JP2004095097A - 光情報記録媒体及び光情報記録媒体の製造方法、並びに光情報記録媒体の製造装置 - Google Patents

光情報記録媒体及び光情報記録媒体の製造方法、並びに光情報記録媒体の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光情報記録媒体において、複数の情報信号層を一定の間隔で積層する。
【解決手段】第1の情報信号層を有するプラスチック基板1に、スピン塗布法等によって均一な厚みの紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線にて硬化させ光透過層6を形成した後、スタンパ7を用いて凹凸形状を有する層を積層形成することにより、基板全面で均一な厚みの光透過層6及び第2の情報信号層13が形成される。また、第2の情報信号層13の表面に記録膜や反射膜を成膜した後に同様に光透過層6の形成や各種膜の形成を繰り返すことにより、多層の情報記録媒体を形成できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の記録や再生が可能な複数の情報信号層を有し、該情報信号層が所定の間隔を隔てて積層されている光情報記録媒体及び光情報記録媒体の製造方法、並びに光情報記録媒体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、安価で大容量な記録媒体として、光ディスクを利用したものが注目されている。光ディスクは、情報信号層に案内溝やピットなどの凹凸パターンを形成して情報を記録するものであるが、特に、この情報信号層が2層以上積層してなる光ディスクは、さらに多量の情報を記録できる記録媒体として注目されている。
【0003】
このような、所定間隔を隔てて多層の情報信号層を有する光情報記録媒体を作製する場合、一般的には、2P(Photo−Polymer)法が用いられる。2P法とは、紫外線照射によって硬化する高分子重合体を、鋳型となるスタンパに塗布して、紫外線を照射した後スタンパを剥離する方法である。
【0004】
すなわち、例えば、2P法により2層の情報信号層を有する光情報記録媒体を作製する場合、図3(a)に示すように、まず、第1情報信号層としてのプラスチック基板21の表面に形成されている案内溝やピットに対して、記録膜又は反射膜(以下、記録反射膜と記載する)22を成膜する。次いで、第2情報信号層を形成するために、第2情報信号層に設けられた案内溝やピットに対応する凹凸が表面に形成されているスタンパ27を用意し、このスタンパ27の凹凸表面に、流動性を有する紫外線硬化樹脂23を滴下し、盛り上げるように塗布する。その後、スタンパ27表面の凹凸と、プラスチック基板21の記録反射膜22とが対向するように、図3(a)中の矢印にて示すように、スタンパ27上にプラスチック基板21を重ね合わせる。これにより、スタンパ27上に滴下された流動性を有する紫外線硬化樹脂23が、スタンパ27とプラスチック基板21との間隙の全面にて広がって、図3(b)に示すように、スタンパ27とプラスチック基板21とが紫外線硬化樹脂23と記録反射膜22とを介して重ね合わさった状態となる。
【0005】
続いて、重ね合わされたスタンパ27とプラスチック基板21とに対して、図3(c)に示すように、プラスチック基板21側から紫外線ランプ24によって紫外線25を照射する。この紫外線25照射により、スタンパ27とプラスチック基板21との間の紫外線硬化樹脂23(図3(c))を硬化させ、図3(d)に示すように、図中の矢印方向に、プラスチック基板21を移動させ、光透過層26からスタンパ27を剥離する。このようにして、第2情報信号層である光透過層26が形成される。
【0006】
その後、スタンパ27が剥離された光透過層26には、スタンパ27表面の凹凸に対応して、案内溝やピットが形成されている。この案内溝やピットに対して、図示しない記録反射膜を成膜し、さらにこの記録反射膜を保護するために、紫外線硬化性樹脂等を用いて図示しない保護層を形成する。これにより、プラスチック基板21と光透過層26とによって、2層の情報信号層が形成された光情報記録媒体が得られる。
【0007】
また、2層より多く積層した多層光情報記録媒体は、第2情報信号層の記録反射膜を成膜後、第2情報信号層の形成と同様の方法で、第3、第4の光透過層および記録反射膜の形成を繰り返すことによって、作製できる。
【0008】
ところで、近年、光情報記録媒体に記録される情報量の増加に伴って、対物レンズの開口数(NA)が増加する傾向にある。そのため、信号クロストークや光学収差の観点から、上記光透過層26の厚さの均一性や、積層された情報信号層の案内溝やピット間の間隔の均一性に対する要求が厳しくなる傾向にあり、光透過層26を均一な厚さにて形成することが望まれている。たとえば、光透過層26の厚さが20μmである場合、その誤差は±1μm以下に抑える必要がある。
【0009】
しかしながら、上記の製造方法では、所望の膜厚で、しかもプラスチック基板21表面の全面に、上記光透過層26を均一な厚さにて形成することは非常に困難である。この理由は、プラスチック基板21やスタンパ27の成型時に生じるこれらの厚さのばらつきや反りに起因する。
【0010】
すなわち、上記プラスチック基板21は、片面にスタンパが取り付けられた円盤状の成型用の金型を用いて、溶融したプラスチック樹脂を高速高圧にて射出・圧縮して冷却固化することによって作製される。このとき、上記金型の精度や、金型に取り付けられたスタンパの厚さのばらつき(以下、厚さ分布と記載する)、金型の温度分布、成型機の圧力制御能力、冷却固化により発生するプラスチック樹脂内での応力等により、作製されたプラスチック基板21に反りが発生したり、プラスチック基板21の厚さにばらつきが生じてしまう。
【0011】
具体的には、金型成型により作製されたプラスチック基板21にて、±5μm程度の厚さ分布や、±30μm〜±50μmの反りの発生を防止することはできない。また、作製されるプラスチック基板21ごとに、±10μm程度の厚さのばらつきも生じる。さらに、スタンパ27の作製時にも、上記プラスチック基板21と同様、厚さ分布や反りが発生する。
【0012】
上記のように、プラスチック基板21やスタンパ27に厚さ分布や反りが生じると、プラスチック基板21の情報面すなわち第1の情報信号層が記録されている面と、スタンパ27の情報面すなわち第2の情報信号層が記録されている面とを平行に保つことができない。それゆえ、プラスチック基板21とスタンパ27との間に挟まれた状態で広げられる紫外線硬化樹脂23の厚さは、不均一となってしまう。その結果、紫外線硬化樹脂23が硬化して得られる光透過層26の厚さも不均一となり、かつ所望の厚みを得ることもできない。
【0013】
そこで、特開平9−115194号公報では、紫外線硬化樹脂中に、所望する中間層の厚さを形成し得るようなスペーサを分散させて、このスペーサによって、プラスチック基板とスタンパとの距離を所望する間隔に保ち、紫外線硬化樹脂を硬化することにより、スペーサの大きさに相当する厚さの光透過層(中間層)を形成している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に均一な大きさのスペーサを形成することは困難であるが、上記公報に記載の製造方法では、均一な大きさのスペーサを形成することができなければ、形成される光透過層の厚さも不均一になるという問題がある。上記したように、近年、光情報記録媒体に記録される情報量の増加に伴い、20μmの厚さの光透過層に許容される厚さの誤差は、±1μm以下となっているが、例えば、直径20μmの球形が誤差範囲±1μm以下の範囲となるように形成することは非常に難しい。従って、上記公報に記載の製造方法では、光透過層を±1μm以下の誤差範囲内にて形成することが困難となる。
【0015】
また、上記公報によって形成された光透過層には、スペーサと硬化後の紫外線硬化樹脂とが含まれる。そのため、スペーサと硬化後の紫外線硬化樹脂とを同じ材質となるように材料を選択しても、それぞれの製造工程の違いから、スペーサの光学的な性質と、硬化後の紫外線硬化樹脂の光学的な性質とは、互いに異なることになる。それゆえ、上記公報に記載の製造方法では、光透過層を光学的に均質にすることができない。その結果、上記光透過層の光学的に均質でない部分において、記録再生信号が劣化することとなる。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の情報信号層間の間隔を均一に保つことにより、記録再生において、各情報信号層間の信号クロストークや光学収差の発生を防止する、複数の情報信号層を有する光情報記録媒体、光情報記録媒体の製造方法、及び光情報記録媒体の製造装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体の製造方法において、第1の情報信号層の凹凸面に光透過層を形成した後に、当該光透過層の表面に第2の情報信号層を形成することを特徴としている。
【0018】
上記の方法は、第1の情報信号層に形成された凹凸面上に所望の厚さの光透過層を形成した後、さらに別の工程として凹凸形状を有する第2の情報信号層を形成するものである。そのため、従来の方法と異なり、光透過層を形成する工程では、凹凸形状を形成する必要がないから、スタンパなどの凹凸転写手段や第1の情報信号層の厚さばらつきや反りに起因して、光透過層の厚さの誤差や不均一が生じることがない。したがって、所望の厚さの、厚さにムラが生じない形状の光透過層を形成することができる。
【0019】
このように、第1の情報信号層の上に、正確な厚さに保たれたすなわち所望の厚さでかつ厚みが均一である光透過層を形成しておけば、その上に凹凸形状を有する第2の情報信号層を形成することで、第1の情報信号層の凹凸面と適切な距離を保った第2の情報信号層の凹凸面を形成できる。つまり複数の情報信号層間の間隔が均一に保たれた光情報記録媒体を製造することが可能となる。複数の情報信号層間の間隔が均一に保たれた光情報記録媒体は、各情報信号層間の信号クロストークや光学収差の発生を防止することができるから、記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御が安定し、記録再生エラーが低減される。
【0020】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、紫外線硬化性樹脂の塗布された凹凸転写手段を上記光透過層の表面に接合させて、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後に、凹凸転写手段を上記光透過層から剥離させることにより、上記第2の情報信号層を形成することを特徴としている。
【0021】
上記方法は、凹凸転写手段により光透過層に第2の情報信号層を積層形成させるものであり、紫外線硬化樹脂を光透過層と凹凸転写手段との間に配してから両者を接合させた状態で紫外線を照射することにより、光透過層の表面に凹凸形状を有する第2の情報信号層を形成することができる。
【0022】
上記第2の情報信号層を形成する方法は一般に2P(Photo−Polymer)法といわれるものであり、この2P法により、少量の紫外線硬化樹脂を用いて第2の情報信号層の案内溝や情報ピットを形成することが可能となる。
【0023】
すなわち、この方法は薄い第2の情報信号層の形成に適した方法であり、第2の情報信号層を薄く形成することにより厚みのムラの発生を抑制し、情報信号層間の距離に影響を与えないので、情報信号層間の距離をより確実に制御することができる。
【0024】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、上記第2の情報信号層は、上記光透過層が硬化した後に形成されることを特徴としている。
【0025】
上記の方法によれば、情報信号層間の距離を制御する光透過層が硬化したあとに、第2の情報信号層を形成するため、第2の情報信号層の積層などの処理により光透過層の厚さが変化することがなく、任意の厚さに塗布された光透過性樹脂がそのまま光透過層となる。そのため、情報信号層間の距離を確実に制御することができる。また、光透過層の上に積層形成される第2の情報信号層も、光透過層が硬化した後に積層されることで、より正確な凹凸形状を形成できる。
【0026】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、上記光透過層は、スピンコート法またはロール法によって、上記第1の情報信号層に光透過樹脂を塗布して形成されることを特徴としている。
【0027】
上記の方法によれば、第1の情報信号層上に、光透過性樹脂からなる光透過層を厚みムラができないように、一様に塗布することができる。上記スピンコート法とは、流動性のある樹脂などを基板上に塗布する方法のひとつで、第1の情報信号層が形成されている基板の中心部分に光透過性樹脂を滴下した後基板を高速回転させることで、遠心力により光透過性樹脂を基板全体に延伸させる方法である。
【0028】
本発明の方法では、スピンコート法において、光透過性樹脂の粘度や基板の回転数を制御することによって、所望する厚さにて、しかも内周から外周にかけてディスク全面で厚みむらのない光透過性樹脂を第1の情報信号層上に塗布することができる。また、上記ロール法では、ロール間隔およびロールと光硬化性樹脂との間隔を制御することによって、所望する厚さにて光透過性樹脂を基板上に塗布することができる。
【0029】
従って、上記の方法を用いることにより、所望する厚さに光透過性樹脂を塗布し硬化させることによって、所望する厚さの光透過層を形成することができる。
【0030】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、上記課題を解決するために、上記光透過層および第2の情報信号層は、紫外線硬化性樹脂により形成されることを特徴としている。
【0031】
上記の方法によれば、光照射によって、紫外線硬化性樹脂を硬化させて、光透過層および情報信号層を容易に形成することができる。さらに、基板上の第1の情報信号層の上に任意の厚さにて紫外線硬化性樹脂の層を形成し、該紫外線硬化性樹脂に対して光照射を行うことにより、任意の厚さの光透過層を形成することができる。つまり、基板上に塗布する紫外線硬化性樹脂の厚さを制御すれば、情報信号層の間の光透過層の厚さを制御することができる。また、情報信号層は、上記した2P法などを用いて容易に形成することができる。従って、所望する距離だけ離れた複数の情報信号層を備える情報記録媒体を容易に作製することができる。
【0032】
本発明の情報記録媒体は、上記課題を解決するために、光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体において、上記複数の情報信号層うち、上記光透過層の表面に形成されている第2の情報信号層の厚みが5μm以下であることを特徴としている。
【0033】
このように、第2の情報信号層の厚さを上記の範囲内とすることにより、その厚みにムラが生じにくくなり、厚さの制御が容易であるため、光透過層により規定された情報信号層の凹凸面間の距離に影響を与えることなく第2の情報信号層を形成できる。一方、第2の情報信号層の厚さが5μmより大きいと、凹凸形状を転写する工程などで、厚みのムラが生じやすくなり、また任意の厚さに定めるのが難しくなるので、情報信号層の凹凸面間の距離が一定でなくなる可能性がある。
【0034】
したがって、第2の情報信号層の厚さを上記の範囲内とすることにより、情報信号層間の距離の増加や、情報信号層間の距離が不均一になることが防止できる。このため、複数の情報信号層間を所望の均一な距離とすることができる。
【0035】
本発明の情報記録媒体は、上記課題を解決するために、上記光透過層と上記第2の情報信号層とは、同一の材料または、光学的特性が略同一である材料により形成されていることを特徴としている。
【0036】
上記の構成によれば、光透過層および第2の情報信号層は光学的に均質となり、光情報記録媒体の記録再生時に、記録再生信号の劣化を引き起こすことなく良好な記録再生を行うことができる。上記光透過層に使用される材料と、情報信号層に使用される材料との、屈折率など光学的特性が異なる場合、光が乱反射を起こし、情報の記録、再生に不具合が生じるおそれがあるが、両者の光学的特性を略同一とすることにより、このような不具合の発生を防止することができる。
【0037】
また、光学的特性を略同一とするためには、例えば、同一の材料に同様の処理を施すこととすればよい、なお、本発明において上記「光学的特性」とは屈折率や透過率などのことをいう。また、「光学的特性が略同一」とは、光学的特性が比較対象のものの90%〜110%の範囲内であることをいう。
【0038】
本発明の情報記録媒体は、上記課題を解決するために、光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体において、上記複数の情報信号層はそれぞれに案内溝または情報ピットを備えており、光透過層を隔てて隣接する情報信号層に形成されている案内溝間または情報ピット間の距離が、その平均値の90%〜110%の範囲内であることを特徴としている。
【0039】
上記の光情報記録媒体の製造方法により、上記情報記録媒体を製造することが可能となる。すなわち、上記した製造方法により、複数の情報信号層間の距離が均一な情報記録媒体を製造することができるから、各情報信号層の案内溝間の距離も均一なものとなる。これにより、各情報信号層間の信号クロストークや光学収差の発生を防止することができるから、記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御が安定し、記録再生エラーが低減されることとなる。
【0040】
本発明の光情報記録媒体の製造装置は、上記課題を解決するために、第1の情報信号層および光透過層が形成されている基板を保持するための基板保持手段と、光透過層に凹凸形状を転写する凹凸転写手段を保持するための転写手段保持手段とを備えており、光透過層と凹凸転写手段とを接合することにより、光透過性樹脂を延伸して第2の情報信号層を形成する、光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体の製造装置であって、基板保持手段および/または転写手段保持手段は、光透過層と凹凸転写手段との接合により生じる力を吸収するための柔軟性のある弾性体を有するものであることを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、上記第1の情報信号層を保持する基板保持手段に弾性体が設けられている。そのため、第1の情報信号層の厚さにばらつきや、反りがあったとしても、凹凸転写手段を押圧して第2の情報信号層を形成する際に、弾性体が弾性変形することができるので、凹凸転写手段は全面を均一な圧力にて押圧することができる。それゆえ、適切な凹凸形状が転写された第2情報信号層を形成することができる。
【0042】
また、上記弾性体は、基板または凹凸転写手段の中央部分に対応する領域での厚さが、該領域の周囲での厚さよりも厚くなるように形成されていることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、上記凹凸転写手段により第2の情報信号層を形成する際に、第1の情報信号層または凹凸転写手段の中央部分に対応する領域の弾性体の厚さが大きくなっているので、凹凸転写手段と第1の情報信号層との間に空気が閉じ込められることを防止することができる。これにより、凹凸転写手段が光透過層に、凹凸形状を有する第2の情報信号層を形成する際の転写不良を低減することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる一実施の形態について、図1および図2に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0045】
以下に、本実施の形態に係る光ディスク(光情報記録媒体)の構造について説明する。
【0046】
本実施の形態に係る光情報記録媒体は、中央部に中心孔を有する円盤状の形状であり、情報信号を記録または再生するものである。光情報記録媒体は、断面は層状の構造をしており、その層状構造は、情報信号に対応した微細な凹凸パターンを有する第1の情報記録層が一方の面に形成されたプラスチック基板(基板・第1の情報信号層)1、プラスチック基板1上の凹凸パターンを覆う反射膜および/または記録膜(以下反射記録膜と称する)2、光透過層6、プラスチック基板1とは反対側の面に凹凸パターンを有する第2情報信号層13、第2情報信号層13を覆う反射膜および/または記録膜(以下反射記録膜と称する)、保護層がこの順に積層してなる。
【0047】
上記の凹凸パターンは、情報信号がピットやグルーブとして記録されたものであり、第1の情報信号層および第2の情報信号層13に情報が記録されている。
【0048】
次に、本実施の形態に係る多層情報記録媒体の作製方法を図1を用いて説明する。なお、本実施の形態で使用するプラスチック基板1の成形方法や、各種膜の成膜方法、後述のスタンパの製造方法等は、一般的な光ディスク関連の書籍や文献に多数掲載されている従来公知の方法にて作製することが可能であるため、本実施の形態では、これらの詳細な説明は省略する。
【0049】
まず、案内溝15や情報ピットなどの凹凸パターンを有するプラスチック基板1に、反射記録膜2をスパッタリング法または真空蒸着法で成膜する。なお、第1の情報信号層とは、プラスチック基板1に含まれる凹凸パターンの層のことを言う。
【0050】
次に、プラスチック基板1上に光透過性樹脂である紫外線硬化樹脂3aを塗布するために、凹凸面側を上向きにしてプラスチック基板1を、スピンドルヘッド部(図示せず)に載せ、真空吸着させる。以下で使われる「紫外線硬化樹脂」とは、硬化しておらず、流動性を有するものとする。60rpm程度の低速でスピンドルヘッド部を回転させ、図1(a)の矢印にて示すようにプラスチック基板1を面内方向にて回転させる。プラスチック基板1を回転させながら、流動性を有する紫外線硬化樹脂の入った図示しないタンクからノズルを通して、プラスチック基板1上の内周付近に盛り上るように紫外線硬化樹脂3aを滴下する(図1(a))。
【0051】
そして、上記スピンドルヘッド部を高速回転させて、プラスチック基板1上に滴下された流動性を有する紫外線硬化樹脂3aを回転延伸する。これにより、プラスチック基板1の内周方向から外周方向に向けて紫外線硬化樹脂3aが延伸され、その表面全体に広げられて図1(b)に示すように、プラスチック基板1上に一様に紫外線硬化樹脂3aが塗布される。また、上記スピンドルヘッド部の高速回転によって生じる遠心力により、余剰の紫外線硬化樹脂はプラスチック基板1上から払い落とされて除去される。
【0052】
これにより、図1(b)に示すように、プラスチック基板1の案内溝15の底部から、紫外線硬化樹脂3a表面までの距離αが、一定となるように、紫外線硬化樹脂3aが塗布される。言い換えれば、プラスチック基板1表面上には、該プラスチック基板1上の案内溝15やピットに相当する凹凸に関係なく、塗布された紫外線硬化樹脂3aの表面が平坦となるように、紫外線硬化樹脂3aが一様に塗布されている。
【0053】
次に、プラスチック基板1上の紫外線硬化樹脂3aに対して、図1(c)に示すように、紫外線ランプ4から紫外線5を照射し、紫外線硬化樹脂3aを硬化させて、光透過層6を形成する。これにより、プラスチック基板1上の案内溝15の底部から、光透過層6表面までの距離βが一定である光透過層6が形成される。なお、この距離βは、上記α(図1(b))と実質的に同じである。
【0054】
このように、スピンコート法を利用して、プラスチック基板1上に紫外線硬化樹脂3aを塗布する場合、用いる紫外線硬化樹脂3aの粘度や、スピンドルヘッド部の回転数を調整すれば、所望の厚さにて、プラスチック基板1全面に対して一様に、紫外線硬化樹脂3aの層を形成することができる。また、塗布された紫外線硬化樹脂3aを紫外線照射によって硬化させることにより、プラスチック基板1上の案内溝15の底部から、光透過層6表面までの距離βを所望する厚さにて形成することができる。さらに、プラスチック基板1上にて、一定の距離βを有する光透過層6を形成することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、スピンコート法を用いて、紫外線硬化樹脂3aを塗布しているが、これに限られるものではなく、すなわち、プラスチック基板1上に一様に紫外線硬化樹脂3aを塗布できる従来公知の手法を用いればよい。例えば、ロール法を用いて、ロール間隔やロールと試料との間隔を制御することにより、所望する厚さにて、プラスチック基板1上に紫外線硬化樹脂を塗布してもよい。
【0056】
また、本実施の形態では、光透過層6の材料として紫外線硬化樹脂を用いているが、熱硬化性樹脂等プラスチック基板1上に一様な厚さで、透明な層を形成するものであれば、特に限定されるものではない。
【0057】
次に、光透過層6上に案内溝16やピットを有する第2情報信号層を形成するために、上記案内溝16やピットに対応する凹凸を片側の表面に有するスタンパ(凹凸転写手段)7を用いた。スタンパ7の凹凸部分が上に向くように、後述の製造装置の平滑に研磨された金属性のスタンパ固定板(凹凸転写手段保持手段)9に固定し、図1(d)のように、スタンパ7の凹凸パターン表面に図示されない光透過性樹脂タンクから少量の紫外線硬化樹脂3bを滴下した。紫外線硬化樹脂3bの滴下は、円盤状のスタンパ7の中心付近に滴下するか、またはプラスチック基板1の中心と外縁とを結ぶ線の真ん中付近で円周上に4〜8点滴下するのが好ましい。滴下する紫外線硬化樹脂量は、多すぎるとプラスチック基板1の外側部分にはみ出してしまい、後にその除去が必要となるので、プラスチック基板1の全面に広がる程度でよい。
【0058】
そして、図1(d)に示すように、上記装置のスタンパ固定板9に固定されたスタンパ7に重ね合わせるように、その上部のプラスチック基板保持台(基板保持手段)11に反射記録膜および光透過層6が積層されたプラスチック基板1を、光透過層6を下に向けて固定し、図1(d)の矢印のように、プラスチック基板1をスタンパ固定板9に固定したスタンパ7に近づけ、紫外線硬化樹脂3bがプラスチック基板1とスタンパ7の間に徐々に広がるように5〜15秒かけて、ゆっくりとプラスチック基板1をスタンパ7に押し当てる。これにより、スタンパ7上の紫外線硬化樹脂3bは、均一に延伸されると共に、光透過層6を介してプラスチック基板1に密着する。なお、紫外線樹脂3bに気泡が残らないように、事前に紫外線樹脂を脱泡したり、押し当て速度を調整する必要がある。
【0059】
この後、図1(e)のように、プラスチック基板1側から紫外線ランプにより紫外線を照射し、スタンパ7上の紫外線硬化樹脂3bを硬化させることで、第2の情報信号層13を形成すると共に光透過層6と接着させる。硬化後、プラスチック基板1をスタンパ7から引き剥すことにより、プラスチック基板1上に、スタンパ7により案内溝16や情報ピットのレプリカが転写された第2情報信号層13が形成される。これにより、情報信号層を2層有する光情報記録媒体が形成された。このとき、第2の情報信号層13の厚みγは、厚み増加や面内での厚み分布の発生を抑えるために出来るだけ薄い方がよく、5μm以下が好ましい。
【0060】
続いて、上記第2の情報信号層13に形成された案内溝16やピットに対して、図示しない反射記録膜を成膜する。その後、該反射記録膜を保護するために、紫外線硬化樹脂等の紫外線硬化性樹脂をスピンコート法等によって塗布して、光照射によって硬化させる、または薄膜を貼り付けることにより、保護層を形成する。
【0061】
なお、ここでは、光透過層6の厚み(図1(c)中のβ)と第2の情報信号層13の厚み(図1(e)中のγ)との合計が案内溝15と案内溝16との距離を表すものとしたが、第2情報信号層13に形成される案内溝16の深さは、通常の光ディスクの場合25〜150nm程度と大変浅いため、案内溝15・16の深さは、実質的には第2の情報信号層13の厚みに影響するものではない。
【0062】
以上のような製造方法による光情報記録媒体は、凹凸パターンを有するプラスチック基板1に、紫外線樹脂を硬化させた光透過層6を積層形成した後に、第2の情報信号層13を形成している。すなわち、情報信号層の間の距離を規定する光透過層6を形成する工程と、第2の情報信号層13を形成する工程を分離することができる。これにより、光透過層6形成時には、スピン塗布法などの膜の厚さや均一性を制御しやすい塗布法が採用でき、膜厚を正確に制御した、所望の厚さでかつ均一な厚さの光透過層6を形成することができる。
【0063】
また、第2の情報信号層13を形成する工程では、情報信号層の凹凸面間の距離を制御するために特定の厚さの膜厚とする必要がないので、第2の情報信号層13をできるだけ薄くして、膜厚のムラのない層を形成すれば良い。これにより、プラスチック基板1の情報信号層と第2の情報信号層13の両者に設けられた案内溝やピットが均一な間隔に配置された光情報記録媒体を作製することができる。
【0064】
また、光透過層6と第2の情報信号層13とで同等の光学特性を有していれば、光透過層6および第2情報信号層13の光透過性が均質となり、プラスチック基板1の情報信号層に入射する光は、いずれの領域においても均一となっている。従って、情報の記録再生のためのレーザー光のフォーカス制御が安定し、記録再生時のエラーが低減された光情報記録媒体を提供することができる。
【0065】
ところで、本実施の形態では、上記したように、第2の情報信号層13に案内溝16やピットを形成するために、スタンパ7や、スタンパ固定板(転写手段保持手段)9、基板保持台(基板保持手段)11等を用いている。これらは、本実施の形態の光情報記録媒体を製造するための図2の製造装置に備えられている。
【0066】
以下に、図2の製造装置を用いた上記光情報記録媒体の製造方法を説明する。図2に示すように、本発明の光情報記録媒体の製造装置は、スタンパ7を載置して固定するスタンパ固定板9、および、スタンパ7と対向するようにプラスチック基板1を上方から保持する基板保持台11を有している。プラスチック基板供給装置20は、プラスチック基板1を基板保持台11に設置するものであり、この後スタンパ7をスタンパ固定板9に固定すると、プラスチック基板1とスタンパ7とを対向させて保持することができる。
【0067】
紫外線硬化樹脂供給装置19は、紫外線硬化樹脂をその内部のタンク内に保持し、モーター17で60rpm程度の低速で回転させたスタンパ7表面に紫外線硬化樹脂を供給する。この後、油圧シリンダ18によって、基板保持台11をスタンパ7に向かって移動させることで、プラスチック基板1とスタンパ7とは接合され、スタンパ7表面の紫外線硬化樹脂が、プラスチック基板1とスタンパ7との間に均一に延伸され層状になる。そして、上記紫外線硬化樹脂の層を、紫外線ランプ4により紫外線を照射して硬化した後、プラスチック基板1をスタンパ7から引き剥がすと、プラスチック基板1上にスタンパ7の凹凸が転写された紫外線硬化樹脂の層を形成することができ、上記製造方法による光情報記録媒体を製造できる。
【0068】
なお、上記製造装置に備えられているスタンパ7は、電鋳時の電流分布や、凹凸を有していない側のスタンパ固定板9に固定される面の研磨条件を最適化することによって、厚さのばらつきや反りを最小限に留めることが好ましい。これにより、スタンパ7の凹凸パターンが正確に転写された、均一な厚さの第2の情報信号層13を有する光情報記録媒体を製造できる。
【0069】
また、案内溝15やピットを有するプラスチック基板1を金型成型する際に、案内溝15やピットを形成するために用いるスタンパのトラック中心と、上記プラスチック基板1の中心とを精度よく合致させておく。そして、上記製造装置にて、プラスチック基板1上の光透過層6上に第2の情報信号層13を形成する際に、上記プラスチック基板1の中心と、上記製造装置に備えられている上記基板保持台11の中心とが合致するように、基板保持台上にプラスチック基板1を配置する。その後、基板保持台11の中心と上記スタンパ7のトラック中心とが合致するように、上記第2の情報記録層13を形成する。これにより、上記プラスチック基板1の案内溝15やピットと、第2の情報記録層13の案内溝16やピットの中心とを精度よく合致させることができ、両者の案内溝やピットの間隔を均一にすることができる。
【0070】
また、本実施の形態の光情報記録媒体が、中央部分に中心孔を有する場合には、プラスチック基板1を金型成型する際の中心孔打抜きパンチと、この金型に用いるスタンパのトラック中心とを精度よく合致させるとよい。さらに、上記製造装置の上記基板保持台11に、プラスチック基板1の中心孔が嵌め込まれる中心ピンを設け、該中心ピンと上記スタンパ7のトラック中心とを合致させる。これにより、上記製造装置を用いて第2の情報信号層13に案内溝16やピットを形成する際に、プラスチック基板1の中心と、第2の情報信号層13の中心とを容易に合致させることが可能になる。その結果、上記プラスチック基板1の案内溝15やピットと、第2の情報信号層13の案内溝16やピットの中心とを精度よく合致させることができる。
【0071】
また、上記スタンパ固定台9のスタンパ7を載置する側の表面に、硬質ゴムやシリコンゴムのような弾性体8を設けてもよい。あるいは基板保持台10の基板1が接する側の表面に弾性体10を設けていてもよい。弾性体8、10は、スタンパ7、あるいは基板1の表面積に相当する大きさにて形成することが好ましい。これにより、プラスチック基板1やスタンパ7の製造誤差等によりその厚さにばらつきがあったとしても、スタンパ7によって加圧された際に上記弾性体8、10が弾性変形することができるので、上記プラスチック基板1の光透過層6に対して、均一な加圧力にてスタンパ7を押圧することができる。その結果、プラスチック基板1の第1の情報信号層と第2の情報信号層13との案内溝16やピットとの間隔が均一となる光情報記録媒体を形成することができる。
【0072】
さらに、上記スタンパ固定台7および基板保持台10に設けられた弾性体8・10は、スタンパ7またはプラスチック基板1の中央部が載置される領域ほど厚さが大きくなるように設けてもよい。すなわち、上記中央部がその周囲の厚さより1mm〜2mm程度厚くしてもよい。これにより、スタンパ7がプラスチック基板1を押圧した際に、スタンパ7とプラスチック基板1との間に空気が閉じ込められることを防止することができる。これにより、スタンパ7の凹凸が第2の情報信号層13に転写される際の転写不良を低減することができる。
【0073】
本実施の形態に係る光ディスクにおいて、プラスチック基板1としては、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレートなどのプラスチック基板を用いることが好ましく、ガラス基板、セラミック基板、シリコンウエハー基板などを用いることも可能である。
【0074】
また、プラスチック基板上に形成する反射膜、記録膜としても様々な材料を用いることができる。再生専用光ディスクの場合は、プラスチック基板上にAl,Au,Pt,Cu等の反射膜を形成することが好ましい。書き換え型の光ディスクは、プラスチック基板に上記したような反射膜と、相変化材料からなるもしくは光磁気材料からなる記録膜とを積層して形成される。このとき、相変化光ディスクの場合は記録膜としてGeSbTeを、光磁気ディスクの場合には記録層としてTbFeCoを使用することが好ましい。また、追記型光ディスクの場合、上記したような反射膜と、シアニン系またはフタロシアニン系の有機色素膜記録膜とを形成することが好ましい。
【0075】
さらに、本実施の形態では、プラスチック基板1に形成される第1の情報信号層と、光透過層および第2の情報信号層との2層の情報信号層が積層されてなる光情報記録媒体を例に挙げて説明したが、2層以上の情報信号層が積層されてなる光情報記録媒体も同様の製造方法にて製造することができる。すなわち、上記反射記録膜を成膜後、上記と同様の手法にて、情報信号層及び記録反射膜の形成を繰り返せば、2層以上の情報信号層を有する光情報記録媒体を作製することができる。
【0076】
なお、本発明は、以下の多層情報記録媒体、その製造方法、およびその製造装置として構成することもできる。
【0077】
複数の情報層が、透明な中間層により、一定の間隔を隔てて形成されている多層情報記録媒体において、所望の厚みの透明中間層を形成した後に、2P法により、他の情報層の情報ピットや案内溝を形成することを特徴とする第1の多層情報記録媒体および製造方法。
【0078】
上記第1の多層情報記録媒体および製造方法において、透明中間層は、2P法の実施に先立って、既に硬化されていることを特徴とする多層情報記録媒体および製造方法。
【0079】
上記第1の多層情報記録媒体および製造方法において、透明中間層は紫外線硬化樹脂であり、スピン方式またはロール方式で塗布された後、紫外線にて硬化されていることを特徴とする多層情報記録媒体および製造方法。
【0080】
上記第1の多層情報記録媒体において、透明中間層に使用される樹脂と、2P法に使用される樹脂が、同一の材質または光学的に略同一の特性の材質であることを特徴とする多層情報記録媒体。
【0081】
上記第1の多層情報記録媒体において、2P用樹脂の厚みが、5μm以下であることを特徴とする多層情報記録媒体。
【0082】
ディスク基板またはスタンパは、柔軟性のある材質によって保持されることを特徴とする第2の多層情報記録媒体の製造方法および製造装置。
【0083】
上記第2の多層情報記録媒体の製造装置において、柔軟性のある材質の厚みは、外周部よりも内周部の方が厚いことを特徴とする多層情報記録媒体の製造装置。
【0084】
【実施例】
案内溝やピット表面に反射膜や記録膜を成膜したプラスチック基板を、スピンドルヘッド部に載置して、約60rpmの回転数にて回転させながら、粘度160cpsのアクリル系の紫外線硬化樹脂(製品名ダイキュア、大日本インキ化学工業社製)をプラスチック基板上に滴下した。次いで、スピンドルヘッド部を3000rpmにて10秒間回転し、紫外線硬化樹脂を回転延伸してプラスチック基板上に塗布した。その後、プラスチック基板に塗布された紫外線硬化樹脂に対して、紫外線を800mJ/cmにて照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させた。これにより、プラスチック基板の案内溝15底部から表面までの膜厚(図1(c)の距離βに相当)が19.1±0.4μmの光透過層を形成することができた。
【0085】
続いて、表面に凹凸を有するスタンパの凹凸部分に紫外線硬化樹脂を滴下し、上記樹脂が硬化してなる光透過層に対して、加圧力500kgにて10〜15秒間ゆっくりと加圧を行い、基板表面全体に紫外製硬化樹脂が広がった後に、再度紫外線を800mJ/cmにて照射し、硬化させた。その後プラスチック基板とスタンパを剥すことにより、上記プラスチック基板上には、スタンパの凹凸形状に合わせて、案内溝やピットを有する第2の情報信号層を積層形成することができた。プラスチック基板の案内溝やピットと、第2の情報信号層の案内溝やピットとの間の距離(図1(e)の距離β+γに相当)は、19.6±0.8μmであった。光透過層の第2の情報信号層に記録膜や反射膜を成膜し、さらにその膜の耐湿度、耐傷保護の目的で、約5μm厚の紫外線硬化樹脂の保護層を形成することにより、2層ディスクを作製した。これにより、2層の情報信号層の間隔が均一で、所望の厚みをした光透過層を持った2層ディスクを作製することができる。
【0086】
あるいは約5μm厚の保護層の代わりに、約100μm厚の紫外線硬化樹脂膜の形成、またはプラスチックシートを貼り付けることも可能である。
【0087】
上記のように、本発明の光情報記録媒体の製造方法を用いることによって、プラスチック基板表面の情報信号層の案内溝やピットと、その上に積層されている情報信号層の案内溝やピットとの間の距離が、誤差範囲±1μm以内にて均一である光情報記録媒体を提供することができる。
【0088】
【発明の効果】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、以上のように、光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体の製造方法において、第1の情報信号層の凹凸面に光透過層を形成した後に、当該光透過層の表面に第2の情報信号層を形成する方法である。
【0089】
それゆえ、上記光透過層は、所望の厚さで一定の厚さに保つ方法で形成でき、複数の情報信号層の凹凸面が均一な間隔にて積層された光情報記録媒体を提供することができるという効果を奏する。これにより、特に入射面側より遠い情報信号層の凹凸面において、記録再生のためのレーザー光フォーカス制御が安定し、記録再生エラーが減少するため、情報信号層の多層化による情報記録媒体の記録容量の増大が可能となるという効果を奏する。
【0090】
本発明の光情報記録媒体の製造方法は、以上のように、紫外線硬化性樹脂の塗布された凹凸転写手段を上記光透過層の表面に接合させて、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後に、凹凸転写手段を上記光透過層から剥離させることにより、上記第2の情報信号層を形成する方法である。
【0091】
それゆえ、第2の情報信号層の凹凸パターンの形成と、光透過層への第2の情報信号層の積層が同時に行うことができ、効率的に光情報記録媒体を作製できるという効果を奏する。また、薄い第2の情報信号層を形成することができるので、情報信号層の凹凸面間の距離を一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)は、本発明による多層の光情報記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【図2】本発明の1実施形態である光情報記録媒体の製造装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】(a)〜(d)は、従来の光情報記録媒体の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1  プラスチック基板(基板・第1の情報信号層)
2  反射膜および/または記録膜
3a、3b 紫外線硬化樹脂
4  紫外線ランプ
5  紫外線
6  光透過層
7  スタンパ(凹凸転写手段)
8、10 弾性体
9  スタンパ固定台(転写手段保持手段)
11 基板保持台(基板保持手段)
13 第2の情報信号層
15、16 案内溝
17 モーター
18 油圧シリンダ
19 紫外線硬化樹脂供給装置
20 プラスチック基板供給装置

Claims (10)

  1. 光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体の製造方法において、
    第1の情報信号層の凹凸面に光透過層を形成した後に、当該光透過層の表面に第2の情報信号層を形成することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  2. 紫外線硬化性樹脂の塗布された凹凸転写手段を上記光透過層の表面に接合させて、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後に、凹凸転写手段を上記光透過層から剥離させることにより、上記第2の情報信号層を形成することを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  3. 上記第2の情報信号層は、上記光透過層が硬化した後に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  4. 上記光透過層は、スピンコート法またはロール法によって、上記第1の情報信号層に光透過樹脂を塗布して形成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  5. 上記光透過層および第2の情報信号層は、紫外線硬化性樹脂により形成されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  6. 光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体において、
    上記複数の情報信号層うち、上記光透過層の表面に形成されている第2の情報信号層の厚みが5μm以下であることを特徴とする光情報記録媒体。
  7. 上記光透過層と上記第2の情報信号層とは、同一の材料または、光学的特性が略同一である材料により形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光情報記録媒体。
  8. 光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体において、
    上記複数の情報信号層はそれぞれに案内溝または情報ピットを備えており、光透過層を隔てて隣接する情報信号層に形成されている案内溝間または情報ピット間の距離が、その平均値の90%〜110%の範囲内であることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. 第1の情報信号層および光透過層が形成されている基板を保持するための基板保持手段と、光透過層に凹凸形状を転写する凹凸転写手段を保持するための転写手段保持手段とを備えており、光透過層と凹凸転写手段とを接合することにより、光透過性樹脂を延伸して第2の情報信号層を形成する、光透過層を隔てて複数の情報信号層が形成されている光情報記録媒体の製造装置であって、
    基板保持手段および/または転写手段保持手段は、光透過層と凹凸転写手段との接合により生じる力を吸収するための柔軟性のある弾性体を有することを特徴とする光情報記録媒体の製造装置。
  10. 上記弾性体は、基板または凹凸転写手段の中央部分に対応する領域での厚さが、該領域の周囲での厚さよりも厚くなるように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の光情報記録媒体の製造装置。
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