JP2006124698A - 硬化性樹脂組成物、表示素子用シール剤及び表示素子用封口剤 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、表示素子用シール剤及び表示素子用封口剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶表示素子用シール剤又は液晶表示素子用封口剤として用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少なく、かつ、貯蔵安定性に優れることから、特に滴下工法による表示装置の製造に最適である硬化性樹脂組成物、これを用いた表示素子用シール剤、表示素子用封口剤を提供する。
【解決手段】 表示素子のシール剤又は封口剤に用いる硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂と、光重合開始剤及び/又は硬化剤とを含有し、(メタ)アクリル基由来のカルボニル基と、エポキシ基及び/又はエポキシ基由来の水酸基を有し、硬化後において、元素組成中に占める窒素原子の比率が炭素原子、水素原子、窒素原子の合計量に対して3〜10原子%、体積抵抗値が1×1013Ω・cm以上、100kHzにおける誘電率が3以上、かつ、ガラス転移温度が80〜150℃である硬化性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示素子の製造において液晶表示素子用シール剤又は液晶表示素子用封口剤として用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少なく、かつ、貯蔵安定性に優れることから、特に滴下工法による表示装置の製造に最適である硬化性樹脂組成物、これを用いた表示素子用シール剤、表示素子用封口剤に関する。
従来、液晶表示セル等の液晶表示素子は、2枚の電極付き透明基板を、所定の間隔をおいて対向させ、その周囲をシール剤で封着してセルを形成し、その一部に設けられた液晶注入口からセル内に液晶を注入し、その液晶注入口をシール剤又は封口剤を用いて封止することにより作製されていた。
この方法では、まず、2枚の電極付き透明基板のいずれか一方に、スクリーン印刷により熱硬化性シール剤を用いた液晶注入口を設けたシールパターンを形成し、60〜100℃でプリベイクを行いシール剤中の溶剤を乾燥させる。次いで、スペーサーを挟んで2枚の基板を対向させてアライメントを行い貼り合わせ、110〜220℃で10〜90分間熱プレスを行いシール近傍のギャップを調整した後、オーブン中で110〜220℃で10〜120分間加熱しシール剤を本硬化させる。次いで、液晶注入口から液晶を注入し、最後に封口剤を用いて液晶注入口を封止して、液晶表示素子を作製していた。
しかし、この作製方法によると、熱歪により位置ズレ、ギャップのバラツキ、シール剤と基板との密着性の低下等が発生する;残留溶剤が熱膨張して気泡が発生しキャップのバラツキやシールパスが発生する;シール硬化時間が長い;プリベイクプロセスが煩雑;溶剤の揮発によりシール剤の使用可能時間が短い;液晶の注入に時間がかかる等の問題があった。とりわけ、近年の大型の液晶表示装置にあっては、液晶の注入に非常に時間がかかることが大きな問題となっていた。
これに対して、光硬化熱硬化併用型シール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶表示素子の製造方法が検討されている。滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、スクリーン印刷により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができる。今後はこの滴下工法が液晶表示装置の製造方法の主流となると期待されている。
従来工法に用いられるシール剤としては、例えば、特許文献1に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の部分(メタ)アクリル化物を主成分とする接着剤が開示されている。また、特許文献2〜5等に開示されており、特許文献6には、(メタ)アクリレートを主成分とする液晶シール剤が開示されている。
しかしながら、これらのシール剤は、液晶材料と近い極性値を示す傾向があり、両者は親和しやすい性質を持つ。したがって、これらのシール剤を用いて滴下工法によって組み立てられた液晶表示素子では、液晶中にシール剤の成分が溶出し、シール剤の周辺部に液晶の配向乱れが生じ、色むら等の表示不良を引き起こすことがある。とりわけ、滴下工法では未硬化のシール剤が直接液晶と接する工程があることから、かかるシール剤成分による液晶汚染が大きな問題となっていた。また、これらのうち熱硬化性成分を有するシール剤は、室温での貯蔵安定性が非常に悪く冷凍保存する必要であったが、解凍時に水分が混入したり、いったん解凍すると室温ですぐに増粘してしまうため短時間のうちに使用しなくてはならないという問題もあった。更に、光のみによって硬化するシール剤では、耐湿性に劣る、及び、遮光部下の硬化率が低いという問題もあった。
また、硬化後のシール剤に含まれる未反応の重合開始剤、硬化剤等の残存物;塩素等のイオン性不純物;シランカップリング剤も問題となっている。近年の液晶パネルはモバイル用途等の低消費電力化により、液晶の駆動電圧の低いもの(低電圧型液晶)を使用する傾向にある。この低電圧型液晶は、特に誘電率異方性が大きいため不純物を取り込みやすく、配向の乱れや電圧保持率の経時低下を引き起こすやすくなっている。すなわち、シール剤に含まれる未反応の重合開始剤、硬化後開始剤等の残存物;塩素等のイオン性不純物;シランカップリング剤が液晶に取り込まれることにより、配向の乱れや電圧保持率の経時低下を引き起こされることが問題になっていた。
これに対して、シール剤に含まれる重合開始剤量を減らしたり、重合開始剤を高分子量化したりするといった手法が検討されている。しかしながら、このような方法では、充分に液晶への溶出が押さえられないばかりでなく、反応性が低下し、シール剤等の硬化に多くの光量が必要になり、液晶に悪影響を与えるといった問題があった。
また、イオン性不純物に対しては、特許文献7等に、シール剤、封口剤及びその原料物質を水や有機溶媒で洗浄し、減圧乾燥させることにより、イオン性不純物を取り除く方法が開示されている。しかしながら、このような方法は作業が非常に煩雑であることに加え、洗浄されたシール剤又は封口剤の乾燥が不充分な場合には溶剤が残留したり、乾燥工程においての減圧時ゲル化等が起ったりするという問題があった。
シール剤又は封口剤に用いられる硬化性樹脂組成物は主剤と硬化剤を混合させて使用する二液性のタイプと、予め硬化剤が配合してある一液性のタイプとに大別される。二液タイプは室温で硬化させることができるが、硬化性樹脂(主剤)と硬化剤を別々に保管し、使用時にそれぞれを計量、混合させなければならないため保管や取り扱いが煩雑である。また可使時間が限られているために大量に混合しておくことができず、配合頻度が多くなり低効率である。一方、一液タイプでは、保存中に反応が起こってしまうことがあり、保存安定性の向上が望まれている。これに対して、例えば硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合には、古くからジシアンジアミドを硬化剤として用いた一液タイプ硬化性樹脂組成物が知られている。しかしながら、この場合硬化に160℃以上の高温度が必要であり、近年求められている低温短時間硬化には対応しきれなくなっている。また、低温短時間硬化可能な系として、特許文献8にはアミンとエポキシのアダクト体を硬化剤として用いる方法、特許文献9にはにイミダゾールをポリメタクリル酸メチルによりカプセル化させ硬化剤として用いる方法、特許文献10には粉末アミン化合物の表面をイソシアネートによって不活性化させる方法等が提案されている。しかしながら、これらの方法は非常に煩雑であり、未反応アミン等の液晶等への溶出が顕著であるという問題もあった。
特開平6−160872号公報 特開平1−243029号公報 特開平7−13173号公報 特開平7−13174号公報 特開平7−13175号公報 特開平7−13174号公報 特開平5−295087号公報 特開昭62−146915号公報 特開平2−292325号公報 特開昭59−59720号公報
本発明は、液晶表示素子の製造において液晶表示素子用シール剤又は液晶表示素子用封口剤として用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少なく、かつ、貯蔵安定性に優れることから、特に滴下工法による表示装置の製造に最適である硬化性樹脂組成物、これを用いた表示素子用シール剤、表示素子用封口剤を提供することを目的とする。
本発明は、表示素子のシール剤又は封口剤に用いる硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂と、光重合開始剤及び/又は硬化剤とを含有し、(メタ)アクリル基由来のカルボニル基と、エポキシ基及び/又はエポキシ基由来の水酸基を有し、硬化後において、元素組成中に占める窒素原子の比率が炭素原子、水素原子、窒素原子の合計量に対して3〜10原子%、体積抵抗値が1×1013Ω・cm以上、100kHzにおける誘電率が3以上、かつ、ガラス転移温度が80〜150℃である硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
第1の本発明の硬化性樹脂組成物は表示素子のシール剤又は封口剤に用いるものであり、硬化性樹脂と光重合開始剤及び/又は硬化剤とを含有し、硬化後において下述の性質を有するものである。かかる性質を有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物を液晶表示素子のシール剤又は封口剤として用いた場合に、基板との密着性に優れ、かつ、その成分が液晶中に流出して液晶を汚染し液晶の配向の乱れや電圧保持率の経時低下を引き起こしたりすることがない。
すなわち、第1の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において元素分析を行った場合に、窒素原子の比率が炭素原子、水素原子、窒素原子の合計量に対して3〜10原子%である。3原子%未満であると、シール剤又は封口剤として用いた場合に基板との密着性に劣り、10原子%を超えると、耐湿性に劣る。
なお、上記窒素原子の比率は、下記式(1)により求めることができる。
Figure 2006124698
第1の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において体積抵抗値が1×1013Ω・cm以上である。1×1013Ω・cm未満であると、本発明の硬化性樹脂組成物がイオン性の不純物を含有していることを意味し、シール剤又は封口剤として用いた場合に通電時にイオン性不純物が液晶中に溶出し、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となる。
第1の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において100kHzにおける誘電率(比誘電率)が3以上である。液晶の誘電率は、通常ε//(パラレル)が10、ε(垂直)が3.5程度であることから、誘電率が3未満であると、硬化性樹脂組成物が液晶中に溶出し、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となる。
第1の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後においてガラス転移温度が80〜150℃である。80℃未満であると、シール剤又は封口剤として用いた場合に耐湿性(耐高温高湿性)に劣り、150℃を超えると、剛直に過ぎ基板との密着性に劣る。
なお、上記ガラス転移温度は、DMA法により昇温速度5℃/分、周波数10Hzの条件で測定した値である。ただし、DMA法によるガラス転移点温度の測定には大量の試料を要することから、少量の試料しか得られない場合にはDSC法により昇温速度10℃/分の条件で測定を行うことが好ましい。一般に、DSC法によって測定したガラス転移点温度は、DMA法によって測定したガラス転移点温度よりも30℃程度低くなる。したがって、DSC法によってガラス転移点温度を測定する場合には、第1の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後においてガラス転移温度が50〜120℃である。
第1の本発明の硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル基由来のカルボニル基と、エポキシ基及び/又はエポキシ基由来の水酸基を有する。
第2の本発明は、表示素子のシール剤又は封口剤に用いる硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂と光重合性開始剤及び/又は硬化剤とを含有し、(メタ)アクリル基由来のカルボニル基と、エポキシ基及び/又はエポキシ基由来の水酸基を有し、アルキレンオキサイド骨格を有し、体積抵抗値が1013Ω・cm以上、100kHzにおける誘電率が3以上、かつ、ガラス転移温度が80〜150℃である硬化性樹脂組成物である。
第2の本発明の硬化性樹脂組成物において、硬化後の体積抵抗値、100kHzにおける誘電率、ガラス転移温度については第1の本発明の場合と同様である。
第2の本発明の硬化性樹脂組成物はアルキレンオキサイド骨格、好ましくはプロピレンオキサイド骨格を有する。これにより、硬化収縮が抑制され、基板との接着性に優れる。
第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において水との接触角が20〜80度であることが好ましい。20度未満であると、耐湿性に劣ることがあり、80度を超えると、硬化前に液晶に溶出することがある。
なお、上記水との接触角は、本発明の硬化性樹脂組成物をガラスプレート上に薄く均一に塗布し硬化させた後、この上に水滴を形成して、接触角測定装置(例えば、協和界面科学社製等)を用いて測定することができる。
また、第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前においても下述の性質を有するものであることが好ましい。滴下工法による液晶表示素子の製造方法では、硬化前のシール剤又は封口剤が液晶と接触することから、硬化前においても、第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物から液晶への成分の混入をできる限り抑制することが重要である。
第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前において抽出水イオン伝導度が50μS/cm以下であることが好ましい。50μS/cmを超えると、本発明の硬化性樹脂組成物がイオン性の不純物を含有していることを意味し、シール剤又は封口剤として用いた場合にイオン性不純物が液晶中に溶出し、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となる。より好ましくは30μS/cm以下である。
なお、上記抽出水イオン伝導度は、本発明の硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解させ、その溶液を純水で抽出し、その純水の伝導率を導電率計(例えば、堀場製作所社製ES−12等)を用いて測定することにより得ることができる。
また、第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前において比抵抗値が1.0×10〜1.0×1010Ω・cmであることが好ましい。1.0×10Ω・cm未満であると、シール剤又は封口剤としたときこれらが液晶に溶出した場合、液晶駆動電圧に影響を与え、表示ムラの原因となる。1.0×1010Ω・cmを超えると、液晶への溶出が大きくなる、及び、基板との密着性に劣ることがある。
また、硬化性樹脂組成物をシール剤又は封口剤として用いて滴下工法により液晶表示素子を製造する場合には、遮光部における比較的低架橋度の硬化性樹脂組成物からの液晶への成分流出が問題になることがあった。すなわち、液晶表示部の周辺部には液晶分子を駆動する電圧を供給するため金属薄膜からなる配線端子群が設けられており、この部分は基板の外側から照射した光が遮られることから遮光部と呼ばれている。滴下工法では、通常、2枚の基板に未硬化のシール部を設け液晶を挟み込んだ後シール部に紫外線等を照射してシール部を仮硬化し、更に加熱して本硬化することが行われる。しかし、上記遮光部ではシール部に充分な紫外線が照射されないことから、比較的低架橋度の硬化性樹脂組成物が残留してしまうことがある。
第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、遮光部を有する液晶表示素子のシール剤又は封口剤に用いた場合において、硬化反応後の遮光部のゲル分率が70%以上であり、かつ、ガラス転移温度が50℃以上であることが好ましい。ゲル分率が70%未満であると、硬化性樹脂組成物が液晶中に溶出しやすくなることがある。また、ガラス転移温度が50℃未満であると、耐湿性(耐高温高湿性)に劣ることがある。なお、この場合のガラス転移点温度はDMA法により測定したものであり、上述と同様の理由によりDSC法によってガラス転移点温度を測定する場合には、20℃以上であることが好ましい。
なお、上記ゲル分率は、第1又は第2の本発明の硬化性樹脂組成物を室温で24時間アセトンに浸漬し、浸漬前後の乾燥重量から求めることができる。
このような第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物の性能は、下述の硬化性樹脂を用い、これに第3の本発明の光重合開始剤、第4の本発明の硬化剤、第5の本発明の硬化性樹脂組成物、第6の本発明のシランカップリング剤を必要に応じて選択し、更に、必要に応じて第7の本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法により製造することにより実現することができる。
第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、水素結合性官能基価が3×10−3〜5×10−3mol/gであることが好ましい。このような硬化性樹脂組成物は、分子内で水素結合を形成することから、シール剤又は封口剤として用いた場合に硬化前・硬化後共に液晶に溶出しにくくなり液晶汚染を起こすことがない。
上記水素結合は、水素結合性を有する官能基又は残基等を有するもの、例えば、−OH基、−NH基、−NHR基(Rは、芳香族、脂肪族炭化水素又はこれらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONH基、−NHOH基等の官能基を有するもの、又は、分子内に−NHCO−結合、−NH−結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基を有する化合物を含有することにより形成される。また、上記水素結合性官能基価とは、上記水素結合性官能基を有する化合物が1種類からなる場合には、下記式(2)により算出される値である。
Figure 2006124698
また、上記水素結合性官能基価は、上記水素結合性官能基を有する化合物が複数の樹脂の混合物からなる場合には、各々の水素結合性官能基を有する化合物の単位重量あたりの含有量(重量分率)により分配して算出することができる。例えば、水素結合性官能基を有する化合物が、化合物A、化合物B、化合物Cから構成されている場合の水素結合性官能基価は、下記式(3)で表される。
Figure 2006124698
水素結合性官能基価が3×10−3mol/g未満であると、硬化性樹脂組成物成分が液晶へ溶出し液晶の配向を乱しやすくなり、5×10−3mol/gを超えると、硬化物の透湿性が大きくなり液晶表示素子内部へ水分が侵入しやすくなる。
上記水素結合性官能基を有する化合物としては、水素結合性官能基価が、単独で上記の範囲にあるものでも、また、2種類以上を混合することにより上記範囲に調整されるものであっても良い。すなわち、使用する水素結合性官能基を有する化合物の水素結合性官能基価の平均値が上記範囲にあればよい。
上記硬化性樹脂は、1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物を主成分とすることが好ましい。1分子内に((メタ)アクリル基又はエポキシ基のみを有する化合物を含有してもよい。このような化合物を硬化性樹脂として用いることにより、得られるシール剤又は封口剤は、光硬化と熱硬化との併用タイプとすることができ、予め光硬化で仮留めした後、熱硬化で完全に硬化させることにより、従来の熱硬化のシール剤又は封口剤と比較してギャップ精度が優れた液晶表示素子を作製することができる。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸のことをいう。
上記1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂、ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂等を部分(メタ)アクリル化したもの;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)アルキル型エポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルキル型エポキシ樹脂等が好適である。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型としてはフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニルノボラック型、トリスフェノールノボラック型、ジシクロペンタジエンノボラック型等が挙げられ、また、ビスフェノール型としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型、2,2’−ジアリルビスフェノールA型、ビスフェノールS型、水添ビスフェノール型、ポリオキシプロピレンビスフェノールA型等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の原料のうち市販されているものとしては、例えば、フェノールノボラック型としては、エピクロンN−740、エピクロンN−770、エピクロンN−775(以上、大日本インキ化学社製)、エピコート152、エピコート154(以上、ジャパンエポキシレジン社製)が挙げられ、クレゾールノボラック型としては、エピクロンN−660、エピクロンN−665、エピクロンN−670、エピクロンN−673、エピクロンN−680、エピクロンN−695、エピクロンN−665−EXP、エピクロンN−672−EXP(以上、大日本インキ化学社製)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の部分(メタ)アクリル化物は、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との配合量を適宜変更する事により所望のアクリル化率のエポキシ樹脂を得る事が可能である。
上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ樹脂は、例えば、以下の方法によって得られるものである。すなわち、ポリオールと2官能以上のイソシアネートとを反応させ、更にこれに水酸基を有する(メタ)アクリルモノマー及びグリシドールを反応させる方法;ポリオールを用いずに2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーやグリシドールを反応させる方法;イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートにグリシドールを反応させる方法等により作製することができる。具体的には、例えば、まずトリメチロールプロパン1モルとイソホロンジイソシアネート3モルとをスズ系触媒下で反応させ、得られた化合物中に残るイソシアネート基と、水酸基を有するアクリルモノマーであるヒドロキシエチルアクリレート及び水酸基を有するエポキシであるグリシドールとを反応させることにより作製することができる。
上記ポリオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
上記イソシアネートとしては、2官能以上であれば特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定されず、例えば、分子内に水酸基を1つ有するモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、分子内に水酸基を2つ以上有するモノマーとしては、ビスフェノールA変性エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物のエポキシ基と(メタ)アクリル基との配合比は、アクリル:エポキシが4:6〜9:1であることが好ましい。(メタ)アクリル基の当量比が4未満になると、光反応性が低下してしまい、ギャップ調整後にシール剤に光を照射しても初期の仮止め硬化がなくなってしまうばかりか、液晶への溶出が大きくなることがあり、9を超えると、接着性や透湿性の面で不充分となることがある。より好ましくは5:5〜8:2である。
上記1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物は、液晶との相溶性を低め汚染を無くす点で水酸基及び/又はウレタン結合を有することが好ましい。
上記1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物は、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、ビスフェノール骨格、ノボラック型エポキシ樹脂の部分(メタ)アクリル化物より選択される少なくとも1つの分子骨格を有することが好ましい。これにより、本発明の硬化性樹脂組成物の耐熱性が向上する。
上記1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物は、数平均分子量が300以上であることが好ましい。300未満であると液晶へ溶出し、配向を乱しやすくなることがある。また、数平均分子量は3000以下であることが好ましい。3000を超えると粘度の調整が困難になることがある。
上記1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物を硬化性樹脂として用いた場合、第1の本発明の硬化性樹脂組成物を硬化後に赤外線吸収スペクトルを測定すると、(メタ)アクリル基由来のカルボニル基の吸収ピークが認められる。また、エポキシ基及びエポキシ基由来の水酸基が存在している場合には、その吸収ピークも観察することができる。
上記光重合開始剤としては、光照射により硬化性化合物成分を重合させるものであれば特に限定されないが、下述の第3の本発明の光重合開始剤を用いれば、光重合開始剤の液晶への溶出を防止でき好ましい。
第3の本発明は、反応性二重結合と光反応開始部とを有する光重合開始剤である。第3の本発明の光重合開始剤は、第1又は第2の本発明の硬化性樹脂組成物に配合した場合に充分な反応性を付与することができるとともに、液晶中に溶出し液晶を汚染することがない。なかでも、反応性二重結合と水酸基及び/又はウレタン結合とを有するベンゾイン(エーテル)類化合物が好適である。なお、ベンゾイン(エーテル)類化合物とは、ベンゾイン類及びベンゾインエーテル類を表す。
上記反応性二重結合としては、アリル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリル基等の残基が挙げられるが、シール剤又は封口剤の光重合開始剤として用いる場合には、反応性の高さから(メタ)アクリル残基が好適である。かかる反応性二重結合を有することにより、シール剤又は封口剤に配合した際に耐候性が向上する。
上記ベンゾイン(エーテル)類化合物は、水酸基とウレタン結合とのどちらか1つを有していればよく、両方を有していてもよい。上記ベンゾイン(エーテル)類化合物が水酸基とウレタン結合のいずれも有していない場合には、シール剤又は封口剤に配合した際に、硬化前に液晶へ溶出してしまうことがある。
上記ベンゾイン(エーテル)類化合物において、上記反応性二重結合及び水酸基及び/又はウレタン結合はベンゾイン(エーテル)骨格のどの部分に位置していてもよいが、下記一般式(4)で表される分子骨格を有するものが好適である。かかる分子骨格を有する化合物を、光重合開始剤として用いれば、残存物が少なくなり、アウトガスの量を少なくすることができる。
Figure 2006124698
式中、Rは水素、炭素数4以下の脂肪族炭化水素残鎖を表す。Rが炭素数4を超える脂肪族炭化水素残鎖であると、光重合開始剤を配合したときの保存安定性は増加するものの、置換基の立体障害により反応性が低下することがある。
一般式(4)で表される分子骨格を有するベンゾイン(エーテル)類化合物としては、例えば、下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006124698
式中、Rは水素又は炭素数4以下の脂肪族炭化水素残基を表し、Xは炭素数13以下の2官能イソシアネート誘導体の残基を表し、Yは炭素数4以下の脂肪族炭化水素残基又は残基を構成する炭素と酸素の原子数比が3以下の残基を表す。Xが炭素数13を超える2官能イソシアネート誘導体の残基であると、液晶に溶解しやすくなることがあり、Yが炭素数4を超える脂肪族炭化水素基又は炭素と酸素の原子数比が3を超える残基であると、液晶に溶解しやすくなることがある。
光重合開始剤としては他の、例えば、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン等を単独又は2種以上を併用することができる。
上記光重合開始剤の添加量としては、硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満であると、光重合を開始する能力が不足して効果が得られないことがあり、10重量部を超えると、未反応の光重合開始剤が多く残ることがあり、耐候性が悪くなることがある。より好ましくは1〜5重量%である。
上記硬化剤は、加熱により硬化性樹脂組成物中のエポキシ基及び/又はアクリル基を反応させ、架橋させるためのものであり、硬化後の硬化性樹脂組成物の接着性、耐湿性を向上させる役割を有する。上記硬化剤としては、融点が100℃以上の潜在性硬化剤が好適に用いられる。融点が100℃以下の硬化剤を使用すると保存安定性が著しく悪くなることがある。
このような硬化剤としては、1,3−ビス[ヒドラジノカルボノエチル−5−イソプロピルヒダントイン]等のヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、グアニジン誘導体、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、N−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]尿素、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、N,N’−ビス(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)尿素、N,N’−(2−メチル−1−イミダゾリルエチル)−アジポアミド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、変性脂肪族ポリアミン、テトラヒドロ無水フタル酸、エチレングリコールービス(アンヒドロトリメリテート)等の酸無水物、各種アミンとエポキシ樹脂との付加生成物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上が用いられても良い。
上記1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物としてアクリル酸変性エポキシ樹脂を用いる場合には、アクリルエポキシ樹脂の反応性はその構造より大きく変化し、ウレタン変性エポキシ樹脂の場合にはその安定性から反応性の高い硬化剤を用いても保存安定性に優れるが、(メタ)アクリル酸変性エポキシ樹脂の場合には反応性が高く、融点が100℃以上の反応性の低い硬化剤が保存安定性の面より好ましい。
上記硬化剤の配合割合としては、硬化性化合物100重量部に対して、好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜50重量部である。上記範囲外では硬化物の接着性、耐薬品性が低下し、高温高湿動作試験での液晶の特性劣化が早まることがある。
また、上記硬化剤としては、下述の第4の本発明の被覆硬化剤が好適である。第4の本発明の被覆硬化剤を硬化剤として用いれば、一液タイプとしても非常に高い保存安定性が得られる。
第4の本発明は、固体硬化剤粒子の表面が微粒子により被覆されている被覆硬化剤である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、固体硬化剤の表面を、揮発性に乏しくかつ有機物への溶解性に乏しい微粒子によって被覆した被覆硬化剤を用いることによって、予め硬化剤を配合していても高い保存安定性を有する硬化性樹脂組成物が得られることを見いだした。
本明細書において上記固体硬化剤とは、室温では固体であり、加熱により溶融又は軟化して硬化性樹脂と反応を開始する硬化剤をいう。かかる固体硬化剤としては、融点又は軟化点が室温以上である硬化剤であれば特に限定されず、例えば、固体アミン化合物、フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、低温での反応性に優れていることから、固体アミン化合物が好ましい。
上記固形アミン化合物とは、分子中に1個以上の1〜3級のアミノ基を有する固体状の化合物のことをいい、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、2−メチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物が挙げられる。これらの固形アミン化合物のうち市販されているものとしては、例えば、アミキュアPN−23、アミキュアMY−24(以上、味の素ファインテクノ社製)等のアミンアダクト類、ジシアンジアミド等が挙げられる。
上記多価フェノール系化合物としては、例えば、ポリフェノール化合物、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。これらの多価フェノール系化合物のうち市販されているものとしては、例えば、エピキュア170、エピキュアYL6065、エピキュアMP402FPI(以上、ジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
上記酸無水物としては、例えば、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらの酸無水物のうち市販されているものとしては、例えば、エピキュアYH−306、YH−307(以上、ジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられる。
上記固体硬化剤粒子の平均粒子径としては特に限定されないが、0.1〜50μmであることが好ましい。0.1μm未満であると、微粒子によって効率よく表面を被覆できなくなることがあり、50μmを超えると、硬化性樹脂組成物に配合した際、保存時に硬化剤の沈殿が起こったり、硬化にムラが起こってしまったりすることがある。より好ましくは0.5〜10μmである。
上記固体硬化剤粒子の表面を被覆する微粒子としてはSi、Al、Ti、Fe、Mn、Mg等の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物やスチレンビーズ、微粒ゴム等からなるものが挙げられる。これらの微粒子は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記微粒子の平均粒子径は0.05μm以下であることが好ましい。0.05μmを超えると、効率よく固体硬化剤粒子の表面を被覆させられないことがある。より好ましくは0.03μm以下である。また、上記微粒子の粒子径は、固体硬化剤粒子の粒子径の10%以下であることが好ましい。10%以上であると、反応性の制御能力が充分に発揮されないことがある。
第4の本発明の被覆硬化剤における固体硬化剤粒子と微粒子との重量比率は50:1〜3:1であることが好ましい。固体硬化剤粒子の重量比率が50を超えると、反応性の制御能力が充分に発揮されないことがあり、3未満であると、微粒子が過剰に存在し、硬化機能が低下することがある。より好ましくは、20:1〜5:1である。
固体硬化剤粒子の表面を微粒子によって被覆させる方法としては特に限定されず、例えば、固体硬化剤粒子と微粒子とを市販のブレンダー等を用いて容器中で混ぜ、均一にする方法等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物における第4の本発明の被覆硬化剤の配合量としては、硬化性樹脂100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。1重量部未満であると、充分に硬化しないことがあり、100重量部を超えると、過剰の硬化剤が残存するために得られる硬化物の靭性等の諸物性が低下することがある。
第3の本発明の被覆硬化剤は、硬化性樹脂に配合して硬化性樹脂組成物とした際に、常温保存時は表面の微粒子によって固形硬化剤と硬化性樹脂との接触が極力抑えられるため高い保存安定性を示し、硬化時には温度をかけることにより固形硬化剤が液状となって微粒子に抑制されることなく硬化性樹脂と接触し、硬化反応が速やかに開始する。したがって、硬化性樹脂組成物の保存安定性が向上する。また、第4の本発明の被覆硬化剤は、特殊な反応を用いずに常温かつ短時間で極めて簡単に製造することが可能である。
第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤は、主にシール剤又は封口剤と液晶表示素子基板とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。また、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等のために配合される無機、有機のフィラーとシール剤又は封口剤を構成する樹脂との相互作用を向上させるために、フィラーの表面をシランカップリング剤で処理する方法に用いられることもある。
第5の本発明は、下記A群で示される少なくとも1つの官能基と下記B群で示される少なくとも1つの官能基とを有するシラン化合物と、第1又は第2の本発明の硬化性樹脂組成物とを加熱してなる硬化性樹脂組成物である。
Figure 2006124698
上記シラン化合物としては、具体的には例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
かかる構造のシラン化合物をシランカップリング剤として用いることにより第5の本発明の硬化性樹脂組成物は、基板との接着性を向上することができるとともに、B群で示される官能基を介してシラン化合物が硬化性樹脂と化学結合することにより、液晶中への流出を防止することができる。
第5の本発明の硬化性樹脂組成物では、シラン化合物配合後、加熱処理を行う。加熱処理により、上記シラン化合物が硬化性樹脂成分とB群で示される官能基を介して化学結合する。上記加熱処理については、反応の効率を上げるため樹脂混合物を攪拌することによって行うことが好ましい。攪拌の方法は特に限定されず、例えば、スターラーや攪拌用の羽をモーター等で回転させたりする等の一般的な方法が挙げられる。加熱処理の温度は30〜70℃が好ましい。30℃未満であると、シラン化合物と硬化性樹脂との反応が充分に起こらないことがあり、70℃を超えると、熱による硬化が始まってしまう恐れがある。より好ましくは40〜60℃である。加熱処理の時間は1〜2時間が好ましい。1時間未満であると、シラン化合物中の官能基がすべて反応せずに未反応物が残留してしまう恐れがある。
加熱処理後における上記B群で示される少なくとも1つの官能基の残存率は、10%以下である。10%を超えると、保存中に樹脂成分と反応して増粘したり、液晶中に流出して汚染したりする。なお、B群で示される少なくとも1つの官能基の残存率は、H−NMR測定によって、シラン化合物中の各種官能基のピークの強度と加熱処理後のピーク強度の相対比から求めらことができる。
第6の本発明は、スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物からなるシランカップリング剤である。イミダゾール構造は室温程度の保存温度では硬化性樹脂と殆ど反応性を示さないが、温度をかけることにより硬化性樹脂との反応性を発現することから、第6の本発明のシランカップリング剤を配合した第1又は第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、接着力、保存安定性に優れ、かつ、アウトガスの発生量が極めて少ない、液晶中に溶出しにくいといった液晶低汚染性能を併せ持つものとなる。
上記イミダゾールシラン化合物としては、例えば、下記一般式(6)又は下記一般式(7)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2006124698
式中、R〜Rはそれぞれ独立して炭化水素基、水素又はヒドロキシメチル基を表す。なかでもR及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜5の炭化水素基、水素、ヒドロキシメチル基等であることが好ましく、合成の容易性からより好ましくは、水素、メチル基、ビニル基、ヒドロキシメチル基等である。また、Rは、炭素数が1〜20の炭化水素基、水素、ヒドロキシメチル基であることが好ましく、合成の容易性からより好ましくは、水素、メチル基、エチル基、ウンデシル基、ヘプタデシル基、フェニル基等である。更に、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜3のアルキル基であることが好ましく、合成の容易性からより好ましくは、水素、メチル基、エチル基等である。
式中、−SP−は、エステル基、エーテル基、カーボーネート基、ウレタン基、アミド基、スルホン基、ケトン基、アルキレン基等が導入されてもよい直鎖アルキル基又は分岐アルキル基からなるスペーサー基を表す。なかでも、液晶中への溶出を低減化する点から、ウレタン基が導入されることが好ましい。また、液晶中への溶出を低減化する点から、スペーサー基中の水素原子の一部が高極性の宮能基で置換されていることが好ましく、このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。更に、−SP−で表されるスペーサー基は、スペーサー基の主鎖を構成する原子数が1〜20であることが好ましい。1未満であると、沸点が低下しアウトガスとなりやすく、液晶汚染を引き起こしやすくなることがあり、20を超えると、粘度が高くなってしまい扱いにくくなったり、アルコキシシラン当量が小さくなるため添加量を増加させないと効果が表れにくくなったりすることがある。より好ましくは3〜10である。
上記一般式(6)又は一般式(7)で表される化合物としては、具体的には、例えば、下記式(8)又は下記式(9)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2006124698
上記式(8)で表される化合物の製造方法としては、例えば、2,4−ジメチルイミダゾールとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを反応させる方法等が挙げられる。また、上記式(9)で表される化合物の製造方法としては、例えば、2−フェニル−3−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールとγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランとを反応させる方法等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物における第6の本発明のイミダゾールシラン化合物の配合量としては、硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜15重量部が好ましい。0.1重量部未満であると、充分な接着力が発揮されないことがあり、15重量部を超えると、貯蔵安定性が低下することがある。
第1及び第2の本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物、エポキシシラン化合物、及び、アミノシラン化合物からなる群より選択される少なくとも1つにより表面処理されたフィラーを含有することが好ましい。フィラーを配合することにより、応力分散効果による接着性の改善及び線膨張率の改善等の効果が得られる。更に、フィラーの表面を、スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物、エポキシシラン化合物、アミノシラン化合物等のシランカップリング剤で処理することにより、フィラーと硬化性樹脂との親和性を高めることができるとともに、これらのシランカップリング剤が液晶中に溶出して汚染することもない。
上記フィラーとしては特に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化珪素等の無機フィラー;ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、ゴム微粒子等の有機フィラーが挙げられる。
上記フィラーの形状としては、特に限定されず、球状、針状、板状等の定型物または非定型物が挙げられる。
上記フィラーに対するイミダゾールシラン化合物等の処理量としては、フィラー100重量部に対して、イミダゾールシラン0.05重量部〜5重量部であることが好ましい。0.05重量部未満であると、充分に表面処理されず硬化性樹脂との作用が不充分となることがあり、5重量部を超えると、余剰のイミダゾールシランによってフィラーが凝集してしまい、扱い難くなることがある。より好ましくは0.1〜1重量部である。
上記フィラーの表面処理方法としては特に限定されず、例えば、イミダゾールシラン化合物等を一定のpH(酸性)の水に溶解し加水分解させた溶液とフィラーを反応させる方法により得ることができる。
上記イミダゾールシラン化合物により表面処理されたフィラーの配合量は、硬化性樹脂100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましい。5重量部未満であると、充分な応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等の効果が発揮されないことがあり、100重量部を超えると、著しく粘度が上昇してしまうことがある。より好ましくは10〜50重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物からイオン性の不純物を除去し、上述の性能を満たすようにするためには、下述の第7の本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法により硬化性樹脂組成物を製造することが好ましい。
第7の本発明は、少なくとも、イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを接触させる工程1と、イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを分離する工程2とを有する硬化性樹脂組成物の製造方法である。
上記イオン吸着性固体とは、接着剤中に存在するイオン性不純物を吸着することが可能な物であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(10)で表される化合物からなるものが好ましい。
(Z)W・sHO (10)
式中、XはNa、K又はCa2+を表し、YはMg2+、Fe2+、Al3+、Fe3+、Ti4+又はMn2+を表し、ZはSi4+、Al3+を表し、WはOH、Cl、F、CO 2−を表す。m、n、p、q、r、sは0以上の整数を表す。また、m、n、p、q、r、sは、下記式(11)を満たすことが好ましい。
2q+ra=ma+na+pa (11)
式中、ra、ma、na、paは、それぞれr、m、n、pに上記一般式(10)のイオンの電荷をかけた値を表す。
上記イオン吸着性固体としては、アルミニウム元素を含有するものが好ましく、Al3+を含有するものがより好ましい。Al3+の含有量は、上記一般式(10)中のYとZを合わせたイオン原子数のうち、5〜80モル%がAl3+であることが好ましい。5モル%未満であると、イオン吸着量が低くなることがあり、80モル%を超えると、Al3+が、溶け出しやすくなることがある。
上記イオン吸着性固体としては、層状無機化合物を用いることが好ましい。上記層状無機化合物とは、一定の性質を持つ積層構造単位を有し、隙間構造を持つため、設計性や機能付与性が高く、また2次元的物性やイオン交換等の特異な性質や機能を有しているものである。
層状無機化合物を用いることによって、層状無機化合物の層間に存在する金属原子がイオン性不純物を捕捉し、また層状構造であるため一端捕捉吸着したイオン性不純物が再溶出しにくい。
上記層状無機化合物としては、層状珪酸塩鉱物であることが好ましい。
上記層状珪酸塩鉱物としては、例えば、ハイドロタルサイト族化合物、蛇紋石−カオリン族化合物、タルクーパイロフィライト族化合物、スメクタイト族化合物、バーミキュライト族化合物、雲母族、層間欠損型雲母化合物、脆雲母族化合物、緑泥石族化合物、混合層鉱物、硅藻土、ケイ酸アルミ等が挙げられ、好ましくは、ハイドロタルサイト族化合物、蛇紋石−カオリン族化合物である。なかでも、アルミニウム元素量が上記範囲にあるものがより好ましく、ハイドロタルサイト族化合物、蛇紋石−カオリン族化合物であってアルミニウム元素量が上記範囲にあるものが更に好ましい。上記層状珪酸塩鉱物は、天然に産出される物であってもよく、合成された物であってもよい。これらの層状珪酸塩鉱物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ハイドロタルサイト族化合物としては、下記一般式(12)で表されるものが好ましく、なかでも、MgAl(OH)16CO・4HOが好適である。
Mgn1Aln2(OH)r1(COr2・sHO(12)
式中、n1、n2、r1、r2は1以上の整数を表し、かつ、上記一般式(10)及び一般式(11)との関係においてn=n1+n2、r=r1+r2を満たす。
上記蛇紋石−カオリン族化合物としては、例えば、リザーダイト、バーチェリン、アメサイト、クロンステダイト、ネポーアイト、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロサイト(板状)、オーディナイト等が挙げられる。
上記タルクーパイロフィライト族化合物としては、例えば、タルク、ウィレムサイト、ケロライト、ピメライト、パイロフィラィライト、フェリパイロフィライト等が挙げられる。
上記スメクタイト族化合物としては、例えば、サポイナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト、スインホルダイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ボルコンスコアイト等が挙げられる。
上記バーミキュライト族化合物としては、例えば、3八面体型バーミキュライト、2八面体型バーミキュライト等が挙げられる。
上記雲母族化合物としては、例えば、黒雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、鱗雲母、ポリリシオナイト、白雲母、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、ソーダ雲母等が挙げられる。
上記層間欠損型雲母化合物としては、例えば、2八面体型(イライト、海緑石、ブラマーライト)、3八面体型(ウォンネサイト)等が挙げられる。
上記脆雲母族化合物としては、例えば、クリントナイト、木下、ビデ雲母、アナンダ石、真珠雲母等が挙げられる。
上記緑泥石族化合物としては、クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、ドンバサイト、クッケアイト、スドーアイト等が挙げられる。
上記混合層鉱物としては、例えば、コレンサイト、ハイドロバイオタイト、アリエッタイト、クルケアイト、レクトライト、トスダイト、ドジライト、ルニジャンライト、サライオタイト等が挙げられる。
上記イオン吸着性固体は、硬化性樹脂組成物と接触後に容易に分離できるように、粒状固体であることが好ましい。また、上記イオン吸着性固体の形状としては特に限定されず、その粒子径は回収するイオン性不純物との接触機会を多くする目的からも小さい方が好ましいが、濾過時に目詰まり等の問題となるので、2μm以上であることが好ましい。
第7の本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法は、上記イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを接触させる工程1と、上記イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを分離する工程2とを有する。
上記工程1において、上記イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを接触させる方法としては特に限定されず、例えば、攪拌装置、遊星式攪拌装置、プライマリーミキサー等を用いて混合する方法;イオン吸着性固体をカラムに充填しこれに硬化性樹脂組成物を通過させる方法等が挙げられる。また、工程1においては、イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを40〜100℃で加熱しながら接触させることが好ましい。40℃未満であると、イオン交換性固体の表面活性が上がりにくく、イオン性不純物が除去されにくいことがある。100℃を超えると、対象となる硬化性樹脂組成物が増粘してしまうことがある。より好ましくは60〜80℃である。なお、混合法によりイオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを接触させる場合には、イオン吸着性固体の添加量は、イオン性不純物の量や種類により適宜選択することができるが硬化性樹脂組成物100重量部に対して2〜20重量部であることが好ましい。2重量部未満であると、イオン性不純物を吸着する能力が不足して効果が得られないことがあり、20重量部を超えると、イオン吸着性固体が余って無駄になるだけでなく、混合物の粘度が高くなるために濾過に時間がかかることがある。より好ましくは7〜15重量部である。
上記工程2において、上記イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを分離する方法としては特に限定されず、例えば、濾過、遠心分離等が挙げられる。
第7の本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法においては、イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを混合後、イオン吸着性固体を回収し、精製することによってイオン性不純物を除去することが好ましい。イオン吸着性固体を回収せず、そのまま残留させると、精製したイオン性不純物が高温高湿等の耐候性試験で、再度溶出してくることがある。
第7の本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法により製造された硬化性樹脂組成物は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン、アクリル酸、メタアクリル酸等のイオン性不純物が取り除かれており、これらが液晶中に流出するのを防止することができる。
第8の本発明は、本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる表示素子用シール剤であり、第9の本発明は、本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる表示素子用封口剤である。
第8の本発明の表示素子用シール剤及び第9の本発明の表示素子用封口剤は、第1の本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなることから、保存安定性が極めて高く、また、硬化前、硬化後に係わらず液晶中に成分が流出して液晶を汚染することがない。
第8の本発明の表示素子用シール剤及び第9の本発明の表示素子用封口剤を用いて表示素子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板(無機ガラス又はプラスチック板)の何れか一方に、第7の本発明の液晶表示素子用シール剤を液晶注入口が解放された所定のパターンとなるように塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等が挙げられる。上記2枚の透明基板をスペーサーを介して対向させ、位置合わせを行いながら重ね合わせる。その後、透明基板のシール部に紫外線を照射して仮留めし、更に100〜200℃のオーブン中で1時間加熱硬化させて硬化を完了させる。最後に液晶注入口より液晶を注入し、第8の本発明の液晶表示素子用封口剤を用いて注入口を塞ぎ、液晶表示セルを作製する。
また、滴下工法による液晶表示素子の製造方法としては、例えば、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、第7の本発明の液晶表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。
かかる第8の本発明の表示素子用シール剤及び第9の本発明の表示素子用封口剤を用いてなる表示装置もまた、本発明の1つである。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、有機ELディスプレイの製造における封止缶の取り付け用のシール剤にも好適に用いることができる。図3に有機ELディスプレイの模式図を示した。
有機ELディスプレイでは水分や高エネルギー粒子に弱い低分子有機材料を使用した膜面で構成されていることから、成膜された膜面を覆うように金属、ガラス、金属蒸着フィルム等からなる封止缶が必要になる。このとき、封止缶の取り付けまでは真空中で行い、封止缶の取り付け時には封止缶内を窒素パージを行い、内外気圧差をなくすことにより大気の侵入を防止することで内部への水分の侵入を防止する。例えば、封止缶は、1枚のガラス基板に発光層の膜面を遮光するようにアルミ蒸着させたマスクを形成してシール剤のパターニング部分だけ紫外線が透過するようにして、貼り合わせてもよい。次に、ガラス基板と封止缶とをシール剤により接着し封止する。したがって、シール剤には透湿しないことが求められる。
次に有機ELディスプレイの製造方法について概説する。使用する基板は、TFT等のスイッチング素子の形成された膜面を持つ基板であり、最表面にスパッタによりITO膜が形成されている。まず、この基板に接合表面電位とホール層表面電位に整合させるための前処理として、UV光源からの真空紫外線によるオゾンを発生させ、ガラス基板に形成されたITO薄膜の透明電極表面を酸化させる。次に、発光表示層の形成について図1にもとづき説明する。ITO膜周辺をSiO膜で囲むようにCVDスパッタする。そしてこのSiO膜上にPI膜によりサブピクセルとなる発光表示層を囲む壁を設ける。次に、図2(1)をもとに有機発光層について説明する。この基板上に有機発光層を形成するが、この工程から発光層の封止までは大気にさらさずに処理することが必要であるので窒素雰囲気及び真空中で一連の操作を実施する。まず、ITO膜上に芳香族アミン系材料による正孔注入層の膜を形成する。その上にジアミン誘導体による正孔輸送層をインクジェット印刷により形成し加熱架橋させ、その上に発光層を同じくインクジェットにて形成し、窒素雰囲気中で加熱焼成する。この上に電子輸送発光材料であるAlq3を蒸着積層して、更に陰極としてAl−Liを蒸着により形成し成膜が完了する。次に、成膜層を大気から遮断するために封止缶を成膜基板に取り付ける封止工程に入る。まず、水分や他のエネルギーを遮断するための封止缶にシール剤をディスペンサーにより塗布する。このときの塗布条件は液晶パネル作製時と同じであり、封止缶の周辺部を囲うようにシール材を切目なく塗布する。この後シール剤に含まれる気泡の脱泡のため封止缶ごと真空度0.1Pa雰囲気下で真空脱泡し、その後貼り合わせ工程に入る。この工程は大気と遮断しながら封止を行うため、窒素雰囲気中で成膜基板の有機発光層を囲むように封止缶を貼り合わせ、有機ELディスプレイを作製する。
本発明によれば、液晶表示素子の製造において液晶表示素子用シール剤又は液晶表示素子用封口剤として用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少なく、かつ、貯蔵安定性に優れることから、特に滴下工法による表示装置の製造に最適である硬化性樹脂組成物、これを用いた表示素子用シール剤、表示素子用封口剤を提供できる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(A)アクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂の合成
液状のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製:D.E.N.431)1000重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸200重量部を空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、シリチンV85)10重量部が充填されたカラムで濾過し、アクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。
(B)アクリル酸変性プロピレンオキサイドビスフェノールAエポキシ樹脂の合成
液状のポリオキシアルキレンビスフェノールAジグリシジルエーテル(旭電化工業社製、EP4000S)1440重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸200重量部を空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、シリチンV85)10重量部が充填されたカラムで濾過し、アクリル酸変性プロピレンオキサイドビスフェノールAエポキシ樹脂(50%部分アクリル化物)を得た。
(C)ウレタン変性部分アクリル化物の合成
トリメチロールプロパン134重量部、重合開始剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させた。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート25.5重量部及びグリシドール111重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させた。得られた樹脂100重量部を、反応物中のイオン性不純物を吸着させる為にクオルツとカオリンの天然結合物(ホフマンミネラル社製、シリチンV85)10重量部が充填されたカラムで濾過し、ウレタン変性部分アクリル化物を得た。
(実施例1)
(A)で得られたアクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂40重量部、(C)で得られたウレタン変性部分アクリル化物20重量部、潜在性熱硬化剤としてヒドラジド系硬化剤(味の素ファインテクノ社製、アミキュアVDH)15重量部、光重合開始剤として2,2−ジエトキシアセトフェノン1重量部、シリカ粒子(平均粒径1.5μm)23重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部からなる硬化性樹脂組成物を均一な液となるように三本ロールを用いて充分に混合し、シール剤を得た。
また、透明電極付きの2枚の透明基板の一方に、得られたシール剤を長方形の枠を描く様にディスペンサーで塗布した。続いて、液晶(チッソ社製、JC−5004LA)の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、直ぐに他方の透明基板を重ねあわせてシール部に高圧水銀ランプを用い紫外線を50mW/cmで60秒照射した。その後、液晶アニールを120℃にて1時間行い熱硬化させ、液晶表示セルを作製した。
(実施例2)
(C)で得られたウレタン変性部分アクリル化物20重量部の代わりに、(B)で得られたプロピレンオキサイド部分アクリル化物20重量部を用い、ヒドラジド系硬化剤(味の素ファインテクノ社製、アミキュアVDH)15重量部の代わりに、ヒドラジド系硬化剤(日本ヒドラジン工業社製、NDH)15重量部を用いた以外は実施例1と同様にしてシール剤を得、これを用いて液晶表示セルを作製した。
(比較例1)
ウレタンアクリレート(共栄社化学社製、AH−600)35重量部、2−ヒドロキシブチルアクリレート15重量部、イソボニルアクリレート50重量部、ベンゾフェノン3重量部からなる硬化性樹脂組成物を均一な液となるように混合し、光硬化型のシール剤を得、これを用いて液晶表示セルを作製した。
(比較例2)
(A)においてカラムで濾過を行わなかったアクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂35重量部、2,2−ジエトキシアセトフェノン1重量部、ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828US)25重量部、ヒドラジド系硬化剤(日本ヒドラジン工業社製、NDH)15重量部、シリカ粒子(平均粒径1.5μm)23重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部からなる硬化性樹脂組成物を均一な液となるように三本ロールを用いて充分に混合し、シール剤を得、これを用いて液晶表示セルを作製した。
(比較例3)
ビスフェノールAエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828US)50重量部、ヒドラジド系硬化剤(日本ヒドラジン工業社製、NDH)25重量部からなる硬化性樹脂組成物を均一な液となるように三本ロールを用いて充分に混合し、シール剤を得、これを用いて液晶表示セルを作製した。
(比較例4)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ダウケミカル社製:D、E、N、431)1000重量部の代わりに、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、EX−214L)1000重量部を用いた以外は(A)と同様の方法によりアクリル酸変性部分アクリル化エポキシ樹脂(D)(50%部分アクリル化物)を作製した。
アクリル酸変性フェノールノボラックエポキシ樹脂40重量部とウレタン変性部分アクリル化物(C)20重量部の代わりに、アクリル酸変性部分アクリル化エポキシ樹脂(D)60重量部を用いた以外は実施例1と同様にして光硬化型のシール剤を得、これを用いて液晶表示セルを作製した。
実施例1、2及び比較例1〜4で作製したシール剤について、下記の方法により硬化前の抽出水イオン伝導度、比抵抗値、ゲル分率、ガラス転移温度、硬化後の窒素原子比率、体積抵抗値、100kHzにおける誘電率、ガラス転移温度、水との接触角、貯蔵安定性を評価し、また、得られた液晶表示セルについて下記の方法により色むらを評価した。
結果を表1に示した。
(硬化前のシール剤の抽出水イオン伝導度)
硬化前のシール剤12.5gをトルエン12.5gに溶解させ、これに純水50gを加え、30分攪拌し、遠心分離により水層部を取り出し、イオン伝導率計(堀場製作所社製:ES−12)で測定した。
(硬化前のシール剤の比抵抗値)
硬化前のシール剤について、標準温度湿度状態(20℃、65%RH)で、比抵抗測定器(東洋テクニカ社製、SR−6517型)と液体用電極(安藤電気社製、LE−21型)を用いて比抵抗値の測定を行った。
(シール剤のゲル分率)
120℃1時間熱処理を行い硬化させたシール剤を室温で24時間アセトンに浸漬し、浸漬前後の乾燥重量を求め、下記式により算出した。
ゲル分率(%)=浸漬後乾燥重量/浸漬前乾燥重量×100
(シール剤のガラス転移温度)
DMA法により、昇温速度5℃/分、周波数10Hzの条件にて測定を行った。測定は、遮光部と非遮光部とで行った。
(硬化後のシール剤の窒素原子比率)
硬化後のシール剤について元素分析を行い、上記式(1)により窒素原子比率(%)を求めた。
(硬化後のシール剤の体積抵抗値)
クロム蒸着ガラス基板のクロム蒸着面上にシール剤を薄く均一に塗布した後紫外線硬化して、大きさ85mm×85mm、厚さ3mの紫外線硬化物を形成し、この上にクロム蒸着面を紫外線硬化物側にしてクロム蒸着ガラス基板を載せて荷重をかけて、120℃のホットプレート上で1時間加熱圧着し、試験サンプルを作製した。この試験サンプルにおけるシール剤の面積(S(cm))、対向するクロム蒸着ガラス基板のクロム蒸着面間に定電圧発生装置(ケンウッド社製、PA36−2AレギュレーテッドDCパワーサプライ)を用いて一定の電圧(V(V))を印加し、膜に流れる電圧(A(A))を電流計(アドバンテスト社製、R644Cデジタルマルチメーター)にて測定した。シール剤の膜圧(T(cm))としたとき、下記式により体積抵抗率(Ω・cm)を求めた。
体積抵抗率(Ω・cm)=(V・S)/(A・T)
ただし、印加電圧は直流500V、導電時間は1分間とした。
(硬化後のシール剤の100kHzにおける誘電率)
ガラスプレート上にシール剤を薄く均一に塗布した後硬化して、大きさ60mm×60mm、厚さ3mの試験片を作製した。ASTM D150に準じる方法により、電極非接触法(間隙法)により、誘電体測定用電極(横河HP社製、HP16451B)、LCRメータ(ヒューレットパッカード社製、4284A)を用いて周波数100kHzで測定した。
(硬化後のシール剤の水との接触角)
ガラスプレート上にシール剤を薄く均一に塗布した後硬化して試験片を作製した。この試験片上に水の液滴を形成し、接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いて測定を行った。
(貯蔵安定性評価)
硬化前のシール剤を室温で1週間保存後にE型粘度計で測定した粘度が、初期の粘度の2倍以内である場合を○、2倍以上である場合を×として評価を行った。
(色むら評価)
得られた液晶表示セルについて、60℃、95%RH、500時間放置前後に、シール部周辺の液晶に生じる色むらを目視で観察し、◎(色むらが全くない)、○(色むらが微かにある)、△(色むらが少しある)、×(色むらがかなりある)の4段階で液晶汚染性の評価を行った。なお、ここでは1区につきサンプル数5で行った。
Figure 2006124698
(実施例3)
(ベンゾインエーテル類化合物Aの合成)
0.4gの水酸化カリウムを5mLのエタノールに溶解し、これにジメチルスルホキシドを加え200mLの溶液とした。この溶液にベンゾインメチルエーテル30g(0.13mol)を溶解し、パラホルムアルデヒド5g(0.16mol)を加え窒素気流下40℃3時間反応させた。その後室温まで冷却し、希塩酸で中和した後、120mLの飽和食塩水を加えた。この溶液を、酢酸エチルを用いて抽出し、この抽出液を3回飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、ジエチルエーテルにて再結晶した。こうしてα−メチロールベンゾインメチルエーテル(MBME)を得た。
得られたMBMEに等モル量のトリレンジイソシアネート、触媒量のジブチルジラウリル錫を、60℃1時間反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレートをMBMEと等モル量加え、更に60℃1時間反応させて以下に示すベンゾインエーテル類化合物Aを得た。
Figure 2006124698
(実施例4)
(ベンゾインエーテル類化合物Bの合成)
パラホルムアルデヒドの代わりにアクリル酸を用いたこと以外はベンゾインエーテル類化合物Aを製造したときと同様にしてα−2(−カルボキシエチル)ベンゾインメチルエーテル(BAE−COH)を得た。得られたBAE−COHに等モル量のグリシジルメタクリレートを添加し、触媒量のトリエチルアミンを加え、80℃4時間反応させて、以下に示すベンゾインエーテル類化合物Bを得た。
Figure 2006124698
(実施例5)
樹脂として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセルUCB社製:EB3700)30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製:EPICRON850CRP)50重量部、重合開始剤としてベンゾインエーテル類化合物A2重量部を遊星式攪拌装置にて攪拌した。その後、球状シリカ15重量部(アドマファイン社製、SO−C1)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール3重量部(四国化成社製)を、3本ロールにて分散させてシール剤を得た。
得られたシール剤を用いて実施例1と同様の方法により液晶表示セルを作製した。
(実施例6)
重合開始剤としてベンゾインエーテル類化合物A2重量部の代わりに、重合開始剤としてベンゾインエーテル類化合物B2重量部を用いた以外は実施例5と同様にしてシール剤を得、これを用いて液晶表示セルを作製した。
(比較例7〜9)
重合開始剤として、ベンゾインエーテル類化合物Aの代わりに、比較例7では高分子量型の開始剤オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン](lamberti社製、KIP−150)、比較例8ではベンゾインイソプロピルエーテル(黒金化成社製、ソルバスロンBIPE)、比較例9では水酸基を有する開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IR−1173)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、シール剤及び液晶表示パネルの製造を行った。
(比較例10)
重合開始剤として、ベンゾインエーテル類化合物B2の代わりに水酸基を有する開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IR−1173)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、シール剤及び液晶表示パネルの製造を行った。
実施例5、6及び比較例7〜10で作製した液晶表示パネルについて、下記の方法に従って、電圧保持率の評価と液晶への溶出の評価とを行った。
結果を表2に示した。
(液晶表示パネルの電圧保持率の評価)
得られた液晶表示パネルの電圧保持率の測定を東陽テクニカ製VHR−1Aを用いて、作成直後と信頼性試験(60℃/95RH%/1000時間)後について測定を行った。
(液晶への溶出の評価)
得られた液晶表示パネルを分解し、液晶部をGC−MSにより測定して解析した結果、液晶由来のピーク以外は観察されなかったものを○、重合開始剤由来ピークが観察されたものを×とした。
Figure 2006124698
(実施例7)
シール剤用樹脂として、部分アクリレート化エポキシ樹脂(ダイセルユーシービー社製、UVAC1561)40重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、エピクロン830S)17重量部、充填剤として球状シリカ(アドマファイン社製、SO−C1)15重量部、エポキシ熱硬化剤としてフジキュアーFXR−1030(富士化成工業社製)15重量部、光ラジカル開始剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3重量部、イミダゾールシラン化合物としてIM−1000(株式会社ジャパンエナジー社製)5重量部からなる組成物を均一な液となるように3本ロールを用いて充分に混合し、シール剤を得た。
得られたシール剤を用いて実施例1と同様の方法により液晶表示セルを作製した。
(実施例8)
(1)イミダゾールシラン化合物の合成
2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールを3倍量の脱水トリヒドロキシフラン(THF)に溶解させ、触媒量のジブチルジラウリル錫を加えた溶液にアルゴン雰囲気下、60℃加熱還流させながら等モル量のγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランを1時間かけて滴下させた後、更に1時間60℃で加熱還流し、得られた溶液からTHFをエバポレートによって除去することにより下記のイミダゾールシラン化合物を得た。
Figure 2006124698
(2)シール剤の製造及び液晶セルの作成
IM−1000の代わりに、得られたイミダゾールシラン化合物を配合したこと以外は実施例7と同様にしてシール剤の製造及び液晶表示セルの作製を行った。
(実施例9)
フィラーとして球状シリカ(アドマファイン社製、SO−C1)100重量部、イミダゾールシラン化合物(ジャパンエナジー社製、IS−1000)0.2重量部、エタノール100重量部を混合し、60℃で1時間撹拌後揮発成分を除去し、更に減圧下100℃で1時間乾燥させることによりイミダゾールシラン処理フィラーを得た。
球状シリカ(SO−C1)の代わりに、得られたイミダゾールシラン化合物処理フィラーを用いたこと以外は実施例7と同様にしてシール剤の製造及び液晶表示セルの作製を行った。
(比較例11)
IM−1000の代わりに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを配合したこと以外は実施例7と同様にしてシール剤の製造及び液晶表示セルの作製を行った。
(比較例12)
IM−1000の代わりに、γ−アミノプロピルトリメトキシシランを配合したこと以外は実施例7と同様にしてシール剤の製造及び液晶表示セルの作製を行った。
(比較例13)
イミダゾール化合物(IM−1000)を配合しなかったこと以外は実施例7と同様にしてシール剤の製造及び液晶セルの作製を行った。
実施例7〜9及び比較例9〜11で作製したシール剤について、上述の方法により保存安定性、硬化前の比抵抗値を評価した。また、下記の方法に従って、接着性の評価を行った。更に、得られた液晶表示セルについて上記の方法により色むらを評価した。
結果を表3に示した。
(接着性の評価)
シール剤100重量部に対して平均粒径5μmのポリマービーズ(積水化学工業社製、ミクロパールSP)3重量部を遊星式撹拌装置によって分散させ均一な液とし、得られた極微量のシール剤をスライドガラスの中央部に取り、他のスライドガラスをその上に重ね合わせてシール剤を押し広げ、紫外線を50mW/cmで60秒照射した。その後120℃1時間の加熱を行い、接着試験片を得た。この試験片についてテンションゲージを用いて接着強度を測定した。
Figure 2006124698
(実施例10)
シール剤用樹脂として、部分アクリル化エポキシ樹脂(ダイセルUCB社製、UVAC1561)25重量部、(C)で作製したウレタン変性部分アクリル化エポキシ樹脂40重量部、アミノシラン化合物(信越化学工業社製、KBM603)1重量部を混合攪拌した。この樹脂組成物を40℃で1時間及び60℃で1時間攪拌加熱処理を行い、シール剤を得た。
次いで、充填剤として球状シリカ(アドマテックス社製、SO−C1)17重量部、エポキシ熱硬化剤としてフジキュアーFXR−1030(富士化成工業社製)14重量部、光ラジカル開始剤として実施例3で作製したベンゾインエーテル類化合物A3重量部を添加し、均一な液となるように3本ロールを用いて充分に混合した。
加熱処理の終わったシール剤は、加熱直後に粘度測定を行った後、−10℃で保存し、1日後及び1週間後に粘度測定を行った。この結果を表4に示した。
得られたシール剤についてH−NMR測定を行い、NHピーク(1.25ppm)の積分値から反応後のNH基の残存率を求めたところ、その値は1%未満であった。このシール剤を液晶(チッソ社製、5004LA)中で120℃、1時間の加熱を行った後、この液晶の電圧保持率(60Hz)を測定したところ、90%という良好な値を示し、液晶汚染性の少ないシール剤であることがわかった。
(比較例14)
加熱処理を省略した以外は実施例10と同様にしてシール剤を得た。
得られたシール剤は配合直後、−10℃で保存し、1日後及び1週間後に粘度測定を行った。結果を表4に示した。
得られたシール剤についてH−NMR測定を行い、NHピーク(1.25ppm)の積分値から反応後のNH基の残存率を求めたところ、その値は25%であった。このシール剤を液晶(チッソ社製、5004LA)中で120℃、1時間の加熱を行った後、この液晶の電圧保持率(60Hz)を測定したところ、66%という低い値となり、残存しているNH基により液晶が汚染されていることがわかった。
Figure 2006124698
(実施例11)
(1)硬化剤の表面処理
2−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業社製、C11Z:平均粒径5μm)100重量部にアエロジル#200(日本アエロジル社製、平均粒径0.03μm)10重量部を加えミニブレンダーにより3分間撹拌を行い、白色粉末を得た(被覆硬化剤1)。
また、被覆硬化剤1のアエロジル#200の量を50重量部に代えて被覆硬化剤2を得た。
また、被覆硬化剤1のアエロジル#200の量を1重量部に代えて被覆硬化剤3を得た
また、被覆硬化剤1の被覆粒子をSE5050(アドマファイン社製、平均粒径1.5μm)20重量部に代えて被覆硬化剤4を得た。
(2)硬化性樹脂組成物の製造
硬化性樹脂として、部分アクリレート化エポキシ樹脂(ダイセルユーシービー社製、UVAC1561)70重量部、(C)で作製したウレタン変性部分アクリル化物30重量部、充填剤として球状シリカ(アドマファイン社製、SO−C1)20重量部、硬化剤として被覆硬化剤1を6.6重量部、光ラジカル発生剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)3重量部からなる組成物を均一な液となるように3本ロールを用いて充分に混合し、硬化性樹脂組成物1を得た。
(実施例12)
被覆硬化剤1を6.6重量部に代えて、被覆硬化剤2を9重量部用いた以外は実施例11と同様にして、硬化性樹脂組成物2を得た。
(実施例13)
被覆硬化剤1を6.6重量部に代えて、被覆硬化剤3を6.06重量部用いた以外は実施例11と同様にして、硬化性樹脂組成物3を得た。
(実施例14)
被覆硬化剤1を6.6重量部に代えて、被覆硬化剤4を6.6重量部用いた以外は実施例11と同様にして、硬化性樹脂組成物4を得た。
(比較例15)
被覆硬化剤1を6.6重量部に代えて、被覆処理を行っていない2−ウンデシルイミダゾールを6重量部用いた以外は実施例11と同様にして、硬化性樹脂組成物5を得た。
実施例11〜14及び比較例15で作製した硬化性樹脂組成物を以下の方法により保存安定性及び硬化性を評価した。
結果を表5に示した。
(保存安定性評価)
得られたそれぞれの硬化性樹脂組成物の23℃50%RH下での保管における粘度が配合直後の2倍の粘度になるまでの日数を測定した。
(硬化性評価)
120℃1時間の硬化により得られた硬化物を大過剰のTHFに浸漬し、23℃下で24時間震とうさせ、80℃で3時間乾燥させたものの重量の値(g)を浸漬前の重量の値(g)で割った値によって評価した。なお、得られた硬化物を透過型電子顕微鏡で観察した結果、実施例11〜14のものでは硬化剤表面被覆剤が円を描くような形で硬化物中に存在していることが確認された。
Figure 2006124698
(実施例15)
(1)封口剤の調製
アクリル樹脂として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセルUCB社製、EB3700)50重量部、ウレタンアクリレート(ダイセルUCB社製、EB8402)38重量部、ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、更に、光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IR−651)2重量部を、70℃に加熱し、光開始剤を溶解させた後、遊星式攪拌装置にて攪拌し、液晶パネル用の封口剤を調製した。
(2)封口剤の精製
得られた封口剤100重量部に対して、ハイドロタルサイト族化合物(協和化学社製、キョーワード1000)12.5重量部を添加し、60℃で30分攪拌後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製濾紙を用いて、濾過し精製した。
(3)液晶パネルの作製
ITO薄膜等の透明電極が形成された2枚のガラス基板の一方に、液晶封入口を残して、熱硬化性エポキシ樹脂(シール剤)を用いて、スクリーン印刷によりシール部を印刷した。次に80℃に加熱して3分間保持して、予備乾燥と基板への融着を行なった後、室温に戻した。次に対極側のガラス基板を合わせ、130℃に加熱した熱プレスで10分圧着し、シール剤を硬化させた。
こうして得た空パネルを真空吸引した後、液晶(メルク社製、ZL11636)を注入し、注入口を上記で調製した封口剤を用いて、封止し、高圧水銀ランプを用い紫外線を50mW/cmで60秒照射した。その後、液晶アニールを120℃1時間行い、液晶表示セルを作製した。
(実施例16)
ハイドロタルサイト族化合物を使用する代わりに、カオリナイト族化合物(ENGELHARD社製、ASP−400P)を用いて封口剤の精製を行った以外は、実施例15と同様にして液晶パネルを作製した。
(実施例17)
ハイドロタルサイト族化合物を使用する代わりに、硅藻土(ラジオライト#200)を用いて封口剤の精製を行った以外は、実施例15と同様にして液晶パネルを作製した。
(比較例16)
ハイドロタルサイト族化合物を使用する代わりに、シリカ(アドマファイン社製、SO−C5)を用いて封口剤の精製を行った以外は、実施例15と同様にして液晶パネルを作製した。
(比較例17)
ハイドロタルサイト族化合物を使用せず、封口剤の精製を行わなかったこと以外は、実施例15と同様にして液晶パネルを作製した。
(比較例18)
実施例15で得られた精製前の封口剤を、ハイドロタルサイト族化合物を使用せず、以下のように精製を行った。
上記封口剤12.5gをトルエン12.5gに溶解させトルエン溶液とし、これに純水50gを添加し30分間攪拌した。これを遠心分離によりトルエン溶液部と水層部とに分離し、水層部のみ取り出した。その後、トルエン溶液を80℃に加熱し、133.3Pa下で30分攪拌した以外は、実施例15と同様にして液晶パネルを作製した。
(実施例18)
アクリル樹脂として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセルUCB社製、EB3700)50重量部と、(B)で作製したプロピオンオキサイド部分アクリル化物30重量部とを遊星式攪拌装置にて攪拌した。
得られた組成物80重量部に対して、ハイドロタルサイト族化合物(協和化学社製、キョウワード1000)10重量部を添加し、60℃で30分攪拌後、PTFE製濾紙を用いて濾過した。
その後、球状シリカ15重量部(アドマファイン社製、SO−C1)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール3重量部(四国化成社製)、光開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IR−651)2重量部を、70℃に加熱し、光開始剤を溶解させた後、3本ロールにて分散させ、シール剤を作製した。
得られたシール剤を用いて、実施例1と同様の方法により液晶表示パネルを作製した。
(比較例19)
実施例18で得られた精製前のシール剤を、比較例16の方法に準じて水洗し、精製した以外は、実施例18と同様にして液晶表示パネルを作製した。
実施例15〜18及び比較例16〜19で作製した封口剤又はシール剤について下記の方法により硬化前の抽出水イオン伝導率測定を測定し、また、得られた液晶パネルについて電圧保持率及び色むらについて評価を行った。
結果を表6に示した。
(抽出水イオン伝導率測定)
得られた硬化前の封口剤12.5gをトルエン12.5gに溶解させ、これに純水50gを加え、30分攪拌し、遠心分離により水層部を取り出し、イオン伝導率計(堀場製作所社製:ES−12)で測定した。
(電圧保持率の測定)
得られた液晶パネルの動作試験をパネル作成直後及び信頼性試験(60℃、95RH%において1000時間)後に、電圧保持率の測定により行った。
また、信頼性試験後の液晶パネルの液晶封入口付近での色むらの評価を目視観察により行った。
Figure 2006124698
本発明によれば、液晶表示素子の製造において液晶表示素子用シール剤又は液晶表示素子用封口剤として用いた場合に、その成分が液晶材料中に溶け出して液晶汚染を引き起こすことがないため液晶表示において色むらが少なく、かつ、貯蔵安定性に優れることから、特に滴下工法による表示装置の製造に最適である硬化性樹脂組成物、これを用いた表示素子用シール剤、表示素子用封口剤を提供できる。
有機ELディスプレイの製造方法における発光表示層の形成を説明する模式図である。 有機ELディスプレイの製造方法における有機発光層の形成を説明する模式図である。 有機ELディスプレイの構造を示す模式図である。

Claims (37)

  1. 表示素子のシール剤又は封口剤に用いる硬化性樹脂組成物であって、
    硬化性樹脂と、光重合開始剤及び硬化剤とを含有し、
    (メタ)アクリル基由来のカルボニル基と、エポキシ基及び/又はエポキシ基由来の水酸基を有し、
    硬化後において、元素組成中に占める窒素原子の比率が炭素原子、水素原子、窒素原子の合計量に対して3〜10原子%、体積抵抗値が1×1013Ω・cm以上、100kHzにおける誘電率が3以上、かつ、ガラス転移温度が80〜150℃である
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 表示素子のシール剤又は封口剤に用いる硬化性樹脂組成物であって、
    硬化性樹脂と光重合性開始剤及び/又は硬化剤とを含有し、
    (メタ)アクリル基由来のカルボニル基と、エポキシ基及び/又はエポキシ基由来の水酸基を有し、アルキレンオキサイド骨格を有し、
    体積抵抗値が1013Ω・cm以上、100kHzにおける誘電率が3以上、かつ、ガラス転移温度が80〜150℃である
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  3. 硬化後において、水との接触角が20〜80度であることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 硬化前において、抽出水イオン伝導度が50μS/cm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化前において、比抵抗値が1.0×10〜1.0×1010Ω・cmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 遮光部を有する表示素子のシール剤又は封口剤に用いた場合において、硬化反応後の遮光部のゲル分率が70%以上であり、かつ、ガラス転移温度が50℃以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 水素結合性官能基価が3×10−3〜5×10−3mol/gであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 硬化性樹脂は、1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物は、水酸基及び/又はウレタン結合を有することを特徴とする請求項8記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物を用いてなる硬化性樹脂が、(メタ)アクリル基とエポキシ基との当量比が4:6〜9:1であることを特徴とする請求項8又は9記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物を用いてなる硬化性樹脂は、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、ビスフェノール骨格、ノボラック型エポキシ樹脂の部分(メタ)アクリル化物より選択される少なくとも1つの分子骨格を有することを特徴とする請求項8、9又は10記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 1分子内に(メタ)アクリル基とエポキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する化合物は、数平均分子量が300以上であることを特徴とする請求項8、9、10又は11記載の硬化性樹脂組成物。
  13. 反応性二重結合と光反応開始部とを有することを特徴とする光重合開始剤。
  14. 反応性二重結合と水酸基及び/又はウレタン結合とを有するベンゾイン(エーテル)類化合物であることを特徴とする請求項13記載の光重合開始剤。
  15. 反応性二重結合は、(メタ)アクリル酸残基であることを特徴とする請求項13又は14記載の光重合開始剤。
  16. ベンゾイン(エーテル)類化合物は、下記一般式(4)で表される分子骨格を有することを特徴とする請求項14又は15記載の光重合開始剤。
    Figure 2006124698
    式中、Rは水素又は炭素数4以下の脂肪族炭化水素残鎖を表す。
  17. 光重合開始剤は、請求項13、14、15又は16記載の光重合開始剤であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の硬化性樹脂組成物。
  18. 硬化剤は、融点が100℃以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は17記載の硬化性樹脂組成物。
  19. 固体硬化剤粒子の表面が微粒子により被覆されていることを特徴とする被覆硬化剤。
  20. 固体硬化剤粒子と微粒子との重量比が50:1〜3:1であることを特徴とする請求項19記載の被覆硬化剤。
  21. 微粒子の粒子径は、固体硬化剤粒子の粒子径の10%以下であることを特徴とする請求項19又は20記載の被覆硬化剤。
  22. 固体硬化剤粒子は、アミン化合物からなることを特徴とする請求項19、20又は21記載の被覆硬化剤。
  23. 硬化剤は、請求項18、19、20又は21記載の被覆硬化剤であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17又は18記載の硬化性樹脂組成物。
  24. 下記A群で示される少なくとも1つの官能基と下記B群で示される少なくとも1つの官能基とを有するシラン化合物と、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17、18又は23記載の硬化性樹脂組成物とを加熱してなる硬化性樹脂組成物であって、
    加熱後の下記B群で示される少なくとも1つの官能基の残存率が10%以下である
    ことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
    Figure 2006124698
  25. シラン化合物は、NH基及び/又はNH基を有することを特徴とする請求項24記載の硬化性樹脂組成物。
  26. スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物からなることを特徴とするシランカップリング剤。
  27. 更に、請求項26記載のシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17、18、23、24又は25記載の硬化性樹脂組成物。
  28. 更に、スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物、エポキシシラン化合物、及び、アミノシラン化合物からなる群より選択される少なくとも1つにより表面処理されたフィラーを含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17、18、23、24、25又は27記載の硬化性樹脂組成物。
  29. 少なくとも、
    イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを接触させる工程1と、
    イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを分離する工程2とを
    有することを特徴とする硬化性樹脂組成物の製造方法。
  30. 工程1において、イオン吸着性固体と硬化性樹脂組成物とを40〜100℃で加熱しながら接触させることを特徴とする請求項29記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  31. イオン吸着性固体は、アルミニウムを含有することを特徴とする請求項29又は30記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  32. イオン吸着性固体は、層状無機化合物からなることを特徴とする請求項29、30又は31記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  33. 層状無機化合物は、ハイドロタルサイト族化合物であることを特徴とする請求項32記載の硬化性樹脂組成物の製造方法。
  34. 請求項29、30、31、32又は33記載の硬化性樹脂組成物の製造方法により製造されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17、18、23、24、25又は27記載の硬化性樹脂組成物。
  35. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17、18、23、24、25、27又は34記載の硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする表示素子用シール剤。
  36. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、17、18、23、24、25、27又は34記載の硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする表示素子用封口剤。
  37. 請求項35記載の表示素子用シール剤及び/又は請求項36記載の表示素子用封口剤を用いてなることを特徴とする表示装置。
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