JP2553942B2 - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光学的に情報の記録再生を行う光ディスク
や、磁気、光カード等の情報記録媒体の製造方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
周知のように、この種の情報記録媒体としての光ディ
スクは高密度、高記録容量の情報記録媒体であり、文書
ファイル、画像ファイル、あるいはコンピュータ用メモ
リ等に使用されるため、非常に高い信頼性が要求され
る。
このような光ディスクとしては、従来より、 1)透明材料からなる基板上に記録膜を形成した単板構
造のもの、 2)2枚の単板構造の光ディスクを内周と外周にスペー
サを介して接着剤で貼合わせてなるサンドウィッチ構造
のもの、 3)2枚の単板構造の光ディスクを全面が密着するよう
に接着剤で貼合わせた全面密着構造のもの、 の都合、3種類が知られているいるが、中でも最も信頼
性の高い光ディスクは上記3)に示した全面密着構造の
ものであり、1)、2)のものと比較して耐衝撃性、剥
がれ性等の機械的強度並びに湿度や温度変化に対する耐
性(耐候性)に優れ、しかも反りが生じにくいものであ
る。
この全面密着構造の光ディスクの貼合わせ方法の先行
技術としては、例えば特開昭58−6536号公報に記載され
ているように、ホットメルト型接着剤をロールコーター
によって貼合わせる方法があり、同方法は量産性に優
れ、かつ、優れた品質の光ディスクを得られることが知
られている。
第4図(A)〜(D)に前述の先行技術を利用した従
来の光ディスクの製造方法の一例を示す。第4図(A)
において、中心孔(6)を有する円盤状の透明基板
(1)上に記録膜(2)を真空蒸着やスパッタリング等
の手法により形成した後、第4図(B)に示すようなロ
ールコーターを用い、ローラコンベア(10)上で矢印方
向に移動する前記基板(1)を押さえロール(9)によ
り塗布ロール(8)に押し付けながら、記録膜(2)上
に加熱タンク(3)内の溶解したホットメルト型接着剤
(4)を30〜50μ程度の厚さで塗布する。
次に、ホットメルト型接着剤(4)を塗布した2枚の
基板(1)を互いに接着剤塗布面が内側になるようにし
て重合した後、第4図(C)に示すように、プレス機の
上下プレス板(11)(12)により加圧して貼合わせを行
っている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記のような従来方法によると、貼合
わせ時におけるプレス加工によって、第4図(D)に示
すように、基板(1)の中心孔(6)の端面および外周
端面に接着剤のはみ出し部(7a)(7b)が生じる。この
ため、ハンドリング時に内周、外周端面部分を手で掴持
したり、あるいは記録再生装置に装着したときに、光デ
ィスクをクランプするセンタリング軸と、光ディスクの
内径部分とが接触することにより、接着剤のはみ出し部
(7a)(7b)が脱落し、光ディスク表面に付着するた
め、光学的な障害となり、記録、再生が不可能になると
いった品質上の不都合を生じ、このような不都合をなく
すために、貼合わせ後に接着剤のはみ出しを除去する作
業が別に必要である。
すなわち、この接着剤ははみ出し部(7a)(7b)の除
去作業において、光ディスクの外周端面部のはみ出し部
(7b)については、切削加工等により容易に除去するこ
とができるが、その分工数の増加を招くという問題点が
あった。
一方、同光ディスクの内周端面部のはみ出し部(7a)
については、基板製造時に形成される中心孔(6)が高
精度の孔径を要求される上、記録面上に設けられた幅1.
0〜2.0μのスパイラル状または同心円状の記録再生用案
内溝との偏心量を有しているため、安易な加工は許され
ない。このため、CCDカメラ等を用いて記録再生用案内
溝との偏心量を補正しながら、中心孔(6)を切削加工
等により後加工しなければならず、高価な加工機と工数
増加による高コスト化を招いていた。
また、2枚の基板を貼合わせる場合、プレス時におい
て、位置ずれが生じないように、基板の中心孔(6)に
位置ずれ防止用軸(5)を通しているが、同中心孔
(6)端面からはみ出した接着剤(7a)(7b)がこの位
置ずれ防止用軸(5)に付着するため、貼合わせ後に光
ディスクを同位置ずれ防止用軸(5)から外すことが困
難になり、しかも、位置ずれ防止用軸(5)を交換、洗
浄しなければならないなど、煩雑な作業が必要となり、
生産性が悪化するという問題点もあった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになさ
れたもので、接着剤を基板中心孔端面および外周端面か
らはみ出すことなく2枚の基板を貼合わせることがで
き、良品率に優れた生産性の高い光ディスクの製造方法
を提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために本発明に係る情報記録媒体
の製造方法は、2枚の透明な樹脂基板のうち、少なくと
も一方の信号面上に記録膜層を形成し、前記基板の記録
膜層上にロールコーターを用いてホットメルト型接着剤
を塗布した後、この接着剤層が内側となるように前記2
枚の基板を重合すると共に加圧して貼合わせることによ
り光学式情報記録媒体を製造する方法であって、前記2
枚の基板を貼合わせる工程に先立って、2枚の基板の互
いに対向する信号面側最内周部および最外周部の少なく
とも一方に陥没した段差を設けることを特徴とするもの
である。
また、陥没した段差は0.2mm以上の深さに形成するこ
とが望ましい。
更に、前記基板の信号面側最内周部および最外周部に
陥没した段差を設ける手段として、基板成形用の金型に
ついて、基板の信号面側最内周部および最外周部に相応
する部分を突出させることが好ましく、具体的には、成
形された基板を突き出すためのエジェクトリングを同基
板の信号面側最内周部に相応する位置に設けると共に、
このエジェクトリングを記録再生用案内溝転写用スタン
パーの表面より突出させてなる基板成形用金型を準備
し、この基板成形用金型による前記基板の成形時におい
て、前記エジェクトリングの前記スタンパー表面より突
出する部分により、前記基板の信号面側最内周部に陥没
した段差を設け、また、記録再生用案内溝転写用スタン
パーの外周部を固定する外周リングを基板の信号面側最
外周部に相応する位置に設けると共に、この外周リング
を前記スタンパー表面より突出させてなる基板成形用金
型を準備し、この基板成形用金型による前記基板の成形
時において、前記外周リングの前記スタンパー表面より
突出する部分により、前記基板の信号面側最外周部に陥
没した段差を設ける。
〔作用〕
一般的に、ロールコーターは前述の従来例において、
その概略を説明したように、ホットメルト型接着剤を溶
解する加熱タンクの下に接着剤を塗る金属製の塗布ロー
ルを設け、かつ、塗布ロールの下に基板を同塗布ロール
に押さえ付ける硬質ゴム製の押さえロールを設けた構造
となっている。
すなわち、前記塗布ロールと押さえロールを回転させ
ることにより、剛性並びに平行度の高い2本のロールの
隙間に塗布面を上にして基板を流し、塗布ロールに付着
している接着剤を基板記録膜上に厚さ20〜30μで転写し
ているため、基板塗布面側に局部的な陥没した部分があ
ると、その箇所には接着剤が転写されないものである。
このように前記基板の信号面側最内周部および最外周
部に設けられた陥没した段差部分には、接着剤が塗布さ
れないため、貼合わせ時のプレス加工により基板中心孔
端面および外周端面から接着剤がはみ出すことを防止で
き、品質、生産性、コストを大幅に向上させることが可
能になる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。なお、下記の実施例は、本発明を光ディスクの製造
方法に適用したものであり、各実施例を説明する図面に
おいて、従来例と構成および作用が共通する部分につい
ては共通の符号を付すこととする。
第1図(A)〜(D)は全面密着構造の両面記録再生
可能な光ディスクの貼合わせ工程を順を追って説明する
ための図である。
第1図(A)において、中心孔(6)を有する円盤状
の透明基板(1)の信号面側最内周部および最外周部に
陥没した段差(14)(13)を、深さ0.2mm〜0.5mm、幅0.
5mm〜2mmで設け、かつ、信号面上に記録膜(2)を蒸
着、スパッタリング等により厚さ500Å〜700Åで形成す
る。次いで、第1図(B)に示すように、基板(1)を
記録膜層としての記録膜(2)が上になるようにして、
回転するローラコンベア(10)上に置き、ロールコータ
ーに送る。
これにより基板(1)はホットメルト型接着剤(4)
の付いた塗布ロール(8)と、この塗布ロール(8)に
基板(1)を押し付ける押さえロール(9)との隙間を
通り、ホットメルト型接着剤(4)が記録膜(2)上に
20μ〜30μの厚さで塗布される。このとき、基板信号面
側最内周部および最外周部には前記段差(14)(13)が
形成されているため、接着剤(4)は付着しない。
次いで、第1図(C)に示すように、接着剤(4)が
塗布された2枚の基板(1)の中心孔(6)を、この中
心孔(6)より僅かに小さな外形を有する円柱状の位置
ずれ防止用軸(5)に貫通して重ね合わせ、かつ、上下
に備えた上プレス板(11)、下プレス板(12)により加
圧して貼合わせる。
このような製造方法によると、第1図(D)に示すよ
うに、基板(1)の最内周部および最外周部には段差
(14)(13)の存在により、接着剤(4)が塗布されな
いため、加圧しても中心孔(6)の端面および外周端面
から接着剤(4)がはみ出すことなく貼合わせることが
できる。
なお、ホットメルト型接着剤(4)は加熱タンク
(3)中で100℃〜170℃に加熱して溶解させ、粘度が10
000〜50000cPsになった状態で塗布することが望まし
い。また、塗布ロール(8)と押さえロール(9)の隙
間については、基板(1)の厚みの80%程度とすると、
塗りむらが少なくなって好ましい。
したがって、一般的に光ディスク基板の厚みは約1.2m
mであるため、ロール隙間は1mm程度となる。すなわち、
基板信号面側最内周部および最外周部に設ける段差(1
4)(13)は0.2mm以上であれば効果がある。
本発明において使用される基板(1)としては、従来
より一般的に使用されている光透過特性に優れるアクリ
ル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等を用いることができ
る。また、接着剤(4)としては記録膜(2)を侵さな
いものであれば、一般的に使用されている熱可塑性ゴム
からなるウレタン系、ポリオレフィン系のホットメルト
接着剤を使用することができる。更に、記録膜(2)と
してはTeOx系、TbFeCo系等、レーザー光などの光によっ
て記録再生が可能なものであればいかなるものでもよ
い。
なお、この実施例では基板(1)の信号面側最内周部
および最外周部にL型の陥没した段差を設ける場合につ
いて述べたが、第3図(A)に示すように、傾斜状に面
取りした場合、または第3図(B)に示すように、曲線
状に面取りした場合、あるいは第3図(C)に示すよう
に、階段状の段差を設けた場合も同様の効果が得られ
る。
次に、第2図(A)〜(C)は、光ディスクの製造方
法における基板の製造方法を示すもので、基板成形用金
型の横断面図である。
第2図(A)(B)において、(M)は可動側金型、
(F)は固定側金型である。また、(15)はキャビティ
インサート、(16)はコアインサート(雄型)、(17)
はキャビティ(材料充填空間)で、このキャビティ(1
7)はコアインサート(16)とキャビティインサート(1
5)とによって形成され、このキャビティ(17)に樹脂
が注入されて、同キャビティ(17)と同形状の樹脂基板
が成形される。
(18)はキャビティ(17)の中心から外周に向かって
溶解した樹脂材料を射出するコアインサート(16)の中
心に設けたスプルーである。(19)はキャビティインサ
ート(15)に配され、基板(1)に記録再生用案内溝を
転写するスタンパーであり、(20)はスタンパー(19)
の内周部を固定するスタンパーホルダである。
(21)はスタンパー(19)の外周部を固定する外周リ
ングであり、基板(1)の最外周部に相応する部分に設
けられている。
(22)は基板(1)を取出すためのエジェクトリング
であり、基板最内周部に相応する部分に設けられ、第2
図(B)に示すように、型開き後、基板(1)を突き出
すものである。(23)はキャビティインサート(15)の
中心に設けられた基板(1)の中心孔(6)を打ち抜く
カッターである。
以上のように構成された光ディスク基板成形用金型に
おいて、エジェクトリング(22)および外周リング(2
1)をスタンパー(19)の表面よりキャビティ(17)側
に0.2〜0.5mm突出するように設置して成形することによ
り、第2図(C)に示すような基板(1)が得られる。
第2図(C)において、(24)は記録膜(2)が施さ
れる信号面である。
よって、第2図(C)に示す基板(1)を用い、本発
明の第1実施例で述べた手段により光ディスクを製造す
れば、中心孔(6)の端面および外周端面部から接着剤
(4)がはみ出すことをなくすことができるので、光デ
ィスクの品質、生産性、コストを大幅に向上させること
ができる。なお、前記実施例では光ディスクを製造する
場合について述べたが、貼合わせ構造からなる磁気、光
カード等に応用することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、ロールコート時
に、基板信号面側最内周部および最外周部に接着剤を付
着することなく塗布することが可能となり、基板の中心
孔端面からの接着剤音のはみ出しのない状態で2枚の基
板を貼合わせることができる。
これにより、内、外周端面部分の接着剤のはみ出しが
脱落し、光ディスク表面に付着して記録、再生が不可能
となることはなく、品質的な向上を図ることができる。
また、内周端面部の接着剤のはみ出しを除去するために
貼合わせ後、中心孔を切削加工等の後加工により補正す
る必要がなく、工数およびコストを削減することができ
る。
更に、中心孔からはみ出した接着剤が位置ずれ防止用
軸に付着し、硬化することも防止できるので、貼合わせ
後に基板を位置ずれ防止用軸から外すことが容易であ
り、生産性を向上させることができるなど、従来にない
優れた効果を発揮するものとなった。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)〜(D)はそれぞれ本発明の光ディスクの
製造方法の第1実施例を示し、全面密着構造からなる両
面記録再生可能な光ディスクの貼合わせ工程をその工程
順に示す図、第2図は本発明の光ディスクの製造方法に
おける基板製造方法を示す実施例であり、第2図(A)
は基板成形用金型の横断面図、第2図(B)は同他の動
作状態を示す基板成形用金型の横断面図、第2図(C)
は同金型によって得られたディスクの断面図、第3図
(A)〜(C)はそれぞれ本発明の光ディスクの製造方
法における基板最内周部および最外周部に設けた陥没し
た段差の形状についての具体例を示した基板の横断面
図、第4図(A)〜(D)は従来の光ディスクの製造方
法であり、全面密着構造からなる両面記録再生可能な光
ディスクの貼合わせ工程を工程順に示す図である。 (1)…基板、(2)…記録膜層、(4)…ホットメル
ト型接着剤、(7a)(7b)…接着剤はみ出し部、(13)
…最外周部段差、(14)…最内周部段差。(19)…スタ
ンパー、(21)…外周リング、(22)…エジェクトリン
グ、(24)…信号面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−9550(JP,A) 特開 昭63−48631(JP,A) 特開 昭63−62932(JP,A) 特開 平2−282941(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚の透明な基板のうち、少なくとも一方
    の信号面上に記録膜層を形成し、前記基板の記録膜層上
    にロールコーターを用いてホットメルト型接着剤を塗布
    した後、この接着剤層が内側となるように前記2枚の基
    板を重ね合わせることにより光学式情報記録媒体を製造
    する方法であって、前記2枚の基板を貼合わせる工程に
    先立って、2枚の基板の互いに対向する信号面側最内周
    部および最外周部の少なくとも一方に陥没した段差を基
    板成形時に設ける方法として、まず、内周部について
    は、成形された基板を金型から突き出すためのエジェク
    トリングを同基板の信号面側最内周部に相応する位置に
    設けると共に、このエジェクトリングを記録再生用案内
    溝転写用スタンパーの表面より突き出させてなる基板成
    形用金型を準備し、この基板成形用金型による前記基板
    の成形において、前記エジェクトリングの前記スタンパ
    ーから突出する部分により、前記基板の信号面側最内周
    部に陥没した段差を設けることと、外周部については、
    スタンパーの外周部を固定する外周リングを基板の信号
    面側最外周部に相応する位置に設けると共に、この外周
    リングの前記スタンパー表面より突出させてなる基板成
    形用金型を準備し、この基板成形用金型による前記基板
    の成形時において、前記外周リングの前記スタンパーか
    ら突出する部分により、前記基板の信号面側最外周部分
    に陥没した段差を設けることを特徴とした情報記録媒体
    の製造方法。
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