JP2004158062A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】反り角を低減した情報記録媒体を提供する。
【解決手段】情報信号2の入った基板の情報信号面に、少なくとも上引き層6、記録層7、下引き層8を順次積層し、前記下引き層上に紫外線硬化性接着剤5を介して前記基板より薄い光透過性シート4を接合してなる光情報記録媒体の製造方法において、前記単体の基板は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されている。これにより、反り角を低減した情報記録媒体を製造する。
【選択図】 図2
【解決手段】情報信号2の入った基板の情報信号面に、少なくとも上引き層6、記録層7、下引き層8を順次積層し、前記下引き層上に紫外線硬化性接着剤5を介して前記基板より薄い光透過性シート4を接合してなる光情報記録媒体の製造方法において、前記単体の基板は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されている。これにより、反り角を低減した情報記録媒体を製造する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光が入射する読み取り面側を薄型化して高記録密度化を可能とする光ディスクに係り、特に反り角を低減した光ディスク等の光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光情報記録媒体として、例えば光ディスクは高密度、大容量、小型化を目指して開発が進められている。光ディスクは、基板表面に微細な凸凹形状からなるピット状または溝状の情報信号面を有し、この情報信号面内の情報を読み取る場合には、この基板の読み取り面側からレーザ光を照射してこのレーザ光が情報信号面で反射してくる反射光の光強度の変化として、情報信号を読み出すようになっている。そして光ディスクの高密度化は、レーザ光の波長を短くすることや光学ピックアップの記録・再生時用のレーザ光を光ディスクの情報信号面に照射するための対物レンズの開口数を大きくして光ディスクの情報信号面における記録・再生光のスポット径を小さくすることで可能ならしめている。
【0003】
このように、対物レンズの開口数を大きくすると、記録再生レーザ光が照射されてこれが通過する光ディスクの入射面から情報信号面までの基板の厚みを薄くする必要がある。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスクの情報信号面が垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。
従って、基板の厚さを薄くして、光学ピックアップの光軸に対して光ディスクの情報信号面が垂直からずれても読み出される情報信号の劣化が少なくなるように、許容されるチルト角ができるだけ大きくなるようにしている。
【0004】
例えば、CD(Compact Disc)の入射面側の厚さは約1.2mmなのに対し、記録容量がCDの6〜8倍であるDVD(Digital Versatile Disc)は、CDに比べ開口数の大きな対物レンズを用いているので、許容されるチルト角が小さくなる。そこで入射面側の基板厚さを1.2mmから0.6mmに小さくすることで、CDと同程度のチルト角が許容できるようにしている。
また、最近では次世代型光ディスクとして、CDやDVDと同じ大きさのディスク1面当たりに15GB以上の大記録容量を入れる光ディスクの要求があり、ディスクの反りという観点からみると、入射面側の基板の厚さを約0.3mmとすると15GBとなり、また約0.1mmとすると20GBの記録容量が可能となる。
【0005】
上述したCDやDVDの光ディスクは、製造工程を簡略化し、かつ高品質な光ディスクを得るために、全て記録再生のレーザ光の入射面と情報信号面とを、同一基板上に対峙させた形で形成させている。そしてこれらの基板は、一般的には射出成形法を用いて成形されている。しかしながら、入射面側の基板の厚さが0.1mmとなると、射出成形法で製作するには基板が薄くて成形が困難であるため、別の作製方法及び光ディスク構造が幾つか提案されている。
【0006】
その一つを述べると、従来技術と同じ射出成形法により情報信号の入った基板を作製し、情報信号面上にアルミニウム等の反射膜を成膜し、その上に基板と同じ大きさの光透過性シートを光透過性である紫外線硬化性接着剤を用いてスピンコート法で貼り合せた後、この光透過性シート側から紫外線を照射して上記紫外線硬化性接着剤を硬化させることで、基板と光透過性シートとを接着するようにしたディスク構造が採用されている。
そして、再生用のレーザ光の入射は光透過性シート側から行うようになっている。この時の基板の外径は120mmであり、この大きさの基板上に従来の射出成形法で情報信号を形成するには、0.6mm以上の厚みの基板が必要となるため、前記した次世代型光ディスクの一工法は、情報信号を形成した基板の厚みより記録再生用のレーザ光を入射する光透過性シートの方が薄くなる。
【0007】
ここで、次世代型光ディスクの一形態の反り発生メカニズムを説明する。図9は次世代型光ディスクの一例を示す概略構成図である。この光ディスクD1は、情報信号2が形成された基板1の情報信号面にスパッタにより例えばアルミニウムの反射層3が成膜されており、光透過性シート4を情報信号面上に紫外線硬化性接着剤5を用いてスピン工法等で貼り合せる。この紫外線硬化性接着剤5は一般的には硬化収縮(接着剤が硬化する時収縮する現象)をする。一方、反り角は力学的中立面CL(基板と透過性シートと接着層の総厚の1/2の面)を境とした上下の応力等のバランスが崩れた時に発生するので、次世代型光ディスクのように力学的中立面CLより離れた場所で接着剤5が硬化すると、収縮しようとする応力が働き、貼る前に平だった基板1は光透過性シート4側が凹(図9(B)参照)になる反り角が発生する。尚、図9を用いて詳述した時は接着剤5が硬化収縮を起こす場合であるが、硬化する時に膨張する接着剤を用いた時の基板の反り角の変化は逆方向になる。
【0008】
更には、このような情報信号の入った基板1の情報信号面上に基板1より薄い光透過性シート4を貼った形態の次世代型光ディスクは、製造日、製造時間、製造装置などが変わると、異なるディスクの反りを有する製品が発生してしまうという問題点があった。
上記した光ディスクの反り発生の問題を解決するために、厚さが同じ2枚の基板を何らかの方法で反り角がほぼ同じ大きさで互いに逆方向の反り角となるようにして両基板を接着剤で貼りつけて反り角を改善するようにした提案もなされている(特許文献1及び2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−112080号公報(第2−4頁、図1)。
【特許文献2】
特開平11−96598号公報(第5−6頁、図1)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した各特許文献1及び2で示されるディスク構造は、上述したようにDVD形態の光ディスクの場合であり、次世代型光ディスクのように、基板と、この基板よりも薄い光透過性シートとを貼り合わせるような形態の光ディスクに対しては適用することができない。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、反り角を低減した光情報記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、情報信号の入った基板の情報信号面に、少なくとも上引き層、記録層、下引き層を順次積層し、前記下引き層上に紫外線硬化性接着剤を介して前記基板より薄い光透過性シートを接合してなる光情報記録媒体において、前記単体の基板は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る光情報記録媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。なお、以下に述べる実施の形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は本発明に係る光情報記録媒体の一例を示す部分拡大構成図、図2は本発明に係る光情報記録媒体の一例を説明するための説明図である。尚、従来の光ディスクと同一構成部分については同一符号を付して説明する。
【0013】
図示するように、本発明の光情報記録媒体の一例である光ディスクD2は、情報信号2が形成された基板1の情報信号面にスパッタにより例えばアルミニウムの反射層3が成膜されており、光透過性シート4を情報信号面上に紫外線硬化性接着剤5を用いてスピン工法等で貼り合せる。この紫外線硬化性接着剤5は一般的には硬化収縮(接着剤が硬化する時収縮する現象)をする。
具体的には、上記反射層3上には、上引き層6、記録層7及び下引き層8が順次積層され、その上に、紫外線硬化性接着剤5を介して光透過性シート4が接合されている。尚、上記反射層3を設けていない型式の光ディスクもある。
上記記録層7は、例えばレーザ光の照射によって結晶化とアモルファス化を繰り返す相変化型の記録層7よりなる。上記上引き層6及び下引き層8は、例えばZnSiO2 膜等の誘電体膜よりなる。
【0014】
ここで、この単体としての基板1は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤5の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層3、6〜8を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されている。図2(A)に示す場合には、その一例として情報信号面側が延びて反射側面が縮むようにして基板1の全体が所定の量の反り角だけ予め屈曲変形されている。
【0015】
ここで反り角の定義を述べると、光ディスクの中心近傍で水平になるように光ディスクを支持台に保持し、直径が約1mmの平行光であるレーザ光が光ディスク中心近傍で垂直に光ディスクに入射するようにして光ディスクの下方から光ディスクに入射し、このレーザ光が光ディスクに当って反射する時のディスク面に垂線を引いた時のレーザ光と垂線とでなす角度(レーザの入射光と反射光の1/2の角度)を反り角と言い、通常は支持台を回転方向や半径方向に移動できるようにして複数ポイントの測定ができるようにしている。また測定した反り角は半径方向と円周方向とに分けて光ディスクを管理している。更に便宜状、情報信号面を下にして測定した時の半径方向の反り角は内周より外周が下がった時はマイナス方向の反り角とし、反り角量は各半径の平均値として表される。尚、本発明では、後述するように基板1枚あたり半径方向5ポイント、円周方向71ポイントで合計355ポイントを測定している。
ここで図2(A)では光透過性シート4側が凸状になる反り角を設けており、上記反り角の定義ではプラス方向の反り角となる。尚、図9(B)に示す場合は基板1はマイナス方向の反り角となっている。
【0016】
次に、各反り角、或いはその変化量について検討を行ったので、その結果について説明する。
図3は同じ紫外線硬化性接着剤を用いて1.1mm厚の基板と0.09mm厚の光透過性シートを紫外線硬化性接着剤(以下、単に接着剤とも称す)の厚さを変えて貼った後と貼る前の半径57mmにおける反り角変化量(貼り合わせ後−貼り合わせ前)を示すグラフである。このグラフから明らかなように、接着剤5の厚さが4μmと薄い場合には反り角変化量は−0.01°と小さいが、接着剤5の厚さが12μmと厚くなると反り角変化量は−0.14°とマイナス方向に大きく変化していることが分かる。ここで、マイナス方向とは反り角の定義でも述べたように情報信号面を下にした時、内周より外周が下がった時で有り、反り角変化量は貼り合わせ後の反り角から貼り合わせ前の反り角の差で求めているので、貼る前の反り角より貼った後の反り角が情報信号面を下にした時、内周より外周が下がっている。このように同じ紫外線硬化性接着剤を用いても接着剤の厚さによって光ディスクの反り角変化量は異なる。
【0017】
図9に示すように情報信号面上にアルミニウムの反射層3だけを成膜した形態はROM型光ディスクの場合であり、情報信号2はピット形状をしている。一方、次世代型光ディスクでも何回でも記録再生ができる相変化型の形態がある。この場合は情報信号2として同心円状または螺旋状に溝を形成して、その情報信号面上に反射層3、上引き層6、記録層7、下引き層8を順次スパッタにより積層し、更にその上に光透過性シート4を紫外線硬化性接着剤5で貼りつけて構成する。このようにして得た相変化型光ディスクの記録層7は非結晶なので、レーザ 光やフラッシュ光を記録層7に照射し、その発熱現象により結晶化(初期化)させてから使用するが、その熱により相変化膜よりなる記録層7や基板1の応力が変わって反り角変化が起こる。
【0018】
図4はこのようにして発生する相変化型次世代光ディスクの初期化前後での反り角量を示すグラフである。このグラフに示すように、半径57mmにおいて初期化前は反り角が−0.28°だった基板は、初期化後は−0.38°とマイナス方向に変化した。また、この反り角変化量は初期化時の初期化投入パワー、レーザ送り速度、ディスク回転数等の初期化条件で変わる。
図5は相変化型光ディスクをスパッタにより成膜した時の成膜前後での反り角変化量を示すグラフである。このグラフに示すように、半径57mmにおいて成膜前は0.065°だった基板は、成膜後は0.025°と反り角はマイナス方向に変化した。この反り角変化量は成膜時の投入電力、ターゲットと基板との距離、単位時間当たりの成膜速度、導入ガス量などの成膜の条件、材料組成、成膜の厚さ、成膜装置などによって変化する。
【0019】
紫外線硬化性接着剤5の硬化収縮による反り角の変化や初期化による反り角の変化及び各層の成膜による反り角の変化は主に半径方向の反り角の変化であり、全てマイナス方向に変化している。光透過性シート4を貼った後の基板1を平にするには、光透過性シート4を貼ったことによる反り角変化量を想定して光透過性シート4を貼る前の基板1の反り角を想定される反り角の反対方向に、想定される反り角分だけ反らせておくことにより解決できることが分かった。光透過性シート4を基板1に貼る前の反り角は、貼ることによって想定される反り角の±20%以内に制御することにより、良好な光ディスクとすることが可能となる。
【0020】
貼り合わせる前の基板1を反らす方法は、射出成形により情報信号を形成する際に、射出成形機に装着された一対の金型の一方の金型に情報信号の母型となるスタンパーを取り付けた時、もう一方の金型の温度はスタンパーを取り付けた金型の温度よりも高くして成形することにより効果的に基板1を反らすことができ、また制御も行い易い。
次世代光ディスクを市場に出す時は、光透過性シート4の面とは反対側の基板面にタイトル等が書かれたレーベルを設けることになる。このレーベルはスクリーン印刷やシルク印刷またはタイトル等が書かれたシール等を貼り形成することができる。硬化収縮するインキを用いてスクリーン印刷等でレーベルを形成した場合には基板1はプラスの方向に反るので、この時の反り角の変化量と接着剤5の硬化収縮による反り角変化量や初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の和の反り角変化量が同程度とすることでも、反り角を改善できる。この場合は成形時の基板は平に製作する。
【0021】
また硬化収縮するインキを用いたレーベル印刷と接着剤5の硬化収縮による反り角変化量や初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の和とで反り角がキャンセルできない場合には成型時の基板の反り角で調整する。例えば基板1に相変化膜として記録層3を形成し、光透過性シート4を貼り、初期化した基板1の反り角がマイナス方向に0.3°となった基板1に硬化収縮するインキを用いてレーベル印刷を行った後の反り角を測定したら、マイナス方向に0.1°となったなら、成型時の基板をプラス方向に0.1°になるような条件で製作した基板1を使用することで、最終工程のレーベル印刷終了時に光ディスクを平にすることが可能である。
【0022】
また硬化することにより膨張するインキを使用した場合の基板1は更にマイナス方向に反るので、成型時の基板1の反り角は、この時の反り角量を見込んだ値を含める。更にレーベルをシールで設けた時や硬化収縮しないインキでレーベル層を設けた時或いは光ディスクをカートリッジに入れて使用する時はレーベル印刷を必ずしも行う必要はないので、上述したように接着剤5の硬化収縮による反り角変化量や初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の和の値の逆方向の反り角量になるようにした基板1を基板成型時に製作し、その基板1を用いることで最終工程終了後の反り角をほぼ0°にすることが可能である。
【0023】
次に円周方向の反り角について説明する。
一般的に円周方向の反り角は円周上の幅(最大値―最小値)で管理している。基板1と光透過性シート4をスピン工法により貼り合わせた後、紫外線照射装置(紫外線ランプ)の下に設けたターンテーブルに移動し、接着剤5で一体となった基板1と光透過性シート4とを回しながら紫外線を照射することで接着剤5を硬化させる。上記紫外線ランプとしては棒状や球状等各種の形態があるが、例えば棒状ランプを使用してこれを基板1の直径方向に設置した場合、基板1に照射される光の照度がランプ直下とそれより90°回転した場所では異なるので、ターンテーブルの回転数が遅いと硬化収縮量の差や硬化時の接着剤の発熱の差が大きくなって円周方向の反り角が大きくなる。詳述すると照度はランプ直下が一番高く、これより90°回転した基板の外周部の場所が一番低くなり、基板1ではそれぞれ2カ所存在する。また照度が高い方が接着剤5の硬化は早く進み硬化収縮量は大きくなる。更に発熱により基板1や成膜の持っている応力が変わるので、回転が遅いと円周方向の硬化収縮量差や温度差により2山分布を持つ反り角の形状となり、円周方向の反り角の幅が大きくなる。よって、接着剤5を硬化する際には、硬化収縮量差や温度差が少なくなるような適当な回転数とする。
【0024】
また紫外線ランプと基板との間にすり硝子を入れ、紫外線を散乱させて照射むらを緩和すると更に良い。更に紫外線ランプと基板との間の距離を適正な距離にすることで更に良好になる。実験的には50mm〜500mmが適正な距離であり、50mm以下の場合には円周方向の反り角が大きくなりすぎて記録再生時にフォーカスが掛からなくなったり、フォーカスエラーが大きくなって使用に耐えない。逆に、500mm以上の場合には照射時間が長くなって量産性が悪くなる。また照射パワーを下げたり接着剤5に含有されている光開始剤の量を少なくして硬化速度を遅くすると良い。更に紫外線を間欠照射することで発熱が小さくなるので応力による変化量は少なくなって良好になる。
【0025】
次世代型高密度光ディスクの一例としては、例えば入射面層の厚さを0.1mmと仮定するならば、情報信号が入った厚さが1.1mmの基板1を射出成形法等で作製し、情報信号面上に反射層3を成膜し、更にその上に光透過性シート4を接着剤5で貼り、レーザ光の入射は光透過性シート4側から行う。即ち、この場合は、光透過性シート4の厚さは情報信号の入った基板1より薄くなる。尚、本実施例では入射面層の厚さは0.1mm、基板1の厚さは1.1mmの組み合わせで行っているが、この厚さに限定したものではない。
更に基板1は、スタンパー(金型)から転写された螺旋状または同心円状の凸凹形状を有するピット列や、凸凹形状を有する溝列からなる情報信号を有しており、この情報信号面上に、アルミニウムなどの記録再生用レーザ光に対して高い反射率を有する反射層3を形成させた場合、再生専用光ディスクとなる。
【0026】
更にまた上記反射層3に、例えばキサンテン系、トリフェニルメタン系色素など記録再生用レーザ光の波長を吸収して発熱する材料を用いた場合には、追記型光ディスクと呼ばれる一度だけ記録できる光ディスクを得ることができる。
又上記反射層3に積層される、例えばGe−Sb−Te系合金よりなる相変化型記録膜と呼ばれる記録層7が結晶状態と非晶質状態とで記録再生用レーザ光に対して反射率が異なるような材料を用いた場合、一度だけ記録できる光ディスクや、複数回記録できる光ディスクを得ることができる。
更には、上記した構造であって、アルミニウム等の反射層3を有しない構造を用いたとしても、本実施例の効果は変わらないことが実験的に確かめられている。
【0027】
更に、情報信号面上に磁気光学効果を有する磁性の記録層を設けることにより、何度でも書き換え可能な光磁気型ディスクを得ることができる。
更にまた、前記したような記録層7を1層のみ有する単層構成のみならず、中間層を得て膜構成を対称型にした2層の記録層7を有する2層構成にした形態の光ディスクや、カード状をした光カードや、光ディスク等の外径を長方形状に加工した孔のあいたカード等において、入射面層として光透過性シート4を用いたものは全て適応可能である。
【0028】
一方、本実施例では光透過性シートとしてポリカーボネート樹脂を使用しているが、アモルファスポリオレフィンシートやポリエステルシートも適応可能である。
【0029】
<実施例1>
以下に本発明の具体的実施例について図6及び図7を参照して詳細に述べる。図6は各製造工程における反り角変化量を調べた結果を示す図、図7は基板の成膜面上に紫外線硬化性接着剤により光透過性シートをスピン工法にて貼り合わせる工程を説明するための概略図である。具体的には反り角測定機(アドモンサイエンス社製)で基板1の情報信号面または入射面の反り角を測定し、各工程後の反り角量から工程前の反り角量の半径57mmにおける差の値を求めて示している。これからも明らかなように半径方向の反り角変化量は、どの工程でもマイナス方向に変化している。
【0030】
また円周方向の反り角変化量はほとんど変化していないことが分かる。尚、成膜による反り角変化量は基板の情報信号面上に反射層3としてAg合金膜を200nm、上引き層6としてZnSiO2 膜を10nm、記録層7としてGeSbTe合金膜を13nm、下引き層8としてZnSiO2 膜を13nmスパッタにより順次積層し、成膜した時であり、接着剤5の硬化収縮による反り角変化量は上記各層を成膜した基板1に紫外線硬化性接着剤(大日本インキ社製EX8206)で90μm厚の光透過性シート4を紫外線照射装置(松下電工社製)を用いてエネルギー500mJ/cm2、紫外線照射時の基板1の回転数240rpm 、紫外線ランプと基板間の距離150mmの条件で光透過性シート4側から紫外線を照射して接着剤5を硬化させ、10μm厚の接着剤の厚さを得た時である。初期化による反り角変化量は、初期化装置(シバソク社製)を用いて線速4m/s、送りピッチ40μm、レーザパワー570mWの条件で初期化した時の値を示している。
【0031】
始めに射出成形機に取り付けた金型の片面に情報信号の母型となるスタンパーを取り付け、図6に示す結果に基づいて成形時の基板1の反り角が半径57mmの位置で+0.25°になるように固定側と可動側の金型に温度差(本実施例では固定側113℃、可動側117℃)を付け、樹脂温度380℃で溶融した光ディスク用ポリカーボネート樹脂を金型のキャビティーに入れ、冷却後に基板1を金型から取り出し、これによって外径が120mm、内径が15mm、厚さが1.1mmで片面に情報信号の入った基板1を製作した。この基板1の反り角を上述した測定機で測定したところ、半径57mmの場所でプラス方向に0.25°であった。
【0032】
次に、この基板1の情報信号面上にAg合金膜を200nm、ZnSiO2 膜を10nm、GeSbTe合金膜を13nm、ZnSiO2 膜を13nmスパッタにより順次積層した。成膜した基板1の反り角を上述した測定機で測定した所、半径57mmの場所でプラス方向に0.21°であった。
次に図7(A)に示すスピンテーブル11の中心に設けた外径が15mmのセンターピン12をガイドとして、この基板1の成膜面を上にしてスピンテーブル11上に載置し図示しない減圧吸着により基板1を固定し、更に内径が15mm、外径が20mmのスペーサ13を、センターピン12をガイドとして基板1上に載置した。その後、基板1を60rpmで回転させ、またノズル14を基板1上に移動させて、ノズル14より紫外線硬化性接着剤5(大日本インキ社製EX8206)を滴下させて基板1上の円周方向に行き渡らせる。
【0033】
その後、基板1の回転を停止してノズル14を元に戻した後、図7(B)に示すように外径が119mm、内径が20mmとなるように予め加工された厚さが90μmの光透過性シートであるポリカーボネートシート4を、スペーサ13をガイドとして紫外線硬化性接着剤5上に落下させ、表面張力により紫外線硬化性接着剤5が適当な位置まで延伸した後、スピンテーブル11を3000rpmで15秒間回転させ、余分な接着剤5を飛ばした。その後、図7(C)に示すように紫外線硬化性接着剤5により一体となった基板1とポリカーボネートシート4を紫外線照射装置17(紫外線ランプ)下に設けたターンテーブル16上に移動させ、ターンテーブル16を240rpmで回転させながら紫外線17Aをポリカーボネートシート4側から照射して紫外線硬化性接着剤5を硬化させ、接着剤の厚さが10μm(入射面層0.1mm)の光ディスクD2を得た。この光ディスクD2の反り角を上述した測定機で測定したところ、半径57mmの場所でプラス方向に0.10°であった。尚、紫外線硬化性接着剤5を硬化させる時の基板1と紫外線ランプ17との間は150mmとなるように設定した。
【0034】
また、この時の接着剤5の硬化に使ったエネルギーは500mJ/cm2で行 った。この光ディスクD2を記録再生できるように初期化装置(シバソク社製)を用いて線速4m/s、送りピッチ40μm、レーザパワー570mwの条件で初期化を行った後、反り角を上述した測定機で測定した所、半径57mmの場所で0.00°であった。この光ディスクを用いて記録再生した所、内周から外周まで安定して記録再生でき、良好な結果を得ることができた。
【0035】
<実施例2、実施例3及び比較例1>
実施例1で用いたターンテーブル16の回転数を変えた以外は実施例1と同様の方法で作製した光ディスクの貼り合わせ前後の反り角を上述の測定機で測定し、円周方向の1周幅(最大値―最小値)の差(貼り合わせ後―貼り合わせ前)を調べた結果と、その光ディスクの記録再生時の残留フォーカスエラー値を図8に示す。
【0036】
図8から明らかなように、ターンテーブル16の回転数が100rpmより少ない、例えば50rpmの場合には(比較例1)、反り角変化量が大きくなり、100rpm以上の場合には(実施例2、実施例3)、反り角変化量は小さいことが分かる。また回転数を100rpm以上の回転数で硬化させた光ディスクの残留フォーカスエラー値は小さく安定した記録再生ができたが、50rpmの回転数で硬化させた光ディスクの残留フォーカスエラー値は大きく記録再生が不安定であった。
【0037】
尚、以上の各実施例では接着剤5として塗布形の接着剤を用いたが、基板1と光透過性シート4をシート状の紫外線硬化性接着剤で貼った光ディスクや予め光透過性シートとシート状の紫外線硬化性接着剤を貼り合わせて加工したシートを用いて基板と貼った光ディスクにも適用できる。上記シート状の紫外線硬化性接着剤とは糊状をした紫外線硬化性接着剤で2枚の剥離紙の間に糊状の紫外線硬化性物質を入れて2軸ロールによりシート状にしたものをいう。剥離紙を剥がして基板と光透過性シートを貼り、シート状の紫外線硬化性接着剤の完全硬化と基板と光透過性シートの接着力を増すために紫外線照射をする。この時、シート状の紫外線硬化性接着剤は硬化収縮する。また片面は剥離紙でもう一方の片面は光透過性シートとし、2軸ロールに通すことで光透過性シートとシート状の紫外線硬化性接着剤を予め貼り合わせて使用することもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、情報信号を形成した基板の反り角を、紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量、初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の総和の値でその反り角の逆方向の反り角とすることにより、反り角を低減した良好な光情報記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光情報記録媒体の一例を示す部分拡大構成図である。
【図2】本発明に係る光情報記録媒体の一例を説明するための説明図である。
【図3】同じ紫外線硬化性接着剤を用いて1.1mm厚の基板と0.09mm厚の光透過性シートを紫外線硬化性接着剤の厚さを変えて貼った後と貼る前における反り角変化量(貼り合わせ後−貼り合わせ前)を示すグラフである。
【図4】相変化型次世代光ディスクの初期化前後での反り角量を示すグラフである。
【図5】相変化型光ディスクをスパッタにより成膜した時の成膜前後での反り角変化量を示すグラフである。
【図6】各製造工程における反り角変化量を調べた結果を示す図である。
【図7】基板の成膜面上に紫外線硬化性接着剤により光透過性シートをスピン工法にて貼り合わせる工程を説明するための概略図である。
【図8】光ディスクの円周方向の1周幅(最大値―最小値)の差(貼り合わせ後―貼り合わせ前)を調べた結果と、その光ディスクの記録再生時の残留フォーカスエラー値を示す図である。
【図9】次世代型光ディスクの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…基板、2…情報信号、3…反射層、4…光透過性シート、5…紫外線硬化性接着剤、6…上引き層、7…記録層、8…下引き層、D2…光ディスク(光情報記録媒体)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光が入射する読み取り面側を薄型化して高記録密度化を可能とする光ディスクに係り、特に反り角を低減した光ディスク等の光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光情報記録媒体として、例えば光ディスクは高密度、大容量、小型化を目指して開発が進められている。光ディスクは、基板表面に微細な凸凹形状からなるピット状または溝状の情報信号面を有し、この情報信号面内の情報を読み取る場合には、この基板の読み取り面側からレーザ光を照射してこのレーザ光が情報信号面で反射してくる反射光の光強度の変化として、情報信号を読み出すようになっている。そして光ディスクの高密度化は、レーザ光の波長を短くすることや光学ピックアップの記録・再生時用のレーザ光を光ディスクの情報信号面に照射するための対物レンズの開口数を大きくして光ディスクの情報信号面における記録・再生光のスポット径を小さくすることで可能ならしめている。
【0003】
このように、対物レンズの開口数を大きくすると、記録再生レーザ光が照射されてこれが通過する光ディスクの入射面から情報信号面までの基板の厚みを薄くする必要がある。これは、光学ピックアップの光軸に対してディスクの情報信号面が垂直からずれる角度(チルト角)の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差や複屈折の影響を受け易いためである。
従って、基板の厚さを薄くして、光学ピックアップの光軸に対して光ディスクの情報信号面が垂直からずれても読み出される情報信号の劣化が少なくなるように、許容されるチルト角ができるだけ大きくなるようにしている。
【0004】
例えば、CD(Compact Disc)の入射面側の厚さは約1.2mmなのに対し、記録容量がCDの6〜8倍であるDVD(Digital Versatile Disc)は、CDに比べ開口数の大きな対物レンズを用いているので、許容されるチルト角が小さくなる。そこで入射面側の基板厚さを1.2mmから0.6mmに小さくすることで、CDと同程度のチルト角が許容できるようにしている。
また、最近では次世代型光ディスクとして、CDやDVDと同じ大きさのディスク1面当たりに15GB以上の大記録容量を入れる光ディスクの要求があり、ディスクの反りという観点からみると、入射面側の基板の厚さを約0.3mmとすると15GBとなり、また約0.1mmとすると20GBの記録容量が可能となる。
【0005】
上述したCDやDVDの光ディスクは、製造工程を簡略化し、かつ高品質な光ディスクを得るために、全て記録再生のレーザ光の入射面と情報信号面とを、同一基板上に対峙させた形で形成させている。そしてこれらの基板は、一般的には射出成形法を用いて成形されている。しかしながら、入射面側の基板の厚さが0.1mmとなると、射出成形法で製作するには基板が薄くて成形が困難であるため、別の作製方法及び光ディスク構造が幾つか提案されている。
【0006】
その一つを述べると、従来技術と同じ射出成形法により情報信号の入った基板を作製し、情報信号面上にアルミニウム等の反射膜を成膜し、その上に基板と同じ大きさの光透過性シートを光透過性である紫外線硬化性接着剤を用いてスピンコート法で貼り合せた後、この光透過性シート側から紫外線を照射して上記紫外線硬化性接着剤を硬化させることで、基板と光透過性シートとを接着するようにしたディスク構造が採用されている。
そして、再生用のレーザ光の入射は光透過性シート側から行うようになっている。この時の基板の外径は120mmであり、この大きさの基板上に従来の射出成形法で情報信号を形成するには、0.6mm以上の厚みの基板が必要となるため、前記した次世代型光ディスクの一工法は、情報信号を形成した基板の厚みより記録再生用のレーザ光を入射する光透過性シートの方が薄くなる。
【0007】
ここで、次世代型光ディスクの一形態の反り発生メカニズムを説明する。図9は次世代型光ディスクの一例を示す概略構成図である。この光ディスクD1は、情報信号2が形成された基板1の情報信号面にスパッタにより例えばアルミニウムの反射層3が成膜されており、光透過性シート4を情報信号面上に紫外線硬化性接着剤5を用いてスピン工法等で貼り合せる。この紫外線硬化性接着剤5は一般的には硬化収縮(接着剤が硬化する時収縮する現象)をする。一方、反り角は力学的中立面CL(基板と透過性シートと接着層の総厚の1/2の面)を境とした上下の応力等のバランスが崩れた時に発生するので、次世代型光ディスクのように力学的中立面CLより離れた場所で接着剤5が硬化すると、収縮しようとする応力が働き、貼る前に平だった基板1は光透過性シート4側が凹(図9(B)参照)になる反り角が発生する。尚、図9を用いて詳述した時は接着剤5が硬化収縮を起こす場合であるが、硬化する時に膨張する接着剤を用いた時の基板の反り角の変化は逆方向になる。
【0008】
更には、このような情報信号の入った基板1の情報信号面上に基板1より薄い光透過性シート4を貼った形態の次世代型光ディスクは、製造日、製造時間、製造装置などが変わると、異なるディスクの反りを有する製品が発生してしまうという問題点があった。
上記した光ディスクの反り発生の問題を解決するために、厚さが同じ2枚の基板を何らかの方法で反り角がほぼ同じ大きさで互いに逆方向の反り角となるようにして両基板を接着剤で貼りつけて反り角を改善するようにした提案もなされている(特許文献1及び2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−112080号公報(第2−4頁、図1)。
【特許文献2】
特開平11−96598号公報(第5−6頁、図1)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した各特許文献1及び2で示されるディスク構造は、上述したようにDVD形態の光ディスクの場合であり、次世代型光ディスクのように、基板と、この基板よりも薄い光透過性シートとを貼り合わせるような形態の光ディスクに対しては適用することができない。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、反り角を低減した光情報記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、情報信号の入った基板の情報信号面に、少なくとも上引き層、記録層、下引き層を順次積層し、前記下引き層上に紫外線硬化性接着剤を介して前記基板より薄い光透過性シートを接合してなる光情報記録媒体において、前記単体の基板は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る光情報記録媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。なお、以下に述べる実施の形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は本発明に係る光情報記録媒体の一例を示す部分拡大構成図、図2は本発明に係る光情報記録媒体の一例を説明するための説明図である。尚、従来の光ディスクと同一構成部分については同一符号を付して説明する。
【0013】
図示するように、本発明の光情報記録媒体の一例である光ディスクD2は、情報信号2が形成された基板1の情報信号面にスパッタにより例えばアルミニウムの反射層3が成膜されており、光透過性シート4を情報信号面上に紫外線硬化性接着剤5を用いてスピン工法等で貼り合せる。この紫外線硬化性接着剤5は一般的には硬化収縮(接着剤が硬化する時収縮する現象)をする。
具体的には、上記反射層3上には、上引き層6、記録層7及び下引き層8が順次積層され、その上に、紫外線硬化性接着剤5を介して光透過性シート4が接合されている。尚、上記反射層3を設けていない型式の光ディスクもある。
上記記録層7は、例えばレーザ光の照射によって結晶化とアモルファス化を繰り返す相変化型の記録層7よりなる。上記上引き層6及び下引き層8は、例えばZnSiO2 膜等の誘電体膜よりなる。
【0014】
ここで、この単体としての基板1は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤5の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層3、6〜8を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されている。図2(A)に示す場合には、その一例として情報信号面側が延びて反射側面が縮むようにして基板1の全体が所定の量の反り角だけ予め屈曲変形されている。
【0015】
ここで反り角の定義を述べると、光ディスクの中心近傍で水平になるように光ディスクを支持台に保持し、直径が約1mmの平行光であるレーザ光が光ディスク中心近傍で垂直に光ディスクに入射するようにして光ディスクの下方から光ディスクに入射し、このレーザ光が光ディスクに当って反射する時のディスク面に垂線を引いた時のレーザ光と垂線とでなす角度(レーザの入射光と反射光の1/2の角度)を反り角と言い、通常は支持台を回転方向や半径方向に移動できるようにして複数ポイントの測定ができるようにしている。また測定した反り角は半径方向と円周方向とに分けて光ディスクを管理している。更に便宜状、情報信号面を下にして測定した時の半径方向の反り角は内周より外周が下がった時はマイナス方向の反り角とし、反り角量は各半径の平均値として表される。尚、本発明では、後述するように基板1枚あたり半径方向5ポイント、円周方向71ポイントで合計355ポイントを測定している。
ここで図2(A)では光透過性シート4側が凸状になる反り角を設けており、上記反り角の定義ではプラス方向の反り角となる。尚、図9(B)に示す場合は基板1はマイナス方向の反り角となっている。
【0016】
次に、各反り角、或いはその変化量について検討を行ったので、その結果について説明する。
図3は同じ紫外線硬化性接着剤を用いて1.1mm厚の基板と0.09mm厚の光透過性シートを紫外線硬化性接着剤(以下、単に接着剤とも称す)の厚さを変えて貼った後と貼る前の半径57mmにおける反り角変化量(貼り合わせ後−貼り合わせ前)を示すグラフである。このグラフから明らかなように、接着剤5の厚さが4μmと薄い場合には反り角変化量は−0.01°と小さいが、接着剤5の厚さが12μmと厚くなると反り角変化量は−0.14°とマイナス方向に大きく変化していることが分かる。ここで、マイナス方向とは反り角の定義でも述べたように情報信号面を下にした時、内周より外周が下がった時で有り、反り角変化量は貼り合わせ後の反り角から貼り合わせ前の反り角の差で求めているので、貼る前の反り角より貼った後の反り角が情報信号面を下にした時、内周より外周が下がっている。このように同じ紫外線硬化性接着剤を用いても接着剤の厚さによって光ディスクの反り角変化量は異なる。
【0017】
図9に示すように情報信号面上にアルミニウムの反射層3だけを成膜した形態はROM型光ディスクの場合であり、情報信号2はピット形状をしている。一方、次世代型光ディスクでも何回でも記録再生ができる相変化型の形態がある。この場合は情報信号2として同心円状または螺旋状に溝を形成して、その情報信号面上に反射層3、上引き層6、記録層7、下引き層8を順次スパッタにより積層し、更にその上に光透過性シート4を紫外線硬化性接着剤5で貼りつけて構成する。このようにして得た相変化型光ディスクの記録層7は非結晶なので、レーザ 光やフラッシュ光を記録層7に照射し、その発熱現象により結晶化(初期化)させてから使用するが、その熱により相変化膜よりなる記録層7や基板1の応力が変わって反り角変化が起こる。
【0018】
図4はこのようにして発生する相変化型次世代光ディスクの初期化前後での反り角量を示すグラフである。このグラフに示すように、半径57mmにおいて初期化前は反り角が−0.28°だった基板は、初期化後は−0.38°とマイナス方向に変化した。また、この反り角変化量は初期化時の初期化投入パワー、レーザ送り速度、ディスク回転数等の初期化条件で変わる。
図5は相変化型光ディスクをスパッタにより成膜した時の成膜前後での反り角変化量を示すグラフである。このグラフに示すように、半径57mmにおいて成膜前は0.065°だった基板は、成膜後は0.025°と反り角はマイナス方向に変化した。この反り角変化量は成膜時の投入電力、ターゲットと基板との距離、単位時間当たりの成膜速度、導入ガス量などの成膜の条件、材料組成、成膜の厚さ、成膜装置などによって変化する。
【0019】
紫外線硬化性接着剤5の硬化収縮による反り角の変化や初期化による反り角の変化及び各層の成膜による反り角の変化は主に半径方向の反り角の変化であり、全てマイナス方向に変化している。光透過性シート4を貼った後の基板1を平にするには、光透過性シート4を貼ったことによる反り角変化量を想定して光透過性シート4を貼る前の基板1の反り角を想定される反り角の反対方向に、想定される反り角分だけ反らせておくことにより解決できることが分かった。光透過性シート4を基板1に貼る前の反り角は、貼ることによって想定される反り角の±20%以内に制御することにより、良好な光ディスクとすることが可能となる。
【0020】
貼り合わせる前の基板1を反らす方法は、射出成形により情報信号を形成する際に、射出成形機に装着された一対の金型の一方の金型に情報信号の母型となるスタンパーを取り付けた時、もう一方の金型の温度はスタンパーを取り付けた金型の温度よりも高くして成形することにより効果的に基板1を反らすことができ、また制御も行い易い。
次世代光ディスクを市場に出す時は、光透過性シート4の面とは反対側の基板面にタイトル等が書かれたレーベルを設けることになる。このレーベルはスクリーン印刷やシルク印刷またはタイトル等が書かれたシール等を貼り形成することができる。硬化収縮するインキを用いてスクリーン印刷等でレーベルを形成した場合には基板1はプラスの方向に反るので、この時の反り角の変化量と接着剤5の硬化収縮による反り角変化量や初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の和の反り角変化量が同程度とすることでも、反り角を改善できる。この場合は成形時の基板は平に製作する。
【0021】
また硬化収縮するインキを用いたレーベル印刷と接着剤5の硬化収縮による反り角変化量や初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の和とで反り角がキャンセルできない場合には成型時の基板の反り角で調整する。例えば基板1に相変化膜として記録層3を形成し、光透過性シート4を貼り、初期化した基板1の反り角がマイナス方向に0.3°となった基板1に硬化収縮するインキを用いてレーベル印刷を行った後の反り角を測定したら、マイナス方向に0.1°となったなら、成型時の基板をプラス方向に0.1°になるような条件で製作した基板1を使用することで、最終工程のレーベル印刷終了時に光ディスクを平にすることが可能である。
【0022】
また硬化することにより膨張するインキを使用した場合の基板1は更にマイナス方向に反るので、成型時の基板1の反り角は、この時の反り角量を見込んだ値を含める。更にレーベルをシールで設けた時や硬化収縮しないインキでレーベル層を設けた時或いは光ディスクをカートリッジに入れて使用する時はレーベル印刷を必ずしも行う必要はないので、上述したように接着剤5の硬化収縮による反り角変化量や初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の和の値の逆方向の反り角量になるようにした基板1を基板成型時に製作し、その基板1を用いることで最終工程終了後の反り角をほぼ0°にすることが可能である。
【0023】
次に円周方向の反り角について説明する。
一般的に円周方向の反り角は円周上の幅(最大値―最小値)で管理している。基板1と光透過性シート4をスピン工法により貼り合わせた後、紫外線照射装置(紫外線ランプ)の下に設けたターンテーブルに移動し、接着剤5で一体となった基板1と光透過性シート4とを回しながら紫外線を照射することで接着剤5を硬化させる。上記紫外線ランプとしては棒状や球状等各種の形態があるが、例えば棒状ランプを使用してこれを基板1の直径方向に設置した場合、基板1に照射される光の照度がランプ直下とそれより90°回転した場所では異なるので、ターンテーブルの回転数が遅いと硬化収縮量の差や硬化時の接着剤の発熱の差が大きくなって円周方向の反り角が大きくなる。詳述すると照度はランプ直下が一番高く、これより90°回転した基板の外周部の場所が一番低くなり、基板1ではそれぞれ2カ所存在する。また照度が高い方が接着剤5の硬化は早く進み硬化収縮量は大きくなる。更に発熱により基板1や成膜の持っている応力が変わるので、回転が遅いと円周方向の硬化収縮量差や温度差により2山分布を持つ反り角の形状となり、円周方向の反り角の幅が大きくなる。よって、接着剤5を硬化する際には、硬化収縮量差や温度差が少なくなるような適当な回転数とする。
【0024】
また紫外線ランプと基板との間にすり硝子を入れ、紫外線を散乱させて照射むらを緩和すると更に良い。更に紫外線ランプと基板との間の距離を適正な距離にすることで更に良好になる。実験的には50mm〜500mmが適正な距離であり、50mm以下の場合には円周方向の反り角が大きくなりすぎて記録再生時にフォーカスが掛からなくなったり、フォーカスエラーが大きくなって使用に耐えない。逆に、500mm以上の場合には照射時間が長くなって量産性が悪くなる。また照射パワーを下げたり接着剤5に含有されている光開始剤の量を少なくして硬化速度を遅くすると良い。更に紫外線を間欠照射することで発熱が小さくなるので応力による変化量は少なくなって良好になる。
【0025】
次世代型高密度光ディスクの一例としては、例えば入射面層の厚さを0.1mmと仮定するならば、情報信号が入った厚さが1.1mmの基板1を射出成形法等で作製し、情報信号面上に反射層3を成膜し、更にその上に光透過性シート4を接着剤5で貼り、レーザ光の入射は光透過性シート4側から行う。即ち、この場合は、光透過性シート4の厚さは情報信号の入った基板1より薄くなる。尚、本実施例では入射面層の厚さは0.1mm、基板1の厚さは1.1mmの組み合わせで行っているが、この厚さに限定したものではない。
更に基板1は、スタンパー(金型)から転写された螺旋状または同心円状の凸凹形状を有するピット列や、凸凹形状を有する溝列からなる情報信号を有しており、この情報信号面上に、アルミニウムなどの記録再生用レーザ光に対して高い反射率を有する反射層3を形成させた場合、再生専用光ディスクとなる。
【0026】
更にまた上記反射層3に、例えばキサンテン系、トリフェニルメタン系色素など記録再生用レーザ光の波長を吸収して発熱する材料を用いた場合には、追記型光ディスクと呼ばれる一度だけ記録できる光ディスクを得ることができる。
又上記反射層3に積層される、例えばGe−Sb−Te系合金よりなる相変化型記録膜と呼ばれる記録層7が結晶状態と非晶質状態とで記録再生用レーザ光に対して反射率が異なるような材料を用いた場合、一度だけ記録できる光ディスクや、複数回記録できる光ディスクを得ることができる。
更には、上記した構造であって、アルミニウム等の反射層3を有しない構造を用いたとしても、本実施例の効果は変わらないことが実験的に確かめられている。
【0027】
更に、情報信号面上に磁気光学効果を有する磁性の記録層を設けることにより、何度でも書き換え可能な光磁気型ディスクを得ることができる。
更にまた、前記したような記録層7を1層のみ有する単層構成のみならず、中間層を得て膜構成を対称型にした2層の記録層7を有する2層構成にした形態の光ディスクや、カード状をした光カードや、光ディスク等の外径を長方形状に加工した孔のあいたカード等において、入射面層として光透過性シート4を用いたものは全て適応可能である。
【0028】
一方、本実施例では光透過性シートとしてポリカーボネート樹脂を使用しているが、アモルファスポリオレフィンシートやポリエステルシートも適応可能である。
【0029】
<実施例1>
以下に本発明の具体的実施例について図6及び図7を参照して詳細に述べる。図6は各製造工程における反り角変化量を調べた結果を示す図、図7は基板の成膜面上に紫外線硬化性接着剤により光透過性シートをスピン工法にて貼り合わせる工程を説明するための概略図である。具体的には反り角測定機(アドモンサイエンス社製)で基板1の情報信号面または入射面の反り角を測定し、各工程後の反り角量から工程前の反り角量の半径57mmにおける差の値を求めて示している。これからも明らかなように半径方向の反り角変化量は、どの工程でもマイナス方向に変化している。
【0030】
また円周方向の反り角変化量はほとんど変化していないことが分かる。尚、成膜による反り角変化量は基板の情報信号面上に反射層3としてAg合金膜を200nm、上引き層6としてZnSiO2 膜を10nm、記録層7としてGeSbTe合金膜を13nm、下引き層8としてZnSiO2 膜を13nmスパッタにより順次積層し、成膜した時であり、接着剤5の硬化収縮による反り角変化量は上記各層を成膜した基板1に紫外線硬化性接着剤(大日本インキ社製EX8206)で90μm厚の光透過性シート4を紫外線照射装置(松下電工社製)を用いてエネルギー500mJ/cm2、紫外線照射時の基板1の回転数240rpm 、紫外線ランプと基板間の距離150mmの条件で光透過性シート4側から紫外線を照射して接着剤5を硬化させ、10μm厚の接着剤の厚さを得た時である。初期化による反り角変化量は、初期化装置(シバソク社製)を用いて線速4m/s、送りピッチ40μm、レーザパワー570mWの条件で初期化した時の値を示している。
【0031】
始めに射出成形機に取り付けた金型の片面に情報信号の母型となるスタンパーを取り付け、図6に示す結果に基づいて成形時の基板1の反り角が半径57mmの位置で+0.25°になるように固定側と可動側の金型に温度差(本実施例では固定側113℃、可動側117℃)を付け、樹脂温度380℃で溶融した光ディスク用ポリカーボネート樹脂を金型のキャビティーに入れ、冷却後に基板1を金型から取り出し、これによって外径が120mm、内径が15mm、厚さが1.1mmで片面に情報信号の入った基板1を製作した。この基板1の反り角を上述した測定機で測定したところ、半径57mmの場所でプラス方向に0.25°であった。
【0032】
次に、この基板1の情報信号面上にAg合金膜を200nm、ZnSiO2 膜を10nm、GeSbTe合金膜を13nm、ZnSiO2 膜を13nmスパッタにより順次積層した。成膜した基板1の反り角を上述した測定機で測定した所、半径57mmの場所でプラス方向に0.21°であった。
次に図7(A)に示すスピンテーブル11の中心に設けた外径が15mmのセンターピン12をガイドとして、この基板1の成膜面を上にしてスピンテーブル11上に載置し図示しない減圧吸着により基板1を固定し、更に内径が15mm、外径が20mmのスペーサ13を、センターピン12をガイドとして基板1上に載置した。その後、基板1を60rpmで回転させ、またノズル14を基板1上に移動させて、ノズル14より紫外線硬化性接着剤5(大日本インキ社製EX8206)を滴下させて基板1上の円周方向に行き渡らせる。
【0033】
その後、基板1の回転を停止してノズル14を元に戻した後、図7(B)に示すように外径が119mm、内径が20mmとなるように予め加工された厚さが90μmの光透過性シートであるポリカーボネートシート4を、スペーサ13をガイドとして紫外線硬化性接着剤5上に落下させ、表面張力により紫外線硬化性接着剤5が適当な位置まで延伸した後、スピンテーブル11を3000rpmで15秒間回転させ、余分な接着剤5を飛ばした。その後、図7(C)に示すように紫外線硬化性接着剤5により一体となった基板1とポリカーボネートシート4を紫外線照射装置17(紫外線ランプ)下に設けたターンテーブル16上に移動させ、ターンテーブル16を240rpmで回転させながら紫外線17Aをポリカーボネートシート4側から照射して紫外線硬化性接着剤5を硬化させ、接着剤の厚さが10μm(入射面層0.1mm)の光ディスクD2を得た。この光ディスクD2の反り角を上述した測定機で測定したところ、半径57mmの場所でプラス方向に0.10°であった。尚、紫外線硬化性接着剤5を硬化させる時の基板1と紫外線ランプ17との間は150mmとなるように設定した。
【0034】
また、この時の接着剤5の硬化に使ったエネルギーは500mJ/cm2で行 った。この光ディスクD2を記録再生できるように初期化装置(シバソク社製)を用いて線速4m/s、送りピッチ40μm、レーザパワー570mwの条件で初期化を行った後、反り角を上述した測定機で測定した所、半径57mmの場所で0.00°であった。この光ディスクを用いて記録再生した所、内周から外周まで安定して記録再生でき、良好な結果を得ることができた。
【0035】
<実施例2、実施例3及び比較例1>
実施例1で用いたターンテーブル16の回転数を変えた以外は実施例1と同様の方法で作製した光ディスクの貼り合わせ前後の反り角を上述の測定機で測定し、円周方向の1周幅(最大値―最小値)の差(貼り合わせ後―貼り合わせ前)を調べた結果と、その光ディスクの記録再生時の残留フォーカスエラー値を図8に示す。
【0036】
図8から明らかなように、ターンテーブル16の回転数が100rpmより少ない、例えば50rpmの場合には(比較例1)、反り角変化量が大きくなり、100rpm以上の場合には(実施例2、実施例3)、反り角変化量は小さいことが分かる。また回転数を100rpm以上の回転数で硬化させた光ディスクの残留フォーカスエラー値は小さく安定した記録再生ができたが、50rpmの回転数で硬化させた光ディスクの残留フォーカスエラー値は大きく記録再生が不安定であった。
【0037】
尚、以上の各実施例では接着剤5として塗布形の接着剤を用いたが、基板1と光透過性シート4をシート状の紫外線硬化性接着剤で貼った光ディスクや予め光透過性シートとシート状の紫外線硬化性接着剤を貼り合わせて加工したシートを用いて基板と貼った光ディスクにも適用できる。上記シート状の紫外線硬化性接着剤とは糊状をした紫外線硬化性接着剤で2枚の剥離紙の間に糊状の紫外線硬化性物質を入れて2軸ロールによりシート状にしたものをいう。剥離紙を剥がして基板と光透過性シートを貼り、シート状の紫外線硬化性接着剤の完全硬化と基板と光透過性シートの接着力を増すために紫外線照射をする。この時、シート状の紫外線硬化性接着剤は硬化収縮する。また片面は剥離紙でもう一方の片面は光透過性シートとし、2軸ロールに通すことで光透過性シートとシート状の紫外線硬化性接着剤を予め貼り合わせて使用することもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、情報信号を形成した基板の反り角を、紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量、初期化による反り角変化量及び各層の成膜による反り角変化量の総和の値でその反り角の逆方向の反り角とすることにより、反り角を低減した良好な光情報記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光情報記録媒体の一例を示す部分拡大構成図である。
【図2】本発明に係る光情報記録媒体の一例を説明するための説明図である。
【図3】同じ紫外線硬化性接着剤を用いて1.1mm厚の基板と0.09mm厚の光透過性シートを紫外線硬化性接着剤の厚さを変えて貼った後と貼る前における反り角変化量(貼り合わせ後−貼り合わせ前)を示すグラフである。
【図4】相変化型次世代光ディスクの初期化前後での反り角量を示すグラフである。
【図5】相変化型光ディスクをスパッタにより成膜した時の成膜前後での反り角変化量を示すグラフである。
【図6】各製造工程における反り角変化量を調べた結果を示す図である。
【図7】基板の成膜面上に紫外線硬化性接着剤により光透過性シートをスピン工法にて貼り合わせる工程を説明するための概略図である。
【図8】光ディスクの円周方向の1周幅(最大値―最小値)の差(貼り合わせ後―貼り合わせ前)を調べた結果と、その光ディスクの記録再生時の残留フォーカスエラー値を示す図である。
【図9】次世代型光ディスクの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…基板、2…情報信号、3…反射層、4…光透過性シート、5…紫外線硬化性接着剤、6…上引き層、7…記録層、8…下引き層、D2…光ディスク(光情報記録媒体)。
Claims (1)
- 情報信号の入った基板の情報信号面に、少なくとも上引き層、記録層、下引き層を順次積層し、前記下引き層上に紫外線硬化性接着剤を介して前記基板より薄い光透過性シートを接合してなる光情報記録媒体において、
前記単体の基板は、少なくとも前記紫外線硬化性接着剤の硬化収縮による反り角変化量と、初期化による反り角変化量と、前記各層を成膜することによる反り角変化量との総合の変化量を相殺するような逆方向の反り角でもって形成されていることを特徴とする光情報記録媒体。
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Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004158062A (ja) |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002320459A patent/JP2004158062A/ja active Pending
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