JPWO2009044763A1 - 表示素子用シール剤 - Google Patents
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Abstract
硬化して、ポリオルガノシロキサンの特徴たる、良好な弾性、接着性、耐久性のみならず、低透湿性をも示す表示素子用シール剤を提供する。(A)式(I)で示される直鎖状ポリオルガノシロキサン 100重量部;(B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に2個を越える数で有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン (A)に存在するアルケニル基1個に対するケイ素原子に結合した水素原子の数が、0.5〜10.0になる量;(C)白金族金属化合物 白金族金属原子を、(A)の量に対して0.1〜1,000重量ppm含有する量;並びに(D)マイカ粉 20〜200重量部を含む、表示素子用シール剤である。
Description
本発明は、ポリオルガノシロキサンの付加反応によって硬化する表示素子用シール剤、及び当該表示素子用シール剤でシールされた表示素子に関する。
液晶表示素子に代表される平面表示素子の製造プロセスで使用されるシール剤は、最終製品の特性にも影響しうる要素である。例えば、液晶表示素子は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)がマトリックス状に形成されたアレイ基板(TFT基板)と、カラー・フィルムや遮光膜が形成されたカラー・フィルタ基板(CF基板)とを、極めて狭い間隔で対向して設け、両基板間に液晶を封入することにより製造される。この際に、TFT基板とCF基板とは、シール剤を使用し、これを硬化させることにより貼り合わされているため、シール剤の接着性、耐久性が、液晶素子の特性に影響しうる。
上記のシール剤としては、従来、エポキシ樹脂が汎用されてきた(特許文献1〜3参照)。しかしながら、一般にエポキシ樹脂の硬化物は硬く、この硬さがシール剤用途では問題になることもあった。また、近年の表示機能の多様化と高信頼性への要求を背景に、一段と良好な接着性、耐久性を有する材料の開発が期待されている。
ところで、ポリオルガノシロキサンは、硬化してゴム状弾性体となり、良好な接着性、耐久性を発現する樹脂として知られている。しかしながら、分子鎖の間隙が大きいために透湿性が大きく耐湿性に劣るため、液晶表示素子等の表示素子用シール剤として使用するのには難があるとされていた。
本発明の課題は、硬化して、ポリオルガノシロキサンの特徴である、良好な弾性、接着性、耐久性のみならず、低透湿性をも示す表示素子用シール剤を提供することである。本発明のさらなる課題は、このような良好な弾性、接着性、耐久性、低透湿性を示す表示素子用シール剤を用いた平面表示素子を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために研究を重ねた結果、特定の直鎖状ポリオルガノシロキサンをベースポリマーとし、マイカ粉を併用した、表示素子用シール剤によって、その課題が解決されうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)式(I):
(式中、
Rは、独立して、R1又はR2であり、Rのうち、少なくとも2個はR1であり、
R1は、独立して、C2−C6アルケニル基であり、
R2は、独立して、C1−C6アルキル基又はフェニル基であり、
nは、(A)の23℃における粘度を0.1〜1,000Pa・sとする数である)で示される直鎖状ポリオルガノシロキサン 100重量部;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に2個を越える数で有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン (A)に存在するアルケニル基1個に対するケイ素原子に結合した水素原子の数が、0.5〜10.0になる量;
(C)白金族金属化合物 白金族金属原子を、(A)の量に対して0.1〜1,000重量ppm含有する量;並びに
(D)マイカ粉 20〜200重量部
を含む、表示素子用シール剤に関し、当該表示素子用シール剤でシールされた平面表示素子に関する。
Rは、独立して、R1又はR2であり、Rのうち、少なくとも2個はR1であり、
R1は、独立して、C2−C6アルケニル基であり、
R2は、独立して、C1−C6アルキル基又はフェニル基であり、
nは、(A)の23℃における粘度を0.1〜1,000Pa・sとする数である)で示される直鎖状ポリオルガノシロキサン 100重量部;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に2個を越える数で有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン (A)に存在するアルケニル基1個に対するケイ素原子に結合した水素原子の数が、0.5〜10.0になる量;
(C)白金族金属化合物 白金族金属原子を、(A)の量に対して0.1〜1,000重量ppm含有する量;並びに
(D)マイカ粉 20〜200重量部
を含む、表示素子用シール剤に関し、当該表示素子用シール剤でシールされた平面表示素子に関する。
本発明によって、短時間の加熱で硬化して、ポリオルガノシロキサンの特徴である、良好な弾性、接着性、耐久性のみならず、低透湿性をも示す表示素子用シール剤を提供することができる。したがって、本発明の表示素子用シール剤でシールされた平面表示素子は、シール部分が良好な弾性、接着性、耐久性のみならず、低透湿性を示すため、表示機能の多様化、高信頼性への要求に応えうるものである。
本発明で用いられる(A)成分は、式(I):
(式中、
Rは、独立して、R1又はR2であり、Rのうち、少なくとも2個はR1であり、
R1は、独立して、C2−C6アルケニル基であり、
R2は、独立して、C1−C6アルキル基又はフェニル基であり、
nは、(A)の23℃における粘度を0.1〜1,000Pa・sとする数である)で示される直鎖状ポリオルガノシロキサンである。
Rは、独立して、R1又はR2であり、Rのうち、少なくとも2個はR1であり、
R1は、独立して、C2−C6アルケニル基であり、
R2は、独立して、C1−C6アルキル基又はフェニル基であり、
nは、(A)の23℃における粘度を0.1〜1,000Pa・sとする数である)で示される直鎖状ポリオルガノシロキサンである。
この(A)成分は、本発明の表示素子用シール剤においてベースポリマーとなる成分であり、式(I)中のR1と(B)成分中のヒドロシリル基との付加反応により、網状構造を形成して硬化物を形成することができる。
式(I)において、R1はC2−C6アルケニル基であり、これらは、分岐状であっても、直鎖状であってもよく、ビニル、アリル、3−ブテニル、5−ヘキセニルなどが例示される。合成が容易で、また表示素子用シール剤の流動性や、硬化物の耐熱性を損ねないという点から、ビニル基が最も好ましい。R1は、式(I)中に、少なくとも2個存在する。このとき、R1は分子中のどのシロキサン単位に存在してもよいが、良好な反応性を得るために、R1の少なくとも一部は、分子末端に存在することが好ましく、それぞれの末端に1個ずつ、合計2個のR1が存在することがより好ましい。
式(I)において、R2はC1−C6アルキル基又はフェニル基である。C1−C6アルキル基は、分岐状であっても、直鎖状であってもよく、メチル、エチル、プロピルなどが例示され、合成及び取扱いが容易で、熱的性質及び機械的性質の優れた硬化物を与えることから、メチル基が特に好ましい。
透湿性を下げるためには、R2のうち、15モル%以上がフェニル基であることが好ましい。さらに取り扱い性をも考慮すると、R2のうち、20〜80モル%がフェニル基であることが好ましく、より好ましくは、30〜60モル%である。このようなフェニル基を導入するには、フェニル基を2個有するシロキサン単位を用いることが好ましい。
式(I)において、nは、(A)成分の23℃における粘度を0.1〜1,000Pa・sとする数である。粘度がこの範囲にあると、表示素子用シール剤の流動性が良好で、優れた作業性を示す一方、優れた機械的強度、及び適度の弾性と硬さを示す硬化物を与えることができる。nは好ましくは、(A)成分の23℃における粘度を0.2〜500Pa・sとする数である。
本発明で用いられる(B)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、分子中に含まれるヒドロシリル基が、(A)成分中のR1との間で付加反応することにより、(A)成分の架橋剤として機能するものである。そのような、架橋剤として機能する(B)成分は、硬化物を網状化するために、該付加反応に関与するケイ素原子に結合した水素原子を、分子中に2個を越える数、好ましくは3個以上有している。
(B)成分は、代表的には、一般式(II):
(R3)cHdSiO(4−c−d)/2 (II)
(式中、
R3は、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を含まない、非置換又は置換の1価の炭化水素基を表し;
cは、0〜2の整数であり;
dは、1又は2であり、ただし、c+dは1〜3の整数である)
で示される単位を、分子中に2個を越える数、好ましくは3個以上有する。
(R3)cHdSiO(4−c−d)/2 (II)
(式中、
R3は、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を含まない、非置換又は置換の1価の炭化水素基を表し;
cは、0〜2の整数であり;
dは、1又は2であり、ただし、c+dは1〜3の整数である)
で示される単位を、分子中に2個を越える数、好ましくは3個以上有する。
R3及び(B)成分の他のシロキサン単位のケイ素原子に結合した有機基としては、前述の(A)成分におけるR2と同様のものが例示され、それらの中でも、合成が容易な点から、メチル基が最も好ましい。また、合成が容易なことから、dは1が好ましい。
(B)成分におけるシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。また、これらの混合物を用いてもよい。分岐状のものとしては、SiO4/2単位とR3(CH3)2SiO1/2単位(式中、R3は、水素又はC1−C6アルキル基)からなり、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に2個を越える数で有する分岐状ポリメチルハイドロジェンシロキサンが、(A)成分への相溶性や透湿度低減の点から好ましい。取扱いやすい適切な粘度を有することから、R3(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位の比率が、SiO2単位1モルに対してR3(CH3)2SiO1/2単位1.5〜2.2モルが好ましく、1.8〜2.1モルがさらに好ましい。典型的には、[R3(CH3)2SiO1/2]8[SiO4/2]4または[R3(CH3)2SiO1/2]10[SiO4/2]5のように、4〜5個のQ単位が環状シロキサン骨格を形成し、各Q単位に2個のM’単位が結合しているものが挙げられる。
(B)成分の重合度は特に限定されないが、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が結合したポリオルガノハイドロジェンシロキサンは合成が困難なので、3個以上のシロキサン単位からなることが好ましく、硬化温度に加熱しても揮発せず、かつ流動性に優れて(A)成分と混合しやすいことから、シロキサン単位の数は、6〜200個がさらに好ましく、10〜150個が特に好ましい。
(B)成分の配合量は、充分な接着力が得られ、また優れた機械的性質を有する硬化物が得られることから、(A)成分中のR1基に対する(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の比(H/Vi)が、0.5〜10.0、好ましくは1.0〜5.0となるような量である。H/Viが0.5未満では、優れた機械的強度を有するゴム状弾性体が得られず、10.0を越えると、硬化の際に発泡する傾向があり、硬化物の耐熱性が著しく悪化する。
本発明で用いられる(C)成分の白金族金属化合物は、(A)成分中のR1と(B)成分中のヒドロシリル基との間の付加反応を促進させるための触媒である。白金族金属化合物としては、白金、ロジウム、パラジウムのような白金族金属原子の化合物が用いられ、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ケトン錯体、白金−ホスフィン錯体のような白金化合物;ロジウム−ホスフィン錯体、ロジウム−スルフィド錯体のようなロジウム化合物;パラジウム−ホスフィン錯体のようなパラジウム化合物などが例示される。
これらのうち、触媒活性が良好な点から、塩化白金酸とアルコールの反応生成物及び白金−ビニルシロキサン錯体が好ましく、短時間に硬化して接着性を発現する必要がある場合には、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体及び白金−1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。しかし、必要な硬化速度は、硬化物を設ける部位の形状や、それに伴って必要な作業時間によっても異なるので、(C)成分と硬化遅延剤との組合せで、任意に選択することができる。
(C)成分の配合量は、優れた硬化速度が得られることから、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、白金族金属原子換算で通常0.1〜1,000重量ppmであり、好ましくは0.5〜200重量ppmである。0.1重量ppm未満では硬化速度が遅く、1,000重量ppmをこえても、それに見合う硬化速度の上昇が得られない。
本発明で用いられる(D)成分は、(A)成分と相俟って、本発明の表示素子用シール剤の硬化物の透湿性を低下させる成分である。(D)成分は、透湿性を低下させる効果と、成形性、特に押出しによって表面が平滑なビードが得られることから、平均粒径が2.0〜100μmが好ましく、5.0〜60μmがさらに好ましい。(D)成分としては、白雲母、金雲母、黒雲母のような天然マイカのほか、合成マイカを挙げることができる。不純物が少なく、硬化物たるゴム状弾性体に優れた機械的性質を与えることから、白雲母が好ましい。これらのマイカは、一般に扁平な粉末であり、ここで粒径とは、扁平面の最大径をいう。
(D)成分の配合量は、効率的に透湿性を低下させ、かつ硬化後に適切な硬度を得る点から、(A)成分100重量部に対して20〜200重量部であり、40〜100重量部が好ましい。
本発明の表示素子用シール剤には、(C)成分の触媒能を阻害しない範囲で、接着性付与剤を配合することができる。接着性付与剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシランのような3−グリシドキシプロピル基含有アルコキシシラン類;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランのような2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基含有アルコキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルビニルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルアリルジメトキシシランのようなアルケニルアルコキシシラン類;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシプロピルアルコキシシラン類;ケイ素原子に結合した水素原子と、ケイ素原子に結合した下記一般式(III):
(式中、Q1は、ケイ素原子とエステル結合の間に2個以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する、直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し;Q2は、酸素原子と側鎖のケイ素原子の間に3個以上の炭素原子を有する炭素鎖を形成する、直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し;R4は、炭素数1〜6の非置換又は置換のアルキル基を表す)で示される側鎖とを有する有機ケイ素化合物;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド;チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトライソプロペニルオキシドのようなチタンアルコキシド;ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシドのようなジルコニウムアルコキシド;マレイン酸ジアリル、トリアリルイソシアナートのような極性基含有有機化合物などが例示される。
上記一般式(III)で示される側鎖において、Q1としては、エチレン、トリメチレン、2−メチルエチレン、テトラメチレンなどのアルキレン基が例示され、合成及び取扱いが容易なことから、エチレン基及び2−メチルエチレン基が好ましい。Q2としては、トリメチレン、2−メチルトリメチレン、テトラメチレンなどのアルキレン基が例示され、合成及び取扱いが容易なことから、トリメチレン基が好ましい。R4としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどのアルキル基;及び2−メトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基が例示され、良好な接着性を与え、かつ加水分解によって生じるアルコールが揮発しやすいことから、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。このような側鎖を有する有機ケイ素化合物として、式(IV):
で示される環状シロキサン化合物が例示される。接着性付与剤の配合量は、接着性付与剤の種類及び基材によっても異なるが、(A)成分100重量部に対して通常0.5〜20重量部の範囲であり、特に接着性の観点から1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がさらに好ましい。
本発明の表示素子用シール剤の保存性や作業性を改善するために、硬化抑制剤を配合することができる。上記マレイン酸ジアリルは、接着性付与剤としてだけでなく、硬化抑制剤としても有効である。そのほか、硬化抑制剤としては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサン−1−オールのようなアセチレンアルコール類が例示される。
本発明の表示素子用シール剤は、硬化して、低い透湿性を有する硬化物を形成するが、硬化前の段階で適度の流動性を与え、硬化して得られるゴム状弾性体に、その用途に応じて要求される高い機械的強度を付与するために、(D)成分以外にも無機質充填剤を添加することができる。無機質充填剤としては、平均粒径0.1μm未満、比表面積30mm2/g以上の補強性充填剤;及び平均粒径0.1〜50μmの非補強性充填剤が挙げられる。補強性充填剤としては、煙霧質シリカ、アークシリカのような乾式法シリカ;及び沈殿シリカのような湿式法シリカなどが例示され、これらはそのまま用いてもよく、ヘキサメチルジシラザンのような疎水化剤で表面処理を行って用いてもよい。非補強性充填剤としては、けいそう土、粉砕石英、溶融石英、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム、有機酸表面処理炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄などが例示され、押出し作業性と、硬化して得られるゴム状弾性体に必要な物性に応じて選択される。また、目的に応じてカーボンブラックのような導電性充填剤を配合してもよい。
さらに、本発明の表示素子用シール剤に、目的に応じて、顔料、チクソトロピー性付与剤、押出し作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線防止剤、防かび剤、耐熱性向上剤、難燃化剤、鎖長延長剤など、各種の添加剤を加えてもよい。鎖長延長剤としては、各末端にケイ素原子に結合した水素原子を1個ずつ有する直鎖状のハイドロジェンポリオルガノシロキサン(例えば、両末端がMH単位:(CH3)2HSiO1/2−で封鎖され、中間単位がD単位:−(CH3)2SiO−で構成される直鎖状ポリメチルシロキサン)が挙げられる。また、場合によっては、トルエン、キシレンのような有機溶媒に溶解ないし分散させた形態とした表示素子用シール剤としてもよい。
本発明の表示素子用シール剤は、(A)〜(D)成分、及びさらに必要に応じて配合される他の成分を、万能混練機、ニーダーなどの混合手段によって均一に混練して調製することができる。また、安定に長期間貯蔵するために、(B)成分と(C)成分が別個の予備配合物に含まれるように、適宜、2個の予備配合物を調製して保存しておき、使用直前に定量混合器のミキシングヘッドのような混合手段によって均一に混合して表示素子用シール剤を調製し、減圧で脱泡して使用に供してもよい。
本発明の表示素子用シール剤の使用方法は、特に限定されず、平面表示素子の製造に使用することができる。例えば、液晶表示素子を滴下工法で製造する場合には、本発明の表示素子用シール剤を、スクリーン印刷、ディスペンサ等でTFT基板の周囲に枠状に塗布した後に、規定量の液晶を枠内に滴下し、ついでCF基板を重ね合わせ、加熱硬化を行い、液晶表示素子とすることができる。あるいは、TFT基板又はCF基板のいずれか一方に、本発明の表示素子用シール剤を、液晶注入口部を除き、スクリーン印刷、ディスペンサ等で塗布し、スペーサを挟んで、他方の基板を対向させて重ね合わせた後、加熱硬化を行い、ついで液晶注入口から液晶を注入し、最後に封口剤を用いて液晶注入口を封止して、液晶表示素子とすることもできる。この場合、本発明の表示素子用シール剤を封口剤として用いてもよい。
また、本発明の表示素子用シール剤は、有機EL素子等のEL素子の製造にも用いることができる。例えば、金属蓋で有機ELダイオードが形成された基板が覆われた形態の有機EL素子を製造する場合、本発明の表示素子用シール剤を、金属蓋の縁に、ディスペンサ等で塗布し、ついで、有機ELダイオードが形成された基板のダイオード部分を覆うように、金属蓋を重ね合わせた後、加熱硬化を行い、有機EL素子とすることができる。
なお、本発明の表示素子用シール剤の加熱硬化条件は、(C)成分と反応抑制剤の種類及び添加量によって、室温から250℃の間の温度で任意に設定できるが、平面表示素子の製造においては、熱によるダメージを避けるために、100℃以下とすることが好ましく、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。加熱時間は、120分以下とすることが好ましく、より好ましくは60分以下、さらに好ましくは30分以下である。しかしながら、部材の大きさや加熱炉の能力によって、硬化条件は適宜調整することができる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例において、部は重量部を示し、粘度は23℃における粘度を示す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例に、(A)及び(B)成分として、下記のポリシロキサンを用いた。以下、シロキサン単位を、次のような記号で示す。単位式において、中間シロキサン単位は単に単位数を示すものであり、複数の種類の中間シロキサン単位を含む場合、中間シロキサン単位はランダムに配列されている。
MH単位: (CH3)2HSiO1/2−
MV単位: (CH3)2(CH2=CH)SiO1/2−
D単位: −(CH3)2SiO−
Dff単位: −(C6H5)2SiO−
Q単位: SiO4/2(4官能性)
A−1:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位からなり、23℃における粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルシロキサン;
A−2:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位95モル%とDff単位5モル%からなり、粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルフェニルシロキサン;
A−3:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位70モル%とDff単位30モル%からなり、粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルフェニルシロキサン;
A−4:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位60モル%とDff単位40モル%からなり、粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルフェニルシロキサン;
B−1:粘度が0.02Pa・sである単位式MH 8Q4で示される分岐状ポリメチルハイドロジェンシロキサン;
MH単位: (CH3)2HSiO1/2−
MV単位: (CH3)2(CH2=CH)SiO1/2−
D単位: −(CH3)2SiO−
Dff単位: −(C6H5)2SiO−
Q単位: SiO4/2(4官能性)
A−1:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位からなり、23℃における粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルシロキサン;
A−2:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位95モル%とDff単位5モル%からなり、粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルフェニルシロキサン;
A−3:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位70モル%とDff単位30モル%からなり、粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルフェニルシロキサン;
A−4:両末端がMV単位で封鎖され、中間単位がD単位60モル%とDff単位40モル%からなり、粘度が3Pa・sである直鎖状ポリメチルビニルフェニルシロキサン;
B−1:粘度が0.02Pa・sである単位式MH 8Q4で示される分岐状ポリメチルハイドロジェンシロキサン;
実施例及び比較例に、(C)成分として、下記の白金錯体を用いた。
C−1:塩化白金酸−ビニルテトラマー錯体(白金原子換算2重量%)。
C−1:塩化白金酸−ビニルテトラマー錯体(白金原子換算2重量%)。
実施例及び比較例に、下記の充填剤を用いた。
D−1:平均粒径5μmの白雲母粉
D−2:平均粒径22μmの白雲母粉
D−3:平均粒径55μmの白雲母粉
D−4:平均粒径2μmの石英粉
D−1:平均粒径5μmの白雲母粉
D−2:平均粒径22μmの白雲母粉
D−3:平均粒径55μmの白雲母粉
D−4:平均粒径2μmの石英粉
硬化抑制剤として、以下を用いた。
E−1:1−エチニル−1−シクロヘキサノール
E−1:1−エチニル−1−シクロヘキサノール
実施例1〜9及び比較例1〜2
(予備配合物Iの調製)
撹拌装置を付した容器に、A−1〜A−4の表1に示す量の半分と、D−1〜D−4の表1に示す量の半分とを配合し、ついでC−1及びE−1の表1に示す全量を添加し、均一になるまで混合して、予備配合物Iを調製した。
(予備配合物Iの調製)
撹拌装置を付した容器に、A−1〜A−4の表1に示す量の半分と、D−1〜D−4の表1に示す量の半分とを配合し、ついでC−1及びE−1の表1に示す全量を添加し、均一になるまで混合して、予備配合物Iを調製した。
(予備配合物IIの調製)
同様の装置に、A−1〜A−4の残りの量と、B−1の表1に示す全量と、D−1〜D−4の残りの量と、F−1〜F−2の表1に示す全量とを配合し、均一になるまで混合して、予備配合物IIを調製した。
同様の装置に、A−1〜A−4の残りの量と、B−1の表1に示す全量と、D−1〜D−4の残りの量と、F−1〜F−2の表1に示す全量とを配合し、均一になるまで混合して、予備配合物IIを調製した。
(組成物の調製及びシリコーンゴムシートの作製)
定量混合機の2個の容器に、予備配合物I及び予備配合物IIをそれぞれ仕込み、ミキシングへッドに等量の両予備配合物を供給して、均質に混合し、減圧下で脱泡して剤を調製した。ついで剤を、表面にポリテトラフルオロエチレン処理を施したステンレス鋼製金型に注型し、80℃で30分加熱して硬化させることにより、厚さ1.0mm及び2.0mmのシリコーンゴムシートを作製した。
定量混合機の2個の容器に、予備配合物I及び予備配合物IIをそれぞれ仕込み、ミキシングへッドに等量の両予備配合物を供給して、均質に混合し、減圧下で脱泡して剤を調製した。ついで剤を、表面にポリテトラフルオロエチレン処理を施したステンレス鋼製金型に注型し、80℃で30分加熱して硬化させることにより、厚さ1.0mm及び2.0mmのシリコーンゴムシートを作製した。
実施例1〜9、比較例1〜2のシリコーンゴムシート(厚さ1.0mm)より、JIS Z0208に準拠して、温度40℃、湿度90%RHで24時間の透湿性を評価した。実施例6〜8については、150℃で1000時間放置した後、同様にして、測定を行った。測定結果を表1に示す。
また、実施例6〜8のシリコーンゴムシート(厚さ2.0mm)より、JIS K6249により、硬さ(タイプAデュロメータ)、引張強さおよび切断時伸びの測定を行った。150℃で1000時間放置した後、同様にして、測定を行った。測定結果を表1に示す。
さらに、実施例6〜8の組成物を使用し、JIS K6249により、せん断接着強さの測定を行った。被着体はガラス(80mmx25mmx5mm)、接着厚みは1mm、引張り速度10mm/minで試験し、破断時の引張り強度を測定した。測定結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例1〜9は優れた低透湿性を示し、特にR2のフェニル基の割合が15%以上の実施例3〜9では透湿度が20以下と優れていた。実施例6〜8から、硬化物は、適度な弾性を備え、接着力も良好であり、かつ150℃の環境に1000時間放置された後も、それらの特性を保持することから、耐久性も有することがわかる。
本発明の表示素子用シール剤は、短時間の加熱で硬化して、ポリオルガノシロキサンの特徴たる、良好な弾性、接着性、耐久性のみならず、低透湿性をも示すため、表示機能の多様化、高信頼性への要求に応えうるものであり、特に液晶表示素子の製造において有用である。
Claims (7)
- (A)式(I):
Rは、独立して、R1又はR2であり、Rのうち、少なくとも2個はR1であり、
R1は、独立して、C2−C6アルケニル基であり、
R2は、独立して、C1−C6アルキル基又はフェニル基であり、
nは、(A)の23℃における粘度を0.1〜1,000Pa・sとする数である)で示される直鎖状ポリオルガノシロキサン 100重量部;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に2個を越える数で有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン (A)に存在するアルケニル基1個に対するケイ素原子に結合した水素原子の数が、0.5〜10.0になる量;
(C)白金族金属化合物 白金族金属原子を、(A)の量に対して0.1〜1,000重量ppm含有する量;並びに
(D)マイカ粉 20〜200重量部
を含む、表示素子用シール剤。 - (A)におけるR1が、ビニル基である、請求項1記載の表示素子用シール剤。
- (A)におけるR2のうち、15モル%以上がフェニルである、請求項1又は2記載の表示素子用シール剤。
- (A)におけるR2が、メチル基又はフェニル基であり、R2のうち、15モル%以上がフェニル基である、請求項1〜3のいずれか1項記載の表示素子用シール剤。
- (D)の平均粒径が2.0〜100μmである、請求項1〜4のいずれか1項記載の表示素子用シール剤。
- 液晶表示素子用である、請求項1〜5のいずれか1項記載の表示素子用シール剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の表示素子用シール剤でシールされた平面表示素子。
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