JPWO2008012928A1 - 位相比較器,位相比較装置,およびクロックデータリカバリシステム - Google Patents

位相比較器,位相比較装置,およびクロックデータリカバリシステム Download PDF

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Abstract

比較期間検出部(11)は、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を比較期間と規定し、比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。位相関係検出部(12)は、データ信号と基準クロック信号との位相関係を検出し、比較期間検出部(11)によって比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相関係の検出結果を出力する。

Description

この発明は、データ通信において受信データにクロック信号を同期させる位相調整技術に関する。
機器間においてデータ通信を行う際には、受信側の機器のクロックと送信側の機器のクロックが同期していないうえ電源ノイズや温度など動作環境の違いによってクロックの周波数も同一ではないため、受信側の機器において受信したデータを基にクロックを再生する必要がある。この処理は一般にタイミングリカバリやデータクロックリカバリなどと呼ばれている。一般的なタイミングリカバリでは、受信側でクロックを発生し、そのクロックと受信したデータの位相差を検出し、検出した位相差に応じてクロックの周波数または位相を調整することを繰り返して行う。
図24は、一般的な位相差検出手段を示す。データ検出手段161およびクロック検出手段162の各々は、フリップフロップであり、データピンが『Hレベル』で固定されており、クロックピンにはそれぞれデータ信号とクロック信号が入力されており、リセットピンには判定手段163から出力されたリセット信号が入力されている。データ信号が『Hレベル』になるとデータ検出手段161の出力は『Hレベル』になりUP信号として出力される。同様に、クロック信号が『Hレベル』になるとクロック検出手段162の出力は『Hレベル』になりDOWN信号として出力される。判定手段163は、データ検出手段161の出力とクロック検出手段162の出力とを監視しており、両方が『Hレベル』になったときにリセット信号を出力する。すなわち、データ検出手段161の出力およびクロック検出手段162の出力の各々は、両方が『Hレベル』になった時点でリセットされ『Lレベル』に戻る。このため、クロック信号に対してデータ信号が早く来た場合は「UP信号」が位相差と同じ期間だけ出力され、逆の場合は「DOWN信号」が位相差と同じ期間だけ出力されることになる。これによって、クロック信号の位相がデータ信号に対してどれだけ進んでいるかまたは遅れているかを検出することができる。
このような方法による位相差検出は簡易な回路で実現可能だが、データレートが高くなるとUP信号,DOWN信号のパルス幅が短くなりフルスイングできなくなるので、正確な位相差検出が困難になってくる。このような課題を解決するため、受信データをオーバーサンプリングした結果を用いて位相判定する方法が米国特許第5,905,769号明細書(特許文献1)および特開2004−180188号公報(特許文献2)に開示されている。
特許文献1では、4ビット分の受信データを12相のクロック信号でラッチする位相比較器について開示されている。すなわち、1ビット分の受信データに対して3倍オーバーサンプリングを実行する位相比較処理を4ビット並列で行う構成である。3倍オーバーサンプリングとは、1ビット幅が『T』である受信データを『T/3』間隔で3回保持することを意味する。このように、1ビット分の受信データを異なるタイミングで複数回ラッチして得られた結果に基づいて、受信データとクロック信号の位相関係を知ることができる。例えば、受信データが『0→1→0→・・・』と遷移する時刻周辺(データの遷移点付近)において3倍オーバーサンプリングを実行すると、受信データとクロック信号との位相関係が所望の状態(理想的な位相関係)である場合には『(000)(111)(000)・・・』という結果になる。しかし、ラッチした結果が『(001)(110)(001)・・・』となった場合には、受信データに対してクロック信号の位相が遅れていると判断することができる。逆に『(100)(011)(100)・・・』となった場合には、受信データに対してクロック信号の位相が進んでいると判断することができる。
特許文献2では、多相のクロックを使用する代わりに、受信データを遅延させることによってオーバーサンプリングと同等の効果を得る位相検出回路について開示されている。図25は、特許文献2に示された位相比較器の構成を示す。ここでは、2つの遅延素子171を用いて受信データを2段階遅延させ、遅延素子171の各々の出力と遅延されていないデータとからなる3種類のデータを分周器172からのクロック信号に同期してラッチしている。特許文献1と同様、ラッチした結果は(001)のような3ビットの情報となり、この結果に基づいて位相遅れ信号、位相進み信号を出力する。
ここで、遅延素子171の各々の遅延量が『T/3』である場合には特許文献1に開示された位相比較器と同様の動作をするが、遅延量が『T/3未満』である場合には位相判定が行なわれない「不感帯」が生じる。説明の簡略化のために、フリップフロップのSETUP・HOLD時間を『0』とし、遅延素子171の遅延量を『D』とすると、クロック信号の立ち上がりエッジから遅延量2Dに相当する期間だけ前の時点までの期間中にデータの遷移点が発生した場合にのみ位相遅れ信号・位相進み信号が出力される。つまり、「1サイクル前のクロック信号の立ち上がりエッジ」から「次の立ち上がりエッジから遅延量2Dに相当する期間だけ前の時点』までの期間中にデータの遷移点が発生した場合には位相判定が行なわれない。つまり、この期間が不感帯となる。
特許文献1および図25(特許文献2)に示した位相比較器は受信データとクロック信号との位相関係だけを判定するため、データの通信速度が高速化された場合でも位相差を示すパルスがつぶれてしまう等の問題を生じない。また、出力結果がデジタル形式であるため、処理のパイプライン化・並列化が容易であり、高速通信に好適な回路構成であるといえる。
米国特許第5,905,769号明細書 特開2004−180188号公報
しかしながら、図25に示した構成では、遅延素子の精度が動作に与える影響が大きい。一般的に、遅延素子は、インバータ等のゲート遅延によって構成され、電源電圧や温度の変動等による影響を受けやすく、精度の高い遅延を実現することは困難である。温度変動等を補償して一定の遅延量を実現することは可能であるが、比較的大規模なアナログ回路が必要となり位相検出回路の面積が大きくなってしまう。それに加えて、HDMIのようにデータレートが変化するような通信においては、取り得るデータレートに応じた最適な遅延量を実現するための遅延素子を複数種類用意しなければならないので、面積増大および電力増加の原因となる。
また、特許文献1に開示された位相比較器では、オーバーサンプリングの倍数の増加および並列して処理するビット数の増加に比例して、必要となるクロック信号の相数が増大する。例えば、4ビット分のデータ信号に対して4倍のオーバーサンプリングを実現するためには16相のクロック信号が必要であり、5ビット分のデータ信号に対して5倍のオーバーサンプリングを実現するためには25相のクロック信号が必要となる。このように、1ビット分の処理を行う位相検出回路の各々に対してオーバーサンプリングの倍数に応じた相数のクロック信号を分配する必要があるので、配線面積が増大し、クロック伝達に要する電力が増加する。また、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化が生じる。
そこで、本発明は、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することを目的とする。また、本発明は、位相比較処理に必要なクロック信号の相数(クロック信号の本数)の増大を抑制することを目的とする。
この発明の1つの局面に従うと、位相比較器は、比較期間検出部と、位相関係検出部とを備える。比較期間検出部は、データ信号と第1および第2クロック信号とを受け取り、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を比較期間と規定する。比較期間検出部は、比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。データ信号は、データの1ビット長がTである。第1のクロック信号は、周期がnT(nは2以上の整数)である。第2クロック信号は、周期がnTであり且つ第1クロック信号に対して位相がh(0<h≦T)遅れている。位相関係検出部は、データ信号と基準クロック信号とを受け取る。位相関係検出部は、データ信号と基準クロック信号との位相関係を検出し、比較期間検出部によって比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相関係の検出結果を出力する。基準クロック信号は、第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h)遅れている。
上記位相比較器では、位相比較処理と比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出とが並列して実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。この構成により、位相比較器に遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。また、複数個の位相比較器を使用して複数ビット分のデータ信号を位相比較処理の対象とする場合、従来の4倍以上のオーバーサンプリングを使用する例よりも位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることができる。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の位相比較器に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の位相比較器に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
好ましくは、上記第2クロック信号は、上記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。位相進み検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。
上記位相比較器では、データ信号に対して基準クロック信号が遅れていると位相遅れ信号が出力され、データ信号に対して基準クロック信号が進んでいると位相進み信号が出力される。このように、位相関係の検出結果として位相遅れ信号および位相進み信号が出力される。位相関係の検出結果を参照すれば、基準クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点に近づけることができる。これにより、ラッチクロックである第2クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点間における中央部分に配置することができる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第1保持部の保持結果を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号を保持する第2保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む。
上記位相比較器では、例えば、データ信号の遷移よりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第1保持部の保持結果が『Hレベル』になり、データ信号の遷移よりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第2保持部の保持結果が『Hレベル』になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、遷移点検出部よってデータ信号の遷移が検出されたタイミングに応じて第1内部信号を出力する第1出力部と、第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されたタイミングに応じて第2内部信号を出力する第2出力部と、第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。第1出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する。第2出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に後に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると上記第2内部信号を出力する。
また、上記第2クロック信号は、上記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。位相進み検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。遅延基準クロック信号は、上記基準クロック信号に対して位相がD(0<D<T−i)遅れている。
上記位相比較器では、基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生してから遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生するまでの間にデータ信号の遷移が発生しても、位相関係の検出結果は出力されない。すなわち、この期間は、不感帯である。このように、不感帯を形成することによって、ジッタ等のノイズに対する強度を向上させることができる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第1保持部の保持結果を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記遅延基準クロック信号を保持する第2保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む。
上記位相比較器では、例えば、データ信号の遷移よりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第1保持部の保持結果が『Hレベル』になり、データ信号の遷移よりも時間的に前に遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第2保持部の保持結果が『Hレベル』になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する第1出力部と、第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含み。上記位相進み検出部は、上記遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する遅延基準点検出部と、遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されるよりも時間的に前に遅延基準点検出部によって遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されると第2内部信号を出力する第2出力部と、第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。
また、上記第2クロック信号は、上記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、遅延データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。遅延データ信号は、上記データ信号に対してD(0<D<i)遅延している。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。
上記位相比較器では、データ信号の遷移点から遅延データ信号の遷移点までの間に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生しても、位相関係の検出結果は出力されない。すなわち、基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延データ信号の遅延量に相当する期間だけ前の時点までの期間は、不感帯になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、上記遅延データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する遅延保持部と、第1保持部および遅延保持部の各々の保持結果の論理積を出力する第1出力部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第1出力部の出力を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号を保持する第2保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む。
上記位相比較器では、例えば、遅延データ信号の遷移よりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第1保持部の保持結果が『Hレベル』になり、データ信号の遷移よりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第2保持部の保持結果が『Hレベル』になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、上記遅延データ信号の遷移を検出する遅延遷移点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ予測信号を出力する位相遅れ予測部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遅延遷移点検出部によって遅延データ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する第1出力部と、位相遅れ予測部によって位相遅れ予測信号が出力され且つ第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されるよりも時間的に前に基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されると第2内部信号を出力する第2出力部と、上記第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。
また、上記基準クロック信号は、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。位相進み検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。
上記位相比較器では、データ信号に対して基準クロック信号の位相が進んでいると位相遅れ信号が出力され、データ信号に対して基準クロック信号の位相が遅れていると位相進み信号が出力される。このように、位相関係の検出結果として位相遅れ信号および位相進み信号が出力される。位相関係の検出結果を参照すれば、基準クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点から所定期間だけ離れた位置に配置させることができる。すなわち、ラッチクロックである基準クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点間における中央部分に配置することができる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されたタイミングに応じて第1内部信号を出力する第1出力部と、第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、遷移点検出部よってデータ信号の遷移が検出されたタイミングに応じて第2内部信号を出力する第2出力部と、第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。第1出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に後に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する。第2出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第2内部信号を出力する。
この発明のもう1つの局面に従うと、位相比較装置は、データ信号に対してm本の第1クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応するm本の第2クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応するm本の基準クロック信号とを用いて位相比較を行う。データ信号は、データの1ビット長がT(T<0)である。m本の第1クロック信号の各々は、周期がnT(nは整数であり、n≧2)である。m本の第1クロック信号のうち隣接する信号間の位相差は、1Tの倍数である。m本(mは整数であり、2≦m≦n)の第2クロック信号の各々は、対応する第1クロック信号に対して位相がh(0<h≦1T)遅れている。m本の基準クロック信号の各々は、対応する第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h)遅れている。位相比較装置は、m個の比較期間検出部と、m個の位相関係検出部とを備える。m個の比較期間検出部のうち第p番目(pは整数であり、1≦p≦m)の比較期間検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の第1クロック信号のうち第p番目の第1クロック信号とm本の第2クロック信号のうち第p番目の第2クロック信号とを受け取り、第p番目の第1クロック信号の立ち上がりエッジと第p番目の第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を第p比較期間と規定し、第p比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取り、データ信号と第p番目の基準クロック信号との位相関係を検出し、m個の比較期間検出部のうち第p番目の比較期間検出部によって第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相比較の検出結果を第p位相検出結果として出力する。
上記位相比較装置では、位相比較処理と比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出とが並列して実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。ここで、位相比較処理のために遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。また、従来の4倍以上のオーバーサンプリングを使用する例よりも位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることができる。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の比較期間検出部に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の比較期間検出部に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
この発明のさらにもう1つの局面に従うと、クロックデータリカバリシステムは、クロック生成部と、多相クロック選択部と、第1位相比較部と、位相制御部とを備える。クロック生成部は、データの1ビット長がT(0<T)であるデータ信号に対して周期がnT(nは整数であり、n≧2)であり且つ互いに位相が異なる複数の主クロックを生成する。多相クロック選択部は、クロック生成部によって生成された複数の主クロックの中から、隣接する信号間の位相差が1Tの倍数であるm本(mは整数であり、2≦m≦n)の第1クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h,0<h≦1T)遅れているm本の基準クロック信号とを選択する。第1位相比較部は、外部からのデータ信号と、多相クロック選択部によって選択されたm本の第1クロック信号およびm本の基準クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がh遅れているm個の第2クロック信号とを受け取り、m個の位相検出結果を出力する。位相制御部は、位相比較部からのm個の位相検出結果に基づいて、多相クロック選択部によって選択されるクロック信号の位相を設定する。第1位相比較部は、m個の比較期間検出部と、m個の位相関係検出部とを含む。m個の比較期間検出部のうち第p番目の比較期間検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の第1クロック信号のうち第p番目の第1クロック信号とm本の第2クロック信号のうち第p番目の第2クロック信号とを受け取り、第p番目の第1クロック信号の立ち上がりエッジと第p番目の第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を第p比較期間と規定し、第p比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取り、データ信号と基準クロック信号との位相関係を検出し、m個のうち第p番目の比較期間検出部によって第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相比較の検出結果を第p位相検出結果として出力する。
上記クロックデータリカバリシステムでは、位相比較処理と比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出とが並列して実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。ここで、位相比較器に遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができ、クロックを正確に再現することができる。また、従来の4倍以上のオーバーサンプリングを使用する例よりも位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることができる。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の比較期間検出部に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の比較期間検出部に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
好ましくは、上記クロックデータリカバリシステムは、第2位相比較部をさらに備える。第2位相調整部は、上記m個の比較期間検出部のうちk個(kは整数であり、2≦k≦m)の比較期間検出部と、上記m個の位相関係検出部のうち上記k個の比較期間検出部に対応するk個の位相関係検出部とを含む。上記第1位相比較部に含まれるm個の比較期間検出部およびm個の位相関係検出部の各々は、上記データ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち一方に応答して動作する。第2位相比較部に含まれるk個の比較期間検出部およびk個の位相関係検出部の各々は、上記データ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち他方に応答して動作する。上記位相制御部は、上記第1位相比較部からのm個の位相検出結果と第2位相比較部からのk個の位相検出結果に基づいて、上記多相クロック選択部によって選択されるクロック信号の位相を設定する。
上記クロックデータリカバリシステムでは、受信データの立ち上がりエッジだけでなく、受信データの立ち下がりエッジとを位相比較処理に用いることによって、クロックデータリカバリシステムの応答特性を向上させることができる。
以上のように、精度の高い遅延手段を必要とすることなく電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。また、位相比較処理に必要なクロック信号の相数の増大を抑制することができる。
図1は、この発明の第1の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成を示すブロック図である。 図2は、図1に示した位相調整部の内部構成を示すブロック図である。 図3は、図2に示した位相比較器の構成を示す回路図である。 図4は、イネーブル信号を生成するための構成の一例を示す回路図である。 図5は、リセット信号を生成するための構成の一例を示す回路図である。 図6は、図3に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図7は、図3に示した位相比較器の変形例を示す回路図である。 図8は、この発明の第2の実施形態による位相比較器の構成を示す回路図である。 図9は、図8に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図10は、図8に示した位相比較器の変形例を示す回路図である。 図11は、この発明の第3の実施形態による位相比較器の構成を示す図である。 図12は、図11に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図13は、図11に示した位相比較器の変形例を示す回路図である。 図14は、この発明の第4の実施形態による位相調整部の構成を示すブロック図である。 図15は、図14に示した位相比較器の構成を示す回路図である。 図16は、図10に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図17は、図15に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図18は、図15に示した位相比較器において不感帯を設定した場合の各クロック信号の位相関係を説明するための図である。 図19は、この発明の第5の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成を示すブロック図である。 図20は、図2に示した位相調整器の変形例を示すブロック図である。 図21は、図14に示した位相調整部の変形例を示すブロック図である。 図22は、図3に示した位相比較器の変形例について説明するための回路図である。 図23は、図7に示した位相比較器の変形例について説明するための回路図である。 図24は、従来の位相比較器の構成を示す回路図である。 図25は、従来の位相比較器の構成を示す回路図である。
符号の説明
1 クロック生成部
2 多相クロック選択部
3,5 位相調整部
4 位相制御部
10 位相比較器
11 比較期間検出部
12 位相関係検出部
12a 位相遅れ検出部
12b 位相進み検出部
13a 位相遅れ信号保持部
13b 位相進み信号保持部
14 受信部
101,102,105a,105b フリップフロップ
103,113,106a,106b 論理回路
EN10,104 インバータ
EN101,EN102,EN103,RE101 論理回路
110 AND回路
111,112 フリップフロップ
114dd 遷移点検出部
114cc 基準点検出部
115a,115b,212a,213a,212b,213b,312a,313a,312b,313b NAND回路
116a,116b NOR回路
211 遅延基準点検出部
301,310 遅延素子
302 フリップフロップ
303 AND回路
311 遅延遷移点検出部
133 比較信号保持部
133a 位相遅れ検出保持部
133b 位相進み検出保持部
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(第1の実施形態)
<クロックデータリカバリシステムの構成>
図1は、この発明の第1の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの全体構成を示す。このシステムは、単位時間あたりのデータビット数を示すデータレートが『1/T(0<T)』であるデータ通信において、データの1ビット長がTである受信データに対して周期が『nT(nは整数であり、n≧2)』であり且つ互いの位相差が『1T』であるn本のクロック信号を用いて位相調整を実行する。
このシステムは、クロック生成部1と、多相クロック選択部2と、位相調整部3と、位相制御部4とを備える。位相調整部3では、受信データのうちnビット分に相当する期間『nT』が1ビット分に相当する期間『T』ずつ時分割されて位相比較処理が実行される(n個の期間『T』の各々において位相比較処理が実行される)。すなわち、受信データのnビット分に相当する期間『nT』を1サイクルとすると、1サイクル中にn回の位相比較処理が実行される。なお、ここでは、説明の簡単化のために、位相調整処理における位相の最小変化量を『T/x(xは1以上の正数)』とする。
クロック生成部1は、例えば、一般的なフェーズロックループ(PLL)であり、参照クロックに基づいてj本(j=n×x)の主クロックを生成する。ここで、j本の主クロックの各々の周期は『nT』であり、隣接する位相間の位相差は『T/x』である。
多相クロック選択部2は、例えばセレクタ回路であり、位相制御部4からの位相選択信号に応じて、j本の主クロックの中からn本の主クロックを「期間設定クロック信号」として選択するとともに、j本のクロック信号の中からn本の主クロックを「基準クロック信号」として選択し、選択したn本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号を出力する。
ここで、n本の期間設定クロック信号のうち第p番目の期間設定クロック信号(pは整数であり、1≦p≦n)と第q番目の期間設定クロック信号(qは整数であり、1≦p≦n−1のときにはq=p+1、p=nのときにはq=1)との位相差は『1T』である。n本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号は、第p番目の期間設定クロックに対して位相が『i(0<i<1T)』遅れている。すなわち、第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジは、第p番目の期間設定クロック信号の立ち上がりエッジと第q番目の期間設定クロック信号の立ち上がりエッジとの間に存在する。
位相調整部3は、外部からの受信データと多相クロック選択部2から出力されたn本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号とを受け取り、受信データとn本の基準クロック信号の各々との位相関係を検出し、n個の位相検出結果を出力する。また、位相調整部3は、受信データを取り込むタイミングを示すクロック(ラッチクロック)に同期して受信データをラッチすることによって、nビット分の同期済データを出力する。ここでは、ラッチクロックは、n本の基準クロック信号の各々に対して位相が『1T−i』遅れているn本の期間設定クロック信号である。
位相制御部4は、位相調整部3からの位相検出結果に基づいて位相選択信号を変化させる。位相選択信号の形式はいかなる形式でも良いが、第1期間設定クロック信号がj本の主クロックのうちどの主クロックと合致するかを示す形式が最も簡単な形式である。すなわち、位相選択信号は、j本の主クロックのうち第1期間設定クロック信号となる主クロックの番号を示している。例えば、位相制御部4は、位相調整部3からの位相検出結果が『位相遅れ』を示す場合には位相選択信号に示された番号を小さくし、位相検出結果が『位相進み』を示す場合には番号を大きくする。これにより、受信データに対して基準クロック信号の位相が遅れている場合には、多相クロック選択部2によって選択される期間設定クロック信号および基準クロック信号の各々の位相は早くなり、受信データに対して基準クロック信号の位相が進んでいる場合には、期間設定クロック信号および基準クロック信号の各々の位相は遅くなる。このように、位相選択信号に応じて、多相クロック選択部2によって選択される期間設定クロック信号および基準クロック信号の位相が前後する。
この動作を繰り返すことにより、受信データの位相に対してクロックの位相が追従していくことになる。
ここで、n=5,x=8,i=T/2であるとする。この場合、クロック生成部1は、各々の周期が『5T』であり且つ隣接する位相間の位相差が『T/8』である40相の主クロック(第1主クロック〜第40主クロック)を生成する。ここで、第1主クロックの位相が最も進んでおり、番号が大きくなるにつれて位相が遅くなり、第40主クロックの位相が最も遅れている。このとき、位相選択信号に示された番号が「3」であるとすると、期間設定クロック信号および基準クロック信号は、次のようになる。
〔期間設定クロック信号〕
第1期間設定クロック信号=第3主クロック
第2期間設定クロック信号=第11主クロック
第3期間設定クロック信号=第19主クロック
第4期間設定クロック信号=第27主クロック
第5期間設定クロック信号=第35主クロック
〔基準クロック信号〕
第1基準クロック信号=第7主クロック
第2基準クロック信号=第15主クロック
第3基準クロック信号=第23主クロック
第4基準クロック信号=第31主クロック
第5基準クロック信号=第39主クロック
まず、期間設定クロック信号の選択について説明する。最初に、40本の主クロックの中から『第3主クロック』が第1期間設定クロック信号として選択される。ここでは、「x=8」であるので、第3主クロックから8相分遅れている第11主クロックが第2期間設定クロック信号として選択され、第11主クロックから8相分遅れている第19主クロックが第3期間設定クロック信号として選択される。同様に、第27主クロックおよび第35主クロックが、それぞれ、第4および第5期間設定クロック信号として選択される。このように、第1〜第5期間設定クロック信号の各々の位相間における位相差は「8×(T/8)=1T」となる。
次に、基準クロック信号の選択について説明する。ここでは、「i=T/2」であるので、第3主クロックから4相分遅れている第7主クロックが第1基準クロック信号として選択される。同様に、第2〜第5期間設定クロック信号の各々から4相分遅れている主クロックが、それぞれ、第2〜第5基準クロック信号として選択される。このように、第1〜第5基準クロック信号の各々の位相は、対応する期間設定クロック信号の位相に対して「T/2」遅れた位相になる。
<位相調整部の構成>
図2は、図1に示した位相調整部3の構成を示す。位相調整部3は、n個(図2では、n=5)の位相比較器10を含む。第p番目の位相比較器10は、n本の期間設定クロック信号のうち第p番目の期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取るとともに、第1クロック信号に対して位相が1T遅れている第2クロック信号(ここでは、第q番目の期間設定クロック信号)を受け取る。また、第p番目の位相比較器10は、n本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取る。なお、図2では、第p番目の位相比較器10が受け取る第2クロック信号と第q番目の位相比較器10が受け取る第1クロック信号とが共有化されている。例えば、第1番目の位相比較器10は第2期間設定クロック信号を第2クロック信号として受け取り、第2番目の位相比較器10は第2期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取る。
5個の位相比較器10の各々は、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を比較期間と規定し、この比較期間中において基準クロック信号と受信データとの位相関係を検出する。このように、5個の位相比較器の各々には位相差が『1T』である2つの期間設定クロック信号が与えられるので、この位相調整部3は、5ビット分の受信データに相当する期間(すなわち5T)を『1T』ずつ時分割して位相比較処理を実行する構成である。
5個の位相比較器10の各々は、比較期間検出部11と、位相関係検出部12と、位相遅れ信号保持部13aと、位相進み信号保持部13bと、受信部14とを含む。
比較期間検出部11は、2つの期間設定クロック信号と受信データとを受け取り、2つの期間設定クロック信号の各々のエッジ間を比較期間と規定し、この比較期間中に受信データの遷移の有無を検出する。
位相関係検出部12は、基準クロック信号と受信データとの位相関係を検出し、比較期間検出部11によって比較期間中に受信データの遷移が検出されると、位相関係の検出結果(位相遅れ信号,位相進み信号)を出力する。
位相遅れ信号保持部13aは、位相関係検出部12からの位相遅れ信号を保持して出力する。位相進み信号保持部13bは、位相関係検出部12からの位相進み信号を保持して出力する。
受信部14は、ラッチクロック(ここでは、2つの期間設定クロック信号のうち位相が遅れている方)に同期して受信データを保持するとともに、保持した受信データを同期済データとして出力する。
<位相比較器の構成>
図3は、図2に示した位相比較器10の詳細な構成を示す。なお、ここでは、第1番目の位相比較器10を例に挙げて説明する。すなわち、第1クロック信号は、「第1期間設定クロック信号」である。第2クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『1T』遅れているクロック信号(第2期間設定クロック信号)である。基準クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『i』遅れているクロック信号(第1基準クロック信号)である。
比較期間検出部11は、フリップフロップ101,102と、論理回路103とを含む。フリップフロップ101は、受信データの立ち上がりエッジに同期して第1クロック信号を保持する。フリップフロップ102は、受信データの立ち上がりエッジに同期して第2クロック信号を保持する。論理回路103は、フリップフロップ101の出力が『Hレベル』であり且つフリップフロップ102の出力が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Lレベル』にし(すなわち、比較信号を出力し)、それ以外の場合には自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、比較信号の出力を停止する)。
位相関係検出部12は、位相遅れ検出部12aと、位相進み検出部12bとを含む。
位相遅れ検出部12aは、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると『位相遅れ』であると判定し、比較期間検出部11から比較信号が出力されていれば位相遅れ信号を出力し、比較信号が出力されていなければ位相遅れ信号を出力しない。詳しくは、位相遅れ検出部12aは、インバータ104と、フリップフロップ105aと、論理回路106aとを含む。インバータ104は、基準クロック信号を反転する。フリップフロップ105aは、受信データの立ち上がりエッジに同期してインバータ104の出力(すなわち、基準クロック信号の反転信号)を保持する。論理回路106aは、フリップフロップ105aの出力が『Hレベル』であり且つ比較期間検出部11からの比較信号が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相遅れ信号を出力し)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力しない)。
位相進み検出部12bは、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると『位相進み』と判定し、比較期間検出部11から比較信号が出力されていれば位相進み信号を出力し、比較信号が出力されていなければ位相進み信号を出力しない。詳しくは、位相進み検出部12bは、フリップフロップ105bと、論理回路106bとを含む。フリップフロップ105bは、受信データの立ち上がりエッジに同期して基準クロック信号を保持する。論理回路106bは、フリップフロップ105bの出力が『Hレベル』であり且つ比較期間検出部11からの比較信号が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相進み信号を出力し)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相進み信号を出力しない)。
位相遅れ信号保持部13aは、例えば、フリップフロップであり、出力クロックに同期して位相遅れ信号を保持し、保持した位相遅れ信号を出力する。位相進み信号保持部13bは、例えば、フリップフロップであり、出力クロックに同期して位相進み信号を保持し、保持した位相進み信号を出力する。なお、受信データの立ち上がりエッジが比較期間の終点直前(すなわち、第2クロック信号の立ち上がりエッジの直前)に発生した場合でも位相遅れ信号および位相進み信号を確実に保持できるように、出力クロックは、第2クロック信号よりも位相が遅れていることが好ましい。ここでは、出力クロックは、第1クロック信号に対して位相が『3T』遅れている「第4期間設定クロック信号」を用いる。
受信部14は、例えば、フリップフロップであり、ラッチクロック(ここでは、第2クロック信号)に同期して受信データを保持する。保持された受信データは、同期済データとして出力される。
<<イネーブル信号>>
また、フリップフロップ101,102,105a,105bの各々は、ロード/ホールドモード切替機能付きのフリップフロップであり、インバータEN10によって反転されたイネーブル信号を受け取り、インバータEN10の出力信号が『Lレベル』(すなわち、イネーブル信号が『Hレベル』)である期間のみ受信データの立ち上がりエッジに同期して動作し、インバータEN10の出力信号が『Hレベル』(すなわち、イネーブル信号が『Lレベル』)である期間では受信データの立ち上がりエッジに同期することなく値を保持し続ける。すなわち、イネーブル信号は、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの動作期間を制限するための信号である。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bが比較期間において動作できるようにすれば良いので、イネーブル信号は、理想的には、比較期間に相当する期間だけ『Hレベル』であれば良い。仮に、そのようなイネーブル信号を生成することが可能であれば、図3に示した位相比較器10において比較信号を生成するための構成(比較期間検出部11)が不要になる。しかし、実際には、データレートが高くなるとイネーブル信号のHレベル期間が非常に短くなり、負荷容量および負荷容量に起因するゲート遅延による影響を受けやすくなる。この場合、イネーブル信号のみによって比較期間を正確に再現することが困難になる。さらに、フリップフロップのロードモードとホールドモードを切り替えるLH入力のセットアップ制約およびホールド制約を考慮しなければならない等、実装上の問題がある。そこで、イネーブル信号は、プロセスばらつきによる影響,電源電圧・温度の変動による影響を受けないように、パルス幅がなるべく長く且つクロック信号に同期していることが望ましい。
図4は、イネーブル信号を生成するための構成の一例を示す。イネーブル信号生成部は、例えば、3つの論理回路EN101,EN102,EN103を含む。ここで、第3クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『2T』遅れているクロック信号(ここでは、第3期間設定クロック信号)であり、第4クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『3T』遅れているクロック信号(ここでは、第4期間設定クロック信号)である。この構成によって生成されるイネーブル信号は、期間設定クロック信号のいずれかに同期しており、Hレベル期間が『3T』でありLレベル期間が『2T』である。
<<リセット信号>>
さらに、フリップフロップ101,102,105a,105bの各々は、リセット信号を受け取り、リセット信号が『Hレベル』である期間では受信データとイネーブル信号とに応じて動作し、リセット信号が『Lレベル』である期間では保持している値を『L』にする(保持内容をクリアする)。ここで、比較期間が開始するまでにその比較期間よりも前に得られた位相検出結果がクリアされれば良いので、位相遅れ信号保持部13aおよび位相進み信号保持部13bが位相遅れ信号および位相進み信号の保持を完了した時点から次の比較期間が開始するまでの間に(すなわち、出力クロックの立ち上がりエッジから次の比較期間の始点を規定する第1クロック信号の立ち上がりエッジまでの間に)、リセット信号が『Lレベル』になれば良い。
図5は、リセット信号を生成するための構成の一例を示す。ここで、第5クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『4T』遅れているクロック信号(ここでは、第5期間設定クロック信号)である。この構成によって生成されるリセット信号は、第4クロック信号の立ち上がりエッジから第5クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間に『Lレベル』になる。つまり、リセット信号は、出力クロックの立ち上がりエッジから第1クロック信号の立ち上がりエッジまでの間の任意の期間において『Lレベル』になる。
<位相比較器による動作>
図6を参照しつつ、図3に示した位相比較器10による動作について説明する。なお、ここでは、基準クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『T/2』遅れているものとする。
まず、第1クロック信号の立ち上がりエッジC11が発生し、第1クロック信号が『Hレベル』であり第2クロック信号が『Lレベル』である期間に受信データの立ち上がりエッジE1が発生する。この立ち上がりエッジE1に同期して比較信号が『Lレベル』になる。一方、基準クロック信号の立ち上がりエッジC01が立ち上がりエッジE1よりも時間的に前に発生しているので、位相遅れ信号が『Hレベル』になる。
次に、第2クロック信号の立ち上がりエッジC21が発生して第2クロック信号が『Hレベル』になると、この立ち上がりエッジC21に同期してイネーブル信号が『Lレベル』になる。よって、仮に、データエッジE2,E3が受信データの立ち上がりエッジであっても、比較信号,位相遅れ信号,および位相進み信号は、変化することなく直前の状態を保持する。
次に、第3クロック信号の立ち上がりエッジC31が発生して第3クロック信号が『Hレベル』になり、その後に、第4クロック信号の立ち上がりC41が発生する。位相遅れ信号保持部13aおよび位相進み信号保持部13bは、第4クロック信号の立ち上がりエッジC41に同期して位相遅れ信号および位相進み信号を保持する。位相遅れ信号および位相進み信号は、第4クロック信号の次の立ち上がりエッジが発生するまでの間、保持され続ける。
また、第4クロック信号の立ち上がりエッジC41が発生して第4クロック信号が『Hレベル』になると、この立ち上がりエッジC41に同期してリセット信号が『Lレベル』になる。これにより、比較信号,位相遅れ信号,および位相進み信号が初期値にクリアされる。一方、第4のクロック信号の立ち上がりエッジC41に同期してイネーブル信号が『Hレベル』になる。イネーブル信号が『Hレベル』であってもリセット信号が『Lレベル』であるので、仮に、データエッジE4が受信データの立ち上がりエッジであっても、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々は動作せず、比較信号,位相遅れ信号,および位相進み信号は変化せず初期値のままである。
次に、第5クロック信号の立ち上がりエッジC51が発生して第5クロック信号が『Hレベル』になると、この立ち上がりエッジC51に同期してリセット信号が『Hレベル』になる。ここで、仮に、データエッジE5が受信データの立ち上がりエッジであるとすると、イネーブル信号が『Hレベル』であるので、位相遅れ検出部12bのフリップフロップ105aがデータエッジE5に同期して基準クロック信号の反転信号を保持し、フリップフロップ105aの出力は『Hレベル』になる。しかし、第1および第2クロック信号の両方とも『Lレベル』であるので比較期間検出部11からの比較信号が『Hレベル』になっており、位相遅れ信号は『Lレベル』のままである。
このように、第1および第2クロック信号の各々の立ち上がりエッジで規定された比較期間において受信データの遷移があると、基準クロック信号と受信データとの位相関係の検出結果が出力される。
一方、比較期間中において基準クロック信号の立ち上がりエッジC01が受信データの立ち上がりエッジE1よりも時間的に前に発生した場合には、位相遅れ信号が『Lレベル』のままであり、位相進み信号が『Hレベル』になる。その後の処理は、上述の処理と同様であり、最終的に、位相進み信号保持部13bの出力が『Hレベル』になる。
また、基準クロック信号の立ち上がりエッジC01と受信データの立ち上がりエッジE1とが同時に発生した場合、インバータ104の遅延のためインバータ104の出力は『Hレベル』であるので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aおよび位相進み検出部12bのフリップフロップ105bの各々の出力は、どちらも『Hレベル』になる。この場合、基準クロックの位相と受信データの位相とが理想的な関係になっていると判断できるので、位相制御部4において位相遅れ信号と位相進み信号とが互いに相殺される。
このようにして、受信データと基準クロック信号との位相関係が検出される。クロックデータリカバリシステムにおいて、位相制御部4が位相検出結果に基づいて位相調整することによって、基準クロック信号の立ち上がりエッジを受信データの立ち上がりエッジに近づけることができる。これにより、受信データの立ち上がりエッジ間における中央部分(データアイが十分に開いている部分)に第2クロック信号の立ち上がりエッジを配置することができ、同期済データを正確に取得することができる。
<効果>
以上のように、位相比較処理に並行して比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出が実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。これにより、遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。
また、本実施形態では、1つの位相比較器に3つのクロック信号(第1クロック信号,第2クロック信号,基準クロック信号)を供給すれば良いので、n個の位相比較部に供給するクロック信号の総数は『3n』である。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の位相比較器に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の位相比較器に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である(この場合、クロック総数は『2n』となる)。従来のオーバーサンプリングの例では、位相比較処理に必要なクロック信号の本数は『α×n』(α:オーバーサンプリングの倍数、n:1サイクル中に処理するビット数)であるので、位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
(第1の実施形態による位相比較器の変形例)
なお、図6に示すように、比較期間の始点以前にイネーブル信号が『Hレベル』になるように構成されている場合は、フリップフロップ111,112,105a,105bを一般的なディレイフリップフロップに置き換えて、それぞれのディレイフリップフロップのクロック信号として受信データとイネーブル信号の論理積であるマスクデータ信号を入力する構成としても同様の動作を実現することができる。
<構成>
図7は、図3に示した位相比較器の変形例を示す。ここで、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,位相進み検出部12bの各々には、ディレイフリップフロップを用いる。
比較期間検出部11は、AND回路110と、フリップフロップ111,112と、論理回路113とを備える。AND回路110は、イネーブル信号と受信データとを受け取り、イネーブル信号と受信データとの論理積であるマスクデータ信号を出力する。フリップフロップ111は、AND回路110からのマスクデータ信号の立ち上がりエッジに同期して第1クロック信号を保持する。フリップフロップ112は、マスクデータ信号の立ち上がりエッジに同期して第2クロック信号を保持する。論理回路113は、フリップフロップ111の出力が『Hレベル』であり且つフリップフロップ112の出力が『Lレベル』である場合には比較信号を出力する(比較信号を『Lレベル』にする)。
位相遅れ検出部12aは、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、NAND回路115aと、NOR回路116aとを含む。位相進み検出部12bは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、NAND回路115bと、NOR回路116bとを含む。遷移点検出部114ddは、電源電圧と受信データとを受け取り、受信データの立ち上がりエッジに同期して『Hレベル』を保持する。基準点検出部114ccは、電源電圧と基準クロック信号とを受け取り、基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して『Hレベル』を保持する。NAND回路115a,115bは、RSラッチを構成しており、遷移点検出部114ddの出力および基準点検出部114ccの出力のうち先に『Hレベル』になった方の出力を有効とし、もう一方の出力をマスクして出力しない。初期の状態では遷移点検出部114ddの出力および基準点検出部114ccの出力の両方が『Lレベル』になっているので、RSラッチの2つの出力(第1内部信号S115a,第2内部信号S115b)は両方とも『Hレベル』になっている。ここで、遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になると第1内部信号S115aが『Hレベル』から『Lレベル』になり第2内部信号S115bは『Hレベル』のまま固定される。一方、基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になると第2内部信号S115bが『Lレベル』になり第1内部信号が『Hレベル』のまま固定される。
NOR回路116aは、RSラッチからの第1内部信号S115aおよび比較期間検出部11からの比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相遅れ信号が出力され)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号が出力されない)。NOR回路116bは、RSラッチからの第2内部信号S115bおよび比較期間検出部11からの比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相進み信号が出力され)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相進み信号が出力されない)。
<動作>
図6のように、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジE1よりも時間的に後に発生した場合、位相関係検出部12では基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの方が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ信号が出力される。一方、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジE1よりも後に発生した場合、位相関係検出部12では遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力の方が先に『Hレベル』になるので、位相進み信号が出力される。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々の出力は、リセット信号が『Lレベル』になるまで保持され、リセット信号が『Lレベル』になった時点でクリアされる(『Lレベル』になる)。
<効果>
この構成によれば、遷移点検出部114ddおよび基準点検出部114ccであるディレイフリップフロップのD入力が電源にプルアップされているので、セットアップ制約を考慮することなく受信データと基準クロック信号の立ち上がりタイミングを評価することができる。
(第2の実施形態)
<クロックデータリカバリシステムの構成>
この発明の第2の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成および位相調整部の構成は図1および図2と同様であるが、位相比較器10の構成が異なる。位相比較器10の各々は、基準クロック信号と基準クロック信号に対応する遅延基準クロック信号を受け取り、受信データと基準クロック信号とを位相比較することによって『位相遅れ』の有無を検出するとともに、受信データと遅延基準クロック信号とを位相比較することによって『位相進み』の有無を検出する。例えば、第1番目の位相比較器は、第1基準クロック信号に対応する第1遅延基準クロック信号を受け取る。遅延基準クロック信号は、基準クロック信号に対して位相が遅れている信号であり、遅延素子を用いて基準クロック信号を遅延させることで生成しても良いし、多相クロック選択部2において基準クロック信号より所定の相数分だけ遅れている主クロックを選択することによって実現しても良い。
<位相比較器の構成>
図8は、この発明の第2の実施形態による位相比較器の構成を示す。この位相比較器10では、位相進み検出部12bは、基準クロック信号に代えて、遅延基準クロック信号を受け取る。その他の構成は、図3と同様である。なお、基準クロック信号に対する遅延基準クロック信号の遅延量は、『D(0<D<T−i)』である。
<位相比較器による動作>
図9を参照しつつ、図8に示した位相比較器による動作について説明する。図9では、第1および第2クロック信号の各々の立ち上がりエッジで規定される比較期間に注目している。
第1クロック信号の立ち上がりエッジから基準クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間P1において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aが基準クロック信号の反転信号を保持するので、位相遅れ検出部12aの出力が『Hレベル』になる(すなわち、位相遅れ信号が出力される)。
基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間P2において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aは、基準クロック信号の反転信号が『Lレベル』であるので『Lレベル』を保持する。一方、位相進み検出部12bのフリップフロップ105bは、遅延基準クロック信号が『Lレベル』であるので『Lレベル』を保持する。結果として、位相遅れ信号も位相進み信号も出力されない。すなわち、比較期間のうち期間P2は、受信データの立ち上がりエッジが発生しても位相関係の検出結果が出力されない「不感帯」となる。
遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジから第2クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間P3において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相進み検出部12bが遅延基準クロック信号を保持するので、位相進み検出部12bの出力が『Hレベル』になる(すなわち、位相進み信号が出力される)。
<遅延基準クロック信号の位相>
図9より明らかであるように、遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジは、対応する比較期間内に発生しなければならない。さらに、位相検出結果の対称性を実現するためには、期間P1と期間P3とが互いに等しい長さであることが好ましい。ここで、遅延基準クロック信号の位相が基準クロック信号に対して『0.5T』遅れている(例えば、基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.25T』遅れており、遅延基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.75T』遅れている)場合が最適である。
<効果>
以上のように、基準クロック信号と遅延基準クロック信号とを用いて不感帯を形成することによって、ジッタに対する耐久性が向上する。さらに、多相クロック選択部から遅延基準クロック信号を供給する構成では遅延素子を必要としないので、電源電圧・温度等の変動による影響を軽減することができる。
(第2の実施形態による位相比較器の変形例)
なお、イネーブル信号が比較期間の始点以前に『Hレベル』になるように構成されている場合は、第1の実施形態と同様に、ロード/ホールド切替機能付きフリップフロップを一般的なディレイフリップフロップに置き換えることが可能である。
<構成>
図10は、図8に示した位相比較器10の変形例を示す。ここで、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,位相進み検出部12bの各々には、ディレイフリップフロップを用いる。なお、比較期間検出部11は、図7と同様である。
位相遅れ検出部12aは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、RSラッチを構成するNAND回路212a,213aと、NOR回路116aとを含む。位相進み検出部12bは、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、フリップフロップ(遅延基準点検出部)211と、RSラッチを構成するNAND回路212b,213bと、NOR回路116bとを含む。ここで、位相遅れ検出部12aおよび位相進み検出部12bは、遷移点検出部114ddを共有している。
NAND回路212a,213aで構成されたRSラッチは、基準点検出部114ccの出力および遷移点検出部114ddの出力のうち遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になった場合にはNOR回路116aに対応する出力(第1内部信号S213a)を『Lレベル』にし、それ以外の場合には第1内部信号S213aを『Hレベル』にする。NOR回路116aは、第1内部信号S213aおよび比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力する)。
遅延基準点検出部211は、遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して『Hレベル』を保持する。NAND回路212b,213bで構成されたRSラッチは、遷移点検出部114ddの出力および遅延基準点検出部211の出力のうち遅延基準点検出部211の出力が先に『Hレベル』になった場合にはNOR回路116bに対応する出力(第2内部信号S213b)を『Lレベル』にし、それ以外の場合には第2内部信号S213bを『Hレベル』にする。NOR回路116bは、第2内部信号S213bおよび比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相進み信号を出力する)。
<動作>
図9のように、期間P1において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aでは基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ信号が出力される。
期間P2において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aでは遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力の方が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ信号は出力されない。一方、位相進み検出部12bでは遅延基準点検出部211の出力よりも遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になるので、位相進み信号は出力されない。
期間P3において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相進み検出部12bでは遷移点検出部114ddの出力よりも遅延基準点検出部211の出力が先に『Hレベル』になるので、位相進み信号が出力される。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々の出力は、リセット信号が『Lレベル』になるまで保持され、リセット信号が『Lレベル』になった時点でクリアされる(『Lレベル』になる)。
<効果>
この構成によれば、遷移点検出部114ddおよび基準点検出部114ccであるディレイフリップフロップのD入力が電源にプルアップされているので、セットアップ制約を考慮することなく受信データと基準クロック信号の立ち上がりタイミングを評価することができる。
(第3の実施形態)
<構成>
この発明の第3の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成および位相調整部3の構成は図1および図2と同様であるが、位相比較器10の構成が異なる。位相比較器10の各々では、受信データと基準クロック信号とを位相比較することによって『位相遅れ』の有無を検出するとともに、一定期間遅延させた受信データ(遅延データ)と基準クロック信号とを位相比較することによって『位相進み』の有無を検出する。
<位相比較器の構成>
図11は、この発明の第3の実施形態による位相比較器10の構成を示す。この位相比較器10では、位相遅れ検出部12bは、図3に示した位相遅れ検出部12bに加えて、遅延素子301と、フリップフロップ302と、AND回路303とを備える。その他の構成は図3と同様である。
遅延素子301は、受信データを一定期間遅延させて遅延データを出力する。なお、遅延素子301における遅延量は『D(0<D<i)』である。フリップフロップ302は、基準クロック信号の反転信号と遅延素子301からの遅延データとを受け取り、遅延データの立ち上がりエッジに同期して基準クロック信号の反転信号を保持する。AND回路303は、フリップフロップ105aの出力およびフリップフロップ302の出力の両方が『Hレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする。論理回路106aは、比較期間検出部11からの比較信号が『Lレベル』でありAND回路303の出力が『Hレベル』である場合に自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力する)。
<位相比較器による動作>
図12を参照しつつ、図11に示した位相比較器10による動作について説明する。図12では、第1および第2クロック信号の各々の立ち上がりエッジで規定される比較期間に注目している。なお、ここでは、基準クロック信号は第1クロック信号に対して位相が『0.75T』遅れており、遅延素子301における遅延量Dは『0.5T』であるものとする。
(A),(B)の場合、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aの出力は『Hレベル』になる。また、遅延データの立ち上がりエッジも基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ302の出力も『Hレベル』になる。よって、位相遅れ信号が出力される。なお、(A)のように、受信データの立ち上がりエッジが比較期間の始点よりも前に発生する場合は、比較信号が『Lレベル』にならないので、位相遅れ信号は出力されない。
(C),(D)の場合、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aの出力は『Hレベル』になる。しかし、遅延データの立ち上がりエッジは基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも後に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ302の出力は『Lレベル』になり、位相遅れ信号は出力されない。一方、位相進み検出部12bの出力のフリップフロップ105bの出力は『Lレベル』であるので、位相進み信号は出力されない。このように、位相遅れ信号も位相進み信号も出力されない。
(E),(F),(G)の場合、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも後に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aの出力は『Lレベル』である。一方、位相進み検出部12bのフリップフロップ105bの出力は『Hレベル』になるので、位相進み信号が出力される。
以上のように、「比較期間の始点」から「基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延量Dに相当する期間分だけ前の時点」までの期間では位相遅れ信号が出力され、「基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延量Dに相当する期間分だけ前の時点」から「基準クロック信号の立ち上がりエッジ」までの期間は不感帯となり、「基準クロックの立ち上がりエッジ」から「比較期間の終点」までの期間では位相進み信号が出力される。
<遅延素子の遅延量>
なお、遅延素子301における遅延量および第1クロック信号と基準クロック信号との位相差は、上記数値に限定されないが、位相判定処理の対称性を考慮すると、遅延素子301における遅延量Dが『T/2以下』であり、基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『(T+D)/2』遅れている場合が好ましい。
<効果>
以上のように、受信データと遅延データとを用いて不感帯を形成することにより、ジッタに対する耐久性が向上する。さらに、従来の位相比較器よりも遅延素子の個数が少ないので、電源電圧・温度の変動による影響を軽減することができる。
なお、n個の位相比較器10の各々に遅延素子301を1つずつ設けずに、クロックデータリカバリシステムに遅延データを生成するための1つの遅延素子を新たに設け、位相比較器10の各々に対して受信データと遅延データの両方を供給するように構成しても同様の効果を奏する。
(第3の実施形態による位相比較器の変形例)
なお、イネーブル信号が比較期間の始点以前に『Hレベル』になるように構成されている場合は、第1の実施形態と同様に、ロード/ホールド切替機能付きフリップフロップを一般的なディレイフリップフロップに置き換えることが可能である。
<構成>
図13は、図11に示した位相比較器の変形例を示す。位相遅れ検出部12aは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、遅延素子310と、フリップフロップ(遅延遷移点検出部)311と、NAND回路313b,312a,313aと、OR回路314と、NOR回路116aとを含む。位相進み検出部12bは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、NAND回路312bと、NOR回路116bとを含む。ここでは、位相遅れ検出部12aおよび位相進み検出部12bは、基準点検出部114ccおよび遷移点検出部114ddを共有している。
NAND回路312a,313aによって構成されたRSラッチは、基準点検出部114ccの出力および遅延遷移点検出部311の出力のうち遅延遷移点検出部311の出力が先に『Hレベル』になった場合にはOR回路314に対応する出力(第1内部信号S313a)を『Lレベル』にし、それ以外の場合には第1内部信号S313aを『Hレベル』にする。NAND回路312b,313bによって構成されたRSラッチは、基準点検出部114ccの出力および遷移点検出部114ddのうち基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になった場合にはNOR回路116bに対応する出力(第2内部信号S312b)を『Lレベル』にし、遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になった場合にはOR回路314に対応する出力(位相遅れ予測信号S313b)を『Lレベル』にする。OR回路314は、第1内部信号S313aおよび位相遅れ予測信号S313bの両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Lレベル』にし、それ以外の場合には自己の出力を『Hレベル』にする。
NOR回路116aは、比較信号およびOR回路314の出力の両方が『Lレベル』である場合に、自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力する。)NOR回路116bは、比較信号および第2内部信号S312aの両方が『Lレベル』である場合に、自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相進み信号を出力する)。
<動作>
図12の(A),(B)のように、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生する場合、位相関係検出部12では、基準点検出部114ccの出力よりも遅延遷移点検出部311の出力が先に『Hレベル』になるので、第1内部信号S313aが『Lレベル』になる。一方、基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になるので、第2内部信号S312bは『Hレベル』のままであり、位相遅れ予測信号S313bが『Lレベル』になる。よって、OR回路314の出力は『Lレベル』になるので、位相遅れ信号が出力される。
図12の(C),(D)のように、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生する場合、遅延遷移点検出部311の出力よりも基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になるので、第1内部信号S313aは『Hレベル』のままである。一方、基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの出力の方が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ予測信号S313bが『Lレベル』になる。よって、OR回路314の出力は『Hレベル』のままであり、位相遅れ信号は出力されない。また、第2内部信号S312bは『Hレベル』のままであるので、位相進み信号は出力されない。このように、位相遅れ信号も位相進み信号も出力されない。
図12の(E),(F),(G)のように、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも後に発生する場合、遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になるので、第2内部信号S312bが『Lレベル』になる。よって、位相進み信号が出力される。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々の出力は、リセット信号が『Lレベル』になるまで保持され、リセット信号が『Lレベル』になった時点でクリアされる(『Lレベル』になる)。
<効果>
この構成によれば、遷移点検出部114ddおよび基準点検出部114ccであるディレイフリップフロップのD入力が電源にプルアップされているので、セットアップ制約を考慮することなく受信データと基準クロック信号の立ち上がりタイミングを評価することができる。
(第4の実施形態)
<クロックデータリカバリシステムの構成>
この発明の第4の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成および位相調整部の構成は図1および図2と同様であるが、位相比較器10の構成が異なる。
図14は、本実施形態における位相調整部3の構成を示す。第p番目の位相比較器10は、n本の期間設定クロック信号のうち第p番目の期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取るとともに、第1クロック信号に対して位相が『h』遅れている第2クロック信号(図14では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対して位相が『1T』遅れている第q番目の期間設定クロック信号)を受け取る。また、第p番目の位相比較器10は、n本の基準クロック信号のうち第1クロック信号に対して位相が『i』遅れている基準クロック信号(図14では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対応する第p番目の基準クロック信号)を受け取る。例えば、第1番目の位相比較器10は、第1期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取り、第2期間設定クロック信号を第2クロック信号として受け取り、第1期間設定クロック信号に対応する第1基準クロック信号を受け取る。
また、位相比較器10の各々において、位相関係検出部12は、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、『位相遅れ』を検出する。また、位相関係検出部12は、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、『位相進み』を検出する。このように、本実施形態による位相比較器では、第1〜第3の実施形態による位相比較器に対して、位相関係の検出結果が逆になる。これにより、本実施形態のクロックデータリカバリシステムでは、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジに近づくと基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジから遠ざかるように、位相制御が実行される。
ここでは、位相比較器10の各々の受信部14は、基準クロック信号をラッチクロックとして受け取り、基準クロック信号に同期して受信データを保持するとともに、保持した受信データを同期済データとして出力する。
<位相比較器の構成>
図15は、この発明の第4の実施形態による位相比較器の構成を示す。この位相比較器では、位相遅れ検出部12aは、遷移点検出部114ddに代えて、基準点検出部114ccを含む。位相進み検出部12bは、基準点検出部114ccに代えて、遷移点検出部114ddを含む。なお、ここでは、受信部14は、第2クロック信号に代えて、基準クロック信号を受け取る。その他の構成は図7と同様である。
<動作>
図16と図17とを比較しつつ、図15に示した位相比較器10による動作について説明する。図16は、図10に示した位相比較器による動作についての図であり、図17は、図15に示した位相比較器による動作についての図である。なお、図17では、第2クロック信号が第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、基準クロック信号が第1クロック信号に対して位相が『T/2』遅れている例を図示している。
図16の場合、比較期間において受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、位相比較器10は、位相進み信号を出力する。位相制御部4は、位相比較器10からの位相進み信号に応じて、位相選択信号に示された番号を大きくする。これにより、多相クロック選択部2から出力されるクロック信号(n本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号)の位相は遅くなる。これにより、遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジに近づくとともに、第2クロック信号(ラッチクロック)の立ち上がりエッジが受信データの遷移点間における中央部分(データアイが十分に開いている部分)へ向かって移動する。
図17の場合、比較期間において受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ検出部12aの出力が『Hレベル』になる(すなわち、位相遅れ信号が出力される)。位相制御部4は、位相比較器10からの位相遅れ信号に応じて、位相選択信号に示された番号を小さくする。これにより、多相クロック選択部2から出力されるクロック信号の位相は早くなる。逆に、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、位相比較器10から位相進み信号が出力されて、多相クロック選択部2から出力されるクロック信号の位相は遅くなる。このようにして、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジから一定期間離れた時点に配置されるように、基準クロック信号の位相が調整される。すなわち、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの遷移点間における中央部分に配置されるので、基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して受信データを正確に保持することができる。
<第2クロック信号の遅延量>
図17のように、1ビット分の受信データに相当する期間(1T)のうち全体において位相比較処理を実行する場合、第1クロック信号に対して位相が『T/2』遅れているクロック信号を基準クロック信号として使用し、第1クロック信号に対して位相が『1T』遅れているクロック信号を第2クロック信号として使用すれば良い。この場合、第1〜第3実施形態と同様に、第1クロック信号として第1期間設定クロック信号(第3主クロック),第1基準クロック信号として第1基準クロック信号(第7主クロック),第2クロック信号として第2期間設定クロック信号(第11主クロック)を使用すれば良い。
また、図18のように、範囲Uの不感帯を設定する場合、基準クロック信号の位相は第1クロック信号に対して『(T−U)/2』遅れており、第2クロック信号の位相は第1クロック信号に対して『T−U』遅れていれば良い。この場合、第2クロック信号は、遅延素子を用いて第1クロック信号である期間設定クロック信号を遅延させることで生成しても良いし、多相クロック選択部2において第1クロック信号(期間設定クロック信号)より所定の相数分だけ遅れている主クロックを選択することによって実現しても良い。また、位相判定処理の対称性を考慮すると、「U=0.5T』である場合が最適である。すなわち、第2クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.5T』遅れており、基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.25T』遅れている場合が最適である。
<効果>
以上のように、データアイが十分に開いている部分に基準クロック信号の立ち上がりエッジが移動するように位相調整し、その基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して受信データを受信するので、受信データを正確に保持することができる。
(第5の実施形態)
以上の実施形態では、基準クロック信号の立ち上がりエッジと受信データの立ち上がりエッジとの位相関係を検出するものとして説明しているが、受信データの立ち下がりエッジを位相比較処理の対象に加えても良い。このように、受信データの立ち上がりエッジ・立ち下がりエッジの両方を位相判定の対象とすることで、一方だけを位相比較処理の対象とする場合よりもクロックデータリカバリシステムの応答特性を2倍にすることできる。両エッジを位相比較処理の対象とするためには、受信データの両エッジに同期するようにフリップフロップを構成することで実現できるが、一方のエッジだけを位相比較処理の対象とする場合よりもフリップフロップの速度マージンが『1/2』になってしまう。
<クロックデータリカバリシステムの構成>
図19は、この発明の第5の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成を示す。このシステムは、図1に示したクロックデータリカバリシステムに加えて、位相調整部5を備える。位相調整部5は、位相調整部3と同様の構成である。例えば、位相調整部3の位相比較器10が図6に示した構成であれば、位相調整部5の位相比較器10も図6に示した構成である。なお、図6に示した構成以外にも第1〜第4の実施形態による位相比較器を適用することは、当然、可能である。但し、同期済データを出力する受信部14は、位相調整部3,5のうちいずれか一方に含まれていれば良い。位相調整部5は、反転された受信データと多相クロック選択部2からのn本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号と受け取り、n個の位相検出結果を出力する。
ここでは、位相調整部3が受信データの立ち上がりエッジと基準クロック信号の立ち上がりエッジとに基づいて位相関係を検出する一方、位相調整部5が受信データの立ち下がりエッジと基準クロック信号の立ち上がりエッジとに基づいて位相関係を検出する。
位相調整部3,5について詳しく述べると、位相調整部3の位相比較器10の各々において、比較期間検出部11は、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジで規定した比較期間中に受信データが『Lレベル』から『Hレベル』になると比較信号を出力する。位相遅れ検出部12aは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジよりも先に発生している場合に『位相遅れ』であると判定する。位相進み検出部12bは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジよりも後に発生している場合に『位相進み』であると判定する。
一方、位相調整部3の位相比較器10の各々において、比較期間検出部11は、比較期間中に受信データが『Hレベル』から『Lレベル』になると比較信号を出力する。位相遅れ検出部12aは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち下がりエッジよりも先に発生している場合に『位相遅れ』であると判定する。位相進み検出部12bは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち下がりエッジよりも後に発生している場合に『位相進み』であると判定する。
位相制御部4は、位相調整部3,5の各々からの位相検出結果を受け取り、各々の位相検出結果を論理演算することによって、位相選択信号の制御に反映する。
<動作>
次に、図19に示したクロックデータリカバリシステムによる動作について説明する。
受信データの立ち上がりエッジが発生すると、位相調整部3は、受信データと基準クロック信号との位相関係を検出し、位相検出結果を位相制御部4へ出力する。位相制御部4は、位相調整部3からの位相検出結果に基づいて位相選択信号を変化させる。
一方、受信データの立ち下がりエッジが発生すると、位相調整部5は、受信データと基準クロック信号との位相関係を検出し、位相検出結果を位相制御部4へ出力する。位相制御部4は、位相調整部5からの位相検出結果に基づいて位相選択信号を変化させる。
このように、位相制御部4は、位相調整部3,5の各々の位相検出結果を受け取り位相選択信号を変化させることになる。つまり、受信データの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち一方だけを位相判定の対象とする場合よりも2倍の分解能を持った位相情報に基づいた位相制御が可能になる。
なお、位相制御部4は、位相調整部3,5の各々から位相検出結果を受け取るたびに位相選択信号の制御を実行しても良いし、一定量の位相検出結果を蓄積し蓄積した位相検出結果に基づいて数サイクルに1回の割合で位相選択信号の制御を実行しても良い。
<効果>
以上のように、受信データの立ち上がりエッジだけでなく、受信データの立ち下がりエッジとを位相比較処理に用いることによって、クロックデータリカバリシステムの応答特性を向上させることができる。
(位相調整部における位相比較処理)
以上の各実施形態において、位相調整部3が1サイクルにnビット分の位相比較処理を実行するものとして説明してきたが、位相調整部3による1サイクル分の位相比較処理において処理される受信データのビット数は、『nビット』よりも少なくても良い。すなわち、位相比較器3は、1サイクル中にmビット分(mは整数であり、2≦m≦n)の位相比較処理を実行するために、m個の位相比較器を含む。ここで、『m<n』である場合、位相調整部3は、nビット分の同期済データを出力するために、『n−m』個の受信部をさらに含む。
図20のように、第1〜第3の実施形態において『m=2』である場合、位相調整部3は、図2に示した第2番目,第3番目,および第5番目の位相比較器10に代えて、第2番目,第3番目,および第5番目の受信部14を含む。第p番目の受信部14は、第q番目の期間設定クロック信号をラッチクロックとして受け取り、受け取ったラッチクロックに同期して受信データをラッチすることによって同期済データを出力する。例えば、第2番目の受信部14は、第3期間設定クロック信号に同期して受信データをラッチすることによって、第2同期済データを出力する。図20のように、位相調整部3は、nビット分(ここでは、n=5)の同期済データを出力するために、隣接する信号間の位相差が1Tであるn本の期間設定クロック信号をラッチクロック信号として受け取る。また、位相調整部3は、mビット分(ここでは、m=2)の位相比較処理を実行するために、n本の期間設定クロックのうちm本の期間設定クロック信号をm本の第1クロック信号として受け取るとともに、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相が『1T』遅れているm本の第2クロック信号を受け取る。ここで、位相調整部3は、mビット分の位相比較処理のために、m本の第1クロックに対応するm本の基準クロック信号を受け取れば良い。例えば、図20では、位相調整部3は、2本の第1クロック信号として第1および第4期間設定クロック信号を受け取り、2本の第2クロック信号として第2および第5期間設定クロック信号を受け取り、第1および第4基準クロック信号を受け取る。
また、図21のように、第4の実施形態において『m=2』である場合、位相調整部3は、図14に示した第2番目,第3番目,および第5番目の位相比較器10に代えて、第2番目,第3番目,および第5番目の受信部14を含む。第p番目の受信部14は、第p番目の基準クロック信号をラッチクロックとして受け取り、受け取ったラッチクロックに同期して受信データをラッチすることによって同期済データを出力する。例えば、第2番目の受信部14は、第2基準クロック信号に同期して受信データをラッチすることによって、第2同期済データを出力する。図21のように、位相調整部3は、nビット分(ここでは、n=5)の同期済データを出力するために、n本の基準クロック信号をラッチクロック信号として受け取る。n本の基準クロック信号において、隣接する基準クロック信号間の位相差は『1T』である。また、位相調整部3は、mビット分(ここでは、m=2)の位相比較処理を実行するために、n本の期間設定クロック信号のうちm本の期間設定クロック信号をm本の第1クロック信号として受け取るとともに、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相が『h』遅れているm本の第2クロック信号(図21では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対して位相が『1T』遅れている第q番目の期間設定クロック信号)を受け取る。ここで、位相調整器3は、mビット分の位相比較処理のために、n本の基準クロック信号のうちm本の第1クロック信号に対応するm本の基準クロック信号(図21では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対応する第p番目の基準クロック信号)を受け取れば良い。
さらに、第5の実施形態において、位相調整部5による1サイクル分の位相比較処理において処理される受信データのビット数は、nビット分よりも少なくても良い。すなわち、位相比較器5は、1サイクル中にkビット分(kは整数であり、2≦k≦n)の位相比較処理を実行するために、k個の位相比較器を含む。ここで、『k<n』である場合、位相調整部5は、nビット分の同期済データを出力するために、『n−k』個の受信部14をさらに含む。
(位相遅れ信号・位相進み信号の出力)
以上の各実施形態で説明した位相比較器では、位相遅れ検出部12aからの位相遅れ信号を位相遅れ信号保持部13aが保持し、位相進み検出部12bからの位相進み信号を位相進み信号保持部13bが保持しているが、図22,図23のように、位相比較器10が、図3,図7に示した位相遅れ信号保持部13aおよび位相進み信号保持部13bに代えて、出力クロックに同期して駆動する比較信号保持部133,位相遅れ検出保持部133a,位相進み検出保持部133bを含んでいても良い。
比較信号保持部133は、比較期間検出部11からの比較信号(図22では論理回路103の出力,図23では論理回路113の出力)を保持する。位相遅れ検出保持部133aは、位相遅れ検出部12aの検出結果(図22ではフリップフロップ105aの出力,図23では第1内部信号S115a)を保持する。位相進み検出保持部133bは、位相進み検出部12bの検出結果(図22ではフリップフロップ105bの出力,図23では第2内部信号S115b)を保持する。なお、図3,図7に示した位相比較器10のみならず、第2の実施形態(図8,図10),第3の実施形態(図11,図13),および第4の実施形態(図15)における位相比較器においても、比較信号保持部133,位相遅れ検出保持部133a,位相進み検出保持部133bは、当然、適用可能である。
(基準クロック信号および遅延基準クロック信号)
ここまでの説明で明らかであるが、第1の実施形態では、基準クロック信号とデータの遷移点とが同じタイミングになるように位相制御が行なわれる。また、第2の実施形態では、位相比較器10の不感帯の始点を基準クロック信号で規定する一方、不感帯の終点を遅延基準クロック信号で規定しており、データの遷移点が不感帯内部に納まるように位相制御が行なわれる。さらに、第3の実施形態では、位相比較器10の不感帯の終点を基準クロックで規定する一方、不感帯の範囲を受信データの遅延量で規定している。
また、第1〜第3の実施形態では、データラッチタイミングとして比較期間の終点(第2クロック信号の立ち上がりエッジ)が利用されている。理論的には、位相制御の収束点(第1の実施形態では基準クロック信号の立ち上がりエッジ,第2および第3の実施形態では不感帯内部)からデータラッチタイミングまでの期間が、受信部14であるフリップフロップのセットアップ制約・ホールド制約を満たすことができる長さであることが好ましい。このように構成すれば、受信データを正しく保持することができ、正確な同期済データとして出力することができる。
第4の実施形態では、位相比較器10の不感帯の始点を比較期間の終点(すなわち、第2クロック信号の立ち上がりエッジ)で規定する一方、不感帯の終点を次の比較期間の始点(すなわち、次の第1クロック信号の立ち上がりエッジ)で規定することができ、データの遷移点が基準クロック信号から所定期間だけ離れた位置になるように位相制御が行われる。
また、第4の実施形態では、データラッチタイミングとして基準クロック信号が利用されている。理論的には、比較期間の始点(すなわち、第1クロック信号の立ち上がりエッジ)から基準クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間が受信部14であるフリップフロップのセットアップ制約を満たし、且つ、基準クロック信号の立ち上がりエッジから比較期間の終点(すなわち、第2クロック信号の立ち上がりエッジ)までの期間がホールド制約を満たすことができる長さであることが好ましい。このように構成すれば、受信データを正しく保持することができ、正確な同期済データとして出力することができる。
また、クロックデータリカバリシステムにおいて位相制御量が離散的な値である場合、受信データの遷移点と位相制御の収束点とを完全に一致させることが困難である。また、ジッタ等によって位相制御の収束点から受信データの遷移点がずれてから位相制御が働くまでの期間においても、受信データを正しく保持しなければならない。実際の通信において発生するジッタ強度等を考慮して、基準クロック信号や遅延基準クロック信号を設定することが望ましい。例えば、高周波数のジッタが発生しやすい通信では位相比較器10の不感帯が広くなるようにクロック信号の位相差を設定し、低周波数のジッタが発生しやすい通信では不感帯が狭くなるようにクロック信号の位相差を設定することが好ましい。
また、通信エラーを低減するためのキャリブレーション期間を備えている通信プロトコルもある。このような通信プロトコルとしては、モデムを介した通信などが一般的である。このような通信プロトコルでは、キャリブレーション期間において特定のデータパターンが送信され、そのデータパターンに基づいて受信側の機器の動作モードを決定したり、回路動作を安定点に収束させる処理が行なわれる。このように、送信側の機器から事前に形式が分かっているデータが送信され、受信側の機器においてそのデータを受信する期間が設定されている。この場合、その受信期間中に受信部14によって保持された受信データを監視しておき、期待したデータを受信できていない場合には基準クロック信号の位相を受信部14のセットアップ・ホールドマージンが緩和する方向にずらすことによって、ジッタに強いクロックデータリカバリシステムを実現することできる。
また、キャリブレーション期間以外の通常の通信期間においても、通信データが含む誤り訂正コードや定期的に送信される特定のコードを監視することによって、同様の制御が可能であることは明らかである。誤り訂正コードとしては、IEEE1394aプロトコルが備えているCRCコードが良く知られている。このコードは下位nビットが上位nビットの反転になっている形式である。また、IEEE1394bプロトコルでは、コンマパターンと呼ばれる特定のビット列が一定期間毎に送信される。このような通信プロトコルの特性を利用してクロック信号(期間設定クロック信号,基準クロック信号等)の位相差を適応的に制御することによって、ジッタなどのノイズに強いクロックデータリカバリシステムを実現することができる。
本発明は、位相比較器やクロックデータリカバリシステム等の用途に適用でき、高速なデータ通信への適用技術として有用である。
この発明は、データ通信において受信データにクロック信号を同期させる位相調整技術に関する。
機器間においてデータ通信を行う際には、受信側の機器のクロックと送信側の機器のクロックが同期していないうえ電源ノイズや温度など動作環境の違いによってクロックの周波数も同一ではないため、受信側の機器において受信したデータを基にクロックを再生する必要がある。この処理は一般にタイミングリカバリやデータクロックリカバリなどと呼ばれている。一般的なタイミングリカバリでは、受信側でクロックを発生し、そのクロックと受信したデータの位相差を検出し、検出した位相差に応じてクロックの周波数または位相を調整することを繰り返して行う。
図24は、一般的な位相差検出手段を示す。データ検出手段161およびクロック検出手段162の各々は、フリップフロップであり、データピンが『Hレベル』で固定されており、クロックピンにはそれぞれデータ信号とクロック信号が入力されており、リセットピンには判定手段163から出力されたリセット信号が入力されている。データ信号が『Hレベル』になるとデータ検出手段161の出力は『Hレベル』になりUP信号として出力される。同様に、クロック信号が『Hレベル』になるとクロック検出手段162の出力は『Hレベル』になりDOWN信号として出力される。判定手段163は、データ検出手段161の出力とクロック検出手段162の出力とを監視しており、両方が『Hレベル』になったときにリセット信号を出力する。すなわち、データ検出手段161の出力およびクロック検出手段162の出力の各々は、両方が『Hレベル』になった時点でリセットされ『Lレベル』に戻る。このため、クロック信号に対してデータ信号が早く来た場合は「UP信号」が位相差と同じ期間だけ出力され、逆の場合は「DOWN信号」が位相差と同じ期間だけ出力されることになる。これによって、クロック信号の位相がデータ信号に対してどれだけ進んでいるかまたは遅れているかを検出することができる。
このような方法による位相差検出は簡易な回路で実現可能だが、データレートが高くなるとUP信号,DOWN信号のパルス幅が短くなりフルスイングできなくなるので、正確な位相差検出が困難になってくる。このような課題を解決するため、受信データをオーバーサンプリングした結果を用いて位相判定する方法が特許文献1および特許文献2に開示されている。
特許文献1では、4ビット分の受信データを12相のクロック信号でラッチする位相比較器について開示されている。すなわち、1ビット分の受信データに対して3倍オーバーサンプリングを実行する位相比較処理を4ビット並列で行う構成である。3倍オーバーサンプリングとは、1ビット幅が『T』である受信データを『T/3』間隔で3回保持することを意味する。このように、1ビット分の受信データを異なるタイミングで複数回ラッチして得られた結果に基づいて、受信データとクロック信号の位相関係を知ることができる。例えば、受信データが『0→1→0→・・・』と遷移する時刻周辺(データの遷移点付近)において3倍オーバーサンプリングを実行すると、受信データとクロック信号との位相関係が所望の状態(理想的な位相関係)である場合には『(000)(111)(000)・・・』という結果になる。しかし、ラッチした結果が『(001)(110)(001)・・・』となった場合には、受信データに対してクロック信号の位相が遅れていると判断することができる。逆に『(100)(011)(100)・・・』となった場合には、受信データに対してクロック信号の位相が進んでいると判断することができる。
特許文献2では、多相のクロックを使用する代わりに、受信データを遅延させることによってオーバーサンプリングと同等の効果を得る位相検出回路について開示されている。図25は、特許文献2に示された位相比較器の構成を示す。ここでは、2つの遅延素子171を用いて受信データを2段階遅延させ、遅延素子171の各々の出力と遅延されていないデータとからなる3種類のデータを分周器172からのクロック信号に同期してラッチしている。特許文献1と同様、ラッチした結果は(001)のような3ビットの情報となり、この結果に基づいて位相遅れ信号、位相進み信号を出力する。
ここで、遅延素子171の各々の遅延量が『T/3』である場合には特許文献1に開示された位相比較器と同様の動作をするが、遅延量が『T/3未満』である場合には位相判定が行なわれない「不感帯」が生じる。説明の簡略化のために、フリップフロップのSETUP・HOLD時間を『0』とし、遅延素子171の遅延量を『D』とすると、クロック信号の立ち上がりエッジから遅延量2Dに相当する期間だけ前の時点までの期間中にデータの遷移点が発生した場合にのみ位相遅れ信号・位相進み信号が出力される。つまり、「1サイクル前のクロック信号の立ち上がりエッジ」から「次の立ち上がりエッジから遅延量2Dに相当する期間だけ前の時点』までの期間中にデータの遷移点が発生した場合には位相判定が行なわれない。つまり、この期間が不感帯となる。
特許文献1および図25(特許文献2)に示した位相比較器は受信データとクロック信号との位相関係だけを判定するため、データの通信速度が高速化された場合でも位相差を示すパルスがつぶれてしまう等の問題を生じない。また、出力結果がデジタル形式であるため、処理のパイプライン化・並列化が容易であり、高速通信に好適な回路構成であるといえる。
米国特許第5,905,769号明細書 特開2004−180188号公報
しかしながら、図25に示した構成では、遅延素子の精度が動作に与える影響が大きい。一般的に、遅延素子は、インバータ等のゲート遅延によって構成され、電源電圧や温度の変動等による影響を受けやすく、精度の高い遅延を実現することは困難である。温度変動等を補償して一定の遅延量を実現することは可能であるが、比較的大規模なアナログ回路が必要となり位相検出回路の面積が大きくなってしまう。それに加えて、HDMIのようにデータレートが変化するような通信においては、取り得るデータレートに応じた最適な遅延量を実現するための遅延素子を複数種類用意しなければならないので、面積増大および電力増加の原因となる。
また、特許文献1に開示された位相比較器では、オーバーサンプリングの倍数の増加および並列して処理するビット数の増加に比例して、必要となるクロック信号の相数が増大する。例えば、4ビット分のデータ信号に対して4倍のオーバーサンプリングを実現するためには16相のクロック信号が必要であり、5ビット分のデータ信号に対して5倍のオーバーサンプリングを実現するためには25相のクロック信号が必要となる。このように、1ビット分の処理を行う位相検出回路の各々に対してオーバーサンプリングの倍数に応じた相数のクロック信号を分配する必要があるので、配線面積が増大し、クロック伝達に要する電力が増加する。また、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化が生じる。
そこで、本発明は、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することを目的とする。また、本発明は、位相比較処理に必要なクロック信号の相数(クロック信号の本数)の増大を抑制することを目的とする。
この発明の1つの局面に従うと、位相比較器は、比較期間検出部と、位相関係検出部とを備える。比較期間検出部は、データ信号と第1および第2クロック信号とを受け取り、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を比較期間と規定する。比較期間検出部は、比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。データ信号は、データの1ビット長がTである。第1のクロック信号は、周期がnT(nは2以上の整数)である。第2クロック信号は、周期がnTであり且つ第1クロック信号に対して位相がh(0<h≦T)遅れている。位相関係検出部は、データ信号と基準クロック信号とを受け取る。位相関係検出部は、データ信号と基準クロック信号との位相関係を検出し、比較期間検出部によって比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相関係の検出結果を出力する。基準クロック信号は、第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h)遅れている。
上記位相比較器では、位相比較処理と比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出とが並列して実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。この構成により、位相比較器に遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。また、複数個の位相比較器を使用して複数ビット分のデータ信号を位相比較処理の対象とする場合、従来の4倍以上のオーバーサンプリングを使用する例よりも位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることができる。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の位相比較器に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の位相比較器に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
好ましくは、上記第2クロック信号は、上記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。位相進み検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。
上記位相比較器では、データ信号に対して基準クロック信号が遅れていると位相遅れ信号が出力され、データ信号に対して基準クロック信号が進んでいると位相進み信号が出力される。このように、位相関係の検出結果として位相遅れ信号および位相進み信号が出力される。位相関係の検出結果を参照すれば、基準クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点に近づけることができる。これにより、ラッチクロックである第2クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点間における中央部分に配置することができる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第1保持部の保持結果を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号を保持する第2保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む。
上記位相比較器では、例えば、データ信号の遷移よりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第1保持部の保持結果が『Hレベル』になり、データ信号の遷移よりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第2保持部の保持結果が『Hレベル』になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、遷移点検出部よってデータ信号の遷移が検出されたタイミングに応じて第1内部信号を出力する第1出力部と、第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されたタイミングに応じて第2内部信号を出力する第2出力部と、第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。第1出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する。第2出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に後に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると上記第2内部信号を出力する。
また、上記第2クロック信号は、上記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。位相進み検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。遅延基準クロック信号は、上記基準クロック信号に対して位相がD(0<D<T−i)遅れている。
上記位相比較器では、基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生してから遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生するまでの間にデータ信号の遷移が発生しても、位相関係の検出結果は出力されない。すなわち、この期間は、不感帯である。このように、不感帯を形成することによって、ジッタ等のノイズに対する強度を向上させることができる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第1保持部の保持結果を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記遅延基準クロック信号を保持する第2保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む。
上記位相比較器では、例えば、データ信号の遷移よりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第1保持部の保持結果が『Hレベル』になり、データ信号の遷移よりも時間的に前に遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第2保持部の保持結果が『Hレベル』になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する第1出力部と、第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含み。上記位相進み検出部は、上記遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する遅延基準点検出部と、遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されるよりも時間的に前に遅延基準点検出部によって遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されると第2内部信号を出力する第2出力部と、第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。
また、上記第2クロック信号は、上記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、遅延データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。遅延データ信号は、上記データ信号に対してD(0<D<i)遅延している。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。
上記位相比較器では、データ信号の遷移点から遅延データ信号の遷移点までの間に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生しても、位相関係の検出結果は出力されない。すなわち、基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延データ信号の遅延量に相当する期間だけ前の時点までの期間は、不感帯になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、上記遅延データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号の反転信号を保持する遅延保持部と、第1保持部および遅延保持部の各々の保持結果の論理積を出力する第1出力部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第1出力部の出力を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移に同期して上記基準クロック信号を保持する第2保持部と、上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む。
上記位相比較器では、例えば、遅延データ信号の遷移よりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第1保持部の保持結果が『Hレベル』になり、データ信号の遷移よりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると第2保持部の保持結果が『Hレベル』になる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、上記遅延データ信号の遷移を検出する遅延遷移点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ予測信号を出力する位相遅れ予測部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遅延遷移点検出部によって遅延データ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する第1出力部と、位相遅れ予測部によって位相遅れ予測信号が出力され且つ第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されるよりも時間的に前に基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されると第2内部信号を出力する第2出力部と、上記第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。
また、上記基準クロック信号は、上記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックである。上記位相関係検出部は、位相遅れ検出部と、位相進み検出部とを含む。位相遅れ検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に前に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する。位相進み検出部は、上記データ信号の遷移よりも時間的に後に上記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する。
上記位相比較器では、データ信号に対して基準クロック信号の位相が進んでいると位相遅れ信号が出力され、データ信号に対して基準クロック信号の位相が遅れていると位相進み信号が出力される。このように、位相関係の検出結果として位相遅れ信号および位相進み信号が出力される。位相関係の検出結果を参照すれば、基準クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点から所定期間だけ離れた位置に配置させることができる。すなわち、ラッチクロックである基準クロック信号の立ち上がりエッジをデータ信号の遷移点間における中央部分に配置することができる。
好ましくは、上記位相遅れ検出部は、上記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されたタイミングに応じて第1内部信号を出力する第1出力部と、第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含む。上記位相進み検出部は、上記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、遷移点検出部よってデータ信号の遷移が検出されたタイミングに応じて第2内部信号を出力する第2出力部と、第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ上記比較期間検出部によって上記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む。第1出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に後に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第1内部信号を出力する。第2出力部は、基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると第2内部信号を出力する。
この発明のもう1つの局面に従うと、位相比較装置は、データ信号に対してm本の第1クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応するm本の第2クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応するm本の基準クロック信号とを用いて位相比較を行う。データ信号は、データの1ビット長がT(T<0)である。m本の第1クロック信号の各々は、周期がnT(nは整数であり、n≧2)である。m本の第1クロック信号のうち隣接する信号間の位相差は、1Tの倍数である。m本(mは整数であり、2≦m≦n)の第2クロック信号の各々は、対応する第1クロック信号に対して位相がh(0<h≦1T)遅れている。m本の基準クロック信号の各々は、対応する第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h)遅れている。位相比較装置は、m個の比較期間検出部と、m個の位相関係検出部とを備える。m個の比較期間検出部のうち第p番目(pは整数であり、1≦p≦m)の比較期間検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の第1クロック信号のうち第p番目の第1クロック信号とm本の第2クロック信号のうち第p番目の第2クロック信号とを受け取り、第p番目の第1クロック信号の立ち上がりエッジと第p番目の第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を第p比較期間と規定し、第p比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取り、データ信号と第p番目の基準クロック信号との位相関係を検出し、m個の比較期間検出部のうち第p番目の比較期間検出部によって第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相比較の検出結果を第p位相検出結果として出力する。
上記位相比較装置では、位相比較処理と比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出とが並列して実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。ここで、位相比較処理のために遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。また、従来の4倍以上のオーバーサンプリングを使用する例よりも位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることができる。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の比較期間検出部に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の比較期間検出部に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
この発明のさらにもう1つの局面に従うと、クロックデータリカバリシステムは、クロック生成部と、多相クロック選択部と、第1位相比較部と、位相制御部とを備える。クロック生成部は、データの1ビット長がT(0<T)であるデータ信号に対して周期がnT(nは整数であり、n≧2)であり且つ互いに位相が異なる複数の主クロックを生成する。多相クロック選択部は、クロック生成部によって生成された複数の主クロックの中から、隣接する信号間の位相差が1Tの倍数であるm本(mは整数であり、2≦m≦n)の第1クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h,0<h≦1T)遅れているm本の基準クロック信号とを選択する。第1位相比較部は、外部からのデータ信号と、多相クロック選択部によって選択されたm本の第1クロック信号およびm本の基準クロック信号と、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がh遅れているm個の第2クロック信号とを受け取り、m個の位相検出結果を出力する。位相制御部は、位相比較部からのm個の位相検出結果に基づいて、多相クロック選択部によって選択されるクロック信号の位相を設定する。第1位相比較部は、m個の比較期間検出部と、m個の位相関係検出部とを含む。m個の比較期間検出部のうち第p番目の比較期間検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の第1クロック信号のうち第p番目の第1クロック信号とm本の第2クロック信号のうち第p番目の第2クロック信号とを受け取り、第p番目の第1クロック信号の立ち上がりエッジと第p番目の第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を第p比較期間と規定し、第p比較期間中にデータ信号の遷移の有無を検出する。m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、データ信号を受け取るとともに、m本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取り、データ信号と基準クロック信号との位相関係を検出し、m個のうち第p番目の比較期間検出部によって第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相比較の検出結果を第p位相検出結果として出力する。
上記クロックデータリカバリシステムでは、位相比較処理と比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出とが並列して実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。ここで、位相比較器に遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができ、クロックを正確に再現することができる。また、従来の4倍以上のオーバーサンプリングを使用する例よりも位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることができる。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の比較期間検出部に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の比較期間検出部に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
好ましくは、上記クロックデータリカバリシステムは、第2位相比較部をさらに備える。第2位相調整部は、上記m個の比較期間検出部のうちk個(kは整数であり、2≦k≦m)の比較期間検出部と、上記m個の位相関係検出部のうち上記k個の比較期間検出部に対応するk個の位相関係検出部とを含む。上記第1位相比較部に含まれるm個の比較期間検出部およびm個の位相関係検出部の各々は、上記データ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち一方に応答して動作する。第2位相比較部に含まれるk個の比較期間検出部およびk個の位相関係検出部の各々は、上記データ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち他方に応答して動作する。上記位相制御部は、上記第1位相比較部からのm個の位相検出結果と第2位相比較部からのk個の位相検出結果に基づいて、上記多相クロック選択部によって選択されるクロック信号の位相を設定する。
上記クロックデータリカバリシステムでは、受信データの立ち上がりエッジだけでなく、受信データの立ち下がりエッジとを位相比較処理に用いることによって、クロックデータリカバリシステムの応答特性を向上させることができる。
以上のように、精度の高い遅延手段を必要とすることなく電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。また、位相比較処理に必要なクロック信号の相数の増大を抑制することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
(第1の実施形態)
<クロックデータリカバリシステムの構成>
図1は、この発明の第1の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの全体構成を示す。このシステムは、単位時間あたりのデータビット数を示すデータレートが『1/T(0<T)』であるデータ通信において、データの1ビット長がTである受信データに対して周期が『nT(nは整数であり、n≧2)』であり且つ互いの位相差が『1T』であるn本のクロック信号を用いて位相調整を実行する。
このシステムは、クロック生成部1と、多相クロック選択部2と、位相調整部3と、位相制御部4とを備える。位相調整部3では、受信データのうちnビット分に相当する期間『nT』が1ビット分に相当する期間『T』ずつ時分割されて位相比較処理が実行される(n個の期間『T』の各々において位相比較処理が実行される)。すなわち、受信データのnビット分に相当する期間『nT』を1サイクルとすると、1サイクル中にn回の位相比較処理が実行される。なお、ここでは、説明の簡単化のために、位相調整処理における位相の最小変化量を『T/x(xは1以上の正数)』とする。
クロック生成部1は、例えば、一般的なフェーズロックループ(PLL)であり、参照クロックに基づいてj本(j=n×x)の主クロックを生成する。ここで、j本の主クロックの各々の周期は『nT』であり、隣接する位相間の位相差は『T/x』である。
多相クロック選択部2は、例えばセレクタ回路であり、位相制御部4からの位相選択信号に応じて、j本の主クロックの中からn本の主クロックを「期間設定クロック信号」として選択するとともに、j本のクロック信号の中からn本の主クロックを「基準クロック信号」として選択し、選択したn本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号を出力する。
ここで、n本の期間設定クロック信号のうち第p番目の期間設定クロック信号(pは整数であり、1≦p≦n)と第q番目の期間設定クロック信号(qは整数であり、1≦p≦n−1のときにはq=p+1、p=nのときにはq=1)との位相差は『1T』である。n本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号は、第p番目の期間設定クロック信号に対して位相が『i(0<i<1T)』遅れている。すなわち、第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジは、第p番目の期間設定クロック信号の立ち上がりエッジと第q番目の期間設定クロック信号の立ち上がりエッジとの間に存在する。
位相調整部3は、外部からの受信データと多相クロック選択部2から出力されたn本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号とを受け取り、受信データとn本の基準クロック信号の各々との位相関係を検出し、n個の位相検出結果を出力する。また、位相調整部3は、受信データを取り込むタイミングを示すクロック(ラッチクロック)に同期して受信データをラッチすることによって、nビット分の同期済データを出力する。ここでは、ラッチクロックは、n本の基準クロック信号の各々に対して位相が『1T−i』遅れているn本の期間設定クロック信号である。
位相制御部4は、位相調整部3からの位相検出結果に基づいて位相選択信号を変化させる。位相選択信号の形式はいかなる形式でも良いが、第1期間設定クロック信号がj本の主クロックのうちどの主クロックと合致するかを示す形式が最も簡単な形式である。すなわち、位相選択信号は、j本の主クロックのうち第1期間設定クロック信号となる主クロックの番号を示している。例えば、位相制御部4は、位相調整部3からの位相検出結果が『位相遅れ』を示す場合には位相選択信号に示された番号を小さくし、位相検出結果が『位相進み』を示す場合には番号を大きくする。これにより、受信データに対して基準クロック信号の位相が遅れている場合には、多相クロック選択部2によって選択される期間設定クロック信号および基準クロック信号の各々の位相は早くなり、受信データに対して基準クロック信号の位相が進んでいる場合には、期間設定クロック信号および基準クロック信号の各々の位相は遅くなる。このように、位相選択信号に応じて、多相クロック選択部2によって選択される期間設定クロック信号および基準クロック信号の位相が前後する。
この動作を繰り返すことにより、受信データの位相に対してクロックの位相が追従していくことになる。
ここで、n=5,x=8,i=T/2であるとする。この場合、クロック生成部1は、各々の周期が『5T』であり且つ隣接する位相間の位相差が『T/8』である40相の主クロック(第1主クロック〜第40主クロック)を生成する。ここで、第1主クロックの位相が最も進んでおり、番号が大きくなるにつれて位相が遅くなり、第40主クロックの位相が最も遅れている。このとき、位相選択信号に示された番号が「3」であるとすると、期間設定クロック信号および基準クロック信号は、次のようになる。
〔期間設定クロック信号〕
第1期間設定クロック信号=第3主クロック
第2期間設定クロック信号=第11主クロック
第3期間設定クロック信号=第19主クロック
第4期間設定クロック信号=第27主クロック
第5期間設定クロック信号=第35主クロック
〔基準クロック信号〕
第1基準クロック信号=第7主クロック
第2基準クロック信号=第15主クロック
第3基準クロック信号=第23主クロック
第4基準クロック信号=第31主クロック
第5基準クロック信号=第39主クロック
まず、期間設定クロック信号の選択について説明する。最初に、40本の主クロックの中から『第3主クロック』が第1期間設定クロック信号として選択される。ここでは、「x=8」であるので、第3主クロックから8相分遅れている第11主クロックが第2期間設定クロック信号として選択され、第11主クロックから8相分遅れている第19主クロックが第3期間設定クロック信号として選択される。同様に、第27主クロックおよび第35主クロックが、それぞれ、第4および第5期間設定クロック信号として選択される。このように、第1〜第5期間設定クロック信号の各々の位相間における位相差は「8×(T/8)=1T」となる。
次に、基準クロック信号の選択について説明する。ここでは、「i=T/2」であるので、第3主クロックから4相分遅れている第7主クロックが第1基準クロック信号として選択される。同様に、第2〜第5期間設定クロック信号の各々から4相分遅れている主クロックが、それぞれ、第2〜第5基準クロック信号として選択される。このように、第1〜第5基準クロック信号の各々の位相は、対応する期間設定クロック信号の位相に対して「T/2」遅れた位相になる。
<位相調整部の構成>
図2は、図1に示した位相調整部3の構成を示す。位相調整部3は、n個(図2では、n=5)の位相比較器10を含む。第p番目の位相比較器10は、n本の期間設定クロック信号のうち第p番目の期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取るとともに、第1クロック信号に対して位相が1T遅れている第2クロック信号(ここでは、第q番目の期間設定クロック信号)を受け取る。また、第p番目の位相比較器10は、n本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取る。なお、図2では、第p番目の位相比較器10が受け取る第2クロック信号と第q番目の位相比較器10が受け取る第1クロック信号とが共有化されている。例えば、第1番目の位相比較器10は第2期間設定クロック信号を第2クロック信号として受け取り、第2番目の位相比較器10は第2期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取る。
5個の位相比較器10の各々は、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を比較期間と規定し、この比較期間中において基準クロック信号と受信データとの位相関係を検出する。このように、5個の位相比較器の各々には位相差が『1T』である2つの期間設定クロック信号が与えられるので、この位相調整部3は、5ビット分の受信データに相当する期間(すなわち5T)を『1T』ずつ時分割して位相比較処理を実行する構成である。
5個の位相比較器10の各々は、比較期間検出部11と、位相関係検出部12と、位相遅れ信号保持部13aと、位相進み信号保持部13bと、受信部14とを含む。
比較期間検出部11は、2つの期間設定クロック信号と受信データとを受け取り、2つの期間設定クロック信号の各々のエッジ間を比較期間と規定し、この比較期間中に受信データの遷移の有無を検出する。
位相関係検出部12は、基準クロック信号と受信データとの位相関係を検出し、比較期間検出部11によって比較期間中に受信データの遷移が検出されると、位相関係の検出結果(位相遅れ信号,位相進み信号)を出力する。
位相遅れ信号保持部13aは、位相関係検出部12からの位相遅れ信号を保持して出力する。位相進み信号保持部13bは、位相関係検出部12からの位相進み信号を保持して出力する。
受信部14は、ラッチクロック(ここでは、2つの期間設定クロック信号のうち位相が遅れている方)に同期して受信データを保持するとともに、保持した受信データを同期済データとして出力する。
<位相比較器の構成>
図3は、図2に示した位相比較器10の詳細な構成を示す。なお、ここでは、第1番目の位相比較器10を例に挙げて説明する。すなわち、第1クロック信号は、「第1期間設定クロック信号」である。第2クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『1T』遅れているクロック信号(第2期間設定クロック信号)である。基準クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『i』遅れているクロック信号(第1基準クロック信号)である。
比較期間検出部11は、フリップフロップ101,102と、論理回路103とを含む。フリップフロップ101は、受信データの立ち上がりエッジに同期して第1クロック信号を保持する。フリップフロップ102は、受信データの立ち上がりエッジに同期して第2クロック信号を保持する。論理回路103は、フリップフロップ101の出力が『Hレベル』であり且つフリップフロップ102の出力が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Lレベル』にし(すなわち、比較信号を出力し)、それ以外の場合には自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、比較信号の出力を停止する)。
位相関係検出部12は、位相遅れ検出部12aと、位相進み検出部12bとを含む。
位相遅れ検出部12aは、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると『位相遅れ』であると判定し、比較期間検出部11から比較信号が出力されていれば位相遅れ信号を出力し、比較信号が出力されていなければ位相遅れ信号を出力しない。詳しくは、位相遅れ検出部12aは、インバータ104と、フリップフロップ105aと、論理回路106aとを含む。インバータ104は、基準クロック信号を反転する。フリップフロップ105aは、受信データの立ち上がりエッジに同期してインバータ104の出力(すなわち、基準クロック信号の反転信号)を保持する。論理回路106aは、フリップフロップ105aの出力が『Hレベル』であり且つ比較期間検出部11からの比較信号が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相遅れ信号を出力し)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力しない)。
位相進み検出部12bは、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると『位相進み』と判定し、比較期間検出部11から比較信号が出力されていれば位相進み信号を出力し、比較信号が出力されていなければ位相進み信号を出力しない。詳しくは、位相進み検出部12bは、フリップフロップ105bと、論理回路106bとを含む。フリップフロップ105bは、受信データの立ち上がりエッジに同期して基準クロック信号を保持する。論理回路106bは、フリップフロップ105bの出力が『Hレベル』であり且つ比較期間検出部11からの比較信号が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相進み信号を出力し)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相進み信号を出力しない)。
位相遅れ信号保持部13aは、例えば、フリップフロップであり、出力クロックに同期して位相遅れ信号を保持し、保持した位相遅れ信号を出力する。位相進み信号保持部13bは、例えば、フリップフロップであり、出力クロックに同期して位相進み信号を保持し、保持した位相進み信号を出力する。なお、受信データの立ち上がりエッジが比較期間の終点直前(すなわち、第2クロック信号の立ち上がりエッジの直前)に発生した場合でも位相遅れ信号および位相進み信号を確実に保持できるように、出力クロックは、第2クロック信号よりも位相が遅れていることが好ましい。ここでは、出力クロックは、第1クロック信号に対して位相が『3T』遅れている「第4期間設定クロック信号」を用いる。
受信部14は、例えば、フリップフロップであり、ラッチクロック(ここでは、第2クロック信号)に同期して受信データを保持する。保持された受信データは、同期済データとして出力される。
<<イネーブル信号>>
また、フリップフロップ101,102,105a,105bの各々は、ロード/ホールドモード切替機能付きのフリップフロップであり、インバータEN10によって反転されたイネーブル信号を受け取り、インバータEN10の出力信号が『Lレベル』(すなわち、イネーブル信号が『Hレベル』)である期間のみ受信データの立ち上がりエッジに同期して動作し、インバータEN10の出力信号が『Hレベル』(すなわち、イネーブル信号が『Lレベル』)である期間では受信データの立ち上がりエッジに同期することなく値を保持し続ける。すなわち、イネーブル信号は、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの動作期間を制限するための信号である。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bが比較期間において動作できるようにすれば良いので、イネーブル信号は、理想的には、比較期間に相当する期間だけ『Hレベル』であれば良い。仮に、そのようなイネーブル信号を生成することが可能であれば、図3に示した位相比較器10において比較信号を生成するための構成(比較期間検出部11)が不要になる。しかし、実際には、データレートが高くなるとイネーブル信号のHレベル期間が非常に短くなり、負荷容量および負荷容量に起因するゲート遅延による影響を受けやすくなる。この場合、イネーブル信号のみによって比較期間を正確に再現することが困難になる。さらに、フリップフロップのロードモードとホールドモードを切り替えるLH入力のセットアップ制約およびホールド制約を考慮しなければならない等、実装上の問題がある。そこで、イネーブル信号は、プロセスばらつきによる影響,電源電圧・温度の変動による影響を受けないように、パルス幅がなるべく長く且つクロック信号に同期していることが望ましい。
図4は、イネーブル信号を生成するための構成の一例を示す。イネーブル信号生成部は、例えば、3つの論理回路EN101,EN102,EN103を含む。ここで、第3クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『2T』遅れているクロック信号(ここでは、第3期間設定クロック信号)であり、第4クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『3T』遅れているクロック信号(ここでは、第4期間設定クロック信号)である。この構成によって生成されるイネーブル信号は、期間設定クロック信号のいずれかに同期しており、Hレベル期間が『3T』でありLレベル期間が『2T』である。
<<リセット信号>>
さらに、フリップフロップ101,102,105a,105bの各々は、リセット信号を受け取り、リセット信号が『Hレベル』である期間では受信データとイネーブル信号とに応じて動作し、リセット信号が『Lレベル』である期間では保持している値を『L』にする(保持内容をクリアする)。ここで、比較期間が開始するまでにその比較期間よりも前に得られた位相検出結果がクリアされれば良いので、位相遅れ信号保持部13aおよび位相進み信号保持部13bが位相遅れ信号および位相進み信号の保持を完了した時点から次の比較期間が開始するまでの間に(すなわち、出力クロックの立ち上がりエッジから次の比較期間の始点を規定する第1クロック信号の立ち上がりエッジまでの間に)、リセット信号が『Lレベル』になれば良い。
図5は、リセット信号を生成するための構成の一例を示す。ここで、第5クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『4T』遅れているクロック信号(ここでは、第5期間設定クロック信号)である。この構成によって生成されるリセット信号は、第4クロック信号の立ち上がりエッジから第5クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間に『Lレベル』になる。つまり、リセット信号は、出力クロックの立ち上がりエッジから第1クロック信号の立ち上がりエッジまでの間の任意の期間において『Lレベル』になる。
<位相比較器による動作>
図6を参照しつつ、図3に示した位相比較器10による動作について説明する。なお、ここでは、基準クロック信号は、第1クロック信号に対して位相が『T/2』遅れているものとする。
まず、第1クロック信号の立ち上がりエッジC11が発生し、第1クロック信号が『Hレベル』であり第2クロック信号が『Lレベル』である期間に受信データの立ち上がりエッジE1が発生する。この立ち上がりエッジE1に同期して比較信号が『Lレベル』になる。一方、基準クロック信号の立ち上がりエッジC01が立ち上がりエッジE1よりも時間的にに発生しているので、位相遅れ信号が『Hレベル』になる。
次に、第2クロック信号の立ち上がりエッジC21が発生して第2クロック信号が『Hレベル』になると、この立ち上がりエッジC21に同期してイネーブル信号が『Lレベル』になる。よって、仮に、データエッジE2,E3が受信データの立ち上がりエッジであっても、比較信号,位相遅れ信号,および位相進み信号は、変化することなく直前の状態を保持する。
次に、第3クロック信号の立ち上がりエッジC31が発生して第3クロック信号が『Hレベル』になり、その後に、第4クロック信号の立ち上がりエッジC41が発生する。位相遅れ信号保持部13aおよび位相進み信号保持部13bは、第4クロック信号の立ち上がりエッジC41に同期して位相遅れ信号および位相進み信号を保持する。位相遅れ信号および位相進み信号は、第4クロック信号の次の立ち上がりエッジが発生するまでの間、保持され続ける。
また、第4クロック信号の立ち上がりエッジC41が発生して第4クロック信号が『Hレベル』になると、この立ち上がりエッジC41に同期してリセット信号が『Lレベル』になる。これにより、比較信号,位相遅れ信号,および位相進み信号が初期値にクリアされる。一方、第4のクロック信号の立ち上がりエッジC41に同期してイネーブル信号が『Hレベル』になる。イネーブル信号が『Hレベル』であってもリセット信号が『Lレベル』であるので、仮に、データエッジE4が受信データの立ち上がりエッジであっても、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々は動作せず、比較信号,位相遅れ信号,および位相進み信号は変化せず初期値のままである。
次に、第5クロック信号の立ち上がりエッジC51が発生して第5クロック信号が『Hレベル』になると、この立ち上がりエッジC51に同期してリセット信号が『Hレベル』になる。ここで、仮に、データエッジE5が受信データの立ち上がりエッジであるとすると、イネーブル信号が『Hレベル』であるので、位相遅れ検出部12のフリップフロップ105aがデータエッジE5に同期して基準クロック信号の反転信号を保持し、フリップフロップ105aの出力は『Hレベル』になる。しかし、第1および第2クロック信号の両方とも『Lレベル』であるので比較期間検出部11からの比較信号が『Hレベル』になっており、位相遅れ信号は『Lレベル』のままである。
このように、第1および第2クロック信号の各々の立ち上がりエッジで規定された比較期間において受信データの遷移があると、基準クロック信号と受信データとの位相関係の検出結果が出力される。
一方、比較期間中において基準クロック信号の立ち上がりエッジC01が受信データの立ち上がりエッジE1よりも時間的に前に発生した場合には、位相遅れ信号が『Lレベル』のままであり、位相進み信号が『Hレベル』になる。その後の処理は、上述の処理と同様であり、最終的に、位相進み信号保持部13bの出力が『Hレベル』になる。
また、基準クロック信号の立ち上がりエッジC01と受信データの立ち上がりエッジE1とが同時に発生した場合、インバータ104の遅延のためインバータ104の出力は『Hレベル』であるので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aおよび位相進み検出部12bのフリップフロップ105bの各々の出力は、どちらも『Hレベル』になる。この場合、基準クロック信号の位相と受信データの位相とが理想的な関係になっていると判断できるので、位相制御部4において位相遅れ信号と位相進み信号とが互いに相殺される。
このようにして、受信データと基準クロック信号との位相関係が検出される。クロックデータリカバリシステムにおいて、位相制御部4が位相検出結果に基づいて位相調整することによって、基準クロック信号の立ち上がりエッジを受信データの立ち上がりエッジに近づけることができる。これにより、受信データの立ち上がりエッジ間における中央部分(データアイが十分に開いている部分)に第2クロック信号の立ち上がりエッジを配置することができ、同期済データを正確に取得することができる。
<効果>
以上のように、位相比較処理に並行して比較期間中におけるデータ信号の遷移の有無の検出が実行され、データ信号の遷移が検出されたときに位相関係の検出結果が出力される。これにより、遅延素子を使用しなくても良いので、電源電圧・温度の変動に対して安定した位相比較処理を実現することができる。
また、本実施形態では、1つの位相比較器に3つのクロック信号(第1クロック信号,第2クロック信号,基準クロック信号)を供給すれば良いので、n個の位相比較に供給するクロック信号の総数は『3n』である。さらに、第p番目(pは整数であり、1≦p≦n)の位相比較器に供給される第2クロック信号と第q番目(qは整数であり、1≦p≦n−1のときはq=p+1であり、p=nのときにはq=1)の位相比較器に供給される第1クロック信号とを共有化することができるので、必要なクロック信号の本数をさらに少なくすることも可能である(この場合、クロック総数は『2n』となる)。従来のオーバーサンプリングの例では、位相比較処理に必要なクロック信号の本数は『α×n』(α:オーバーサンプリングの倍数、n:1サイクル中に処理するビット数)であるので、位相比較処理に必要なクロック信号の本数を少なくすることも可能である。このように、限られたクロック信号を分配するだけでよいので、配線面積の増大,クロック伝達に要する電力の増加を抑制することができ、配線間のクロスカップリング等に起因するクロックスキューばらつきやクロストークによる信号劣化を低減することができる。
(第1の実施形態による位相比較器の変形例)
なお、図6に示すように、比較期間の始点以前にイネーブル信号が『Hレベル』になるように構成されている場合は、フリップフロップ111,112,105a,105bを一般的なディレイフリップフロップに置き換えて、それぞれのディレイフリップフロップのクロック信号として受信データとイネーブル信号の論理積であるマスクデータ信号を入力する構成としても同様の動作を実現することができる。
<構成>
図7は、図3に示した位相比較器の変形例を示す。ここで、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,位相進み検出部12bの各々には、ディレイフリップフロップを用いる。
比較期間検出部11は、AND回路110と、フリップフロップ111,112と、論理回路113とを備える。AND回路110は、イネーブル信号と受信データとを受け取り、イネーブル信号と受信データとの論理積であるマスクデータ信号を出力する。フリップフロップ111は、AND回路110からのマスクデータ信号の立ち上がりエッジに同期して第1クロック信号を保持する。フリップフロップ112は、マスクデータ信号の立ち上がりエッジに同期して第2クロック信号を保持する。論理回路113は、フリップフロップ111の出力が『Hレベル』であり且つフリップフロップ112の出力が『Lレベル』である場合には比較信号を出力する(比較信号を『Lレベル』にする)。
位相遅れ検出部12aは、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、NAND回路115aと、NOR回路116aとを含む。位相進み検出部12bは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、NAND回路115bと、NOR回路116bとを含む。遷移点検出部114ddは、電源電圧と受信データとを受け取り、受信データの立ち上がりエッジに同期して『Hレベル』を保持する。基準点検出部114ccは、電源電圧と基準クロック信号とを受け取り、基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して『Hレベル』を保持する。NAND回路115a,115bは、RSラッチを構成しており、遷移点検出部114ddの出力および基準点検出部114ccの出力のうち先に『Hレベル』になった方の出力を有効とし、もう一方の出力をマスクして出力しない。初期の状態では遷移点検出部114ddの出力および基準点検出部114ccの出力の両方が『Lレベル』になっているので、RSラッチの2つの出力(第1内部信号S115a,第2内部信号S115b)は両方とも『Hレベル』になっている。ここで、遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になると第1内部信号S115aが『Hレベル』から『Lレベル』になり第2内部信号S115bは『Hレベル』のまま固定される。一方、基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になると第2内部信号S115bが『Lレベル』になり第1内部信号が『Hレベル』のまま固定される。
NOR回路116aは、RSラッチからの第1内部信号S115aおよび比較期間検出部11からの比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相遅れ信号が出力され)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号が出力されない)。NOR回路116bは、RSラッチからの第2内部信号S115bおよび比較期間検出部11からの比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし(すなわち、位相進み信号が出力され)、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする(すなわち、位相進み信号が出力されない)。
<動作>
図6のように、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジE1よりも時間的に後に発生した場合、位相関係検出部12では基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの方が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ信号が出力される。一方、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジE1よりもに発生した場合、位相関係検出部12では遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力の方が先に『Hレベル』になるので、位相進み信号が出力される。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々の出力は、リセット信号が『Lレベル』になるまで保持され、リセット信号が『Lレベル』になった時点でクリアされる(『Lレベル』になる)。
<効果>
この構成によれば、遷移点検出部114ddおよび基準点検出部114ccであるディレイフリップフロップのD入力が電源にプルアップされているので、セットアップ制約を考慮することなく受信データと基準クロック信号の立ち上がりタイミングを評価することができる。
(第2の実施形態)
<クロックデータリカバリシステムの構成>
この発明の第2の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成および位相調整部の構成は図1および図2と同様であるが、位相比較器10の構成が異なる。位相比較器10の各々は、基準クロック信号と基準クロック信号に対応する遅延基準クロック信号を受け取り、受信データと基準クロック信号とを位相比較することによって『位相遅れ』の有無を検出するとともに、受信データと遅延基準クロック信号とを位相比較することによって『位相進み』の有無を検出する。例えば、第1番目の位相比較器は、第1基準クロック信号に対応する第1遅延基準クロック信号を受け取る。遅延基準クロック信号は、基準クロック信号に対して位相が遅れている信号であり、遅延素子を用いて基準クロック信号を遅延させることで生成しても良いし、多相クロック選択部2において基準クロック信号より所定の相数分だけ遅れている主クロックを選択することによって実現しても良い。
<位相比較器の構成>
図8は、この発明の第2の実施形態による位相比較器の構成を示す。この位相比較器10では、位相進み検出部12bは、基準クロック信号に代えて、遅延基準クロック信号を受け取る。その他の構成は、図3と同様である。なお、基準クロック信号に対する遅延基準クロック信号の遅延量は、『D(0<D<T−i)』である。
<位相比較器による動作>
図9を参照しつつ、図8に示した位相比較器による動作について説明する。図9では、第1および第2クロック信号の各々の立ち上がりエッジで規定される比較期間に注目している。
第1クロック信号の立ち上がりエッジから基準クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間P1において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aが基準クロック信号の反転信号を保持するので、位相遅れ検出部12aの出力が『Hレベル』になる(すなわち、位相遅れ信号が出力される)。
基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間P2において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aは、基準クロック信号の反転信号が『Lレベル』であるので『Lレベル』を保持する。一方、位相進み検出部12bのフリップフロップ105bは、遅延基準クロック信号が『Lレベル』であるので『Lレベル』を保持する。結果として、位相遅れ信号も位相進み信号も出力されない。すなわち、比較期間のうち期間P2は、受信データの立ち上がりエッジが発生しても位相関係の検出結果が出力されない「不感帯」となる。
遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジから第2クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間P3において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相進み検出部12bが遅延基準クロック信号を保持するので、位相進み検出部12bの出力が『Hレベル』になる(すなわち、位相進み信号が出力される)。
<遅延基準クロック信号の位相>
図9より明らかであるように、遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジは、対応する比較期間内に発生しなければならない。さらに、位相検出結果の対称性を実現するためには、期間P1と期間P3とが互いに等しい長さであることが好ましい。ここで、遅延基準クロック信号の位相が基準クロック信号に対して『0.5T』遅れている(例えば、基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.25T』遅れており、遅延基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.75T』遅れている)場合が最適である。
<効果>
以上のように、基準クロック信号と遅延基準クロック信号とを用いて不感帯を形成することによって、ジッタに対する耐久性が向上する。さらに、多相クロック選択部から遅延基準クロック信号を供給する構成では遅延素子を必要としないので、電源電圧・温度等の変動による影響を軽減することができる。
(第2の実施形態による位相比較器の変形例)
なお、イネーブル信号が比較期間の始点以前に『Hレベル』になるように構成されている場合は、第1の実施形態と同様に、ロード/ホールド切替機能付きフリップフロップを一般的なディレイフリップフロップに置き換えることが可能である。
<構成>
図10は、図8に示した位相比較器10の変形例を示す。ここで、比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,位相進み検出部12bの各々には、ディレイフリップフロップを用いる。なお、比較期間検出部11は、図7と同様である。
位相遅れ検出部12aは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、RSラッチを構成するNAND回路212a,213aと、NOR回路116aとを含む。位相進み検出部12bは、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、フリップフロップ(遅延基準点検出部)211と、RSラッチを構成するNAND回路212b,213bと、NOR回路116bとを含む。ここで、位相遅れ検出部12aおよび位相進み検出部12bは、遷移点検出部114ddを共有している。
NAND回路212a,213aで構成されたRSラッチは、基準点検出部114ccの出力および遷移点検出部114ddの出力のうち遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になった場合にはNOR回路116aに対応する出力(第1内部信号S213a)を『Lレベル』にし、それ以外の場合には第1内部信号S213aを『Hレベル』にする。NOR回路116aは、第1内部信号S213aおよび比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力する)。
遅延基準点検出部211は、遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して『Hレベル』を保持する。NAND回路212b,213bで構成されたRSラッチは、遷移点検出部114ddの出力および遅延基準点検出部211の出力のうち遅延基準点検出部211の出力が先に『Hレベル』になった場合にはNOR回路116bに対応する出力(第2内部信号S213b)を『Lレベル』にし、それ以外の場合には第2内部信号S213bを『Hレベル』にする。NOR回路116bは、第2内部信号S213bおよび比較信号の両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相進み信号を出力する)。
<動作>
図9のように、期間P1において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aでは基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ信号が出力される。
期間P2において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相遅れ検出部12aでは遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力の方が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ信号は出力されない。一方、位相進み検出部12bでは遅延基準点検出部211の出力よりも遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になるので、位相進み信号は出力されない。
期間P3において受信データの立ち上がりエッジが発生した場合、位相進み検出部12bでは遷移点検出部114ddの出力よりも遅延基準点検出部211の出力が先に『Hレベル』になるので、位相進み信号が出力される。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々の出力は、リセット信号が『Lレベル』になるまで保持され、リセット信号が『Lレベル』になった時点でクリアされる(『Lレベル』になる)。
<効果>
この構成によれば、遷移点検出部114ddおよび基準点検出部114ccであるディレイフリップフロップのD入力が電源にプルアップされているので、セットアップ制約を考慮することなく受信データと基準クロック信号の立ち上がりタイミングを評価することができる。
(第3の実施形態)
<構成>
この発明の第3の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成および位相調整部3の構成は図1および図2と同様であるが、位相比較器10の構成が異なる。位相比較器10の各々では、受信データと基準クロック信号とを位相比較することによって『位相遅れ』の有無を検出するとともに、一定期間遅延させた受信データ(遅延データ)と基準クロック信号とを位相比較することによって『位相進み』の有無を検出する。
<位相比較器の構成>
図11は、この発明の第3の実施形態による位相比較器10の構成を示す。この位相比較器10では、位相遅れ検出部12bは、図3に示した位相遅れ検出部12bに加えて、遅延素子301と、フリップフロップ302と、AND回路303とを備える。その他の構成は図3と同様である。
遅延素子301は、受信データを一定期間遅延させて遅延データを出力する。なお、遅延素子301における遅延量は『D(0<D<i)』である。フリップフロップ302は、基準クロック信号の反転信号と遅延素子301からの遅延データとを受け取り、遅延データの立ち上がりエッジに同期して基準クロック信号の反転信号を保持する。AND回路303は、フリップフロップ105aの出力およびフリップフロップ302の出力の両方が『Hレベル』である場合には自己の出力を『Hレベル』にし、それ以外の場合には自己の出力を『Lレベル』にする。論理回路106aは、比較期間検出部11からの比較信号が『Lレベル』でありAND回路303の出力が『Hレベル』である場合に自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力する)。
<位相比較器による動作>
図12を参照しつつ、図11に示した位相比較器10による動作について説明する。図12では、第1および第2クロック信号の各々の立ち上がりエッジで規定される比較期間に注目している。なお、ここでは、基準クロック信号は第1クロック信号に対して位相が『0.75T』遅れており、遅延素子301における遅延量Dは『0.5T』であるものとする。
(A),(B)の場合、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aの出力は『Hレベル』になる。また、遅延データの立ち上がりエッジも基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ302の出力も『Hレベル』になる。よって、位相遅れ信号が出力される。なお、(A)のように、受信データの立ち上がりエッジが比較期間の始点よりも前に発生する場合は、比較信号が『Lレベル』にならないので、位相遅れ信号は出力されない。
(C),(D)の場合、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aの出力は『Hレベル』になる。しかし、遅延データの立ち上がりエッジは基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも後に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ302の出力は『Lレベル』になり、位相遅れ信号は出力されない。一方、位相進み検出部12bの出力のフリップフロップ105bの出力は『Lレベル』であるので、位相進み信号は出力されない。このように、位相遅れ信号も位相進み信号も出力されない。
(E),(F),(G)の場合、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも後に発生するので、位相遅れ検出部12aのフリップフロップ105aの出力は『Lレベル』である。一方、位相進み検出部12bのフリップフロップ105bの出力は『Hレベル』になるので、位相進み信号が出力される。
以上のように、「比較期間の始点」から「基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延量Dに相当する期間分だけ前の時点」までの期間では位相遅れ信号が出力され、「基準クロック信号の立ち上がりエッジから遅延量Dに相当する期間分だけ前の時点」から「基準クロック信号の立ち上がりエッジ」までの期間は不感帯となり、「基準クロック信号の立ち上がりエッジ」から「比較期間の終点」までの期間では位相進み信号が出力される。
<遅延素子の遅延量>
なお、遅延素子301における遅延量および第1クロック信号と基準クロック信号との位相差は、上記数値に限定されないが、位相判定処理の対称性を考慮すると、遅延素子301における遅延量Dが『T/2以下』であり、基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『(T+D)/2』遅れている場合が好ましい。
<効果>
以上のように、受信データと遅延データとを用いて不感帯を形成することにより、ジッタに対する耐久性が向上する。さらに、従来の位相比較器よりも遅延素子の個数が少ないので、電源電圧・温度の変動による影響を軽減することができる。
なお、n個の位相比較器10の各々に遅延素子301を1つずつ設けずに、クロックデータリカバリシステムに遅延データを生成するための1つの遅延素子を新たに設け、位相比較器10の各々に対して受信データと遅延データの両方を供給するように構成しても同様の効果を奏する。
(第3の実施形態による位相比較器の変形例)
なお、イネーブル信号が比較期間の始点以前に『Hレベル』になるように構成されている場合は、第1の実施形態と同様に、ロード/ホールド切替機能付きフリップフロップを一般的なディレイフリップフロップに置き換えることが可能である。
<構成>
図13は、図11に示した位相比較器の変形例を示す。位相遅れ検出部12aは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、遅延素子310と、フリップフロップ(遅延遷移点検出部)311と、NAND回路313b,312a,313aと、OR回路314と、NOR回路116aとを含む。位相進み検出部12bは、フリップフロップ(基準点検出部)114ccと、フリップフロップ(遷移点検出部)114ddと、NAND回路312bと、NOR回路116bとを含む。ここでは、位相遅れ検出部12aおよび位相進み検出部12bは、基準点検出部114ccおよび遷移点検出部114ddを共有している。
NAND回路312a,313aによって構成されたRSラッチは、基準点検出部114ccの出力および遅延遷移点検出部311の出力のうち遅延遷移点検出部311の出力が先に『Hレベル』になった場合にはOR回路314に対応する出力(第1内部信号S313a)を『Lレベル』にし、それ以外の場合には第1内部信号S313aを『Hレベル』にする。NAND回路312b,313bによって構成されたRSラッチは、基準点検出部114ccの出力および遷移点検出部114ddのうち基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になった場合にはNOR回路116bに対応する出力(第2内部信号S312b)を『Lレベル』にし、遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になった場合にはOR回路314に対応する出力(位相遅れ予測信号S313b)を『Lレベル』にする。OR回路314は、第1内部信号S313aおよび位相遅れ予測信号S313bの両方が『Lレベル』である場合には自己の出力を『Lレベル』にし、それ以外の場合には自己の出力を『Hレベル』にする。
NOR回路116aは、比較信号およびOR回路314の出力の両方が『Lレベル』である場合に、自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相遅れ信号を出力する。)NOR回路116bは、比較信号および第2内部信号S312の両方が『Lレベル』である場合に、自己の出力を『Hレベル』にする(すなわち、位相進み信号を出力する)。
<動作>
図12の(A),(B)のように、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生する場合、位相関係検出部12では、基準点検出部114ccの出力よりも遅延遷移点検出部311の出力が先に『Hレベル』になるので、第1内部信号S313aが『Lレベル』になる。一方、基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの出力が先に『Hレベル』になるので、第2内部信号S312bは『Hレベル』のままであり、位相遅れ予測信号S313bが『Lレベル』になる。よって、OR回路314の出力は『Lレベル』になるので、位相遅れ信号が出力される。
図12の(C),(D)のように、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも前に発生する場合、遅延遷移点検出部311の出力よりも基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になるので、第1内部信号S313aは『Hレベル』のままである。一方、基準点検出部114ccの出力よりも遷移点検出部114ddの出力の方が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ予測信号S313bが『Lレベル』になる。よって、OR回路314の出力は『Hレベル』のままであり、位相遅れ信号は出力されない。また、第2内部信号S312bは『Hレベル』のままであるので、位相進み信号は出力されない。このように、位相遅れ信号も位相進み信号も出力されない。
図12の(E),(F),(G)のように、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジよりも後に発生する場合、遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になるので、第2内部信号S312bが『Lレベル』になる。よって、位相進み信号が出力される。
比較期間検出部11,位相遅れ検出部12a,および位相進み検出部12bの各々の出力は、リセット信号が『Lレベル』になるまで保持され、リセット信号が『Lレベル』になった時点でクリアされる(『Lレベル』になる)。
<効果>
この構成によれば、遷移点検出部114ddおよび基準点検出部114ccであるディレイフリップフロップのD入力が電源にプルアップされているので、セットアップ制約を考慮することなく受信データと基準クロック信号の立ち上がりタイミングを評価することができる。
(第4の実施形態)
<クロックデータリカバリシステムの構成>
この発明の第4の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成および位相調整部の構成は図1および図2と同様であるが、位相比較器10の構成が異なる。
図14は、本実施形態における位相調整部3の構成を示す。第p番目の位相比較器10は、n本の期間設定クロック信号のうち第p番目の期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取るとともに、第1クロック信号に対して位相が『h』遅れている第2クロック信号(図14では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対して位相が『1T』遅れている第q番目の期間設定クロック信号)を受け取る。また、第p番目の位相比較器10は、n本の基準クロック信号のうち第1クロック信号に対して位相が『i』遅れている基準クロック信号(図14では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対応する第p番目の基準クロック信号)を受け取る。例えば、第1番目の位相比較器10は、第1期間設定クロック信号を第1クロック信号として受け取り、第2期間設定クロック信号を第2クロック信号として受け取り、第1期間設定クロック信号に対応する第1基準クロック信号を受け取る。
また、位相比較器10の各々において、位相関係検出部12は、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、『位相遅れ』を検出する。また、位相関係検出部12は、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、『位相進み』を検出する。このように、本実施形態による位相比較器では、第1〜第3の実施形態による位相比較器に対して、位相関係の検出結果が逆になる。これにより、本実施形態のクロックデータリカバリシステムでは、受信データの立ち上がりエッジが基準クロック信号の立ち上がりエッジに近づくと基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジから遠ざかるように、位相制御が実行される。
ここでは、位相比較器10の各々の受信部14は、基準クロック信号をラッチクロックとして受け取り、基準クロック信号に同期して受信データを保持するとともに、保持した受信データを同期済データとして出力する。
<位相比較器の構成>
図15は、この発明の第4の実施形態による位相比較器の構成を示す。この位相比較器では、位相遅れ検出部12aは、遷移点検出部114ddに代えて、基準点検出部114ccを含む。位相進み検出部12bは、基準点検出部114ccに代えて、遷移点検出部114ddを含む。なお、ここでは、受信部14は、第2クロック信号に代えて、基準クロック信号を受け取る。その他の構成は図7と同様である。
<動作>
図16と図17とを比較しつつ、図15に示した位相比較器10による動作について説明する。図16は、図10に示した位相比較器による動作についての図であり、図17は、図15に示した位相比較器による動作についての図である。なお、図17では、第2クロック信号が第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、基準クロック信号が第1クロック信号に対して位相が『T/2』遅れている例を図示している。
図16の場合、比較期間において受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、位相比較器10は、位相進み信号を出力する。位相制御部4は、位相比較器10からの位相進み信号に応じて、位相選択信号に示された番号を大きくする。これにより、多相クロック選択部2から出力されるクロック信号(n本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号)の位相は遅くなる。これにより、遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジに近づくとともに、第2クロック信号(ラッチクロック)の立ち上がりエッジが受信データの遷移点間における中央部分(データアイが十分に開いている部分)へ向かって移動する。
図17の場合、比較期間において受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に前に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、遷移点検出部114ddの出力よりも基準点検出部114ccの出力が先に『Hレベル』になるので、位相遅れ検出部12aの出力が『Hレベル』になる(すなわち、位相遅れ信号が出力される)。位相制御部4は、位相比較器10からの位相遅れ信号に応じて、位相選択信号に示された番号を小さくする。これにより、多相クロック選択部2から出力されるクロック信号の位相は早くなる。逆に、受信データの立ち上がりエッジよりも時間的に後に基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生すると、位相比較器10から位相進み信号が出力されて、多相クロック選択部2から出力されるクロック信号の位相は遅くなる。このようにして、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジから一定期間離れた時点に配置されるように、基準クロック信号の位相が調整される。すなわち、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの遷移点間における中央部分に配置されるので、基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して受信データを正確に保持することができる。
<第2クロック信号の遅延量>
図17のように、1ビット分の受信データに相当する期間(1T)のうち全体において位相比較処理を実行する場合、第1クロック信号に対して位相が『T/2』遅れているクロック信号を基準クロック信号として使用し、第1クロック信号に対して位相が『1T』遅れているクロック信号を第2クロック信号として使用すれば良い。この場合、第1〜第3実施形態と同様に、第1クロック信号として第1期間設定クロック信号(第3主クロック),第1基準クロック信号として第1基準クロック信号(第7主クロック),第2クロック信号として第2期間設定クロック信号(第11主クロック)を使用すれば良い。
また、図18のように、範囲Uの不感帯を設定する場合、基準クロック信号の位相は第1クロック信号に対して『(T−U)/2』遅れており、第2クロック信号の位相は第1クロック信号に対して『T−U』遅れていれば良い。この場合、第2クロック信号は、遅延素子を用いて第1クロック信号である期間設定クロック信号を遅延させることで生成しても良いし、多相クロック選択部2において第1クロック信号(期間設定クロック信号)より所定の相数分だけ遅れている主クロックを選択することによって実現しても良い。また、位相判定処理の対称性を考慮すると、「U=0.5T』である場合が最適である。すなわち、第2クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.5T』遅れており、基準クロック信号の位相が第1クロック信号に対して『0.25T』遅れている場合が最適である。
<効果>
以上のように、データアイが十分に開いている部分に基準クロック信号の立ち上がりエッジが移動するように位相調整し、その基準クロック信号の立ち上がりエッジに同期して受信データを受信するので、受信データを正確に保持することができる。
(第5の実施形態)
以上の実施形態では、基準クロック信号の立ち上がりエッジと受信データの立ち上がりエッジとの位相関係を検出するものとして説明しているが、受信データの立ち下がりエッジを位相比較処理の対象に加えても良い。このように、受信データの立ち上がりエッジ・立ち下がりエッジの両方を位相判定の対象とすることで、一方だけを位相比較処理の対象とする場合よりもクロックデータリカバリシステムの応答特性を2倍にすることできる。両エッジを位相比較処理の対象とするためには、受信データの両エッジに同期するようにフリップフロップを構成することで実現できるが、一方のエッジだけを位相比較処理の対象とする場合よりもフリップフロップの速度マージンが『1/2』になってしまう。
<クロックデータリカバリシステムの構成>
図19は、この発明の第5の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成を示す。このシステムは、図1に示したクロックデータリカバリシステムに加えて、位相調整部5を備える。位相調整部5は、位相調整部3と同様の構成である。例えば、位相調整部3の位相比較器10が図に示した構成であれば、位相調整部5の位相比較器10も図に示した構成である。なお、図に示した構成以外にも第1〜第4の実施形態による位相比較器を適用することは、当然、可能である。但し、同期済データを出力する受信部14は、位相調整部3,5のうちいずれか一方に含まれていれば良い。位相調整部5は、反転された受信データと多相クロック選択部2からのn本の期間設定クロック信号およびn本の基準クロック信号と受け取り、n個の位相検出結果を出力する。
ここでは、位相調整部3が受信データの立ち上がりエッジと基準クロック信号の立ち上がりエッジとに基づいて位相関係を検出する一方、位相調整部5が受信データの立ち下がりエッジと基準クロック信号の立ち上がりエッジとに基づいて位相関係を検出する。
位相調整部3,5について詳しく述べると、位相調整部3の位相比較器10の各々において、比較期間検出部11は、第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジで規定した比較期間中に受信データが『Lレベル』から『Hレベル』になると比較信号を出力する。位相遅れ検出部12aは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジよりも先に発生している場合に『位相遅れ』であると判定する。位相進み検出部12bは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち上がりエッジよりも後に発生している場合に『位相進み』であると判定する。
一方、位相調整部3の位相比較器10の各々において、比較期間検出部11は、比較期間中に受信データが『Hレベル』から『Lレベル』になると比較信号を出力する。位相遅れ検出部12aは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち下がりエッジよりも先に発生している場合に『位相遅れ』であると判定する。位相進み検出部12bは、基準クロック信号の立ち上がりエッジが受信データの立ち下がりエッジよりも後に発生している場合に『位相進み』であると判定する。
位相制御部4は、位相調整部3,5の各々からの位相検出結果を受け取り、各々の位相検出結果を論理演算することによって、位相選択信号の制御に反映する。
<動作>
次に、図19に示したクロックデータリカバリシステムによる動作について説明する。
受信データの立ち上がりエッジが発生すると、位相調整部3は、受信データと基準クロック信号との位相関係を検出し、位相検出結果を位相制御部4へ出力する。位相制御部4は、位相調整部3からの位相検出結果に基づいて位相選択信号を変化させる。
一方、受信データの立ち下がりエッジが発生すると、位相調整部5は、受信データと基準クロック信号との位相関係を検出し、位相検出結果を位相制御部4へ出力する。位相制御部4は、位相調整部5からの位相検出結果に基づいて位相選択信号を変化させる。
このように、位相制御部4は、位相調整部3,5の各々の位相検出結果を受け取り位相選択信号を変化させることになる。つまり、受信データの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち一方だけを位相判定の対象とする場合よりも2倍の分解能を持った位相情報に基づいた位相制御が可能になる。
なお、位相制御部4は、位相調整部3,5の各々から位相検出結果を受け取るたびに位相選択信号の制御を実行しても良いし、一定量の位相検出結果を蓄積し蓄積した位相検出結果に基づいて数サイクルに1回の割合で位相選択信号の制御を実行しても良い。
<効果>
以上のように、受信データの立ち上がりエッジだけでなく、受信データの立ち下がりエッジとを位相比較処理に用いることによって、クロックデータリカバリシステムの応答特性を向上させることができる。
(位相調整部における位相比較処理)
以上の各実施形態において、位相調整部3が1サイクルにnビット分の位相比較処理を実行するものとして説明してきたが、位相調整部3による1サイクル分の位相比較処理において処理される受信データのビット数は、『nビット』よりも少なくても良い。すなわち、位相調整部3は、1サイクル中にmビット分(mは整数であり、2≦m≦n)の位相比較処理を実行するために、m個の位相比較器を含む。ここで、『m<n』である場合、位相調整部3は、nビット分の同期済データを出力するために、『n−m』個の受信部をさらに含む。
図20のように、第1〜第3の実施形態において『m=2』である場合、位相調整部3は、図2に示した第2番目,第3番目,および第5番目の位相比較器10に代えて、第2番目,第3番目,および第5番目の受信部14を含む。第p番目の受信部14は、第q番目の期間設定クロック信号をラッチクロックとして受け取り、受け取ったラッチクロックに同期して受信データをラッチすることによって同期済データを出力する。例えば、第2番目の受信部14は、第3期間設定クロック信号に同期して受信データをラッチすることによって、第2同期済データを出力する。図20のように、位相調整部3は、nビット分(ここでは、n=5)の同期済データを出力するために、隣接する信号間の位相差が1Tであるn本の期間設定クロック信号をラッチクロック信号として受け取る。また、位相調整部3は、mビット分(ここでは、m=2)の位相比較処理を実行するために、n本の期間設定クロックのうちm本の期間設定クロック信号をm本の第1クロック信号として受け取るとともに、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相が『1T』遅れているm本の第2クロック信号を受け取る。ここで、位相調整部3は、mビット分の位相比較処理のために、m本の第1クロック信号に対応するm本の基準クロック信号を受け取れば良い。例えば、図20では、位相調整部3は、2本の第1クロック信号として第1および第4期間設定クロック信号を受け取り、2本の第2クロック信号として第2および第5期間設定クロック信号を受け取り、第1および第4基準クロック信号を受け取る。
また、図21のように、第4の実施形態において『m=2』である場合、位相調整部3は、図14に示した第2番目,第3番目,および第5番目の位相比較器10に代えて、第2番目,第3番目,および第5番目の受信部14を含む。第p番目の受信部14は、第p番目の基準クロック信号をラッチクロックとして受け取り、受け取ったラッチクロックに同期して受信データをラッチすることによって同期済データを出力する。例えば、第2番目の受信部14は、第2基準クロック信号に同期して受信データをラッチすることによって、第2同期済データを出力する。図21のように、位相調整部3は、nビット分(ここでは、n=5)の同期済データを出力するために、n本の基準クロック信号をラッチクロック信号として受け取る。n本の基準クロック信号において、隣接する基準クロック信号間の位相差は『1T』である。また、位相調整部3は、mビット分(ここでは、m=2)の位相比較処理を実行するために、n本の期間設定クロック信号のうちm本の期間設定クロック信号をm本の第1クロック信号として受け取るとともに、m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相が『h』遅れているm本の第2クロック信号(図21では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対して位相が『1T』遅れている第q番目の期間設定クロック信号)を受け取る。ここで、位相調整3は、mビット分の位相比較処理のために、n本の基準クロック信号のうちm本の第1クロック信号に対応するm本の基準クロック信号(図21では、第1クロック信号である第p番目の期間設定クロック信号に対応する第p番目の基準クロック信号)を受け取れば良い。
さらに、第5の実施形態において、位相調整部5による1サイクル分の位相比較処理において処理される受信データのビット数は、nビット分よりも少なくても良い。すなわち、位相調整部5は、1サイクル中にkビット分(kは整数であり、2≦k≦n)の位相比較処理を実行するために、k個の位相比較器を含む。ここで、『k<n』である場合、位相調整部5は、nビット分の同期済データを出力するために、『n−k』個の受信部14をさらに含む。
(位相遅れ信号・位相進み信号の出力)
以上の各実施形態で説明した位相比較器では、位相遅れ検出部12aからの位相遅れ信号を位相遅れ信号保持部13aが保持し、位相進み検出部12bからの位相進み信号を位相進み信号保持部13bが保持しているが、図22,図23のように、位相比較器10が、図3,図7に示した位相遅れ信号保持部13aおよび位相進み信号保持部13bに代えて、出力クロックに同期して駆動する比較信号保持部133,位相遅れ検出保持部133a,位相進み検出保持部133bを含んでいても良い。
比較信号保持部133は、比較期間検出部11からの比較信号(図22では論理回路103の出力,図23では論理回路113の出力)を保持する。位相遅れ検出保持部133aは、位相遅れ検出部12aの検出結果(図22ではフリップフロップ105aの出力,図23では第1内部信号S115a)を保持する。位相進み検出保持部133bは、位相進み検出部12bの検出結果(図22ではフリップフロップ105bの出力,図23では第2内部信号S115b)を保持する。なお、図3,図7に示した位相比較器10のみならず、第2の実施形態(図8,図10),第3の実施形態(図11,図13),および第4の実施形態(図15)における位相比較器においても、比較信号保持部133,位相遅れ検出保持部133a,位相進み検出保持部133bは、当然、適用可能である。
(基準クロック信号および遅延基準クロック信号)
ここまでの説明で明らかであるが、第1の実施形態では、基準クロック信号とデータの遷移点とが同じタイミングになるように位相制御が行なわれる。また、第2の実施形態では、位相比較器10の不感帯の始点を基準クロック信号で規定する一方、不感帯の終点を遅延基準クロック信号で規定しており、データの遷移点が不感帯内部に納まるように位相制御が行なわれる。さらに、第3の実施形態では、位相比較器10の不感帯の終点を基準クロック信号で規定する一方、不感帯の範囲を受信データの遅延量で規定している。
また、第1〜第3の実施形態では、データラッチタイミングとして比較期間の終点(第2クロック信号の立ち上がりエッジ)が利用されている。理論的には、位相制御の収束点(第1の実施形態では基準クロック信号の立ち上がりエッジ,第2および第3の実施形態では不感帯内部)からデータラッチタイミングまでの期間が、受信部14であるフリップフロップのセットアップ制約・ホールド制約を満たすことができる長さであることが好ましい。このように構成すれば、受信データを正しく保持することができ、正確な同期済データとして出力することができる。
第4の実施形態では、位相比較器10の不感帯の始点を比較期間の終点(すなわち、第2クロック信号の立ち上がりエッジ)で規定する一方、不感帯の終点を次の比較期間の始点(すなわち、次の第1クロック信号の立ち上がりエッジ)で規定することができ、データの遷移点が基準クロック信号から所定期間だけ離れた位置になるように位相制御が行われる。
また、第4の実施形態では、データラッチタイミングとして基準クロック信号が利用されている。理論的には、比較期間の始点(すなわち、第1クロック信号の立ち上がりエッジ)から基準クロック信号の立ち上がりエッジまでの期間が受信部14であるフリップフロップのセットアップ制約を満たし、且つ、基準クロック信号の立ち上がりエッジから比較期間の終点(すなわち、第2クロック信号の立ち上がりエッジ)までの期間がホールド制約を満たすことができる長さであることが好ましい。このように構成すれば、受信データを正しく保持することができ、正確な同期済データとして出力することができる。
また、クロックデータリカバリシステムにおいて位相制御量が離散的な値である場合、受信データの遷移点と位相制御の収束点とを完全に一致させることが困難である。また、ジッタ等によって位相制御の収束点から受信データの遷移点がずれてから位相制御が働くまでの期間においても、受信データを正しく保持しなければならない。実際の通信において発生するジッタ強度等を考慮して、基準クロック信号や遅延基準クロック信号を設定することが望ましい。例えば、高周波数のジッタが発生しやすい通信では位相比較器10の不感帯が広くなるようにクロック信号の位相差を設定し、低周波数のジッタが発生しやすい通信では不感帯が狭くなるようにクロック信号の位相差を設定することが好ましい。
また、通信エラーを低減するためのキャリブレーション期間を備えている通信プロトコルもある。このような通信プロトコルとしては、モデムを介した通信などが一般的である。このような通信プロトコルでは、キャリブレーション期間において特定のデータパターンが送信され、そのデータパターンに基づいて受信側の機器の動作モードを決定したり、回路動作を安定点に収束させる処理が行なわれる。このように、送信側の機器から事前に形式が分かっているデータが送信され、受信側の機器においてそのデータを受信する期間が設定されている。この場合、その受信期間中に受信部14によって保持された受信データを監視しておき、期待したデータを受信できていない場合には基準クロック信号の位相を受信部14のセットアップ・ホールドマージンが緩和する方向にずらすことによって、ジッタに強いクロックデータリカバリシステムを実現することできる。
また、キャリブレーション期間以外の通常の通信期間においても、通信データが含む誤り訂正コードや定期的に送信される特定のコードを監視することによって、同様の制御が可能であることは明らかである。誤り訂正コードとしては、IEEE1394aプロトコルが備えているCRCコードが良く知られている。このコードは下位nビットが上位nビットの反転になっている形式である。また、IEEE1394bプロトコルでは、コンマパターンと呼ばれる特定のビット列が一定期間毎に送信される。このような通信プロトコルの特性を利用してクロック信号(期間設定クロック信号,基準クロック信号等)の位相差を適応的に制御することによって、ジッタなどのノイズに強いクロックデータリカバリシステムを実現することができる。
本発明は、位相比較器やクロックデータリカバリシステム等の用途に適用でき、高速なデータ通信への適用技術として有用である。
この発明の第1の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成を示すブロック図である。 図1に示した位相調整部の内部構成を示すブロック図である。 図2に示した位相比較器の構成を示す回路図である。 イネーブル信号を生成するための構成の一例を示す回路図である。 リセット信号を生成するための構成の一例を示す回路図である。 図3に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図3に示した位相比較器の変形例を示す回路図である。 この発明の第2の実施形態による位相比較器の構成を示す回路図である。 図8に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図8に示した位相比較器の変形例を示す回路図である。 この発明の第3の実施形態による位相比較器の構成を示す図である。 図11に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図11に示した位相比較器の変形例を示す回路図である。 この発明の第4の実施形態による位相調整部の構成を示すブロック図である。 図14に示した位相比較器の構成を示す回路図である。 図10に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図15に示した位相比較器による動作について説明するための図である。 図15に示した位相比較器において不感帯を設定した場合の各クロック信号の位相関係を説明するための図である。 この発明の第5の実施形態によるクロックデータリカバリシステムの構成を示すブロック図である。 図2に示した位相調整部の変形例を示すブロック図である。 図14に示した位相調整部の変形例を示すブロック図である。 図3に示した位相比較器の変形例について説明するための回路図である。 図7に示した位相比較器の変形例について説明するための回路図である。 従来の位相比較器の構成を示す回路図である。 従来の位相比較器の構成を示す回路図である。
符号の説明
1 クロック生成部
2 多相クロック選択部
3,5 位相調整部
4 位相制御部
10 位相比較器
11 比較期間検出部
12 位相関係検出部
12a 位相遅れ検出部
12b 位相進み検出部
13a 位相遅れ信号保持部
13b 位相進み信号保持部
14 受信部
101,102,105a,105b フリップフロップ
103,113,106a,106b 論理回路
EN10,104 インバータ
EN101,EN102,EN103,RE101 論理回路
110 AND回路
111,112 フリップフロップ
114dd 遷移点検出部
114cc 基準点検出部
115a,115b,212a,213a,212b,213b,312a,313a,312b,313b NAND回路
116a,116b NOR回路
211 遅延基準点検出部
301,310 遅延素子
302 フリップフロップ
303 AND回路
311 遅延遷移点検出部
133 比較信号保持部
133a 位相遅れ検出保持部
133b 位相進み検出保持部

Claims (22)

  1. データの1ビット長がTであるデータ信号と周期がnT(nは2以上の整数)である第1クロック信号と周期がnTであり且つ前記第1クロック信号に対して位相がh(0<h≦1T)遅れている第2クロック信号とを受け取り、前記第1クロック信号の立ち上がりエッジと第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を比較期間と規定し、当該比較期間中に前記データ信号の遷移の有無を検出する比較期間検出部と、
    前記データ信号と周期がnTであり且つ前記第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h)遅れている基準クロック信号とを受け取り、前記データ信号と前記基準クロック信号との位相関係を検出し、前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相関係の検出結果を出力する位相関係検出部とを備える
    位相比較器。
  2. 請求項1において、
    前記第2クロック信号は、前記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記位相関係検出部は、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に後に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較器。
  3. 請求項2において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記データ信号の遷移に同期して前記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、
    前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると前記第1保持部の保持結果を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記データ信号の遷移に同期して前記基準クロック信号を保持する第2保持部と、
    前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると前記第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む
    位相比較器。
  4. 請求項2において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、
    前記遷移点検出部よってデータ信号の遷移が検出されたタイミングに応じて第1内部信号を出力する第1出力部と、
    前記第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、
    前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されたタイミングに応じて第2内部信号を出力する第2出力部と、
    前記第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含み、
    前記第1出力部は、前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると、前記第1内部信号を出力し、
    前記第2出力部は、前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に後に前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると、前記第2内部信号を出力する
    位相比較器。
  5. 請求項1において、
    前記第2クロック信号は、前記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記位相関係検出部は、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に後に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記基準クロック信号に対して位相がD(0<D<1T−i)遅れている遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較器。
  6. 請求項5において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記データ信号の遷移に同期して前記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、
    前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると前記第1保持部の保持結果を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記データ信号の遷移に同期して前記遅延基準クロック信号を保持する第2保持部と、
    前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると前記第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む
    位相比較器。
  7. 請求項5において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、
    前記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、
    前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると、第1内部信号を出力する第1出力部と、
    前記第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する遅延基準点検出部と、
    前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されるよりも時間的に前に前記遅延基準点検出部によって遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されると、第2内部信号を出力する第2出力部と、
    前記第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む
    位相比較器。
  8. 請求項1において、
    前記第2クロック信号は、前記第1クロック信号に対して位相が1T遅れており、且つ、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記位相関係検出部は、
    前記データ信号に対してD(0<D<i)遅延している遅延データ信号の遷移よりも時間的に後に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較器。
  9. 請求項8において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記データ信号の遷移に同期して前記基準クロック信号の反転信号を保持する第1保持部と、
    前記遅延データ信号の遷移に同期して前記基準クロック信号の反転信号を保持する遅延保持部と、
    前記第1保持部および遅延保持部の各々の保持結果の論理積を出力する第1出力部と、
    前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると前記第1出力部の出力を位相遅れ信号として出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記データ信号の遷移に同期して前記基準クロック信号を保持する第2保持部と、
    前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると前記第2保持部の保持結果を位相進み信号として出力する位相進み信号出力部とを含む
    位相比較器。
  10. 請求項8において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、
    前記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、
    前記遅延データ信号の遷移を検出する遅延遷移点検出部と、
    前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ予測信号を出力する位相遅れ予測部と、
    前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に前記遅延遷移点検出部によって遅延データ信号の遷移が検出されると、第1内部信号を出力する第1出力部と、
    前記位相遅れ予測部によって位相遅れ予測信号が出力され且つ前記第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されるよりも時間的に前に前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されると、第2内部信号を出力する第2出力部と、
    前記第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含む
    位相比較器。
  11. 請求項1において、
    前記基準クロック信号は、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記位相関係検出部は、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に後に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較器。
  12. 請求項11において、
    前記位相遅れ検出部は、
    前記基準クロック信号の立ち上がりエッジを検出する基準点検出部と、
    前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されたタイミングに応じて第1内部信号を出力する第1出力部と、
    前記第1出力部によって第1内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ信号出力部とを含み、
    前記位相進み検出部は、
    前記データ信号の遷移を検出する遷移点検出部と、
    前記遷移点検出部よってデータ信号の遷移が検出されたタイミングに応じて第2内部信号を出力する第2出力部と、
    前記第2出力部によって第2内部信号が出力され且つ前記比較期間検出部によって前記比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み信号出力部とを含み、
    前記第1出力部は、前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に後に前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると、前記第1内部信号を出力し、
    前記第2出力部は、前記基準点検出部によって基準クロック信号の立ち上がりエッジが検出されるよりも時間的に前に前記遷移点検出部によってデータ信号の遷移が検出されると、前記第2内部信号を出力する
    位相比較器。
  13. 請求項5,6,7のうちいずれか1つにおいて、
    前記基準クロック信号は前記第1クロック信号に対して位相が0.25T遅れており、
    前記遅延基準クロック信号は前記基準クロック信号に対して位相が0.5T遅れている
    位相比較器。
  14. 請求項8,9,10のうちいずれか1つにおいて、
    前記基準クロック信号は前記第1クロック信号に対して位相が0.75T遅れており、
    前記遅延データ信号は前記データ信号に対して0.5T遅延している
    位相比較器。
  15. 請求項11または請求項12において、
    前記基準クロック信号は前記第1クロック信号に対して位相が0.25T遅れており、
    前記第2クロック信号は前記第1クロック信号に対して位相が0.5T遅れている
    位相比較器。
  16. データの1ビット長がT(T<0)であるデータ信号に対して、周期がnT(nは整数であり、n≧2)であり且つ隣接する信号間の位相差が1Tの倍数であるm本(mは整数であり、2≦m≦n)の第1クロック信号と、前記m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がh(0<h≦1T)遅れているm本の第2クロック信号と、前記m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h)遅れているm本の基準クロック信号とを用いて位相比較を行う装置であって、
    前記データ信号を受け取るとともに、前記m本の第1クロック信号のうち第p番目(pは整数であり、1≦p≦m)の第1クロック信号と前記m本の第2クロック信号のうち第p番目の第2クロック信号とを受け取り、当該第p番目の第1クロック信号の立ち上がりエッジと当該第p番目の第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を第p比較期間と規定し、当該第p比較期間中に当該データ信号の遷移の有無を検出するm個の比較期間検出部と、
    前記データ信号を受け取るとともに、前記m本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取り、当該データ信号と当該第p番目の基準クロック信号との位相関係を検出し、前記m個の比較期間検出部のうち第p番目の比較期間検出部によって第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相比較の検出結果を第p位相検出結果として出力するm個の位相関係検出部とを備える
    位相比較装置。
  17. 請求項16において、
    前記m個の比較期間検出部の各々が受け取る第2クロック信号は、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に後に前記基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較装置。
  18. 請求項16において、
    前記m個の比較期間検出部の各々が受け取る第2クロック信号は、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に後に前記第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記第p番目の基準クロック信号に対して位相がD(0<D<1T−i)遅れている第p遅延基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較装置。
  19. 請求項16において、
    前記m個の比較期間検出部の各々が受け取る第2クロック信号は、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、
    前記データ信号に対してD(0<D<i)遅延している遅延データ信号の遷移よりも時間的に後に前記第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較装置。
  20. 請求項16において、
    前記m個の位相関係検出部の各々が受け取る基準クロック信号は、前記データ信号を取り込むタイミングを示すクロックであり、
    前記m個の位相関係検出部のうち第p番目の位相関係検出部は、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に前に前記第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相遅れ信号を出力する位相遅れ検出部と、
    前記データ信号の遷移よりも時間的に後に前記第p番目の基準クロック信号の立ち上がりエッジが発生し且つ前記第p番目の比較期間検出部によって前記第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると、位相進み信号を出力する位相進み検出部とを含む
    位相比較装置。
  21. データの1ビット長がT(0<T)であるデータ信号に対して周期がnT(nは整数であり、n≧2)であり且つ互いに位相が異なる複数の主クロックを生成するクロック生成部と、
    前記クロック生成部によって生成された複数の主クロックの中から、隣接する信号間の位相差が1Tの倍数であるm本(mは整数であり、2≦m≦n)の第1クロック信号と、前記m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がi(0<i<h,0<h≦1T)遅れているm本の基準クロック信号とを選択する多相クロック選択部と、
    外部からのデータ信号と前記多相クロック選択部によって選択されたm本の第1クロック信号およびm本の基準クロック信号と、前記m本の第1クロック信号に対応し且つ対応する第1クロック信号に対して位相がh遅れているm個の第2クロック信号とを受け取り、m個の位相検出結果を出力する第1位相比較部と、
    前記位相比較部からのm個の位相検出結果に基づいて、前記多相クロック選択部によって選択されるクロック信号の位相を調整する位相制御部とを備え、
    前記第1位相比較部は、
    前記データ信号を受け取るとともに、前記m本の第1クロック信号のうち第p番目の第1クロック信号と前記m本の第2クロック信号のうち第p番目の第2クロック信号とを受け取り、当該第p番目の第1クロック信号の立ち上がりエッジと当該第p番目の第2クロック信号の立ち上がりエッジとの間の期間を第p比較期間と規定し、当該第p比較期間中に当該データ信号の遷移の有無を検出するm個の比較期間検出部と、
    前記データ信号を受け取るとともに、前記m本の基準クロック信号のうち第p番目の基準クロック信号を受け取り、当該データ信号と当該基準クロック信号との位相関係を検出し、前記m個のうち第p番目の比較期間検出部によって第p比較期間中にデータ信号の遷移が検出されると位相比較の検出結果を第p位相検出結果として出力するm個の位相関係検出部とを含む
    クロックデータリカバリシステム。
  22. 請求項21において、
    前記m個の比較期間検出部のうちk個(kは整数であり、2≦k≦m)の比較期間検出部と、前記m個の位相関係検出部のうち前記k個の比較期間検出部に対応するk個の位相関係検出部とを含む第2の位相比較部をさらに備え、
    前記第1位相比較部に含まれるm個の比較期間検出部およびm個の位相関係検出部の各々は、前記データ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち一方に応答して動作し、
    前記第2位相比較部に含まれるk個の比較期間検出部およびk個の位相関係検出部の各々は、前記データ信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのうち他方に応答して動作し、
    前記位相制御部は、前記第1位相比較部からのm個の位相検出結果と前記第2位相比較部からのk個の位相検出結果に基づいて、前記多相クロック選択部によって選択されるクロック信号の位相を設定する
    クロックデータリカバリシステム。
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