JP3585981B2 - 光学ディスクの製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、オーディオ情報、ビデオ情報、あるいは通常データの記録又は再生用として用いられる記録媒体の製造方法及び装置に係わり、特に光を媒体として信号の記録再生を行えるようにした光学ディスクの製造方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により記録信号を読み取ることができるように構成された光学ディスクがある。この種の光学ディスクにおいて、表裏のそれぞれに信号記録エリアが設定されているものがある。
【0003】
図10は、例えば従来の大型(直径30cm程度)のビデオディスク1の構成を示すもので映画等が記録されている。このビデオディスク1は、その中央穴2の周囲に、穴2のエッジから信号記録エリアまでに平坦面3が存在するために、ここにディスクの記録内容(映画のタイトル、時間、製作者等)を表示するための表示手段4を設けている。表示手段4としては、リング状の紙あるいは薄いシートに文字記号等が印刷されたラベルを貼付けたり、あるいは直接印刷を施したり、さらには掘り込みを施すことにより実現している。
【0004】
上記のビデオディスク1は、2枚の片面ディスク1a、1bを貼り合わせた複合ディスクであり、この複合ビデオディスクの製造においては、それぞれ片面ディスク1a、1bが以下のように製造されて、最後に貼り合わせされる。
【0005】
図11は、製造工程を示している。即ち、予め記録情報となるピットが記録形成された金型(スタンパーと称される)を射出成形機等の樹脂成形機に取り付け、透明なポリカーボネイト、アクリル等のプラスチックに対して、スタンパーのピットを精度を良く転写成形した円板が作成される(ステップS1)。次に、この円板のピットが形成されている面に対して、スパッタリングや真空蒸着等の方法によってアルミニウム等の金属を付着させて反射膜が形成される(ステップS2)。次に、この反射膜の表面に対して、傷や腐食防止のために紫外線硬化型樹脂等をスピナー等により塗布し、保護膜を形成する(ステップS3)。
【0006】
上記のように片面ディスク1a、1bをそれぞれ作成し、次に、貼り合わせを行う(ステップS4)。貼り合わせにおいては、それぞれのディスクの貼り合わせ面に対して、まず、ホットメルトと称される熱可塑性の接着剤をロールコータ等により塗布し、互いの塗布面同士を突き合わせ、圧着プレスして1枚の光学複合ディスクとしている。そしてこの光学複合ディスクに対して、上述したような表示手段4が設けられる(ステップS5)。
【0007】
なおディスク製造技術としては、特公平4−4675号公報、特公平6−61521号公報、特開平6−302021号公報、特開平6−282885号公報等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、小型(直径12cm程度)で高密度の記録を行うビデオディスクが開発されつつある。このような小型で高密度のビデオディスクの場合、ディスクの中央穴から記録開始領域までの平坦部分の多くを、クランプゾーン(ディスク保持機構により挟み付けて保持する部分)として使用することになる。このためにこの平坦部分は、ディスクがターンテーブルに載置され、クランパーにより保持されたとき、光学系に対するディスクの基準面として機能することになる。
【0009】
このようなディスクにおいて、上述した表示手段4を採用すると、以下に述べるような問題が発生する。
a.高密度ディスクでは、ディスクのチルト(傾き)許容角度が大幅に小さくなるために、ディスクのわずかな傾きが生じても再生信号を大幅に劣化させることになるが、上述した表示手段によると、クランプゾーンに貼り付けたシートや、印刷のインク等の凹凸によりディスクに傾きを生じさせ易い。
b.またクランプゾーンの面積も限られているので、ここにシートの貼り付けや、印刷を施すことになる。このようなディスクをターンテーブルに載置してクランパーにより挟み付けて使用する場合、特に起動時におけるスリップなどで、クランパーが表示面を擦り傷を付けてしまい、表示を見にくくしたり、またクランプゾーンの基準面に傾きや、剥離等を与えてしまったりすることがある。
【0010】
このために、上記のような複合ディスクを構成する場合には、特に上記クランプ領域については一層の注意を払う必要がある。
そこでこの発明は、ディスクの中心穴の周囲の平坦面における表示手段が、クランプ用の基準面に悪影響を与えないようにし、また表示状態を鮮明に安定して維持することができる光学ディスクの製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、中央穴を有し、半径方向中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報であるピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成形するとともに、前記中央穴に隣接する周囲に、基板厚み方向へ窪む凹部を形成し、さらにこの凹部の反対側に対向する基板面の一部には、スペーサ兼レンズ部として機能するリング状の凸レンズ部を形成する工程と、前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設ける工程と、上記の反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中心穴に隣接する周囲の凹部に印刷又は貼付けにより表示部を設け、基板の外から前記表示部が前記凸レンズ部で拡大されて見えるようにする工程と、上記表示部が設けられた第1と第2の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する工程とを少なくとも具備する。
【0012】
またこの発明の光ディスクの製造装置は、中央穴を有し、半径方向中の間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報としてのピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成型し、前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設け、この反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中央穴の周囲の部分であって前記反射膜側には印刷又は貼付けにより表示部を設けた第1と第2の光学ディスクを用意し、この第1と第2の光学ディスクの互いの前記反射膜側に接着剤を塗布し、互いを貼り合わせて一体化する圧着装置において、前記第1と第2の光学ディスクを外側から押圧する第1と第2の圧着プレートの対向面側に設けられ、前記表示部に対応する部分は、他の部分よりも軟らかい材質で構成された円板状の弾性部材を有する。
【0013】
またこの発明の光ディスクの製造装置は、中央穴を有し、半径方向の中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報としてのピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成型し、前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設け、この反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中央穴の周囲の部分であって前記反射膜側には印刷又は貼付けにより表示部を設けた第1と第2の光学ディスクを用意し、この第1と第2の光学ディスクの互いの前記反射膜側に接着剤を塗布し、互いを貼り合わせて一体化する圧着装置において、前記第1と第2の光学ディスクを外側から押圧する第1と第2の圧着プレートの対向面側で、前記表示部に対応する部分に形成された第1と第2のリング状の凹部と、前記第1と第2の圧着プレートの前記対向面に沿って、かつ前記凹部を覆うように配置された第1、第2の弾性シートとを有し、この第1と第2の弾性シート間に前記第1と第2の光学ディスクを挟み圧着するようにしている。
【0014】
【作用】
上記した方法によれば、従来の製造工程数を増加させることなく、表示部材がディスク内面に埋設されるので、クランプ用の基準面に悪影響を与えることなく、また表示状態を鮮明に安定して維持することができる光学ディスクを得ることができる。また上記した装置によれば、表示部に対する押圧力が調整されるために印刷等の凹凸が表示部の外面に現れることなく、クランプ用の基準面を安定して形成することができる。
【0015】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1(A)はこの発明の一実施例における製造工程、図1(B)は他の実施例における製造工程を示す図である。この発明では、中央穴を有するドーナツ形の光透過性ディスク基板の一方の面に反射膜が設けられてなる第1と第2の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着層を介して一体化させてなる複合光学ディスクにおいて、前記中央穴の周囲の部分には、内部の前記反射膜側からの印刷又は貼付けによる表示手段を設けるもので、貼り合わせ工程は、表示手段を設ける例えばラベル印刷工程の後に行われるものである。
【0016】
即ち、図1(A)において、予め記録情報となるピットが記録形成された金型(スタンパーと称される)を射出成型機等の樹脂成形機に取り付け、透明なポリカーボネイト、アクリル等のプラスチックに対して、スタンパーのピットを精度を良く転写成形した円板が作成される(ステップS11)。次に、この円板のピットが成形されている面に対して、スパッタリングや真空蒸着等の方法によってアルミニウム等の金属を付着させて反射膜が形成される(ステップS12)。次に、この反射膜の表面に対して、傷や酸化防止のために紫外線硬化型樹脂等をスピナー等により塗布し、保護膜を形成する(ステップS13)。上記のように第1、第2のディスクをそれぞれ作成し、次に所定の位置(クランプ領域の内面側)にラベル印刷が行われる(ステップS14)。この印刷が行われた後に、貼り合わせが行われる(ステップS15)。貼り合わせにおいては、それぞれのディスクの貼り合わせ面に対して、まず、ホットメルトと称される熱可塑性の接着剤をロールコータ等により塗布し、互いの塗布面同士を突き合わせ、圧着プレスして1枚の光学複合ディスクとしている。
【0017】
図1(B)の実施例は、保護膜の製造工程が削減された実施例である。
次に、上記の製造工程において製造される光学ディスク構体について説明する。図2において、図2(A)は平面図、図2(B)は断面図、図2(C)は一部拡大図である。そして11、12は、それぞれ同径の中央穴10を有する第1と第2の光学ディスクである。この第1と第2の光学ディスク11、12は、ドーナツ形の光透過性ディスク基板11a、12aのそれぞれの一方の面に反射膜11b、12bが設けられている。また反射膜11b、12bの上面には保護膜11c、12cが設けられている。そしてこの第1と第2の光学ディスク11、12は、互いの反射膜11b、12b側を対向させ、接着層13を介して一体化され、複合光学ディスク100を構成する。
【0018】
複合光学ディスク100の外観は、図2(A)に示すように、外周側から無信号領域101、信号記録領域102、クランプ領域103、エッジ部104、中央穴10部からなり、特にこの複合光学ディスク100の場合、クランプ領域13は、表示部としても機能している。この表示部は、光透過性ディスク基板11a、12aの上記クランプ領域103に対応する位置であって、かつ内部側に表示部材11d、12dが設けられることで実現されており、それぞれ外表面から認識可能なように文字或いは図形、記号等を表示している。
【0019】
ここで、各部の材料及び寸法等について述べる。
光透過性ディスク基板11a、12aは、ポリカーボネイト或いはアクリル、ガラス等の材質である。また接着層13はホットメルト(例えば東亜合成化学工業製PPET2009)で厚み10〜30μm程度としている。また光学的反射膜11b、12bは、アルミ等の材料であり、0.1μm程度である。さらにまた保護層11c、12cは、紫外線硬化塗料(例えばソニーケミカルSK5000)等であり、厚みが5〜15μm程度である。なお接着層13の材料としては耐湿性を有するものが好ましい。
【0020】
また上記の表示部材11d、12dは、もともとシートに印刷されているラベルを貼り付けても良く、また直接、ディスク基板に印刷を施しても良く、コーティングを行っても良く、さらには掘り込みにより表示を行うようにしてもよい。
【0021】
表示部材11d、12dを設けるに際しては、次のような配慮がなされても良い。即ち、表示部材11d、12dを印刷する場合、オフセット印刷では多色でも15μm程度に押さえられるが、一般的に使われるシルク印刷では色数が増すと厚みが40〜50μmかそれ以上となる場合がある。このような場合は、図3(A)、図3(B)に示すように、光透過性ディスク基板11a、12a自体に、裏面側から表示部形成部分として凹部11e、12eを形成し、ここに表示部材11d、12dを埋設するようにしてもよい。これにより分厚い印刷を容易にすることができ、表示効果を発揮するのに好都合となる。
【0022】
ところで、多くの場合、クランプゾーンと信号記録領域開始位置のと間には、スタンパー(製造時に信号ピットを形成するための部材)とスタンパー押さえとの境界を設けることが多く、同時のこの境界部分に、リング状凸部11f、12fを設ける。このリング状凸部11f、12fは、製造時にディスクを積み重ねたときに信号面を保護する目的で形成される。
【0023】
そこで上記のリング状凸部11f、12fを形成するディスクの場合には、ディスク基板11a、12aを成形するときに基板の内面側に凸部を有する「型」を当てて形成することになる。従って、このリング状凸部11f、12fの成形と同時に、上述した凹部11e、12eを容易に形成することができため、特別な工程を設けることなく実施することができる。
【0024】
この発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の実施例が可能である。上記の実施例において、第1、第2のディスク11、12は、それぞれ保護膜11c、12cを有したが、この発明に係わる複合光学ディスク100の場合、互いの反射膜11b、12b側を対向させて接着層13を介して一体化させるので、図4(A)、図4(B)に示すように保護膜11c、12cを省略して構成することも可能である。これにより、図1(B)に示したように製造工程において保護膜11c、12cの作成工程を削減することができる。
【0025】
またこの発明の製造装置においては、上述したリング状凸部11f、12fの表面形状をレンズ状とすることにより、表示部に記載されている文字や図形等を拡大して見ることができる。
【0026】
図5(A)、図5(B)はそのような機能をもったディスクを示している。
即ち、図ではレンズ部11x、12xとして示している。また、表面側をクランプ領域として活用しているために、レンズ部11x、12xを表示手段の内周側に対応した位置に形成しているが、例えば点線で示すように外周側に対応した位置に形成しても良いことは勿論であり、設ける位置や数は、表示手段に対応していれば任意である。したがって、レンズ部は、表示手段の外表面側で、かつ前記表示手段の内周側と外周側にそれぞれ対応する位置に複数設けられ、そのレンズ部の間は、ディスク保持を行うためのクランプ領域として用いられるようにしてもよい。この様なクランプ領域であると、クランパーがレンズ部間に自動的に納まり、再生装置におけるディスク位置決めを行うときに有利である。なお、各実施例において同一部分には同一符号を付して説明は省略している。
【0027】
上述したこの発明の光学ディスクによれば、貼り合わせたディスクの内部に位置する反射膜側から、印刷又は貼付けによるラベル手段を設けるために、この外面部分が基準面としてのクランプゾーンとして用いられてもラベル手段による影響はない。またクランパーやターンテーブルとの間の摩擦等で、ラベル手段が剥離したり、傷付いたりすることはなく、いつまでも鮮明で見やすい表示を維持することができる。特に、この発明のディスクによると、レンズ部11x、12xの作用により、外部から表示内容を見やすくすることができる。
【0028】
表示部における表示内容としては、A面、B面の識別、記録情報の内容を意味する題名(タイトル等の文字、図形)、製造メーカ、製造番号等がある。
上記の如く、この発明のディスク製造方法及び装置によると、表示部の表示部材11d、12dを、ディスク内部に埋設した状態で設けている。
【0029】
ここで、この発明の製造方法及び装置によると、特に2枚のディスクを貼り合わせる場合に、次のような技術も適用されている。
図6(A)に示すように、貼り合わせ(圧着)装置は、上下にディスクとほぼ同じ径かそれよりも大きい円板状の圧着プレート210、220を有し、この圧着プレート210、220の内側には、第1と第2のディスクの外面側を押圧する円板状の弾性部材211、221が設けられている。そしてこの弾性部材211と221との間に、接着層13を挟んだ第1、第2のディスク11、12が搬送されてくる。下側の圧着プレート220は支持台(図示せず)上に固定されており、上側の圧着プレート210は、上下機構に取り付けられ、徐々に降下してディスク構体を挟み付けるように構成されている。
【0030】
ここで、弾性部材211と221の構造であるが、それぞれは、ディスクの表示部材11d、12dに対応する部分21a、22aが、他の部分21b、22bに比べて異なる材質で構成されている。即ち、表示部に対応する部分は、シリコンゴム等のような比較的軟らかい材料(例えば硬度:JISA40)であり、他の部分、つまり表示部を除く部分はEPゴム等の比較的硬度のある材料(例えば硬度:JISA65)が用いられて構成されている。
【0031】
この実施例において、貼り合わせ時の圧着力としては、120mmのディスクの場合、2〜3kg/cm2 、圧着時間約3秒が適当であった。
圧着装置としては、上記の装置に限らず図6(B)に示すような装置でも同様な効果を得ることができる。
【0032】
即ち、この実施例は圧着プレート210、220のディスク側面において、表示部に対応する位置にリング状の凹部21d、22d(深さ約0.1mm)を形成している。次に、圧着プレート210、220とディスクとの間には、弾性シート(例えば第1レース(株)製 CIEGAL 7355−OFF 1.35mm)212、222を配置している。この状態でディスク構体を先の実施例と同様に挟み圧着する。この方法及び装置によっても先の実施例と同じ効果を得ることができる。
【0033】
上記のように、表示部において圧着時の挟み圧を他の部分より弱くするのは次のような理由からである。即ち、表示部は、スクリーン印刷、タンポ、スタンプ印刷が行われ、このインクが乾いてから、例えば紫外線硬化型インクを用いた場合には印刷後に紫外線を照射してインクを硬化させる。そして、次に、2枚のディスクにホットメルト等の接着剤をロールコータ等により塗布し、この接着剤の塗布面同士を突き合わせて上記の圧着処理が行われる。ここで、表示部はインク層の分、厚みが大きくなり、インクによる文字等の凹凸がある。そこで、圧着処理時にすべて均一で硬度の堅い弾性部材で押圧すると、この凹凸が、ディスクの表示部の外表面に現れる。この部分は、先にも説明したように小型のディスクにおいてはクランプ領域であり基準面として利用され平坦性が重要である。そこでこの発明では、上記の凹凸がディスク表面に現れないように、その弾性部材の構造あるいは圧着プレートの構造を工夫している。
【0034】
ここで、本発明の特にチルトに関連する効果を説明する。
図7は、クランプエリアの全周の約半分の部位にラベル(厚さ50μm、面積3mm2 )を本発明の如く印刷して設けた場合(内面印刷)と、従来の如く設けた場合(表面印刷)とでチルトがどのように違うかを比較して示した表である。また図8、図9は、半径22mmからスパイラル(ディスクを回転させながら測定器を半径方向に移動させて)半径58mmまでの変動をプロットしたものであり、図8は内面印刷のディスク、図9は表面印刷のディスクである。図7において、rはディスクの半径位置であり、「幅」とあるのは、半径30mmと50mmにおいて計測したディスク1回転におけるチルトの変動幅である。
【0035】
上記の表及びグラフからもわかるように、本発明の如く内面印刷による方が変動幅が格段と小さいことが理解できる。このことは、ディスクのわずかな傾きが生じ難く、高密度記録のディスクに対して良好な信号再生を行うのに有効となることである。
【0036】
【発明の効果】
上記したようにこの発明によれば、ディスクの中心穴の周囲の平坦面における表示手段が、クランプ用の基準面に悪影響を与えることがなく、また表示状態を鮮明に安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による光学ディスクの製造方法の実施例を示す図。
【図2】この発明により製作されるディスクの構造例を説明するために示した図。
【図3】この発明により製作されるディスクの構造の他の例を説明するために示した図。
【図4】同じくこの発明により製作されるディスクの構造のまた他の例を説明するために示した図。
【図5】同じくこの発明により製作されるディスクの構造のさらに他の例を説明するために示した図。
【図6】この発明による光学ディスクの製造装置の実施例を示す図。
【図7】この発明により製作されたディスクの効果を説明するために示した説明図。
【図8】同じく効果を説明するためにチルト測定グラフを示した図。
【図9】同じく効果を説明するためにチルト測定グラフを示した図。
【図10】従来のディスク構体を示す図。
【図11】従来の光学ディスクの製造方法を示す図。
【符号の説明】
11、12…第1、第2のディスク、11a、12a…光透過性ディスク基板、11b、12b…反射膜、11c,12c…保護膜、13…接着層、11d、12d…表示部材、11e、12e…凹部、11f、12f…凸部、11x、12x…レンズ部、210、220…圧着プレート、211、221…弾性部材、212、222…弾性シート。
【産業上の利用分野】
この発明は、オーディオ情報、ビデオ情報、あるいは通常データの記録又は再生用として用いられる記録媒体の製造方法及び装置に係わり、特に光を媒体として信号の記録再生を行えるようにした光学ディスクの製造方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光により記録信号を読み取ることができるように構成された光学ディスクがある。この種の光学ディスクにおいて、表裏のそれぞれに信号記録エリアが設定されているものがある。
【0003】
図10は、例えば従来の大型(直径30cm程度)のビデオディスク1の構成を示すもので映画等が記録されている。このビデオディスク1は、その中央穴2の周囲に、穴2のエッジから信号記録エリアまでに平坦面3が存在するために、ここにディスクの記録内容(映画のタイトル、時間、製作者等)を表示するための表示手段4を設けている。表示手段4としては、リング状の紙あるいは薄いシートに文字記号等が印刷されたラベルを貼付けたり、あるいは直接印刷を施したり、さらには掘り込みを施すことにより実現している。
【0004】
上記のビデオディスク1は、2枚の片面ディスク1a、1bを貼り合わせた複合ディスクであり、この複合ビデオディスクの製造においては、それぞれ片面ディスク1a、1bが以下のように製造されて、最後に貼り合わせされる。
【0005】
図11は、製造工程を示している。即ち、予め記録情報となるピットが記録形成された金型(スタンパーと称される)を射出成形機等の樹脂成形機に取り付け、透明なポリカーボネイト、アクリル等のプラスチックに対して、スタンパーのピットを精度を良く転写成形した円板が作成される(ステップS1)。次に、この円板のピットが形成されている面に対して、スパッタリングや真空蒸着等の方法によってアルミニウム等の金属を付着させて反射膜が形成される(ステップS2)。次に、この反射膜の表面に対して、傷や腐食防止のために紫外線硬化型樹脂等をスピナー等により塗布し、保護膜を形成する(ステップS3)。
【0006】
上記のように片面ディスク1a、1bをそれぞれ作成し、次に、貼り合わせを行う(ステップS4)。貼り合わせにおいては、それぞれのディスクの貼り合わせ面に対して、まず、ホットメルトと称される熱可塑性の接着剤をロールコータ等により塗布し、互いの塗布面同士を突き合わせ、圧着プレスして1枚の光学複合ディスクとしている。そしてこの光学複合ディスクに対して、上述したような表示手段4が設けられる(ステップS5)。
【0007】
なおディスク製造技術としては、特公平4−4675号公報、特公平6−61521号公報、特開平6−302021号公報、特開平6−282885号公報等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、小型(直径12cm程度)で高密度の記録を行うビデオディスクが開発されつつある。このような小型で高密度のビデオディスクの場合、ディスクの中央穴から記録開始領域までの平坦部分の多くを、クランプゾーン(ディスク保持機構により挟み付けて保持する部分)として使用することになる。このためにこの平坦部分は、ディスクがターンテーブルに載置され、クランパーにより保持されたとき、光学系に対するディスクの基準面として機能することになる。
【0009】
このようなディスクにおいて、上述した表示手段4を採用すると、以下に述べるような問題が発生する。
a.高密度ディスクでは、ディスクのチルト(傾き)許容角度が大幅に小さくなるために、ディスクのわずかな傾きが生じても再生信号を大幅に劣化させることになるが、上述した表示手段によると、クランプゾーンに貼り付けたシートや、印刷のインク等の凹凸によりディスクに傾きを生じさせ易い。
b.またクランプゾーンの面積も限られているので、ここにシートの貼り付けや、印刷を施すことになる。このようなディスクをターンテーブルに載置してクランパーにより挟み付けて使用する場合、特に起動時におけるスリップなどで、クランパーが表示面を擦り傷を付けてしまい、表示を見にくくしたり、またクランプゾーンの基準面に傾きや、剥離等を与えてしまったりすることがある。
【0010】
このために、上記のような複合ディスクを構成する場合には、特に上記クランプ領域については一層の注意を払う必要がある。
そこでこの発明は、ディスクの中心穴の周囲の平坦面における表示手段が、クランプ用の基準面に悪影響を与えないようにし、また表示状態を鮮明に安定して維持することができる光学ディスクの製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、中央穴を有し、半径方向中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報であるピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成形するとともに、前記中央穴に隣接する周囲に、基板厚み方向へ窪む凹部を形成し、さらにこの凹部の反対側に対向する基板面の一部には、スペーサ兼レンズ部として機能するリング状の凸レンズ部を形成する工程と、前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設ける工程と、上記の反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中心穴に隣接する周囲の凹部に印刷又は貼付けにより表示部を設け、基板の外から前記表示部が前記凸レンズ部で拡大されて見えるようにする工程と、上記表示部が設けられた第1と第2の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する工程とを少なくとも具備する。
【0012】
またこの発明の光ディスクの製造装置は、中央穴を有し、半径方向中の間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報としてのピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成型し、前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設け、この反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中央穴の周囲の部分であって前記反射膜側には印刷又は貼付けにより表示部を設けた第1と第2の光学ディスクを用意し、この第1と第2の光学ディスクの互いの前記反射膜側に接着剤を塗布し、互いを貼り合わせて一体化する圧着装置において、前記第1と第2の光学ディスクを外側から押圧する第1と第2の圧着プレートの対向面側に設けられ、前記表示部に対応する部分は、他の部分よりも軟らかい材質で構成された円板状の弾性部材を有する。
【0013】
またこの発明の光ディスクの製造装置は、中央穴を有し、半径方向の中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報としてのピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成型し、前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設け、この反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中央穴の周囲の部分であって前記反射膜側には印刷又は貼付けにより表示部を設けた第1と第2の光学ディスクを用意し、この第1と第2の光学ディスクの互いの前記反射膜側に接着剤を塗布し、互いを貼り合わせて一体化する圧着装置において、前記第1と第2の光学ディスクを外側から押圧する第1と第2の圧着プレートの対向面側で、前記表示部に対応する部分に形成された第1と第2のリング状の凹部と、前記第1と第2の圧着プレートの前記対向面に沿って、かつ前記凹部を覆うように配置された第1、第2の弾性シートとを有し、この第1と第2の弾性シート間に前記第1と第2の光学ディスクを挟み圧着するようにしている。
【0014】
【作用】
上記した方法によれば、従来の製造工程数を増加させることなく、表示部材がディスク内面に埋設されるので、クランプ用の基準面に悪影響を与えることなく、また表示状態を鮮明に安定して維持することができる光学ディスクを得ることができる。また上記した装置によれば、表示部に対する押圧力が調整されるために印刷等の凹凸が表示部の外面に現れることなく、クランプ用の基準面を安定して形成することができる。
【0015】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1(A)はこの発明の一実施例における製造工程、図1(B)は他の実施例における製造工程を示す図である。この発明では、中央穴を有するドーナツ形の光透過性ディスク基板の一方の面に反射膜が設けられてなる第1と第2の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着層を介して一体化させてなる複合光学ディスクにおいて、前記中央穴の周囲の部分には、内部の前記反射膜側からの印刷又は貼付けによる表示手段を設けるもので、貼り合わせ工程は、表示手段を設ける例えばラベル印刷工程の後に行われるものである。
【0016】
即ち、図1(A)において、予め記録情報となるピットが記録形成された金型(スタンパーと称される)を射出成型機等の樹脂成形機に取り付け、透明なポリカーボネイト、アクリル等のプラスチックに対して、スタンパーのピットを精度を良く転写成形した円板が作成される(ステップS11)。次に、この円板のピットが成形されている面に対して、スパッタリングや真空蒸着等の方法によってアルミニウム等の金属を付着させて反射膜が形成される(ステップS12)。次に、この反射膜の表面に対して、傷や酸化防止のために紫外線硬化型樹脂等をスピナー等により塗布し、保護膜を形成する(ステップS13)。上記のように第1、第2のディスクをそれぞれ作成し、次に所定の位置(クランプ領域の内面側)にラベル印刷が行われる(ステップS14)。この印刷が行われた後に、貼り合わせが行われる(ステップS15)。貼り合わせにおいては、それぞれのディスクの貼り合わせ面に対して、まず、ホットメルトと称される熱可塑性の接着剤をロールコータ等により塗布し、互いの塗布面同士を突き合わせ、圧着プレスして1枚の光学複合ディスクとしている。
【0017】
図1(B)の実施例は、保護膜の製造工程が削減された実施例である。
次に、上記の製造工程において製造される光学ディスク構体について説明する。図2において、図2(A)は平面図、図2(B)は断面図、図2(C)は一部拡大図である。そして11、12は、それぞれ同径の中央穴10を有する第1と第2の光学ディスクである。この第1と第2の光学ディスク11、12は、ドーナツ形の光透過性ディスク基板11a、12aのそれぞれの一方の面に反射膜11b、12bが設けられている。また反射膜11b、12bの上面には保護膜11c、12cが設けられている。そしてこの第1と第2の光学ディスク11、12は、互いの反射膜11b、12b側を対向させ、接着層13を介して一体化され、複合光学ディスク100を構成する。
【0018】
複合光学ディスク100の外観は、図2(A)に示すように、外周側から無信号領域101、信号記録領域102、クランプ領域103、エッジ部104、中央穴10部からなり、特にこの複合光学ディスク100の場合、クランプ領域13は、表示部としても機能している。この表示部は、光透過性ディスク基板11a、12aの上記クランプ領域103に対応する位置であって、かつ内部側に表示部材11d、12dが設けられることで実現されており、それぞれ外表面から認識可能なように文字或いは図形、記号等を表示している。
【0019】
ここで、各部の材料及び寸法等について述べる。
光透過性ディスク基板11a、12aは、ポリカーボネイト或いはアクリル、ガラス等の材質である。また接着層13はホットメルト(例えば東亜合成化学工業製PPET2009)で厚み10〜30μm程度としている。また光学的反射膜11b、12bは、アルミ等の材料であり、0.1μm程度である。さらにまた保護層11c、12cは、紫外線硬化塗料(例えばソニーケミカルSK5000)等であり、厚みが5〜15μm程度である。なお接着層13の材料としては耐湿性を有するものが好ましい。
【0020】
また上記の表示部材11d、12dは、もともとシートに印刷されているラベルを貼り付けても良く、また直接、ディスク基板に印刷を施しても良く、コーティングを行っても良く、さらには掘り込みにより表示を行うようにしてもよい。
【0021】
表示部材11d、12dを設けるに際しては、次のような配慮がなされても良い。即ち、表示部材11d、12dを印刷する場合、オフセット印刷では多色でも15μm程度に押さえられるが、一般的に使われるシルク印刷では色数が増すと厚みが40〜50μmかそれ以上となる場合がある。このような場合は、図3(A)、図3(B)に示すように、光透過性ディスク基板11a、12a自体に、裏面側から表示部形成部分として凹部11e、12eを形成し、ここに表示部材11d、12dを埋設するようにしてもよい。これにより分厚い印刷を容易にすることができ、表示効果を発揮するのに好都合となる。
【0022】
ところで、多くの場合、クランプゾーンと信号記録領域開始位置のと間には、スタンパー(製造時に信号ピットを形成するための部材)とスタンパー押さえとの境界を設けることが多く、同時のこの境界部分に、リング状凸部11f、12fを設ける。このリング状凸部11f、12fは、製造時にディスクを積み重ねたときに信号面を保護する目的で形成される。
【0023】
そこで上記のリング状凸部11f、12fを形成するディスクの場合には、ディスク基板11a、12aを成形するときに基板の内面側に凸部を有する「型」を当てて形成することになる。従って、このリング状凸部11f、12fの成形と同時に、上述した凹部11e、12eを容易に形成することができため、特別な工程を設けることなく実施することができる。
【0024】
この発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、種々の実施例が可能である。上記の実施例において、第1、第2のディスク11、12は、それぞれ保護膜11c、12cを有したが、この発明に係わる複合光学ディスク100の場合、互いの反射膜11b、12b側を対向させて接着層13を介して一体化させるので、図4(A)、図4(B)に示すように保護膜11c、12cを省略して構成することも可能である。これにより、図1(B)に示したように製造工程において保護膜11c、12cの作成工程を削減することができる。
【0025】
またこの発明の製造装置においては、上述したリング状凸部11f、12fの表面形状をレンズ状とすることにより、表示部に記載されている文字や図形等を拡大して見ることができる。
【0026】
図5(A)、図5(B)はそのような機能をもったディスクを示している。
即ち、図ではレンズ部11x、12xとして示している。また、表面側をクランプ領域として活用しているために、レンズ部11x、12xを表示手段の内周側に対応した位置に形成しているが、例えば点線で示すように外周側に対応した位置に形成しても良いことは勿論であり、設ける位置や数は、表示手段に対応していれば任意である。したがって、レンズ部は、表示手段の外表面側で、かつ前記表示手段の内周側と外周側にそれぞれ対応する位置に複数設けられ、そのレンズ部の間は、ディスク保持を行うためのクランプ領域として用いられるようにしてもよい。この様なクランプ領域であると、クランパーがレンズ部間に自動的に納まり、再生装置におけるディスク位置決めを行うときに有利である。なお、各実施例において同一部分には同一符号を付して説明は省略している。
【0027】
上述したこの発明の光学ディスクによれば、貼り合わせたディスクの内部に位置する反射膜側から、印刷又は貼付けによるラベル手段を設けるために、この外面部分が基準面としてのクランプゾーンとして用いられてもラベル手段による影響はない。またクランパーやターンテーブルとの間の摩擦等で、ラベル手段が剥離したり、傷付いたりすることはなく、いつまでも鮮明で見やすい表示を維持することができる。特に、この発明のディスクによると、レンズ部11x、12xの作用により、外部から表示内容を見やすくすることができる。
【0028】
表示部における表示内容としては、A面、B面の識別、記録情報の内容を意味する題名(タイトル等の文字、図形)、製造メーカ、製造番号等がある。
上記の如く、この発明のディスク製造方法及び装置によると、表示部の表示部材11d、12dを、ディスク内部に埋設した状態で設けている。
【0029】
ここで、この発明の製造方法及び装置によると、特に2枚のディスクを貼り合わせる場合に、次のような技術も適用されている。
図6(A)に示すように、貼り合わせ(圧着)装置は、上下にディスクとほぼ同じ径かそれよりも大きい円板状の圧着プレート210、220を有し、この圧着プレート210、220の内側には、第1と第2のディスクの外面側を押圧する円板状の弾性部材211、221が設けられている。そしてこの弾性部材211と221との間に、接着層13を挟んだ第1、第2のディスク11、12が搬送されてくる。下側の圧着プレート220は支持台(図示せず)上に固定されており、上側の圧着プレート210は、上下機構に取り付けられ、徐々に降下してディスク構体を挟み付けるように構成されている。
【0030】
ここで、弾性部材211と221の構造であるが、それぞれは、ディスクの表示部材11d、12dに対応する部分21a、22aが、他の部分21b、22bに比べて異なる材質で構成されている。即ち、表示部に対応する部分は、シリコンゴム等のような比較的軟らかい材料(例えば硬度:JISA40)であり、他の部分、つまり表示部を除く部分はEPゴム等の比較的硬度のある材料(例えば硬度:JISA65)が用いられて構成されている。
【0031】
この実施例において、貼り合わせ時の圧着力としては、120mmのディスクの場合、2〜3kg/cm2 、圧着時間約3秒が適当であった。
圧着装置としては、上記の装置に限らず図6(B)に示すような装置でも同様な効果を得ることができる。
【0032】
即ち、この実施例は圧着プレート210、220のディスク側面において、表示部に対応する位置にリング状の凹部21d、22d(深さ約0.1mm)を形成している。次に、圧着プレート210、220とディスクとの間には、弾性シート(例えば第1レース(株)製 CIEGAL 7355−OFF 1.35mm)212、222を配置している。この状態でディスク構体を先の実施例と同様に挟み圧着する。この方法及び装置によっても先の実施例と同じ効果を得ることができる。
【0033】
上記のように、表示部において圧着時の挟み圧を他の部分より弱くするのは次のような理由からである。即ち、表示部は、スクリーン印刷、タンポ、スタンプ印刷が行われ、このインクが乾いてから、例えば紫外線硬化型インクを用いた場合には印刷後に紫外線を照射してインクを硬化させる。そして、次に、2枚のディスクにホットメルト等の接着剤をロールコータ等により塗布し、この接着剤の塗布面同士を突き合わせて上記の圧着処理が行われる。ここで、表示部はインク層の分、厚みが大きくなり、インクによる文字等の凹凸がある。そこで、圧着処理時にすべて均一で硬度の堅い弾性部材で押圧すると、この凹凸が、ディスクの表示部の外表面に現れる。この部分は、先にも説明したように小型のディスクにおいてはクランプ領域であり基準面として利用され平坦性が重要である。そこでこの発明では、上記の凹凸がディスク表面に現れないように、その弾性部材の構造あるいは圧着プレートの構造を工夫している。
【0034】
ここで、本発明の特にチルトに関連する効果を説明する。
図7は、クランプエリアの全周の約半分の部位にラベル(厚さ50μm、面積3mm2 )を本発明の如く印刷して設けた場合(内面印刷)と、従来の如く設けた場合(表面印刷)とでチルトがどのように違うかを比較して示した表である。また図8、図9は、半径22mmからスパイラル(ディスクを回転させながら測定器を半径方向に移動させて)半径58mmまでの変動をプロットしたものであり、図8は内面印刷のディスク、図9は表面印刷のディスクである。図7において、rはディスクの半径位置であり、「幅」とあるのは、半径30mmと50mmにおいて計測したディスク1回転におけるチルトの変動幅である。
【0035】
上記の表及びグラフからもわかるように、本発明の如く内面印刷による方が変動幅が格段と小さいことが理解できる。このことは、ディスクのわずかな傾きが生じ難く、高密度記録のディスクに対して良好な信号再生を行うのに有効となることである。
【0036】
【発明の効果】
上記したようにこの発明によれば、ディスクの中心穴の周囲の平坦面における表示手段が、クランプ用の基準面に悪影響を与えることがなく、また表示状態を鮮明に安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による光学ディスクの製造方法の実施例を示す図。
【図2】この発明により製作されるディスクの構造例を説明するために示した図。
【図3】この発明により製作されるディスクの構造の他の例を説明するために示した図。
【図4】同じくこの発明により製作されるディスクの構造のまた他の例を説明するために示した図。
【図5】同じくこの発明により製作されるディスクの構造のさらに他の例を説明するために示した図。
【図6】この発明による光学ディスクの製造装置の実施例を示す図。
【図7】この発明により製作されたディスクの効果を説明するために示した説明図。
【図8】同じく効果を説明するためにチルト測定グラフを示した図。
【図9】同じく効果を説明するためにチルト測定グラフを示した図。
【図10】従来のディスク構体を示す図。
【図11】従来の光学ディスクの製造方法を示す図。
【符号の説明】
11、12…第1、第2のディスク、11a、12a…光透過性ディスク基板、11b、12b…反射膜、11c,12c…保護膜、13…接着層、11d、12d…表示部材、11e、12e…凹部、11f、12f…凸部、11x、12x…レンズ部、210、220…圧着プレート、211、221…弾性部材、212、222…弾性シート。
Claims (5)
- 中央穴を有し、半径方向中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報であるピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成形するとともに、前記中央穴に隣接する周囲に、基板厚み方向へ窪む凹部を形成し、さらにこの凹部の反対側に対向する基板面の一部には、スペーサ兼レンズ部として機能するリング状の凸レンズ部を形成する工程と、
前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設ける工程と、
上記の反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中心穴に隣接する周囲の凹部に印刷又は貼付けにより表示部を設け、基板の外から前記表示部が前記凸レンズ部で拡大されて見えるようにする工程と、
上記表示部が設けられた第1と第2の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する工程と
を具備したことを特徴とする光学ディスクの製造方法。 - 中央穴を有し、半径方向中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報であるピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成形するとともに、前記中央穴に隣接する周囲に、基板厚み方向へ窪む凹部を形成し、さらにこの凹部の反対側に対向する基板面の一部には、スペーサ兼レンズ部として機能するリング状の凸レンズ部を形成する工程と、
前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設ける工程と、
前記反射膜の上面に保護膜を設ける工程と、
上記の反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中心穴に隣接する周囲の凹部に印刷又は貼付けにより表示部を設け、基板の外から前記表示部が前記凸レンズ部で拡大されて見えるようにする工程と、
上記表示部が設けられた第1と第2の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する工程と
を具備したことを特徴とする光学ディスクの製造方法。 - 上記表示部が設けられた第 1 と第 2 の光学ディスクを対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する工程では、
前記第 1 と第 2 の光学ディスクを圧着する圧着装置が用いられ、この圧着装置は、前記凸レンズ部に対応する部分に、弾性シートを配置して押圧することを特徴とする請求項 1 又は2記載の光学ディスクの製造方法。 - 中央穴を有し、半径方向中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報であるピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成形するとともに、前記中央穴に隣接する周囲に、基板厚み方向へ窪む凹部を形成し、さらにこの凹部の反対側に対向する基板面の一部には、スペーサ兼レンズ部として機能するリング状の凸レンズ部を形成する手段と、
前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設ける手段と、
上記の反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中心穴に隣接する周囲の凹部に印刷又は貼付けにより表示部を設け、基板の外から前記表示部が前記凸レンズ部で拡大されて見えるようにする手段と、
上記表示部が設けられた第 1 と第 2 の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する場合、前記第 1 と第 2 の光学ディスクを圧着する圧着装置を用い、この圧着装置には、前記凸レンズ部に対応する部分に、弾性シートを配置して押圧するようにした手段と、
を具備したことを特徴とする光学ディスクの製造装置。 - 中央穴を有し、半径方向中間領域に設定された記録領域に対してはスタンパーにより記録情報であるピットが転写されたドーナツ形の光透過性ディスク基板を成形するとともに、前記中央穴に隣接する周囲に、基板厚み方向へ窪む凹部を形成し、さらにこの凹部の反対側に対向する基板面の一部には、スペーサ兼レンズ部として機能するリング状の凸レンズ部を形成する手段と、
前記光透過性ディスク基板の前記ピットの面側に反射膜を設ける手段と、
前記反射膜の上面に保護膜を設ける手段と、
上記の反射膜が設けられた前記光透過性ディスク基板の前記中心穴に隣接する周囲の凹部に印刷又は貼付けにより表示部を設け、基板の外から前記表示部が前記凸レンズ部で拡大されて見えるようにする手段と、
上記表示部が設けられた第 1 と第 2 の光学ディスクを、互いの前記反射膜側を対向させて接着剤により貼りあわせて一体化する場合、前記第 1 と第 2 の光学ディスクを圧着する圧着装置を用い、この圧着装置には、前記凸レンズ部に対応する部分に、弾性シートを配置して押圧するようにした手段と、
を具備したことを特徴とする光学ディスクの製造装置。
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