JP2001092950A - 補填用人工骨設計システム及びそれを用いた補填用人工骨の製造方法 - Google Patents

補填用人工骨設計システム及びそれを用いた補填用人工骨の製造方法

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JP2001092950A
JP2001092950A JP27146499A JP27146499A JP2001092950A JP 2001092950 A JP2001092950 A JP 2001092950A JP 27146499 A JP27146499 A JP 27146499A JP 27146499 A JP27146499 A JP 27146499A JP 2001092950 A JP2001092950 A JP 2001092950A
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Masahito Nishio
将人 西尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 欠損部形状をより正確に把握することがで
き、ひいては得るべき人工骨の形状精度あるいは欠損部
への適合精度を向上させることができる補填用人工骨設
計システムと、それを用いた補填用人工骨の製造方法と
を提供する。 【解決手段】 互いに異なる複数の断層位置にて撮影さ
れた断層画像90のそれぞれにおいて、予め定められた
濃度レベルの画素領域を、骨部候補領域108として抽
出する。そして、骨部候補領域108のうち、最終的に
骨部領域として使用するもの(確定骨部領域)93,1
10を選択し、その確定骨部領域93,110に基づい
て、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報で
ある骨部外形線情報103を生成する。そして、各断層
位置毎の骨部外形線情報103に基づいて、骨部の欠損
部の三次元形状データを作成し、その三次元形状データ
を参照しつつ、被加工材料を補填用人工骨形状に加工す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線CT、NMR
等の人体断層画像に基づいて頭蓋骨等の骨部の欠損部を
埋める補填用人工骨を設計するシステムと、それを用い
た補填用人工骨の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば交通事故やその他の事故により骨
に欠損を生じた患者を治療するために、その欠損部を人
工骨で埋める手術が整形外科あるいは形成外科の分野に
て行われている。これに関連する従来技術として、例え
ば特開平7−284501号公報には、X線CTあるい
はMRIの断層イメージ(断層画像)を用いて、人工骨
頭等の内固定部材の挿入部位(例えば欠損部)を三次元
データとして取得し、その三次元データを用いて該挿入
部位の三次元イメージを表示しつつ、内固定部材の画像
をその画面上にて移動させて、手術前に、部材の挿入部
位に対する適合性をシミュレーションできるようにした
技術が開示されている。
【0003】他方、特公平6−2137号公報には、X
線CTあるいはMRIの断層イメージを用いて、人工骨
頭等の内固定部材の挿入部位を三次元データとして取得
し、その三次元データを切削装置に出力することによ
り、挿入部位のレプリカ(模型)を作製する装置が開示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、断層画像に
基づいて欠損部の形状復元を行う場合、欠損の形成され
ていない健常部の形状を正確に把握することが不可欠で
ある。しかしながら、人体骨格の外形形状はかなり複雑
であり、断層画像から単純に骨部画像を抽出するだけで
は、欠損部の補填形状を正確に推定することが困難な場
合がある。
【0005】例えば、頭蓋骨を例に取ると、形状は大ま
かには回転楕円体あるいは卵型の外形を呈するが、内部
構造はそれほど単純でなく、例えば鼻部や耳部には、小
さな別の骨部として形成されている部分もあるし、ま
た、眼窩などの大きな開口部も形成されているから、断
層を取れば、本来は一体の骨部が分離して現われること
も当然にありうる。さらに、測定上の問題として、骨部
以外の領域にも、ノイズ等の影響により骨部と同じ濃度
レベルの小さな領域が現われてしまうこともある。しか
しながら、前記の特公平6−2137号公報あるいは特
開平7−284501号公報には、このような状況にて
欠損部の補填形状をより精度高く設計するための、具体
的な方法については何ら開示されていない。
【0006】本発明の課題は、欠損部形状をより正確に
把握することができ、ひいては得るべき人工骨の形状精
度あるいは欠損部への適合精度を向上させることができ
る補填用人工骨設計システムと、それを用いた補填用人
工骨の製造方法とを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の補填用人工骨設計システ
ムは、人体断層画像に基づいて骨部欠損部を埋める補填
用人工骨を設計するシステムにおいて、互いに異なる複
数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおい
て、予め定められた濃度レベルの画素領域を、骨部候補
領域として抽出する骨部候補領域抽出手段と、その骨部
候補領域のうち、最終的に骨部領域として使用するもの
(以下、確定骨部領域という)を選択する領域選択手段
と、その確定骨部領域に基づいて、最終的に骨部として
定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生
成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部
外形線情報に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状デー
タを生成する三次元形状データ生成手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0008】また、本発明の補填用人工骨の製造方法
は、上記の補填用人工骨設計システムにより作成された
三次元形状データを参照しつつ、被加工材料を前記三次
元形状データが示す補填用人工骨形状に加工する工程を
含むことを特徴とする。
【0009】なお、骨部は例えば頭蓋骨であり、この場
合、断層画像は、軸線方向をその頭蓋骨を縦方向に貫く
形で設定することにより得られる頭部の輪切り画像とす
ることができるが、これに限られるものではなく、欠損
が生じうるあらゆる骨部を対象とすることができる。ま
た、被加工材料は、人工骨素材であるセラミックスの未
焼成成形素材とすることができる。この場合、補填用人
工骨形状に加工された素材を焼成することにより、補填
用人工骨を得ることができる。なお、作成された三次元
形状データは、例えば焼成による収縮等を考慮するため
に、所定の比率にて寸法の拡大(あるいは縮小)を行っ
た形で使用することもできる。また、本明細書において
画素濃度とは、画素の濃淡、色彩及びその両者の組み合
わせのいずれかにより示される広義の情報をいい、色彩
のみが異なって濃淡の度合いが同一の画素も、「濃度が
異なる」ものとして取り扱う。
【0010】上記本発明によれば、断層画像に表れた骨
部候補領域のうち、例えば鼻部など、欠損部形状の正確
な形状補間に好都合な影響を与えると思われる部分は、
最終的に骨部領域として使用する確定骨部領域として選
択し、逆に組み入れないほうがよいと思われる部分や、
明らかにノイズ等によるもの考えられる領域は、確定骨
部領域から除外することができる。これにより、骨部
欠損部の三次元形状データを精度よく決定することが可
能となり、ひいては最終的に得られる補填用人工骨の形
状精度や、欠損部に対する適合性を一層良好なものとす
ることができるようになる。
【0011】以下、上記補填用人工骨設計システムに、
さらに付加可能な構成について説明する。 (付加構成)互いに異なる複数の断層位置にて撮影され
た断層画像のそれぞれにおいて、骨部画像領域を抽出す
る骨部領域抽出手段と、その抽出された骨部画像領域に
基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線
情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生
成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、
骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状
データ生成手段とを備え、骨部領域抽出手段は、断層画
像を構成する画素濃度に対する、骨部領域抽出のための
閾濃度レベルを、断層位置に応じて異なる固有の値に設
定する。
【0012】X線CT等により骨部の断層画像を撮影し
た場合、所定幅の人体スライス領域からの累積断層情報
に基づいて画像化されるケースが圧倒的に多い。例え
ば、頭蓋骨の場合、頭頂部に向かうほど縮径する形状を
呈するが、頭頂部に近づくにつれ、頭蓋骨壁部の傾斜に
由来した骨部画像領域のぼけ拡がりの影響が大きくなっ
て、断層画像上での骨部領域とそうでない領域との境界
が判然としなくなる。そして、決められた画素濃度以上
の領域を骨部と判断する場合、このようなぼけ拡がりが
大きくなるほど、画像上での骨部領域が実際の骨部領域
よりも小さく表れることとなり、欠損部形状を誤認識す
る不具合にもつながりかねない。
【0013】そこで、上記の付加構成では、ぼけ拡がり
の影響等を考慮して、断層画像を構成する画素濃度に対
する、骨部領域抽出のための閾濃度レベルを、断層位置
に応じて異なる固有の値に設定するようにした。これに
より、より正確な骨部外形線の決定が可能となり、ひい
ては最終的に得られる補填用人工骨の欠損部に対する適
合性を一層良好なものとすることができるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、図面に示す実施例を参照して説明する。この実施例
では、欠損補填の対象が頭蓋骨であり、その補填用人工
骨を設計するための三次元形状データを、X線CTによ
る断層画像に基づいて作成する場合を例に取る。ただ
し、断層画像の撮影手段としてはX線CTに限らず、M
RI、ポジトロンCT、エミッションCT、超音波断層
撮像等を採用してもよい。
【0015】まず、装置構成を説明するに先立って、公
知のX線CTの原理について簡単に説明しておく。図1
は、X線CTの一例を示す原理図であり、X線管からコ
リメータを通って細く絞られたX線ビームは被写体であ
る人体(この場合、頭部)に放射される。X線ビームは
途中の生体組織に僅かに吸収されて減衰した後、残りの
大部分は透過する。透過したX線は検出器により測定さ
れる。
【0016】いま、放射するX線の強度をI0、被写体
を透過した後の強度をIとし、被写体すなわち人体内部
の組織によって吸収されるX線の吸収係数をμ(x,
y)とすると、概ね数1の関係が成立することが知られ
ている。
【0017】
【数1】
【0018】ここで、積分は透過したX線ビームの方向
Lに沿った線積分を表す。この式で、両辺の対数をとる
と数2となる。
【0019】
【数2】
【0020】すなわち、X線の入射強度と透過強度の比
の対数が、X線ビームに沿った吸収係数の積分値に略等
しい。そこで、X線ビームの方向を一定に保ちながらX
線源と検出器とを同期させて移動(並進運動)させる
と、この並進運動による操作によりこの角度の投影デー
タが得られる。そして、角度を所定間隔(例えば1°)
ずつ回転させて同様の操作を繰り返すことにより、全て
の方向からの投影データ(投影積分値)が得られる。こ
れらのデータは全てコンピュータに記憶され、そこでそ
の投影データから、逐次近似法やフーリエ変換法あるい
はフィルタ補正逆投影法等の公知の像再構成法によって
各点でのX線吸収係数μ(x,y)が算出され、断層像
が得られる。
【0021】なお、通常の臨床診断では便宜的にCT値
と呼ばれる相対吸収係数が導入され、例えば水を0、空
気−500、骨500にとり、その中を例えば1000
等分して値を示す。本発明においては、特に骨の画像を
抽出する必要があるが、基本的には他の組織のCT値と
の隔たりにより、その抽出処理が行われることとなる。
そして、断層画像では、図14(b)に示すように、そ
のCT値を適当な階調閾値により区切り、各閾値間のC
T値の区間に異なる表示色(あるいは濃度)の画素出力
を表示色インデックスを用いて割りふることにより、同
じCT値区間に属する画素領域が同一色にて表示される
形で画像化されるのである。なお、画像表示に関して
は、特定の吸収係数の幅の中にだけ階調を付けて、他は
黒(又は白)で表現する、ウィンドウ機能が導入されて
いることも多く、関心のある対象(例えば骨部)につい
てコントラストのよい画像を得るようにすることも可能
である。
【0022】図2は、本発明の一実施例に係る補填用人
工骨設計システム(以下、単に設計システムともいう)
40、及び、それを用いた補填用人工骨製造用加工シス
テム(以下、単に加工システムともいう)1の電気的構
成を示すブロック図である。設計システム40の中核を
なすのはコンピュータ50であり、I/Oポート2と、
これに接続されたCPU3、ROM4、RAM5、ハー
ドディスク装置等で構成された記憶装置6とを含む。な
お、I/Oポート2には、フロッピーディスク、光磁気
ディスク、光ディスク(CD−ROM)など、デジタル
断層画像データを記録したデータ記録媒体を読み込むた
めのデータ読取り装置8、断層画像のフィルムやハード
コピー出力を読み取るためのイメージスキャナ7、表示
制御部10とこれに接続された表示装置11、キーボー
ド12及びマウス13等の入力部が接続されている。
【0023】記憶装置6には、設計システム40及び加
工システム1の基本機能を実現するための、制御プログ
ラム200が記憶されている。該制御プログラム200
は、骨部データ抽出プログラム201、骨部外形線三次
元合成プログラム202、三次元形状データ作成プログ
ラム203、切削(加工)最適位置決定プログラム20
4、切削(加工)プログラム205、シミュレーション
プログラム206を含む。また、記憶装置6には、設計
データ記憶部207が形成され、図5に示すように、オ
ペ対象者(患者)を特定するためのオペ対象者特定デー
タと対応づけられた形にて、その欠損部を埋める補填用
人工骨の設計データが記憶されている。そして、CPU
3は、記憶装置6に記憶された各プログラム201〜2
06を、RAM5のプログラムワークエリア5aを用い
て実行することにより、設計システム40及び加工シス
テム1の基本的な作動制御処理、すなわち、工程毎に必
要な機能実現手段を実現するための制御を行う。また、
三次元形状データ作成に必要な設計データは、RAM5
のデータ格納エリア5bに格納してプログラム処理に供
される。
【0024】図8は、オペ対象者(患者)の頭部を示す
レントゲン写真の一例であり、頭部上部をそれぞれ水平
に横切る形にて、上下に略等間隔(例えば頭部に対する
実寸法にて約5mm間隔)に並ぶ白抜きの破線が、断層
撮影を行う断層位置SCを示している。図6に示すよう
に、設計データは、これら各断層位置(以下、スライス
ともいう)を特定するスライスNo.と対応づける形
で、断層撮影により得られる断層画像の多階調原イメー
ジデータと、後に述べる処理により、骨部のみを抽出す
る形でこれを二値化した骨部抽出二値化データとを含
む。また、その二値化した骨部抽出二値化データを用い
て生成された骨部外形線データを、断層位置配列に従い
三次元合成した骨部外形線三次元合成データと、これを
用いて後に述べる処理により設計・作成される補填用人
工骨の三次元形状データも含まれる。
【0025】人体断層画像の画像データとしては、例え
ば、図3(b)に示すように、X線CT(あるいは、N
MR)等の断層画像撮影装置にて取得された撮影信号に
基づいて、直接デジタル画像信号として記録されたもの
を使用することができる。例えばCTスキャナの場合、
CTスキャナを介して撮影されたX線吸収率を反映した
原信号データは、入力信号ケーブルを介してCT装置解
析コンピュータに取り込まれ、ここで前述の像再構成の
ための公知の処理が行われて、断層画像出力のためのデ
ジタル濃淡画像データ(断層データ)が作成される。こ
の断層データはは、データ出力ケーブルを介して直接設
計システム40のコンピュータ50に直接転送してもよ
いが、それが不可能な場合は、通信ネットワークを用い
て転送したり、あるいは前述のデータ記録媒体9(図
2)に一旦記憶して、データ読取り装置8を介して読み
取らせてもよい。
【0026】上記方式の利点は、デジタル濃淡画像デー
タを直接利用するために画像が極めて鮮明であり、ノイ
ズ等の影響も受けにくいこと、デジタル合成によりスラ
イス間の像の位置決めに際しても、アナログ的な誤差の
影響を全く受けない点にある。しかしながら、以下のよ
うな欠点もある。まず、断層撮影装置の機種により断層
データのフォーマットが異なることが多く、特殊なフォ
ーマットのデータは利用できない場合もあることが挙げ
られる。また、断層撮影を行った病院側でデータ消去し
てしまった場合や、あるいは装置機種によりデジタル画
像データの出力が不能な場合などは、根本的に対応不可
能である。
【0027】そこで、この欠点を補完する方式として、
図3(a)に示すように、人体断層画像の画像データと
して、X線CT、NMR等の断層画像撮影装置におい
て、モニタ画像の撮影フィルムあるいは画像印刷物とし
て出力された画像ハードコピー80を、イメージスキャ
ナ7により画像データ化したものを使用する態様を例示
できる。この方法であれば、データ消去された場合や、
あるいはデータ出力不能のCT装置等の場合でも、撮影
フィルムあるいは画像印刷出力等の画像ハードコピー8
0さえ残っていれば、これを画像読取りすることでデジ
タル濃淡画像データを得ることができる。
【0028】図2に戻り、設計システム40にはデータ
インターフェース14を介して加工装置15が接続さ
れ、前記設計システム40とともに加工システム1を構
成している。この加工装置は、セラミック被加工材料の
切削加工に適したものであれば、特に限定されるもので
はないが、この実施例では例えば縦フライス盤を利用し
たNC加工機で構成している。図4は、そのハードウェ
ア構成の一例を概略的に示すブロック図である。すなわ
ち、セラミック被加工材料Wは、公知のねじ軸機構によ
り水平面内のワーク送り(X−Y方向)を司るX−Yテ
ーブル60上に固定され、他方、工具(フライす)TL
をモータ64にて回転させる加工ヘッド65は、ねじ軸
機構を介してモータ63により上下方向(Z方向)に移
動可能となっている。
【0029】X−Yテーブル60のX軸方向及びY軸方
向の送りを司るモータ61,62、加工ヘッド65のZ
軸方向送りを司るモータ63、さらには、工具回転用の
モータ64は、全て、各モータの回転軸と連動回転する
パルスジェネレータPGにより回転角度位置及び回転速
度の検出がなされ、その検出情報のフィードバックを受
けるサーボコントローラにより回転制御される。各サー
ボコントローラは、制御用コンピュータ55(I/Oポ
ート56とこれに接続されたCPU57、ROM58、
RAM59等を含む)に接続されている。制御用コンピ
ュータ55は、データインタフェース14を介して設計
システム40に接続されており、作成された三次元形状
データに基づいて出される加工制御信号(例えば加工パ
スデータの信号)を受けて、各サーボコントローラへモ
ータ61〜64の駆動指令信号を送る。
【0030】以下、三次元形状データの作成処理の流れ
について、順に説明を行う。まず、断層画像に基づく骨
部外形線情報の生成処理であるが、これは図2の骨部デ
ータ抽出プログラム201により実行される。ここで
は、該プログラム201は、CPU3が主体となるコン
ピュータ50を、以下の手段として機能させる役割を果
たす。 骨部領域抽出手段:互いに異なる複数の断層位置にて
撮影された断層画像90のそれぞれにおいて、骨部画像
領域85を抽出する。 骨部外形線情報生成手段:その抽出された骨部画像領
域85に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域
の外形線情報である骨部外形線情報103を生成する。
また、断層画像90を構成する画素濃度に対する、骨部
領域抽出のための閾濃度レベルKSを、断層位置SCに
応じて異なる固有の値に設定する。
【0031】図9は、X線CTによる断層画像90の例
を示しており、(a)は図8の最も下層側から見て第3
層目(眼窩を横切る位置)の、(b)は第14層目(眼
窩の上縁よりも数層上の位置)の、(c)は第24層目
(頭頂部に近い)の各断層位置の多階調原イメージを示
すである。いずれも、画像上側が顔側(正面側)であ
り、やや暗い灰色の領域として頭部の輪切り輪郭が表
れ、頭蓋骨部として推定される画像領域(骨部推定画像
領域;頭部外形に沿って環状に表れている部分)がなる
べく白っぽく表れるように、画素の濃度レベル設定が行
われている。図12の模式図を参照して説明すれば、骨
部推定画像領域100は、着目している骨部の概略位置
に対応して、所定の輝度K0以上にて背景との間に目視
識別可能なコントラストを有して表れている領域をい
う。その外縁部には、後述するぼけによるグラデーショ
ンが形成され、背景部分との境界が不明瞭となる場合が
あるが、この境界は骨部外形線103を決定する上でそ
れほど重要な役割を果たすことはない。他方、基準濃度
レベル領域102は、その骨部推定画像領域100の内
側にあって、予め定められた画素濃度レベル(例えば、
輝度がKi以上である画素濃度レベル)である基準濃度
レベルを有する領域であり、ほぼ確実に骨部に属すると
断定しうる領域である(ただし、画像表現上は白黒が反
転していても骨部の識別は同様に問題なく可能である。
この場合は、逆にある輝度Kj未満の濃度レベルを基準
濃度レベルとすればよい)。
【0032】図9(a)〜(c)を見て判明すること
は、上層側に位置するものほど骨部推定画像領域の幅
(頭蓋骨の厚さに対応する)が大きくなっていることで
ある。これは、骨部厚さの相違というよりも、むしろ、
以下のような要因による像ぼけの影響を受けているもの
と考えられる。すなわち、図11(a)に示すように、
多くのX線CT装置において断層画像は、断層撮影に使
用するX線ビームが、一定以下の径には絞れないことも
あって、図11(a)及び(c)に示すように、ある厚
さをもった板状のスライス領域SC、例えばある断層位
置と隣接する断層位置との間に挟まれるスライス領域S
C1、SC2など、所定幅の人体スライス領域SCから
の累積断層情報(人体スライス領域SCの厚さ方向にわ
たる一種の積分的な情報)に基づいて画像化される。こ
の場合、特に頭蓋骨の眼窩開口部上縁よりも上の部分
(例えば額よりも上の部分)において、下側のスライス
領域SC1では、頭蓋骨SKLの壁部は、頭部軸線の向
きからの隔たりの小さい比較的立った状態となっている
のに対し、上側のスライス領域SC2では、頭蓋骨SK
Lの壁部は内側への傾斜が大きくなる。
【0033】この場合、図11(c)に示すように、頭
蓋骨SKLの壁部が骨部推定画像領域100を形成する
ことになるのであるが、上記のようにスライス領域SC
の厚さ方向の積分的な情報により画像化される関係上、
頭蓋骨SKLが傾斜している分だけその投影面積が拡が
り、像ぼけにつながってしまうのである。具体的には、
図11(d)に示すように、頭蓋骨SKLの傾斜の度合
いが大きいスライス領域SC2の場合、頭蓋骨SKLの
うちスライス領域SC2の全厚さにわたって位置する部
分CPは、頭蓋骨SKLの幅方向中央付近に限定される
形となる。この部分は、画素の輝度がKi以上の基準濃
度レベル領域102となる部分である。他方、その両側
部分CQは厚さ方向の一部のみを占めるので、輝度がK
i未満の部分となって表れるが、背景部分の上限輝度K0
より高いことに変わりはなく、骨部推定画像領域100
に組み入れて識別せざるを得ない。結果として、骨部推
定画像領域100の幅W”は実際の頭蓋骨SKLの幅W
よりも相当大きくなってしまう(つまり、ぼけてしま
う)のである。他方、基準濃度レベル領域102の幅
W’は、逆に頭蓋骨SKLの幅Wよりも小さくなってし
まうので、これも正しい幅Wとして採用することはでき
ない。一方、頭蓋骨SKLの傾斜の度合いが大きいスラ
イス領域SC1では、上記のような傾向はそれほど顕著
ではなくなる。
【0034】そこで、図12に示すように、頭蓋骨SK
Lの眼窩開口部上縁よりも上の部分において、頭蓋骨壁
部の傾斜に由来した骨部推定画像領域100のぼけ拡が
りの影響が緩和されるように、基準レベル領域102と
最終的に定めるべき骨部外形線103との位置関係を定
めるようにすれば、断層位置による像ぼけの大小に応じ
て骨部外形線103の決定位置を調整することができ、
骨部外形線103をより正確に決定することが可能とな
る。図12に示すように、骨部推定画像領域100は、
頭蓋骨の厚さ方向において、その中央に基準濃度レベル
領域102が現われるとともに、外側に向かうほど画素
濃度レベルが増加(反転した濃度設定を行う場合は、減
少)する形でぼけ拡がりを呈する。そして、骨部外形線
103の位置を、ぼけ拡がりの向きにおいて基準濃度レ
ベルKiから、所定の値だけ隔たった閾濃度レベルKSを
有する画素位置として定めることができる。
【0035】そして、ぼけ拡がりが小さい場合は、骨部
外形線103の位置は基準レベル領域102の境界の隔
たりが小さくなるように設定され、逆に大きい場合は隔
たりが大きくなるように設定される。より正確な位置決
定のためには、骨部推定画像領域100のぼけ拡がりが
比較的小さい、下層側の断層位置の基準レベル領域形状
を参照して、それより上層側の断層位置の骨部外形線1
03を決定することが有効である。例えば、ぼけ拡がり
の大きい上層側の断層位置では、下層側の基準レベル領
域の幅から骨部幅を推定して、その骨部幅の端点位置に
対応する画素の濃度レベルを読みとり、これを用いて閾
濃度レベルKSを決定することも可能である。
【0036】また、このような閾濃度レベルKSを設定
することは、例えばぼけ拡がりの小さい下層側の断層画
像でも有効となる場合がある。例えば、図11(b)に
示すように、X線CTの断層画像を、モニタ出力のフィ
ルム撮影により得る場合に、モニタ画面とフィルム膜面
とがある程度隔たっているために、頭蓋骨部が位置する
像外側部分ほど像拡がりが生じやすく、下層側の断層位
置でもこれが原因となる像ぼけが不可避的に発生するこ
とがある。そこで、これを考慮して閾濃度レベルKSに
より骨部外形線103の境界位置を補正すれば、より正
確な外形線が得られる。
【0037】次に、頭蓋骨壁部の傾斜によるぼけ広がり
の影響を受け難くするためには、閾濃度レベルKSは、
軸線方向において頭蓋骨の上側に位置する断層位置ほ
ど、基準濃度レベルKiからの隔たりが大きくなる値と
して定めることが望ましい。前述の通り、上層に位置す
る断層位置ほど基準濃度レベル領域幅は狭くなり、特に
頭頂部に近い断層位置(スライス)では、図11(d)
において頭蓋骨壁部の傾斜をさらに大きくした場合から
も容易に類推される通り、基準濃度レベルKi以上を満
たす領域、すなわち、基準濃度レベル領域102自体が
失われてしまうこともある。しかしながら、現実には骨
部は断面上に必ず表れているのであり、しかも傾斜して
いる分だけ断面幅も大きくなるはずである。そこで、閾
濃度レベルKSを基準濃度レベルKiから離れた値として
設定することで、より正確な骨部外形線の決定が可能と
なる。
【0038】以下、閾濃度レベルKSの具体的な設定方
法について説明する。例えば、図2の表示装置11は、
各断層位置の断層画像90を表示する断層画像表示手段
として機能する。そして、閾濃度レベルKSは、各断層
位置の断層画像90を参照しつつ手動入力することがで
きる。例えば、プログラム201により実現される骨部
外形線情報生成手段には、図12に示すように、閾濃度
レベルKSを多段階又は無段階に可変入力設定する閾濃
度レベル入力手段99と、その可変入力される閾濃度レ
ベルKSに応じて断層画像表示手段(表示装置)11に
対し、抽出される骨部画像領域85を他の画像領域と識
別可能に可変出力させる骨部画像領域表示制御手とを、
機能付与することができる。
【0039】図12(a)に示すように、表示装置11
の画面上に表示される断層画像には、画素濃度レベルが
前述の輝度K0以上である骨部推定画像領域100が表
れている。そして、その画面上には閾濃度レベル入力手
段としての閾濃度レベル入力バー99が形成されてい
る。これは、ポインタPをバーの長さ方向にマウスドラ
ッグ等によりスライド移動させることにより、設定閾濃
度レベルKSを無段階連続的に(あるいは有限複数段階
により断続的に)変化させることができるようになって
いる。そして、表示装置11の画面上では、設定された
閾濃度レベルKSを二値化閾値として、それよりも輝度
の大きい画素が、残余の画素に対して識別可能な出力状
態(例えば赤等の特定の色彩)に設定され、骨部領域8
5として表示される。そして、その骨部領域85の外縁
位置を与える画素の列が、骨部外形線103を形成す
る。すなわち、骨部外形線情報は、上記のような二値化
により形成される骨部領域85の外縁点の集合からなる
点群データとして与えられることとなる。
【0040】そして、閾濃度レベル入力バー99の操作
により閾濃度レベルKSを設定変更すると、図12
(b)により、変更後の閾濃度レベルKSにより再度二
値化処理が行われ、骨部領域85の表示状態が画面上で
リアルタイムにて変更される。オペレータは、閾濃度レ
ベル入力バー99を操作して、骨部領域85の表示状態
の変化を観察しつつ、例えば他のスライスにて確定した
骨部領域85の幅と、スライスの位置等を考慮して、最
適と思われる設定閾濃度レベルKSを選択する。これに
より、最終的な骨部領域85及び骨部外形線103の点
群データが確定・記憶される。
【0041】一方、上記の骨部外形線情報生成手段は、
図13に示すように、各断層位置毎の個別の閾濃度レベ
ルKSの記憶値105と、各断層位置毎の閾濃度レベル
値を演算するための演算プログラム105’との少なく
ともいずれかを、閾濃度レベル生成源として記憶した閾
濃度レベル生成源記憶手段と、着目している断層位置に
対応する閾濃度レベル値を、閾濃度レベル生成源に基づ
いて決定する閾濃度レベル値決定手段とを備えるものと
して構成することもできる。この場合、その決定された
閾濃度レベル値に対応する画素位置を、骨部外形線10
3の位置として定めるようにする。図13(c)に示す
ように、スライス(断層位置)毎の閾濃度レベル値KS
(=KS1、KS2‥‥)の値をメモリ105に記憶してお
き、着目しているスライスの閾濃度レベル値KSを適宜
読み出して決定することができる。また、断層位置毎の
閾濃度レベル値を演算するために、断層位置(スライス
No.)と閾濃度レベル値KSとの関係を関数式10
5’の形で記憶しておき、これを用いて閾濃度レベル値
KSを決めることもできる。
【0042】なお、KSの値を直接記憶していなくと
も、最終的には骨部外形線103の位置が決まればよい
のであるから、閾濃度レベル値KSを反映した情報とし
て、以下のような情報を利用する方法もある。すなわ
ち、図13(b)に示すように、1層目(スライスN
o.1)と5層目(スライスNo.5)とでは、骨部幅
にそれほど大きな差がないにも拘わらず、前述の理由に
よりそれらの基準濃度レベル領域幅W1,W5には、W1
>W5なる関係が生ずる。例えば、基準濃度レベル領域
Wにある係数αを乗ずることにより、これを骨部幅に変
換できると考えれば、そのαの値を各断層位置毎に求め
ておくことで、これを閾濃度レベル値KSを反映した情
報として使用することが可能となる。この場合、スライ
ス(断層位置)毎のαの値をメモリ104に記憶してお
き、適宜読み出して使用すればよい。
【0043】骨部領域85は、以上説明した通り、閾濃
度レベルKSの設定による二値化処理により自動抽出す
ることができる。しかしながら、こうして抽出される領
域の全てを骨部領域85として利用できるわけではな
く、例えば頭蓋骨部に本来属さない部分や、ノイズ等の
影響により表れた高輝度領域は、当然に除外しなければ
ならないし、逆に骨部に属さないことが明らかな部分で
も、正確な三次元形状データの作成のために敢えて頭蓋
骨部に組み入れた方がよい場合もある。このような処理
に好都合な機能も、骨部データ抽出プログラム201に
より実現される。すなわち、ここでは、CPU3が主体
となるコンピュータ50を、以下の各手段として機能さ
せることとなる。 骨部領域抽出手段:互いに異なる複数の断層位置にて
撮影された断層画像90のそれぞれにおいて、予め定め
られた濃度レベルの画素領域を、骨部候補領域108と
して抽出する。 領域選択手段:骨部候補領域108のうち、最終的に
骨部領域として使用するもの(確定骨部領域)93,1
10を選択する。 骨部外形線情報生成手段:確定骨部領域93,110
に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形
線情報である骨部外形線情報103を生成する。
【0044】骨部が頭蓋骨である場合、骨部候補領域1
08の抽出は、以下のようにして行うことができる。す
なわち、図14(a)に示すように、多階調原イメージ
データをある閾濃度レベル(ここでは、前述の閾濃度レ
ベルKS)により二値ビットマップイメージデータに変
換する。そして、図16(a)に示すように、ビットマ
ップデータを所定の方向(例えばx方向)に走査し、
「1」ビットの途切れが一定数(例えば3ビット)以上
生じたか否かにより、同一の骨部領域であるか別の骨部
領域であるかを判別しながら、各ビットにラベリング符
号(本実施例では、1、2‥‥等の数字で表している)
を施してゆく。なお、走査2列目以降は、「0」ビット
の検出状態から「1」ビットの検出に転じた時に、その
「1」ビットを取り囲む例えば8つのビットのラベリン
グ状態を判別し、既に認識済のビットのラベリング符号
が検出されれば、これと同一のラベリング符号を施し、
何も検出されなければ新たなラベリング符号を施すよう
にする。そして、異なるラベリング符号が付されたビッ
トの集合同士は、異なる骨部領域として識別するのであ
る。図15は、このようなラベリング処理により、異な
る骨部領域を互いに異なる色彩で出力した例である(左
側が多階調原イメージ、右側がラベリングにより骨部領
域を色分け出力したイメージである)。
【0045】さて、前記の領域選択手段は、図17に示
すように、抽出された骨部候補領域108のうち少なく
とも面積最大のものである最大候補領域93を確定骨部
領域として採用することとなる。一方、図16(b)に
示すように、予め定められた許容下限面積S0以下のも
のは少なくとも、確定骨部領域としては採用しないよう
にする。これにより、ノイズ等により表れた小さな骨部
領域は全て除外され、その影響を受けずに済むようにな
る。
【0046】次に、頭蓋骨の欠損部を埋める補填用人工
骨の場合、主に問題となるのは、頭部外観に表れる外面
形状のみであるから、確定骨部領域のうち、人体外面側
に臨む外形線のみを用いて、前述の骨部外形線情報を生
成するようにすれば、全体として骨部外形線情報のデー
タ量を減ずることができる。
【0047】この場合、確定骨部領域の外形線の一部を
使用して、本来確定骨部領域の存在しない領域に、骨部
外形線の一部として組み入れられる推定外形線112を
補間形成する機能(推定外形線補間手段)を付与してお
くとよい。該機能は、具体的には、眼窩、口孔、鼻孔な
ど、欠損部とは別に頭蓋骨が本来的に備えているべき開
口部を閉塞する形で推定外形線を補間形成するものとす
ることができる(以下、これを「穴埋め処理」とい
う)。このような穴埋め処理により、後の三次元形状デ
ータの作成処理において、このような開口部を欠損部と
見誤って混乱してしまう不具合を回避し、作成効率を上
げることができる。また、上下のスライスの骨部外形線
データから欠損部の骨部形状を復元する処理である、形
状補間を行う場合は、開口部が存在しては補間精度を確
保できない場合もあり、これを予め閉塞しておくことに
より補間精度の向上に寄与できる場合もある。
【0048】また、最大候補領域以外の骨部候補領域の
うち、特定の一部のものを選択候補領域として選択し、
その選択候補領域を最大候補領域に組み入れる形で確定
骨部領域を決定するようにすることで、欠損部補間の精
度をさらに向上できる。具体例を以下に説明する。すな
わち、図17は、図9(a)に示す眼窩及び鼻を通る断
層位置での骨部抽出画像であるが、開口部としての眼窩
111に隣接して位置する鼻骨部位110を選択候補領
域として選択している。そして、確定骨部領域は、その
鼻骨部位110と、眼窩111を挟んで鼻骨部位110
と反対側に位置する目尻側の頭蓋骨部位(目尻部位)1
11aとの外形線を利用して、眼窩111を塞ぐ補間曲
線112を生成している。図18に示すように、穴埋め
処理は、補間曲線112は、鼻骨部位110と目尻部位
111aの外形線(図12の骨部外形線103)上に、
マウス13の操作により、制御点115を打ち、公知の
自由曲線生成ツール(スプライン曲線等)により補間曲
線112を回帰的に発生させることにより行う。鼻骨部
位110を確定骨部領域に組み入れることで、頭蓋骨輪
郭の前後方向の寸法がより正確な寸法を反映したものと
なるから、結果的にその頭蓋骨輪郭(骨部外形線)を用
いた欠損部の補間精度をさらに向上することができる。
【0049】なお、より精度の高い方式として、図19
に示すように、推定外形線補間手段を、以下のような手
段を有するものとして機能実現させることができる。 サーチ円設定手段:鼻骨部位110の外形線と、目尻
部位111aの外形線とに対し、それら外形線からの幾
何学的な変位が最小となる所定半径のサーチ円117を
設定する。 補間基準部分抽出手段:そのサーチ円117に対し、
距離が所定の基準値未満となる外形線部分(マッチング
部)を補間基準部分として抽出する。 曲線制御点設定手段:抽出された補間基準部分上に補
間曲線形成のための複数の曲線制御点115を設定す
る。 補間曲線生成手段:それら曲線制御点を用いて補間曲
線を生成する。
【0050】本発明者は、頭部の輪切り断面において眼
窩部分を横切る断面外形が、多くの個体において、鼻骨
部位を含め概ね円弧近似できることを経験的に見い出し
た。そして、上記のようにこれをサーチ円117により
近似して、そのマッチング部のみを補間基準部分として
使用することにより、特に眼窩部分を埋める補間曲線の
精度を高めることが可能となり、ひいてはその補間曲線
を、欠損部の三次元形状データを生成する際の、基準形
状の一部として好適に使用することができる。
【0051】サーチ円117の中心Oは、確定頭蓋骨部
領域の外形線に対する、一定形状の外接図形のうち、最
小のものの幾何学的重心位置として定めることができ
る。外接図形の形状は、図20に示すように、外接長方
形120を採用することが処理的に最も簡単で、しかも
中心の決定精度も高いことから、本発明に好適に採用で
きる。ただし、外接図形は長方形に限られるものではな
く、楕円等、他の図形を採用しても構わない。また、外
接図形を利用せず、例えば頭部中心付近に位置してい
て、しかも骨部と類似した吸収係数を有する生体組織、
例えば松果体をサーチ円の中心位置として参照するよう
にしてもよい。
【0052】さて、以上詳述した骨部データ抽出プログ
ラム201の処理の流れの一例を、図10のフローチャ
ートに示している。S1〜S4は、原イメージデータ
(デジタル濃淡画像データ)としてX線CT装置等から
直接取得したデータを利用するか、フィルム等に一旦ハ
ードコピー化されたものをイメージスキャナにより取り
込んでデータ取得するかを決める部分である。そして、
S7で各スライスの原イメージデータを読み込み、S8
で閾濃度レベルKSの設定により骨部外形線103を抽
出する。そして、S9でラベリングにより骨部候補領域
108を抽出し、さらに確定骨部領域を決定する。ま
た、眼窩などの穴埋めが必要なスライスでは、前記した
穴埋め処理を行う(S10)。こうして、そのスライス
の骨部外形線の最終形状が確定され、骨部抽出二値デー
タとして設計データ記憶部207(図2)に保存され
る。そして、各スライスに対する上記処理を逐次行い、
全スライスの処理が終われば終了となる(S6、S1
3、S14)。
【0053】以上で骨部外形線情報の生成処理が終わ
り、続いて骨部外形線三次元合成処理に移る。これは、
図2の骨部外形線三次元合成プログラム202により行
われ、その処理の流れを図21に示している。S30〜
S31では、上記作成された各スライスの骨部外形線デ
ータ(前述の通り、所定間隔で配列する点群データであ
る)を読み出すとともに、欠損部がある場合には、その
欠損部により中断される骨部外形線の端点座標を確定し
(S33)、データ保存する。
【0054】さて、以下の処理においては、骨部外形線
三次元合成プログラム202は、前記した骨部データ抽
出プログラム201とともに、CPU3が主体となるコ
ンピュータ50を、以下の各手段として機能させる。 骨部領域抽出手段:互いに異なる複数の断層位置にて
撮影された断層画像SCのそれぞれにおいて、骨部領域
85を抽出する。 骨部外形線情報生成手段:その抽出された骨部領域8
5に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外
形線情報である骨部外形線情報を生成する。 欠損部推定外形線情報生成手段:欠損部400(図2
3等)が関与する骨部外形線125に対し、その骨部外
形線125の形状情報に基づいて、欠損部400の推定
外形線情報である欠損部推定外形線情報を生成する。 骨部外形線表示手段:骨部外形線情報と、欠損部推定
外形線情報とに基づいて、骨部外形線125を欠損部の
推定外形線129とともに表示する。 表示制御手段:骨部外形線表示手段に表示される骨部
外形線125と推定外形線129とが識別可能となるよ
うに、それら外形線の表示状態を互いに異ならせる。
【0055】より具体的には、骨部外形線情報と欠損部
推定外形線情報とに基づいて、各断層位置の骨部外形線
125と欠損部の推定外形線129とを同一画面上に合
成表示するとともに、骨部外形線125と欠損部の推定
外形線129とは、互いに異なる色彩及び/又は濃度に
て表示することができる。ただし、濃淡や実線/破線な
ど、色分け以外の方法にて識別可能とする表示態様も可
能である。
【0056】図21に戻り、具体的な処理の流れについ
てさらに説明する。まず、S36では、各スライスの骨
部外形線の点群データを読み出して、断層位置を参照し
てこれを三次元的に合成する。図22の121、12
3、124はその合成表示例である(図2の表示装置1
1の画面上にウィンドウ切替えによって表示する)。こ
こでは、頭蓋骨部領域のうち、人体外面側に臨む外形線
のみを用いて骨部外形線情報たる輪郭点群データが生成
されており、頭蓋骨を頭頂部側から見たときの平面投影
121と、頭蓋骨を顔側から見たときの正面投影123
と、頭蓋骨を耳側から見たときの側面投影124との3
種類の投影により、骨部外形線を点群データにより表示
している。これを見ることで、オペレータは頭蓋骨部の
三次元形状と、欠損部400の概略形状を大まかに把握
することができ、欠損部400を補填する人工骨の完成
予想形態を明確にイメージすることができる。
【0057】図23は、平面投影121を拡大して示す
もので、各断層位置の骨部外形線が年輪状(あるいは等
高線状)に表れている。最も中央に位置するのが頭頂付
近の骨部外形線であり閉じた形状をなしているが、それ
よりも下層の骨部外形線は図面右側に途切れが生じ、端
点が形成されていることがわかる。これは、ここに頭蓋
骨の欠損部が形成されているためである。この平面投影
121の合成イメージは図24に示す通りである。ここ
では平面投影面はX−Y平面であり、各スライスの骨部
外形線125(端点は126である)の投影が、特定の
座標(X0,Y0)を位置合わせ基準点として合わせ込
まれる。なお、符号126は端点である。
【0058】さて、こうして合成された各投影では、欠
損部推定外形線129は、平面投影ではこれを表示する
と、却って見辛くなるので、図25に示すように、正面
投影123と側面投影124との少なくともいずれか
(ここではそれらの両方)にのみ表示している。これら
両投影では、断層面と直交する投影面を使用するから、
各断層位置の骨部外形線125が平行水平線状に表れる
こととなる。このうち、正面投影123では、欠損部が
投影画像外縁部に位置するように投影される。そして、
欠損部推定外形線129の外縁位置は、欠損部が関与し
ない健常部の骨部外形線125の投影外縁部の形状に基
づいて推定形成されている。具体的には、健常部の骨部
外形線125の投影外縁部を、中心線(鏡映面)MOに
関して鏡映反転することにより形成されている。また正
面側に表れている端点126(欠損部が関与する骨部外
形線125の端点の情報である)が、欠損部推定外形線
の端点ともなるので、これも欠損部推定外形線情報を形
成していると見ることができる。他方、側面投影124
では、欠損部により中断された骨部外形線125の両端
点126,126が表れるから、これらを結べば欠損部
推定外形線129が簡単に得られる。この実施例では、
骨部外形線125を例えば青、欠損部推定外形線129
を例えば赤で表示している(以上、図21:S38、S
39)。
【0059】上記のような投影を参照することにより、
欠損部の大まかな三次元形状を直感的に把握することが
できるほか、空間中の曲線姿勢を錯覚等により見誤る不
具合も低減されるので、オペレータにとってはより混乱
なく作業に没頭できる利点が生ずる。これは、わかりや
すくいえば、図26に示すように、骨部外形線125の
三次元的な位置関係が、ちょうど地球の緯線のように縦
方向に中心がずれた環としてあらわれるため、ともすれ
ば画面上にて環の手前側と後方側との前後関係を見誤る
結果、頭蓋骨の立体形状を(b)のように上側(A方
向)から俯瞰視しているのか、(c)のように下側(B
方向)から仰視しているのかを錯覚することがよくあ
る。しかしながら、図25のような投影を予め参照し
て、欠損部の該略形状と、その頭蓋骨部との位置関係と
をイメージとして焼き付けておくことで、このような錯
覚を効果的に回避することができるのである。
【0060】なお、図27に示すように、正面投影及び
側面投影の少なくともいずれか(ここでは、正面投影1
23)において、各断層位置に対応する骨部外形線投影
125の、欠損部が存在しない側の外縁位置130の配
列にスムージング補正が施されるように、各骨部外形線
の合成投影位置を調整する機能(骨部外形線投影位置調
整手段)を付加することもできる。上記の骨部外形線の
三次元合成データは、後の欠損部三次元形状データの作
成の基礎として使用するため、各骨部外形線125を合
成する際の位置決め精度が、作成される三次元形状デー
タの作成精度にも直接影響することとなる。そして、上
記の機能によれば、骨部外形線125を合成する際に、
一部の骨部外形線125が突発的な要因により、他の骨
部外形線125の配列傾向から極端にずれてしまった場
合に、これをスムージング補正により解消することがで
き、ひいては三次元形状データの作成精度を一層高める
ことができる。
【0061】上記のような問題は、画像ハードコピーと
して、図29に示すように、人体断層画像90とともに
位置決め用目印画像(以下、単に目印画像ともいう)1
32aが形成された撮影フィルム80が使用され、その
目印画像132aを頼りに各スライスの骨部外形線を合
成する場合に生じやすい。図29の例では、L字状の目
印画像(ターゲットマーク)132aと寸法スケール1
31aとがフィルム80上に形成されている。これらの
目印画像132a及びスケール131aは、撮影時の患
者の位置を固定とすることで、どのスライスについても
患者、すなわち人体断層画像90との相対的な位置関係
が、本来、全て同じとなるように形成されるものであ
る。そして、画像をイメージスキャナにより取り込んだ
後、その画像のZ軸方向(スライスの配列方向)の座標
はスライスの番号から特定され、他方、X軸方向及びY
軸方向の座標は、目印画像132a上の特定位置、ここ
では図30(b)に示すように、L字を構成する2本の
直線部分の交差部分の外側頂点を位置合わせ基準点とし
て、これを例えば原点(X0,Y0)として定めることに
より特定される。
【0062】ところで、図29に示すように、目印画像
132aは通常、断層画像90の邪魔にならないよう
に、フィルム80の外縁部に形成される。問題は、実は
ここで発生する。すなわち、図11(b)に示すよう
に、CT装置のモニタ上に表示され断層画像を写真撮影
する際に、先にも述べた通りフィルム外側部分ほど映像
が拡がってぼけやすく、図30(a)に示すように、目
印画像132aも、そのぼけの影響を受けたり、あるい
はモニタの明るさや露光条件のばらつき等により、L字
が太くなったり、あるいは細くなったりするなど、微妙
に形が変わることがある。その結果、図30(b)に示
すように、位置合わせ基準点の位置に重ね誤差が生ずる
場合がある。さらに、別の要因としては、撮影時に患者
が動いたり、あるいは図30(c)に示すように、イメ
ージスキャナによる取込みの際に、フィルム80を回転
させてスキャナにセットした場合に、目印画像132a
に回転位置ずれが生ずることもある。
【0063】上記のような位置ずれがどの程度生じてい
るかは、図30(a)に示すように、イメージスキャナ
により取り込まれた、各断層位置の位置決め用目印画像
132a付きの人体断層画像90を重ね合成して、図2
8に示すような重ねイメージ122を表示することによ
り、比較的簡単に確認することができる(重ねイメージ
画像表示手段)。図22では、この重ねイメージ122
を、先に説明した平面投影121、正面投影123及び
側面投影124とともに表示している。図28では、位
置ずれした目印画像132a及びスケール131が重ね
合わされて、かなり太っていることがわかる。この場
合、重ねイメージ画像122に現われた位置決め用目印
画像132aの状態に応じて、骨部外形線投影位置調整
手段による投影位置調整処理(スムージング補正)を行
うか否かを選択するように、処理を行うことができる
(調整選択手段)。選択は、キーボードからのコマンド
入力や、画面上のソフトボタンクリック等により行うこ
とができる(以上、図21:S40〜S44)。
【0064】図27は、スムージング補正処理の一例を
示している。(a)では、複数本の骨部外形線125の
外縁位置130が、頭蓋骨の外形形状を反映して、外側
に凸となる曲線状に配列している。しかしながら、その
うちの1本125xが、その傾向から逸脱して外側に突
出している。そこで、(a)〜(e)に示すように、骨
部外形線125の配列に沿って片側(ここでは上側)か
ら、3本一組の移動平均化処理を行う。すなわち、3本
の骨部外形線125の中央の骨部外形線125の外縁位
置130が、両側2本の外縁位置130を結んだ直線上
に位置するように、その中央の骨部外形線125を移動
させる。この処理を、(c)→(d)→(e)のよう
に、骨部外形線125の配列上にて1本ずつ位置をずら
せながら繰返し行う。(e)の状態を見ればわかる通
り、骨部外形線125の異常突出状態がスムージングに
より解消され、しかも、各骨部外形線125の外縁位置
130の配列傾向も、おおむね保存されていることがわ
かる。
【0065】以上のようにして作成された骨部外形線三
次元合成データ(骨部外形線情報)は、図6に示すよう
に、設計データの一部として記憶・保存される。
【0066】骨部外形線三次元合成処理が終われば、そ
の輪郭点群データを用いた三次元形状データ作成処理に
移る。これは、CPU3が主体となるコンピュータ50
を三次元形状データ生成手段として機能させる、三次元
形状データ作成プログラム203(図2)により行われ
る。この処理では、既に作成されている各スライスの骨
部外形線三次元合成データ(図6)を読み出し、これを
X−Y−Zの三次元座標により、表示装置11(図2)
に表示する。その表示形態としては、例えば図35等の
ような正面投影(ここでは、上方からの俯瞰形態で表し
ている)のもの、図36のように側面投影のもの、さら
には図41のように平面投影のものなど、必要に応じて
各種切替可能とされている。なお、図35等の正面俯瞰
投影では、環状に表れる骨部外形線(骨部輪郭線)12
5の前方側部分と後方側部分との前後関係を錯覚しない
ように、互いに異なる表示色にて表示されている。ここ
では、前方側を表示する第一色が黄色であり、後方側を
表示する第二色が赤色である。ただし、濃淡や実線/破
線など、色分け以外の方法にて識別可能とする態様も可
能である。そして、図36等の側面投影では、各骨部外
形線125の投影が、正面投影に対応する形態にて色分
けがなされている。
【0067】さて、三次元形状データの作成は、頭蓋骨
のどの位置に欠損部が形成されているかによって異なる
方式が採用される。これは、大きく分ければ、 パターン1:図32(a)のように、頭蓋骨を略中央に
て左右に二分するように適宜設定される鏡映基準面MS
Pに関して、欠損部400が頭蓋骨の片側にのみ存在す
る場合; パターン2:欠損部400が頭頂位置を含まず、かつ鏡
映基準面MSPに関して、両側にまたがる形態で存在す
る場合; パターン3:欠損部400が頭頂位置を含む場合;の3
通りあり、それぞれ異なる作成アルゴリズムが採用され
る。
【0068】まず、パターン1の場合は、基本的には鏡
映コピー(ミラーコピー)による欠損部復元となるが、
この場合、三次元形状データ作成プログラム203は、
前述のプログラム201,202とともに、コンピュー
タ50を以下の各手段として機能させることとなる。 頭蓋骨部領域抽出手段:頭部軸線方向の互いに異なる
複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにお
いて、頭蓋骨部の画像領域を抽出する。 骨部外形線情報生成手段:抽出された頭蓋骨部候補領
域に基づいて、最終的に頭蓋骨部として定めるべき領域
の外形線情報である骨部外形線情報125を、所定間隔
の点群データとして生成する。 三次元形状データ生成手段:各断層位置毎の骨部外形
線情報125に基づいて、頭蓋骨の欠損部の三次元形状
データを生成する。三次元形状データ生成手段は、以下
の手段を含む。 鏡映基準面設定手段:顔面中央位置にて頭蓋骨を左右
両部分に分割する鏡映基準面MSPを設定する。 補填部外形線データ生成手段:設定された鏡映基準面
MSPに関して片側に存在する欠損部400、又は左右
非対象な形状にて両側にまたがって存在する欠損部40
0を少なくとも部分的に補填するために、骨部外形線1
25を形成する点群データのうち補填すべき欠損部40
0に対応するものを、鏡映基準面MSPに関して鏡映コ
ピーすることにより、そのコピーされた点群データを補
填部外形線データとして生成する。 鏡映コピー補正手段:鏡映コピーにより生成される補
填部外形線125’が、補填すべき欠損部400の周囲
に存在する健常部の外形形状に適合するように、点群デ
ータのコピー先の位置を補正する。そして、その補正さ
れた点群データによる補填部外形線データに基づいて、
欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データを生成
する。
【0069】なお、「鏡映コピー」とは、三次元空間内
のある点をコピー元として、所定の鏡映基準面に関して
その点と鏡映対称(面対称)の位置に点を発生させる処
理をいう。コピー元が点群からなる骨部外形線であれば
は、鏡映基準面に関してその骨部外形線を鏡映反転させ
た位置に、新たに骨部外形線を発生させる処理となる。
ただし、補填すべき欠損部の周囲に存在する健常部の外
形形状に適合するように、点群データのコピー先の位置
が補正されるわけであるから、必ずしも数学的に厳密な
鏡映反転とはならないことはいうまでもない。
【0070】図33に示すように、頭部の外形が、鏡映
基準面MSPに関して幾分対称性の悪い形状を呈してい
る場合、健常側の欠損対応部分401の形状データをM
SPに関してそのまま鏡映コピーしても、そのコピーさ
れた形状データは、必ずしも欠損部400あるいはその
周囲の健常部形状に適合するとは限らない。そこで、図
34(a)に示すように、本発明特有の手法として、鏡
映コピーにより生成されるコピー点群列125’のコピ
ー先の位置を補正することにより、補填すべき欠損部4
00の周囲に存在する健常部の外形形状への、より正確
な適合を図るのである(鏡映コピー補正手段の機能)。
【0071】既に述べた通り、骨部外形線125の情報
は点群データとして規定されていることから、鏡映コピ
ーもそこから切り出される点群データのコピーとして行
われることとなる。そして、その点群データのコピー先
の位置補正は、図34(b)のように平行移動、回転移
動及びそれらの組み合わせのいずれかにより行うことが
できる。これは、コピー元点群の各座標に対する一種の
一次変換であり、骨部外形線125の基本形状も保存さ
れるので、違和感のない骨部外形形状が得られる。
【0072】補正は、例えば、図34に示すように、補
填すべき欠損部の400周囲に存在する健常部の外面上
に基準外形線125sを設定し、鏡映コピーされた点群
125’と該基準外形線125sとの幾何学的な変位の
合計が最小となるように行うことができる。この例で
は、図34(a)に示すように、鏡映コピーのコピー元
点群列は、鏡映基準面に関して欠損部400と反対側に
位置する骨部外形線125から、欠損部補填に必要な最
小長さよりも所定長だけ余分に抜き出される形で使用さ
れる。具体的には、コピー元点群列は、欠損部400よ
りも大面積のコピー対象領域140により骨部外形線1
25から切り取られるものであり、図34(b)に示す
ように、そのコピー領域140’は欠損部400の周縁
領域も包含する形でこれに重ね合わされる。そして、該
鏡映コピーにより生成されるコピー点群列125’は、
コピー元点群列の属する骨部外形線125の欠損部周囲
に位置する部分を基準外形線125sとして、列端部1
25kがこれに対向する位置関係となるようにコピーさ
れる。
【0073】そして、コピー点群列125’のコピー先
の位置補正は、上記の列端部の点群と基準外形線との幾
何学的な変位の合計が最小となるように行われる。例え
ば、図34(d)に示すように、個々の骨部外形線12
5に関して、列端部125kをなす各点と基準外形線1
25sとの所定方向(例えば骨部外形線125がX−Y
平面と平行である場合は、X方向又はY方向)における
距離d、あるいは該距離dの2乗(d)を前記幾何学
的な変位とみなし、同図(e)に示すように、それをコ
ピー領域140’内の全ての骨部外形線125について
合計した値Σを変位和として算出する(なお、(e)
は、(c)のA−A断面を表しており、125spが各
基準外形線、125’pがコピー点群列、d1〜d6
は、各骨部外形線125における両者の間の幾何学的変
位を示す)。そして、その変位和Σの値が最小化される
ように、コピー領域140’に含まれる点群に平行移
動、回転移動及びそれらの組み合わせのいずれかを施す
ことにより、前記補正が行われる。
【0074】上記の方式によれば、鏡映基準面に関して
欠損部400と反対側に位置する骨部外形線125か
ら、欠損部補填に必要な最小長さよりも所定長だけ余分
に抜き出し、いわばその余分に抜き出した部分である列
端部125’kを、骨部外形線125基づく基準外形線
125sに適合するように、鏡映コピーの位置補正を行
う。すなわち、補間曲線等が介在せず、断層画像から精
密に決定される骨部外形線125の情報のみを用いて鏡
映コピーの位置補正を行うので、補正後の鏡映コピー点
群列の健常部への適合精度を一層高めることができる。
【0075】なお、基準外形線125sと重なりを生ず
る、コピー点群列125’の列端部125’kの長さ
は、基準外形線125sとの適合精度を高める観点にお
いて、実寸法対応長さにて5mm以上、望ましくは10
mm以上は確保されているのがよい。また、変位和Σの
計算時間は長くなるが、コピー対象領域140は、鏡映
基準面MSP(図33)に関して欠損部が関与しない側
の頭部外面の全体に及んでいてもよい。また、骨部外形
線125は、一般に額から側頭部にかけてのコーナー部
において局所的に曲率半径が小さくなっており、コピー
対象領域140は、このコーナー部を包含するように設
定位置及び大きさを定めることができる。例えば、コー
ナー部から外れた位置では骨部外形線125は円弧に近
い形状を呈し、コピー対象領域140内の点群を鏡映コ
ピーしたときに、骨部外形線125の周方向への位置ず
れが発生しても変位和Σにその影響が反映されにくい難
点がある。しかしながら、コーナー部を包含していれ
ば、周方向の位置ずれが生ずると変位和Σの急速な増大
を生ずることから、該周方向の位置ずれを効果的に識別
・防止することができる。
【0076】鏡映コピーの対象が、複数断層位置(スラ
イス)の骨部外形線の点群データである場合に、図34
に示すように、それら複数断層位置にまたがる点群(す
なわち領域140内の点群)をグループ化し、それら点
間の相対的な位置関係が保存されるように、補正をその
一体の点群グループに対して行うことができる。このよ
うにすれば、欠損対応部分401の形状を概ね保存した
形でのコピーが可能となる。他方、そのようなグループ
化を行わず、各骨部外形線毎に個別に位置補正を行うこ
とも可能である。このようにした場合、演算は骨部外形
線毎(スライス毎)に行わなければならないので、コン
ピュータ50に対する演算負担が幾分増大するが、健常
部の形状との適合性が優先された、よりきめ細かい補正
が可能となる。
【0077】次に、パターン2あるいはパターン3につ
いては、図31に一例を示す流れにより、処理を行うこ
とができる。この場合、三次元形状データ作成プログラ
ム203は、コンピュータ50を以下の各手段として機
能させることとなる。 補間基準線生成手段:骨部外形線情報125に基づい
て、骨部の健常部の表面形状を反映した補間基準線14
9,163を設定する。 曲線制御点設定手段;補間基準線149(149a,
149b),163に沿って補間曲線生成用の曲線制御
点152,168を設定する。 欠損部補間曲線生成手段:設定された曲線制御点15
2,168を用いて、予め定められた曲線決定アルゴリ
ズムに従い、欠損部を曲線補間する欠損部補間曲線15
1,164を生成する。その欠損部補間曲線151,1
64に基づいて、欠損部を補填する人工骨外面の三次元
形状データが生成される。
【0078】補間基準線は、欠損部に隣接する健常部に
おいて、欠損部の内周縁側に端点を生ずる第一基準線セ
グメント(図39:149a、図46:163a)と、
その第一基準線セグメントの欠損部側への延長方向にお
いて、該欠損部を挟んで第一基準線セグメントと反対側
に位置するとともに、欠損部の内周縁側に端点を生ずる
第二基準線セグメント(図39:149b、図46:1
63b)とを含むものとして設定可能である。そして、
図40(a)に示すように、欠損部補間曲線151は、
それら第一及び第二基準線セグメント149a,149
b上の各曲線制御点に基づき、両セグメント149a,
149bをつなぐ形で決定することができる。このよう
にすれば、欠損部両側の健常部形状の情報から、より健
常部への形状的な適合性の高い欠損部三次元形状データ
を生成することができる。
【0079】欠損部補間曲線は、いわゆる自由曲線ツー
ルにより生成することができ、設定される複数の制御点
を所定個数に区切り、各制御点の組を通る曲線を、比較
的簡単な数式、例えば二次以上の多項式により記述され
るセグメントとして取り扱うことができる。この場合、
欠損部補間曲線を健常部の外形線(基準線セグメント)
と滑らかに接続するためには欠損部補間曲線を、第一及
び第二基準線セグメントの各端点において、各々の基準
線セグメントに対し少なくとも一次の微分係数が略一致
するように、曲線制御点の座標情報に基づき回帰的に決
定することが望ましい。このような補間曲線としては、
特に内装法により表示される曲線、すなわちスプライン
曲線が直感的で取扱いも楽であり、本発明に好適に使用
できる。
【0080】例えば、三次スプライン曲線では、図40
(b)に示すように、各制御点をつなぐ曲線を三次式、
すなわち、 f(r)=k0+k1・r+k2・r+k3・r ‥‥(1) にて近似するものである(位置座標を表す変数を、ここ
では(r,f(r))としている)例えば、曲線を当て
はめるべき最初の4点p0〜p3を制御点として指定すれ
ば、(1)式の4つの係数k0〜k3を決める連立方程式が
得られ、これを解くことでp0〜p3を通る三次曲線セグ
メントsg1が決定される。そして、次は、p3〜p5の
3点を選択し、同様に(1)式に当てはめる。これだけで
は、方程式は3つしか得られないが、既に決定されてい
る三次曲線セグメントsg1に対するp3での接線ベクト
ル方向(すなわち一次微分係数)一致の条件から、第四
の式が導かれる。これを、先の3式と連立させることで
係数k0〜k3を決定でき、三次曲線セグメントsg2が
得られる。以下、3点ずつに区切りながら、同様にして
三次曲線セグメントを逐次的に決定・接続することで、
任意の個数の制御点を滑らかにつなぐ三次スプライン曲
線が得られるのである。
【0081】ただし、上記の三次スプライン曲線はアル
ゴリズムが単純な反面、例えば曲線上の制御点を1つで
も動かしたり、削除しただけでも曲線全体に影響が及
び、演算量が肥大する欠点がある。この欠点を解消した
方式として、以下のBスプライン曲線を使用することが
できる。Bスプライン曲線では、基底スプライン関数に
て規定される曲線上の点を制御点とし、この制御点の指
定・変更で曲線形状をより簡単に制御できる。この制御
点は、節点とも呼ばれ、n次のBスプライン曲線は、そ
の節点を概念的に(n+k+1)次元の接点ベクトルの
要素として取り扱うことにより、数3により定義され
る。
【0082】
【数3】
【0083】ただし、Nk,r(r)は節点ベクトルr
(=[r0,r1,‥,rm](r0≦r1≦‥≦rm))を
もつn次のスプライン関数である。これは、制御点Vk
に対する重み関数であり、下記数4のように定義され
る。
【0084】
【数4】
【0085】よって、n次のBスプライン曲線は、n−
1次の曲線を接続して形成されるスプライン曲線となる
(例えばn=4とすれば、三次スプライン曲線に近くな
る)。なお、本明細書において、Bスプライン曲線は、
節点間隔均等な狭義のBスプライン曲線のみでなく、節
点間隔が不均等なナーブス曲線の概念も包含する。
【0086】以下、具体的な処理例として、図32
(b)の頭頂位置を含まない欠損部400、例えば額部
分に欠損部が生じた場合から説明する。この場合は、図
31のS52からS53へ向かう処理の流れとなる。ま
ず、図35は正面投影を示し、骨部外形線125の額を
横切る何本かに、欠損による途切れにより端点126が
生じていることがわかる。この端点126をつなぐと、
欠損部の平面形状を推察することができる。また、図3
6は側面投影であり、額に対応する左側部分に上記の端
点126が表れている。これらの端点126をつなぐ
と、欠損部の抉れ深さを推察することができる。
【0087】まず、図35において、補間基準線の欠損
部開口側の端点126の全て又は3以上の一部のものを
曲線制御点126aとして選択し、図37に示すよう
に、その選択された曲線制御点126aに基づいて、補
填用人工骨401の外面周縁形状を表す外面輪郭線15
0を、欠損部開口形状400に対応する形にて決定する
(外面輪郭線決定手段の機能:図31、S52及びS5
3)。端点126は一見、全てを利用した方が欠損開口
形状を正確にトレースできるので、有利なように思われ
るが、必ずしもそうではない。つまり、図38に示すよ
うに、欠損開口形状の波打ちや凹凸が大きい場合、端点
126の全てを制御点として選択すると、決定される外
面輪郭線150が部分的に健常部側に入り込んでしまう
ことがある。こうなると、補填用人工骨401を欠損部
にはめ込むことができなくなってしまうので、適宜端点
126を間引く(つまり、制御点として採用しない)こ
とによって、外面輪郭線150の健常部への入り込みを
回避することが望ましい(図37では、126bの符号
を付与した端点を間引いている)。なお、端点126の
間引きにより、外面輪郭線150と欠損開口内縁との間
に形成される隙間が大きくなる場合は、外面輪郭線15
0上に、例えば新規に制御点を1又は複数発生させ、そ
の制御点の位置変更により、形成される隙間が縮小され
るように外面輪郭線150の形状調整を行えばよい。
【0088】他方、欠損開口形状の波打ちや凹凸を、極
度に忠実に写し取ると、図38(b)に示すように、得
られる補填用人工骨401の外形にも対応する凹凸等が
形成される。周知のように補填用人工骨401はセラミ
ックスの焼成により作成されるので、このような凹凸を
起点として割れやクラックC等が発生しやすくなる問題
もある。このような場合、図38(a)に示すように、
凹凸を作為的に馴らした形状とするために、凹凸に対応
する位置の、一部の端点は採用しないようにするのであ
る。
【0089】次に、図39に示すように、第一基準線セ
グメント149aと、第二基準線セグメント149bと
は、欠損部の存在により中断される骨部外形線125
の、該欠損部に面した両端部分が使用される。そして、
図40を用いて説明した方法により、第一基準線セグメ
ント149aと、第二基準線セグメント149bとの点
群データの一部又は全てを使用して、補間曲線151を
欠損部が関与する(すなわち、端点126を有する)各
骨部外形線125毎に生成する(図31:S55〜S5
9)。図41及び図43は、こうして形成された補間曲
線151を平面投影あるいは側面投影により表したもの
である。これは、図25等に示す欠損部の推定外形線1
29とは異なり、健常部の補間基準線形状に基づいて補
間生成されているので、欠損部のより精密な三次元形状
を反映している。
【0090】なお、欠損部補間曲線151上には、新た
な曲線制御点を1又は複数発生させる機能を付与するこ
ともできる(曲線制御点生成手段)。例えば、図41の
平面投影を見ることで、補間曲線151の健常部との適
合性、例えば曲線の滑らかなつながり具合や、不自然な
凹凸の有無を確認することができる。そして、もし、そ
の形状に満足できなければ、図42に示すように、ポイ
ンタPによる手動設定、あるいは間隔・個数を指定する
ことによる自動発生プログラムにより、補間曲線151
上に新たな曲線制御点154を発生させることができ
る。この曲線制御点154のうち移動したいものを、ポ
インタPにより選択し、公知のマウスドラッグ移動等
(あるいは座標手動入力)により位置変更すれば、欠損
部補間曲線151の形状調整を自由に行うことができる
(欠損部補間曲線形状調整手段の機能)。
【0091】図31に戻り、S68、S69では、決定
された補間曲線151と外面輪郭線150との各情報に
基づいて、三次元形状データを生成し、これを設計デー
タとして保存する。本実施例では、三次元形状データ
を、いわゆるソリッドモデルにより記述するが、これを
概念的に表したものが図50である。すなわち、立体を
構成する線及び頂点(幾何学的な狭義の頂点以外に、2
つの線の共有点も広義に頂点と称する)、線と頂点との
関係、及び面と線との対応を含み、さらに、各面に対す
る実体側を規定したデータが付加される。ここでは、図
40に示すように、それら曲線にて各々囲まれる部分に
自由曲面の曲面データを、例えば、スイープ曲面やスプ
ライン曲面により発生させる処理を行う(図31:S6
8)。また、補間曲線151と外面輪郭線150とは、
各端点あるいは共有点位置が座標値により規定され(外
面輪郭線150は、それら点により区切られたセグメン
ト状の線とみなせばよい)、また各線には曲面データを
対応づける。そして、各面に対し、図50の(a)のよ
うに実体のある側の一点を指定する方法、(b)のよう
に法線ベクトルを規定する方法、あるいは(c)のよう
に面を囲む稜線の回転方向を指定する方法のいずれかに
より、実体側規定データが生成・付加されて、三次元形
状データの作成が完了する。
【0092】なお、図32(b)に示すように、欠損部
400の形状が、鏡映基準面MSPに関して非対象であ
る場合は、部分的に鏡映コピーによる修復が可能な場合
がある。この場合は、図31のS54からS60に進
み、健常部の残っている側(これは片側のみである場合
と、両側である場合とがある)を他方の側に鏡映コピー
して、図34により既に説明した、コピー先位置の補正
を行う(S60,S61)。なお、図32(a)のよう
に、その鏡映コピーにより欠損部が完全に補填される場
合の処理は既に説明したが、この場合はS68に進む。
他方、同図32(b)のように完全に補填されない場合
は、鏡映コピーによる補填部分を健常部組み込んだ形に
て、補填不能の部分を、S55以下の前述の処理による
補間曲線により補うのである。
【0093】次に、頭頂位置を含む欠損部となっている
パターン3の場合は、S64以下の処理となる。ここで
の処理の基本的な思想は以下の通りである。すなわち、
図44〜図47に示すように、骨部外形線125の情報
に基づいて健常部の三次元外面形状を規定する健常部三
次元面データを作成する。そして、その健常部三次元面
データに基づいて張られる健常部外面オブジェクト16
0上に、欠損部161を横切る所定方向にて骨部外形線
と交差する補間基準線164を設定する。
【0094】補間基準線は、具体的には以下のように形
成できる。まず、図44に示すように、健常部外面オブ
ジェクト160の底部側に基準面SPを設定し、図45
に示すように、その基準面SP上に、例えば放射線状に
投影元基準線162を設定する。そして、図46に示す
ように、その投影元基準線162を健常部外面オブジェ
クト160上に投影して、補間基準線163を形成する
ことができる。
【0095】例えば、図45に示すように、平面投影に
て欠損部161(図44)を横切るように投影元基準線
162を設定すれば、図46に示すように、これに対応
する補間基準線163のセグメントが欠損部161挟ん
で両側に表れる。これらは、第一基準線セグメント16
3a及び第二基準線セグメント163bとして使用する
ことができる。そして、図40と同様の原理により、図
47に示すように補間曲線164を発生させることがで
きる。補間曲線164はこの場合、傘の骨状に放射状に
表れる。なお、これらが必ずしも一点で交差しないとき
は、前述の制御点発生処理により各補間曲線164上に
制御点を発生させ、例えば手動補正により、これらを一
点αに接続することができる。その後は、図48に示す
ように、補間曲線164上に例えば所定間隔で面規定用
の制御点165を発生させ、例えば交差点αに向けて下
側から順に面セグメント167を発生させてゆけばよ
い。
【0096】なお、図49に示すように、平行線状の投
影元基準線SPを発生させてもよい。この場合は、その
投影元基準線SP上に発生させた制御点168により、
図39と全く同様にして補間曲線164を発生させるこ
とができる。
【0097】以上の方法により作成された三次元形状デ
ータを用いて、切削(加工)プログラム205により加
工装置15を作動制御することにより、図56に示すよ
うに、人工骨素材であるセラミックス未焼成成型素材W
(例えばセラミックス粉末をバインダーにより結合した
粉末成型素材である)を直接切削加工して未焼成切削体
401’を作り、さらにこれを焼成することにより欠損
部補填用人工骨401を製造することができる。三次元
形状データは前述の通り、最終的に得るべき人工骨40
1の外面401aの形状を規定するものである。ただ
し、焼成による収縮を考慮して、未焼成切削体401’
は最終的な人工骨401よりは大寸法に形成しなければ
ならない。この場合、この収縮率に応じて三次元形状デ
ータに適宜、拡大のためのデータ変換を施すことができ
る。
【0098】そして、切削プログラム205は、最終的
に削り出すべき未焼成切削体401’の外面401a’
の位置を切削限界位置として、セラミック被加工材料
(ワーク)Wに対する工具Tの切削パスデータを作成
し、その切削パスデータをデータインターフェース14
を介して図4の加工装置15に送信する。加工装置15
では、セラミック被加工材料Wと工具TLとの間に、切
削パスデータが規定する相対的な動きが生ずるように、
ワーク送り用のX−Yテーブルのモータ61,62、工
具のZ方向送りを行うモータ63の作動制御を行う。
【0099】図53は、その切削プログラムによる処理
の流れの一例を示すものである。S100で、まず、セ
ラミック被加工材料Wの縦、横、高さ等の寸法入力を行
い、S101で工具種別と切削媒の種別とを選択する。
図2の記憶装置6には、図7に示す加工条件データベー
ス、すなわち、工具種別と切削媒(例えば、切削油や切
削液など)の種別とを選択することにより、これに適し
たZ方向の工具切込量と、X−Yテーブルによるワーク
送り速度とが読み出され、加工装置15に対して自動設
定されるようになっている。
【0100】図53に戻り、S102で設計データとし
て作成・保存されている三次元形状データを読み出し、
まずS103〜S115で荒削り処理を行う。ここで
は、工具切込方向(上下方向)をZ方向、縦ワーク送り
方向をX方向、同じく横ワーク送り方向をY方向とす
る。まず、S104で工具を原点位置(X,Y,Z=
0)とし、ワーク送り速度に応じて定まる送り単位ΔX
にてワークをX方向に送り、切削を行う(S105〜S
108)。そして、三次元形状データが規定する切削限
界位置の内側に入る直前位置となるか、あるいは限界位
置Xmaxに到達したらX=0に復帰し(S108→S1
09)、Y方向に送り単位ΔYだけ移動させ(S109
〜S111→S105)、S105〜S108のX方向
の切削を繰り返す。そして、この処理を繰り返して工具
とワークとの相対位置がY方向限界位置Ymaxに到達し
たら、工具を工具切込量ΔZだけ上昇させてX,Y=0
に復帰し(S114→S105)、S105〜S111
の処理を繰り返す。
【0101】図54に示す切削シミュレーション(後
述)の画面表示を援用して説明すれば、これによりワー
クWは略階段状に荒削り加工されてゆくここととなる。
なお、ワークWを示す材料素材オブジェクトはグレー階
調により立体表示され、工具を示す工具オブジェクトは
白抜き棒状に表れている。ワーク上面の図面奥側が荒削
り面、手前側が仕上加工済み面である。他方、中央部が
凸である外面形状を切削する場合、階段状の荒削りで
は、X送り方向において凸部の向こう側の切削はできな
いから、S115からS116に進んでX方向ワーク送
りの前後を反転し、原点も適宜変更して、S104以下
の処理をもう一度繰り返す。これにより、先の荒削りで
は切削できなかった凸部反対側の荒削りが行われる。
【0102】荒削りが終了すれば、工具を適宜交換し、
工具種別と切削媒の種別(ひいては対応する送り速度及
び切り込み量:図7参照)とを仕上加工用のものに変更
して、S118の仕上加工に移る。仕上加工では、三次
元形状データが規定する最終的な面形状に工具を倣わせ
るように送ることで、荒削り面の小さな凹凸を撫でるよ
うに除去し、面仕上を行ってゆく(図54を再度参照の
こと)。
【0103】さて、従来の切削方式であると、先にも説
明した通り、次のような問題が発生していた。 欠損部の姿勢によっては、凹凸部位を切削する際に、
図57(a)に示すように、被加工材料の本来切削すべ
きでない部位に工具が干渉して、切削精度低下あるいは
切削不能といった問題が生じうる。 図52(b)に示すように、欠損部補填形状が縦や斜
めを向いていた場合、能率及び材料歩留まりの低下が甚
だしい。
【0104】まず、の問題は、欠損部の三次元形状デ
ータに基づいて、セラミック被加工材料に対する加工体
積を反映した加工体積パラメータを算出し、その加工体
積パラメータの値が最適化されるように、欠損部の三次
元形状データに所定の回転変換を施すことで解決するこ
とができる。この処理を司るのは図2の切削最適位置決
定プログラム204である。処理の流れの一例を図51
に示している。切削体積の最適化を図る上で主に効果が
あるのは、水平軸(X軸及びY軸)周りの回転移動であ
る。まずS70,S71では、三次元形状データに所定
の回転角度単位ΔθXにて回転変換を施しつつ、その回
転後の三次元形状データの空間的な拡がりから、欠損部
補填形状外面のX方向、Y方向及びZ方向の寸法LX、
LY、LZを求める。例えばLXは、欠損部補填形状外面
の面データから、面に属する座標点のうち、X座標値の
最大値をXmax、同じく最小値をXminとして、LX=Xm
ax−Xminとして算出する。LY、LZも同様に、LY=Y
max−Ymin、LZ=Zmax−Zminとして算出する。そし
て、S72で、加工体積パラメータVを、V=LX×LY
×LZとして算出する。図52に示すように、これは欠
損部補填形状外面401aへの外接直方体の体積であ
り、これが大きければ大きいほど加工体積、すなわち加
工代が大きくなることは明らかであろう。
【0105】そして、S73では、上記Vが最小となる
X軸周りの角度位置を見い出してこれに固定し、その状
態でS74以下ではY軸周りの回転について全く同じ処
理を行う。これにより、三次元形状データの、加工体積
が最小となる最適の回転角度位置が決定されることにな
る。そして、S80では、決定された回転位置への回転
変換を施した状態にて、三次元形状データを再保存す
る。
【0106】一方、の問題については、実際に加工を
開始してから加工不能であることに気付く愚は何として
も避けねばならない。そこで、本実施例では、欠損部の
三次元形状データに基づいて、セラミック被加工材料に
対する切削シミュレーションを実施可能としている。こ
の切削(加工)シミュレーションは、図2のシミュレー
ションプログラム207により行われるが、基本的な処
理の流れは図53と全く同様である。ここでは、実際の
セラミック被加工材料Wの代わりに、ソリッドモデルに
よる材料素材オブジェクトの三次元形状データを使用
し、工具の代わりに同じくソリッドモデルによる工具オ
ブジェクトの三次元形状データを使用して、図7に示す
データに基づき設定された工具切込量とワーク送り速度
に従い、コンピュータグラフィックスによる切削シミュ
レーションを行う。例えば、材料素材オブジェクトと、
工具オブジェクトとの間に空間的な重なりが発生すれ
ば、その重なり部分は切削されたと判断し、材料素材オ
ブジェクトからその切削部分に相当するデータ部を消去
又は無効化する処理を行う。これにより、図54あるい
は図55に示すように、加工進行状況を表すシミュレー
ション画面を表示することができる。なお、図54
(a)は、人工骨表側の仕上加工が途中まで進行した状
態を、同図(b)は、その仕上加工が終了した状態を示
している。また、図55(a)は、人工骨裏側の仕上加
工が途中まで進行した状態を、同図(b)は、その仕上
加工が終了した状態を示している。
【0107】なお、工具切込量とワーク送り速度は被加
工材料の種別によっても異なる場合がある。例えば、該
加工装置を用いてセラミックス未焼成成型素材以外に、
例えば石膏モデルの切削を行うこともできるが、この場
合、それらセラミックス未焼成成型素材あるいは石膏と
いった、被加工材料の種類毎に図7に示すデータを用意
しておき、材料別に適宜データを選択して用いることも
できる。
【0108】上記のような切削シミュレーションによ
り、実際に加工を行わなくとも、図57に示すような要
因により切削不能となる可能性があるか否かを、簡単に
知ることができる。例えば、シミュレーション時に設定
された加工パスによる加工で、既に切削済みの部位にお
いて、三次元形状データが規定する加工限界位置を超え
て工具が内側に入り込むか否かを監視し、工具が内側に
入り込むようであれば切削不能と判定することができ
る。また、実際の切削では絶対不可能な早送り処理等
も、シミュレーション処理では極めて簡単に行うことが
でき、切削の可否を迅速に知ることができる。また、図
53のS119に示すように工具あるいはワークの送り
速度と、切削開始から切削終了までの総パス長とを参照
すれば、加工に要する時間も簡単に知ることができる。
【0109】そして、切削シミュレーションの結果にお
いて、正常な切削が不能と判定された場合は、正常な切
削が可能となるように、欠損部の三次元形状データに、
平行移動、回転移動及びそれらの組み合わせのいずれか
からなる所定の移動変換を施ことができる。なお、先の
切削最適位置決定処理を優先した場合、加工代最小とな
る三次元形状データの回転角度位置が、必ずしも切削可
能とはならないこともありうる。そこで、正常切削確保
と加工代最小化との2つの課題を解決するために、図5
8に示すような処理が可能である。まず、S120で
は、三次元形状データをある初期位置に設定して切削シ
ミュレーションを行い、その後、三次元形状データに少
しずつ回転移動(あるいは平行移動:ここでは、理解を
容易にするために回転移動に限って説明を進める)を施
しながら、切削シミュレーションを繰り返す。そして、
その判定結果を見て、切削可能な角度位置と切削不能な
角度位置とを、例えば設計データの一部としてそれぞれ
登録・記憶してゆく(S121〜S123)。
【0110】そして、全ての有効角度範囲を調べ尽くせ
ば、切削可能な角度範囲[θV]が記憶されているはず
であるから、その角度範囲[θV]に限定した形で、図
51の切削最適位置決定処理を行えば、正常切削可能で
あってしかも切削代も最小化できる三次元形状データの
変換位置を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線CTの原理説明図。
【図2】本発明の補填用人工骨設計システムを用いた補
填用人工骨加工システムの、電気的構成の一例を示すブ
ロック図。
【図3】人体断層の画像データ取得方法を概念的に示す
説明図。
【図4】加工装置の電気的構成の一例を示すブロック
図。
【図5】設計データの記憶形態の一例を示す概念図。
【図6】設計データの内容の一例を示す概念図。
【図7】加工装置に対する工具切り込み量と送り速度と
の設定データの構成例を示す概念図。
【図8】X線CTによる撮影を行う断層位置の設定例を
示すレントゲン写真。
【図9】X線CTによる断層画像のいくつかの出力例を
示す図。
【図10】骨部データ抽出処理の流れの一例を示すフロ
ーチャート。
【図11】断層位置による骨部領域の像ぼけの発生原因
を説明する図。
【図12】手動により骨部外形線を入力する方法を示す
説明図。
【図13】閾濃度レベルを選択して骨部外形線を自動発
生させる方法を示す説明図。
【図14】原イメージデータの二値化の原理と、CT値
に応じた表示色の設定例を示す図。
【図15】濃淡階調を有する原イメージデータと、骨部
候補領域の抽出例を示す説明図。
【図16】ラベリングによる領域分離抽出の原理説明
図。
【図17】頭蓋骨部の開口部を補間曲線にて埋める処理
例を示す説明図。
【図18】補間曲線の発生方法を示す説明図。
【図19】サーチ円を用いて補間曲線をさらに高精度に
発生させる方法を示す説明図。
【図20】サーチ円の中心決定方法を示す説明図。
【図21】輪郭点群化処理の流れの一例を示すフローチ
ャート。
【図22】骨部外形線を各種投影にて表示した画面出例
を示す図。
【図23】図22の平面投影を拡大して示す図。
【図24】複数スライスの骨部外形線を平面投影に合成
する様子を示す説明図。
【図25】図22の正面投影及び側面投影を模式化して
説明する図。
【図26】骨部外形線の立体合成投影により生ずる錯覚
の例を説明する図。
【図27】骨部外形線のスムージング補正の位置方式を
説明する図。
【図28】図22の、濃淡画像の重ねイメージを拡大し
て示す図。
【図29】位置決め用目印画像が形成されたX線CTフ
ィルムの一例を示す図。
【図30】位置決め用目印画像が不鮮明化して、位置決
め誤差を生ずる様子を説明する図。
【図31】三次元形状データ作成処理の流れの一例を示
すフローチャート。
【図32】頭蓋骨における各種欠損発生形態を示す図。
【図33】鏡映コピーによる欠損部復元を行う場合の問
題点を説明する図。
【図34】コピー先の位置補正を行いながら鏡映コピー
を行う方式の説明図。
【図35】額に生じた欠損部の三次元形状データ作成を
行う場合に使用する骨部外形線合成像の、正面投影表示
例を示す図。
【図36】同じく側面投影表示例を示す図。
【図37】欠損部の外面輪郭線の形成例を示す図。
【図38】開口内面に凹凸が形成された欠損部に対する
補填用人工骨の形状例を示す模式図。
【図39】補間基準線と欠損部補間曲線の発生例を示す
図。
【図40】補間曲線及びそれに基づく面データの発生方
式を説明する図。
【図41】額に生じた欠損部の三次元形状データ作成を
行う場合に使用する骨部外形線合成像の、平面投影表示
例を示す図。
【図42】欠損部補間曲線上に制御点を発生させ、それ
を用いて形状補正する様子を示す説明図。
【図43】欠損部補間曲線形成後の側面投影表示例を示
す図。
【図44】頭頂部に生じた欠損部の三次元形状データ作
成を行う場合に使用する、健常部外面オブジェクトを模
式的に示す斜視図。
【図45】投影元基準線を設定した健常部外面オブジェ
クトの表示例を示す図。
【図46】図45の投影元基準線に基づき補間基準線を
形成した状態の、健常部外面オブジェクトの表示例を示
す図。
【図47】図46の補間基準線に基づき欠損部補間曲線
を形成した状態の、健常部外面オブジェクトの表示例を
示す図。
【図48】図47の欠損部補間曲線間に面データを発生
させる様子を示す説明図。
【図49】投影元基準線を平行線状に設定する例を示す
健常部外面オブジェクトの三面図。
【図50】ソリッドモデルによる三次元形状データの概
念を説明する図。
【図51】切削最適位置決定処理の流れの一例を示すフ
ローチャート。
【図52】切削体積を最小化する三次元形状データの回
転変換を説明する図。
【図53】加工処理あるいはそのシミュレーション処理
の流れの一例を示すフローチャート。
【図54】加工シミュレーションの出力例を示す図。
【図55】加工シミュレーションの別の出力例を示す
図。
【図56】被加工材料を直接切削して補填用人工骨を製
造する方法を説明する図。
【図57】被加工材料と工具との位置関係により切削不
能となる場合の説明図。
【図58】加工可否を考慮した切削最適位置決定処理の
流れの一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 補填用人工骨加工システム 3 CPU 7 イメージスキャナ 11 表示装置(画像表示手段) 15 加工装置 40 補填用人工骨設計システム 50 コンピュータ 80 フィルム 90 断層画像 93 最大候補領域 99 画素濃度モニタバー(画素濃度表示手段) 100 骨部推定画像領域 101 曲線制御点 102 基準濃度レベル領域 103 骨部外形線情報 108 頭蓋骨部候補領域 117 サーチ円 122 重ねイメージ 125 骨部外形線情報 129 欠損部の推定外形線 132 位置決め用目印画像 149 補間基準線 149a 第一基準線セグメント 149b 第二基準線セグメント 150 外面輪郭線 151,164 欠損部補間曲線 152,168 曲線制御点 160 健常部外面オブジェクト 162 投影元基準線 200 制御プログラム 400 欠損部 SC 断層位置 MSP 鏡映基準面 Kx 閾濃度レベル Ki 基準濃度レベル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C097 AA01 BB05 BB10 CC01 MM01 SC10 5B046 CA05 DA08 EA09 FA12 FA17 GA01 GA09 JA02 5B057 AA09 BA03 BA07 CA08 CA12 CB08 CB13 CE15 DA08 DB02 DB09 DC04 DC09 DC22

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人体断層画像に基づいて骨部欠損部を埋
    める補填用人工骨を設計するシステムにおいて、 互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像の
    それぞれにおいて、予め定められた濃度レベルの画素領
    域を、骨部候補領域として抽出する骨部候補領域抽出手
    段と、 その骨部候補領域のうち、最終的に骨部領域として使用
    するもの(以下、確定骨部領域という)を選択する領域
    選択手段と、 その確定骨部領域に基づいて、最終的に骨部として定め
    るべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成す
    る骨部外形線情報生成手段と、 各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、前記骨部の
    欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ
    生成手段とを備えたことを特徴とする補填用人工骨設計
    システム。
  2. 【請求項2】 前記領域選択手段は、抽出された骨部候
    補領域のうち少なくとも面積最大のもの(以下、最大候
    補領域という)を前記確定骨部領域として採用する一
    方、予め定められた許容下限面積以下のものは少なくと
    も、前記確定蓋骨部領域として採用しない請求項1記載
    の補填用人工骨設計システム。
  3. 【請求項3】 前記骨部外形線生成手段は、前記確定骨
    部領域のうち、人体外面側に臨む外形線のみを用いて前
    記骨部外形線情報を生成する請求項1又は2に記載の補
    填用人工骨設計システム。
  4. 【請求項4】 前記骨部外形線生成手段は、前記確定骨
    部領域の外形線の一部を使用して、本来前記確定骨部領
    域の存在しない領域に、前記骨部外形線の一部として組
    み入れられる推定外形線を補間形成する推定外形線補間
    手段を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の補填
    用人工骨設計システム。
  5. 【請求項5】 前記骨部は頭蓋骨であり、前記断層画像
    は、前記軸線方向をその頭蓋骨を縦方向に貫く形で設定
    することにより得られる頭部の輪切り画像である請求項
    1ないし4のいずれかに記載の補填用人工骨設計システ
    ム。
  6. 【請求項6】 前記推定外形線補間手段は、眼窩、口
    孔、鼻孔など、欠損部とは別に頭蓋骨が本来的に備えて
    いるべき開口部を閉塞する形で前記推定外形線を補間形
    成する請求項5記載の人工骨設計システム。
  7. 【請求項7】 前記領域選択手段は、抽出された骨部候
    補領域のうち少なくとも面積最大のもの(以下、最大候
    補領域という)を前記確定骨部領域として採用する一
    方、前記最大候補領域以外の骨部候補領域のうち、特定
    の一部のものを選択候補領域として選択し、その選択候
    補領域を前記最大候補領域に組み入れる形で前記確定骨
    部領域を決定する請求項1ないし6のいずれかに記載の
    補填用人工骨設計システム。
  8. 【請求項8】 前記領域選択手段は、前記開口部として
    の眼窩に隣接して位置する鼻骨部位を前記選択候補領域
    として選択するものであり、 前記推定外形線補間手段は、前記確定頭蓋骨部領域にお
    いて、その鼻骨部位と、前記眼窩を挟んで前記鼻骨部位
    と反対側に位置する目尻側の頭蓋骨部位(以下、目尻部
    位という)との外形線を利用して、前記眼窩を塞ぐ補間
    曲線を生成するものである請求項7記載の補填用人工骨
    設計システム。
  9. 【請求項9】 前記推定外形線補間手段は、 前記鼻骨部位の外形線と、前記目尻部位の外形線とに対
    し、それら外形線からの幾何学的な変位が最小となる所
    定半径のサーチ円を設定するサーチ円設定手段と、 そのサーチ円に対し、距離が所定の基準値未満となる外
    形線部分を補間基準部分として抽出する補間基準部分抽
    出手段と、 その抽出された補間基準部分上に補間曲線形成のための
    複数の曲線制御点を設定する曲線制御点設定手段と、 それら曲線制御点を用いて前記補間曲線を生成する補間
    曲線生成手段とを備える請求項8記載の補填用人工骨設
    計システム。
  10. 【請求項10】 前記サーチ円の中心は、前記確定頭蓋
    骨部領域の外形線に対する、一定形状の外接図形のう
    ち、最小のものの幾何学的重心位置として定められる請
    求項9記載の補填用人工骨設計システム。
  11. 【請求項11】 前記外接図形は外接長方形である請求
    項10記載の補填用人工骨設計システム。
  12. 【請求項12】 前記人体断層画像の画像データとし
    て、断層画像撮影装置にて取得された撮影信号に基づい
    て、直接デジタル画像データとして生成されたものが使
    用される請求項1ないし11のいずれかに記載の補填用
    人工骨設計システム。
  13. 【請求項13】 前記人体断層画像の画像データとし
    て、断層画像撮影装置において、モニタ画像の撮影フィ
    ルムあるいは画像印刷物として出力された画像ハードコ
    ピーを、イメージスキャナにより画像データ化したもの
    が使用される請求項1ないし12のいずれかに記載の補
    填用人工骨設計システム。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13のいずれかに記載
    の補填用人工骨設計システムにより作成された三次元形
    状データを参照しつつ、被加工材料を前記三次元形状デ
    ータが示す補填用人工骨形状に加工する工程を含むこと
    を特徴とする補填用人工骨の製造方法。
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