JP3973106B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、ポリカーボネート樹脂と無機質充填剤及び、アリールホスフィン又は燐酸エステルからなる樹脂組成物が提案されているが、機械強度の低下を招く等問題があった。
1.熱可塑性樹脂に下記(A)成分と下記(B)成分とを含有させてなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:三価のリン化合物
(B)成分:TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃であるホスファゼン化合物
3.(B)成分の酸価が1.0以下であり、且つカールフィッシャー法により150℃にて測定した水分量が1000ppm以下である上記1又は2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
4.(B)成分における、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
5.(A)成分が、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10重量%の重量減少時の温度が120℃〜320℃である上記1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
7.(A)成分が、トリアリールホスフィン類であることを上記1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
9.(C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、サーモトロピック液晶から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする上記8に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
10.(C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする上記8に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
11.(C)成分と(B)成分の比が(C)/(B)=95/5〜5/95であることを特徴とする上記8〜10いずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
本発明においては、熱可塑性樹脂に対して、(A)三価のリン化合物及び、(B)特定のホスファゼン化合物で構成された難燃剤組成物を配合することにより大きな効果を発揮し、優れた難燃性及び諸特性を得ることができる。また、(A)三価のリン化合物、(B)特定のホスファゼン化合物及び(C)芳香族樹脂で構成された難燃剤組成物を配合することにより、(C)成分が炭化層の形成をより効率良く行って、優れた難燃性及び諸特性を得ることができる。
本発明において使用に供される熱可塑性樹脂は従来公知の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。一例を挙げると、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、エラストマー含有ポリスチレン、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、ポリケトン系樹脂、生分解性樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、サーモトロピック液晶等が挙げられ、特にポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリアミドのアロイ、ポリフェニレンエーテルとサーモトロピック液晶とのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンサルファイドとのアロイが好適に使用される。
これらの樹脂は一種単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。
本発明で用いられる三価のリン化合物としては、従来公知のものを好適に用いることができるが、耐熱性及び、難燃性、機械特性のバランスを考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10重量%の重量減少時の温度が、150℃〜320℃である三価のリン化合物であることが好ましい。一例を挙げると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン等が挙げられる。より具体的には、その中でも、下記一般式(1)で表されるトリアリールホスフィン類が好適に用いられる。ここで、T1、T2、T3、T4は、独立に水素原子又は炭素数1から12のアルキル基又はアリール基を表し、T5は水素原子又はメチル基を表す。m1、m2、m3、m4は独立に0から5の整数を示し、m5は独立に0から4の整数を表す。また、式中のnは、0〜3の整数を表す。また、アリール基として、ナフチル基も好適に用いることができる。また、リン原子上の三つのアリール基は、すべて同じ基であっても、それぞれ異なる基であっても良い。
これらの三価のリン化合物は一種単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。
本発明のホスファゼン化合物は、(A)成分と併用して用いた場合の、難燃性、燃焼時の低発煙性、低揮発性等を考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が、40〜100℃、好適には40〜90℃、より好ましくは45〜85℃、更に好ましくは45〜75℃、特に好ましくは45〜70℃であるものが好ましい。また、樹脂に対して用いた場合、燃焼時の炭化層形成促進効果による難燃効率を考えると、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であるものが好ましく、より好ましくは350〜450℃であるものが好ましい。
なお、以下では「〜重量%の重量減少時の温度」を「〜%減量温度」という場合がある。
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
これらのホスファゼン化合物は一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ200ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは、全アルカリ金属成分が50ppm以下である。また、上記一般式(2)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP−OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量が1重量%未満であることが望ましく、且つ、塩素含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下であることが望ましい。
本発明においては、(A)成分、(B)成分の他に、炭化皮膜の形成をより促進する目的で、芳香族樹脂を含有しても良い。
本発明で用いられる芳香族樹脂は、燃焼時に炭化皮膜を形成し易い樹脂であれば特に規定はされず、従来公知の芳香族樹脂を好適に用いることができる。一例を挙げると、ASTM D2863に基づいて測定された酸素指数が24以上であり、且つ、主鎖に芳香族分子を20mol%以上含有している樹脂であることが好ましい。より好ましくは30mol%以上、更に好ましくは40mol%以上、特に好ましくは50mol%以上含有していることが好ましい。具体的には、ポリフェニレンエーテル系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が挙げられる。その中でも誘電特性、耐熱性、機械物性等も考慮すると、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が好ましく、特にポリフェニレンエーテル系樹脂が好適に用いられる。これらの樹脂は一種単独で用いても、二種以上を併用して用いても良い。
ただし、(C)成分として芳香族樹脂を添加する場合、(C)成分は上記熱可塑性樹脂とは異なる樹脂であって、同一の樹脂であることはない。
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(9)及び/または(10)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体であることが好ましい。
本発明で好適に用いることのできる芳香族含有ポリアミド樹脂は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、ε−カプロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロへキシル)メタン等のポリアミド形成性モノマーを適宜組み合わせて得られるホモポリマー、共重合体及びこれらの混合物を用いることができる。
本発明によるポリアミド樹脂の分子量は、何等規定されるものではないが、JIS K6810規格に示される硫酸相対粘度が1.5〜3.5の範囲にあるものを好適に用いることができる。
本発明で好適に用いることのできるサーモトロピック液晶は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、p−ヒドロキシ安息香酸及びエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び4,4’−ヒドロキシビフェニル並びにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。
本発明のサーモトロピック液晶の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バランスの良いものとする。
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンスルフィド系樹脂は、、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等が挙げられ、特にポリフェニレンスルフィドを好適に用いることができる。
また、ポリフェニレンスルフィドは、−SX基(Sは硫黄原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)量が、15μmol/g以上、好ましくは18〜35μmol/g、特に好ましくは20〜30μmol/gであるものが好ましい。
本発明において好適に用いられるフェノール系樹脂としては、従来公知のものを好適に用いることができる。一例を挙げると、フェノールとアルデヒドを塩基性触媒で付加、縮合して得られるレゾール型フェノール樹脂、フェノールとアルデヒドを酸触媒で付加、縮合して得られるノボラック型フェノール樹脂等がある。中でもノボラック型フェノール樹脂が好適に用いられる。これらのフェノール樹脂は一種単独でも二種以上を併用して用いても良い。
また、本発明で用いられるフェノール樹脂の数平均分子量は、特に制限はされないが、300〜50000のものが好適に用いられ、分子量の異なるフェノール樹脂を併用しても良い。
本発明における熱可塑性樹脂組成物において、難燃剤組成物を構成する成分の配合割合は、本願の効果が得られる範囲であれば特に規定はされないが、本願の効果を効率良く得ようとした場合、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部、好ましくは(A)成分を0.1〜50重量部、(B)成分を99.9〜50重量部であることが好ましい。更には、(A)成分を0.1〜37重量部、(B)成分を99.9〜63重量部であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂と難燃剤組成物との配合割合は、本発明の効果を得ることのできる割合であればよく特に規定はされないが、熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、難燃剤組成物を1〜1000重量部であることが好ましい。より好ましくは、熱可塑性樹脂100重量部に対し、難燃剤組成物は5〜500重量部である。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物において用いる難燃剤組成物の形状は、本発明の効果が達成できるものであれば特に規定するものではない。例えば、粉体、錠剤型、ペレット、塊状、ワックス、液体、オイル等の状態で供給される。また、必要であれば、難燃剤組成物を気化させて用いることもできる。また、本発明において用いる難燃剤組成物においては、各成分は完全に相溶させても良いし、単純に混合させて用いても良い。また、相溶させたものと単純混合のものとの混合物でも良い。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、必要により従来公知の硬化性樹脂と組み合わせて使用することができる。一例を挙げると、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムが挙げられる。
これらの樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
本発明による難燃性熱可塑性樹脂組成物においては、本発明の効果が達成できる範囲で、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を併用することができる。例示すると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン等の三級ホスフィン類の酸化物や硫化物、ホスフィン酸やホスホン酸等の金属塩、アミド、アンモニウム塩、メラミンとの誘導体、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4’−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物、バナジウム、二オブ、タンタル、鉄、ルテニウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金等の酸化物や硫化物、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物、シリカ、カオリンクレー、タルク、ウォラストナイト等の無機珪素化合物を添加して更なる難燃性の向上も可能である。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものでない。熱可塑性樹脂、(A)成分及び(B)成分を予め混合して用いても良いし、(A)成分と(B)成分を混合した後、熱可塑性樹脂に配合しても良い。また、熱可塑性樹脂と(A)成分を混合した後、(B)成分を配合しても良いし、熱可塑性樹脂と(B)成分を混合した後、(A)成分を配合しても良い。(C)成分を添加する場合も、同様に本発明の効果が達成できる方法で混合すればよく、特に規定するものではない。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物における各成分の配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による溶融混練が、生産性の面で好ましい。溶融混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜360℃の範囲、好ましくは180〜320℃の範囲である。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
まず、実施例及び比較例で得られたサンプルの評価方法について述べる。
UL−94垂直燃焼試験に基づき、約1.6mm厚みの射出成形試験片を用いて測定し、10回接炎時の平均燃焼時間と燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。
UL−94垂直燃焼試験は、UL燃焼テストチャンバー(HVUL−C;(株)東洋精機製作所製)を用いて行い、燃焼試験時に発生する煙がチャンバーからほとんど漏れでなかった場合は○、少し漏れ出た場合は△、多量に漏れ出た場合は×として、目視により評価を行った。
サンプル約10mgを、パーキンエルマー社製Thermal Analysis System 7 Seriesを用いて、窒素気流30ml/min中、10℃/minの速度で600℃まで昇温したときの重量が、5%減量した時の温度及び、50%減量した時の温度を測定し、その差を測定した。
設定温度150℃で、カールフィッシャー法により測定した。
(5) 耐熱性(DTUL)
ASTM−D−648に基づき、厚さ6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
(6) 誘電特性
厚さ約2.5mmの成型片を用いて、比誘電率を周波数1GHzにて容量法で測定した。
下記設定温度にて、射出成形により、ASTM−D−638ダンベル型試験片を成形し、成形した際に、試験片およびランナーの金型からの型離れのし易さの程度を目視判定した。離型が良いものは○、離型が良くないものは×で表した。
実施例1〜3、比較例1 バレル温度220℃ 金型温度 60℃
実施例4〜6、比較例2〜5 バレル温度280℃ 金型温度 80℃
加熱シリンダーの最高温度を下記の温度で設定し、スクリュー直径25mmの二軸押出機で、スクリュー回転数300rpmで溶融混合した。
実施例1〜3、比較例1 − 220℃
実施例4〜6、比較例2〜7、参考例1、2 − 300℃
10分間溶融混錬を行ったときに、ストランドが途中で二度以上切れたものは×、一度切れたものを△、一度も切れなかったものを○として目視により判定を行った。
実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
(P−1)
トリフェニルホスフィン(和光純薬工業(株)社製)。
(P−2)
トリス(m−メチルフェニル)ホスフィン(和光純薬工業(株)社製)。
(P−3)
1−ブロモ−2−メチルベンゼン(TolBr)と金属マグネシウムから調製した2−メチルフェニルマグネシウムブロマイド(TolMgBr)と三塩化リンとの反応により得たトリス(o−メチルフェニル)ホスフィン。
(B−1)
(FR−1)
下記一般式(12)においてn=3が93.6wt%、n=4が4.0wt%、n≧5が2.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7重量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm。
下記一般式(12)において、n=3が85.3wt%、n=4が9.3wt%、n≧5が5.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;318℃、50%減量温度;421℃、500℃残渣量;14.2重量%、酸価1.04、含有水分量;1100ppm。
レゾルシンと2,6−キシレノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、PX−200(大八化学工業(株)社製)。酸価0.11、5%減量温度:319℃、50%減量温度;388℃、500℃残渣量;0.9重量%、含有水分量;235ppm。
ビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、下記化学式(13)において、n=1である化合物を85.3重量%、n=2である化合物を12.6重量%含有する縮合リン酸エステル。酸価0.18、5%減量温度;359℃、50%減量温度;433℃、500℃残渣量;2.1重量%、含有水分量;324ppm。
(1) ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.54のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
(2)ゴム補強ポリスチレン(HIPS)
ゴム含量9%、30℃、トルエン溶液で測定したマトリックスポリスチレンのηsp/cが0.64、体積平均ゴム粒子径が1.5μmのゴム補強ポリスチレン。
(3)ポリスチレン(GPPS)
トルエン溶液で測定したηsp/cが、0.8のポリスチレン
(4)ポリカーボネート樹脂(PC)
パンライトL−1250Y(帝人化成(株)製);非難燃透明グレード。
各成分を表1〜4に示す割合で混合し、加熱シリンダーの最高温度を200〜330℃に設定したスクリュー直径25mmの二軸押出機に供給して、スクリュー回転数300rpmで溶融混合し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成形により200〜330℃にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表1〜4の結果を得た。
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂に下記(A)成分と下記(B)成分とを含有させてなることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:三価のリン化合物
(B)成分:TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃であるホスファゼン化合物 - (A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (B)成分の酸価が1.0以下であり、且つカールフィッシャー法により150℃にて測定した水分量が1000ppm以下である請求項1又は2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (B)成分における、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分が、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10重量%の重量減少時の温度が120℃〜320℃である請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分が、三級ホスフィン類である請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分が、トリアリールホスフィン類であることを請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、(C)成分として芳香族樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、サーモトロピック液晶から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分と(B)成分の比が(C)/(B)=95/5〜5/95であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
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