JP4686287B2 - 多層情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、情報の記録、または情報の再生を目的とした多層情報記録媒体およびその製造方法に関するものである。
近年、情報機器または映像音響機器等で処理される情報量の拡大化に伴い、データアクセスが容易で、大容量データを蓄積可能で、かつ機器の小型化に対応可能な光ディスクなどの、情報記録媒体が注目されている。また、情報記録媒体について情報の高密度記録化が検討されており、高密度記録可能な情報記録媒体として、波長が約400nmのレーザ光源と開口数(NA)が0.85の集光レンズとを含む光ヘッドを備えた記録再生装置を用いて、情報が記録再生される情報記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この情報記録媒体では、例えば、単一の記録層について25GB程度、2層の記録層について50GB程度の容量のデータを蓄積可能である。
次に、特許文献1に記載された従来の多層情報記録媒体の構造及び製造方法を、図7A〜図9Jを用いて説明する。
図7A〜図7Fには、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型(スタンパ)の製造方法を示している。まず、ガラス板201上にフォトレジスト等の感光材料を塗布して感光膜202を形成する(図7A参照)。次いで、レーザ光203を用いて、ピットや案内溝等のパターンを感光膜202に転写するための露光を行う(図7B参照)。図7Bにおいて、202aは、レーザ光203が照射された部分(露光部)である。露光部の感光材料は現像工程を経ることにより除去され、ピットや案内溝等のパターン204がガラス板201上に形成された光記録原盤205が得られる(図7C参照)。次に、スパッタリングや蒸着等の方法によってパターン204上に導電膜206を形成する。すると、パターン204の形状が導電膜206に転写される(図7Cおよび図7D参照)。次に、導電膜206上にめっき膜207を形成して、導電膜206の剛性を高め、かつ導電膜206に厚みを持たせる(図7E参照)。次に、めっき膜207と導電膜206とからなる積層体を、光記録原盤205から剥離して、スタンパ208を得る(図7F参照)。
図8は、従来の多層情報記録媒体の断面図を示している。この多層情報記録媒体は、第1信号基板301を含んでいる。第1信号基板301上には、第1情報記録部302が配置され、第1情報記録部302上には、第2信号基板303が配置されている。第2信号基板303上には、第2情報記録部304と、透明層305と、透明基板306とがこの順に配置されている。透明層305は、透明基板306を第2情報記録部304に貼りつけるために設けられている。
第1信号基板301は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面として有している。この情報面は、図7Fに示したスタンパ208を用いて、第1信号基板301を射出圧縮成型法により成形する際に形成される。第1信号基板301の平均厚みは1.1mm程度である。第1情報記録部302および第2情報記録部304は、それぞれ記録膜や反射膜等を含んでおり、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。
第2信号基板303は、スピンコート法によって塗布された光硬化性樹脂に、凹凸面を有する信号転写用基板を貼りつけ、光硬化性樹脂の硬化後に、光硬化性樹脂から信号転写用基板を剥離することによって形成される。信号転写用基板は、図7Fに示したスタンパ208と同様に、凹凸面を有している。
透明基板306は、記録再生光に対して十分に透明な材料からなる。透明層305は、光硬化性樹脂や、感圧接着剤等の接着剤から形成されている。透明基板306と透明層305とを足した平均厚みは0.075mm程度である。このようにして作製された多層情報記録媒体の記録再生は、透明基板306側から記録再生レーザ光を入射することによって行なわれる。
次に、図9A〜図9Jを用いて従来の多層情報記録媒体の製造方法についてより詳細に説明する。
まず、第1信号基板401の情報面上に、スパッタリングや蒸着等の方法により第1情報記録部402を形成する。第1信号基板401は吸引器等の手段によって回転テーブル403に固定された状態にしておく(図9A参照)。次に、第1情報記録部402に、ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂を含む塗料404を所望の半径を有する円を描くように塗布する(図9B参照)。次に、回転テーブル403を回転して、塗料404を延伸する。延伸の際には、遠心力によって余分な樹脂と気泡とが除去される。延伸後の塗料404の厚みは、塗料404の粘度、回転テーブルの回転数、回転時間、雰囲気条件(温度や湿度など)を任意に設定することにより、所望の値に制御できる。回転停止後、塗料404を、光照射機405を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層404’とする(図9C参照)。
一方で、回転テーブル407上に信号転写用基板406を固定する。信号転写用基板406は、図7Fに示したスタンパ208と同様の凹凸面を有している(図9D参照)。信号転写用基板406上に、ディスペンサーを用いて光硬化性樹脂を含む塗料408を所望の半径を有する円を描くように塗布する。次に、回転テーブル407を回転して、塗料408を延伸する。延伸後の塗料408の厚みは、塗料404の場合と同様の方法により制御できる(図9E参照)。回転テーブル407の回転を停止した後、塗料408を、光照射機409を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層408’とする(図9F参照)。
次に、基板410と基板411とを、回転テーブル403上で、光硬化性樹脂層408’と404’とが向い合うように、光硬化性樹脂を含む塗料412を介して重ね合わせ、この状態で、回転テーブル403を回転させる(図9G参照)。回転テーブル403の回転により、塗料412は所望の厚みに制御(延伸)される。その後、塗料412を、光照射機405を用いた光照射により硬化して、光硬化性樹脂層412’とする(図9H参照)。次に、光硬化性樹脂層408’から信号転写用基板406を剥離する。
尚、塗料404に含まれる光硬化性樹脂には、第1情報記録部402および光硬化性樹脂層412’と接着性が良好なものが選択される。塗料408に含まれる光硬化性樹脂には、信号転写用基板406との剥離性が良く、且つ光硬化性樹脂層412’との接着性が良好なものが選択される。塗料404,412,408の粘度は、薄い光硬化性樹脂層の形成を可能とするために、いずれも約150mPa・s程度に調整されている。尚、光硬化性樹脂層404’、408’、412’からなる一体化物(樹脂層ともいう)は、図8における第2信号基板303に相当する。上記一体化物の厚みは、説明の都合上、図8における第2信号基板303の厚みよりも厚く記載している。
次に、光硬化性樹脂層408′の第1信号基板401側の面の反対面上、すなわち、第2情報面上に、スパッタリングや蒸着等の方法により第2の情報記録部413を形成し、第2情報記録部413上に、透明層415形成用の、光硬化性樹脂を含む塗料を塗布する。次いで、塗布された塗料に透明基板414を貼りつけた後、回転テーブル403を回転させることにより、塗料に混入した気泡を除去しながら、かつ塗料を延伸する。その後、透明基板414越しに、塗料に所定の波長の光を照射して光硬化性樹脂を硬化させ、塗料を透明層415とする(図9I参照)。
特開2002−092969号公報
しかし、スピンコート法によって光硬化性樹脂層等を形成すると、周方向の細かな膜厚変動や、半径方向の大きな膜厚変動が生じる。特に、多数の情報記録部を備えた多層情報記録媒体では、隣り合う情報記録部間に配置された信号基板(樹脂層)の膜厚変動の足し合わせにより、多層情報記録媒体全体の厚さ変動が大きくなる。
また、スピンコート法では、被塗布面の縁部(図8に示した例では、外周縁部)にまで塗料が行きわたる。そのため、光照射によって光硬化性樹脂を硬化させる時に、縁部上に配置された光硬化性樹脂が表面張力により盛り上がり、その結果、被塗布面の縁部上における光硬化性樹脂層404’の厚みが、被塗布面の他の部分上におけるそれより顕著に大きくなってしまう(図9J参照)。この厚さ変動は、光硬化性樹脂層404’、408’、412’からなる一体化物(樹脂層)の厚さ変動をもたらす。樹脂層の厚さ変動は、レーザ光を用いて情報の記録、または情報の再生を行う際に、球面収差の増大により光スポットのサイズの変動を引き起こす。さらに、上記厚さ変動は、情報面上へ光スポットの焦点を維持するフォーカス制御や、信号列に光スポットを追従させるトラッキング制御にも悪影響を与えてしまう。これらの結果、多層情報記録媒体について、情報の記録、または情報の再生が良好に行えないという問題が生じる。
また、スピンコート法において上記厚さ変動を抑制するためには、回転テーブルの回転速度や回転数などを制御するための複雑なプログラムを作製しなければならない。よって、スピンコート法において上記厚さ変動を抑制しようとすると、タクト時間が増大するという問題が生じる。
本発明は、情報の再生、または情報の記録再生が良好に行われ、かつ生産効率の良い多層情報記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の多層情報記録媒体の製造方法は、信号基板と、前記信号基板上に配置された2つ以上の情報記録部と、隣り合う情報記録部間に配置された樹脂層とを含む多層情報記録媒体の製造方法であって、前記樹脂層を形成する工程を含み、前記樹脂層の形成工程において、前記信号基板の縁部を除く前記信号基板上に、樹脂含有塗料を孔版の孔を通して塗布し、塗布された前記樹脂含有塗料を介して、前記信号基板と信号転写用基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせ、塗布された前記樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化して前記樹脂層を形成した後、前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離することを特徴とする。
本発明の第2の多層情報記録媒体の製造方法は、信号基板と、前記信号基板上に配置された2つ以上の情報記録部と、隣り合う情報記録部間に配置された樹脂層とを含む多層情報記録媒体の製造方法であって、前記樹脂層を形成する工程を含み、前記樹脂層の形成工程において、信号転写用基板の縁部を除く前記信号転写用基板上に、樹脂含有塗料を孔版の孔を通して塗布し、塗布された前記樹脂含有塗料を介して、前記信号基板と前記信号転写用基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせ、塗布された前記樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化して前記樹脂層を形成した後、前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離することを特徴とする。
本発明の第3の多層情報記録媒体の製造方法は、信号基板と、前記信号基板上に配置された2つ以上の情報記録部と、隣り合う情報記録部間に配置された樹脂層とを含む多層情報記録媒体の製造方法であって、前記樹脂層を形成する工程を含み、前記樹脂層の形成工程において、信号転写用基板の縁部を除く前記信号転写用基板上に、第1の樹脂含有塗料を第1孔版の孔を通して塗布し、前記信号基板の縁部を除く前記信号基板上に、第2の樹脂含有塗料を第2孔版の孔を通して塗布し、前記第1の樹脂含有塗料および前記第2の樹脂含有塗料を介して、前記信号基板と前記信号転写用基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせ、第1の樹脂含有塗料に含まれる樹脂および第2の樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化して前記樹脂層を形成した後、前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離することを特徴とする。
本発明によれば、情報の記録、または情報の再生が良好に行われ、かつ生産効率の良い多層情報記録媒体およびその製造方法を提供できる。
第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法によれば、隣り合う情報記録層部を分離するための樹脂層について、信号基板の縁部上における盛り上がりを抑制できるので、厚さ変動が抑制された多層情報記録媒体を提供できる。よって、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動を抑制でき、フォーカス制御およびトラッキング制御が安定して行われる多層情報記録媒体を提供できる。すなわち、情報の記録、または情報の再生が良好に行われる多層情報記録媒体を提供できる。
また、第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、信号基板と信号転写用基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせるので、樹脂層への気泡の混入が抑制されており、光路内の気泡混入が抑制されている。このことによっても、上記第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法にて作製された多層情報記録媒体では、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動を抑制でき、フォーカス制御およびトラッキング制御が安定して行なわれる。
また、第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、回転テーブルの回転速度や回転数などを制御するための複雑なプログラムを必要としないため、スピンコート法により樹脂層を形成する場合よりも、タクト時間の短縮が可能であり、生産効率が良い。また、第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、スクリーン印刷法により樹脂含有塗料を塗布するので、スピンコート法により樹脂含有塗料を塗布する場合よりも、厚みがより均一な樹脂層を迅速に形成できる。
以上のとおり、第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法によれば、情報の記録、または情報の再生が良好に行われる多層情報記録媒体を、生産性よく提供できる。
第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層の形成工程において、樹脂含有塗料の塗布後、所定時間経過後に、信号基板と信号転写用基板とを貼り合わせることが好ましい。上記所定時間内に、孔版の孔を通して塗布された樹脂含有塗料の表面凹凸の平滑化が自然に行なわれ、信号基板と信号転写用基板との貼り合わせが良好に行えるからである。
第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層の形成工程において、樹脂含有塗料の塗布後、信号基板と信号転写用基板とを貼り合わせる前に、信号基板上に塗布された樹脂含有塗料を加熱することが好ましい。塗布された樹脂含有塗料の表面凹凸の平滑化が迅速に行えるからである。
塗布された樹脂含有塗料の加熱は、上記樹脂含有塗料の表面温度が40℃〜120℃となるように行うと好ましい。加熱による多層情報記録媒体の反りの発生を抑制しながら、樹脂含有塗料の平滑化の効率を向上させることができるからである。同様の理由から、塗布された樹脂含有塗料の加熱は、上記樹脂含有塗料の表面温度が40℃〜100℃となるように行うと、さらに好ましい。
第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、前記樹脂層の形成工程において、前記樹脂含有塗料を塗布する最中に、前記樹脂含有塗料を温風を用いて加熱すると好ましい。また、前記塗布された樹脂含有塗料についても、温風を用いて加熱すると好ましい。加熱と送風とを併用することにより、より効率的かつ効果的に樹脂含有塗料の平滑化が行え、大きな気泡の混入も抑制できるからである。温風による樹脂含有塗料の加熱は、上記樹脂含有塗料の表面温度が30℃〜100℃となるように行うと好ましい。
樹脂含有塗料に含まれる樹脂は、光硬化性樹脂を含み、光硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂が好ましい。紫外線硬化樹脂は、紫外線域の波長の光りに対してのみ高感度に反応して硬化する。そのため、樹脂層の形成工程において、塗布された樹脂含有塗料(紫外線硬化樹脂を含む)を、紫外線より長波長域の電磁波を用いて加熱しても、この電磁波により紫外線硬化樹脂は硬化しない。よって、紫外線より長波長域の電磁波を用いて樹脂含有塗料を加熱することにより、紫外線硬化樹脂を硬化させることなく,塗布された樹脂含有塗料の平滑化が迅速に行える。
樹脂含有塗料に含まれる樹脂が紫外線硬化樹脂を含む場合、塗布された樹脂含有塗料の加熱は、紫外線より長波長域の電磁波を用いて行うと好ましい。紫外線硬化樹脂を硬化させることなく樹脂含有塗料の平滑化が行えるからである。
塗布される樹脂含有塗料の粘度は、30mPa・s〜4000mPa・s(30cps〜4000cps)であると好ましい。孔版の孔を通した樹脂含有塗料の塗布が良好に行えるとともに、信号基板上に塗布された樹脂含有塗料が信号基板の縁部へ流れることを抑制でき縁部における樹脂層の盛り上がりを抑制できるからである。同様の理由から、塗布される樹脂含有塗料の粘度は、100mPa・s〜4000mPa・s(100cps〜4000cps)であると、さらに好ましい。
第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層の形成工程において、信号基板と信号転写用基板とを貼り合わせた後、加圧手段によって信号転写用基板を加圧してから、樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化すると好ましい。信号の転写が良好に行えるからである。
樹脂含有塗料に含まれる樹脂が光硬化性樹脂を含む場合、信号転写用基板が、樹脂の硬化に用いられる照射光に対して透明であり、上記照射光を信号転写用基板越しに樹脂含有塗料に照射して、光硬化性樹脂を硬化させることが好ましい。このような方法によれば、容易にかつ効率的に樹脂層を形成できるからである。
樹脂含有塗料に含まれる光硬化性樹脂が紫外線硬化樹脂である場合、紫外線硬化樹脂の硬化に用いる照射光には、その波長域が紫外線域内にあるものを用いればよい。第1〜3の多層情報記録媒体製造方法においては、樹脂含有塗料が紫外線硬化樹脂を含む場合、信号転写用基板がポリオレフィンを含んでいると好ましい。ポリオレフィンは、紫外線硬化樹脂との剥離性が良好な材料であるので、小さな力で信号転写用基板を樹脂層から剥離でき、信号転写用基板への樹脂の付着も抑制できるからである。
第1〜2の多層情報記録媒体製造方法においては、信号基板は、中心孔を有する円盤状であり、樹脂層の形成工程において、信号基板の外周縁部および内周縁部を除く信号基板上に、樹脂含有塗料を塗布すると好ましい。
第3の多層情報記録媒体製造方法においては、信号基板および信号転写用基板は、中心孔を有する円盤状であり、樹脂層の形成工程において、信号転写用基板の外周縁部および内周縁部を除く信号転写用基板上に、第1の樹脂含有塗料を塗布し、信号基板の外周縁部および内周縁部を除く信号基板上に、第2の樹脂含有塗料を塗布すると好ましい。
本実施形態の情報記録媒体は、第1〜3の多層情報記録媒体の製造方法にて製造されるので、樹脂層の厚み変動が少ない。よって、多層情報記録媒体の光の入射側の面から各情報面までの光路長の変動も少ない。また、本実施形態の情報記録媒体では、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動を抑制でき、フォーカス制御およびトラッキング制御も安定して行われる。よって、本発明の情報記録媒体では、情報の記録、または情報の再生が良好に行われる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態は、多層情報記録媒体として、いわゆる、Blu−ray Discを例に挙げて説明するが、本発明における多層情報記録媒体はこれに限定されず、例えば、メモリーカード、CD、DVDなどであってもよい。
(実施形態1)
図1は、本実施形態における多層情報記録媒体の断面図である。図1に示すように、多層情報記録媒体は、第1信号基板601と、第1信号基板601の情報面上に配置された第1情報記録部602とを備えている。第1信号基板601は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面として有している。また、多層情報記録媒体は、第1情報記録部602上に配置された第2信号基板603を備えている。第2信号基板603は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第1信号基板601側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第2情報記録部604を備えている。多層情報記録媒体は、第2情報記録部604上に配置された第3信号基板605を備えている。第3信号基板605は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第2信号基板603側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第3情報記録部606を備えている。多層情報記録媒体は、第3情報記録部606上に配置された第4信号基板607を備えている。第4信号基板607は、ピットや案内溝を有する面を、凹凸形状の情報面(第3信号基板605側の面の反対面)として有している。多層情報記録媒体は、この情報面上に配置された第4情報記録部608と、第4情報記録部608上に配置された透明層609とを備えている。
尚、本願において、第2〜4信号基板603、605、607は、樹脂層603,605,607とも言う。
第1信号基板601は、情報記録媒体の反りを抑制するため、情報記録媒体の剛性を高めるため、および他の光ディスク(CD、DVDなど)との互換性を確保するために、外径φ120mm、平均厚み1.1mmの円板から形成されている。第1信号基板601の材料としては、例えば、ポリカーボネイトやアクリル系樹脂などが挙げられる。図1に示した多層情報記録媒体では、第1信号基板601の材料としてポリカーボネイトを用いている。
凹凸形状の情報面は、図7Fに示したスタンパ208を用いて、第1信号基板601を成形する際に形成されている。第1信号基板601は、例えば、射出圧縮成型法等の成形法により形成できる。第1信号基板601はその中心部に、直径φ15mmの中心孔610を有している。この中心孔610により、プレーヤによる情報の記録再生の際に、多層情報記録媒体はプレーヤの所定の位置に回転可能に保持される。
第1信号基板601上に形成される樹脂層(第2〜4信号基板)603、605、607や透明層609が光硬化性樹脂を含む場合、これらの層の形成の際には、光硬化収縮が生じる。しかし、この光硬化収縮は情報面を上とした場合、第1信号基板601に反りをもたらしてしまう。従って、樹脂層603、605、607および透明層609の形成後において、多層情報記録媒体に反りが生じないよう、第1信号基板601は、予め反対の反りを有するように形成されていると好ましい。
本実施形態の多層情報記録媒体が再生専用の多層情報記録媒体(ROM)である場合、第1情報記録部602は、例えば、Al、Ag、Au、Si、SiOなどの金属や半導体、誘電体を材料として、スパッタリングや蒸着等の方法により形成されている。
次に、本実施形態の多層情報記録媒体がWrite Once型の多層情報記録媒体である場合の第1情報記録部602の構成について図2を用いて説明する。
第1情報記録部602は、例えば、AlCrからなる反射膜503、ZnSからなる第1誘電体膜504、TeOPdからなる記録膜505、ZnSからなる第2誘電体膜506が、第1信号基板601(図1参照)側からこの順で配置された構造をしている。これらの層は、いずれも、例えば、スパッタリングや蒸着等の方法により形成される。反射膜503の材料には、AlCrに代えて、再生専用の多層情報記録媒体と同様に、AgやAu等の金属を主成分とする材料を用いてもよい。
第2情報記録部604、第3情報記録部606、および第4情報記録部608についても、第1情報記録部602と同様の構造をしている。反射膜503の厚みを調整したり、反射膜503を除去したり、および/または 第1誘電体膜504や記録膜505の厚みを調整することにより、多層情報記録媒体の光学特性を調整できる。また、第1〜4情報記録部は色素膜(図示せず)等をさらに備えた構造をしていてもよい。
樹脂層603(第2信号基板)は、記録再生光に対してほぼ透明である。樹脂層603は、例えば、アクリル樹脂を主成分とする紫外線硬化樹脂から形成されていると好ましい。紫外線硬化樹脂は、紫外線域の波長の光に対してのみ高感度に反応して硬化するからである。そのため、樹脂層603の形成工程において、紫外線より長波長域の電磁波を用いて、第1情報記録部602に塗布された樹脂含有塗料を加熱しても、この電磁波により樹脂含有塗料に含まれる紫外線硬化樹脂は硬化しない。よって、紫外線より長波長域の電磁波を用いて樹脂含有塗料を加熱することにより、紫外線硬化樹脂を硬化させることなく、樹脂含有塗料表面の平滑化が行える。
樹脂層603は、例えば、下記のようにして作製される。紫外線硬化樹脂を含む樹脂含有塗料(単に「塗料」という場合もある)を、樹脂層603形成用の孔版の孔を通して第1信号基板601上に塗布する。塗布された塗料に、情報面を有する信号転写用基板を、その情報面が面するように押し当てた状態で、塗料に含まれる紫外線硬化樹脂を紫外線を用いて硬化させる。次いで、硬化した紫外線硬化樹脂から信号転写用基板を剥離する。尚、樹脂含有塗料は、第1信号基板601の縁部(外周縁部601aおよび内周縁部601b)を除く第1信号基板601上に塗布する。第1信号基板601上には第1情報記録部602が形成されているので、塗料は第1情報記録部602を介して第1信号基板601に塗布されることになる。
樹脂層605、607(第3〜4信号基板)についても、樹脂層603(第2信号基板)と同様の材料および方法にて、同様の形状に形成する。
樹脂含有塗料は、紫外線硬化樹脂等の樹脂の他に、粘度調整のための溶媒、硬化開始剤等を含んでいてもよい。
透明層609は、記録再生光に対してほぼ透明である。透明層609は、例えば、アクリル樹脂を主成分とする紫外線硬化樹脂から形成されていると好ましい。透明層609についても、樹脂層と同様の方法で形成できる。透明層609は、第1〜4情報記録部602,604,606,608と樹脂層603,605,607とを被い、例えば、その一部が、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bと接合するように形成されている。
次に、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例について、図3A〜図6Eを用いて説明する。
図3A〜図4Dは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、まず、第1信号基板601の情報面上に、記録膜や反射膜などを含む第1情報記録部602を形成する。記録膜や反射膜などは、いずれも、スパッタリングや蒸着等の方法により形成する。第1信号基板601は、必要に応じて、第1情報記録部側の面の反対面側に配置された、バキューム等の手段によってテーブル103に固定されている。
次に、第1信号基板601上に、所定の間隔をあけて、所定寸法の網目を有する孔版104を配置する。孔版104には、第1信号基板601側の面の反対面上に供給された樹脂含有塗料105が、網目を通して第1情報記録部602に塗布される際に、塗布量を適切な量に制限可能とし、均一な塗布を可能とするものを用いる。
次に、孔版104の作製方法について説明する。まず、版枠106に孔版用材料を張り、孔版用材料に感光乳剤をコーティングする。次いで、コーティングされた孔版用材料の所定の位置(複数の孔を形成する位置)以外を遮光マスクによりマスクし、孔版用材料に露光装置を用いて紫外線を一定時間照射する。紫外線照射によって露光された感光乳剤を水噴射などによって水洗することにより現像して、孔版を104を得る。
尚、版枠106の材料には、例えば、木材、アルミニウム、ステンレス、プラスチックなどを用いることができるが、なかでも、軽量かつ剛性の高いアルミニウムが好ましい。孔版用材料には、例えば、シルク、ナイロン(登録商標)、ステンレス、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料などを用いることができるが、なかでも、外から加わる圧力に対して変形が小さいステンレスが好ましい。感光乳剤には、例えば、ジアゾニウム塩または重クロム酸塩を、PVAまたは酢酸ビニルエマルジョンに混合し溶解させたものなどを用いることができる。孔版用材料の所定の位置におけるメッシュ数(1インチ当たりの線材の本数)は、150〜600であると好ましい。メッシュ数がこの範囲内にあれば、樹脂含有塗料の通過不良や塗布ムラを生じさせることなく、樹脂含有塗料を塗布できる。尚、孔版の孔は網目に限定されない。
Figure 0004686287
表1は、樹脂含有塗料の粘度と樹脂層の状態との関係を示したものである。表1に示すように、樹脂含有塗料の粘度が30mPa・s〜4000mPa・s(30cps〜4000cps)であれば、良好な樹脂層を形成できることがわかった。樹脂含有塗料の粘度が30mPa・s(30cps)より低い場合は、塗布された樹脂含有塗料が第1信号基板601の基板端面に若干流れてしまった。樹脂含有塗料の粘度が4000mPa・s(4000cps)を超えると、樹脂含有塗料が孔版の孔を通過し難くなり、よって、塗料が塗布され難くなった。以上のことから、雰囲気の温度変化や湿度変化による樹脂含有塗料の粘度低下を考慮すれば、樹脂含有塗料の粘度は、100mPa・s〜4000mPa・s(100cps〜4000cps)であると好ましい。
尚、本願において、粘度は、回転粘度計を用いて測定した値である。回転粘度計を用いた粘度の測定方法は、回転子の回転トルクが粘度に比例することを利用している。回転子には、例えば、円筒形のローターや羽等が用いられる。回転トルクとは、試料(樹脂含有塗料)中に入れられた回転子を、棒状の軸を介して連結されたモーター等によって一定速度で回転させ続けるのに必要な力のことである。
孔版104における孔の形成領域を選択することにより、樹脂含有塗料の塗布範囲を制限できる。本実施形態においては、例えば、第1信号基板601の内径よりも外側の領域であって(例えば、中心から10.5mm以上離れた領域)、かつ、外径よりも内側の領域(例えば、中心から59.75mm以内の領域)に、樹脂含有塗料105を塗布することが可能な孔版104を用いている(図3A参照)。このような孔版104を用いれば、第1信号基板601の縁部601a,601bを除く第1信号基板601上、すなわち、直径φ119.5mmの円内であって、直径φ21mmの円の外に、樹脂含有塗料105を塗布できる。
尚、上記一例では、第1信号基板601の外周縁部601aは、外周から0.25mm未満までの領域であり、第1信号基板601の内周縁部601bは、内周から3mm未満までの領域であるが、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法において、縁部はこれに制限されない。
本実施形態の多層情報記録媒体が、例えば、外周情報信号領域を有している場合、第1信号基板601の外周縁部601aは、例えば、外周情報信号領域よりも外側であると好ましい。例えば、Blu−ray Discでは、中心からの距離が58.5mmよりも遠い領域が、外周縁部601aとなる。尚、外周情報信号領域には、多層情報記録媒体の外周についての情報が記録されている。
本実施形態の多層情報記録媒体が、例えば、多層情報記録媒体の表面の傷付きを防止するためのプロテクションリングを第1信号基板601の内周よりも内側に備えている場合、第1信号基板601の内周縁部601bとは、プロテクションリングよりも外側の領域であって第1情報記録部602よりも内側の領域を意味する。
本実施形態の多層情報記録媒体は、プロテクションリングよりも外側に、例えば、クランピング機構によってスピンドルに固定される領域(以下「クランピング領域」という。)を有する場合がある。例えば、Blu−ray Discでは、クランピング領域は、中心からの距離が6.5mm以上11.5mm以下の領域である。多層情報記録媒体がクランピング領域を有する場合、第1信号基板601の内周縁部601bは、第1信号基板601における、クランピング領域よりも内側の領域、または、クランピング領域およびクランピング領域よりも内側の領域となる。クランピング領域上において、樹脂層が部分的に存在すると、好ましくないからである。
本実施形態の多層情報記録媒体は、例えば、多層情報記録媒体の内周についての情報が記録された内周情報信号領域を有していてもよい。この場合、第1信号基板601の内周縁部601bは、例えば、第1信号基板601における内周情報信号領域よりも内側であってもよい。この場合、例えば、Blu−ray Discでは、中心からの距離が21.0mmよりも近い領域が、内周縁部601bとなる。
このように、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層の形成工程において、第1信号基板の縁部を除く第1信号基板上に、樹脂含有塗料を孔版の孔を通して塗布するので、樹脂層について、第1信号基板の縁部(外周縁部および内周縁部)上における、樹脂の盛り上がりやはみ出しを抑制できる。これにより、外周縁部および内周縁部における厚さ変動、および光路長の変動が抑制され、結果として、球面収差の増大による光スポットのサイズの変動を抑制でき、フォーカス制御およびトラッキング制御も安定して行われる多層情報記録媒体を提供できる。また、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、寸法精度がよく、外観の良好な多層情報記録媒体を提供できる。
樹脂含有塗料105の第1信号基板601への塗布(転移)は以下のようにして行う。まず、スクレッパー107を孔版104上に摺動させることにより、孔版104の複数の孔に樹脂含有塗料105を充填する(図3AおよびB参照)。次に、孔版104に所定の圧力を加えるようにスキージ108を摺動させる。これにより、孔版104の孔に充填された樹脂含有塗料を、孔から押し出して、第1信号基板601上へ塗布する(図3C参照)。
尚、樹脂含有塗料105の第1信号基板601上への塗布は、上記の方法に限定されない。孔版104および樹脂含有塗料の種類によっては、樹脂含有塗料105が、孔版104の孔を容易に通過する。この場合は、スキージ108を摺動させるだけで、樹脂含有塗料105の複数の孔への充填と第1信号基板601上への塗布とを行うことができる。
本実施形態では、得られる多層情報記録媒体が、開口数が0.85の対物レンズと、波長405nmのレーザ光源とを備えた記録再生ヘッドを用いて、記録再生可能となるよう、樹脂層の平均厚みは、例えば、10μm〜25μmとした。スクレッパー107やスキージ108は、シリコンゴムやポリウレタン、ステンレスなどの材料を用いて形成されている。第1信号基板601上に塗布される樹脂含有塗料105の厚み(量)は、孔版104に対するスキージ108の角度やスキージ108による圧力、スキージ108の移動速度などによって左右される。そのため、上記角度、圧力および速度が、一定になるように調整されることが望ましい。
第1信号基板601上に塗布された樹脂含有塗料は、孔版104の孔を経て塗布されているので、塗布直後は、塗布模様(孔版模様)を有している。従って、塗布模様による樹脂含有塗料105表面の凹凸の程度が緩和されるように、樹脂含有塗料の塗布後、所定時間放置することにより、樹脂含有塗料のレベリング(表面凹凸の平滑化)を行うと好ましい。上記所定時間は、樹脂含有塗料の粘度等によって異なるが、通常、4秒〜120秒程度が好ましい。例えば、塗布時の樹脂含有塗料の粘度が30mPa・s〜4000mPa・sである場合に、樹脂含有塗料の粘度が比較的低くかつチクソ性が低い場合は、塗布後直ちにレベリングが開始され、4秒程度で表面が平滑になる。一方、樹脂含有塗料の粘度が比較的高くかつチクソ性が高い場合は、樹脂含有塗料の流動が遅いので、レベリングが行われにくく、120秒程度で表面が平滑になる。尚、「平滑」の程度は、第1信号基板601と、信号転写用基板702(図4A参照)との貼り合わせが良好に行える程度であれば充分である。
塗布された樹脂含有塗料を加熱すれば、レベリングが迅速に行われ、より好ましい。加熱処理装置としては、例えば、樹脂含有塗料に含まれる紫外線硬化樹脂を硬化させないように、遠赤外線ヒータを用いると好ましい。
Figure 0004686287
表2は、樹脂含有塗料の表面温度と塗布模様の残存の程度との関係を示したものである。塗布模様の残存の程度は目視にて確認した。表2に示すように、表面温度が40℃〜120℃の範囲内となるように樹脂含有塗料を加熱すれば、紫外線硬化樹脂の変質を抑えながら、凹凸をほとんど無くすことができ、最適なレベリングが行えた。第1信号基板601の変形を考慮すれば、樹脂含有塗料の表面温度は、40℃〜100℃の範囲内にあると、より好ましい。
尚、表面温度は、非接触式放射温度計を用いて測定した。
このように、塗布された樹脂含有塗料をその表面温度が所定の温度となるように加熱すれば、迅速に、均一な厚みの樹脂含有塗料層105’を第1信号基板601上に形成できる(図3D参照)。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂含有塗料を塗布する最中に、樹脂含有塗料を温風を用いて加熱してもよい。また、塗布された樹脂含有塗料を、温風を用いて加熱してもよい。加熱と送風とを併用することにより、より効率的かつ効果的に樹脂含有塗料の平滑化が行え、大きな気泡の混入も抑制できるからである。温風による樹脂含有塗料の加熱は、上記樹脂含有塗料の表面温度が30℃〜100℃となるように行うと好ましい。
図4A〜図4Dは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法において、樹脂含有塗料に信号を転写する方法の一例を示した断面図である。樹脂含有塗料層105’が一方の主面上に形成された第1信号基板601を、減圧槽701の中に配置する。第1信号基板601の中心部に形成された中心孔611にセンターボス706を通すことによって、第1信号基板601を所定の位置に固定する。同時に、信号転写用基板702についても減圧槽701中に配置する。信号転写用基板702は、例えば、紫外線硬化樹脂との剥離性が良好な材料である、ポリオレフィンを含んでいると好ましい。ポリオレフィンは、成形性が良好なので、凹凸形状を有する情報面を容易に形成できる点においても、信号転写用基板702の材料として好適である。
また、ポリオレフィンは紫外線を透過する性質を有するので、信号転写用基板702越しに、樹脂含有塗料に紫外線を照射すれば、樹脂含有塗料に含まれる紫外線硬化樹脂を効率良く硬化できる。ポリオレフィンとしては、例えば、シクロペンタジエンを原料とするシクロオレフィンが挙げられる。
第1信号基板601の平均厚みが、例えば、1.1mmである場合、信号転写用基板702の平均厚みは、例えば、0.6mmとすると好ましい。第1信号基板601よりも薄い信号転写用基板702を用いれば、厚さの相違による剛性差により、信号転写用基板702の剥離が容易に行える。
減圧槽701内は、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどの減圧ポンプ703によって排気可能であり、短時間で所定の気圧にまで減圧可能である。本実施形態においては、減圧槽701内が、例えば、100Pa以下の真空度に達したときに、信号転写用基板702と第1信号基板601とを樹脂含有塗料層105’および第1情報記録部602を介して貼り合わせる。
このとき、加圧プレート704によって、信号転写用基板702を加圧して、樹脂含有塗料層105’に信号転写用基板702の凹凸面を情報面として転写する。減圧槽701内が減圧されていることから、樹脂含有塗料層105’と信号転写用基板702との間に気泡を混入させることなく、信号転写用基板702と第1信号基板601と貼り合せることができる(図4B参照)。また、樹脂含有塗料105を孔版の孔を通して第1信号基板601上に塗布した際に、樹脂含有塗料内に混入した気泡も、取り除くことができる。
次に、貼り合わされた第1信号基板601と信号転写用基板702とを、減圧槽701から取り出す。次いで、信号転写用基板702の上方に配置された紫外線照射装置705によって、信号転写用基板702越しに、樹脂含有塗料層105’に紫外線を照射して、樹脂含有塗料に含まれる紫外線硬化樹脂を硬化し、樹脂含有塗料層105’を樹脂層とする(図4C参照)。
次いで、硬化した紫外線硬化樹脂から信号転写用基板702を剥離する。この際、信号転写用基板702と樹脂層との間に圧縮エアーを吹き込むと好ましい。このようにして、情報面を有する樹脂層603を形成する(図4D参照)。
次に、第2情報記録部604を、第1情報記録部602と同様に、スパッタリング等の方法により形成する。樹脂層605についても、樹脂層603と同様にして形成する。さらに、第3〜4情報記録部606,608、情報層607についても、同様にして形成する。次に、第4情報記録部608上に、透明層609を形成する。透明層609は、記録再生光に対してほぼ透明な(透過性を有する)アクリル樹脂を主成分とした紫外線硬化樹脂を用いて形成する。透明層609についても、樹脂層と同様に、透明層609形成用の塗料を孔版の孔を通して、第4情報記録部608等に塗布することにより形成する(図1参照)。
第4情報記録部608の直上における透明層609の平均厚みは、透明層609の表面から第1情報記録部602までの距離が、100μm程度となるように、透明層609と第1情報記録部602との間に挟まれる樹脂層603、605、607の厚みに応じて決定される。上記100μmは、今回用いた記録再生ヘッドによる球面収差の補正可能限界である。
例えば、樹脂層603、605、607の平均厚さがそれぞれ25μmの場合は、透明層609の平均厚さは、25μm(100μm−25μm×3層)とする。また、樹脂層603、605、607の平均厚さが10μmの場合は、透明層609の平均厚さは、70μm(100μm−10μm×3層)とする。尚、第1〜4情報記録部の各厚みは、樹脂層や透明層609のそれと比較して桁違いに薄いので無視できる。
本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法では、樹脂層603、605、607および第1〜第4情報記録部602,604,606,608がいずれも、第1信号基板601の縁部を除く第1信号基板601上に形成されている(図1参照)。そのため、透明層609は、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bと接合するように形成できる。したがって、第1〜4情報記録部602,604,606,608と樹脂層603、605、607とを、透明層609と第1信号基板601によって囲うことができる。ポリカーボネイトは硬化前の紫外線硬化樹脂および硬化後の紫外線硬化樹脂と接着性が高い。したがって、第1信号基板601の材料として、ポリカーボネイトを用い、透明層609の材料として紫外線硬化樹脂を用いれば、湿気などが原因で樹脂層と情報記録部とが剥離することを抑制できる。
図5Aに、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法により作製された多層情報記録媒体の樹脂層の厚みの測定結果を、図5Bに、従来の多層情報記録媒体を構成する樹脂層の厚みの測定結果を示している。樹脂層の厚みは、多層情報記録媒体の中心を中心とする半径20mm、30mm、40mm,50mm,59mmの円周上を、それぞれ、15度間隔で測定した。すなわち、互いに測定箇所が重複しないように120箇所について、樹脂層の厚みを測定した。
尚、樹脂層の厚みは、光の干渉効果を利用した方法(PV法)にて測定した。この測定方法は、樹脂層の表面で反射した光とその裏面で反射した光が互いに干渉を起こし、これらの反射光の位相が一致すると強度が高まり、ずれると弱まるという性質を利用している。波長の変化に伴い反射光強度が変化する干渉パターンが観測され、このパターンにおけるピーク波長λ1およびバレー波長λ2が、光路差2nd(n=樹脂層の屈折率、d=樹脂層の厚さ)の整数倍であるという関係から、樹脂層の厚みdを得ることができる。
樹脂層の厚みの測定には、多層情報記録媒体の記録再生に用いるレーザ光よりも、長波長のレーザ光を用いる。多層情報記録媒体に記録された情報を記録再生するレーザ光と同等の波長の光を出射する光源を、樹脂層の厚みを測定するための装置に用いた場合、情報記録部に記録されている情報によって光回折が発生し、この光回折が、樹脂層の厚みの測定に悪影響を与えてしまうからである。例えば、記録再生用のレーザ光として、波長400nm程度の青色レーザを使用する場合は、波長650nmの程度の赤色レーザ光を用いて樹脂層の厚みを測定する。
平均厚み20μmを樹脂層の厚みの目標値として、樹脂層を形成した場合の厚みのばらつきは、図5Aに示すように、本実施形態の多層情報記録媒体では±1μm以内におさまっている。一方、図5Bに示すように、従来の多層情報記録媒体では、樹脂層の厚みのばらつきは、±1μmよりも大きかった。また、互いに測定箇所が重複しないように測定数を120として測定した樹脂層の厚みの平均値を樹脂層の平均厚みとすると、樹脂層の厚みの最大値と最少値の差は、上記平均厚みの10%以下であった。
上記においては、第1信号基板601の縁部を除く第1信号基板601上に、樹脂含有塗料を塗布し、塗布された樹脂含有塗料を介して、第1信号基板601と信号転写用基板702とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせて、情報面を有する樹脂層603を形成しているが、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法はこれに制限されない。例えば、信号転写用基板702の縁部を除く信号転写用基板702上に、樹脂含有塗料を塗布し、塗布された樹脂含有塗料を介して、第1信号基板601と信号転写用基板702とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせて、情報面を有する樹脂層を形成してもよい。
また、例えば、比較的粘度の低い樹脂含有塗料を用いることによって、所望の厚みの樹脂層を形成することが難しい場合は、信号転写用基板702の縁部を除く信号転写用基板702上に、第1の樹脂含有塗料を第1孔版の孔を通して塗布し、第1信号基板601の縁部を除く第1信号基板601上に、第2の樹脂含有塗料を第2孔版の孔を通して塗布し、樹脂含有塗料を介して、第1信号基板601と信号転写用基板702とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせて、情報面を有する樹脂層を形成してもよい。第1孔版と第2孔版は、それぞれ、図3A〜図3Dを用いて説明した孔版104と同様のものを用いればよい。
第1の樹脂含有塗料と第2の樹脂含有塗料の組成は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1の樹脂含有塗料と第2の樹脂含有塗料とが、それぞれ、光硬化性樹脂と粘着性樹脂(例えば、アクリル系の共重合体)とを含む場合、例えば、信号転写用基板702と樹脂層との剥離性を向上させ、および/または、第1信号基板601と樹脂層との接着性を向上させるために、第1の樹脂含有塗料における光硬化性樹脂の含有量を第2の樹脂含有塗料におけるそれよりも高くし、および/または、第2の樹脂含有塗料における粘着性樹脂の含有量を第1の樹脂含有塗料におけるそれよりも高くしてもよい。
(実施形態2)
実施形態2では、本発明の多層情報記録媒体の製造方法の他の例について図6A〜図6Eを用いて説明する。
図6A〜図6Bは、樹脂含有塗料層105’へ信号転写用基板702を用いて信号を転写する様子を示した断面図である。実施形態1と同様の方法により第1信号基板601上に塗布された樹脂含有塗料層105’に、信号転写用基板702を貼り付ける(図6A参照)。信号転写用基板702上には、円筒形状のローラー903が配置されおり。ローラー903を回転走行させながら、ローラー903によって信号転写用基板702を加圧する(図6B参照)。このように、第1信号基板601と信号転写用基板702とを貼り合わせた後、信号転写用基板702上に加圧手段(ローラー903)を走行させながら、加圧手段(ローラー903)によって信号転写用基板702を加圧すれば、樹脂含有塗料層105’への信号の転写が良好に行える。
ローラー903が加熱手段を備えている場合は、必要に応じて、信号転写用基板702を加圧および加熱しながら、信号転写用基板702上にローラー903を走行させてもよい。この場合、樹脂含有塗料層105’への信号の転写がさらに良好に行える。硬化前の紫外線硬化樹脂は加熱されることによって粘度が低下するので、溝やピットなどの微細形状の転写が容易にかつ良好に行えるからである。
ローラー903による加圧は、30kgf/cm〜100kgf/cm(29.4×10Pa〜98.1×10Pa)の範囲で行うと好ましい。信号転写用基板702に加わる圧力が大きいほど転写性が良好になるが、圧力が大きすぎると、多層情報記録媒体に反りが生じ、および/または、樹脂層の厚み変動が生じる。圧力が上記範囲内であれば、多層情報記録媒体の反りや、樹脂層の厚み変動を生じさせることなく、信号の転写が良好に行える。
ローラー903の表面温度は、摂氏25℃〜摂氏100℃であると好ましい。温度が高すぎると、樹脂層の変質および/または多層情報記録媒体の反りが生じる。ローラー903の表面温度が上記範囲内であれば、樹脂層の変質や多層情報記録媒体の反りを生じさせることなく、信号の転写が良好に行える。
尚、ローラー903による加圧によって樹脂含有塗料層105’に含まれる気泡を減少させることができる。しかし、第1情報記録部602が形成された第1信号基板601と信号転写用基板702とを減圧槽701内に配置した後、減圧槽701内で、第1信号基板601と信号転写用基板702とを貼り合わせることが好ましい。樹脂含有塗料の塗布時に混入した気泡を除去でき、かつ、第1信号基板601と信号転写用基板702との貼り合わせの際に混入する気泡を減少させることができるからである。
次に、信号転写用基板702の上方に設置された紫外線照射機904によって、信号転写用基板702越しに樹脂含有塗料層105’に照射光を照射して、樹脂含有塗料層105’に含まれる紫外線硬化樹脂を硬化させる。尚、本実施形態においても、実施形態1と同様に、信号転写用基板702の材料は、上記照射光に対して実質的に透明なポリオレフィン樹脂を用いている(図6C参照)。
次に、硬化後の樹脂含有塗料層105’(樹脂層603)から信号転写用基板702を剥離する。この際、信号転写用基板702と樹脂層603の間に圧縮エアーを吹き込めば、第1情報記録部602と樹脂層603との接合状態を維持しながら、樹脂層603から信号転写用基板702を容易に剥離できる。
次に、第2情報記録部604についても、第1情報記録部602と同様に、スパッタリング等の方法により形成する(図6D参照)。樹脂層605についても、樹脂層603と同様にして形成する。さらに、第3〜4情報記録部606、608、樹脂層607についても、同様にして形成する。次に、第4情報記録部上に、透明層609を形成する。透明層609についても、実施形態1と同様にして形成すればよい(図6E参照)。
実施形態1および2では、いずれも、4つの情報記録部を備えた多層情報記録媒体を例に挙げて説明したが、本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法はこれに制限されない。情報記録部の数は、第1信号基板、樹脂層、透明層等の厚みを調整することにより、2つまたは3つとしてもよいし、5つ以上としてもよい。複数の情報記録部を備えた情報記録媒体は、大容量の情報を記録再生可能である。
尚、実施形態1および2では、第1〜第4情報記録部は、いずれも、反射膜503、第1誘電体膜504、記録膜505、第2誘電体膜506が、第1信号基板側からこの順で配置された構造をしているが(図2参照)、第1〜第4情報記録部はこの形態に制限されない。各情報記録部は、少なくとも記録膜を含んでいればよく、その他の膜のうちの少なくとも1つがなくてもよいし、これらの膜以外の膜が含まれていてもよい。
尚、実施形態1および2では、円盤状のいわゆるブルーレイディスクを例に挙げ、第1信号基板601の外周縁部601aおよび内周縁部601bを除く第1信号基板601上に、樹脂含有塗料を塗布することを説明した。しかし、本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法はこれに限定されない。例えば、例えば、メモリーカードなどのように、中心孔610を有しない多層情報記録媒体については、第1信号基板の外周縁部のみを除く第1信号基板601上に、樹脂含有塗料を塗布すればいよい。
以上のとおり、本発明によれば、情報の記録、または情報の再生が良好に行われ、かつ生産効率の良い多層情報記録媒体およびその製造方法を提供できる。
本発明の多層情報記録媒体およびその製造方法によれば、情報の再生、または情報の記録再生が良好に行われる多層情報記録媒体を、生産性良く提供できる。本発明は、中心孔を有する円盤形のBlu−ray Discのみならず、メモリーカード、CD、DVD、ホログラムメモリ等にも適用できる。
図1は、本実施形態の多層情報記録媒体の一例を示した断面図である。 図2は、図1に示した多層情報記録媒体の第1情報記録部の拡大図である。 図3Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図3Bは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図3Cは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図3Dは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図4Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図4Bは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図4Cは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図4Dは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図5Aは、本実施形態の多層情報記録媒体を構成する樹脂層の厚みの測定結果を示したグラフである。 図5Bは、従来の多層情報記録媒体を構成する樹脂層の厚みの測定結果を示したグラフである。 図6Aは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する断面図である。 図6Bは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する断面図である。 図6Cは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する断面図である。 図6Dは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する断面図である。 図6Eは、本実施形態の多層情報記録媒体の製造方法の他の例を説明する断面図である。 図7Aは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7Bは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7Cは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7Dは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7Eは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する断面図である。 図7Fは、従来の多層情報記録媒体の作製の際に用いられる基板作製用金型の製造方法の一例を説明する断面図である。 図8は、従来の多層情報記録媒体の一例を説明する断面図である。 図9Aは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Bは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Cは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Dは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Eは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Fは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Gは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Hは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Iは、従来の多層情報記録媒体の製造方法の一例を説明する断面図である。 図9Jは、図9Cの一部の拡大図である。
符号の説明
601 第1信号基板
601a 外周縁部
601b 内周縁部
602 第1情報記録部
603 樹脂層
604 第2情報記録部
605 樹脂層
606 第3情報記録部
607 樹脂層
608 第4情報記録部
609 透明層
610 中心孔
103 テーブル
104 孔版
105 樹脂含有塗料
105’ 樹脂含有塗料層
106 版枠
107 スクレッパー
108 スキージ
701 減圧槽
702 信号転写用基板
703 減圧ポンプ
704 加圧プレート
705 紫外線照射装置
706 センターボス
903 ローラー
904 紫外線照射機

Claims (17)

  1. 信号基板と、前記信号基板上に配置された2つ以上の情報記録部と、隣り合う情報記録部間に配置された樹脂層とを含む多層情報記録媒体の製造方法であって、
    前記樹脂層を形成する工程を含み、
    前記樹脂層の形成工程において、
    前記信号基板の縁部を除く前記信号基板上、もしくは信号転写用基板の縁部を除く前記信号転写用基板上のいずれかに、樹脂含有塗料を孔版の孔を通して塗布し、
    塗布された前記樹脂含有塗料を介して、前記信号基板と前記信号転写用基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせ、
    塗布された前記樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化して前記樹脂層を形成した後、
    前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離し、
    前記樹脂含有塗料を前記孔版の孔を通して塗布する最中に、前記樹脂含有塗料を温風によって前記樹脂含有塗料の表面温度が30℃〜100℃となるように加熱することを特徴とする多層情報記録媒体の製造方法。
  2. 信号基板と、前記信号基板上に配置された2つ以上の情報記録部と、隣り合う情報記録部間に配置された樹脂層とを含む多層情報記録媒体の製造方法であって、
    前記樹脂層を形成する工程を含み、
    前記樹脂層の形成工程において、
    信号転写用基板の縁部を除く前記信号転写用基板上に、第1の樹脂含有塗料を第1孔版の孔を通して塗布し、
    前記信号基板の縁部を除く前記信号基板上に、第2の樹脂含有塗料を第2孔版の孔を通して塗布し、
    前記第1の樹脂含有塗料および前記第2の樹脂含有塗料を介して、前記信号基板と前記信号転写用基板とを、大気圧よりも低い気圧下で貼り合わせ、
    前記第1の樹脂含有塗料に含まれる樹脂および前記第2の樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化して前記樹脂層を形成した後、
    前記樹脂層から前記信号転写用基板を剥離し、
    前記第1の樹脂含有塗料を前記第1孔版の孔を通して塗布する最中に、前記第1の樹脂
    含有塗料を温風によって前記第1の樹脂含有塗料の表面温度が30℃〜100℃となるように加熱し、
    前記第2の樹脂含有塗料を前記第2孔版の孔を通して塗布する最中に、前記第2の樹脂含有塗料を温風によって前記第2の樹脂含有塗料の表面温度が30℃〜100℃となるように加熱することを特徴とする多層情報記録媒体の製造方法。
  3. 前記樹脂層の形成工程において、前記樹脂含有塗料の塗布後、所定時間経過後に、前記信号基板と前記信号転写用基板とを貼り合わせる請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  4. 前記樹脂層の形成工程において、前記樹脂含有塗料の塗布後、前記信号基板と前記信号転写用基板とを貼り合わせる前に、前記塗布された樹脂含有塗料を加熱する請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記塗布された樹脂含有塗料を、その表面温度が40℃〜120℃となるように加熱する請求項4に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  6. 前記塗布された樹脂含有塗料を、その表面温度が40℃〜100℃となるように加熱する請求項4に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  7. 前記塗布された樹脂含有塗料を、温風を用いて加熱する請求項4に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  8. 前記塗布された樹脂含有塗料を、その表面温度が30℃〜100℃となるように加熱する請求項7に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  9. 前記樹脂含有塗料に含まれる前記樹脂は、光硬化性樹脂を含む請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  10. 前記光硬化性樹脂は、紫外線硬化樹脂を含む請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  11. 前記樹脂層の形成工程において、前記樹脂含有塗料の塗布後、前記信号基板と前記信号転写用基板とを貼り合わせる前に、前記塗布された樹脂含有塗料を、紫外線より長波長域の電磁波を用いて加熱する請求項10に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  12. 塗布される前記樹脂含有塗料の粘度は、30mPa・s〜4000mPa・sである請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  13. 塗布される前記樹脂含有塗料の粘度は、100mPa・s〜4000mPa・sである請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  14. 前記樹脂層の形成工程において、前記信号基板と前記信号転写用基板とを貼り合わせた後、加圧手段によって前記信号転写用基板を加圧してから、前記樹脂含有塗料に含まれる樹脂を硬化する請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  15. 前記信号転写用基板は、前記樹脂の硬化に用いられる照射光に対して透明であり、
    前記照射光を前記信号転写用基板越しに前記樹脂含有塗料に照射して、前記樹脂を硬化する請求項9に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  16. 前記信号転写用基板は、ポリオレフィン樹脂を含む請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
  17. 前記信号基板は、中心孔を有する円盤状であり、
    前記信号基板の外周縁部および内周縁部を除く前記信号基板上に、前記樹脂含有塗料を塗布する請求項1に記載の多層情報記録媒体の製造方法。
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