JPWO2008023462A1 - 骨模型,及び骨充填剤又は骨充填剤の製造方法 - Google Patents

骨模型,及び骨充填剤又は骨充填剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は,骨欠損部を充填するための骨充填剤を精度よく製造することができる骨充填剤の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明の骨充填剤の製造方法は,基本的には,骨模型を製造する骨模型製造工程(ステップ1)と;前記骨模型製造工程で得られた骨模型の骨欠損部に,像形成剤を充填する像形成剤充填工程(ステップ2)と;前記像形成剤充填工程で骨模型の骨欠損部に充填した像形成剤に基づいて,骨欠損部に充填する骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程(ステップ3)と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。【選択図】 図1

Description

本発明は,骨模型,オーダーメードの骨充填剤又はオーダーメードの骨充填剤の製造方法に関する。より具体的に説明すると,本発明は,等高線やます目(番地図)など,模型の起伏や非対称性などを一目瞭然とした骨模型に関する。本発明はまた,患者の骨をCT撮影又はMRIなどでデジタル化し,そのデジタル化情報に基づいて骨模型を製造し,施術者がその模型に像形成剤を充填・設置して骨充填剤像を作成し,その作成した像を用いて,再度デジタル化し,そのデジタル情報に基づいて骨充填剤を製造することにより,骨充填剤などを精度よく製造できる骨充填剤の製造方法に関する。
交通事故などにより骨に欠損を生じた患者(骨欠損症の患者)を治療するために,その欠損部を人工骨で埋める手術が整形外科などの分野にて行われている。また,外科医療において,骨腫瘍などに罹患した病変部を除去することがある。この際に除去した病変部を修復するために,骨欠損部に骨充填剤を補填する治療が行われている。この治療の際にも,骨欠損部の形状に一致した骨充填剤を得ることが望まれる。
例えば特開平7−284501号公報(下記特許文献1)には,X線CT又はMRIの断層イメージ(断層画像)を用いて,人工骨頭等の内固定部材の挿入部位(例えば欠損部)を三次元データとして取得し,その三次元データを用いて該挿入部位の三次元イメージを表示しつつ,内固定部材の画像をその画面上にて移動させて,手術前に,部材の挿入部位に対する適合性をシミュレーションできるようにした技術が開示されている。
特公平6−2137号公報(下記特許文献2)には,X線CTあるいはMRIの断層イメージを用いて,人工骨頭等の内固定部材の挿入部位を三次元データとして取得し,その三次元データを切削装置に出力することにより,挿入部位のレプリカ(模型)を作製する装置が開示されている。
特開2003−126124号公報(下記特許文献3)には,「三次元測定装置と,三次元加工機とを接続した骨補填材加工システムであって,上記三次元測定装置にて取得した骨欠損部の三次元形状データに基づいて,上記三次元加工機で骨補填材を加工することを特徴とする骨補填材加工システム」が開示されている(請求項1)。
特開2001−92950号公報(下記特許文献4)には,「人体断層画像に基づいて骨部欠損部を埋める補填用人工骨を設計するシステムにおいて,互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて,予め定められた濃度レベルの画素領域を,骨部候補領域として抽出する骨部候補領域抽出手段と,その骨部候補領域のうち,最終的に骨部領域として使用するもの(以下,確定骨部領域という)を選択する領域選択手段と,その確定骨部領域に基づいて,最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と,各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて,前記骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段を備えたことを特徴とする補填用人工骨設計システム」が開示されている(請求項1)。
特許第2,930,420号公報(下記特許文献5)には,「無固体形態製作法を用いてポリマー材料の連続層を形成するポリマーマトリックス形成工程を包含する,医用デバイス製造方法」が開示されている(請求項1)。
また,国際公開2005−011536号パンフレット(下記特許文献6)には,RP装置を用いた粉末積層法により人工骨を製造する方法が開示されている。
このように,骨欠損部位の形状に関する情報を何らかの形で得て,コンピュータシミュレーションにより欠損部位の形状を想定し,その想定した欠損部位の形状に基づいて,骨充填剤の形状を決定するという方法が知られている。しかしながら,このような方法は,あくまでコンピュータによる推測に基づいて骨充填剤の形状が決定されるものである。したがって,このような方法に基づいて製造された骨充填剤は,実際の欠損部位の形状と一致することも多々あるものの,医師などの術者のノウハウを盛り込んだものとすることは難しい。また,術者としても,自らの実感がわかないまま,骨充填剤の形状が決定されてしまうので,実際の施術の様子などをイメージしにくいという問題がある。
一方,特開平9−154865号公報(特許文献7)には,「骨欠損部補填材の形状を決定するための骨体の形状を模した治具であって,その骨体部の表面に沿う形状に,透明材または半透明材によって形成したこと,を特徴とする骨欠損部補填材の形状決定用治具」(請求項1),そのような「形状決定用治具を骨体部の欠損部に当てて,その形状決定用治具を透かしてその欠損部またはその欠損部を含む周辺形状との適合状態を観察して最も適合した形状決定用治具を選択し,対応する骨欠損部補填材を決定すること,を特徴とする骨欠損部補填材の形状決定方法」(請求項7)や,その骨欠損部補填材の形状決定方法により「選択した形状決定用治具を前記欠損部を覆う適合位置に当付けて,この形状決定用治具の表面に,前記欠損部の輪郭に沿って罫書し,この形状決定用治具の罫書に基づいて,対応する骨欠損部補填材を切削して前記欠損部を補填する骨欠損部補填材を形成すること,を特徴とする骨欠損部補填材の形状決定方法」(請求項8)が開示されている。
特開平9−154865号公報(特許文献7)に開示される発明は,要約すると,透明又は半透明の骨欠損部補填材の形状決定用治具を欠損部に当てて,複数パターンの治具から最適なものを選択し,その上で,最適な透明治具を通して欠損部の形状を推定し,罫書きした上で(段落[0013]),治具を切削することで,欠損部の形状にフィットした骨充填剤プレートを得る(段落[0014])というものである。
この方法によれば,施術者の知見が骨充填剤に反映される可能性が高い。しかしながら,この方法では,あくまで透明治具を欠損部に当てて,欠損部の形状を推測するというものである。そのため,骨充填剤が欠損部にフィットした形状を有するかどうかは,施術者の経験によるところが多く,必ずしも適切な形状を有する骨充填剤を得ることができないという問題がある。
また,骨変形症の患者などは,特定部位の骨の形状が歪み,骨の対称性が悪くなるという問題がある。したがって,対象性を回復するために,骨充填剤をへこんだ部位に設置することが行われている。しかしながら,適切な形状を有する骨充填剤を製造することは困難であった。
また,従来の形成外科や美容整形の分野では,骨を削ることで,所望の骨格を達成する技術や,シリコン,セルライトなどを特定部位に挿入して,顔の形状を変えるなどの手術が行われていた。しかしながら,シリコンなどの非自己物質を埋入すると,多くの免疫抑制剤を必要とするほか,永久に非自己であるから,定期的に検査をしなければならないという問題がある。その他,シリコンなどが生体になじまず炎症を起こすなどの問題があった。
骨充填剤は,一般に強度が弱いので,外から衝撃や強い力が加わると,破損するという問題がある。また,骨充填剤は,患者の骨そのものではないので,いったん骨欠損部などに骨充填剤を埋入しても,外から力が加わると,外れる場合があるという問題がある。
骨変形症などの患者では,目視により骨が変形していることは把握できるものの,どの程度骨が変形しているかについての客観的な情報は入手しがたいという問題がある。また,特に骨変形症の治療や,形成外科,又は美容整形などにおいては,施術前後でどの程度外見(例えば,顔の表面の起伏など)が変化したかについて客観的にわからないという問題がある。
特開平7−284501号公報 特公平6−2137号公報 特開2003−126124号公報 特開2001−92950号公報 特許第2,930,420号公報 国際公開2005−011536号パンフレット 特開平9−154865号公報
本発明は,患者などの骨の歪みを把握できる骨模型を提供することを目的とする。
本発明は,骨欠損部を充填するための骨充填剤を精度よく製造することができる骨充填剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は,骨の歪み(対象性の悪さなど)を効果的に補正できる骨充填剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は,骨充填剤を外的衝撃から防ぎ,骨充填剤を形状をも把握した上で,適切な形状を有するギプスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は,骨変形症などの患者について,その特定部位の外見がどの程度歪んでいるか客観的に示すことができる外見模型を提供することを目的とする。本発明はまた,外科等の手術において,施術前後でどの程度外見が変化したかを示すことができる外見模型,及びその製造方法を提供することを目的とする。
従来,エピテーゼは,製作者の経験に基づいて製造されていたので,製作者の熟練度により,得られるエピテーゼに大きな差が生じていた。また,左右非対称なエピテーゼが得られ,外見上なじまないものができることもあった。さらに,例えば,顔のある部分のエピテーゼを製造する場合,その部位に印象剤を当てるなどして型取りをしていたので,患者にとって苦痛であるという問題もあった。そこで,本発明は,対称性に優れ,また患者にとって苦痛の少ないエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は,骨充填剤を製造する際に,完全にアナログ情報に基づいて製造を行えば,施術者の経験に基づいて行うより他なく,施術者の熟練度によって,得られる骨充填剤の精度が大きく変化してしまう。また,完全にデジタル情報のみに基づいて,骨充填剤を製造すれば,施術者の経験に基づく知見が得られる骨充填剤に反映されにくい。そこで,デジタル情報に基づいて行うことが好ましい工程については,デジタル情報に基づいて行い,一方,施術者の知見を反映させやすい環境を整えた上で,施術者の知見をアナログ的に反映させることで,極めて精度の高い骨充填剤を製造できるという知見に基づくものである。
本発明は,特に患者の骨模型に,等高線,又はます目模様を描画することで,患者の骨の歪みや非対称性を把握できるという知見に基づく。更に本発明は,その把握した歪みを補うように,像形成剤を設け,その像形成剤に基づいて,適切な骨充填剤また骨充填剤を得ることにより,適切な形状を有する骨充填剤また骨充填剤を得ることができるという知見に基づくものである。
本発明は,また基本的には,患者のオーダーメードの骨模型を製造し,施術者がその模型を用いて欠損部に像形成剤を充填することにより骨充填剤像を作成し,その作製した骨充填剤像を用いて,骨充填剤を製造することにより,骨充填剤を精度よく製造できる骨充填剤の製造方法に関する。
本発明はまた,患者の骨をCT撮影などでデジタル化し,そのデジタル化情報に基づいて例えば等高線又はます目が描画された骨模型を製造し,施術者がその模型に描画された線に基づいて,患者の骨の歪みを把握し,歪みを補うように像形成剤を充填・設置して骨充填剤像を作成し,その作製した像を用いて,再度デジタル化し,そのデジタル情報に基づいて骨充填剤を製造することにより,最適な形状を有する骨充填剤を得ることができるという知見に基づくものである。
本発明の第1の側面は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する骨のデジタル情報取得工程と;前記骨のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位における骨の模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で製造された骨模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。すなわち,模型形成や,像形成後に骨充填剤を製造するといった,デジタルで行うことが好ましい工程については,デジタル情報に基づいて行い,一方,後述するように骨模型に等高線を描画するなど施術者の知見を反映させやすい環境を整えた上で,施術者により像形成剤を設置させることにより施術者の知見をアナログ的に反映させることで,極めて精度の高い骨充填剤を製造できる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記患者の特定部位を撮影する工程は,CTスキャン又はMRIにより前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する工程であり;前記像形成剤デジタル情報取得工程は,CTスキャン又はMRIにより像形成剤のデジタル情報を取得する工程である;上記に記載の骨充填剤の製造方法である。すなわち,CTスキャン又はMRIによれば,容易に骨又は像形成剤を含む像の断面図を複数得ることができ,そのCT撮影された像又はMRI像を用いれば,コンピュータなどにより容易に骨又は像形成剤の3次元デジタル情報を得ることができる。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記患者の特定部位は,患者の頭蓋骨,下顎部,上顎部,四肢,又は骨盤のいずれかを含む部位である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。これらの部位は,左右対称な部分を含むので,容易に歪みを把握することができる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。等高線やます目が描画されていれば,施術者が得られた骨模型に基づいて,像形成剤を設置する際に,骨の歪みや,くぼみなどを極めて容易に理解でき,その結果,精度の高い骨充填剤を得ることができることとなる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,石膏を含有する骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程は,ラピッドプロトタイプ法,射出成形法,切削による積層造形方法,又はマシニングセンタを有する加工装置を用いた成形法により骨模型を製造する工程である,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。骨模型が石膏を主成分として含有するものであれば,ラピッドプロトタイプ法;CTスキャン又はMRIなどで撮影された骨のデジタル情報に基づいて金型を設計し,その金型を用いて骨模型を製造する射出成形法;得られた骨のデジタル情報に基づいて,マシニングセンタを有する加工装置を用いた成形法;得られた骨のデジタル情報に基づいて,多軸ボール盤を備えるNC制御可能な切削装置を用いた成形法などにより容易に骨模型を製造できる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,カルシウム系物質とポリビニルアルコール樹脂を含有し,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合される骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。このような骨模型であれば,特に射出成形により,極めて迅速でかつ精度高く骨模型を得ることができるので,その結果,骨充填剤を精度よく製造できることとなる。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,α型半水石膏とポリビニルアルコール樹脂を含有する組成物を原料とし,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合される,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤は,ワックス又はプラスティックを全重量の90重量%以上含有する;上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤は,ワックスを全重量の90重量%以上含有する; 上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤は,ワックスを全重量の90重量%以上含有し,ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する;上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。すなわち,このような組成を有する骨模型と,像形成剤を用いることで,CTスキャン又はMRIなどにより撮影を行った場合に,骨模型部分と,像形成剤部分とを精度良く分析できるので,その結果骨充填剤を精度よく製造できることとなる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨充填剤を製造する工程である,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。ラピッドプロトタイプ法によれば,オーダーメードの骨充填剤を迅速かつ精度よく製造できることとなる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程で得られる骨充填剤は,水酸アパタイト,炭酸アパタイト,フッ素アパタイト,塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウム,リン酸四カルシウム,リン酸八カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれらの溶媒和物のうちいずれか1種又は2種以上を用いて製造される骨充填剤である,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。例えば,射出成形法によりこれらの原料を用いて骨充填剤を製造すると,成形時に相変化が起こり,好ましい特性を有する骨充填剤へと変化することとなる。
本発明の第2の側面は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型に関する。このような等高線やます目(格子状の線)が描画されているので,骨模型の歪みを容易に把握できる。この側面の好ましい態様は,前記骨模型は,患者の特定部分の骨形状を再現したものである上記に記載の骨模型に関する。また,別の好ましい態様は,前記骨模型は,患者の頭蓋骨の骨形状を再現したものである上記に記載の骨模型に関する。すなわち,骨模型が,特定の患者のオーダーメードなものであれば,その患者の骨の歪みを正確に把握できることとなる。よって,そのような骨模型は,骨充填剤の形状を適切に把握する上でも効果的であり,更には適切な形状を有する骨充填剤を得ることができることとなる。
本発明の第3の側面は,骨模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で得られた骨模型の骨欠損部に,像形成剤を充填する像形成剤充填工程と;前記像形成剤充填工程で骨模型の骨欠損部に充填した像形成剤に基づいて,骨欠損部に充填する骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する工程である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。ラピッドプロトタイプ法によれば,たとえば,骨の一部が欠損した患者の骨模型を迅速かつ精度よく作成することができる。本発明の第3の側面の好ましい態様は,骨模型製造工程で得られる前記骨模型が,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。すなわち,そのような骨模型を用いれば患者の骨の歪みを適切に把握できるので,患者に対して適切な骨充填剤を製造できることとなる。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は, 前記骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかが異なるものである上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。像形成剤が,骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかの点で異なるので,骨模型に像形成剤をつけたままの状態で,像形成剤の形状を分析できる。これにより,像形成剤を骨模型から取り外す際に像形成剤の形状が変わることや,像形成剤の一部が骨模型に残留することに起因して,骨欠損部の正確な形状が把握できなくなるという事態を防止できる。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は, ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。ルチル型の酸化チタンを含有することで,像形成剤と骨模型とをX線CTなどで区別できる。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は,ワックスを全重量の90重量%以上含有し,ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する;上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。ルチル型の酸化チタンを含有することで,像形成剤と骨模型とをX線CTなどで区別できる。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨充填剤を製造する工程である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。すなわち,X線CTなどにより,骨欠損部の形状に関する情報を入手できるので,ラピッドプロトタイプ法により骨充填剤を製造することで,迅速かつ正確に骨充填剤を製造できる。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダーを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダーを取り除き脱脂体を得るための脱バインダー(脱脂)工程と;前記脱バインダー工程後の脱脂体を加熱し,焼結し焼結体を得るための焼結工程と;を含む上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。X線CTなどにより,骨欠損部の形状に関する情報を入手できるので,この形状情報を利用して金型を作成し,正確な形状を有する骨充填剤を製造できる。
本発明の第3の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程で得られた骨充填剤に,骨・軟骨形成促進剤,関節疾患治療剤,骨・軟骨疾患予防・治療剤,骨再生剤,骨吸収抑制物質,血管新生促進剤,抗菌剤,抗生物質又は抗癌剤を含浸又は塗布する工程を含む上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。骨充填剤に,所定の薬剤を含浸又は塗布するので,様々な薬効を有する骨充填剤を提供できることとなる。
本発明の第4の側面は,骨模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で得られた骨模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で骨模型に設置した像形成剤に基づいて,骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。なお,像形成剤設置工程は,好ましくは,前記骨模型製造工程で得られた骨模型を用いて,骨模型の非対称性を補正するように像形成剤を設置する工程である。そのようにすることで,骨のゆがみを補強できる骨充填剤を得ることができることとなる。
本発明の第4の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で得られる前記骨模型が,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である上記に記載の骨充填剤の製造方法に関する。
本発明の第4の側面の好ましい態様は,前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤が, 前記骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかが異なるものである上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第4の側面の好ましい態様は,骨模型が,骨欠損症の患者,骨変形症の患者又は美容整形の患者の骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法である。
本発明の第5の側面は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する骨のデジタル情報取得工程と;前記骨のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位における骨の模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で製造された骨模型に骨充填剤用の像形成剤を設置するとともに,前記骨充填剤用の像形成剤とは異なる素材を含むギプス形成用の像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,骨充填剤及びギプスを製造する骨充填剤及びギプスの製造工程と;を含む骨充填剤及びギプスの製造方法に関する。
この側面に係る骨充填剤及びギプスの製造方法によれば,患部にふさわしい骨充填剤を得ることができるとともに,その骨充填剤を適切に支持できるギプスをも設計できることとなる。ギプス形成用の像形成剤が,骨充填剤用の像形成剤とは異なる素材を含むので,CTスキャンやMRIなどで撮影する際に,それらの形状を区別することができる。
本発明の第5の側面の好ましい態様は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報,及び前記骨の周囲の軟組織に関するデジタル情報を取得する骨及び軟組織のデジタル情報取得工程と;前記骨及び軟組織のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位におけるギプスを製造する,ギプスの製造方法に関する。前記軟組織のデジタル情報に基づいて,ギプスを製造するので,患者にふさわしい形状を有するオーダーメードのギプスを製造できることとなる。なお,本発明の骨充填剤及びギプスの製造方法,又はギプスの製造方法については,上記した骨充填剤の製造方法における好ましい態様,構成を適宜採用することができる。
本発明の第6の側面は,等高線,又はます目模様が描画された体のある部位の外見模型に関する。等高線又はます目が描画されているので,特定部位の歪みを客観的に把握できる。特に施術前後の外見模型を比較すると,施術によってどの程度変化したか客観的に把握することができる。
本発明の第6の側面の好ましい態様は,前記外見模型は,患者の特定部分の体表を再現したものである上記に記載の外見模型に関する。患者の特定部位としては,先に述べた部位などをあげることができ,具体的には,顔,頭,四肢,胸,下腹部,腰,などがあげられる。
本発明の第6の側面の好ましい態様は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位における外表の各部位について基準面からの高度を求めるか,又は前記特定部位における外表の各部位について基準点からの平面上のずれを求める描画情報取得工程と,ラピッドプロトタイプ法により前記患者の特定部位における前記特定部位における外表模型を製造するとともに,前記描画情報取得工程で得られた高度又は平面上のずれに基づいて,等高線又はます目模様を描画する外見模型製造工程と;を含む外見模型の製造方法に関する。このような製造方法によれば,外見模型を適切に製造できる。施術前後の外見模型を得ることができるので,外科等の手術において,施術前後でどの程度外見が変化したかを示すことができる。
本発明の第7の側面は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位の3次元デジタル像を得る3次元デジタル像取得工程と;前記3次元デジタル像取得工程で得られた前記特定部位の3次元デジタル像に基づいて,エピテーゼ像データを取得するエピテーゼ像データ取得工程と;前記エピテーゼ像データ取得工程で得られたエピテーゼ像データを用いてラピッドプロトタイプ法によりエピテーゼを製造する工程と;を含む,エピテーゼの製造方法に関する。
本発明の第7の側面の好ましい態様は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位の3次元デジタル像を得る3次元デジタル像取得工程と;前記3次元デジタル像取得工程で得られた前記特定部位の3次元デジタル像に基づいて,
前記特定部位の外見模型を製造する外見模型製造工程と;前記外見模型製造工程で得られた外見模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,エピテーゼ像を製造するための鋳型に関するデジタルデータを得る鋳型情報取得工程と;前記鋳型情報取得工程で得られた鋳型を製造する鋳型製造工程と;を含むエピテーゼ製造用鋳型の製造方法に関する。たとえば,左右対称な部位の一部が欠損等した場合では残されている部位から欠損した部位の形状を想定するので,対称性に優れるエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することができる。本発明によれば,CTスキャンなどで特定部位の形状情報を取得し,その情報に従ってエピテーゼをコンピュータ上で設計するので,印象剤などを患者に直接当てる必要がなくなり低侵襲なエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することができる。
本発明によれば,骨模型に等高線又はます目が描画されるので,患者などの骨の歪みを把握できる骨模型を提供できる。
本発明によれば,患者の骨模型を用いて骨充填剤を設計するので,骨欠損部を充填するための骨充填剤を精度よく製造することができる骨充填剤の製造方法を提供できる。特に,患者の骨模型に等高線又はます目が描画されたものを用いた場合は,患者の骨の欠損部や歪みを適切に把握できるので,骨欠損部を充填するための骨充填剤を精度よく製造することができる。
本発明によれば,患者の骨模型を用いて骨充填剤を設計するので,骨の歪み(対象性の悪さなど)を効果的に補正できる骨充填剤の製造方法を提供できる。特に,患者の骨模型に等高線又はます目が描画されたものを用いた場合は,患者の骨の歪みを適切に把握できるので,骨欠損部を充填するための骨充填剤を精度よく製造することができる。
本発明によれば,骨充填剤を外的衝撃から防ぎ,骨充填剤を形状をも把握した上で,適切な形状を有するギプスの製造方法を提供することができる。
本発明によれば,骨変形症などの患者について,その特定部位の外見がどの程度歪んでいるか客観的に示すことができる外見模型を提供することができる。本発明によれば,施術前後の外見模型を得ることができるので,外科等の手術において,施術前後でどの程度外見が変化したかを示すことができる外見模型,及びその製造方法を提供することができる。
本発明によれば,たとえば,左右対称な部位の一部が欠損等した場合では残されている部位から欠損した部位の形状を想定するので,対称性に優れるエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することができる。本発明によれば,CTスキャンなどで特定部位の形状情報を取得し,その情報に従ってエピテーゼをコンピュータ上で設計するので,印象剤などを患者に直接当てる必要がなくなり低侵襲なエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することができる。
図1は,本発明の骨充填剤の製造方法の基本工程を示すフロー例である。 図2は,本実施例における各ステップの概略図である。 図3は,CTにより撮影された図面に変るCT画像を示す図である。図3(a)は,頬部のCT画像を示す図であり,図3(b)は下顎部のCT画像を示す図である。 図4は,実施例において得られた骨模型の図面に替わる写真及び3次元画像である。図4(a)は,得られた石膏モデル(骨模型)を示し,図4(b)骨模型の側面図を示し,図4(c)は等高線を描画した骨模型の設計図を示す。 図5は,骨模型に像形成剤を設置した後の図面に替わる写真である。図5(a)は正面図,図5(b)は側面図,図5(c)は下面図である。 図6は,像形成剤を設置した骨模型の図面に替わるCT画像である。図6(a)は,頬部のCT画像を示す図であり,図6(b)は下顎部のCT画像を示す図である。 図7は,本実施例により得られた骨充填剤の図面に替わる写真である。図7(a)は,頬部に埋められる骨充填剤を示す図であり,図7(b)はその裏面を示す図である。図7(c)は下顎部に埋められる骨充填剤を示す図であり,図7(d)はその裏面を示す図である。 図8は,実施例で得られた骨充填剤を用いて施術した患者の起伏を示す顔面の等高線が描画された石膏像(外見模型)の図面に替わる写真である。図8(a)は施術前,図8(b)は施術後のものである。
符号の説明
1 骨模型
2 骨欠損部
3 像形成剤
4 骨充填剤
1.骨充填剤の製造方法
本発明の第1の側面は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する骨のデジタル情報取得工程と;前記骨のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位における骨の模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で製造された骨模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。すなわち,模型形成や,像形成後に骨充填剤を製造するといった,デジタルで行うことが好ましい工程については,デジタル情報に基づいて行い,一方,後述するように骨模型に等高線を描画するなど施術者の知見を反映させやすい環境を整えた上で,施術者により像形成剤を設置させることにより施術者の知見をアナログ的に反映させることで,極めて精度の高い骨充填剤を製造できる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記患者の特定部位を撮影する工程は,CTスキャン又はMRIにより前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する工程であり;前記像形成剤デジタル情報取得工程は,CTスキャン又はMRIにより像形成剤のデジタル情報を取得する工程である;上記に記載の骨充填剤の製造方法である。すなわち,CTスキャン又はMRIによれば,容易に骨又は像形成剤を含む像の断面図を複数得ることができ,そのCT撮影された像又はMRI像を用いれば,コンピュータなどにより容易に骨又は像形成剤の3次元デジタル情報を得ることができる。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記患者の特定部位は,患者の頭蓋骨,下顎部,上顎部,四肢,又は骨盤のいずれかを含む部位である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。これらの部位は,左右対称な部分を含むので,容易に歪みを把握することができる。CTスキャン又はMRIに用いられるCT撮影装置として,公知のものを適宜用いることができる。なお,CT撮影装置は,コンピュータと接続されているものが好ましい。そして,コンピュータは,CT装置やモニタと接続するための入出力装置,CT又はMRIによる画像データを記憶する記憶部のほか,各種演算を行う制御部(演算部),及びCT又はMRIによる画像データをデジタル化し,複数のCT画像データ又はMRI画像データに基づいて,撮影された対象部位の三次元デジタルデータを取得するためのプログラムが記憶されるメインメモリ,及び各種装置を接続するバスを有していれば良い。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。等高線やます目が描画されていれば,施術者が得られた骨模型に基づいて,像形成剤を設置する際に,骨の歪みや,くぼみなどを極めて容易に理解でき,その結果,精度の高い骨充填剤を得ることができることとなる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,石膏を含有する骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程は,ラピッドプロトタイプ法,射出成形法,切削による積層造形方法,又はマシニングセンタを有する加工装置を用いた成形法により骨模型を製造する工程である,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。骨模型が石膏を主成分として含有するものであれば,ラピッドプロトタイプ法;CTスキャン又はMRIなどで撮影された骨のデジタル情報に基づいて金型を設計し,その金型を用いて骨模型を製造する射出成形法;得られた骨のデジタル情報に基づいて,マシニングセンタを有する加工装置を用いた成形法;得られた骨のデジタル情報に基づいて,多軸ボール盤を備えるNC制御可能な切削装置を用いた成形法などにより容易に骨模型を製造できる。切削による積層造形方法については,例えば,特開平8−290347号公報に開示される「三次元形状を複数の階層に分割し、各階層ごとに成形し、順次これらを積層することにより三次元形状物を造形する方法において、三次元の数値データに基づいて各階層ごとに作成した三次元加工プログラムに従い、プレート材を切削工具又は研削工具等の工具により三次元曲面形状に成形加工し、この加工済みプレート材に未加工のプレート材を積層し、再び前記工具により未加工のプレート材を三次元形状に成形加工するという工程を繰り返すことにより三次元形状物を成形することを特徴とする積層造形方法」により行えばよい。また,特開平3−244510公報や特開平5−313584号に開示される、目標成形物の各層の二次元形状データに基づきシート状部材を裁断し、これを順次積層することにより三次元形状物を二次元半形状に積層造形する方法であってもよい。また,特開昭62−35966号公報や特開平4−103339号公報等に開示されているように、液状の光硬化性樹脂の表面に光ビームを照射し、所定形状の硬化層を形成し、この硬化層の上にさらに未硬化の液状光硬化性樹脂を供給し、再び光ビームを照射して硬化層を形成し、先の硬化層の上に積層するという工程を繰り返して三次元形状物を二次元半形状に積層造形する方法であってもよい。また,マシニングセンタは,公知のものを適宜用いることができるが,例えば,特開2004−074376号公報,特開2003−94264号公報,又は特開2001−150262号公報に開示されるものを適宜用いることができる。また,多軸ボール盤(たとえば,5軸ボール盤)として,特開2006−5257号公報,特開2001−230223号公報,又は特開2000−176715号公報に開示されるものを適宜用いることができる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,カルシウム系物質とポリビニルアルコール樹脂を含有し,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合される骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。このような骨模型であれば,特に射出成形により,極めて迅速でかつ精度高く骨模型を得ることができるので,その結果,骨系製剤を精度よく製造できることとなる。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,α型半水石膏とポリビニルアルコール樹脂を含有する組成物を原料とし,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合される,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤は,ワックス又はプラスティックを全重量の90重量%以上含有する;上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤は,ワックスを全重量の90重量%以上含有する;上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨模型は,石膏を主成分とし;前記像形成剤は,ワックスを全重量の90重量%以上含有し,ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する;上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。すなわち,このような組成を有する骨模型と,像形成剤を用いることで,CTスキャン又はMRIなどにより撮影を行った場合に,骨模型部分と,像形成剤部分とを精度良く分析できるので,その結果骨充填剤を精度よく製造できることとなる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨充填剤を製造する工程である,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。ラピッドプロトタイプ法によれば,オーダーメードの骨充填剤を迅速かつ精度よく製造できることとなる。
本発明の第1の側面の好ましい態様は,前記骨充填剤製造工程で得られる骨充填剤は,水酸アパタイト,炭酸アパタイト,フッ素アパタイト,塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウム,リン酸四カルシウム,リン酸八カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれらの溶媒和物のうちいずれか1種又は2種以上を用いて製造される骨充填剤である,上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。例えば,射出成形法によりこれらの原料を用いて骨充填剤を製造すると,成形時に相変化が起こり,好ましい特性を有する骨充填剤へと変化することとなる。
2.骨模型
本発明の第2の側面は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型に関する。このような等高線やます目(格子状の線)が描画されているので,骨模型の歪みを容易に把握できる。等高線は,例えば,骨模型のある点を基底(もっとも高度が低い点)として,例えば,高さ0.1mm〜1cmごと,好ましくは0.5mm〜5mmごと,更に好ましくは0.5mm〜2mmごとに設ければよい。例えば,骨模型が,頭蓋骨の模型であれば,後頭部を基底とした等高線を描けばよい。また,等高線が描かれる場所は,骨模型全体であってもよいし,一部であってもよい。また,頭蓋骨の模型は,頭蓋骨全体の模型であってもよいし,必要な部分の模型であってもよい。必要な部分として,頭蓋骨のうち前半分のもの(お面のようになる部分)であってもよい。また,口腔内の骨充填剤を作成するためには,下顎部のみ,上顎部のみ,又は下顎部及び上顎部などであってもよい。骨模型に描画されるます目は,格子状のものであれば特に限定されない。格子点のみを骨模型に描画したものであってもよい。ます目は,例えば0.1mm〜3cmごと,好ましくは0.5mm〜1cmごと,更に好ましくは1mm〜5mmごとに設ければよい。ます目も,骨模型全体に設けられてもよいし,部分的に設けられてもよい。このような骨模型は,公知の方法,例えば,後述するラピッドプロトタイプ法などにより製造できる。具体的には,例えば,ラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する際に,複数枚のデジタル画像を用いて骨模型の3次元情報を入手するので,その3次元情報に基づいて,骨模型の表面部位に関する高さに関する情報を得ることができるので,得られた高さ情報に基づいて等高線を引く位置に関する描画情報を取得し,コンピュータで設定した位置にインクなどを散布できるラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する際に,前記入手した描画情報を用いて等高線を描画すればよい。また,ます目を描画する場合は,例えば,ラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する際に,複数枚のデジタル画像を用いて骨模型の3次元情報を入手するので,その3次元情報に基づいて,骨模型の表面部位に関する2次元位置に関する情報を得ることができるので,得られた2次元位置情報に基づいてます目を引く位置に関する描画情報を取得し,コンピュータで設定した位置にインクなどを散布できるラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する際に,前記入手した描画情報を用いてます目を描画すればよい。
この側面の好ましい態様は,前記骨模型は,患者の特定部分の骨形状を再現したものである上記に記載の骨模型に関する。また,別の好ましい態様は,前記骨模型は,患者の頭蓋骨の骨形状を再現したものである上記に記載の骨模型に関する。すなわち,骨模型が,特定の患者のオーダーメードなものであれば,その患者の骨の歪みを正確に把握できることとなる。よって,そのような骨模型は,骨充填剤の形状を適切に把握する上でも効果的であり,更には適切な形状を有する骨充填剤を得ることができることとなる。骨模型の材質として,後述するように,石膏;熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂,光硬化性樹脂,
3.骨充填剤の製造方法
以下,図面に従って,骨充填剤の製造方法について説明する。図1は,本発明の骨充填剤の製造方法の基本工程を示すフロー例である。なお,図中Sは,ステップを意味する。図1に示されるように,本発明の骨充填剤の製造方法は,基本的には,骨模型(1)を製造する骨模型製造工程(ステップ1)と;前記骨模型製造工程で得られた骨模型(1)の骨欠損部(2)に,像形成剤(3)を充填する像形成剤充填工程(ステップ2)と;前記像形成剤充填工程で骨模型の骨欠損部に充填した像形成剤に基づいて,骨欠損部に充填する骨充填剤(4)を製造する骨充填剤製造工程(ステップ3)と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。そして,この骨充填剤を充填し,治療等を行うことで,欠損部分が回復し,骨の欠損が治療される。図中,符号5は,回復後の骨を示す。なお,図1においては,各工程の右にそれぞれの工程における骨欠陥模型等の状況を説明するための概念図を付している。
3−1.骨模型製造工程(ステップ1)
骨模型製造工程は,骨模型を製造するための工程である。骨模型は,基本的には,患者の骨模型を製造するものであれば特に限定されるものではなく,公知の方法を適宜採用することができる。骨模型の製造方法として,レントゲンなどの骨の写真像を用いて金型を製造し,その金型に模型原料を流し込むことにより骨模型を製造する方法や,ラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する方法があげられるが,これらの中では,デジタルデータに基づいて骨模型を製造するので,ラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造するものが好ましい。
近年,簡易に3次元構造体を製造するものとして,ラピッドプロトタイピング装置(例えば,特表2001−524897号公報,特表2003−531220号公報,特表2004−538191号公報,特表2005−503939号公報,米国特許5204055号明細書,米国特許5340656号明細書,米国特許5387380号明細書,米国特許6007318号明細書,米国特許6375874号明細書,米国特許5902441号明細書及び6416850号明細書などがあげられ,これらは参照のために本明細書中に取り入れられる。)やラピッドプロトタイプ方法が,急速に普及している。立体造形された三次元物体は,装置の部品のプロトタイプ(試作品)などとして,その性能を調べるために利用される。ラピッドプロトタイプ法として,断面形状データから薄層を成形し,その薄層を積層する光造形法,粉体焼結法,粉体結着法及び固体下地硬化法などが知られている。光造形法は,所定の光が照射されると硬化する液状の樹脂材料(光硬化性樹脂)に対して,コンピュータに記憶された照射パターンに従ってレーザ光を照射することにより,造形対象物の形状を順次に再現していくものである。すなわち,本明細書における骨模型などは,光硬化性樹脂などの樹脂により形成されていても良い。なお,光硬化性樹脂及び光硬化性樹脂を硬化させる光源として,特開2004−49877号公報に記載のものなどを適宜用いることができる。粉末結着法は,粉末材料を薄く層状に伸展し,コンピュータに記憶された描画パターンに従って接着剤を吐出して粉末材料を結合させるとともに,層形成と接着剤の吐出とを繰り返していくことで,粉末材料の結合体として三次元造形物を形成するものである。すなわち,本明細書における骨模型などは,熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂など高分子(ポリマー)によって形成されても良い。いったん形成された粉体結着物を高温で焼結することにより骨模型などを得てもよい。そのような場合,熱硬化性樹脂を原料として用いればよい。また,粉末として金属微粉を用いても良いので,本明細書における骨模型などは,チタン,鉄,アルミニウム,銅,銀,金,ニッケル,鉛,錫などのいずれか又は2種以上の混合であってもよい。また,白金,パラジウムなどの合金は,レーザなどの出力を受けて硬化するので,これらの金属粉末の薄い層を形成し,コンピュータに記憶された照射パターンに従ってレーザ光を照射することにより,造形対象物の形状を順次に再現してもよい。
本発明においては,骨模型を製造するために適宜修正したRP法に基づく方法を採用することが好ましい。具体的には,前記骨模型製造工程は,患者の骨の3次元形状に関する情報に基づいて,前記3次元形状を複数層に分割して得られる各層における断面形状に関する情報を得る断面形状取得工程と;前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,第1の層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した第1の断面像を形成する第1の断層像形成工程と,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,前記第1の断面像の上の層に当たる第2の層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した第2の断面像を,前記第1の断面像に重なるように形成する第2の断層像形成工程と,前記第2の断層像形成工程と同様に,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,前記形成しようとする層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した層の断面像を,前の工程で得られた断面像に重なるように形成する工程を繰り返し,物体の形状を再現した立体像を得るための立体像取得工程を含み,前記断層像形成工程の少なくとも一つ以上の工程は,像形成用組成物の粉末を層状にして像形成用組成物層を形成する像形成用組成物層取得工程と,前記像形成用組成物層取得工程で形成された像形成用組成物の層に,その層の断面形状に関する情報に基づいて水分を添加することにより,前記像形成用組成物層の所定箇所を湿潤させる水分添加工程を含む,骨充填剤の製造方法があげられる。
像形成用組成物として,公知のものを適宜用いることができるが,好ましい像形成用組成物として,カルシウム系物質にポリビニルアルコール樹脂を配合させた像形成用組成物であって,前記ポリビニルアルコール樹脂は,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,2重量部〜8重量部となるように配合される,像形成用組成物があげられる。
像形成用組成物の好ましい態様は,カルシウム系物質にポリビニルアルコール樹脂及び硬化促進剤を配合させた像形成用組成物であって;前記硬化促進剤は,二水石膏,アルカリ金属硫酸塩,アルカリ土類金属硫酸塩,アルカリ金属塩化物塩,アルカリ土類金属塩化物塩,無機酸のアンモニウム塩,及びミョウバン類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の硬化促進剤であり;前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合され,前記硬化促進剤は,0.1重量部〜5重量部となるように配合される,像形成用組成物である。なお,この態様に係る像形成用組成物は,カルシウム系物質,ポリビニルアルコール樹脂及び硬化促進剤のみからなるものが好ましい。
これらの像形成用組成物は,結晶水以外に実質的に水分を含まないものが好ましく,粉末状とされるものが好ましい。建材用の像形成用組成物であれば,水などとともに十分に攪拌して溶解させるため,原料となる石膏粉末の粒子径は特に問題とされない。しかしながら,本発明の像形成用組成物は,スラリー状とすることが必ずしも意図されていないのでカルシウム系物質粉末の粒子径はほぼ一様であることが好ましい。このような観点から,本発明のカルシウム系物質は,JISR1619(ファインセラミックス粉末の液相沈降光透過法による粒子径分布測定方法)に基づく粒子分布の測定において,最大分布からプラスマイナス10%の粒子径分布の範囲内に,50重量%以上,好ましくは70重量%以上,更に好ましくは85重量%以上,より好ましくは95重量%以上の分子が含まれるものがあげられる。このような分布を得るためには,原料粉末をふるいにかける作業を繰り返し行うことで達成できる。
本発明においては,像形成用組成物におけるカルシウム系物質の好ましい例として石膏があげられる。そして,石膏の例として,α型の半水石膏,β型の半水石膏,又はこれらの混合物を適宜用いることができるが,α型の半水石膏が好ましい。α型の半水石膏の方が,β型の半水石膏に比べて少ない水分で,練和状態を達成でき,硬化を進行させることができるからである。粉体が形成できる斜面の最大傾斜角である安息角の小さいものを用いれば,成形時に粉を均一に広げることができるので好ましい。このような観点から半水石膏(又は像形成用組成物)の安息角として,30度〜45度があげられ,好ましくは35度〜40度である。
本発明におけるポリビニルアルコール樹脂は,特に限定されず,公知のポリビニルアルコール樹脂(ポリビニルアルコール(-[C(OH)HCH]-)又は官能基を適宜有するポリビニルアルコール樹脂)を適宜用いることができる。ポリビニルアルコール樹脂として,一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体を採用できる。またポリビニルアルコール樹脂として,酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と,酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。そのような酢酸ビニルと共重合性を有する単量体として,例えばエチレン,プロピレン,イソブチレン,α−オクテン,α−ドデセン,α−オクタデセン等のオレフィン類,アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸,マレイン酸,無水マレイン酸,イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等,アクリロニトリル,メタアクリロニトリル等のニトリル類,アクリルアミド,メタクリルアミド等のアミド類,エチレンスルホン酸,アリルスルホン酸,メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩,アルキルビニルエーテル類,N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド,アリルトリメチルアンモニウムクロライド,ジメチルジアリルアンモニウムクロリド,ジメチルアリルビニルケトン,N−ビニルピロリドン,塩化ビニル,塩化ビニリデン,ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル,ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル,ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート,ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート,ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド,ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド,ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル,ポリオキシエチレンビニルエーテル,ポリオキシプロピレンビニルエーテル,ポリオキシエチレンアリルアミン,ポリオキシプロピレンアリルアミン,ポリオキシエチレンビニルアミン,ポリオキシプロピレンビニルアミンなどがあげられるが,好適には酢酸ビニルの単独重合体のケン化物,酢酸ビニルとエチレン,不飽和酸或いはその塩,アルキルエステル及びオレフィンスルホン酸或いはその塩との共重合体のケン化物が用いられる。
本発明では,建材などと異なり,像形成用組成物を型などに入れる必要がなく,また練和する必要がないので,ポリビニルアルコール樹脂のケン化度や平均重合度も特に限定されない。一方,ケン化度が70モル%未満では,立体像の機械的強度の向上が見られないので,ケン化度は70モル%以上が好ましく,80モル%〜99.5モル%であれば,より好ましい。ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度は,重合度が2×10未満では泥状物の粘度が低くなり,逆に3×10を越えると泥状物の粘度が上がりすぎて水に溶解しにくくなるので重合度として2×10〜3×10があげられ,5×10〜2.5×10でもよい。ただし,本発明における像形成用組成物は,型などに入れる必要がなく,また練和する必要がないので,例えば,重合度が3×10〜1×10のものを用いてもよい。また,重合度が小さいと,水を加えてスラリーとした際に石膏の沈降が起こることが問題とされるが,本発明の像形成用組成物ではスラリー状にする必要がなく,粘度が低く,少量の水に溶解しやすいものも好ましいので,重合度として,5×10〜1.9×10があげられ,1×10〜1.5×10でもよい。重合度や分子量は,公知の方法に従って,反応時間や反応条件を適宜調整することにより制御できる。
ポリビニルアルコール樹脂として,完全ケン化型の場合は,ケン化度として,90モル%以上99.5モル%以下のものがあげられ,98.5モル%以上99.5モル%以下であればより好ましい。また,粘度として,1×10〜2×10mPa・sのものを用いることが好ましい。粘度は,JISなどの規格(例えば,JISK7367)にしたがって測定すればよい。
なお,ポリビニルアルコール樹脂は,ポリビニルアルコール樹脂そのものであってもよいし,適宜官能基を導入したポリビニルアルコール誘導体の樹脂であってもよい。また,そのような官能基が部分的に導入されたものであってもよいし,複数種類のポリビニルアルコール樹脂の混合物であってもよい。このような官能基として,アセトアセチル基,シリル基,第四級アンモニウム塩基,カルボン酸基,カルボン酸の無機塩基,スルホン酸基,スルホン酸の無機塩基,ケトン基,メルカプト基,アミノ基などがあげられる。これらは1種又は2種以上含まれていてもよい。これらのなかでは,アセトアセチル基又はシリル基が好ましく,最も好ましいものは,官能基としてアセトアセチル基を有するものである。なお,官能基の割合は,全ての水酸基(−OH)が官能基で置換されたものであってもよいし,全体の5%〜95%の水酸基が官能基で置換されてもよく,10%〜20%でも,70%〜90%でも,30%〜70%でもよい。特に分子内にアセトアセチル基を有するものは,分子内にアセトアセチル基を有することにより,硬化促進剤などに含まれる金属イオンとキレートを形成し,少量の水分で迅速に所定の硬度を達成できることとなる。なお,これらの官能基は,有機合成における通常の方法に従って,適宜得られるポリビニルアルコール樹脂に導入でき,導入する官能基の種類や割合も,有機合成における通常の方法に従って制御できる。
前記ポリビニルアルコール樹脂は,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,2重量部〜8重量部となるように配合される。後述の実施例により実証されたとおり,ポリビニルアルコール樹脂は,3重量部〜7重量部であることが好ましく,3重量部〜6重量部又は4重量部〜7重量部でもよく,4重量部〜6重量部でもよいし,4.5重量部〜5.5重量部でもよい。ポリビニルアルコール樹脂が少ないと,適切な硬度を得ることができない。
本発明の像形成用組成物は,前記ポリビニルアルコール樹脂が,カルシウム系物質とは別に含まれる配合体であってもよいし,カルシウム系物質とポリビニルアルコール樹脂などが混合されたものであってもよい。いずれの場合も,粉末状であることが好ましく,粉末の大きさは,上記したと同様の範囲であることが好ましい。
本発明の硬化促進剤は,二水石膏,アルカリ金属硫酸塩,アルカリ土類金属硫酸塩,アルカリ金属塩化物塩,アルカリ土類金属塩化物塩,無機酸のアンモニウム塩,及びミョウバン類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の硬化促進剤である。アルカリ金属硫酸塩として,硫酸ナトリウム,及び硫酸カリウムがあげられる。アルカリ土類金属硫酸塩として,硫酸マグネシウム,硫酸カルシウム,及び硫酸バリウムがあげられる。アルカリ金属塩化物塩として,塩化リチウム,塩化ナトリウム,及び塩化カリウムがあげられる。アルカリ土類金属塩化物塩として,塩化マグネシウム,及び塩化カルシウムがあげられる。無機酸のアンモニウム塩として,塩酸アンモニウムがあげられる。ミョウバン類として,硫酸アルミニウム・カリウム12水(硫酸カリウムアルミニウム12水):AlK(SO・12HOなどのカリウムミョウバン,AlNa(SO・12HOなどのナトリウムミョウバン,NHAl(SO・12HOなどのアンモニウムミョウバンなどがあげられる。これらの中では,硫酸マグネシウム,塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,及び硫酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を好ましく用いることができる。また,二水石膏と;二水石膏の他の成分として,硫酸マグネシウム,塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,及び硫酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上をあわせたものも,好ましく用いることができる。また,硬化促進剤として,金属塩を含有するものは,所定の官能基を有するポリビニルアルコールとの間でキレート構造を構成し,立体像又は骨模型の強度を高めるので好ましい。
硬化促進剤を添加する場合,カルシウム系物質とポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,0.1重量部〜5重量部となるように配合すればよい。硬化促進剤として,二水石膏を用いる場合の二水石膏の量は,0.5重量部〜5重量部があげられる。一方,二水石膏を含まない硬化促進剤を用いる場合は,硬化促進剤の含有量として,水石膏とポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,0.1重量部〜5重量部があげられ,好ましくは0.1重量部〜3重量部であり,更に好ましくは0.3重量部〜2重量部であり,より好ましくは0.4重量部〜1.5重量部である。
硬化促進剤は,像形成用組成物における公知の方法に従って,像形成用組成物に配合すればよい。本発明の像形成用組成物は,本発明の像形成用組成物の機能を維持できる範囲で,上記した以外にも公知の組成を適宜含んでもよい。
骨模型形成用の立体像の製造方法は,基本的には,ラピッドプロトタイプ法(RP法)に基づいて立体像を製造するに当たり,上記いずれかの像形成用組成物であって粉末状のものを用いるものである。上記のような像形成用組成物を用いるので,少ない水分(水,架橋剤の水溶液,RP装置に用いられる公知のバインダー水溶液など)を添加した層を複数層重ねても,仮の形状を保つためには十分な強度を有する立体像を迅速に形成できることとなる。また,少量の水によりある程度の強度を有する層となりつつ,上下に隣接する層と接着し,一体的な立体像となることが好ましい。従来の像形成用組成物をそのまま用いると,そのような特性を有する立体像を得ることができず,本発明の像形成用組成物を用いることで,本側面に係る立体像の製造方法を実現できると考えられる。
より具体的に説明すると,骨模型形成用の立体像の製造方法は,物体の3次元形状に関する情報に基づいて,前記3次元形状を複数層に分割して得られる各層における断面形状に関する情報を得る断面形状取得工程(ステップA1)と;前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,第1の層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した第1の断面像を形成する第1の断層像形成工程(ステップA2−1)と,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,前記第1の断面像の上の層に当たる第2の層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した第2の断面像を,前記第1の断面像に重なるように形成する第2の断層像形成工程(ステップA2−2)と,前記第2の断層像形成工程と同様に,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,前記形成しようとする層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した層の断面像を,前の工程で得られた断面像に重なるように形成する工程を繰り返し,物体の形状を再現した立体像を得るための立体像取得工程(ステップA2−n)を含み,前記断層像形成工程の少なくとも一つ以上の工程は,上記いずれかに記載の像形成用組成物の粉末を層状にして像形成用組成物層を形成する像形成用組成物層取得工程と,前記像形成用組成物層取得工程で形成された像形成用組成物の層に,その層の断面形状に関する情報に基づいて水分を添加することにより,前記像形成用組成物層の所定箇所を湿潤させる水分添加工程を含む,物体の形状を再現した立体像の製造方法である。以下,各工程について説明する。
断面形状取得工程は,物体の3次元形状に関する情報に基づいて,前記3次元形状を複数層に分割して得られる各層における断面形状に関する情報を得るための工程である(ステップA1)。骨模型形成用の立体像の製造方法の好ましい態様は,前記各層における断面形状に関する情報には,各層における色分け情報が含まれており,前記水分添加工程では,前記色分け情報に従って,着色成分を含む水分が添加される,上記に記載の立体像の製造方法である。
骨模型形成用の立体像の製造方法は,いわゆるラピッドプロトタイプ法に用いられる公知の装置を用い,工程等をプログラムすることで容易に行うことができる。具体的には,ラピッドプロトタイプ用のプログラムを搭載したコンピュータなどにより容易に実行できる。このコンピュータは,入出力部,CPUなどの制御部,演算部,及びメモリを具備しており,インターフェイスなどの入出力部を通じて,立体像を製造するための立体像製造部と接続される。そして,立体像製造部は,前記コンピュータからの指令に従って立体像を形成するための上下に移動できる可動式テーブルと;前記コンピュータからの指令に従って前記可動式テーブル上に像形成用組成物の層を形成するために像形成用組成物粉末貯蔵部から像形成用組成物粉末を取り出して像形成用組成物層を形成する像形成用組成物層形成部と;コンピュータからの指令に従って前記像形成用組成物層に水又は所定の水溶液を添加する印刷部とを具備する。
断面形状取得工程では,複数のレントゲン写真などから,対象とする物体の3次元形状に関する情報を得て,その3次元形状を複数の層によって構成される断面形状に分割した像を得ればよい。また,インプラントや人工骨の3次元形状は,例えば以下のようにして得ればよい。まず,欠損部を補充するためのインプラントや人工骨を得る場合は,一般に欠損部は本来左右対称に近い形状を有する部分(例えば,右足の骨と左足の骨)を有しているので,その対象となる部位の骨の形状を対象にするようにコンピュータシミュレーションを行って,対象とする物体の3次元形状に関する情報を得てもよい。また,歯用のインプラントなどを製造する場合など,患部自体の形状が,再現するために好ましい形状ではない場合がある。そこで,そのような場合は,周囲の歯や骨の形状などを参考にして,3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)などを用いて,対象物の形状を描画し,コンピュータに入力することで3次元形状に関する情報を得て,コンピュータがその3次元形状に基づいて各断面形状に関する情報を得てもよい。具体的には,ポインティングデバイスからの入力信号がCPUに入力されると,CPUは入力された信号に基づいて,CD−ROMやハードディスクなどの記憶部に格納される制御プログラムを読み出す。そして,CPUは,制御プログラムからの指令に基づいて,記憶部に記憶されるレントゲン写真像などをスキャンし,スキャンした2次元像を複数集めることで,3次元形状に関する像を得る。なお,この際に,レントゲン写真などでは,骨などの部位と軟組織などの部位の濃淡が異なるので,レントゲン写真をスキャニングして像を得る際に,濃淡が大きく異なる部位を持って輪郭を得るほか,その輪郭によって囲まれる部位の濃淡が所定の値の範囲であるかどうかを判断するか,輪郭で囲まれる部位間の濃淡を比較することで,骨などの部位と軟組織などの部位のパターニング情報を得て,このパターニング情報を記憶するようにしてもよい。さらに,3次元形状に関する像を得た場合,例えば,z軸(地上から空方向)などのある方向に従って,前記3次元形状を輪切りにして,複数の層ごとの断面形状を得る。
骨模型に等高線を描画する場合,取得した物体の形状(作成する骨模型の形状)に基づいて,公知の方法により高さを分析してある高さごとに等高線をいれればよい。具体的には,ラピッドプロトタイプ法は,複数の層を重ねて立体像を製造するものなので,各層を作成する際に,各層の最下部又は層の最上部には色で区切るようにしてもよい。また,例えば,2層〜100層ごとに1層を色つきの層とすればよい。このようにすれば,適切な高さごとに等高線が描画された骨模型を得ることができる。具体的には,各層の所定の部分に色素やインクを混在した箇所を設けるか,所定の層ごとに色素などを添加した層を形成するようにプログラムし,そのプログラムにしたがって骨模型を製造すればよい。
骨模型に等高線を描画する場合,例えば,得られた骨模型の3次元データを2次元のモニタに描画できるような向き(正面向き)とし,その2次元データに格子を当てはめ,その格子を模型に描画するようにプログラムすればよい。
層の厚さについては,ポインティングデバイスなどからの入力情報に応じて適宜調整できるようにされてもよいし,あらかじめ設定された値にしたがって制御されるようにしてもよい。層の厚さが厚ければ,精巧な硬化体を得ることができないし,印刷機構などを用いて水滴を添加するだけでは形状を保てる硬度にならないという問題がある。一方,層の厚さが薄すぎると,多くの断面画像を得なければならず,コンピュータのハードウェア容量に負担がかかることとなるばかりか,製造を行うために多くの時間がかかることとなる。このような観点から,各層の厚さとして,1×10μm〜5mmがあげられ,1×10μm〜5mmでもよく,1×10μm〜1mmでもよい。なお,各層の厚さは均一であることが好ましいが,不均一であってもよい。
第1の断層像形成工程は,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,第1の層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した第1の断面像を形成するための工程(ステップA2−1)である。
第2の断層像形成工程は,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,前記第1の断面像の上の層に当たる第2の層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した第2の断面像を,前記第1の断面像に重なるように形成するための工程である(ステップA2−2)
次に,前記第2の断層像形成工程と同様に,前記断面形状取得工程において得られた前記断面形状情報から,前記形成しようとする層における断面形状に関する情報を読み出して,読み出された情報に基づいて,像形成用組成物を用いて前記断面形状を再現した層の断面像を,前の工程で得られた断面像に重なるように形成する工程を繰り返す。
前記断層像形成工程の少なくとも一つ以上の工程は,上記いずれかに記載の像形成用組成物の粉末を層状にして像形成用組成物層を形成する像形成用組成物層取得工程と,前記像形成用組成物層取得工程で形成された像形成用組成物の層に,その層の断面形状に関する情報に基づいて水分を添加することにより,前記像形成用組成物層の所定箇所を湿潤させる水分添加工程を含む,物体の形状を再現した立体像の製造方法である。
以下,各断層像形成工程の例を説明する。各断層像形成工程では,CPUが制御プログラムの指令を受け,像形成用組成物層の厚さに関する情報を読み出して,入出力装置から出力する。この厚さに関する情報を受け取った立体像製造部は,前記コンピュータからの指令に従って可動式テーブルを下方に移動させる。この際に,下方に移動させる距離が像形成用組成物層の厚さとなるので,この移動距離に関してもコンピュータから出力され,その移動距離情報に従って,テーブルが移動することとなる。なお,各層の厚さが同じ場合は,立体像製造部の記憶部がこの情報を記憶して,各層を形成する際に同じ情報を用いてもよい。
次に,CPUが制御プログラムの指令を受け,例えば,像形成用組成物層の厚さに関する情報を読み出して,像形成用組成物の層を形成するためにふさわしい像形成用組成物の量を演算し,入出力部から出力する。この量は,一定とされていてもよいし,いったん立体像製造部に伝えられた後は,立体像製造部の記憶部がこの情報を記憶して,各層を形成する際に同じ情報を用いてもよい。この像形成用組成物層に関する情報を受け取った,立体像製造部は,前記コンピュータからの指令に従って,像形成用組成物層形成部に,像形成用組成物粉末貯蔵部から像形成用組成物粉末を取り出させ,テーブル上に粉末を開放させる。そして,適宜スキージやへらなどを移動させて,像形成用組成物の層を均一にするように制御させてもよい。このようにして,可動式テーブル上(すでに層が形成されている場合は,先に形成された像形成用組成物層の上)に像形成用組成物の層が形成される。
次に,CPUが制御プログラムの指令を受け,各層の断面形状や,パターニングに関する情報を読み出して,入出力部から出力する。立体像製造部は,コンピュータからの指令に従って,印刷部を作動させ,前記像形成用組成物層に水又は所定の水溶液(水,架橋剤水溶液,ラピッドプロトタイプ用のバインダー水溶液など)を添加する。このような機構は,公知の印刷機の制御機構を用いることで容易に達成できる。なお,この際に添加される水又は水溶液の組成,濃度,及び量などの諸条件は,適宜調整することができる。例えば,ポインティングデバイスなどから諸条件に関する情報を入力し,入力した情報をコンピュータの記憶部に記憶させ,この諸条件に関する情報に従って,CPUが必要な情報を読み出して演算部により演算を行わせ,印刷部の動作を制御すればよい。印刷部では,通常の印刷技術と同様にして,インクの代わりに水滴などが添加されるようにすればよい。なお,前記像形成用組成物層に添加される液体バインダー材料は,有機物であっても無機物であってもよい。使用される代表的な有機バインダー材料は,ポリマー樹脂またはポリカルボシラザンのようなセラミック前駆体である。無機バインダーは,バインダーが最終物品に配合される場合に使用され,このような用途には,一般にシリカが用いられる。
技術常識では,各層を形成する段階で,水和反応を進めるために必要とされる水分量以上の水分を与えて乾燥させることを繰り返す。しかし,本発明の立体像の製造方法(本発明の硬化物の製造方法)では,上記の段階で,石膏の水和反応を完全に進める必要がない。そのため,各断層像形成工程では,例えば,像形成用組成物を完全に水和させるために必要な水の量を100重量部とした場合に,例えば1重量部〜50重量部添加すればよく,また,1重量部〜20重量部でもよく,2重量部〜10重量部でもよく,3重量部〜5重量部でもよい。このような少量の水分では,完全に石膏の水和反応が進行しない。しかしながら,本発明では,最低限の強度を維持するために十分な強度の層を迅速に得ることができるし,水が少量であるから,水が意図しない部分へ拡散する事態を防止でき,所望の断面構造を有する層を得ることができる。特に,2種類以上のパターニングを有する断面構造を得る場合などは,2種以上の水又は水溶液が混合しないことが重要となるが,添加する水分を少量とすることで,これらが混ざる事態を効果的に防止できることとなる。
断層像形成工程を繰り返し行った後は,得られた積層体がある程度の強度を有することとなるまで,乾燥させることが好ましい。乾燥は,低湿高温雰囲気(例えば,湿度0%〜10%,温度50℃〜2×10℃)にて行ってもよいが,常温常圧環境の下で行ってもよい。常温常圧における乾燥時間は,得られた立体像の大きさや,水分率,各層の厚さなどに応じて適宜調整すればよいが,1分〜1時間があげられ,5分〜3×10分があげられ,5分〜2×10分でもよい。すなわち,本発明では,ラピッドプロトタイプ法を用いるに当たり,ポリビニルアルコール樹脂を多く含有するものを用いたので,迅速に比較的硬度の高い立体像を得ることができ,しかもこの段階では十分に水を含んでいる必要もないので,乾燥時間を大いに短縮できることとなる。そして,乾燥後,物体の形状を再現した立体像が得られることとなる。なお,乾燥は,例えば減圧による脱気など脱気工程により行う場合は,極めて迅速に乾燥を行うことができるので好ましい。
上記のようにして得られた立体像は,石膏の水和反応が進行していない可能性が高い。そのため,完全に水和反応が進行したものに比べて強度が低いことが想定される。しかしながら,水分が少ない状態で,パターニングを行うことで,水分が意図しない部分にまで染み出して,そのような部分が硬化する事態を防止できることとなる。そのため,この立体像の製造方法は,迅速かつ精巧な形状を有する立体像を製造するために有用といえる。一方,上記のようにして得られた立体像は,精巧な形状を有しているにもかかわらず,水和反応が十分に進行していないため強度が低いことが想定される。そこで,十分な強度を得たい場合は,後述する硬化物の製造方法に従って,水和反応を進めればよい。
上記したとおりであるから,骨模型の製造方法は,基本的には,上記した各工程によって得られた立体像を水又は水溶液に浸漬することなどにより,水分を与えて,石膏の水和反応を進め,これを乾燥させることにより十分な硬度を有する硬化物を得るというものである。
すなわち,骨模型の製造方法は,基本的には,上記いずれかに記載の立体像の製造方法により得られた立体像から硬化していない像形成用組成物の粉末を取り除くための石膏粉末除去工程(ステップB1)と;前記石膏粉末除去工程で粉末が除去された立体像に水分を添加するための水分添加工程(ステップB2)と;前記水分添加工程で水分が添加された立体像を乾燥させる乾燥工程(ステップB3)とを含む;骨模型の製造方法に関する。以下,各工程について説明する。
石膏粉末除去工程は,立体像から硬化していない像形成用組成物の粉末を取り除くための工程である(ステップB1)。この工程では,例えば,エアーブラシにより立体像に空気を吹き当てることで,硬化していない石膏粉末を吹き飛ばせばよい。風量や,エアーブラシの形状などは適宜調整すればよく公知のものを用いることができる。石膏粉末除去工程に要する時間も適宜調整すればよいが,具体的には5分〜1時間があげられ,10分〜30分が好ましい。
水分添加工程は,前記石膏粉末除去工程で粉末が除去された立体像に水分を添加するための工程である(ステップB2)。この水分添加工程では,好ましくは,石膏の水和反応が進行するために十分な水分を立体像に与えるものである。そのような水分添加工程として,立体像を水又は所定の水溶液に浸漬するものがあげられる。この際,先の石膏粉末除去工程で粉末が除去されているので,形状に関係のない像形成用組成物の粉末が立体像に付着する事態を防止できる。
本発明の骨模型の製造方法の好ましい態様は,前記水分添加工程(ステップB2)は,前記石膏粉末除去工程で粉末が除去された立体像に霧状の水分を吹き付ける又は立体像を高湿度雰囲気にさらすことで立体像表面に水分を付着させる噴霧工程(ステップB2−1)と,前記噴霧工程の後に,立体像を水中に浸漬する浸漬工程(ステップB2−2)を含むものである。
得られた立体像をいきなり水に浸漬すると,形が崩れるなどの問題が生ずる場合もある。そこで,この態様の骨模型の製造方法では,上記の問題を考慮して,まずは表面(好ましくは表面全体)に水分を添加し,表面だけでも水和による石膏の硬化反応を促進させ(好ましくは乾燥させて),型崩れを防止した後,水中に浸漬することにより,十分に硬化反応を促進するというものである。噴霧工程では,例えば,公知の霧吹きを用いて,水又は所定の水溶液(好ましくは水,架橋剤の水溶液,又はバインダーの水溶液)を立体像の表面に吹きかける。又は立体像を高湿度雰囲気にさらすことで立体像表面に水などを付着させる。そして,水分を吹きかけた後,乾燥させたのち浸漬すればよい。乾燥は,低湿高温雰囲気(例えば,湿度0%〜10%,温度50℃〜2×10℃)にて行ってもよいが,常温常圧環境の下で行ってもよい。常温常圧における乾燥時間は,得られた立体像の大きさや,水分率,各層の厚さなどに応じて適宜調整すればよいが,1×10分〜2時間があげられ,15分〜1時間があげられ,2×10分〜4×10分でもよい。浸漬工程では,十分な水又は水溶液中に,立体像を浸漬する。浸漬時間は,立体像の大きさなどに応じて適宜調整すればよいが,1×10分〜2時間があげられ,15分〜1時間があげられ,2×10分〜4×10分でもよい。
本発明の骨模型の製造方法の好ましい態様は,前記水分添加工程(ステップB2)は,(1)前記石膏粉末除去工程で粉末が除去された立体像に霧状の水分を吹き付けるか又は立体像を高湿度雰囲気にさらすことで立体像表面に水分を付着させる噴霧工程と,前記噴霧工程の後に,立体像を架橋剤水溶液中に浸漬する浸漬工程,(2)前記石膏粉末除去工程で粉末が除去された立体像に霧状の架橋剤水溶液を吹き付けるか又は立体像を架橋剤水溶液の高湿度雰囲気にさらすことで立体像表面に架橋剤水溶液を付着させる噴霧工程と,前記噴霧工程の後に,立体像を架橋剤水溶液中に浸漬する浸漬工程,又は(3)前記石膏粉末除去工程で粉末が除去された立体像に霧状の水分を吹き付けるか又は立体像を高湿度雰囲気にさらすことで立体像表面に水分を付着させる噴霧工程と,前記噴霧工程の後に,立体像を水中に浸漬し,さらに前記立体像を架橋剤水溶液中に浸漬する浸漬工程,のいずれかを含む上記に記載の骨模型の製造方法である。特に,アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール樹脂を用いたものは,上記のなかでは(1)又は(3)の工程が好ましい。なぜなら,まずは,水によりキレート構造を促進させた後に,架橋剤で架橋を促進することが強度や骨模型の均一さの観点から好ましいからである。
このように架橋剤水溶液などの架橋剤を添加することで,立体像中で架橋が進み,十分な強度を有する骨模型を得ることができることとなる。そして,噴霧工程及び浸漬工程は,先に説明したと同様にして行えばよい。なお,架橋剤水溶液における架橋剤水溶液の濃度は,用いたポリビニルアルコール樹脂の種類や得ようとする硬化物の硬度などに応じて適宜調整すればよい。具体的な,架橋剤水溶液における架橋剤水溶液の濃度として,1×10−2×容積%〜2×10容積%があげられ,好ましくは1×10−1容積%〜1.5×10容積%である。なお,架橋剤として,エチレンジアミン又はジエタノールアミンなどのアミン系架橋剤に替えて,又はこれらともに,ホルムアルデヒドやグリオキザールなどのアルデヒド系化合物,メラミン−ホルムアルデヒド縮合物や尿素−ホルムアルデヒド縮合物などのメチロール系化合物,ホウ酸やホウ砂等のホウ素含有化合物,2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−トリレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート,p−フェニレンジイソシアネート又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート系化合物,又はシランカップリング剤などを適宜用いてもよい。なお,これらの中では,架橋剤として,エチレンジアミン又はジエタノールアミンなどのアミン系架橋剤が好ましく,具体的には,後述する実施例によって実証されたとおり,エチレンジアミン又はジエタノールアミンのいずれか又は両方がより好ましい。
乾燥工程は,前記水分添加工程で水分が添加された立体像を乾燥させるための工程である(ステップB3)。乾燥は,低湿高温雰囲気(例えば,湿度0%〜10%,温度50℃〜2×10℃)にて行ってもよいが,常温常圧環境の下で行ってもよい。常温常圧における乾燥時間は,立体像の大きさや,水分率,各層の厚さなどに応じて適宜調整すればよいが,1時間〜4日があげられ,4時間〜3日でもよく,6時間〜2日でもよい。
ただし,本発明においては,骨模型を比較的迅速に製造することが好ましいので,乾燥時間として,1時間〜4時間とすることが好ましい。
3−2.像形成剤充填工程(ステップ2)
像形成剤充填工程は,骨模型製造工程で得られた骨模型の骨欠損部に,像形成剤を充填するための工程である。像形成剤を充填することにより,骨充填剤像を得ることができる。
像形成剤は,骨充填剤像を得ることができるものであれば特に限定されず公知の像形成剤を適宜用いることができる。但し,像形成剤は,骨模型と区別することができるものであることが好ましい。具体的には,像形成剤として,前記骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかが異なるものが好ましく,像形成剤が定着して骨充填剤像となった場合のX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率が,骨模型のX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率に比べて90%以下であるか110%以上であるものがあげられる。像形成剤がそのようなX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率を有するものであれば,像形成剤が定着した骨充填剤像と,骨模型とを容易に区別できることとなる。そのような像形成剤として,骨模型の原料と同一の原料であって,色素,金属粉末又は金属酸化物の粉末などを含有するものがあげられる。
像形成剤として,例えば,ワックス成分(例えば,歯科用ワックス)を主成分とするものがあげられる。ワックス成分として,パラフィンワックスのほか,みつろう,マイクロクリスタリンワックス,ダンマー,ロジン,キャンデリラワックス,カルナウバワックス,みつろう若しくはモンタンワックスのいずれか又はこれらの混合物があげられるが,これらの中ではパラフィンワックスを主成分とするものが好ましい。パラフィンワックスを主成分とするものが,みつろう,マイクロクリスタリンワックスにより柔軟性,および粘着性を与えたもの;ダンマー,又はロジンを加えて,硬さや強度を改善するとともに粘り強さを与えたもの;高融点のカルナバワックスを加えてワックスの表面に光沢を与えたものなどがあげられる。また,合成樹脂である,炭化水素樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂とを組合わせて用いたもの,具体的にはパラフィンワックスにエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂を好ましくは1〜5重量%配合したものなどがあげられる。より具体的な歯科用ワックスとして,パラフィンワックス,ローリングワックス,プロラインワックス,コルベンワックス,プロユーティリティーワックス,バイトリムスティック,又はカービングワックスなどがあげられる。ワックスは,ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000,好ましくは800〜5,000,より好ましくは1,000〜3000,特に好ましくは1,500〜2,500の範囲にあることが望ましい。ワックスは,GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が4.0以下,好ましくは3.5以下,より好ましくは3.0以下であることが望ましい。なお,重量平均分子量(Mw),数平均分子量(Mn)は,ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される,ポリスチレン換算値である。ここで,GPCによる測定は,温度:140℃,溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行う。
ワックスは,歯科用に一般に用いられている赤色のもののほか,白,黄色,又は黒色などのものを適宜用いることができる。白色ワックスは,パラフィンワックスなどのワックスに白色顔料である酸化チタンを混合することにより作製される。黄色ワックスは,例えば,パラフィンワックスなどのワックスに黄色顔料である酸化チタンの一種であるチタンイエローを混合することにより作製される。黒色ワックスは,例えば,パラフィンワックスなどのワックスに,黒色顔料であるアニリンブラックを混合することにより作製される。
像形成剤は,像形成剤が定着して形成される骨充填剤像が,たとえば,X線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかにおいて骨模型と区別することができるように,無機粉体,有機粉体,界面活性剤金属塩粉体,顔料,色素,金属粉末又は金属酸化物の粉末などを含有することが好ましい。
無機粉体の具体例としては,酸化チタン,酸化ジルコニウム,酸化亜鉛,酸化セリウム,酸化マグネシウム,硫酸バリウム,硫酸カルシウム,硫酸マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,タルク,マイカ,カオリン,セリサイト,白雲母,合成雲母,金雲母,紅雲母,黒雲母,リチア雲母,ケイ酸,無水ケイ酸,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸マグネシウム,ケイ酸アルミニウムマグネシウム,ケイ酸カルシウム,ケイ酸バリウム,ケイ酸ストロンチウム,タングステン酸金属塩,ヒドロキシアパタイト,バーミキュライト,ハイジライト,ベントナイト,モンモリロナイト,ヘクトライト,ゼオライト,セラミックスパウダー,第二リン酸カルシウム,アルミナ,水酸化アルミニウム,窒化ホウ素,窒化ボロン,シリカなどがあげられる。
有機粉体の具体例としては,ポリアミドパウダー,ポリエステルパウダー,ポリエチレンパウダー,ポリプロピレンパウダー,ポリスチレンパウダー,ポリウレタン,ベンゾグアナミンパウダー,ポリメチルベンゾグアナミンパウダー,テトラフルオロエチレンパウダー,ポリメチルメタクリレートパウダー,セルロース,シルクパウダー,ナイロンパウダー,12ナイロン,6ナイロン,ジメチルシリコーンを架橋した構造を持つ架橋型シリコーン微粉末,ポリメチルシルセスキオキサンの微粉末,スチレン・アクリル酸共重合体,ジビニルベンゼン・スチレン共重合体,ビニル樹脂,尿素樹脂,フェノール樹脂,フッ素樹脂,ケイ素樹脂,アクリル樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ポリカーボネート樹脂,微結晶繊維粉体,デンプン粉末,ラウロイルリジンなどが挙げられる。さらに,大部分が−[Si−O−]n−骨格からなる有機粉末も用いることができる。この場合,分子内の一部に−Si(CHCH−Si−結合を有してもよい。
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)の具体例としては,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸アルミニウム,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,ミリスチン酸亜鉛,ミリスチン酸マグネシウム,セチルリン酸亜鉛,セチルリン酸カルシウム,セチルリン酸亜鉛ナトリウムなどがあげられる。
有色顔料の具体例としては,酸化鉄,水酸化鉄,チタン酸鉄の無機赤色顔料;γ−酸化鉄などの無機褐色系顔料;黄酸化鉄,黄土などの無機黄色系顔料;黒酸化鉄,カーボンブラックなどの無機黒色顔料;マンガンバイオレット,コバルトバイオレットなどの無機紫色顔料;水酸化クロム,酸化クロム,酸化コバルト,チタン酸コバルトなどの無機緑色顔料;紺青,群青などの無機青色系顔料;タール系色素をレーキ化したもの;天然色素をレーキ化したもの;およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などがあげられる。
パール顔料の具体例としては,酸化チタン被覆マイカ,オキシ塩化ビスマス,酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス,酸化チタン被覆タルク,魚鱗箔,酸化チタン被覆着色雲母などがあげられる。
金属粉末顔料としては,アルミニウムパウダー,カッパーパウダー,ステンレスパウダーなどがあげられる。
天然色素としては,カルミン酸,ラッカイン酸,カルサミン,ブラジリン,クロシンなどから選ばれる粉体があげられる。これらの粉体は本発明の効果を妨げない範囲で,粉体の複合化や一般油剤,シリコーン油,フッ素化合物,界面活性剤などで処理したもの,反応性を持つオルガノハイドロジェンポリシロキサン,加水分解性アルコキシシラン基を有するオルガノポリシロキサン,加水分解性シリル基を有するアクリル−シリコーン系共重合体なども使用することができ,必要に応じて1種,または2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的な色素として,上記した酸化チタンなどがあげられる。金属粉末又は金属酸化物の粉末も,特に限定されず,公知のものを適宜採用することができる。金属粉末又は金属酸化物の粉末として,好ましくは酸化チタンであり,より好ましくはアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンである。金属粉末又は金属酸化物の粉末の粒子径(JISR1619に基づいて分析したもの)として,1×10nm以上5×10nm以下があげられ,好ましくは5×10nm以上3×10nm以下である。後述する実施例により実証されたとおり,像形成剤として,ワックスを全重量の90重量%以上(好ましくは95重量%以上)含有し,金属粉末又は金属酸化物の粉末を全重量の2重量%以上5重量%以下含有するものがあげられ,好ましくは金属粉末又は金属酸化物の粉末を全重量の3重量%以上4重量%以下含有するものである。
RP法などにより患者の骨の状態を反映した骨模型が形成されているので,医者などが,その骨模型の骨欠損部に像形成剤を充填してもよい。そのようにすれば,正確な骨模型に施術を行う者が直接骨充填剤の像を形成するので,施術者にとって使い勝手のよい骨充填剤を得ることができることとなる。具体的には,像形成剤は,例えば,パラフィンワックスなどを主成分とするので,お湯などで温めることで容易に柔軟性を増すため,そのような状態で,骨欠損部を詰めるように像形成剤を塗りこめばよい。また,骨模型の骨欠損部に像形成剤を充填する際,骨模型の骨欠損部に自動的に骨充填剤が充填されるようにしてもよい。
骨模型の骨欠損部に充填された像形成剤は,例えばパラフィンワックスなどを主成分とするので,静置することにより固化し骨充填剤像となる。この骨充填剤像は,患者の治療などに用いられる骨充填剤であり,しかも骨欠損部の形状に精度よく一致したものである。
3−3.骨充填剤製造工程(ステップ3)
骨充填剤製造工程は,像形成剤充填工程で骨模型の骨欠損部に充填した像形成剤(または骨充填剤像)に基づいて,骨欠損部に充填する骨充填剤を製造するための工程である。像形成剤充填工程で骨模型の骨欠損部には像形成剤が充填されており,像形成剤が定着した骨充填剤像は,骨模型と何らかの形で区別される。そこで,この骨充填剤像などを用いて,骨充填剤を製造すればよい。また,得られた骨充填剤像の形状に基づき,金型を製造し,粉末射出成型法又は,それを修正した方法により骨充填剤を製造してもよい。
具体的には,骨充填剤像は,骨模型とX線の透過率又は反射率が異なるので,X線CTなどにより,骨充填剤像を含む骨模型ごと撮影し,そのX線の透過率又は反射率をPCなどの制御装置に送信し,制御装置はX線の透過率又は反射率の相違により骨充填剤像の形状を把握して,骨充填剤の製造装置に対して骨充填剤の形状に関する情報を伝えるとともに,骨充填剤の製造装置が前記形状にしたがって骨充填剤を製造するように指令を出力する。このようにして,骨充填剤が製造される。このような製造装置として,RP法に基づく骨充填剤の製造装置があげられ,RP法または先に説明した方法に従って,骨充填剤が製造されればよい。なお,骨充填剤をRP法で製造する場合は,原料粉末としてリン酸カルシウム系物質など,以下説明する化合物粉末を適宜用いればよい。
以下,粉末射出成形法に基づく,骨充填剤の製造方法について説明する。骨充填剤の製造方法は,基本的には,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダーを含む材料を混練するための混練工程と;前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダーを取り除き脱脂体を得るための脱バインダー(脱脂)工程と;前記脱バインダー工程後の脱脂体を加熱し,焼結し焼結体を得るための焼結工程とを含む骨充填剤の製造方法である。なお,成形体の後処理を行うための後処理工程など公知の工程を適宜含んでもよい。
骨充填剤の製造方法によって得られた骨充填剤は,ひとつひとつの骨充填剤の大きさが均一なので,骨充填剤に薬剤を含有させた場合であっても,適切な量の薬剤を投与できることとなる。さらには,密度が均一でありしかも大きさを制御できるので,それぞれの骨充填剤の強度を維持しつつも,複数の骨充填剤を投与した場合に適切な空隙率を得ることができることとなる。以下,骨充填剤の製造方法の各工程について説明する。
混練工程は,カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダーを含む材料を混練するための工程である。原料として,粉末の原料を用いることが好ましい。混練工程では,原料粉末とバインダーなどの副素材とを混ぜ,射出成形に適した状態のものとする。
原料粉末として,カルシウム系の物質があげられる。前記カルシウム系物質は,リン酸カルシウム系物質,炭酸カルシウム系物質,乳酸カルシウム及びグルコン酸カルシウムがあげられ,これらの中ではリン酸カルシウム系物質又は炭酸カルシウム系物質が好ましい。原料粉末としてのリン酸カルシウム系物質を,より具体的に説明すると,水酸アパタイト,炭酸アパタイト,フッ素アパタイト,塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウム,リン酸四カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素カルシウムリン酸二水素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,リン酸八カルシウム,それらの塩,又はそれらの溶媒和物二水和物などのいずれか1種または2種以上があげられ,これらの中ではβ−TCP,又は水酸アパタイトが好ましい。また,炭酸カルシウム系物質として,炭酸カルシウム及び炭酸水素カルシウムがあげられ,これらの中では炭酸カルシウムが好ましい。ただし,原料粉末は,これらに特に限定されず,骨充填剤の原料として用いられる公知のものを適宜用いることができる。
原料粉末は,小さすぎると多くのバインダーが必要となり,得られる骨充填剤の物性が悪くなる。一方,原料粉末が大きすぎると,成形機のスクリューとシリンダとの隙間に入り込んで噛む場合や,焼結が進まない場合がある。本発明では,基本的には粉末射出成形を行うが,金属を原料粉末とするものでは必ずしも無い。よって,実験を行った結果,原料粉末の大きさは,例えば,0.01μm〜100μm(0.01μm以上100μm以下。以下同様。)があげられ,好ましくは0.1μm〜20μmである。通常の粉末冶金では,例えば,100μm程度の大きさの粉末を用いる。例えば,特開2004−97259号公報(上記特許文献1)では,粒径が150μm以下の水酸アパタイト粉を用いている(同公報の段落[0025])。しかし,本発明では,原料粉末をバインダーと混合し,混練したものの流動性をよくし,焼結後の密度を向上させるために比較的小さい粒径を有する粉末を用いることが好ましい。一方,本発明によって製造される骨充填剤は,ある程度の強度が要求されるものの,生体内に埋め込んだ場合に破骨細胞などにより侵食されることが想定される。そのような観点からは,粉末の大きさをあえて0.1μm〜50μm,好ましくは0.5μm〜10μmとしてもよい。
混練工程では,バインダーなどの原材料以外の材料(1又は複数種類の化合物)を,原材料に混ぜる。このようなバインダーとして,(メタ)アクリル系樹脂,ロウ滑剤,(好ましくは(メタ)アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂),及び滑剤を含むものがあげられる。メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂として,メタクリル樹脂又はアクリル樹脂があげられ,具体的にはn−ブチルメタクリレート又はメチルメタクリレートの重合体,又はn−ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートの共重合体があげられる。メタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂の分子量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×10〜1×10があげられる。バインダーにおけるメタクリル系樹脂又はアクリル系樹脂の含有量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,1重量%〜50重量%があげられる。
ロウ滑剤として,融点が40℃〜100℃のワックスがあげられ,好ましくは40℃〜70℃である。このような融点を有するワックスとして,例えば,公知のパラフィンワックスを適宜用いることができる。このような融点を有するワックスを用いることで,射出成形時に成形体を金型からはずしやすくすることができる。また,融点が,60℃〜65℃であるロウ滑剤を用いれば,金型をそれほど冷却せずに成形体を取り出すことができるので,より好ましい。
ロウ滑剤の例として,流動パラフィン,スクワレン,スクワランなどの炭化水素油;オレイン酸,トール油,及びイソステアリン酸などの高級脂肪酸;ラウリルアルコール,オレイルアルコール,イソステアリルアルコール,及びオクチルドデカノールなどの高級アルコール;,メチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,メチルハイドロジェンポリシロキサン,及びデカメチルポリシロキサンなどのシリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ラウリン酸ヘキシル,オレイン酸オレイル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,フタル酸ジエチル,及びフタル酸ジブチルなどのエステル;アボカド油,ツバキ油,タートル油,マカデミアナッツ油,トウモロコシ油,ゴマ油,パーシック油,小麦胚芽油,サザンカ油,ヒマシ油,アマニ油,サフラワー油,綿実油,エノ油,大豆油,落花生油,茶実油,カヤ油,コメヌカ油,ホホバ油,キョーニン油,オリーブ油,カロット油,グレープシード油,ナタネ油,ツバキ油,ホホバ油,卵黄油,ラノリン油及びミンク油などの動植物油類;及びグリセリン,ジグリセリン,トリグリセリン,トリオクタン酸グリセリン,及びトリイソパルミチン酸グリセリンなどのグリセリンの1種又は2種以上があげられる。なお,ロウ滑剤の融点は,これらの原料の分子量や組成比を適宜調整することにより調整できる。
ロウ滑剤の分子量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×10〜1×10があげられる。バインダーにおけるロウ滑剤の含有量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,1重量%〜50重量%があげられる。
熱可塑性樹脂として,ポリアセタール樹脂,(メタ)アクリル樹脂,ポリオレフィン樹脂,エチレン−酢酸ビニル共重合体,又はポリビニルブチラールのうちいずれか1種又は2種以上を用いることができる。ただし,本発明では,熱可塑性樹脂として(メタ)アクリル樹脂と(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂を有するものが好ましい。これらの中では,エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×10〜1×10があげられる。バインダーにおけるロウ滑剤の含有量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,1重量%〜50重量%があげられる。
滑剤(ロウ滑剤以外の滑剤)として,ステアリン酸,ステアリン酸の塩,ステアリン酸又はその塩の水和物,C−Cアルキルステアリン酸(C−Cアルキルは炭素数が1〜5のアルキル基を示す。以下同様である);又はこれらのいずれかと,ポリエチレングリコール又はポリグリセンがあげられる。滑剤含有量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,0.5重量%〜15重量%があげられる。これら滑剤を用いるので,成形体を金型から容易に取り出すことができる。なお,滑剤は,分散剤として機能してもよい。
そのほかバインダーを構成する化合物として,フタル酸エステル類があげられる。フタル酸エステル類は,生体への危険性が報告されているが,好ましい態様では,バインダーをほぼ完全に熱分解させるので,このような生体親和性に乏しい化合物をもバインダーに含めることができる。このようなフタル酸エステル類として,ジブチルフタレートなどのC−Cアルキルフタレートがあげられる。このようなフタル酸エステル類をあえて用いることで,より好ましい物性を有する骨充填剤を得ることができた。
フタル酸エステル類の分子量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,重量平均分子量で1×10〜1×10があげられる。フタル酸エステル類は,揮発性に乏しいものが好ましい。バインダーにおけるフタル酸エステル類の含有量は,特に限定されず,得られる骨充填剤の物性を損なわないよう適宜調整すればよいが,例えば,0重量%〜20重量%があげられ,好ましくは0.5重量%〜15重量%である。
バインダーは,後の脱バインダー工程などで,熱分解することなどにより除去される。すなわち,バインダーが存在した部分は,基本的には空隙となる。よって,原材料に加えるバインダーの量を制御することで,得られる骨充填剤の空隙率や強度を調整できる。ただし,一般的には,バインダーは,原材料の粒子間を埋めるに十分なだけの量が必要とされる。なぜなら,バインダーの添加量が少なければ,適切な流動性を得ることができず,ショートモールドやウェルドなどの成形欠陥や,得られる成形体の形状や密度がばらつく原因となる。よって,バインダーの添加量として,原材料の重量を100重量部としたとき,バインダーの添加量として,10重量部〜100重量部があげられ,20重量部〜50重量部でもよい。原材料とバインダーにおけるバインダーの配合割合は,25容積%〜70容積%があげられ,好ましくは30容積%〜55容積%であり,さらに好ましくは35容積%〜45容積%である。
骨充填剤の製造方法の好ましい態様は,“カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダーを含む材料”に,ガラス成分を含む骨充填剤の製造方法である。ガラス成分として,二酸化ケイ素を主成分とする石英ガラス;Bを5重量%〜20重量%含有するホウケイ酸ガラス;鉛を5重量%〜40重量%含有する鉛ガラス;カリウムを5重量%〜30重量%含有するカリウムガラス;フッ化ナトリウム,フッ化アルミニウム,及びフッ化ストロンチウムを含むフルオロアルミノシリケートガラス;又はそれらのガラスに,ホウ酸,酸化ランタン,酸化ガドリニウム,酸化ニオブ,酸化ジルコニウム,又はバリウムの1種又は2種以上を適宜混入したもの;を適宜用いることができる。ガラス成分をあえて加えることで,焼結体の焼結性をあえて低めて,微小なクラックや孔を入れることができ,その結果細胞を培養するために好ましい骨充填剤を得ることができる。一方,ガラス成分は,骨充填剤の強度を高めるので,クラックや孔を生じても,好ましい強度を有する骨充填剤を得ることができると考えられる。ガラス成分として,チタン,チタン合金,コバルト−クロム合金,ステンレス,アルミナ,ジルコニアを用いてもよいし,それらの適量を適宜混合してもよい。アパタイト(Ca10(POO)などのリン酸カルシウム系結晶やCaO−SiO−MgO−P系結晶化ガラスなどのリン酸カルシウム系結晶化ガラスを適宜用いてもよい。
ガラス成分の添加量は,要求される骨充填剤の物性に応じて適宜調整すればよいが,例えば,原材料の重量を100重量部としたとき,ガラス成分の添加量として,1重量部〜20重量部があげられ,2重量部〜10重量部でもよい。混練材におけるガラス成分の配合割合は,1容積%〜20容積%があげられ,好ましくは2容積%〜10容積%であり,さらに好ましくは3容積%〜10容積%である。
骨充填剤の製造方法の好ましい態様は,“カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダーを含む材料”に,塩分又は糖分(好ましくは塩分)を含む,骨充填剤の製造方法である。このような塩分又は糖分を含めば,焼結体の焼結性をあえて低めて,微小なクラックや孔を入れることができ,その結果細胞を培養するために好ましい骨充填剤を得ることができる。また,骨充填剤を得た後に,水などに浸漬することで,塩分又は糖分を除去し,多孔質な骨充填剤を得ることができるので,細胞を培養するために好ましい骨充填剤を得ることができる。塩分又は糖分は,公知の塩分又は糖分を適宜用いることができる。塩分として,水などで溶解し,バインダーが熱分解される温度で熱分解されないもの,特に無機塩が好ましく,具体的には,塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化カルシウム,又は炭酸カルシウム,があげられる。糖分として,ショ糖,ブドウ糖,果糖など公知の糖分を適宜用いることができる。なお,塩分又は糖分とは別に,もしくは塩分又は糖分とともに熱分解性成分を適宜含むものは好ましい態様である。熱分解性成分とは,混合工程では,熱分解しないが,成形工程や焼結工程,又は成形工程や焼結工程における加熱温度よりも高い温度において熱分解する成分を意味する。そのような熱分解成分を適宜含有すれば,成形中,焼結中,焼結後のいずれかの段階で熱分解されるので,適切な空隙を有する骨充填剤を得ることができる。
塩分又は糖分の添加量は,要求される骨充填剤の物性に応じて適宜調整すればよいが,例えば,原材料の重量を100重量部としたとき,塩分又は糖分の添加量として,1重量部〜20重量部があげられ,2重量部〜10重量部でもよい。混練材における塩分又は糖分の配合割合は,1容積%〜30容積%があげられ,好ましくは2容積%〜20容積%であり,さらに好ましくは3容積%〜10容積%である。なお,熱分解性成分を添加する場合も塩分又は糖分と同様の量を添加すればよい。
混練工程では,上記した原料粉末とバインダーなどとを混合する。これにより射出成形用の材料であるコンパウンドを得る。原料粉末が均一に混合されていなければ,成形体の形状寸法が悪くなるなどの問題が生ずる。特に,製造方法により得られる骨充填剤は,薬物の投与量を一定にする観点から,一つ一つの形状が一定であることが望ましいので,できるだけ原料を均一に混合することが望ましい。
混練工程における温度は,バインダーの種類などに応じて適宜調整すればよいが,温度が低いと混ざらないし,温度が高いとバインダーが熱分解してしまうので,110℃〜240℃があげられ,好ましくは130℃〜190℃であり,より好ましくは140℃〜160℃である。
混練工程における時間は,原料を均一に混練するためには長時間を必要とし,時間が長すぎれば混練中にバインダーが熱分解することがあるため,バインダーの種類などに応じて適宜調整すればよいが,30分〜5時間があげられ,45分〜1.5時間でもよい。
混練工程における混練機として,例えば,加圧式ニーダー,一軸又は二軸の押出式ニーダーを適宜使用できる。本発明により得られる骨充填剤は,移植に用いることが考えれる医療機器であるから,混練機の羽根が磨耗して不純物が混入する事態を避けることが好ましい。このような観点から,混練機の羽根は高硬度の高いものを用いることが望ましく,TiNコーテイングなどの表面保護層が形成されるように表面処理が施されている羽根を用いることが好ましい。
混練工程は,例えば以下のようにすればよい。あらかじめ設定した温度にニーダーを加熱した後,融点が高いバインダーをはじめに混練機へ投入する。バインダーの溶融が進んだ後に原料粉末を投入する。その後,融点が低いバインダーと原料粉末とをともに混練機へ投入し,1/2容積量〜4/5容積量の原料を投入した後,DBP(ジブチルフタレート)などの低揮発成分を投入し,その後,残りの原材料を投入する。このように,高融点のバインダ(高粘性)と原料粉末をはじめに混練することで,粉末の凝集を分散させる効果を得ることができた。
具体的には,(メタ)アクリル系樹脂及び前記エチレン−酢酸ビニル共重合体を混練機へ投入し,混練しつつ前記原材料,前記パラフィンワックス及び前記ステアリン酸を混練機へ投入し,混練しつつ前記ジブチルフタレートを混練機へ投入するものがあげられる。このように混練を行うことで,射出成形用の材料であるコンパウンドを得ることができる。
ただし,本発明では,得られる骨充填剤が,将来的には骨と置き換わるものであるから,あえて成形品に微小なクラックを入れて,骨と置き換わることを促進してもよい。そのような観点からは,例えば,混練時間を15分〜30分としてもよく,混練温度を80℃〜100℃としてもよい。
成形工程は,射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための工程である。骨充填剤は,正四面体の中心から各頂点へ向けた方向に伸びる4つの形状が好ましいので,以下このような骨充填剤を製造するための金型の例を説明する。前記金型は,材料を注入するための注入口(ゲート)が設けられる固定側金型と,材料を注入する際は前記固定側と接触するが,成形後は前記固定側から離れる可動側金型とを有するものがあげられる。
成形工程では,好ましくは射出成形機を用いて射出成形を行う。射出成形機は,特に限定されず公知の射出成形機を適宜用いることができる。射出成形機として,縦型又は横型;高圧式,中圧式又は低圧式;プランジャ式又はスクリュー式などがあげられる,ただし,このリン酸カルシウム系物質を用いて微小な骨充填剤を製造するためには,横型でスクリュー式(好ましくは高圧式)の射出成形機を好ましく用いることができる。ただし,スクリュー・シリンダが磨耗するなどして生ずる不純物が成形体へ混入すると,通常の成形体であれば,特に問題とならないが,骨充填剤は生体内に投与されることが意図されているので問題が生ずるおそれがある。そこで,スクリューの表面に,TiNコーティング層などの磨耗保護層を設けることが好ましい。
脱バインダー工程は,前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダーを取り除き脱脂体を得るための工程である。脱バインダー工程は,脱脂工程ともよばれる。この脱バインダー工程で,バインダーを十分に取り除いておかなければ,後の焼結工程で,成形体に亀裂が生じる場合や,ふくれが生ずる場合がある。脱脂工程では,変形やクラックなどの欠陥を発生させずに脱バインダーを完了することが期待される。バインダーを除去するための方法には,昇華法,自然乾燥法,溶剤抽出法及び加熱脱脂法などがあげられ,好ましくは加熱脱脂法である。加熱脱脂法には,大気雰囲気,減圧雰囲気,加圧雰囲気,及びガス雰囲気で行う方法などがあるが,好ましくは大気雰囲気下で加熱して脱脂を行うものである。脱脂炉に,成形体を投入する際は,好ましくはセラミックスセッター(多孔質,緻密質)に載せる。成形体が大きい場合(肉厚が厚い),アルミナなどの多孔質であるセッターが好ましい。また,セッターの汚れや,加熱によるセッター材質から来る成分が不純物にならないように配慮することが望ましい。
脱バインダー工程は,たとえば,バインダーに含まれる樹脂の熱分解温度に応じて,複数段階の昇温時間と維持期間を有する。そして,特に熱分解温度の低い樹脂を効果的に熱分解させることで焼結性を上げることができる。本発明では,上記のように温度を上げるので,効果的に熱分解温度の低い樹脂を熱分解させることができる。好ましい態様では,骨充填剤が生体内に投与されるにもかかわらず,生体親和性に優れない化合物をバインダーに含めてもよい。そのような化合物は特に融点が低いバインダーであることが多い。そこで,昇温工程では,融点が低いバインダーを確実に蒸発させるため,比較的緩やかに温度をあげることが好ましく,具体的には,110℃〜300℃の第一の維持期間に達成するまでの間(好ましくは230℃〜250℃に達するまでの間),1℃/時間〜3×10℃/時間で昇温するものがあげられ,好ましくは1×10℃/時間〜2×10℃/時間で昇温するものであり,さらに好ましくは2×10℃/時間〜5×10℃/時間で昇温するものであり,3×10℃/時間〜4×10℃/時間で昇温するものであってもよい。維持工程は,例えば2×10分〜5時間があげられ,好ましくは3×10分〜2時間である。
焼結工程は,脱バインダー工程後の成形体を加熱するための工程である。例えば,特開2004−97259号公報(上記特許文献1)では,1250℃で1時間焼結している(同公報の段落[0025])。しかし,好ましい態様では,大気雰囲気から最高温度9×10℃〜1.1×10℃まで加熱する。これは,例えば,α−TCPなどの原材料を用いた場合に,効果的にβ−TCPに変換するためである。高温の維持時間は,例えば,5×10−1時間〜3時間があげられる。なお,焼結工程には,昇温工程(及び維持工程)後に,通常冷却工程をともなう。冷却工程は,公知の冷却方法を適宜用いればよい。冷却時間を含んだ焼結時間は,例えば6時間〜5×10時間があげられ,好ましくは1×10時間〜3×10時間である。成形温度として1×10℃〜1.5×10℃があげられる。また,金型温度として,1×10℃〜3×10℃があげられる。
後処理工程は,焼結後の成形体の後処理を行うための任意の工程である。具体的には,エジェクタピン跡をきれいにすることや,成形体を洗浄するものがあげられる。
原料粉末の他に,公知の薬剤を添加するものは,好ましい態様である。このようにすれば,本発明により製造される骨充填剤の体積はほぼ一様なので,骨充填剤は適切な薬剤の担体として機能する。このように添加される薬剤は,高温にしても活性を損なわないものが好ましい。
骨充填剤は,骨補填剤などともよばれ,骨欠損部位に充填されるものである。骨充填剤は,そのまま生体内で維持されてもよいが,生体内において骨組織と置換されるものが好ましい。具体的な骨充填剤の組成として,公知の組成のものを適宜用いることができる。具体的な,骨充填剤の組成として,カルシウム系物質を含有するものがあげられ,カルシウム系物質として,リン酸カルシウム系物質又は炭酸カルシウム系物質のいずれか又は両方があげられ,具体的には,水酸アパタイト,炭酸アパタイト,フッ素アパタイト,塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウム,リン酸四カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれらの溶媒和物のうちいずれか1種又は2種以上があげられる。
骨充填剤として,適宜薬剤を含有するものは,本発明の好ましい態様である。具体的には,骨充填剤を製造する工程において,リン酸カルシウム系物質など骨充填剤の主成分となる成分に,適宜薬剤を添加すればよい。
また,製造された骨充填剤に,適宜薬剤を含浸又は塗布するものは,本発明の別の好ましい実施態様である。薬剤の塗布方法として,薬剤を公知の薬学的に許容される希釈剤(溶媒)に溶解させて医薬組成物を得て,その医薬組成物を用いて浸漬塗布,スプレー塗布,又はスピンコート塗布するものがあげられる。これらの中では,浸漬塗布が好ましい。薬剤を浸漬塗布すると薬剤が骨充填剤の表面又は内部に含浸することとなる。すなわち,本発明では,所定の薬剤を含浸又は塗布した骨充填剤をも提供できる。なお,下記に説明する薬剤は,RP法などにより骨充填剤を製造する際の原料に混ぜてもよい。
本発明の骨充填剤の好ましい態様は,前記薬剤として,骨・軟骨形成促進剤(軟骨形成促進因子を含む),関節疾患治療剤,骨・軟骨疾患予防・治療剤,骨再生剤,骨吸収抑制物質,血管新生促進剤,抗菌剤,抗生物質又は抗癌剤を具備する上記に記載の骨充填剤である。本発明の骨充填剤の好ましい態様は,前記薬剤として,下記式(I)で示されるチエノインダゾール誘導体を具備する,上記に記載の骨充填剤である。式(I)で示されるチエノインダゾール誘導体(4,5-ジヒロドロ−1−メチル-1H−チエノ[3,4−g]インダゾール誘導体)は,例えば,特開2002−356419号公報に記載の方法に従って製造できる。なお,薬剤は,所定の薬効を得るための有効量が,本発明の骨充填剤に含まれることが望ましい。すわなち,本発明では,公知の薬剤を用いることができるので,薬剤が特定の用途に有効に機能するために必要な量(有効量)を投与できることとなるように,その薬剤の含有量を適宜調整すればよい。
Figure 2008023462
(式(I)中,RIは,カルボキシアミド基(-CH(NH)(COH)),-CH(NH)(SOH),-CH(NH)(SONHRII),-CH(NH)(PO(NH)OH),及び-CH(NH)(PO(ORII)OH)があげられ(ただし,式中RIIは炭素数が1〜5の直鎖アルキル基を示す。),これらの中でもっとも好ましいものは, カルボキシアミド基である。)
骨・軟骨形成促進剤は,骨又は軟骨の形成を促進できる剤であれば公知の剤を適宜利用できる。具体的な,軟骨形成促進剤として,国際公開2002−087620号パンフレットに開示される2−[1−(2,2−ジエトキシ-エチル)-3−(3−p−トリル-ウレジド)−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル]−N−p−トリル-アセトアミド(2-[1-(2,2-Diethoxy-ethyl)-3-(3-p-tolyl-ureido)-2,3-dihydro-1H-indol-3-yl]-N-p-tolyl-acetamide)があげられる。軟骨形成促進剤として,骨形成促進因子があげられる。骨形成促進因子は,一般にBMP(Bonemorphogenetic protein)と称され,このBMPは未分化の間葉系細胞に細胞外から作用し,その遺伝形質を軟骨細胞や骨芽細胞へと分化させ,軟骨誘導,骨誘導する物質である。骨形成促進因子として,BMP1〜13があげられる。本発明において薬剤としてBMPを用いる場合のBMPは,遺伝子組み換えあるいはDunn骨肉腫から分離,精製して得られたもの(Takaoka,K., BiomedicalResearch, 2(5)466-471(1981))のいずれでもよく,公知の製造方法により得ることができる。
関節疾患治療剤として,p38MAPキナーゼ阻害剤(WO00/64894などに記載のチアゾール系化合物等);マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤(MMPI);プレドニゾロン,ヒドロコルチゾン,メチルプレドニゾロン,デキサベタメタゾン,ベタメタゾン等の抗炎症ステロイド剤;及びインドメタシン,ジクロフェナク,ロキソプロフェン,イブプロフェン,ピロキシカム,スリンダク等の非ステロイド性消炎鎮痛剤があげられる。
骨・軟骨疾患予防・治療剤として,例えば,プロスタグランジンA1誘導体,ビタミンD誘導体,ビタミンK2誘導体,エイコサペンタエン酸誘導体,ベンジルホスホン酸,ビスホスホン酸誘導体,性ホルモン誘導体,フェノールスルフォフタレイン誘導体,ベンゾチオピランまたはベンゾチエピン誘導体,チエノインダゾール誘導体,メナテトレノン誘導体,ヘリオキサンチン誘導体などの非ペプチド性骨形成促進作用物質,難溶性のペプチド性骨形成促進物質のいずれか1種又は2種以上の混合物があげられる。これらはいずれも公知の方法により得ることができる。骨・軟骨疾患予防剤は,骨・軟骨疾患に罹患する事態を予防する剤又は骨・軟骨疾患が発症する事態を防止する剤のいずれか又は両方があげられる。
骨再生剤として,カルモジュリン,アクチノマイシンD,サイクロスポリンA,硫酸グルコサミン,塩酸グルコサミン,骨髄エキス,リン酸カルシウム,乳酸/グリコール酸/ε−カプロラクトン共重合体,多血小板血漿,又はヒト骨髄間葉細胞のいずれか1種又は2種以上の混合物があげられる。これらはいずれも公知の方法により得ることができる。
骨吸収抑制物質として,エストロゲン剤,カルシトニン及びビスホスホネートのいずれか1種又は2種以上の混合物があげられる。これらはいずれも公知の方法により得ることができる。
血管新生促進剤として,インジゴカルミン,4−[N−メチル−N−(2−フェニルエチル)アミノ]−1−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルアミノベンゾイル)ピペリジン,4-(5H-7,8,9,10-テトラヒドロ-5,7,7,10,10-ペンタメチルベンゾ[e]ナフト[2,3-b][1,4]ジアゼピン-13-イル)安息香酸,活性化プロテインC,ウロテンシンII様ペプチド化合物,繊維芽細胞成長因子(FGF)(塩基性FGF及び酸性FGFを含む),血管内皮細胞成長因子(VEGF)(血小板由来が好ましい。),肝細胞成長因子(HGF),アンギオポエチン(アンギオポエチン−1及びアンギオポエチン−2を含む。),血小板由来成長因子(PDGF),インシュリン様成長因子(IGF),又は胎児型平滑筋ミオシン重鎖(SMemb)の1種又は2種以上の混合物があげられる。これらの中では,繊維芽細胞成長因子が好ましい(Hockel,M.et
al.,Arch.Surg.,No.128,p.423, 1993)。繊維芽細胞成長因子として,塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)が好ましく,より具体的には,トラフェルミン(遺伝子組み換え)があげられる。すなわち,本発明の骨充填剤の好ましい態様のひとつは,前記薬剤として,トラフェルミン,その塩,その溶媒和物又はそのプロドラッグを具備する,上記に記載の骨充填剤である。“その塩”は,トラフェルミンの塩を意味し,具体的な塩は,先に説明した塩と同様である。“その溶媒和物”は,トラフェルミンの溶媒和物を意味し,具体的な溶媒和物は,先に説明した溶媒和物と同様である。“そのプロドラッグ”は,トラフェルミンのプロドラッグを意味し,投与後,生体内などでトラフェルミン,その電離物(イオン)又はその塩などに替わる剤を意味する。具体的には,アミノ基などの保護基を有しており,生体内で保護基が外れて,トラフェルミンと同様の機能を有するものがあげられる。
抗菌剤又は抗生物質として,公知の抗菌剤や抗生物質を適宜用いることができる。具体的な抗菌剤又は抗生物質として,スルファセタミド(sulfacetamide),スルファメチゾール(sufamethizol),スルファジミジン(sulfadimidine),スルファメラジン(sulfamerazine),スルファジアジン(sulfadiazine)などのサルファ剤;クロラムフェニコール(chloramphenicol:CP),チアムフェニコール(tiamphenicol),などのクロラムフェニコール系抗菌剤;オフロキサシン(ofloxacin:OFLX)シプロフロキサシン(ciprofloxacin:CPFX),エンロフロキサシン(enrofloxacin),ロメフロキサシン(lomefloxacin:LFLX),ルフロキサシン(rufloxacin),レボフロキサシン(levofloxacin:LVFX),フレロキサシン(fleroxacin:FLRX),ナジフロキサシン(nadifloxacin:NDFX),ノルフロキサシン(norfloxacin:NFLX),スパフロキサシン(sparfloxacin:SPFX),などのキノロン系抗菌剤;フシジン酸(fusidic acid:FA);フサファンギン(fusafungine);フォスフォマイシン(fosfomycin:FOM);ムピロシン(mupirocin:MUP);ブロデモプリム(brodimoprim);ジリスロマイシン(dirithromycin);ベンジルペニシリン(benzylpenicillin:PCG),ペニシリンG・プロカイン(ペニシリンG プロカイン塩,penicillin G procaine),ベンジルペニシリン・ベンザチン(ベンジルペニシリンベンザチン塩,benzathine penicillin),フェノキシメチルペニシリン(phenoxymethylpenicillin|;Penicillin V),メチシリン(methicillin),アンピシリン(ampicillin:ABPC),クロキサシリン(cloxacillin:MCIPC),カルベニシリン(carbenicillin),ピヴァンピシリン(pivampicillin:PVPC),アモキシシリン(AMPC),タランピシリン(talampicillin:TAPC),バカンピシリン(bacampicillin:BAPC),チカルシリン(ticarcillin:TIPC),アゾシリン(azlocillin),メズロシリン(mezlocillin),ピブメシリナム(pivmecillinam:PMPC),ピペラシリン(piperacillin:PIPC),アモキシシリン-クラブラン酸(amoxicillin:AMPC/clavulanic-acid:CVA;co-amoxiclav)),アパラシリン(apalcillin),テモシリン(temocillin),チカルシリン-クラブラン酸(ticarcillin/clavulanic acid:CVA),アンピシリン-スルバクタム(ampicillin:ABPC/sulbactam:SBT),スルタミシリン(sultamicillin:SBTPC),ピペラシリン-タゾバクタム(piperacillin:PIPC/tazobactam:TAZ),などのペニシリン系抗生物質;ストレプトマイシン(streptomycin:SM)などのストレプトマイシン系抗生物質;クロロテトラサイクリン(chlortetracycline),オーレオマイシン(aureomycin),クロラムフェニコール(chloramphenicol:CP),オキシテトラサイクリン(oxytetracycline:OTC),デメチルクロルテトラサイクリン(demethylchlortetracycline),デメクロサイクリン,レダマイシン:登録商標),ライムサイクリン(lymecycline),ドキシサイクリン(doxycycline:DOXY),ミノサイクリン(minocycline:MINO),などのテトラサイクリン系抗生物質;ネオマイシン(neomycin),スペクチノマイシン(spectinomycin:SPCM),ゲンタマイシン(gentamycin:GM),トブラマイシン(tobramycin:TOB),アミカシン(amikacin:AMK),ミクロノマイシン(micronomicin:MCR),イセパシン(isepamicin:ISP),アルベカシン(arbekacin:ABK),などのアミノグリコシド系抗生物質;エリスロマイシン(erythromycin:EM),スピラマイシン(spiramycin:SPM),ロキシスロマイシン(roxithromycin:RXM),アジスロマイシン(azithromycin:AZM),ミデカマイシン(midecamycin:MDM),クラリスロマイシン(clarithromycin:CAM),などのマクロライド系抗生物質;バンコマイシン(vancomycin:VCM),テイコプラニン(teicoplanin:TEIC),などのグリコペプチド系抗生物質;コリスチン(colistin:CL)などのポリペプチド系抗生物質;バージニアマイシン(virginiamycin),プリスチナマイシン(pristinamycin)などのストレプトグラミン系抗生物質;クリンダマイシン(clindamycin:CLDM),などのリンコマイシン系抗生物質;セファレキシン(cephalexin:CEX),セファゾリン(cefazolin:CEZ),セフラジン(cefradine:CED),セファドロキシル(cefadroxil:CDX),セファマンドール(cefamandole:CMD),セフロキシム(cefuroxime:CXM),セファクロル(cefaclor:CCL),セフォタキシム(cefotaxime:CTX),セフスロジン(cefsulodin:CFS),セフペラゾン(cefperazone),セフォチアム(cefotiam:CTM),セフトリアキソン(ceftriaxone:CTRX)セフメノキシム(cefmenoxime:CMX),セフタジジム(ceftazidime:CAZ),セフトロキシム(ceftiroxime),セフォニシド(cefonicid),セフピラミド(cefpiramide:CPM),セフォペラゾン−スルバクタム(cefoperazone:CPZ/sulbactam:SBT),セフポドキシム(cefpodoxime:CPDX),セフォジジム(cefozidime),セフジニル(cefdinir:CFDN),セフェタメト(cefetamet:CEMT),セフェピロム(cefpirome:CPR),セフェプロジル(cefprozil),セフェティブフェン(ceftibufen),セフェピム(cefepime:CFPM),などのセファロスポリン系抗生物質;セフォキシチン(cefoxitin:CFX),セフメタゾール(cefmetazole:CMZ),セフォテタン(cefotetan:CTT),などのセファマイシン系抗生物質;ラタモキセフ(latamoxef:LMOX),フロモキセフ(flomoxef:FMOX),などのオキサセフェム系抗生物質;イミペネム-シラスタチン(imipenem:IPM/cilastatin:CS;チエナム:登録商標)などのカルバペネム系抗生物質;アズトレオナム(aztreonam:AZT)などのモノバクタム系抗生物質;ロラカルベフ(loracarbef:LCBF)などのカルバセフェム系抗生物質;パニネム-ペタミプロン(panipenem:PAPM/betamipron:BP),などのカルバペネム系抗生物質;リスロマイシン(telithromycin:TEL)などのケトライド系抗生物質のうち,1種又は2種以上を適宜混合したものがあげられる。
抗癌剤は,癌を治療又は予防するための医薬である。抗癌剤として公知の抗癌剤を適宜用いることができる。具体的には,OK−432(商品名ピシバニール)などの抗癌溶連菌製剤;クレスチン,レンチナン,レンチナン,シゾフィラン,ソニフィランなどの抗癌多糖体;マイトマイシンC(商品名マイトマイシン他),アクチノマイシンD(商品名コスメゲン),塩酸ブレオマイシン(商品名ブレオ),硫酸ブレオマイシン(商品名ブレオS),塩酸ダウノルビシン(商品名ダウノマイシン),塩酸ドキソルビシン(商品名アドリアシン),ネオカルチノスタチン(商品名ネオカルチノスタチン),塩酸アクラルビシン(商品名アクラシノン),又は塩酸エビルビシン(商品名ファルモルビシン)などの抗癌抗生物質;ビンブラスチンのような有糸分裂阻害剤;シス−プラチン,カルボプラチン及びシクロホスファミドのようなアルキル化剤;例えば5−フルオロウラシル,シトシンアラビノシド及びオキシ尿素(hydroxyurea),N−{5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル}−L−グルタミン酸のような抗代謝剤;アドリアマイシンやブレオマイシンのような層間抗生物質;例えばアスパラギナーゼのような酵素;エトポシドのようなトポイソメラーゼ阻害剤;インターフェロンのような生物的反応修飾剤;“NOLVADEX"(タモキシフェン)のような抗エストロゲン剤,“CASODEX"のような抗アンドロゲン物質;フルオロウラシル,テガフール,テガフール・ウラシル,及びメトトレキサートのような代謝拮抗剤;ビンクリスチンのような植物アルカロイド;マイトマイシンC,アクチノマイシンD,塩酸ブレオマイシン,硫酸ブレオマイシン,塩酸ダウノルビシン,塩酸ドキソルビシン,ネオカルチノスタチン,塩酸アクラルビシン,アクラシノン,及び塩酸エピルビシンのような抗癌抗生物質; シクロトリホスファゼン−白金錯体複合体,シスプラチン−白金錯体複合体のような白金錯体があげられる。
なお,本発明の骨充填剤は,生体内において骨と置き換わることを促進することが期待されるので,特定のポリペプチド又は遺伝子を含む薬剤が骨充填剤に含浸又は表面に塗布されていてもよい。そのようなポリペプチド又は遺伝子として,塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),血小板分化増殖因子(PDGF),インスリン,インスリン様増殖因子(IGF),肝細胞増殖因子(HGF),グリア誘導神経栄養因子(GDNF),神経栄養因子(NF),ホルモン,サイトカイン,骨形成因子(BMP),トランスフォーミング増殖因子(TGF),血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などがあげられる。これらのなかでは,血管新生および/または骨形成を促す増殖因子が好ましい。そのような増殖因子としては,例えば骨形成因子(BMP),骨増殖因子(BGF),血管内皮細胞増殖因子(VEGF)およびトランスフォーミング増殖因子(TGF)があげられる。具体的には,特許3713290号に開示されるカルポニン遺伝子などがあげられる。遺伝子は,骨充填剤中に,遺伝子治療に有効な量含まれていればよい。遺伝子は,そのまま(ネイキッド),ミセル状,又はウィルスベクターなどの公知のベクターに形質転換された組換えベクターの形で含まれればよい。また,薬剤は,公知の遺伝子の抗体であってもよい。
遺伝子は,通常の方法に従い,公知の配列を基に調整することができる。例えば,骨芽細胞からRNAを抽出し,公知の配列を元にプライマーを作製し,PCR法でクローニングすることにより目的とする遺伝子のcDNAが調整できる。また,市販のものを購入して用いても良い。
本発明の骨充填剤の好ましい態様は,安定化剤を含む上記に記載の骨充填剤である。安定化剤として,ポリマーなどに用いられる公知の安定化剤,特に薬学的に許容される安定化剤を適宜用いることができる。なお,本発明の骨充填剤は,主に生体内において長期間にわたって強度が維持される。そして,生体内には,プロテアーゼなどの酵素が存在するので,骨充填剤が早期に分解される事態が想定される。そこで,本発明の好ましい態様では,安定化剤として,プロテアーゼインヒビターなどの阻害剤を含ませるものがあげられる。このような阻害剤として,公知の酵素阻害剤を適宜用いることができる。具体的な,プロテアーゼインヒビターとして,4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルフォニルフルオライド,アプロチニン(Aprotinin),べステイン(Bestain),カルパインインヒビターI,カルパインインヒビターII,シモステイン(Chymostain),3,4-ジククロロイソクマイン(3,4-Dichloroisocoumain),E-64,EDTA,EGTA,ラクタシスチン(Lactacystin),ロイペプチン(Leupeptin),MG-115,MG-132,ペプステインA(PepstainA),フェニルメチルスルフォニルフルオライド,プロテアソームインヒビターI,p−トルエンスルフォニル−L−リシンクロロメチルケトン,p−トルエンスルフォニル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン,又はチロシンインヒビターのいずれか1種または2種以上があげられる。これらのプロテアーゼインヒビターは,市販されており,これらのプロテアーゼインヒビターの阻害濃度も公知である。本発明の骨充填剤によって形成される化合物の好ましい態様は,生体内で長期間維持し,薬剤に対して徐放性を有するものである。したがって,本発明の骨充填剤は,好ましくは,上記のプロテアーゼインヒビターの1回当りの投与量の2倍〜100倍の量を含むものであり,より好ましくは2倍〜50倍の量を含むものである。プロテアーゼインヒビターの具体的な量は,用いるプロテアーゼインヒビターの種類などによっても異なるが,プロテアーゼインヒビターとして有効に機能する量(有効量)含まれることが好ましく,一般的に,骨充填剤1g当たり,0.1μg〜0.5mg含まれるものがあげられ,1マイクロg〜0.1mg含まれるものでもよく,10マイクロg〜0.1mg含まれるものであってもよい。具体的な投与量は,骨充填剤を投与する部位の容積にほぼ比例して増大することとなる。
製造された骨充填剤(又は,焼結工程後に得られた焼結体)に,適宜接着性付与剤を含浸又は塗布するものは,本発明の別の好ましい実施態様である。また,接着性付与剤が熱で変性しにくいものの場合は,原料粉末に接着性付与剤を混ぜておき接着性付与剤が粉体混合された骨充填剤を得てもよい(このような場合,骨充填剤の表面にも接着性付与剤が存在するほか,表面が骨と置換され新たに現れる表面にも接着性付与剤が存在するので接着性を維持できることとなる)。また,接着性付与剤は,成形体又は焼結体の表面に粉状のまま散布してもよい。さらに,複数の骨充填剤と粉末の接着性付与剤とを混合し適宜攪拌することにより粉体混合し,これにより骨充填剤の表面に接着性付与剤を付着させてもよい。接着性付与剤は,前記の薬剤とともに含浸又は塗布されてもよいし,接着性付与剤のみが含浸又は塗布されてもよい。接着性付与剤は,骨充填剤同士の接着凝集性を高めるための剤であり,好ましくは接着性付与剤のみでは高い接着性を有しないが,生体内において体細胞などと接触することで接着凝集性が高くなる物質が好ましい。具体的な,接着性付与剤として,トロンビンがあげられる。トロンビンは,血液を固まりやすくする酵素の一種である。トロンビンの生体内での働きは,血液を固める血液凝固物質であるフィブリンを作り出すことである。トロンビンにより生成されたフィブリンによって,血液が固まりやすくなる。よって,接着性付与剤としてトロンビンを用いれば,骨充填剤表面の接着凝集性が高まり,これによって骨充填剤同士が固定され,骨充填剤全体としての強度が高まることとなる。トロンビンは,上記の薬剤と同様の量を上記の薬剤と同様にして含浸又は塗布させることができる。
“その塩”とは,上記化合物の塩,特に薬学的に許容される上記化合物の塩を意味する。本明細書において“薬学的に許容される”とは,受容者に有害でないことを意味する。本発明のポリリン酸は,常法に従って塩にすることができる。その塩としては,例えば,ナトリウム塩,カリウム塩,リチウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩,マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩,鉄塩,亜鉛塩,銅塩,ニッケル塩,コバルト塩などの金属塩;アンモニウム塩などの無機塩;t-オクチルアミン塩,ジベンジルアミン塩,モルホリン塩,グルコサミン塩,フェニルグリシンアルキルエステル塩,エチレンジアミン塩,N-メチルグルカミン塩,グアニジン塩,ジエチルアミン塩,トリエチルアミン塩,ジシクロヘキシルアミン塩,N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩,クロロプロカイン塩,プロカイン塩,ジエタノールアミン塩,N-ベンジル-N-フェネチルアミン塩,ピペラジン塩,テトラメチルアンモニウム塩,トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩などの有機塩などのアミン塩;があげられる。これらのうちで,ポリリン酸の塩として,アルカリ金属塩が好ましく,ナトリウム塩がより好ましい。本明細書において,“その塩”には,無水塩のみならず含水塩が含まれても良い。これらの塩は,例えば,生体内などで電離して上記の化合物と同様に機能する。
“その溶媒和物”とは,上記化合物の溶媒和物を意味する。溶媒和物として,水和物があげられる。また,本発明の剤は,大気中に放置したり,再結晶することにより,水分を吸収し,吸着水が付いたり,水和物となる場合がある。そのような溶媒和物を形成する場合も,“その溶媒和物”に含む。これらの溶媒和物は,生体内などで電離して上記の化合物と同様に機能する。
3−4.骨充填剤の使用方法
上記のようにして製造された骨充填剤は,例えば,外科又は整形外科による治療により骨欠損部を充填するために用いられる。図1に示したように,本発明の骨充填剤を骨欠損部に充填された患者は,本発明の骨充填剤が骨欠損部の形状と一致しているので,骨充填剤を充填した際に,充填部の強度が維持される。さらに,骨充填剤が,骨組織と迅速に置換されるので,早期に骨組織が再生されることとなる。すなわち,本発明は,上記のようにして製造された骨充填剤を用いた骨を欠損した患者の治療方法をも提供できる。
4.骨充填剤の製造方法
本発明の第4の側面は,骨模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で得られた骨模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で骨模型に設置した像形成剤に基づいて,骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;を含む骨充填剤の製造方法に関する。なお,像形成剤設置工程は,好ましくは,前記骨模型製造工程で得られた骨模型を用いて,骨模型の非対称性を補正するように像形成剤を設置する工程である。そのようにすることで,骨のゆがみを補強できる骨充填剤を得ることができることとなる。本発明の第4の側面の好ましい態様は,前記骨模型製造工程で得られる前記骨模型が,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である上記に記載の骨充填剤の製造方法に関する。本発明の第4の側面の好ましい態様は,前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤が,前記骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかが異なるものである上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法に関する。なお,本発明の第4の側面の好ましい態様は,骨模型が,骨欠損症の患者,骨変形症の患者又は美容整形の患者の骨模型である上記いずれかに記載の骨充填剤の製造方法である。本発明の骨充填剤の製造方法で得られた骨充填剤は,骨の歪みを補正したり,骨格を美しく補正することができるので,骨変形症の治療や,美容整形などに効果的に利用することができる。
5.ギプスの製造方法
本発明の第5の側面は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する骨のデジタル情報取得工程と;前記骨のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位における骨の模型を製造する骨模型製造工程と;前記骨模型製造工程で製造された骨模型に骨充填剤用の像形成剤を設置するとともに,前記骨充填剤用の像形成剤とは異なる素材を含むギプス形成用の像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,骨充填剤及びギプスを製造する骨充填剤及びギプスの製造工程と;を含む骨充填剤及びギプスの製造方法に関する。
この側面に係る骨充填剤及びギプスの製造方法によれば,患部にふさわしい骨充填剤を得ることができるとともに,その骨充填剤を適切に支持できるギプスをも設計できることとなる。ギプス形成用の像形成剤が,骨充填剤用の像形成剤とは異なる素材を含むので,CTスキャンやMRIなどで撮影する際に,それらの形状を区別することができる。具体的には,これまで説明した骨充填剤の製造方法と同様にしてギプスをも製造すればよい。なお,ギプスの素材は,ギプスに用いられる公知の素材を適宜用いればよい。また,骨充填剤と同じ素材を用いてギプスを製造しても良い。
本発明の第5の側面の好ましい態様は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報,及び前記骨の周囲の軟組織に関するデジタル情報を取得する骨及び軟組織のデジタル情報取得工程と;前記骨及び軟組織のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位におけるギプスを製造する,ギプスの製造方法に関する。前記軟組織のデジタル情報に基づいて,ギプスを製造するので,患者にふさわしい形状を有するオーダーメードのギプスを製造できることとなる。なお,本明細書において,軟組織とは,生体のうち骨以外の比較的やわらかい部位を意味し,具体的には,内臓,肉及び皮膚などを意味する。本発明の骨充填剤及びギプスの製造方法,又はギプスの製造方法については,上記した骨充填剤の製造方法における好ましい態様,構成を適宜採用することができる。具体的には,例えば,対象部位として,左右対称な部位のある部位(例えば,頭蓋骨,上下顎,四肢,又は骨盤など)とし,対応する部位より所定の閾値(例えば5mm)以上低くなっている部分を抽出し,その領域に骨充填剤を設置した場合の形状をシミュレーションし,その上で骨充填剤を設置した領域を覆うような形状のギプスを設計するようにすればよい。そのような設計は,コンピュータを上記のように動作させるプログラムを作成することで容易に達成できる。すなわち,対象部分の骨情報及び軟組織情報を入手したコンピュータは,メインメモリに格納されるプログラムを読み出して,所定の演算を行うことにより,ギプスの設計データを得ればよい。なお,単純に軟組織部分に所定値(例えば1cm)高くなるような形状のギプスを設計しても良い。
6.外見模型,及びその製造方法
本発明の第6の側面は,等高線,又はます目模様が描画された体のある部位の外見模型に関する。等高線又はます目が描画されているので,特定部位の歪みを客観的に把握できる。特に施術前後の外見模型を比較すると,施術によってどの程度変化したか客観的に把握することができる。
本発明の第6の側面の好ましい態様は,前記外見模型は,患者の特定部分の体表を再現したものである上記に記載の外見模型に関する。患者の特定部位としては,先に述べた部位などをあげることができ,具体的には,顔,頭,四肢,胸,下腹部,又は腰などがあげられる。
本発明の第6の側面の好ましい態様は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位における外表の各部位について基準面からの高度を求めるか,又は前記特定部位における外表の各部位について基準点からの平面上のずれを求める描画情報取得工程と,ラピッドプロトタイプ法により前記患者の特定部位における前記特定部位における外表模型を製造するとともに,前記描画情報取得工程で得られた高度又は平面上のずれに基づいて,等高線又はます目模様を描画する外見模型製造工程と;を含む外見模型の製造方法に関する。このような製造方法によれば,外見模型を適切に製造できる。なお,患者の特定部位とは,例えば,事故などで欠損した部位,骨変形症などにより骨の歪みが見られる部位など,骨充填剤を埋入する部位を含む部位である。施術前後の外見模型を得ることができるので,外科等の手術において,施術前後でどの程度外見が変化したかを示すことができる。なお,外見模型については,先に説明した骨模型と同様の素材,原料を用いて同様にして製造できる。すなわち,本明細書において骨模型を製造するための装置,及び方法として開示したものを適宜用いて外見模型を製造できる。繰り返しを避けるため,記載を準用する。
7.エピテーゼ又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法
本発明の第7の側面は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位の3次元デジタル像を得る3次元デジタル像取得工程と;前記3次元デジタル像取得工程で得られた前記特定部位の3次元デジタル像に基づいて,エピテーゼ像データを取得するエピテーゼ像データ取得工程と;前記エピテーゼ像データ取得工程で得られたエピテーゼ像データを用いてラピッドプロトタイプ法によりエピテーゼを製造する工程と;を含む,エピテーゼの製造方法に関する。このエピテーゼの製造方法においては,先に説明した各製造方法において説明した技術を適宜用いればよい。エピテーゼとは,補綴物(ほてつぶつ)又は補綴装置の意味であり主に体の表面に取り付けるための人工物を意味する。特定部位の3次元デジタル像に基づいて,エピテーゼ像データを取得するためには,例えば,顔,顎,目,四肢,骨盤,及びその周辺の軟組織など特定部位の左右対称な部位のデジタル像を得て,その得られた左右対称な部位の情報を左右対称となるようにアフィン変換を行い,エピテーゼを取り付ける対象部位のデジタル情報と重ね合わせ,差分を求めることでエピテーゼ像を得てもよい。このような方法は,本明細書における他の方法においても用いることができる。また,患者の特定部位のデジタル情報に基づいて,施術者がエピテーゼ像をポインティングデバイスなどを用いて入力することによりエピテーゼ像に関する情報を得てもよい。得られたエピテーゼ像データを用いてエピテーゼ像を製造するためには,先に説明したラピッドプロトタイプ法などコンピュータ支援像形成方法を適宜用いればよい。特に,MRIなどで対象部位の色情報も含めて取得しておけば,ラピッドプロトタイプ法などでエピテーゼ像を製造する際に,外表部位情報とその部位の色情報とを関連して記憶させ,その外表部位を製造する際には,外表部位と関連して記憶された色情報に従って,インクなどの色素を塗布することで,色情報を反映したエピテーゼを製造することができる。また,患者の特定部位の外表の色を平均化した情報などに基づいて,ラピッドプロトタイプ法で製造されるエピテーゼ像の基本色を設定して,その色を反映したエピテーゼを得てもよい。
本発明の第7の側面の好ましい態様は,患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位の3次元デジタル像を得る3次元デジタル像取得工程と;前記3次元デジタル像取得工程で得られた前記特定部位の3次元デジタル像に基づいて,
前記特定部位の外見模型を製造する外見模型製造工程と;前記外見模型製造工程で得られた外見模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,エピテーゼ像を製造するための鋳型に関するデジタルデータを得る鋳型情報取得工程と;前記鋳型情報取得工程で得られた鋳型を製造する鋳型製造工程と;を含むエピテーゼ製造用鋳型の製造方法に関する。たとえば,左右対称な部位の一部が欠損等した場合では残されている部位から欠損した部位の形状を想定するので,対称性に優れるエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することができる。本発明によれば,CTスキャンなどで特定部位の形状情報を取得し,その情報に従ってエピテーゼをコンピュータ上で設計するので,印象剤などを患者に直接当てる必要がなくなり低侵襲なエピテーゼの製造方法,又はエピテーゼ製造用鋳型の製造方法を提供することができる。なお,このようにして得られたエピテーゼ製造用鋳型は,例えば,鋳型内にシリコーンワックスを入れてエピテーゼ基材を製造し,施術者が彫刻などの微調整を行い,着色すればよい。このようにしてエピテーゼを取得した後は,形成外科などにおいて行われる公知の施術方法に従ってエピテーゼを取り付ければよい。
以下,実施例を用いて本発明を具体的に説明する。しかしながら,本発明は,以下の実施例に限定されるものではなく,本明細書に開示された事項に適宜調整を加えて実施することができるものである。図2は,本実施例における各ステップの概略図である。すなわち,本実施例では,骨変形症の患者の骨の歪みを補正するための骨充填剤を製造し,患者に埋め込むことで骨の歪みを矯正した。図2に示されるように,本実施例における骨充填剤の製造方法は,患者の頭蓋骨(前半分部分)をCTにて撮影しデジタル化した。図3は,CTにより撮影された図面に替わるCT画像を示す図である。図3(a)は,頬部のCT画像を示す図であり,図3(b)は下顎部のCT画像を示す図である。図3(a),及び図3(b)に示されるとおり,CT画像を撮影した患者は,骨が左右で非対称であり歪みが生じていた。このCT画像をもとに,患者の頭蓋骨の3次元デジタル像をコンピュータにより取得し,ラピッドプロトタイプ法により骨模型(1)を製造した。図4(a)は,得られた石膏モデル(骨模型)を示し,図4(b)骨模型の側面図を示し,図4(c)は等高線を描画した骨模型の設計図を示す。本実施例では,等高線(又はます目)が描画されていない骨模型を用いたが,図4(c)に示されるような等高線などが描画された骨模型を用いれば,骨の歪みや骨を形成したい部位を容易に把握できるので好ましい。
次に,骨模型に,像形成剤を設置した。すなわち,歪みが生じている部分の歪みを補正するように像形成剤をもった。具体的には,図3(a),図3(b)及び図4(a)に示される骨補填関心領域(凹みが認められる部位)に,骨充填剤を設置した。図5(a)は正面図,図5(b)は側面図,図5(c)は下面図である。本実施例では,像形成剤がピンク色なので,ワックスアップ(像形成剤を設置すること)された部分がよくわかる。
次に,像形成剤を設置した骨模型をCTスキャンにて画像化した。図6は,像形成剤を設置した骨模型の図面に替わるCT画像である。図6(a)は,頬部のCT画像を示す図であり,図6(b)は下顎部のCT画像を示す図である。図6(a)及び図6(b)に示されるように,CTスキャンにより骨模型部分と,像形成剤部分とは,明確に区別できる。そして,得られた像形成剤部分の3次元デジタルデータに基づいて,ラピッドプロトタイプ法により,骨充填剤を製造した。得られた骨充填剤にそれぞれ3箇所,直径0.5mm〜1.5mmの穴をそれぞれ3箇所あけた。この穴は,骨充填剤を埋め込む際に固定用の糸などを通すための穴である。図7は,本実施例により得られた骨充填剤の図面に替わる写真である。図7(a)は,頬部に埋められる骨充填剤を示す図であり,図7(b)はその裏面を示す図である。図7(c)は下顎部に埋められる骨充填剤を示す図であり,図7(d)はその裏面を示す図である。
得られた骨充填剤を患者に入れる手術を行った。その結果を図8に示す。図8は,実施例で得られた骨充填剤を用いて施術した患者の起伏を示す顔面の等高線が描画された石膏像(外見模型)の図面に替わる写真である。この外見模型もラピッドプロトタイプ法を用いて製造した。図8(a)は施術前,図8(b)は施術後のものである。図8(b)を図8(a)と比較すると,施術前に比べて骨の歪みが小さくなっていることがわかる。
本発明の骨模型又は外見模型は,医師などが,患者の骨の形状を容易且つ正確に把握できるので医療用機器産業などの分野で好適に利用される。
本発明の骨充填剤の製造方法は,骨欠損や骨変形などの補正や矯正に効果的に利用されうるので,医療機器産業などにおいて好適に利用されうる。

Claims (36)

  1. 患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する骨のデジタル情報取得工程と;
    前記骨のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位における骨の模型を製造する骨模型製造工程と;
    前記骨模型製造工程で製造された骨模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;
    前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;
    前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;
    を含む骨充填剤の製造方法。
  2. 前記患者の特定部位を撮影する工程は,CTスキャン又はMRIにより前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する工程であり;
    前記像形成剤デジタル情報取得工程は,CTスキャン又はMRIにより像形成剤のデジタル情報を取得する工程である;請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  3. 前記患者の特定部位は,患者の頭蓋骨,下顎部,上顎部,四肢,又は骨盤のいずれかを含む部位である請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  4. 前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  5. 前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,石膏を含有する骨模型である請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  6. 前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,カルシウム系物質とポリビニルアルコール樹脂を含有し,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合される骨模型である請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  7. 前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,α型半水石膏とポリビニルアルコール樹脂を含有する組成物を原料とし,前記カルシウム系物質と前記ポリビニルアルコール樹脂の合計重量を100重量部とした場合に,前記ポリビニルアルコール樹脂は,2重量部〜8重量部となるように配合される,請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  8. 前記骨模型製造工程は,ラピッドプロトタイプ法,射出成形法,切削による積層造形方法,又はマシニングセンタを有する加工装置を用いた成形法により骨模型を製造する工程である,請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  9. 前記骨模型は,石膏を主成分とし;
    前記像形成剤は,ワックス又はプラスティックを全重量の90重量%以上含有する;
    請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  10. 前記骨模型は,石膏を主成分とし;
    前記像形成剤は,ワックスを全重量の90重量%以上含有する;
    請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  11. 前記骨模型は,石膏を主成分とし;
    前記像形成剤は,
    ワックスを全重量の90重量%以上含有し,
    ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する;
    請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  12. 前記骨充填剤製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨充填剤を製造する工程である,請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  13. 前記骨充填剤製造工程で得られる骨充填剤は,水酸アパタイト,炭酸アパタイト,フッ素アパタイト,塩素アパタイト,β−TCP,α−TCP,メタリン酸カルシウム,リン酸四カルシウム,リン酸八カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸水素カルシウム,リン酸二水素カルシウム,ピロリン酸カルシウム,それらの塩,又はそれらの溶媒和物のうちいずれか1種又は2種以上を用いて製造される骨充填剤である,
    請求項1に記載の骨充填剤の製造方法。
  14. 等高線,又はます目模様が描画された骨模型。
  15. 前記骨模型は,患者の特定部分の骨形状を再現したものである請求項14に記載の骨模型。
  16. 前記骨模型は,患者の頭蓋骨の骨形状を再現したものである請求項14に記載の骨模型。
  17. 骨模型を製造する骨模型製造工程と;
    前記骨模型製造工程で得られた骨模型の骨欠損部に,像形成剤を充填する像形成剤充填工程と;
    前記像形成剤充填工程で骨模型の骨欠損部に充填した像形成剤に基づいて,骨欠損部に充填する骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;
    を含む骨充填剤の製造方法。
  18. 前記骨模型製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨模型を製造する工程である請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  19. 前記骨模型製造工程で得られる前記骨模型は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  20. 前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は,
    前記骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかが異なるものである請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  21. 前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は,
    ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  22. 前記骨模型製造工程で製造される骨模型は,石膏を主成分とし;
    前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は,
    ワックスを全重量の90重量%以上含有し,
    ルチル型の酸化チタンを全重量の2重量%以上5重量%以下含有する;
    請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  23. 前記骨充填剤製造工程は,ラピッドプロトタイプ法により骨充填剤を製造する工程である請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  24. 前記骨充填剤製造工程は,
    カルシウム系物質を含む原材料,及びバインダーを含む材料を混練するための混練工程と;
    前記混練工程で得られた混練物を用いて,金型を有する射出成形機を用いた射出成形により所定の形状を持った成形体を得るための成形工程と;
    前記成形工程で得られた成形体に含まれるバインダーを取り除き脱脂体を得るための脱バインダー工程と;
    前記脱バインダー工程後の脱脂体を加熱し,焼結し焼結体を得るための焼結工程と;
    を含む
    請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  25. 前記骨充填剤製造工程で得られた骨充填剤に,骨・軟骨形成促進剤,関節疾患治療剤,骨・軟骨疾患予防・治療剤,骨再生剤,骨吸収抑制物質,血管新生促進剤,抗菌剤,抗生物質又は抗癌剤を含浸又は塗布する工程を含む請求項17に記載の骨充填剤の製造方法。
  26. 骨模型を製造する骨模型製造工程と;
    前記骨模型製造工程で得られた骨模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;
    前記像形成剤設置工程で骨模型に設置した像形成剤に基づいて,骨充填剤を製造する骨充填剤製造工程と;
    を含む骨充填剤の製造方法。
  27. 前記骨模型製造工程で得られる前記骨模型は,等高線,又はます目模様が描画された骨模型である請求項26に記載の骨充填剤の製造方法。
  28. 前記像形成剤充填工程で用いられる像形成剤は,
    前記骨模型とX線透過率,赤外線透過率,又は紫外線透過率のいずれかが異なるものである請求項26に記載の骨充填剤の製造方法。
  29. 前記骨模型は,骨欠損症の患者,骨変形症の患者又は美容整形の患者の骨模型である,請求項26に記載の骨充填剤の製造方法。
  30. 患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報を取得する骨のデジタル情報取得工程と;
    前記骨のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位における骨の模型を製造する骨模型製造工程と;
    前記骨模型製造工程で製造された骨模型に骨充填剤用の像形成剤を設置するとともに,前記骨充填剤用の像形成剤とは異なる素材を含むギプス形成用の像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;
    前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;
    前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,骨充填剤及びギプスを製造する骨充填剤及びギプスの製造工程と;
    を含む骨充填剤及びギプスの製造方法。
  31. 患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨の断面図を含む骨のデジタル情報,及び前記骨の周囲の軟組織に関するデジタル情報を取得する骨及び軟組織のデジタル情報取得工程と;
    前記骨及び軟組織のデジタル情報取得工程で取得された複数の骨及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記患者の特定部位におけるギプスを製造する,
    ギプスの製造方法。
  32. 等高線,又はます目模様が描画された体のある部位の外見模型。
  33. 前記外見模型は,患者の特定部分の体表を再現したものである請求項32に記載の外見模型。
  34. 患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;
    前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位における外表の各部位について基準面からの高度を求めるか,又は前記特定部位における外表の各部位について基準点からの平面上のずれを求める描画情報取得工程と,
    ラピッドプロトタイプ法により前記患者の特定部位における前記特定部位における外表模型を製造するとともに,前記描画情報取得工程で得られた高度又は平面上のずれに基づいて,等高線又はます目模様を描画する外見模型製造工程と;
    を含む外見模型の製造方法。
  35. 患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;
    前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位の3次元デジタル像を得る3次元デジタル像取得工程と;
    前記3次元デジタル像取得工程で得られた前記特定部位の3次元デジタル像に基づいて,エピテーゼ像データを取得するエピテーゼ像データ取得工程と;
    前記エピテーゼ像データ取得工程で得られたエピテーゼ像データを用いてラピッドプロトタイプ法によりエピテーゼを製造する工程と;
    を含む,エピテーゼの製造方法。
  36. 患者の特定部位を撮影し,前記患者の特定部位における複数の骨,及び軟組織の断面図を含む前記特定部位の断面図に関するデジタル情報を取得する断面図デジタル情報取得工程と;
    前記断面図情報取得工程で取得された複数の骨,及び軟組織の断面図を含むデジタル情報に基づいて,前記特定部位の3次元デジタル像を得る3次元デジタル像取得工程と;
    前記3次元デジタル像取得工程で得られた前記特定部位の3次元デジタル像に基づいて,
    前記特定部位の外見模型を製造する外見模型製造工程と;
    前記外見模型製造工程で得られた外見模型に像形成剤を設置する像形成剤設置工程と;
    前記像形成剤設置工程で像形成剤が設置された骨模型を撮影し,像形成剤のデジタル情報を取得する像形成剤デジタル情報取得工程と;
    前記像形成剤デジタル情報取得工程で取得された像形成剤のデジタル情報に基づいて,エピテーゼ像を製造するための鋳型に関するデジタルデータを得る鋳型情報取得工程と;
    前記鋳型情報取得工程で得られた鋳型を製造する鋳型製造工程と;
    を含むエピテーゼ製造用鋳型の製造方法。
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