JP3973105B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
リン及びリン化合物の配合量を増やすことなく炭化皮膜を形成し難い樹脂を難燃化するには、予め炭化皮膜の原料となる成分を配合した難燃剤組成物を用いるという着想が生まれる。
(A)成分:特定の金属元素を有する金属酸化物
(B)成分:特定のホスファゼン化合物
(C)成分:芳香族含有樹脂
1.下記(A)成分と下記(B)成分とを含む熱可塑性樹脂からなる難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)
(B)成分:TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃であるホスファゼン化合物。
2.(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部含有することを特徴とする上記1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
3.(B)成分の酸価が1.0以下であり、且つカールフィッシャー法により150℃にて測定した水分量が1000ppm以下であることを特徴とする上記1又は2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
4.(B)成分における、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
5.(A)成分において、金属MがV,Nb,Fe,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auから選ばれる少なくとも一種である上記1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
7.(C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、サーモトロピック液晶から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする上記6に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
8.(C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする上記6に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
9.(C)成分と(B)成分の重量比が(C)/(B)=95/5〜5/95であることを特徴とする上記6〜8のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
10.該熱可塑性樹脂が、ポリスチレン系樹脂、エラストマー含有ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含む、上記1〜9のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
11.上記1〜10のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
本発明においては、熱可塑性樹脂に対して、(A)MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)及び、(B)特定のホスファゼン化合物で構成された難燃剤組成物を配合することにより大きな効果を発揮し、優れた難燃性及び諸特性を得ることができる。
また、(A)MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)、(B)特定のホスファゼン化合物及び(C)芳香族樹脂で構成された難燃剤組成物を配合することにより、該(C)芳香族樹脂が炭化層の形成をより効率良く行って、優れた難燃性及び諸特性を得ることができる。
本発明において使用に供される熱可塑性樹脂は従来公知の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。一例を挙げると、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、エラストマー含有ポリスチレン、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、ポリケトン系樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、サーモトロピック液晶等が挙げられ、特にポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリアミドのアロイ、ポリフェニレンエーテルとサーモトロピック液晶とのアロイ、ポリフェニレンエーテルとポリフェニレンサルファイドとのアロイが好適に使用される。
これらの樹脂は一種単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。
本発明において好適に用いられる金属酸化物は一般式MxOyで表される。ここでx及びyはそれぞれ、0<x≦5、0<y≦5である。本発明においては、中心金属元素として、特定の元素を有する金属酸化物を用いることが重要である。即ち、本発明においては、周期表第5、8、10、11族元素を含有する金属酸化物を用いることが重要である。他の族に属する元素を含有する金属酸化物を用いた場合、本発明の効果を十分に得ることができず、樹脂に添加した場合に樹脂を加水分解する傾向にあるものもあり、好ましくない。一例を挙げると、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化アルミニウム、酸化タリウム等の金属酸化物は、吸湿性、水への溶解性が高く、このような金属酸化物を添加することで、樹脂、特にポリカーボネート系樹脂、ポリアミド、ポリエステル等を加水分解する傾向にあり好ましくない。
また、耐吸湿性、ノンハロの観点から、含有する塩素量が2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが好ましい。
各金属酸化物は単独で用いても良いし、二種以上の混合物として用いても良い。また、これらの金属酸化物は、任意の無機物及び/又は有機物で被覆して用いても良い。
なお、以下では「〜重量%の重量減少時の温度」を「〜%減量温度」という場合がある。
これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
さらに、これらの化合物は国際公開番号WO00/09518号に開示されている技術により、フェニレン基、ビフェニレン基および下記に示す基(4)
これらのホスファゼン化合物は一種単独で用いても、二種以上の混合物として用いても良い。
また、本発明で好適に使用される(B)成分は、耐加水分解性、耐吸湿性の観点から、水への溶解度(サンプルを0.1g/mLの濃度で蒸留水に混合し、室温で1時間攪拌後に水中に溶け込んだサンプルの量を指す)が100ppm以下、好ましくは50ppm、より好ましくは、25ppm以下であるものが良い。
本発明においては、(A)成分、(B)成分の他に、炭化皮膜の形成をより促進する目的で、芳香族樹脂を含有しても良い。
本発明で用いられる芳香族樹脂は、燃焼時に炭化皮膜を形成し易い樹脂であれば特に規定はされず、従来公知の芳香族樹脂を好適に用いることができる。
一例を挙げると、ASTM D2863に基づいて測定された酸素指数が24以上であり、且つ、主鎖に芳香族分子を20mol%以上含有している樹脂であることが好ましい。より好ましくは30mol%以上、更に好ましくは40mol%以上、特に好ましくは50mol%以上含有していることが好ましい。
ただし、(C)成分として芳香族樹脂を添加する場合、(C)成分は上記熱可塑性樹脂とは異なる樹脂であって、同一の樹脂であることはない。
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂は、一般式(8)及び/または(9)で表される繰り返し単位を有する単独重合体、あるいは共重合体であることが好ましい。
ここでポリフェニレンエーテル共重合体とは、フェニレンエーテル構造を主単量体単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと下記一般式(10)で示されるビスフェノールとの共重合体等がある。
本発明で好適に用いることができるポリカーボネート樹脂は、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
(式中Xは、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、下記一般式(13)、(14)で表される基であり、式中R11、R12、R13、R14、R15、R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜20アルキル基、アリール基を表し、置換基上の水素原子はフッ素原子で置換していても良い)
これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で好適に用いることのできる芳香族含有ポリアミド樹脂は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、ε−カプロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロへキシル)メタン等のポリアミド形成性モノマーを適宜組み合わせて得られるホモポリマー、共重合体及びこれらの混合物を用いることができる。
本発明によるポリアミド樹脂の分子量は、何等規定されるものではないが、JIS K6810規格に示される硫酸相対粘度が1.5〜3.5の範囲にあるものを好適に用いることができる。
本発明で好適に用いることのできるサーモトロピック液晶は、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、p−ヒドロキシ安息香酸及びエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び4,4’−ヒドロキシビフェニル並びにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルなどが挙げられ、特に制限はない。
本発明のサーモトロピック液晶の溶融時での液晶状態を示し始める温度(以下、液晶開始温度という)は、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは180〜320℃である。液晶開始温度をこの範囲にすることは、得られる樹脂組成物を好ましい色調と耐熱性と成形加工性バランスの良いものとする。
本発明で好適に用いることができるポリフェニレンスルフィド系樹脂は、、本発明の効果を発揮するものであれば従来公知のものを広く用いることができ、特に制限されない。一例を挙げると、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリビフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン等が挙げられ、特にポリフェニレンスルフィドを好適に用いることができる。
また、ポリフェニレンスルフィドは、−SX基(Sは硫黄原子、Xはアルカリ金属または水素原子である)量が、15μmol/g以上、好ましくは18〜35μmol/g、特に好ましくは20〜30μmol/gであるものが好ましい。
本発明において好適に用いられるフェノール系樹脂としては、従来公知のものを好適に用いることができる。一例を挙げると、フェノールとアルデヒドを塩基性触媒で付加、縮合して得られるレゾール型フェノール樹脂、フェノールとアルデヒドを酸触媒で付加、縮合して得られるノボラック型フェノール樹脂等がある。中でもノボラック型フェノール樹脂が好適に用いられる。これらのフェノール樹脂は一種単独でも二種以上を併用して用いても良い。
また、本発明で用いられるフェノール樹脂の数平均分子量は、特に制限はされないが、300〜50000のものが好適に用いられ、分子量の異なるフェノール樹脂を併用しても良い。
本発明における熱可塑性樹脂組成物において、難燃剤組成物を構成する成分の配合割合は、本願の効果が得られる範囲であれば特に規定はされないが、本願の効果を効率良く得ようとした場合、(A)成分と(B)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部、好ましくは(A)成分を0.1〜50重量部、(B)成分を99.9〜50重量部であることが好ましい。更には、0.1〜37重量部、(B)成分を99.9〜63重量部であることが好ましい。
また、(C)成分の芳香族樹脂を配合する場合の配合割合は、(C)成分と(B)成分の比が(C)/(B)=95/5〜5/95、より好ましくは、(C)/(B)=90/10〜10/95であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物おいて用いる難燃剤組成物の形状は、本発明の効果が達成できるものであれば特に規定するものではない。例えば、粉体、錠剤型、ペレット、塊状、ワックス、液体、オイル等の状態で供給される。また、必要であれば、難燃剤組成物を気化させて用いることもできる。また、本発明において用いる難燃剤組成物においては、各成分は完全に相溶させても良いし、単純に混合させて用いても良い。また、相溶させたものと単純混合のものとの混合物でも良い。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、必要により従来公知の硬化性樹脂と組み合わせて使用することができる。一例を挙げると、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴムが挙げられる。
これらの樹脂は、一種単独でも、二種以上の樹脂を組み合わせて用いても良い。
本発明による難燃性熱可塑性樹脂組成物においては、本発明の効果が達成できる範囲で、従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を併用することができる。例示すると、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィン、ビス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン、トリス(ジアリールホスフィノ)ベンゼン等の三級ホスフィン類や、それらの酸化物や硫化物、ホスフィン酸やホスホン酸等の金属塩、アミド、アンモニウム塩、メラミンとの誘導体、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム等の金属水酸化物、メラミン、メラム、メレム、メロン、メチレンジメラミン、エチレンジメラミン、デカメチレンジメラミン、1,3−シクロヘキシルジメラミン、4,4’−ジエチレンジメラミン、ジエチレントリメラミン、ベンゾグアナミン、ジベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、メチルグアナミン、アセトグアナミン、メラミン樹脂等や、上記化合物のシアヌル酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硼酸塩、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2−N−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプト−S−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等のトリアジン系化合物、硼酸、硼酸亜鉛化合物等の硼素含有化合物、ポリオルガノシロキサン、シルセスキオキサン、シリコン樹脂等の珪素含有化合物、シリカ、カオリンクレー、タルク、ウォラストナイト等の無機珪素化合物を添加して更なる難燃性の向上も可能である。
(配合順序)
本発明において、熱可塑性樹脂と難燃剤組成物との配合方法は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。その中でも押出機による溶融混練が、生産性の面で好ましい。混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜360℃の範囲、好ましくは180〜320℃の範囲である。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、コイルボビン、フライバックトランス、コネクター、偏光ヨーク等の電気・電子機器部品、プリント配線板、プリント基板、封止剤、電気絶縁材料、電気被覆剤、積層板、高速演算用ワニス、先端複合材料、電線、アンテナ剤、ケーブル、高性能成型材料等の電気・電子材料用途、塗料、接着剤、コーティング材、食器、ボタン、繊維・紙処理剤、化粧板、UV硬化型インキ、シーラント、合成皮革、断熱緩衝材料、塗膜防水材、防食ライニング、鋳型用バインダー、ラッカー、ペイント、インキの改質材、樹脂変性材、航空機内装剤、複合材料用マトリックス、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、ETC、ITC、携帯電話等に最適に使用される。
まず、実施例及び比較例で得たサンプルの評価手法について述べる。
UL−94垂直燃焼試験に基づき、約1.6mm又は3.2mm厚みの射出成形試験片、若しくは2mm厚みの硬化試験片を用いて測定し、10回接炎時の平均燃焼時間と燃焼時の滴下物による脱脂綿着火の有無を評価した。
UL−94垂直燃焼試験は、UL燃焼テストチャンバー(HVUL−C;(株)東洋精機製作所製)を用いて行い、燃焼試験時に発生する煙がチャンバーからほとんど漏れでなかった場合は○、少し漏れ出た場合は△、多量に漏れ出た場合は×として、目視により評価を行った。
サンプル約10mgを、パーキンエルマー社製Thermal Analysis System 7 Seriesを用いて、窒素気流30ml/min中、10℃/minの速度で600℃まで昇温したときの重量が、5%減量した時の温度及び、50%減量した時の温度を測定し、その差を測定した。
設定温度150℃で、カールフィッシャー法により測定した。
5) 熱安定性(モールドデポジット:MD)
シリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定した射出成型機を用いて、長さ128mm×幅12.8mm×厚さ1.6mmの成形試験片を成形し、20ショット後の金型表面状態を目視により観察した。
○:MD の発生が極めて少ない。
×:MD の発生が多い。
ASTM−D−648に基づき、厚さ6.4mmの試験片を用いて、18.6kg荷重にて測定した。
7) 電気特性
厚さ約2.5mmの成型片を用いて、比誘電率を周波数1GHzにて容量法で測定した。
8) アイゾッド衝撃強度(ノッチ付き)
ASTM−D−256に基づき、厚さ6.4mmの試験片を用いて測定した。
下記設定温度にて、射出成形により、ASTM−D−638ダンベル型試験片を成形し、成形した際に、試験片およびランナーの金型からの型離れのし易さの程度を目視判定した。離型が良いものは○、離型が良くないものは×で表した。
実施例1〜3、比較例1〜4 バレル温度220℃ 金型温度60℃
実施例22、比較例20、21 バレル温度280℃ 金型温度80℃
実施例23、比較例22 バレル温度 280℃ 金型温度90℃
実施例24 バレル温度 320℃ 金型温度90℃
加熱シリンダーの最高温度を下記の温度で設定し、スクリュー直径25mmの二軸押出機で、スクリュー回転数300rpmで溶融混合した。
実施例1〜7、実施例10、比較例1〜7 − 220℃
実施例8、9、11、19、比較例14〜16 − 300℃
実施例25〜27、比較例23〜28 − 260℃
10分間溶融混錬を行ったときに、ストランドが途中で二度以上切れたものは×、一度切れたものを△、一度も切れなかったものを○として目視により判定を行った。
(A)金属酸化物
(M−1)
酸化ニッケル(NiO;和光純薬工業(株)社製)
(M−2)
酸化二オブ(Nb2O5;和光純薬工業(株)社製)
(M−3)
酸化亜鉛(ZnO;和光純薬工業(株)社製)
(M−4)
酸化鉄(Fe2O3;和光純薬工業(株)社製)
(M−5)
ポリオルガノシロキサン(SH710;信越化学(株)社製)
(M−6)
水酸化マグネシウム(Mg(OH)2;和光純薬工業(株)社製)
(M−7)
酸化鉄(TIC−8048D;戸田工業(株)社製)
(M−8)
酸化モリブデン(MoO3;和光純薬工業(株)社製)
(M−9)
酸化バナジウム(V2O5;和光純薬工業(株)社製)
(M−10)
四三酸化鉄(Fe3O4;和光純薬工業(株)社製)
(M−11)
酸化銅(II)(CuO;和光純薬工業(株)社製)
(FR−1)
下記一般式(15)においてn=3が93.6wt%、n=4が4.0wt%、n≧5が2.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;336℃、50%減量温度;398℃、500℃残渣量;4.7重量%、酸価;0.17、含有水分量;182ppm。
下記一般式(15)において、n=3が88.7wt%、n=4が6.2wt%、n≧5が5.1wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;339℃、50%減量温度;404℃、500℃残渣量8.7重量%、酸価0.22、含有水分量;225ppm。
下記一般式(15)において、n=3が85.3wt%、n=4が9.3wt%、n≧5が5.4wt%であるフェノキシホスファゼン。5%減量温度;318℃、50%減量温度;421℃、500℃残渣量;14.2重量%、酸価1.04、含有水分量;1100ppm。
下記化学式(16)において、n=3が99.3wt%、n=4が0.7wt%であるキシレノキシホスファゼン。5%減量温度;349℃、50%減量温度;418℃、500℃残渣量;11.0重量%、酸価;0.23、含有水分量;137ppm。
レゾルシンと2,6−キシレノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、PX−200(大八化学工業(株)社製)。酸価0.11、5%減量温度:319℃、50%減量温度;388℃、500℃残渣量;0.9重量%、含有水分量;235ppm。
ビスフェノールAとフェノールを原料として合成される縮合リン酸エステルで、下記化学式(17)において、n=1である化合物を85.3重量%、n=2である化合物を12.6重量%含有する縮合リン酸エステル。酸価0.18、5%減量温度;359℃、50%減量温度;433℃、500℃残渣量;2.1重量%、含有水分量;324ppm。
(1) ポリフェニレンエーテル系樹脂
(PPE−1)
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.54のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
GPCによって測定したポリスチレン換算数平均分子量が3600のポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル。
30℃のクロロホルム溶液で測定したηsp/cが0.41のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)100重量部に無水マレイン酸0.5重量部を配合し、2軸押出機で330℃、300rpmで混練押出して、無水マレイン酸変性PPEペレットを得た。
ゴム含量9%、30℃、トルエン溶液で測定したマトリックスポリスチレンのηsp/cが0.64、体積平均ゴム粒子径が1.5μmのゴム補強ポリスチレン。
トルエン溶液で測定したηsp/cが、0.8のポリスチレン
(4)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)
スタイラックABS(旭化成(株)社製)
(PA66)
レオナ1300S (旭化成ケミカルズ(株)社製)
(PA66/6I)
ヘキサメチレンジアミン及び、アジピン酸とイソフタル酸の合計100重量部に対し、アジピン酸を18重量部、イソフタル酸を82重量部用いて重合して得られたポリアミド66/6I樹脂。
(PA6I/6T)
ヘキサメチレンジアミン及び、イソフタル酸とテレフタル酸の合計100重量部に対し、イソフタル酸を70重量部、テレフタル酸を30重量部用いて重合して得られたポリアミド6I/6T樹脂。
パンライトL−1250Y(帝人化成(株)製);非難燃透明グレード。
(7)PTFE
PTFE 6C−J(三井デュポンフロロケミカル(株)社製)
各成分を表1〜11に示す割合で混合し、加熱シリンダーの最高温度を200〜330℃に設定したスクリュー直径25mmの二軸押出機に供給して、スクリュー回転数300rpmで溶融混合し、ストランドを冷却裁断して樹脂組成物ペレットを得た。
次に、得られた樹脂組成物ペレットを、射出成形により200〜330℃にて物性試験片を成形し、上記試験法により物性試験を行い、表1〜11の結果を得た。
Claims (11)
- 下記(A)成分と下記(B)成分とを含む熱可塑性樹脂からなる難燃性熱可塑性樹脂組成物。
(A)成分:MxOyで表される金属酸化物(但し、式中Mは、周期表第5,8,10,11族元素の中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、式中のx、yはそれぞれ0<x≦5、0<y≦5である)
(B)成分:TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度と5重量%の重量減少時の温度の差が40〜100℃であるホスファゼン化合物 - (A)成分と(B)成分の合計100重量部中、(A)成分を0.1〜60重量部、(B)成分を99.9〜40重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (B)成分の酸価が1.0以下であり、且つカールフィッシャー法により150℃にて測定した水分量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (B)成分における、TGAによる不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/minで常温から600℃まで加熱した時の、50重量%の重量減少時の温度が320〜460℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分において、金属MがV,Nb,Fe,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Auから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 更に、(C)成分として芳香族樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、サーモトロピック液晶から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分が、ポリフェニレンエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- (C)成分と(B)成分の重量比が(C)/(B)=95/5〜5/95であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂が、ポリスチレン系樹脂、エラストマー含有ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
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