JP2023037984A - 付加型シリコーン組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高信頼性が要求される自動車用工業用品等の種々のシーリング剤、ポッティング剤において、低温かつ短時間で十分な接着性と圧縮永久ひずみ両立しうる付加型シリコーン組成物を提供する。【解決手段】 (A)アルケニル基を一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン、(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、(C)白金系触媒、(D)一分子中に、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤、及び(E)無機充填剤を含み、前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が、0.05~10質量部である、付加型シリコーン組成物である。【選択図】 なし
Description
本発明は、特に接着剤として有用な、付加型シリコーン組成物に関する。
付加型シリコーンゴムは、耐候性や耐熱性、防湿性、耐薬品性等の諸機能に優れており(特許文献1)、自動車用工業用品等の種々のシーリング剤、ポッティング剤に用いられている。近年の自動車用途に用いられる高信頼性部品の接着においては、片面が金属の放熱面、電子機器を保護するための樹脂製カバーより構成され、異種の材料が接着される構造となっている。そのため、異種材料の接着性に優れたシーリング剤、接着剤が必要となっている。さらに、近年の製造工程では、電子機器を構成するモジュールは、組立工程の容易さから、金属の放熱面又は樹脂製カバーのみに、シーリング材を塗布し、その後のアプリケーションを組立てる片面接着型の用途も必要となっている。
また、上記のようなシーリング剤・接着剤を、電子部品を保護するためのガスケットとして使用した場合の特性として、接着特性以外に圧縮永久ひずみが要求される。すなわち、圧縮永久ひずみが大きいシーリング剤・接着剤は、高温の環境下で圧縮状態のまま長時間使用されると、塑性変形(ヘタリ)を生じ、密封性能が低下するが、圧縮永久ひずみが小さいシーリング剤・接着剤は、器材への密閉性が良好で、長期に渡り自動車用途に代表されるECU(エンジンコントロールユニット)等の電子部品・機器への保護が可能となる。特に、昨今の用途として、組み付け前にシーリング剤・接着剤の塗布を行い、硬化させたガスケット(Cured-In-Place Gasket:CIPG)として用いられた場合においては、アプリケーションのメンテナンス性のために圧縮永久ひずみが重要となってくる(特許文献2)。
近年の環境意識の変化により、付加型シリコーン組成物の硬化条件も低温・短時間硬化という要求が高まっており、その中でも特に、アルミニウム、アルミダイキャスト等の金属及びPBT、PETのようなエンジニアリングプラスチックを付加型シリコーンで接着させる要求が高まっている。これらの要求に際し、基材への接着性と圧縮永久ひずみを向上させる働きとして、硫黄系化合物を添加したシリコーン樹脂組成物が提案されている(特許文献3、4)。
Polymer Journal (2019) 51:439-447
Journal of Photopolymer Science and Technology, vol.27, 2(2014), 261-262
従来の付加型シリコーンゴム組成物のシーリング剤、接着剤においては、各種被着体の界面に材料を塗布し、150℃以上の加熱工程が必要となり、プラスチック材の熱劣化や加熱に伴う残留応力の発生で、信頼性部品が劣化する懸念があった。一方で硬化温度を下げた場合、界面の密着性が不十分であることがある。また、界面の密着性が十分であっても長時間の加熱工程が必要となり、作業時間が長く生産性に問題があった。従来の付加型シリコーン組成物は、硬化させる際に加熱を必要とし、温度条件を管理した装置の導入、維持管理などが必要となる。また、加熱機器を高温状態に保つためには莫大なエネルギーが必要となる。
また、上記先行技術文献記載のシリコーンでは、圧縮永久ひずみは良好であるもの、接着性が十分ではないという問題があった。縮合型シリコーンの場合、初期の接着性は十分であるものの、圧縮永久ひずみが良くないため、長期信頼性に問題があった。すなわち、圧縮永久ひずみと接着性とは相反する特性であるため、両特性を兼ねるシーリング剤・ポッティング剤は、技術的に容易ではなく、どちらかの特性に焦点を当てた設計にする必要性があった。
また、上記先行技術文献記載のシリコーンでは、圧縮永久ひずみは良好であるもの、接着性が十分ではないという問題があった。縮合型シリコーンの場合、初期の接着性は十分であるものの、圧縮永久ひずみが良くないため、長期信頼性に問題があった。すなわち、圧縮永久ひずみと接着性とは相反する特性であるため、両特性を兼ねるシーリング剤・ポッティング剤は、技術的に容易ではなく、どちらかの特性に焦点を当てた設計にする必要性があった。
本発明は、高信頼性が要求される自動車用工業用品等の種々のシーリング剤、ポッティング剤において、低温かつ短時間で十分な接着性と圧縮永久ひずみ両立しうる付加型シリコーン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが検討したところによると、ヘテロ原子を含有する化合物、特に硫黄化合物とアルケニル基含有ポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサンと接着向上剤を併用することで、アルミニウム、アルミダイキャスト等の金属及びPBT、PETのようなエンジニアリングプラスチック両者へ十分な接着性を発現し、かつ圧縮永久ひずみに優れる付加型シリコーン組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
本発明により、各種金属及び各種プラスチック樹脂との接着性に優れ、かつ圧縮永久ひずみに優れる付加型シリコーン組成物が提供される。すなわち、本発明は以下の[1]~[5]に関する。
[1](A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;
(C)白金系触媒;
(D)一分子中に、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤(但し、前記(A)又は(B)に該当するものを除く);及び
(E)無機充填剤
を含み、前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が、0.05~10質量部である、付加型シリコーン組成物。
[2]前記(D)成分が、硫黄化合物、窒素化合物、リン化合物からなる群より選択される、少なくとも1種である、前記[1]記載の付加型シリコーン組成物。
[3]前記(D)成分が、SiR2 3-n(OR2)n基(ここで、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である)を少なくとも1つ有する有機ケイ素化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物である、[1]又は[2]記載の付加型シリコーン組成物。
[4]前記(D)成分が、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を更に有する、前記[3]記載の付加型シリコーン組成物。
[5](A)成分が、両末端がR1 3-mR2 mSiO1/2単位で封鎖され、中間単位がR2 2SiO2/2単位である直鎖状ポリオルガノシロキサン(ここで、R1は、アルケニル基であり、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、mは、0、1又は2である)を含む、前記[1]~[4]のいずれか一項記載の付加型シリコーン組成物。
[1](A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;
(C)白金系触媒;
(D)一分子中に、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤(但し、前記(A)又は(B)に該当するものを除く);及び
(E)無機充填剤
を含み、前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が、0.05~10質量部である、付加型シリコーン組成物。
[2]前記(D)成分が、硫黄化合物、窒素化合物、リン化合物からなる群より選択される、少なくとも1種である、前記[1]記載の付加型シリコーン組成物。
[3]前記(D)成分が、SiR2 3-n(OR2)n基(ここで、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である)を少なくとも1つ有する有機ケイ素化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物である、[1]又は[2]記載の付加型シリコーン組成物。
[4]前記(D)成分が、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を更に有する、前記[3]記載の付加型シリコーン組成物。
[5](A)成分が、両末端がR1 3-mR2 mSiO1/2単位で封鎖され、中間単位がR2 2SiO2/2単位である直鎖状ポリオルガノシロキサン(ここで、R1は、アルケニル基であり、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、mは、0、1又は2である)を含む、前記[1]~[4]のいずれか一項記載の付加型シリコーン組成物。
本発明は、(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン;(B)ケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;(C)白金系触媒;(D)一分子中に、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤(但し、(A)又は(B)に該当するものを除く);及び(E)無機充填剤を含み、前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が、0.05~10質量部である、付加型シリコーン組成物に関する。以下、本発明の組成物について、項目毎に詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において用いられる場合、「有機基」とは、炭素を含有する基を意味する。有機基の価数はnを任意の自然数として「n価の」と記載することにより示される。したがって、例えば「1価の有機基」とは、結合手を1つのみ有する、炭素を含有する基を意味する。結合手は、炭素以外の元素が有していてもよい。価数を特に明示しない場合でも、当業者であれば文脈から適した価数を把握することができる。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、分子から少なくとも1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素原子数1~20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上の窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、リン原子(P)、ケイ素原子(Si)、アミド結合、スルホニル結合、シロキサン結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基等の、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む構造を有していてもよい。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される基が挙げられる。
本明細書において、アルキル基及びフェニル基は、特記しない限り、非置換であっても、置換されていてもよい。かかる基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
・成分(A)
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、成分(A)として、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンを少なくとも1種含む。成分(A)は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物のベースポリマーとして機能する。アルケニル基は、ポリオルガノシロキサン分子の任意の位置に存在することができる。例えば分子末端にアルケニル基を有していてもよく、末端以外の部位に側鎖として存在していてもよい。アルケニル基は、直鎖状のポリオルガノシロキサンの場合、好ましくは成分(A)の分子主鎖の両末端に少なくとも1つずつ存在する。またここで、本明細書において、成分(A)の分子主鎖とは、成分(A)の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表す。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、成分(A)として、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンを少なくとも1種含む。成分(A)は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物のベースポリマーとして機能する。アルケニル基は、ポリオルガノシロキサン分子の任意の位置に存在することができる。例えば分子末端にアルケニル基を有していてもよく、末端以外の部位に側鎖として存在していてもよい。アルケニル基は、直鎖状のポリオルガノシロキサンの場合、好ましくは成分(A)の分子主鎖の両末端に少なくとも1つずつ存在する。またここで、本明細書において、成分(A)の分子主鎖とは、成分(A)の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表す。
アルケニル基は、炭素-炭素二重結合を有しており付加反応が可能な基であれば特に制限はされない。アルケニル基の炭素数は、2~20であることが好ましく、2~8であることがより好ましく、2~6であることが更に好ましい。アルケニル基は分岐構造や環構造を有していてもよい。アルケニル基を構成する炭化水素における炭素-炭素二重結合の位置は、任意の位置を採ることができる。反応性の点から、炭素-炭素二重結合は基の末端にあることが好ましい。アルケニル基の好ましい例としては、ポリオルガノシロキサンの合成が容易であることから、ビニル基が挙げられる。
成分(A)の分子骨格は、シロキサン結合が主骨格であるものであれば、特に制限されない。シロキサン骨格が、2価の有機基により中断されていてもよい。ここで、本明細書においてシロキサン化合物の構造を説明するにおいては、シロキサン化合物の構造単位を以下のような略号によって記載することがある。以下、これらの構造単位をそれぞれ「M単位」「D単位」等ということがある。
M:-Si(CH3)3O1/2
MH:-SiH(CH3)2O1/2
MVi:-Si(CH=CH2)(CH3)2O1/2
D:Si(CH3)2O2/2
DH:SiH(CH3)O2/2
T:Si(CH3)O3/2
Q:SiO4/2
以下、本明細書において、シロキサン化合物は、上記の構造単位を組み合わせて構築されるものであるが、上記構造単位のメチル基がフッ素のようなハロゲン、フェニル基のような炭化水素基等、他の基に置き換わったものを少なくとも部分的に含んでいてもよい。また、例えばDH 20D20と記した場合には、DH単位が20個続いた後D単位が20個続くことを意図するものではなく、各々の単位は任意に配列していてもよいことが理解される。シロキサン化合物は、T単位又はQ単位により、3次元的に様々な構造を取ることができるが、成分(A)は、上記M、MVi、D、DH単位を任意に組み合わせることでなる直鎖状の分子骨格をとることができる。
M:-Si(CH3)3O1/2
MH:-SiH(CH3)2O1/2
MVi:-Si(CH=CH2)(CH3)2O1/2
D:Si(CH3)2O2/2
DH:SiH(CH3)O2/2
T:Si(CH3)O3/2
Q:SiO4/2
以下、本明細書において、シロキサン化合物は、上記の構造単位を組み合わせて構築されるものであるが、上記構造単位のメチル基がフッ素のようなハロゲン、フェニル基のような炭化水素基等、他の基に置き換わったものを少なくとも部分的に含んでいてもよい。また、例えばDH 20D20と記した場合には、DH単位が20個続いた後D単位が20個続くことを意図するものではなく、各々の単位は任意に配列していてもよいことが理解される。シロキサン化合物は、T単位又はQ単位により、3次元的に様々な構造を取ることができるが、成分(A)は、上記M、MVi、D、DH単位を任意に組み合わせることでなる直鎖状の分子骨格をとることができる。
本発明の一態様において、成分(A)としては、ケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に平均で2個以上有し、後述する(B)のヒドロシリル基(Si-H基)との付加反応により、網状構造を形成することができるものであれば、特に限定されない。成分(A)は、代表的には、一般式(1):
(R1)s(R2)tSiO(4-s-t)/2 (1)
(式中、
R1は、アルケニル基であり;
R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり;
sは、1~3の整数であり;
tは、0~2の整数であり、但し、s+tは1~3である)
で示されるアルケニル基含有シロキサン単位を、分子中に、少なくとも2個有する。
(R1)s(R2)tSiO(4-s-t)/2 (1)
(式中、
R1は、アルケニル基であり;
R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり;
sは、1~3の整数であり;
tは、0~2の整数であり、但し、s+tは1~3である)
で示されるアルケニル基含有シロキサン単位を、分子中に、少なくとも2個有する。
成分(A)の具体的な例の一つとしては、下記式(2):
(Ra)3-pRpSi-O-(Si(R)r(Ra)2-rO)n-SiRq(Ra)3-q・・・(2)
(式中、
Raは、それぞれ独立して、アルケニル基であり、
Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p及びqは、各々独立して、0、1又は2であり、
rは、それぞれ独立して、0、1又は2であり、
nは、23℃における粘度を0.1~500Pa・sとする数である)
で表される直鎖状ポリオルガノシロキサンが例示される。Rとしては、炭化水素基、特にアルキル基、アルケニル基、アリール基を有するものが好ましい。屈折率等の物性を制御する観点から、Rの少なくとも一部がフェニル基等のアリール基であってもよい。Rが全てメチルであるようなポリオルガノシロキサンが、入手の容易性から特に好ましく用いられる。硬化性官能基の位置に関しては、上記式(2)においてrが2であるポリオルガノシロキサン、すなわち、分子の両末端のみに硬化性官能基が少なくとも1つずつ存在する直鎖状ポリオルガノシロキサンが好ましい。そのような(A)成分としては、両末端がR1 3-mR2 mSiO1/2単位で封鎖され、中間単位がR2 2SiO2/2単位である直鎖状ポリオルガノシロキサン(ここで、R1は、アルケニル基であり、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、mは、0、1又は2である)が挙げられる。
(Ra)3-pRpSi-O-(Si(R)r(Ra)2-rO)n-SiRq(Ra)3-q・・・(2)
(式中、
Raは、それぞれ独立して、アルケニル基であり、
Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p及びqは、各々独立して、0、1又は2であり、
rは、それぞれ独立して、0、1又は2であり、
nは、23℃における粘度を0.1~500Pa・sとする数である)
で表される直鎖状ポリオルガノシロキサンが例示される。Rとしては、炭化水素基、特にアルキル基、アルケニル基、アリール基を有するものが好ましい。屈折率等の物性を制御する観点から、Rの少なくとも一部がフェニル基等のアリール基であってもよい。Rが全てメチルであるようなポリオルガノシロキサンが、入手の容易性から特に好ましく用いられる。硬化性官能基の位置に関しては、上記式(2)においてrが2であるポリオルガノシロキサン、すなわち、分子の両末端のみに硬化性官能基が少なくとも1つずつ存在する直鎖状ポリオルガノシロキサンが好ましい。そのような(A)成分としては、両末端がR1 3-mR2 mSiO1/2単位で封鎖され、中間単位がR2 2SiO2/2単位である直鎖状ポリオルガノシロキサン(ここで、R1は、アルケニル基であり、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、mは、0、1又は2である)が挙げられる。
アルケニル基を有するポリオルガノシロキサンとしては、前記式(2)において、p及びqが2であり、rが2であること、すなわち、分子末端のみに1つずつ、計2つの付加反応可能な基、特にビニル基を有するものが好ましい。このような成分(A)として利用可能なポリオルガノシロキサンは、市販されているものを利用することができる。また、公知の反応により硬化性官能基を導入したポリオルガノシロキサンを用いてもよい。成分(A)としては、置換基の位置又は種類、重合度などにより区分して、1種類の化合物のみを用いてもよいし、2種類以上の化合物を混合して用いてもよい。成分(A)はポリオルガノシロキサンであるので、種々の重合度を有するポリオルガノシロキサンの混合物であってもよい。
成分(A)の配合量は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が取り扱い可能な粘度の範囲になる量であれば、特に制限されない。成分(A)の量を基準として、以下個別に示す好ましい範囲内で、他の成分の配合量を適宜設定することができる。
・成分(B)
本発明の組成物は、架橋剤として、前記成分(A)が有する硬化性官能基との反応性を有する化合物を含む(以下、単に「成分(B)」ということがある)。架橋剤を含むことにより、硬化性組成物から得られる硬化物の物性、例えば引張強度や弾性率が良好になる。成分(B)としては、ケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンが用いられる。
本発明の組成物は、架橋剤として、前記成分(A)が有する硬化性官能基との反応性を有する化合物を含む(以下、単に「成分(B)」ということがある)。架橋剤を含むことにより、硬化性組成物から得られる硬化物の物性、例えば引張強度や弾性率が良好になる。成分(B)としては、ケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンが用いられる。
ハイドロジェンポリオルガノシロキサンにおけるシロキサン骨格は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの骨格であってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。好ましくは、シロキサン骨格は直鎖状である。ハイドロジェンポリオルガノシロキサンの主鎖は、直鎖状の骨格であるが、置換基として分岐した構造を有するような骨格であってもよい。また、1分子に含まれるケイ素原子に結合した水素基(すなわち、Si-H結合と等価である)の数は2個以上であるが、1分子当たりの平均で5個以上であることがより好ましく、8個以上であることが更に好ましい。ハイドロジェンポリオルガノシロキサンにおけるその他の条件、水素基以外の有機基、結合位置、重合度、構造等については特に限定されないが、重合度が5~200、特に10~120の範囲であると、得られる組成物の取扱い性がより向上する傾向にあることから好ましい。用いることができるハイドロジェンポリオルガノシロキサンの具体例は、Si-H結合を有する単位(MH又はDH単位)を8個以上含み、重合度が10~120の範囲である、直鎖状の骨格を有するハイドロジェンポリオルガノシロキサンである。
より好ましい成分(B)としては、下記式(3)で表され、架橋基として1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si-H結合)を少なくとも2個有する、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。
(H(3-a)R1 aSiO1/2)b(R1 3SiO1/2)2-b(HR1SiO2/2)c(R1 2SiO2/2)d・・・(3)
(式中、R1はそれぞれ独立して非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、cは0以上の数であり、dは0以上の数である)
成分(B)が1分子あたりに有する架橋基としてのSi-H結合の数は少なくとも2つである。架橋反応により網目状構造を効率的にもたらすことができるため、Si-H結合の数は3つ以上であるとより好ましい。その場合は、上記式においてcの値が1以上であることが好ましい。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
(H(3-a)R1 aSiO1/2)b(R1 3SiO1/2)2-b(HR1SiO2/2)c(R1 2SiO2/2)d・・・(3)
(式中、R1はそれぞれ独立して非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、aは1又は2であり、bは0、1又は2であり、cは0以上の数であり、dは0以上の数である)
成分(B)が1分子あたりに有する架橋基としてのSi-H結合の数は少なくとも2つである。架橋反応により網目状構造を効率的にもたらすことができるため、Si-H結合の数は3つ以上であるとより好ましい。その場合は、上記式においてcの値が1以上であることが好ましい。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
成分(B)は、成分(A)の反応性官能基1モルに対して、架橋基を、例えば0.1~20モルの範囲で含むことができ、具体的には、0.2~10モルの範囲で含むことができる。成分(B)の配合量は、成分(A)が有する反応性官能基の量に応じて、後述の基準を用いながら、適正な範囲に収まるように設計することができる。成分(B)としては、架橋基の位置又は種類、ハイドロジェンポリシロキサンである場合はその重合度などにより区分して、1種類の化合物のみを用いてもよいし、2種類以上の化合物を混合して用いてもよい。成分(B)は、種々の重合度を有するハイドロジェンポリシロキサンの混合物であってもよい。
成分(B)は、両末端が、H(3-a)R1
aSiO1/2単位又はR1
3SiO1/2単位で閉塞され、中間単位が少なくとも1つのHR1SiO2/2単位と任意の数のR1
2SiO2/2単位からなる、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであることが好ましい。この場合、ケイ素原子に結合する水素原子は、中間単位に少なくとも1つ存在するが、残り少なくとも2つは、末端に存在していても、中間単位に存在していてもよい。
成分(B)としては、(B1-1)両末端がM単位(トリメチルシロキサン単位)で閉塞され、中間単位がDH単位(メチルハイドロジェンシロキサン単位)のみからなる直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(B1-2)両末端がM単位(トリメチルシロキサン単位)で閉塞され、中間単位がD単位(ジメチルシロキサン単位)及びDH単位(メチルハイドロジェンシロキサン単位)のみからなり、ジメチルシロキサン単位1モルに対して、メチルハイドロジェンシロキサン単位が0.1~3.0モルである直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサンが特に好ましい。成分(B)は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。
成分(B)の配合量は、前記成分(A)の硬化性官能基(アルケニル基)1個に対し、ケイ素原子に直接結合した水素原子が0.1~10.0個となる量であることが好ましい。0.1個より少ないと、硬化が十分な速度で進行しないことがあり、10.0個を超えると、硬化物が硬くなりすぎ、また硬化後の物性にも悪影響を及ぼすことがある。アルケニル基がビニル基である場合、分子内にビニル基を一つ有するポリオルガノシロキサンの量は、当該ハイドロジェンポリオルガノシロキサンの有するSi-H結合と不飽和結合、特にビニル基の物質量の比(H/Vi比)で調整することもできる。H/Vi比は、0.2~5.0の範囲であることが好ましく、0.5~3.0の範囲であることがより好ましい。H/Vi比を0.2以上とすることで、十分な速度での硬化を達成することができ、各種基材に対してより良好な接着性を示すこともできる。また、H/Vi比を5.0以下とすることで、組成物の硬化を十分な量で達成し、硬度を適度に保つことができ、耐熱性を保持しより良好な接着性を維持することができる。
成分(B)は、硬化性組成物中、成分(A)の反応性官能基1モルに対して、例えば、架橋基を0.1モル以上含むことができ、具体的には、0.2モル以上含むことができる。成分(B)は、成分(A)の反応性官能基1モルに対して、例えば、架橋基を20モル以下含むことができ、具体的には10モル以下含むことができ、より具体的には5モル以下含むことができる。
・成分(C)
本発明の組成物は、前記成分(A)と成分(B)との架橋反応を触媒しうる白金系触媒を含む(以下、単に「成分(C)」ということがある)。白金系触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のヒドロシリル基との間の付加反応を促進させ、また同様の付加反応によって、架橋重合体のシロキサン網状構造に、ケイ素に結合する水素原子を有する後述の(D)成分を導入するための触媒である。(C)成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体、白金-ケトン錯体、白金-ホスフィン錯体のような白金化合物等が挙げられる。これらのうち、触媒活性が良好な点から、白金-ビニルシロキサン錯体が好ましく、室温において短時間に硬化して接着性を発現することから、カールステッド錯体、白金-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン錯体(白金-メチルビニルシロキサンダイマー錯体)、又はアシュビー錯体、白金-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体(白金-メチルビニルシロキサンテトラマー錯体)が特に好ましい。(C)成分は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。また、紫外線照射による硬化系を考えた場合、環状ジエン骨格を配位子として有する紫外線活性型ヒドロシリル化白金触媒が用いられる。例えば、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金が、必要に応じシロキサンポリマーと組み合わせて混合物として用いられる。白金系触媒の配合量は、前記成分(A)に対し、白金元素として0.1~1000ppmとなる量である。0.1ppmより少ないと組成物が十分に硬化せず、また1000ppmを超えても特に硬化速度の向上は期待できない。このような観点により、硬化特性と経済性を考慮した設計をすることが望ましい。
本発明の組成物は、前記成分(A)と成分(B)との架橋反応を触媒しうる白金系触媒を含む(以下、単に「成分(C)」ということがある)。白金系触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のヒドロシリル基との間の付加反応を促進させ、また同様の付加反応によって、架橋重合体のシロキサン網状構造に、ケイ素に結合する水素原子を有する後述の(D)成分を導入するための触媒である。(C)成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体、白金-ケトン錯体、白金-ホスフィン錯体のような白金化合物等が挙げられる。これらのうち、触媒活性が良好な点から、白金-ビニルシロキサン錯体が好ましく、室温において短時間に硬化して接着性を発現することから、カールステッド錯体、白金-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン錯体(白金-メチルビニルシロキサンダイマー錯体)、又はアシュビー錯体、白金-2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体(白金-メチルビニルシロキサンテトラマー錯体)が特に好ましい。(C)成分は、1種又は2種以上の組合せであってもよい。また、紫外線照射による硬化系を考えた場合、環状ジエン骨格を配位子として有する紫外線活性型ヒドロシリル化白金触媒が用いられる。例えば、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金が、必要に応じシロキサンポリマーと組み合わせて混合物として用いられる。白金系触媒の配合量は、前記成分(A)に対し、白金元素として0.1~1000ppmとなる量である。0.1ppmより少ないと組成物が十分に硬化せず、また1000ppmを超えても特に硬化速度の向上は期待できない。このような観点により、硬化特性と経済性を考慮した設計をすることが望ましい。
シリコーン組成物の用途によっては、より長いポットライフを得るために、反応抑制剤の添加により、触媒の活性を抑制することができる。公知の白金族金属用の反応抑制剤として、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニル-2-シクロヘキサノール等のアセチレンアルコール、マレイン酸ジアリル、また、テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等の3級アミンが挙げられる。
・成分(D)
本発明の組成物は、特定の接着性付与剤を含む。具体的には、一分子中に、直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基、エポキシ基、ケイ素原子に結合したアルコキシ基、及びケイ素原子に結合した水素原子から選ばれる接着性付与官能基を少なくとも1個以上有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤を含む(但し、(A)又は(B)に該当するものを除く)。特定の理論に束縛されるものではないが、付加型シリコーン組成物には、硬化後も残存するアクティブな状態の白金があり、加熱・圧縮下で、残存するビニル基とSiH基が反応してしまうことがある。必要以上の硬化反応が起こる結果、ゴム組成物の復元性が悪くなってしまうことがある。すなわち、高温の環境下で圧縮状態のまま長時間使用されると、塑性変形(ヘタリ)を生じ、密封性能が低下し、電子機器の保護性能に問題が生じることがある。そのため、残存する白金を失活させるため、成分(D)としてヘテロ原子を含有する物質を添加することで、過剰のヒドロシリル化反応が起こらないようにすることができる。その結果、復元性の良好なシリコーン組成物が得られるものと考えることができる。上記記載の接着性付与剤の硬化では、基材に対して接着性を発現すると同時に、残存する白金活性を失活させる効果を示す。
本発明の組成物は、特定の接着性付与剤を含む。具体的には、一分子中に、直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基、エポキシ基、ケイ素原子に結合したアルコキシ基、及びケイ素原子に結合した水素原子から選ばれる接着性付与官能基を少なくとも1個以上有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤を含む(但し、(A)又は(B)に該当するものを除く)。特定の理論に束縛されるものではないが、付加型シリコーン組成物には、硬化後も残存するアクティブな状態の白金があり、加熱・圧縮下で、残存するビニル基とSiH基が反応してしまうことがある。必要以上の硬化反応が起こる結果、ゴム組成物の復元性が悪くなってしまうことがある。すなわち、高温の環境下で圧縮状態のまま長時間使用されると、塑性変形(ヘタリ)を生じ、密封性能が低下し、電子機器の保護性能に問題が生じることがある。そのため、残存する白金を失活させるため、成分(D)としてヘテロ原子を含有する物質を添加することで、過剰のヒドロシリル化反応が起こらないようにすることができる。その結果、復元性の良好なシリコーン組成物が得られるものと考えることができる。上記記載の接着性付与剤の硬化では、基材に対して接着性を発現すると同時に、残存する白金活性を失活させる効果を示す。
このような、成分(D)に該当する化合物の構造としては、最も単純な構造の化合物として、上記接着性付与官能基と、ヘテロ原子を有する官能基が結合した構造の化合物が挙げられる。そのような例として、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。ただし、分子の設計によって接着性と白金の活性を抑制する効果を細かく制御する観点から、化合物の主骨格となる有機分子の構造に、スペーサーとなる基を介して接着性付与官能基を結合させた構造が、好ましい構造として挙げられる。化合物の主骨格以外にヘテロ原子が存在する場合、すなわち、分子中の末端にヘテロ原子の反応基があった場合、失活活性が強すぎるため、本来ヒドロシリル化反応で硬化するための白金活性を失活させ、硬化不良となることがある。そのため、低温短時間で硬化した後に、アクティブな白金を失活させるため、分子鎖中のスペーサーとなる基を介して接着性付与官能基を結合させた構造であることが好ましい。
成分(D)に該当する化合物の主骨格としては、複数の接着性付与官能基を導入可能であること、それらが分子の幾何構造上等価な位置関係を占めることが設計上容易であることから、多価アルコール、芳香族化合物、複素環式化合物を用いることが好ましい。また、化合物の対称性が保たれる位置関係で、スペーサー基を導入可能な部分があることがこのましい。スペーサー基を導入可能な部分には、置換反応により容易にスペーサー基を導入可能であることから、ハロゲンやアミンを利用可能なほか、エーテル結合やエステル結合を形成可能な構造を有していることが好ましい。主骨格として採り得る構造としては、原料の入手が容易であることから、以下のようなものが好ましい例として挙げられる。
スペーサー基は、接着性付与官能基と主骨格を連結する部分である。スペーサー基の骨格中の場所は、分子鎖の末端以外の途中であれば、特に限定されない。このスペーサー基の骨格中に、ヘテロ原子が存在することが好ましい。スペーサー基としては、設計が容易であることから、少なくとも1か所がヘテロ原子で置き換えられた2価のアルキレン基が好ましい例として挙げられる。ただし、1分子中に1つヘテロ原子が導入されるようにスペーサー基が選択されていれば、ヘテロ原子を有していないスペーサー基、例えばエチレン(-CH2-)のような2価のアルキレン基を用いていてもよい。2価のアルキレン基は、(A)成分や(B)成分のようなシリコーンとの相溶性を十分に確保する観点から、炭素数が1~20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数が1~12であることがより好ましく、炭素数が1~8であることがさらに好ましい。スペーサー基は、直鎖状、分岐鎖状、環状何れの構造を有していてもよい。また、スペーサー基の末端部分に下記接着性付与官能基が存在していることが、分子設計の観点から好ましい。
ヘテロ原子としては、白金原子に配位結合が可能な形で不対電子を有している原子であればよく、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)、リン原子(P)が挙げられる。これらのヘテロ原子は、カルボニル、チオカルボニル、イミンのような構造として含まれていてもよいが、エーテル構造、チオエーテル構造、アミン又はホスフィンの構造として含まれていることが好ましい。成分(D)としてのヘテロ原子から構成される化合物が、硫黄化合物、窒素化合物、リン化合物からなる群より選択される、少なくとも1種であることが好ましい。硫黄原子を少なくとも1つ有していることが、過剰な白金触媒の失活に対して有効であり、接着性をより向上させるためにより好ましい。スペーサー基中にヘテロ原子が存在する場合、その位置関係は特に制限されない。
成分(D)は、直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基、エポキシ基、ケイ素原子に結合したアルコキシ基、及びケイ素原子に結合した水素原子から選ばれる接着性付与官能基を少なくとも1個以上有する。接着性付与官能基は1つあれば接着性の付与に寄与することができるが、1分子あたり2つ以上の接着性付与官能基を有することが好ましい。エポキシ基又はケイ素原子に結合したアルコキシ基を有することが好ましい。成分(D)としては、SiR2
3-n(OR2)n基(ここで、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である)を少なくとも1つ有する有機ケイ素化合物であることがさらに好ましい。この場合において、R2は、メチル基又はエチル基であることが、特に好ましい。また、成分(D)が上記の基を有するアルコキシシリル化合物である場合、その部分加水分解縮合物もまた、成分(D)として好ましい。
成分(D)は、上記構造のほか、任意の有機基を有していてもよい。例えば、成分(D)は、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を更に有することができる。成分(D)の具体例としては、以下のような化合物が挙げられるが、上記要件を満たす限りにおいて、これらに限定されるものではない。
成分(D)の含有量は、前記成分(A)100質量部に対して、0.05~10質量部の範囲である。この範囲とすることで、基材に対する高い接着性を発現することが出来る。0.05質量部未満では接着性を発現するのに十分でないことがあり、残存する白金の失活性も十分ではなくなることがあり、圧縮永久ひずみの観点からも良好とはいえないことがある。10質量部より多いと、成分(A)(B)の濃度が小さくなることから接着性を高める効果が得られにくくなり、また白金の失活性が著しく増加するため、十分な硬化状態を示さなくなることがある。より好ましい含有量の範囲は、0.1~7質量部であり、0.5~5質量部の範囲とすることがさらに好ましい。
・成分(E)
本発明の組成物は、組成物の流動性を抑制するために無機充填剤をさらに含む。無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等の補強性充填剤;シリカ、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面を疎水化剤で処理したものが挙げられる。これらのなかで、無機充填剤は、シリカ、表面処理シリカ、カーボンブラック又は炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはシリカ又は表面処理シリカである。
本発明の組成物は、組成物の流動性を抑制するために無機充填剤をさらに含む。無機充填剤としては、煙霧質酸化チタン等の補強性充填剤;シリカ、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩;アルミノケイ酸、ケイ酸カルシウム、マイカ等のケイ酸塩;タルク;カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉等の導電性充填剤;これらの表面を疎水化剤で処理したものが挙げられる。これらのなかで、無機充填剤は、シリカ、表面処理シリカ、カーボンブラック又は炭酸カルシウムであることが好ましく、より好ましくはシリカ又は表面処理シリカである。
本発明の硬化性組成物は、無機充填剤として表面処理されたシリカを含むことが特に好ましい。表面処理シリカを用いることで、組成物の流動性を抑制し、かつ、組成物の硬化物に機械的強度を付与することができる。本明細書において、表面処理とは、シリカ表面のシラノール基との反応性を有する化合物を用い、シラノール基を別種の基に共有結合的に処理することを指す。
シリカとしては、煙霧質シリカ、焼成シリカ、シリカエアロゲル、沈殿シリカ、粉砕シリカ等が挙げられる。これらのなかで、少ない配合量で、組成物の流動性を抑制し、かつ、組成物の硬化物に機械的強度を付与する点から、煙霧質シリカが好ましい。また、表面処理シリカとしては、BET比表面積が50~500m2/gであるものが好ましく、80~400m2/gであるものがより好ましく、100~300m2/gであるものがさらに好ましい。
表面処理の方法としては、シラザン化合物(ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン等)、アルコキシシラン化合物(メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン等)、クロロシラン化合物(メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルシロキサンオリゴマー等による処理が挙げられる。これらの中で、シラザン化合物又はクロロシラン化合物で化学処理されていると、少ない処理量で、シリカ表面を疎水化処理することができる点から好ましい。特に、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシランが好ましい。また、処理度及び処理した後の表面状態の安定性(不活性化)の点から、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。これらの表面処理剤は、硬化性組成物の調製時にシリカとともに配合し、混練することで、シリカの表面処理を行うようにしてもよい。また、市販の材料を用いてもよい。
無機充填剤としては、一次粒子径が0.01~0.1μmであるものが好ましくは用いられる。無機充填剤の一次粒子径を上記範囲とすることにより、流動性がより抑えられた組成物を得ることができる。無機充填剤の一次粒子径は、0.02~0.08μmであることが好ましく、より好ましくは0.03~0.07μmである。一次粒子径の測定値は、電子顕微鏡法による測定値である。
無機充填剤の配合量は、塗布後に硬化性組成物の形状が保たれる程度であればよく、その範囲で適宜調整されることが好ましい。具体的には、無機充填剤は、成分(A)100質量部に対して、1~500質量部含まれることが好ましく、好ましくは1~200質量部、より好ましくは1~100質量部である。また、無機充填剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。
[硬化性ポリオルガノシロキサン組成物]
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサンは、上記成分(A)ないし(E)を含有するものである。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサンは、上記成分(A)ないし(E)を含有するものである。
本発明のポリオルガノシロキサン組成物は、各成分が均一に混合されており、基材への適用が可能な程度の流動性を有している限り、その性状に特段の制限はない。ポリオルガノシロキサン組成物の粘度は、主に成分(A)又は(E)の粘度によって制御することができ、0.1~500Pa・sの範囲であることが、操作性の観点から好ましい。また、ポリオルガノシロキサン組成物は、各成分が全て混合された状態である1液型、又は、成分(B)と成分(C)を分けて配合した2液型の組成物であることができる。1液型と2液型のどちらの組成物とするかは、作業性や硬化条件等を考慮して、適宜選択することができ、その手法は当業者に公知である。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、その目的・効果を損なうものでない限り、公知のその他の成分を配合することができる。添加剤として、難燃剤、(D)以外の接着性付与剤、耐熱付与剤、希釈剤、有機溶剤、無機又は有機顔料等を適宜配合することができる。また、前記成分(A)、(B)に該当しないシロキサン樹脂を配合することもできる。そのような樹脂として、硬化性官能基を1つだけ有するポリオルガノシロキサン、ジメチルシロキサンのような硬化性官能基を有さないポリオルガノシロキサン等が挙げられる。これらの樹脂は、希釈剤として用いることができる。
<その他の樹脂>
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、前記成分(A)又は(B)に該当しないシロキサン樹脂をさらに含んでもよい。そのような樹脂は、粘度を調整するための希釈剤としても用いることができる。そのようなシロキサン樹脂としては、前記M、D、T、Q単位の組合せで得られる樹脂のうち硬化性官能基を持たないか又は1つだけ有するもの、特に下記式:
(Ra)3-pRpSi-O-(SiR2O)n-SiR3
(式中、Ra、R、p、nは、式(2)において定義したとおりである)
で示されるような、1つだけ硬化性官能基を有するシロキサンや、下記式:
R3Si-O-(SiR2O)n-SiR3
(式中、R、nは、式(2)において定義したとおりである)
で示される、硬化性官能基を有さないシロキサンを用いることができる。このようなシロキサン樹脂を用いることで、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させたときの硬度を制御することや、組成物の粘度を制御することができ、取り扱い性や要求される物性に対して広く対応することができる。
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、前記成分(A)又は(B)に該当しないシロキサン樹脂をさらに含んでもよい。そのような樹脂は、粘度を調整するための希釈剤としても用いることができる。そのようなシロキサン樹脂としては、前記M、D、T、Q単位の組合せで得られる樹脂のうち硬化性官能基を持たないか又は1つだけ有するもの、特に下記式:
(Ra)3-pRpSi-O-(SiR2O)n-SiR3
(式中、Ra、R、p、nは、式(2)において定義したとおりである)
で示されるような、1つだけ硬化性官能基を有するシロキサンや、下記式:
R3Si-O-(SiR2O)n-SiR3
(式中、R、nは、式(2)において定義したとおりである)
で示される、硬化性官能基を有さないシロキサンを用いることができる。このようなシロキサン樹脂を用いることで、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させたときの硬度を制御することや、組成物の粘度を制御することができ、取り扱い性や要求される物性に対して広く対応することができる。
このような樹脂は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中、成分(A)100質量部に対して、例えば、50質量部以下含むことができ、具体的には、0.1~50質量部含むことができ、より具体的には、1~30質量部含むことができる。
<接着性付与剤>
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(D)以外の接着性付与剤をさらに含んでもよい。接着性付与剤は、組成物の硬化物の、ガラス、金属、プラスチック等の基材への密着性を向上させる成分である。接着性付与剤としては、金属アルコキシド類、加水分解性シリル基を有する化合物、一分子中に加水分解性シリル基と反応性有機官能基を有する化合物、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子と2価の芳香族基を有する化合物、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子と反応性有機官能基を有する化合物、並びに/又はそれらの部分加水分解縮合物が挙げられる(ただし(D)に該当するものを除く)。金属アルコキシドの例としては、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド;チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトライソプロペニルオキシドのようなチタンアルコキシド等の金属アルコキシド類が挙げられる。有機化合物の接着性付与剤としては、アミノ基含有シラン、イソシアヌレート類、カルバシラトラン化合物が挙げられる。具体的な例として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランのオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(D)以外の接着性付与剤をさらに含んでもよい。接着性付与剤は、組成物の硬化物の、ガラス、金属、プラスチック等の基材への密着性を向上させる成分である。接着性付与剤としては、金属アルコキシド類、加水分解性シリル基を有する化合物、一分子中に加水分解性シリル基と反応性有機官能基を有する化合物、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子と2価の芳香族基を有する化合物、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子と反応性有機官能基を有する化合物、並びに/又はそれらの部分加水分解縮合物が挙げられる(ただし(D)に該当するものを除く)。金属アルコキシドの例としては、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド;チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトライソプロペニルオキシドのようなチタンアルコキシド等の金属アルコキシド類が挙げられる。有機化合物の接着性付与剤としては、アミノ基含有シラン、イソシアヌレート類、カルバシラトラン化合物が挙げられる。具体的な例として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランのオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、Si(OR3)n基(ここで、R3は、炭素数1~4のアルキル基又は2-メトキシエチル基を表し;nは、1~4の整数である)と、nが1~3である場合にエポキシ基含有基を有する有機ケイ素化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物、が挙げられる。
(D)以外の接着性付与剤の具体的な例としては、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシドのようなアルミニウムアルコキシド;チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトライソプロペニルオキシドのようなチタンアルコキシド等、オクタン酸ジルコニウム、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム等のジルコニウムアシレート;n-プロピルジルコネート、n-ブチルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド(但し、ジルコニウムキレートを除く。);トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート、ジブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウムキレート等の金属アルコキシド類等が挙げられる。他の接着性付与剤の併用により、更に接着強さを高めることができる。
追加の接着性付与剤は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中、成分(A)100質量部に対して、例えば、10質量部以下含むことができ、具体的には、0.01~10質量部含むことができ、より具体的には、0.1~5質量部含むことができる。接着性付与剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
<溶剤>
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、その用途、目的に応じて適当な溶剤に所望の濃度に溶解して使用し得る。上記溶剤の濃度は、例えば、組成物100質量部に対して、80質量部以下であってもよく、50質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよい。硬化性組成物の粘度を調整する観点からは、溶剤を含むことが好ましい。溶剤を含むことにより、硬化性組成物の取り扱い性が良好になり得る。
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、溶剤を含んでいてもよい。この場合、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、その用途、目的に応じて適当な溶剤に所望の濃度に溶解して使用し得る。上記溶剤の濃度は、例えば、組成物100質量部に対して、80質量部以下であってもよく、50質量部以下であってもよく、30質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよい。硬化性組成物の粘度を調整する観点からは、溶剤を含むことが好ましい。溶剤を含むことにより、硬化性組成物の取り扱い性が良好になり得る。
本発明の一態様は、上記硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を含む、接着剤である。本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を接着剤として用いた物品において、当該組成物の硬化物と各種基材とは、接着部分を有していればよく、その形状は限定されない。例えば、基材と組成物の硬化物との接着部分を含む物品の製造方法の態様の一つは、基材を含む部品及び組成物を準備する工程;前記基材の表面に前記組成物を塗布する工程;並びに前記組成物を硬化して、前記基材及び前記組成物の硬化物を接着する工程を含む。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を含有する接着剤が適用される基材は、その材質に特に制限はない。基材としては、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、黄銅、ステンレス等の金属;エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂等のエンジニアリングプラスチック;ガラス等を使用することができる。また、必要に応じて、空隙の壁面等に対して常法に従ってプライマー処理を施してもよい。基材の形状、厚みなども特に制限されない。
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を含む接着剤は、基材を含む部品の表面の接着すべき部位に、所定の厚さで、滴下、注入、流延、容器からの押出し、バーコート、ロールコート等のコーティング、スクリーン印刷、ディップ法、刷毛塗り法、スプレー法、ディスペンス法等の方法により適用される。これらの手法は、当業者に公知の手法である。組成物は、前記部品の表面上に全体的かつ均一に塗布されてもよく、線状、ストライプ状、ドット状等のように不均一又は部分的に塗布されてもよい。組成物の適用厚さは、通常0.01~3mm、好ましくは0.05~2mmである。
組成物は、接着すべき部位に注入、滴下、流延、注型、容器からの押出しなどの方法により、又はトランスファー成形や射出成形による一体成形によって、接着対象物に付着させ、室温(例えば、23℃)で放置して、硬化させることにより、同時に接着対象物に接着させることができる。また、加熱により高温で硬化させた場合であっても、接着性及び柔軟性に優れた組成物の硬化物を得ることができる。また、より高温で硬化させる場合は、室温よりも短時間で硬化させることができ、作業効率の向上を図ることができる。加熱条件は、特に限定されないが、安全性・生産性・作業性・特性上、妥当な範囲であれば問題ない。また、組成物が適用される部材の耐熱温度に合わせて適宜調整することができ、硬化時間を決めることができる。例えば、室温(23℃)超110℃以下の熱を、1分~2週間、好ましくは5分~72時間の範囲で加えることができる。加熱温度は、操作性の観点から、40~120℃であることが好ましく、50~110℃であることが特に好ましい。加熱時間は、硬化工程の簡便さの観点から、5分~72時間であることが好ましく、5分~24時間であることが特に好ましい。また、室温で硬化させる場合、硬化時間は、1週間以下であることが好ましく、72時間以下であることがより好ましく、生産上の利点から24時間以下が特に好ましい。
組成物は、加熱硬化以外の方法として、紫外線を照射することによって、硬化させることもできる。照射量は、100~10,000mJ/cm2が好ましく、より好ましくは300~6,000mJ/cm2であり、更に好ましくは500~4,000mJ/cm2である。なお、照射量は、UVAの測定値である。ここで、UVAは、315~400nmの範囲の紫外線をいう。本発明の組成物は、紫外線の波長、例えば、250~450nmの範囲を有する紫外線を照射したときの硬化性が良好である。このような波長の紫外線を放出する光源として、例えば、ウシオ電機株式会社製の高圧水銀ランプ(UV-7000)、メタルハライドランプ(UVL-4001M3-N1)、韓国:JM tech社製のメタルハライドランプ(JM-MTL 2KW)、三菱電機株式会社製の紫外線照射灯(OSBL360)、日本電池株式会社製の紫外線照射機(UD-20-2)、株式会社東芝の製蛍光ランプ(FL-20BLB))、Heraeus社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Vバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。硬化の方法は、加熱又は紫外線照射のいずれかのみであってもよく、これらを併用してもよい。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を接着剤として用いた物品は、接着面の耐水性をはじめ耐久性能に優れているため、アルミニウム、アルミダイキャスト等の金属及びPBT、PETのようなエンジニアリングプラスチックを付加型シリコーンで接着させる要求に応じることが可能となった。特に、航空機、自動車用途、電子材料分野において各種部品として良好に用いることができる。
本発明の組成物を、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
<硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の調製>
[実施例1]
(1)ベースポリマー(1)の調製
表1に示す組成で、(A-1)中の80質量%となる量の(A-1)直鎖状の両末端ビニルジメチルポリシロキサン、(F1-2)石英粉、及び(F1-3)二酸化チタンを万能混練機に移して、室温(23℃)で10分間撹拌した。(F2)表面処理剤、(F3)水、及び(F1-1)ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカを加えて、室温で60分間撹拌し、150℃で2時間撹拌し、150℃2時間減圧下に撹拌した。50℃以下まで冷却して、30分間撹拌した。(A-1)中の20質量%となる(A-1)直鎖状の両末端ビニルジメチルポリシロキサンを加えて、30分間撹拌した。(A-2)直鎖状のフェニル含有両末端ビニルジメチルポリシロキサンを加え、ベースポリマーの全重量に対して白金量が100ppmとなる量の(C-1)アシュビーの触媒(白金-メチルビニルシロキサンテトラマー錯体)を加えて、30分間減圧下に撹拌した。得られた混合物をろ過(150メッシュ)することにより、ベースポリマー(1)を調製した。
[実施例1]
(1)ベースポリマー(1)の調製
表1に示す組成で、(A-1)中の80質量%となる量の(A-1)直鎖状の両末端ビニルジメチルポリシロキサン、(F1-2)石英粉、及び(F1-3)二酸化チタンを万能混練機に移して、室温(23℃)で10分間撹拌した。(F2)表面処理剤、(F3)水、及び(F1-1)ヘキサメチルジシラザンで表面処理したシリカを加えて、室温で60分間撹拌し、150℃で2時間撹拌し、150℃2時間減圧下に撹拌した。50℃以下まで冷却して、30分間撹拌した。(A-1)中の20質量%となる(A-1)直鎖状の両末端ビニルジメチルポリシロキサンを加えて、30分間撹拌した。(A-2)直鎖状のフェニル含有両末端ビニルジメチルポリシロキサンを加え、ベースポリマーの全重量に対して白金量が100ppmとなる量の(C-1)アシュビーの触媒(白金-メチルビニルシロキサンテトラマー錯体)を加えて、30分間減圧下に撹拌した。得られた混合物をろ過(150メッシュ)することにより、ベースポリマー(1)を調製した。
(2)付加型シリコーン組成物の調製
表2に示す組成で、各成分を混合し、10分間すばやく減圧混練することにより、脱泡を行って、付加型シリコーン組成物を調製した。なお、組成物におけるH/Viは、2であった。ここで、化合物1は以下の構造を有する化合物である。
化合物1は、次のようにして合成した。容量300mLのセパラブルフラスコに、9,9-ビス(4-アリルオキシフェニル)フルオレン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トルエンをこの順番で、30g、50g、50gを添加し、室温で5分間撹拌を行った。AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.4g添加し、窒素雰囲気下、室温で5分間撹拌を行った。撹拌を継続しながら、50℃に昇温し、6時間反応を継続した。
次に、撹拌を継続しながら、120℃、真空度10mmHg以下の真空度で、化合物中に含まれるトルエン及び未反応の前駆体の除去を3時間行った。室温まで冷却して、化合物1を得た。
表2に示す組成で、各成分を混合し、10分間すばやく減圧混練することにより、脱泡を行って、付加型シリコーン組成物を調製した。なお、組成物におけるH/Viは、2であった。ここで、化合物1は以下の構造を有する化合物である。
化合物1は、次のようにして合成した。容量300mLのセパラブルフラスコに、9,9-ビス(4-アリルオキシフェニル)フルオレン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トルエンをこの順番で、30g、50g、50gを添加し、室温で5分間撹拌を行った。AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を0.4g添加し、窒素雰囲気下、室温で5分間撹拌を行った。撹拌を継続しながら、50℃に昇温し、6時間反応を継続した。
次に、撹拌を継続しながら、120℃、真空度10mmHg以下の真空度で、化合物中に含まれるトルエン及び未反応の前駆体の除去を3時間行った。室温まで冷却して、化合物1を得た。
(実施例2、比較例1、2)
表2に示す組成で、実施例1に準じる手順により、各々の付加型シリコーン組成物を調製した。実施例1を含めて、各実施例及び比較例の配合比を、表2に示す。ここで、(B)のハイドロジェンポリシロキサンは、両末端がM単位であり、中間単位がD単位及びDH単位である、直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン(有効水素量8.61mmol/g、粘度15~50mPa・s)である。
表2に示す組成で、実施例1に準じる手順により、各々の付加型シリコーン組成物を調製した。実施例1を含めて、各実施例及び比較例の配合比を、表2に示す。ここで、(B)のハイドロジェンポリシロキサンは、両末端がM単位であり、中間単位がD単位及びDH単位である、直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン(有効水素量8.61mmol/g、粘度15~50mPa・s)である。
(実施例3)
<化合物2の合成>
化合物2は、以下の構造を有する化合物である。化合物2は、化合物1と同じ方法により合成を行った。
なお、原料の量関係を調整することで同様の方法により、化合物2からエポキシ基の数を変化させた化合物3及び4を得た。また、MA-DGICから主骨格となる物質を変更することで同様の方法により、化合物5~10を得た。各々の構造は、以下のとおりである。
<化合物2の合成>
化合物2は、以下の構造を有する化合物である。化合物2は、化合物1と同じ方法により合成を行った。
なお、原料の量関係を調整することで同様の方法により、化合物2からエポキシ基の数を変化させた化合物3及び4を得た。また、MA-DGICから主骨格となる物質を変更することで同様の方法により、化合物5~10を得た。各々の構造は、以下のとおりである。
<付加型シリコーン組成物の調製>
(D)に該当する化合物を、上記化合物2に変更した以外は実施例1に準じる手順により、表3に示す組成にて、付加型シリコーン組成物を調製した。また、実施例4~11として、(D)に該当する化合物を、上記化合物3~10に変更した以外は実施例1に準じる手順により、表3に示す組成にて、付加型シリコーン組成物を各々調製した。
(D)に該当する化合物を、上記化合物2に変更した以外は実施例1に準じる手順により、表3に示す組成にて、付加型シリコーン組成物を調製した。また、実施例4~11として、(D)に該当する化合物を、上記化合物3~10に変更した以外は実施例1に準じる手順により、表3に示す組成にて、付加型シリコーン組成物を各々調製した。
(評価方法)
<圧縮永久ひずみ>
一定温度で一定時間圧縮させた後、圧縮力を除いて一定時間経過後に残留しているひずみを求める。圧縮永久ひずみの値は次の式で定義される。
CS={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
CS:圧縮永久ひずみ率(%)
t0:試験片の原厚(mm)
t1:試験片を圧縮装置から取り出し30分経過した後の厚さ(mm)
t2:圧縮ひずみを加えた状態での試験片の厚さ(mm)
<圧縮永久ひずみ>
一定温度で一定時間圧縮させた後、圧縮力を除いて一定時間経過後に残留しているひずみを求める。圧縮永久ひずみの値は次の式で定義される。
CS={(t0-t1)/(t0-t2)}×100
CS:圧縮永久ひずみ率(%)
t0:試験片の原厚(mm)
t1:試験片を圧縮装置から取り出し30分経過した後の厚さ(mm)
t2:圧縮ひずみを加えた状態での試験片の厚さ(mm)
<せん断接着強さ>
せん断接着強さの評価には、次のような方法を用いた。シリコーン組成物を一方の試験片端部に塗布して均一に延ばした後、幅方向に25mm、長さ方向に10mmの接着面になるようにもう一方の試験片端部を貼り合わせて、試験片を得た。治具で固定した状態で硬化条件の温度に調整されたオーブン内に試験片を置いて、硬化条件の時間硬化させた。試験片の温度が室温(23℃)に戻った後、準備した試験片を引張り試験機により引張速度10mm/minにて測定し、「引張せん断接着強さ」(MPa)とした。試験の詳細については、JIS K 6249に従った。
せん断接着強さの評価には、次のような方法を用いた。シリコーン組成物を一方の試験片端部に塗布して均一に延ばした後、幅方向に25mm、長さ方向に10mmの接着面になるようにもう一方の試験片端部を貼り合わせて、試験片を得た。治具で固定した状態で硬化条件の温度に調整されたオーブン内に試験片を置いて、硬化条件の時間硬化させた。試験片の温度が室温(23℃)に戻った後、準備した試験片を引張り試験機により引張速度10mm/minにて測定し、「引張せん断接着強さ」(MPa)とした。試験の詳細については、JIS K 6249に従った。
<凝集破壊率>
凝集破壊率は、せん断接着強さ試験において、対面する被着体の界面で剥離せずに、シリコーン層が破壊される割合である。凝集破壊率が100%であることは、接着強度(接着性)が十分に維持されていることを示している。上記の「せん断接着強さ」の記載に従ってせん断接着強さを測定した後、各種被着体に接着したシリコーン層の面積を塗布面積で割った値を凝集破壊率(面積%)とした。試験の詳細については、JIS K 6249に従う。
凝集破壊率は、せん断接着強さ試験において、対面する被着体の界面で剥離せずに、シリコーン層が破壊される割合である。凝集破壊率が100%であることは、接着強度(接着性)が十分に維持されていることを示している。上記の「せん断接着強さ」の記載に従ってせん断接着強さを測定した後、各種被着体に接着したシリコーン層の面積を塗布面積で割った値を凝集破壊率(面積%)とした。試験の詳細については、JIS K 6249に従う。
表から、本発明の組成物は、(D)成分である特定の接着性付与化合物を添加しない比較例1と比べて、アルミ(金属)、PBT(ポリブタジエンテレフタラート;樹脂)のいずれに対しても高い接着性を奏することが示された。また、過剰に(D)成分を加えた比較例2では、接着性が高くならないことも示された。さらに、本発明の組成物は、低い圧縮永久ひずみと高いせん断接着強さを備えており、接着剤として有用な性質を備えていることが示された。
本発明の組成物は、ポットライフ、接着性、硬化性、信頼性に優れたシリコーン化合物であり、本発明によって、低温かつ短時間の硬化条件で硬化するとともに、様々な基材に対する接着性に優れる、付加型シリコーン組成物が提供される。
Claims (5)
- (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、一分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に2個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン;
(C)白金系触媒;
(D)一分子中に、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び直鎖状、分岐鎖状又は環状の脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を有し、かつ、前記接着性付与官能基以外に、一分子中に少なくとも1つ以上のヘテロ原子を有する化合物である、ケイ素系接着性付与剤(但し、前記(A)又は(B)に該当するものを除く);及び
(E)無機充填剤
を含み、前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が、0.05~10質量部である、付加型シリコーン組成物。 - 前記(D)成分が、硫黄化合物、窒素化合物、リン化合物からなる群より選択される、少なくとも1種である、請求項1記載の付加型シリコーン組成物。
- 前記(D)成分が、SiR2 3-n(OR2)n基(ここで、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、nは、1、2又は3である)を少なくとも1つ有する有機ケイ素化合物、及び/又はその部分加水分解縮合物である、請求項1又は2記載の付加型シリコーン組成物。
- 前記(D)成分が、芳香族炭化水素含有基、エポキシ基含有基及び脂肪族不飽和炭化水素基からなる群より選択される1種以上の基を更に有する、請求項3記載の付加型シリコーン組成物。
- (A)成分が、両末端がR1 3-mR2 mSiO1/2単位で封鎖され、中間単位がR2 2SiO2/2単位である直鎖状ポリオルガノシロキサン(ここで、R1は、アルケニル基であり、R2は、脂肪族不飽和結合を有しない1価の炭化水素基であり、mは、0、1又は2である)を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の付加型シリコーン組成物。
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