JPWO2006043460A1 - 難燃剤組成物 - Google Patents

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Abstract

(A)特定のフェノール系樹脂及び、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物は、特に樹脂に添加した場合に、難燃性、耐熱性、耐吸湿性、押出作業性、離型性、熱安定性、耐衝撃性、機械特性等に優れた樹脂組成物を得ることが出来る。

Description

本発明は難燃剤組成物に関する。さらに詳しくは、樹脂などに配合した際に、加工性に優れ、且つ難燃性、耐吸湿性、耐熱性、押出作業性に優れる難燃剤組成物に関する。
従来、易燃性樹脂の難燃化の手法として、含塩素化合物、含臭素化合物、三酸化アンチモンなどを添加する方法や、樹脂中に含塩素化合物、含臭素化合物を含有させる手法が用いられてきたが、これらは環境保護の観点、毒性の面等から好ましくないとの指摘があり、難燃化手法の改善が求められている。含塩素、含臭素系難燃剤を用いない難燃化手法としてリン系難燃剤を用いた難燃化手法が検討されている。
その難燃化の作用機構は、燃焼時に樹脂表面に生じるポリリン酸相と樹脂の脱水の結果生じる炭化層が皮膜となって、燃焼中の樹脂への熱と酸素供給の遮断にあるといわれている。そして、炭化皮膜を生成しやすい、即ち脱水されやすい樹脂に対して特に有効とされている。逆に、脱水による炭化皮膜を生成し難い樹脂をリン及びリン化合物によって難燃化しようとする場合、主としてポリリン酸相皮膜に頼らざるを得ないため、その配合量を多くしなければならない。
リン及びリン化合物の配合量を増やすことなく炭化皮膜を形成し難い樹脂を難燃化するには、予め炭化皮膜の原料となる成分を配合した難燃剤組成物を用いるという着想が生まれる。
特許文献3には、ポリアルキレンアリレート系樹脂に対し、架橋ホスファゼン化合物とポリフェニレンエーテル樹脂とを難燃剤として使用する方法が提案されている。これは、ポリアルキレンアリレート系樹脂に対して良好な難燃性を付与するものであるが、加工性、耐熱性、機械特性、誘電特性及び、成形品外観において充分に満足できるものではなかった。
また、難燃剤用途としてフェノール樹脂を添加する技術として、ポリスチレン換算重量平均分子量が500,000以上であるフェノール樹脂を用いる技術が開示されている(特許文献4)。しかし、このような高分子量のフェノール樹脂を用いると、樹脂に添加した場合に加工流動性が著しく劣る上、難燃性付与効果も著しく劣り、好ましくない。
さらには、ポリスチレン換算重量平均分子量が5000以上50000未満で且つ、未反応フェノールが0.5重量%未満であるノボラック型フェノール樹脂を用いることにより、樹脂本来の機械特性を落とすことなく難燃化を可能とする技術が開示されている(特許文献5)。しかしこれは、フェノール樹脂中の高分子量成分と低分子量成分の比率が一定の範囲である場合、特に耐熱性の低下が抑えられ、且つ難燃性、機械特性、加工性に優れるという技術的思想は見出せず、本発明を示唆するものではない。
また、特許文献6には、ポリアルキレンテレフタレート樹脂の難燃化手法として、フェノール系樹脂とフェノキシホスファゼンを併用する技術が開示されている。しかし、これはフェノール系樹脂に関する考慮が十分でないため、難燃性、耐熱性、耐衝撃性、成形性(外観)、機械強度をバランスよく付与することができていない。
これらの従来技術からは、本発明者らが見出した、特定のフェノール樹脂とリン化合物からなる難燃剤組成物が、難燃性に加えて、耐熱性、機械特性、作業性、低発煙性等の諸物性をバランスよく維持又は向上するという効果は見出すことができない。そのような優れた効果は、後述するように本発明によって初めて達成されたものである。
特公平3−73590号公報 特開平8−225714号公報 国際公開番号WO03/002666号パンフレット 特開2000−273132号公報 特開2001−164256号公報 国際公開番号WO01/048086号パンフレット
本発明は、塩素、臭素化合物を含まず、樹脂に添加した場合に、難燃性、耐吸湿性、耐熱性、誘電特性、低発煙性、押出作業性に優れる難燃剤組成物を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)特定のフェノール樹脂及び、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物を用いることにより、樹脂に添加した場合に、樹脂表面への炭化被膜の形成を促進し、皮膜を形成し難い樹脂に対しても安定した難燃性を付与することができ、且つ優れた耐熱性、耐加水分解性、熱安定性、耐衝撃性、機械特性、良押出作業性及び成形品外観を有する難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.(A)テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおいて、ポリスチレン換算分子量が870以上の面積分率(a)と870未満の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下であり、且つ、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜80000であるフェノール系樹脂と、(B)リン化合物(縮合していないリン酸エステルを除く)とからなる難燃剤組成物、
2.(A)成分が、ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする上記1に記載の難燃剤組成物、
3.(A)成分において、三核体成分の含有量が7%以下であることを特徴とする上記1又は2いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
4.(A)成分において、二核体成分の含有量が10%以下であることを特徴とする上記1〜3いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
5.(B)成分が、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
6.(B)成分が縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
7.(B)成分が、少なくともホスファゼン化合物を含有することを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
8.(B)成分がホスファゼン化合物であって、環状三量体及び/又は環状四量体含有量が80重量%以上であることを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
9.(B)成分が、ホスファゼン化合物であって、環状三量体を76重量%以上含有することを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
10.(A)三核体成分の含有量が7%以下であり、且つ、ポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜80,000であるノボラック型フェノール樹脂と(B)縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物からなることを特徴とする難燃剤組成物、
11.さらに窒素含有化合物を添加することを特徴とする上記1〜10いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
12.窒素含有化合物が、トリアジン系化合物であることを特徴とする上記11に記載の難燃剤組成物、
13.(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を1〜90重量部、(B)成分を99〜10重量部含有することを特徴とする上記1〜12に記載の難燃剤組成物、
14.(C)樹脂及び、上記1〜13いずれか一項に記載の難燃剤組成物を含有する樹脂組成物、
15.(C)樹脂100重量部に対し、難燃剤組成物((A)+(B))が0.1〜200重量部であることを特徴とする上記14に記載の樹脂組成物、
16.(C)成分がポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、サーモトロピック液晶及びエラストマー含有ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記14又は15いずれか一項に記載の樹脂組成物、
17.(C)樹脂がポリアルキレンアリレート系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記14又は15いずれか一項に記載の樹脂組成物、
18.主鎖中の芳香環成分含有量が5〜75重量%のポリアミド樹脂及び、上記1〜13から選ばれる少なくとも一種の難燃剤組成物からなる樹脂組成物、
19.更に充填材を含有することを特徴とする上記14〜18いずれか一項に記載の樹脂組成物、
20.充填材含有量が、充填材以外の成分合計100重量部に対して、1〜200重量部であることを特徴とする上記19に記載の樹脂組成物、及び、
21.上記14〜20のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成型体、
に関する。
(A)特定のフェノール系樹脂及び、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物は、特に樹脂に添加した場合に、難燃性、耐熱性、耐吸湿性、押出作業性、離型性、熱安定性、耐衝撃性、機械特性等に優れた樹脂組成物を得ることが出来る。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明においては、(A)特定のフェノール系樹脂及び、(B)特定のリン化合物は必須成分である。これらの成分を適宜組み合わせることにより、高温加熱時に炭化層の成長を促進し、少量の添加で優れた難燃性、機械特性、成型品外観を得ることができる。
(A)フェノール系樹脂
本発明においては、テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおいて、ポリスチレン換算分子量が870以上の面積分率(a)と870以下の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下、好ましくは74%以上95%以下、より好ましくは74%以上92%以下であるフェノール系樹脂と、(B)成分のリン化合物と併用することにより、その相乗効果により、樹脂組成物に優れた難燃性、耐熱性、機械特性、良成型品外観を与える。
また、難燃性、耐熱性、加工性等のバランスを考慮すると、テトラヒドロフランを溶媒としてGPCにより測定したリテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを有する三核体成分の含有量が7%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、更に好ましくは3%以下であるフェノール系樹脂が好適に用いられる。
本発明においては特に、上記条件を満足するフェノール系樹脂、即ち、テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおけるリテンションタイム6.1〜9.7分の面積分率(a)とリテンションタイム9.7〜11.9分の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下、好ましくは74%以上95%以下、より好ましくは74%以上92%以下、特に好ましくは74%以上90%以下であるフェノール系樹脂は、優れた難燃性、耐熱性、機械特性、加工性、成型品外観を与えるが、特に、難燃性において相乗的な高い効果を与える。
フェノール系樹脂のGPCの測定方法は、Waters Alliance(日本ウォーターズ(株)社製)を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で、カラム温度35℃、流速1mL/minにて、カラムを日本ウォーターズ(株)社製 Waters Styragel HR1、HR3、HR4 各一本を直列につないで使用して、UV(Waters2487;波長254nm)及び/又はRI(Waters 2414)検出器にて測定する方法である。リテンションタイム6.1〜9.7分と9.7〜11.9分のそれぞれの面積分率を求める方法は以下に示す方法で計算する。GPCチャートのベースラインと6.1〜9.7分のGPC曲線とリテンションタイム9.7分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(a′)とし、GPCチャートのベースラインと9.7〜11.9分のGPC曲線とリテンションタイム11.9分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(b′)とするとき、(a′)と(b′)の合計に対する(a′)を百分率表示した値を面積分率(a)とし、(a′)と(b′)の合計に対する(b′)を百分率表示した値を面積分率(b)とする。また、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成し、較正曲線を元にリテンションタイム9.7分の分子量を算出したところ、約870であった。
また、三核体含有量の測定方法は、上記条件下でのGPCの測定における、リテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを持つピークを三核体ピークとし、隣のリテンションタイム9.8分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム1)から垂直に降ろした直線、10.4分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム2)から垂直に降ろした直線、ベースライン、GPC曲線で囲まれた面積(S1)をリテンションタイム6.1〜11.9分の範囲でGPC曲線とベースラインに囲まれた面積(全面積S2)で割って100を乗じた値を三核体のピーク面積分率(%)とし、三核体の含有量とする方法である。同様に10.4〜10.7分付近にピークトップを有するピークを二核体、11.1〜11.3分付近にピークトップを有するピークを遊離モノマーとして、それぞれの面積分率を算出する。ここで求めた面積分率を各成分の含有率とした。
本発明で用いられるフェノール系樹脂としては、従来公知の構造を有するフェノール樹脂であれば何でも良く、一例を挙げるとノボラック型フェノール系樹脂、レゾール型フェノール系樹脂、フェノールアラルキル系樹脂、ポリビニールフェノール系樹脂などが挙げられ、これらをカシュー、オイル、ゴムなどで変性していても良い。中でも、難燃性付与効果及び製造コスト等のバランスを考慮すると、ノボラック型フェノール系樹脂を特に好適に用いることができる。
本発明で好適に用いられるノボラック型フェノール系樹脂の製造方法は本願の発明の範囲を満たす方法であれば特に規定はしないが、一般的にはフェノール類とアルデヒド類を酸触媒若しくは酸触媒なしで付加、縮合して得ることができる。
また、レゾール型フェノール系樹脂はフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒で付加、縮合して得ることができる。
好適に用いられるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブチルフェノール、ペンチルフェノール、アルキルフェノール、レゾルシン等の炭素数が0〜12のアルキル基が置換したフェノール類が挙げられる。
また、好適に用いられるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒドや、ホルミル基を有するベンゼン類等が挙げられる。
フェノール類とアルデヒド類の縮合反応において用いることもできる酸触媒としては特に規定はされないが、一例を挙げると塩酸、硫酸、リン酸、蓚酸、トルエンスルホン酸等を好適に用いることができる。
本発明で用いられるフェノール系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は、難燃性付与効果、機械特性及び加工性、作業性とのバランスを考慮すると、2,000〜80,000のものが好適に用いられ、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜50,000、特に好ましくは3,000〜30,000である。
本発明で用いられるフェノール系樹脂は、加工流動性、機械特性、低発煙性等を考慮すると、二核体含有量が少ない方が好ましい。具体的には、本願実施例に示す遊離モノマー及び二核体のGPCによる測定方法に従って測定した二核体含有率が、フェノール系樹脂全体の10面積%以下であることが好ましい。また、押出や成型時のブリードの問題を考慮すると、遊離モノマー含有量が5%以下、好ましくは3%以下であるフェノール樹脂が好適に用いられる。また、更に難燃性、加工流動性、機械特性、熱安定性及び作業性等が必要な場合は、遊離モノマー、二核体、三核体の合計が17.5%以下、より好ましくは17.0%以下、更に好ましくは16.5%以下であるフェノール系樹脂が好適に用いられる。
このようなフェノール系樹脂の製造方法としては何等規定はされないが、一例としては、特開2004−323822号公報や特開平11−246643号公報に記載の方法等が挙げられる。
(B)リン化合物
本発明で用いては、縮合していないリン酸エステルを除いて、従来公知のリン化合物を好適に用いることができる。一例を挙げると、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸エステルアミド、リン含有ポリマー、ホスフィンオキシド、ホスフィンスルフィドや、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン等の三級ホスフィン類等を好適に挙げることができ、これらは一種単独又は二種以上の混合物として使用することができる。トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の縮合していないリン酸エステルは、(A)特定のフェノール樹脂と併用した場合、作業性、加工性に劣るため好ましくない。
(B−1)ホスファゼン化合物
本発明で好適に用いることができるホスファゼン化合物としては、従来公知のものを広く用いることができる。本発明で好適に用いられるホスファゼン化合物の構造は、例えばJames E. Mark, Harry R. Allcock, Robert West 著、”Inorganic Polymers” Pretice-Hall International, Inc., 1992, p61-p140に記載されている。例えば、一般式(1)で示される環状ホスファゼン化合物
Figure 2006043460
及び/又は、一般式(2)で示される鎖状ホスファゼン化合物
Figure 2006043460
が挙げられる。その中でもこれらの構造を有するホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ここで、式中のnは3〜25の整数、mは3〜10,000の整数であり、置換基Xは炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、又は下記一般式(3)で示される置換基を有するアリールオキシ基
Figure 2006043460
(式中のR1、R2、R3、R4及びR5は水素原子、フッ素原子、炭素数が1〜5のアルキル基またはアルコキシ基、フェニル基、ヘテロ元素含有基の中からなる群より選ればれた少なくとも一種の置換基を表す)、
又はナフチルオキシ基、又は炭素数が1〜6のアルコキシ基やアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基のうち、少なくとも一種の置換基であり、置換基上の水素は一部又は全部がフッ素に置換されていても構わない。また、式中のYは-N=P(O)(X)又は-N=P(X)3を表し、Zは-P(X)4又は-P(O)(X)2を表す。
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
難燃性を決める因子の一つとして、分子中に含有するリン原子の濃度が挙げられる。ホスファゼン化合物において、鎖状構造を有する鎖状ホスファゼンは分子末端に置換基を有することから、環状ホスファゼン化合物よりもリン含有率が低くなる。同量を添加する場合、鎖状ホスファゼン化合物よりも環状ホスファゼン化合物の方がより難燃性付与効果が高いと考えられる。以上のことから、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物の使用が好ましく、環状ホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ホスファゼン化合物中の置換基Xは特に制限はなく、一例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基等のアルキル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4-ターシャリーブチルフェニル基、2-メチル-4-ターシャリーブチルフェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,5−ジエチルフェノキシ基、2,4−ジエチルフェノキシ基、3,5−ジエチルフェノキシ基、3,4−ジエチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基等のアルキル置換フェノキシ基、アリール置換フェノキシ基ナフチル基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。これらの基の一部又は全部の水素がフッ素及び/又はヘテロ元素を含有する基に置き換わっていても構わない。ここで、ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基である。一例を挙げると、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。
さらに、これらの化合物は国際公開番号WO00/09518号に開示されている技術により、フェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(4)からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていても良い。
Figure 2006043460
(式中Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表す)これらの架橋構造を有するホスファゼン化合物は、具体的にはジクロルホスファゼンオリゴマーにフェノールのアルカリ金属塩および芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させることにより製造される。これらのアルカリ金属塩は、ジクロロホスファゼンオリゴマーに対して理論量よりもやや過剰に添加される。
これらのホスファゼン化合物は一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
また、ホスファゼン化合物は環状三量体、環状四量体等の環状体や鎖状ホスファゼンといった構造の異なる混合物である。樹脂に添加した場合の加工性は環状三量体、四量体含有率が高いほど好ましい傾向にある。具体的には環状三量体及び/又は四量体化合物を80重量%以上含むホスファゼン化合物、より好ましくは三量体及び/又は四量体化合物を85重量%以上、さらに好ましくは93重量%以上含有するホスファゼン化合物が好ましい。また、本願による特定のフェノール系樹脂と組み合わせて使用する場合、三量体を70重量%以上、より好ましくは三量体を76重量%以上、更に好ましくは三量体を80重量%以上,特に好ましくは三量体を85重量%以上含有するホスファゼン化合物を用いると、特に優れた難燃性付与効果が得られる上、優れた機械特性の向上効果が得られる。
また、ホスファゼン化合物は、置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。固体状態の場合、嵩密度が0.45g/cm以上、好ましくは0.45g/cm以上、0.75g/cm以下であることが好ましい。
該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ200ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは、全アルカリ金属成分が50ppm以下である。また、一般式(1)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP−OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量が1重量%未満であることが望ましく、且つ、塩素含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下であることが望ましい。
置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物は、一般式(5)で表されるオキソ体構造をとることもある。このようなオキソ体化合物も水酸基含有ホスファゼン化合物と同様に1重量%未満であることが望ましい。上記一般式(2)で表される鎖状構造を有するホスファゼン化合物でも同様である。
Figure 2006043460
・・・(5)
(式中のa+b=nであり、nは3以上の整数である。また、式中のXは同じであっても異なっても良いアリールオキシ基、及び/又はアルコキシ基を示す)
(B−2)縮合リン酸エステル
本発明で好適に用いられる縮合リン酸エステルは従来公知のものを広く用いることができる。一例を挙げると、例えばペンタエリスリトールジホスフェートや、下記一般式(6)、(7)を有する燐酸エステル化合物である。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
(ここで、Q1、Q2、Q3、Q4、Q9、Q10、Q11、Q12は、独立に水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を表し、Q5,Q6、Q7、Q8、Q13は独立に水素原子、またはメチル基を表す。m1、m2、m3、m4、m7、m8、m9、m10は、独立に0から3の整数を示し、m5、m6は独立に0から2の整数を表し、m11は独立に0から4の整数を表す。)
(B−3)ホスフィン酸塩
本発明で用いることができるホスフィン酸塩は、下記一般式(8)及び/又は(9)で表されるホスフィン酸塩及び/又はこれらのポリマーから選ばれる少なくとも一種である。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
(ここで、式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を表し、Q5は炭素数が1〜18のアルキレン、アリールアルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、ジアリーレンから選ばれる少なくとも一つの基を表す。式中n、mはそれぞれ1〜3の整数であり、xは1又は2である。また、Mは、周期表第四周期以降の金属原子、アミド、アンモニウム基及びメラミン誘導体から選ばれる少なくとも一つの基を表す。)
(B−4)三級ホスフィン類
本発明で用いることができる三級ホスフィン類としては、従来公知のものを好適に用いることができる。耐熱性及び、難燃性、機械特性のバランスを考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10%減量温度が、150℃〜320℃であることが好ましい。一例を挙げると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン等が挙げられる。より具体的には、その中でも、下記一般式(10)で表されるトリアリールホスフィン類が好適に用いられる。
Figure 2006043460
(ここで、T1、T2、T3、T4は、独立に水素原子又は炭素数1から12のアルキル基又はアリール基を表し、T5は水素原子又はメチル基を表す。m1、m2、m3、m4は独立に0から5の整数を示し、m5は独立に0から4の整数を表す。また、式中のnは、0〜3の整数を表す。また、アリール基として、ナフチル基も好適に用いることができる。また、リン原子上の三つのアリール基は、すべて同じ基であっても、それぞれ異なる基であっても良い。)
本発明において好適に使用される(B)リン化合物に含有する水分量は、誘電特性、耐加水分解性等を考慮した場合、1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは650ppm以下、さらには500ppm以下、より好ましくは300ppm以下であることが好ましい。樹脂への混練時の熱安定性、難燃性付与効果等を特に考慮する必要がある場合、JIS K6751に基づき測定された酸価が1.0以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下であることが望ましい。
また、本発明で好適に使用される(B)成分は、耐加水分解性、耐吸湿性の観点から、水への溶解度(サンプルを0.1g/mLの濃度で蒸留水に混合し、室温で1時間攪拌後に水中に溶け込んだサンプルの量を指す)が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm、特に好ましくは、25ppm以下であるものが良い。
本発明の特定のリン化合物は、(A)成分と併用して用いた場合の難燃性、燃焼時の低発煙性、低揮発性等を考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時、50%の重量減少時の温度と5%重量減少時の温度の差が、20〜150℃、好適には20〜120℃であるものが好ましい。また、樹脂に対して用いた場合、燃焼時の炭化層形成促進効果による難燃効率を考えると、50%重量減少時の温度が320〜500℃であるものが好ましく、より好ましくは350〜460℃である。
本発明で好適に用いられるリン化合物は、含有する置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができる。本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。
本発明において好適に用いられるリン化合物の中で、リン化合物自体の耐熱性や、低揮発性を考慮する必要がある場合、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物が好適に用いられる。好ましくはビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合燐酸エステル、ビスフェノールAまたはレゾルシンと2,6−キシレノールを原料として得られる縮合燐酸エステル、ホスファゼン化合物が用いられる。また、更に耐加水分解性を考慮する必要がある場合、環状ホスファゼン化合物が特に好適に用いられる。
(難燃剤組成物の配合割合)
難燃剤組成物の配合割合は、本願の効果が得られる範囲であれば特に規定はされない。本願の効果を効率良く得ようとした場合、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を1〜90重量部、(B)成分を99〜10重量部、好ましくは(A)成分を3〜80重量部、(B)成分を97〜20重量部、更に好ましくは(A)成分を10〜80重量部、(B)成分を90〜20重量部であることが好ましい。
(難燃剤組成物の形状)
本発明における難燃剤組成物の形状は、本発明の効果が達成できるものであれば特に規定するものではない。例えば、粉体、錠剤型、ペレット、塊状、ワックス、液体、オイル等の状態で供給される。また、本発明における難燃剤組成物においては、各成分は完全に相溶させても良いし、単純に混合させて用いても良い。また、相溶させたものと単純混合のものとの混合物でも良い。
(難燃剤組成物の使用用途)
本発明の難燃剤組成物は、広範囲で好適に使用することができ、使用方法、使用分野は特に規定されない。好適な使用方法として、一例として挙げると、樹脂用難燃剤、ゴム、潤滑剤、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、不燃性電解液、電池電装用、離形剤、離形膜、粗化面形成材、撥水剤等に好適に用いられる。
(樹脂)
本発明の難燃剤組成物は、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。使用に共される樹脂は何等規定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が好適に使用される。一例を挙げると、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、エラストマー含有ポリスチレン、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、サーモトロピック液晶、ポリケトン系樹脂等が挙げられる。特にポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリアミドのアロイ、ポリフェニレンエーテルとサーモトロピック液晶とのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンサルファイドとのアロイが好適に使用される。
硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムがある。特にエポキシ樹脂が好適に使用される。
本発明で使用される樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
(ポリアミド系樹脂)
本発明で使用されるポリアミド系樹脂としては、従来公知のものが好適に用いられ、特に限定されない。 これらポリアミド樹脂を合成するためのモノマーは、アミンとしては例えば、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等を挙げることができる。これらのうち1種または2種以上を用いることができる。また、ジカルボン酸としては、アジピン酸、オクタメチレンジカルボン酸、、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、3,3−ジエチルコハク酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、ウンデカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸など、アミノ酸として、ペンタメチレンアミノカルボン酸、デカメチレンアミノカルボン酸、ウンデカメチレンアミノカルボン酸など、ラクタム類としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等を好適に用いることができる。これらは1種又は二種以上を用いることができる。
これらのモノマーを組み合わせて得られるポリアミド系樹脂の一例を挙げると、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、ポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド 66/6I/11、ポリアミド66/6I/12、ポリアミド 66/6I/610、ポリアミド 66/6I/612、ポリアミド10T、ポリアミド12T等が挙げられる。これらは一種単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
本発明のポリアミド系樹脂の重合反応方法は、一般的なポリアミドの重合方法であれば特に限定しない。通常、ジアミンとジカルボン酸とから重合する場合、アミンと酸の当量塩を作り、もしくは、別々に当量添加して縮重合反応する。ラクタムから重合する場合、開環触媒として、少量の水、アミノ酸、鉱酸などを添加し、縮重合反応する。モノマーもしくはモノマー水溶液を加熱し、水分を除去しながら重合を進める溶融重合は工業的に汎用されている。ここで、重合度コントロール剤として、アミンや酸を添加することは周知のことである。また、モノマーを密閉容器中、水の存在下加熱してオリゴマーをプレ重合し、これをニーダーもしくは押出機で後重合する方法もある。モノマーの種類によっては、モノマー段階から、ニーダーもしくは押出機で重合する方法もある。
本発明のポリアミドを製造するに際して、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルを添加することができる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げることができる。
本発明において、特に効果的に難燃性を付与する必要があり、且つ流動性もバランスよく付与する必要がある場合、主鎖中の芳香環成分含有率が5〜75重量%、好ましくは25〜65重量%、更に好ましくは31〜55重量%であるポリアミド系樹脂が好適に用いられる。主鎖中の芳香環成分含有率は式(1)で表される。
芳香環成分含有率(φ)=(芳香環を構成する炭素および水素の総原子量)/(ポリアミドの繰り返し単位の総原子量)×100 (%) ・・・式(1)
なお、コポリアミドの場合、式(2)で求められる。
芳香環成分含有率(φ)=Σφi×αi×100 (%) ・・・式(2)
φi:i番目コポリアミド成分の芳香環成分含有率
αi:i番目コポリアミド成分のポリアミド全量に対する重量分率
本発明で使用されるポリアミド樹脂としては、特定範囲内の重合度、すなわち相対粘度を有するものが好ましい。好ましい相対粘度は、JIS K 6810に従って98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した値で半芳香族ポリアミドについては、1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.0の範囲である。材料強度、流動性、成形性や製品外観等より、適度な相対粘度を有することが好ましい。
本発明のポリアミドの末端は封止されていてもよい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はなく、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等を用いることができる。反応性および封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ、毒性等の点からモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はない。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はない。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
(C−2) ポリアルキレンアリレート系樹脂
ポリアルキレンアリレート系樹脂としては、従来公知のものを好適に用いられる。一例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
本願で用いられるポリアルキレンアリレート系樹脂は、従来公知の方法、例えば、アルキレングリコールと、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル(例えば、テレフタル酸やテレフタル酸ジメチル、共重合成分としてのイソフタル酸やイソフタル酸ジメチルなど)とを用いた直接エステル化法やエステル交換反応などにより製造できる。
これらのポリアルキレンアリレート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C−3)ポリフェニレンエーテル系樹脂
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂は、一般式(11)及び/または(12)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体であることが好ましい。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素を表す。但し、R5、R6は同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、等のホモポリマーが挙げられる。
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、特開昭63−301222号公報等に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含んでいるポリフェニレンエーテルは特に好ましい。
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量体単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと下記一般式(13)で示されるビスフェノールとの共重合体等がある。
Figure 2006043460
(ここで、R7、R8、R9、R10は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素を表す。また、式中Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表し、zは1又は2を表す。)
本発明においては、ポリフェニレンエーテル樹脂の一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、水酸基、無水ジカルボキル基などの反応性官能基を、グラフト反応や、共重合など何らかの方法で導入した変性ポリフェニレンエーテル樹脂も本発明の目的を損なわない範囲で使用できる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリフェニレンエーテル樹脂の一部又は全部を、不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されている。例えばラジカル開始剤の存在下または非存在下において、ポリフェニレンエーテル樹脂に不飽和カルボン酸やその官能的誘導体を溶融混練し、反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸やその官能的誘導体とをラジカル開始剤存在下または非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2.2.1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などや、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミドなど、さらにはアクリル酸、メタクリル酸などや、これらモノカルボン酸のエステル、アミドなどが挙げられる。また、飽和カルボン酸であるが変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、本発明で用いる官能的誘導体となり得る化合物も用いることができる。具体的にはリンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で用いることのできるポリフェニレンエーテルの分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、数平均分子量が500〜30000のものを好適に用いることができる。成型加工性に特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が500以上、5000以下のもの、好ましくは1200以上、4000以下のものを好適に用いることができる。耐熱性が特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が5000を超えるものを用いることが好ましい。ポリフェニレンエーテルは、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。
(C−4)ポリカーボネート樹脂
本発明で好適に用いることができるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(14)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2006043460
(式中のArは、二価の炭素数4〜200の芳香族含有基であり、一例を挙げると、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンや、下記一般式(15)で示される基である)
Figure 2006043460
(式中Xは、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、下記一般式(16)、(17)で表される基である。)
Figure 2006043460
Figure 2006043460
(式中R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜20アルキル基、アリール基を表し、置換基上の水素原子はフッ素原子で置換していても良い)
また、本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していても良い。また、オルガノシロキサンで変性されたポリオルガノシロキサン変性ポリカーボネート系樹脂も好適に用いることができる(例えば、特開平6−100684号公報、特開平10−182832号公報等に記載の樹脂等)。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリカーボネート樹脂の末端基としては、本発明の効果が得られるものであれば特に規定はされない。例示すると、アルキル基、アルキルカーボネート基、アリール基、アリールカーボネート基等が挙げられ、末端基として一種以上の基を結合することができる。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、ポリスチレン換算数平均分子量が1000〜100000のもの、好ましくは2000〜70000のもの、より好ましくは5000〜25000のものを好適に用いることができる。ポリカーボネート樹脂は、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の製造方法は従来公知の方法を広く用いることができ、何等規定されるものではない。一例を挙げると、ホスゲン法、エステル交換法等で製造されたものを好適に用いることができる。
(C−5)サーモトロピック液晶
本発明で好適に用いることのできるサーモトロピック液晶は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、p−ヒドロキシ安息香酸及びエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び4,4'−ヒドロキシビフェニル並びにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。
本発明で好適に用いられるサーモトロピック液晶は、必要に応じて本発明の特徴と効果を損なわない程度の少量の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入することができる。
本発明のサーモトロピック液晶の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バランスの良いものとする。
本発明で好適に用いられるサーモトロピック液晶の見かけの溶融粘度(液晶 開始温度+30℃でずり速度100/秒)は本発明の効果が得られる範囲であれば特に規定はない。特に流動性が必要な場合の溶融粘度は10〜3,000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜2,000Pa・s、特に好ましくは10〜1,000Pa・sである。
(配合割合)
本発明による難燃剤組成物と、樹脂との配合割合は、本発明の効果を得ることのできる割合であればよく特に規定はされない。樹脂成分(C)100重量部に対し、(A)成分と(B)成分からなる難燃剤組成物を0.1〜200重量部配合することが好ましい。より好ましくは(C)成分100重量部に対し、(b)成分は1〜150重量部、更に好ましくは5〜120重量部である。
(窒素系化合物)
本発明による難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物においては、本願による特定のフェノール樹脂及び(B)リン化合物からなる難燃剤組成物の難燃性付与効果を高める目的で、更に窒素含有化合物を添加しても良い。
一例を挙げると、トリアリールアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン等の三級アミン類や四級アンモニウム塩、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4'−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物が挙げられる。耐熱性を特に必要とする場合には、トリアジン系化合物が好適に用いられる。更に熱安定性、耐揮発性等が必要な場合、メラム、メレム、メロン等のメラミン縮合物や、上記トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物、特にメラミンとシアヌル酸との反応物であるメラミンシアヌレートが好適に用いられる。また、トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物の水酸基及び/又はアミノ基の一部又は全部が他の置換基で置換されていても良い。
本発明で好適に用いられるメレム、メラム、メロン等のメラミン縮合物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、メラミンまたはメラミン塩を不活性ガス雰囲気下若しくは真空下で、無触媒下又は有機酸触媒下で約280〜320℃に加熱することにより、自己縮合することにより得ることができる。
本発明で好適に用いられるメラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸との等モル反応物である。例えば90〜100℃程度の温度下で、メラミン水溶液とシアヌル酸水溶液とを攪拌混合し、反応して得られた生成物を沈殿・濾過することにより、白色固体として得ることができ、粉砕して微粉末状にして使用するのが好ましい。上記窒素含有化合物は、一種単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。また、これら化合物は必ずしも完全に純品である必要はなく、未反応物が多少残存していても良い。
窒素系化合物の添加量は、本発明の効果を発揮できる量であれば規定されないが、好適には(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、1〜200重量部、より好ましくは5〜150重量部、更に好ましくは10〜120重量部である。
(他の難燃剤、難燃助剤)
本発明による難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物においては、本発明の効果が達成できる範囲で、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤、難燃助剤を併用することができる。例示すると、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物、シリカ、カオリンクレー、タルク、ウォラストナイト等の無機珪素化合物を添加して更なる難燃性の向上も可能である。
(充填材)
また、本発明の難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物には、機械物性等の諸特性を向上させる目的で、従来公知の充填材を配合することができる。例えば、シリカ、カオリンクレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウムや、ケナフ繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用しても良い。また、これらは、有機物や無機物等で被覆されていたも良い。
また、充填材としてガラス繊維を用いる場合、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は使用する樹脂用に表面処理した物を用いるのが好ましい
充填材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができる。燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
充填材の配合量は、本願の効果を発揮できる範囲であれば特に規定はされない。充填材配合による上記効果を効果的に得る為には、充填材以外の成分の合計100重量部に対して、充填材を1〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、より好ましくは5〜120重量部、特に好ましくは10〜100重量部である。
(その他の添加剤)
本発明の難燃剤組成物及び、難燃剤組成物を含有する難燃性樹脂組成物を使用する場合、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、硬化剤、硬化促進剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、導電性高分子等を予め添加することができる。
(配合方法)
本発明における難燃剤組成物と熱可塑性樹脂との配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による溶融混練が、生産性の面で好ましい。溶融混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜360℃の範囲、好ましくは180〜320℃の範囲である。
また本発明の該組成物の成形体は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、フィルム成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、硬化性樹脂に配合する場合には、樹脂組成物を製造するための成分を、無溶媒で、若しくは、必要に応じて均一に混合できる溶媒を用いて混合した後、溶媒を除去して樹脂混合物を得て、これを金型内へ注形し硬化させた後冷却し、型から取り出すことにより成型品を得る方法でも良い。また、型に注型し、熱プレスにより硬化させることもできる。各成分を溶解させる為の溶媒は各種材料を均一に混合することができ、且つ、使用することによって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。一例としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。また、硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。例としては、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられるが、本発明の効果が達成できる硬化方法であれば規定されるものではない。各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。樹脂組成物の製造方法は、それぞれの樹脂の適性に応じて、好ましい方法を用いることができる。
(難燃性樹脂組成物の用途)
本発明の難燃剤組成物を用いた難燃性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(1) フェノール樹脂のGPC測定
(1−1) 高分子量フェノール樹脂と低分子量フェノール樹脂の比率の測定
フェノール系樹脂のGPCの測定方法は、Waters Alliance(日本ウォーターズ(株)社製)を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で、カラム温度35℃、流速1mL/minにて、カラムを日本ウォーターズ(株)社製 Waters Styragel HR1、HR3、HR4 各一本を直列につないで使用して、UV(Waters2487;波長254nm)及び/又はRI(Waters 2414)検出器にて測定する方法である。リテンションタイム6.1〜9.7分と9.7〜11.9分のそれぞれの面積分率を求める方法は以下に示す方法で計算する。GPCチャートのベースラインと6.1〜9.7分のGPC曲線とリテンションタイム9.7分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(a′)とし、GPCチャートのベースラインと9.7〜11.9分のGPC曲線とリテンションタイム11.9分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(b′)とするとき、(a′)と(b′)の合計に対する(a′)を百分率表示した値を面積分率(a)とし、(a′)と(b′)の合計に対する(b′)を百分率表示した値を面積分率(b)とする。また、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成し、較正曲線を元にリテンションタイム9.7分の分子量を算出したところ、約870であった。
(1−2)三核体、二核体、遊離モノマー含有量測定
三核体含有量の測定方法は、上記条件下でのGPCの測定における、リテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを持つピークを三核体ピークとし、隣のリテンションタイム9.8分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム1)から垂直に降ろした直線、10.4分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム2)から垂直に降ろした直線、ベースライン、GPC曲線で囲まれた面積(S1)をリテンションタイム6.1〜11.9分の範囲でGPC曲線とベースラインに囲まれた面積(全面積S2)で割って100を乗じた値を三核体のピーク面積分率(%)とし、三核体の含有量とする方法である。同様に10.4〜10.7分付近にピークトップを有するピークを二核体、11.1〜11.3分付近にピークトップを有するピークを遊離モノマーとして、それぞれの面積分率を算出する。ここで求めた面積分率を各成分の含有率とした。
(1−3)ポリスチレン換算重量平均分子量
上記条件下でGPC測定により測定を行った。
(2) 難燃性
UL−94 垂直燃焼試験に基づき、約0.8mm厚み、約1.6mm又は約3.2mm厚みの射出成形試験片を用いて測定し、10回接炎時の平均燃焼時間と燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。
(3) 耐熱性(DTUL)
ASTM−D−648に基づき、厚さ約6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
(4) 曲げ強度
ASTM−D−790に基づき、厚さ約6.4mmの試験片を用いて測定を行った。
(5) 耐衝撃性 (IZOD)
ASTM−D−256に基づき、厚さ約6.4mmの試験片(ノッチ付)を用いて測定を行った。
(6) 成型品外観
<実施例1〜5、比較例1〜7>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度250℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。また、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例15、16、比較例20〜22>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。また、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例17、比較例23〜25>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例6〜10、比較例8〜15>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、スクリュー温度270℃、金型温度80℃、射出時間7秒、キュア時間12秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約0.8mm及び約1.6mmの成型片を作成し、成型品に焼けが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例11〜14、比較例16〜19>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、スクリュー温度315℃、金型温度90℃、射出時間7秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約0.8mm及び約1.6mmの成型片を作成し、成型品に焼けが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。また、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。
(7) 熱安定性(モールドデポジット:MD)
<実施例6〜10、比較例8〜15>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定した射出成型機を用いて、長さ約128mm×幅約12.8mm×厚さ約1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
<実施例11〜14、比較例16〜19>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、シリンダー温度315℃、金型温度90℃に設定した射出成型機を用いて、長さ約128mm×幅約12.8mm×厚さ約1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
<実施例17、比較例21〜23>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型試験片を成型し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
○:MD の発生が少ない。
×:MD の発生が多い。
実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
(A) フェノール系樹脂
(A−1) フェノールノボラック樹脂 : PR−50731(住友ベークライト(株)社製)、(a)78.0%、(b)22.0%、Mw10366、遊離モノマー:1.9%、二核体:8.1%、三核体:6.0%
(A−2) フェノールノボラック樹脂 : PR−55307(住友ベークライト(株)社製)、(a)74.9%、(b)25.1%、Mw3028、遊離モノマー:0%、二核体:2.2%、三核体:6.9%
(A−3) フェノールノボラック樹脂 : SP−1006N(旭有機材(株)社製)、(a)80.5%、(b)19.5%、Mw7509、遊離モノマー:1.0%、二核体:7.2%、三核体:5.9%
(A−4) フェノールノボラック樹脂 : PR−53195(住友ベークライト(株)社製)、(a)73.8%、(b)26.2%、Mw3503、遊離モノマー:0%、二核体:10.1%、三核体:7.8%
(A−5) フェノールノボラック樹脂 : PR−53647(住友ベークライト(株)社製)(a)53.9%、(b)46.1%、Mw1179、遊離モノマー:0%、二核体:2.4%、三核体:22.5%
(A−6) フェノールノボラック樹脂 : タマノル759(荒川化学(株)社製)、(a)63.5%、(b)36.5%、Mw2205、遊離モノマー:0%、二核体:14.1%、三核体:10.0%
(A−7) 特開2000−273133号公報の実施例3の方法に従い、フェノール、パラホルムアルデヒドを原料として、5Lオートクレーブを用いて合成したフェノールノボラック樹脂。(a)98.2%、(b)1.8%、Mw883,582、遊離モノマー:0%、二核体:0.3%、三核体:1.1%
(B)リン化合物
(B−1)
下記化学式(18)においてn=3が93.6wt%、n=4が4.0wt%、n≧5が2.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7重量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm。
Figure 2006043460
(B−2)
トリフェニルホスフェート(TPP)
(B−3)
レゾルシンと2,6−キシレノールを原料として合成される縮合リン酸エステル PX−200(大八化学工業(株)社製)
(窒素系化合物)
メラミンシアヌレート (MCA C−0; 三菱化学(株)社製)
(C) 樹脂
(1) ポリブチレンテレフタレート
ジュラネックス2002 (ウィンテックポリマー(株)社製)。
(2)ポリカーボネート樹脂(PC)
カリバー301−10 (住友ダウ(株)社製)。
(3) アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)
M8801 (UMG(株)社製)
(4) ポリフェニレンエーテル (PPE)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.54のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(5)ポリアミド樹脂
(PA66)
レオナ1300S (旭化成ケミカルズ(株)社製)
(PA−MXD6)
ポリアミドMXD6樹脂(レニー6002:三菱ガス化学(株)社製)
(PA12T)
テレフタル酸664g(4.0mol)、1,12−ドデカンジアミン802g(4.0mol)、安息香酸1.95g(0.016 mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.148g(0.0014mol)および蒸留水1500gを、内容積5.0リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。攪拌しながら1.5時間かけて内部温度を240℃に昇温した。この時、オートクレーブは3.0MPa まで昇圧した。その後、290℃まで水蒸気を徐々に抜いて圧力を3.0MPaに保ちながら反応させた。次に、75分かけて圧力を常圧まで下げ、オートクレーブの排出バルブよりポリマーを採取した。得られた粉砕ポリマーを窒気流下、90℃で24時間、乾燥した。ηr=2.5。
(PA10T)
テレフタル酸664g(4.0mol)、1,10−デカンジアミン690g(4.0mol)、安息香酸2.92g(0.024mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.135g(0.0013mol)および蒸留水1400gを、内容積5.0リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。攪拌しながら1時間30分かけて内部温度を260℃に昇温した。この時、オートクレーブは4.0MPaまで昇圧した。その後、320℃まで水蒸気を徐々に抜いて圧力を4.0MPaに保ちながら反応させた。次に、90分かけて圧力を常圧 まで下げ、オートクレーブの排出バルブよりポリマーを採取した。得られた粉砕ポリマーを窒素気流下、90℃で24時間、乾燥した。ηr=2.6。
(PA9T)
テレフタル酸664g(4.0mol)、1,9−ノナンジアミン633g(4.0mol)、安息香酸2.92g(0.024mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.13g(0.0012mol)および蒸留水1400gを、内容積5.0リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。攪拌しながら1時間30分かけて内部温度を260℃に昇温した。この時、オートクレーブは4.0MPa まで昇圧した。その後、320℃まで水蒸気を徐々に抜いて圧力を4.0MPa に保ちながら反応させた。次に、90分かけて圧力を常圧 まで下げ、オートクレーブの排出バルブよりポリマーを採取した。得られた粉砕ポリマーを窒素気流下、90℃で24時間、乾燥した。(黄色固体)
ηr=2.7、[COOH]=52mg当量/kg
(6)ゴム補強ポリスチレン(HIPS)
ゴム含量9%、30℃、トルエン溶液で測定したマトリックスポリスチレンのηsp/cが0.64、体積平均ゴム粒子径が1.5μmのゴム補強ポリスチレン。
(7)ポリスチレン(GPPS)
トルエン溶液で測定したηsp/cが、0.8のポリスチレン
(8)PTFE
PTFE 6C−J(三井デュポンフロロケミカル(株)社製)
(D)充填材(ガラス繊維)
T−275(日本電気硝子(株)社製)
<実施例1〜14、比較例1〜19>
上流側と下流側にそれぞれ1箇所の供給口を備えたZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度を下記温度に設定し、上流側供給口よりGF以外の各成分を表1〜8に示す割合で混合して投入し、下流側供給口よりGFを表1〜8に示す量で供給し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
表1〜表3 PBT樹脂 : シリンダー温度 250℃
表4〜表6 PA66樹脂 : シリンダー温度:275℃
表7、表8 PA9T、10T、12T樹脂 : シリンダー温度:315℃
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成型機にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表1〜8の結果を得た。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
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Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
<実施例15〜17、比較例20〜25>
ZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度250℃に設定し、各成分を表9〜10に示す割合で混合して投入し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成型機にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表9〜10の結果を得た。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
表1〜表10より、特定の条件を満たすフェノール樹脂と、縮合していないリン酸エステル以外のリン化合物を併用することにより、優れた難燃性を付与することができる上に、耐熱性、耐衝撃性、機械強度、優れた成型品外観、作業性、熱安定性を付与することが可能であることがわかる。
本発明による、(A)特定のフェノール系樹脂と、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物は、特に樹脂に添加した場合に、難燃性、耐熱性、押出作業性、離型性、熱安定性、機械特性、加工性等に優れており、樹脂用難燃剤、ゴム、潤滑剤、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、不燃性電解液、電池電装用、離形剤、離形膜、粗化面形成材、撥水剤等に好適に使用される。また、本発明の難燃剤組成物を用いた難燃性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
フェノール樹脂(A−1)のGPCスペクトル図である。 フェノール樹脂(A−2)のGPCスペクトル図である。 フェノール樹脂(A−4)のGPCスペクトル図である。 フェノール樹脂(A−5)のGPCスペクトル図である。
本発明は難燃剤組成物に関する。さらに詳しくは、樹脂などに配合した際に、加工性に優れ、且つ難燃性、耐吸湿性、耐熱性、押出作業性に優れる難燃剤組成物に関する。
従来、易燃性樹脂の難燃化の手法として、含塩素化合物、含臭素化合物、三酸化アンチモンなどを添加する方法や、樹脂中に含塩素化合物、含臭素化合物を含有させる手法が用いられてきたが、これらは環境保護の観点、毒性の面等から好ましくないとの指摘があり、難燃化手法の改善が求められている。含塩素、含臭素系難燃剤を用いない難燃化手法としてリン系難燃剤を用いた難燃化手法が検討されている。
その難燃化の作用機構は、燃焼時に樹脂表面に生じるポリリン酸相と樹脂の脱水の結果生じる炭化層が皮膜となって、燃焼中の樹脂への熱と酸素供給の遮断にあるといわれている。そして、炭化皮膜を生成しやすい、即ち脱水されやすい樹脂に対して特に有効とされている。逆に、脱水による炭化皮膜を生成し難い樹脂をリン及びリン化合物によって難燃化しようとする場合、主としてポリリン酸相皮膜に頼らざるを得ないため、その配合量を多くしなければならない。
リン及びリン化合物の配合量を増やすことなく炭化皮膜を形成し難い樹脂を難燃化するには、予め炭化皮膜の原料となる成分を配合した難燃剤組成物を用いるという着想が生まれる。
特許文献3には、ポリアルキレンアリレート系樹脂に対し、架橋ホスファゼン化合物とポリフェニレンエーテル樹脂とを難燃剤として使用する方法が提案されている。これは、ポリアルキレンアリレート系樹脂に対して良好な難燃性を付与するものであるが、加工性、耐熱性、機械特性、誘電特性及び、成形品外観において充分に満足できるものではなかった。
また、難燃剤用途としてフェノール樹脂を添加する技術として、ポリスチレン換算重量平均分子量が500,000以上であるフェノール樹脂を用いる技術が開示されている(特許文献4)。しかし、このような高分子量のフェノール樹脂を用いると、樹脂に添加した場合に加工流動性が著しく劣る上、難燃性付与効果も著しく劣り、好ましくない。
さらには、ポリスチレン換算重量平均分子量が5000以上50000未満で且つ、未反応フェノールが0.5重量%未満であるノボラック型フェノール樹脂を用いることにより、樹脂本来の機械特性を落とすことなく難燃化を可能とする技術が開示されている(特許文献5)。しかしこれは、フェノール樹脂中の高分子量成分と低分子量成分の比率が一定の範囲である場合、特に耐熱性の低下が抑えられ、且つ難燃性、機械特性、加工性に優れるという技術的思想は見出せず、本発明を示唆するものではない。
また、特許文献6には、ポリアルキレンテレフタレート樹脂の難燃化手法として、フェノール系樹脂とフェノキシホスファゼンを併用する技術が開示されている。しかし、これはフェノール系樹脂に関する考慮が十分でないため、難燃性、耐熱性、耐衝撃性、成形性(外観)、機械強度をバランスよく付与することができていない。
これらの従来技術からは、本発明者らが見出した、特定のフェノール樹脂とリン化合物からなる難燃剤組成物が、難燃性に加えて、耐熱性、機械特性、作業性、低発煙性等の諸物性をバランスよく維持又は向上するという効果は見出すことができない。そのような優れた効果は、後述するように本発明によって初めて達成されたものである。
特公平3−73590号公報 特開平8−225714号公報 国際公開番号WO03/002666号パンフレット 特開2000−273132号公報 特開2001−164256号公報 国際公開番号WO01/048086号パンフレット
本発明は、塩素、臭素化合物を含まず、樹脂に添加した場合に、難燃性、耐吸湿性、耐熱性、誘電特性、低発煙性、押出作業性に優れる難燃剤組成物を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)特定のフェノール樹脂及び、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物を用いることにより、樹脂に添加した場合に、樹脂表面への炭化被膜の形成を促進し、皮膜を形成し難い樹脂に対しても安定した難燃性を付与することができ、且つ優れた耐熱性、耐加水分解性、熱安定性、耐衝撃性、機械特性、良押出作業性及び成形品外観を有する難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.(A)テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおいて、ポリスチレン換算分子量が870以上の面積分率(a)と870未満の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下であり、且つ、ポリスチレン換算重量平均分子量が3000〜30000であるフェノール系樹脂と、(B)リン化合物(縮合していないリン酸エステルを除く)とからなる難燃剤組成物、
2.(A)成分が、ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする上記1に記載の難燃剤組成物、
3.(A)成分において、三核体成分の含有量が7%以下であることを特徴とする上記1又は2いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
4.(A)成分において、二核体成分の含有量が10%以下であることを特徴とする上記1〜3いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
5.(B)成分が、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
6.(B)成分が縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
7.(B)成分が、少なくともホスファゼン化合物を含有することを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
8.(B)成分がホスファゼン化合物であって、環状三量体及び/又は環状四量体含有量が80重量%以上であることを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
9.(B)成分が、ホスファゼン化合物であって、環状三量体を76重量%以上含有することを特徴とする上記1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
10.さらに窒素含有化合物を添加することを特徴とする上記1〜いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
11.窒素含有化合物が、トリアジン系化合物であることを特徴とする上記10に記載の難燃剤組成物、
12.(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を1〜90重量部、(B)成分を99〜10重量部含有することを特徴とする上記1〜11いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
13.(C)樹脂及び、上記1〜12いずれか一項に記載の難燃剤組成物を含有する樹脂組成物、
14.(C)樹脂100重量部に対し、難燃剤組成物((A)+(B))が0.1〜200重量部であることを特徴とする上記13に記載の樹脂組成物、
15.(C)成分がポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、サーモトロピック液晶及びエラストマー含有ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記13又は14に記載の樹脂組成物、
16.(C)樹脂がポリアルキレンアリレート系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記13又は14に記載の樹脂組成物、
17.主鎖中の芳香環成分含有量が5〜75重量%のポリアミド樹脂及び、上記1〜12から選ばれる少なくとも一種の難燃剤組成物からなる樹脂組成物、
18.更に充填材を含有することを特徴とする上記1317いずれか一項に記載の樹脂組成物、
19.充填材含有量が、充填材以外の成分合計100重量部に対して、1〜200重量部であることを特徴とする上記18に記載の樹脂組成物、及び、
20.上記1319のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成型体、
に関する。
(A)特定のフェノール系樹脂及び、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物は、特に樹脂に添加した場合に、難燃性、耐熱性、耐吸湿性、押出作業性、離型性、熱安定性、耐衝撃性、機械特性等に優れた樹脂組成物を得ることが出来る。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明においては、(A)特定のフェノール系樹脂及び、(B)特定のリン化合物は必須成分である。これらの成分を適宜組み合わせることにより、高温加熱時に炭化層の成長を促進し、少量の添加で優れた難燃性、機械特性、成型品外観を得ることができる。
(A)フェノール系樹脂
本発明においては、テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおいて、ポリスチレン換算分子量が870以上の面積分率(a)と870以下の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下、好ましくは74%以上95%以下、より好ましくは74%以上92%以下であるフェノール系樹脂と、(B)成分のリン化合物と併用することにより、その相乗効果により、樹脂組成物に優れた難燃性、耐熱性、機械特性、良成型品外観を与える。
また、難燃性、耐熱性、加工性等のバランスを考慮すると、テトラヒドロフランを溶媒としてGPCにより測定したリテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを有する三核体成分の含有量が7%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、更に好ましくは3%以下であるフェノール系樹脂が好適に用いられる。
本発明においては特に、上記条件を満足するフェノール系樹脂、即ち、テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおけるリテンションタイム6.1〜9.7分の面積分率(a)とリテンションタイム9.7〜11.9分の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下、好ましくは74%以上95%以下、より好ましくは74%以上92%以下、特に好ましくは74%以上90%以下であるフェノール系樹脂は、優れた難燃性、耐熱性、機械特性、加工性、成型品外観を与えるが、特に、難燃性において相乗的な高い効果を与える。
フェノール系樹脂のGPCの測定方法は、Waters Alliance(日本ウォーターズ(株)社製)を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で、カラム温度35℃、流速1mL/minにて、カラムを日本ウォーターズ(株)社製 Waters Styragel HR1、HR3、HR4 各一本を直列につないで使用して、UV(Waters2487;波長254nm)及び/又はRI(Waters 2414)検出器にて測定する方法である。リテンションタイム6.1〜9.7分と9.7〜11.9分のそれぞれの面積分率を求める方法は以下に示す方法で計算する。GPCチャートのベースラインと6.1〜9.7分のGPC曲線とリテンションタイム9.7分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(a′)とし、GPCチャートのベースラインと9.7〜11.9分のGPC曲線とリテンションタイム11.9分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(b′)とするとき、(a′)と(b′)の合計に対する(a′)を百分率表示した値を面積分率(a)とし、(a′)と(b′)の合計に対する(b′)を百分率表示した値を面積分率(b)とする。また、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成し、較正曲線を元にリテンションタイム9.7分の分子量を算出したところ、約870であった。
また、三核体含有量の測定方法は、上記条件下でのGPCの測定における、リテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを持つピークを三核体ピークとし、隣のリテンションタイム9.8分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム1)から垂直に降ろした直線、10.4分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム2)から垂直に降ろした直線、ベースライン、GPC曲線で囲まれた面積(S1)をリテンションタイム6.1〜11.9分の範囲でGPC曲線とベースラインに囲まれた面積(全面積S2)で割って100を乗じた値を三核体のピーク面積分率(%)とし、三核体の含有量とする方法である。同様に10.4〜10.7分付近にピークトップを有するピークを二核体、11.1〜11.3分付近にピークトップを有するピークを遊離モノマーとして、それぞれの面積分率を算出する。ここで求めた面積分率を各成分の含有率とした。
本発明で用いられるフェノール系樹脂としては、従来公知の構造を有するフェノール樹脂であれば何でも良く、一例を挙げるとノボラック型フェノール系樹脂、レゾール型フェノール系樹脂、フェノールアラルキル系樹脂、ポリビニールフェノール系樹脂などが挙げられ、これらをカシュー、オイル、ゴムなどで変性していても良い。中でも、難燃性付与効果及び製造コスト等のバランスを考慮すると、ノボラック型フェノール系樹脂を特に好適に用いることができる。
本発明で好適に用いられるノボラック型フェノール系樹脂の製造方法は本願の発明の範囲を満たす方法であれば特に規定はしないが、一般的にはフェノール類とアルデヒド類を酸触媒若しくは酸触媒なしで付加、縮合して得ることができる。
また、レゾール型フェノール系樹脂はフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒で付加、縮合して得ることができる。
好適に用いられるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブチルフェノール、ペンチルフェノール、アルキルフェノール、レゾルシン等の炭素数が0〜12のアルキル基が置換したフェノール類が挙げられる。
また、好適に用いられるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒドや、ホルミル基を有するベンゼン類等が挙げられる。
フェノール類とアルデヒド類の縮合反応において用いることもできる酸触媒としては特に規定はされないが、一例を挙げると塩酸、硫酸、リン酸、蓚酸、トルエンスルホン酸等を好適に用いることができる。
本発明で用いられるフェノール系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は、難燃性付与効果、機械特性及び加工性、作業性とのバランスを考慮すると、2,000〜80,000のものが好適に用いられ、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは3,000〜50,000、特に好ましくは3,000〜30,000である。
本発明で用いられるフェノール系樹脂は、加工流動性、機械特性、低発煙性等を考慮すると、二核体含有量が少ない方が好ましい。具体的には、本願実施例に示す遊離モノマー及び二核体のGPCによる測定方法に従って測定した二核体含有率が、フェノール系樹脂全体の10面積%以下であることが好ましい。また、押出や成型時のブリードの問題を考慮すると、遊離モノマー含有量が5%以下、好ましくは3%以下であるフェノール樹脂が好適に用いられる。また、更に難燃性、加工流動性、機械特性、熱安定性及び作業性等が必要な場合は、遊離モノマー、二核体、三核体の合計が17.5%以下、より好ましくは17.0%以下、更に好ましくは16.5%以下であるフェノール系樹脂が好適に用いられる。
このようなフェノール系樹脂の製造方法としては何等規定はされないが、一例としては、特開2004−323822号公報や特開平11−246643号公報に記載の方法等が挙げられる。
(B)リン化合物
本発明で用いては、縮合していないリン酸エステルを除いて、従来公知のリン化合物を好適に用いることができる。一例を挙げると、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸エステルアミド、リン含有ポリマー、ホスフィンオキシド、ホスフィンスルフィドや、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン等の三級ホスフィン類等を好適に挙げることができ、これらは一種単独又は二種以上の混合物として使用することができる。トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート等の縮合していないリン酸エステルは、(A)特定のフェノール樹脂と併用した場合、作業性、加工性に劣るため好ましくない。
(B−1)ホスファゼン化合物
本発明で好適に用いることができるホスファゼン化合物としては、従来公知のものを広く用いることができる。本発明で好適に用いられるホスファゼン化合物の構造は、例えばJames E. Mark, Harry R. Allcock, Robert West 著、”Inorganic Polymers” Pretice-Hall International, Inc., 1992, p61-p140に記載されている。例えば、一般式(1)で示される環状ホスファゼン化合物
Figure 2006043460

及び/又は、一般式(2)で示される鎖状ホスファゼン化合物
Figure 2006043460

が挙げられる。その中でもこれらの構造を有するホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ここで、式中のnは3〜25の整数、mは3〜10,000の整数であり、置換基Xは炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、又は下記一般式(3)で示される置換基を有するアリールオキシ基
Figure 2006043460

(式中のR1、R2、R3、R4及びR5は水素原子、フッ素原子、炭素数が1〜5のアルキル基またはアルコキシ基、フェニル基、ヘテロ元素含有基の中からなる群より選ればれた少なくとも一種の置換基を表す)、
又はナフチルオキシ基、又は炭素数が1〜6のアルコキシ基やアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基のうち、少なくとも一種の置換基であり、置換基上の水素は一部又は全部がフッ素に置換されていても構わない。また、式中のYは-N=P(O)(X)又は-N=P(X)3を表し、Zは-P(X)4又は-P(O)(X)2を表す。
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
難燃性を決める因子の一つとして、分子中に含有するリン原子の濃度が挙げられる。ホスファゼン化合物において、鎖状構造を有する鎖状ホスファゼンは分子末端に置換基を有することから、環状ホスファゼン化合物よりもリン含有率が低くなる。同量を添加する場合、鎖状ホスファゼン化合物よりも環状ホスファゼン化合物の方がより難燃性付与効果が高いと考えられる。以上のことから、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物の使用が好ましく、環状ホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ホスファゼン化合物中の置換基Xは特に制限はなく、一例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基等のアルキル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4-ターシャリーブチルフェニル基、2-メチル-4-ターシャリーブチルフェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,5−ジエチルフェノキシ基、2,4−ジエチルフェノキシ基、3,5−ジエチルフェノキシ基、3,4−ジエチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基等のアルキル置換フェノキシ基、アリール置換フェノキシ基ナフチル基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。これらの基の一部又は全部の水素がフッ素及び/又はヘテロ元素を含有する基に置き換わっていても構わない。ここで、ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基である。一例を挙げると、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。
さらに、これらの化合物は国際公開番号WO00/09518号に開示されている技術により、フェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(4)からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていても良い。
Figure 2006043460

(式中Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表す)これらの架橋構造を有するホスファゼン化合物は、具体的にはジクロルホスファゼンオリゴマーにフェノールのアルカリ金属塩および芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させることにより製造される。これらのアルカリ金属塩は、ジクロロホスファゼンオリゴマーに対して理論量よりもやや過剰に添加される。
これらのホスファゼン化合物は一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
また、ホスファゼン化合物は環状三量体、環状四量体等の環状体や鎖状ホスファゼンといった構造の異なる混合物である。樹脂に添加した場合の加工性は環状三量体、四量体含有率が高いほど好ましい傾向にある。具体的には環状三量体及び/又は四量体化合物を80重量%以上含むホスファゼン化合物、より好ましくは三量体及び/又は四量体化合物を85重量%以上、さらに好ましくは93重量%以上含有するホスファゼン化合物が好ましい。また、本願による特定のフェノール系樹脂と組み合わせて使用する場合、三量体を70重量%以上、より好ましくは三量体を76重量%以上、更に好ましくは三量体を80重量%以上,特に好ましくは三量体を85重量%以上含有するホスファゼン化合物を用いると、特に優れた難燃性付与効果が得られる上、優れた機械特性の向上効果が得られる。
また、ホスファゼン化合物は、置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。固体状態の場合、嵩密度が0.45g/cm以上、好ましくは0.45g/cm以上、0.75g/cm以下であることが好ましい。
該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ200ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは、全アルカリ金属成分が50ppm以下である。また、一般式(1)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP−OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量が1重量%未満であることが望ましく、且つ、塩素含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下であることが望ましい。
置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物は、一般式(5)で表されるオキソ体構造をとることもある。このようなオキソ体化合物も水酸基含有ホスファゼン化合物と同様に1重量%未満であることが望ましい。上記一般式(2)で表される鎖状構造を有するホスファゼン化合物でも同様である。
Figure 2006043460

(式中のa+b=nであり、nは3以上の整数である。また、式中のXは同じであっても異なっても良いアリールオキシ基、及び/又はアルコキシ基を示す)
(B−2)縮合リン酸エステル
本発明で好適に用いられる縮合リン酸エステルは従来公知のものを広く用いることができる。一例を挙げると、例えばペンタエリスリトールジホスフェートや、下記一般式(6)、(7)を有する燐酸エステル化合物である。
Figure 2006043460
Figure 2006043460

(ここで、Q1、Q2、Q3、Q4、Q9、Q10、Q11、Q12は、独立に水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を表し、Q5,Q6、Q7、Q8、Q13は独立に水素原子、またはメチル基を表す。m1、m2、m3、m4、m7、m8、m9、m10は、独立に0から3の整数を示し、m5、m6は独立に0から2の整数を表し、m11は独立に0から4の整数を表す。)
(B−3)ホスフィン酸塩
本発明で用いることができるホスフィン酸塩は、下記一般式(8)及び/又は(9)で表されるホスフィン酸塩及び/又はこれらのポリマーから選ばれる少なくとも一種である。
Figure 2006043460
Figure 2006043460

(ここで、式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を表し、Q5は炭素数が1〜18のアルキレン、アリールアルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、ジアリーレンから選ばれる少なくとも一つの基を表す。式中n、mはそれぞれ1〜3の整数であり、xは1又は2である。また、Mは、周期表第四周期以降の金属原子、アミド、アンモニウム基及びメラミン誘導体から選ばれる少なくとも一つの基を表す。)
(B−4)三級ホスフィン類
本発明で用いることができる三級ホスフィン類としては、従来公知のものを好適に用いることができる。耐熱性及び、難燃性、機械特性のバランスを考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10%減量温度が、150℃〜320℃であることが好ましい。一例を挙げると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン等が挙げられる。より具体的には、その中でも、下記一般式(10)で表されるトリアリールホスフィン類が好適に用いられる。
Figure 2006043460

(ここで、T1、T2、T3、T4は、独立に水素原子又は炭素数1から12のアルキル基又はアリール基を表し、T5は水素原子又はメチル基を表す。m1、m2、m3、m4は独立に0から5の整数を示し、m5は独立に0から4の整数を表す。また、式中のnは、0〜3の整数を表す。また、アリール基として、ナフチル基も好適に用いることができる。また、リン原子上の三つのアリール基は、すべて同じ基であっても、それぞれ異なる基であっても良い。)
本発明において好適に使用される(B)リン化合物に含有する水分量は、誘電特性、耐加水分解性等を考慮した場合、1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは650ppm以下、さらには500ppm以下、より好ましくは300ppm以下であることが好ましい。樹脂への混練時の熱安定性、難燃性付与効果等を特に考慮する必要がある場合、JIS K6751に基づき測定された酸価が1.0以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下であることが望ましい。
また、本発明で好適に使用される(B)成分は、耐加水分解性、耐吸湿性の観点から、水への溶解度(サンプルを0.1g/mLの濃度で蒸留水に混合し、室温で1時間攪拌後に水中に溶け込んだサンプルの量を指す)が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm、特に好ましくは、25ppm以下であるものが良い。
本発明の特定のリン化合物は、(A)成分と併用して用いた場合の難燃性、燃焼時の低発煙性、低揮発性等を考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時、50%の重量減少時の温度と5%重量減少時の温度の差が、20〜150℃、好適には20〜120℃であるものが好ましい。また、樹脂に対して用いた場合、燃焼時の炭化層形成促進効果による難燃効率を考えると、50%重量減少時の温度が320〜500℃であるものが好ましく、より好ましくは350〜460℃である。
本発明で好適に用いられるリン化合物は、含有する置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができる。本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。
本発明において好適に用いられるリン化合物の中で、リン化合物自体の耐熱性や、低揮発性を考慮する必要がある場合、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物が好適に用いられる。好ましくはビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合燐酸エステル、ビスフェノールAまたはレゾルシンと2,6−キシレノールを原料として得られる縮合燐酸エステル、ホスファゼン化合物が用いられる。また、更に耐加水分解性を考慮する必要がある場合、環状ホスファゼン化合物が特に好適に用いられる。
(難燃剤組成物の配合割合)
難燃剤組成物の配合割合は、本願の効果が得られる範囲であれば特に規定はされない。本願の効果を効率良く得ようとした場合、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を1〜90重量部、(B)成分を99〜10重量部、好ましくは(A)成分を3〜80重量部、(B)成分を97〜20重量部、更に好ましくは(A)成分を10〜80重量部、(B)成分を90〜20重量部であることが好ましい。
(難燃剤組成物の形状)
本発明における難燃剤組成物の形状は、本発明の効果が達成できるものであれば特に規定するものではない。例えば、粉体、錠剤型、ペレット、塊状、ワックス、液体、オイル等の状態で供給される。また、本発明における難燃剤組成物においては、各成分は完全に相溶させても良いし、単純に混合させて用いても良い。また、相溶させたものと単純混合のものとの混合物でも良い。
(難燃剤組成物の使用用途)
本発明の難燃剤組成物は、広範囲で好適に使用することができ、使用方法、使用分野は特に規定されない。好適な使用方法として、一例として挙げると、樹脂用難燃剤、ゴム、潤滑剤、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、不燃性電解液、電池電装用、離形剤、離形膜、粗化面形成材、撥水剤等に好適に用いられる。
(C)樹脂
本発明の難燃剤組成物は、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。使用に共される樹脂は何等規定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂が好適に使用される。一例を挙げると、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、エラストマー含有ポリスチレン、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、サーモトロピック液晶、ポリケトン系樹脂等が挙げられる。特にポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリアミドのアロイ、ポリフェニレンエーテルとサーモトロピック液晶とのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンサルファイドとのアロイが好適に使用される。
硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムがある。特にエポキシ樹脂が好適に使用される。
本発明で使用される樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
(C−1)ポリアミド系樹脂
本発明で使用されるポリアミド系樹脂としては、従来公知のものが好適に用いられ、特に限定されない。 これらポリアミド樹脂を合成するためのモノマーは、アミンとしては例えば、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等を挙げることができる。これらのうち1種または2種以上を用いることができる。また、ジカルボン酸としては、アジピン酸、オクタメチレンジカルボン酸、、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ジメチルマロン酸、3,3−ジエチルコハク酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、ウンデカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸など、アミノ酸として、ペンタメチレンアミノカルボン酸、デカメチレンアミノカルボン酸、ウンデカメチレンアミノカルボン酸など、ラクタム類としては、カプロラクタム、ラウロラクタム等を好適に用いることができる。これらは1種又は二種以上を用いることができる。
これらのモノマーを組み合わせて得られるポリアミド系樹脂の一例を挙げると、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド66/6、ポリアミド46、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド6T/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド 66/6I/11、ポリアミド66/6I/12、ポリアミド 66/6I/610、ポリアミド 66/6I/612、ポリアミド10T、ポリアミド12T等が挙げられる。これらは一種単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
本発明のポリアミド系樹脂の重合反応方法は、一般的なポリアミドの重合方法であれば特に限定しない。通常、ジアミンとジカルボン酸とから重合する場合、アミンと酸の当量塩を作り、もしくは、別々に当量添加して縮重合反応する。ラクタムから重合する場合、開環触媒として、少量の水、アミノ酸、鉱酸などを添加し、縮重合反応する。モノマーもしくはモノマー水溶液を加熱し、水分を除去しながら重合を進める溶融重合は工業的に汎用されている。ここで、重合度コントロール剤として、アミンや酸を添加することは周知のことである。また、モノマーを密閉容器中、水の存在下加熱してオリゴマーをプレ重合し、これをニーダーもしくは押出機で後重合する方法もある。モノマーの種類によっては、モノマー段階から、ニーダーもしくは押出機で重合する方法もある。
本発明のポリアミドを製造するに際して、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステルを添加することができる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを挙げることができる。
本発明において、特に効果的に難燃性を付与する必要があり、且つ流動性もバランスよく付与する必要がある場合、主鎖中の芳香環成分含有率が5〜75重量%、好ましくは25〜65重量%、更に好ましくは31〜55重量%であるポリアミド系樹脂が好適に用いられる。主鎖中の芳香環成分含有率は式(1)で表される。
芳香環成分含有率(φ)=(芳香環を構成する炭素および水素の総原子量)/(ポリアミドの繰り返し単位の総原子量)×100 (%) ・・・式(1)
なお、コポリアミドの場合、式(2)で求められる。
芳香環成分含有率(φ)=Σφi×αi×100 (%) ・・・式(2)
φi:i番目コポリアミド成分の芳香環成分含有率
αi:i番目コポリアミド成分のポリアミド全量に対する重量分率
本発明で使用されるポリアミド樹脂としては、特定範囲内の重合度、すなわち相対粘度を有するものが好ましい。好ましい相対粘度は、JIS K 6810に従って98%硫酸中濃度1%、温度25℃で測定した値で半芳香族ポリアミドについては、1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.0の範囲である。材料強度、流動性、成形性や製品外観等より、適度な相対粘度を有することが好ましい。
本発明のポリアミドの末端は封止されていてもよい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はなく、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等を用いることができる。反応性および封止末端の安定性等の点からモノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ、毒性等の点からモノカルボン酸がより好ましい。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はない。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はない。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等を挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
(C−2) ポリアルキレンアリレート系樹脂
ポリアルキレンアリレート系樹脂としては、従来公知のものを好適に用いられる。一例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
本願で用いられるポリアルキレンアリレート系樹脂は、従来公知の方法、例えば、アルキレングリコールと、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル(例えば、テレフタル酸やテレフタル酸ジメチル、共重合成分としてのイソフタル酸やイソフタル酸ジメチルなど)とを用いた直接エステル化法やエステル交換反応などにより製造できる。
これらのポリアルキレンアリレート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(C−3)ポリフェニレンエーテル系樹脂
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂は、一般式(11)及び/または(12)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体であることが好ましい。
Figure 2006043460
Figure 2006043460

(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素を表す。但し、R5、R6は同時に水素ではない。)
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、等のホモポリマーが挙げられる。
この中で、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、特開昭63−301222号公報等に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等を部分構造として含んでいるポリフェニレンエーテルは特に好ましい。
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量体単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと下記一般式(13)で示されるビスフェノールとの共重合体等がある。
Figure 2006043460

(ここで、R7、R8、R9、R10は独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素を表す。また、式中Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表し、zは1又は2を表す。)
本発明においては、ポリフェニレンエーテル樹脂の一部または全部に、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、シリル基、水酸基、無水ジカルボキル基などの反応性官能基を、グラフト反応や、共重合など何らかの方法で導入した変性ポリフェニレンエーテル樹脂も本発明の目的を損なわない範囲で使用できる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリフェニレンエーテル樹脂の一部又は全部を、不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体で変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報等に記載されている。例えばラジカル開始剤の存在下または非存在下において、ポリフェニレンエーテル樹脂に不飽和カルボン酸やその官能的誘導体を溶融混練し、反応させることによって製造される。あるいは、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸やその官能的誘導体とをラジカル開始剤存在下または非存在下で有機溶剤に溶かし、溶液下で反応させることによって製造される。
不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス−4−シクロヘキセン1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ(2.2.1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などや、これらジカルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミドなど、さらにはアクリル酸、メタクリル酸などや、これらモノカルボン酸のエステル、アミドなどが挙げられる。また、飽和カルボン酸であるが変性ポリフェニレンエーテルを製造する際の反応温度でそれ自身が熱分解し、本発明で用いる官能的誘導体となり得る化合物も用いることができる。具体的にはリンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で用いることのできるポリフェニレンエーテルの分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、数平均分子量が500〜30000のものを好適に用いることができる。成型加工性に特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が500以上、5000以下のもの、好ましくは1200以上、4000以下のものを好適に用いることができる。耐熱性が特に優れた組成物を得る必要がある場合には、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が5000を超えるものを用いることが好ましい。ポリフェニレンエーテルは、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。
(C−4)ポリカーボネート樹脂
本発明で好適に用いることができるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(14)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2006043460

(式中のArは、二価の炭素数4〜200の芳香族含有基であり、一例を挙げると、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンや、下記一般式(15)で示される基である)
Figure 2006043460

(式中Xは、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、下記一般式(16)、(17)で表される基である。)
Figure 2006043460
Figure 2006043460

(式中R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜20アルキル基、アリール基を表し、置換基上の水素原子はフッ素原子で置換していても良い)
また、本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していても良い。また、オルガノシロキサンで変性されたポリオルガノシロキサン変性ポリカーボネート系樹脂も好適に用いることができる(例えば、特開平6−100684号公報、特開平10−182832号公報等に記載の樹脂等)。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリカーボネート樹脂の末端基としては、本発明の効果が得られるものであれば特に規定はされない。例示すると、アルキル基、アルキルカーボネート基、アリール基、アリールカーボネート基等が挙げられ、末端基として一種以上の基を結合することができる。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、ポリスチレン換算数平均分子量が1000〜100000のもの、好ましくは2000〜70000のもの、より好ましくは5000〜25000のものを好適に用いることができる。ポリカーボネート樹脂は、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の製造方法は従来公知の方法を広く用いることができ、何等規定されるものではない。一例を挙げると、ホスゲン法、エステル交換法等で製造されたものを好適に用いることができる。
(C−5)サーモトロピック液晶
本発明で好適に用いることのできるサーモトロピック液晶は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、p−ヒドロキシ安息香酸及びエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び4,4’−ヒドロキシビフェニル並びにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。
本発明で好適に用いられるサーモトロピック液晶は、必要に応じて本発明の特徴と効果を損なわない程度の少量の範囲で、他の芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成する構造単位を導入することができる。
本発明のサーモトロピック液晶の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バランスの良いものとする。
本発明で好適に用いられるサーモトロピック液晶の見かけの溶融粘度(液晶 開始温度+30℃でずり速度100/秒)は本発明の効果が得られる範囲であれば特に規定はない。特に流動性が必要な場合の溶融粘度は10〜3,000Pa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜2,000Pa・s、特に好ましくは10〜1,000Pa・sである。
(配合割合)
本発明による難燃剤組成物と、樹脂との配合割合は、本発明の効果を得ることのできる割合であればよく特に規定はされない。樹脂成分(C)100重量部に対し、(A)成分と(B)成分からなる難燃剤組成物を0.1〜200重量部配合することが好ましい。より好ましくは(C)成分100重量部に対し、(b)成分は1〜150重量部、更に好ましくは5〜120重量部である。
(窒素系化合物)
本発明による難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物においては、本願による特定のフェノール樹脂及び(B)リン化合物からなる難燃剤組成物の難燃性付与効果を高める目的で、更に窒素含有化合物を添加しても良い。
一例を挙げると、トリアリールアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン等の三級アミン類や四級アンモニウム塩、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4’−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物が挙げられる。耐熱性を特に必要とする場合には、トリアジン系化合物が好適に用いられる。更に熱安定性、耐揮発性等が必要な場合、メラム、メレム、メロン等のメラミン縮合物や、上記トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物、特にメラミンとシアヌル酸との反応物であるメラミンシアヌレートが好適に用いられる。また、トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物の水酸基及び/又はアミノ基の一部又は全部が他の置換基で置換されていても良い。
本発明で好適に用いられるメレム、メラム、メロン等のメラミン縮合物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、メラミンまたはメラミン塩を不活性ガス雰囲気下若しくは真空下で、無触媒下又は有機酸触媒下で約280〜320℃に加熱することにより、自己縮合することにより得ることができる。
本発明で好適に用いられるメラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸との等モル反応物である。例えば90〜100℃程度の温度下で、メラミン水溶液とシアヌル酸水溶液とを攪拌混合し、反応して得られた生成物を沈殿・濾過することにより、白色固体として得ることができ、粉砕して微粉末状にして使用するのが好ましい。上記窒素含有化合物は、一種単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。また、これら化合物は必ずしも完全に純品である必要はなく、未反応物が多少残存していても良い。
窒素系化合物の添加量は、本発明の効果を発揮できる量であれば規定されないが、好適には(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、1〜200重量部、より好ましくは5〜150重量部、更に好ましくは10〜120重量部である。
(他の難燃剤、難燃助剤)
本発明による難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物においては、本発明の効果が達成できる範囲で、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤、難燃助剤を併用することができる。例示すると、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物、シリカ、カオリンクレー、タルク、ウォラストナイト等の無機珪素化合物を添加して更なる難燃性の向上も可能である。
(充填材)
また、本発明の難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物には、機械物性等の諸特性を向上させる目的で、従来公知の充填材を配合することができる。例えば、シリカ、カオリンクレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウムや、ケナフ繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用しても良い。また、これらは、有機物や無機物等で被覆されていたも良い。
また、充填材としてガラス繊維を用いる場合、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は使用する樹脂用に表面処理した物を用いるのが好ましい
充填材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができる。燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
充填材の配合量は、本願の効果を発揮できる範囲であれば特に規定はされない。充填材配合による上記効果を効果的に得る為には、充填材以外の成分の合計100重量部に対して、充填材を1〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、より好ましくは5〜120重量部、特に好ましくは10〜100重量部である。
(その他の添加剤)
本発明の難燃剤組成物及び、難燃剤組成物を含有する難燃性樹脂組成物を使用する場合、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、硬化剤、硬化促進剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、導電性高分子等を予め添加することができる。
(配合方法)
本発明における難燃剤組成物と熱可塑性樹脂との配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による溶融混練が、生産性の面で好ましい。溶融混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜360℃の範囲、好ましくは180〜320℃の範囲である。
また本発明の該組成物の成形体は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形、フィルム成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、硬化性樹脂に配合する場合には、樹脂組成物を製造するための成分を、無溶媒で、若しくは、必要に応じて均一に混合できる溶媒を用いて混合した後、溶媒を除去して樹脂混合物を得て、これを金型内へ注形し硬化させた後冷却し、型から取り出すことにより成型品を得る方法でも良い。また、型に注型し、熱プレスにより硬化させることもできる。各成分を溶解させる為の溶媒は各種材料を均一に混合することができ、且つ、使用することによって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。一例としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。また、硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。例としては、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられるが、本発明の効果が達成できる硬化方法であれば規定されるものではない。各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。樹脂組成物の製造方法は、それぞれの樹脂の適性に応じて、好ましい方法を用いることができる。
(難燃性樹脂組成物の用途)
本発明の難燃剤組成物を用いた難燃性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(1) フェノール樹脂のGPC測定
(1−1) 高分子量フェノール樹脂と低分子量フェノール樹脂の比率の測定
フェノール系樹脂のGPCの測定方法は、Waters Alliance(日本ウォーターズ(株)社製)を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で、カラム温度35℃、流速1mL/minにて、カラムを日本ウォーターズ(株)社製 Waters Styragel HR1、HR3、HR4 各一本を直列につないで使用して、UV(Waters2487;波長254nm)及び/又はRI(Waters 2414)検出器にて測定する方法である。リテンションタイム6.1〜9.7分と9.7〜11.9分のそれぞれの面積分率を求める方法は以下に示す方法で計算する。GPCチャートのベースラインと6.1〜9.7分のGPC曲線とリテンションタイム9.7分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(a′)とし、GPCチャートのベースラインと9.7〜11.9分のGPC曲線とリテンションタイム11.9分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(b′)とするとき、(a′)と(b′)の合計に対する(a′)を百分率表示した値を面積分率(a)とし、(a′)と(b′)の合計に対する(b′)を百分率表示した値を面積分率(b)とする。また、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成し、較正曲線を元にリテンションタイム9.7分の分子量を算出したところ、約870であった。
(1−2)三核体、二核体、遊離モノマー含有量測定
三核体含有量の測定方法は、上記条件下でのGPCの測定における、リテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを持つピークを三核体ピークとし、隣のリテンションタイム9.8分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム1)から垂直に降ろした直線、10.4分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム2)から垂直に降ろした直線、ベースライン、GPC曲線で囲まれた面積(S1)をリテンションタイム6.1〜11.9分の範囲でGPC曲線とベースラインに囲まれた面積(全面積S2)で割って100を乗じた値を三核体のピーク面積分率(%)とし、三核体の含有量とする方法である。同様に10.4〜10.7分付近にピークトップを有するピークを二核体、11.1〜11.3分付近にピークトップを有するピークを遊離モノマーとして、それぞれの面積分率を算出する。ここで求めた面積分率を各成分の含有率とした。
(1−3)ポリスチレン換算重量平均分子量
上記条件下でGPC測定により測定を行った。
(2) 難燃性
UL−94 垂直燃焼試験に基づき、約0.8mm厚み、約1.6mm又は約3.2mm厚みの射出成形試験片を用いて測定し、10回接炎時の平均燃焼時間と燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。
(3) 耐熱性(DTUL)
ASTM−D−648に基づき、厚さ約6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
(4) 曲げ強度
ASTM−D−790に基づき、厚さ約6.4mmの試験片を用いて測定を行った。
(5) 耐衝撃性 (IZOD)
ASTM−D−256に基づき、厚さ約6.4mmの試験片(ノッチ付)を用いて測定を行った。
(6) 成型品外観
<実施例1〜5、比較例1〜7>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度250℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。また、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例15、16、比較例20〜22>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。また、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例17、比較例23〜25>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例6〜10、比較例8〜15>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、スクリュー温度270℃、金型温度80℃、射出時間7秒、キュア時間12秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約0.8mm及び約1.6mmの成型片を作成し、成型品に焼けが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例11〜14、比較例16〜19>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、スクリュー温度315℃、金型温度90℃、射出時間7秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約0.8mm及び約1.6mmの成型片を作成し、成型品に焼けが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。また、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。
(7) 熱安定性(モールドデポジット:MD)
<実施例6〜10、比較例8〜15>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定した射出成型機を用いて、長さ約128mm×幅約12.8mm×厚さ約1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
<実施例11〜14、比較例16〜19>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、シリンダー温度315℃、金型温度90℃に設定した射出成型機を用いて、長さ約128mm×幅約12.8mm×厚さ約1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
<実施例17、比較例21〜23>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型試験片を成型し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
○:MD の発生が少ない。
×:MD の発生が多い。
実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
(A) フェノール系樹脂
(A−1) フェノールノボラック樹脂 : PR−50731(住友ベークライト(株)社製)、(a)78.0%、(b)22.0%、Mw10366、遊離モノマー:1.9%、二核体:8.1%、三核体:6.0%
(A−2) フェノールノボラック樹脂 : PR−55307(住友ベークライト(株)社製)、(a)74.9%、(b)25.1%、Mw3028、遊離モノマー:0%、二核体:2.2%、三核体:6.9%
(A−3) フェノールノボラック樹脂 : SP−1006N(旭有機材(株)社製)、(a)80.5%、(b)19.5%、Mw7509、遊離モノマー:1.0%、二核体:7.2%、三核体:5.9%
(A−4) フェノールノボラック樹脂 : PR−53195(住友ベークライト(株)社製)、(a)73.8%、(b)26.2%、Mw3503、遊離モノマー:0%、二核体:10.1%、三核体:7.8%
(A−5) フェノールノボラック樹脂 : PR−53647(住友ベークライト(株)社製)(a)53.9%、(b)46.1%、Mw1179、遊離モノマー:0%、二核体:2.4%、三核体:22.5%
(A−6) フェノールノボラック樹脂 : タマノル759(荒川化学(株)社製)、(a)63.5%、(b)36.5%、Mw2205、遊離モノマー:0%、二核体:14.1%、三核体:10.0%
(A−7) 特開2000−273133号公報の実施例3の方法に従い、フェノール、パラホルムアルデヒドを原料として、5Lオートクレーブを用いて合成したフェノールノボラック樹脂。(a)98.2%、(b)1.8%、Mw883,582、遊離モノマー:0%、二核体:0.3%、三核体:1.1%
(B)リン化合物
(B−1)
下記化学式(18)においてn=3が93.6wt%、n=4が4.0wt%、n≧5が2.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7重量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm。
Figure 2006043460

(B−2)
トリフェニルホスフェート(TPP)
(B−3)
レゾルシンと2,6−キシレノールを原料として合成される縮合リン酸エステル PX−200(大八化学工業(株)社製)
(窒素系化合物)
メラミンシアヌレート (MCA C−0; 三菱化学(株)社製)
(C) 樹脂
(1) ポリブチレンテレフタレート
ジュラネックス2002 (ウィンテックポリマー(株)社製)。
(2)ポリカーボネート樹脂(PC)
カリバー301−10 (住友ダウ(株)社製)。
(3) アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)
M8801 (UMG(株)社製)
(4) ポリフェニレンエーテル (PPE)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.54のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(5)ポリアミド樹脂
(PA66)
レオナ1300S (旭化成ケミカルズ(株)社製)
(PA−MXD6)
ポリアミドMXD6樹脂(レニー6002:三菱ガス化学(株)社製)
(PA12T)
テレフタル酸664g(4.0mol)、1,12−ドデカンジアミン802g(4.0mol)、安息香酸1.95g(0.016 mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.148g(0.0014mol)および蒸留水1500gを、内容積5.0リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。攪拌しながら1.5時間かけて内部温度を240℃に昇温した。この時、オートクレーブは3.0MPa まで昇圧した。その後、290℃まで水蒸気を徐々に抜いて圧力を3.0MPaに保ちながら反応させた。次に、75分かけて圧力を常圧まで下げ、オートクレーブの排出バルブよりポリマーを採取した。得られた粉砕ポリマーを窒気流下、90℃で24時間、乾燥した。ηr=2.5。
(PA10T)
テレフタル酸664g(4.0mol)、1,10−デカンジアミン690g(4.0mol)、安息香酸2.92g(0.024mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.135g(0.0013mol)および蒸留水1400gを、内容積5.0リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。攪拌しながら1時間30分かけて内部温度を260℃に昇温した。この時、オートクレーブは4.0MPaまで昇圧した。その後、320℃まで水蒸気を徐々に抜いて圧力を4.0MPaに保ちながら反応させた。次に、90分かけて圧力を常圧 まで下げ、オートクレーブの排出バルブよりポリマーを採取した。得られた粉砕ポリマーを窒素気流下、90℃で24時間、乾燥した。ηr=2.6。
(PA9T)
テレフタル酸664g(4.0mol)、1,9−ノナンジアミン633g(4.0mol)、安息香酸2.92g(0.024mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.13g(0.0012mol)および蒸留水1400gを、内容積5.0リットルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。攪拌しながら1時間30分かけて内部温度を260℃に昇温した。この時、オートクレーブは4.0MPa まで昇圧した。その後、320℃まで水蒸気を徐々に抜いて圧力を4.0MPa に保ちながら反応させた。次に、90分かけて圧力を常圧 まで下げ、オートクレーブの排出バルブよりポリマーを採取した。得られた粉砕ポリマーを窒素気流下、90℃で24時間、乾燥した。(黄色固体)
ηr=2.7、[COOH]=52mg当量/kg
(6)ゴム補強ポリスチレン(HIPS)
ゴム含量9%、30℃、トルエン溶液で測定したマトリックスポリスチレンのηsp/cが0.64、体積平均ゴム粒子径が1.5μmのゴム補強ポリスチレン。
(7)ポリスチレン(GPPS)
トルエン溶液で測定したηsp/cが、0.8のポリスチレン
(8)PTFE
PTFE 6C−J(三井デュポンフロロケミカル(株)社製)
(D)充填材(ガラス繊維)
T−275(日本電気硝子(株)社製)
<実施例1〜14、比較例1〜19>
上流側と下流側にそれぞれ1箇所の供給口を備えたZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度を下記温度に設定し、上流側供給口よりGF以外の各成分を表1〜8に示す割合で混合して投入し、下流側供給口よりGFを表1〜8に示す量で供給し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
表1〜表3 PBT樹脂 : シリンダー温度 250℃
表4〜表6 PA66樹脂 : シリンダー温度:275℃
表7、表8 PA9T、10T、12T樹脂 : シリンダー温度:315℃
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成型機にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表1〜8の結果を得た。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
Figure 2006043460
<実施例15〜17、比較例20〜24
ZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度250℃に設定し、各成分を表9〜10に示す割合で混合して投入し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成型機にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表9〜10の結果を得た。
Figure 2006043460
Figure 2006043460
表1〜表10より、特定の条件を満たすフェノール樹脂と、縮合していないリン酸エステル以外のリン化合物を併用することにより、優れた難燃性を付与することができる上に、耐熱性、耐衝撃性、機械強度、優れた成型品外観、作業性、熱安定性を付与することが可能であることがわかる。
本発明による、(A)特定のフェノール系樹脂と、(B)特定のリン化合物からなる難燃剤組成物は、特に樹脂に添加した場合に、難燃性、耐熱性、押出作業性、離型性、熱安定性、機械特性、加工性等に優れており、樹脂用難燃剤、ゴム、潤滑剤、リチウムイオン電池、太陽電池、燃料電池、不燃性電解液、電池電装用、離形剤、離形膜、粗化面形成材、撥水剤等に好適に使用される。また、本発明の難燃剤組成物を用いた難燃性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
フェノール樹脂(A−1)のGPCスペクトル図である。 フェノール樹脂(A−2)のGPCスペクトル図である。 フェノール樹脂(A−4)のGPCスペクトル図である。 フェノール樹脂(A−5)のGPCスペクトル図である。
すなわち、本発明は、
1.(A)テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおいて、ポリスチレン換算分子量が870以上の面積分率(a)と870未満の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下であり、且つ、ポリスチレン換算重量平均分子量が3000〜30000であるフェノール系樹脂と、(B)環状三量体を80%以上含有するホスファゼン化合物とからなる難燃剤組成物、
2.(A)成分が、ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする上記1に記載の難燃剤組成物、
3.(A)成分において、三核体成分の含有量が7%以下であることを特徴とする上記1又は2いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
4.(A)成分において、二核体成分の含有量が10%以下であることを特徴とする上記1〜3いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
5.(A)成分において、フェノール系樹脂がノボラック型フェノール樹脂であり、三核体成分の含有量が7%以下であることを特徴とする上記1記載の難燃剤組成物、
.さらに窒素含有化合物を添加することを特徴とする上記1〜いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
.窒素含有化合物が、トリアジン系化合物であることを特徴とする上記に記載の難燃剤組成物、
.(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を1〜90重量部、(B)成分を99〜10重量部含有することを特徴とする上記1〜いずれか一項に記載の難燃剤組成物、
.(C)樹脂及び、上記1〜いずれか一項に記載の難燃剤組成物を含有する樹脂組成物、
10.(C)樹脂100重量部に対し、難燃剤組成物((A)+(B))が0.1〜200重量部であることを特徴とする上記に記載の樹脂組成物、
11.(C)成分がポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、サーモトロピック液晶及びエラストマー含有ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記又は10に記載の樹脂組成物、
12.(C)樹脂がポリアルキレンアリレート系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記又は10に記載の樹脂組成物、
13.主鎖中の芳香環成分含有量が5〜75重量%のポリアミド樹脂及び、上記1〜から選ばれる少なくとも一種の難燃剤組成物からなる樹脂組成物、
14.更に充填材を含有することを特徴とする上記9〜13いずれか一項に記載の樹脂組成物、
15.充填材含有量が、充填材以外の成分合計100重量部に対して、1〜200重量部であることを特徴とする上記14に記載の樹脂組成物、及び、
16.上記9〜15のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成型体、
に関する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、実施例5は欠番である。
(1) フェノール樹脂のGPC測定
(1−1) 高分子量フェノール樹脂と低分子量フェノール樹脂の比率の測定
フェノール系樹脂のGPCの測定方法は、Waters Alliance(日本ウォーターズ(株)社製)を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で、カラム温度35℃、流速1mL/minにて、カラムを日本ウォーターズ(株)社製 Waters Styragel HR1、HR3、HR4 各一本を直列につないで使用して、UV(Waters2487;波長254nm)及び/又はRI(Waters 2414)検出器にて測定する方法である。リテンションタイム6.1〜9.7分と9.7〜11.9分のそれぞれの面積分率を求める方法は以下に示す方法で計算する。GPCチャートのベースラインと6.1〜9.7分のGPC曲線とリテンションタイム9.7分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(a′)とし、GPCチャートのベースラインと9.7〜11.9分のGPC曲線とリテンションタイム11.9分の位置に垂直にひいた直線との間に囲まれた面積を(b′)とするとき、(a′)と(b′)の合計に対する(a′)を百分率表示した値を面積分率(a)とし、(a′)と(b′)の合計に対する(b′)を百分率表示した値を面積分率(b)とする。また、標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成し、較正曲線を元にリテンションタイム9.7分の分子量を算出したところ、約870であった。
(1−2)三核体、二核体、遊離モノマー含有量測定
三核体含有量の測定方法は、上記条件下でのGPCの測定における、リテンションタイム10.0〜10.1分付近にピークトップを持つピークを三核体ピークとし、隣のリテンションタイム9.8分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム1)から垂直に降ろした直線、10.4分付近にピークトップを持つピークとの間の吸収がもっとも低い値を示す点(ボトム2)から垂直に降ろした直線、ベースライン、GPC曲線で囲まれた面積(S1)をリテンションタイム6.1〜11.9分の範囲でGPC曲線とベースラインに囲まれた面積(全面積S2)で割って100を乗じた値を三核体のピーク面積分率(%)とし、三核体の含有量とする方法である。同様に10.4〜10.7分付近にピークトップを有するピークを二核体、11.1〜11.3分付近にピークトップを有するピークを遊離モノマーとして、それぞれの面積分率を算出する。ここで求めた面積分率を各成分の含有率とした。
(1−3)ポリスチレン換算重量平均分子量
上記条件下でGPC測定により測定を行った。
(2) 難燃性
UL−94 垂直燃焼試験に基づき、約0.8mm厚み、約1.6mm又は約3.2mm厚みの射出成形試験片を用いて測定し、10回接炎時の平均燃焼時間と燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。
(3) 耐熱性(DTUL)
ASTM−D−648に基づき、厚さ約6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
(4) 曲げ強度
ASTM−D−790に基づき、厚さ約6.4mmの試験片を用いて測定を行った。
(5) 耐衝撃性 (IZOD)
ASTM−D−256に基づき、厚さ約6.4mmの試験片(ノッチ付)を用いて測定を行った。
(6) 成型品外観
<実施例1〜4、参考例15、比較例1〜7>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度250℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。また、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例15、16、比較例20〜22>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。また、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例17、比較例23〜25>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型片を作製し、成形品にひけが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例6〜10、比較例8〜15>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、スクリュー温度270℃、金型温度80℃、射出時間7秒、キュア時間12秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約0.8mm及び約1.6mmの成型片を作成し、成型品に焼けが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。
<実施例11〜14、比較例16〜19>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、スクリュー温度315℃、金型温度90℃、射出時間7秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約0.8mm及び約1.6mmの成型片を作成し、成型品に焼けが見られたものを×、見られなかったものを○として目視により評価を行った。また、成型片の色が濃く着色したものを×、比較的濃く着色したものを△、あまり着色しなかったものを○とした。
(7) 熱安定性(モールドデポジット:MD)
<実施例6〜10、比較例8〜15>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定した射出成型機を用いて、長さ約128mm×幅約12.8mm×厚さ約1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
<実施例11〜14、比較例16〜19>
日精樹脂工業株式会社製PS−40E成型機を用いて、シリンダー温度315℃、金型温度90℃に設定した射出成型機を用いて、長さ約128mm×幅約12.8mm×厚さ約1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
<実施例17、比較例21〜23>
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度240℃、金型温度60℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて、幅約1.3mm、長さ約13mm、厚さ約3.2mmの成型試験片を成型し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
○:MD の発生が少ない。
×:MD の発生が多い。
Figure 2006043460
Figure 2006043460

Claims (21)

  1. (A)テトラヒドロフランを溶媒とし、カラム温度35℃、流速1mL/minにて測定したGPCにおいて、ポリスチレン換算分子量が870以上の面積分率(a)と870未満の面積分率(b)の合計を100%とした場合の面積分率(a)が74%以上98%以下であり、且つ、ポリスチレン換算重量平均分子量が2000〜80000であるフェノール系樹脂と、(B)リン化合物(縮合していないリン酸エステルを除く)とからなる難燃剤組成物。
  2. (A)成分が、ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の難燃剤組成物。
  3. (A)成分において、三核体成分の含有量が7%以下であることを特徴とする請求項1又は2いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  4. (A)成分において、二核体成分の含有量が10%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  5. (B)成分が、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  6. (B)成分が縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  7. (B)成分が、少なくともホスファゼン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  8. (B)成分がホスファゼン化合物であって、環状三量体及び/又は環状四量体含有量が80重量%以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  9. (B)成分が、ホスファゼン化合物であって、環状三量体を76重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  10. (A)三核体成分の含有量が7%以下であり、且つ、ポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜80,000であるノボラック型フェノール樹脂と(B)縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物からなることを特徴とする難燃剤組成物。
  11. さらに窒素含有化合物を添加することを特徴とする請求項1〜10いずれか一項に記載の難燃剤組成物。
  12. 窒素含有化合物が、トリアジン系化合物であることを特徴とする請求項11に記載の難燃剤組成物。
  13. (A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を1〜90重量部、(B)成分を99〜10重量部含有することを特徴とする請求項1〜12に記載の難燃剤組成物。
  14. (C)樹脂及び、請求項1〜13いずれか一項に記載の難燃剤組成物を含有する樹脂組成物。
  15. (C)樹脂100重量部に対し、難燃剤組成物((A)+(B))が0.1〜200重量部であることを特徴とする請求項14に記載の樹脂組成物。
  16. (C)成分がポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、サーモトロピック液晶及びエラストマー含有ポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項14又は15いずれか一項に記載の樹脂組成物。
  17. (C)樹脂がポリアルキレンアリレート系樹脂及びポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項14又は15いずれか一項に記載の樹脂組成物。
  18. 主鎖中の芳香環成分含有量が5〜75重量%のポリアミド樹脂及び、請求項1〜13から選ばれる少なくとも一種の難燃剤組成物からなる樹脂組成物。
  19. 更に充填材を含有することを特徴とする請求項14〜18いずれか一項に記載の樹脂組成物。
  20. 充填材含有量が、充填材以外の成分合計100重量部に対して、1〜200重量部であることを特徴とする請求項19に記載の樹脂組成物。
  21. 請求項14〜20のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成型体。
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