JP2007211154A - 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007211154A
JP2007211154A JP2006033461A JP2006033461A JP2007211154A JP 2007211154 A JP2007211154 A JP 2007211154A JP 2006033461 A JP2006033461 A JP 2006033461A JP 2006033461 A JP2006033461 A JP 2006033461A JP 2007211154 A JP2007211154 A JP 2007211154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
resin composition
flame
compound
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006033461A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiki Murakami
史樹 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2006033461A priority Critical patent/JP2007211154A/ja
Publication of JP2007211154A publication Critical patent/JP2007211154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】ハロゲン系化合物を含有せず、透明性、機械特性、耐熱性及び難燃性を高度にバランスさせることのできる難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物を提供するものである。
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂(A)100重量部に対し、多官能性アルコール(B)0.01〜2重量部を含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハロゲン系化合物、アンチモン化合物を含有しないことにより、環境への負荷が小さく更に透明性を保持した難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート系樹脂は耐衝撃性に優れるうえ、耐熱性や電気特性に優れることから、電気・電子機器用途、OA機器用途、自動車用途、情報・通信機器、建築用途等、様々な用途で幅広く使用されている。また、電気・電子機器用途や家庭用品の分野においては、透明性も要求されることも多い。これらの用途では高度な難燃性を要求されることが多く、ハロゲン系化合物を使用しない難燃化手法が求められている。
特許文献1には、芳香族ポリカーボネートの難燃化手法として、シリコーン化合物と硼素化合物を併用する手法が記載されている。しかし、この手法では樹脂本来の透明性が損なわれ、透明性が得られない。また、硼素化合物の安定剤として多官能性アルコールを併用する手法が記載されている。しかし、該技術に多官能性アルコールを併用すると、加熱時の発泡を抑えられるものの、流動性が低下する上、難燃性が悪化する傾向にあった。
また、特許文献2にはポリカーボネート樹脂と無機質充填剤に対してアリールホスフィンを添加する手法が記載されている。しかし、この手法は透明性が十分ではない上、十分な難燃性を付与するためには、難燃剤の添加量が多くなる傾向にあった。
国際公開第03/042305号パンフレット 特開2001−115003号公報
本発明は、ハロゲン系化合物を含有せず、難燃性、機械特性、耐熱性、透明性、加工性等の諸特性に優れたポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリカーボネート系樹脂(A)に対して、多官能性アルコール化合物(B)、必要により特定のリン系化合物(C)や三級ホスフィン化合物(D)を添加することにより、燃焼時における可燃性ガスの発生量を大幅に抑えることができ優れた難燃性を付与するとともに、ポリカーボネート系樹脂の優れた透明性を犠牲にすることなく、優れた機械特性、耐熱性、加工流動性、熱安定性を有する難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] ポリカーボネート系樹脂(A)100重量部に対し、多官能性アルコール(B)0.01〜2重量部を含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
[2]更にリン系化合物(C)を0.1〜20重量部含有し、リン系化合物(C)がホスファゼン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩から選ばれる少なくとも一種のリン系化合物であることを特徴とする[1]に記載の難燃性樹脂組成物。
[3]リン系化合物(C)が、ホスファゼン化合物、縮合リン酸エステルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする[2]に記載の難燃性樹脂組成物。
[4]リン系化合物(C)が、ホスファゼン化合物であることを特徴とする[2]または[3]に記載の難燃性樹脂組成物。
[5]更に三級ホスフィン化合物(D)を0.01〜2重量部含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
[6]多官能性アルコール(B)と三級ホスフィン化合物(D)の配合比が(B)/(D)=1/10〜20/1であることを特徴とする[5]に記載の難燃性樹脂組成物。
[7]透明性を保持していることを特徴とする[1]〜[6]いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物、
[8] [1]〜[7]いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物からなる成型体。
[9] [1]〜[7]いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物からなる電子・電気機器、OA機器、情報・通信機器、家庭用品の部品、筐体。
本発明の難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物は、ハロゲン系化合物を含有せず、透明性、機械特性、耐熱性、耐吸湿性、加工性に優れ、高度な難燃性を有する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明においては、ポリカーボネート系樹脂(A)に対し、多官能性アルコール(B)を添加することにより、透明性、耐熱性、耐吸湿性、機械強度を保持しつつ、高度な難燃性を付与することができる。
以下、諸成分について説明する。
(A)ポリカーボネート系樹脂
本発明で好適に用いることができるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2007211154
(式中のArは、二価の炭素数4〜200の芳香族含有基であり、一例を挙げると、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンや、下記一般式(2)で示される基である)
Figure 2007211154
(式中Xは、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、下記一般式(3)又は(4)で表される基である。)
Figure 2007211154
(式中、R11、R12はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜20アルキル基、アリール基を表し、置換基上の水素原子はフッ素原子で置換していても良い。)
Figure 2007211154
(式中、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜20アルキル基、アリール基を表し、置換基上の水素原子はフッ素原子で置換していても良い。)
また、本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していても良い。また、オルガノシロキサンで変性されたポリオルガノシロキサン変性ポリカーボネート系樹脂も好適に用いることができる(例えば、特開平6−100684号公報、特開平10−182832号公報等に記載の樹脂等)。
これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリカーボネート樹脂の末端基としては、本発明の効果が得られるものであれば特に規定はされない。例示すると、アルキル基、アルキルカーボネート基、アリール基、アリールカーボネート基等が挙げられ、末端基として一種以上の基を結合することができる。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の製造方法は従来公知の方法を広く用いることができ、何等規定されるものではない。一例を挙げると、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応せしめる公知の方法、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体(例えばホスゲン)を水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレン溶媒の存在下に反応させる界面重合法(例えばホスゲン法)、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)などを反応させるエステル交換法(溶融法)、ホスゲン法または溶融法で得られた結晶化カーボネートプレポリマーを固相重合する方法(特開平1−158033号公報(米国特許第4,948,871号に対応)、特開平1−271426号公報、特開平3−68627号公報(米国特許第5,204,377号に対応)参照)などの方法により製造されたものを用いることができる。
本発明で好適に用いることのできるポリカーボネート樹脂の分子量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、何等制限されるものではない。具体的には、ポリスチレン換算数平均分子量が1000〜100000のもの、好ましくは2000〜70000のもの、より好ましくは5000〜25000のものを好適に用いることができる。ポリカーボネート樹脂は、樹脂組成物とした場合に特に求められている特性に合わせて、適宜適当な分子量のものを用いれば良い。また、分子量が異なる2種以上のポリカーボネート系樹脂を組み合わせて使用しても良い。
(B)多官能性アルコール
本発明においては、多官能性アルコールは必須成分である。多官能性アルコールはポリカーボネート系樹脂と作用することにより、燃焼前に樹脂の分解を促進し、燃焼温度に達した時に燃焼性ガスを低減する効果があると考えられる。その為、多官能性アルコールを適量配合することにより、透明性を維持しつつ、優れた難燃性を発現する。本発明において好適に用いられる多官能性アルコールとしては、融点が100℃以上のものが好ましい。好適な多官能性アルコールの一例を挙げると、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、アドニトールやアラビトール、キシリトールなどのペンチトール、ソルビトールやアルジトール、マンニトール、ズルシトールなどのヘキシトールなどが挙げられる。これらは一種単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
多官能性アルコールの添加量は、効率良く難燃性を付与し、耐熱性、加工性などとのバランスを考慮すると、ポリカーボネート系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.02〜1重量部、より好ましくは、0.05〜0.5重量部、更に好ましくは0.08〜0.4重量部である。
(C)リン系化合物
本発明においては、難燃性付与効果を高める目的で、ホスファゼン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩の中から選ばれる少なくとも一種のリン系化合物を添加することができる。
中でも、特にリン化合物自体の耐熱性や低揮発性、樹脂組成物の透明性を考慮する必要がある場合、ホスファゼン化合物、縮合リン酸エステルを好適に用いることが好ましく、更に耐熱性、耐加水分解性、機械特性及び押出加工時の作業性も必要な場合には、ホスファゼン化合物がより好ましい。これらのリン系化合物は一種単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
(C−1)ホスファゼン化合物
本発明で用いることができるホスファゼン化合物としては、従来公知のものを広く用いることができる。本発明で好適に用いられるホスファゼン化合物の構造は、例えばJames E. Mark, Harry R.Allcock, Robert West 著、”Inorganic Polymers” Pretice-Hall International, Inc., 1992,p61-p140に記載されている。例えば、下記一般式(5)で示される環状ホスファゼン化合物及び/又は下記一般式(6)で示される鎖状ホスファゼン化合物が挙げられ、その中でもこれらの構造を有するホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
Figure 2007211154
Figure 2007211154
(式中のnは3〜25の整数、mは3〜10000の整数であり、置換基Xは、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が6〜11のアリール基、フッ素原子、下記一般式(7)で示される置換基を有するアリールオキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数が1〜6のアルコキシ基およびアルコキシ置換アルコキシ基で表される置換基から選ばれる置換基であり、それぞれ異なっていても、同じでも良い。置換基上の水素は一部又は全部がフッ素に置換されていても構わない。また、式中のYは−N=P(O)(X)又は−N=P(X)3を表し、Zは−P(X)4又は−P(O)(X)2を表す。)
Figure 2007211154
(式中のY、Y、Y、Y及びYは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数が1〜5のアルキル基またはアルコキシ基、フェニル基、ヘテロ元素含有基の中からなる群より選ればれる置換基を表す。)
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
難燃性を決める因子の一つとして、分子中に含有するリン原子の濃度が挙げられる。ホスファゼン化合物において、鎖状構造を有する鎖状ホスファゼンは分子末端に置換基を有することから、環状ホスファゼン化合物よりもリン含有率が低くなり、同量を添加する場合、鎖状ホスファゼン化合物よりも環状ホスファゼン化合物の方がより難燃性付与効果が高いと考えられることから、本発明においては、環状構造を有するホスファゼン化合物の使用が好ましく、環状ホスファゼン化合物を95重量%以上含有するものが好ましい。
ホスファゼン化合物中の置換基Xは特に制限はなく、一例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基等のアルキル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−ターシャリーブチルフェニル基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、n−アミルオキシ基、イソアミルオキシ基、tert−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,5−ジエチルフェノキシ基、2,4−ジエチルフェノキシ基、3,5−ジエチルフェノキシ基、3,4−ジエチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、4−イソプロピルフェノキシ基、4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−メチル−4−ターシャリーブチルフェノキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基等のアルキル置換フェノキシ基、アリール置換フェノキシ基ナフチル基、ナフチルオキシ基等が挙げられ、これらの基の一部又は全部の水素がフッ素及び/又はヘテロ元素を含有する基に置き換わっていても構わない。ここで、ヘテロ元素を含有する基とは、B、N、O、Si、P、S原子を含有する基であり、一例を挙げると、アミノ基、アミド基、アルデヒド基、グリシジル基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、シリル基等を含有する基が挙げられる。
さらに、これらの化合物は国際公開番号WO00/09518号に開示されている技術により、フェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(8)からなる群より選ばれた架橋基によって架橋されていても良い。
Figure 2007211154
(式中、Xは、―C(CH−、−SO−、−S−、または−O−を、yは0又は1を表す。)
これらの架橋構造を有するホスファゼン化合物は、具体的にはジクロルホスファゼンオリゴマーにフェノールのアルカリ金属塩および芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩を反応させることにより製造される。これらのアルカリ金属塩は、ジクロロホスファゼンオリゴマーに対して理論量よりもやや過剰に添加される。
これらのホスファゼン化合物は一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
また、ホスファゼン化合物は環状三量体、環状四量体等の環状体や鎖状ホスファゼンといった構造の異なる混合物であるが、樹脂に添加した場合の加工性は環状三量体、四量体含有率が高いほど好ましい傾向にあり、具体的には環状三量体及び/又は四量体化合物を80重量%以上含むホスファゼン化合物、より好ましくは三量体及び/又は四量体化合物を85重量%以上、さらに好ましくは93重量%以上含有するホスファゼン化合物が好ましい。
また、特に優れた難燃性付与効果が必要な場合、三量体を70重量%以上、より好ましくは三量体を76重量%以上、更に好ましくは三量体を80重量%以上,特に好ましくは三量体を85重量%以上含有するホスファゼン化合物を好適に使用することができる。
また、ホスファゼン化合物は、置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。固体状態の場合、嵩密度が0.45g/cm以上、好ましくは0.45g/cm以上、0.75g/cm以下であることが好ましい。
該ホスファゼン化合物中に含有するナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分はそれぞれ200ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは、全アルカリ金属成分が50ppm以下である。
また、一般式(5)中の置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物、即ちP−OH結合を含有するホスファゼン化合物の含有量が1重量%未満であることが望ましく、且つ、塩素含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下であることが望ましい。
置換基Xのうち少なくとも一つが水酸基であるホスファゼン化合物は、下記一般式(9)で表されるオキソ体構造をとることもあるが、このようなオキソ体化合物も水酸基含有ホスファゼン化合物と同様に1重量%未満であることが望ましい。上記一般式(6)で表される鎖状構造を有するホスファゼン化合物でも同様である。
Figure 2007211154
(式中のa+b=nであり、nは3以上の整数である。また、式中のXは同じであっても異なっても良いアリールオキシ基、及び/又はアルコキシ基を示す。)
(C−2)リン酸エステル
本発明で好適に用いられるリン酸エステルは従来公知のものを広く用いることができる。一例を挙げると、トリフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、クレジルジキシレニルホスフェート、ジクレジルキシレニルホスフェート等が挙げられる。
(C−3)縮合リン酸エステル
本発明で好適に用いられる縮合リン酸エステルとは、例えばペンタエリスリトールジホスフェートや、下記一般式(10)、(11)を有するリン酸エステル化合物である。
Figure 2007211154
Figure 2007211154
(ここで、Q、Q、Q、Q、Q、Q10、Q11、Q12は、独立に水素原子又は炭素数1から6のアルキル基を表し、Q,Q、Q、Q、Q13は独立に水素原子、またはメチル基を表す。m1、m2、m3、m4、m7、m8、m9、m10は、独立に0から3の整数を示し、m5、m6は独立に0から2の整数を表し、m11は独立に0から4の整数を表す。)
(C−4)ホスフィン酸塩
本発明で用いることができるホスフィン酸塩は、下記一般式(12)及び/又は(13)で表されるホスフィン酸塩及び/又はこれらのポリマーから選ばれる少なくとも一種である。
Figure 2007211154
Figure 2007211154
(式中、Q、Q、Q、Qは、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基を表し、Qは炭素数が1〜18のアルキレン、アリールアルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、ジアリーレンから選ばれる基を表す。式中n、mはそれぞれ1〜3の整数であり、xは1又は2である。また、Mは、周期表第四周期以降の金属原子、アミド、アンモニウム基及びメラミン誘導体から選ばれる基を表し、xが2の場合は同じ基であっても異なる基であっても良い。)
本発明において好適に使用される(C)成分に含有する水分量は、電気特性、耐加水分解性等を考慮した場合、1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは650ppm以下、さらには500ppm以下、より好ましくは300ppm以下であり、且つJIS K6751に基づき測定された酸価が1.0以下、好ましくは0.5以下であることが望ましい。
本発明で好適に用いられるリン系化合物は、含有する置換基の種類や構造の違いによっても異なるが、液状、ワックス状、固体状等、さまざまな形態を取ることができ、本発明の効果を損なわないものであれば、どのような形状でも構わない。
本願において用いても良いリン系化合物の配合割合は、本願の効果が発現する量であれば特に規定はされないが、リン系化合物を添加する場合の添加量としては、難燃性付与効果等を考慮すると、0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜20重量部、更に好ましくは0.3〜15重量部、更には0.5〜10重量部、特に好ましくは2〜8重量部である。
(D)三級ホスフィン類
本発明においては、更に効率良く難燃性を付与する目的で、三級ホスフィン類を使用することができる。三級ホスフィン類としては、従来公知のものを好適に用いることができるが、耐熱性及び、難燃性、機械特性のバランスを考慮すると、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の10%減量温度が、150℃〜320℃であることが好ましい。一例を挙げると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、トリアリールオキシホスフィン、トリアルコキシホスフィン等が挙げられる。より具体的には、その中でも、下記一般式(14)で表されるトリアリールホスフィン類が好適に用いられる。
Figure 2007211154
(式中、T、T、T、Tは、それぞれ、独立に水素原子又は炭素数1から12のアルキル基又はアリール基を表し、Tは水素原子又はメチル基を表す。m1、m2、m3、m4は、それぞれ、独立に0から5の整数を示し、m5は独立に0から4の整数を表す。また、式中のnは、0〜3の整数を表す。また、アリール基として、ナフチル基も好適に用いることができる。また、リン原子上の三つのアリール基は、すべて同じ基であっても、それぞれ異なる基であっても良い。)
本願において三級ホスフィン類を添加する場合の配合割合は、本願の効果が発現する量であれば特に規定はされないが、、0.01〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1.5重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
また、多官能性アルコール(B)との配合比は、難燃性付与効果、発煙量、作業性等を考慮した場合、(B)/(D)=1/10〜20/1であることが好ましく、より好ましくは(B)/(D)=1/5〜15/1、更に好ましくは1/5〜10/1、特に好ましくは1/4〜5/1である。
また、本発明の難燃性樹脂組成物には、機械物性等の諸特性を向上させる目的で、従来公知の充填材を配合することができる。例えば、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、硼酸マグネシウムや、ケナフ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、石英繊維等の繊維状補強剤や、非繊維状補強剤が挙げられる。これらは一種単独で用いても、二種以上を併用しても良い。また、これらは、有機物や無機物等で被覆されていたも良い。
また、充填材としてガラス繊維を用いる場合、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は使用する樹脂用に表面処理した物を用いるのが好ましい。
充填材は配合されることによって、燃焼時に生成する不燃層(又は炭化層)の強度を一層向上させることができる。燃焼時に一度生成した不燃層(又は炭化層)が破損しにくくなり、安定した断熱能力を発揮できるようになり、より大きな難燃効果が得られる。さらに、材料に高い剛性も付与することができる。
本発明においては更に難燃効果を高める目的で、更に窒素含有化合物を添加しても良い。
一例を挙げると、トリアリールアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン等の三級アミン類や四級アンモニウム塩、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4’−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物が挙げられる。耐熱性を特に必要とする場合には、トリアジン系化合物が好適に用いられる。更に熱安定性、耐揮発性等が必要な場合、メラム、メレム、メロン等のメラミン縮合物や、上記トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物、特にメラミンとシアヌル酸との反応物であるメラミンシアヌレートが好適に用いられる。また、トリアジン系化合物とシアヌル酸との反応物の水酸基及び/又はアミノ基の一部又は全部が他の置換基で置換されていても良い。
本発明で好適に用いられるメレム、メラム、メロン等のメラミン縮合物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、メラミンまたはメラミン塩を不活性ガス雰囲気下若しくは真空下で、無触媒下又は有機酸触媒下で約280〜320℃に加熱することにより、自己縮合することにより得ることができる。
本発明で好適に用いられるメラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌル酸との等モル反応物である。例えば90〜100℃程度の温度下で、メラミン水溶液とシアヌル酸水溶液とを攪拌混合し、反応して得られた生成物を沈殿・濾過することにより、白色固体として得ることができ、粉砕して微粉末状にして使用するのが好ましい。上記窒素含有化合物は、一種単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。また、これら化合物は必ずしも完全に純品である必要はなく、未反応物が多少残存していても良い
本発明による難燃性樹脂組成物においては、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤、難燃助剤を併用することができる。例示すると、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物類、脂肪族スルホン酸アルカリ金属塩や芳香族スルホン酸アルカリ金属塩等の有機スルホン酸アルカリ金属塩、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物等を添加して、更なる難燃性の向上も可能である。
また、必要に応じて、シリカ、石炭灰(フライアッシュ)、ゼオライト、珪酸塩等のケイ素含有化合物を配合して難燃効果を高めることもできる。例えば、シリカ、フライアッシュI種、II種、III種、IV種、ゼオライトや、ウォラストナイト、カオリナイト等の蛇紋石−カオリン族、タルク、ケロライト等のタルク−パイロフィライト族、モンモリロナイト、サポナイト等のスメクタイト族、3八面体型バーミキュライト等のバーミキュライト族、黒雲母、白雲母等の雲母族(マイカ)、緑泥石族等の珪酸塩が挙げられる。また、これらは、天然に産出されるものでも良いし、人工的に合成されたり焼成等の処理をされたものでも良い。
また、テトラフルオロエチレン樹脂、パーフロロアルコキシ樹脂、フッ化エチレンプロピレン樹脂等のフッ素系樹脂を添加して、更なる難燃性の向上が可能となる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、従来公知の樹脂と組み合わせて使用することができる。使用に供される樹脂は何等規定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。一例を挙げると、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、BAAS系樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。特にAS樹脂、BAAS樹脂は流動性を向上させるのに好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるのに好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるのに好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が期待でき好ましい。
また、硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
本発明で使用することの出来るその他の樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
本発明の難燃性ポリカーボネート系樹脂には、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、他の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤、光安定剤などの安定剤、硬化剤、硬化促進剤、帯電防止剤、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、染料、増感材、着色用顔料、ゴム質重合体、導電性高分子等を予め添加することができる。
(配合順序)
本発明の難燃性樹脂組成物における各成分の配合順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものでない。すべての成分を予め混合して用いても良いし、適宜順番に混合して用いても良い。
(配合方法)
本発明の難燃性樹脂組成物の配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による混練りが、生産性の面で好ましい。混練り温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜360℃の範囲、好ましくは180〜330℃の範囲である。
また本発明の該組成物の成形体は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、プレス成形、押出成形、発泡成形、フィルム成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、硬化性樹脂に配合する場合には、樹脂組成物を製造するための成分を、無溶媒で、若しくは、必要に応じて均一に混合できる溶媒を用いて混合した後、溶媒を除去して樹脂混合物を得て、これを金型内へ注形し硬化させた後冷却し、型から取り出すことにより成型品を得る方法でも良い。また、型に注型し、熱プレスにより硬化させることもできる。各成分を溶解させる為の溶媒は各種材料を均一に混合することができ、且つ、使用することによって本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。一例としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。また、硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。例としては、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられるが、本発明の効果が達成できる硬化方法であれば規定されるものではない。各成分を混合させる順序は特に規定するものではない。樹脂組成物の製造方法は、それぞれの樹脂の適性に応じて、好ましい方法を用いることができる。
本発明による、難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物は、難燃性及び透明性の必要な分野で最適に使用される。例えば、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ材、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、航空機内装材、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等の部品や筐体に最適に使用される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(1)難燃性
UL−94 垂直燃焼試験に基づき、約1.6mm厚みの射出成形試験片を用いて測定し、5本の試験片を各2回計10回接炎時の燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。評価基準を以下に示す。
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき2回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき2回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、2回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき2回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を一本につき2回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、2回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき2回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき2回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)試験片5本のうち、少なくとも1本、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、2回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(2)透明性
東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度290℃、金型温度90℃にて、幅約50mm、長さ約90mm、厚さ約2.5mmの成型片を作製し、ベース樹脂のみで成型したものと比較して、同等の透明性を有しているものを「○」、半透明のものを「△」、透明性のないものを「×」として目視により評価を行った。
(3) 耐熱性(DTUL)
ASTM−D−648に基づき、厚さ6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
(4)曲げ強度
ASTM−D−790に基づき、厚さ6.4mmの試験片を用いて測定を行った。
(5)引張強度
ASTM−D−638に従い、引張強度を測定した。
(A)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート樹脂(カリバー301−10;住友ダウ(株)社製)
(B)多官能性アルコール
ペンタエリトリトール(和光純薬工業(株)社製)
(C)リン系化合物
(C−1)ホスファゼン化合物
下記化学式(15)においてn=3が93.6重量%、n=4が4.0重量%、n≧5が2.4重量%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7重量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm。
Figure 2007211154
(C−2)
ビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、下記化学式(16)において、n=1である化合物を85.3重量%、n=2である化合物を12.6重量%含有する縮合リン酸エステル。酸価0.18、5%減量温度;359℃、50%減量温度;433℃、500℃残渣量;2.1重量%、含有水分量;324ppm。
Figure 2007211154
(D)三級ホスフィン化合物
トリフェニルホスフィン(和光純薬工業(株)社製)
(E)その他の成分
酸化硼素(和光純薬工業(株)社製)
[実施例1〜4、比較例1、2]
ZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度を250℃に設定し、表1に示す割合で混合して投入し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度290℃、金型温度90℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表1の結果を得た。
[実施例5]
ZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度を250℃に設定し、(A)成分100重量部及び、(B)成分を0.25重量部、(C−2)成分7.5重量部を混合して投入し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。混練の際、供給口でペレット、難燃剤の一部が団子状物を作ったため、押出作業性が少し悪かった。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度290℃、金型温度90℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて透明な物性試験片を作製し難燃性を評価したところ、V−2(平均燃焼時間5秒以下)であった。また、上記試験法により耐熱性を測定したところ、112℃であった。
[比較例3]
ZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度を250℃に設定し、(A)成分100重量部及び(E)成分1重量部を混合して投入し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットは透明性がなく、白濁していた。また、得られたペレットを、東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度290℃、金型温度90℃、射出時間10秒、キュア時間15秒にて燃焼試験片を成型し、上記試験法により試験を行ったところ、最大燃焼時間が30秒を超えて、試験は不合格となった。
[比較例4]
ZSK−25二軸回転押出機[ウェルナー&フライデラー社製]を用いて、加熱シリンダーの設定温度を250℃に設定し、(A)成分100重量部及び(B)成分3重量部を混合して投入し、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ストランドを冷却裁断して透明な樹脂組成物ペレットを得た。また、得られたペレットを、東芝機械株式会社製IS−80C成型機を用いて、スクリュー温度290℃、金型温度90℃で成型を行ったが、溶融粘度が低くなりすぎて、成型することができなかった。
Figure 2007211154
本発明による難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物は、難燃性及び透明性の必要な分野で最適に使用される。例えば、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ材、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、航空機内装材、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等の部品や筐体に最適に使用される。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート系樹脂(A)100重量部に対し、多官能性アルコール(B)0.01〜2重量部を含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 更にリン系化合物(C)を0.1〜20重量部含有し、リン系化合物(C)がホスファゼン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩から選ばれる少なくとも一種のリン系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. リン系化合物(C)が、ホスファゼン化合物、縮合リン酸エステルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. リン系化合物(C)が、ホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項2または3に記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 更に三級ホスフィン化合物(D)を0.01〜2重量部含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 多官能性アルコール(B)と三級ホスフィン化合物(D)の配合比が(B)/(D)=1/10〜20/1であることを特徴とする請求項5に記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 透明性を保持していることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物からなる成型体。
  9. 請求項1〜7いずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物からなる電子・電気機器、OA機器、情報・通信機器、家庭用品の部品、筐体。
JP2006033461A 2006-02-10 2006-02-10 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 Pending JP2007211154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006033461A JP2007211154A (ja) 2006-02-10 2006-02-10 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006033461A JP2007211154A (ja) 2006-02-10 2006-02-10 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007211154A true JP2007211154A (ja) 2007-08-23

Family

ID=38489871

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006033461A Pending JP2007211154A (ja) 2006-02-10 2006-02-10 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007211154A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011052166A (ja) * 2009-09-04 2011-03-17 Adeka Corp 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2011526942A (ja) * 2008-06-30 2011-10-20 バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物
WO2011154992A1 (ja) * 2010-06-08 2011-12-15 住友ベークライト株式会社 難燃性樹脂組成物およびその用途
JP2012001580A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
JP2012031244A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2015004002A (ja) * 2013-06-21 2015-01-08 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2015034191A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 帝人株式会社 透明難燃性熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
CN104395402A (zh) * 2012-05-24 2015-03-04 沙特基础创新塑料Ip私人有限责任公司 阻燃聚碳酸酯组合物、制备其的方法及包含其的制品
EP3312239A4 (en) * 2015-06-18 2019-01-02 Kingfa Sci&Tech Co. Ltd. Polycarbonate composition and preparation method thereof

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011526942A (ja) * 2008-06-30 2011-10-20 バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー 難燃性であり、光学的に透明な熱可塑性成形組成物
JP2011052166A (ja) * 2009-09-04 2011-03-17 Adeka Corp 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
WO2011154992A1 (ja) * 2010-06-08 2011-12-15 住友ベークライト株式会社 難燃性樹脂組成物およびその用途
JP2012001580A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
JP2012031244A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
CN104395402A (zh) * 2012-05-24 2015-03-04 沙特基础创新塑料Ip私人有限责任公司 阻燃聚碳酸酯组合物、制备其的方法及包含其的制品
US9394483B2 (en) 2012-05-24 2016-07-19 Sabic Global Technologies B.V. Flame retardant polycarbonate compositions, methods of manufacture thereof and articles comprising the same
JP2015004002A (ja) * 2013-06-21 2015-01-08 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2015034191A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 帝人株式会社 透明難燃性熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
EP3312239A4 (en) * 2015-06-18 2019-01-02 Kingfa Sci&Tech Co. Ltd. Polycarbonate composition and preparation method thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007211154A (ja) 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物
US7759418B2 (en) Flame retardant resin composition
US8562873B2 (en) Flame retarder composition
JP5224431B2 (ja) 難燃性ポリアミド系樹脂組成物
JP5412057B2 (ja) 樹脂組成物及びこれを用いた電気絶縁部品
JP3886053B2 (ja) 難燃剤組成物
JP5203921B2 (ja) 電離放射線照射用難燃ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物
JP4886959B2 (ja) 難燃性ポリエステル組成物
JP3923497B2 (ja) ホスファゼン組成物
JP2007091865A (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2007297568A (ja) 難燃性ポリアミド系樹脂組成物
KR101632571B1 (ko) 기계적 특성이 우수한 비할로겐 난연화 폴리에스테르 수지 조성물 및 이의 성형품
JP3973105B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2008050509A (ja) 難燃性ポリアミド系樹脂組成物
JP2006016587A5 (ja)
JP2006057037A (ja) 難燃性ポリエステル系樹脂組成物
JP3932199B2 (ja) 難燃剤組成物
JP2008101035A (ja) 難燃剤マスターバッチ
JP2006117545A (ja) ホスファゼン化合物
KR101748243B1 (ko) 유동성과 표면 광택이 우수한 비할로겐 난연성 폴리에스테르 수지 조성물 및 이의 성형품
JP5300589B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそこから得られる成形体
JP3973107B2 (ja) 難燃性硬化性樹脂組成物
KR20100071471A (ko) 난연성이 우수한 열가소성 폴리에스테르 수지 조성물
JP3973106B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
JP2006016588A5 (ja)