JP2005285222A - 多層情報記録媒体製造方法および多層情報記録媒体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のスペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時におけるノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造する多層情報記録媒体製造方法を提供する。
【解決手段】情報層L1〜L4とスペーサ層S1〜S3とが基材D1の一面に交互に積層されると共に隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された多層情報記録媒体1を製造する際に、直前に形成したスペーサ層の厚みを測定し、次のスペーサ層の形成に先立って厚みの測定値に基づいて厚み条件を満たすように次のスペーサ層についての厚みの目標値を求め、その目標値の厚みで次のスペーサ層を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】情報層L1〜L4とスペーサ層S1〜S3とが基材D1の一面に交互に積層されると共に隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された多層情報記録媒体1を製造する際に、直前に形成したスペーサ層の厚みを測定し、次のスペーサ層の形成に先立って厚みの測定値に基づいて厚み条件を満たすように次のスペーサ層についての厚みの目標値を求め、その目標値の厚みで次のスペーサ層を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層された多層情報記録媒体を製造する多層情報記録媒体製造方法および多層情報記録媒体製造装置に関するものである。
この種の多層情報記録媒体製造方法として、出願人は、特開2003−22586号公報において、情報記録層(情報層)と透明中間層(スペーサ層)とをディスク状基板(以下、「基板」ともいう)上に交互に形成して、少なくとも2層の情報記録層(情報層)を積層した光記録媒体(多層情報記録媒体)の製造方法を開示している。この製造方法(同公報において開示された第1の態様)では、まず、表面にグルーブパターンを形成した基板を射出成形によって作製する。次に、基板におけるグルーブパターンの形成面に、反射層、誘電体層、相変化型記録層および誘電体層をスパッタ法によってこの順序で積層して第1の情報記録層を形成する。次いで、所定の形成条件に従って透明中間層を形成する。具体的には、第1の情報記録層を形成した基板を回転装置の回転テーブル上に載置して、基板の中心孔に閉塞手段を嵌め込む。次に、回転テーブルを低速で回転させながら所定量の紫外線硬化型樹脂を閉塞手段の中心部に供給(吐出)する。次いで、形成条件で規定された回転数で回転テーブルを所定時間だけ高速回転させる。この際に、基板が回転テーブルと共に高速回転させられることにより、紫外線硬化型樹脂が基準の厚み(または基準の厚みに対して設定された許容範囲内の厚み)に展延される。
次いで、表面にグルーブパターンが形成されたスタンパを展延した紫外線硬化型樹脂の上に載置して、所定の圧力で加圧(プレス)する。続いて、加圧を解除した後に、スタンパを透して紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する。これにより、紫外線硬化型樹脂が硬化して透明中間層が形成される。次に、透明中間層からスタンパを剥離する。次いで、透明中間層の表面に、第2の情報記録層をスパッタ法によって形成する。これにより、第1の情報記録層、透明中間層および第2の情報記録層がディスク状基板に形成された多層情報記録媒体が完成する。この製造方法では、所定の形成条件に従って透明中間層を形成することで、透明中間層の厚みを基準値に対して設定された許容範囲内に収めることが可能になっている。したがって、第1および第2の情報記録層に対して記録再生用のレーザービームを正確にフォーカシングして照射することが可能なため、記録データの記録再生時におけるエラー発生のない良好な多層情報記録媒体を製造することが可能になっている。
特開2003−22586号公報(第12−13頁)
ところが、出願人が開示している従来の製造方法には、以下の改善すべき課題がある。すなわち、この製造方法では、透明中間層(スペーサ層)の厚みを許容範囲内に収めることが可能なものの、さらなる大容量化を実現するために、3層以上の情報層および複数のスペーサ層を備えた多層情報記録媒体を製造する際には、やや不都合がある。具体的には、図7に示すように、例えば、3層の情報層L101,L102,L103と2層のスペーサ層S101,S102とを備えた多層情報記録媒体101において、1層目の情報層L101に記録されているデータを再生するために記録再生用のレーザービームBを情報層L101にフォーカシングさせた際に、レーザービームBの一部がスペーサ層S102と情報層L102との界面で反射することがある。この際に、例えば、スペーサ層S101,S102の厚みが互いに同じときには、同図に示すように、スペーサ層S102と情報層L102との界面で反射したレーザービームBが情報層L103(同図に示す円で囲んだ部分)でフォーカシングされることに起因して(層間クロストークに起因して)ノイズが発生することがある。
このため、この種の多層情報記録媒体では、隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値が所定の基準差分値以上となるように各スペーサ層についての厚み基準値がそれぞれ異なる値に規定されることとなる。また、この種の多層情報記録媒体を製造する際には、各スペーサ層における個々の厚みを所定の許容範囲内に収めるだけではなく、隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値を確実に基準差分値以上とする必要がある。この場合、各スペーサ層をそれぞれ許容範囲内の厚みに形成したとしても、例えば、1つのスペーサ層が許容範囲の上限ぎりぎりで、隣接する他のスペーサ層が許容範囲の下限ぎりぎりのときには、隣接する両スペーサ層における各々の厚みの差分値が基準差分値を下回るおそれがある。したがって、この種の多層情報記録媒体をこの製造方法によって製造した際には、各スペーサ層における個々の厚みが全て許容範囲内であったとしても、隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値が所定の基準差分値未満となることがあり、このような場合には、記録データの記録時において層間クロストークに起因するノイズが発生するおそれがある。
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、複数のスペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時におけるノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造する多層情報記録媒体製造方法および多層情報記録媒体製造装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係る多層情報記録媒体製造方法は、複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された多層情報記録媒体を製造する際に、直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記厚みの測定値に基づいて前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚みの目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する。なお、本発明における情報層には、記録可能型の記録層や記録ができないROM型の記録層などの各種情報層が含まれる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法は、複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定されかつ隣接する当該各スペーサ層において当該基準差分値だけ互いに異なるように当該各スペーサ層についての各厚み基準値が規定された多層情報記録媒体を製造する際に、直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記厚みの測定値と当該次のスペーサ層についての前記厚み基準値との差分値を算出し、当該算出した差分値が前記基準差分値未満のときに、前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法は、複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件と当該各スペーサ層についての各厚み基準値とが規定された多層情報記録媒体を製造する際に、直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記厚みの測定値と当該次のスペーサ層についての前記厚み基準値との差分値を算出し、当該算出した差分値が前記基準差分値未満のときに、前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する。
この場合、前記算出した差分値が前記基準差分値以上であって、かつ形成した前記各スペーサ層の厚みの合計値と当該各スペーサ層の前記各厚み基準値の合計値との間に差分値が存在するときに、当該差分値を相殺または減縮するように前記厚み条件を満たす範囲内で前記次のスペーサ層についての厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成することができる。
また、前記積層した各情報層および各スペーサ層における最上層の上部にカバー層を形成する際に、前記形成した各スペーサ層の厚みの合計値を求め、前記カバー層の形成に先立って前記各スペーサ層についての前記厚みの合計値と前記厚み基準値の合計値との差分値で当該カバー層について規定されている厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該カバー層を形成することができる。
また、前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってスペーサ層形成用の塗液をスピンコートして前記次のスペーサ層を形成することができる。
また、前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってカバー層形成用の塗液をスピンコートして前記カバー層を形成することができる。
さらに、同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層の前記厚みと当該スペーサ層についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートすることもできる。
また、同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層および前記カバー層のいずれか一方の厚みと当該いずれか一方についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートすることができる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造装置は、複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された多層情報記録媒体を製造可能に構成され、前記スペーサ層を形成するスペーサ層形成部と、前記スペーサ層の厚みを測定する測定部と、次の前記スペーサ層の形成に先立って直前に形成した前記スペーサ層に対して前記測定部によって測定された前記厚みの測定値に基づいて前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚みの目標値を求めると共に前記スペーサ層形成部に対して当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成させる制御部とを備えている。
本発明に係る多層情報記録媒体製造方法および多層情報記録媒体製造装置によれば、直前に形成したスペーサ層の厚み測定値に基づいて厚み条件を満たすようにして求めた目標値の厚みで次のスペーサ層を形成することにより、直前に形成したスペーサ層の厚みと次のスペーサ層の厚みとの差分値を基準差分値以上とすることができるため、これらの各スペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造することができる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、次のスペーサ層についての厚み基準値と直前に形成したスペーサ層の厚みの測定値との差分値が基準差分値未満のときに、厚み条件を満たすように厚み基準値を増減補正して求めた目標値の厚みで次のスペーサ層を形成することにより、厚み基準値が規定された各スペーサ層における各々の厚みの差分値を基準差分値以上とすることができるため、これらの各スペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造することができる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、次のスペーサ層についての厚み基準値と直前に形成したスペーサ層の厚みの測定値との差分値が基準差分値未満のときに、厚み条件を満たすように厚み基準値を増減補正して求めた目標値の厚みで次のスペーサ層を形成することにより、厚み基準値が規定されると共に隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された各スペーサ層における各々の厚みの差分値を基準差分値以上とすることができるため、これらの各スペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造することができる。
さらに、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、次のスペーサ層についての厚み基準値と直前に形成したスペーサ層の厚みの測定値との差分値が基準差分値以上であって、かつ形成した各スペーサ層における厚みの合計値と厚み基準値の合計値との間に差分値が存在するときに、厚み基準値を増減補正して求めた目標値の厚みで次のスペーサ層を形成することにより、形成した各スペーサ層における厚みの合計値と基準値の合計値との差分値を次のスペーサ層の厚みまたは次以降のスペーサ層の厚みで相殺または減縮することができるため、各スペーサ層の厚みの合計値を確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、これらの各スペーサ層によって互いに分離させた3層以上の情報層を有し各スペーサ層の厚みの合計値を確実に許容範囲内に収めた多層情報記録媒体を製造することができる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、各スペーサ層の厚みの合計値と厚み基準値の合計値との差分値でカバー層の厚み基準値を増減補正して目標値を求め、その目標値の厚みでカバー層を形成することにより、各スペーサ層の厚みの合計値と基準値の合計値との差分値をカバー層の厚みで相殺または減縮することができるため、各スペーサ層およびカバー層の個々の厚みだけではなく、各スペーサ層およびカバー層の厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層によって互いに分離した3層以上の情報層およびカバー層を有し全体の厚みを確実に許容範囲内に収めた多層情報記録媒体を製造することができる。
さらに、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従って塗液をスピンコートしてスペーサ層を形成することにより、回転数および回転時間がスピンコートにおいて厚みを決定する主要な要素であるため、スペーサ層の厚みを正確にコントロールすることができる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従って塗液をスピンコートしてカバー層を形成することにより、回転数および回転時間がスピンコートにおいて厚みを決定する主要な要素であるため、カバー層の厚みを正確にコントロールすることができる。
また、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、スピンコート装置が同一の基材に異なるスペーサ層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象のその基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材に対して同じスペーサ層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材のスペーサ層を形成してからスピンコート対象の基材における異なるスペーサ層をスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、補正した形成条件に従って塗液をスピンコートすることにより、例えば、製造中において塗液の温度変化などが生じたとしても、予め設定された形成条件を容易に補正することができるため、各スペーサ層を目標値どおり(またはほぼ目標値どおり)の厚みに形成することができる。
さらに、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法によれば、スピンコート装置が同一の基材にスペーサ層およびカバー層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象のその基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材に対してカバー層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したカバー層の厚みと、そのカバー層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材のスペーサ層を形成してからスピンコート対象の基材におけるカバー層をスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、補正した形成条件に従って塗液をスピンコートすることにより、例えば、製造中において塗液の温度変化などが生じたとしても、予め設定された形成条件を容易に補正することができるため、カバー層を目標値どおり(またはほぼ目標値どおり)の厚みに形成することができる。
以下、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法および多層情報記録媒体製造装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、多層情報記録媒体1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す多層情報記録媒体1は、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法(以下、「製造方法」ともいう)に従って製造される多層情報記録媒体の一例であって、主要な機能層としての4層の情報層L1〜L4(以下、区別しないときには「情報層L」ともいう)と、各情報層L1〜L4の間に形成されたスペーサ層S1〜S3(以下、区別しないときには「スペーサ層S」ともいう)と、情報層L4(本発明における最上層)の表面(上部)に形成されたカバー層Cとが基材D1上に積層されて構成されている。また、多層情報記録媒体1は、同図に示すように、カバー層C側から(同図の矢印Aの向きで)記録再生用のレーザービームが照射されることによって記録データの読出しおよび記録が可能に構成されている。基材D1は、後述する多層情報記録媒体製造装置11(以下、「製造装置11」ともいう)の基材製造装置12によって例えばポリカーボネートを射出成形することで作製される。この場合、基材D1は、例えば、直径が120mm程度で厚みが1.2mm程度の円板状(平板形状)に形成されている。また、図2に示すように、基材D1の中心部には、記録再生装置に装着するための直径15mm程度の装着用の中心孔1aが形成されている。さらに、基材D1の表面には、配列ピッチが例えば0.32μmのグルーブパターン(図示せず)が形成されている。
情報層Lは、少なくとも記録層を含む機能層であって、製造装置11の情報層形成装置13によって例えばスパッタ法で形成される。この場合、記録層に加えて誘電体層や反射層などを含んで情報層Lを構成してもよい。また、記録層には、基材D1やスペーサ層Sに予めピットが形成された再生専用の機能層が含まれる。スペーサ層Sは、製造装置11の樹脂層形成装置14によって、例えば紫外線硬化型の塗液Rをスピンコート法で塗布して紫外線を照射して硬化させることで形成される。この場合、この多層情報記録媒体1では、記録データの記録時または再生時において各情報層Lに対する記録再生用のレーザービームの正確なフォーカシングを可能とするために、各スペーサ層S1〜S3の厚みについての各厚み基準値Vs1〜Vs3(以下、厚み基準値Vs1〜Vs3および後述する厚み基準値Vs4を区別しないときには「厚み基準値Vs」ともいう)がそれぞれ規定されている。また、再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を低減するために、隣接する各スペーサ層Sにおける各々の厚みの差分値Mmを所定の基準差分値Ms以上とする厚み条件が規定され、各厚み基準値Vsは隣接する各スペーサ層Sにおいてその基準差分値Msだけ互いに異なるように規定されている。具体的には、この多層情報記録媒体1では、一例として、スペーサ層S1〜S3についての各厚み基準値Vsは、それぞれ10μm、15μmおよび20μmに規定されている。つまり、スペーサ層S1,S2における基準差分値Ms、およびスペーサ層S2,S3における基準差分値Msは、それぞれ5μmに規定されている。また、スペーサ層Sの表面には、グルーブパターン(図示せず)が形成されている。カバー層Cは、樹脂層形成装置14によって、塗液Rをスピンコート法で塗布して紫外線を照射して硬化させることで形成される。この場合、カバー層Cもレーザービームの正確なフォーカシングを可能とするために、その厚み基準値Vs4が例えば55μmに規定されている。なお、カバー層Cはスペーサ層Sよりも厚く形成する必要があるため、カバー層C用の塗液Rとしては、例えば、スペーサ層S用の塗液Rよりも高粘度のものを用いるのが好ましい。
次に、本発明に係る製造方法に従って多層情報記録媒体1を製造する製造装置11の構成について、図面参照して説明する。
図3に示す製造装置11は、本発明に係る多層情報記録媒体製造装置の一例であって、基材製造装置12、情報層形成装置13、樹脂層形成装置14および厚み測定装置15を備えて構成されている。基材製造装置12は、例えば、射出成形機で構成されて、図1,3に示すディスク状の基材D1を射出成形によって作製する。情報層形成装置13は、例えば、スパッタ装置で構成されて、一例として、反射層、誘電体層および相変化型記録層等で構成される情報層Lをスパッタ法によって形成する。
樹脂層形成装置14は、本発明におけるスペーサ層形成部に相当し、図4に示すように、ターンテーブル21、モータ22、塗液供給部23、紫外線照射部24、記憶部25、制御部26、プレス機構27、操作部28、スタンパ29(図2参照)および閉塞部材30(図2参照)を備え、塗液Rをスピンコート法によって塗布してスペーサ層Sおよびカバー層C(以下、両者を区別しないときには「スペーサ層S等」ともいう)を形成する。ターンテーブル21は、全体として円板状に形成され、図2に示すように、その上面における中心部には、基材D1の中心孔1aに嵌め込み可能な環状突起21aが形成されている。また、ターンテーブル21の下面における中心部には、モータ22の回転軸(図示せず)に連結されるシャフト21bが取り付けられている。モータ22は、制御部26によって駆動制御されて、ターンテーブル21を回転させる。塗液供給部23は、制御部26の制御下で、スペーサ層Sを形成するための塗液Rを基材D1(情報層L)の上に供給(吐出)する。紫外線照射部24は、制御部26の駆動制御に従って基材D1に向けて紫外線を照射することにより、基材D1の表面に塗布された塗液Rを硬化させる。
記憶部25は、塗液Rの供給量、ターンテーブル21の回転数や回転時間、プレス機構27によるプレス処理の際の圧力や時間などを含むスペーサ層S等の形成に必要な形成条件が記述された形成条件テーブルを記憶する。この場合、形成すべきスペーサ層S1〜S3およびカバー層Cのそれぞれの厚み目標値Vt1〜Vt4(以下、区別しないときには「厚み目標値Vt」ともいう)を例えば1μm単位で任意に設定可能とするために、この形成条件テーブルには、1μm刻みの各厚み基準値Vsにそれぞれ対応付けられた複数の形成条件が記述されている。制御部26は、操作部28の操作によって入力されたスペーサ層Sおよびカバー層Cの厚み目標値Vtに対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。この場合、制御部26は、スペーサ層S2,S3およびカバー層Cを形成する際には、後述する厚み目標値補正処理40を実行することによって厚み目標値Vtを補正して、補正後の厚み目標値Vtに対応付けられた形成条件を読み出す。また、制御部26は、読み出した形成条件に従い、モータ22、塗液供給部23、紫外線照射部24およびプレス機構27を駆動制御する。この場合、制御部26は、後述する形成条件補正処理を実行した際には、その補正した形成条件に従ってこれらを駆動制御する。プレス機構27は、スタンパ29を保持可能に構成されて、制御部26の制御下で、スタンパ29をターンテーブル21に対して上下動させる。操作部28は、形成すべきスペーサ層Sの厚み目標値Vtを入力する入力ボタン、制御部26に対して厚み目標値補正処理40を実行させる操作ボタン、および制御部26に対して形成条件補正処理を実行させる操作ボタン等の各種操作ボタンを備えて構成され、これらの操作ボタンの操作に応じた操作信号を制御部26に出力する。
スタンパ29は、例えばアモルファスポリオレフィン(APO)によって図2に示すように円板状に形成されて、塗液Rを硬化させる紫外線を透過可能に構成されている。また、スタンパ29の一面(同図では下面)には、スペーサ層Sの表面に例えば0.32μmの配列ピッチでグルーブパターンを形成するための凹凸加工が施されている。なお、アモルファスポリオレフィンに代えて、光透過性を有する他の樹脂材料やガラス等でスタンパ29を形成することもできる。この場合、スペーサ層Sとの良好な剥離性を確保するために、スタンパ29の表面のうちの少なくとも凹凸加工が施されている面をポリオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂でコーティングするのが好ましい。閉塞部材30は、スペーサ層Sの形成に際して、ターンテーブル21に載置した基材D1の中心孔1aを閉塞するための部材であって、同図に示すように、円錐状の本体部30aと、本体部30aの表面における中心部に形成された中心軸30bと、本体部30aの底面における中央部に形成された円柱状の凸部30cとを備えて構成されている。厚み測定装置15は、図3に示すように、測定部31、記憶部32および表示部33を備えて構成されている。測定部31は、レーザーフォーカス式の変位計で構成され、スペーサ層Sの厚みを非接触方式で測定して測定データを出力する。この場合、測定部31は、一例として、基材D1の中央部、基材D1の外周部、および基材D1の中央部と外周部との中間部の3箇所にレーザー光を照射し、その反射光に基づくこれら3箇所についての厚みを基材D1が1回転する間に複数回計測して、これらの平均値のデータを測定データとして出力する。記憶部32は、測定部31から出力された測定データを記憶する。表示部33は、測定データに基づくスペーサ層S1〜S3の厚み測定値Vm1〜Vm3(以下、区別しないときには「厚み測定値Vm」ともいう)を表示する。
次に、製造装置11を用いて多層情報記録媒体1を製造する製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、製造装置11の基材製造装置12が射出成形によって基材D1を作製する。この場合、基材製造装置12の射出成形用金型内にセットされた基材D1用のスタンパー(いずれも図示せず)の凹凸パターンが転写されて、基材D1の表面にグルーブパターンが形成される。なお、基材D1の材料としては、例えばポリカーボネートが用いられる。次に、製造装置11の情報層形成装置13が、反射層、誘電体層、相変化型記録層および誘電体層をスパッタ法によってこの順序で基材D1の表面に積層して情報層L1を形成する。
次いで、製造装置11の樹脂層形成装置14が情報層L1の表面にスペーサ層S1を形成する。具体的には、まず、図2に示すように、情報層L1が形成された面を上向きにした状態で、ターンテーブル21の環状突起21aに中心孔1aを嵌め込んで基材D1を載置する。次に、環状突起21aの内側に閉塞部材30の凸部30cを嵌め込むことによって基材D1の中心孔1aを本体部30aで閉塞する。次いで、操作部28を操作して、スペーサ層S1の厚み基準値Vs1である10μmを厚み目標値Vt1として入力した後に、樹脂層形成装置14による樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26が、10μmの厚み目標値Vtに対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。続いて、制御部26は、読み出した形成条件に従ってモータ22を駆動制御することにより、例えば60rpmの回転速度でターンテーブル21を回転させる。次に、制御部26は、その形成条件に従って塗液供給部23を駆動制御して、紫外線硬化型樹脂(一例として、日本化薬(株)製のMPZ203)を含む塗液Rを閉塞部材30における中心軸30bの外周面に所定の量だけ供給させる。
次いで、制御部26は、モータ22の回転数を上昇させて、例えば、回転テーブルを2000rpmの回転速度で3秒間回転させる。この際に、回転に伴う遠心力によって塗液Rが基材D1の外縁部に向けてほぼ均一の厚みに展延させられる。続いて、閉塞部材30を基材D1から取り外す。次に、制御部26は、形成条件に従ってプレス機構27を駆動制御して、展延させた塗液Rの上にスタンパ29を載置させた後に、例えば、2×105Paの圧力で0.5秒間だけスタンパ29を基材D1に向けてプレスさせる。次いで、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29のプレスを解除させた後に、紫外線照射部24に対して紫外線を所定の照射量だけ基材D1に向けて照射させる。この際に、紫外線がスタンパ29を透過して照射されることによって塗液Rが硬化する。これにより、スペーサ層S1が形成される。この場合、スタンパ29の凹凸パターンが転写されて、スペーサ層S1の表面にグルーブパターンが形成される。次いで、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29を上方に移動させることにより、スペーサ層S1からスタンパ29を剥離させる。
続いて、厚み測定装置15がスペーサ層S1の厚みを測定する。この際に、測定部31が、スペーサ層S1の厚みを測定して測定データを出力し、記憶部32が、測定データを記憶する。また、表示部33が、測定データに基づくスペーサ層S1の厚み測定値Vmを表示する。次に、情報層形成装置13が、情報層L2をスペーサ層S1の表面にスパッタ法によって形成する。
次いで、樹脂層形成装置14が、情報層L2の表面にスペーサ層S2(本発明における次のスペーサ層の一例)を形成する。具体的には、情報層L1,L2およびスペーサ層S1が形成された面を上向きにした状態で、基材D1をターンテーブル21に載置し、閉塞部材30をターンテーブル21の環状突起21aに嵌め込む。続いて、操作部28を操作して、スペーサ層S2の厚み基準値Vs2である15μmを厚み目標値Vt2として入力した後に、樹脂層形成装置14による樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26が、図5に示す厚み目標値補正処理40を実行する。この厚み目標値補正処理40では、制御部26は、まず、厚み測定装置15の記憶部32からスペーサ層S1(本発明における直前に形成したスペーサ層の一例)の厚み測定値Vm1についての測定データを読み出す(ステップ41)。次に、制御部26は、スペーサ層S2についての厚み基準値Vs2(この場合、15μm)と、測定データに基づくスペーサ層S1の厚み測定値Vm1との差分値Mmを算出する(ステップ42)。この際に、スペーサ層S1の厚み測定値Vmが例えば11μmであったときには、制御部26は、差分値Mmを4μm(15μm−11μm)と算出する。
次いで、制御部26は、差分値Mmの絶対値(この場合、4μm、以下、単に「差分値Mm」ともいう)が基準差分値Ms(この場合、5μm)未満か否かを判別する(ステップ43)。この場合、差分値Mmが基準差分値Ms未満のため、制御部26は、ステップ44を実行する。このステップ44では、厚み条件(隣接する各スペーサ層Sにおける各々の厚みの差分値Mmを基準差分値Ms以上とする条件)を満たすように、厚み目標値Vt2として入力した厚み基準値Vs2を増減補正する。具体的には、制御部26は、例えば、スペーサ層S1の厚み測定値Vmである11μmに基準差分値Msである5μmを加算して16μmを算出し、この16μmをスペーサ層S2の厚み目標値Vt2として設定して厚み目標値補正処理40を終了する。
続いて、制御部26は、厚み目標値補正処理40で補正した厚み目標値Vt2(本発明における目標値に相当する。この場合、16μm)に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。次に、制御部26は、読み出した形成条件に従い、上記したスペーサ層S1の形成における動作と同様にして、モータ22、塗液供給部23、プレス機構27および紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、スペーサ層S2が形成される。次いで、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29を上方に移動させることにより、スペーサ層S1からスタンパ29を剥離させる。続いて、厚み測定装置15がスペーサ層S2の厚みを測定する。この際に、測定部31は、スペーサ層S2の厚みを測定して測定データを出力し、記憶部32は、測定データを記憶する。また、表示部33は、測定データに基づくスペーサ層S2の厚み測定値Vmと、スペーサ層S1,S2の厚み測定値Vmの合計値とを表示する。次に、情報層形成装置13が、スペーサ層S2の表面に情報層L2と同様の構成の情報層L3をスパッタ法によって形成する。
次いで、樹脂層形成装置14が情報層L3の表面にスペーサ層S3を形成する。具体的には、情報層L1〜L3およびスペーサ層S1,S2が形成された面を上向きにした状態で、基材D1をターンテーブル21に載置し、閉塞部材30をターンテーブル21の環状突起21aに嵌め込む。続いて、操作部28を操作して、スペーサ層S3の厚み基準値Vs3である20μmを厚み目標値Vt3として入力した後に、樹脂層形成装置14による樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26は、厚み目標値補正処理40を実行する。この場合、制御部26は、上記の動作と同様にして、厚み測定装置15の記憶部32からスペーサ層S2(本発明における直前に形成したスペーサ層の他の一例)の厚み測定値Vm2についての測定データを読み出す(ステップ41)。次に、制御部26は、スペーサ層S3についての厚み基準値Vs3(この場合、20μm)と、測定データに基づくスペーサ層S2の厚み測定値Vm2との差分値Mmを算出する(ステップ42)。この際に、厚み測定値Vm2が17μmであったときには、制御部26は、差分値Mmを3μm(20μm−17μm)と算出する。
次いで、制御部26は、差分値Mm(この場合、3μm)が基準差分値Ms(この場合、5μm)未満か否かを判別する(ステップ43)。この場合、差分値Mmが基準差分値Ms未満のため、制御部26は、スペーサ層S2の形成時における動作と同様にして、ステップ44を実行する。この際に、制御部26は、厚み条件を満たすように、厚み目標値Vt3として入力した厚み基準値Vs3を増減補正する。具体的には、制御部26は、例えば、スペーサ層S2の厚み測定値Vmである17μmに基準差分値Msである5μmを加算して22μmを算出し、この22μmをスペーサ層S3の厚み目標値Vt3として設定して厚み目標値補正処理40を終了する。
一方、上記したように、スペーサ層S2は、厚み目標値Vt2を16μmに設定したにも拘わらず、厚み目標値Vt2よりも1μm厚い17μmの厚みに形成されている。つまり、スペーサ層S2は、設定した厚み目標値Vt2よりも厚めに形成されたことになる。したがって、スペーサ層S3も、補正後の厚み目標値Vt3である22mよりも厚めに形成されることが予測される。この際には、上記したスペーサ層S3の厚み測定値Vm3の入力時に、操作部28を操作して、制御部26に対して形成条件補正処理を実行させる。これに応じて、制御部26は、22μmの厚み目標値Vt3に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出した後に、形成条件補正処理を実行することにより、読み出した形成条件に含まれている回転数や回転時間を所定の計算式によって増減補正する。具体的には、制御部26は、例えば、厚み測定装置15の記憶部32からスペーサ層S2(直前に形成したスペーサ層)の厚み測定値Vm2(この場合、17μm)を読み出して、スペーサ層S2の形成時に設定した厚み目標値Vt2(この場合、16μm)に対する厚み測定値Vm2の割合P(17μm/16μm≒1.06)を算出する。次に、制御部26は、例えば、22μmの厚み目標値Vt3に対応付けられた形成条件に含まれている回転数および回転時間に割合Pおよび所定の係数を乗じて増加させた回転数および回転時間を算出し、算出した新たな回転数および回転時間を含む形成条件を補正した新たな形成条件とする。
なお、この形成条件補正処理において、上記のように、樹脂層形成装置14が同一の基材D1に異なるスペーサ層Sを連続して形成するときには、形成対象のその基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚み(厚み測定値Vm)と、そのスペーサ層Sについての厚み目標値Vtとに基づいて形成条件を補正する。その一方、樹脂層形成装置14が異なる基材D1に対して同じスペーサ層Sを連続して形成するときには、形成対象の基材D1に先立って異なる基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚みと、そのスペーサ層Sについての厚み目標値Vtとに基づいて形成条件を補正し、また、樹脂層形成装置14が異なる基材D1のスペーサ層Sを形成してから形成対象の基材D1における異なるスペーサ層Sを形成するときには、形成対象の基材D1に先立って異なる基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚みと、そのスペーサ層についての厚み目標値Vtとに基づいて形成条件を補正することができる。
次いで、制御部26は、補正した形成条件に従い、上記した動作と同様にして、モータ22、塗液供給部23、プレス機構27および紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、スペーサ層S3が形成される。この場合、制御部26が形成条件補正処理を実行して形成条件を補正したことにより、スペーサ層S3が厚み目標値Vt3と同等の厚み(この場合、22μm)に形成される。
次に、厚み測定装置15がスペーサ層S3の厚みを測定する。この際に、測定部31が、スペーサ層S3の厚みを測定して測定データを出力し、記憶部32が、測定データを記憶する。また、表示部33が、測定データに基づくスペーサ層S3の厚み測定値Vm3と、スペーサ層S1〜S3の厚み測定値Vm1〜Vm3の合計値とを表示する。次いで、情報層形成装置13が、スペーサ層S3の表面に情報層L3と同様の構成の情報層L4をスパッタ法によって形成する。続いて、樹脂層形成装置14が情報層L4の表面にカバー層Cを形成する。この際に、情報層L1〜L4およびスペーサ層S1〜S3が形成された面を上向きにした状態で、基材D1をターンテーブル21に載置し、閉塞部材30をターンテーブル21の環状突起21aに嵌め込む。
続いて、操作部28を操作して、カバー層Cの厚み基準値Vs4である55μmを厚み目標値Vt4として入力する。これに応じて、制御部26は、スペーサ層S1〜S3(形成したスペーサ層S)における厚み測定値Vm1〜Vm3の合計値(この例では、11μm+17μm+22μm=50μm)と、スペーサ層S1〜S3の厚み基準値Vs1〜Vs3の合計値(この例では、10μm+15μm+20μm=45μm)との間に差分値が存在するか否かを判別する。この場合、スペーサ層S1〜S3の各厚み測定値Vm1〜Vm3の合計値がスペーサ層S1〜S3の各厚み基準値Vs1〜Vs3の合計値よりも5μm厚い、つまり両者の間に差分値が存在するため、制御部26は、この差分値を相殺(本発明における相殺または減縮の一例)するように、厚み目標値Vt4として入力した厚み基準値Vs4を増減補正する。この場合、制御部26は、上記の差分値を相殺するように、厚み基準値Vs4である55μmを50μmに補正する(つまり5μmだけ減少させる)。
次に、制御部26は、補正後の厚み目標値Vt4(この場合、50μm)に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。次いで、制御部26は、上記したスペーサ層S1〜S3の形成時における動作と同様にして、読み出した形成条件に従い、モータ22、塗液供給部23および紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、カバー層Cが形成されて多層情報記録媒体1が完成する。この場合、各スペーサ層Sにおける各厚み(各厚み測定値Vm)の合計値と各厚み基準値Vsの合計値との差分値をカバー層Cの厚みで相殺したことにより、多層情報記録媒体1全体の厚みを許容範囲内に収めることができる。したがって、記録時や再生時において情報層Lに対して記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシングさせることができる。
次に、図6に示す多層情報記録媒体2の構成、および製造装置11を用いて多層情報記録媒体2を製造する製造方法について、図面を参照して説明する。なお、多層情報記録媒体2における多層情報記録媒体1と同様の構成要素については、その詳細な説明を省略する。また、多層情報記録媒体1を製造する際の動作と同様の動作については、その詳細な説明を省略する。
多層情報記録媒体2は、本発明に係る製造方法に従って製造される多層情報記録媒体の他の一例であって、主要な機能層としての4層の情報層L11〜L14(以下、区別しないときには「情報層L」ともいう)と、各情報層L11〜L14の間に形成されたスペーサ層S11〜S13(以下、区別しないときには「スペーサ層S」ともいう)と、情報層L14(本発明における最上層)の表面(上部)に形成されたカバー層Cとが基材D1上に積層されて構成されている。この場合、各スペーサ層S11〜S13の厚みについての各厚み基準値Vs11〜Vs13(以下、厚み基準値Vs11〜Vs13、および後述する厚み基準値Vs14を区別しないときには「厚み基準値Vs」ともいう)が、それぞれ20μm、15μmおよび10μmに規定されている。つまり、スペーサ層S11,S12における基準差分値Ms、およびスペーサ層S12,S13における基準差分値Msがそれぞれ5μmに規定されている。また、カバー層Cの厚み基準値Vs14は、例えば55μmに規定されている。
この多層情報記録媒体2を製造装置11を用いて製造する際には、多層情報記録媒体1の製造方法と同様にして、情報層L11を基材D1の表面に形成した後に、スペーサ層S11の厚み基準値Vs11である20μmを厚み目標値Vt11として入力して、スペーサ層S11を形成する。次に、スペーサ層S11の表面に情報層L12を形成する。次いで、樹脂層形成装置14が、情報層L12の表面にスペーサ層S12(本発明における次のスペーサ層の一例)を形成する。具体的には、基材D1をターンテーブル21に載置して、閉塞部材30を嵌め込んだ後に、操作部28を操作して、スペーサ層S12の厚み基準値Vs12である15μmを厚み目標値Vt12として入力すると共に、樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26が、厚み目標値補正処理40を実行する。この場合、制御部26は、厚み測定装置15の記憶部32からスペーサ層S11(本発明における直前に形成したスペーサ層の一例)の厚み測定値Vm11についての測定データを読み出した後に(ステップ41)、スペーサ層S12についての厚み基準値Vs12(この場合、15μm)と、測定データに基づくスペーサ層S11の厚み測定値Vm11との差分値Mmを算出する(ステップ42)。この際に、スペーサ層S11の厚み測定値Vm11が例えば21μmであったときには、制御部26は、差分値Mmを6μm(21μm−15μm)と算出する。
続いて、制御部26は、差分値Mm(この場合、6μm)が基準差分値Ms(この場合、5μm)未満か否かを判別する(ステップ43)。この場合、差分値Mmが基準差分値Ms以上のため、制御部26は、形成したスペーサ層Sの厚み(厚み測定値Vm)の合計値(この場合、スペーサ層S11の厚み測定値Vm11(21μm))と、形成したスペーサ層Sの厚み基準値Vsの合計値(この場合、スペーサ層S11の厚み基準値Vs11(20μm))との間に差分値が存在するか否かを判別する(ステップ45)。この際に、スペーサ層S11の厚み測定値Vm11がスペーサ層S11の厚み基準値Vs11よりも1μm厚い、つまり両者の間に差分値が存在するため、制御部26は、上記した厚み条件を満たす範囲内でこの差分値を相殺するように、厚み目標値Vt12として入力した厚み基準値Vs12を増減補正して(ステップ46)、厚み目標値補正処理40を終了する。この場合、制御部26は、厚み条件を満たし、かつ上記の差分値を相殺するように、厚み基準値Vs12(厚み目標値Vt12)である15μmを14μmに補正する(つまり1μmだけ減少させる)。
続いて、制御部26は、補正後の厚み目標値Vt12(本発明における目標値に相当する。この場合、14μm)に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。次に、制御部26は、読み出した形成条件に従い、モータ22、塗液供給部23、プレス機構27および紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、スペーサ層S12が形成される。次いで、厚み測定装置15がスペーサ層S12の厚みを測定した後に、情報層形成装置13が、スペーサ層S12の表面に情報層L13を形成する。
次いで、樹脂層形成装置14がスペーサ層S13を形成する。具体的には、基材D1をターンテーブル21に載置して、閉塞部材30を嵌め込んだ後に、操作部28を操作して、スペーサ層S13の厚み基準値Vs13である10μmを厚み目標値Vt13として入力すると共に、樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26は、厚み目標値補正処理40を実行する。この場合、制御部26は、上記の動作と同様にして、厚み測定装置15の記憶部32からスペーサ層S12(本発明における直前に形成したスペーサ層の他の一例)の厚み測定値Vm12についての測定データを読み出して(ステップ41)、スペーサ層S13についての厚み基準値Vs13(この場合、10μm)と、測定データに基づくスペーサ層S2の厚み測定値Vm12との差分値Mmを算出する(ステップ42)。この際に、厚み測定値Vm12が例えば15μmであったときには、制御部26は、差分値Mmを5μm(15μm−10μm)と算出する。
続いて、制御部26は、差分値Mm(この場合、5μm)が基準差分値Ms(この場合、5μm)未満か否かを判別する(ステップ43)。この場合、差分値Mmと基準差分値Msとが同じ値のため、制御部26は、形成したスペーサ層Sの厚み(厚み測定値Vm)の合計値(この場合、スペーサ層S11,S12の各厚み測定値Vm11,Vm12の合計値(21μm+14μm=35μm))と、形成したスペーサ層Sの厚み基準値Vsの合計値(この場合、スペーサ層S11,S12の各厚み基準値Vs11,Vs12の合計値(20μm+15μm=35μm))との間に差分値が存在するか否かを判別する(ステップ45)。この際に、両者が同じ値、つまり上記の差分値が存在しないため、制御部26は、入力された厚み基準値Vs13(厚み目標値Vt13)を補正することなく厚み目標値補正処理40を終了する。
次いで、制御部26は、10μmの厚み目標値Vt13に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出して、上記した動作と同様にして、モータ22、塗液供給部23、プレス機構27および紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、スペーサ層S3が形成される。次に、厚み測定装置15がスペーサ層S13の厚みを測定した後に、情報層形成装置13が、スペーサ層S13の表面に情報層L14を形成する。続いて、樹脂層形成装置14が情報層L4の表面にカバー層Cを形成する。具体的には、操作部28を操作して、カバー層Cの厚み基準値Vs14である55μmを厚み目標値Vt14として入力する。これに応じて、制御部26は、スペーサ層S11〜S13(形成したスペーサ層S)における厚み測定値Vm11〜Vm13の合計値と、厚み基準値Vs11〜Vs13の合計値との間に差分値が存在するか否かを判別する。この場合、スペーサ層S13の厚み測定値Vm13が厚み目標値Vt13通りの10μmのときには、厚み測定値Vm11〜Vm13の合計値(この例では、21μm+14μm+10μm=45μm)と厚み基準値Vs11〜Vs13の合計値(この例では、20μm+15μm+10μm=45μm)とが同じ値のため、制御部26は、カバー層Cの厚み基準値Vs14(厚み目標値Vt14)を補正することなくこの処理を終了する。なお、スペーサ層S1〜S3の各厚み測定値Vm11〜Vm13の合計値と各厚み基準値Vs11〜Vs13の合計値とが異なるとき、つまり両者の間に差分値が存在するときには、制御部26は、上記した多層情報記録媒体1におけるカバー層Cを成形した際の処理と同様にして、この差分値を相殺(または減縮)するように厚み基準値Vs14を補正する。
次に、制御部26は、入力された厚み目標値Vt14(この場合、55μm)に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。この場合、例えば、スペーサ層S13の厚み測定値Vm13と厚み目標値Vt13とが異なっていたときには、制御部26に対して上記した形成条件補正処理を実行させるのが好ましい。次いで、制御部26は、読み出した形成条件に従い、モータ22、塗液供給部23および紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、カバー層Cが形成されて多層情報記録媒体2が完成する。
このように、この製造方法および製造装置11によれば、次に形成すべきスペーサ層Sについての厚み基準値Vsと直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値Vmとの差分値Mmが基準差分値Ms未満のときに、厚み条件を満たすように厚み基準値Vsを増減補正して求めた厚み目標値Vtの厚みで次のスペーサ層Sを形成することにより、隣接する各スペーサ層Sにおける各々の厚みの差分値Mmを基準差分値Ms以上とすることができるため、これらの各スペーサ層Sによって互いに分離された3層以上の情報層Lを有し再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体1を製造することができる。
また、この製造方法および製造装置11によれば、次に形成すべきスペーサ層Sについての厚み基準値Vsと直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値Vmとの差分値Mmが基準差分値Ms以上であって、かつ形成したスペーサ層Sにおける厚み測定値Vmの合計値と厚み基準値Vsの合計値との間に差分値が存在するときに、厚み基準値Vsを増減補正して求めた厚み目標値Vtの厚みで次のスペーサ層Sを形成することにより、形成したスペーサ層Sにおける厚みの合計値と厚み基準値Vsの合計値との差分値を次のスペーサ層Sの厚みまたは次以降の各スペーサ層Sの厚みで相殺することができるため、各スペーサ層Sの厚みの合計値を確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、これらの各スペーサ層Sによって互いに分離させた各情報層Lを有し各スペーサ層Sの厚みの合計値を確実に許容範囲内に収めた多層情報記録媒体1を製造することができる。
また、この製造方法および製造装置11によれば、各スペーサ層Sの厚み測定値Vmの合計値と厚み基準値Vsの合計値との差分値でカバー層Cの厚み基準値Vsを増減補正して厚み目標値Vtを求め、その厚み目標値Vtの厚みでカバー層Cを形成することにより、各スペーサ層Sにおける厚み測定値Vmの合計値と厚み基準値Vsの合計値との差分値をカバー層Cの厚みで相殺することができるため、各スペーサ層Sおよびカバー層Cの個々の厚みだけではなく、これらの厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層Sによって互いに分離した3層以上の情報層Lおよびカバー層Cを有し全体の厚みを確実に許容範囲内に収めた多層情報記録媒体1を製造することができる。
また、この製造方法および製造装置11によれば、スピンコート処理において厚みを決定する主要な要素であって厚み目標値Vtに対応付けられた回転数および回転時間を含む形成条件に従って塗液Rをスピンコートしてスペーサ層Sおよびカバー層Cを形成することにより、スペーサ層Sおよびカバー層Cの厚みを正確にコントロールすることができる。
また、この製造方法および製造装置11によれば、直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値Vmと、そのスペーサ層Sの厚み目標値Vtとに基づいて形成条件を補正し、補正した形成条件に従って塗液Rをスピンコートすることにより、例えば、製造中において塗液Rの温度変化などが生じたとしても、予め設定された形成条件を容易に補正することができるため、各スペーサ層Sおよびカバー層Cの厚みの合計値をより確実に許容範囲内に収めることができる。
なお、本発明は、上記の方法および上記の構成に限定されない。例えば、隣接する各スペーサ層Sにおける各々の厚みの差分値Mmを基準差分値Ms(上記の例では、5μm)以上とする厚み条件と、各スペーサ層Sについての各厚み基準値Vsとが規定されている多層情報記録媒体1を製造する例について上記したが、例えば、厚み条件だけが規定されている(厚み基準値Vsが規定されていない)多層情報記録媒体を製造する際においても本発明を適用することができる。この多層情報記録媒体(例えば、4層の情報層、3層のスペーサ層、およびカバー層を備えている多層情報記録媒体)を製造する際には、上記の製造装置11を用いて1層目の情報層および1層目のスペーサ層を形成する。次に、1層目の情報層(本発明における直前に形成したスペーサ層の一例)の厚みを測定して、その厚み測定値に厚み基準値(例えば5μm)を加算または減算して求めた値を2層目のスペーサ層についての厚み目標値とする。次いで、その厚み目標値で2層目のスペーサ層Sを形成する。続いて、2層目のスペーサ層の厚みを測定して、その厚み測定値に厚み基準値を加算または減算して求めた値を3層目のスペーサ層についての厚み目標値とする。次に、3層目の情報層を形成した後に、求めた目標値で3層目のスペーサ層を形成する。次いで、4層目の情報層を形成した後に、カバー層を形成する。これにより、厚み条件を満たす多層情報記録媒体が製造される。この製造方法(製造装置11)においても、直前に形成したスペーサ層の厚み測定値に基づいて厚み条件を満たすようにして求めた目標値の厚みで次のスペーサ層を形成することにより、直前に形成したスペーサ層の厚みと次のスペーサ層の厚みとの差分値を基準差分値以上とすることができるため、これらの各スペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造することができる。
また、例えば、隣接する各スペーサ層における各々の厚み基準値の差分値を5μmに規定し、基準差分値を3μmに規定した多層情報記録媒体、つまり、隣接する各スペーサ層における各々の厚み基準値の差分値と基準差分値とを互いに異なる値に規定した多層情報記録媒体を製造する際にも本発明を適用することができる。この多層情報記録媒体を製造する際においても、上記した多層情報記録媒体1の製造時と同様にして、隣接する各スペーサ層における各々の厚みの差分値を基準差分値以上とすることができるため、これらの各スペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し再生時における層間クロストークに起因するノイズの発生を確実に低減し得る多層情報記録媒体を製造することができる。
また、直前に形成したスペーサ層S(または形成した各スペーサ層S)における厚み測定値Vm(または各厚み測定値Vmの合計値)と厚み基準値Vs(または各厚み基準値Vsの合計値)との間の差分値を次のスペーサ層Sの厚みだけで相殺すべくその厚み目標値Vtを設定する例について上記したが、次以降の複数のスペーサ層Sに振り分けてそれぞれの厚みでこの差分値を相殺または減縮するようにして次のスペーサ層Sの厚み目標値Vtを設定する方法を採用することもできる。具体的には、例えば、スペーサ層S1の厚み測定値Vmが厚み基準値Vsよりも2μmだけ小さかったときには、スペーサ層S2,S3の厚み基準値Vsをそれぞれ1μmずつ増加補正した値をそれぞれの厚み目標値Vtとして設定する。また、次以降の複数のスペーサ層Sとカバー層Cとに振り分けて、それぞれの厚みで上記の差分値を相殺または減縮するようにして次のスペーサ層Sの厚み目標値Vtを設定する方法を採用することもできる。さらに、次のスペーサ層Sの厚み基準値Vsを補正することなくそのまま厚み目標値Vtとして設定し、さらに次以降の複数または単独のスペーサ層S、およびカバー層Cのいずれか一方または両方で上記の差分値を相殺または減縮することもできる。
また、制御部26が厚み目標値補正処理40を実行することによって厚み基準値Vsを補正する例について上記したが、例えば、厚み測定装置15の表示部33に表示された各スペーサ層Sの厚み測定値Vmに基づいてオペレータが厚み基準値Vsを補正し、その補正した値を厚み目標値Vtとして操作部28を用いて入力する方法を採用することもできる。さらに、本発明に係る多層情報記録媒体製造方法は、上記したように4層の情報層Lを備えた多層情報記録媒体1に限定されず、2層以上(複数)のスペーサ層によって互いに分離された3層以上の任意の数の情報層Lを備えた多層情報記録媒体に適用することができる。また、形成した各スペーサ層Sの厚みの合計値を求める際に各スペーサ層S毎に測定した厚み測定値Vmを加算する例について上記したが、合計値の求め方はこれに限定されない。例えば、情報層Lの厚みを無視することができるため、形成した各スペーサ層Sおよび各情報層Lの合計の厚みを一度に測定し、その測定値を各スペーサ層Sの厚みの合計値とすることもできる。
また、形成条件補正処理における形成条件補正方法は上記の方法に限定されず以下の補正方法を採用することもできる。具体的には、直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値Vmに最も近い厚みに対応付けられた形成条件を形成条件テーブルから検索し、その形成条件に含まれている回転数および回転時間と、直前に形成したスペーサ層Sの厚み目標値Vtに対応付けられている形成条件に含まれている回転数および回転時間とのそれぞれの差分値を算出する。続いて、次に形成するスペーサ層Sの厚み目標値Vtに対応付けられた形成条件に含まれている回転数および回転時間に各差分値をそれぞれ加算(または減算)して増減補正し、増減補正した回転数および回転時間を含む形成条件を補正後の新たな形成条件とする。この場合、この補正方法と上記の補正方法とを組み合わせてもよい。また、複数のスペーサ層Sについての厚み目標値Vtと厚み測定値Vmとの各差分値を記録して、これらの全体的な傾向に基づいて上記の形成条件補正処理を実行することもできる。
また、読み出した形成条件に含まれている回転数や回転時間を増減補正する補正方法に限定されない。例えば、直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値Vmに対するそのスペーサ層Sの厚み目標値Vtの割合Pを求め、その割合Pを次のスペーサ層Sの厚み目標値Vtに乗じて得た値に最も近い厚みに対応付けられた形成条件を形成条件テーブルから検索し、その検索した形成条件を補正した形成条件とする方法を採用することもできる。また、スペーサ層Sおよびカバー層Cを形成する際に、紫外線硬化型樹脂を含んだ塗液Rを用いる例について上記したが、紫外線硬化型樹脂に代えて電子線硬化樹脂を含んだ塗液を用いることもできる。この場合、紫外線に代えて電子線を照射して電子線硬化樹脂を硬化させる。また、スピンコートによって展延させた塗液Rに紫外線を照射してやや硬化させた後に、スタンパ29を載置して押圧する方法を採用することもできる。また、基材D1に塗液Rを供給した後に、スタンパ29を載置して、その状態でターンテーブル21を高速回転させる(スピンコートする)ことによって塗液Rを展延させる方法を採用することもできる。また、カバー層Cの形成方法は、スピンコート法に限定されず、例えば、樹脂フィルムを最上層の情報層L(この場合、情報層L4)の表面に貼り合わせる方法を採用することもできる。この場合、樹脂フィルムの厚み調整が困難のため、同じ厚みの樹脂フィルムを用いるときであったとしても、各スペーサ層Sの厚みの合計値を基準値内に収めることで、各スペーサ層Sおよび樹脂フィルムの厚みの合計値を確実に基準値内に収めることができる。
1,2 多層情報記録媒体
11 多層情報記録媒体製造装置
C カバー層
D1 基材
L1〜L4,L11〜L14 情報層
Mm 差分値
Ms 基準差分値
R 塗液
S1〜S3,S11〜S13 スペーサ層
Vm1〜Vm3,Vm11〜Vm13 厚み測定値
Vs1〜Vs4,Vs11〜Vs14 厚み基準値
Vt1〜Vt4,Vt11〜Vt14 厚み目標値
11 多層情報記録媒体製造装置
C カバー層
D1 基材
L1〜L4,L11〜L14 情報層
Mm 差分値
Ms 基準差分値
R 塗液
S1〜S3,S11〜S13 スペーサ層
Vm1〜Vm3,Vm11〜Vm13 厚み測定値
Vs1〜Vs4,Vs11〜Vs14 厚み基準値
Vt1〜Vt4,Vt11〜Vt14 厚み目標値
Claims (10)
- 複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された多層情報記録媒体を製造する際に、
直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記厚みの測定値に基づいて前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚みの目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する多層情報記録媒体製造方法。 - 複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定されかつ隣接する当該各スペーサ層において当該基準差分値だけ互いに異なるように当該各スペーサ層についての各厚み基準値が規定された多層情報記録媒体を製造する際に、
直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記厚みの測定値と当該次のスペーサ層についての前記厚み基準値との差分値を算出し、当該算出した差分値が前記基準差分値未満のときに、前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する多層情報記録媒体製造方法。 - 複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件と当該各スペーサ層についての各厚み基準値とが規定された多層情報記録媒体を製造する際に、
直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記厚みの測定値と当該次のスペーサ層についての前記厚み基準値との差分値を算出し、当該算出した差分値が前記基準差分値未満のときに、前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する多層情報記録媒体製造方法。 - 前記算出した差分値が前記基準差分値以上であって、かつ形成した前記各スペーサ層の厚みの合計値と当該各スペーサ層の前記各厚み基準値の合計値との間に差分値が存在するときに、当該差分値を相殺または減縮するように前記厚み条件を満たす範囲内で前記次のスペーサ層についての厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成する請求項2または3記載の多層情報記録媒体製造方法。
- 前記積層した各情報層および各スペーサ層における最上層の上部にカバー層を形成する際に、
前記形成した各スペーサ層の厚みの合計値を求め、前記カバー層の形成に先立って前記各スペーサ層についての前記厚みの合計値と前記厚み基準値の合計値との差分値で当該カバー層について規定されている厚み基準値を増減補正して目標値を求め、当該目標値の厚みで当該カバー層を形成する請求項2から4のいずれかに記載の多層情報記録媒体製造方法。 - 前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってスペーサ層形成用の塗液をスピンコートして前記次のスペーサ層を形成する請求項1から5のいずれかに記載の多層情報記録媒体製造方法。
- 前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってカバー層形成用の塗液をスピンコートして前記カバー層を形成する請求項5記載の多層情報記録媒体製造方法。
- 同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層の前記厚みと当該スペーサ層についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートする請求項6記載の多層情報記録媒体製造方法。
- 同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層および前記カバー層のいずれか一方の厚みと当該いずれか一方についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートする請求項7記載の多層情報記録媒体製造方法。
- 複数の情報層と複数のスペーサ層とが基材の少なくとも一面に交互に積層されると共に隣接する当該各スペーサ層における各々の厚みの差分値を所定の基準差分値以上とする厚み条件が規定された多層情報記録媒体を製造可能に構成され、
前記スペーサ層を形成するスペーサ層形成部と、前記スペーサ層の厚みを測定する測定部と、次の前記スペーサ層の形成に先立って直前に形成した前記スペーサ層に対して前記測定部によって測定された前記厚みの測定値に基づいて前記厚み条件を満たすように当該次のスペーサ層についての厚みの目標値を求めると共に前記スペーサ層形成部に対して当該目標値の厚みで当該次のスペーサ層を形成させる制御部とを備えている多層情報記録媒体製造装置。
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- 2004-03-30 JP JP2004097730A patent/JP2005285222A/ja not_active Withdrawn
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