を下げることが可能となる。TE0とTM0とは、それぞれの偏波において最も実効屈折率が高いことから、最もコアへの閉じ込めが強い。その結果、曲げ導波路での損失が小さいくなる。このような理由により、TE0とTM0とは一般的に最も使用される。そのため、TM0の過剰損失を抑える好ましい構成2は、実用上有用である。
〔その他の利用方法〕
PBC1は、TMjのみを低損失でコア13とコア14との間を移動することができる。したがって、PBC1は、TMj又はTEiの偏波を抽出する基板型光導波路を用いた偏光子として利用可能である。
TMjに対する偏光子として利用する場合、例えば、入力ポート13aを入力ポートとし、出力ポート14bを出力ポートとすることで、入力ポート13aにTEiとTMjとが入力された場合、このうちTMjのみを出力ポート14bから抽出できる。
TEiに対する偏光子として利用する場合、例えば、入力ポート13aを入力ポートとし、出力ポート13bを出力ポートとすることで、入力ポート13aにTEiとTMjとが入力された場合、このうちTEiのみを出力ポート13bから抽出できる。
いずれの場合も、広い波長範囲で低損失な動作が可能であるPBC1を用いることで、広い波長範囲で低損失かつ高偏波消光比をもつ偏光子を実現可能である。
さらに、多段接続することで偏波消光比を向上させることが可能となる。
〔PBC1の構成〕
PBC1の構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、PBC1の構成を示す斜視図である。図6の(a)は、PBC1のコア13及びコア14の構成を示す上面図である。図6の(b)〜(d)は、それぞれ、図6の(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線におけるPBC1の断面図である。
図5の(a)に示すように、PBC1は、下部クラッド11上に配置される第1のコア13と、第2のコア14と、第1のコア13及び第2のコア14を埋設するように下部クラッド11上に積層された上部クラッド12とを備えている。第1のコア13及び第2のコア14は、光の進行方向に直交する断面が矩形状のコアである。コア13及びコア14は、TE偏波としてTE0(TE0偏波とも呼ぶ)を導波し、TM偏波としてTM0(TM0偏波とも呼ぶ)を導波するものとして説明する。また、コア13及びコア14は、シリコン製であり、下部クラッド11及び上部クラッド12は、シリカ製であるものとして説明する。しかし、コア13及びコア14、並びに、下部クラッド11及び上部クラッド12を構成する材料の組み合わせは、これに限定されるものではない。
以下において、下部クラッド11の屈折率をNcl1、上部クラッドの屈折率をNcl2とする。下部クラッド11と上部クラッド12とが同じ材料によって構成されている場合は、Ncl1=Ncl2=Nclとする。下部クラッド11と上部クラッド12とが異なる材料によって構成されている場合は、屈折率Ncl1と屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとする。PBC1において、上述した式(5)で定義される比屈折率は、0.25以上である。
第1のコア13と第2のコア14とは同じ材料によって構成されており、その屈折率をNcoは、Nco>Ncl1,Ncl2を満足する。また、コア13の幅及び高さを、それぞれ、W1及びh1とし、コア14の幅及び高さを、それぞれ、W2及びh2とする。PBC1において高さh1と高さh2とは等しく、以下においてh1=h2=hとする。コア13の幅W1及びコア14の幅W2は、それぞれ、コア13とコア14との共通の高さである高さhよりも大きい。
また、コア13とコア14との間隔を幅WGとしたとき、第1のコア13と第2のコア14との並走しているPBC1の全長にわたって幅WGは一定である。以下において、第1のコア13と第2のコア14とが並走している区間のことを並走区間とも表現する。
以下において、下部クラッド及び上部クラッドに第1のコアのみが埋設されている状態(PBC1において第2のコア14が存在しない状態)の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とする。また、下部クラッド及び上部クラッドに第2のコアのみが埋設されている状態(PBC1において第1のコア13が存在しない状態)の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2とする。
上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、第1のコア13と第2のコア14とが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続である。
上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足する。
上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転する。具体的には、PBC1において、上記並走区間の始点においてNTM@WG1>NTM@WG2であり、上記並走区間の終点においてNTM@WG1<NTM@WG2である。
これらの要件を満たすために、コア13の幅W1は、入力ポート13aから出力ポート13bに近づくに従って線形に変化する。同様に、コア14の幅W2は、入力ポート14aから出力ポート14bに近づくに従って線形に変化する。言い換えれば、幅W1及び幅W2は、光の進行方向に対して線形に変化する。コア13及びコア14のこのような形状は、PBC1の設計をより容易にするという観点で好ましい。
幅W1と幅W2とが等しくなる断面は、PBC1の中央に位置する。この構成は、コア13とコア14とが相互作用する相互作用領域を広くとることが可能であるために好ましい。
なお、本実施形態では幅WGを一定としているが、幅WGは必ずしも一定でなくてもよい。特に、相互作用領域(幅W1と幅W2とが同じになる断面付近)は、他の部分に比べて長いテーパ長が必要なため、入力ポート13a及び14aから相互作用領域にかけて導波路幅が狭くなる構造、及び、出力ポート13b及び14bから相互作用領域にかけて導波路幅が狭くなる構造は、相互作用領域において結合長を高めることが可能なため好ましい。
また、幅W1及び幅W2は、光の進行方向に対して、必ずしも線形に変化する必要は無く、相互作用領域において、より緩やかな関数で変化するように構成されていてもよい。この構成は、相互作用領域におけるテーパ長を相対的に長くできるために好ましい。
また、PBC1は、矩形状コアを前提としているが、一回のエッチングで作製可能であるリブ導波路を用いてコア13及びコア14を構成することも可能である。ただし、この場合、コア側壁が矩形導波路に比べて少ないことから、リブ幅(コア幅に相当)したときの、TE0とTM0との実効屈折率の変化量の差が小さくなる。
〔第1の実施例〕
第1の実施例に係るPBC1について、図7〜15を参照して説明する。本実施例では、PBC1を用いてTE0とTM0との偏波多重又は分離を行うことを目的としている。図7は、本実施例に係るPBC1の各部におけるサイズを示す概略図である。図7の(a)は、PBC1の上面図であり、(b)は、光の進行方向に垂直な面における、PBC1の断面図である。
また、図8の(a)は、PBC1が備えているコア14を備えていない(コア113のみを備えている)矩形状導波路101aの実効屈折率、及び、PBC1が備えているコア13を備えていない(コア114のみを備えている)矩形状導波路101bの実効屈折率の計算結果を示すグラフである。矩形状導波路101a及び矩形状導波路101bは、本実施例に係るPBC1の比較例の一態様である。図8の(b)は、下部クラッド111と、上部クラッド112と、埋設されたコア113(第1のコアに対応する)とを備えている導波路101aの構成を示す断面図である。図8の(c)は、下部クラッド111と、上部クラッド112と、埋設されたコア114(第2のコアに対応する)とを備えている導波路101bの構成を示す断面図である。
図7の(b)に示すXが−100から100の範囲を変化することで、光の進行方向に対してコア13の幅W1及びコア14の幅W2が線形に変化する。具体的には、(1)A−A’線の位置、すなわち、入力ポート13a及び入力ポート14aの位置において、幅W1は600nm(X=−100nm)であり、幅W2は400nm(X=−100nm)であり、(2)E−E’線の位置、すなわち、出力ポート13b及び出力ポート14bの位置において、幅W1は400nm(X=100nm)であり、幅W2は600nm(X=100nm)であり、(3)C−C’線の位置、すなわち、入力ポート13a(14a)と出力ポート13b(14b)との中点の位置において、幅W1及び幅W2は、いずれも500nm(X=0nm)である。また、コア13及びコア14の高さhは、220nmとした。
下部クラッド11としては、SOIウェハのBOX層を用いた。
SOIウェハ最上位層のシリコン(Si)層をエッチングで加工することによって、コア13及びコア14を作製した。
コア13及びコア14を作成した後、コア13及びコア14を埋設するようにシリカ(SiO)を堆積させることで、上部クラッド12を形成した。
以上のように、本実施例において、コア13及びコア14はシリコン製であり、下部クラッド11及び上部クラッド12はシリカ製である。
本実施例において、光の進行方向に垂直な断面におけるTE0とTM0との実効屈折率を計算した。まず始めに、コア13が下部クラッド11及び上部クラッド12中に独立して存在する導波路101a(図8の(b)参照)と、コア14が下部クラッド11及び上部クラッド12中に独立して存在する導波路101b(図8の(c)参照)とにおいて、それぞれの導波路についてTE0及びTM0の実効屈折率を計算した。それらの結果を、図8の(a)に示す。光の波長は、1550nmとして計算した。この図8の(a)より、コア幅が600nmから400nmへ200nmだけ変化する間に、TE0の実効屈折率は0.35だけ変化し、TM0の実効屈折率は0.13だけ変化することが確認された。即ち、TE0の実効屈折率の方が、TM0の実効屈折率よりも大きな変化をする。これは、本実施例に係るPBC1が、特徴7に示した比屈折率の大きな導波路から構成されているためである。本実施例において、コア(13、14)とクラッド(11、12)との比屈折率差は、約41%である。
なお、図8の(a)において、TE0及びTM0のそれぞれの実効屈折率の差の絶対値が、δTE0/(π/λ)、δTM0/(π/λ)に相当するため、これより、δTE0及びδTM0を求めることができる。
続いて、図7の(b)に示す断面図のように、コア13とコア14とを隣接させたPBC1の光の進行方向に対して垂直な断面における導波モードの実効屈折率を計算した結果を図9に示す。図9において同じ種類の曲線で描いたグラフは、それぞれ連続的に繋がっている。図8の(a)では実効屈折率が交差していた点が、図9においては、コア13とコア14とを間隔WG=350nmで隣接させることで相互作用し、交点が分離する。その結果、一つの曲線でコア13のTE0とコア14のTE0とが接続され、別の一つの曲線でコア13のTM0とコア14のTM0とが接続される。このときの、TE0の実効屈折率の差の絶対値は、
Figure 0006356254
に相当し、TM0の実効屈折率の差の絶対値は、
Figure 0006356254
に相当するため、これらと、図8の(a)から得られるδTE0及びδTM0を用いて、CTE0及びCTM0を求めることが出来る。X=0における、CTE0及びCTM0は、それぞれ0.01rad/μm及び0.13rad/μmとなり、TM0の方が結合が非常に大きい。これは、特徴6、7を満たすためである。この結果を用いて、式(10)のZb(TE0)及び式(11)のZb(TM0)を求めると、それぞれ470μm及び50μmとなった。従って、TM0が断熱変換により隣接導波路へ移動するのに必要な長さは、TM0に比べて非常に短くて済むということが分かる。
さらに、Xについて、CTE0とδTE0の比(δTE0/CTE0)、CTM0とδTM0の比(δTM0/CTM0)をそれぞれ求めた。結果を図10に示す。この比が小さいほど、コア13及びコア14のTE0は強く相互作用する。本明細では、2以下を相互作用領域とする。TM0についても、TE0と同様である。図10を見ると、X=0では、δTE0、δTM0が0となるため、最も強く相互作用することが分かる。X=0の前後では、コア幅が変化したことによって、δTE0、δTM0が増加し、その結果、相互作用が弱まる。ここで、特徴7(比屈折率差が大きい)によって、コア幅を変化させたときの実効屈折率の増加量がTE0がTM0よりも大きいため、δTM0/CTM0に比べて、急激にδTE0/CTE0が増加している。その結果、デバイス全体に対するTE0の相互作用領域(−10<X<10)は、TM0の相互作用領域(−90<X<90)よりも小さい。そのため、TE0はTM0よりも急激に電界分布の変化が生じるため断熱変換がほとんど生じず、一方で、TM0は効率的な断熱変換が可能であることが分かる。
以上の結果を詳しくみるため、図7に示すA−A’線、B−B’線、C−C’線、D−D’線、及びE−E’線による断面におけるTE0とTM0との電界分布をシミュレーションした。それらの結果を、図11〜図15に示す。図11〜図15の各図において、TE0は主電界成分であるExを、TM0は主電界成分であるEyを示している。TE0#0、TE0#1は、WG1とWG2を隣接させた断面のTE偏波のうち、それぞれ1番目、2番目に実効屈折率が大きいモードを表す。同様に、TM0#0、TM0#1は、WG1とWG2を隣接させた断面のTM偏波のうち、それぞれ1番目、2番目に実効屈折率が大きいモードを表す。
TM0では、断熱変換が成立するためTM#0もしくは、TM#1の一方から他の導波モードへほとんど移ることはない。例えば、図11〜図15を見ると、X=−100でコア13に入力したTM0は、TM0#0の電界分布を辿ることで、X=100でコア14から出力される。導波路を移動するのはX=0付近(図13参照)で、このときの電界分布は隣接導波路のTM0が最も強く相互作用することで、両方の導波路にTM0が存在していることが見て取れる。また、同様にコア14に入力したTM0は、TM0#1の電界分布を辿ることで、X=100でコア13から出力される。
一方で、TE0は断熱変換がほとんど行われない為、同一の導波路に電界が局在したまま出力される。例えば、図11〜図15を見ると、X=−100でWG1に入力したTE0は、TE0#0の電界分布を励起するが、X=−10までほとんど隣接導波路へTE0は移動しない。X=0では、断熱変換が成立し無いため、TE0#0とTE0#1の電界分布の両方を励起する。図には示していないが、TE0#0とTE0#1は偶モードと奇モードと呼ばれるモードであり、TE0#1の電界分布は幅方向に反対称となる。そのため、励起されたこれら2つの導波モードは、重ね合わさった結果、ほとんどWG1に電界が局在するような電界分布を形成する。その後、X=10、100において、コア13の導波路を辿る為、TE0は隣接する導波路へ移動することなく、そのまま出力される。X=−100でコア14に入力したTE0も同様に、コア14から出力される。
以上の説明は、本実施例に限るものではなく、TEiとTMjとを扱う本発明全てについて、同様に成り立つ。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態に係るPBC1Aについて、図16を参照しながら説明する。PBC1Aは、実施形態に係るPBC1の前段及び後段に、それぞれ、曲げ導波路部2及び3を接続した基板型光導波路素子である。
PBC1の前段に設けられている曲げ導波路部2は、図16に示すように、第3のコア23及び第4のコア24を備えている。第3のコア23は、PBC1の並走区間の始点を介して第1のコア13と連通するコアである。第4のコア24は、上記始点を介して第2のコア14と連通するコアである。第3のコア23及び第4のコア24は、いずれも、第1のコア13及び第2のコア14と同じくシリコン製である。従って、第3のコアの屈折率及び第4のコアの屈折率は、いずれも、第1のコア13の屈折率及び第2のコア14の屈折率と同じである。第3のコア23と第4のコア24との間隔は、上記始点から離れるに従って大きくなる。
第3のコア23の幅W3は、上記始点における第1のコア13の幅W1と一致している。幅W3は、第3のコア23の一方の端部である第3の入力ポート23aから、第3のコア23の他方の端部である第3の出力ポート23bに至るまで一定であることが好ましい。
第4のコア24の幅W4は、上記始点における第2のコア14の幅W2と一致している。幅W4は、第4のコア24の一方の端部である第4の入力ポート24aから、第4のコア24の他方の端部である第4の出力ポート24bに至るまで一定であることが好ましい。
PBC1の後段に設けられている曲げ導波路部3は、第5のコア33及び第6のコア34を備えている。曲げ導波路部3は、曲げ導波路部2と対応した構成である。具体的には、第5のコア33は、第3のコア23に対応し、第6のコア34は、第4のコア24に対応している。
第5のコア33は、PBC1の並走区間の終点を介して第1のコア13と連通するコアである。第6のコア34は、上記終点を介して第2のコア14と連通するコアである。第5のコア33及び第6のコア34は、いずれも、第1のコア13及び第2のコア14と同じくシリコン製である。従って、第3のコアの屈折率及び第4のコアの屈折率は、いずれも、第1のコア13の屈折率及び第2のコア14の屈折率と同じである。第5のコア33と第6のコア34との間隔は、上記終点から離れるに従って大きくなる。
第5のコア33の幅W5は、上記終点における第1のコア13の幅W1と一致している。幅W5は、第5のコア33の一方の端部である第5の入力ポート33aから、第5のコア33の他方の端部である第5の出力ポート33bに至るまで一定であることが好ましい。
第6のコア34の幅W6は、上記始点における第2のコア14の幅W2と一致している。幅W6は、第6のコア34の一方の端部である第6の入力ポート34aから、第6のコア34の他方の端部である第6の出力ポート34bに至るまで一定であることが好ましい。
曲げ導波路部2を接続することで、コア13とコア14との間隔を広げることなしに、コア23とコア24との間隔を広げることができる。また、曲げ導波路部3を接続することで、コア13とコア14との間隔を広げることなしに、コア33とコア34との間隔を広げることができる。したがって、入力ポート23a、入力ポート24a、出力ポート33b、及び出力ポート34bにおいて不要な光反射が生じることを抑制することができる。
また、隣接するコア13とコア14とを徐々に離間できることから、連続的にTM偏波の光結合の強さを強める(入力側)/弱める(出力側)ことができる。これにより、入出力部から離れるに従い、隣接導波路のTM偏波の光結合の強さを弱めることができるため、TM偏波はより一方の導波路へ局在した電界分布を持つことができ、他方の導波路に残存することで生じる損失を低下することができる。
曲げ導波路は、WG1、WG2の両方に接続してもよいし、片方だけでも良い。図16に示すように、コア幅が太い導波路端面には直線導波路を接続し、コア幅が細い導波路端面に曲げ導波路を接続した場合、TM0を図16の左上のportに入力、TE0を左下のportに入力し、右下のportからTE0とTM0の出力を得るようにすれば、PBCとして使用する際に、最も少ない回数で曲げ導波路を光が通ることになり好ましい。特にこの場合、TE0の方が、TM0よりコアへの光閉じ込めが強いので、TE0が曲げ導波路を通るように想定している。
なお、WG1とWG2を接近/離間する方法は曲げ導波路に限らず、任意の曲線形状を用いることが出来る。
また、少なくともWG1、WG2が接近する前段と、離間した後段の一方において、光配線を成す光導波路と低損失に接続する為、この光配線と同じコア幅に連続的に変化するテーパ導波路を接続してもよい。
〔第2の実施例〕
第2の実施形態の図16に対応した実施例を挙げる。曲げ導波路部2及び3において、直線導波路部分である第3のコア23及び第6のコア34は、それぞれ第1のコア13の入力ポート13a及び第2のコア14の出力ポート14bのコア幅を維持したまま延長されている。曲げ導波路である第4のコア24及び第5のコア33は、それぞれ第2のコア14の入力ポート14a及び第1のコア13の出力ポート13bのコア幅を維持したまま延長されている。コア24及びコア33は、円弧状に曲げている。
図16の並走区間は、実施例1と同じ寸法である。本実施例に係るPBC1Aは、実施例1と同様のプロセスで作製可能である。以下において、並走区間のことをテーパ部とも記載し、並走区間の長さをテーパ長とも記載する。
以下、シミュレーションにより、本実施例に係るPBC1AがPBCとして機能することを示す。
まず始めに、port1−1にTM0を入力したときに、port2−2から出力されるTM0の損失を有限差分時間領域法(FDTD)によって計算した。その結果を図17に示す。波長は1550nmとした。これより、テーパ長が80μm以上であれば、PBC1Aの損失は0.01dB以下となり、断熱変換が十分成立していることが分かる。このとき(テーパ長=80μm)の、電界の伝搬する様子を図18に示す。図18の(a)には、port1−1にTM0を入力したときのEy成分の電界分布を示す。図18の(b)には、port1−1にTE0を入力したときのEx成分の電界分布を示す。図18の(a)より、TM0はコア13の中央付近で徐々にコア14に移動することが分かる。一方で、TE0はコア14にほとんど移動することなくコア13を通り抜けることが分かる。従って、TE0及びTM0における偏波分離が可能であることが分かる。
続いて、PBC1AをPBCとして使用することを想定して、波長に対するこのときのTE0とTM0の損失と、偏波消光比(PER)をFDTDで計算した。結果を図19に示す。テーパ長は、80μmとした。図19の(a)には、port1−1にTM0を入力し、port2−2から出力するときの損失(式(1)に相当)を示し、(b)には、port1−1にTE0とTM0をそれぞれ入力した時に、port2−2から出力されるそれぞれの偏波の損失比であるPER(式(3)に相当)を示し、(c)には、port1−2にTE0を入力し、port2−2から出力するときの損失(式(2)に相当)を示し、(d)には、port1−2にTE0とTM0をそれぞれ入力した時に、port2−2から出力されるそれぞれの偏波の損失比であるPER(式(4)に相当)を示した。なお、図19には、後述する比較のための従来技術の結果も併記している。
図19の結果より、CバンドとLバンドを含む120nmの非常に広い波長範囲で、TM0の損失は0.1dB以下、TE0の損失は0.32dB以下であり、ともに非常に小さいことが分かった。また、PERは、それぞれ10dB以上あり、不要な偏波成分を1/10以下まで抑え込むことが可能であることが分かる。
続いて、製造誤差の影響をFDTDで計算した。製造誤差としてコアの高さがコア13とコア14とでともに約5%だけ設計値より大きくなる場合を想定し、このときのport1−1に入力され、port2−2から出力されるTM0の損失を計算した。製造誤差がある場合とない場合とについて、結果を図20に示す。この結果より、製造誤差の影響下でも、PBC1Aは、120nmの広い波長範囲で0.1dB以下の低い損失を持つことが分かる。
〔比較例〕
第2の実施例と非特許文献2の構造をシミュレーションで比較した。比較に用いた従来技術に係るPBC201の寸法を図35に示す。第2の実施例に係るPBC1Aとの比較のため、PBC201のコア高さ、導波路間隔及び材料は、それぞれPBC1Aと同じとした。直線部分の長さは、波長範囲1520nm〜1640nmにおいて、port1−1に入力したTM0の損失の最大値が最小となるように定めた。また、この条件下で、コア幅は、port1−1のPERが第2の実施例と同程度となるように定めた。このときの結果を図19に示す。
図19より、全ての特性において、PBC1AがPBC201を上回っていることが分かった。特に、TM0の損失は、PBC201では最大で0.43dBであるのに対して、PBC1Aでは最大で0.1dBであった。即ち、従来技術に比べ、PBC1Aは、広い波長範囲で高い性能をもつことが分かる。
さらに、図20で計算したときと同様の製造誤差を考慮したときの従来技術の性能を計算した。結果を図21に示す。PBC201では、製造誤差の影響でコアの大きさが変化し、その結果、TM0の閉じ込めの程度が変わる為、並走区間における結合長が変化する。そのため、図21に示すように、損失が最小となる中心波長がずれ、波長範囲1520nm〜1640nmにおいて、最大損失が0.43dBから0.84dBまで増加する。一方、前述したようにPBC1Aは、同じ程度の製造誤差の影響を受けても、0.1dB以下の低い損失を維持する。
〔PBC1Aの作製〕
本実施例に係るPBC1Aを作製し、その諸特性を測定した。その結果を図22に示す。テーパ長は120μmである。図22の(a)には、100nmの広い波長範囲における、port1−1にTM0を入力し、port2−2から出力するときの損失(式(1)に相当)を示し、(b)には、port1−1にTE0とTM0をそれぞれ入力した時に、port2−2から出力されるそれぞれの偏波の損失比であるPER(式(3)に相当)を示し、(c)は、port1−2にTE0を入力し、port2−2から出力するときの損失(式(2)に相当)の測定結果を示している。
これらの結果より、TM0の最大損失は0.16dBであり、非常に小さい損失で動作可能であることを実証した。また、port1−1のPERは、10.6dB以上であり十分大きい値である。TE0の損失の最大値は0.59dBであり、こちらも小さい値で動作可能であることが分かる。
以上のように本実施例に係るPBC1Aは、従来技術の問題点を改善する大きな効果をもっていることを実証済みである。
〔第3の実施形態〕
本実施形態に係るPBC1Bは、第2の実施形態に係るPBC1Aに対して、不要な偏波成分を除去する構造である終端部4を付加したものである。例えば、port1−1にTEiを入力した場合、そのパワーの大部分はport2−1から出力される。このTEiが不要な成分である場合、port2−1を光学的に終端する必要がある。もし、終端部が無いと、TEiは反射して戻り光になる可能性があり、ひいては、PBCを取り付ける光回路の性能に悪影響を及ぼす可能性がある。また、port1−1にTMjを入力した場合、そのパワーの大部分はport2−2から出力されるが、ごく一部隣接導波路に移りきらなかったTMj(残留TMj)はport2−1から出力される。同様の理由でこの残留TMjも除去することが好ましい。
図23(a)は、PBC1Bの構成を示す上面図である。ここでは、PBC1Bが備えているコアのみを図示している。図23の(a)に示すように、PBC1Bは、不要な光が出力される可能性があるport2−1に終端部4のコアとして第7のコア43を備えている。コア43は、第5のコア33を介して第1のコア13に連通している。コア43の幅は、光の進行方向に沿ってコア13から離れるにしたがって小さくなる。すなわち、終端部4は、コア幅が徐々に狭くなる逆テーパ導波路であるコア43を光終端として使用している。
コア幅が狭くなると、コアへの光の閉じ込めが弱くなり、電界の大部分はクラッドに浸みだす。そのため、不要な光の電界を徐々にクラッドに移すことができる。その結果、反射を抑えて不要な光を放出することが可能となる。
なお、PBC1Bでは、第6のコア34のport2−2から出力されるTMjを利用する前提で、第5のコア33のport2−1にコア43を設けている。しかし、port2−1から出力されるTEiを利用する場合は、第6のコア34のport2−2にコア43を設けてもよい。
〔変形例〕
第3の実施形態の変形例に係るPBC1Cについて、図23の(b)を参照して説明する。図23の(b)は、PBC1Cの構成を示す上面図である。ここでは、PBC1Cが備えているコアのみを図示している。PBC1Cは、終端部4’を備えている。終端部4’は、第5のコア33を介して第1のコア13に接続されている光吸収体43’を備えている。
光吸収体43’としては、例えば、コアにドーパントを打ち込んだP型半導体又はN型半導体を用いることができる。P型半導体及びN型半導体に打ち込まれたドーパントに起因するフリーキャリヤは、光を吸収する光吸収体として機能するためである。また、光吸収体43’として、金属又は金属化合物からなる光吸収体を用いてもよい。光吸収体43’を構成する材料は、特に限定されるものではなく、Cバンド及びLバンドを含む広い波長範囲において光を吸収する材料であればよい。
〔第4の実施形態〕
本実施形態に係る偏光子1Dについて、図24を参照して説明する。図24は、偏光子1Dの構成を示す上面図である。ここでは、偏光子1Dが備えているコアのみを図示している。偏光子1Dは、図16に示すPBC1Aを直列に2個接続した構造である。偏光子1Dは、第1のコア13及び第2のコア14を、それぞれn組備えた基板型光導波路素子であるとも表現できる。本実施形態では、前段のPBC1AをPBC1Aaと記載し、後段のPBC1AをPBC1Abと記載する。すなわち、偏光子の一方の端部から数えて、1組目の第1のコア13及び第2のコア14を備えたPBCがPBC1Aaであり、2組目の第1のコア13及び第2のコア14を備えたPBCがPBC1Abである。
PBC1Aaの第2のコア14は、PBC1Aaの第6のコア34及びPBC1Abの第3のコア23を介してPBC1Abの第1のコア13と連通している。偏光子1Dが偏光子として機能する理由は、以下の通りである。
PBC1Aaのport1−1にTE偏波及びTM偏波が入力された場合、(1)TM偏波の大部分は、PBC1Aaの並走区間において第2のコア14に移り、PBC1Aaのport2−2に至り、(2)TE偏波の大部分は、そのままPBC1Aaのport2−1に至り、(3)TE偏波の一部は、PBC1Aaの並走区間において第2のコア14に移り、PBC1Aaのport2−2に至る。
PBC1Aaのport2−2に至った(1)TM偏波の大部分と、(3)TE偏波の一部は、PBC1Abのport1−1に入力される。その場合、(4)TM偏波の大部分は、PBC1Abの並走区間において第2のコア14に移り、PBC1Abのport2−2から出力され、(5)TE偏波の一部は、そのままPBC1Abのport2−1から出力され、(6)TE偏波の一部のうちの更に一部は、PBC1Abの並走区間において第2のコア14に移り、PBC1Abのport2−2から出力される。
以上のように、PBC1Aを2つ直列に接続することによって、偏光子1Dは、PBC1Aを単独で用いた場合のPERと比較して、PERを向上させる効果を奏する。本実施形態では、2つのPBC1A(2組の第1のコア13及び第2のコア14)を直列に接続した場合を例に説明した。しかし、偏光子1Dは、3つ以上のPBC1A(2組以上の第1のコア13及び第2のコア14)を直列に接続することによって構成されていてもよい。n組(nは正の整数)の第1のコア13及び第2のコア14によって偏光子1Dが構成されている場合、i組目の第2のコア14は、i+1組目の第1のコア13と連通するように構成される。このとき、iは1≦i≦n−1の整数である。なお、i組目のコア14と、i+1組目のコア13との間には、コア13及び14とは異なる別のコアが介在していてもよい。
偏光子1Dを構成するPBC1Aの個数を増やすことによって、PERを更に向上させることができる。
〔第5の実施形態〕
上述の各実施形態に係るPBCは、非特許文献1に記載のDP−QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)変調器が備えている偏波ビームコンバイナとして利用可能である。DP-QPSK変調器では、光導波路にTE0とTM0の2つのモードが存在できることを利用して、TE0で入力した光を分岐して各々QPSK信号に変調したのち、片側のTE0をTM0に変換させて(偏波ローテータ)、2つのモードをPBCで同一光導波路上に多重し、TE0/TM0の両モードに独立したQPSK信号を有するDP-QPSK変調を行う。TE0とTM0とを偏波多重するPBCとして、上述の各実施形態に係るPBC1及びPBC1A〜1Cを利用することができる。
本実施形態では、第1の実施形態に係るPBC1を偏波ビームコンバイナとして含む光変調器5について、図25を参照して説明する。図25は、そのような光変調器5の構成を示すブロック図である。
DP−QPSK変調器である光変調器5は、図25に示すように、(1)TE0をQPSK変調する第1のQPSK変調器51と、(2)TE0をQPSK変調する第2のQPSK変調器52と、(3)第2のQPSK変調器52により変調されたTE0をTM0に変換する偏波ローテータ53と、(4)第1のQPSK変調器51により変調されたTE0と偏波ローテータ53により得られたTM0とを偏波多重するPBC54とを備えている。
PBC54は、図6に示すPBC1と同様に構成されている。PBC54の第1のコア13入力ポート13aには上記TM0が入力され、第2のコア14の入力ポート14aには上記TE0が入力される。PBC54は、上記TM0と上記TE0とを偏波多重し、第2のコア14の出力ポート14bから偏波多重されたTM0及びTE0を出力する。
偏波ビームコンバイナとしてPBC54を備えている光変調器5は、Cバンド及びLバンドを含む広い波長範囲で低損失である。そのため、これらの広い波長範囲で低損失な基板型光導波路によるDP-QPSK変調器が実現可能である。また、本発明は通常多くの場合で使用される矩形導波路で作製可能なため、DP-QPSKの光配線を成す光導波路と一括作製が可能であり、余分なプロセスは不要となる。
なお、TE0とTM0を変調する方式はQPSKに限らず、複雑な構成を持つ変調器であっても、本発明を用いて偏波多重を行うことが可能である。
〔第6の実施形態〕
本実施形態に係る基板型光導波路素子6について、図26を参照して説明する。図26は、基板型光導波路素子6の構成を示すブロック図である。図26に示すように、基板型光導波路素子6は、偏光子62に加えて、スポットサイズコンバータ61と、光デバイス63とを備えている。本実施形態において、偏光子62は、図6に記載のPBC1と同様に構成されているものとして説明する。なお、偏光子62としては、PBC1の代わりに上述したPBC1A〜1C及び偏光子1Dを利用してもよい。
スポットサイズコンバータ61は、外部から光ファイバ、レンズなどを介して入力された光のスポットサイズを縮小して、偏光子62の第1のコア13の入力ポート13aに入力する。スポットサイズコンバータ61としては、例えば、光を入力される側の端部から偏光子62側の端部に近づくに従ってコア幅が大きくなる逆テーパ導波路を利用可能である。
光デバイス63は、例えば、入力される光を変調する変調器であったり、特定の波長のみを抽出する波長フィルターであったりする。光デバイス63は、偏波依存性を有している。そのため、光デバイス63には、TE偏波又はTM偏波のいずれか一方の光が入力されることが好ましい。しかし、外部の光ファイバ及びレンズ、並びに、スポットサイズコンバータ61を介した光には、光ファイバ、レンズ及びスポットサイズコンバータ61における偏波軸のアライメントミスなどに起因して、望まない偏波成分が含まれている可能性がある。
図26に示すように、偏光子62は、スポットサイズコンバータ61(光入力構造)と光デバイス63との間に設けられている。偏光子62は、スポットサイズコンバータ61から入力された光が含みうるTE偏波成分及びTM偏波成分のうち、光デバイス63にとって好ましい偏波成分(TE偏波成分又はTM偏波成分)を光デバイス63に対して出力する。
具体的には、スポットサイズコンバータ61が出力する光は、PBC1の入力ポート13aを介して第1のコア13に入力される。偏光子62は、第1のコア13の出力ポート13bからTE偏波成分を出力し、第2のコア14の出力ポート14bからTM偏波成分を出力する。
光デバイス63が入力される光の偏波成分としてTE偏波成分が好ましい場合、光デバイス63は、偏光子62の第1のコア13の後段に接続されていればよい。光デバイス63には、第1のコア13から出力されたTE偏波成分が入力される。
一方、光デバイス63が入力される光の偏波成分としてTM偏波成分が好ましい場合、光デバイス63は、偏光子62の第2のコア14の後段に接続されていればよい。光デバイス63には、第2のコア14から出力されたTM偏波成分が入力される。
以上のように、同一の基板上に形成されたスポットサイズコンバータ61と光デバイス63との間に偏光子62を設けることによって、光デバイス63にとって好ましい偏波成分のみを光デバイス63に入力することができる。偏光子62は、スポットサイズコンバータ61及び光デバイス63を作製するプロセスと同じプロセスによって作製可能である。言い換えれば、スポットサイズコンバータ61及び光デバイス63に対して、偏光子62を追加するための特別なプロセスを追加することなしに、基板型光導波路素子6を作製することができる。また、基板型光導波路素子6は、PBC1と同様に構成された偏光子62を備えているため、好ましくない偏波成分が光デバイス63に与える悪影響を、広い波長範囲において低損失なまま抑制することができる。
〔第7の実施形態〕
第7の実施形態に係るPBC100について、図27及び図28を参照して説明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、PBC100を用いてTE0とTM0との偏波多重又は分離を行うことを目的としている。図27は、本実施形態に係るリブ導波路の基本形状を示す断面図である。図28の(a)は、PBC100の上面図であり、(b)〜(d)は、それぞれ、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線におけるPBC100の断面図である。
(リブ導波路の基本構造)
図27に示すように、リブ導波路は、下部クラッド110上に配置されたコア150と、コア150を下部クラッド110と挟むように、コア150上に積層された上部クラッド120とを備えた3層構造をなしている。コア150は、下部クラッド110の上面全体を覆うように形成された薄板状のスラブ160と、スラブ160に対して隆起したリブ130とを備えている。リブ130の断面形状は、図27に破線で示すように、長方形である。
PBC100を作製するには、例えばSOIウェハのSiOから成るBOX層を下部クラッド110とし、SOIウェハ最上位層のSi層をエッチングしてリブ130及びスラブ160を残すようにすることで、コア150を形成する。その後、コア150を覆うようにSiOから成る上部クラッド120を形成する。なお、上部クラッド120は空気でもよい。図6に示す矩形導波路とリブ導波路との違いは、リブ導波路において、コアをエッチングする際に、リブの両側にコアを残すことによって、リブより厚みの薄いスラブを形成している点にある。
(リブ導波路で構成したPBCの構造)
次に、図28を参照して、上記リブ導波路によって構成した本発明の一態様に係るPBC100の構造について説明する。図28の(a)(b)に示すように、PBC100は、下部クラッド110と上部クラッド120とに挟まれた第1のリブ130と第2のリブ140とを備えている。第1のリブ130と第2のリブ140とは、PBC100における光の進行方向に沿って並列状に形成され、第1のリブ130と第2のリブ140との間には、幅WGの一定間隔が保たれている。図28の(d)に示すように、第1のリブ130及び第2のリブ140の各両側には、上記スラブ160が存在し、第1のリブ130、第2のリブ140及びスラブ160の全体で、上記コア150を構成している。
PBC100における光の進行方向に対して垂直な断面を考えた場合、図28の(a)に示す並走区間の始点におけるA−A’線で示す断面、並走区間の中央におけるB−B’線で示す断面、及び並走区間の終点におけるC−C’線で示す断面のいずれにおいても、スラブ160の幅Wは、下部クラッド110及び上部クラッド120の幅W(すなわちSOI基板の幅)と等しく一定である。換言すれば、下部クラッド110の表面において、第1のリブ130及び第2のリブ140が形成されている領域を除くすべての領域には、スラブ160が形成されている。この構成によれば、第1のリブ130及び第2のリブ140を1回のエッチングにより形成することができる。
ただし、図28の(a)に示すように、スラブ160の幅を上記幅Wより狭い幅Wpとしてもよい。換言すれば、スラブ160は、第1のリブ130及び第2のリブ140を含む幅Wpに限定された領域に形成されていてもよい。第1のリブ130及び第2のリブ140を形成するために2回のエッチングを施すことによって、スラブ160を幅Wpである領域に限定して形成することができる。
第1のリブ130及び第2のリブ140の屈折率と、下部クラッド110及び上部クラッド120の各屈折率との関係、第1のリブ130幅W1及び高さh1、第2のリブ140の幅W2及び高さh2については、第1の実施形態において図6を参照して説明したPBC1と同じである。
PBC100をテーパ化方向性結合器として利用する場合、コア130の入力ポート130aにはTM0偏波が入射され、コア140の入力ポート140aにはTE0偏波が入射される。コア140は、TE0偏波とコア130から移動してきたTM0偏波とを出力ポート140bから出射する。PBC100をTM0に対する偏光子として利用する場合、例えば、入力ポート130aにTE0とTM0とが入力された場合、このうちTM0のみを出力ポート140bから抽出できる。また、PBC100をTE0に対する偏光子として利用する場合、例えば、入力ポート130aにTE0とTM0とが入力された場合、このうちTEiのみを出力ポート130bから抽出できる。
(PBC100の特徴について)
PBC1では、前記特徴1〜7が本発明の目的を達成するために必要十分な条件としていた。しかしながら、リブ導波路でPBCを構成する場合、特徴1は次の特徴1'に置き換える必要がある。
特徴1':2つの導波路WG1及びWG2は、リブ導波路として構成される。
前記特徴1の効果は、「基板型光導波路を作製可能である」という点なので、特徴1'のように矩形導波路をリブ導波路に置き換えても、上記効果をもたらす機能性について問題はない。
また、その他の前記特徴2〜6における「コア13」「コア14」を、それぞれ「リブ130」「リブ140」と置き換え、特徴7の「コア13及びコア14」を、コア150全体と置き換えることによって、前記特徴2〜7が奏する効果と同様の効果が得られることは、当業者に容易に理解することができる。
上記特徴1’によるさらなる効果について補足する。矩形導波路では、コアを形成するために、エッチングによってコアのサイドを削る。この際、加工精度の問題で、光の進行方向に沿って不連続にコア幅が変動する「側壁荒れ」と呼ばれる事象が発生する。すなわち、コアの側壁に不連続部分が生じる。その結果、その不連続部分で導波する光が散乱するため損失が生じる。一方、リブ導波路では、所定の厚さを有するスラブが形成されている。スラブの側壁は、光が導波する領域であるリブから十分に離れた位置に形成されているため、スラブの側壁荒れは、導波する光を散乱させない。すなわち、リブ導波路は、矩形導波路と比較して、導波する光を散乱させる側壁部分の割合が小さいので、この損失を小さくすることができる。また、前記特徴5で必要となる導波路幅(コア幅)の連続性を、より精度高く実現することにもつながり、この観点でも損失低下を可能とする。以上より、リブ導波路を用いることで、加工精度の影響で生じる光の損失を低減することが可能となる。
〔第8の実施形態〕
第8の実施形態に係るPBC100Aについて、図29及び図30を参照して説明する。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、PBC100Aを用いてTE0とTM0との偏波多重又は分離を行うことを目的としている。図29の(a)は、本実施形態に係るリッジ導波路の作製方法を示す断面図であり、(b)は、リッジ導波路の基本形状を示す断面図である。図30の(a)は、第8の実施形態に係る上記リッジ導波路を含むPBC100Aの構成を示す上面図であり、(b)〜(d)は、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線におけるPBC100Aの断面図である。
(リッジ導波路の基本構造)
図29の(b)に示すように、リッジ導波路は、下部クラッド110Aの上面の一部を、断面が矩形状となるように隆起させた下部クラッドリブ110aを備え、下部クラッドリブ110a上に、コア150A及び上部クラッド120Aをこの順に積層した構造を有している。コア150A及び上部クラッド120Aは、下部クラッドリブ110aと同じ幅で積層されている。下部クラッドリブ110a、コア150A及び上部クラッド120Aが全体で、下部クラッド110Aの上面に隆起したリッジ130Aとなっている。
PBC100Aを作製するには、図29の(a)に示すように、例えばInPから成る下部クラッド及び上部クラッドが、InGaAsPから成るコアを挟むように、下部クラッド、コア及び上部クラッドを層状に形成する。その後、所望のコア幅を有するコアの一部を残すとともに、下部クラッドリブ110aが下部クラッドの上面に形成されるように、上部クラッド、コア及び下部クラッドをエッチングする。
エッチング後の領域、すなわちリッジ130Aの両側の領域には、空気等の気体を満たしてもよいし、樹脂または半導体等で埋めてもよい。このように、導波路をリッジ導波路として形成することで、上部クラッド120A及び下部クラッド110Aとコア150Aとの比屈折率差が小さい場合であっても、幅方向に注目した際の比屈折率差を高めることができる。例えば、上部クラッド120A及び下部クラッド110AをInP(屈折率3.17)で形成し、コア150AをInGaAsP(屈折率3.47)とした場合、比屈折率差は0.08(8%)となる。しかし、エッチング後の領域を空気(屈折率1)とした場合、幅方向の比屈折率差を0.46(46%)と大幅に高めることができる。
矩形導波路又はリブ導波路の代わりにリッジ導波路を採用することによって、クラッドに対するコアの比屈折率差が小さい組み合わせ、例えば、InGaAsPからなるコア150とInPからなるクラッド110A,120Aとの組み合わせを採用する場合であっても、幅方向への光の閉じ込めを強めることができる。
(リッジ導波路で構成したPBCの構造)
次に、図30を参照して、上記リッジ導波路によって構成した本発明の一態様に係るPBC100Aの構造について説明する。図30の(a)〜(d)に示すように、PBC100Aは、下部クラッド110A上に、光の進行方向に並列するリッジ130A及びリッジ140Aを備えている。リッジ140Aの構成は、図29の(b)に示すリッジ130Aの構成と同じであり、下部クラッド110Aは、リッジ130A及びリッジ140Aに共通している。リッジ130Aとリッジ140Aとの間には一定の間隔が設けられている。言い換えると、リッジ130A及びリッジ140Aの対面する側壁同士は、一定の間隔を置いて平行になっている。
(PBC100Aの特徴について)
PBC100Aでは、前記特徴1〜7のうち、特徴7に関して説明した比屈折率差について、変更が必要になる。前記PBC1では、式(5)で定義される比屈折率差において、下部クラッド11及び上部クラッド12の屈折率を、それぞれ、Ncl1及びNcl2とし、最も屈折率の大きな材料の屈折率をNclとした。これに対し、PBC100Aでは、“リッジ130A(WG1)のコアとリッジ140A(WG2)のコアとの間の間隙(エッチング領域)に充填される材料の屈折率をNbとすると、NclはNbとする。”のように、Nclを定義し直す。
この理由は以下の通りである。本発明では、TEiがTMjよりも隣接導波路への光結合が小さいことを利用している。光結合は、一方の導波路から他方の導波路へ浸み出す光の量で決まる。そのため、2つの導波路の間の領域と、コアとの比屈折率差を大きくすることにより、一方の導波路から他方の導波路へ向かう方向に対して光閉じ込めを強めることができ、本発明の効果を得ることができる。その際、Nclについて、本質的な役割を担うのは、2つの導波路の間の領域の材料なので、Nclの値をNbと見做すことが適切となる。
リッジ導波路を用いると次のような大きなメリットを生む。すなわち、コアと上部クラッド及び下部クラッドとの比屈折率差が小さい場合であって、矩形導波路又はリブ導波路を採用した場合には、光をコアに十分に閉じ込めることができない。これに対し、リッジ導波路では、矩形導波路の作成工程にエッチング工程を追加するだけで、光をコアに十分に閉じ込めることができる。加えて、コアとコアの両側に存在する媒質(例えば、空気などの気体や、樹脂又は半導体等)との比屈折率差を大きく設定することができる。したがって、コア150の曲げ半径を小さくすることができるので、デバイスサイズを小さくする、又は、デバイスの集積度を高めることができる。
〔変形例(1)〕
第8の実施形態の変形例(1)に係るPBC100Bについて、図31を参照して説明する。図31の(a)は、第8の実施形態の一変形例としてのリッジ導波路を含むPBCの構成を示す上面図であり、(b)〜(d)は、(a)に示すA−A’線、B−B’線及びC−C’線における上記PBCの断面図である。
図31の(a)〜(d)に示すように、リッジ130A及びリッジ140Aの各両側のうち、隣接導波路が存在しない側を、保護材170で埋めてもよい。これにより、エッチング後にむき出しになっているリッジ130A及びリッジ140Aの側壁、及び下部クラッド110Aの上面にゴミ等が付着することを防ぐことができる。保護材170を構成する材料としては、リッジ導波路のコアを構成する材料よりも屈折率の小さい材料を用いる必要があり、例えば、シリカ(SiO)やシリコンナイトライド(Si)等を用いることができる。
〔変形例(2)〕
第8の実施形態の変形例(2)に係るPBC100Cについて、図32の(a)を参照して説明する。図32の(a)は、図30の(a)に示すA−A’線と同じ位置でPBC100Cを切断した場合におけるPBC100Cの断面図である。
図6の(b)に示す矩形導波路を備えたPBC1とPBC100Cとの構成上の違いは、PBC1において下部クラッド11上で並列したコア13とコア14との間の間隙を、PBC1の高さ方向に貫く溝が形成されていることである。PBC100Cに形成された溝180は、上部クラッド120Cの上面から、隣り合うコア130Cとコア140Cとの間の間隙を貫いて、下部クラッド110Cの高さ方向の途中位置まで達している。
PBC100Cを作製する場合、図30の(a)にリブ130A及びリブ140Aの平面視した輪郭で示すように、下部クラッド110C上に、平面視した形状が平行四辺形となるようにコア150Cの層を形成する。当該平行四辺形は、図30の(a)に示す並走区間の始点及び終点に、対向する2つの短辺がそれぞれ位置合わせされた形状となっている。次に、コア150Cを埋設するように下部クラッド110C上に上部クラッド120Cを積層する。こうして下部クラッド110C、コア150C及び上部クラッド120Cを3層に積層した後で、PBC100Cの幅の中央付近において、上部クラッド120Cの上面から前記幅WG(図28の(b))でエッチングすることにより、上記溝180を形成する。この溝180によって、コア150Cは、例えばTM偏波が入射されるコア130Cと、TE偏波が入射されるコア140Cとに分離される。
PBC100Cのエッチングの領域は1箇所なので、エッチングの領域が3箇所になるPBC100Aよりも、簡易な工程によってPBC100Cを作製することができる上に、PBC100CはPBC100Aと同等の効果を得ることができる。
〔変形例(3)〕
第8の実施形態の変形例(3)に係るPBC100Dについて、図32の(b)を参照して説明する。図32の(b)は、図30の(a)に示すA−A’線と同じ位置でPBC100Dを切断した場合におけるPBC100Dの断面図である。
PBC100Dは、上記PBC100Cのコア150Cを、図27に示すコア150と同様にスラブ及びリブを備えたコア150Dに置き換えた構成を備えている。
PBC100Dを作製する場合、図32の(b)に示すように、下部クラッド110D上に、リブの平面視した形状が平行四辺形となるようにコア150Dの層を形成する。当該平行四辺形は、図30の(a)に示す並走区間の始点及び終点に、対向する2つの短辺がそれぞれ位置合わせされた形状となっている。次に、コア150Dを下部クラッド110Dと挟むように上部クラッド120Dを積層する。こうして下部クラッド110D、コア150D及び上部クラッド120Dを3層に積層した後で、PBC100Dの幅の中央付近において、上部クラッド120Dの上面から前記幅WG(図28の(b))でエッチングすることにより、上記溝180を形成する。この溝180によって、コア150Dのリブは、例えばTM偏波が入射されるリブ130Dと、TE偏波が入射されるリブ140Dとに分離される。
PBC100DはPBC100Cと同等の効果を得ることができる。
〔付記事項〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、屈折率がNcl1である下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された、屈折率がNco(Nco>Ncl1)である第1のコア及び第2のコアと、上記第1のコア及び上記第2のコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された、屈折率がNcl2(Nco>Ncl2)である上部クラッドとを備えた基板型光導波路素子において、上記第2のコアが存在しない場合の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とし、上記第1のコアが存在しない場合の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2として、(A)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、(B)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、(C)上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足し、(D)上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、(E)上記下部クラッドの屈折率Ncl1と上記上部クラッドの屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上である、ことを特徴とする。
Figure 0006356254
本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、上記条件(A)及び(D)を満たしていることから、上記第1のコアの一方の端部に入力されたTM偏波は、上記並走区間において断熱的に上記第2のコアに移動し、上記第2のコアの他方の端部から出力される。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子においては、上記条件(B)及び(C)を満たしていることから、TM偏波の光結合の強さとTE偏波の光結合の強さとの間に差が生じ、上記条件(E)を満たしていることから、その差は十分に大きくなる。したがって、上記第2のコアの一方の端部に入力されたTE偏波の大部分は、上記第1のコアに移動することなく、上記第2のコアの他方の端部から出力される。
すなわち、本発明の一態様によれば、TM偏波の損失が小さく、かつ、偏波消光比の高い基板型光導波路素子を実現することができる。
以上のような機能を有する上記基板型光導波路素子は、(a)TE偏波とTM偏波とを偏波多重する偏波ビームコンバイナ、(b)TE偏波とTM偏波とを偏波分離する偏波ビームスプリッタ、(c)TE偏波とTM偏波とが混在する光から、一方の偏波成分のみを抽出する偏光子として機能し、広い波長範囲においてTM偏波の損失を低く抑えることが可能である。
また、上記基板型光導波路素子は、上記下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された上記第1のコア及び上記第2のコアと、これらのコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された上記上部クラッドという簡易な構成であるため、一般的に確立された製造プロセスを用いて簡易に製造可能である。
以上のように、上記基板型光導波路素子は、広い波長範囲においてTM偏波の損失を低く抑え、かつ、製造が容易な基板型光導波路素子を提供することができる。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子において、上記第1のコア及び上記第2のコアは、光の進行方向に直交する断面が矩形状のコアであり、上記第1のコアの高さ、及び、上記第2のコアの高さは、共通であり、上記第1のコアの幅W1、及び、上記第2のコアの幅W2は、上記並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、上記幅W1と上記幅W2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転している、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上述の基板型光導波路素子と同様の効果を奏する。また、上記の構成によれば、上記第1のコアと上記第2のコアとの高さが等しいことから、これら2つのコアを1回のエッチングによって作成することができる。そのため、プロセスが簡易になり、低コスト化及び高歩留り化が可能となる。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子において、上記上部クラッドと上記下部クラッドとは、共通の材質により構成されており、上記第1のコアの幅W1及び上記第2のコアの幅W2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとの共通の高さよりも大きく、上記第1のコア及び上記第2のコアは、上記TE偏波としてTE0偏波を導波し、上記TM偏波としてTM0偏波を導波する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上述の基板型光導波路素子と同様の効果を奏する。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子において、上記第1のコア及び上記第2のコアは、シリコン製であり、上記下部クラッド及び上記上部クラッドは、シリカ製である、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記基板型光導波路素子は、SOI(Silicon-On-Insulator)ウェハを基板として、既存のCMOSプロセスを利用して製造可能である。従って、上記基板型光導波路素子は、容易に製造可能である。また、上記基板型光導波路素子は、大きな比屈折率差を実現する。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子において、Wupperを下記式(b)で定義したとき(hは上記第1のコアと上記第2のコアとの共通の高さ、eはネイピア数)、上記第1のコアの幅W1及び上記第2のコアの幅W2は、それぞれ、W1<Wupper及びW2<Wupperを満足する、ことが好ましい。
Figure 0006356254
幅W1又は幅W2を徐々に大きくしてくと、TE0偏波の実効屈折率が有意に大きくなり、TM0偏波の実効屈折率との差が拡大する。しかし、幅W1又は幅W2がWupper以上になった場合、TM0偏波の実効屈折率とTE1の実効屈折率との大小関係が逆転し、その結果として、TM0偏波とTE1偏波とが相互作用する可能性が高まる。すなわち、TM0偏波の一部がTE1偏波に変換されることに起因するTM0偏波の過剰損失を生じさせる可能性を高める。
一方、上記の構成によれば、TM0偏波の実効屈折率とTE1偏波の実効屈折率との大小関係が逆転しないため、TM0偏波とTE1偏波とが相互作用する可能性を抑制できる。したがって、TM0偏波の過剰損失を抑制することができる。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子において、上記並走区間の始点又は終点を介して上記第1のコアと連通する第3のコアであって、屈折率がNcoである第3のコアと、(1)上記第3のコアが上記並走区間の始点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の始点を介して上記第2のコアと連通し、(2)上記第3のコアが上記並走区間の終点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の終点を介して上記第2のコアに連通する第4のコアであって、屈折率がNcoである第4のコアと、を更に備え、上記第3のコアと上記第4のコアとの間隔は、(1)上記第3のコアが上記並走区間の始点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の始点から離れるにしたがって大きくなり、(2)上記第3のコアが上記並走区間の終点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の終点から離れるにしたがって大きくなる、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1のコアに他の導波路を接続する場合、上記第1のコアと上記他の導波路との間に上記第3のコアが介在することで、上記第1のコアと上記他の導波路とを滑らかに接続することができる。同様に、上記第2のコアに他の導波路を接続する場合、上記第2のコアと上記他の導波路との間に上記第4のコアが介在することで、上記第2のコアと上記他の導波路とを滑らかに接続することができる。しがたって、上記の接続に伴って無用な反射が生じる可能性を抑制することができる。
また、上記の構成によれば、2つの隣接するコアを徐々に離間できることから、連続的にTM偏波の光結合の強さを強める(入力側)/弱める(出力側)ことができる。これにより、入出力部から離れるに従い、隣接導波路のTM偏波の光結合の強さを弱めることができるため、TM偏波はより一方の導波路へ局在した電界分布を持つことができ、他方の導波路に残存することで生じる損失を低下することができる。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、上記第1のコア又は上記第2のコアに連通する第5のコアであって、屈折率がNcoである第5のコアを更に備え、上記第5のコアの幅は、上記第1のコアが離れるにしたがって小さくなる、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記第1のコア又は上記第2のコアから上記第5のコアに入力された光は、当該第5のコアを伝搬する過程において上記下部クラッド又は上記上部クラッドに漏れ出す。したがって、上記第1のコア又は上記第2のコアから上記第5のコアに入力された光が再び上記並走区間に戻ることを抑制可能である。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、上記第1のコア又は上記第2のコアに接続されている光吸収体を更に備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記第1のコア又は上記第2のコアから上記光吸収体に入力された光は、当該光吸収体に吸収される。したがって、上記第1のコア又は上記第2のコアから上記光吸収体に入力された光が再び上記並走区間に戻ることを抑制可能である。
また、本発明の一態様に係る偏光子は、上記第1のコア及び上記第2のコアを、それぞれ、n組備えた基板型光導波路素子であって、当該基板型光導波路素子の一方の端部から数えてi組目(iは1≦i≦n−1の整数)の上記第2のコアは、i+1組目の記第1のコアと連通する、ように構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、偏波消光比の高い偏光子を実現することができる。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、TE偏波を変調する第1の光変調器と、TE偏波を変調する第2の光変調器と、上記第2の光変調器から出力されたTE偏波をTM偏波に変換する偏波ローテータと、を更に備え、上記第1のコアには、上記偏波ローテータから出力されたTM偏波が入力され、上記第2のコアには、上記第1の光変調器から出力されたTE偏波が入力される、ように構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、広い波長範囲において低損失な光変調器を実現することができる。
また、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子は、光入力構造と光デバイスとを更に備え、上記光入力構造は、外部から入力された光のスポットサイズを縮小して上記第1のコアに入力し、上記第1のコアは、上記第1のコアに入力された光のTE偏波成分を出力し、上記第2のコアは、上記第1のコアに入力された光のTM偏波成分を出力し、上記光デバイスには、上記第1のコアから出力されたTE偏波成分、又は、上記第2のコアから出力されたTM偏波成分が入力される、ように構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記光デバイスにとって好ましくない偏波成分が上記光入力構造において生じた場合であっても、上記第1のコアから出力されたTE偏波成分、又は、上記第2のコアから出力されたTM偏波成分のみを上記光デバイスに入力することができる。上記光入力構造及び上記光デバイスは、当該基板型光導波路素子と同じ基板上に同じ製造プロセスによって製造可能であるため、容易に製造することができる。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る基板型光導波路素子の製造方法は、屈折率がNcl1である下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された、屈折率がNco(Nco>Ncl1)である第1のコア及び第2のコアと、上記第1のコア及び上記第2のコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された、屈折率がNcl2(Nco>Ncl2)である上部クラッドとを備えた基板型光導波路素子の製造方法において、上記第2のコアが存在しない場合の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とし、上記第1のコアが存在しない場合の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2として、以下の条件(1)〜(4)を満足する上記第1のコア及び上記第2のコアを形成するコア形成工程を含む、ことを特徴とする。
(1)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、
(2)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足し、
(3)上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、
(4)上記下部クラッドの屈折率Ncl1と上記上部クラッドの屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上である。
Figure 0006356254
上記の構成によれば、上記基板型光導波路素子の製造方法は、上記基板型光導波路素子と同様の効果を奏する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、光ファイバ通信において用いられる基板型光導波路素子、より具体的には偏波の多重、分離又は除去を行う基板型光導波路素子に利用することができる。
1,1A,1B,1C PBC(偏波ビームコンバイナ、基板型光導波路素子)
11 下部クラッド
12 上部クラッド
13 第1のコア
14 第2のコア
23 第3のコア
24 第4のコア
33 第5のコア(第3のコア)
34 第6のコア(第4のコア)
43 第7のコア(第5のコア)
43’ 光吸収体
1D 偏光子(基板型光導波路素子)
5 光変調器(基板型光導波路素子)
51 第1のQPSK変調器(第1の光変調器)
52 第2のQPSK変調器(第2の光変調器)
53 偏波ローテータ
54 PBC(偏波ビームコンバイナ)
6 基板型光導波路素子
61 スポットサイズコンバータ(光入力構造)
62 偏光子
63 光デバイス
100,100A,100B,100C,100D PBC(偏波ビームコンバイナ、基板型光導波路素子)
110,110A、110C,110D 下部クラッド
120,120A,120C,120D 上部クラッド
130,130D リブ
130C コア
140C コア
140,140D リブ
130A リッジ
140A リッジ

Claims (8)

  1. 屈折率がNcl1であるシリカ製の下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された、屈折率がNco(Nco>Ncl1)であるシリコン製の第1のコア及び第2のコアと、上記第1のコア及び上記第2のコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された、屈折率がNcl2(Nco>Ncl2)であるシリカ製の上部クラッドとを備えた基板型光導波路素子において、
    上記第2のコアが存在しない場合の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とし、上記第1のコアが存在しない場合の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2として、
    上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、
    上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足し、
    上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、
    上記下部クラッドの屈折率Ncl1と上記上部クラッドの屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上であり、
    上記第1のコア及び上記第2のコアは、光の進行方向に直交する断面が矩形状のコアであり、
    上記第1のコアの高さ、及び、上記第2のコアの高さは、共通であり、
    上記第1のコアの幅W1、及び、上記第2のコアの幅W2は、それぞれ、(i)上記並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、(ii)上記第1のコアと上記第2のコアとの共通の高さhよりも大きく、(iii)Wupperを下記式(b)で定義したとき(eはネイピア数)、W1<Wupper及びW2<Wupperを満足し、
    上記幅W1と上記幅W2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、
    上記第1のコア及び上記第2のコアは、上記TE偏波としてTE0偏波を導波し、上記TM偏波としてTM0偏波を導波すると共に、上記並走区間の少なくとも一部においてTE1偏波を導波する、
    ことを特徴とする基板型光導波路素子。
    Figure 0006356254
  2. 上記並走区間の始点又は終点を介して上記第1のコアと連通する第3のコアであって、屈折率がNcoである第3のコアと、
    (1)上記第3のコアが上記並走区間の始点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の始点を介して上記第2のコアと連通し、(2)上記第3のコアが上記並走区間の終点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の終点を介して上記第2のコアに連通する第4のコアであって、屈折率がNcoである第4のコアと、を更に備え、
    上記第3のコアと上記第4のコアとの間隔は、(1)上記第3のコアが上記並走区間の始点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の始点から離れるにしたがって大きくなり、(2)上記第3のコアが上記並走区間の終点を介して上記第1のコアと連通する場合、上記並走区間の終点から離れるにしたがって大きくなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の基板型光導波路素子。
  3. 上記第1のコア又は上記第2のコアに連通する第5のコアであって、屈折率がNcoである第5のコアを更に備え、
    上記第5のコアの幅は、上記第1のコアが離れるにしたがって小さくなる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板型光導波路素子。
  4. 上記第1のコア又は上記第2のコアに接続されている光吸収体を更に備えている、
    ことを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の基板型光導波路素子。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の上記第1のコア及び上記第2のコアを、それぞれ、n組備えた基板型光導波路素子であって、
    当該基板型光導波路素子の一方の端部から数えてi組目(iは1≦i≦n−1の整数)の上記第2のコアは、i+1組目の上記第1のコアと連通する、
    ことを特徴とする基板型光導波路素子。
  6. TE偏波を変調する第1の光変調器と、
    TE偏波を変調する第2の光変調器と、
    上記第2の光変調器から出力されたTE偏波をTM偏波に変換する偏波ローテータと、を更に備え、
    上記第1のコアには、上記偏波ローテータから出力されたTM偏波が入力され、上記第2のコアには、上記第1の光変調器から出力されたTE偏波が入力される、
    ことを特徴とする請求項1〜4までの何れか1項に記載の基板型光導波路素子。
  7. 光入力構造と光デバイスとを更に備え、
    上記光入力構造は、外部から入力された光のスポットサイズを縮小して上記第1のコアに入力し、
    上記第1のコアは、上記第1のコアに入力された光のTE偏波成分を出力し、上記第2のコアは、上記第1のコアに入力された光のTM偏波成分を出力し、
    上記光デバイスには、上記第1のコアから出力されたTE偏波成分、又は、上記第2のコアから出力されたTM偏波成分が入力される、
    ことを特徴とする請求項1〜5までの何れか1項に記載の基板型光導波路素子。
  8. 屈折率がNcl1であるシリカ製の下部クラッドと、上記下部クラッド上に形成された、屈折率がNco(Nco>Ncl1)であるシリコン製の第1のコア及び第2のコアと、上記第1のコア及び上記第2のコアを埋設するように上記下部クラッド上に積層された、屈折率がNcl2(Nco>Ncl2)であるシリカ製の上部クラッドとを備えた基板型光導波路素子の製造方法において、
    上記第2のコアが存在しない場合の上記第1のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG1及びNTM@WG1とし、上記第1のコアが存在しない場合の上記第2のコアにおけるTE偏波及びTM偏波の実効屈折率を、それぞれ、NTE@WG2及びNTM@WG2として、
    以下の条件(1)〜(4)及び(5)〜(9)を満足する上記第1のコア及び上記第2のコアを形成するコア形成工程を含む、
    ことを特徴とする基板型光導波路素子の製造方法。
    (1)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1,NTE@WG2,NTM@WG2は、それぞれ、上記第1のコアと上記第2のコアとが互いに並走する並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、
    (2)上記実効屈折率NTE@WG1,NTM@WG1は、上記並走区間の全体においてNTE@WG1>NTM@WG1を満足し、上記実効屈折率NTE@WG2,NTM@WG2は、上記並走区間の全体においてNTE@WG2>NTM@WG2を満足し、
    (3)上記実効屈折率NTM@WG1と上記実効屈折率NTM@WG2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、
    (4)上記下部クラッドの屈折率Ncl1と上記上部クラッドの屈折率Ncl2とのうち、大きい方の屈折率をNclとして、下記式(a)で定義される比屈折率差が0.25以上であり、
    (5)上記第1のコア及び上記第2のコアは、光の進行方向に直交する断面が矩形状のコアであり、
    (6)上記第1のコアの高さ、及び、上記第2のコアの高さは、共通であり、
    (7)上記第1のコアの幅W1、及び、上記第2のコアの幅W2は、それぞれ、(i)上記並走区間の始点からの距離の関数として連続であり、(ii)上記第1のコアと上記第2のコアとの共通の高さhよりも大きく、(iii)Wupperを下記式(b)で定義したとき(eはネイピア数)、W1<Wupper及びW2<Wupperを満足し、
    (8)上記幅W1と上記幅W2との大小関係は、上記並走区間の始点と終点とで逆転しており、
    (9)上記第1のコア及び上記第2のコアは、上記TE偏波としてTE0偏波を導波し、上記TM偏波としてTM0偏波を導波すると共に、上記並走区間の少なくとも一部においてTE1偏波を導波する。
    Figure 0006356254
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