JP2007207299A - 情報記録方法、多層光記録用制御装置、情報記録装置 - Google Patents

情報記録方法、多層光記録用制御装置、情報記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】指紋や埃が付着した場合でも、高品質な情報記録を実現する。
【解決手段】複数の情報記録層20、22、24、26を備えた多層光記録媒体1に対して情報を記録する際に、第1情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録すると共に、記録レーザー光の反射光を検出して多層光記録媒体1の欠陥情報を収集する。さらに、この欠陥情報に基づいて第2情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録するようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は複数の情報記録層が積層されている多層光記録媒体に対する情報記録方法、該情報記録方法を実行する制御装置や情報記録装置に関する。
従来、光記録媒体としてCDやDVDが広く利用されている。この種の光記録媒体に要求される記録容量は年々増大してきており、その要求に対応する為に様々な提案がなされている。例えば、DVD−VideoやDVD−ROM等の再生専用光記録媒体においては、情報記録層を2層構造にすることによって、記録容量を増大したものが実用化されている。
図10に示されるDVDのように、2枚の基板のそれぞれにピットを形成して情報記録層とし、この2枚の基板を、情報記録層が対向する状態で、スペーサー層を介在させて貼り合わせた構造の光記録媒体が実用化されてきている。
また、図11に示されるように、一方の情報記録層はDVD形式でフォーマットされ、他方の情報記録層はCD形式でフォーマットされたハイブリット構造のDVDも実用化されている。この場合、それぞれの規格に適応させる理由から、DVD形式のフォーマットとなる情報記録層は光入射面から0.6mmに設定されて4.7GBの容量を備えており、CD形式のフォーマットとなる情報記録層は同光入射面から1.2mmに設定されて0.7GBの容量を備える。各情報記録層に記録された信号を再生するには、波長や開口数(NA)の異なる2種類の光学系が必要となる。
ところで、近年、更なる記録容量の増大を図るために、ブルーレイ・ディスク等の新たな規格が提案されている。ブルーレイ・ディスクでは、光入射面から0.1mmの近傍に情報記録層が積層されており、この情報記録層には25GBの情報を記録することが可能となっている。例えば2層構造のブルーレイ・ディスクの場合、一方の情報記録層は光入射面から0.075mmの位置に形成され、他方の情報記録層が光入射面から0.1mmの位置に形成される。
大容量の光記録媒体では、データの記録・再生に用いるレーザー光のビームスポット径を小さく絞ることが要求される。そのためにはレーザー光を集束する対物レンズの開口数(NA)を大きくするとともに、レーザー光の波長λを短くする必要が生じる。
しかし、対物レンズの開口数を大きくすると、光記録媒体に対するレーザー光のチルトマージン、即ち、光記録媒体に対する光軸の傾斜角度誤差の許容量が非常に小さくなる問題が生じる。一方、光記録媒体の光入射面から情報記録層までの距離を小さくするとチルトマージンは大きくなる。従って、対物レンズの開口数を大きくしつつも、チルトマージンが小さくなることを防止するためには、光入射面から情報記録層までの距離(即ち、光透過層の厚さ)を小さくすることが効果的である。そこで、ブルーレイ・ディスクにおいては、光透過層の厚みを100μm程度としている。
特許第3206748号公報 特許第3210549号公報
しかしながら、ブルーレイ・ディスクのように、光透過層が薄く設定されることにより、光入射面から近い場所に情報記録層を形成する場合、指紋やゴミ等が、情報の記録・再生に対して悪影響を与えやすいという問題があった。例えば、ブルーレイ・ディスクの規格に対して更に情報記録層を追加する場合、光入射面から0.1mm以内の距離に情報記録層を配置する必要が生じるので、これらの情報記録層は特に指紋等の影響を受け易いことになる。この影響を明らかにするために行った、(本出願時では未公知となる)本発明者らの解析結果を図12に示す。この解析では、光記録媒体の情報記録層の距離を変化させ、指紋等の異物の存在の有無によるビットエラーレート(bER)の変化を調べたものである。光記録媒体に付着させる異物としては、[実施例]で詳細に後述する人工指紋を用いた。なお、光入射面から光入射側情報記録層の距離の調整は、カバー層の厚みを変化させることで行い、情報記録層の記録容量は全て一致させた。なお、情報記録層の厚みは48nmとし、その組成は、ビスマス(Bi)、酸素(O)、ゲルマニウム(Ge)を採用し、その組成比率(atm%)をBi:O:Ge=23:68:9に設定した。bERとは、所定ビット数に対するエラービット数の割合であり、再生されるデジタル信号情報の中にどれだけのエラーが含まれていたかを把握できる。一般に、bERが10−3以上になると、信号に冗長性を持たせてもエラー補正が難しくなる。
図12からも明らかなように、光入射面から情報記録層までの距離が75μm以内、特に65μm以内になると、指紋付着の影響によって大幅にbERが増大し、10−3を超えやすいという問題が明らかとなった。
特に、光入射面に指紋等が付着したままの状態で情報を記録すると、記録マークが未完成となり信号の再生品質が悪化するという問題があった。例えば、これを解決する手法として、記録開始前にディスク表面の検査することが考えられるが、この方法では、ディスクを投入してから実際に記録が開始されるまでに長時間を要するので、利用者に不快感を与えてしまうという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、多層光記録媒体において、指紋等の表面欠陥が存在する場合であっても確実且つ高速に情報を記録可能とする情報記録方法等を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本研究者らの鋭意研究によりなされた本発明は、複数の情報記録層を備えた多層光記録媒体に対して情報を記録する情報記録方法であって、第1情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録すると共に、前記記録レーザー光の反射光を検出して前記多層光記録媒体の欠陥情報を収集し、前記欠陥情報に基づいて第2情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録することを特徴とする多層光記録媒体の情報記録方法である。
本発明者らは、第1情報記録層に対して情報を記録する間に、この記録レーザー光の反射光(戻り光)を活用して多層光記録媒体の表面欠陥を検出できることに着目した。この結果、第2情報記録層ではその表面欠陥の状況を予め認識しながら記録することが可能となるので、第2情報記録層における情報の記録エラーを低減させることができ、記録後の再生信号品質を向上させることが可能となる。また、表面欠陥の検査するための時間を別途確保する必要が無いので、情報の記録開始動作が短縮でき、全体としての記録時間を短縮することができる。
上記発明では、前記欠陥情報を利用して前記多層光記録媒体の欠陥領域及び非欠陥領域を予め判別し、前記第2情報記録層の前記欠陥領域に対して、前記記録レーザー光による情報の記録を回避することが好ましい。この結果、表面欠陥等によって記録マークが十分に形成されない状態を回避できるので、情報が確実に記録されるようになる。
また上記発明では、前記第1情報記録層として、前記多層光記録媒体の光入射面からの距離が前記第2情報記録層よりも離れた情報記録層を選択することが好ましい。第1情報記録層への記録時は、欠陥領域を予め把握することができないが、第1情報記録層として光入射面から離れた情報記録層を選択しておけば、そもそも第1情報記録層の記録作業における表面欠陥の影響を低減できるからである。つまり、表面欠陥の影響を受け易い第2情報記録層に対する記録準備として、表面欠陥に強い第1情報記録層の記録作業を有効活用することができる。
さらに上記発明では、前記第1情報記録層として、前記多層光記録媒体の光入射面からの距離が最も離れた情報記録層を選択することが好ましい。また望ましくは、前記第2情報記録層として、前記多層光記録媒体の光入射面からの距離が最も近い情報記録層を選択する。
上記発明では、前記欠陥情報のレベルを利用して、複数の情報記録層の中から適した前記第2情報記録層を選択することが好ましく、このようにすると、表面欠陥が多い場合に、光入射面に最も近い情報記録層の使用自体を回避して、光入射面から離れた情報記録層を第2情報記録層として記録作業を行うことができる。一方、表面欠陥が少ない場合には、積極的に光入射面に近い情報記録層を利用して情報の記録を行うこともできる。このよに、複数の情報記録層の中から柔軟に情報記録層を選択できるようにすれば、記録効率を一層高めることができる。
また上記発明では、前記多層光記録媒体が外部に取り出されたと判断した場合、前記欠陥情報を初期化することが好ましい。同じ媒体であっても、一度取り出された場合は、新たな表面欠陥が生じている可能性もあるからである。
さらに上記発明では、前記第1情報記録層に対する情報記録が所定量に達したと判断した場合に、前記第2情報記録層に対する情報記録行為に移行することが好ましい。第1情報記録層の記録容量(記録面積)には物理的に限界があるため、一度の記録作業で多くの記録領域を利用してしまうと、同じ領域で欠陥情報を収集することが出来なくなってしまう。従って本発明のように、第1情報記録層に対する情報記録作業に上限を設定することで、検査済み領域について積極的に多層方向に情報を記録していくようにする。つまり、複数の情報記録層に関して一層ずつ記録していくのではなく、表面欠陥の検査目的が達成された後は、多層方向に情報を記録していくことで、情報記録層を有効活用できるようになる。また、ディスクの初期使用時は多層光記録媒体が清潔な状態であり、使用時間が長くなるにつれて汚れが増大する可能性が高いが、第1情報記録層に情報記録時に検出される欠陥情報のレベルが低い場合には、この所定量を小さく設定することで早期に第2情報記録層に移行させ、検査済み以外の領域を含めて情報を記録することも可能になる。一方、欠陥情報のレベルが高い場合には、所定量を大きく設定して検査済み領域を大きく確保し、この検査済み領域に限定して第2情報記録層に情報を記録することもできるようになる。
また上記発明では、前記所定量として、記録領域又は情報記録量が予め設定されていることが好ましい。さらに望ましくは、前記所定量として、情報記録時間が予め設定されているようにする。また、前記第1情報記録層に対する前記記録レーザー光による情報記録領域に対して、前記第2情報記録層の情報記録領域を厚さ方向に重ならせることが好ましい。このようにすると、欠陥情報を収集した領域と第2情報記録層に対する記録領域を確実に一致させることが出来るので、情報記録の信頼性を一層高めることが出来る。
さらに上記発明では、前記第1情報記録層が、記録された情報を消去して再度の記録が可能な書換型であることが好ましい。
上記目的を達成するためになされた本発明は、複数の情報記録層を備えた多層光記録媒体に対して情報を記録する情報記録装置に用いられる多層光記録用制御装置であって、第1情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録する際の前記記録レーザー光の反射光を検出して前記多層光記録媒体の欠陥情報を収集する欠陥情報収集部と、前記欠陥情報収集部の前記欠陥情報に基づいて、前記多層光記録媒体における欠陥領域及び非欠陥領域を設定する欠陥領域設定部と、前記非欠陥領域を利用して第2情報記録層に対する情報の記録を指示する情報書込み指示部と、を備える事を特徴とする多層光記録用制御装置である。
また上記目的を達成するためになされた本発明は、上記の多層光記録用制御装置と、前記記録レーザー光を発生するレーザー光源と、前記レーザー光源を制御するレーザーコントローラと、前記記録レーザー光を前記多層光記録媒体に導く光学機構と、前記記録レーザー光の反射光を検出して情報を前記制御装置に提供する光検出装置と、を備える事を特徴とする多層光記録媒体の情報記録装置である。
本発明の情報記録方法等によれば、多層光記録媒体の表面に指紋等の欠陥が存在した場合であっても、特別な検査時間を要さずに情報の記録特性の悪化を低減できるという優れた効果を奏し得る。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、図1(A)により、本発明の実施形態に係る情報記録装置で用いられる多層光記録媒体1について説明する。この多層光記録媒体1は外形が約120mm、厚みが約1.2mmとなる円盤状の媒体である。図1(B)に拡大して示されるように、多層光記録媒体1は、基板10と、L0情報記録層20と、第1スペーサー層30と、L1情報記録層22と、第2スペーサー層32と、L2情報記録層24と、第3スペーサー層34と、L3情報記録層26と、カバー層36と、ハードコート層38がこの順に積層されて構成される。
第1〜第3スペーサー層30、32、34、カバー層36及びハードコート層38は、全て光透過性を有しており、外部から入射されるレーザー光を透過するようになっている。この結果、ハードコート層38の光入射面38Aから入射されるレーザー光Zを用いれば、L0〜L3情報記録層20、22、24、26、28の全てに対する情報の記録・再生が可能となっている。
L0情報記録層20は、光入射面38Aから最も遠い反光入射側情報記録層となり、L3情報記録層26が、最も光入射面38Aに近接する光入射側情報記録層となる。L0情報記録層20に対して情報の記録・再生を行う場合には、L1〜L3情報記録層22、24、26を介してL0情報記録層20にレーザー光Zを照射する。同様に、L1情報記録層22に対して情報の記録・再生を行う場合には、L2、L3情報記録層24、26を介してL1情報記録層22にレーザー光Z2を照射する。L2情報記録層24に対して情報の記録・再生を行う場合には、L3情報記録層26を介してL2情報記録層24にレーザー光を照射する。L3情報記録層26に対して情報の記録・再生を行う場合には、他の情報記録層を介することなく、L3情報記録層26にレーザー光Zを直接照射する。なお、この多層光記録媒体1では、L0〜L3情報記録層20、22、24、26の全ての記録容量が25GBに設定されており、全体で100GBの記録容量が確保されている。
基板10は、厚さ約1.1mmのとなる円盤状の部材であり、その素材として例えば、ガラス、セラミックス、樹脂等の種々の材料を用いることができる。ここではポリカーボネート樹脂を用いている。なお、樹脂としてはポリカーボネート樹脂以外にも、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等を採用することも出来る。中でも加工や成型の容易性から、ポリカーボネート樹脂やオレフィン樹脂が好ましい。また、基板10における情報記録層側の面には、用途に応じて、グルーブ、ランド、ピット列等が形成される。
第1〜第3スペーサー層30、32、34は、L0〜L3情報記録層20、22、24、26の間に積層されており、各情報記録層20、22、24、26との間を離間させる機能を有する。各スペーサー層30、32、34の光入射面38A側表面には、グルーブ(ランド)、ピット列等が形成されている。第1〜第3スペーサー層30、32、34の材料は様々なものを用いることが出来るが、既に述べたように、レーザー光Zを透過させる為に光透過性材料を用いる必要がある。例えば、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることも好ましい。
又この多層光記録媒体1では、第1スペーサー層30の厚みが17μm、第2スペーサー層32の厚みが20μm、第3スペーサー層34の厚みが13μmに設定されている。このように、スペーサー層30、32、34の厚みを互いに異ならせることで、再生信号の干渉が低減して、読み取り信号のノイズを低減させることができる。なお、ハードコート層38の厚みは2μm、カバー層36の厚みは48μmに設定されている。
従って、この多層光記録媒体1では、光入射面38AからL3情報記録層26までの距離は約50μm、光入射面38AからL2情報記録層24までの距離は約63μm、光入射面38AからL1情報記録層22までの距離は約83μm、光入射面38AからL0情報記録層20までの距離は約100μmとなっている。L0情報記録層20については、記録容量(25GB)を含めてブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc)の規格に整合させている。
これらのL0〜L3情報記録層20、22、24、26は、データを保持する層である。データの保持形態としては、利用者による書き込みが可能ないわゆる記録型である。この記録型の場合、詳細には、一度データを書き込んだエリアに再度データの書き込みが出来ない追記型と、データを書き込んだエリアに対してデータを消去し、再度書き込みが可能な書換型があるが、いずれであっても構わない。又、情報記録層20、22、24、26において、データの保持形態を互いに異ならせることも可能である。特にL0情報記録層20に関しては、一端消去可能な書換型が望ましく、後述するように、媒体の表面検査に再度利用できるようになる。
また図2に示されるように、L0〜L3情報記録層20、22、24、26には、基板10及び第1〜第3スペーサー層30、32、34の表面に螺旋状のグルーブ42(ランド44)が形成される。この場合、L0〜L3情報記録層20、22、24、26には記録膜が形成されており、レーザー光Zのエネルギーによって記録マーク46を形成可能となっている。グルーブ42は、データ記録時におけるレーザー光Zのガイドトラックとしての役割を果たし、このグルーブ42に沿って進行するレーザー光Zのエネルギー強度が変調される事によって、グルーブ42上の情報記録層20、22、24、26に記録マーク46が形成される。なお、データ保持態様が追記型の場合は、この記録マーク46が不可逆的に形成され、消去することが出来ない。一方、データ保持態様が書き換え型の場合は、記録マーク46が可逆的に形成され、消去及び再形成可能となっている。なお、この記録膜についても、光透過性と光反射特性の双方を併せ持つ必要がある。又ここではグルーブ42上に記録マーク46を形成する場合を示したが、ランド44上に形成しても良く、グルーブ42とランド44の双方に形成することも可能である。
このように、情報記録層20、22、24、26を多層にする場合、光入射面38Aから最も遠いL0情報記録層20に対して十分な強度のレーザー光Zを到達させるために、他の情報記録層22、24、26の光透過特性を高める必要がある。本発明者らの研究によると、光入射面38Aに最も近いL3情報記録層26の光透過度を80%程度に設定することが望ましい。
次に、多層光記録媒体1に信号を記録する際の表面欠陥の影響等について説明する。
本構造の多層光記録媒体1にデータを記録する場合、光入射面38Aから入射させる記録用のレーザー光Zの焦点を、L0〜L3情報記録層20、22、24、26のいずれかに合わせる。例えば図3(A)に示されるように、L3情報記録層26に記録する場合、このL3情報記録層26において、レーザー光Z3のビームスポットSが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、光入射面38Aには、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS3がレーザー光Z3により形成されている。また、図3(B)に示されるように、L2情報記録層24に記録する場合、このL2情報記録層24において、レーザー光Z2のビームスポットが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、光入射面38Aには、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS2がレーザー光Z2により形成されている。図3(C)に示されるように、L1情報記録層22に記録する場合、このL1情報記録層22において、レーザー光Z1のビームスポットが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、光入射面38Aには、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS1がレーザー光Z1により形成されている。図3(D)に示されるように、L0情報記録層20に記録する場合、このL0情報記録層20において、レーザー光Z0のビームスポットが実質的に最小となるようにフォーカス制御される。この際、光入射面38Aには、ビームスポットSよりも大きな中間ビームスポットS0がレーザー光Z0により形成されている。
図4には、光入射面38Aに形成される中間ビームスポットS0〜S3のサイズが比較されている。中間ビームスポットS3が最も小さく、S2、S1、S0の順に大きくなっていることがわかる。これは、光入射面38Aから情報記録層20、22、24、26までの距離が大きくなるほど、焦点(レーザースポットS)が光入射面38Aから離反する為である。多層光記録媒体1を利用者が持ち歩いたり、記録再生機に挿入したりする作業により、光入射面38Aに指紋や埃等の異物50が付着する。この異物50は多層光記録媒体1の記録特性を悪化させる。特に、光入射面38Aに形成される中間ビームスポットS0〜S3に対する異物50の比率が大きくなる程、記録用のレーザー光Zのエネルギーが異物50によって遮られてしまうので記録マークの形成が不十分となる。従ってL3情報記録層26については、異物50の影響を受けやすいことが理解できる。
[参考分析結果]
図5には、多層光記録媒体1に対して、指紋等の異物の存在の有無による記録特性の変化を調べた結果である。なお、多層光記録媒体1は後述する実施例と同じものを利用した。この多層光記録媒体1に対して、表面欠陥が存在しない時に記録したデータを再生したときのビットエラーレート(bER)と、人工的に指紋を付着した状態で記録したデータを再生したときのビットエラーレート(bER)を比較した。この分析の結果、光入射面38Aから光入射側情報記録層26の距離が65μm以内となるL2、L3情報記録層24、26においては、指紋付着の影響によって大幅にbERが増大してしまい10−3を超えてしまう。従って、光入射面38Aに近いほど、表面欠陥が記録マークの形成に悪影響を与えることが明らかとなった。
次に、図6を参照して、本実施形態の情報記録方法を実現する情報記録装置100について説明する。この情報記録装置100は、記録・再生に利用するレーザー光Zを発生させるレーザー光源102、レーザー光源102を制御するレーザーコントローラ104、レーザー光Zを多層光記録媒体1に導く光学機構106、レーザー光Zの反射光を検出する光検出装置108、この光検出装置108の検出情報を解析する多層光記録用制御装置110、多層光記録媒体1を回転させるスピンドルモータ112、スピンドルモータ112を回転制御するスピンドルドライバ114、特に図示しないCPU(中央演算装置)との間で信号データのやり取りを行い、記録信号データ及び再生信号データに基づいて記録再生制御を行う信号処理装置116を備える。
レーザー光源102は半導体レーザーであり、レーザーコントローラ104によって制御されてレーザー光Zを発生させる。光学機構106は、特に図示しないハーフミラーや対物レンズを備え、レーザー光Zの焦点をL0〜L3情報記録層20、22、24、26に適宜合わせることが可能となっている。なお、ハーフミラーは、L0〜L3情報記録層20、22、24、26の反射光を取り出して光検出装置108に導くようにする。光検出装置108はフォトディテクタであり、レーザー光Zの反射光を受光して信号として出力する。この信号は信号処理装置116に提供され、再生信号データとしてCPUに出力される。
CPUからの信号データを多層光記録媒体1に記録する際には、この信号データを受け取った信号処理装置116の指示に基づいて、レーザーコントローラ104がレーザー光源102を制御して、所定のレーザー光Zを発生させる。このレーザー光Zは、光学機構106によって案内されて、L0〜L3情報記録層20、22、24、26のいずれかにレーザースポットとして照射される。このレーザースポットのエネルギーによってL0〜L3情報記録層20、22、24、26に記録マークが形成される。
一方、多層光記録媒体1に記録された情報を再生するには、レーザー光源102から再生レーザー光を発生させて、この再生レーザー光をL0〜L3情報記録層20、22、24、26の特性の場所に照射する。再生レーザー光はL0〜L3情報記録層20、22、24、26で反射されて、光学機構106を介して取り出されて光検出装置108に導かれ、信号処理装置116を経て再生信号となってCPUに提供されるようになっている。
図7には、多層光記録用制御装置110の内部構成が示されている。この多層光記録用制御装置110は、欠陥情報収集部150、欠陥領域設定部152、情報記録層選定部154、情報書込み指示部156、初期化処理部158等を備える。欠陥情報収集部150は、L0情報記録層20に記録レーザー光を照射して情報を記録する際に、この記録レーザー光の反射光を、光検出装置108を介して検出し、この反射光の状態によって多層光記録媒体1の欠陥情報を収集する。この欠陥情報に基づいて光入射面38Aの表面欠陥の状態が明らかとされる。また、欠陥情報収集部150では、この表面欠陥の検出範囲を制限するために、記録作業に関する所定量が予め設定されており、その所定量に対応する欠陥情報が収集できた際に、L0情報記録層20に対する記録作業を終了し、他のL1〜L3情報記録層22、24、26に対する記録作業に移行するように指示する。なお、この所定量の判断として、一定のトラック数又はセクタ数や、情報記録量(ビット数、バイト数等)、記録時間等の数値を利用する事ができる。
欠陥領域設定部152は、欠陥情報に基づいて、記録作業に不具合が生じやすい領域を欠陥領域として決定し、この欠陥領域及び非欠陥領域を順次記憶していく。これにより、L0情報記録層20において情報を記録した領域については、その表面欠陥が検査されたことになる。情報記録層選定部154は、欠陥情報又はこの欠陥情報に基づいて設定された欠陥領域の程度(レベル)により、L1〜L3情報記録層22、24、26から適した情報記録層を選定する。本実施形態では、指紋等による表面欠陥が少ない場合には、L3情報記録層26を選定し、次いで表面欠陥が少ない場合にはL2情報記録層24を選定し、表面欠陥が多い場合にはL1情報記録層22を選定するようにしている。このように、表面欠陥のレベルに応じて情報記録層22、24、26を選定するのは、光入射面38Aに接近している程、記録作業時に表面欠陥の影響を受け易いからである。
情報書込み指示部156は、情報記録層選定部154で選択された情報記録層(以下、被選択情報記録層)であって、且つL0情報記録層20の記録作業を経て表面欠陥の検査済みとなった領域(上記所定量に相当する領域)に対して、上記欠陥領域の記録を回避しながら情報を記録するように指示する。具体的にこの指示は、信号処理装置116に対して行われるようになっており、これらの指示を受けた信号処理装置116が、被選択情報記録層に記録レーザー光の焦点をあわせて情報を記録する。被選択情報記録層の上記検査済み領域に対する情報の書込みが完了した後は、再びL0情報記録層20に戻って新たな記録作業が開始されるようにする。なお、初期化処理部158が、多層光記録媒体1が情報記録装置100に挿入されるタイミングを検出して、挿入される度に、欠陥領域設定部152に記憶されている欠陥領域を初期化する。これは、一度取り出された多層光記録媒体1は、新たな指紋が付着している可能性があるからである。
図8は、この多層光記録用制御装置110を利用して情報を記録する手順を示したフローチャートである。
まず、ステップ200において、初期化処理部158により、記録対象となる多層光記録媒体1が新たに挿入されたものか否かを判定し、一度、新たに挿入されたものである場合にはステップ202に進んで、前回の記録作業における欠陥情報等を全て初期化(リセット)してから、情報の記録作業(ステップ204)を開始する。
ステップ204では、L0情報記録層20を利用して情報の記録作業を開始する。これと同時に、ステップ206において、欠陥情報収集部150が多層光記録媒体1からの反射光に基づいて光入射面38Aの欠陥情報(表面欠陥情報)を収集する。この際に、欠陥領域設定部152では、表面欠陥が有ると判定された欠陥情報とアドレス情報を利用して欠陥領域を決定し、特に図示しないメモリ領域に適宜記憶していく。
ステップ208では、この欠陥情報の収集量が所定量を超えたか否かを判定し、所定量を超えていない場合にはステップ204に戻ってL0情報記録層20に対する書込み作業を継続する。一方、欠陥情報の収集量が所定量を超えたと判定された場合は、ステップ210に進んで、L0情報記録層20に対する記録作業を中止し、ステップ212において、情報記録層選定部154により、欠陥領域の広さに基づいて表面欠陥のレベルを決定し、L1〜L3情報記録層22、24、26から適した情報記録層を選定する。表面欠陥レベルが高い(欠陥が多い)場合には、表面欠陥の影響が少ないL1情報記録層22を選定し、表面欠陥レベルが低い(欠陥が少ない)場合には表面欠陥の影響を受けやすいL3情報記録層26を選定する。また表面欠陥が中間レベルの場合はL2情報記録層24を選定する。また、ここでは特に図示しないが、情報記録層が選定された際に、その情報記録層の表面欠陥の許容レベルに基づいて、欠陥領域設定部152が欠陥領域と非欠陥領域を再設定するようにしている。なお、このように欠陥情報が収集された段階でその表面欠陥レベルが高い場合、音・光・映像等によるアラームを発生してユーザーに多層光記録媒体1を拭くように促すことも好ましい。
次に、ステップ214において、情報書き込み指示部156が、被選択情報記録層の検査済み領域に対して欠陥領域を回避しながら情報を記録するように、信号処理装置116に対して指示を行う。指示を受けた信号処理装置116は、欠陥領域を回避しながら被選択情報記録層に対して記録作業を行い(ステップ216)、検査済み領域に対する記録作業が完了したか否かを判定し(ステップ218)、検査済み領域の記録が完了した場合には、ステップ200に戻って、L0情報記録層20を利用した新領域での記録作業を開始する。
この情報記録装置100によれば、L0情報記録層20対して情報を記録する間に、このレーザー光の反射光(戻り光)を活用して多層光記録媒体1の表面欠陥を検出する。従って、耐指紋性に劣るL3情報記録層26においても、表面欠陥の状況を予め認識しながら記録することが可能となるので、情報の記録エラーを低減させることができる。正確な記録作業は、記録後の再生信号特性を向上させることにも繋がる。また、情報を記録しながら、その記録レーザー光を有効活用しているので、表面欠陥の検査時間を別途確保する必要が無くなり、全体としての記録時間を短縮することができるようになる。
またこの情報記録装置100では、L3情報記録層26に対する記録作業時に、欠陥領域設定部152によって欠陥領域であると判断された領域への記録作業を回避しているので、記録エラーを低減させることが可能になる。
更に、光入射面38Aから最も離れていることで耐指紋性に優れたL0情報記録層20を利用して、情報記録及び表面検査を同時進行させているので、そもそもL0情報記録層20の記録作業では表面欠陥の影響を抑制することが出来る。また、この表面検査を行った後は、耐指紋性の劣るL3情報記録層26に対して積極的に記録作業を行うので、表面欠陥に強いL0情報記録層20と、表面欠陥の影響を受け易いL3情報記録層26の双方において効率的な情報記録作業を実現できる。また、表面欠陥が多い場合には、比較的耐指紋性に優れたL1又はL2情報記録層22、24を選択する事ができるので、多層光記録媒体1の記録領域を有効活用できる。
また、本情報記録装置100では、L0情報記録層20に対する情報記録作業に上限を設定し、所定量に達したと判断した場合に他の情報記録層22、24、26に対する情報記録行為に移行するようになっている。この結果、L0情報記録層20に対して不必要に広い面積を検査してしまうことを防止できる。例えばこの所定量は、一度の記録作業で処理する総情報量に基づいて毎回設定することも可能であり、L0〜L3情報記録層20、22、24、26に対して均等に記録していくと仮定して、総情報量の4分の1を所定量として設定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、L0情報記録層20の記録によって表面検査された領域と、他の情報記録層22、24、26における記録領域が厚さ方向に重なっているので、欠陥領域の信頼性を高めることが可能となる。
なお、上記実施形態では、L0情報記録層20の記録作業時に欠陥情報を収集する場合に限って示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、L0情報記録層20の記録作業が完了した後、他の情報記録層22、24、26の記録作業時も欠陥情報を収集することが可能である。また、本実施形態では、被選択情報記録層の欠陥領域に対しては情報を記録しないようにしたが、本発明はそれに限定されず、欠陥領域に対しては、表面欠陥に対する耐久性を高い信号を集中的に記録するようにしてもよく、また、欠陥領域を含む一定の範囲については、異なる信号処理方法(特に再生エラーに対する復元力に優れた信号処理方法)によって情報を記録するようにしてもよい。
更に、被選択情報記録層の欠陥領域に情報を記録する際には、単位記録マーク(1ビットに割り当て可能な媒体条の距離)を長くすることで、表面欠陥の影響を低減させるようにしてもよい。具体的には、図2に示されるように、各記録マーク46の線密度、即ち単位記録マーク46の螺旋方向長さTを大きくすることによって、記録密度を小さくして、表面欠陥に対する耐久性を高めるようにする。この線密度の制御は、レーザー光Zがグルーブを進行する際の線速度(即ちディスクの回転速度)を制御すればよく、例えば、通常は記録線速度を4.9m/sに設定しておくが、表面欠陥が存在する領域については記録線速度を5.7m/sに変更する。このように、ディスクの回転速度を変化させれば、レーザー光Z側の記録タイミングを変化させることなく、容易に線密度を変化させることが可能になる。なお、線密度を変化させる以外にも、表面欠陥が存在する領域については、隣接するグルーブ43の双方に情報が記録されないように制御することで、実質的に記録密度を小さくすることも可能である。
[実施例]
多層光記録媒体を作成し、本実施形態に係る情報記録装置100を用いて所定の情報記録層に情報の記録を行いつつ、多層光記録媒体1の表面欠陥の状態を検出した結果を下記に示す。
[多層光記録媒体の作成]
まず、射出成型法によって基板10を製造した。基板10の表面にはトラックピッチが0.32μmとなる螺旋状のグルーブを形成した。基板10の素材としてポリカーボネート樹脂を用い、厚みを1.1mm、直径120mmに設定した。
次に、この基板10をスパッタリング装置にセットし、グルーブが形成される側の表面に対して厚さ48nmとなるL0情報記録層20を形成した。具体的には、L0情報記録層20の組成は、ビスマス(Bi)、酸素(O)、ゲルマニウム(Ge)であり、その組成比率(atm%)をBi:O:Ge=29:70:1に設定した。
次に、L0情報記録層20が形成された基板10をスピンコート装置にセットし、回転させながらアクリル系紫外線硬化性樹脂を滴下し、これをスピンコートした。その後、スピンコートされた樹脂の表面に対して、螺旋状のグルーブパターンを有する光透過性スタンパを押し当て、この光透過性スタンパを介して、紫外線を樹脂に照射して硬化させた。硬化後に、光透過性スタンパを剥離することで、螺旋状のグルーブ(トラックピッチが0.32μm)を備えた厚み17μmの第1スペーサー層30が完成した。
次に、L0情報記録層20と同様の手法により、第1スペーサー層30の上にL1情報記録層22を形成した。なお、ビスマス(Bi)、酸素(O)、ゲルマニウム(Ge)の組成比率(atm%)をBi:O:Ge=25:71:4に設定し、厚さを62nmとした。
更に第1スペーサー層30と同様の手法により、L1情報記録層22の上に第2スペーサー層32を形成した。なお、第2スペーサー層32の厚みは20μmに設定した。次いで、第2スペーサー層32の上に、厚さ68nm、ビスマス(Bi)、酸素(O)、ゲルマニウム(Ge)の組成比率(atm%)がBi:O:Ge=25:68:7に設定されたL2情報記録層24を形成し、その上に、厚さ13μmの第3スペーサー層34を形成し、更に第3スペーサー層34の上に、厚さ73nm、ビスマス(Bi)、酸素(O)、ゲルマニウム(Ge)の組成比率(atm%)がBi:O:Ge=23:68:9に設定されたL3情報記録層26を形成した。
そして、L3情報記録層26が形成された基板10をスピンコート装置にセットし、回転させながらアクリル系紫外線硬化性樹脂を滴下し、これに紫外線を照射して厚み48μmのカバー層36を完成させた。
更に、カバー層36の上に、紫外線/電子線硬化型ハードコート剤をスピンコート法により塗布した後、大気中で3分間加熱して被膜内部の希釈溶剤を除去し、未硬化ハードコート材料層を形成した。この未硬化のハードコート材料層に対して、表面材料溶液をスピンコート法によって塗布した。なお、この表面材料溶液は、フッ素系溶剤(99.5重量部)に、パーフルオロポリエーテルジアクリレート(0.33重量部、分子量:約2000)と、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート(0.17重量部)とを加えて調整したものである。その後、ハードコート材料層を60℃で3分間乾燥し、更に、窒素気流下で電子線を照射してハードコート材料層と表面材料溶液を同時に硬化させ、ハードコート層38を完成させた。なお、電子線の照射については、電子線照射装置Curetron(日新ハイボルテージ株式会社製)を用い、電子線加速電圧を200kV、照射線量を5Mradとした。照射雰囲気の酸素濃度は80ppmであった。このようにして、多層光記録媒体1を得た。
[サンプル記録作業の評価]
多層光記録媒体1の光入射面38Aに人工指紋を付着させた。人口指紋の付着手順として、まず人工指紋の素材として、微粒子粉体として機能するJISZ8901に定められた試験用粉体1第11種(中位径:1.6〜2.3μm)の関東ローム(0.4重量部)と、分散媒として機能するトリオレイン(1重量部)と、希釈剤として機能するメトキシプロパノール(10重量部)を混合・攪拌して、これを人工指紋液とした。次に、擬似指紋パターン転写用の原版を作製した。具体的には、人工指紋液をマグネティックスターラーでよく攪拌しながら約1mLを採取し、これをポリカーボネート製基板(直径120mm、厚さ1.2mm)上にスピンコート法により塗布した。この基板を60℃で3分間加熱して、不要な希釈剤であるメトキシプロパノールを完全に除去した。このようにして、擬似指紋パターン転写用の原版を得た。
更に、No.1シリコーンゴム栓の小さい方の端面(直径12mm)を、#240の研磨紙(JIS規定のAA240研磨紙と同等性能を有する)で一様に研磨し、擬似指紋転写材(いわゆる擬似的な指先)を形成した。この擬似指紋転写材の研磨端面を、上記原版に荷重4.9Nで10秒間押し当てて人工指紋液成分を転写材の前記端面に移行させ、更に、この人工指紋液成分の付着量を予め低減させるために、この転写材の前記端面を、ポリカーボネート基板に荷重4.9Nで10秒間押し当てる操作をこのポリカーボネート基板の異なる箇所に連続して3回行った。
このようにして準備された擬似指紋転写材の端面を、多層光記録媒体1のハードコート層38の光入射面38Aにおいて、中心から半径方向に40mm付近のところに荷重29Nで10秒間押し当てて、人工指紋液成分を光入射面38Aに転写することで、これを人口指紋とした。
情報記録装置100を用いて、この多層光記録媒体1におけるL0情報記録層20の見記録領域に対してレーザー光Zを照射し、この反射光を光検出装置108で検出した。図9(A)は、光入射面38Aから約100μmに位置するL0情報記録層20に対してビームスポットSを照射した場合のsum信号である。図からも明らかなように、信号の変化状況を利用すれば、指紋領域と一致する領域を欠陥領域EAとして検出できることが分かった。また、図5で示した様に、L0情報記録層20では、指紋付着によるbERの悪化が少ないので、記録再生を確実に行うことができる。このbERの悪化が少ない理由は、図9(A)で示されるように、指紋が存在する欠陥領域EAにおいても反射光の変化が比較的緩やかであり、情報記録作業における指紋の影響が少なくて済むからと考えられる。従って、記録作業と光入射面38Aの指紋検出作業を同時に行うことができることが明らかとなった。
又図9(B)は、光入射面38Aから約50μmの位置のL3情報記録層26に対してビームスポットSを照射した場合のsum信号である。図9(B)からも明らかなように、指紋領域と一致する領域EBでは、反射光が急峻に変化しているので、情報記録に対する影響が大きいことが分かった。また図5で示した様に、L3情報記録層26では、指紋付着によってbERが大きく悪化することが実際に分かっている。以上のことから、L0情報記録層20を利用して情報を記録しながら欠陥領域EAを判別し、耐指紋性が低いL3情報記録層26では欠陥領域EBを予め回避しながら情報を記録することで、記録エラー自体を低減できることが明らかとなった。
本実施形態の情報記録装置100によれば、光入射面から約100μmという極めて狭い範囲内に3層以上、好ましくは4層以上の情報記録層が積層される多層光記録媒体であっても、表面欠陥を回避しながら効率的に情報の記録を行うことができる。なお、本実施形態では、多層光記録媒体の情報記録層が4層の場合に限って示したが、本発明はそれに限定されず、2層、3層でもよく、又5層以上であっても良い。
更に本実施形態では、第1情報記録層として、光入射面38Aから最も遠いL0情報記録層20を利用する場合に限って示したが、本発明はそれに限定されず、他の情報記録層を利用してもよい。例えば、最も光入射面から遠い情報記録層の所定の領域には既に情報が記録されている場合には、次に遠い情報記録層を適宜選択して、記録及び表面欠陥の検出を行うようにしても良い。
なお、本発明の情報記録装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明によれば、多層光記録媒体の特徴を有効活用して、確実且つ効率的に情報を記録していくことが可能となる。
本発明の実施の形態で利用される多層光記録媒体を示す斜視図、及び拡大断面図 同多層光記録媒体の情報記録層におけるデータ保持形態を示す拡大斜視図 同多層光記録媒体の各情報記録層の情報を記録する状態を示す断面図 同多層光記録媒体の光入射面に形成されるビームスポット及び付着する指紋を模式的に示す拡大平面図 光記録媒体の情報記録層の位置と記録時の耐指紋特性の関係を分析した結果を示す図表 本発明の実施の形態に係る情報記録装置の構成を示すブロック図 同情報記録装置に組み込まれる多層光記録制御装置の構成を示すブロック図 同情報記録装置に情報記録手順を示すフローチャート 実施例において光入射面の指紋が検出された状態を示す解析図 従来のDVDの構造を模式的に示した断面図 従来のハイブリットDVDの構造を模式的に示した断面図 光記録媒体における指紋の影響を示す図表
符号の説明
1 ・・・ 多層光記録媒体
10 ・・・ 基板
20 ・・・ L0情報記録層
22 ・・・ L1情報記録層
24 ・・・ L2情報記録層
26 ・・・ L3情報記録層
30 ・・・ 第1スペーサー層
32 ・・・ 第2スペーサー層
34 ・・・ 第3スペーサー層
36 ・・・ カバー層
38 ・・・ ハードコート層
38A ・・・ 光入射面
100 ・・・ 情報記録装置
102 ・・・ レーザー光源
104 ・・・ レーザーコントローラ
106 ・・・ 光学機構
108 ・・・ 光検出装置
110 ・・・ 多層光記録用制御装置
112 ・・・ スピンドルモータ
114 ・・・ スピンドルドライバ
116 ・・・ 信号処理装置
150 ・・・ 欠陥情報収集部
152 ・・・ 欠陥領域設定部
154 ・・・ 情報記録層選定部
156 ・・・ 情報書込み指示部
158 ・・・ 初期化処理部

Claims (14)

  1. 複数の情報記録層を備えた多層光記録媒体に対して情報を記録する情報記録方法であって、
    第1情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録すると共に、前記記録レーザー光の反射光を検出して前記多層光記録媒体の欠陥情報を収集し、
    前記欠陥情報に基づいて第2情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録することを特徴とする多層光記録媒体の情報記録方法。
  2. 前記欠陥情報を利用して前記多層光記録媒体の欠陥領域及び非欠陥領域を予め判別し、前記第2情報記録層の前記欠陥領域に対して、前記記録レーザー光による情報の記録を回避することを特徴とする請求項1記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  3. 前記第1情報記録層として、前記多層光記録媒体の光入射面からの距離が前記第2情報記録層よりも離れた情報記録層を選択することを特徴とする請求項1又は2記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  4. 前記第1情報記録層として、前記多層光記録媒体の光入射面からの距離が最も離れた情報記録層を選択することを特徴とする請求項1、2又は3記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  5. 前記第2情報記録層として、前記多層光記録媒体の光入射面からの距離が最も近い情報記録層を選択することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  6. 前記欠陥情報のレベルを利用して、複数の情報記録層の中から適した前記第2情報記録層を選択する事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  7. 前記多層光記録媒体が外部に取り出されたと判断した場合、前記欠陥情報を初期化することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  8. 前記第1情報記録層に対する情報記録が所定量に達したと判断した場合に、前記第2情報記録層に対する情報記録行為に移行することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  9. 前記所定量として、記録領域又は情報記録量が予め設定されていることを特徴とする請求項8記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  10. 前記所定量として、情報記録時間が予め設定されていることを特徴とする請求項8又は9記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  11. 前記第1情報記録層に対する前記記録レーザー光による情報記録領域に対して、前記第2情報記録層の情報記録領域を厚さ方向に重ならせることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  12. 前記第1情報記録層が、記録された情報を消去して再度の記録が可能な書換型であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか記載の多層光記録媒体の情報記録方法。
  13. 複数の情報記録層を備えた多層光記録媒体に対して情報を記録する情報記録装置に用いられる多層光記録用制御装置であって、
    第1情報記録層に記録レーザー光を照射して情報を記録する際の前記記録レーザー光の反射光を検出して前記多層光記録媒体の欠陥情報を収集する欠陥情報収集部と、
    前記欠陥情報収集部の前記欠陥情報に基づいて、前記多層光記録媒体における欠陥領域及び非欠陥領域を設定する欠陥領域設定部と、
    前記非欠陥領域を利用して第2情報記録層に対する情報の記録を指示する情報書込み指示部と、
    を備える事を特徴とする多層光記録用制御装置。
  14. 請求項13記載の多層光記録用制御装置と、前記記録レーザー光を発生するレーザー光源と、前記レーザー光源を制御するレーザーコントローラと、前記記録レーザー光を前記多層光記録媒体に導く光学機構と、前記記録レーザー光の反射光を検出して情報を前記制御装置に提供する光検出装置と、を備える事を特徴とする多層光記録媒体の情報記録装置。
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