JP2007293997A - 多層情報記録媒体及びその製造方法、製造装置 - Google Patents

多層情報記録媒体及びその製造方法、製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】信号層間を分離するための透明層を膜厚の変動を少なく高速に形成する。
【解決手段】2つ以上の情報記録層を有し、前記情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、樹脂層の形成方法は少なくとも、スクリーン印刷により、樹脂層を形成する際に、温風を吹き付け、得られる塗布後の樹脂層の表面性を向上させることにより、転写基板との貼り合せ時の欠陥を低減することのできる多層情報記録媒体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、再生または記録再生を目的とした情報記録媒体とその製造方法、製造装置に関するものである。
近年、情報機器・映像音響機器等が必要とされる情報量の拡大化に伴い、データアクセスの容易さ、大容量データの蓄積、機器の小型化に優れている光ディスクなどの情報記録媒体が注目され、記録情報の高密度化がなされている。例えば、光ディスクの高密度化の手段として、レーザ光の波長を約400nmとし、レーザ光を絞り込むための集光レンズとして開口数(NA)を0.85の再生ヘッドを用いて、単層で25GB程度、2層で50GB程度の容量の光記録媒体が提案されている。また、3層以上の多層情報記録媒体も提案されている。
図2は、従来の多層情報記録媒体の断面図を示している。この多層情報記録媒体は、片面に凹凸形状からなるピットや案内溝の情報面が転写形成された第1信号基板201と、第1信号基板201の凹凸形状が設けられた面上に配置された第1薄膜層202と、薄膜層202と接着している面とは反対の面に凹凸形状からなるピットや案内溝の情報面が転写形成された中間層203と、中間層203の凹凸形状が設けられた面上に配置された第2薄膜層204と、中間層203に対向配置された透明基板206と、薄膜層204と透明基板206とを貼り合わせるために設けられた透明層205により構成されている。第1信号基板には、スタンパを用いて、射出圧縮成形等により片面にピットや案内溝が凹凸形状として転写形成されている。このように、情報面に薄膜層が形成されることで情報記録層が形成されている。第1信号基板201の厚みは1.1mm程度である。第1薄膜層202および第2薄膜層204は、記録膜や反射膜を含んでおり、第1信号基板201や中間層203のピットや案内溝が形成された面側にスパッタリングや蒸着等の方法により形成されている。第2信号基板(中間層)203は、光硬化性樹脂のスピンコート法によって形成され、スタンパ208や第1信号基板201のように片面にピットや案内溝が凹凸形状として形成された転写基板を、情報面が第1信号基板201と対向するように光硬化性樹脂を介して貼り合わせ、光硬化性樹脂の光硬化後に転写基板を光硬化性樹脂との界面から剥離することによって形成されている。透明基板206は、記録再生光に対して透明な(透過性を有する)材料からなり、厚みが0.1mm程度である。透明層205は、2枚の基板206,207を互いに接着するために設けられており、光硬化性樹脂や感圧接着剤等の接着剤から形成されている。透明基板206と透明層205を合わせてカバー層ともいう。透明基板を貼り付けることなく透明層を硬化させることのみでカバー層を形成することもある。このような多層情報記録媒体の記録再生は、透明基板206側から記録再生レーザ光を入射することによって行う。
このような多層情報記録媒体においては、中間層やカバー層は、紫外線硬化性樹脂などを用いてスピンコート法により作製されることが多い(例えば特許文献1)。
特開2005−259331号公報
しかしながら、スピンコート法によって情報面を分離するための透明な中間層や、カバー層を形成したりすることは、周方向の細かな膜厚変動や、半径方向の大きな膜厚変動を発生してしまい、特に複数積層する際には膜厚変動の足し合わせで変動が大きくなりやすいという課題がある。また、被塗布基板の端面まで樹脂が行き渡るため、スピン回転を停止させて光照射によって樹脂を硬化させる時に被塗布基板の端面部において、樹脂が表面張力による盛り上がりが発生し膜厚が厚く構成されてしまう。これにより、レーザを用いて媒体への信号の記録再生を行う際に、膜厚変動により発生する球面収差によって光スポットの絞りの変動や情報面上へ光スポットのフォーカス制御、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御に影響を与えてしまうことが問題となる。また、スピンコート法では、塗布厚みの均一性を実現するための条件の制御が複雑であり、1層ずつスピンコートを実施することによりタクト時間の短縮が困難である。
一方で、スクリーン印刷技術を応用し、スキージをスクリーン上をスリどうさせることにより紫外線硬化性樹脂などを基板の情報面に塗布(印刷)することにより中間層や、カバー層を形成する手法があり、タクト時間短縮が比較的容易などの長所がある。
しかしながら、大量生産を行う場合には、スキージが長時間、紫外線硬化性樹脂と接触するため、スキージが紫外線硬化性樹脂に侵食されて劣化し、硬度が小さくなる現象が発生する。また、印刷のたびに、スキージはスクリーン上を摺動するため、摩擦によって、スキージの先端部が欠損する現象が起きる。
上記の理由により、印刷中に、スキージの耐摩耗性や硬度が劣化し、スキージが欠損した場合には、スキージ欠損部が紫外線硬化性樹脂中に混入し、更には、スクリーンの網目を通過し、信号基板上に付着したり、樹脂層に混入したりする。
このように、スキージの先端部の欠陥部が多層情報記録媒体の樹脂層の中に混入した場合は、完成後の多層情報記録媒体の記録・再生エラーが発生しやすいという問題があった。
ここで、欠陥の波長405nmに対する透過率が低い場合は、記録膜上にレーザ光が到達することができない。もしくは、できたとしても他の欠陥が存在していない場所に比べると、反射光量が小さくなるため、ディテクターに戻ってきた反射光を正しく電気信号に変換できない。すなわち、誤った情報を記録/再生してしまう確率が高くなる。
また、欠陥の透過率が高い場合でも、欠陥の屈折率と中間層のそれに大きな差がある場合は、欠陥と中間層の界面を入射光が通過する際に、大きく屈折してしまい、所望の箇所にレーザスポットを照射できない、すなわち、デフォーカスが発生し、データの誤り率が上昇してしまう。
このような欠陥箇所がディスク上に存在すると、照射したレーザ光が所望の信号面に焦点を結ぶことが困難なため、本来得られるべき反射光が得られず、正確に信号が再生できない、もしくは記録できないなどの障害が生じ、情報データの誤り率が増大する。
多層記録媒体の製造では、透明な信号基板を形成するプロセスが1回以上含まれるため、層の数が多いほど、良品を作製することが困難になり、生産性が悪化する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高速に樹脂層を形成し、かつ、記録膜間に形成される樹脂には、案内溝またはピットを面内均一に形成することを目的とした多層情報記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の多層情報記録媒体製造方法は、2つ以上の情報記録層を有し、情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、樹脂層の形成にスクリーン印刷方法を用い、波長405nmに対するスキージの屈折率と樹脂層の屈折率の差が0.20より小さく、かつ、スキージの消衰係数と樹脂層の消衰係数の差が0.10より小さいスキージを用いる。
また、波長405nmに対する前記スキージの屈折率と、前記樹脂層の屈折率の差が、0.15より小さく、かつ、前記スキージの消衰係数と、前記樹脂層の消衰係数の差が、0.02より小さいことが好ましい。
また、スキージ材料の主成分が、シリコーンゴムであることが好ましい。
また、液体状樹脂が光硬化性樹脂、もしくは紫外線硬化性樹脂であることが好ましい。
また、上記の光学特性を満たしたスキージを用いて、多層情報記録媒体を製造できる製造装置が好ましい。
また、上記のような製造方法で作製した多層情報記録媒体では、スキージの劣化によってスキージの断片が樹脂層中に紛れ込んだ場合でも、スキージと樹脂層の光学特性が近いために、再生時のデフォーカス量が小さくなり、情報の記録及び再生時の誤り率を低減することができる。
本発明の多層情報記録媒体及びその製造方法によれば、短時間で記録層間の樹脂を形成することができ、スキージの劣化により、スキージの断片が樹脂層中に紛れ込んだ場合でも、良好に信号の記録再生が行える多層情報記録媒体を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態は光ディスク形状の情報記録媒体の構造例について説明するが、生産される商品としては、光ディスクの形状に限定されるものではなく、高速、かつ樹脂層の厚みを均一に形成できる製造方法、製造装置を提案するものである。
多層記録媒体の作製、及び情報の記録再生を行う工程は、複数のプロセスにまたがっているため、それぞれのプロセスについて、図を用いて説明する。
まず、図3を用いて樹脂の塗布工程の説明を行う。
表面に第1薄膜層302を有する信号基板301を、真空吸着などの手段によって、ターンテーブル303で固定する(図3(A)参照)。この上に、スクリーン枠306を固定し、紫外線硬化樹脂305を穴が開いていない部分に供給し、スクレッパー307を摺動することにより、スクリーン304部に樹脂を充填する(図3(B)参照)。次にスキージ固定治具308により固定されたスキージ309が、スクリーン304の上部に圧力を加えながら、摺動することによって孔板(スクリーン)304の開口部から紫外線硬化樹脂305を第1信号基板301へ押し出すことによって行う(図3(C)参照)。この動作、いわゆるスクリーン印刷によって、樹脂が塗布された信号基板を得ることができる(図3(D)参照)。また、信号基板301を入れ替え、図3(A)からの作業を繰り返すことによって、表面に樹脂を形成した信号基板を複数得ることができる。このスクリーン印刷では、信号基板を設置する時間と、スクレッパー307及びスキージ固定治具308がスクリーン上を摺動する時間の和が、樹脂形成のタクト時間に相当するため、タクト時間短縮も比較的容易である。
ここで、この製造方法でのスキージ309の材料には、例えば、ゴムのように弾力性に富んだ材質を選択している。スキージ309の弾力性を高めることにより、信号基板301の厚み変動が存在していても、厚み変動に関係なく、紫外線硬化性樹脂305を第1薄膜層302上に形成できる。また、印刷時にスクリーン304が第1薄膜層302に与える物理的な負荷を吸収することができる。
ひきつづき、この後の工程を図4を用いて説明する。紫外線硬化性樹脂402が形成された第1信号基板403をテーブル台405の上におく。紫外線硬化性樹脂402の中には、スキージ欠損部404が混入している(図4(A)参照)。第1信号基板403の上方から、転写基板401を押し付けて、案内溝を形成する(図4(B)参照)。この後、転写基板401の上方から紫外線照射機407により紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂402を硬化させる(図4(C)参照)。その後、転写基板401と紫外線硬化性樹脂402を剥離する(図4(D)参照)。この工程をへることによって、第1信号基板403上に、転写基板401と凹凸の反転した紫外線硬化性樹脂402の層が形成できる。また、この紫外線硬化性樹脂402の特性は、あらかじめ、転写基板401と剥離性の高いものを選択することにより、良好な剥離性を維持することができる。
この後、スパッタリング装置などの薄膜作成装置によって、信号記録層を成膜する。
図3での樹脂塗布工程、図4での信号転写工程、成膜工程を繰り返すことによって、多層記録媒体の記録層を形成することができる。また、成膜後に透明層を作成することによって、多層情報記録媒体が完成する。
たとえば、4層情報記録媒体を作成するには、上記工程を3回繰り返した後に、透明層を形成する。図5は4層情報記録媒体の断面図である。4層情報記媒体は、片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された基板である第1信号基板501と、第1信号基板501の情報面上に配置された第1薄膜層502と、第1信号基板501と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第2信号基板503と、第2信号基板503の情報面上に配置された第2薄膜層504と、第2信号基板503と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第3信号基板505と、第3信号基板505の情報面上に配置された第3薄膜層506と、第3信号基板505と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第4信号基板507と、第4信号基板507の情報面上に配置された第4薄膜層508と、第4薄膜層508の上に配置された透明層509とを含んでいる。
第1信号基板501は情報記録媒体の反りや剛性を良くして、さらにCDやDVD、Blu−ray Discなどの光ディスクと厚み互換を有するように、外径φ120mm、厚さが1.0〜1.1mm程度のポリカーボネイトやアクリル系樹脂の円板から形成されており、従来のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形によって片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が作製されている。基板の中心部にはプレーヤが信号を記録再生する際に、ディスクを保持して回転させるために用いる直径φ15mmの中心穴が設けられている(図示せず)。本実施の形態においては代表例としてポリカーボネイトを用いた場合について説明する。
第1信号基板501の上には、光硬化性樹脂材料の信号基板503、505、507や透明層509が積層形成されるため、積層後の情報記録媒体の形状は光硬化性樹脂特有の特徴といえる光硬化収縮によって、例えば情報面を上にした場合は凹形状の反りとなってしまう。従って、第1信号基板501の反りは予め情報面を上にして凸形状の反りに形成することで信号基板503,505,507や透明層509の積層後の情報記録媒体の反りが平坦になるように成形している。
第1薄膜層502は、情報記録媒体の目的がROMの場合、再生されるレーザ光に対して反射の特性を有する。例えば、Al、Ag、Au、Si、SiOなどの金属や半導体、誘電体をスパッタリングや蒸着等の方法を用いて薄膜形成する。
情報記録媒体の目的とすることがWrite Once型の場合の記録膜の構成について図6を用いて以下に説明する。まず第1信号基板601上に形成されたピットや案内溝などの情報面602に対して、スパッタリングや蒸着等の方法により、AlCrからなる反射膜603、ZnS膜604、TeOPd記録膜605、ZnS膜606が順次形成されている。本代表例として反射膜603としてAlを使用した場合について説明しているが、ROMと同様に、AgやAu等の金属を主成分とする材料を用いてもよい。また、薄膜層として色素膜等を含む構成を用いることでも実現できる。第2薄膜層504および第3薄膜層506、第4薄膜層508についても、上記第1薄膜層502と同様の薄膜が形成されている。記録再生される際の光学特性によっては反射膜603の厚みを調整することや、反射膜603自体の除去、ZnS膜604やTeOPd記録膜605記録膜の厚みを調整することもある。
第2信号基板503は、記録再生光に対してほぼ透明(透過性を有する)で、例えばアクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂から形成されている。紫外線硬化樹脂は硬化光波長を紫外線帯域に設けることにより、紫外線以外の波長に対して硬化を防ぐことができ、また任意の機会で紫外線を照射することにより硬化させることができる特徴を有しているので、樹脂層の形状制御において有効である。紫外線硬化樹脂の塗布は第1信号基板501の外径よりも小さく、また第1信号基板501の中心穴よりも大きく形成されている(図示せず)。第3信号基板505および第4信号基板507についても、上記第2信号基板503と同様の方法および形状で形成されている。透明層509は、記録再生光に対してほぼ透明(透過性を有する)で、例えばアクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂から形成されている。紫外線硬化樹脂には液体を使用し、第4薄膜層508の上に塗布することによって形成される。形成された紫外線硬化樹脂は、各信号基板や薄膜層を覆うように形成され、内周部と外周部において第1信号基板と接着するように形成されている。
しかしながら、図5で示したスクリーン印刷の工程で、スクリーンの先端部の欠陥部が、樹脂中に混入し、更には、多層記録媒体の透明層の中に、欠陥部が混入した場合は、図6で示したZnS膜604のように、記録層の間に異物が混入することになる。
また、この上に記録層が積層されると、図5中のように欠陥510を含んだ多層情報記録媒体が作成される。
ここで、図7の多層情報記録媒体の記録/再生装置の模式図を用いて、多層情報記録媒体から情報を記録/再生方法、及び記録/再生装置の機構の1例を説明する。
この図では、多層情報記録媒体701を装着した状態を示している。この記録/再生装置は、多層情報記録媒体701を装着して回転させるスピンドルモーター702、コントローラー703、記録するデータを記録信号に変換する変調器704、記録信号に従って半導体レーザを駆動するレーザ駆動回路705、半導体レーザを有し、レーザ光を媒体に集光し、情報の記録を行うと共に、反射光から再生信号を得る光学ヘッド706、再生信号を増幅し、情報再生信号707S、フォーカスエラー信号707F、トラッキングエラー信号707Tを生成するプリアンプ707、情報再生信号707Sを2値化信号に変換する2値化回路708、2値化信号からデータを復調するデータ復調回路709、媒体のテスト記録領域において特定のデータを試験的に記録した信号の品質を判定する信号品質判定器710、学習動作によって得られた最適な記録条件を格納する記録条件格納手段711、前記記録条件に従ってレーザパルスを制御するパルス条件設定手段712、多層情報記録媒体701から読み出した記録トラック情報を格納する記録トラック情報格納手段713、レーザ光が多層情報記録媒体701の記録層に焦点を合わせるようにフォーカスエラー信号707Fに基づいて光学ヘッド706を制御するフォーカス制御回路714、レーザ光が多層情報記録媒体701のトラックを適切に走査するようにトラッキングエラー信号707Tに基づいて光学ヘッド706を制御するトラッキング制御回路715、光学ヘッド706を多層情報記録媒体701の径方向に移動させる移動手段716を備えている。
ここで、フォーカスエラー信号707Fは、非点収差法と呼ばれる一般的な方法で生成される。トラッキングエラー信号707Tは、プッシュプル法と呼ばれる一般的な方法で生成される。
最初に、起動工程において、多層情報記録媒体701をスピンドルモーター702に装着し、回転させた後、光学式記録媒体701上に光学ヘッド706によって情報再生用のレーザ光を照射し、記録層に焦点を合わせる。
記録トラック情報等の再生は、光学ヘッド706で多層情報記録媒体701からの反射光から得られた情報再生信号707Sを予め定められた2値化スライスレベルに設定された2値化回路708で2値化した信号をデータ復調回路709で復調し、コントローラー703に取り込んで行う。このようにして、多層情報記録媒体に記録された記録トラック情報を読み出される。
また、記録の際は、コントローラー703から出力された特定データを変調器704でレーザ駆動信号に変換し、レーザ駆動回路705は、レーザ駆動信号に従って光学ヘッド706に設置された半導体レーザを駆動する。光学ヘッド706によって、半導体レーザから出射された光を多層情報記録媒体701に集光し、記録トラック情報に基づいてトラックのグルーブ部またはランド部にレーザ光をトラッキングして、多層情報記録媒体701の記録領域に信号の記録を行う。
このようにして記録されたデータの再生信号を2値化回路708で2値化した信号と、記録の際にコントローラー703から出力されたデータを比べることにより、多層情報記録媒体701から、正しく、信号が記録/再生することができるかを判定することができる。
なお、再生専用の多層情報記録媒体では、多層情報記録媒体上に情報となる凹凸で形成されたピットが形成されており、トラッキングエラー信号707Tには、ディファレンシャルプッシュプル法と呼ばれる一般的な方法で生成されることにより、レーザ光がピット列にトラッキングして、情報の再生のみが行われる。
また、図8(A)及び(B)の4層情報記録媒体の再生時の模式図を用いて、欠陥の有無により、情報の信頼性が失われる機構を説明する。図8(A)では、4層情報記録媒体中に欠陥が存在していない場合を表し、図8(B)では、4層情報記録媒体中に欠陥が存在している場合を表す。なお、図8では、4層情報記録媒体で説明するが、下記現象は、いかなる層数でも起こりえる。
図中で、801は片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された基板である第1信号基板、807は第1信号基板801面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第1薄膜層、802は第1信号基板801と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第2信号基板、808は第2信号基板802の情報面上に配置された第2薄膜層、803は第2信号基板802と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第3信号基板、809は第3信号基板803の情報面上に配置された第3薄膜層、804は第3信号基板803と反対側の面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面が形成された第4信号基板、810は第4信号基板804の情報面上に配置された第4薄膜層、805は第4薄膜層の上に配置された透明層、806は情報を再生及び記録するためのレーザ光、811は第2信号基板802の中に存在する欠陥、812はレーザ光806を各薄膜層上に集光させる対物レンズで光学ヘッド706中に配置されている。
以下は、多層情報記録媒体より、情報を再生する際の欠陥部の影響を説明するが、記録の際にも同様の現象が起こる。
多層情報記録媒体より、信号を再生する際には、レーザ光806のフォーカスを所望の記録層に合わせる。図中では、第1薄膜層807に集光させる。
ここで、レーザ光の通過経路を追ってみると、まず、対物レンズ812により集光されたレーザ光806は、入射光量に透明層805の透過率分を乗じた光量だけ通過する。このとき、空気と透明層805の屈折率が異なるため、レーザ光の入射角度と透明層805の屈折角度の正弦比が異なる。
なお、Blu−ray−discに使用されているレーザ光の波長は405nm近傍で、この波長に対する屈折率は、空気で1.00であり、透明層805に使用される屈折率は、その材料にもよるが、一般的には1.45以上1.70以下程度の樹脂やシートが用いられている。
透明層805を通過したレーザ光806は、次に、第4薄膜層810にあたり、第4薄膜層の透過率分だけの光量が透過し、透明層805と第4薄膜層810の屈折率の比により、屈折角度が傾斜する。
第1薄膜層807にレーザ光が到達するまでには、第3信号基板803、第3薄膜層809、第2信号基板802、第2薄膜層808、及び第1信号基板801の透過率による光量の減少、各層間の屈折率の差分での屈折を繰り返す。また、第1薄膜層807に集光された光は、照射された光量に第1薄膜層807の反射率を乗じた光量が反射されて、各信号基板、各薄膜層の透過率による光量の減少をくりかえしながら、入射光とは逆方向に帰ってきて、光の強弱を電気信号に変換するディテクター(図示せず)に入射され、データを読み出す。
多層情報記録媒体の再生/記録方法では、より正確に、信号の記録再生を行うために、各種の収差が小さくなるようにレンズが設計され、記録密度を高める目的で小さな記録マークでもばらつきが小さくなるように第1薄膜層807上の光スポット径が小さくなるようにフォーカス制御回路714が働いている。
図8(A)のように、4層記録媒体中に、欠陥が存在しない場合は、上記光路を経由することで、所望の情報層から、信号を再生することができる。
一方、図8(B)の場合は、第2信号基板802中に欠陥811が存在している。この場合、レーザ光806は透明層805、第4薄膜層810、第3信号基板803、第3薄膜層809、第2信号基板802、第2薄膜層808及び第1信号基板801を透過して、欠陥811に到達する。
以上が、多層記録媒体の製造方法の一例と、情報の記録再生方法の一例である。以下の、実施の形態では、本実施の形態の具体例を更に詳細に説明し、発明の効果を述べる。
(実施の形態)
以下に、本発明の多層情報記録媒体の製造方法について図1を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態における樹脂の塗布工程の一例を示す図である。
図1(A)が印刷前の製造装置の断面図、図1(B)が印刷中の製造装置の断面図、図1(C)が印刷後の製造装置の断面図を示す。図中で、101はスキージ固定治具、102は版枠、103は紫外線硬化樹脂、104はスクリーン、105は信号基板、106はテーブル、107はブロアー、108は形成した樹脂層、109はスキージを表す。
まず最初に、スクリーン印刷機の設定を行う。スキージ固定治具101にスキージ109をとりつける。このとき、テーブル106に対する、スキージ109底面の平行度が小さくなるように調整する。この平行度は、形成した樹脂層108に厚みムラに影響するため、スキージ109とテーブル106間の平行度は小さいほど、好ましい。たとえば、シート状の感圧センサーを用いて、平行度の精度を高めることが好ましい。
なお、スキージ固定治具101はステンレスのように、剛性に優れた材料が好ましい。
なお、スキージ109は紫外線硬化性樹脂103に対して、化学的に安定であり、かつ、ゴム状弾性を示すような材料が好ましい。印刷中は、スキージ109は紫外線硬化性樹脂103と接触した状態で、スクリーン104の紗と何度も摩擦を繰り返すためである。また、スキージ109は形成した樹脂層108の光学定数が近いことが好ましい。
次に、スクリーン104を設置する。これも、スキージ109と同様に、テーブル106との水平度が重要である。
次に、信号基板105の上部表面には、ピットや案内溝の情報面が形成された面にスパッタリングや蒸着等の方法により記録膜材料や反射膜材料を含んだ薄膜層が形成され、必要に応じて薄膜層が形成された面とは反対側の面でバキューム等の手段によってテーブル106上に固定される。
一方、スクリーン104面は、開口部を通過する紫外線硬化樹脂103の量を制限することによって膜厚を均一に形成できるように設けられている。
次にスクリーン104の作製方法について説明する。スクリーン枠102に、スクリーン材料となる紗を張り、その上に感光乳剤をコーティングする。次いで、コーティングされたスクリーン用材料の所定の位置(複数の穴を形成する位置)以外を遮光マスクによりマスクし、スクリーン用材料に露光装置を用いて紫外線を一定時間照射する。紫外線照射によって露光された感光乳剤を水噴射などによって水洗することにより現像して、スクリーン104を得る。
なお、スクリーン枠102には、例えば、木材、アルミ、ステンレス、プラスチックなどの材料を用いることができるが、なかでも、軽量かつ剛性の高いアルミニウムが好ましい。スクリーン材料となる紗は、シルク、ナイロン(登録商標)、テトロン(登録商標)、Vスクリーン(登録商標)、ステンレスなどを用いることができるが、外圧に対する復元性の面から、Vスクリーンが好ましい。感光乳剤には、例えば、ジアゾニウム塩または重クロム酸塩を、PVAまたは酢酸ビニルエマルジョンに混合し溶解させたものなどを用いることができる。スクリーン材料の所定の位置におけるメッシュ数(1インチあたりの線材の本数)は、100〜600であると好ましい。メッシュ数がこの範囲内にあれば、樹脂含有塗料の通過不良や塗布ムラを生じさせることなく、樹脂含有材料と塗布できる。なお、スクリーンの穴は網目に限定されない。
尚、本実施の形態においてはスクリーン枠102として軽量且つ剛性の高いアルミを使用し、信号基板105への負荷が小さくなるようにVスクリーンを使用した場合について説明するが、他の材料を用いても実現することができる。
樹脂の粘度が低い場合は塗布後の樹脂の流動が発生し、端面への樹脂はみ出しや樹脂盛り上がりを生じてしまう。樹脂粘度が高い場合はスクリーンを通って樹脂が転移し難くなる。工程中の温湿度変化による樹脂粘度の低下影響等を考慮すると、樹脂の粘度は30cpsから10000cps範囲内であることが好ましい。
本実施の形態においては、レンズの開口数0.85、レーザ波長405nmの構成の記録再生ヘッドで再生可能とするために樹脂層の形成厚みを5から25μmとした。このため、メッシュ数200、樹脂粘度2500cpsの材料を用いて、樹脂層の形成を行った。
さらにスクリーン104は、開口部の形成領域を選択することにより、紫外線硬化樹脂103の信号基板105上への塗布範囲を制限することが可能であり、本実施の形態においては、信号基板105内径よりも大きく(φ20mm以上)、また外径よりも小さい領域(φ119mm以下)に紫外線硬化樹脂103が塗布できるようにスクリーン104が形成されている。第1信号基板105の内径端部や外径端部にまで紫外線硬化樹脂103を塗布した場合、紫外線硬化樹脂103の表面張力によって紫外線硬化樹脂103の厚みがその端部で盛り上がることで膜厚が均一化できない、もしくは第1信号基板101から紫外線硬化樹脂103がはみ出すことにより、内外径各々の寸法精度が悪化するもしくは美観を損なうなどの問題が発生するが、上記で説明した方法で紫外線硬化樹脂の塗布領域を限定することにより、樹脂の表面張力による盛り上がりやはみ出しを抑えることができる。
次に、図1(A)に示すように、紫外線硬化樹脂103は、スキージ109の進行方向に対して手前に滴下しておく。
次に、スキージ109をスクリーン104に押し込みながら、摺動させることによって、信号基板105上に、紫外線硬化樹脂103を塗布する。このとき、スキージ101の進行方向に対して逆側に設けられたブロアー107から、温風を吹き出すことも可能である。温風を噴出しながら、スキージを摺動させ、樹脂を基板105上に転写することによって、スクリーン104の版離れを促進させる効果がある。よって、樹脂層108の表面形状及び粗さを小さくするためには、ブロアー107から温風を噴出すほうが良い。スクリーン104の版離れ、及び樹脂層108の表面形状などは、使用する紫外線硬化性樹脂103の特性によるところが大きいため、樹脂材料に応じて温風の噴射を選択するのが好ましい。
なお、樹脂中の泡の混入を低減するには、あらかじめ樹脂を金属製のドラム容器等に入れ、ロータリーポンプなどで真空に保持し、脱泡することが有効である。真空の放置時間などは、樹脂の材料、粘度、樹脂の量にもよるが、樹脂中の泡を大幅に低減することができる。
これらの工程により、高速で且つ高精度・均一な厚みの紫外線硬化樹脂の樹脂層108を形成することができる(図1(C)参照)。
これで、信号基板への樹脂の塗布工程が終了し、テーブル106から信号基板105を取り出し、新たな信号基板105をテーブル106に固定する。スクリーン印刷工程では、信号基板105を入れ替え、スクリーン104上の紫外線硬化性樹脂103をスキージ109により、摺動させる工程を繰り返すことによって、複数の製品を製造できる。たとえば、図中の樹脂を紙面上、左から右にスキージ109で摺動させることによって、次の信号基板105への樹脂層形成のタクト時間を短縮することも可能である。
図9は本発明の実施の形態における樹脂への信号転写工程の一例を示す断面図である。紫外線硬化樹脂103の形成が完了した第1信号基板105は、次に真空層901の中に搬送される。このとき同時に信号転写基板902についても真空層901の中に搬送される。信号転写基板902は、紫外線硬化樹脂103との剥離性が良好な材料であるポリオレフィン材料を用いており、厚みが0.6mmに形成されている。厚みが1.1mmの基板の第1信号基板105から信号転写基板902を剥離する際に、基板の厚みが異なることによる剛性の差を利用し、反らせて剥離することを目的としたものである。ポリオレフィン材料は、第1信号基板105の成形時と同様に従来のスタンパを用いて、射出圧縮成形等の樹脂成形で片面に凹凸で形成されたピットや案内溝などの情報面を容易に作製できる材料である。また紫外線を透過する特性も有しており、信号転写基板902を通して紫外線照射することにより紫外線硬化樹脂を効率良く硬化させることができるという特徴を持っている。基板の中心部には、第1信号基板105とセンターボスを介して偏芯をとるための中心穴が設けられている(図9(A)参照)。
真空層901内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプ903などによって排気され、短時間で真空雰囲気となる。本実施の形態においては、真空層901内が100Pa以下の真空度に達したときに、信号転写基板902を第1信号基板105上に重ね合わせている。このとき、信号転写基板902の上部に設置されている加圧プレート904が信号転写基板902を加圧することによって紫外線硬化樹脂103に信号転写基板902に形成されている信号が転写される。真空層901内が真空雰囲気であることから、紫外線硬化樹脂103と信号転写基板902の間には気泡が混入することなく貼り合せることが可能となる(図9(B)参照)。
貼り合わされた第1信号基板105と信号転写基板902は真空層901から取り出され、信号転写基板902の上部に配置されている紫外線照射装置905によって紫外線が照射され、信号転写基板902を介して全面を照射することにより紫外線硬化樹脂103が硬化される。次いで、紫外線硬化樹脂103と信号転写基板902の界面から信号転写基板902を剥離するために、信号転写基板902と紫外線硬化樹脂信号103の間に圧縮エアーを吹き込む。上記方法により転写された樹脂層906が形成される。
樹脂層906が形成された基板上への薄膜層及び樹脂層の積層は、第1薄膜層502と同様にスパッタリング等の方法による薄膜層の形成と、上記で説明した樹脂の塗布工程、樹脂への信号転写工程を繰り返し実施することにより4つの信号面を第1信号基板105の上に積層した。また、再生面である透明層509の形成は記録再生光に対してほぼ透明(透過性を有する)なアクリルを主成分とした紫外線硬化樹脂を使用し、第4薄膜層508の上に孔版を通過させて塗布することによって形成されている。透明層509の厚みは透明層の表面から第1信号基板105の情報記録層までの厚みが記録再生ヘッドの球面収差が厚い側で補正可能な範囲である100μm程度となるように間に挟まれる樹脂層の厚みに応じて選定・形成される。例えば、形成される樹脂層の厚みが、9.5μm、13.5μm、17.5μmの場合は、透明層509の厚み=100μm−9.5μm−13.5μm−17.5μm=59.5μmとなるように選定している。また、樹脂層の厚さが全て10μmの場合は、透明層509の厚み=100μm−10μm×3層=70μmとなるように選定している。
このとき、紫外線硬化樹脂で形成された各々の樹脂層の外径を第1信号基板105の外径よりも小さく形成し、また内径を第1信号基板105の内径よりも大きく形成しているので、透明層509の形成はその領域よりも大きくすることにより、紫外線硬化樹脂で形成された各々の樹脂層は紫外線硬化樹脂と第1信号基板105の間に包まれた構造となる。透明層509の紫外線硬化樹脂と第1信号基板105のポリカーボネイト材料は、紫外線硬化樹脂の硬化前後でも接着性が高いことが知られており、媒体の端面でポリカーボネイト製の基板と紫外線硬化樹脂でできた透明層が接着されることにより各樹脂層は密閉され、各々の樹脂層や薄膜層からの剥離を防ぐことができる。
上記においては、第1信号基板上にスクリーンを用いて樹脂層を形成した後に信号転写基板を重ね合わせることで樹脂層表面に対して信号を転写する方法について説明したが、例えば、第1信号基板上にスクリーンを用いて樹脂層を形成したときに樹脂層の厚みが、樹脂の粘度が低い場合などの理由により所望の厚みよりも薄く形成される場合、予め信号転写基板に対してスクリーンを用いた樹脂の塗布を行っておくことでも上記と同様の効果を実現できる。
第1信号基板上の樹脂層と信号転写基板上の樹脂層が対面するように貼り合せ、互いの樹脂が真空雰囲気中で密着した後に、信号転写基板を介して紫外線を照射し、両樹脂層を一度に硬化させることによって各樹脂層の厚みを足し合わせた厚みを持つ樹脂層を形成することができる。
上記のような工程を経ることで、4つの層を有する光記録媒体を作成することができる。
ここで、スキージ材料の光学特性の選択について詳細に述べる。前項で述べたように、スキージ109の波長405nmの光に対する光学定数と、形成した樹脂層108の光学特性の差は、スキージ109の断片が多層情報記録媒体の樹脂層中に紛れ込んだ際の、信号の誤り率と相関がある。
そこで、本実施の形態では、スキージ109の光学定数がどの範囲であれば、多層情報記録媒体の信頼性を保つことができるかという試験を行った。今回の試験では、紫外線硬化性樹脂103に波長405nmの光に対する屈折率が1.53、吸収係数が0.00のアクリル系の樹脂を用いた。また、欠陥の光学定数を限定するため、欠陥の大きさや形状に影響されないように、紫外線硬化性樹脂103中に屈折率、吸収係数があらかじめわかっている欠陥を混入し、よく攪拌した。なお、欠陥のサイズは全て直径9μmのものを用意した。実際の欠陥のサイズは大小さまざまな大きさが存在するが、形成される樹脂層よりも大きな欠陥では、樹脂層中に埋もれず、樹脂層の表面から飛び出してしまうことから、形成される樹脂層の厚みより小さい欠陥を選択した。欠陥を含んだ樹脂を用意し、多層記録媒体を製造した。このように作製した記録媒体を光学顕微鏡で観察することにより、欠陥が含まれている半径位置を特定した。それぞれの欠陥を含んだ多層情報記録媒体を、専用の記録/再生装置に挿入し、欠陥が含まれている半径位置での情報の誤り率を測定した。
なお、ここでの情報の誤り率は、特定の半径に決まった情報を記録/再生を行い、記録した情報と再生した情報を比較し、誤った情報の割合を表す。すなわち、誤り率とは、
(誤り率)=(誤った情報数)/(記録した情報数)
の数式で表され、この誤り率が低いほど、記録媒体の性能が高いとされる。
Figure 2007293997
(表1)に多層情報記録媒体の信号の誤り率とスキージの光学定数を示す。
(表1)の中で行に欠陥と形成した樹脂層108の波長405nmの光に対する屈折率の差を並べ、列に吸収係数の差を表記した。近年のデジタル化技術は目覚しい発展を遂げており、ある程度のデータの誤りの訂正が可能になっている。本実施の形態では、データの誤り率が2.0×10−4よりも小さいことを評価基準とする。blu−ray−discの規格書には、この誤り率が、2.0×10−4よりも小さいことが規格値として記載されている。
(表1)の結果より、データの誤り率が2.0×10−4よりも小さいためには、屈折率の差Δn<0.20、かつ、吸収係数の差Δk<0.10であることが好ましい。
また、多層情報記録媒体の信号再生/記録の際に、他の悪条件が重なった場合、情報の誤り率は更に高くなることが予想される。たとえば、再生装置の温度、湿度の環境や、記録媒体の反り、記録媒体の傷、樹脂中に存在する欠陥部が想定した9μmよりも大きい場合など、情報の誤り率が高まる要素は数多く、欠陥による誤り率の悪化には、ある程度の余裕分が必要となる。そこで、本実施の形態では、データの誤り率が更に低い1.0×10−4以下であることを二つ目の基準として設定し、Δn<0.15かつ、Δk<0.02がスキージの光学定数として好ましいとする。
また、これらの光学特性、及びゴム状弾性を有する材料の代表例には、シリコーンゴムが挙げられる。シリコーンゴムは、高重合度の線状の重合体(あるいは、共重合体)を中程度に橋かけしたものであり、この橋かけや重合度の度合いによって、光学特性や、弾性定数は大きく異なることがわかっている。そのため、特定の波長に対する光学定数の選定が比較的容易な材料といえる。また、スクリーンの紗とスキージの先端は、度重なる印刷動作により、摩擦による温度上昇が発現することがあるが、シリコーンゴムは、他材料を原料とするゴムに比べて、高温時の光学特性、硬度特性が極めて安定であることがわかっている。
したがって、シリコーンゴム材料のスキージは、紫外線硬化樹脂との光学特性が似通っているだけではなく、樹脂層を形成する上での安定性も確保することが可能である。
上記の実験結果から、形成する樹脂との光学特性の差がΔn<0.15かつ、Δk<0.02であるスキージを使用して、多層情報記録媒体を製造すれば、再生情報の誤り率が低い多層情報記録媒体を実現することができ、生産性を向上することができる。
なお、本実施の形態においては、4層の光情報記録媒体を例にとって説明したが、第1信号基板と各々の樹脂層の厚み、透明層の厚みを調整することにより、2層以上の多層構造の情報記録媒体を実現することが出来る。
本発明にかかる多層記録媒体及びその製造方法は、欠陥が少ない多層記録媒体を高速で製造することが可能であり、正確に大容量情報を再生可能な多層記録媒体、均一に液状の樹脂を塗布する手段等として有用である。また、大容量メモリーの製造等の用途にも応用できる。
本発明の実施の形態における樹脂の塗布工程の一例を示す断面図 従来の多層情報記録媒体を作製するための基板作製用金型の製造方法を示した断面図 本発明の実施の形態における多層情報記録媒体の断面図 本発明の実施の形態における多層情報記録媒体の製造方法を示した断面図 スクリーン印刷による多層情報記録媒体の製造方法を示した断面図 多層情報記録媒体の製造方法を示した断面図 本発明の実施の形態における多層情報記録媒体の断面図 記録膜の構成について示した断面図 本発明の実施の形態における樹脂への信号転写工程の一例を示す断面図
符号の説明
101 スキージ固定治具
102 版枠
103 紫外線硬化樹脂
104 スクリーン
105 信号基板
106 テーブル
107 ブロアー
108 樹脂層
109 スキージ

Claims (8)

  1. 2つ以上の情報記録層を有し、前記情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造方法であって、
    少なくともスクリーン版の上に液体状樹脂をのせる工程と、
    前記スクリーン版の表面をスキージが摺動することにより前記液体状樹脂を被印刷物へ塗布する工程とを含むスクリーン印刷方法において、
    波長405nmに対する
    前記スキージの屈折率と、前記樹脂層の屈折率の差が、0.20より小さく、
    かつ、前記スキージの消衰係数と、前記樹脂層の消衰係数の差が、0.10より小さいこと
    を特徴とする多層情報記録媒体の製造方法。
  2. 前記樹脂層の形成方法において、
    波長405nmに対する
    前記スキージの屈折率と、前記樹脂層の屈折率の差が、0.15より小さく、
    かつ、前記スキージの消衰係数と、前記樹脂層の消衰係数の差が、0.02より小さいことを特徴とする多層情報記録媒体の製造方法。
  3. 前記スキージ材料の主成分が、シリコーンであることを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  4. 前記液体状樹脂が光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記液体樹脂が紫外線硬化性樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  6. 2つ以上の情報記録層を有し、前記情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体の製造装置であって、少なくともスクリーン版とスキージを設置でき、スクリーン版表面をスキージが摺動することにより、スクリーン上の液体状樹脂を被印刷物へ塗布するスクリーン印刷装置において、
    波長405nmに対する
    前記スキージの屈折率と、前記樹脂層の屈折率の差が、0.20より小さく、
    かつ、前記スキージの消衰係数と、前記樹脂層の消衰係数の差が、0.10より小さいこと
    を特徴とする多層情報記録媒体の製造装置。
  7. 2つ以上の情報記録層を有し、前記情報記録層の間には樹脂層が形成されている多層情報記録媒体において、
    前記樹脂層の中に、前記樹脂層とは材料の異なる異物が存在し、
    波長405nmに対する
    前記異物の屈折率と、前記樹脂層の屈折率の差が、0.20より小さく、
    かつ、前記異物の消衰係数と、前記樹脂層の消衰係数の差が0.10より小さいこと
    を特徴とする多層情報記録媒体。
  8. 前記異物の材料の主成分が、シリコーンであることを特徴とする請求項7に記載の多層情報記録媒体。
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