JP3415267B2 - 光信号処理器の設計方法および製造方法 - Google Patents

光信号処理器の設計方法および製造方法

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JP3415267B2
JP3415267B2 JP13618794A JP13618794A JP3415267B2 JP 3415267 B2 JP3415267 B2 JP 3415267B2 JP 13618794 A JP13618794 A JP 13618794A JP 13618794 A JP13618794 A JP 13618794A JP 3415267 B2 JP3415267 B2 JP 3415267B2
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coupling
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要 神宮寺
正夫 河内
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信,光交換,光コ
ンピューティングの分野で、高度で任意の光フィルタリ
ング処理を行うための光信号処理器の設計方法、および
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信,光交換,光コンピューテ
ィングの分野で、光信号を電気信号に変換せずに光のま
まで、広帯域、高速にフィルタリング処理を行うことが
可能な光信号処理器が注目を集めている。特に、光信号
を多重化し伝送を行う光周波数多重通信において、伝搬
してきた周波数多重信号光に対し、周波数ごとにフィル
タリング処理を行う光周波数フィルタは、重要な部品で
ある。
【0003】従来、このような目的のための光信号処理
器としては、図1に示すトランスバーサル型配置の光信
号処理器(特開平2−212822号)が報告されてい
る。この例では、入力ポート5,6側に可変方向性結合
器3−1〜Nを配し、光信号を任意の分岐比で各分岐導
波路10−1〜Nに分配し、N−1個の3dB方向性結
合器9−1〜(N−1)で構成される結合部により、各
分岐された光信号を再び収束する構成をとっている。そ
して、各分岐導波路10−1〜N上には分岐された光信
号の位相を個別に制御するための位相制御器4−1〜N
が配されている。この例では、可変方向性結合器3−1
〜Nの結合率を変化させ、同時に位相制御器4−1〜N
の位相シフト量を変化させることにより、所望の透過特
性を実現することが可能である。
【0004】この回路では、分岐導波路を増やすことに
より、フィルタ特性の関数精度を向上させることが可能
である。しかしながら、フィルタ精度を上げるために、
分岐導波路数Nを増加させると、透過特性の最大透過率
が小さくなるという問題が生じる。これは、基本的に方
向性結合器は2入力2出力の素子であるので、結合部の
3dB方向性結合器9−1〜(N−1)がそれぞれ1つ
づつダミーポート11−1〜(N−1)を持つことにな
り、光信号の一部がこのダミー出力ポート11−1〜
(N−1)から放出されるためである。
【0005】この欠点を克服するためのものとして、図
2に示す改良トランスバーサル型構成の光信号処理器
(特開平5−11226号)が報告されている。従来の
トランスバーサル型では、入力ポート側のみ可変方向性
結合器3−1,3,5〜2N−1を用い結合率を最適化
し、出力ポート側の結合部には3dB方向性結合器9−
1〜(N−1)を用いていたが、この構成では入力ポー
ト側だけでなく、出力ポート側にも可変方向性結合器3
−2,4,6〜2Nを用い、その結合率を最適化してい
る。この第2の従来例では、上記の構成を取ることによ
り、分岐導波路数Nの増大の際にみられるフィルタ処理
後の光強度の低下を改善することに成功している。
【0006】しかしながら、第2の従来例においても、
トランスバーサル型を取っているために、ダミー出力ポ
ート数は第1の実施例とほぼ同じであり、いくら最適な
構成を模索しても、ダミー出力ポートからの光信号の放
出は避けられず、最大透過率が100%のフィルタ処理
器を実現することは不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
に鑑みてなされたものであり、その目的は、1つのフィ
ルタ回路において、回路パラメータの設定を変えるだけ
で任意フィルタ特性が実現可能である最大透過率100
%の光信号処理器を実現するための設計方法および製造
方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記の目的
を達成するために、以下に述べる回路構成に対して、各
請求項で要求した設計方法および製造方法を採用してい
る。
【0009】本発明が対象とする回路構成は、図3の一
点鎖線で囲まれた部分で示される非対称マッハツェンダ
干渉計14−1〜Nを横にN段並べた構成を取ってい
る。各非対称マッハツェンダ干渉計14−1〜Nは、光
路長の異なる2本の光導波路1−1〜Nおよび2−1〜
Nと、その片側に1個の結合率を自由に選べる正の値か
ら負の値の範囲の振幅結合率を有する可変方向性結合器
3−1〜(N+1)とから構成される。ただし、1段目
の非対称マッハツェンダ干渉計14−1のみが光路長の
異なる2本の光導波路1−1と2−1の両側に可変方向
性結合器3−1と3−2を有している。ここで、マッハ
ツェンダ干渉計が非対称ということは干渉計を構成する
2本の導波路の光路長がそれぞれ異なることを意味す
る。各非対称マッハツェンダ干渉計14−1〜Nの2本
の光導波路1−1〜Nおよび2−1〜Nの上には位相を
自由に変えることが可能な位相制御器4−1〜Nを設置
した構成を取っている。本発明では、N+1個の正の値
から負の値の範囲の振幅結合率を有する可変方向性結合
器の結合率とN個の位相制御器の位相シフト量が、各請
求項で示された漸化式により与えられる回路パラメータ
をとることが要求される。
【0010】本発明によって設計、製造される光信号処
理器は、上記の目的を達成するために、上記に述べた回
路構成に対して各請求項で要求した設計方法およびその
製造方法を採用することにより実現している。設計手法
に関しては、請求項1ないし4で要求されている。ま
た、製造方法に関しては、請求項5ないし9で要求され
ている。
【0011】本発明の対象となる光信号処理器は、基本
的に2入力2出力回路になっている。よって、非対称マ
ッハツェンダ干渉計の段数に係わらず、出力ポート数は
常に2である。このため、光信号の無駄な放出を防ぐこ
とができ、最大透過率が100%のフィルタリング処理
が可能である。また、可変方向性結合器3−1〜(N+
1)および位相制御器4−1〜2Nを用いているため、
1つの回路で任意の透過特性が実現可能な光信号処理器
を作製可能である。
【0012】また、請求項1ないし4に記載された漸化
式により与えられる回路パラメータ値は、任意の所望フ
ィルタ特性を実現するための可変方向性結合器の結合率
および位相制御器の位相シフト量を与えており、この点
からも任意の透過特性を有する光信号処理器が実現可能
である。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明について詳細に説
明する。
【0014】(実施例1) 本実施例は、前記目的を達成するために請求項3に記載
された漸化式により与えられる回路パラメータ値を有す
る光信号処理器を具体的に実現したものである。
【0015】実施例1の回路構成を図3に示す。2本の
光導波路1,2とこの2本の光導波路1,2をN+1カ
所の異なる位置で結合するN+1個の結合率可変な方向
性結合器3よりなる構成を有し、全体として非対称マッ
ハツェンダ干渉計14を直列に多段に並べた構成をして
いる。各非対称マッハツェンダ干渉計14を構成する2
本の光導波路はそれぞれ一定の光路長差を持ち、光導波
路上の少なくとも一方に所望の位相シフトを施す位相制
御器4を配した構成を取っている。なお、図中、符号
5,6は入力ポートであり、7,8は出力ポートであ
る。
【0016】この実施例では、量産性に優れた平面回路
により光信号処理器を構成した。2本の光導波路1およ
び2の光路長差は、波長1.55μmで100GHzの
周波数間隔に対応する2.074mmに設定した。図4
は、図3に示した光信号処理器のA−A′における断面
を表している。本実施例では、基板12としてシリコン
基板を用い、導波路1,2は基板12上に火炎堆積法を
用い石英薄膜13を形成し、1および2で示される導波
路構造はフォトリソグラフィ工程により作製した。ここ
で、作製された導波路1,2は単一モードになるように
コアサイズが決定された。本発明の対象である光信号処
理器(光フィルタ)は、光の干渉、分岐・結合を利用
し、フィルタ特性を実現しており、導波路内部の高次モ
ードの存在は性能劣化の原因となる。このために、本発
明の実施例では全て単一モード導波路が用いられてい
る。位相制御器4は、石英薄膜の上にクロムのヒータを
形成することにより作製した。ヒータを加熱すると、導
波路1,2を形成する石英薄膜の屈折率が変化し、導波
路1,2の光路長を制御することが可能となる。本実施
例では、2本の導波路1および2の両方に位相制御器4
を構成しているが、これは、一方のみでも制御可能であ
る。ただし、両方の導波路1,2上に形成することの長
所は、一方のみの場合、位相を制御するために、位相制
御器4には0〜2πの位相変化を要求するが、両方にあ
る場合には、それぞれの位相制御器4−(2m−1),
4−2m(mは整数)に要求される位相変化量は0〜π
と、半分に抑えることができる点にある。
【0017】図5は本実施例で用いた可変方向性結合器
3である。これは、2本の光路長の等しい光導波路1お
よび2とその両端に配した3dB方向性結合器9−1,
2より構成される対称なマッハツェンダ干渉計を構成し
ている。各光導波路1,2上には、クロムヒータにより
作製された位相制御器4x,4yが配されている。この
位相制御器4x,4yに関しても、上記と同様に、一方
の導波路上だけにヒータを設置しても、可変方向性結合
器が構成される。そして、この位相制御器により、2本
の光導波路間の位相差を0〜π変化させることにより、
結合率を100%より0%に変化させることができる。
また、この光路長が等しい対称マッハツェンダ構成の可
変方向性結合器3では、そこに設けられた位相制御器4
の位相シフト量が0の時100%結合の方向性結合器と
なり、位相シフト量がπの時、0%結合の方向性結合器
となる。位相制御器4の位相シフト量が0の時、0%結
合の方向性結合器となるように、あらかじめ2本の導波
路1,2の光路長を半波長ずらしておくことも可能であ
る。ここでは、採用しなかったが、可変方向性結合器3
を構成する3dB方向性結合器9−1,2を、さらに同
図5に示す対称マッハツェンダ干渉計構成の可変方向性
結合器と同構成の結合器で置き換えることも可能であ
る。可変方向性結合器が設計値通り0〜100%結合ま
で、完全に可変であるためには、この結合器を構成する
3dBカップラの結合率がかなりの精度で3dBである
必要がある。この3dBカップラの結合率を正確に3d
Bにするために、3dBカップラを可変方向性結合器に
置き換える。このことは、一般的に図5に示す対称マッ
ハツェンダ干渉計構成の可変方向性結合器において、3
dBカップラの結合率が3dBから若干ずれていても3
dBの結合率は実現可能であるという性質を利用してい
る。
【0018】また、本実施例では、環境温度変動の影響
を除去するために、光回路全体をペルチェ素子上にの
せ、光回路の温度を0.1度程度の精度でコントロール
した。
【0019】本発明の対象である光信号処理器は光のコ
ヒーレントな干渉現象を利用しているために、信号光は
コヒーレント光でなければならない。
【0020】図3において、入力ポート5より入射され
た信号光は、各非対称マッハツェンダ干渉計14を通過
し、出力ポート7および8に出射される。この時、信号
光は各可変方向性結合器により分岐される。例えば、最
も短い光路を進む信号光は導波路2−1,2−2,…,
2−Nを通る。また、最も長い光路を進む信号光は導波
路1−1,1−2,…,1−Nを通る。この様に、ポー
ト7および8からの出力光はいろいろな光路を通る信号
光の和として表現される。光信号が通過する物理的光路
は2N 通りあるが、同じ光路長を持つものを1本の光路
と数えることにする。各非対称マッハツェンダ干渉計1
4の2本の光導波路の光路長差をΔLで表すと、信号光
は0,ΔL,2ΔL,…,NΔLの光路長を持つN+1
本の光路のいずれかを通る。よって、ポート7からの出
力光の複素振幅は、次式(1−1)で表される。
【0021】
【数13】
【0022】式(1−1)において、スルー特性h
(z)はz-1の多項式で表現されている。この式はディ
ジタルフィルタの分野において、FIR(Finite
Impulse Response)型と呼ばれる帰還
のないタイプのディジタルフィルタの伝送特性に等しい
ことがわかる。この事実は、以下に述べる光フィルタの
合成に重要な役割を演じる。同様に、ポート5から入射
しポート8から出射される出力光f(z)は下式(1−
2)のように表される。
【0023】
【数14】
【0024】請求項3のf(z)の定義には複素数jが
かかっているが、式(1−2)には複素数jがない。こ
れは、本実施例で可変方向性結合器として対称マッハツ
ェンダ構成をとる場合、式(1−2)の表記の方が表現
が簡単になるためであり、本実施例の表現と請求項3の
表現には基本的な差異はない。本信号処理器は2入力2
出力なので、信号処理器全体の伝送行列Sは次式(2)
で表される2×2の行列で表現される。
【0025】
【数15】
【0026】この実施例ではクロス特性f(z)が所望
特性をもつように、フィルタ設計をおこなった。クロス
特性を表す前式(1−2)の自由度は、複素展開係数の
個数がN+1であることから、2N+2である。後に述
べる最大透過率を100%に抑える拘束条件を考慮すれ
ば自由度は1減り、2N+1となる。一方、請求項3に
記載された漸化式により与えられる回路パラメータ値を
有する光信号処理器の構成をもつ本実施例はN+1個の
可変方向性結合器とN個の位相制御器より構成される。
よって、回路に与えられた自由度は2N+1である。こ
の自由度は式(1−2)の自由度と一致する。このため
に、式(1−2)を与えることにより、すべての回路パ
ラメータが原理的には求められる。
【0027】具体的には、以下に示す設計手順(図6)
により、クロス特性(入力ポート5より出力ポート8へ
の透過特性)が所望フィルタ特性を満足するための回路
パラメータを求めた。
【0028】[設計手順1−1] 式(1−2)の複素展開係数であるbk を、所望フィル
タ特性を満足するように求めるにあたり、式(1−2)
に書かれた光フィルタの伝送特性がFIR型と呼ばれる
ディジタルフィルタと同じであることを利用する。具体
的には、複素展開係数bk を求めるにあたり、ディジタ
ルフィルタの分野で開発されている各種の近似手法を用
いる。例えば、フーリエ展開法、窓関数法、周波数サン
プリング法、Remez Exchange法等が良く
知られている(Oppenheim &Schafer
著"Digital Signal Processin
g")。この計算の際、所望フィルタ特性の要求条件に
より、実現されるフィルタ特性が所望フィルタ特性の条
件を十分に満足するのに必要な最小展開項数が求まる。
この最小展開項数が非対称マッハツェンダ干渉計の段数
Nにあたる。
【0029】[設計手順1−2] [設計手順1−1]では、所望フィルタ特性を実現する
ように、上記の最適なディジタルフィルタの手法を用い
式(1)の複素展開係数を求めた。この求めた複素展開
係数をそのまま用いて光信号処理器を実現すると、振幅
特性の絶対値が100%を越える場合がある。しかし、
光波という物理量を用いるアナログ信号処理器である本
信号処理器では、エネルギ保存則のために、式(1)の
複素振幅の絶対値が100%を越えることは本質的にで
きない。このため、ディジタルフィルタの合成手法によ
り求めた複素展開係数bk を、次式により、振幅特性の
絶対値が100%を越えないように規格化を行う必要が
ある。
【0030】
【数16】
【0031】[設計手順1−3] [設計手順1−2]で求めた規格化した複素展開係数を
有する複素振幅特性を本光信号処理器のクロス出力(ポ
ート5から8への出力)で実現するように、本光信号処
理器の伝送特性を表すS行列を求める。具体的には、S
行列の残りの未知伝送関数h(z)を式(3)のユニモ
ジュラスなユニタリ関係より求める。h(z)h
(z)は、ユニモジュラスなユニタリ関係より、[設計
手順1−2]で規格化したf(z)を用い、さらに、z
に関する一次式の積の形に展開することにより、次式
(5)で表される。
【0032】
【数17】
【0033】式(5)において、h(z)とh (z)
の積の形で表される必要性から、右辺の多項式の零点は
{αk ,1/αk *}というN個のペアとして求められ
る。h(z)を求める際、h(z)の多項式は{αk
1/αk *}の根のペアの内どちらか一方を根として持っ
ている必要があるので、この根の選択の仕方にともな
い、h(z)は2N 個の解を持つ。これら2N 個のh
(z)の解は、振幅特性はともに等しく、異なる位相特
性を持つ。全体としてf(z)が共通でh(z)が異な
るS行列が2N 個存在し、結果として、2N 種類の回路
パラメータが求まる。ただし、この2N 個のいずれの回
路パラメータで回路を作製しても、クロス特性は同一な
特性f(z)になる。本実施例ではクロス特性であるf
(z)の特性に興味があるので、2N 個のh(z)のう
ちの適当な1個の解を選択した。もちろん、h(z)の
選択には、低素子感度なもの、位相特性が適当なもの
等、選択の基準を適当に設けて選択することも可能であ
る。
【0034】[設計手順1−4] 回路パラメータを求めるために、全体のN段非対称マッ
ハツェンダ干渉計構成の光信号処理回路の伝送特性を表
すS行列を、1段の非対称マッハツェンダ干渉計を表す
単位構成の伝送特性を表すS行列の積の形に展開する。
対称マッハツェンダ干渉計と導波路上に設けられた位相
制御器より構成される図3で示した可変方向性結合器の
S行列Stcは次式のように求められる。
【0035】
【数18】
【0036】ここで、ηn は対称マッハツェンダ干渉計
の導波路上に設けられた位相制御器の位相シフト量であ
る。nはn番目の可変方向性結合器であることを表す。
【0037】全体のS行列が下式のように分解されると
する。
【0038】
【数19】
【0039】n段目の単位構成回路は1−n,2−nの
光導波路と、4−(2n−1),4−2nの位相制御器
と、3−(n+1)の可変方向性結合器より構成され、
n=0の単位構成回路は1個の可変方向性結合器3−1
により構成される。3−(n+1)の可変方向性結合器
は図5に示した位相制御器を設置した対称マッハツェン
ダ干渉計で構成されている。式(7)では、n段目の単
位構成回路の可変方向性結合器を構成する対称マッハツ
ェンダ干渉計上の位相制御器の位相シフト量をηn と表
し、遅延線を構成する非対称マッハツェンダ干渉計上の
位相制御器の位相シフト量をφn と表している。
【0040】実際のS行列の分解は、単位構成S行列の
逆行列Sn -1 =Sn +(Sn +はSn の転置共役行列)をn
=N,N−1,…,2,1,0の順番に順次S行列の左
側より作用させることにより行われる。
【0041】
【数20】
【0042】具体的には、
【0043】
【外10】
【0044】より非対称マッハツェンダ干渉計の導波路
上に設けられた位相制御器の位相シフト量φn が求ま
る。
【0045】
【数21】
【0046】このS行列の分解手順を最終段まで完了す
ること、言い換えれば、式(9−1)と式(9−2)に
より構成される漸化式を解法することにより、全回路パ
ラメータは求められる。式(9−1)および式(9−
2)は請求項3に記載されている漸化式と異なるが、こ
れは本実施例では可変方向性結合器として対称マッハツ
ェンダ構成をとっており、回路パラメータηn は可変方
向性結合器の結合率θnを表すのではなく、可変方向性
結合器を構成する対称マッハツェンダ干渉計上に設けら
れた位相制御器の位相シフト量を表しているために起こ
ったことであり、式(9−1)および式(9−2)は簡
単な変換で請求項3に記載された漸化式に変形可能であ
る。
【0047】以上説明したように、本発明では、所望の
クロスフィルタ特性に対して2N 通りの回路パラメータ
が求められる。
【0048】これらの回路パラメータのいずれを採用し
ても、同一のクロスフィルタ特性が得られる。このこと
から、本発明では、回路パラメータに関する数値限定を
受けず、上記の回路合成手法で求めた全ての回路パラメ
ータに発明の適用が及ぶことを主張する。
【0049】本実施例では、クロス出力で所望フィルタ
特性が実現するように、回路パラメータを計算したが、
スルー出力(ポート5から7への出力)で所望フィルタ
特性を実現するように、回路パラメータを計算すること
も可能である。
【0050】本実施例では、実現すべきフィルタ特性を
考慮し、非対称マッハツェンダ干渉計の段数を23段
(N=23)とした。以下、23段非対称マッハツェン
ダ干渉計構成を有する1個の光信号処理器で、可変方向
性結合器の結合率と、位相制御器の位相シフト量を変化
させて、異なる特性を持つ光信号処理器を実現した結果
を示す。
【0051】a)直線位相チェビシェフ透過特性を持つ
光フィルタ この光フィルタは、クロス特性が周波数に比例した位相
特性をもち、群遅延特性で言い替えると一定群遅延特性
をもち、バンドパス形のチェビシェフタイプの透過特性
を実現する。この光フィルタの要求特性値を、周波数間
隔:100GHz、透過域周波数:−12.4GHz〜
12.4GHz、透過域左右端における減衰率:38.
1dBと設定した。この要求条件を満たすzの逆数多項
式f(z)は、Remez Exchange法を用い
て既に求められており(J.H.McClellan,
T.W.Parks,and L.R.Labine
r:IEEE Trans.Audio&Electr
oacoust.,AU−21,p506,197
5)、次式(10)で示すように表現される。
【0052】
【数22】
【0053】表1に全展開係数を表示する。上記要求条
件を満たす最小展開項数は23であった。この実施例で
は、振幅特性が周波数原点に対し対称で、位相特性が周
波数原点に対し反対称であることから、f(z)の展開
係数は実数となる。表の展開係数を基に、前述の設計手
順により可変方向性結合器の位相制御器の位相シフト量
θk と遅延線上の位相制御器の位相シフト量φk を設計
した。図7は作製された光フィルタのパワー透過強度を
測定した結果である。−10GHz〜10GHz付近で
設計通りのチェビシェフタイプの透過特性が得られた。
【0054】
【表1】
【0055】b)周波数選択フィルタ この例は、12.5GHzの等周波数間隔で並べられた
8個の周波数多重信号光f1 〜f8 の中から希望の周波
数の信号光だけをクロスポートより抜き出すためのフィ
ルタである。ここでは、f1 ,f3 ,f7 の周波数信号
光をクロスポートより取り出すという設計条件で周波数
フィルタを作製した。
【0056】この要求条件を満たすクロス特性のz逆数
多項式展開f(z)は、離散フーリエ展開法により、次
式(11)で示すように求められた。
【0057】
【数23】
【0058】表2に全展開係数を表示する。この実施例
では、f(z)に特別な対称性がないため、展開係数は
複素数となる。必要最小な展開項数は15であった。表
の展開係数を基に、前述の4段階の設計手順により可変
方向性結合器の位相制御器の位相シフト量θk と遅延線
上の位相制御器の位相シフト量φk を求めた。必要最小
な展開項数は15であるので、必要段数はN=15段で
あり、23段の光フィルタにおいて、残りの16段より
23段までは可変方向性結合器の位相制御器の位相シフ
ト量をπに、位相制御器の位相シフト量を0に設定し
た。可変方向性結合器の位相制御器の位相シフト量を1
に設定したのは、この対称マッハツェンダ干渉計構成の
可変方向性結合器では位相制御器の位相シフト量が0の
時100%結合になり、位相シフト量が1の時0%結合
になるためである。表2で位相制御器の位相シフトは非
対称マッハツェンダ干渉計を構成する2本の光導波路の
うち長尺側の光導波路1上の位相制御器の位相シフト量
を表すものとする。この値が負の時は短尺側の位相制御
器にその値の正の位相シフトを与えることを意味する。
【0059】
【表2】
【0060】図8は設計値を基に作製された周波数選択
フィルタの透過特性である。
【0061】図9は同様の設計手法により、8個の信号
光の中からf1 ,f2 ,f5 ,f6の周波数を抜き出す
ために作製したフィルタのパワー透過特性を示す。
【0062】この実施例では、図8,図9の2種類の周
波数選択フィルタを実現したが、選択する周波数は、可
変方向性結合器の位相制御器の位相シフト量と遅延線上
の位相制御器の位相シフト量を変化させることにより、
自由に設定することが可能である。また、本実施例にお
いては、熱による屈折率変化を利用しヒータにより可変
方向性結合器と位相制御器を制御しているため、パラメ
ータ変更に要する時間は数msec程度であった。
【0063】c)群遅延等化器 長距離の光ファイバを伝送してきた光信号は光ファイバ
の波長分散に起因する信号波形に歪を生じる。光ファイ
バの分散と逆の分散特性を有する等化器を用いて、この
波形歪を補償することができる。この例では、本発明の
光信号処理器を用いて、光群遅延等化器を実現した実施
例を述べる。この例では、クロスポート特性において、
光ファイバを1.55μm帯で使用した時に生じる波形
歪を補償することを目的に設計した。
【0064】この要求条件を満たすクロス特性のz逆数
多項式展開f(z)は、フーリエ展開法により、次式
(12)で示すように求められた。
【0065】
【数24】
【0066】表3に全展開係数を表示する。この実施例
においても設計例a)と同様に、振幅特性が周波数原点
に対し対称で、位相特性が周波数原点に対し反対称であ
ることから、f(z)の展開係数は実数となる。計算に
あたり、所望特性を実現する必要最小な展開項数は22
と求められた。表の展開係数を基に、前述の設計手順に
より可変方向性結合器の位相制御器の位相シフト量θk
と遅延線上の位相制御器の位相シフト量φk を設定し
た。この回路の必要段数は22なので、23段目の可変
方向性結合器の位相制御器の位相シフト量をπに、遅延
線上の位相制御器の位相シフト量を0に設定した。
【0067】
【表3】
【0068】図10に作製した光群遅延等化器の群遅延
特性を示す。この結果では、22GHz程度の周波数領
域で650psec/nmの分散補償効果が得られた。
この結果より、実現された光群遅延等化器はほぼ設計通
りの群遅延特性を示していると言える。
【0069】上記の3種類の異なるフィルタ特性をもつ
光信号処理器を同一の回路で実現する実施例を示した
が、ともに、本発明が目的とした、100%の最大透過
率を実現可能であった。また、本実施例では、1つの回
路で任意の光信号処理を可能にするため、可変結合率を
もつ方向性結合器を用いたが、単一機能の光信号処理器
を実現するためには、可変方向性結合器のかわりに固定
結合率をもつ方向性結合器を用いることも可能であり、
この方が、部品数が少なくて済むというメリットもあ
る。
【0070】(実施例2) 本実施例も前記目的を実現するために請求項3に記載さ
れた漸化式により与えられる回路パラメータ値を有する
光信号処理器を実施したものである。
【0071】本実施例の回路構成を図11,図12に示
す。実施例1では、可変方向性結合器に挟まれた2本の
光導波路の内、光路長の長い導波路は全て導波路1側で
あった。実際には、光路長の長い導波路を可変方向性結
合器に挟まれた2本の光導波路の内のどちらにとるか
で、2N 個の導波路配置が考えられる。本実施例では、
N 個の導波路配置の内、次の2種類の配置を用いて実
施例(1−a)と同様の直線位相チェビシェフフィルタ
を作製した実施例について述べる。
【0072】[導波路配置1]光路長の長い導波路が導
波路1と導波路2に交互に現れる配置(図11)。
【0073】[導波路配置2]単位構成回路のk=0か
らnまで、導波路1側に光路長の長い導波路があり、単
位構成回路のk=n+1からNまで、導波路2側に光路
長の長い導波路がある配置(図12)。
【0074】これらの導波路配置に対する回路パラメー
タは、実施例(1−a)の表2に示された回路パラメー
タの計算結果より簡単に求められる。これは、次の手順
により簡単に行なえる。
【0075】[手順2−1]実施例(1−a)と同様
に、光路長の長い導波路が全て導波路1側にある場合に
ついて、直線位相チェビシェフフィルタを実現する回路
パラメータを求める。
【0076】[手順2−2]所望の導波路配置におい
て、光路長の長い導波路が導波路2側にある非対称マッ
ハツェンダ干渉計の両端にある可変方向性結合器の位相
制御器の位相シフト量をともにπだけ減らす。この操作
を、光路長の長い導波路が導波路2側にある全ての非対
称マッハツェンダ干渉計について繰り返す。
【0077】表4は図11に示した[導波路配置1]の
導波路構成に対して求めた回路パラメータである。ま
た、表5は図12に示した[導波路配置2]の導波路構
成(n=12)に対して求めた回路パラメータである。
両方の表において、灰色に塗られた部分は実施例(1−
a)の回路パラメータに対して変更を加えた部分であ
る。この結果をもとに、それぞれの導波路配置に対して
フィルタ回路を作製し、フィルタ特性を測定した結果、
実施例(1−a)と同様のフィルタ特性が得られた。
【0078】この実施例からわかるように、本発明で
は、光路長の長い導波路を導波路1側にとるか、導波路
2側にとるかで異なる2N 種類の全ての導波路配置に対
して、回路パラメータを設計可能である。このことか
ら、本発明はこれら導波路配置に限定されないことを述
べておく。
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】(実施例3) 本実施例では、実現すべきフィルタ特性を考慮し、非対
称マッハツェンダ干渉計の段数を23段(N=23)と
した。波長に対してほぼ一定の固定結合率を示す方向性
結合器としては、図13に示す3個の方向性結合器33
からなる構成を用いた。図14に、対象とした波長に対
してほぼ一定の固定結合率を示す方向性結合器のパワー
結合率の波長依存性を示す。
【0082】ここでは、実施例1のa)と同様の直線位
相チェビシェフ透過特性を持つ光波長フィルタを作製し
た。この光フィルタは、クロス特性が周波数(波長の逆
数)に比例した位相特性をもち、群遅延特性で言い替え
ると一定群遅延特性をもち、バンドパス形のチェビシェ
フタイプの透過特性を実現する。この光フィルタの要求
特性値を、周波数間隔:12500GHz(f=2×1
14Hz(λ=1.5μm),f=1.875×1014
(λ=1.6μm))、透過域周波数:−1550GH
z〜1550GHz、透過域左右端における減衰率:3
8.1dBと設定した。図14の特性より、波長範囲
1.5〜1.6μmにおいて、本実施例で用いた波長無
依存方向性結合器はほぼ一定の結合率を有することが確
認できる。この要求条件を満たすzの逆数多項式f
(z)は実施例1の式(10)と同様の展開式を用い
た。
【0083】この実施例においても、振幅特性が相対周
波数原点に対し対称で、位相特性が相対周波数原点に対
し反対称であることから、f(z)の展開係数は実数と
なる。表の展開係数を基に、前述の設計手順により可変
方向性結合器の位相制御器の位相シフト量θk と遅延線
上の位相制御器の位相シフト量φk を設計した。図15
は作製された光フィルタのパワー透過強度を測定した結
果である。特性の測定の結果より、設計通りのチェビシ
ェフタイプの透過特性が得られていることが確認され
た。
【0084】波長に対してほぼ一定の固定方向性結合器
を設計値通り実現するためには、波長に対してほぼ一定
の固定方向性結合器を構成する方向性結合器33−1,
2,3の結合率にかなりの精度が要求される。
【0085】(実施例4) 本実施例の構成図を図16に示す。実施例1の回路構成
との最大の相違は、位相制御器に隣接してInGaAs
P系半導体で作られた増減器が設けられている点であ
る。この増減器は基本的にはInGaAsP系BHタイ
プの光増幅器であるが、注入電流が少ない領域では減衰
器として働くため、増減器として使用可能である。ここ
では、増減率として、正であれば増幅、負であれば減衰
と定義する。非対称マッハツェンダ干渉計部で導波路1
と2で増減率の差が生じると設計が困難になるので、本
実施例では各非対称マッハツェンダ干渉計部で同じ増減
率を有する増減器を導波路1および2上に配した。In
GaAsP系増減器の長さは300μmであった。実施
例1で述べた同じ製法により石英系薄膜導波回路を作製
し、増減器にあたる部分をエッチング加工により穴をあ
け、増減器を埋め込んだ。ここで用いたGaAS増減器
の増減率を図17に示す。注入電流20mAの場合−2
5dB,注入電流100mWの場合11dBであった。
【0086】所望フィルタ特性が与えられた時の回路パ
ラメータを設計する設計手順を以下に示す(図18)。
【0087】[設計手順4−1] 実施例1の[設計手順1−1]と同じ[設計手順4−
2]本回路の基本構成回路の段数をNとし、各基本構成
回路の増減器の増減率をγとする。所望フィルタ特性の
最大透過率をκとする(ただし、κ=1の時100%透
過)。Nカ所のうちnカ所2本の光導波路上に増減器を
設けた場合、各増減器に増減を均等に分配すると、各増
減器に要求される強度増減率γはγ=κ/nとして求め
られる。
【0088】[設計手順4−3] 実施例1の[設計手順1−3]と同じ。 [設計手順4−4] 実施例1の[設計手順1−4]と同じ。回路パラメータ
は上の手順からわかるように、実施例1と同様の手法に
よって求められる。ただ、実施例1と違う点は、本実施
例の光信号処理器は所望の最大透過率が実現可能であ
り、合成手順の中に各増減器の増減率を求める手順が付
加されている点である。
【0089】図19は上記の設計手順に基づき実施例
(1−a)と同様の仕様の最大透過率500%の直線位
相チェビシェフフィルタを作製し、特性を測定した結果
である。作製にあたって、回路パラメータは実施例(1
−a)のものを用いた。また、増減器は23段全ての非
対称マッハツェンダ干渉計に配置し、各増減器の増減率
γを0.3dBとした。測定の結果は要求通りの最大透
過率が得られている。
【0090】本実施例では、増減器としてInGaAs
P系増減器を用いたが、それにかわり等長のErドープ
石英系光導波路等、他の増減器を用いても同様の任意最
大透過率の実現を行なうことも可能である。
【0091】(実施例5) 本実施例の構成図を図20に示す。実施例4記載の回路
構成との最大の相違は、位相制御器に隣接して設置され
る増減器の替わりに、2本の光導波路をErドープ石英
系光導波路27および28に置き換えた点である。この
導波路は導波路自体に入力励起光源の光強度に合わせ
て、増幅・減衰の両方の機能がある。信号光は入力端5
より入射し、出力端8より取り出している。また、励起
光は入力端6より入射し、同じく出力端8より取り出し
ている。出力端8では、信号光と励起光を分離するため
に、0.98μmで0%結合、1.535μmで100
%結合となる導波型波長フィルタを用いた信号光・励起
光分離器26を用いた。本実施例の光回路の作製には実
施例1で述べた作製手法を用いた。図21は本実施例に
用いたErドープ石英系光導波路の励起光源強度と導波
路の増減率を求めたものである。この測定結果は導波路
長40cmのテスト用導波路の測定結果である。励起光
光源としてArレーザにより励起されたTi:Al2
3 レーザを用いた。その励起波長は0.98μmであっ
た。信号光用光源としてはチューナブルレーザダイオー
ドを用いた。その発信波長は1.535μmであった。
この結果では、励起光の強度を250mWまで変化させ
ることにより、−20〜22dBの増減率が得られた。
可変方向性結合器としては、3dBカップラ9−1,9
−2に挟まれた対称マッハツェンダ干渉計を用いた結合
器を採用した。基本構成である非対称マッハツェンダ干
渉計の部分14−1〜14−Nでは、光路長差が存在す
るために、導波路27と導波路28ではそれぞれ増減率
が異なる。各非対称マッハツェンダ干渉計の2本の光導
波路の導波路長をL1 とL2 とすると、それぞれの導波
路の光強度増幅率はexp(αL1 )とexp(αL
2 )と異なる。ここで、αは単位距離あたりの光強度増
幅係数である。実際には各導波路の増減率が異なったま
までは設計が困難であるので、可変方向性結合器3を構
成する3dBカップラ9の波長依存性を利用することに
より、この光路長差にともなう増減率の差異を補正し
た。具体的には、3dB方向性結合器9を、信号光波長
である1.535μmでは3dBカップラのままである
が、励起光波長である0.98μmでは非対称マッハツ
ェンダ干渉計部分の導波路27,28の増減比も1:1
になるように、言い換えれば、励起光が可変方向性結合
器を構成する対称マッハツェンダ干渉計部分では励起光
は光強度比1:1に分配されるが、非対称マッハツェン
ダ干渉計部分の導波路27(導波路長L1 )および導波
路28(導波路長L2 )に対して
【0092】
【数25】 α(P1 )L1 =α(P2 )L2 …(13) を満たす光強度比P1 :P2 に分配されるように、3d
B方向性結合器9の0.98μmにおける結合率を設計
した。式中、α(P)は図17に示した光増減率の励起
光強度依存性を表している。両端の3dBカップラだけ
結合特性を変え、励起光を入力端6より入射し、出力端
8より出射させるようにした。このように、波長依存性
を考慮した3dBカップラを用いれば、光路長差にとも
なう増減値の差異を補償可能である。このような波長依
存のある3dBカップラとしては、非対称な導波路を接
近させた方向性結合器等、色々存在するが、ここでは、
波長程度の光路長差を有する非対称マッハツェンダ干渉
計を2つ直列に並べた構成をもつ波長依存のある3dB
カップラを用いた。
【0093】所望フィルタ特性が与えられた時の回路パ
ラメータを設計する設計手順を以下に示す(図22)。
【0094】[設計手順5−1] 実施例1の[設計手順1−1]と同じ。 [設計手順5−2] 本回路の基本構成回路の段数をNとし、各基本構成回路
における増減率をγとする。所望フィルタ特性の最大透
過率をκとすると(ただし、κ=1の時100%透
過)、必要な基本構成回路を構成する2本の増減可能な
光導波路の増減値γはγ=κ/Nとして求められる。
【0095】クロスのフィルタ特性の展開係数は実施例
1の[設計手順1−2]により同様に求められる。
【0096】[設計手順5−3] 実施例1の[設計手順1−3]と同じ。 [設計手順5−4] 実施例1の[設計手順1−4]と同じ。回路パラメータ
は上の手順からわかるように、実施例1と同様の手法に
よって求められる。ただ、実施例1と違う点は、本実施
例の光信号処理器は所望の最大透過率が実現可能であ
り、合成手順の中に各基本構成回路における増減率を求
める手順が付加されている点である。
【0097】図23は上記の設計手順に基づき実施例
(1−b)と同様の仕様の最大透過率200%の周波数
選択フィルタを作製し、特性を測定した結果である。作
製にあたって、回路パラメータは実施例(1−b)のも
のを用いた。また、各基本構成回路における増減率γを
0.13dBとした。
【0098】(実施例6) 本実施例では、石英系平面回路を用い、電気光学効果を
利用したLiNbO3結晶を用いた位相制御器を使用
し、周波数多重通信用の高速周波数選択スイッチを実現
した。回路構成を図24に示す。実施例1の回路構成と
の相違は、結合率可変な方向性結合器および位相制御器
に供給する電力を制御するための電力制御部と前記電力
制御部を制御するための演算部を設けている点である。
【0099】位相制御器は、実施例1で述べた平面回路
にフォトリソグラフィ技術を用いて溝をあけ、その中に
LiNbO3 結晶を配した。また、LiNbO3 結晶上
に電極を配し、電気光学効果を利用して、高速な屈折率
制御を行なった。
【0100】本実施例では、実施例(1−b)と同様
に、8波のFDM信号から任意の信号を高速で取り出す
光信号スイッチ特性を実現した。演算部での回路パラメ
ータの演算をリアルタイムで行なうために、あらかじめ
信号を取り出すための光信号スイッチ特性に対応する回
路パラメータを請求項3記載の漸化式より求め、データ
ベース化し、演算部に保有しておいた。そして、ON,
OFFスイッチ特性に合わせて、LiNbO3 結晶を用
いた位相制御器を駆動し、高速周波数選択スイッチを実
現した。この実施例でのスイッチ応答は1μs以下を実
現した。
【0101】(実施例7) 一般に、光回路は、干渉現象を利用してフィルタ処理を
行なっているため、温度変動を嫌う。このため、多くの
場合ペルチェ素子等を基板に付着させることにより外部
環境変動を抑えるように工夫されている。しかし、外部
環境温度変化の激しい所では、温度変動による特性変化
を完全に抑えることの困難が予想される。本実施例で
は、変動した光出力の一部を検知し、帰還制御を行なう
ことにより、光回路の温度変動に伴う回路特性の時間変
動を最小化する最適フィルタを実現した。
【0102】回路構成を図25に示す。実施例1の回路
構成と比較して大きな相違は、出力光の一部を分岐する
ための光抽出部19−1,19−2およびその分岐され
た光信号を電気信号に変換する検知部20−1,20−
2が付加されている点、そして、それら変換された電気
信号を帰還し、帰還制御を行なうための演算部16およ
び演算部16の制御下で位相制御器を制御する制御部が
付加されている点である。制御されるべき位相制御器
は、非対称マッハツェンダ干渉計を構成する光路長の異
なる導波路上の位相制御器と、可変方向性結合器をなす
対称マッハツェンダ干渉計を構成する光路長の等しい導
波路上の位相制御器である。本実施例では、上記の構成
により、出力光の一部を検知し帰還制御を行なうことに
より、現在の回路パラメータの値を推測し、所望の回路
パラメータとの誤差に対応して、回路パラメータ(具体
的には位相制御器)を変化させて、所望の回路パラメー
タとの誤差を補正する精度の高い信号処理器を実現し
た。
【0103】本実施例では、非対称マッハツェンダ干渉
計の段数を実施例1と同様に23段とした。また、周期
周波数を100GHzとするために、各非対称マッハツ
ェンダ干渉計の遅延時間を0.01nsに設定した。こ
の例では、位相制御器に高速な応答を要求しないので、
実施例と同様、位相制御器として導波路上に形成したヒ
ータを用いた。
【0104】図26に示す帰還制御は、 1)出力部に配された検知器において、演算部の指示に
より周波数点ω1 ,ω2 ,…,ωM+1 における光抽出部
より抽出した信号光の振幅と位相を検知する。
【0105】2)演算部において、1)の検知結果を基
に、各可変方向性結合器の結合率と各位相制御器の位相
シフト量を所望回路設定値に近づけるために必要な電力
を供給するように、制御部に制御信号を送信しコントロ
ールする。
【0106】という2段階の手順を一定時間ごとに繰り
返すことにより行った。
【0107】具体的には、検知部では、−50〜50G
Hzの間で2GHz間隔で等化器出力信号光の振幅、位
相を測定し、結果を演算部に転送した。この測定の繰返
し時間を30秒とした。演算部16では、測定結果を基
に現在の回路パラメータを算出し、所望回路パラメータ
との差異分に対応して、電力制御部15により位相制御
器の位相シフト量を補正した。本実施例では、各周波数
成分の振幅、位相情報より現在の回路パラメータを算出
するプログラムを、演算部に格納しておいた。
【0108】本実施例では、具体的に実施例(1−a)
の直線位相チェビシェフフィルタを作製し、実施例1で
環境温度変動の影響を除去するために用いたペルチェ素
子をはずして、わざと回路パラメータを変動させ、帰還
制御による信号処理特性の改善効果を調べた。図27,
図28に結果を示す。図で、灰色の線は作製した光フィ
ルタの透過特性の30秒ごとの測定結果、実線は所望の
フィルタ特性である。改善前は、図27に示すようにフ
ィルタの阻止域での平均減衰率は−25dB程度であっ
たが、帰還制御を施すことにより、図28に示すように
阻止域での平均減衰率は−35dB程度と10dBの改
善がなされた。この結果を、回路パラメータの改善効果
に置きなおすと、改善前の回路パラメータの設定誤差は
およそ0.05πであり、帰還制御後は回路パラメータ
の設定誤差が0.005π以下に改善されたことがわか
る。
【0109】(実施例8) 長距離光通信においては、光ファイバに存在する波長分
散のために伝搬パルスのパルス幅が拡がるという問題が
あり、これを解決するために、実施例(1−c)では波
長分散等化器を作製した。ただし、この実施例の等化器
は特性に適応性がないため、光ファイバの環境温度等に
よる実質光路長の変動、あるいは、半導体光源の温度変
動に伴う発信波長の変動等、外部の擾乱が伝送路に加わ
り、その結果として波長分散特性が時間変動した場合に
は、そのままでは使用できない。本実施例では、出力光
信号の1部を電気信号として帰還することにより、入力
光信号の遅延分散特性の時間変動に対応して、等化器の
特性を変化させ、常に良好な分散補償を実現する波長分
散適応等化器を作製した。
【0110】本実施例は、出力光の一部を検知し帰還制
御を行なうことにより、入力光信号に合わせて回路パラ
メータ(具体的には位相制御器)を変化させて、時間変
動のある入力光信号に対して一定の信号処理を行なうこ
とを目的としている。これは、ディジタル信号処理にお
ける適応処理と同等の機能を、光フィルタで実施したこ
とになる。その意味で、このフィルタを光適応フィルタ
と呼ぶことにする。適応フィルタの様に時間変動入力信
号に対応して、フィルタ特性を変化させるためには、任
意フィルタ特性が回路パラメータを変えるだけで実現可
能であるというプログラマブル性が必要となる。本発明
では、このプログラマブル性は実施例1,3および4で
示した回路合成手法を用いることにより実現した。
【0111】回路構成を図29に示す。実施例6での出
力端に光検知部を配する構成に替わって、図に示した様
に、各非対称マッハツェンダ干渉計部分で出力信号光の
一部を抽出するための光抽出部19−1,19−2,
…,19−(N+1)と、各光抽出部の後ろに検知器2
0−1,20−2,…,20−(N+1)を配した構成
を採用し、帰還制御を行った。この構成は実施例6よ
り、多くの光検知器を必要とするが、各光検知部では単
一周波数成分に対して振幅と位相を検知し、演算部に検
知結果を転送するため、検知時間が実施例6より短縮化
できるため、より高速な帰還制御が必要な場合に有効で
ある。
【0112】図30に示す帰還制御は、 1)演算部の指示に従いN+1カ所それぞれに配された
検知器において、抽出部より抽出した信号光の振幅と位
相を検知する。
【0113】2)演算部において、1)の検知結果を基
に、各可変方向性結合器の結合率と各位相制御器の位相
シフト量を所望回路設定値に近づけるために必要な電力
を供給するように、制御部に制御信号を送信しコントロ
ールする。
【0114】という2段階の手順を一定時間ごとに繰り
返すことにより行った。本実施例では、検知時間を1秒
とした。
【0115】この構成を用い、波長分散適応等化器を作
製した。非対称マッハツェンダ干渉計の段数を実施例1
と同様に23段とした。また、周期周波数を100GH
zとするために、各非対称マッハツェンダ干渉計の遅延
時間を0.01nsに設定した。この例では、位相制御
器に高速な応答を要求しないので、実施例1と同様、位
相制御器として導波路上に形成したヒータを用いた。検
知部では、等化器出力信号光の振幅、位相を測定し、信
号光の群遅延が一定値よりどのくらいずれているかとい
う誤差量、および、信号の中心周波数の変動量を算出
し、結果を演算部に転送し、帰還制御を行なった。演算
部16では、一定群遅延よりの誤差量を最小にし、中心
波長のあった波長分散等化特性を算出し、電力制御部1
5により回路パラメータを設定した。本実施例では、演
算部でのリアルタイム制御を行なうため、実施例1で述
べた設計手法を使って、あらかじめ誤差量に対する回路
パラメータの補正データをデータベース化し、演算部に
格納しておいた。図31はデータベース化した回路パラ
メータ値の一部を用いて等化特性をシミュレートした結
果である。用いた回路パラメータにより0〜650ps
/nmの範囲で任意の分散補償量が実現可能であること
がわかる。
【0116】実際の波長分散の補償は、40km光ファ
イバを用いた伝送路において行なった。その手順を図3
2に、結果を図33に示す。図の縦軸は等化器出力光の
一定群遅延に対する誤差量を各周波数成分で平均化した
量である。帰還制御を施す前は、最大10ps/nmの
誤差が存在したが、帰還制御後は1ps/nm以下に抑
えることができた。
【0117】(実施例9) 図34に示す本実施例では、出力特性の時間変動を抑え
るために、実施例6の構成に、周波数可変な参照光用光
源22および入力ポート5上に参照光を挿入する挿入部
24を付加した構成を採用し、帰還制御を行い、実施例
6と同様の測定を行なった。
【0118】ここでは、参照光は信号光の波長帯とは異
なる波長帯の光を用いた。具体的には、1.55μmの
信号光に対し、参照光の波長帯として1.3μmを採用
し、光抽出部では、1.3μmで100%結合で、1.
55μmで0%結合になる方向性結合器を用いて、信号
光と参照光を分離した。また、参照光用光源としては、
1.3μm発振の多電極DFBレーザを用い、電流制御
により周波数を制御した。帰還手順を図35に示す。帰
還制御は、1)演算部により、参照光用光源を制御し参
照光の周波数を設定し、それぞれの出力ポートに配され
た検知器において光抽出部より抽出した参照光を検知
し、各抽出点における参照光の振幅と位相を検知する、
という操作を参照光の相異なる周波数ω1 ,ω2 ,…,
ωM+1 に対してM+1回繰り返す。
【0119】2)演算部において、M+1カ所の周波数
点での参照光の検知結果を基に各可変方向性結合器の結
合率と位相制御器の位相シフト量を所望回路設定値に近
づけるために必要な電力を供給するように前記制御部に
制御信号を送信しコントロールする。
【0120】という2段階の手順を、一定時間ごとに繰
り返すことにより行った。具体的には、参照光光源は
1.3μmで注入電流を調整することにより−10〜1
0GHzの間で0.5GHz間隔で波長を変化させ、各
波長の参照光の振幅、位相を測定し、結果を演算部に転
送した。この測定の繰返し時間を30秒とした。結果
は、実施例6よりもより安定した特性が得られた。この
原因としては、本実施例が信号光の有無に関係なく一定
してフィルタ特性の帰還制御が可能であるという本実施
例の特徴に起因していることが考えられる。
【0121】また、本実施例では図34に示した光抽出
部の配置を採用したが、各非対称マッハツェンダ干渉計
ごとに光抽出部を配する構成で実施することも可能であ
る。この場合、検知地点が複数であるため、情報が豊富
であり、波長で情報量をかせぐ必要がないため、参照光
用光源として固定波長発振の光源を用いることができる
というメリットがある。
【0122】(実施例10) 本実施例は、長距離光通信において生じる偏波の時間変
動を等化する偏波等化器を本発明の光信号処理器で実現
した実施例である。長距離光通信、特に、コヒーレント
周波数多重光通信方式では、各チャンネルごとの偏波変
動が問題になっていた。従来この問題を解決するため
に、図36に示したように、各チャンネルへ光信号を分
岐後、チャンネルごとに設置した偏波ダイバーシティ光
検知器により偏波変動を除去する方法がとられていた。
しかし、この方法ではチャンネルごとに高価な偏波ダイ
バーシティ光検知器を配置する必要があり、全体システ
ムの価格が高くなるという問題があった。本実施例は、
このチャンネルごとに異なる偏波変動を、チャンネル分
岐前に一つの光信号処理器で一括等化する方式を実現し
たものである。図37に本実施例の偏波等化器の構成を
示す。基本的には、実施例6の帰還制御を有する構成で
適応等化器を構成した。光信号処理器の前段には光信号
をTEモード成分とTMモード成分に分離する偏波分離
器を置き、TMモードに対しては半波長板を用いてTE
モードに変換し、それぞれの成分を光信号処理器の各2
つの入力ポートに入射した。このことにより、偏波の時
間変動は光信号処理器の2つの入力ポートへの入力パワ
ーの時間変動に変換される。本実施例では、損失の低減
を図るため、偏波分離器および半波長板を応力解放溝を
導波路の片側に形成する方法により、これらを光信号処
理器と同じ光平面回路上に形成した。(M.Kawac
hi:“Silica waveguides on
silicon and their applica
tion to integrated−optic
components”,Opticaland Qu
antum Electronics,22,pp39
1−416,1990)本実施例では、チャンネル周波
数間隔周期10GHzの10チャンネルの周波数多重光
信号を扱った。10個のチャンネル数に対応するため、
非対称マッハツェンダ干渉計の段数を9段とし、また、
チャンネル周波数間隔周期10GHzに対応するため、
各非対称マッハツェンダ干渉計の遅延時間を0.1ns
に設定した。一般に偏波の時間変動は分単位程度のかな
りゆっくりしたものなので、この実施例では、実施例6
と同様、位相制御器として導波路上に形成したヒータを
用いた。
【0123】以下に時間変動を伴う偏波変動の本実施例
において採用した適応等化制御方法を示す。
【0124】1)出力部に配された検知器において、演
算部の指示によりチャンネル周波数点ω1 ,ω2 ,…,
ω10における光抽出部より抽出した信号光の振幅と位相
を検知する。
【0125】2)演算部において、1)の検知結果を基
に、各可変方向性結合器の結合率と各位相制御器の位相
シフト量を入力ポートへの入力パワーの変動に関係なく
常に出力ポート1に全信号光が出力されるように必要な
電力を供給するように、制御部に制御信号を送信しコン
トロールする。
【0126】という2段階の手順を一定時間ごとに繰り
返すことにより行った。
【0127】具体的には、検知部では、−50〜50G
Hzの間で10GHz間隔で等化器出力信号光の振幅、
位相を測定し、結果を演算部に転送した。この測定の繰
返し時間を1分とした。演算部16では、測定結果を基
に現在の回路パラメータを算出し、常に出力ポート1に
全信号光が出力されるように、電力制御部15により位
相制御器の位相シフト量を補正した。本実施例では、各
周波数成分の振幅、位相情報より現在の回路パラメータ
を算出する漸化式を、演算部に格納しておいた。本実施
例を実行した結果、偏波の時間変動は1%以下に抑える
ことが可能であることが確認された。
【0128】(実施例11) 本実施例は請求項7に記載のパラメータ調整工程を含む
製造方法により本光信号処理器を製造した実施例であ
る。本実施例で製造した光信号処理器の構成は、基板と
してシリコン基板を用い、導波路は石英薄膜を用い、位
相制御器は、石英薄膜の上にクロムのヒータを形成する
ことにより作製した。製造工程の概要を図38〜図45
に示す。この方法は、基本的に火炎堆積法とリソグラフ
ィ技術を結合した製造方法である。
【0129】[製造工程1]請求項5、6で述べた設計
手法を用いて、所望信号処理特性を実現するための方向
性結合器の結合率の角度表示θn (−π/2〜π/2)
と位相制御器の位相シフト量φn (−π〜π)の未知回
路パラメータを求める。そして、求めた方向性結合器の
結合率の角度表示θn (−π/2〜π/2)と位相制御
器の位相シフト量φn (−π〜π)を、コアのサイズ、
方向性結合器の結合部分のコア間距離、結合長、位相制
御器を形成するヒータのサイズ、ヒータの付加電流等の
具体的に光回路として実現するための回路パラメータに
計算し直す(図38)。
【0130】[製造工程2]製造工程1で求めたパラメ
ータ値に合わせて、ガラス原料の四塩化シリコンを酸素
と混合しながら火炎加水分解反応させ、Si基板の上に
バファ層となるガラス微粒子層を堆積させる。その上
に、ドープ原料を混合した四塩化シリコンを火炎加水分
解反応させ、コアとなるガラス微粒子層を堆積させる
(図39)。
【0131】[製造工程3]電気炉の中で1000度以
上で焼結させ、ガラス微粒子層を透明なガラス層に変え
る(図40)。
【0132】[製造工程4]設計工程において求めたコ
アとなる部分のみレジスト材を塗布する。化学反応イオ
ンエッチングによりコア部を除く余分な部分は除去する
(図41)。
【0133】[製造工程5]製造工程2と同様にして、
オーバクラッドとなるガラス微粒子層を堆積させる(図
42)。
【0134】[製造工程6]製造工程3と同様にして、
電気炉でガラス化する(図43)。
【0135】[製造工程7]位相制御器として働くクロ
ムヒータを導波路上に形成する(図44)。
【0136】[製造工程8]請求項7で述べた手順によ
り所望の回路パラメータをもつように位相制御器の位相
シフト量を繰返し調整する(図45)。
【0137】本実施例では、製造工程8での位相シフト
量の調整を5回の繰り返しで、所望値との位相シフト設
定誤差で0.02πに抑えることが可能であることを確
認した。
【0138】(実施例12) 本実施例は請求項9の偏波トリミング工程を含む製造方
法により本光信号処理器を製造した実施例である。本実
施例で製造した光信号処理器の構成は、基板としてシリ
コン基板を用い、導波路は石英薄膜を用い、位相制御器
は、石英薄膜の上にクロムのヒータを形成することによ
り作製した。製造工程の概要を図46〜図54に示す。
この方法も実施例10と同様、基本的に火炎堆積法とリ
ソグラフィ技術を結合した製造方法である。また、応力
付与膜としては、アモルファスSi膜を用いた。
【0139】[製造工程1]請求項5、6で述べた設計
手法を用いて、所望信号処理特性を実現するための方向
性結合器の結合率の角度表示θn (−π/2〜π/2)
と位相制御器の位相シフト量φn (−π〜π)の未知回
路パラメータを求める。そして、求めた方向性結合器の
結合率の角度表示θn (−π/2〜π/2)と位相制御
器の位相シフト量φn (−π〜π)を、コアのサイズ、
方向性結合器の結合部分のコア間距離、結合長、位相制
御器を形成するヒータのサイズ、ヒータの付加電流等の
具体的に光回路として実現するための回路パラメータに
計算し直す(図46)。
【0140】[製造工程2]製造工程1で求めたパラメ
ータ値に合わせて、ガラス原料の四塩化シリコンを酸素
と混合しながら火炎加水分解反応させ、Si基板の上に
バファ層となるガラス微粒子層を堆積させる。その上
に、ドープ原料を混合した四塩化シリコンを火炎加水分
解反応させ、コアとなるガラス微粒子層を堆積させる
(図47)。
【0141】[製造工程3]電気炉の中で1000度以
上で焼結させ、ガラス微粒子層を透明なガラス層に変え
る(図48)。
【0142】[製造工程4]設計工程において求めたコ
アとなる部分のみレジスト材を塗布する。化学反応イオ
ンエッチングによりコア部を除く余分な部分は除去する
(図49)。
【0143】[製造工程5]製造工程2と同様にして、
オーバクラッドとなるガラス微粒子層を堆積させる(図
50)。
【0144】[製造工程6]製造工程3と同様にして、
電気炉でガラス化する(図51)。
【0145】[製造工程7]位相制御器として働くクロ
ムヒータを導波路上に形成する(図52)。
【0146】[製造工程8]各導波路上に導波路に沿っ
てアモルファスSi膜の応力付与膜を蒸着させる(図5
3)。
【0147】[製造工程9]請求項9で述べた偏波トリ
ミング工程を含む手順により偏波依存性を解消するよう
に、アモルファスSi膜でできた応力付与膜をYAGレ
ーザ光を照射することにより除去する(図54)。
【0148】本実施例では、偏波依存性を1%以下に抑
えることが可能であることを確認した。
【0149】以上、実施例を用いて、本発明を説明した
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
例えば、本実施例では石英平面光回路を用いたたが、I
nGaAsP系等の半導体、LiNbO3 等の電気光学
材料、有機光学材料などの別の材料で平面回路を用いる
ことも可能である。また、平面回路の代わりに光ファイ
バを用いることも可能である。本実施例では、位相制御
を行なうのに、熱光学効果、および電気光学効果を用い
たが、位相制御の方法としては、他の物理現象、例え
ば、カー効果に代表される非線形光学効果、磁気光学効
果等を利用することも可能である。また、本実施例では
光信号を増減する増減器として、InGaAsP系ゲー
トを用いたが、InP等の他の光半導体またはErドー
プ導波路を用いて増減器を構成することも可能である。
このように、本発明は、所望フィルタ特性を与えて回路
パラメータを計算する回路合成手法に関するものであ
り、その回路の物理的実現手段には拘束されない。ま
た、本実施例でのべた回路パラメータは設計例の一つに
過ぎず、この数値により限定されるものではないことも
併せて述べておく。
【0150】また、本発明は、N+1個の可変方向性結
合器に挟まれたNカ所の2本の光導波路がそれぞれ一定
の光路長差を持つ構成を持つ光回路を対象としている
が、その際、可変方向性結合器に挟まれたNカ所の2本
の光導波路の光路長の長い側を一方にそろえるかどうか
という導波路構成にも本発明は制約されない。なぜな
ら、実施例2で示したように、可変方向性結合器の結合
率を適当に変えることにより、各種の導波路構成のフィ
ルタを実現することが可能であるからである。
【0151】本発明の請求項に特徴的なのは、回路パラ
メータを求めるための算出漸化式を付加した設計方法お
よび製造方法を要求していることにある。実際に所望特
性を実現しようとすると、必ず所望特性を実現するため
の回路パラメータを算出する算出式が必要になる。本発
明では、本回路構成の回路パラメータであるN+1個の
結合率可変な方向性結合器の結合率、N個の位相制御器
の位相シフト量、増減器の減衰値あるいは増減可能な光
導波路の増減値が、実施例で述べられた漸化式に基づい
て求められている。このような多くの回路パラメータを
試行錯誤的に求めることは実際には不可能であり、たと
え計算機を用いて逐次近似手法により回路パラメータを
求めようとしても、最適な回路パラメータを得ることは
不可能に近い。本発明で用いている回路パラメータを与
える漸化式は、本発明独自のものであり、その特徴は、
逐次近似的手法とは異なり、有限の計算回数で最適な回
路パラメータを求めることが可能な点にある。
【0152】仮に本発明と類似の設計方法を有する特許
が存在しても、本発明は本発明独自の漸化式に基づいて
算出された回路パラメータ値の存在により他特許との差
別化を主張する。具体的には、実施例で述べた各種の周
波数フィルタや適応信号処理器は、本発明独自の漸化式
に基づいて算出された回路パラメータ値を用いなくては
得られない特性であり、設計方法が類似な場合でも、実
施例を比較することにより、他特許との差別化を行なう
ことができる。
【0153】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の対象であ
る光信号処理器は、任意の信号処理特性を実現するため
の請求項に述べた設計手法および製造方法を採用するこ
とにより、従来では実現できなかった最大透過率100
%で任意のフィルタリング処理を実現可能とした。特
に、本発明は透過特性の精度を上げるために非対称マッ
ハツェンダ干渉計の段数を増やしても、最大透過率が常
に100%に設計可能であるという優れた特徴をもって
いる。また、結合率を自由に選べる正の値から負の値の
範囲の振幅結合率をもつ可変方向性結合器と、任意の位
相シフトを与えることが可能な位相制御器を回路構成素
子として用いることにより、同一のフィルタ回路で任意
のフィルタ特性が実現可能であるという大きな特徴を有
している。また、増減器あるいは増減可能な光導波路を
用いて、任意の最大透過率の光信号処理器を実現するこ
とも可能である。また、従来のトランスバーサル型の光
信号処理器に比較して、可変方向性結合器の数を減らす
ことが可能である。例えば、2番目の従来例である改良
トランスバーサル型と比較すると、改良トランスバーサ
ル型でN段構成の場合、可変方向性結合器は2×N個必
要である。対して、本発明の対象である光信号処理器で
同じN段を構成した場合、必要な個数はN+1である。
この可変方向性結合器の個数を減らす効果は段数Nが大
きい程大きい。また、出力光の一部を検知し電気信号に
変え、その検知した電気信号を基に、実施例で述べた帰
還制御方法に従い各回路パラメータを帰還制御すること
により、ディジタルフィルタで良く知られている適応フ
ィルタと同様の働きをもつ光フィルタを構成可能であ
る。ここで述べる適応フィルタとは、時間変動のある入
力信号に対して回路パラメータを帰還制御することによ
り、一定の機能を果たすフィルタのことである。この例
として、実施例8で作製した波長分散が時間的に変動す
る光ファイバを伝搬してきた光信号に対して、その波長
分散を補正する波長分散適応等化器を示した。それ以外
に、時間的に変動する入力信号雑音を消去するノイズキ
ャンセラー、エコーを除去するエコーキャンセラー、入
力光信号の中の低レベルの正弦波成分を検出する適応線
スペクトル強調器、その逆の特性をもつ適応ノッチフィ
ルタなどが実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のトランスバーサル型光信号処理器を示す
回路構成図である。
【図2】従来の他のトランスバーサル型光信号処理器を
示す回路構成図である。
【図3】本発明に係る光信号処理器の第1の実施例を示
す回路構成図である。
【図4】図3のA−A′線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の光信号処理器を構成す
る可変方向性結合を示す回路構成図である。
【図6】本発明の第1の実施例の光信号処理器の設計手
順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施例の光信号処理器により実
現したチェビシェフタイプの光周波数フィルタの透過特
性を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施例の光信号処理器により実
現した周波数選択フィルタのf1 ,f3 ,f7 が透過の
場合における透過特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施例の光信号処理器により実
現した周波数選択フィルタのf1 ,f2 ,f5 ,f6
透過の場合における透過特性を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施例の光信号処理器により
実現した光群遅延等化器の群遅延特性を示すグラフであ
る。
【図11】本発明に係る光信号処理器の第2の実施例を
示す回路構成図である。
【図12】本発明に係る光信号処理器の第2の実施例を
示すもので、図11と導波路の配置が異なる回路構成図
である。
【図13】本発明の第3の実施例の光信号処理器を構成
する固定方向性結合器の回路構成図であり、この結合器
は、用いた波長に対してほぼ一定の結合率を持つ。
【図14】本発明の第3の実施例の光信号処理器に用い
た波長無依存方向性結合器の結合率の波長依存性を示す
グラフである。
【図15】本発明の第3の実施例の光信号処理器により
実現したチェビシェフタイプのフィルタの透過特性を示
すグラフである。
【図16】本発明の第3の実施例の光信号処理器の回路
構成図である。
【図17】本発明の第3の実施例の光信号処理器に用い
たInGaAsP系光増幅器の増減率の注入電流依存性
を示すグラフである。
【図18】本発明の第3の実施例の光信号処理器の設計
手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第3の実施例の光信号処理器により
実現した最大透過率500%のチェビシェフタイプのフ
ィルタの減衰率の光周波数依存性を示すグラフである。
【図20】本発明の第4の実施例の光信号処理器の回路
構成図である。
【図21】本発明の第4の実施例の光信号処理器に用い
たErドープ石英系光導波路の増減率の励起光強度依存
性を示すグラフである。
【図22】本発明の第4の実施例の光信号処理器の設計
手順を示すフローチャートである。
【図23】本発明の第4の実施例の光信号処理器により
実現した最大透過率200%の周波数選択フィルタの透
過特性を示すグラフである。
【図24】本発明の第5の実施例の光信号処理器の回路
構成図である。
【図25】本発明の第6の実施例の光信号処理器の回路
構成図である。
【図26】本発明の第6の実施例の光信号処理器の帰還
制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図27】本発明の第6の実施例の光信号処理器により
実現したチェビシェフフィルタの帰還制御前のフィルタ
特性を示すグラフである。
【図28】本発明の第6の実施例の光信号処理器により
実現したチェビシェフフィルタの帰還制御後のフィルタ
特性を示すグラフである。
【図29】本発明の第7の実施例の光信号処理器の回路
構成図である。
【図30】本発明の第7の実施例の光信号処理器の帰還
制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図31】本発明の第7の実施例の光信号処理器により
実現した適応分散等化器のプログラマブル性のシミュレ
ーションを示すグラフである。
【図32】本発明の第7の実施例の光信号処理器により
実現した適応分散等化器の適応特性を説明するための説
明図である。
【図33】本発明の第7の実施例の光信号処理器により
実現した適応分散等化器の適応特性を示すグラフであ
る。
【図34】本発明の第8の実施例の光信号処理器の回路
構成図である。
【図35】本発明の第8の実施例の光信号処理器の帰還
制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図36】本発明に係る光信号処理器の第9の実施例を
示す回路構成図である。
【図37】本発明に係る光信号処理器の第2の実施例を
示す他の回路構成図である。
【図38】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程1の説明図である。
【図39】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程2の説明図である。
【図40】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程3の説明図である。
【図41】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程4の説明図である。
【図42】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程5の説明図である。
【図43】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程6の説明図である。
【図44】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程7の説明図である。
【図45】本発明の第10の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程8の説明図である。
【図46】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程1の説明図である。
【図47】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程2の説明図である。
【図48】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程3の説明図である。
【図49】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程4の説明図である。
【図50】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程5の説明図である。
【図51】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程6の説明図である。
【図52】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程7の説明図である。
【図53】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程8の説明図である。
【図54】本発明の第11の実施例で説明した光信号処
理器の製造方法の工程9の説明図である。
【符号の説明】
1,2 光導波路 3 正の値から負の値の範囲の振幅結合率をもつ可変方
向性結合器 4 位相制御器 5,6 入力ポート 7,8 出力ポート 9 正の値から負の値の範囲の振幅結合率をもつ3dB
方向性結合器 10 分岐導波路 11 ダミー出力ポート 12 シリコン基板 13 石英系薄膜 14 非対称マッハツェンダ干渉計 15 電力制御部 16 演算部 17 電力供給線 18 制御信号線 19 光抽出部 20 検知器 21 検知制御信号線 22 参照光用光源 23 参照光用光源制御信号線 24 図21の構成をもつ光適応フィルタ 25 増減器 26 信号光,励起光分離器 27,28 Erドープ石英系光導波路 29 偏波分離器 30 半波長板 31 チャンネル分岐器 32 偏波ダイバーシティ光検知器 33 正の値から負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向
性結合器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−123325(JP,A) 特開 平4−352133(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/313

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遅延時間Δτに対応する光路長差を有す
    る2本の光導波路とその片側(初段のみ両側)に前記2
    本の光導波路を結合するための正の値から負の値の範囲
    の振幅結合率をもつ方向性結合器を備えた基本構成要素
    が直列的に組み合わされた構成を有する帰還のない2入
    力2出力の光信号処理器の設計方法であって、クロスポ
    ートに対する所望回路特性f0(z)が与えられた時、
    以下の手順により、クロスポート出力特性が所望回路特
    性を満足するように、回路の未知パラメータである各基
    本構成要素を構成する正の値から負の値の範囲の振幅結
    合率をもつ方向性結合器の結合率が算出できることを特
    徴とする光信号処理器の設計方法。 【外1】 (4)全体の回路特性行列Sを、各基本構成要素の回路
    特性行列Snのユニタリ性を利用しながらS=SNN-1
    ・・・S210の形に分解することにより、回路パラ
    メータを求めて行く。具体的には、以下の漸化式をn=
    Nからn=0の順に解いていき、各基本構成要素を作っ
    ている正の値から負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向
    性結合器の結合率の角度表示θn(−π/2〜π/2)
    を算出する。 【数1】
  2. 【請求項2】 遅延時間Δτに対応する光路長差を有す
    る2本の光導波路とその片側(初段のみ両側)に前記2
    本の光導波路を結合するための正の値から負の値の範囲
    の振幅結合率をもつ方向性結合器を備えた基本構成要素
    が直列的に組み合わされた構成を有する帰還のない2入
    力2出力の光信号処理器の設計方法であって、スルーポ
    ートに対する所望回路特性h0(z)が与えられた時、
    以下の手順により、クロスポート出力特性が所望回路特
    性を満足するように、回路の未知パラメータである各基
    本構成要素を構成する正の値から負の値の範囲の振幅結
    合率をもつ方向性結合器の結合率が算出できることを特
    徴とする光信号処理器の設計方法。 【外2】 (4)全体の回路特性行列Sを、各基本構成要素の回路
    特性行列Snのユニタリ性を利用しながらS=SNN-1
    ・・・S210の形に分解することにより、回路パラ
    メータを求めて行く。具体的には、以下の漸化式をn=
    Nからn=0の順に解いていき、各基本構成要素を作っ
    ている正の値から負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向
    性結合器の結合率の角度表示θn(−π/2〜π/2)
    を算出する。 【数2】
  3. 【請求項3】 2本の光導波路と前記2本の光導波路を
    N+1カ所の異なる位置で結合するN+1個の正の値か
    ら負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向性結合器よりな
    る構成を有し、前記N+1個の正の値から負の値の範囲
    の振幅結合率をもつ方向性結合器にそれぞれ挟まれたN
    カ所の前記2本の光導波路がそれぞれ一定の光路長差を
    持ち、Nカ所における前記2本の光導波路上の少なくと
    も一方に所望の位相シフトを施す位相制御器を有する光
    信号処理器の設計方法であって、クロスポートに対する
    所望回路特性f0(z)が与えられた時、以下の手順に
    より、クロスポート出力特性が所望回路特性を満足する
    ように、回路の未知パラメータである各基本構成要素を
    構成する前記正の値から負の値の範囲の振幅結合率をも
    つ方向性結合器の結合率と前記位相制御器の位相シフト
    量が算出できることを特徴とする光信号処理器の設計方
    法。 【外3】 (4)全体の回路特性行列Sを、各基本構成要素の回路
    特性行列Snのユニタリ性を利用しながらS=SNN-1
    ・・・S210の形に分解することにより、回路パラ
    メータを求めて行く。具体的には、以下の漸化式をn=
    Nからn=0の順に解いていき、各基本構成要素を作っ
    ている正の値から負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向
    性結合器の結合率の角度表示θn(−π/2〜π/2)
    と位相制御器の位相シフト量φn(−π〜π)を算出す
    る。 【数3】
  4. 【請求項4】 2本の光導波路と前記2本の光導波路を
    N+1カ所の異なる位置で結合するN+1個の正の値か
    ら負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向性結合器よりな
    る構成を有し、前記N+1個の正の値から負の値の範囲
    の振幅結合率をもつ方向性結合器にそれぞれ挟まれたN
    カ所の前記2本の光導波路がそれぞれ一定の光路長差を
    持ち、Nカ所における前記2本の光導波路上の少なくと
    も一方に所望の位相シフトを施す位相制御器を有する光
    信号処理器の設計方法であって、スルーポートに対する
    所望回路特性h0(z)が与えられた時、以下の手順に
    より、クロスポート出力特性が所望回路特性を満足する
    ように、回路の未知パラメータである各基本構成要素を
    構成する前記正の値から負の値の範囲の振幅結合率をも
    つ方向性結合器の結合率と前記位相制御器の位相シフト
    量が算出できることを特徴とする光信号処理器の設計方
    法。 【外4】 (4)全体の回路特性行列Sを、各基本構成要素の回路
    特性行列Snのユニタリ性を利用しながらS=SNN-1
    ・・・S210の形に分解することにより、回路パラ
    メータを求めて行く。具体的には、以下の漸化式をn=
    Nからn=0の順に解いていき、各基本構成要素を作っ
    ている方向性結合器の結合率の角度表示θn(−π/2
    〜π/2)と位相制御器の位相シフト量φn(−π〜
    π)を算出する。 【数4】
  5. 【請求項5】 2本の光導波路と前記2本の光導波路を
    N+1カ所の異なる位置で結合するN+1個の正の値か
    ら負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向性結合器よりな
    る構成を有し、前記N+1個の正の値から負の値の範囲
    の振幅結合率をもつ方向性結合器にそれぞれ挟まれたN
    カ所の前記2本の光導波路がそれぞれ一定の光路長差を
    持つ構造を有する光信号処理器の製造方法であって、ク
    ロスポート(スルーポート)に対する所望回路特性f0
    (z)(h0(z))が与えられた時、以下の手順によ
    り、クロスポート(スルーポート)出力特性が所望回路
    特性を満足するように、製造に必要な回路パラメータを
    算出する設計工程を有することを特徴とする光信号処理
    器の製造方法。 【外5】 (4)全体の回路特性行列Sを、各基本構成要素の回路
    特性行列Snのユニタリ性を利用しながらS=SNN-1
    ・・・S210の形に分解することにより、回路パラ
    メータを求めて行く。具体的には、以下の漸化式をn=
    Nからn=0の順に解いていき、各基本構成要素を作っ
    ている方向性結合器の結合率の角度表示θn(−π/2
    〜π/2)を算出する。 【数5】 (5)工程(4)で求めた方向性結合器の結合率の角度
    表示θnを、コアのサイズ、方向性結合器の結合部分の
    コア間距離、結合長等の具体的に光回路として実現する
    ための回路パラメータに計算し直す。
  6. 【請求項6】 2本の光導波路と前記2本の光導波路を
    N+1カ所の異なる位置で結合するN+1個の正の値か
    ら負の値の範囲の振幅結合率をもつ方向性結合器よりな
    る構成を有し、前記N+1個の正の値から負の値の範囲
    の振幅結合率をもつ方向性結合器にそれぞれ挟まれたN
    カ所の前記2本の光導波路がそれぞれ一定の光路長差を
    持ち、Nカ所における前記2本の光導波路上の少なくと
    も一方に所望の位相シフトを施す位相制御器を有する光
    信号処理器の製造方法であって、クロスポート(スルー
    ポート)に対する所望回路特性f0(z)(h0(z))
    が与えられた時、以下の手順により、クロスポート(ス
    ルーポート)出力特性が所望回路特性を満足するよう
    に、製造に必要な回路の未知パラメータを算出する設定
    工程を有することを特徴とする光信号処理器の製造方
    法。 【外6】 (4)全体の回路特性行列Sを、各基本構成要素の回路
    特性行列Snのユニタリ性を利用しながらS=SNN-1
    ・・・S210の形に分解することにより、回路パラ
    メータを求めて行く。具体的には、以下の漸化式をn=
    Nからn=0の順に解いていき、各基本構成要素を作っ
    ている方向性結合器の結合率の角度表示θn(−π/2
    〜π/2)と位相制御器の位相シフト量φn(−π〜
    π)を算出する。 【数6】 (5)工程(4)で求めた方向性結合器の結合率の角度
    表示θn(−π/2〜π/2)と位相制御器の位相シフ
    ト量φn(−π〜π)を、コアのサイズ、方向性結合器
    の結合部分のコア間距離、結合長、位相制御器を形成す
    るヒータのサイズ、ヒータの付加電流等の具体的に光回
    路として実現するための回路パラメータに計算し直す。
  7. 【請求項7】 以下に示す手順の調整操作を複数回繰り
    返すことにより作製された光信号処理器の回路パラメー
    タの作製誤差を補正する回路パラメータ調整工程をさら
    に有することを特徴とする請求項5または6に記載の光
    信号処理器の製造方法。 (1)作製した信号処理器の異なる周波数ωn(n=
    0,1,2,…,N)に対する振幅および位相特性を測
    定することによりスルーポート特性h(ωn)およびク
    ロスポート特性f(ωn)を求め、下記の連立方程式を
    解くことにより、展開係数akおよびbkを求める。 【数7】 ただし、jは√−1を表す。Δτは前記2本の光導波路
    がもつ一定の光路長差に対応する遅延時間である。求め
    た展開係数akおよびbkを基に、作製された光信号処理
    器の方向性結合器の結合率の角度表示θnと位相制御器
    の位相シフト量φnを算出する。 【数8】 (2)測定した方向性結合器の結合率の角度表示θn
    よび位相制御器の位相シフト量φnと、所望の回路パラ
    メータ値の差異を小さくするように、可変方向性結合器
    を構成する位相制御器の位相シフト量および前記光路長
    の異なる2本の光導波路上の位相制御器の位相シフト量
    を調整する。
  8. 【請求項8】 以下に示す手順のトリミング操作を複数
    回繰り返すことにより作製された光信号処理器の回路パ
    ラメータの作製誤差を補正する回路パラメータ調整工程
    をさらに有することを特徴とする請求項5または6に記
    載の光信号処理器の製造方法。 (1)作製した信号処理器の異なる周波数ωn(n=
    0,1,2,・・・,N)に対する振幅および位相特性
    を測定することによりスルーポート特性h(ωn)およ
    びクロスポート特性f(ωn)を求め、下記の連立方程
    式を解くことにより、展開係数akおよびbkを求める。 【数9】 ただし、jは√−1を表す。Δτは前記2本の光導波路
    がもつ一定の光路長差に対応する遅延時間である。求め
    た展開係数akおよびbkを基に、作製された光信号処理
    器の方向性結合器の結合率の角度表示θnと位相制御器
    の位相シフト量φnを算出する。 【数10】 (2)測定した方向性結合器の結合率の角度表示θn
    よび位相制御器の位相シフト量φnと、所望の回路パラ
    メータ値の差異を小さくするように、前記方向性結合器
    および前記2本の光導波路の一部分をレーザ加熱し、方
    向性結合器の結合率および位相制御器の位相シフト量を
    調整する。
  9. 【請求項9】 以下に示す手順の偏波トリミング操作を
    複数回繰り返すことにより作製された光信号処理器の偏
    波依存性を解消するトリミング工程をさらに有すること
    を特徴とする請求項5または6に記載の光信号処理器の
    製造方法。 (1)前記方向性結合器および前記光路長の異なる2本
    の光導波路の一方あるいは両方の光導波路の一部に、複
    屈折を生じさせる応力付与膜を形成する。 (2)作製した信号処理器の異なる周波数ωn(n=
    0,1,2,・・・,N)に対する振幅および位相応答
    を、TEおよびTM偏波について測定することにより、
    各TEおよびTM偏波に対するスルーポート特性h(ω
    n)およびクロスポート特性f(ωn)を求め、下記の連
    立方程式を解くことにより、 【外7】 を求める。 【数11】 ただし、jは√−1を表す。Δτは前記2本の光導波路
    がもつ一定の光路長差に対応する遅延時間である。m=
    TE,TMである。求めた各TEおよびTM偏波に対す
    る 【外8】 【数12】 (3)測定した各TEおよびTM偏波に対する方向性結
    合器の結合率の 【外9】 所望の回路パラメータ値の差異を小さくするように、手
    順(1)で形成した応力付与膜を除去するためのトリミ
    ング操作を行なう。
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