JP2005149661A - 多層光記録媒体製造方法、多層光記録媒体製造装置および多層光記録媒体 - Google Patents

多層光記録媒体製造方法、多層光記録媒体製造装置および多層光記録媒体 Download PDF

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康児 三島
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壮 小巻
Shigeru Yamatsu
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Abstract

【課題】複数のスペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシング可能な多層光記録媒体を製造し得る多層光記録媒体製造方法を提供する。
【解決手段】情報層L1〜L4とスペーサ層S1〜S3とを基材D1の一面に交互に形成して多層光記録媒体1を製造する際に、各スペーサ層を形成した後に形成済みの各スペーサ層の厚みの合計値を求め、次のスペーサ層の形成に先立って厚みの合計値と形成済みの各スペーサ層について規定された厚み基準値の合計値との差分値で次のスペーサ層ついて規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、次のスペーサ層を目標値の厚みで形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって各層をそれぞれ複数積層して多層光記録媒体を製造する多層光記録媒体製造方法、多層光記録媒体製造装置およびその多層光記録媒体に関するものである。
この種の多層光記録媒体製造方法として、出願人は、特開2003−22586号公報において、情報記録層(情報層)と透明中間層(スペーサ層)とをディスク状基板(以下、「基板」ともいう)上に交互に形成して、少なくとも2層の情報記録層(情報層)を積層した光記録媒体(多層光記録媒体)の製造方法を開示している。この製造方法(同公報において開示された第1の態様)では、まず、表面にグルーブパターンを形成した基板を射出成形によって作製する。次に、基板におけるグルーブパターンの形成面に、反射層、誘電体層、相変化型記録層および誘電体層をスパッタ法によってこの順序で積層して第1の情報記録層を形成する。次いで、所定の形成条件に従って透明中間層を形成する。具体的には、第1の情報記録層を形成した基板を回転装置の回転テーブル上に載置して、基板の中心孔に閉塞手段を嵌め込む。次に、回転テーブルを低速で回転させながら所定量の紫外線硬化型樹脂を閉塞手段の中心部に供給(吐出)する。次いで、形成条件で規定された回転数で回転テーブルを所定時間だけ高速回転させる。この際に、基板が回転テーブルと共に高速回転させられることにより、紫外線硬化型樹脂が基準の厚み(または基準の厚みに対して設定された許容範囲内の厚み)に展延される。
次いで、表面にグルーブパターンが形成されたスタンパを展延した紫外線硬化型樹脂の上に載置して、所定の圧力で加圧(プレス)する。続いて、加圧を解除した後に、スタンパを透して紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する。これにより、紫外線硬化型樹脂が硬化して透明中間層が形成される。次に、透明中間層からスタンパを剥離する。次いで、透明中間層の表面に、第2の情報記録層をスパッタ法によって形成する。これにより、第1の情報記録層、透明中間層および第2の情報記録層がディスク状基板に形成された多層光記録媒体が完成する。この製造方法では、所定の形成条件に従って透明中間層を形成することで、透明中間層の厚みを基準値に対して設定された許容範囲内に収めることが可能になっている。したがって、第1および第2の情報記録層に対して記録再生用のレーザービームを正確にフォーカシングして照射することが可能なため、記録データの記録再生時におけるエラー発生のない良好な多層光記録媒体を製造することが可能になっている。
特開2003−22586号公報(第12−13頁)
ところが、出願人が開示している従来の製造方法には、以下の改善すべき課題がある。すなわち、この製造方法では、透明中間層(スペーサ層)の厚みを許容範囲内に収めることが可能なものの、さらなる大容量化を実現するために、3層以上の情報層を形成して多層光記録媒体を製造する際には、やや不都合がある。具体的には、記録再生用のレーザービームを3層以上の各情報層に正確にフォーカシングするためには、各情報層間の各スペーサ層における個々の厚みを所定の許容範囲内に収めるだけではなく、各スペーサ層の厚みの合計値も所定の許容範囲内に収める必要がある。この場合、複数のスペーサ層をそれぞれ許容範囲内の厚みに形成したとしても、例えば、それらが全て許容範囲の上限ぎりぎりのときには、各厚みの合計値が、その許容範囲を上回るおそれがある。したがって、スペーサ層で分離された3層以上の情報層を有する多層光記録媒体をこの製造方法によって製造した際には、各スペーサ層における個々の厚みが全て許容範囲内であったとしても、記録データの記録時や再生時において記録再生用のレーザービームのフォーカシングがやや困難となるおそれがある。また、スペーサ層で分離された3層以上の情報層をこの製造方法によって形成し、さらにその上部にカバー層(保護層)を形成した際にも、上記の理由と同様の理由から、各スペーサ層およびカバー層における個々の厚みが全て許容範囲内であったとしても、記録再生用のレーザービームのフォーカシングがやや困難となるおそれがある。
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、複数のスペーサ層によって互いに分離された3層以上の情報層を有し記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシング可能な多層光記録媒体を製造し得る多層光記録媒体製造方法、多層光記録媒体製造装置およびその多層光記録媒体を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係る多層光記録媒体製造方法は、情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層して多層光記録媒体を製造する際に、前記各スペーサ層を形成した後に形成済みの前記各スペーサ層の厚みの合計値を求め、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記合計値と前記形成済みの各スペーサ層についてそれぞれ規定された厚み基準値の合計値との差分値で当該次のスペーサ層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、前記次のスペーサ層を前記目標値の厚みで形成する。なお、本発明における情報層には、記録可能型の記録層や記録ができないROM型の記録層などの各種情報層が含まれる。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法は、情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層して多層光記録媒体を製造する際に、直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、次の前記スペーサ層の形成に先立って前記測定した測定値と前記直前に形成したスペーサ層について規定された厚み基準値との差分値で当該次のスペーサ層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、前記次のスペーサ層を前記目標値の厚みで形成する。
この場合、前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってスペーサ層形成用の塗液をスピンコートして前記次のスペーサ層を形成するのが好ましい。
また、同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層の前記厚みと当該スペーサ層についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートするのが好ましい。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法は、情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層し、その最上層の上部にカバー層を形成して多層光記録媒体を製造する際に、前記各スペーサ層を形成した後に形成済みの前記各スペーサ層の厚みの合計値を求め、前記カバー層の形成に先立って前記合計値と前記形成済みの各スペーサ層についてそれぞれ規定された厚み基準値の合計値との差分値で当該カバー層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、前記カバー層を前記目標値の厚みで形成する。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法は、情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層し、その最上層の上部にカバー層を形成して多層光記録媒体を製造する際に、直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、前記カバー層の形成に先立って前記測定した測定値と前記直前に形成したスペーサ層について規定された厚み基準値との差分値で当該カバー層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、前記カバー層を前記目標値の厚みで形成する。
この場合、前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってカバー層形成用の塗液をスピンコートして前記カバー層を形成するのが好ましい。
また、同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層および前記カバー層のいずれか一方の前記厚みと当該いずれか一方についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートするのが好ましい。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法は、上記の多層光記録媒体製造方法に従って前記スペーサ層を形成し、上記の多層光記録媒体製造方法に従って前記カバー層を形成して前記多層光記録媒体を製造する。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造装置は、上記の製造方法に従って前記多層光記録媒体を製造可能に構成されている。
また、本発明に係る多層光記録媒体は、上記の多層光記録媒体製造装置によって製造されている。
本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、次のスペーサ層の形成に先立って、形成済みの各スペーサ層の厚みの合計値と、各スペーサ層についてそれぞれ規定された厚み基準値の合計値との差分値で次のスペーサ層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、次のスペーサ層をその目標値の厚みで形成することにより、形成済みの各スペーサ層の厚みの合計値と各基準値の合計値との差分値を次のスペーサ層の厚みで調整することができるため、各スペーサ層の個々の厚みだけではなく、各スペーサ層の厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層によって互いに分離した3層以上の情報層を有し記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシング可能な多層光記録媒体を製造することができる。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、次のスペーサ層の形成に先立って、直前に形成したスペーサ層の厚みの測定値と、そのスペーサ層について規定された厚み基準値との差分値で次のスペーサ層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、次のスペーサ層をその目標値の厚みで形成することにより、直前に形成したスペーサ層の厚みと基準値との差分値を次のスペーサ層の厚みで調整することができるため、各スペーサ層の個々の厚みだけではなく、各スペーサ層の厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層によって互いに分離させた3層以上の情報層を有し記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシング可能な多層光記録媒体を製造することができる。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってスペーサ層形成用の塗液をスピンコートして次のスペーサ層を形成することにより、回転数および回転時間がスピンコートにおいて厚みを決定する主要な要素であるため、スペーサ層の厚みを正確にコントロールすることができる。
さらに、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、スピンコート装置が同一の基材に異なるスペーサ層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象のその基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材に対して同じスペーサ層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材のスペーサ層を形成してからスピンコート対象の基材における異なるスペーサ層をスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、補正した形成条件に従って塗液をスピンコートすることにより、例えば、製造中において塗液の温度変化などが生じたとしても、予め設定された形成条件を容易に補正することができるため、各スペーサ層の厚みの合計値をより確実に許容範囲内に収めることができる。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、カバー層の形成に先立って、形成済みの各スペーサ層の厚みの合計値と、各スペーサ層についてそれぞれ規定された厚み基準値の合計値との差分値でカバー層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、カバー層をその目標値の厚みで形成することにより、形成済みの各スペーサ層の厚みの合計値と基準値の合計値との差分値をカバー層の厚みで調整することができるため、各スペーサ層およびカバー層の個々の厚みだけではなく、各スペーサ層およびカバー層の厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層によって互いに分離した3層以上の情報層およびカバー層を有し記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシング可能な多層光記録媒体を製造することができる。
さらに、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、カバー層の形成に先立って、直前に形成したスペーサ層の厚みの測定値と、そのスペーサ層について規定された厚み基準値との差分値でカバー層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、カバー層をその目標値の厚みで形成することにより、直前に形成したスペーサ層の厚みと基準値との差分値をカバー層の厚みで調整することができるため、各スペーサ層およびカバー層の個々の厚みだけではなく、各スペーサ層およびカバー層の厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層によって互いに分離させた3層以上の情報層およびカバー層を有し記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシング可能な多層光記録媒体を製造することができる。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってカバー層形成用の塗液をスピンコートしてカバー層を形成することにより、回転数および回転時間がスピンコートにおいて厚みを決定する主要な要素であるため、カバー層の厚みを正確にコントロールすることができる。
さらに、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、スピンコート装置が同一の基材にスペーサ層およびカバー層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象のその基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材に対してカバー層を連続してスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したカバー層の厚みと、そのカバー層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、スピンコート装置が異なる基材のスペーサ層を形成してからスピンコート対象の基材におけるカバー層をスピンコートするときには、スピンコート対象の基材に先立って異なる基材において直前に形成したスペーサ層の厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正し、補正した形成条件に従って塗液をスピンコートすることにより、例えば、製造中において塗液の温度変化などが生じたとしても、予め設定された形成条件を容易に補正することができるため、各スペーサ層およびカバー層の厚みの合計値をより確実に許容範囲内に収めることができる。
また、本発明に係る多層光記録媒体製造方法および多層光記録媒体製造装置によれば、上記の多層光記録媒体製造方法に従ってスペーサ層およびカバー層を形成することにより、形成済みのスペーサ層の厚みと基準値との差分値を次に形成するスペーサ層およびカバー層の双方の厚みで調整することができるため、各スペーサ層およびカバー層の厚の合計値をさらに確実に許容範囲内に収めることができる。
さらに、本発明に係る多層光記録媒体によれば、上記の多層光記録媒体製造装置によって製造したことにより、各スペーサ層の個々の厚みだけではなく、各スペーサ層の厚みの合計値やこの合計値にカバー層の厚みを加えた全体の厚みについても確実に許容範囲内に収められるため、各スペーサ層によって互いに分離された3層以上の各情報層に対して記録再生用のレーザービームを照射する際に、レーザービームを確実にフォーカシングさせることができる。
以下、本発明に係る多層光記録媒体製造方法、多層光記録媒体製造装置および多層光記録媒体の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、多層光記録媒体1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す多層光記録媒体1は、本発明に係る多層光記録媒体製造方法(以下、「製造方法」ともいう)に従って製造される多層光記録媒体の一例であって、主要な機能層として、4層の情報層L1〜L4(以下、区別しないときには「情報層L」ともいう)と、各情報層L1〜L4間に形成されたスペーサ層S1〜S3(以下、区別しないときには「スペーサ層S」ともいう)と、情報層L4(本発明における最上層)の表面(上部)に形成されたカバー層Cとが基材D1上に積層されて構成されている。また、多層光記録媒体1は、同図に示すように、カバー層C側から(同図の矢印Aの向きで)記録再生用のレーザービームが照射されることによって記録データの読出しおよび記録が可能に構成されている。基材D1は、後述する多層光記録媒体製造装置11(以下、「製造装置11」ともいう)の基材製造装置12によって例えばポリカーボネートを射出成形することで作製される。この場合、基材D1は、例えば、直径が120mm程度で厚みが1.2mm程度の円板状(平板形状)に形成されている。また、図2に示すように、基材D1の中心部には、記録再生装置に装着するための直径15mm程度の装着用の中心孔1aが形成されている。さらに、基材D1の表面には、配列ピッチが例えば0.32μmのグルーブパターン(図示せず)が形成されている。
情報層Lは、少なくとも記録層を含む機能層であって、製造装置11の情報層形成装置13によって例えばスパッタ法で形成される。この場合、記録層に加えて誘電体層や反射層などを含んで情報層Lを構成してもよい。また、記録層には、基材D1やスペーサ層Sに予めピットが形成された再生専用の機能層が含まれる。スペーサ層Sは、製造装置11の樹脂層形成装置14によって、例えば紫外線硬化型の塗液Rをスピンコート法で塗布して紫外線を照射して硬化させることで形成される。この場合、多層光記録媒体1に対する記録データの記録時または再生時において各情報層Lに対する記録再生用のレーザービームの正確なフォーカシングを可能とするために、各スペーサ層Sの厚みについての基準値(以下、「厚み基準値」ともいう)、および各厚み基準値に対する許容範囲が予め規定されている。この多層光記録媒体1では、一例として、スペーサ層S1〜S3についての各厚み基準値は、それぞれ15μm、20μmおよび10μmに規定され、その許容範囲は、各厚み基準値に対してそれぞれ±1μmに規定されている。また、スペーサ層Sの表面には、グルーブパターン(図示せず)が形成されている。カバー層Cは、樹脂層形成装置14によって、塗液Rをスピンコート法で塗布して紫外線を照射して硬化させることで形成される。この場合、カバー層Cも上記の理由と同様の理由から、その厚み基準値および許容範囲が例えばそれぞれ55μmおよび±1μmに規定されている。なお、カバー層Cはスペーサ層Sよりも厚く形成する必要があるため、カバー層C用の塗液Rとしては、例えば、スペーサ層S用の塗液Rよりも高粘度のものを用いるのが好ましい。
次に、本発明に係る製造方法に従って多層光記録媒体1を製造する製造装置11の構成について、図面参照して説明する。
図3に示す製造装置11は、本発明に係る多層光記録媒体製造装置の一例であって、基材製造装置12、情報層形成装置13、樹脂層形成装置14および厚み測定装置15を備えて構成されている。基材製造装置12は、例えば、射出成形機で構成されて、図1に示すディスク状の基材D1を射出成形によって作製する。情報層形成装置13は、例えば、スパッタ装置で構成され、一例として、反射層、誘電体層および相変化型記録層等で構成される情報層Lをスパッタ法によって形成する。
樹脂層形成装置14は、図4に示すように、ターンテーブル21、モータ22、塗液供給部23、紫外線照射部24、記憶部25、制御部26、プレス機構27、操作部28、スタンパ29(図2参照)および閉塞部材30(図2参照)を備え、塗液Rをスピンコート法によって塗布してスペーサ層Sおよびカバー層Cを形成する。ターンテーブル21は、全体として円板状に形成され、図2に示すように、その上面における中心部には、基材D1の中心孔1aに嵌め込み可能な環状突起21aが形成されている。また、ターンテーブル21の下面における中心部には、モータ22の回転軸(図示せず)に連結されたシャフト21bが取り付けられている。モータ22は、制御部26によって駆動制御されて、ターンテーブル21を回転させる。塗液供給部23は、制御部26の制御下で、スペーサ層Sを形成するための塗液Rを基材D1(情報層L)の上に供給(吐出)する。紫外線照射部24は、制御部26の制御に従って基材D1に向けて紫外線を照射することにより、基材D1の表面に塗布された塗液Rを硬化させる。
記憶部25は、塗液Rの供給量と、ターンテーブル21の回転数および回転時間と、プレス機構27によるプレス処理の際の圧力および時間とを含むスペーサ層Sの形成に必要な形成条件が記述された条件テーブルを記憶する。この場合、形成すべきスペーサ層Sの厚みについての目標値(以下、「厚み目標値」ともいう)を例えば1μm単位で任意に設定可能とするために、この条件テーブルには、1μm刻みの各厚み目標値にそれぞれ対応付けられた複数の形成条件が記述されている。制御部26は、操作部28の操作によって設定されたスペーサ層Sの厚み目標値に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出して、その形成条件に従い、モータ22、塗液供給部23、紫外線照射部24およびプレス機構27を制御する。この場合、制御部26は、後述する形成条件の補正処理を実行した際には、その補正した形成条件に従ってこれらを制御する。プレス機構27は、スタンパ29を保持可能に構成されて、制御部26の制御下で、スタンパ29をターンテーブル21に対して上下動させる。操作部28は、スペーサ層Sの形成に際して、形成すべきスペーサ層Sの厚み目標値を設定する設定ボタンや、制御部26に形成条件の補正処理を実行させる補正処理ボタン等の各種の操作ボタンを備えて構成され、これらの操作ボタンの操作に応じた操作信号を制御部26に出力する。
スタンパ29は、例えばアモルファスポリオレフィン(APO)によって図2に示すように円板状に形成されて、塗液Rを硬化させる紫外線を透過可能に構成されている。また、スタンパ29の一面(同図では下面)には、スペーサ層Sの表面に例えば0.32μmの配列ピッチでグルーブパターンを形成するための凹凸加工が施されている。なお、アモルファスポリオレフィンに代えて、光透過性を有する他の樹脂材料やガラス等でスタンパ29を形成することもできる。この場合、スペーサ層Sとの良好な剥離性を確保するために、スタンパ29の表面のうちの少なくとも凹凸加工が施されている面をポリオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂でコーティングするのが好ましい。閉塞部材30は、スペーサ層Sの形成に際して、ターンテーブル21に載置した基材D1の中心孔1aを閉塞するための部材であって、同図に示すように、円錐状の本体部30aと、本体部30aの表面における中心部に形成された中心軸30bと、本体部30aの底面における中央部に形成された円柱状の凸部30cとを備えて構成されている。厚み測定装置15は、図3に示すように、測定部31、記憶部32および表示部33を備えて構成されている。測定部31は、レーザーフォーカス式の変位計で構成され、スペーサ層Sおよびカバー層Cの厚みを非接触方式で測定して測定データを出力する。この場合、測定部31は、一例として、基材D1の中央部、基材D1の外周部、および基材D1の中央部と外周部との中間部の3箇所にレーザー光を照射し、その反射光に基づくこれら3箇所についての厚みを基材D1が1回転する間に複数回計測して、これらの平均値のデータを測定データとして出力する。記憶部32は、測定部31から出力された測定データを記憶する。表示部33は、測定データに基づく厚みについての測定値(以下、「厚み測定値」ともいう)を表示する。
次に、製造装置11によって多層光記録媒体1を製造する製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、製造装置11の基材製造装置12が射出成形によって基材D1を作製する。この場合、基材製造装置12の射出成形用金型内にセットされた基材D1用のスタンパー(いずれも図示せず)の凹凸パターンが転写されて、基材D1の表面にグルーブパターンが形成される。なお、基材D1の材料としては、例えばポリカーボネートが用いられる。次に、製造装置11の情報層形成装置13が、反射層、誘電体層、相変化型記録層および誘電体層をスパッタ法によってこの順序で基材D1の表面に積層して情報層L1を形成する。
次いで、製造装置11の樹脂層形成装置14が情報層L1の表面にスペーサ層S1を形成する。具体的には、まず、図2に示すように、情報層L1が形成された面を上向きにした状態で、ターンテーブル21の環状突起21aに中心孔1aを嵌め込んで基材D1を載置する。次に、環状突起21aの内側に閉塞部材30の凸部30cを嵌め込むことによって基材D1の中心孔1aを本体部30aで閉塞する。次いで、操作部28の設定ボタンを操作して、厚み目標値をスペーサ層S1の厚み基準値である15μmにセット(設定)した後に、樹脂層形成装置14による樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26は、15μmの厚み目標値に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。続いて、制御部26は、読み出した形成条件に従ってモータ22を駆動制御することにより、例えば60rpmの回転速度でターンテーブル21を回転させる。次に、制御部26は、その形成条件に従って塗液供給部23を駆動制御して、紫外線硬化型樹脂(一例として、日本化薬(株)製のMPZ203)を含む塗液Rを閉塞部材30における中心軸30bの外周面に所定の量だけ供給させる。
次いで、制御部26は、モータ22の回転数を上昇させて、例えば、回転テーブルを2000rpmの回転速度で3秒間回転させる。この際に、回転に伴う遠心力によって塗液Rが基材D1の外縁部に向けてほぼ均一の厚みに展延させられる。続いて、閉塞部材30を基材D1から取り外す。次に、制御部26は、形成条件に従ってプレス機構27を駆動制御して、展延させた塗液Rの上にスタンパ29を載置させた後に、例えば、2×10Paの圧力で0.5秒間だけスタンパ29を基材D1に向けてプレスさせる。次いで、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29のプレスを解除させた後に、紫外線照射部24に対して紫外線を所定の照射量だけ基材D1に向けて照射させる。この際に、紫外線がスタンパ29を透過して照射されることによって塗液Rが硬化する。これにより、スペーサ層S1が形成される。この場合、スタンパ29の凹凸パターンが転写されて、スペーサ層S1の表面にグルーブパターンが形成される。次いで、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29を上方に移動させることにより、スペーサ層S1からスタンパ29を剥離させる。
続いて、厚み測定装置15がスペーサ層S1の厚みを測定する。この際に、測定部31が、スペーサ層S1の厚みを測定して測定データを出力し、記憶部32が、測定データを記憶する。また、表示部33が、測定データに基づくスペーサ層S1の厚み測定値を表示する。次に、情報層形成装置13が、情報層L2をスペーサ層S1の表面にスパッタ法によって形成する。
次いで、樹脂層形成装置14が、情報層L2の表面にスペーサ層S2(本発明における次のスペーサ層の一例)を形成する。この際に、情報層L1,L2およびスペーサ層S1が形成された面を上向きにした状態で、基材D1をターンテーブル21に載置し、閉塞部材30をターンテーブル21の環状突起21aに嵌め込む。続いて、操作部28を操作して、スペーサ層S2の厚み目標値をセットする。この場合、例えば、上記したスペーサ層S1(本発明における直前に形成したスペーサ層の一例)の厚み測定値が16μmであったときには、スペーサ層S1は、厚み基準値(厚み目標値)の15μmよりも1μmだけ厚く(超過した厚みで)形成されていることになる。したがって、この際に、スペーサ層S1,S2の厚みの合計値が各厚み基準値の合計値と一致するようにスペーサ層S2を形成すべく、その厚み基準値である20μmよりも1μmだけ減少させた19μmをスペーサ層S2の厚み目標値としてセットする。次に、厚み目標値をセットした後に、樹脂層形成装置14による樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26は、上記した動作と同様にして、19μmの厚み目標値に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。次いで、制御部26は、読み出した形成条件に従い、モータ22に対してターンテーブル21を低速で回転させ、塗液供給部23に対して所定量の塗液Rを供給させる。次いで、制御部26は、モータ22の回転数を上昇させて、回転テーブルを所定の回転速度で所定時間だけ回転させる。続いて、閉塞部材30が基材D1から取り外された後に、制御部26は、プレス機構27に対して、展延させた塗液Rの上にスタンパ29を載置させて所定の圧力でプレスさせる。次に、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29のプレスを解除させた後に、紫外線照射部24に対して紫外線を照射させる。これにより、スペーサ層S2が形成される。次いで、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29を上方に移動させることにより、スペーサ層S1からスタンパ29を剥離させる。
続いて、厚み測定装置15がスペーサ層S2の厚みを測定する。この際に、測定部31は、スペーサ層S2の厚みを測定して測定データを出力し、記憶部32は、測定データを記憶する。また、表示部33は、測定データに基づくスペーサ層S2の厚み測定値と、スペーサ層S1,S2の厚み測定値の合計値とを表示する。次に、情報層形成装置13が、スペーサ層S2の表面に情報層L2と同様の構成の情報層L3をスパッタ法によって形成する。
次いで、樹脂層形成装置14が情報層L3の表面にスペーサ層S3を形成する。この際に、情報層L1〜L3およびスペーサ層S1,S2が形成された面を上向きにした状態で、基材D1をターンテーブル21に載置し、閉塞部材30をターンテーブル21の環状突起21aに嵌め込む。続いて、操作部28を操作して、スペーサ層S3の厚み目標値をセットする。この場合、例えば、スペーサ層S2の厚み測定値が20μmであったときには、スペーサ層S2の厚みは、単独ではその厚み基準値である20μmと一致するものの、スペーサ層S1,S2(本発明における形成済みのスペーサ層の一例)の各厚みの合計値(16μm+20μm=36μm)は、スペーサ層S1,S2の各厚み基準値の合計値(15μm+20μm=35μm)よりも1μmだけ超過していることになる。したがって、この際に、スペーサ層S1〜S3の厚みの合計値が各厚み基準値の合計値と一致するようにスペーサ層S3を形成すべく、その厚み基準値である10μmよりも1μmだけ減少させた9μmをスペーサ層S3の厚み目標値としてセットする。
一方、上記したように、スペーサ層S2は、厚み目標値を19μmにセットしたにも拘わらず、厚み目標値よりも1μmだけ超過した20μmの厚みに形成されている。つまり、スペーサ層S2は、セットした厚み目標値よりも厚めに形成されたことになる。したがって、スペーサ層S3も、セットした9μmの厚み目標値よりも厚めに形成されることが予測される。この際に、厚み目標値をセットした後に、制御部26に対して形成条件の補正処理を実行させるために、操作部28の補正処理ボタンを操作する。これに応じて、制御部26は、9μmの厚み目標値に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出した後に、補正処理を実行することにより、読み出した形成条件に含まれている回転数や回転時間を所定の計算式によって増減して補正(増減補正)する。具体的には、制御部26は、例えば、厚み測定装置15の記憶部32からスペーサ層S2(直前に形成したスペーサ層)の厚み測定値(この場合20μm。以下、この値をMとする)を読み出して、スペーサ層S2の形成時にセットした厚み目標値(この場合19μm。以下、この値をGとする)に対する厚み測定値Mの割合P(M(20μm)/G(19μm)≒1.05)を算出する。次に、制御部26は、9μmの厚み目標値に対応付けられた形成条件に含まれている回転数および回転時間に割合Pおよび所定の係数を乗じて増加させた回転数および回転時間を算出し、算出した新たな回転数および回転時間を含む形成条件を補正した新たな形成条件とする。
なお、この補正処理において、上記のように、樹脂層形成装置14が同一の基材D1に異なるスペーサ層Sを連続して形成するときには、形成対象のその基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚みと、そのスペーサ層Sについての目標値とに基づいて形成条件を補正する。その一方、樹脂層形成装置14が異なる基材D1に対して同じスペーサ層Sを連続して形成するときには、形成対象の基材D1に先立って異なる基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚みと、そのスペーサ層Sについての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、樹脂層形成装置14が異なる基材D1のスペーサ層Sを形成してから形成対象の基材D1における異なるスペーサ層Sを形成するときには、形成対象の基材D1に先立って異なる基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚みと、そのスペーサ層についての目標値とに基づいて形成条件を補正することができる。
次いで、制御部26は、補正した形成条件に従い、上記した動作と同様にして、モータ22に対してターンテーブル21を低速で回転させると共に塗液供給部23に対して所定量の塗液Rを供給させた後に、モータ22に対して回転テーブルを所定の回転速度で所定の時間だけ回転させる。続いて、閉塞部材30が基材D1から取り外される。次に、制御部26は、プレス機構27に対してスタンパ29を樹脂層の上に載置させて所定の圧力で所定の時間だけプレスさせた後に、紫外線照射部24に対して紫外線を照射させる。これにより、スペーサ層S3が形成される。この場合、制御部26に対して形成条件の補正処理を実行させたことにより、スペーサ層S3が厚み目標値と同等の厚み(この場合9μm)に形成される。また、スペーサ層S1,S2についての厚み測定値の合計値と、スペーサ層S1,S2についての厚み基準値の合計値との差分値に基づいてスペーサ層S3の厚み目標値をセット(設定)したことにより、スペーサ層S1〜S3の厚みの合計値(16μm+20μm+9μm=45μm)と、スペーサ層S1〜S3の厚み基準値の合計値(15μm+20μm+10μm=45μm)とが同等の値となる。
次に、厚み測定装置15がスペーサ層S3の厚みを測定する。この際に、測定部31が、スペーサ層S3の厚みを測定して測定データを出力し、記憶部32が、測定データを記憶する。また、表示部33が、測定データに基づくスペーサ層S3の厚み測定値と、スペーサ層S1〜S3の厚み測定値の合計値とを表示する。次いで、情報層形成装置13が、スペーサ層S3の表面に情報層L3と同様の構成の情報層L4をスパッタ法によって形成する。続いて、樹脂層形成装置14が情報層L4の表面にカバー層Cを形成する。この際に、情報層L1〜L4およびスペーサ層S1〜S3が形成された面を上向きにした状態で、基材D1をターンテーブル21に載置し、閉塞部材30をターンテーブル21の環状突起21aに嵌め込む。次に、操作部28を操作して、カバー層Cの厚み目標値をセットする。この場合、上記したように、スペーサ層S1〜S3の各厚みの合計値と各厚み基準値の合計値とが同等のため、カバー層Cの厚み基準値(55μm)を厚み目標値としてセットする。なお、スペーサ層S1〜S3の各厚みの合計値と各厚み基準値の合計値とが異なるときには、上記したスペーサ層S2,S3の形成時における操作と同様にして、厚みの合計値と厚み基準値の合計値との差分値に基づいて増減補正した値をカバー層Cの厚み目標値としてセットする。また、スペーサ層S3の厚み測定値と厚み目標値とが異なるときには、制御部26に対して上記した形成条件の補正処理を実行させるのが好ましい。
なお、この補正処理においても、上記のように、樹脂層形成装置14が同一の基材にスペーサ層S3およびカバー層Cを連続して形成するときには、形成対象のその基材D1において直前に形成したスペーサ層S3の厚みと、そのスペーサ層S3についての目標値とに基づいて形成条件を補正する。その一方、樹脂層形成装置14が異なる基材D1に対してカバー層Cを連続して形成するときには、形成対象の基材D1に先立って異なる基材D1において直前に形成したカバー層Cの厚みと、そのカバー層Cについての目標値とに基づいて形成条件を補正し、また、樹脂層形成装置14が異なる基材D1のスペーサ層Sを形成してから形成対象の基材D1におけるカバー層Cを形成するときには、形成対象の基材D1に先立って異なる基材D1において直前に形成したスペーサ層Sの厚みと、そのスペーサ層Sについての目標値とに基づいて形成条件を補正することができる。
次いで、樹脂層形成装置14による樹脂層形成処理を開始させる。これに応じて、制御部26は、55μmの厚み目標値に対応付けられた形成条件を記憶部25から読み出す。続いて、制御部26は、上記したスペーサ層S1〜S3の形成時における動作と同様にして、読み出した形成条件に従い、モータ22、塗液供給部23、紫外線照射部24を駆動制御する。これにより、カバー層Cが形成されて多層光記録媒体1が完成する。
このように、この製造方法および製造装置11によれば、形成済みの各スペーサ層Sの厚み測定値の合計値が各スペーサ層Sの厚み基準値の合計値に対して超過(または不足)しているときに、次に形成すべきスペーサ層S(またはカバー層C)の厚み基準値に対して超過(または不足)している分だけ減少(または増加)させて補正した値をその厚み目標値として次のスペーサ層S(またはカバー層C)を形成することにより、複数のスペーサ層S(またはカバー層C)を形成する際に、形成済みの各スペーサ層Sの厚みの合計値と厚み基準値の合計値との差分値を次のスペーサ層S(またはカバー層C)の厚みで調整することができるため、各スペーサ層Sの個々の厚みだけではなく、各スペーサ層Sおよびカバー層Cの厚みの合計値についても確実に許容範囲内に収めることができる。したがって、複数のスペーサ層Sによって互いに分離させた3層以上の情報層Lおよびカバー層Cを有し、かつ記録時や再生時における記録再生用のレーザービームを確実にフォーカシングできる多層光記録媒体1を製造することができる。
また、この製造方法および製造装置11によれば、スピンコート処理において厚みを決定する主要な要素であって厚み目標値に対応付けられた回転数および回転時間を含む形成条件に従って塗液Rをスピンコートしてスペーサ層Sおよびカバー層Cを形成することにより、スペーサ層Sおよびカバー層Cの厚みを正確にコントロールすることができる。
また、この製造方法および製造装置11によれば、直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値と、そのスペーサ層Sの厚み基準値とに基づいて形成条件を補正し、補正した形成条件に従って塗液Rをスピンコートすることにより、例えば、製造中において塗液Rの温度変化などが生じたとしても、予め設定された形成条件を容易に補正することができるため、各スペーサ層Sおよびカバー層Cの厚みの合計値をより確実に許容範囲内に収めることができる。
なお、本発明は、上記の方法および上記の構成に限定されない。例えば、次のスペーサ層Sを形成する際に、形成済みの全てのスペーサ層Sの厚み測定値の合計値と、各スペーサ層Sの厚み基準値の合計値との差分値に基づいて厚み目標値を設定する例について上記したが、直前に形成した1つのスペーサ層Sの厚み測定値と、そのスペーサ層Sの厚み基準値との差分値に基づいて厚み目標値を設定することもできる。また、必ずしも全てのスペーサ層Sについて上記の方法での厚み目標値の設定を行う必要はなく、例えば、2層に1層の割合で上記の方法での設定を行い、他のスペーサ層Sについては、厚み測定値に関わりなく(直前に形成したスペーサ層Sの厚みを測定することなく)厚み基準値をそのまま厚み目標値として設定することもできる。また、スペーサ層Sおよびカバー層Cのいずれか一方に対してのみ上記の方法を用いて厚み目標値を設定する方法を採用することもできる。
また、各スペーサ層Sを形成する度に操作部28を操作して厚み目標値を設定する例について上記したが、各スペーサ層Sの厚み基準値と各スペーサ層Sの厚み測定値との差分値に基づく厚み目標値の設定を制御部26に自動で実行させる方法を採用することもできる。さらに、本発明に係る多層光記録媒体製造方法は、上記したように4層の情報層Lを備えた多層光記録媒体1に限定されず、2層以上(複数)のスペーサ層によって互いに分離された3層以上の任意の数の情報層Lを備えた多層光記録媒体に適用することができる。また、形成済みの各スペーサ層Sの厚みの合計値を求める際に各スペーサ層Sの厚みのみを個別に測定して各測定値を加算して正確に求める例について上記したが、合計値の求め方はこれに限定されない。例えば、情報層Lの厚みを無視することができるため、形成済みの各スペーサ層Sおよび各情報層Lの合計の厚みを一度に測定し、その測定値を各スペーサ層Sの厚みの合計値とすることもできる。
また、補正処理における形成条件の補正方法は上記の方法に限定されず以下の補正方法を採用することもできる。具体的には、直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値に最も近い厚みに対応付けられた形成条件を条件テーブルから検索し、その形成条件に含まれている回転数および回転時間と、直前に形成したスペーサ層Sの厚み目標値に対応付けられている形成条件に含まれている回転数および回転時間とのそれぞれの差分値を算出する。続いて、次に形成するスペーサ層Sの厚み目標値に対応付けられた形成条件に含まれている回転数および回転時間に各差分値をそれぞれ加算(または減算)して増減補正し、増減補正した回転数および回転時間を含む形成条件を補正後の新たな形成条件とする。この場合、この補正方法と上記の補正方法とを組み合わせてもよい。また、複数のスペーサ層Sについての厚み目標値と厚み測定値との各差分値を記録して、これらの全体的な傾向に基づいて上記の補正処理を実行することもできる。
また、読み出した形成条件に含まれている回転数や回転時間を増減補正する補正方法に限定されず、例えば、直前に形成したスペーサ層Sの厚み測定値(M)に対するそのスペーサ層Sの厚み目標値(G)の割合(G/M)を求め、その割合(G/M)を次のスペーサ層Sの厚み目標値に乗じて得た値に最も近い厚みに対応付けられた形成条件を条件テーブルから検索し、その検索した形成条件を補正した形成条件とする方法を採用することもできる。また、スペーサ層Sおよびカバー層Cを形成する際に、紫外線硬化型樹脂を含んだ塗液Rを用いる例について上記したが、紫外線硬化型樹脂に代えて電子線硬化樹脂を含んだ塗液を用いることもできる。この場合、紫外線に代えて電子線を照射して電子線硬化樹脂を硬化させる。また、スピンコートによって展延させた塗液Rに紫外線を照射してやや硬化させた後に、スタンパ29を載置して押圧する方法を採用することもできる。また、基材D1に塗液Rを供給した後に、スタンパ29を載置して、その状態でターンテーブル21を高速回転させる(スピンコートする)ことによって塗液Rを展延させる方法を採用することもできる。また、カバー層Cの形成方法は、スピンコート法に限定されず、例えば、樹脂フィルムを最上層の情報層L(この場合情報層L4を)の表面に貼り合わせる方法を採用することもできる。この場合、樹脂フィルムの厚み調整が困難のため、同じ厚みの樹脂フィルムを用いるときであったとしても、各スペーサ層Sの厚みの合計値を基準値内に収めることで、各スペーサ層Sおよび樹脂フィルムの厚みの合計値を確実に基準値内に収めることができる。
多層光記録媒体1の断面図である。 基材D1、ターンテーブル21、スタンパ29および閉塞部材30の断面図である。 多層光記録媒体製造装置11の構成を示すブロック図である。 樹脂層形成装置14の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 多層光記録媒体
11 多層光記録媒体製造装置
C カバー層
D1 基材
L 情報層
R 塗液
S スペーサ層

Claims (11)

  1. 情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層して多層光記録媒体を製造する際に、
    前記各スペーサ層を形成した後に形成済みの前記各スペーサ層の厚みの合計値を求め、
    次の前記スペーサ層の形成に先立って前記合計値と前記形成済みの各スペーサ層についてそれぞれ規定された厚み基準値の合計値との差分値で当該次のスペーサ層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、
    前記次のスペーサ層を前記目標値の厚みで形成する多層光記録媒体製造方法。
  2. 情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層して多層光記録媒体を製造する際に、
    直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、
    次の前記スペーサ層の形成に先立って前記測定した測定値と前記直前に形成したスペーサ層について規定された厚み基準値との差分値で当該次のスペーサ層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、
    前記次のスペーサ層を前記目標値の厚みで形成する多層光記録媒体製造方法。
  3. 前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってスペーサ層形成用の塗液をスピンコートして前記次のスペーサ層を形成する請求項1または2記載の多層光記録媒体製造方法。
  4. 同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層の前記厚みと当該スペーサ層についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートする請求項3記載の多層光記録媒体製造方法。
  5. 情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層し、その最上層の上部にカバー層を形成して多層光記録媒体を製造する際に、
    前記各スペーサ層を形成した後に形成済みの前記各スペーサ層の厚みの合計値を求め、
    前記カバー層の形成に先立って前記合計値と前記形成済みの各スペーサ層についてそれぞれ規定された厚み基準値の合計値との差分値で当該カバー層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、
    前記カバー層を前記目標値の厚みで形成する多層光記録媒体製造方法。
  6. 情報層とスペーサ層とを基材の少なくとも一面に交互に形成することによって当該各層をそれぞれ複数積層し、その最上層の上部にカバー層を形成して多層光記録媒体を製造する際に、
    直前に形成した前記スペーサ層の厚みを測定し、
    前記カバー層の形成に先立って前記測定した測定値と前記直前に形成したスペーサ層について規定された厚み基準値との差分値で当該カバー層について規定された厚み基準値を増減補正して目標値を求め、
    前記カバー層を前記目標値の厚みで形成する多層光記録媒体製造方法。
  7. 前記目標値に対応付けられた回転数および回転時間の少なくとも一方を含む形成条件に従ってカバー層形成用の塗液をスピンコートして前記カバー層を形成する請求項5または6記載の多層光記録媒体製造方法。
  8. 同一の前記基材および他の前記基材のいずれかにおいて直前に形成した前記スペーサ層および前記カバー層のいずれか一方の前記厚みと当該いずれか一方についての前記目標値とに基づいて前記形成条件を補正し、当該補正した形成条件に従って前記塗液をスピンコートする請求項7記載の多層光記録媒体製造方法。
  9. 請求項1から4のいずれかに記載の多層光記録媒体製造方法に従って前記スペーサ層を形成し、請求項5から8のいずれかに記載の多層光記録媒体製造方法に従って前記カバー層を形成して前記多層光記録媒体を製造する多層光記録媒体製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の製造方法に従って前記多層光記録媒体を製造する多層光記録媒体製造装置。
  11. 請求項10記載の多層光記録媒体製造装置によって製造された多層光記録媒体。
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