JPWO2007026765A1 - 多層情報記録媒体およびその製造方法、並びに多層情報記録媒体の製造装置とこの製造装置を構成する多層情報記録媒体製造用スクリーン - Google Patents

多層情報記録媒体およびその製造方法、並びに多層情報記録媒体の製造装置とこの製造装置を構成する多層情報記録媒体製造用スクリーン Download PDF

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Abstract

2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体の製造方法であって、前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する第1工程と、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給された樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより前記複数の第1孔内を通過させて、前記所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する第2工程とを含み、前記第1工程と前記第2工程とをそれぞれ所定回数行い、各第2工程において、前記所定の情報記録部に塗布されなかった前記スクリーン上の残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去することを特徴とする。

Description

本発明は、情報の記録、または情報の再生を目的とした多層情報記録媒体およびその製造方法に関するものである。
近年、情報機器または映像音響機器等で処理される情報量の拡大化に伴い、データアクセスが容易で、大容量データを蓄積可能で、かつ機器の小型化に対応可能な光ディスクなどの、情報記録媒体が注目されている。また、情報記録媒体について情報の高密度記録化が検討されており、高密度記録可能な情報記録媒体として、波長が約400nmのレーザ光源と開口数(NA)が0.85の集光レンズとを含む光ヘッドを備えた記録再生装置を用いて、情報が記録再生される情報記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この情報記録媒体では、例えば、単一の記録層について25GB程度、2層の記録層について50GB程度の容量のデータを蓄積可能である。
次に、特許文献1に記載された従来の多層情報記録媒体の構造及び製造方法を、図13A〜図15Jを用いて説明する。
図13A〜図13Fには、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型(スタンパ)の製造方法を示している。まず、ガラス板201上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜202を形成する(図13A参照)。次いで、レーザ光203を用いて、ピットや案内溝等のパターンを感光膜202に転写するための露光を行う(図13B参照)。図9Bにおいて、202aは、レーザ光203が照射された部分(露光部)である。露光部の感光材料は現像工程を経ることにより除去され、ピットや案内溝等のパターン204がガラス板201上に形成された光記録原盤205が得られる(図13C参照)。次に、スパッタリングや蒸着等の方法によってパターン204上に導電膜206を形成する。すると、パターン204の形状が導電膜206に転写される(図13Cおよび図13D参照)。次に、導電膜206上にめっき膜207を形成して、導電膜206の剛性を高め、かつ導電膜206に厚みを持たせる(図13E参照)。次に、めっき膜207と導電膜206とからなる積層体を、光記録原盤205から剥離して、スタンパ208を得る(図13F参照)。
図14は、従来の多層情報記録媒体の断面図を示している。この多層情報記録媒体は、第1信号基板301を含んでいる。第1信号基板301上には、第1情報記録部302が配置され、第1情報記録部302上には、第2信号基板303が配置されている。第2信号基板303上には、第2情報記録部304と、透明層305と、透明基板306とがこの順に配置されている。透明層305は、透明基板306を第2情報記録部304に貼りつけるために設けられている。
第1信号基板301は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面として有している。この情報面は、図13Fに示したスタンパ208を用いて、第1信号基板301を射出圧縮成型法により成形する際に形成される。第1信号基板301の平均厚みは1.1mm程度である。第1情報記録部302および第2情報記録部304は、それぞれ記録膜や反射膜等を含んでおり、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。
第2信号基板303は、スピンコート法によって塗布された光硬化性樹脂に、凹凸面を有する信号転写用基板を貼りつけ、光硬化性樹脂の硬化後に、光硬化性樹脂から信号転写用基板を剥離することによって形成される。信号転写用基板は、図13Fに示したスタンパ208と同様に、凹凸面を有している。
透明基板306は、記録再生光に対して十分に透明な材料からなる。透明層305は、光硬化性樹脂や、感圧接着剤等の接着剤から形成されている。透明基板306と透明層305とを足した平均厚みは0.075mm程度である。このようにして作製された多層情報記録媒体の記録再生は、透明基板306側から記録再生レーザ光を入射することによって行なわれる。
次に、図15A〜図15Jを用いて従来の多層情報記録媒体の製造方法についてより詳細に説明する。
まず、第1信号基板401の情報面上に、スパッタリングや蒸着等の方法により第1情報記録部402を形成する。第1信号基板401は吸引器等の手段によって回転テーブル403に固定された状態にしておく(図15A参照)。次に、第1情報記録部402に、ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂を含む塗料404を所望の半径を有する円を描くように塗布する(図15B参照)。次に、回転テーブル403を回転して、塗料404を延伸する。延伸の際には、遠心力によって余分な樹脂と気泡とが除去される。延伸後の塗料404の厚みは、塗料404の粘度、回転テーブルの回転数、回転時間、雰囲気条件(温度や湿度など)を任意に設定することにより、所望の値に制御できる。回転停止後、塗料404を、光照射機405を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層404'とする(図15C参照)。
一方で、回転テーブル407上に信号転写用基板406を固定する。信号転写用基板406は、図13Fに示したスタンパ208と同様の凹凸面を有している(図15D参照)。信号転写用基板406上に、ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂を含む塗料408を所望の半径を有する円を描くように塗布する。次に、回転テーブル407を回転して、塗料408を延伸する。延伸後の塗料408の厚みは、塗料404の場合と同様の方法により制御できる(図15E参照)。回転テーブル407の回転を停止した後、塗料408を、光照射機409を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層408'とする(図15F参照)。
次に、基板410と基板411とを、回転テーブル403上で、光硬化性樹脂層408'と404'とが向い合うように、光硬化性樹脂を含む塗料412を介して重ね合わせ、この状態で、回転テーブル403を回転させる(図15G参照)。回転テーブル403の回転により、塗料412は所望の厚みに制御(延伸)される。その後、塗料412を、光照射機405を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層412'とする(図15H参照)。次に、光硬化性樹脂層408'から信号転写用基板406を剥離する。
なお、塗料404に含まれる光硬化性樹脂には、第1情報記録部402および光硬化性樹脂層412'と接着性が良好なものが選択される。塗料408に含まれる光硬化性樹脂には、信号転写用基板406との剥離性が良く、且つ光硬化性樹脂層412'(図15H参照)との接着性が良好なものが選択される。塗料404,412,408の粘度は、薄い光硬化性樹脂層の形成を可能とするために、いずれも約150mPa・s程度に調整されている。なお、光硬化性樹脂層404'、408'、412'からなる一体化物(樹脂層ともいう)は、図14における第2信号基板303に相当する。上記一体化物の厚みは、説明の都合上、図14における第2信号基板303の厚みよりも厚く記載している。
次に、光硬化性樹脂層408′の第1信号基板401側の面の反対面上、すなわち、第2情報面上に、スパッタリングや蒸着等の方法により第2の情報記録部413を形成し、第2情報記録部413上に、透明層415形成用の、光硬化性樹脂を含む塗料を塗布する。次いで、塗布された塗料に透明基板414を貼りつけた後、回転テーブル403を回転させることにより、塗料に混入した気泡を除去しながら、かつ塗料を延伸する。その後、透明基板414越しに、塗料に所定の波長の光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、塗料を透明層415とする(図15I参照)。
特開2002−092969号公報
しかし、スピンコート法によって光硬化性樹脂層等を形成すると、周方向の細かな膜厚変動や、半径方向の大きな膜厚変動が生じる。特に、多数の情報記録部を備えた多層情報記録媒体では、隣り合う情報記録部間に配置された信号基板(樹脂層)の膜厚変動の足し合わせにより、多層情報記録媒体全体の厚さ変動が大きくなる。
また、スピンコート法では、被塗布面の縁部にまで塗料が行きわたる。そのため、光照射によって光硬化性樹脂を硬化させる時に、縁部上に配置された光硬化性樹脂が表面張力により盛り上がり、その結果、被塗布面の縁部上における光硬化性樹脂層404'の厚みが、被塗布面の他の部分上におけるそれより顕著に大きくなってしまう(図15J参照)。この厚さ変動は、光硬化性樹脂層404'、408'、412'からなる一体化物(樹脂層)の厚さ変動をもたらす。樹脂層の厚さ変動は、レーザ光を用いて情報の記録、または情報の再生を行う際に、球面収差の増大により光スポットのサイズの変動を引き起こす。さらに、上記厚さ変動は、情報面上へ光スポットの焦点を維持するフォーカス制御や、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御にも悪影響を与えてしまう。これらの結果、多層情報記録媒体について、情報の記録、または情報の再生が良好に行えないという問題が生じる。
また、スピンコート法において上記厚さ変動を抑制するためには、回転テーブルの回転速度や回転数などを制御するための複雑なプログラムを作製しなければならない。よって、スピンコート法において上記厚さ変動を抑制しようとすると、タクト時間が増大するという問題が生じる。
そこで、本発明者らは、樹脂層の形成にスピンコートではなく、スクリーン印刷技術の応用を試みた。次に、図16A〜図16Dを用いて、スクリーン印刷技術を用いた樹脂層の形成について説明する。
図12Aに示すように、まず、表面に第1情報記録部502が形成された第1信号基板501を、バキューム等の手段によってテーブル(図示せず)に固定する。次に、第1情報記録部502の上に、所定の間隔をあけて、例えば、スクリーン504等の孔版を配置する。スクリーン504は、スクリーン枠506に固定されている。次にスクリーン504上の網目が開いていない部分に紫外線硬化樹脂等を含む塗料を供給し、図16Bに示すように、スクレッパー507を摺動することにより、スクリーン504の網目内に塗料を充填する。次に、スクリーン504に所定の圧力を加えるようにスキージ508を摺動させ、スクリーン504の網目内に充填された樹脂含有塗料を、網目から押し出して、第1情報記録部502上へ塗布する(図16C、図16D参照)。第1信号基板501を入れ替え、図16Aから図16Dまでの作業を行うことによって、表面に塗料が塗布された第1信号基板501を複数得ることができる。なお、スムーズかつ確実な塗布を行うために、図16Aにおいて、スクリーン504上に供給される塗料の量は、一層の塗料層の形成に必要な量より多い。そのため、余った塗料のみによって別の塗料層が形成されるか、または、上記余った塗料に新たな塗料が追加されて、別の塗料層が形成される。
このようなスクリーン印刷では、信号基板を設置する時間と、スクレッパー507及びスキージ508がスクリーン上を摺動する時間の和が、塗料塗布のタクト時間に相当するため、スピンコート法よりもタクト時間の短縮化を比較的容易に実現できる。
しかし、この製造方法では、スクリーン504上に供給された塗料が、スクレッパー507及びスキージ508の摺動に伴い変質してしまう。変質の原因としては、スクレッパー507及びスキージ508の摺動に伴い塗料が空気を巻き込みながら移動するので、粘度が変わることや、スクレッパー507及びスキージ508が摺動する際に生じる摩擦等によって、塗料の温度が変化すること等が考えられる。塗料の粘度が変化すると、塗料層の厚みが、塗料層毎に異なってしまう恐れがある。塗料層の厚みが、塗料層毎に異なると、複数の多層上表記録媒体の品質にバラツキが生じる。また、一つの塗料層または樹脂層についても厚みむらが生じる恐れもある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、厚みの均一性が高い樹脂層を形成可能とすることにより、情報の再生、または情報の記録再生が良好に行われる多層情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法は、2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体の製造方法であって、前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する第1工程と、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給された樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより前記複数の第1孔内を通過させて、前記所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する第2工程とを含み、前記第1工程と前記第2工程とをそれぞれ所定回数行い、各第2工程において、前記所定の情報記録部に塗布されなかった前記スクリーン上の残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去することを特徴とする。
本発明の多層情報記録媒体は、本発明の多層情報記録媒体の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置は、2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体を製造するための製造装置であって、前記情報記録部を形成する情報記録部形成部と、前記樹脂層を形成する樹脂層形成部とを含み、前記樹脂層形成部は、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を除去領域とを有するスクリーンと、前記スクリーン上に前記樹脂含有塗料を供給可能とする樹脂供給部と、前記スクリーン上を摺動可能とし、前記スクリーン上を摺動することによって、前記塗料供給手段によって前記スクリーン上に供給される前記樹脂含有塗料を、前記複数の第1孔を通過させて前記情報記録部上に塗料層を形成可能とするスキージと、を含む印刷部と、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化可能とする樹脂硬化実施部とを含み、前記除去領域は、前記情報記録部に塗布されずに前記スクリーン上に残る樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去可能とすることを特徴とする。
本発明の多層情報記録媒体製造用スクリーンは、本発明の多層情報記録媒体の製造装置を構成するスクリーンであって、複数の第1孔を有し、前記スクリーン上に供給される前記樹脂含有塗料の一部を、前記複数の第1孔を通過させて前記情報記録部へ塗布可能とする塗布領域と、複数の第2孔を有し、前記情報記録部に塗布されないで前記スクリーン上に残る樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより前記スクリーン上から除去可能とする除去領域とを含むことを特徴とする。
本発明の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法は、2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された、多層情報記録媒体を複数個連続製造する製造方法であって、前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する情報記録部形成工程と、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給される樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより、前記複数の第1孔内を通過させて、所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程とを含み、各多層情報記録媒体を製造するために、情報記録部形成工程と樹脂層形成工程とをそれぞれ所定回数行い、各情報記録部に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部は、1以上の塗料層を形成する毎に、または、他の塗料層を形成している最中に、複数の第2孔内を通過させて、前記スクリーン上から除去することを特徴とする。
本発明によれば、厚みの均一性がよい樹脂層を形成可能とすることにより、情報の記録、または情報の再生が良好に行える多層情報記録媒体を提供できる。また、複数の多層情報記録媒体について、品質のバラツキが生じることを抑制できる。
図1は、本発明の多層情報記録媒体の一例の断面図である。 図2は、図1に示した多層情報記録媒体を構成する第1情報記録部の一例の断面図である。 図3Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図であり、樹脂含有塗料を塗布する直前の様子を示した図である。 図3Bは、図3Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図4Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布した直後の様子を示した図である。 図4Bは、図4Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図5Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図5Bは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図5Cは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図5Dは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図6Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する一工程断面図であり、樹脂含有塗料を塗布する直前の様子を示した図である。 図6Bは、図6Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図7Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布した直後の様子を示した図である。 図7Bは、図7Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図8は、スクリーンから除去された樹脂含有塗料を収容するための容器の一例の平面図である。 図9Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法のさらに別の例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布する直前の様子を示した図である。 図9Bは、図9Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図10Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法のさらに別の例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布した直後の様子を示した図である。 図10Bは、図10Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図11は、本発明の多層情報記録媒体の製造装置の一例を示した構成概念図である。 図12は、図11に示した多層情報記録媒体の製造装置を構成する樹脂層形成部の一例を示した構成概念図である。 図13Aは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Bは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Cは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Dは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Eは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Fは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図14は、従来の多層情報記録媒体の一例を示す断面図である。 図15Aは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Bは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Cは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Dは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Eは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Fは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Gは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Hは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Iは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Jは、図15Cの一部の拡大図である。 図16Aは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。 図16Bは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。 図16Cは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。 図16Dは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。
符号の説明
101、901、1001、701e スキージ
102、902、1002 スクリーン枠
103、903、1003、701c 樹脂含有塗料
104、904、1004、701b スクリーン
106、906、1006 塗布領域
107、907、1007 除去領域
108、908、1008、701f 容器
109、909、1009、708 テーブル
110、910、1010 塗料層
914 除去補助領域
601 第1信号基板
602 第1情報記録部
603 第2信号基板(樹脂層)
604 第2情報記録部
605 第3信号基板(樹脂層)
606 第3情報記録部
607 第4信号基板(樹脂層)
608 第4情報記録部
609 透明層
801 減圧槽
802 信号転写用基板
803 減圧ポンプ
804 加圧プレート
805、712 光照射装置
701 印刷部
702 信号転写部
703 樹脂硬化実施部
704 剥離処理部
705 情報記録部形成部
706 透明層形成部
707 樹脂層形成部
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、スクリーン上から除去された樹脂含有塗料はリサイクル処理されて、再度スクリーン上に供給される。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域の周囲において、スキージの進行方向に沿って設けられ、複数の第3孔を有した除去補助領域をさらに有している。あるいは、スクリーンが、塗布領域を挟むように配置された1対の除去補助領域をさらに有し、各除去補助領域が複数の第3孔を有している。このように、スクリーンが除去補助領域を有している場合、除去領域と除去補助領域とが繋がっていると好ましい。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、第2工程において、塗布領域よりも除去領域の方が低くなるように、スクリーンを水平面に対して傾斜させる。そして、スクリーンに対応して所定の情報記録部も傾斜させる。この状態で、所定の情報記録部に樹脂含有塗料を塗布する。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、樹脂含有塗料に含まれる樹脂が、例えば光硬化性樹脂である。光硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であると好ましい。樹脂含有塗料は、界面活性剤および脱泡剤のうちの少なくとも1種を含んでいると好ましい。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、第2工程において、塗料層を介して、凹凸表面を有する信号転写用基板と信号基板とを貼り合わせ、次いで、塗料層に含まれる樹脂を硬化して樹脂層を形成する。塗料層に含まれる樹脂の硬化後に、樹脂層から信号転写用基板を剥離する。この場合、信号転写用基板と信号基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせると好ましい。信号転写基板は、ポリオレフィン樹脂を含んでいると好ましい。
本発明の多層情報記録媒体の一例は、本発明の製造方法の一例によって製造されているので、樹脂の厚みの均一性が優れている。そのため、多層情報記録媒体の光(記録光、再生光)の入射側の表面から各情報記録部の記録までの距離、すなわち、光路長の変動が少ない。よって、本発明の多層情報記録媒体の一例では、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動が抑制されており、フォーカス制御およびトラッキング制御も安定して行われる。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、多層情報記録媒体の製造装置を構成する印刷部が、スクリーン上から除去される樹脂含有塗料を収容可能とする容器を備えている。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、樹脂層形成部が、信号転写用基板を含む信号転写部と、樹脂層から信号転写用基板を剥離する剥離処理部をさらに含む。信号転写用基板は、情報面として凹凸面を有し、塗料層に貼付けられることにより、塗料層に情報面を転写可能とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、樹脂層形成部が、信号基板を着脱自在に固定可能とするテーブルを備える。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域よりも除去領域の方が低くなるように、水平面に対して傾斜しており、かつ、スクリーンに対応してテーブルも傾斜している。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、樹脂硬化実施部が、光照射装置を備えている。この光照射装置は、例えば、紫外線を照射可能とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーン上から除去されて容器に溜まる樹脂含有塗料に対してリサイクル処理をし、リサイクル処理された樹脂含有塗料を塗料供給手段に供給可能とするリサイクル機構を備えている。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域の周囲において、スキージの進行方向に沿って設けられ、複数の第3孔を有した除去補助領域を有している。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域を挟むように配置された1対の除去補助領域を有し、各除去補助領域が複数の第3孔を有している。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、除去領域と除去補助領域とが繋がっている。
本発明の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法の好ましい一例では、1層の塗料層を形成する毎に、スクリーン上に樹脂含有塗料を補充する。
本発明の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法の好ましい一例では、スキージの摺動距離を、周期的に変化させる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、多層情報記録媒体として、ディスク状の情報記録媒体を例に挙げて説明するが、本発明における多層情報記録媒体はこれに限定されず、例えば、メモリーカード等の情報記録媒体であってもよい。
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の多層情報記録媒体の製造方法の一例および、この方法により製造される多層情報記録媒体の一例について図1〜図5Dを用いて説明する。
図1は本発明の多層情報記録媒体の一例の断面図である。図1に示すように、多層情報記録媒体は、第1信号基板601と、第1信号基板601の情報面上に配置された第1情報記録部602とを備えている。第1信号基板601は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面として有している。また、多層情報記録媒体は、第1情報記録部602上に配置された第2信号基板603を備えている。第2信号基板603は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第1信号基板601側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第2情報記録部604を備えている。多層情報記録媒体は、第2情報記録部604上に配置された第3信号基板605を備えている。第3信号基板605は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第2信号基板603側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第3情報記録部606を備えている。多層情報記録媒体は、第3情報記録部606上に配置された第4信号基板607を備えている。第4信号基板607は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第3信号基板605側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第4情報記録部608と、第4情報記録部608上に配置された透明層609とを備えている。
なお、本願において、第2〜4信号基板603、605、607は、樹脂層603,605,607と呼び、第1信号基板601は単に信号基板601と呼ぶ場合もある。
第1信号基板601は、情報記録媒体の反りを抑制するため、情報記録媒体の剛性を高めるため、および他の光ディスク(CD、DVDなど)との互換性を確保するために、外径φ120mm、厚さ1.0〜1.1mm程度の円板から形成されている。第1信号基板601の材料としては、例えば、ポリカーボネイトやアクリル系樹脂などが挙げられる。図1に示した多層情報記録媒体では、第1信号基板601の材料としてポリカーボネイトを用いている。
凹凸形状の情報面は、例えば、図13Fに示したスタンパ208を用いて、第1信号基板601の成型する際に同時に形成される。第1信号基板601は、例えば、射出圧縮成型法等の成形法により形成できる。第1信号基板601はその中心部に、直径φ15mmの中心孔610を有している。この中心孔610によって、プレーヤによる情報の記録再生の際に、多層情報記録媒体はプレーヤの所定の位置に回転可能に保持される。
第1信号基板601上に形成される樹脂層603、605、607や透明層609が光硬化性樹脂を含む場合、これらの層の形成の際には、光硬化収縮が生じる。この光硬化収縮は第1信号基板601に反りをもたらしてしまう。従って、樹脂層603、605、607および透明層609の形成後において、多層情報記録媒体に反りが生じないよう、第1信号基板601は、予め、上記光硬化収縮による反りと反対の反りを有するように形成されていると好ましい。
本実施形態の多層情報記録媒体が再生専用の多層情報記録媒体(ROM)である場合、第1情報記録部602は、例えば、Al、Ag、Au、Si、SiO2などの金属や半導体、誘電体を材料として、スパッタリングや蒸着等の方法により形成されている。
次に、本実施形態の多層情報記録媒体がWrite Once型の多層情報記録媒体である場合の第1情報記録部602の構成について図2を用いて説明する。
第1情報記録部602は、例えば、AlCrからなる反射膜503、ZnSからなる第1誘電体膜504、TeOPdからなる記録膜505、ZnSからなる第2誘電体膜506が、第1信号基板601(図1参照)側からこの順で配置された構造をしている。これらの層は、いずれも、例えば、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。反射膜503の材料には、AlCrに代えて、再生専用の多層情報記録媒体と同様に、AgやAu等の金属を主成分とする材料を用いてもよい。
第2情報記録部604、第3情報記録部606、および第4情報記録部608についても、第1情報記録部602と同様の構造をしている。反射膜503の厚みを調整したり、反射膜503を除去したり、および/または第1誘電体膜504や記録膜505の厚みを調整することにより、多層情報記録媒体の光学特性を調整できる。また、第1〜4情報記録部は色素膜(図示せず)等をさらに備えた構造をしていてもよい。
樹脂層603、605、607は、記録再生光に対してほぼ透明である。樹脂層603は、例えば、アクリル樹脂を主成分とする紫外線硬化樹脂から形成されていると好ましい。紫外線硬化樹脂は、紫外線域の波長の光に対してのみ高感度に反応して硬化するからである。
次に、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例について、図3A〜図5Dを用いて説明する。
図3Aおよび図4Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、図3Aは塗布直前の様子を示した図、図4Aは塗布直後の様子を示した図である。図3Bは、塗布直前のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図であり、図4Bは、塗布直後のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。
これらの図において、101はスキージ、102はスクリーン枠、103は紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂含有塗料、104はスクリーン、601は第1信号基板、106は塗布領域、107は余剰の樹脂含有塗料を除去するための除去領域、111は塗料一時保持領域、108はスクリーン104上から除去された余剰の樹脂含有塗料を収容するための容器、109はテーブル、110は樹脂含有塗料が塗布されることにより形成された塗料層、602は第1情報記録部を表す。樹脂含有塗料103は、紫外線硬化樹脂等の樹脂の他に、粘度調整のための溶媒、硬化開始剤等を含んでいてもよい。粘度調整のための溶媒には、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)などが用いられる。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、まず、第1信号基板601の情報面上に、記録膜や反射膜などを含む第1情報記録部602を形成する(第1工程)。第1情報記録部602を構成する記録膜505(図2参照)や反射膜503(図2参照)などは、いずれも、スパッタリングや蒸着等の方法により形成する。第1信号基板601は、必要に応じて、バキューム等の手段によってテーブル109に固定されている。
次に、第1情報記録部602上に樹脂層603を形成する(第2工程)。第2工程では、下記の処理がなされる。
まず、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601上に、所定の間隔をあけて、所定寸法の網目を有するスクリーン104を配置する。上記間隔は、樹脂含有塗料の塗布が良好に行なわれれば特に制限はない。上記間隔は樹脂含有塗料の粘度等によって異なるが、通常1mm〜5mmが適当である。
スクリーン104は、塗料一時保持領域111と、塗布領域106と、除去領域107とを有している。これらの領域は、スキージ101の進行方向Xに沿ってこの順に存在している。ここで、スキージ101の進行方向Xとは、樹脂含有塗料を情報記録部に塗布する時のスキージ101の移動方向のことである。
塗料一時保持領域111は、樹脂含有塗料103を一時的に保持するための領域である。塗布領域106は、スクリーン104の厚み方向に貫通した複数の第1孔を有している。複数の第1孔は例えば網目であり、この網目内を通過した樹脂含有塗料は被印刷物(情報記録部)に塗布される。各第1孔の大きさや数等を調整することにより、塗布量を適切な量に調整できる。除去領域107は、スクリーン104の厚み方向に貫通した複数の第2孔を有している。複数の第2孔も例えば網目であり、情報記録部に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料は複数の第2孔内を通過して、スクリーン104上から除去される。
スクリーン枠102にスクリーン104が固定されたスクリーン部材114は、例えば、下記のようにして作製される。
まず、スクリーン枠102に、例えば、網目等の複数の孔を有する多孔質材料等を張り、この多孔質材料に感光乳剤をコーティングする。次いで、コーティングされた多孔質材料のうちの塗布領域106となる箇所および除去領域107となる箇所以外を遮光マスクによりマスクする。次いで、露光装置を用いて多孔質材料に紫外線を一定時間照射する。紫外線照射によって露光された部分を水噴射などによって水洗することにより現像すれば、塗布領域106と除去領域107とを有するスクリーン104がスクリーン枠102に固定されたスクリーン部材114を得ることができる。
なお、スクリーン枠102の材料には、例えば、木材、アルミニウム、ステンレス、プラスチックなどを用いることができる。なかでも、軽量かつ剛性の高いアルミニウムが好ましい。多孔質材料の原料には、例えば、シルク、ナイロン(登録商標)、ポリエステル、ポリアリレート、ステンレスなどを用いることができるが、なかでも、摩擦等による被印刷物への負荷が小さくできる点においてポリエステルが好ましい。また、外圧に対する復元性がよい点では、ポリアリレートが好ましい。
感光乳剤には、例えば、ジアゾニウム塩または重クロム酸塩を、PVAまたは酢酸ビニルエマルジョンに混合し溶解させたものなどを用いることができる。スクリーン104の塗布領域106および除去領域107におけるメッシュ数(1インチ当たりの線材の本数)は、100〜600であると好ましい。線材の線幅は20μm〜100μmであると好ましい。メッシュ数および線材の線幅がこの範囲内にあれば、樹脂含有塗料の通過不良や塗布ムラを生じさせることなく、樹脂含有塗料を塗布できる。なお、複数の第1孔および複数の第2孔は網目に限定されない。
以下に、スクリーン枠102としてアルミを使用し、スクリーンの材料としてポリエステルからなる多孔質材料を使用した例について、より具体的に、第2工程を説明する。しかし、スクリーン枠102やスクリーン104に他の材料を用いた場合も、この例と同様の効果を奏する。
まず、図3Aおよび図3Bに示すように、スクリーン104のうちの塗料一時保持領域111上に樹脂含有塗料103を滴下する。滴下は例えばディスペンサー等により行う。樹脂含有塗料103の滴下量については、一層の塗料層(硬化後に樹脂層となる)の形成に必要な量であれば特に制限はないが、スムーズかつ確実な塗布を行うためには、一層の塗料層の形成に必要な量よりも多いと好ましい。また、一層の塗料層の形成に必要な量よりも多い樹脂含有塗料を一度に供給しておけば、一層の塗料層の形成後に樹脂含有塗料を補充しなくても、スキージ101に付着した樹脂含有塗料によって、別の塗料層を1層以上形成できる。
図3Aおよび図3Bに示した例では、塗料一時保持領域111が、スクリーン104のスキージ101の進行方向両端部のうちの、進行開始端部の近傍に有る。スキージ101は、スクリーン104上の塗料一時保持領域111に供給された樹脂含有塗料103よりも、より進行開始側に配置しておく。
次に、スキージ101を、スクリーン104に荷重を加えながら、スクリーン104上を摺動させ、スクリーン104の塗布領域106を通過させる。スキージ101の摺動に伴い、樹脂含有塗料の一部は、塗布領域106の複数の第1孔内を通過して、第1情報記録部602に塗布される。第1情報記録部602に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料103については、塗布領域106と除去領域107の間の領域113に溜められるか、または、除去領域107の複数の第2孔内を通過してスクリーン104上から除去される。図4Aおよび図4Bに示した例では、残余の樹脂含有塗料は領域113に溜められている。領域113に溜められた樹脂含有塗料103は、例えば、下記(1)および/または(2)のようにしてスクリーン104上から除去される。
(1)樹脂含有塗料103自信の流動性により徐々に除去領域107内に移動して、スクリーン104上から除去される。
(2)別の多層情報媒体の製造過程において上記と同様にして塗料層を形成する。この塗料層の形成の際に残った余剰の樹脂含有塗料によって、領域113に既に溜まっていた樹脂含有塗料103が領域113から押し出されて除去領域107内に入り、スクリーン104上から除去される。
スクリーン104に供給される樹脂含有塗料103の粘度については、低すぎると塗布された樹脂含有塗料の流動が高くなりすぎる。樹脂含有塗料103の流動が高すぎると、第1信号基板601から樹脂含有塗料103がはみ出たり、硬化後に第1信号基板105の周縁端部で樹脂の盛り上りが生じたりする。一方、樹脂含有塗料103の粘度が高すぎると、樹脂含有塗料103が塗布領域106の第1孔内を通過し難くなる。そのため、樹脂含有塗料103の第1情報記録部602への塗布が行い難くなる。温度変化及び/又は湿度変化に起因する樹脂含有塗料103の粘度への影響等を考慮すると、スクリーン104に供給される樹脂含有塗料103の粘度は、25℃の雰囲気下で、30cps〜10000cps(30mPa・s〜10000mPa・s)であると好ましく、1000cps〜5000cps(1000mPa・s〜5000mPa・s)であるとより好ましい。
なお、本願において、粘度は、回転粘度計を用いて測定した値である。回転粘度計を用いた粘度の測定方法は、回転子の回転トルクが粘度に比例することを利用している。回転子には、例えば、円筒形のローターや羽等が用いられる。回転トルクとは、試料(樹脂含有塗料)中に入れられた回転子を、棒状の軸を介して連結されたモーター等によって一定速度で回転させ続けるのに必要な力のことである。
本実施形態では、製造される多層情報記録媒体について、開口数が0.85の対物レンズと、波長405nmのレーザ光源とを備えた記録再生ヘッドを用いて、情報の再生が可能となるよう、樹脂層603、605、607(図1参照)の平均厚みは、例えば、5μm〜25μmとされる。
樹脂含有塗料103の塗布範囲は、スクリーン104における塗布領域106の面積や、形状等を選択することにより制限できる。本実施形態において、第1信号基板601の外径φは、例えば120mmである。第1信号基板601は、例えば直径φ15mmの中心孔610(図1参照)を有している。このような第1信号基板601に対して、例えば、第1信号基板601の内径よりも外側の領域であって(例えば、中心から10mm以上離れた領域)、かつ、第1信号基板601の外径よりも内側の領域(例えば、中心から59.5mm以内の領域)にのみ、樹脂含有塗料103を塗布可能な塗布領域106を有するスクリーン104を用いる。このようなスクリーン104を用いれば、第1信号基板601の外周縁部601a(図1参照)および内周縁部601b(図1参照)を除く第1信号基板601上、すなわち、直径119mmの円内であって、直径20mmの円外に、樹脂含有塗料105を塗布できる(図4A参照)。
第1信号基板601の外周縁部601a(図1参照)や内周縁部601b(図1参照)にも樹脂含有塗料103を塗布した場合に、樹脂含有塗料103に含まれる樹脂を硬化させると、各縁部に塗布された樹脂が表面張力により盛り上がる。その結果、各縁部上における樹脂層603,605,607(図1参照)の厚みが、樹脂層603,605,607の他の部分の厚みよりも顕著に大きくなる。よって、樹脂層603,605,607の厚みの均一性が悪くなる。樹脂層603,605,607の厚さ変動は、レーザ光を用いて情報の記録、または情報の再生を行う際に、球面収差の増大により光スポットのサイズの変動を引き起こす。さらに、上記厚さ変動は、情報面上へ光スポットの焦点を維持するフォーカス制御や、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御にも悪影響を与えてしまう。これらの結果、多層情報記録媒体に対して情報の記録または情報の再生が良好に行えないという問題が生じる。また、第1信号基板601から樹脂含有塗料がはみ出すことにより、多層情報記録媒体の内外径各々の寸法精度が悪化し、美観も損なうなどの問題が発生する。
しかし、上記のとおり、スクリーン104における塗布領域106の面積や形状等を、スクリーン104に対向する第1信号基板601の平面内に納まるように設定すれば、樹脂層603,605,607(図1参照)の厚さ変動、および光路長の変動が抑制される。その結果として、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動を抑制でき、フォーカス制御およびトラッキング制御も安定して行われる多層情報記録媒体を提供できる。また、寸法精度がよく、外観の良好な多層情報記録媒体を提供できる。
スクリーン104における除去領域107の面積や形状等については、余剰の樹脂含有塗料を十分除去できれば特に制限はないが、図3Bに示すように、スキージ101の幅W1よりも、スキージ101の進行方向Xと直交する除去領域107の幅W2の方が大きいと好ましい。幅W2が幅W1よりも大きいと、図4Bに示すように、スキージ101の両端101a,101bからはみ出た樹脂含有塗料103についても効率よく除去できるからである。また、除去領域107の面積が大きければ大きいほど、より効率的に樹脂含有塗料を除去できる。
スクリーン104における除去領域107の配置位置については、スキージ101の進行方向に沿って、塗布領域106よりも、進行方向終了側に配置されており、塗布領域106と繋がっていなければ特に制限はない。しかし、余剰の樹脂含有塗料103が逆流して塗布領域106内に浸入しな程度に、塗布領域106と除去領域107とが離れていると好ましい。
樹脂含有塗料103には、塗布時の空気混入を抑制するために、界面活性剤が含まれていると好ましい。空気が混入した樹脂含有塗料103を用いると、樹脂層の厚みの均一性が損なわれるとともに、多層情報記録媒体の記録特性または再生特性が劣化してしまうからである。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性の界面活性剤、またはノニオン性の界面活性剤等が挙げら得るが、なかでも、塗料層110のレベリング(表面凹凸の平滑化)がより良好に行える、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
また、本実施形態の多層情報記録媒体の製法方法では、樹脂含有塗料103中に混入した気泡を除去する方法として、下記(1)〜(3)の方法を採用することが好ましい。
(1)樹脂含有塗料103の塗布後には、塗料層110に信号転写が行なわれ、次いで、塗料層110に含まれる樹脂の硬化が行なわれる。樹脂含有塗料を塗布して塗料層を形成した後、塗料層を所定時間放置した後に信号転写を行う。信号転写は、例えば、凹凸表面を情報面として有する信号転写用基板802(図5A参照)を用いて行う。放置環境は、大気圧下でもよいが減圧下(例えば、1Pa〜100Pa)であると好ましい。好ましい放置時間は樹脂含有塗料103の粘度や放置環境等により左右されるが、樹脂含有塗料103の粘度が高ければ高いほど長い時間が必要となる。通常は1〜5分間程度である。所定時間放置することにより、樹脂含有塗料103に含まれる気泡が除去されるとともに、塗料層110のレベリングも行なわれるので好ましい。なお、「平滑」の程度は、第1信号基板601と、信号転写用基板802(図5A参照)との貼り合わせが良好に行える程度であれば充分である。
(2)樹脂含有塗料に消泡剤を混入する。消泡剤には、例えば、シリコン系消泡剤、非シリコン系消泡剤等を用いることができる。なかでも、樹脂層603,605,607(図1参照)の光透過性を良好に確保する観点からは、非シリコン系消泡剤が好ましい。非シリコン系消泡剤としては、特に限定されないが、例えば、2−エチルヘキサノール、ポリプロピレン誘電体、オレイン酸などが挙げられる。
(3)予め脱泡された樹脂含有塗料を用いる。脱泡は、ロータリーポンプなどにより減圧された金属製のドラム容器内等で行える。
(1)〜(3)を採用することによる気泡除去効果は、樹脂含有塗料の材料や粘度等によって異なるが、これらを組み合わせて採用することにより、樹脂含有塗料中の泡を大幅に低減できる。
以上のようにして、高精度、且つ厚みの均一性が良好な塗料層110を形成できる(図4A参照)。
次に、テーブル109から、塗料層110が一方の主面の上方に形成された第1信号基板601を取り出し、別の、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601をテーブル109に固定する。第1情報記録部602が形成された第1信号基板601の入れ替えとスキージ101の進行方向Xへの摺動とを繰り返して行って、樹脂含有塗料103の塗布を複数の第1情報記録部に対して行えば、塗料層を連続的に形成できる。
より具体的説明すると、例えば、図3A〜図4Bを用いて説明した処理を、異なる、第1情報記録部602が形成が形成された第1信号基板601に対して行う。スクリーン104への樹脂含有塗料103の供給は、1層の塗料層110を形成する毎に行ってもよいし、または、複数の塗料層110を形成する毎に行ってもよい。
各塗料層110の形成後、図4Aに示したスキージ101については、進行方向Xとは逆方向に摺動される。この逆方向へのスキージ101の摺動と、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601の入れ替えとを同時進行させれば、別の樹脂層形成にかかるタクト時間を短縮できる。
次に、第2工程における、樹脂含有塗料103の塗布後の処理について説明する。
図5Aに示すように、塗料層110が一方の主面の上方に形成された第1信号基板601を、減圧槽801の中に配置する。第1信号基板601の中心部に形成された中心孔610にセンターボス806を通すことによって、第1信号基板601を所定の位置に固定する。信号転写用基板802についても減圧槽801中に配置する。信号転写用基板802は、例えば、紫外線硬化樹脂との剥離性が良好な、ポリオレフィンを含んでいると好ましい。また、ポリオレフィンは成形性が良好であり、ピットや案内溝を含む凹凸形状を有する情報面を例えば射出圧縮成形等の樹脂成形法により容易に成形できるので、信号転写用基板802の材料として好適である。
さらに、ポリオレフィンは紫外線を透過させることが可能であるので、信号転写用基板802越しに、塗料層110に紫外線を照射すれば、塗料層110に含まれる紫外線硬化樹脂を効率良く硬化できる。ポリオレフィンとしては、例えば、シクロペンタジエンを原料とするシクロオレフィンが挙げられる。
第1信号基板601の平均厚みが、例えば、1.1mmである場合、信号転写用基板802の平均厚みは、例えば、0.6mmであると好ましい。第1信号基板601よりも薄い信号転写用基板802を用いれば、厚さの相違による剛性差により、樹脂硬化後の信号転写用基板802の剥離が容易に行える。
減圧槽801内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの減圧ポンプ803によって排気可能であり、短時間で所定の気圧にまで減圧可能である。本実施形態においては、減圧槽801内が、例えば、100Pa以下の真空度に達したときに、図5Bに示すように、信号転写用基板802と第1信号基板601とを塗料層110および第1情報記録部602を介して貼り合わせる。このとき、加圧プレート804によって、信号転写用基板802を加圧して、塗料層110に信号転写用基板802の凹凸面を情報面として転写する。減圧槽801内が減圧されていることから、塗料層110と信号転写用基板802との間に気泡を混入させることなく、信号転写用基板802と第1信号基板601と貼り合せることができる。また、樹脂含有塗料の第1情報記録部602への塗布時に、塗料層内に混入した気泡も取り除くことができる。
次に、貼り合わされた第1信号基板601と信号転写用基板802とを、減圧槽801から取り出す。次いで、図5Cに示すように、信号転写用基板802の上方に配置された紫外線照射装置805によって、信号転写用基板802越しに、塗料層110に紫外線を照射して、樹脂含有塗料に含まれる紫外線硬化樹脂を硬化し、塗料層110を樹脂層とする。
次いで、樹脂層603から信号転写用基板802を剥離する(図5D参照)。この際、信号転写用基板802と樹脂層603との間に圧縮エアーを吹き込むと好ましい。このようにして、情報面を有する樹脂層603を形成する。
なお、紫外線の照射、および/または、信号転写用基板802の剥離についても、信号転写用基板802と第1信号基板601との貼り合せ時と同様に、減圧雰囲気下で行なってもよい。
次に、第1工程として、第2情報記録部604を、第1情報記録部602と同様に、スパッタリング等の方法により形成する。さらに、第3〜4情報記録部606,608についても、同様にして形成する。また、第2工程として、樹脂層605,607についても、同様にして形成する。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、第1工程と第2工程とをこの順で、各々必要回数行う(図1参照)。
最後に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する。透明層609は、例えば、記録再生光に対してほぼ透明な(透過性を有する)アクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を用いて形成する。透明層609についても、例えば、樹脂層603、605,607と同様に、透明層609形成用の塗料をスクリーンを通して第4情報記録部608等に塗布することにより形成する(図1参照)。
第4情報記録部608の直上における透明層609の平均厚みは、透明層609の表面から第1情報記録部602までの距離が、100μm程度となるように、透明層609と第1情報記録部602との間に配置された樹脂層603、605、607の厚みに応じて決定される。上記100μmは、今回用いた記録再生ヘッドによる球面収差の補正可能限界である。
例えば、樹脂層603、605、607の平均厚さが、9.5μm、13.5μm、17.5μmである場合は、透明層609の平均厚さは、59.5μm(100μm−9.5μm−13.5μm−17.5μm)とする。樹脂層603、605、607の平均厚さがいずれも10μmである場合は、透明層609の平均厚さは、70μm(100μm−10μm×3層)とする。なお、第1〜4情報記録部の各厚みは、樹脂層603、605、607や透明層609のそれと比較して桁違いに薄いので無視できる。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層603、605、607および第1〜第4情報記録部602,604,606,608がいずれも、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bを除く第1信号基板601上に形成されている(図1参照)。そのため、透明層609は、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bと接合するように形成できる。したがって、第1〜4情報記録部602,604,606,608と樹脂層603、605、607とを、透明層609と第1信号基板601によって囲うことができる。ポリカーボネイトは硬化前の紫外線硬化樹脂および硬化後の紫外線硬化樹脂と接着性が高い。したがって、第1信号基板601の材料として、ポリカーボネイトを用い、透明層609の材料として紫外線硬化樹脂を用いれば、湿気などが原因で各樹脂層とそれに接する情報記録部とが剥離することを抑制できる。
上記では、第1信号基板の上方に塗料層を形成した後に信号転写基板を重ね合わせることで塗料層に信号を転写する場合について説明した。しかし、例えば、樹脂含有塗料の粘度が比較的低いために、所望の厚みの樹脂層を形成することが困難な場合は、下記ようにして塗料層を形成してもよい。
信号転写用基板802上に、第1樹脂含有塗料を第1スクリーンの孔を通して塗布する。一方、第1信号基板の上方に、第2樹脂含有塗料を第2スクリーンを通して塗布する。第1スクリーンと第2スクリーンは、それぞれ、図3A〜図4Bを用いて説明したスクリーン104と同様のものを用いればよい。第1樹脂含有塗料および第2樹脂含有塗料には、図3A〜図4Bを用いて説明した例と同様のものを用いればよい。
次いで、第1樹脂含有塗料および第2樹脂含有塗料を介して、第1信号基板601と信号転写用基板802とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせる。第1樹脂含有塗料と第2樹脂含有塗料とを密着させた後に、これらの樹脂含有塗料に信号転写基板を介して紫外線を照射し、樹脂を硬化させる。このようにすれば、樹脂含有塗料の粘度が比較的低い場合であっても、所望の厚みの樹脂層を形成できる。
次ぎに、複数の塗料層を樹脂含有塗料を途中で補充することなく形成する場合について検討する。
下記の条件下で、樹脂含有塗料を途中で補充することなく20層の塗料層110(図4A参照)を形成した。そして、このようにして形成された各塗料層110に含まれる樹脂を硬化して得られる各樹脂層603(図1参照)について厚みを測定した。表1には、各樹脂層603の平均厚み、最小厚み、最大厚み、厚み斑を示している。なお、各樹脂層の平均厚みの目標値は25μmとした。
塗料層の形成前の雰囲気温度25℃
第1信号基板601の形状:外径120mm、内径15mm
第1情報記録部602の形状:外径117mm、内径46mm
スクリーンの材料:塗布領域106および除去領域107(図3B等参照)以外の領域に乳化剤(ジアゾ感光乳剤)がコーティングされたポリアリレート製メッシュ
塗布領域106におけるメッシュ数:160(線幅:45μm)
除去領域におけるメッシュ数:100(線幅:70μm)
樹脂含有塗料の供給量:5ml
塗布前の樹脂含有塗料103の粘度:2000mPa・s(雰囲気温度25℃)
塗布前におけるスクリーン104と第1情報記録部602との最短距離:3.5mm
(樹脂層の厚みの測定箇所)
各樹脂層の厚みは、第1信号基板601の中心を中心とする半径22mm、28mm、33mm、38mm、43mm、48mm、53mm、58mm,58.3mm、58.6mmの円周上を、それぞれ、6度間隔で測定した。すなわち、互いに測定箇所が重複しないように600箇所について、各樹脂層の厚みを測定した。表1における平均厚みは600箇所における厚みの平均値である。
(樹脂層の厚みの測定方法)
樹脂層の厚みは、光の干渉効果を利用した方法(PV法)にて測定した。この測定方法は、樹脂層の表面で反射した光とその裏面で反射した光が互いに干渉を起こし、これらの反射光の位相が一致すると強度が高まり、ずれると弱まるという性質を利用している。波長の変化に伴い反射光強度が変化する干渉パターンが観測され、このパターンにおけるピーク波長λ1およびバレー波長λ2が、光路差2nd(n=樹脂層の屈折率、d=樹脂層の厚さ)の整数倍であるという関係から、樹脂層の厚みdを得る。
樹脂層の厚みの測定には、多層情報記録媒体の記録再生に用いるレーザ光よりも、長波長のレーザ光を用いた。多層情報記録媒体に記録された情報を再生するレーザ光と同等の波長の光を出射する光源を、樹脂層の厚みを測定するための装置に用いた場合、情報記録部に記録されている情報によって光回折が発生し、この光回折が、樹脂層の厚みの測定に悪影響を与えてしまうからである。本例では、記録再生用のレーザ光として、波長が約400nm程度の青色レーザを使用するので、波長650nmの程度の赤色レーザ光を用いて樹脂層の厚みを測定した。
表1中の厚み斑とは、「平均厚み25μm」を樹脂層の厚みの目標値として樹脂層を形成した場合の、Peak to Peak value(PP値)のことである。例えば、PP値が1.5μmである場合、表1において1.5μmと記載している。
Figure 2007026765
多層情報記録媒体が、波長405nmの光を用いて記録再生される多層情報記録媒体であり、樹脂層の平均厚みの目標値が25μmである場合、樹脂層に関して許容されるPP値は2.5μmである。
表1に示すように、1〜11層目の塗料層の厚み斑は2.5μm以下となっている。このことから、11層目の塗料層を形成し終わる前に樹脂含有塗料を補充しなくても、厚み斑について実用上許容される11層の樹脂層を形成できることが確認できた。
表1に示すように、後に形成された樹脂層ほど厚み斑が大きくなっているが、これは、樹脂含有塗料の粘度と温度が変化し樹脂含有塗料が変質したためと考えられる。樹脂含有塗料が変質する主要因は、樹脂含有塗料の移動中の空気の巻き込みと、移動による摩擦熱の発生であると考えられる。
なお、表1に示した例では、雰囲気温度25℃における粘度が2000mPa・sの樹脂含有塗料を用いた場合の結果であるが、25℃の雰囲気下における粘度が1000〜4000mPa・sの樹脂含有塗料を用いた場合も、同様の結果か得られる。
次に、10層の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を30ml追加して、連続して5000層の塗料層を形成する場合について検討する。
5000層の樹脂層のうちの幾つかの樹脂層について厚みを測定し、表2に、それらの樹脂層の平均厚み、最小厚み、最大厚み、厚み斑を示した。初回の樹脂含有塗料の供給量も30mlとした。5000層の塗料層の形成最中、スクリーンの温度とスクリーン上の樹脂含有塗料の温度がほぼ一定に保たれるように、水冷式クーラーを用いて22℃の風を10m3/min、雰囲気中に供給し続けた。樹脂層の厚みの測定方法は表1に示した例と同様の方法で行った。その他の条件は、表1に示した例と同様にした。
Figure 2007026765
表2に示すように、測定した全ての樹脂層について、厚み斑は2.5μm以下であり、ほぼ一定であった。樹脂層の平均厚みについてもほぼ一定であった。
表2に示した例では、10層の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を30ml追加した。ところで、例えば、第1信号基板601の外径が120mm、内径が15mmであり、第1情報記録部602の外径が117mm、内径が46mmである場合、樹脂層603の形成に必要な樹脂含有塗料の量は約0.25mlである。よって、10層の樹脂層の形成に消費される樹脂含有塗料の量は2.5mlにしか満たない。よって、計算上では、10層の塗料層を形成する毎に、スクリーン104上の、除去領域107と塗布領域106との間の領域113(図4B参照)に27.5ml(=30ml−2.5ml)の樹脂含有塗料103が積載される。このように、樹脂層の形成に必要な樹脂含有塗料の量よりも、遥かに多い量の樹脂含有塗料を供給するのは、スムーズかつ確実に、厚み斑の小さい塗料層を形成するためである。
図4Bに示すように、領域113に溜まった樹脂含有塗料は、追加される余剰の樹脂含有塗料によって領域113から押出され、除去領域107内に入る。除去領域107内に押し込まれた樹脂含有塗料は、その自重により除去領域107の複数の第2孔(例えば、網目)内を通過し、徐々にスクリーン104上から除去される。
また、除去領域107の下方には、スクリーン104上から除去された樹脂含有塗料を貯留する容器108が設けられている。そのため、スクリーン104上から落下した樹脂含有塗料は順次この容器108内に蓄積される。よって、スクリーン104上には、10層の塗料層を形成する毎に、計算上では、27.5mlの余剰の樹脂含有塗料が積載されることになるが、除去領域107から徐々に余剰の樹脂含有塗料が除去されるため、スクリーン104上から樹脂含有塗料があふれ出る心配はない。
容器108の形状や開口面積等については、スクリーン104上から除去された樹脂含有塗料を収容できる限り特に制限はない。
容器108内に貯留された樹脂含有塗料は、リサイクル処理されて再利用されることが望ましい。余剰の樹脂含有塗料は、大気に長時間さらされ、および/または、スクリーン104に擦り付けられているので、気泡や異物が混入している可能性が高い。気泡や異物が混入した樹脂含有塗料を樹脂層の形成に用いると、良好な記録または再生が行えなくなる。よって、再使用前に、樹脂含有塗料中の気泡や異物は取り除いておかなければならない。
リサイクル処理は例えば、下記の方法(1)〜(4)により行える。
(1)フィルターに通して、樹脂含有塗料中の異物を除去する。
(2)樹脂含有塗料を減圧槽内にしばらくの間入れて、樹脂含有塗料中の気泡を除去する。
(3)遠心力を利用して、樹脂含有塗料中の気泡を除去する。
(4)超音波を利用して、樹脂含有塗料中から気泡を浮き上がらせ、または、破泡させる。
これらの方法は、2種以上組み合わせて採用すると好ましい。例えば、直径10μm以上の不純物の透過を阻止可能な程度の網目を有するカートリッジフィルターに通して、リサイクル対象の樹脂含有塗料から不純物を除去した後、遠心脱泡機を用いて、不純物除去後の樹脂含有塗料から気泡を除去すると好ましい。このようなリサイクル処理を経た樹脂含有塗料を再度スクリーン104上に供給すれば、樹脂含有塗料の有効使用率を高めることができる。
以上のとおり、本実施形態では、複数層(例えば10層)の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を供給しても、樹脂層の厚みと厚み斑をほぼ一定に保つことができるので、大量生産に適している。また、スクリーン104に、余剰の樹脂含有塗料を除去するための除去領域107を設けているので、余剰の樹脂含有塗料をスクリーン104上から除去できる。そのため、スクリーンのメンテナンス頻度を減らすことができる。さらに、スクリーン104上から除去された余剰の樹脂含有塗料については、リサイクル処理をすることによって再度スクリーン104上に供給できるので、樹脂含有塗料の有効使用率が高くなる。
(実施形態2)
実施形態2では、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例について、図6A〜図8を用いて説明する。
図6Aおよび図7Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、図6Aは塗布直前の様子を示した図、図7Aは塗布直後の様子を示した図である。図6Bは、塗布直前のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図であり、図7Bは、塗布直後のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。樹脂含有塗料903については、実施形態1で用いた樹脂含有塗料103と同様のものを用いればよい。
これらの図において、901はスキージ、902はスクリーン枠、903は紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂含有塗料、904はスクリーン、601は第1信号基板、602は第1情報記録部、906は塗布領域、907は余剰の樹脂含有塗料903を除去するための除去領域、911は塗料一時保持領域、908はスクリーン904から除去された余剰の樹脂含有塗料903を収容するための容器、909はテーブル、910は樹脂含有塗料903が塗布されることにより第1信号基板601上に形成された塗料層を表す。
本実施形態では、第2工程において、(1)塗布領域106を挟むように配置され、塗布領域106と離間した1対の除去補助領域914を有するスクリーン904を用いたこと、および(2)この1対の除去補助領域914を設けたことに対応して、スクリーン904から除去された余剰の樹脂含有塗料を収容するための容器908の形状を変えたこと以外は、実施形態1と同様である。よって、第1信号基板601の保持や、スキージ901の摺動等については、実施形態1と同様に行なわれる。
本実施形態では、スクリーン904が除去補助領域914を有しているので、余剰の樹脂含有塗料903を効率よくスクリーン904上から除去できる。図8に示すように、本実施形態における容器908の平面形状は、例えば、コの字状である。
なお、除去補助領域914に関しても、除去領域907と同様に面積が大きければ大きいほど、効率良く余剰の樹脂含有塗料を除去できる。しかし、本発明の目的が達成される限りにおいては、その面積や形状等については特に制限はない。容器908の形状や開口面積等についても同様である。
図6Bおよび図7Bに示した例では、除去補助領域914は除去領域907と繋がっており、除去補助領域914と除去領域907とが連続した一つの領域を構成しているので、余剰の樹脂含有塗料を効率的に除去でき好ましい。しかし、除去補助領域914は、必ずしもは除去領域907と繋がっていなくてもよい。
除去補助領域914を構成する複数の第3の孔が網目である場合、除去補助領域914におけるメッシュ数は、100〜600であると好ましく、線材の線幅は20μm〜100μmであると好ましい。
本実施形態では、多層情報記録媒体を量産する場合において、各多層情報記録媒体が有する樹脂層603,605,607(図1参照)間の厚みのばらつきを極力小さくするため、1層の塗料層を形成する毎に、スキージ901と塗布領域906の間、すなわち、塗料一時保持領域911に、樹脂含有塗料903を供給する。
樹脂含有塗料903の供給量は、ディスペンサー等の塗料供給部(図示せず)によって行なわれる。樹脂含有塗料903は、例えば、第1信号基板601の外径が120mm、内径が15mmであり、第1情報記録部602の外径が117mm、内径が46mmである場合、1層の塗料層を形成する毎に10ml補充した。また初回供給量も10mlとした。
本実施形態でも実施形態1と同様に、樹脂層の平均厚みの目標値を25μmとした。1層の樹脂層603の形成に必要な樹脂含有塗料903の量は0.25mlである。よって、1層の塗料層を形成する毎に9.75mlの樹脂含有塗料がスクリーン904上に余る。余剰の樹脂含有塗料の積算量は、実施形態1における場合よりも多い。そのため、スクリーン904が、除去領域907に加えて除去補助領域914を有していても、複数の塗料層の形成を連続的に行うと、場合によっては、余剰の樹脂含有塗料が塗布領域906内に浸入して、塗料層の形成が妨げられる恐れがある。
このような場合、周期的に、スキージ901のストローク長(進行方向Xへの摺動距離)を変化させると好ましい。例えば、1層目〜20層目の塗料層を形成する際のストローク長よりも、21層目の塗料層を形成する際のストローク長をより長くして、塗布領域906と除去領域907との間の領域913に蓄積された余剰の樹脂含有塗料を、除去領域907内に押し込むと好ましい。各塗料層の形成の際に、除去領域907に達するまでスキージ901を摺動させてもよいが、上記のとおり、周期的(例えば、2以上の塗料層を形成する毎)にスキージ901のストローク長を変化させれば、余剰の樹脂含有塗料も効率的に除去でき、よって、効率的に樹脂層を形成できる。
また、本実施形態では、容器908に収容された樹脂含有塗料に対して、下記のようなリサイクル処理を行った。
まず、上記樹脂含有塗料を、直径5μm以上の不純物の透過を阻止可能な程度の網目を有するカートリッジフィルターを透過させて不純物を取り除いた。次いで、樹脂含有塗料を容器908内にもどし、ロータリーポンプを用いた排気によって、容器908内を90kPa以下に減圧した。この状態を1時間保持することによって、脱泡処理をした。
第1信号基板601のテーブル909への固定と、樹脂含有塗料903の供給やスキージ901の位置補正等とを並行して行うことにより、タクト時間をさらに短縮することができる。
樹脂層605、607についても、樹脂層603と同様に形成する。第1〜4情報記録部602、604,606,608、透明層609については実施形態1と同様に形成して、図1に示した多層情報記録媒体を得る。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、第1工程と第2工程とをこの順で、各々必要回数行う。最後に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する(図1参照)。
次に、1層の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を10ml追加しながら、5000層の樹脂層を連続形成する場合について検討する。
5000層の樹脂層のうちの幾つかの樹脂層について厚みを測定し、表3に、それらの樹脂層の平均厚み、最小厚み、最大厚み、厚み斑を示した。初回供給量も10mlとした。樹脂層の厚みの測定方法は表1に示した例と同様の方法で行った。その他の条件は、表2に示した例と同様にした。
Figure 2007026765
表3に示された結果と表2に示された結果とを比較する。表2中、最も薄い樹脂層の厚みは23.8μmであり、最も厚い樹脂層の厚みは26.4μmであり、個体ばらつきも含めた厚み斑は2.6μm(=26.4μm−23.8μm)である。一方、表3中、最も薄い樹脂層の厚みは24.0μmであり、最も厚い樹脂層の厚みは26.1μmであり、個体ばらつきも含めた厚み斑は2.1μm(=26.1μm−24.0μm)である。以上のことから、10層の塗料層を形成する毎に樹脂含有塗料を補充する場合よりも、1層の塗料層を形成する毎に樹脂含有塗料を補充する場合の方が、平均厚みがより目標値に近い樹脂層を形成でき、かつ、各樹脂層について厚み斑を小さくすることができることが確認できた。
(実施形態3)
実施形態3では、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例について図9A〜図10Bを用いて説明する。
図9Aおよび図10Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、図9Aは塗布直前の様子を示した図、図10Aは塗布直後の様子を示した図である。図9Bは、塗布直前のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図であり、図10Bは、塗布直後のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。
これらの図において、1001はスキージ、1002はスクリーン枠、1003は紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂含有塗料、1004はスクリーン、601は第1信号基板、602は第1情報記録部、1006は塗布領域、1007は余剰の樹脂含有塗料1003を除去するための除去領域、1011は塗料一時保持領域、1013は塗布領域1006と除去領域1007との間の領域、1008はスクリーン1004から除去された余剰の樹脂含有塗料1003を収容するための容器、1009はテーブル、1010は樹脂含有塗料903が塗布されることにより第1信号基板601の上方に形成された塗料層を表す。樹脂含有塗料1003については、実施形態1で用いた樹脂含有塗料103と同様のものを用いればよい。
本実施形態では、第2工程において、塗布領域1006よりも除去領域1007の方が低くなるように、スクリーン1004を水平面に対して傾斜させる。かつ、スクリーン1004に対応して第1の情報記録部602およびテーブル1009も同角度傾斜させる。このような状態で、第1情報記録部602に樹脂含有塗料1003を塗布する。本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法は、以上のこと以外は実施形態1と同様である。よって、第1信号基板601の保持や、スキージ1001の摺動等については、実施形態1と同様に行なわれる。傾斜角度については、5度〜30度が好ましい。本実施形態の一例では、傾斜角度を10度とした。
本実施形態では、上記のとおり塗布領域1006よりも除去領域1007の方が低くなるように、スクリーン1004を水平面に対して傾斜させた状態で樹脂含有塗料の塗布を行なう。そのため、実施形態2のように、スキージ1001のストローク長を長くしたり、スクリーン1004に除去補助領域を設ける等しなくても、余剰の樹脂含有塗料1003をより確実にスクリーン1004上から除去できる。
樹脂層605、607についても、樹脂層603と同様に形成する。第1〜4情報記録部602、604,606,608、透明層609については実施形態1と同様に形成して、図1に示した多層情報記録媒体を得る。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、第1工程と第2工程とをこの順で、各々必要回数行う。最後に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する(図1参照)。
以上のことから、本実施形態においても、実施形態1〜2と同様に、所望の厚みを有し且つ厚みの均一性が良好な樹脂層を形成できる。よって、情報の記録、または情報の再生が良好に行える多層情報記録媒体を提供できる。
(実施形態4)
実施形態4では、本発明の多層情報記録媒体の製造装置の一例について、図11および図12を用いて説明する。
図11は、本発明の多層情報記録媒体の製造装置の全体を示した構成概念図であり、図12は、上記製造装置を構成する樹脂層形成部(多層情報記録媒体の製造過程で用いられる印刷装置)の構成概念図である。本実施形態においても、図1に示した多層情報記録媒体を形成する場合を例にあげて、本実施形態の製造装置の構成および動作について説明する。
図11に示すように、本実施形態の多層情報記録媒体の製造装置は、情報記録部形成部705と、樹脂層形成部707と、透明層形成部706とを備えている。樹脂層形成部707は、印刷部701と、信号転写部702と、樹脂硬化実施部703と、剥離処理部704とから構成されている。この製造装置では、後述のとおり、複数の多層情報記録媒体を連続的に製造できる。
情報記録部形成部705は、例えば、従来から良くしられた、スパッタリング装置、または蒸着装置などの薄膜形成装置で構成されている。情報記録部形成部705では、まず、複数の第1信号基板601に対して、第1情報記録部602が順次形成される(情報記録部形成工程)。
図12に示すように、樹脂層形成部707を構成する印刷部701は、例えば、スクリーン701bと、塗料供給部701dと、スキージ701eと、余剰の樹脂含有塗料を収容するための容器701fとを有している。
スクリーン701bは、実施形態1において説明したスクリーン104(図3Bまたは図4B等参照)と同様に、樹脂含有塗料を一時的に保持するための塗料一時保持領域111と、塗布領域106と、除去領域107とを有する。塗料供給部701dは、スクリーン701b上にペースト状の樹脂含有塗料701cを供給可能とする、例えばディスペンサーである。なお、スクリーン701bは、実施形態2で説明したスクリーン904(図6Bおよび図7B等参照)と同様に、除去補助領域914を有していてもよい。
スキージ701eは、スクリーン701bに荷重をかけながらスクリーン701b上を摺動可能である。スキージ701eをスクリーン701bに対して摺動させると、例えば、塗料供給部701dによってスクリーン104上に供給された樹脂含有塗料701cの一部を、塗布領域を通して第1情報記録部602(図1等参照)に塗布できる。
図12に示すように、第1情報記録部が形成された第1信号基板601は、印刷部701内に配置されたテーブル708に搬送され、上記印刷部701では、第1信号基板601上の第1情報記録部に、樹脂含有塗料701cが塗布される。このようにして、第1情報記録部上に未硬化状態の紫外線硬化樹脂を含む塗料層が形成される。
スクリーン701bは、塗料層の形成後に残った樹脂含有塗料をスクリーン701b上から除去可能とする除去領域を有しているので、除去領域から除去される。余剰樹脂含有塗料の除去は、第1情報記録部が形成された第1信号基板601の入れ替えが行なわれている再最中、および/または、入れ替えられた、第1情報記録部が形成された第1信号基板601に塗料層が形成されている最中に、除去領域から除去される。
なお、本実施形態の製造装置は、第1信号基板601をテーブル708に一時的に吸着固定可能とする吸引手段を備えていると好ましい。吸引手段としては、例えばバキューム等が挙げられる。
図12に示す様に信号転写部702は、信号転写用基板702aを複数備えている。各信号転写用基板702aは、情報面として凹凸面を有している。搬送部713によって信号転写部702内に搬送された各塗料層に対して、上記情報面が接するように、塗料層と信号転写用基板712とを張り合わせられる。これにより、信号転写用基板の情報面が塗料層に転写される。搬送部713による搬送は、図中の矢印の方向に行われる。
図12に示す様に樹脂硬化実施部703は、紫外線を照射可能な光照射装置712から構成されている。樹脂硬化実施部703内に搬送された各塗料層に対して信号転写用基板712越しに紫外線を照射すれば、各塗料層に含まれる紫外線硬化樹脂が硬化して、樹脂層603(図1参照)が形成される。
樹脂層形成部707を構成する剥離処理部704内では、剥離処理部704内に搬送された、第1信号基板と第1情報記録部と樹脂層と信号転写用基板からなる構造物について、樹脂層と信号転写用基板との界面で2つに分離する剥離処理がなされる。剥離処理部704は、例えば、信号転写用基板709と情報面が形成された樹脂層を含む構造体710を保持可能とする1対の吸着パッド、信号転写用基板709と上記構造体710との界面に挿入されてこれらを剥がす金属板等から構成されている。なお、図12において、709は樹脂層から剥離された信号転写用基板であり、710は情報面が形成された樹脂層を含む構造体である。
本実施形態では、樹脂層形成部における一連の処理(樹脂層形成工程)は、減圧ポンプ711を用いて樹脂層形成部707全体を減圧雰囲気に保ちながら行う。図12において、713は圧力検出装置であり、圧力検出装置713は、樹脂層形成部707内の圧力を一定に保持可能とするために圧力制御装置(図示せず。)に接続されている。このように、樹脂含有塗料の塗布、信号の転写、樹脂の硬化および剥離処理の全てを、減圧雰囲気中で行えば、コンタミを低減でき、樹脂層中への気泡の混入を低減でき、かつ印刷中の樹脂含有塗料への気泡混入も低減できる。
このようにして得られた、複数の構造体710は、順次、情報記録部形成部および樹脂層形成部に所定回数搬送されて、構造体710の各々に、第2〜4情報記録部604,606、608、および樹脂層605,607(図1参照)が形成される。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、情報記録部形成工程と樹脂層形成工程とをこの順で、各々必要回数行う(図1参照)。
第4情報記録部608(図1参照)の形成後は、図11に示すように透明層形成部706で透明層609(図1参照)が形成される。透明層が、例えば、紫外線硬化樹脂を含む塗料から形成される場合、透明層形成部706は、透明層形成用の印刷部と、透明層形成用の樹脂硬化実施部とを備える。透明層形成用の印刷部の構成は、例えば、樹脂層形成部の印刷部と同様であってもよく、スクリーンについてだけ、透明層の形成専用のものを用いればよい。透明層形成用の樹脂硬化実施部は、樹脂層形成部の樹脂硬化実施部と同様に紫外線を放射する光照射装置から構成されていればよい。
実施形態1〜4では、いずれも、4つの情報記録部を備えた多層情報記録媒体を例に挙げて説明した。しかし、本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法この例に制限されない。製造装置についても、4つの情報記録部を備えた多層情報記録媒体を製造するものに限定されない。情報記録部の数は、第1信号基板、各樹脂層、透明層等の厚みを調整することにより、2つまたは3つとしてもよいし、5つ以上としてもよい。複数の情報記録部を備えた情報記録媒体は、大容量の情報を記録再生可能である。
実施形態1〜4では、第1〜第4情報記録部は、いずれも、反射膜503、第1誘電体膜504、記録膜505、第2誘電体膜506が、第1信号基板側からこの順で配置された構造をしているが(図2参照)、第1〜第4情報記録部はこの形態に制限されない。各情報記録部は、少なくとも記録膜を含んでいればよく、その他の膜のうちの少なくとも1つがなくてもよいし、これらの膜以外の膜が含まれていてもよい。反射膜503、第1誘電体膜504、記録膜505、および第2誘電体膜506の材料についても、実施形態1で説明した材料に制限されず、それぞれ、公知の材料のいずれであってもよい。
実施形態1〜4では、円盤状のいわゆる光ディスクを例に挙げて説明したが、本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法はこの例に限定されない。例えば、メモリーカードなどにも、本発明は適用できる。
実施形態1〜4では、樹脂層は、信号転写用基板によって転写された情報面を有していが、例えば、ホログラムメモリ等のような多層情報記録媒体にあっては、樹脂層は上記情報面を備えていなくても良い。
本発明の多層情報記録媒体の製法方法および製造装置によれば、厚みの均一性が高い樹脂層を形成できるので、情報の再生、または情報の記録再生が良好に行われる多層情報記録媒体を、生産性良く提供できる。本発明は、中心孔を有する円盤形のBlu−ray Discのみならず、メモリーカード、CD、DVD、ホログラムメモリ等にも適用できる。
本発明は、情報の記録、または情報の再生を目的とした多層情報記録媒体およびその製造方法に関するものである。
近年、情報機器または映像音響機器等で処理される情報量の拡大化に伴い、データアクセスが容易で、大容量データを蓄積可能で、かつ機器の小型化に対応可能な光ディスクなどの、情報記録媒体が注目されている。また、情報記録媒体について情報の高密度記録化が検討されており、高密度記録可能な情報記録媒体として、波長が約400nmのレーザ光源と開口数(NA)が0.85の集光レンズとを含む光ヘッドを備えた記録再生装置を用いて、情報が記録再生される情報記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この情報記録媒体では、例えば、単一の記録層について25GB程度、2層の記録層について50GB程度の容量のデータを蓄積可能である。
次に、特許文献1に記載された従来の多層情報記録媒体の構造及び製造方法を、図13A〜図15Jを用いて説明する。
図13A〜図13Fには、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型(スタンパ)の製造方法を示している。まず、ガラス板201上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜202を形成する(図13A参照)。次いで、レーザ光203を用いて、ピットや案内溝等のパターンを感光膜202に転写するための露光を行う(図13B参照)。図13Bにおいて、202aは、レーザ光203が照射された部分(露光部)である。露光部の感光材料は現像工程を経ることにより除去され、ピットや案内溝等のパターン204がガラス板201上に形成された光記録原盤205が得られる(図13C参照)。次に、スパッタリングや蒸着等の方法によってパターン204上に導電膜206を形成する。すると、パターン204の形状が導電膜206に転写される(図13Cおよび図13D参照)。次に、導電膜206上にめっき膜207を形成して、導電膜206の剛性を高め、かつ導電膜206に厚みを持たせる(図13E参照)。次に、めっき膜207と導電膜206とからなる積層体を、光記録原盤205から剥離して、スタンパ208を得る(図13F参照)。
図14は、従来の多層情報記録媒体の断面図を示している。この多層情報記録媒体は、第1信号基板301を含んでいる。第1信号基板301上には、第1情報記録部302が配置され、第1情報記録部302上には、第2信号基板303が配置されている。第2信号基板303上には、第2情報記録部304と、透明層305と、透明基板306とがこの順に配置されている。透明層305は、透明基板306を第2情報記録部304に貼りつけるために設けられている。
第1信号基板301は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面として有している。この情報面は、図13Fに示したスタンパ208を用いて、第1信号基板301を射出圧縮成型法により成形する際に形成される。第1信号基板301の平均厚みは1.1mm程度である。第1情報記録部302および第2情報記録部304は、それぞれ記録膜や反射膜等を含んでおり、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。
第2信号基板303は、スピンコート法によって塗布された光硬化性樹脂に、凹凸面を有する信号転写用基板を貼りつけ、光硬化性樹脂の硬化後に、光硬化性樹脂から信号転写用基板を剥離することによって形成される。信号転写用基板は、図13Fに示したスタンパ208と同様に、凹凸面を有している。
透明基板306は、記録再生光に対して十分に透明な材料からなる。透明層305は、光硬化性樹脂や、感圧接着剤等の接着剤から形成されている。透明基板306と透明層305とを足した平均厚みは0.075mm程度である。このようにして作製された多層情報記録媒体の記録再生は、透明基板306側から記録再生レーザ光を入射することによって行なわれる。
次に、図15A〜図15Jを用いて従来の多層情報記録媒体の製造方法についてより詳細に説明する。
まず、第1信号基板401の情報面上に、スパッタリングや蒸着等の方法により第1情報記録部402を形成する。第1信号基板401は吸引器等の手段によって回転テーブル403に固定された状態にしておく(図15A参照)。次に、第1情報記録部402に、ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂を含む塗料404を所望の半径を有する円を描くように塗布する(図15B参照)。次に、回転テーブル403を回転して、塗料404を延伸する。延伸の際には、遠心力によって余分な樹脂と気泡とが除去される。延伸後の塗料404の厚みは、塗料404の粘度、回転テーブルの回転数、回転時間、雰囲気条件(温度や湿度など)を任意に設定することにより、所望の値に制御できる。回転停止後、塗料404を、光照射機405を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層404'とする(図15C参照)。
一方で、回転テーブル407上に信号転写用基板406を固定する。信号転写用基板406は、図13Fに示したスタンパ208と同様の凹凸面を有している(図15D参照)。信号転写用基板406上に、ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂を含む塗料408を所望の半径を有する円を描くように塗布する。次に、回転テーブル407を回転して、塗料408を延伸する。延伸後の塗料408の厚みは、塗料404の場合と同様の方法により制御できる(図15E参照)。回転テーブル407の回転を停止した後、塗料408を、光照射機409を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層408'とする(図15F参照)。
次に、基板410と基板411とを、回転テーブル403上で、光硬化性樹脂層408'と404'とが向い合うように、光硬化性樹脂を含む塗料412を介して重ね合わせ、この状態で、回転テーブル403を回転させる(図15G参照)。回転テーブル403の回転により、塗料412は所望の厚みに制御(延伸)される。その後、塗料412を、光照射機405を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層412'とする(図15H参照)。次に、光硬化性樹脂層408'から信号転写用基板406を剥離する。
なお、塗料404に含まれる光硬化性樹脂には、第1情報記録部402および光硬化性樹脂層412'と接着性が良好なものが選択される。塗料408に含まれる光硬化性樹脂には、信号転写用基板406との剥離性が良く、且つ光硬化性樹脂層412'(図15H参照)との接着性が良好なものが選択される。塗料404,412,408の粘度は、薄い光硬化性樹脂層の形成を可能とするために、いずれも約150mPa・s程度に調整されている。なお、光硬化性樹脂層404'、408'、412'からなる一体化物(樹脂層ともいう)は、図14における第2信号基板303に相当する。上記一体化物の厚みは、説明の都合上、図14における第2信号基板303の厚みよりも厚く記載している。
次に、光硬化性樹脂層408′の第1信号基板401側の面の反対面上、すなわち、第2情報面上に、スパッタリングや蒸着等の方法により第2の情報記録部413を形成し、第2情報記録部413上に、透明層415形成用の、光硬化性樹脂を含む塗料を塗布する。次いで、塗布された塗料に透明基板414を貼りつけた後、回転テーブル403を回転させることにより、塗料に混入した気泡を除去しながら、かつ塗料を延伸する。その後、透明基板414越しに、塗料に所定の波長の光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、塗料を透明層415とする(図15I参照)。
特開2002−092969号公報
しかし、スピンコート法によって光硬化性樹脂層等を形成すると、周方向の細かな膜厚変動や、半径方向の大きな膜厚変動が生じる。特に、多数の情報記録部を備えた多層情報記録媒体では、隣り合う情報記録部間に配置された信号基板(樹脂層)の膜厚変動の足し合わせにより、多層情報記録媒体全体の厚さ変動が大きくなる。
また、スピンコート法では、被塗布面の縁部にまで塗料が行きわたる。そのため、光照射によって光硬化性樹脂を硬化させる時に、縁部上に配置された光硬化性樹脂が表面張力により盛り上がり、その結果、被塗布面の縁部上における光硬化性樹脂層404'の厚みが、被塗布面の他の部分上におけるそれより顕著に大きくなってしまう(図15J参照)。この厚さ変動は、光硬化性樹脂層404'、408'、412'からなる一体化物(樹脂層)の厚さ変動をもたらす。樹脂層の厚さ変動は、レーザ光を用いて情報の記録、または情報の再生を行う際に、球面収差の増大により光スポットのサイズの変動を引き起こす。さらに、上記厚さ変動は、情報面上へ光スポットの焦点を維持するフォーカス制御や、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御にも悪影響を与えてしまう。これらの結果、多層情報記録媒体について、情報の記録、または情報の再生が良好に行えないという問題が生じる。
また、スピンコート法において上記厚さ変動を抑制するためには、回転テーブルの回転速度や回転数などを制御するための複雑なプログラムを作製しなければならない。よって、スピンコート法において上記厚さ変動を抑制しようとすると、タクト時間が増大するという問題が生じる。
そこで、本発明者らは、樹脂層の形成にスピンコートではなく、スクリーン印刷技術の応用を試みた。次に、図16A〜図16Dを用いて、スクリーン印刷技術を用いた樹脂層の形成について説明する。
図16Aに示すように、まず、表面に第1情報記録部502が形成された第1信号基板501を、バキューム等の手段によってテーブル(図示せず)に固定する。次に、第1情報記録部502の上に、所定の間隔をあけて、例えば、スクリーン504等の孔版を配置する。スクリーン504は、スクリーン枠506に固定されている。次にスクリーン504上の網目が開いていない部分に紫外線硬化樹脂等を含む塗料を供給し、図16Bに示すように、スクレッパー507を摺動することにより、スクリーン504の網目内に塗料を充填する。次に、スクリーン504に所定の圧力を加えるようにスキージ508を摺動させ、スクリーン504の網目内に充填された樹脂含有塗料を、網目から押し出して、第1情報記録部502上へ塗布する(図16C、図16D参照)。第1信号基板501を入れ替え、図16Aから図16Dまでの作業を行うことによって、表面に塗料が塗布された第1信号基板501を複数得ることができる。なお、スムーズかつ確実な塗布を行うために、図16Aにおいて、スクリーン504上に供給される塗料の量は、一層の塗料層の形成に必要な量より多い。そのため、余った塗料のみによって別の塗料層が形成されるか、または、上記余った塗料に新たな塗料が追加されて、別の塗料層が形成される。
このようなスクリーン印刷では、信号基板を設置する時間と、スクレッパー507及びスキージ508がスクリーン上を摺動する時間の和が、塗料塗布のタクト時間に相当するため、スピンコート法よりもタクト時間の短縮化を比較的容易に実現できる。
しかし、この製造方法では、スクリーン504上に供給された塗料が、スクレッパー507及びスキージ508の摺動に伴い変質してしまう。変質の原因としては、スクレッパー507及びスキージ508の摺動に伴い塗料が空気を巻き込みながら移動するので、粘度が変わることや、スクレッパー507及びスキージ508が摺動する際に生じる摩擦等によって、塗料の温度が変化すること等が考えられる。塗料の粘度が変化すると、塗料層の厚みが、塗料層毎に異なってしまう恐れがある。塗料層の厚みが、塗料層毎に異なると、複数の多層上表記録媒体の品質にバラツキが生じる。また、一つの塗料層または樹脂層についても厚みむらが生じる恐れもある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、厚みの均一性が高い樹脂層を形成可能とすることにより、情報の再生、または情報の記録再生が良好に行われる多層情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法は、2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体の製造方法であって、前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する第1工程と、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給された樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより前記複数の第1孔内を通過させて、前記所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する第2工程とを含み、前記第1工程と前記第2工程とをそれぞれ所定回数行い、各第2工程において、前記所定の情報記録部に塗布されなかった前記スクリーン上の残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去することを特徴とする。
本発明の多層情報記録媒体は、本発明の多層情報記録媒体の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置は、2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体を製造するための製造装置であって、前記情報記録部を形成する情報記録部形成部と、前記樹脂層を形成する樹脂層形成部とを含み、前記樹脂層形成部は、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を除去領域とを有するスクリーンと、前記スクリーン上に前記樹脂含有塗料を供給可能とする塗料供給部と、前記スクリーン上を摺動可能とし、前記スクリーン上を摺動することによって、前記塗料供給部によって前記スクリーン上に供給される前記樹脂含有塗料を、前記複数の第1孔を通過させて前記情報記録部上に塗料層を形成可能とするスキージと、を含む印刷部と、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化可能とする樹脂硬化実施部とを含み、前記除去領域は、前記情報記録部に塗布されずに前記スクリーン上に残る樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去可能とすることを特徴とする。
本発明の多層情報記録媒体製造用スクリーンは、本発明の多層情報記録媒体の製造装置を構成するスクリーンであって、複数の第1孔を有し、前記スクリーン上に供給される前記樹脂含有塗料の一部を、前記複数の第1孔を通過させて前記情報記録部へ塗布可能とする塗布領域と、複数の第2孔を有し、前記情報記録部に塗布されないで前記スクリーン上に残る樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより前記スクリーン上から除去可能とする除去領域とを含むことを特徴とする。
本発明の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法は、2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された、多層情報記録媒体を複数個連続製造する製造方法であって、前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する情報記録部形成工程と、複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給される樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより、前記複数の第1孔内を通過させて、所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程とを含み、各多層情報記録媒体を製造するために、情報記録部形成工程と樹脂層形成工程とをそれぞれ所定回数行い、各情報記録部に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部は、1以上の塗料層を形成する毎に、または、他の塗料層を形成している最中に、複数の第2孔内を通過させて、前記スクリーン上から除去することを特徴とする。
本発明によれば、厚みの均一性がよい樹脂層を形成可能とすることにより、情報の記録、または情報の再生が良好に行える多層情報記録媒体を提供できる。また、複数の多層情報記録媒体について、品質のバラツキが生じることを抑制できる。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、スクリーン上から除去された樹脂含有塗料はリサイクル処理されて、再度スクリーン上に供給される。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域の周囲において、スキージの進行方向に沿って設けられ、複数の第3孔を有した除去補助領域をさらに有している。あるいは、スクリーンが、塗布領域を挟むように配置された1対の除去補助領域をさらに有し、各除去補助領域が複数の第3孔を有している。このように、スクリーンが除去補助領域を有している場合、除去領域と除去補助領域とが繋がっていると好ましい。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、第2工程において、塗布領域よりも除去領域の方が低くなるように、スクリーンを水平面に対して傾斜させる。そして、スクリーンに対応して所定の情報記録部も傾斜させる。この状態で、所定の情報記録部に樹脂含有塗料を塗布する。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、樹脂含有塗料に含まれる樹脂が、例えば光硬化性樹脂である。光硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂であると好ましい。樹脂含有塗料は、界面活性剤および脱泡剤のうちの少なくとも1種を含んでいると好ましい。
本発明の多層情報記録媒体の製造方法の好ましい一例では、第2工程において、塗料層を介して、凹凸表面を有する信号転写用基板と信号基板とを貼り合わせ、次いで、塗料層に含まれる樹脂を硬化して樹脂層を形成する。塗料層に含まれる樹脂の硬化後に、樹脂層から信号転写用基板を剥離する。この場合、信号転写用基板と信号基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせると好ましい。信号転写基板は、ポリオレフィン樹脂を含んでいると好ましい。
本発明の多層情報記録媒体の一例は、本発明の製造方法の一例によって製造されているので、樹脂の厚みの均一性が優れている。そのため、多層情報記録媒体の光(記録光、再生光)の入射側の表面から各情報記録部の記録までの距離、すなわち、光路長の変動が少ない。よって、本発明の多層情報記録媒体の一例では、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動が抑制されており、フォーカス制御およびトラッキング制御も安定して行われる。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、多層情報記録媒体の製造装置を構成する印刷部が、スクリーン上から除去される樹脂含有塗料を収容可能とする容器を備えている。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、樹脂層形成部が、信号転写用基板を含む信号転写部と、樹脂層から信号転写用基板を剥離する剥離処理部をさらに含む。信号転写用基板は、情報面として凹凸面を有し、塗料層に貼付けられることにより、塗料層に情報面を転写可能とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、樹脂層形成部が、信号基板を着脱自在に固定可能とするテーブルを備える。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域よりも除去領域の方が低くなるように、水平面に対して傾斜しており、かつ、スクリーンに対応してテーブルも傾斜している。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、樹脂硬化実施部が、光照射装置を備えている。この光照射装置は、例えば、紫外線を照射可能とする。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーン上から除去されて容器に溜まる樹脂含有塗料に対してリサイクル処理をし、リサイクル処理された樹脂含有塗料を塗料供給部に供給可能とするリサイクル機構を備えている。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域の周囲において、スキージの進行方向に沿って設けられ、複数の第3孔を有した除去補助領域を有している。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、スクリーンが、塗布領域を挟むように配置された1対の除去補助領域を有し、各除去補助領域が複数の第3孔を有している。
本発明の多層情報記録媒体の製造装置の好ましい一例では、除去領域と除去補助領域とが繋がっている。
本発明の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法の好ましい一例では、1層の塗料層を形成する毎に、スクリーン上に樹脂含有塗料を補充する。
本発明の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法の好ましい一例では、スキージの摺動距離を、周期的に変化させる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、多層情報記録媒体として、ディスク状の情報記録媒体を例に挙げて説明するが、本発明における多層情報記録媒体はこれに限定されず、例えば、メモリーカード等の情報記録媒体であってもよい。
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の多層情報記録媒体の製造方法の一例および、この方法により製造される多層情報記録媒体の一例について図1〜図5Dを用いて説明する。
図1は本発明の多層情報記録媒体の一例の断面図である。図1に示すように、多層情報記録媒体は、第1信号基板601と、第1信号基板601の情報面上に配置された第1情報記録部602とを備えている。第1信号基板601は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面として有している。また、多層情報記録媒体は、第1情報記録部602上に配置された第2信号基板603を備えている。第2信号基板603は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第1信号基板601側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第2情報記録部604を備えている。多層情報記録媒体は、第2情報記録部604上に配置された第3信号基板605を備えている。第3信号基板605は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第2信号基板603側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第3情報記録部606を備えている。多層情報記録媒体は、第3情報記録部606上に配置された第4信号基板607を備えている。第4信号基板607は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第3信号基板605側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第4情報記録部608と、第4情報記録部608上に配置された透明層609とを備えている。
なお、本願において、第2〜4信号基板603、605、607は、樹脂層603,605,607と呼び、第1信号基板601は単に信号基板601と呼ぶ場合もある。
第1信号基板601は、情報記録媒体の反りを抑制するため、情報記録媒体の剛性を高めるため、および他の光ディスク(CD、DVDなど)との互換性を確保するために、外径φ120mm、厚さ1.0〜1.1mm程度の円板から形成されている。第1信号基板601の材料としては、例えば、ポリカーボネイトやアクリル系樹脂などが挙げられる。図1に示した多層情報記録媒体では、第1信号基板601の材料としてポリカーボネイトを用いている。
凹凸形状の情報面は、例えば、図13Fに示したスタンパ208を用いて、第1信号基板601の成型する際に同時に形成される。第1信号基板601は、例えば、射出圧縮成型法等の成形法により形成できる。第1信号基板601はその中心部に、直径φ15mmの中心孔610を有している。この中心孔610によって、プレーヤによる情報の記録再生の際に、多層情報記録媒体はプレーヤの所定の位置に回転可能に保持される。
第1信号基板601上に形成される樹脂層603、605、607や透明層609が光硬化性樹脂を含む場合、これらの層の形成の際には、光硬化収縮が生じる。この光硬化収縮は第1信号基板601に反りをもたらしてしまう。従って、樹脂層603、605、607および透明層609の形成後において、多層情報記録媒体に反りが生じないよう、第1信号基板601は、予め、上記光硬化収縮による反りと反対の反りを有するように形成されていると好ましい。
本実施形態の多層情報記録媒体が再生専用の多層情報記録媒体(ROM)である場合、第1情報記録部602は、例えば、Al、Ag、Au、Si、SiO2などの金属や半導体、誘電体を材料として、スパッタリングや蒸着等の方法により形成されている。
次に、本実施形態の多層情報記録媒体がWrite Once型の多層情報記録媒体である場合の第1情報記録部602の構成について図2を用いて説明する。
第1情報記録部602は、例えば、AlCrからなる反射膜503、ZnSからなる第1誘電体膜504、TeOPdからなる記録膜505、ZnSからなる第2誘電体膜506が、第1信号基板601(図1参照)側からこの順で配置された構造をしている。これらの層は、いずれも、例えば、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。反射膜503の材料には、AlCrに代えて、再生専用の多層情報記録媒体と同様に、AgやAu等の金属を主成分とする材料を用いてもよい。
第2情報記録部604、第3情報記録部606、および第4情報記録部608についても、第1情報記録部602と同様の構造をしている。反射膜503の厚みを調整したり、反射膜503を除去したり、および/または第1誘電体膜504や記録膜505の厚みを調整することにより、多層情報記録媒体の光学特性を調整できる。また、第1〜4情報記録部は色素膜(図示せず)等をさらに備えた構造をしていてもよい。
樹脂層603、605、607は、記録再生光に対してほぼ透明である。樹脂層603は、例えば、アクリル樹脂を主成分とする紫外線硬化樹脂から形成されていると好ましい。紫外線硬化樹脂は、紫外線域の波長の光に対してのみ高感度に反応して硬化するからである。
次に、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例について、図3A〜図5Dを用いて説明する。
図3Aおよび図4Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、図3Aは塗布直前の様子を示した図、図4Aは塗布直後の様子を示した図である。図3Bは、塗布直前のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図であり、図4Bは、塗布直後のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。
これらの図において、101はスキージ、102はスクリーン枠、103は紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂含有塗料、104はスクリーン、601は第1信号基板、106は塗布領域、107は余剰の樹脂含有塗料を除去するための除去領域、111は塗料一時保持領域、108はスクリーン104上から除去された余剰の樹脂含有塗料を収容するための容器、109はテーブル、110は樹脂含有塗料が塗布されることにより形成された塗料層、602は第1情報記録部を表す。樹脂含有塗料103は、紫外線硬化樹脂等の樹脂の他に、粘度調整のための溶媒、硬化開始剤等を含んでいてもよい。粘度調整のための溶媒には、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)などが用いられる。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、まず、第1信号基板601の情報面上に、記録膜や反射膜などを含む第1情報記録部602を形成する(第1工程)。第1情報記録部602を構成する記録膜505(図2参照)や反射膜503(図2参照)などは、いずれも、スパッタリングや蒸着等の方法により形成する。第1信号基板601は、必要に応じて、バキューム等の手段によってテーブル109に固定されている。
次に、第1情報記録部602上に樹脂層603を形成する(第2工程)。第2工程では、下記の処理がなされる。
まず、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601上に、所定の間隔をあけて、所定寸法の網目を有するスクリーン104を配置する。上記間隔は、樹脂含有塗料の塗布が良好に行なわれれば特に制限はない。上記間隔は樹脂含有塗料の粘度等によって異なるが、通常1mm〜5mmが適当である。
スクリーン104は、塗料一時保持領域111と、塗布領域106と、除去領域107とを有している。これらの領域は、スキージ101の進行方向Xに沿ってこの順に存在している。ここで、スキージ101の進行方向Xとは、樹脂含有塗料を情報記録部に塗布する時のスキージ101の移動方向のことである。
塗料一時保持領域111は、樹脂含有塗料103を一時的に保持するための領域である。塗布領域106は、スクリーン104の厚み方向に貫通した複数の第1孔を有している。複数の第1孔は例えば網目であり、この網目内を通過した樹脂含有塗料は被印刷物(情報記録部)に塗布される。各第1孔の大きさや数等を調整することにより、塗布量を適切な量に調整できる。除去領域107は、スクリーン104の厚み方向に貫通した複数の第2孔を有している。複数の第2孔も例えば網目であり、情報記録部に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料は複数の第2孔内を通過して、スクリーン104上から除去される。
スクリーン枠102にスクリーン104が固定されたスクリーン部材114は、例えば、下記のようにして作製される。
まず、スクリーン枠102に、例えば、網目等の複数の孔を有する多孔質材料等を張り、この多孔質材料に感光乳剤をコーティングする。次いで、コーティングされた多孔質材料のうちの塗布領域106となる箇所および除去領域107となる箇所以外を遮光マスクによりマスクする。次いで、露光装置を用いて多孔質材料に紫外線を一定時間照射する。紫外線照射によって露光された部分を水噴射などによって水洗することにより現像すれば、塗布領域106と除去領域107とを有するスクリーン104がスクリーン枠102に固定されたスクリーン部材114を得ることができる。
なお、スクリーン枠102の材料には、例えば、木材、アルミニウム、ステンレス、プラスチックなどを用いることができる。なかでも、軽量かつ剛性の高いアルミニウムが好ましい。多孔質材料の原料には、例えば、シルク、ナイロン(登録商標)、ポリエステル、ポリアリレート、ステンレスなどを用いることができるが、なかでも、摩擦等による被印刷物への負荷が小さくできる点においてポリエステルが好ましい。また、外圧に対する復元性がよい点では、ポリアリレートが好ましい。
感光乳剤には、例えば、ジアゾニウム塩または重クロム酸塩を、PVAまたは酢酸ビニルエマルジョンに混合し溶解させたものなどを用いることができる。スクリーン104の塗布領域106および除去領域107におけるメッシュ数(1インチ当たりの線材の本数)は、100〜600であると好ましい。線材の線幅は20μm〜100μmであると好ましい。メッシュ数および線材の線幅がこの範囲内にあれば、樹脂含有塗料の通過不良や塗布ムラを生じさせることなく、樹脂含有塗料を塗布できる。なお、複数の第1孔および複数の第2孔は網目に限定されない。
以下に、スクリーン枠102としてアルミを使用し、スクリーンの材料としてポリエステルからなる多孔質材料を使用した例について、より具体的に、第2工程を説明する。しかし、スクリーン枠102やスクリーン104に他の材料を用いた場合も、この例と同様の効果を奏する。
まず、図3Aおよび図3Bに示すように、スクリーン104のうちの塗料一時保持領域111上に樹脂含有塗料103を滴下する。滴下は例えばディスペンサー等により行う。樹脂含有塗料103の滴下量については、一層の塗料層(硬化後に樹脂層となる)の形成に必要な量であれば特に制限はないが、スムーズかつ確実な塗布を行うためには、一層の塗料層の形成に必要な量よりも多いと好ましい。また、一層の塗料層の形成に必要な量よりも多い樹脂含有塗料を一度に供給しておけば、一層の塗料層の形成後に樹脂含有塗料を補充しなくても、スキージ101に付着した樹脂含有塗料によって、別の塗料層を1層以上形成できる。
図3Aおよび図3Bに示した例では、塗料一時保持領域111が、スクリーン104のスキージ101の進行方向両端部のうちの、進行開始端部の近傍に有る。スキージ101は、スクリーン104上の塗料一時保持領域111に供給された樹脂含有塗料103よりも、より進行開始側に配置しておく。
次に、スキージ101を、スクリーン104に荷重を加えながら、スクリーン104上を摺動させ、スクリーン104の塗布領域106を通過させる。スキージ101の摺動に伴い、樹脂含有塗料の一部は、塗布領域106の複数の第1孔内を通過して、第1情報記録部602に塗布される。第1情報記録部602に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料103については、塗布領域106と除去領域107の間の領域113に溜められるか、または、除去領域107の複数の第2孔内を通過してスクリーン104上から除去される。図4Aおよび図4Bに示した例では、残余の樹脂含有塗料は領域113に溜められている。領域113に溜められた樹脂含有塗料103は、例えば、下記(1)および/または(2)のようにしてスクリーン104上から除去される。
(1)樹脂含有塗料103自信の流動性により徐々に除去領域107内に移動して、スクリーン104上から除去される。
(2)別の多層情報媒体の製造過程において上記と同様にして塗料層を形成する。この塗料層の形成の際に残った余剰の樹脂含有塗料によって、領域113に既に溜まっていた樹脂含有塗料103が領域113から押し出されて除去領域107内に入り、スクリーン104上から除去される。
スクリーン104に供給される樹脂含有塗料103の粘度については、低すぎると塗布された樹脂含有塗料の流動が高くなりすぎる。樹脂含有塗料103の流動が高すぎると、第1信号基板601から樹脂含有塗料103がはみ出たり、硬化後に第1信号基板105の周縁端部で樹脂の盛り上りが生じたりする。一方、樹脂含有塗料103の粘度が高すぎると、樹脂含有塗料103が塗布領域106の第1孔内を通過し難くなる。そのため、樹脂含有塗料103の第1情報記録部602への塗布が行い難くなる。温度変化及び/又は湿度変化に起因する樹脂含有塗料103の粘度への影響等を考慮すると、スクリーン104に供給される樹脂含有塗料103の粘度は、25℃の雰囲気下で、30cps〜10000cps(30mPa・s〜10000mPa・s)であると好ましく、1000cps〜5000cps(1000mPa・s〜5000mPa・s)であるとより好ましい。
なお、本願において、粘度は、回転粘度計を用いて測定した値である。回転粘度計を用いた粘度の測定方法は、回転子の回転トルクが粘度に比例することを利用している。回転子には、例えば、円筒形のローターや羽等が用いられる。回転トルクとは、試料(樹脂含有塗料)中に入れられた回転子を、棒状の軸を介して連結されたモーター等によって一定速度で回転させ続けるのに必要な力のことである。
本実施形態では、製造される多層情報記録媒体について、開口数が0.85の対物レンズと、波長405nmのレーザ光源とを備えた記録再生ヘッドを用いて、情報の再生が可能となるよう、樹脂層603、605、607(図1参照)の平均厚みは、例えば、5μm〜25μmとされる。
樹脂含有塗料103の塗布範囲は、スクリーン104における塗布領域106の面積や、形状等を選択することにより制限できる。本実施形態において、第1信号基板601の外径φは、例えば120mmである。第1信号基板601は、例えば直径φ15mmの中心孔610(図1参照)を有している。このような第1信号基板601に対して、例えば、第1信号基板601の内径よりも外側の領域であって(例えば、中心から10mm以上離れた領域)、かつ、第1信号基板601の外径よりも内側の領域(例えば、中心から59.5mm以内の領域)にのみ、樹脂含有塗料103を塗布可能な塗布領域106を有するスクリーン104を用いる。このようなスクリーン104を用いれば、第1信号基板601の外周縁部601a(図1参照)および内周縁部601b(図1参照)を除く第1信号基板601上、すなわち、直径119mmの円内であって、直径20mmの円外に、樹脂含有塗料105を塗布できる(図4A参照)。
第1信号基板601の外周縁部601a(図1参照)や内周縁部601b(図1参照)にも樹脂含有塗料103を塗布した場合に、樹脂含有塗料103に含まれる樹脂を硬化させると、各縁部に塗布された樹脂が表面張力により盛り上がる。その結果、各縁部上における樹脂層603,605,607(図1参照)の厚みが、樹脂層603,605,607の他の部分の厚みよりも顕著に大きくなる。よって、樹脂層603,605,607の厚みの均一性が悪くなる。樹脂層603,605,607の厚さ変動は、レーザ光を用いて情報の記録、または情報の再生を行う際に、球面収差の増大により光スポットのサイズの変動を引き起こす。さらに、上記厚さ変動は、情報面上へ光スポットの焦点を維持するフォーカス制御や、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御にも悪影響を与えてしまう。これらの結果、多層情報記録媒体に対して情報の記録または情報の再生が良好に行えないという問題が生じる。また、第1信号基板601から樹脂含有塗料がはみ出すことにより、多層情報記録媒体の内外径各々の寸法精度が悪化し、美観も損なうなどの問題が発生する。
しかし、上記のとおり、スクリーン104における塗布領域106の面積や形状等を、スクリーン104に対向する第1信号基板601の平面内に納まるように設定すれば、樹脂層603,605,607(図1参照)の厚さ変動、および光路長の変動が抑制される。その結果として、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動を抑制でき、フォーカス制御およびトラッキング制御も安定して行われる多層情報記録媒体を提供できる。また、寸法精度がよく、外観の良好な多層情報記録媒体を提供できる。
スクリーン104における除去領域107の面積や形状等については、余剰の樹脂含有塗料を十分除去できれば特に制限はないが、図3Bに示すように、スキージ101の幅W1よりも、スキージ101の進行方向Xと直交する除去領域107の幅W2の方が大きいと好ましい。幅W2が幅W1よりも大きいと、図4Bに示すように、スキージ101の両端101a,101bからはみ出た樹脂含有塗料103についても効率よく除去できるからである。また、除去領域107の面積が大きければ大きいほど、より効率的に樹脂含有塗料を除去できる。
スクリーン104における除去領域107の配置位置については、スキージ101の進行方向に沿って、塗布領域106よりも、進行方向終了側に配置されており、塗布領域106と繋がっていなければ特に制限はない。しかし、余剰の樹脂含有塗料103が逆流して塗布領域106内に浸入しな程度に、塗布領域106と除去領域107とが離れていると好ましい。
樹脂含有塗料103には、塗布時の空気混入を抑制するために、界面活性剤が含まれていると好ましい。空気が混入した樹脂含有塗料103を用いると、樹脂層の厚みの均一性が損なわれるとともに、多層情報記録媒体の記録特性または再生特性が劣化してしまうからである。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性の界面活性剤、またはノニオン性の界面活性剤等が挙げら得るが、なかでも、塗料層110のレベリング(表面凹凸の平滑化)がより良好に行える、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
また、本実施形態の多層情報記録媒体の製法方法では、樹脂含有塗料103中に混入した気泡を除去する方法として、下記(1)〜(3)の方法を採用することが好ましい。
(1)樹脂含有塗料103の塗布後には、塗料層110に信号転写が行なわれ、次いで、塗料層110に含まれる樹脂の硬化が行なわれる。樹脂含有塗料を塗布して塗料層を形成した後、塗料層を所定時間放置した後に信号転写を行う。信号転写は、例えば、凹凸表面を情報面として有する信号転写用基板802(図5A参照)を用いて行う。放置環境は、大気圧下でもよいが減圧下(例えば、1Pa〜100Pa)であると好ましい。好ましい放置時間は樹脂含有塗料103の粘度や放置環境等により左右されるが、樹脂含有塗料103の粘度が高ければ高いほど長い時間が必要となる。通常は1〜5分間程度である。所定時間放置することにより、樹脂含有塗料103に含まれる気泡が除去されるとともに、塗料層110のレベリングも行なわれるので好ましい。なお、「平滑」の程度は、第1信号基板601と、信号転写用基板802(図5A参照)との貼り合わせが良好に行える程度であれば充分である。
(2)樹脂含有塗料に消泡剤を混入する。消泡剤には、例えば、シリコン系消泡剤、非シリコン系消泡剤等を用いることができる。なかでも、樹脂層603,605,607(図1参照)の光透過性を良好に確保する観点からは、非シリコン系消泡剤が好ましい。非シリコン系消泡剤としては、特に限定されないが、例えば、2−エチルヘキサノール、ポリプロピレン誘電体、オレイン酸などが挙げられる。
(3)予め脱泡された樹脂含有塗料を用いる。脱泡は、ロータリーポンプなどにより減圧された金属製のドラム容器内等で行える。
(1)〜(3)を採用することによる気泡除去効果は、樹脂含有塗料の材料や粘度等によって異なるが、これらを組み合わせて採用することにより、樹脂含有塗料中の泡を大幅に低減できる。
以上のようにして、高精度、且つ厚みの均一性が良好な塗料層110を形成できる(図4A参照)。
次に、テーブル109から、塗料層110が一方の主面の上方に形成された第1信号基板601を取り出し、別の、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601をテーブル109に固定する。第1情報記録部602が形成された第1信号基板601の入れ替えとスキージ101の進行方向Xへの摺動とを繰り返して行って、樹脂含有塗料103の塗布を複数の第1情報記録部に対して行えば、塗料層を連続的に形成できる。
より具体的説明すると、例えば、図3A〜図4Bを用いて説明した処理を、異なる、第1情報記録部602が形成が形成された第1信号基板601に対して行う。スクリーン104への樹脂含有塗料103の供給は、1層の塗料層110を形成する毎に行ってもよいし、または、複数の塗料層110を形成する毎に行ってもよい。
各塗料層110の形成後、図4Aに示したスキージ101については、進行方向Xとは逆方向に摺動される。この逆方向へのスキージ101の摺動と、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601の入れ替えとを同時進行させれば、別の樹脂層形成にかかるタクト時間を短縮できる。
次に、第2工程における、樹脂含有塗料103の塗布後の処理について説明する。
図5Aに示すように、塗料層110が一方の主面の上方に形成された第1信号基板601を、減圧槽801の中に配置する。第1信号基板601の中心部に形成された中心孔610にセンターボス806を通すことによって、第1信号基板601を所定の位置に固定する。信号転写用基板802についても減圧槽801中に配置する。信号転写用基板802は、例えば、紫外線硬化樹脂との剥離性が良好な、ポリオレフィンを含んでいると好ましい。また、ポリオレフィンは成形性が良好であり、ピットや案内溝を含む凹凸形状を有する情報面を例えば射出圧縮成形等の樹脂成形法により容易に成形できるので、信号転写用基板802の材料として好適である。
さらに、ポリオレフィンは紫外線を透過させることが可能であるので、信号転写用基板802越しに、塗料層110に紫外線を照射すれば、塗料層110に含まれる紫外線硬化樹脂を効率良く硬化できる。ポリオレフィンとしては、例えば、シクロペンタジエンを原料とするシクロオレフィンが挙げられる。
第1信号基板601の平均厚みが、例えば、1.1mmである場合、信号転写用基板802の平均厚みは、例えば、0.6mmであると好ましい。第1信号基板601よりも薄い信号転写用基板802を用いれば、厚さの相違による剛性差により、樹脂硬化後の信号転写用基板802の剥離が容易に行える。
減圧槽801内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの減圧ポンプ803によって排気可能であり、短時間で所定の気圧にまで減圧可能である。本実施形態においては、減圧槽801内が、例えば、100Pa以下の真空度に達したときに、図5Bに示すように、信号転写用基板802と第1信号基板601とを塗料層110および第1情報記録部602を介して貼り合わせる。このとき、加圧プレート804によって、信号転写用基板802を加圧して、塗料層110に信号転写用基板802の凹凸面を情報面として転写する。減圧槽801内が減圧されていることから、塗料層110と信号転写用基板802との間に気泡を混入させることなく、信号転写用基板802と第1信号基板601と貼り合せることができる。また、樹脂含有塗料の第1情報記録部602への塗布時に、塗料層内に混入した気泡も取り除くことができる。
次に、貼り合わされた第1信号基板601と信号転写用基板802とを、減圧槽801から取り出す。次いで、図5Cに示すように、信号転写用基板802の上方に配置された紫外線照射装置805によって、信号転写用基板802越しに、塗料層110に紫外線を照射して、樹脂含有塗料に含まれる紫外線硬化樹脂を硬化し、塗料層110を樹脂層とする。
次いで、樹脂層603から信号転写用基板802を剥離する(図5D参照)。この際、信号転写用基板802と樹脂層603との間に圧縮エアーを吹き込むと好ましい。このようにして、情報面を有する樹脂層603を形成する。
なお、紫外線の照射、および/または、信号転写用基板802の剥離についても、信号転写用基板802と第1信号基板601との貼り合せ時と同様に、減圧雰囲気下で行なってもよい。
次に、第1工程として、第2情報記録部604を、第1情報記録部602と同様に、スパッタリング等の方法により形成する。さらに、第3〜4情報記録部606,608についても、同様にして形成する。また、第2工程として、樹脂層605,607についても、同様にして形成する。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、第1工程と第2工程とをこの順で、各々必要回数行う(図1参照)。
最後に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する。透明層609は、例えば、記録再生光に対してほぼ透明な(透過性を有する)アクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を用いて形成する。透明層609についても、例えば、樹脂層603、605,607と同様に、透明層609形成用の塗料をスクリーンを通して第4情報記録部608等に塗布することにより形成する(図1参照)。
第4情報記録部608の直上における透明層609の平均厚みは、透明層609の表面から第1情報記録部602までの距離が、100μm程度となるように、透明層609と第1情報記録部602との間に配置された樹脂層603、605、607の厚みに応じて決定される。上記100μmは、今回用いた記録再生ヘッドによる球面収差の補正可能限界である。
例えば、樹脂層603、605、607の平均厚さが、9.5μm、13.5μm、17.5μmである場合は、透明層609の平均厚さは、59.5μm(100μm−9.5μm−13.5μm−17.5μm)とする。樹脂層603、605、607の平均厚さがいずれも10μmである場合は、透明層609の平均厚さは、70μm(100μm−10μm×3層)とする。なお、第1〜4情報記録部の各厚みは、樹脂層603、605、607や透明層609のそれと比較して桁違いに薄いので無視できる。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層603、605、607および第1〜第4情報記録部602,604,606,608がいずれも、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bを除く第1信号基板601上に形成されている(図1参照)。そのため、透明層609は、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bと接合するように形成できる。したがって、第1〜4情報記録部602,604,606,608と樹脂層603、605、607とを、透明層609と第1信号基板601によって囲うことができる。ポリカーボネイトは硬化前の紫外線硬化樹脂および硬化後の紫外線硬化樹脂と接着性が高い。したがって、第1信号基板601の材料として、ポリカーボネイトを用い、透明層609の材料として紫外線硬化樹脂を用いれば、湿気などが原因で各樹脂層とそれに接する情報記録部とが剥離することを抑制できる。
上記では、第1信号基板の上方に塗料層を形成した後に信号転写基板を重ね合わせることで塗料層に信号を転写する場合について説明した。しかし、例えば、樹脂含有塗料の粘度が比較的低いために、所望の厚みの樹脂層を形成することが困難な場合は、下記ようにして塗料層を形成してもよい。
信号転写用基板802上に、第1樹脂含有塗料を第1スクリーンの孔を通して塗布する。一方、第1信号基板の上方に、第2樹脂含有塗料を第2スクリーンを通して塗布する。第1スクリーンと第2スクリーンは、それぞれ、図3A〜図4Bを用いて説明したスクリーン104と同様のものを用いればよい。第1樹脂含有塗料および第2樹脂含有塗料には、図3A〜図4Bを用いて説明した例と同様のものを用いればよい。
次いで、第1樹脂含有塗料および第2樹脂含有塗料を介して、第1信号基板601と信号転写用基板802とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせる。第1樹脂含有塗料と第2樹脂含有塗料とを密着させた後に、これらの樹脂含有塗料に信号転写基板を介して紫外線を照射し、樹脂を硬化させる。このようにすれば、樹脂含有塗料の粘度が比較的低い場合であっても、所望の厚みの樹脂層を形成できる。
次ぎに、複数の塗料層を樹脂含有塗料を途中で補充することなく形成する場合について検討する。
下記の条件下で、樹脂含有塗料を途中で補充することなく20層の塗料層110(図4A参照)を形成した。そして、このようにして形成された各塗料層110に含まれる樹脂を硬化して得られる各樹脂層603(図1参照)について厚みを測定した。表1には、各樹脂層603の平均厚み、最小厚み、最大厚み、厚み斑を示している。なお、各樹脂層の平均厚みの目標値は25μmとした。
塗料層の形成前の雰囲気温度25℃
第1信号基板601の形状:外径120mm、内径15mm
第1情報記録部602の形状:外径117mm、内径46mm
スクリーンの材料:塗布領域106および除去領域107(図3B等参照)以外の領域に乳化剤(ジアゾ感光乳剤)がコーティングされたポリアリレート製メッシュ
塗布領域106におけるメッシュ数:160(線幅:45μm)
除去領域におけるメッシュ数:100(線幅:70μm)
樹脂含有塗料の供給量:5ml
塗布前の樹脂含有塗料103の粘度:2000mPa・s(雰囲気温度25℃)
塗布前におけるスクリーン104と第1情報記録部602との最短距離:3.5mm
(樹脂層の厚みの測定箇所)
各樹脂層の厚みは、第1信号基板601の中心を中心とする半径22mm、28mm、33mm、38mm、43mm、48mm、53mm、58mm,58.3mm、58.6mmの円周上を、それぞれ、6度間隔で測定した。すなわち、互いに測定箇所が重複しないように600箇所について、各樹脂層の厚みを測定した。表1における平均厚みは600箇所における厚みの平均値である。
(樹脂層の厚みの測定方法)
樹脂層の厚みは、光の干渉効果を利用した方法(PV法)にて測定した。この測定方法は、樹脂層の表面で反射した光とその裏面で反射した光が互いに干渉を起こし、これらの反射光の位相が一致すると強度が高まり、ずれると弱まるという性質を利用している。波長の変化に伴い反射光強度が変化する干渉パターンが観測され、このパターンにおけるピーク波長λ1およびバレー波長λ2が、光路差2nd(n=樹脂層の屈折率、d=樹脂層の厚さ)の整数倍であるという関係から、樹脂層の厚みdを得る。
樹脂層の厚みの測定には、多層情報記録媒体の記録再生に用いるレーザ光よりも、長波長のレーザ光を用いた。多層情報記録媒体に記録された情報を再生するレーザ光と同等の波長の光を出射する光源を、樹脂層の厚みを測定するための装置に用いた場合、情報記録部に記録されている情報によって光回折が発生し、この光回折が、樹脂層の厚みの測定に悪影響を与えてしまうからである。本例では、記録再生用のレーザ光として、波長が約400nm程度の青色レーザを使用するので、波長650nmの程度の赤色レーザ光を用いて樹脂層の厚みを測定した。
表1中の厚み斑とは、「平均厚み25μm」を樹脂層の厚みの目標値として樹脂層を形成した場合の、Peak to Peak value(PP値)のことである。例えば、PP値が1.5μmである場合、表1において1.5μmと記載している。
Figure 2007026765
多層情報記録媒体が、波長405nmの光を用いて記録再生される多層情報記録媒体であり、樹脂層の平均厚みの目標値が25μmである場合、樹脂層に関して許容されるPP値は2.5μmである。
表1に示すように、1〜11層目の塗料層の厚み斑は2.5μm以下となっている。このことから、11層目の塗料層を形成し終わる前に樹脂含有塗料を補充しなくても、厚み斑について実用上許容される11層の樹脂層を形成できることが確認できた。
表1に示すように、後に形成された樹脂層ほど厚み斑が大きくなっているが、これは、樹脂含有塗料の粘度と温度が変化し樹脂含有塗料が変質したためと考えられる。樹脂含有塗料が変質する主要因は、樹脂含有塗料の移動中の空気の巻き込みと、移動による摩擦熱の発生であると考えられる。
なお、表1に示した例では、雰囲気温度25℃における粘度が2000mPa・sの樹脂含有塗料を用いた場合の結果であるが、25℃の雰囲気下における粘度が1000〜4000mPa・sの樹脂含有塗料を用いた場合も、同様の結果か得られる。
次に、10層の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を30ml追加して、連続して5000層の塗料層を形成する場合について検討する。
5000層の樹脂層のうちの幾つかの樹脂層について厚みを測定し、表2に、それらの樹脂層の平均厚み、最小厚み、最大厚み、厚み斑を示した。初回の樹脂含有塗料の供給量も30mlとした。5000層の塗料層の形成最中、スクリーンの温度とスクリーン上の樹脂含有塗料の温度がほぼ一定に保たれるように、水冷式クーラーを用いて22℃の風を10m3/min、雰囲気中に供給し続けた。樹脂層の厚みの測定方法は表1に示した例と同様の方法で行った。その他の条件は、表1に示した例と同様にした。
Figure 2007026765
表2に示すように、測定した全ての樹脂層について、厚み斑は2.5μm以下であり、ほぼ一定であった。樹脂層の平均厚みについてもほぼ一定であった。
表2に示した例では、10層の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を30ml追加した。ところで、例えば、第1信号基板601の外径が120mm、内径が15mmであり、第1情報記録部602の外径が117mm、内径が46mmである場合、樹脂層603の形成に必要な樹脂含有塗料の量は約0.25mlである。よって、10層の樹脂層の形成に消費される樹脂含有塗料の量は2.5mlにしか満たない。よって、計算上では、10層の塗料層を形成する毎に、スクリーン104上の、除去領域107と塗布領域106との間の領域113(図4B参照)に27.5ml(=30ml−2.5ml)の樹脂含有塗料103が積載される。このように、樹脂層の形成に必要な樹脂含有塗料の量よりも、遥かに多い量の樹脂含有塗料を供給するのは、スムーズかつ確実に、厚み斑の小さい塗料層を形成するためである。
図4Bに示すように、領域113に溜まった樹脂含有塗料は、追加される余剰の樹脂含有塗料によって領域113から押出され、除去領域107内に入る。除去領域107内に押し込まれた樹脂含有塗料は、その自重により除去領域107の複数の第2孔(例えば、網目)内を通過し、徐々にスクリーン104上から除去される。
また、除去領域107の下方には、スクリーン104上から除去された樹脂含有塗料を貯留する容器108が設けられている。そのため、スクリーン104上から落下した樹脂含有塗料は順次この容器108内に蓄積される。よって、スクリーン104上には、10層の塗料層を形成する毎に、計算上では、27.5mlの余剰の樹脂含有塗料が積載されることになるが、除去領域107から徐々に余剰の樹脂含有塗料が除去されるため、スクリーン104上から樹脂含有塗料があふれ出る心配はない。
容器108の形状や開口面積等については、スクリーン104上から除去された樹脂含有塗料を収容できる限り特に制限はない。
容器108内に貯留された樹脂含有塗料は、リサイクル処理されて再利用されることが望ましい。余剰の樹脂含有塗料は、大気に長時間さらされ、および/または、スクリーン104に擦り付けられているので、気泡や異物が混入している可能性が高い。気泡や異物が混入した樹脂含有塗料を樹脂層の形成に用いると、良好な記録または再生が行えなくなる。よって、再使用前に、樹脂含有塗料中の気泡や異物は取り除いておかなければならない。
リサイクル処理は例えば、下記の方法(1)〜(4)により行える。
(1)フィルターに通して、樹脂含有塗料中の異物を除去する。
(2)樹脂含有塗料を減圧槽内にしばらくの間入れて、樹脂含有塗料中の気泡を除去する。
(3)遠心力を利用して、樹脂含有塗料中の気泡を除去する。
(4)超音波を利用して、樹脂含有塗料中から気泡を浮き上がらせ、または、破泡させる。
これらの方法は、2種以上組み合わせて採用すると好ましい。例えば、直径10μm以上の不純物の透過を阻止可能な程度の網目を有するカートリッジフィルターに通して、リサイクル対象の樹脂含有塗料から不純物を除去した後、遠心脱泡機を用いて、不純物除去後の樹脂含有塗料から気泡を除去すると好ましい。このようなリサイクル処理を経た樹脂含有塗料を再度スクリーン104上に供給すれば、樹脂含有塗料の有効使用率を高めることができる。
以上のとおり、本実施形態では、複数層(例えば10層)の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を供給しても、樹脂層の厚みと厚み斑をほぼ一定に保つことができるので、大量生産に適している。また、スクリーン104に、余剰の樹脂含有塗料を除去するための除去領域107を設けているので、余剰の樹脂含有塗料をスクリーン104上から除去できる。そのため、スクリーンのメンテナンス頻度を減らすことができる。さらに、スクリーン104上から除去された余剰の樹脂含有塗料については、リサイクル処理をすることによって再度スクリーン104上に供給できるので、樹脂含有塗料の有効使用率が高くなる。
(実施形態2)
実施形態2では、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例について、図6A〜図8を用いて説明する。
図6Aおよび図7Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、図6Aは塗布直前の様子を示した図、図7Aは塗布直後の様子を示した図である。図6Bは、塗布直前のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図であり、図7Bは、塗布直後のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。樹脂含有塗料903については、実施形態1で用いた樹脂含有塗料103と同様のものを用いればよい。
これらの図において、901はスキージ、902はスクリーン枠、903は紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂含有塗料、904はスクリーン、601は第1信号基板、602は第1情報記録部、906は塗布領域、907は余剰の樹脂含有塗料903を除去するための除去領域、911は塗料一時保持領域、908はスクリーン904から除去された余剰の樹脂含有塗料903を収容するための容器、909はテーブル、910は樹脂含有塗料903が塗布されることにより第1信号基板601上に形成された塗料層を表す。
本実施形態では、第2工程において、(1)塗布領域106を挟むように配置され、塗布領域106と離間した1対の除去補助領域914を有するスクリーン904を用いたこと、および(2)この1対の除去補助領域914を設けたことに対応して、スクリーン904から除去された余剰の樹脂含有塗料を収容するための容器908の形状を変えたこと以外は、実施形態1と同様である。よって、第1信号基板601の保持や、スキージ901の摺動等については、実施形態1と同様に行なわれる。
本実施形態では、スクリーン904が除去補助領域914を有しているので、余剰の樹脂含有塗料903を効率よくスクリーン904上から除去できる。図8に示すように、本実施形態における容器908の平面形状は、例えば、コの字状である。
なお、除去補助領域914に関しても、除去領域907と同様に面積が大きければ大きいほど、効率良く余剰の樹脂含有塗料を除去できる。しかし、本発明の目的が達成される限りにおいては、その面積や形状等については特に制限はない。容器908の形状や開口面積等についても同様である。
図6Bおよび図7Bに示した例では、除去補助領域914は除去領域907と繋がっており、除去補助領域914と除去領域907とが連続した一つの領域を構成しているので、余剰の樹脂含有塗料を効率的に除去でき好ましい。しかし、除去補助領域914は、必ずしもは除去領域907と繋がっていなくてもよい。
除去補助領域914を構成する複数の第3の孔が網目である場合、除去補助領域914におけるメッシュ数は、100〜600であると好ましく、線材の線幅は20μm〜100μmであると好ましい。
本実施形態では、多層情報記録媒体を量産する場合において、各多層情報記録媒体が有する樹脂層603,605,607(図1参照)間の厚みのばらつきを極力小さくするため、1層の塗料層を形成する毎に、スキージ901と塗布領域906の間、すなわち、塗料一時保持領域911に、樹脂含有塗料903を供給する。
樹脂含有塗料903の供給量は、ディスペンサー等の塗料供給部(図示せず)によって行なわれる。樹脂含有塗料903は、例えば、第1信号基板601の外径が120mm、内径が15mmであり、第1情報記録部602の外径が117mm、内径が46mmである場合、1層の塗料層を形成する毎に10ml補充した。また初回供給量も10mlとした。
本実施形態でも実施形態1と同様に、樹脂層の平均厚みの目標値を25μmとした。1層の樹脂層603の形成に必要な樹脂含有塗料903の量は0.25mlである。よって、1層の塗料層を形成する毎に9.75mlの樹脂含有塗料がスクリーン904上に余る。余剰の樹脂含有塗料の積算量は、実施形態1における場合よりも多い。そのため、スクリーン904が、除去領域907に加えて除去補助領域914を有していても、複数の塗料層の形成を連続的に行うと、場合によっては、余剰の樹脂含有塗料が塗布領域906内に浸入して、塗料層の形成が妨げられる恐れがある。
このような場合、周期的に、スキージ901のストローク長(進行方向Xへの摺動距離)を変化させると好ましい。例えば、1層目〜20層目の塗料層を形成する際のストローク長よりも、21層目の塗料層を形成する際のストローク長をより長くして、塗布領域906と除去領域907との間の領域913に蓄積された余剰の樹脂含有塗料を、除去領域907内に押し込むと好ましい。各塗料層の形成の際に、除去領域907に達するまでスキージ901を摺動させてもよいが、上記のとおり、周期的(例えば、2以上の塗料層を形成する毎)にスキージ901のストローク長を変化させれば、余剰の樹脂含有塗料も効率的に除去でき、よって、効率的に樹脂層を形成できる。
また、本実施形態では、容器908に収容された樹脂含有塗料に対して、下記のようなリサイクル処理を行った。
まず、上記樹脂含有塗料を、直径5μm以上の不純物の透過を阻止可能な程度の網目を有するカートリッジフィルターを透過させて不純物を取り除いた。次いで、樹脂含有塗料を容器908内にもどし、ロータリーポンプを用いた排気によって、容器908内を90kPa以下に減圧した。この状態を1時間保持することによって、脱泡処理をした。
第1信号基板601のテーブル909への固定と、樹脂含有塗料903の供給やスキージ901の位置補正等とを並行して行うことにより、タクト時間をさらに短縮することができる。
樹脂層605、607についても、樹脂層603と同様に形成する。第1〜4情報記録部602、604,606,608、透明層609については実施形態1と同様に形成して、図1に示した多層情報記録媒体を得る。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、第1工程と第2工程とをこの順で、各々必要回数行う。最後に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する(図1参照)。
次に、1層の塗料層を形成する毎に、樹脂含有塗料を10ml追加しながら、5000層の樹脂層を連続形成する場合について検討する。
5000層の樹脂層のうちの幾つかの樹脂層について厚みを測定し、表3に、それらの樹脂層の平均厚み、最小厚み、最大厚み、厚み斑を示した。初回供給量も10mlとした。樹脂層の厚みの測定方法は表1に示した例と同様の方法で行った。その他の条件は、表2に示した例と同様にした。
Figure 2007026765
表3に示された結果と表2に示された結果とを比較する。表2中、最も薄い樹脂層の厚みは23.8μmであり、最も厚い樹脂層の厚みは26.4μmであり、個体ばらつきも含めた厚み斑は2.6μm(=26.4μm−23.8μm)である。一方、表3中、最も薄い樹脂層の厚みは24.0μmであり、最も厚い樹脂層の厚みは26.1μmであり、個体ばらつきも含めた厚み斑は2.1μm(=26.1μm−24.0μm)である。以上のことから、10層の塗料層を形成する毎に樹脂含有塗料を補充する場合よりも、1層の塗料層を形成する毎に樹脂含有塗料を補充する場合の方が、平均厚みがより目標値に近い樹脂層を形成でき、かつ、各樹脂層について厚み斑を小さくすることができることが確認できた。
(実施形態3)
実施形態3では、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例について図9A〜図10Bを用いて説明する。
図9Aおよび図10Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、図9Aは塗布直前の様子を示した図、図10Aは塗布直後の様子を示した図である。図9Bは、塗布直前のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図であり、図10Bは、塗布直後のスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。
これらの図において、1001はスキージ、1002はスクリーン枠、1003は紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂含有塗料、1004はスクリーン、601は第1信号基板、602は第1情報記録部、1006は塗布領域、1007は余剰の樹脂含有塗料1003を除去するための除去領域、1011は塗料一時保持領域、1013は塗布領域1006と除去領域1007との間の領域、1008はスクリーン1004から除去された余剰の樹脂含有塗料1003を収容するための容器、1009はテーブル、1010は樹脂含有塗料1003が塗布されることにより第1信号基板601の上方に形成された塗料層を表す。樹脂含有塗料1003については、実施形態1で用いた樹脂含有塗料103と同様のものを用いればよい。
本実施形態では、第2工程において、塗布領域1006よりも除去領域1007の方が低くなるように、スクリーン1004を水平面に対して傾斜させる。かつ、スクリーン1004に対応して第1の情報記録部602およびテーブル1009も同角度傾斜させる。このような状態で、第1情報記録部602に樹脂含有塗料1003を塗布する。本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法は、以上のこと以外は実施形態1と同様である。よって、第1信号基板601の保持や、スキージ1001の摺動等については、実施形態1と同様に行なわれる。傾斜角度については、5度〜30度が好ましい。本実施形態の一例では、傾斜角度を10度とした。
本実施形態では、上記のとおり塗布領域1006よりも除去領域1007の方が低くなるように、スクリーン1004を水平面に対して傾斜させた状態で樹脂含有塗料の塗布を行なう。そのため、実施形態2のように、スキージ1001のストローク長を長くしたり、スクリーン1004に除去補助領域を設ける等しなくても、余剰の樹脂含有塗料1003をより確実にスクリーン1004上から除去できる。
樹脂層605、607についても、樹脂層603と同様に形成する。第1〜4情報記録部602、604,606,608、透明層609については実施形態1と同様に形成して、図1に示した多層情報記録媒体を得る。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、第1工程と第2工程とをこの順で、各々必要回数行う。最後に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する(図1参照)。
以上のことから、本実施形態においても、実施形態1〜2と同様に、所望の厚みを有し且つ厚みの均一性が良好な樹脂層を形成できる。よって、情報の記録、または情報の再生が良好に行える多層情報記録媒体を提供できる。
(実施形態4)
実施形態4では、本発明の多層情報記録媒体の製造装置の一例について、図11および図12を用いて説明する。
図11は、本発明の多層情報記録媒体の製造装置の全体を示した構成概念図であり、図12は、上記製造装置を構成する樹脂層形成部(多層情報記録媒体の製造過程で用いられる印刷装置)の構成概念図である。本実施形態においても、図1に示した多層情報記録媒体を形成する場合を例にあげて、本実施形態の製造装置の構成および動作について説明する。
図11に示すように、本実施形態の多層情報記録媒体の製造装置は、情報記録部形成部705と、樹脂層形成部707と、透明層形成部706とを備えている。樹脂層形成部707は、印刷部701と、信号転写部702と、樹脂硬化実施部703と、剥離処理部704とから構成されている。この製造装置では、後述のとおり、複数の多層情報記録媒体を連続的に製造できる。
情報記録部形成部705は、例えば、従来から良くしられた、スパッタリング装置、または蒸着装置などの薄膜形成装置で構成されている。情報記録部形成部705では、まず、複数の第1信号基板601に対して、第1情報記録部602が順次形成される(情報記録部形成工程)。
図12に示すように、樹脂層形成部707を構成する印刷部701は、例えば、スクリーン701bと、塗料供給部701dと、スキージ701eと、余剰の樹脂含有塗料を収容するための容器701fとを有している。
スクリーン701bは、実施形態1において説明したスクリーン104(図3Bまたは図4B等参照)と同様に、樹脂含有塗料を一時的に保持するための塗料一時保持領域111と、塗布領域106と、除去領域107とを有する。塗料供給部701dは、スクリーン701b上にペースト状の樹脂含有塗料701cを供給可能とする、例えばディスペンサーである。なお、スクリーン701bは、実施形態2で説明したスクリーン904(図6Bおよび図7B等参照)と同様に、除去補助領域914を有していてもよい。
スキージ701eは、スクリーン701bに荷重をかけながらスクリーン701b上を摺動可能である。スキージ701eをスクリーン701bに対して摺動させると、例えば、塗料供給部701dによってスクリーン104上に供給された樹脂含有塗料701cの一部を、塗布領域を通して第1情報記録部602(図1等参照)に塗布できる。
図12に示すように、第1情報記録部が形成された第1信号基板601は、印刷部701内に配置されたテーブル708に搬送され、上記印刷部701では、第1信号基板601上の第1情報記録部に、樹脂含有塗料701cが塗布される。このようにして、第1情報記録部上に未硬化状態の紫外線硬化樹脂を含む塗料層が形成される。
スクリーン701bは、塗料層の形成後に残った樹脂含有塗料をスクリーン701b上から除去可能とする除去領域を有しているので、除去領域から除去される。余剰樹脂含有塗料の除去は、第1情報記録部が形成された第1信号基板601の入れ替えが行なわれている再最中、および/または、入れ替えられた、第1情報記録部が形成された第1信号基板601に塗料層が形成されている最中に、除去領域から除去される。
なお、本実施形態の製造装置は、第1信号基板601をテーブル708に一時的に吸着固定可能とする吸引手段を備えていると好ましい。吸引手段としては、例えばバキューム等が挙げられる。
図12に示す様に信号転写部702は、信号転写用基板702aを複数備えている。各信号転写用基板702aは、情報面として凹凸面を有している。搬送部713によって信号転写部702内に搬送された各塗料層に対して、上記情報面が接するように、塗料層と信号転写用基板702aとを張り合わせられる。これにより、信号転写用基板の情報面が塗料層に転写される。搬送部713による搬送は、図中の矢印の方向に行われる。
図12に示す様に樹脂硬化実施部703は、紫外線を照射可能な光照射装置712から構成されている。樹脂硬化実施部703内に搬送された各塗料層に対して信号転写用基板702a越しに紫外線を照射すれば、各塗料層に含まれる紫外線硬化樹脂が硬化して、樹脂層603(図1参照)が形成される。
樹脂層形成部707を構成する剥離処理部704内では、剥離処理部704内に搬送された、第1信号基板と第1情報記録部と樹脂層と信号転写用基板からなる構造物について、樹脂層と信号転写用基板との界面で2つに分離する剥離処理がなされる。剥離処理部704は、例えば、信号転写用基板709と情報面が形成された樹脂層を含む構造体710を保持可能とする1対の吸着パッド、信号転写用基板709と上記構造体710との界面に挿入されてこれらを剥がす金属板等から構成されている。なお、図12において、709は樹脂層から剥離された信号転写用基板であり、710は情報面が形成された樹脂層を含む構造体である。
本実施形態では、樹脂層形成部における一連の処理(樹脂層形成工程)は、減圧ポンプ711を用いて樹脂層形成部707全体を減圧雰囲気に保ちながら行う。図12において、713は圧力検出装置であり、圧力検出装置713は、樹脂層形成部707内の圧力を一定に保持可能とするために圧力制御装置(図示せず。)に接続されている。このように、樹脂含有塗料の塗布、信号の転写、樹脂の硬化および剥離処理の全てを、減圧雰囲気中で行えば、コンタミを低減でき、樹脂層中への気泡の混入を低減でき、かつ印刷中の樹脂含有塗料への気泡混入も低減できる。
このようにして得られた、複数の構造体710は、順次、情報記録部形成部および樹脂層形成部に所定回数搬送されて、構造体710の各々に、第2〜4情報記録部604,606、608、および樹脂層605,607(図1参照)が形成される。すなわち、第1情報記録部602と樹脂層603とを形成した後、さらに、情報記録部形成工程と樹脂層形成工程とをこの順で、各々必要回数行う(図1参照)。
第4情報記録部608(図1参照)の形成後は、図11に示すように透明層形成部706で透明層609(図1参照)が形成される。透明層が、例えば、紫外線硬化樹脂を含む塗料から形成される場合、透明層形成部706は、透明層形成用の印刷部と、透明層形成用の樹脂硬化実施部とを備える。透明層形成用の印刷部の構成は、例えば、樹脂層形成部の印刷部と同様であってもよく、スクリーンについてだけ、透明層の形成専用のものを用いればよい。透明層形成用の樹脂硬化実施部は、樹脂層形成部の樹脂硬化実施部と同様に紫外線を放射する光照射装置から構成されていればよい。
実施形態1〜4では、いずれも、4つの情報記録部を備えた多層情報記録媒体を例に挙げて説明した。しかし、本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法この例に制限されない。製造装置についても、4つの情報記録部を備えた多層情報記録媒体を製造するものに限定されない。情報記録部の数は、第1信号基板、各樹脂層、透明層等の厚みを調整することにより、2つまたは3つとしてもよいし、5つ以上としてもよい。複数の情報記録部を備えた情報記録媒体は、大容量の情報を記録再生可能である。
実施形態1〜4では、第1〜第4情報記録部は、いずれも、反射膜503、第1誘電体膜504、記録膜505、第2誘電体膜506が、第1信号基板側からこの順で配置された構造をしているが(図2参照)、第1〜第4情報記録部はこの形態に制限されない。各情報記録部は、少なくとも記録膜を含んでいればよく、その他の膜のうちの少なくとも1つがなくてもよいし、これらの膜以外の膜が含まれていてもよい。反射膜503、第1誘電体膜504、記録膜505、および第2誘電体膜506の材料についても、実施形態1で説明した材料に制限されず、それぞれ、公知の材料のいずれであってもよい。
実施形態1〜4では、円盤状のいわゆる光ディスクを例に挙げて説明したが、本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法はこの例に限定されない。例えば、メモリーカードなどにも、本発明は適用できる。
実施形態1〜4では、樹脂層は、信号転写用基板によって転写された情報面を有していが、例えば、ホログラムメモリ等のような多層情報記録媒体にあっては、樹脂層は上記情報面を備えていなくても良い。
本発明の多層情報記録媒体の製法方法および製造装置によれば、厚みの均一性が高い樹脂層を形成できるので、情報の再生、または情報の記録再生が良好に行われる多層情報記録媒体を、生産性良く提供できる。本発明は、中心孔を有する円盤形のBlu−ray Discのみならず、メモリーカード、CD、DVD、ホログラムメモリ等にも適用できる。
図1は、本発明の多層情報記録媒体の一例の断面図である。 図2は、図1に示した多層情報記録媒体を構成する第1情報記録部の一例の断面図である。 図3Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図であり、樹脂含有塗料を塗布する直前の様子を示した図である。 図3Bは、図3Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図4Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布した直後の様子を示した図である。 図4Bは、図4Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図5Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図5Bは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図5Cは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図5Dは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図6Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する一工程断面図であり、樹脂含有塗料を塗布する直前の様子を示した図である。 図6Bは、図6Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図7Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布した直後の様子を示した図である。 図7Bは、図7Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図8は、スクリーンから除去された樹脂含有塗料を収容するための容器の一例の平面図である。 図9Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法のさらに別の例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布する直前の様子を示した図である。 図9Bは、図9Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図10Aは、図1に示した多層情報記録媒体の製造方法のさらに別の例を説明する一工程の断面図であり、樹脂含有塗料を塗布した直後の様子を示した図である。 図10Bは、図10Aに示されたスクリーンおよびスキージの様子を示した平面図である。 図11は、本発明の多層情報記録媒体の製造装置の一例を示した構成概念図である。 図12は、図11に示した多層情報記録媒体の製造装置を構成する樹脂層形成部の一例を示した構成概念図である。 図13Aは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Bは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Cは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Dは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Eは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図13Fは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図14は、従来の多層情報記録媒体の一例を示す断面図である。 図15Aは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Bは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Cは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Dは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Eは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Fは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Gは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Hは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Iは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する一工程断面図である。 図15Jは、図15Cの一部の拡大図である。 図16Aは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。 図16Bは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。 図16Cは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。 図16Dは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の他の一例を説明する一工程断面図である。
符号の説明
101、901、1001、701e スキージ
102、902、1002 スクリーン枠
103、903、1003、701c 樹脂含有塗料
104、904、1004、701b スクリーン
106、906、1006 塗布領域
107、907、1007 除去領域
108、908、1008、701f 容器
109、909、1009、708 テーブル
110、910、1010 塗料層
914 除去補助領域
601 第1信号基板
602 第1情報記録部
603 第2信号基板(樹脂層)
604 第2情報記録部
605 第3信号基板(樹脂層)
606 第3情報記録部
607 第4信号基板(樹脂層)
608 第4情報記録部
609 透明層
801 減圧槽
802 信号転写用基板
803 減圧ポンプ
804 加圧プレート
805、712 光照射装置
701 印刷部
702 信号転写部
703 樹脂硬化実施部
704 剥離処理部
705 情報記録部形成部
706 透明層形成部
707 樹脂層形成部

Claims (20)

  1. 2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体の製造方法であって、
    前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する第1工程と、
    複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給された樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより前記複数の第1孔内を通過させて、前記所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する第2工程とを含み、
    前記第1工程と前記第2工程とをそれぞれ所定回数行い、
    各第2工程において、前記所定の情報記録部に塗布されなかった前記スクリーン上の残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去することを特徴とする多層情報記録媒体の製造方法。
  2. 前記スクリーン上から除去された前記樹脂含有塗料はリサイクル処理されて、再度前記スクリーン上に供給される請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  3. 前記スクリーンは、前記塗布領域の周囲において、前記スキージの進行方向に沿って設けられ、複数の第3孔を有した除去補助領域をさらに有する請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  4. 前記スクリーンは、前記塗布領域を挟むように配置された、1対の除去補助領域をさらに有し、各除去補助領域は複数の第3孔を有している請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記第2工程において、前記塗布領域よりも前記除去領域の方が低くなるように、前記スクリーンを水平面に対して傾斜させ、かつ、前記スクリーンに対応して前記所定の情報記録部も傾斜させ、この状態で、前記所定の情報記録部に前記樹脂含有塗料を塗布して前記塗料層を形成する請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  6. 前記第2工程において、
    前記塗料層を介して、凹凸表面を有する信号転写用基板と前記信号基板とを貼り合わせ、前記塗料層に含まれる樹脂の硬化後に、前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離する請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  7. 前記信号転写用基板と前記信号基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせる請求項6に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  8. 請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする多層情報記録媒体。
  9. 2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された多層情報記録媒体を製造するための製造装置であって、
    前記情報記録部を形成する情報記録部形成部と、
    前記樹脂層を形成する樹脂層形成部とを含み、
    前記樹脂層形成部は、
    複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を除去領域とを有するスクリーンと、
    前記スクリーン上に前記樹脂含有塗料を供給可能とする樹脂供給部と、
    前記スクリーン上を摺動可能とし、前記スクリーン上を摺動することによって、前記塗料供給手段によって前記スクリーン上に供給される前記樹脂含有塗料を、前記複数の第1孔を通過させて前記情報記録部上に塗料層を形成可能とするスキージと、を含む印刷部と、
    前記塗料層に含まれる樹脂を硬化可能とする樹脂硬化実施部とを含み、
    前記除去領域は、前記情報記録部に塗布されずに前記スクリーン上に残る樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより、前記スクリーン上から除去可能とすることを特徴とする多層情報記録媒体の製造装置。
  10. 前記印刷部は、前記スクリーン上から除去されうる樹脂含有塗料を収容可能とする容器をさらに含む請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  11. 前記樹脂層形成部は、
    情報面として凹凸面を有し、前記塗料層に貼付けられることにより、前記塗料層に情報面を転写可能とする信号転写用基板を含む信号転写部と、
    前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離する剥離処理部とをさらに含む請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造装置
  12. 前記樹脂層形成部は、前記信号基板を着脱自在に固定可能とするテーブルをさらに備える請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  13. 前記スクリーンは、前記塗布領域よりも前記除去領域の方が低くなるように、水平面に対して傾斜しており、かつ、前記スクリーンに対応して前記テーブルも傾斜している請求項12に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  14. 前記容器に収容されうる前記樹脂含有塗料をリサイクルし、リサイクルされた前記樹脂含有塗料を前記塗料供給手段に供給可能とするリサイクル機構をさらに備えた請求項10に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  15. 前記スクリーンは、前記塗布領域の周囲において、前記スキージの進行方向に沿って設けられ、複数の第3孔を有した除去補助領域をさらに有する請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  16. 前記スクリーンは、前記塗布領域を挟むように配置された1対の除去補助領域をさらに有し、各除去補助領域は複数の第3孔を有している請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  17. 前記除去領域と前記除去補助領域とが繋がっている請求項15または16に記載の多層情報記録媒体の製造装置。
  18. 請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造装置を構成するスクリーンであって、
    複数の第1孔を有し、前記スクリーン上に供給される前記樹脂含有塗料の一部を、前記複数の第1孔を通過させて前記情報記録部へ塗布可能とする塗布領域と、
    複数の第2孔を有し、前記情報記録部に塗布されないで残る樹脂含有塗料の少なくとも一部を、前記複数の第2孔内を通過させることにより前記スクリーン上から除去可能とする除去領域とを含むことを特徴とする多層情報記録媒体製造用スクリーン。
  19. 2以上の情報記録部と、前記情報記録部間に配置された樹脂層とを含み、これらが信号基板上に配置された、多層情報記録媒体を複数個連続製造する製造方法であって、
    前記信号基板の一方の主面側に所定の情報記録部を形成する情報記録部形成工程と、
    複数の第1孔を有する塗布領域と、複数の第2孔を有する除去領域とを有するスクリーン上に供給される樹脂含有塗料の一部を、前記スクリーン上にスキージを摺動させることにより、前記複数の第1孔内を通過させて、所定の情報記録部上に塗料層を形成し、前記塗料層に含まれる樹脂を硬化して、前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程とを含み、
    各多層情報記録媒体を製造するために、情報記録部形成工程と樹脂層形成工程とをそれぞれ所定回数行い、
    各情報記録部に塗布されなかった残余の樹脂含有塗料の少なくとも一部は、1以上の塗料層を形成する毎に、または、他の塗料層を形成している最中に、複数の第2孔内を通過させて、前記スクリーン上から除去することを特徴とする、複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法。
  20. 1層の塗料層を形成する毎に、前記スクリーン上に樹脂含有塗料を補充する請求項19に記載の複数の多層情報記録媒体を連続製造する製造方法。

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