JPWO2003067282A1 - X線検出器およびx線検出器の製造方法 - Google Patents
X線検出器およびx線検出器の製造方法Info
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Abstract
画素単位に設けられたX線を光に変換するシンチレータ層38と、シンチレータ層38で変換された光を電荷として蓄積する蓄積用コンデンサ15と、隣り合う画素単位のシンチレータ層38間を仕切る隔壁層39とを具備したX線検出器において、シンチレータ層38に蛍光材料Iが含まれ、隔壁層に蛍光材料IP1と光学的特性が相違する第2蛍光体P2が含まれ、かつ、第2蛍光体P2が発生する蛍光波長は、蛍光材料IP1が発生する最短の蛍光波長と等しいかそれよりも長い成分を有する。
Description
技術分野
本発明はX線の検出に用いられるX線検出器およびその製造方法に関する。
背景技術
近年、新世代の診断用X線検出器として、アクティブマトリックスを用いた平面型のX線検出器が注目を集めている。平面型X線検出器は、X線で撮影したX線画像あるいはリアルタイムのX線透視画像をデジタル信号として出力する構成になっている。
平面型X線検出器は固体検出器であるため、画質性能の向上や安定性の面でも大きい期待が寄せられている。
平面型X線検出器は、比較的大きな線量で静止画像を収集する一般撮影用や胸部撮影用のものがすでに開発され、商品化されている。また、透視線量のもとで毎秒30画面以上のリアルタイムのX線動画の検出も可能なことから、近い将来、循環器や消化器などの診断分野に応用した製品の商品化も予想されている。このような動画用のX線検出器の実用化には、S/Nの改善や微小信号のリアルタイム処理技術の一層の改善が必要である。
平面型X線検出器は、大きく分けると直接方式と間接方式の2つの方式がある。
直接方式はa−Seなどの光導電膜を用いてX線を電荷に直接変換し、変換した電荷を電荷蓄積用キャパシターに蓄積する方式である。この方式では、解像度特性は画素ピッチでほぼ規定される。間接方式はシンチレータ層でX線を可視光に変換し、変換した可視光をa−SiフォトダイオードやCCDなどの光電変換素子で電荷に変換し、電荷蓄積用キャパシターに蓄積する方式である。
直接方式の平面X線検出器では、X線の吸収率を上げて信号強度を確保する為に、例えばa−Seの光導電膜を1mm程度の厚膜で形成している。また、X線フォトン1個当りの光導電電荷生成率を上げる為、生成した光導電電荷が膜中の欠陥準位にトラップされることなく集電電極に到達させる為、そしてバイアス電界と直角方向への電荷の拡散を極力抑える為に、例えばa−Seの光導電膜の両端に10V/μmの強バイアス電界が印加されている。したがって、a−Seの光導電膜の膜厚が1.0mmの場合、10kV程度の高電圧が印加される。
直接方式のX線検出器は解像度特性が優れているという利点があるが、その反面、動作電圧の低いTFTを高電圧から保護しなければならず、信頼性の点で問題がある。また、低暗電流特性と高感度特性、熱的安定性などを備えた光導電材料を容易に入手できないという問題もある。
一方、間接方式のX線検出器は信号電荷の発生にフォトダーオードやCCDなどを用いるため、直接方式におけるような高電圧の印加を必要とせず、高電圧による絶縁破壊の問題はない。また、シンチレータ材料やフォトダーオードなどは基本的な技術が確立しているので製品化が容易であるという利点がある。
しかし、X線診断装置としての解像度特性はシンチレータ層で変換された蛍光が光電変換素子に到達するまでの間に拡散や散乱を起こすため直接方式に較べて一般に劣るという問題がある。特に感度特性を改善する為にシンチレータ層を厚膜にすると、フォトダイオード等の光電変換素子に到達するまでの蛍光の広がりが大きくなって解像度の劣化が顕著となる。この蛍光の広がりを抑えて解像度を確保するために、シンチレータ層をフォトダイオードとTFTのマトリックスに合わせて画素単位に形成し、シンチレータ画素間を隔壁で光学的に遮断する方法が知られている。しかし従来のX線検出器における隔壁はX線感度に寄与しない金属材料などで形成されており、この為シンチレータ層から隔壁に置き換えられた分だけシンチレータ層の総発光量が低減してX線検出器の感度が低下するという問題があった。
発明の開示
そこで本発明の目的は、画素間に、解像度特性の劣化を抑える為の隔壁が形成された間接方式のX線検出器において、隔壁の存在による輝度低下をできるだけ小さくしたX線検出器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、かかるX線検出器の製造方法において、輝度の低下をできるだけ小さく抑える隔壁とシンチレータ層の構造を均質かつ信頼性良く形成する方法を提供することにある。
本発明のX線検出器は、画素間に隔壁の形成された間接方式のX線検出器の高い解像度特性を維持しつつ、感度特性を向上させる為に、以下の構造を有する。
すなわち、本発明のX線検出器の一つの形態は、画素単位の光電変換部と、前記光電変換部の各画素上に形成されたシンチレータ画素と、前記シンチレータ画素間の隔壁とを具えたX線検出器において、前記隔壁は、前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ、前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料IIを含有することを特徴としている。
従来知られている隔壁構造を有するX線検出器では、隔壁が、例えば金属材料やガラス系又はセラミックス材料、或いは樹脂材料などで形成されており、それ自体がX線照射により発光することはないのは勿論、シンチレータ層の発光を増大させる効果はないが、本発明のX線検出器は、シンチレータ層から発せられる蛍光が拡散あるいは散乱して隣接する画素の光電変換素子に到達するのを防ぐ為の隔壁構造が形成されており、この隔壁構造が画素間の透過光を抑えて解像度を向上させるとともにシンチレータ層の発光輝度の向上に寄与するという特徴を備えている。
本発明のX線検出器における画素間の透過光の抑制による解像度の改善は、隔壁が、画素を構成する蛍光材料と光学的特性が相違する蛍光材料を含むため、画素と隔壁との界面で屈折や反射が生じることにより得られる。ここで、光学的特性が異なるとは、平均粒径が異なる場合や、屈折率が異なる場合、或いは分光吸収特性が異なる事などを意味する。
一方、発光輝度の改善は、次のようなメカニズムで行われる。
すなわち、隔壁に含まれる蛍光材料IIの最長蛍光波長がシンチレータ層に含まれる蛍光材料Iの最短蛍光波長より長くなっている。この為、蛍光材料IIから発する蛍光が蛍光材料Iに達すると蛍光の発光には寄与しないが、蛍光励起に関係する少なくとも最短波長の蛍光発生に関係する電子遷移のグランド準位に存在する電子を上位のエネルギー準位に励起する。その結果、蛍光材料Iの蛍光発光遷移に必要なグランド準位の電子の空き率が増加する。あるいは、バンド間の不純物準位や欠陥準位が関係する電子遷移を励起する。この結果、蛍光材料Iからの蛍光がシンチレータ層内を通過する際に、グランド準位の電子を励起する確率や、バンド間の準位が関係する電子励起の確率を減じて、蛍光材料Iからの蛍光のシンチレータ層内での吸収が抑えられる。その結果、金属材料等により形成された隔壁をもつ従来の間接方式のX線検出器と比べて高い輝度のX線検出器を得ることができる。
本発明の他の態様は、画素単位の光電変換部と、前記光電変換部の各画素上に形成されたシンチレータ画素と、前記シンチレータ画素間の隔壁とを備えたX線検出器において、前記隔壁は、前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含有することを特徴としている。ここで、光学的特性が異なるとは、平均粒径が異なる場合や、屈折率が異なる場合、或いは分光吸収特性が異なる事などを意味する。
本発明のこの態様では、で次のようなメカニズムで線検出器の輝度が改善される。
すなわち、この態様では、隔壁に含まれる蛍光材料IIIの最短蛍光波長がシンチレータ層に含まれる蛍光材料の最長蛍光励起波長よりも短い為、蛍光材料IIIから発する蛍光が蛍光材料Iに達して少なくとも最長蛍光励起波長に係るグランド準位から励起準位への電子遷移を増大させ、この結果として蛍光材料Iの発光強度自体が増大する。
前記蛍光材料II又は蛍光材料IIIは粒状の蛍光材料から成り、その蛍光材料II又はIIIの平均粒径φを蛍光材料II又はIIIの隔壁層内の体積充填率(D)で除した値(φ/D)が前記隔壁幅の1/2以下であることが望ましい。ここで、例えば堆積充填率50%の場合の(D)は0.5である。
このように隔壁内の蛍光材料の粒径を隔壁幅との関係で調整することにより、シンチレータ膜の光学的な画素分離効果をより発揮させることができる。
すなわち、間接方式のX線検出器に隔壁を設けるのは、シンチレータ画素からの蛍光が隣接画素に到達するのを防ぐためであるが、その効果は隔壁層の実効的な蛍光吸収若しくは反射の程度と関係している。蛍光の吸収率を増大させると実質的な輝度は低下するが、反射率を向上させても輝度の低下はもたらさない。隔壁層の実効反射率は、蛍光材料粒子の粒径(針状粉体の場合には針の直径等)を小さくして蛍光材料とバインダー等の周辺材料との界面での屈折頻度を増やすことにより向上させることができる。粒径を小さくすると完全拡散反射面に近付きトータルの反射率は増大する。隔壁の幅、即ち隣接画素間に蛍光材料粒子が最低4個程度配列されれば実効的には顕著な反射効果が期待できる。蛍光材料の充填密度を考慮すると、平均粒径(φ)を充填密度(D)で除した値(φ/D)が隔壁厚みの1/2以下でほぼこのような状況が実現する事が光学シミュレーション結果から判明している。
しかし粒径が極端に小さくなって蛍光波長程度に近付くと散乱効果が小さくなるので、粒径の下限はシンチレータ層の蛍光波長程度までとすることが望ましい。蛍光材料II又はIIIからシンチレータ層に入射した蛍光は、蛍光材料Iに吸収されて発光輝度増大に寄与するが、さらに主にシンチレータ層内を通過してフォトダイオードに達して、X線検出器の実効感度も向上させる。蛍光材料II又はIIIからシンチレータ層に入射した蛍光がフォトダイオードに到達し易くする為にはシンチレータ層の蛍光材料Iの粒径を、隔壁の蛍光材料のように小さくせずに、できるだけ大きくすることが望ましい。または蛍光材料Iを焼結体のようなバインダー等を含まないものとして、蛍光材料とバインダー等との界面での屈折による散乱の頻度を極力抑えたり、夫々の蛍光材料の自己吸収係数及びバインダー材料等の蛍光に対する吸収係数をできるだけ小さくすることにより、蛍光材料II又はIIIからシンチレータ層に入射した蛍光をフォトダイオードに一層到達し易くすることができる。
本発明のX線検出器は、例えば次に挙げる方法により製造することができる。
第1の方法は、シンチレータ層を先に形成する方法である。蛍光材料II又はIIIを含む隔壁材料の層を一旦形成した後にシンチレータ画素が形成されるべき部分を、化学反応又は光化学反応を用いて、或いは機械的に又は熱的に除去し、しかる後に除去した部分に蛍光材料Iを充填する方法である。
すなわち、本発明の第1のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に蛍光材料Iを含む層を形成する工程と、前記層から隔壁となる部分を除去して前記シンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料材料II及び/又は蛍光材料材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
第2の方法は、第1の方法とは逆に、隔壁層を先に形成する方法である。
すなわち、本発明の第2のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に蛍光材料材料II及び/又は蛍光材料材料IIIを含む層を形成する工程と、前記層から画素となる部分(前記隔壁となる部分以外の部分)を除去して前記隔壁を形成する工程と、前記隔壁を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
第3の方法は、樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により形成された仮隔壁を用いる方法で、蛍光材料を含む層の画素形状又は隔壁形状への加工が困難な場合に特に有効な方法である。
すなわち、本発明の第3のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により層を形成する工程と、前記層から前記隔壁となる部分を除去して樹脂材料又は金属材料による仮画素を形成する工程と、前記仮画素を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料材料II及び/又は蛍光材料材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程と、前記仮画素を除去する工程と、前記仮画素を除去した部分に前記蛍光材料材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
第4の方法は、樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料などにより形成された仮画素を用いる方法で、この方法も蛍光材料を含む層の画素形状又は隔壁形状への加工が困難な場合に特に有効である。
すなわち、本発明の第4のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により層を形成する工程と、前記層から隔壁となる部分以外の部分を除去して樹脂材料又は金属材料による仮隔壁を形成する工程と、前記仮隔壁を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程と、前記仮隔壁を除去する工程と、前記仮隔壁を除去した部分に蛍光材料II及び/又は蛍光材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程とを備えたことを特徴としている。なお、一般に画素は一辺が30〜400μmの正方形又は正方形に近い長方形であり、隔壁の幅は10〜50μm程度であり、シンチレータ画素の厚さは100〜800μmである。用途や検出するX線のエネルギーにより必要な膜厚は異なるが、医療用途の一般撮影用や透視用としては、好ましくは200〜500μである。
隔壁層やシンチレータ層等の蛍光材料を含む層あるいは樹脂材料や金属材料からなる層を部分除去する方法としては、紫外線領域の発光波長を持つレーザー光による光化学的反応を用いた除去、化学的な処理による除去、ダイシング他の機械的な手段を用いての切削除去、更には赤外線レーザーなどによる高密度の加熱による熱的な除去等の公知の方法を用いることができる。
また、蛍光材料は硬度と結合エネルギーが高いために化学反応や機械加工、或いは熱的又は光化学的な除去がいずれの方法でも難しいが、樹脂材料や金属材料でパターン形成して仮隔壁や仮画素を形成する方法では、このような蛍光材料を除去する工程を省略できるという利点がある。また加工時の蛍光体へのダメージによる発光効率の低下や着色による輝度低下を避けることができる。
従来のX線検出器では、例えば金属材料やガラス系又はセラミックス材料、或いは樹脂材料などで隔壁が形成されており、隔壁自体がX線照射により発光することはないのは勿論、シンチレータ層の発光を増大させる効果も保有してはいない。これに対して本発明のX線検出器では、隔壁層が、シンチレータ層から発せられる蛍光が拡散して隣接する画素の光電変換素子へ到達するのを抑制するとともに、同じ隔壁層がシンチレータ層の発光輝度の増大に寄与する。なお、本発明のX線検出器における隔壁の光の遮蔽効果は、前述したように、隔壁内の蛍光材料II又はIIIを適当な粒径の粉体状とすることにより蛍光材料自体とバインダー材の界面屈折や界面での全反射により得られるが、例えばAgやAg系合金などの金属粉体やTiO2等の微細な透明セラミックス粉体のような反射材や蛍光を吸収する色素などの樹脂材料を隔壁を構成する蛍光材料に含有させることによっても実現可能である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施形態について図1の回路構成図を参照して説明する。
符号11はX線光電変換部で、X線光電変換部11はマトリックス状に配列した複数の画素単位12から構成されている。たとえばガラスなどの絶縁基板上に同じ構造の複数の画素単位12が行方向(たとえば図の横方向)および列方向(たとえば図の縦方向)の2次元に配置されている。図1では、たとえば9個の画素単位12a〜12iが示されている。
1つの画素単位たとえば画素単位12iは、光を電荷に変換するフォトダイオード13およびスイッチング部を構成する薄膜トランジスタ(以下TFTという)14、電荷を蓄積する電荷蓄積部たとえば蓄積キャパシタ15などから構成されている。TFT14はゲート電極Gおよびソース電極S、ドレイン電極Dを有し、たとえばドレイン電極Dはフォトダイオード13および蓄積キャパシタ15と電気的に接続されている。
X線光電変換部11の外部に、TFT14の動作状態たとえばオン・オフを制御する制御回路16が設けられている。制御回路16には複数の制御ライン17が設けられている。図では第1ないし第4の4個の制御ライン171〜174が設けられている。それぞれの制御ライン17は、同じ行の画素単位12を構成するTFT14のゲート電極Gに接続されている。たとえば第1の制御ライン171は画素単位12a〜12cのゲート電極Gに接続されている。
列方向には、複数のデータライン18が設けられている。図では第1ないし第4の4個のデータライン181〜184が設けられている。それぞれのデータライン18は、同じ列の画素単位12を構成するTFT14のソース電極Sに接続されている。たとえば第1のデータライン181は画素単位12a、12d、12gのソース電極Sに接続されている。各データライン17は対応する電荷増幅器19に接続されている。
電荷増幅器19はたとえば演算増幅器で構成され、その一方の入力端子a1にデータライン18が接続され、他方の入力端子a2は接地されている。一方の入力端子a1と出力端子b間にコンデンサCが接続され積分機能を有する構成になっている。コンデンサCと並列にスイッチSWが接続され、たとえばスイッチSWを閉じてコンデンサCに残った電荷を放電する構成になっている。
それぞれの電荷増幅器19は、並列に入力する複数の電気信号を直列信号に変換して出力する並列/直列変換器20に接続されている。並列/直列変換器20は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器21に接続されている。
制御回路16や電荷増幅器19、並列/直列変換器20、アナログデジタル変換器21はたとえば集積回路で形成され、制御回路16とTFT14間などそれぞれの回路間はたとえばワイヤボンディングで接続される。
次に、X線光導変換部11の構成について図2を参照して説明する。図2は1つの画素単位の部分を抜き出した断面図で、図1に対応する部分には同じ符号を付し重複する説明を一部省略する。
ガラスなどの絶縁基板31上にTFT14および蓄積キャパシタ15が形成されている。TFT14は、絶縁基板31上に形成されたゲート電極Gおよびゲート電極Gを覆う絶縁膜32、絶縁膜32上に形成された半導体膜33、半導体膜33上に設けられたソース電極S、ドレイン電極Dなどから構成されている。
TFT14のゲート電極Gは制御ライン17(図1)に接続され、ソース電極Sはデータライン18に接続されている。
蓄積キャパシタ15は絶縁基板31上に形成された下部電極34、ゲート電極G上から下部電極34上まで延長する絶縁膜32、絶縁膜32上に設けられた上部電極35などから構成されている。上部電極35はドレイン電極Dと電気的に接続されている。
TFT14および蓄積キャパシタ15の上方に絶縁層36が設けられ、絶縁層36上にフォトダイオード13が形成されている。フォトダイオード13は、a−SiのpnダイオードやPINダイオードなどで形成される。図の場合はPINダイオードで形成されている。フォトダイオード13の図示下方および上方にそれぞれ第1電極131および第2電極132が設けられ、第1電極131と第2電極132間にバイアス電圧が印加される。第2電極132はスパッタリング法などで成膜したITO透明導電膜で形成されている。絶縁層36の一部にスルーホール37が設けられ、フォトダイオード13の第1電極131はスルーホール37を介してTFT14のドレイン電極Dと電気的に接続されている。第2電極132上にX線を光に変換するシンチレータ層38が形成されている。
シンチレータ層38を囲む周縁領域たとえば隣接する画素単位のシンチレータ層381との境界に隔壁層39が形成され、隣接する画素単位のシンチレータ層どうしは隔壁層39で遮断されている。シンチレータ層38および隔壁層39にはそれぞれ蛍光材料IP1および蛍光材料IIP2が含まれ、蛍光材料IP1および蛍光材料IIP2は、光学的特性たとえば発光スペクトルや屈折率、反射率、平均粒径などの1つあるいは複数の特性が相違している。また、シンチレータ層38および隔壁層39上に、光を反射する蛍光反射層40がX線光導変換部11の全面にわたってたとえば共通に形成されている。
上記した構成において、蛍光反射層40を通してシンチレータ層38および隔壁層39にX線41が入射し、シンチレータ層38および隔壁39で光に変換される。シンチレータ層38で発生した光L1は、隔壁層39から入力する光L2の作用で強められ、あるいは減衰が抑えられ、あるいは隔壁層39との境界などで反射し、シンチレータ層38からフォトダイオード13に入力し、電荷に変換される。この電荷は蓄積キャパシタ15に蓄積される。
蓄積キャパシタ15に蓄積した電荷の読み出しは制御回路16によって制御され、たとえば画素単位12の行(図1の横方向)ごとに順に行われる。まず、制御回路16から第1のゲートライン171を通して第1行目に位置する画素単位12a〜12cのゲート電極Gに、たとえば10Vのオン信号を加え、第1行目の画素単位のTFT14をオン状態にする。
このとき、第1行目の画素単位12a〜12cの蓄積キャパシタ15に蓄積された電荷が、ドレイン電極Dからソース電極Sに電気信号として出力される。ソース電極Sに出力した電気信号はそれぞれ複数の電荷増幅器19で増幅される。増幅された電気信号は並列/直列変換器20に並列に加えられ、直列信号に変換される。その後、アナログデジタル変換機21でデジタル信号に変換され、次段の信号処理回路(図示せず)に送られる。
第1行目に位置する画素単位の蓄積キャパシタ15の電荷の読み出しが終了すると、制御回路16から第1ゲートライン171を通して第1行目の画素単位のゲート電極Gにたとえば−5Vのオフ信号が加えられ、第1行目の画素単位のTFT14をオフ状態にする。
上記した動作が第2行目以下の画素単位12についても順に行われる。そして、すべての画素単位12の蓄積キャパシタ15に蓄積した電荷の読み出しが行われ、順次、デジタル信号に変換されて出力され、1つのX線画面に対応する電気信号がアナログデジタル変換器20から出力される。
図1の場合、フォトダイオード13はTFT14や蓄積キャパシタ15に重ならない領域に形成されている。しかし、広い受光面積を確保するために、たとえばTFT14および蓄積キャパシタ15上に絶縁層を設け、1つの画素内のより広い領域にフォトダイオード13を形成することもできる。
ここで、シンチレータ層38に含まれる蛍光材料I(P1)および隔壁層39に含まれる蛍光材料II(P2)による輝度改善効果について説明する。
蛍光材料Iには、蛍光波長が所定の範囲に分布する光を発生するたとえばGd2O2S:Tbが用いられ、蛍光材料IIには、蛍光材料Iの蛍光波長のうちその一番短い波長と等しいかそれよりも長い波長成分を有する蛍光波長の光を発生する蛍光材料が用いられる。たとえばGd2O2S:Eu(4重量%)などで、この場合、たとえば平均粒径が2μm程度の小さな粒径のものが用いられる。
この組み合わせの場合、シンチレータ層38で発生した光L1は、隔壁層39の蛍光材料IIが発生する光L2の作用により、シンチレータ層38内での減衰が小さく抑えられてフォトダイオード13に入力し輝度が上昇する。
この構成の場合、隔壁に含まれる蛍光材料IIの最長蛍光波長がシンチレータ層に含まれる蛍光材料Iが発生する蛍光波長のうちその最も短い波長より大きくなっている。したがって、蛍光材料IIから発する蛍光L2がシンチレータ層38に進入すると、蛍光材料Iの蛍光励起には寄与しないが、蛍光励起に係る電子遷移のグランド準位に存在する電子を上位の不純物準位や蛍光発生に関係しない上位のエネルギー準位に励起する。その結果、蛍光材料Iの蛍光発光遷移に必要なグランド準位の電子の空き率が増加する。これによって、蛍光材料IのX線蛍光発光効率が増大する。あるいは、蛍光L2が蛍光材料Iのバンド間の不純物準位や欠陥準位が関係する電子遷移を励起するときには、蛍光材料Iからの蛍光L1がシンチレータ層内を通過する際に、グランド準位の電子を励起して吸収される確率や、バンド間の準位が関係する電子励起により吸収される確率を減じて、蛍光材料Iからの蛍光L1のシンチレータ層38内での自己吸収が抑えられる。これらの結果として輝度の向上が期待できる。
また蛍光材料IIから発した蛍光L2で前記の蛍光材料Iへの輝度向上効果を生じなかったものも、シンチレータ層内を何回か反射して、その一部が検出器に達しシンチレータ層の輝度向上に寄与する。
上記の場合、蛍光材料Iには、Gd2O2S:Tbの他にGd2O2S:Eu等の添加材の異なるもの、Gd2O2SやLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材としたX線用蛍光体、CsI:Tl、CsI:Na等の沃化物系のX線用蛍光体あるいはCaWO4、LaOBr:Tm、LaOBr:Tb等のX線用蛍光体などが用いられる。
また、蛍光材料IIにはGd2O2S:Euの他、Gd2O2S:PrやGd2O2S:Tb等の添加材の異なるもの、Gd2O2SやLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材としたX線用蛍光体あるいはZnCdS:Ag等の硫化物系蛍光体などが用いられる。
蛍光材料Iおよび蛍光材料IIを選択する場合に、実用上望ましくは、例えば両者の蛍光発光スペクトルなどを考慮し、蛍光材料IIには蛍光材料Iの主蛍光波長と同程度かそれよりも長い主蛍光波長を有する蛍光材料が用いられる。例えば蛍光材料Iに主蛍光波長が540nm前後のGd2O2S:Tbを用いる場合には蛍光材料IIには主蛍光波長が640nm前後のGd2O2S:Euが用いられる。
しかし、蛍光材料IIの主発光波長が必ずしも蛍光材料Iの主発光波長より長い必要は無く、蛍光材料IIの発光スペクトルの少なくとも一部が蛍光材料Iの最短発光波長よりも長ければ前述したメカニズムから輝度向上効果が期待できる。前述の例と逆の組み合わせになるが、例えば蛍光材料IにGd2O2S:Euを用い、蛍光材料IIにGd2O2S:Tbを用いた場合にも、蛍光材料IIのGd2O2S:Tbが発光する380nm前後から680nm前後までの蛍光L2のうち500nm程度以上の蛍光スペクトルが、最短発光波長500nm程度の蛍光材料IのGd2O2S:Euの蛍光発光効率を増大させる。
隔壁に含まれる蛍光材料IIが画素部に含まれる蛍光材料Iと同じ蛍光体種の場合、例えばどちらもGd2O2S:Tb、或いはGd2O2S:Eu、La2O2S、Lu2O2S等の同じ蛍光体種系の場合も同様な効果が期待できる。
また、蛍光材料で隔壁を構成した場合には、次の構成でもシンチレータ画素の輝度が向上する。すなわち、隔壁層に含有される蛍光材料IIIの発光スペクトルがシンチレータ層38に含有される蛍光材料Iの蛍光励起波長を含む場合、蛍光材料IIIから発する蛍光L2が蛍光材料Iに達して少なくとも最長蛍光励起波長に対応するグランド準位から励起準位への電子遷移を増大させ、この結果として蛍光材料Iの発光強度自体が増大する。この構成においてシンチレータ層38に含有される蛍光材料Iの最長蛍光波長と等しいか又はこれよりも短波長側の蛍光発光スペクトルを有する蛍光材料IIIを隔壁に含有した場合が該当する。特に蛍光材料IIIの主発光波長が蛍光材料Iの主発光波長よりも短い場合に輝度改善効果は一層大きいものとなる。蛍光材料Iとしては例えば、Gd2O2S:EuやGd2O2S:Pr等の他にGd2O2S系で添加物の異なるもの、更にLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材とし、Eu、Tb等の添加物を含有したX線用蛍光体などが好適である。
蛍光材料IIIには、Gd2O2S:Tbの他にGd2O2S:Eu等の添加材の異なるもの、更にGd2O2SやLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材としたX線用蛍光体、或いはZnCdS:Ag、ZnS:Ag、ZnS:Cu等の硫化物系蛍光体、或いはCsI:Tl、CsI:Na等の沃化物系のX線用蛍光体、CaWO4、LaOBr:Tm、LaOBr:Tb等のX線用蛍光体などが用いられる。
蛍光材料Iと蛍光材料IIIが同一蛍光体種の場合には、蛍光材料Iの発光スペクトルの各スペクトル成分に対して当該各スペクトル成分より短波長側の蛍光材料IIIの発光スペクトル成分が蛍光材料Iの蛍光励起に寄与して蛍光材料IIIの発光輝度向上に効果がある。
また蛍光材料IIIから発した蛍光L2で前記の蛍光材料Iへの輝度向上効果を生じなかったものも、シンチレータ層内を乱反射してその一部が検出器に達しシンチレータ層の輝度向上に寄与することは先に説明した第1のメカニズムの場合と同様である。
なお、蛍光材料Iを励起する蛍光波長をもつ蛍光材料IIIとしては、ZnS:Agの他、CaWOやLaOBr:Tb、BaSO4:EuなどのX線用蛍光体が用いられる。
この場合も、蛍光材料IIIの選定にあたっては、蛍光材料Iの蛍光励起スペクトルおよび蛍光材料IIIの蛍光発光スペクトルなどを考慮し、例えば蛍光材料Iの蛍光励起波長と同程度、あるいはそれよりも短い波長成分の光を発生するX線蛍光体が用いられる。
なお、シンチレータ層に含まれる蛍光材料Iには、X線吸収率およびX線から蛍光への変換効率が高く、蛍光の自己吸収が小さい透明度の高い蛍光材料が望ましい。例えばGd2O2Sを母材とする蛍光体あるいはCsIを母材とする蛍光体が有効である。Gd2O2Sを母材とする蛍光体は、粒径の制御が比較的容易な粉体で、また湿気に対しても、化学的にも安定で、シンチレータ層の製造にも適している。
蛍光材料Iの選択には、使用するX線に対するその蛍光体の発光効率だけではなく、蛍光波長とフォトダイオードの分光感度特性との整合性も考慮することが望ましい。例えば、分光感度特性のピークが600nm台にあるa−Siフォトダイオードを検出器とする場合、Gd2O2S:Tb(主発光波長545nm)に対して発光効率で劣るGd2O2S:Eu(主発光波長630nm)がフォトダイオードの検出出力では同等か若干大きい値を示す。総合的には、Gd2O2S:Eu、Gd2O2S:Tb、CsI:Tl等が好適な蛍光材料である。
また、隔壁層に含有される蛍光材料IIとしては、例えばシンチレータ層に含有する蛍光材料をGd2O2S:Tbとした場合、その最短蛍光波長は370nm程度であることから、最長蛍光波長が370nm以上で前記の条件を満足するGd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、CsI:Tl、等が有効である。
隔壁層に含まれる蛍光材料IIIには、例えばシンチレータ層に含有する蛍光材料IがGd2O2S:Eu(主発光波長630nm)の場合には、その主発光波長成分の励起波長が概ね630nm以下であることから、630nm以下に主要蛍光発光成分を有するGd2O2S:TbやBaFCl:Eu、LaOBr:Tb、Y2O2S:Tb、ZnS:Ag、(Zn、Cd)S:Ag等のX線用蛍光体が好適である。
また、蛍光材料Iを励起する蛍光材料IIIには、最長の蛍光波長が紫外領域にある蛍光材料が有効となる。例えば、シンチレータ層が厚くなると、隔壁層で発生した光が隣接する画素のシンチレータ層を超えて、さらにその先のシンチレータ層まで到達し、解像度を低下させる場合がある。
隔壁層に含有する蛍光材料IIIの蛍光波長が紫外領域にある為に、可視光以上の長波長蛍光に較べてシンチレータ層内で吸収が大きく、隣接するシンチレータ画素を超えてこの紫外蛍光が到達する可能性が極めて小さい。特に膜厚が厚い場合には隣接画素を超えての蛍光の発散による解像度低下を生じやすく、本発明の有効性が増す。
隔壁層内の蛍光材料IIIとしては、上記の蛍光材料Iを励起する蛍光波長成分を有する蛍光材料および最長の蛍光波長が紫外領域にある蛍光材料を混合したものを使用することもできる。この場合、両者の配合率に応じてそれぞれのメカニズムにより輝度の向上効果が実現される。
ここまでに説明した構成によれば、隔壁層に含まれる蛍光材料II又はIIIが発生した光はシンチレータ層内の蛍光材料Iが発生した光の減衰を抑え、または、蛍光材料Iが発生する光を強めている。このとき、蛍光材料II又はIIIが発生した光の一部は、シンチレータ層内を通過してフォトダイオードに達し感度の上昇にも寄与する。
このような感度上昇の効果を上げるためには、シンチレータ層の蛍光材料Iの粒径は大きい方が望ましい。例えば隔壁層の粒径よりも大きな粒径とし、あるいは焼結した一体化構造とし、蛍光材料とバインダーなどの周辺材料との界面の屈折による散乱を極力抑えた方が効果が大きくなる。また、それぞれの蛍光材料の自己吸収係数およびバインダー材料のそれぞれの蛍光に対する吸収係数は小さい方が望ましい。
上記した構成は、隔壁層内の蛍光材料の粒径を小さくすれば画素分離効果が顕著となり、いわゆる解像度が改善する。
例えば蛍光材料の粒径(蛍光材料が針状紛体の場合は針の直径)を小さくすると、蛍光材料とバインダーなどの周辺材料との界面での屈折頻度が増加する。また、粒径が小さいと、完全拡散反射面に近い状態となり反射率が増大する。その結果、シンチレータ層で発生した光の隣接する画素単位のシンチレータ層への到達が防止され、画素分離効果が大きくなる。
この場合、シンチレータ層間に挟まれた隔壁層の壁幅方向に、例えば最低4個程度の蛍光材料の粒子を配列すれば有効な反射効果が実現される。この時、隔壁層に含まれる蛍光材料II又はIIIの平均粒径がφ、体積充填率がDの場合、平均粒径φを体積充填率Dで徐した値(φ/D)隔壁層の幅の1/2以下にすれば十分に有効な反射効果が得られる。蛍光材料の粒径が極端に小さくなり、その粒径がシンチレータ層で発生する蛍光波長に近い大きさになると散乱効果が小さくなる。従って粒径の下限は、シンチレータ層の蛍光材料Iが発生する最短の蛍光波長程度となる。
次に、上記した構成のX線検出器の製造方法について説明する。
まず、絶縁基板31上に光電変換部例えばTFT14および蓄積コンデンサ15、フォトダイオード13などをそれぞれ画素単位に形成する。
次に、シンチレータ層38を構成するGd2O2S:Tbなどの蛍光材料Iとエポキシなどの樹脂材料とを混合した材料を、例えばマトリクス状に形成された複数のフォトダイオード13などの上部に、400μmの厚さで塗付してシンチレータ膜を形成し、その後、焼成し固化する。
次に、ダイシング法などを用いてシンチレータ膜を加工し、隔壁層39が設けられる部分に溝を形成する。このとき、フォトダイオード13やTFT14の配置に合わせて、150μmのピッチで幅25μmの溝を形成し、画素単位に分離したシンチレータ層38が形成される。
次に、蛍光材料II又はIII、例えば平均粒径が2μmのGd2O2S:Euの小粒径や平均粒径が2μmのZnS:Agの粉体とPVB(ポリビニルブチラール)とを混合した材料を酢酸ブチルで溶かしたスラリー状の充填材を、溝の部分に沈殿法等により充填し、乾燥させ、その後、表面に残った充填材を研磨などで除去し隔壁層39を形成する。
次に、微粒子紛体のTiO2と樹脂バインダーとを混合した材料を、画素ごとに分離して形成された複数のシンチレータ層38および隔壁層39の表面に塗布し、蛍光反射膜40を形成する。
なお、蛍光反射膜40は、その他の透明なセラミックスの微粒子紛体や蛍光体の微粉末で形成することもできる。良好な平坦性が得られればメタル膜で形成することもできる。
また、湿気などによるシンチレータ層38の変質を防ぐ場合は、X線検出器の主要部を、Alやプラスチックなどの外囲器で覆って真空封止し、あるいは、外囲器内に乾燥気体が封入される。
上記した製造方法の場合、まずシンチレータ層38を形成し、その後、隔壁層39を形成している。しかし、隔壁層39を形成した後にシンチレータ層38を形成することもできる。例えば蛍光材料II又はIIIを含む材料で隔壁膜を形成し、その後、シンチレータ層38となる部分の隔壁膜を除去し、この除去した部分に、蛍光材料Iを含むシンチレータ材料を充填する方法である。
ここで、シンチレータ層38および隔壁層39を形成する他の方法について説明する。まず、成形が容易な樹脂材料または金属材料からなる予備膜をフォトダイオードなどの上部に形成する。次に、隔壁層39(またはシンチレータ層38)となる部分の予備膜を除去し、その除去した部分に隔壁層39(またはシンチレータ層38)となる蛍光材料を充填する。次に、先の工程で除去されずに残った予備膜のパターンを選択的に除去し、予備膜が選択的に除去された部分にシンチレータ層38(または隔壁層39)となる蛍光材料を充填する方法である。
蛍光材料は、無機材料で硬度が高く結合エネルギーが高い。そのため、化学反応や機械加工、熱的、光化学的な方法では、シンチレータ膜や隔壁膜を部分的に除去するパターニング加工が困難な場合がある。このような場合、樹脂材料や金属材料からなる予備膜を形成する方法が有効となる。また、加工時の蛍光体へのダメージによる発光効率の低下や着色による輝度低下を抑えるメリットもある。
シンチレータ膜や隔壁を部分的に除去して溝を形成しパターン化する方法としては、ダイシング法の他、紫外領域のレーザーによる光化学分解を用いる方法や赤外領域のレーザーによる加熱分解を用いる方法、バインダー材料を化学的に溶解するエッチング法などを利用することもできる。
また、上記の実施形態では、画素単位ごとに形成された複数の光電変換部上にシンチレータ層および隔壁層を順に形成している。しかし、シンチレータ層および隔壁層を別の基板上に形成し、その後、これらシンチレータ層および隔壁層を光電変換部上に接合する方法を用いることもできる。
ここで、本発明の実施例と比較例との特性の測定結果を次表に示す。
なお、表中の各特性は次の方法により測定したものである。
<相対感度>
ガラス基板上にTiO2微粉を樹脂にねりこんで塗布した反射層を形成し、その上に各シンチレータ層及び隔壁層を300μmtの厚さで形成して特性評価用のサンプルを得た。碁盤の目状に画素分離した膜の画素間ピッチは150μmで、隔壁幅は約20μm幅で形成した。各サンプルは研磨により表面を平坦化し、光学ジェルを介して分光感度特性が600〜700nmであるa−Si(アモルファスシリコン)フォトダイオードアレイに密着させ、このa−Siフォトダイオードの感度出力を平均化して感度評価の指標とした。
<MTF(解像度特性)>
感度特性測定用と同様にサンプル作成し、50μm以下の幅のスリット状ラインを開けた鉛板チャートを介してX線の透過像を測定し、そのX線透過像の広がりからLine Spread Functionを測定する。このLine Spread Functionをフーリエ変換することにより空間周波数(Spatial Frequency)に対するMTF(Modulation Transfer Function)を計算した。
<蛍光材料の平均粒径>
適当な断面を数箇所割ってSEM観察し、SEM画像の各蛍光材料粒子の面積から実効粒径を求めてこれらを平均する。
【表1】
実施例および従来例とも、単位画素のピッチは150μm、単位画素サイズは130μm×130μmとし(隔壁の幅が20μm)、シンチレータ層及び隔壁層の蛍光体の体積充填率は0.5(50%)とした。フォトダイオードなどはプラズマCVD法およびフォトリソグラフィを用いて形成した。フォトダイオード上の電極膜はITOをスパッタリング法で形成した。フォトダイオードはa−SiのPIN構造で、380乃至720nm程度の波長範囲で感度を持ち、600nm近傍が感度のピークとなっている。また、シンチレータ層および隔壁層の膜厚は300μとなっている。
第1表のサンプル1〜4は発明の構造で、いずれも隔壁層に蛍光材料が含まれている。サンプル5は蛍光材料が含まれない隔壁層を設けた構造で、サンプル6は隔壁層のない構造である。解像度特性は空間周波数2Lp/mmのMTF(%)で比較した。
第1表から分かるように、隔壁層のないサンプルFの構造と比較した場合、従来例のサンプルEは輝度の低下が大きい。発明のサンプルA〜Dは、輝度の低下は15%前後に留まっている。サンプルFは、隔壁層がないため輝度低下はないものの、解像度特性が極端に劣り、精細画像が要求されるX線診断には使えないレベルになっている。
次に、図3の符号Qで、隔壁層に含まれる蛍光材料の平均粒径(横軸、単位μm)と解像度特性の2Lp/mmのMTF(縦軸、単位%)との関係を示す。MTFの値はある範囲にばらつきがあるため、符号Qは所定の幅でしめされている。この図4から分かるように、蛍光材料の平均粒径が隔壁幅の1/4である概ね5μm以下になると解像度特性の向上が顕著になる。
また、隔壁幅など多少異なるが上記のサンプル1〜6とほぼ同じ構造で、第2表の各蛍光材料を用いてX線検出器を作成し、特性を測定した。比較例との対比で結果を第2表に示す。
【表2】
なお、表中、比較例と示したものは、従来構造のX線検出器であって、実施例との比較のために示したものである。
上記した発明の構成によれば、隔壁層にシンチレータ層内の蛍光材料と光学的特性が異なる蛍光材料が含まれている。この場合、隔壁層の蛍光材料による発光がシンチレータ層の蛍光材料に作用し、シンチレータ層の蛍光材料が発生する光の強度を強め、あるいは、シンチレータ層内を進む光の減衰を抑え、輝度特性が改善する。また、シンチレータ層の蛍光材料で発生した光は、隔壁層内の蛍光材料と周辺のバインダーとの界面、あるいは、蛍光材料と空間との界面における屈折や反射で、隔壁層全体として拡散反射効果が確保され、或いは蛍光体と一緒にセラミックス微紛等の反射材や、色素含有樹脂或いはカーボンブラックなど無機の蛍光吸収材料を含有する事でシンチレータ層間の光の遮蔽効果が得られる。
従って、夫々のシンチレータ層で発生した蛍光は隣接画素まで到達すること無く各々の画素に対応する光電変換素子に入射して解像度特性の劣化が抑えられる。
その結果、印加電圧が低く信頼性が高い間接方式の利点を生かし、同時に、輝度特性や解像度特性などの画像特性を改善したX線検出器およびその製造方法が得られる。
産業上の利用可能性
本発明は、画像特性を改善したX線検出器およびその製造方法を実現できる。
本発明のX線検出器は、人体の胸部撮影の他、循環器や消化器などの診断にも適用可能である。また工業用のX線検出器も適用可能である。更に、2次元的に配列した平面検出器だけでなく、1次元配列のライン検出器(X線ラインセンサー)にも適用可能である。したがって、広い分野の産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態を説明するための回路構成図。
図2は、本発明の実施形態を説明するための図で、1つの画素単位部分を抜き出した断面図。
図3は、本発明の実施形態を説明するための特性図。
本発明はX線の検出に用いられるX線検出器およびその製造方法に関する。
背景技術
近年、新世代の診断用X線検出器として、アクティブマトリックスを用いた平面型のX線検出器が注目を集めている。平面型X線検出器は、X線で撮影したX線画像あるいはリアルタイムのX線透視画像をデジタル信号として出力する構成になっている。
平面型X線検出器は固体検出器であるため、画質性能の向上や安定性の面でも大きい期待が寄せられている。
平面型X線検出器は、比較的大きな線量で静止画像を収集する一般撮影用や胸部撮影用のものがすでに開発され、商品化されている。また、透視線量のもとで毎秒30画面以上のリアルタイムのX線動画の検出も可能なことから、近い将来、循環器や消化器などの診断分野に応用した製品の商品化も予想されている。このような動画用のX線検出器の実用化には、S/Nの改善や微小信号のリアルタイム処理技術の一層の改善が必要である。
平面型X線検出器は、大きく分けると直接方式と間接方式の2つの方式がある。
直接方式はa−Seなどの光導電膜を用いてX線を電荷に直接変換し、変換した電荷を電荷蓄積用キャパシターに蓄積する方式である。この方式では、解像度特性は画素ピッチでほぼ規定される。間接方式はシンチレータ層でX線を可視光に変換し、変換した可視光をa−SiフォトダイオードやCCDなどの光電変換素子で電荷に変換し、電荷蓄積用キャパシターに蓄積する方式である。
直接方式の平面X線検出器では、X線の吸収率を上げて信号強度を確保する為に、例えばa−Seの光導電膜を1mm程度の厚膜で形成している。また、X線フォトン1個当りの光導電電荷生成率を上げる為、生成した光導電電荷が膜中の欠陥準位にトラップされることなく集電電極に到達させる為、そしてバイアス電界と直角方向への電荷の拡散を極力抑える為に、例えばa−Seの光導電膜の両端に10V/μmの強バイアス電界が印加されている。したがって、a−Seの光導電膜の膜厚が1.0mmの場合、10kV程度の高電圧が印加される。
直接方式のX線検出器は解像度特性が優れているという利点があるが、その反面、動作電圧の低いTFTを高電圧から保護しなければならず、信頼性の点で問題がある。また、低暗電流特性と高感度特性、熱的安定性などを備えた光導電材料を容易に入手できないという問題もある。
一方、間接方式のX線検出器は信号電荷の発生にフォトダーオードやCCDなどを用いるため、直接方式におけるような高電圧の印加を必要とせず、高電圧による絶縁破壊の問題はない。また、シンチレータ材料やフォトダーオードなどは基本的な技術が確立しているので製品化が容易であるという利点がある。
しかし、X線診断装置としての解像度特性はシンチレータ層で変換された蛍光が光電変換素子に到達するまでの間に拡散や散乱を起こすため直接方式に較べて一般に劣るという問題がある。特に感度特性を改善する為にシンチレータ層を厚膜にすると、フォトダイオード等の光電変換素子に到達するまでの蛍光の広がりが大きくなって解像度の劣化が顕著となる。この蛍光の広がりを抑えて解像度を確保するために、シンチレータ層をフォトダイオードとTFTのマトリックスに合わせて画素単位に形成し、シンチレータ画素間を隔壁で光学的に遮断する方法が知られている。しかし従来のX線検出器における隔壁はX線感度に寄与しない金属材料などで形成されており、この為シンチレータ層から隔壁に置き換えられた分だけシンチレータ層の総発光量が低減してX線検出器の感度が低下するという問題があった。
発明の開示
そこで本発明の目的は、画素間に、解像度特性の劣化を抑える為の隔壁が形成された間接方式のX線検出器において、隔壁の存在による輝度低下をできるだけ小さくしたX線検出器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、かかるX線検出器の製造方法において、輝度の低下をできるだけ小さく抑える隔壁とシンチレータ層の構造を均質かつ信頼性良く形成する方法を提供することにある。
本発明のX線検出器は、画素間に隔壁の形成された間接方式のX線検出器の高い解像度特性を維持しつつ、感度特性を向上させる為に、以下の構造を有する。
すなわち、本発明のX線検出器の一つの形態は、画素単位の光電変換部と、前記光電変換部の各画素上に形成されたシンチレータ画素と、前記シンチレータ画素間の隔壁とを具えたX線検出器において、前記隔壁は、前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ、前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料IIを含有することを特徴としている。
従来知られている隔壁構造を有するX線検出器では、隔壁が、例えば金属材料やガラス系又はセラミックス材料、或いは樹脂材料などで形成されており、それ自体がX線照射により発光することはないのは勿論、シンチレータ層の発光を増大させる効果はないが、本発明のX線検出器は、シンチレータ層から発せられる蛍光が拡散あるいは散乱して隣接する画素の光電変換素子に到達するのを防ぐ為の隔壁構造が形成されており、この隔壁構造が画素間の透過光を抑えて解像度を向上させるとともにシンチレータ層の発光輝度の向上に寄与するという特徴を備えている。
本発明のX線検出器における画素間の透過光の抑制による解像度の改善は、隔壁が、画素を構成する蛍光材料と光学的特性が相違する蛍光材料を含むため、画素と隔壁との界面で屈折や反射が生じることにより得られる。ここで、光学的特性が異なるとは、平均粒径が異なる場合や、屈折率が異なる場合、或いは分光吸収特性が異なる事などを意味する。
一方、発光輝度の改善は、次のようなメカニズムで行われる。
すなわち、隔壁に含まれる蛍光材料IIの最長蛍光波長がシンチレータ層に含まれる蛍光材料Iの最短蛍光波長より長くなっている。この為、蛍光材料IIから発する蛍光が蛍光材料Iに達すると蛍光の発光には寄与しないが、蛍光励起に関係する少なくとも最短波長の蛍光発生に関係する電子遷移のグランド準位に存在する電子を上位のエネルギー準位に励起する。その結果、蛍光材料Iの蛍光発光遷移に必要なグランド準位の電子の空き率が増加する。あるいは、バンド間の不純物準位や欠陥準位が関係する電子遷移を励起する。この結果、蛍光材料Iからの蛍光がシンチレータ層内を通過する際に、グランド準位の電子を励起する確率や、バンド間の準位が関係する電子励起の確率を減じて、蛍光材料Iからの蛍光のシンチレータ層内での吸収が抑えられる。その結果、金属材料等により形成された隔壁をもつ従来の間接方式のX線検出器と比べて高い輝度のX線検出器を得ることができる。
本発明の他の態様は、画素単位の光電変換部と、前記光電変換部の各画素上に形成されたシンチレータ画素と、前記シンチレータ画素間の隔壁とを備えたX線検出器において、前記隔壁は、前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含有することを特徴としている。ここで、光学的特性が異なるとは、平均粒径が異なる場合や、屈折率が異なる場合、或いは分光吸収特性が異なる事などを意味する。
本発明のこの態様では、で次のようなメカニズムで線検出器の輝度が改善される。
すなわち、この態様では、隔壁に含まれる蛍光材料IIIの最短蛍光波長がシンチレータ層に含まれる蛍光材料の最長蛍光励起波長よりも短い為、蛍光材料IIIから発する蛍光が蛍光材料Iに達して少なくとも最長蛍光励起波長に係るグランド準位から励起準位への電子遷移を増大させ、この結果として蛍光材料Iの発光強度自体が増大する。
前記蛍光材料II又は蛍光材料IIIは粒状の蛍光材料から成り、その蛍光材料II又はIIIの平均粒径φを蛍光材料II又はIIIの隔壁層内の体積充填率(D)で除した値(φ/D)が前記隔壁幅の1/2以下であることが望ましい。ここで、例えば堆積充填率50%の場合の(D)は0.5である。
このように隔壁内の蛍光材料の粒径を隔壁幅との関係で調整することにより、シンチレータ膜の光学的な画素分離効果をより発揮させることができる。
すなわち、間接方式のX線検出器に隔壁を設けるのは、シンチレータ画素からの蛍光が隣接画素に到達するのを防ぐためであるが、その効果は隔壁層の実効的な蛍光吸収若しくは反射の程度と関係している。蛍光の吸収率を増大させると実質的な輝度は低下するが、反射率を向上させても輝度の低下はもたらさない。隔壁層の実効反射率は、蛍光材料粒子の粒径(針状粉体の場合には針の直径等)を小さくして蛍光材料とバインダー等の周辺材料との界面での屈折頻度を増やすことにより向上させることができる。粒径を小さくすると完全拡散反射面に近付きトータルの反射率は増大する。隔壁の幅、即ち隣接画素間に蛍光材料粒子が最低4個程度配列されれば実効的には顕著な反射効果が期待できる。蛍光材料の充填密度を考慮すると、平均粒径(φ)を充填密度(D)で除した値(φ/D)が隔壁厚みの1/2以下でほぼこのような状況が実現する事が光学シミュレーション結果から判明している。
しかし粒径が極端に小さくなって蛍光波長程度に近付くと散乱効果が小さくなるので、粒径の下限はシンチレータ層の蛍光波長程度までとすることが望ましい。蛍光材料II又はIIIからシンチレータ層に入射した蛍光は、蛍光材料Iに吸収されて発光輝度増大に寄与するが、さらに主にシンチレータ層内を通過してフォトダイオードに達して、X線検出器の実効感度も向上させる。蛍光材料II又はIIIからシンチレータ層に入射した蛍光がフォトダイオードに到達し易くする為にはシンチレータ層の蛍光材料Iの粒径を、隔壁の蛍光材料のように小さくせずに、できるだけ大きくすることが望ましい。または蛍光材料Iを焼結体のようなバインダー等を含まないものとして、蛍光材料とバインダー等との界面での屈折による散乱の頻度を極力抑えたり、夫々の蛍光材料の自己吸収係数及びバインダー材料等の蛍光に対する吸収係数をできるだけ小さくすることにより、蛍光材料II又はIIIからシンチレータ層に入射した蛍光をフォトダイオードに一層到達し易くすることができる。
本発明のX線検出器は、例えば次に挙げる方法により製造することができる。
第1の方法は、シンチレータ層を先に形成する方法である。蛍光材料II又はIIIを含む隔壁材料の層を一旦形成した後にシンチレータ画素が形成されるべき部分を、化学反応又は光化学反応を用いて、或いは機械的に又は熱的に除去し、しかる後に除去した部分に蛍光材料Iを充填する方法である。
すなわち、本発明の第1のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に蛍光材料Iを含む層を形成する工程と、前記層から隔壁となる部分を除去して前記シンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料材料II及び/又は蛍光材料材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
第2の方法は、第1の方法とは逆に、隔壁層を先に形成する方法である。
すなわち、本発明の第2のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に蛍光材料材料II及び/又は蛍光材料材料IIIを含む層を形成する工程と、前記層から画素となる部分(前記隔壁となる部分以外の部分)を除去して前記隔壁を形成する工程と、前記隔壁を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
第3の方法は、樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により形成された仮隔壁を用いる方法で、蛍光材料を含む層の画素形状又は隔壁形状への加工が困難な場合に特に有効な方法である。
すなわち、本発明の第3のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により層を形成する工程と、前記層から前記隔壁となる部分を除去して樹脂材料又は金属材料による仮画素を形成する工程と、前記仮画素を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料材料II及び/又は蛍光材料材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程と、前記仮画素を除去する工程と、前記仮画素を除去した部分に前記蛍光材料材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程とを備えたことを特徴としている。
第4の方法は、樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料などにより形成された仮画素を用いる方法で、この方法も蛍光材料を含む層の画素形状又は隔壁形状への加工が困難な場合に特に有効である。
すなわち、本発明の第4のX線検出器の製造方法は、画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、前記画素単位の光電変換部上に樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により層を形成する工程と、前記層から隔壁となる部分以外の部分を除去して樹脂材料又は金属材料による仮隔壁を形成する工程と、前記仮隔壁を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程と、前記仮隔壁を除去する工程と、前記仮隔壁を除去した部分に蛍光材料II及び/又は蛍光材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程とを備えたことを特徴としている。なお、一般に画素は一辺が30〜400μmの正方形又は正方形に近い長方形であり、隔壁の幅は10〜50μm程度であり、シンチレータ画素の厚さは100〜800μmである。用途や検出するX線のエネルギーにより必要な膜厚は異なるが、医療用途の一般撮影用や透視用としては、好ましくは200〜500μである。
隔壁層やシンチレータ層等の蛍光材料を含む層あるいは樹脂材料や金属材料からなる層を部分除去する方法としては、紫外線領域の発光波長を持つレーザー光による光化学的反応を用いた除去、化学的な処理による除去、ダイシング他の機械的な手段を用いての切削除去、更には赤外線レーザーなどによる高密度の加熱による熱的な除去等の公知の方法を用いることができる。
また、蛍光材料は硬度と結合エネルギーが高いために化学反応や機械加工、或いは熱的又は光化学的な除去がいずれの方法でも難しいが、樹脂材料や金属材料でパターン形成して仮隔壁や仮画素を形成する方法では、このような蛍光材料を除去する工程を省略できるという利点がある。また加工時の蛍光体へのダメージによる発光効率の低下や着色による輝度低下を避けることができる。
従来のX線検出器では、例えば金属材料やガラス系又はセラミックス材料、或いは樹脂材料などで隔壁が形成されており、隔壁自体がX線照射により発光することはないのは勿論、シンチレータ層の発光を増大させる効果も保有してはいない。これに対して本発明のX線検出器では、隔壁層が、シンチレータ層から発せられる蛍光が拡散して隣接する画素の光電変換素子へ到達するのを抑制するとともに、同じ隔壁層がシンチレータ層の発光輝度の増大に寄与する。なお、本発明のX線検出器における隔壁の光の遮蔽効果は、前述したように、隔壁内の蛍光材料II又はIIIを適当な粒径の粉体状とすることにより蛍光材料自体とバインダー材の界面屈折や界面での全反射により得られるが、例えばAgやAg系合金などの金属粉体やTiO2等の微細な透明セラミックス粉体のような反射材や蛍光を吸収する色素などの樹脂材料を隔壁を構成する蛍光材料に含有させることによっても実現可能である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施形態について図1の回路構成図を参照して説明する。
符号11はX線光電変換部で、X線光電変換部11はマトリックス状に配列した複数の画素単位12から構成されている。たとえばガラスなどの絶縁基板上に同じ構造の複数の画素単位12が行方向(たとえば図の横方向)および列方向(たとえば図の縦方向)の2次元に配置されている。図1では、たとえば9個の画素単位12a〜12iが示されている。
1つの画素単位たとえば画素単位12iは、光を電荷に変換するフォトダイオード13およびスイッチング部を構成する薄膜トランジスタ(以下TFTという)14、電荷を蓄積する電荷蓄積部たとえば蓄積キャパシタ15などから構成されている。TFT14はゲート電極Gおよびソース電極S、ドレイン電極Dを有し、たとえばドレイン電極Dはフォトダイオード13および蓄積キャパシタ15と電気的に接続されている。
X線光電変換部11の外部に、TFT14の動作状態たとえばオン・オフを制御する制御回路16が設けられている。制御回路16には複数の制御ライン17が設けられている。図では第1ないし第4の4個の制御ライン171〜174が設けられている。それぞれの制御ライン17は、同じ行の画素単位12を構成するTFT14のゲート電極Gに接続されている。たとえば第1の制御ライン171は画素単位12a〜12cのゲート電極Gに接続されている。
列方向には、複数のデータライン18が設けられている。図では第1ないし第4の4個のデータライン181〜184が設けられている。それぞれのデータライン18は、同じ列の画素単位12を構成するTFT14のソース電極Sに接続されている。たとえば第1のデータライン181は画素単位12a、12d、12gのソース電極Sに接続されている。各データライン17は対応する電荷増幅器19に接続されている。
電荷増幅器19はたとえば演算増幅器で構成され、その一方の入力端子a1にデータライン18が接続され、他方の入力端子a2は接地されている。一方の入力端子a1と出力端子b間にコンデンサCが接続され積分機能を有する構成になっている。コンデンサCと並列にスイッチSWが接続され、たとえばスイッチSWを閉じてコンデンサCに残った電荷を放電する構成になっている。
それぞれの電荷増幅器19は、並列に入力する複数の電気信号を直列信号に変換して出力する並列/直列変換器20に接続されている。並列/直列変換器20は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器21に接続されている。
制御回路16や電荷増幅器19、並列/直列変換器20、アナログデジタル変換器21はたとえば集積回路で形成され、制御回路16とTFT14間などそれぞれの回路間はたとえばワイヤボンディングで接続される。
次に、X線光導変換部11の構成について図2を参照して説明する。図2は1つの画素単位の部分を抜き出した断面図で、図1に対応する部分には同じ符号を付し重複する説明を一部省略する。
ガラスなどの絶縁基板31上にTFT14および蓄積キャパシタ15が形成されている。TFT14は、絶縁基板31上に形成されたゲート電極Gおよびゲート電極Gを覆う絶縁膜32、絶縁膜32上に形成された半導体膜33、半導体膜33上に設けられたソース電極S、ドレイン電極Dなどから構成されている。
TFT14のゲート電極Gは制御ライン17(図1)に接続され、ソース電極Sはデータライン18に接続されている。
蓄積キャパシタ15は絶縁基板31上に形成された下部電極34、ゲート電極G上から下部電極34上まで延長する絶縁膜32、絶縁膜32上に設けられた上部電極35などから構成されている。上部電極35はドレイン電極Dと電気的に接続されている。
TFT14および蓄積キャパシタ15の上方に絶縁層36が設けられ、絶縁層36上にフォトダイオード13が形成されている。フォトダイオード13は、a−SiのpnダイオードやPINダイオードなどで形成される。図の場合はPINダイオードで形成されている。フォトダイオード13の図示下方および上方にそれぞれ第1電極131および第2電極132が設けられ、第1電極131と第2電極132間にバイアス電圧が印加される。第2電極132はスパッタリング法などで成膜したITO透明導電膜で形成されている。絶縁層36の一部にスルーホール37が設けられ、フォトダイオード13の第1電極131はスルーホール37を介してTFT14のドレイン電極Dと電気的に接続されている。第2電極132上にX線を光に変換するシンチレータ層38が形成されている。
シンチレータ層38を囲む周縁領域たとえば隣接する画素単位のシンチレータ層381との境界に隔壁層39が形成され、隣接する画素単位のシンチレータ層どうしは隔壁層39で遮断されている。シンチレータ層38および隔壁層39にはそれぞれ蛍光材料IP1および蛍光材料IIP2が含まれ、蛍光材料IP1および蛍光材料IIP2は、光学的特性たとえば発光スペクトルや屈折率、反射率、平均粒径などの1つあるいは複数の特性が相違している。また、シンチレータ層38および隔壁層39上に、光を反射する蛍光反射層40がX線光導変換部11の全面にわたってたとえば共通に形成されている。
上記した構成において、蛍光反射層40を通してシンチレータ層38および隔壁層39にX線41が入射し、シンチレータ層38および隔壁39で光に変換される。シンチレータ層38で発生した光L1は、隔壁層39から入力する光L2の作用で強められ、あるいは減衰が抑えられ、あるいは隔壁層39との境界などで反射し、シンチレータ層38からフォトダイオード13に入力し、電荷に変換される。この電荷は蓄積キャパシタ15に蓄積される。
蓄積キャパシタ15に蓄積した電荷の読み出しは制御回路16によって制御され、たとえば画素単位12の行(図1の横方向)ごとに順に行われる。まず、制御回路16から第1のゲートライン171を通して第1行目に位置する画素単位12a〜12cのゲート電極Gに、たとえば10Vのオン信号を加え、第1行目の画素単位のTFT14をオン状態にする。
このとき、第1行目の画素単位12a〜12cの蓄積キャパシタ15に蓄積された電荷が、ドレイン電極Dからソース電極Sに電気信号として出力される。ソース電極Sに出力した電気信号はそれぞれ複数の電荷増幅器19で増幅される。増幅された電気信号は並列/直列変換器20に並列に加えられ、直列信号に変換される。その後、アナログデジタル変換機21でデジタル信号に変換され、次段の信号処理回路(図示せず)に送られる。
第1行目に位置する画素単位の蓄積キャパシタ15の電荷の読み出しが終了すると、制御回路16から第1ゲートライン171を通して第1行目の画素単位のゲート電極Gにたとえば−5Vのオフ信号が加えられ、第1行目の画素単位のTFT14をオフ状態にする。
上記した動作が第2行目以下の画素単位12についても順に行われる。そして、すべての画素単位12の蓄積キャパシタ15に蓄積した電荷の読み出しが行われ、順次、デジタル信号に変換されて出力され、1つのX線画面に対応する電気信号がアナログデジタル変換器20から出力される。
図1の場合、フォトダイオード13はTFT14や蓄積キャパシタ15に重ならない領域に形成されている。しかし、広い受光面積を確保するために、たとえばTFT14および蓄積キャパシタ15上に絶縁層を設け、1つの画素内のより広い領域にフォトダイオード13を形成することもできる。
ここで、シンチレータ層38に含まれる蛍光材料I(P1)および隔壁層39に含まれる蛍光材料II(P2)による輝度改善効果について説明する。
蛍光材料Iには、蛍光波長が所定の範囲に分布する光を発生するたとえばGd2O2S:Tbが用いられ、蛍光材料IIには、蛍光材料Iの蛍光波長のうちその一番短い波長と等しいかそれよりも長い波長成分を有する蛍光波長の光を発生する蛍光材料が用いられる。たとえばGd2O2S:Eu(4重量%)などで、この場合、たとえば平均粒径が2μm程度の小さな粒径のものが用いられる。
この組み合わせの場合、シンチレータ層38で発生した光L1は、隔壁層39の蛍光材料IIが発生する光L2の作用により、シンチレータ層38内での減衰が小さく抑えられてフォトダイオード13に入力し輝度が上昇する。
この構成の場合、隔壁に含まれる蛍光材料IIの最長蛍光波長がシンチレータ層に含まれる蛍光材料Iが発生する蛍光波長のうちその最も短い波長より大きくなっている。したがって、蛍光材料IIから発する蛍光L2がシンチレータ層38に進入すると、蛍光材料Iの蛍光励起には寄与しないが、蛍光励起に係る電子遷移のグランド準位に存在する電子を上位の不純物準位や蛍光発生に関係しない上位のエネルギー準位に励起する。その結果、蛍光材料Iの蛍光発光遷移に必要なグランド準位の電子の空き率が増加する。これによって、蛍光材料IのX線蛍光発光効率が増大する。あるいは、蛍光L2が蛍光材料Iのバンド間の不純物準位や欠陥準位が関係する電子遷移を励起するときには、蛍光材料Iからの蛍光L1がシンチレータ層内を通過する際に、グランド準位の電子を励起して吸収される確率や、バンド間の準位が関係する電子励起により吸収される確率を減じて、蛍光材料Iからの蛍光L1のシンチレータ層38内での自己吸収が抑えられる。これらの結果として輝度の向上が期待できる。
また蛍光材料IIから発した蛍光L2で前記の蛍光材料Iへの輝度向上効果を生じなかったものも、シンチレータ層内を何回か反射して、その一部が検出器に達しシンチレータ層の輝度向上に寄与する。
上記の場合、蛍光材料Iには、Gd2O2S:Tbの他にGd2O2S:Eu等の添加材の異なるもの、Gd2O2SやLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材としたX線用蛍光体、CsI:Tl、CsI:Na等の沃化物系のX線用蛍光体あるいはCaWO4、LaOBr:Tm、LaOBr:Tb等のX線用蛍光体などが用いられる。
また、蛍光材料IIにはGd2O2S:Euの他、Gd2O2S:PrやGd2O2S:Tb等の添加材の異なるもの、Gd2O2SやLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材としたX線用蛍光体あるいはZnCdS:Ag等の硫化物系蛍光体などが用いられる。
蛍光材料Iおよび蛍光材料IIを選択する場合に、実用上望ましくは、例えば両者の蛍光発光スペクトルなどを考慮し、蛍光材料IIには蛍光材料Iの主蛍光波長と同程度かそれよりも長い主蛍光波長を有する蛍光材料が用いられる。例えば蛍光材料Iに主蛍光波長が540nm前後のGd2O2S:Tbを用いる場合には蛍光材料IIには主蛍光波長が640nm前後のGd2O2S:Euが用いられる。
しかし、蛍光材料IIの主発光波長が必ずしも蛍光材料Iの主発光波長より長い必要は無く、蛍光材料IIの発光スペクトルの少なくとも一部が蛍光材料Iの最短発光波長よりも長ければ前述したメカニズムから輝度向上効果が期待できる。前述の例と逆の組み合わせになるが、例えば蛍光材料IにGd2O2S:Euを用い、蛍光材料IIにGd2O2S:Tbを用いた場合にも、蛍光材料IIのGd2O2S:Tbが発光する380nm前後から680nm前後までの蛍光L2のうち500nm程度以上の蛍光スペクトルが、最短発光波長500nm程度の蛍光材料IのGd2O2S:Euの蛍光発光効率を増大させる。
隔壁に含まれる蛍光材料IIが画素部に含まれる蛍光材料Iと同じ蛍光体種の場合、例えばどちらもGd2O2S:Tb、或いはGd2O2S:Eu、La2O2S、Lu2O2S等の同じ蛍光体種系の場合も同様な効果が期待できる。
また、蛍光材料で隔壁を構成した場合には、次の構成でもシンチレータ画素の輝度が向上する。すなわち、隔壁層に含有される蛍光材料IIIの発光スペクトルがシンチレータ層38に含有される蛍光材料Iの蛍光励起波長を含む場合、蛍光材料IIIから発する蛍光L2が蛍光材料Iに達して少なくとも最長蛍光励起波長に対応するグランド準位から励起準位への電子遷移を増大させ、この結果として蛍光材料Iの発光強度自体が増大する。この構成においてシンチレータ層38に含有される蛍光材料Iの最長蛍光波長と等しいか又はこれよりも短波長側の蛍光発光スペクトルを有する蛍光材料IIIを隔壁に含有した場合が該当する。特に蛍光材料IIIの主発光波長が蛍光材料Iの主発光波長よりも短い場合に輝度改善効果は一層大きいものとなる。蛍光材料Iとしては例えば、Gd2O2S:EuやGd2O2S:Pr等の他にGd2O2S系で添加物の異なるもの、更にLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材とし、Eu、Tb等の添加物を含有したX線用蛍光体などが好適である。
蛍光材料IIIには、Gd2O2S:Tbの他にGd2O2S:Eu等の添加材の異なるもの、更にGd2O2SやLa2O2S、Lu2O2S等の希土類セラミックス系材料を母材としたX線用蛍光体、或いはZnCdS:Ag、ZnS:Ag、ZnS:Cu等の硫化物系蛍光体、或いはCsI:Tl、CsI:Na等の沃化物系のX線用蛍光体、CaWO4、LaOBr:Tm、LaOBr:Tb等のX線用蛍光体などが用いられる。
蛍光材料Iと蛍光材料IIIが同一蛍光体種の場合には、蛍光材料Iの発光スペクトルの各スペクトル成分に対して当該各スペクトル成分より短波長側の蛍光材料IIIの発光スペクトル成分が蛍光材料Iの蛍光励起に寄与して蛍光材料IIIの発光輝度向上に効果がある。
また蛍光材料IIIから発した蛍光L2で前記の蛍光材料Iへの輝度向上効果を生じなかったものも、シンチレータ層内を乱反射してその一部が検出器に達しシンチレータ層の輝度向上に寄与することは先に説明した第1のメカニズムの場合と同様である。
なお、蛍光材料Iを励起する蛍光波長をもつ蛍光材料IIIとしては、ZnS:Agの他、CaWOやLaOBr:Tb、BaSO4:EuなどのX線用蛍光体が用いられる。
この場合も、蛍光材料IIIの選定にあたっては、蛍光材料Iの蛍光励起スペクトルおよび蛍光材料IIIの蛍光発光スペクトルなどを考慮し、例えば蛍光材料Iの蛍光励起波長と同程度、あるいはそれよりも短い波長成分の光を発生するX線蛍光体が用いられる。
なお、シンチレータ層に含まれる蛍光材料Iには、X線吸収率およびX線から蛍光への変換効率が高く、蛍光の自己吸収が小さい透明度の高い蛍光材料が望ましい。例えばGd2O2Sを母材とする蛍光体あるいはCsIを母材とする蛍光体が有効である。Gd2O2Sを母材とする蛍光体は、粒径の制御が比較的容易な粉体で、また湿気に対しても、化学的にも安定で、シンチレータ層の製造にも適している。
蛍光材料Iの選択には、使用するX線に対するその蛍光体の発光効率だけではなく、蛍光波長とフォトダイオードの分光感度特性との整合性も考慮することが望ましい。例えば、分光感度特性のピークが600nm台にあるa−Siフォトダイオードを検出器とする場合、Gd2O2S:Tb(主発光波長545nm)に対して発光効率で劣るGd2O2S:Eu(主発光波長630nm)がフォトダイオードの検出出力では同等か若干大きい値を示す。総合的には、Gd2O2S:Eu、Gd2O2S:Tb、CsI:Tl等が好適な蛍光材料である。
また、隔壁層に含有される蛍光材料IIとしては、例えばシンチレータ層に含有する蛍光材料をGd2O2S:Tbとした場合、その最短蛍光波長は370nm程度であることから、最長蛍光波長が370nm以上で前記の条件を満足するGd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、CsI:Tl、等が有効である。
隔壁層に含まれる蛍光材料IIIには、例えばシンチレータ層に含有する蛍光材料IがGd2O2S:Eu(主発光波長630nm)の場合には、その主発光波長成分の励起波長が概ね630nm以下であることから、630nm以下に主要蛍光発光成分を有するGd2O2S:TbやBaFCl:Eu、LaOBr:Tb、Y2O2S:Tb、ZnS:Ag、(Zn、Cd)S:Ag等のX線用蛍光体が好適である。
また、蛍光材料Iを励起する蛍光材料IIIには、最長の蛍光波長が紫外領域にある蛍光材料が有効となる。例えば、シンチレータ層が厚くなると、隔壁層で発生した光が隣接する画素のシンチレータ層を超えて、さらにその先のシンチレータ層まで到達し、解像度を低下させる場合がある。
隔壁層に含有する蛍光材料IIIの蛍光波長が紫外領域にある為に、可視光以上の長波長蛍光に較べてシンチレータ層内で吸収が大きく、隣接するシンチレータ画素を超えてこの紫外蛍光が到達する可能性が極めて小さい。特に膜厚が厚い場合には隣接画素を超えての蛍光の発散による解像度低下を生じやすく、本発明の有効性が増す。
隔壁層内の蛍光材料IIIとしては、上記の蛍光材料Iを励起する蛍光波長成分を有する蛍光材料および最長の蛍光波長が紫外領域にある蛍光材料を混合したものを使用することもできる。この場合、両者の配合率に応じてそれぞれのメカニズムにより輝度の向上効果が実現される。
ここまでに説明した構成によれば、隔壁層に含まれる蛍光材料II又はIIIが発生した光はシンチレータ層内の蛍光材料Iが発生した光の減衰を抑え、または、蛍光材料Iが発生する光を強めている。このとき、蛍光材料II又はIIIが発生した光の一部は、シンチレータ層内を通過してフォトダイオードに達し感度の上昇にも寄与する。
このような感度上昇の効果を上げるためには、シンチレータ層の蛍光材料Iの粒径は大きい方が望ましい。例えば隔壁層の粒径よりも大きな粒径とし、あるいは焼結した一体化構造とし、蛍光材料とバインダーなどの周辺材料との界面の屈折による散乱を極力抑えた方が効果が大きくなる。また、それぞれの蛍光材料の自己吸収係数およびバインダー材料のそれぞれの蛍光に対する吸収係数は小さい方が望ましい。
上記した構成は、隔壁層内の蛍光材料の粒径を小さくすれば画素分離効果が顕著となり、いわゆる解像度が改善する。
例えば蛍光材料の粒径(蛍光材料が針状紛体の場合は針の直径)を小さくすると、蛍光材料とバインダーなどの周辺材料との界面での屈折頻度が増加する。また、粒径が小さいと、完全拡散反射面に近い状態となり反射率が増大する。その結果、シンチレータ層で発生した光の隣接する画素単位のシンチレータ層への到達が防止され、画素分離効果が大きくなる。
この場合、シンチレータ層間に挟まれた隔壁層の壁幅方向に、例えば最低4個程度の蛍光材料の粒子を配列すれば有効な反射効果が実現される。この時、隔壁層に含まれる蛍光材料II又はIIIの平均粒径がφ、体積充填率がDの場合、平均粒径φを体積充填率Dで徐した値(φ/D)隔壁層の幅の1/2以下にすれば十分に有効な反射効果が得られる。蛍光材料の粒径が極端に小さくなり、その粒径がシンチレータ層で発生する蛍光波長に近い大きさになると散乱効果が小さくなる。従って粒径の下限は、シンチレータ層の蛍光材料Iが発生する最短の蛍光波長程度となる。
次に、上記した構成のX線検出器の製造方法について説明する。
まず、絶縁基板31上に光電変換部例えばTFT14および蓄積コンデンサ15、フォトダイオード13などをそれぞれ画素単位に形成する。
次に、シンチレータ層38を構成するGd2O2S:Tbなどの蛍光材料Iとエポキシなどの樹脂材料とを混合した材料を、例えばマトリクス状に形成された複数のフォトダイオード13などの上部に、400μmの厚さで塗付してシンチレータ膜を形成し、その後、焼成し固化する。
次に、ダイシング法などを用いてシンチレータ膜を加工し、隔壁層39が設けられる部分に溝を形成する。このとき、フォトダイオード13やTFT14の配置に合わせて、150μmのピッチで幅25μmの溝を形成し、画素単位に分離したシンチレータ層38が形成される。
次に、蛍光材料II又はIII、例えば平均粒径が2μmのGd2O2S:Euの小粒径や平均粒径が2μmのZnS:Agの粉体とPVB(ポリビニルブチラール)とを混合した材料を酢酸ブチルで溶かしたスラリー状の充填材を、溝の部分に沈殿法等により充填し、乾燥させ、その後、表面に残った充填材を研磨などで除去し隔壁層39を形成する。
次に、微粒子紛体のTiO2と樹脂バインダーとを混合した材料を、画素ごとに分離して形成された複数のシンチレータ層38および隔壁層39の表面に塗布し、蛍光反射膜40を形成する。
なお、蛍光反射膜40は、その他の透明なセラミックスの微粒子紛体や蛍光体の微粉末で形成することもできる。良好な平坦性が得られればメタル膜で形成することもできる。
また、湿気などによるシンチレータ層38の変質を防ぐ場合は、X線検出器の主要部を、Alやプラスチックなどの外囲器で覆って真空封止し、あるいは、外囲器内に乾燥気体が封入される。
上記した製造方法の場合、まずシンチレータ層38を形成し、その後、隔壁層39を形成している。しかし、隔壁層39を形成した後にシンチレータ層38を形成することもできる。例えば蛍光材料II又はIIIを含む材料で隔壁膜を形成し、その後、シンチレータ層38となる部分の隔壁膜を除去し、この除去した部分に、蛍光材料Iを含むシンチレータ材料を充填する方法である。
ここで、シンチレータ層38および隔壁層39を形成する他の方法について説明する。まず、成形が容易な樹脂材料または金属材料からなる予備膜をフォトダイオードなどの上部に形成する。次に、隔壁層39(またはシンチレータ層38)となる部分の予備膜を除去し、その除去した部分に隔壁層39(またはシンチレータ層38)となる蛍光材料を充填する。次に、先の工程で除去されずに残った予備膜のパターンを選択的に除去し、予備膜が選択的に除去された部分にシンチレータ層38(または隔壁層39)となる蛍光材料を充填する方法である。
蛍光材料は、無機材料で硬度が高く結合エネルギーが高い。そのため、化学反応や機械加工、熱的、光化学的な方法では、シンチレータ膜や隔壁膜を部分的に除去するパターニング加工が困難な場合がある。このような場合、樹脂材料や金属材料からなる予備膜を形成する方法が有効となる。また、加工時の蛍光体へのダメージによる発光効率の低下や着色による輝度低下を抑えるメリットもある。
シンチレータ膜や隔壁を部分的に除去して溝を形成しパターン化する方法としては、ダイシング法の他、紫外領域のレーザーによる光化学分解を用いる方法や赤外領域のレーザーによる加熱分解を用いる方法、バインダー材料を化学的に溶解するエッチング法などを利用することもできる。
また、上記の実施形態では、画素単位ごとに形成された複数の光電変換部上にシンチレータ層および隔壁層を順に形成している。しかし、シンチレータ層および隔壁層を別の基板上に形成し、その後、これらシンチレータ層および隔壁層を光電変換部上に接合する方法を用いることもできる。
ここで、本発明の実施例と比較例との特性の測定結果を次表に示す。
なお、表中の各特性は次の方法により測定したものである。
<相対感度>
ガラス基板上にTiO2微粉を樹脂にねりこんで塗布した反射層を形成し、その上に各シンチレータ層及び隔壁層を300μmtの厚さで形成して特性評価用のサンプルを得た。碁盤の目状に画素分離した膜の画素間ピッチは150μmで、隔壁幅は約20μm幅で形成した。各サンプルは研磨により表面を平坦化し、光学ジェルを介して分光感度特性が600〜700nmであるa−Si(アモルファスシリコン)フォトダイオードアレイに密着させ、このa−Siフォトダイオードの感度出力を平均化して感度評価の指標とした。
<MTF(解像度特性)>
感度特性測定用と同様にサンプル作成し、50μm以下の幅のスリット状ラインを開けた鉛板チャートを介してX線の透過像を測定し、そのX線透過像の広がりからLine Spread Functionを測定する。このLine Spread Functionをフーリエ変換することにより空間周波数(Spatial Frequency)に対するMTF(Modulation Transfer Function)を計算した。
<蛍光材料の平均粒径>
適当な断面を数箇所割ってSEM観察し、SEM画像の各蛍光材料粒子の面積から実効粒径を求めてこれらを平均する。
【表1】
実施例および従来例とも、単位画素のピッチは150μm、単位画素サイズは130μm×130μmとし(隔壁の幅が20μm)、シンチレータ層及び隔壁層の蛍光体の体積充填率は0.5(50%)とした。フォトダイオードなどはプラズマCVD法およびフォトリソグラフィを用いて形成した。フォトダイオード上の電極膜はITOをスパッタリング法で形成した。フォトダイオードはa−SiのPIN構造で、380乃至720nm程度の波長範囲で感度を持ち、600nm近傍が感度のピークとなっている。また、シンチレータ層および隔壁層の膜厚は300μとなっている。
第1表のサンプル1〜4は発明の構造で、いずれも隔壁層に蛍光材料が含まれている。サンプル5は蛍光材料が含まれない隔壁層を設けた構造で、サンプル6は隔壁層のない構造である。解像度特性は空間周波数2Lp/mmのMTF(%)で比較した。
第1表から分かるように、隔壁層のないサンプルFの構造と比較した場合、従来例のサンプルEは輝度の低下が大きい。発明のサンプルA〜Dは、輝度の低下は15%前後に留まっている。サンプルFは、隔壁層がないため輝度低下はないものの、解像度特性が極端に劣り、精細画像が要求されるX線診断には使えないレベルになっている。
次に、図3の符号Qで、隔壁層に含まれる蛍光材料の平均粒径(横軸、単位μm)と解像度特性の2Lp/mmのMTF(縦軸、単位%)との関係を示す。MTFの値はある範囲にばらつきがあるため、符号Qは所定の幅でしめされている。この図4から分かるように、蛍光材料の平均粒径が隔壁幅の1/4である概ね5μm以下になると解像度特性の向上が顕著になる。
また、隔壁幅など多少異なるが上記のサンプル1〜6とほぼ同じ構造で、第2表の各蛍光材料を用いてX線検出器を作成し、特性を測定した。比較例との対比で結果を第2表に示す。
【表2】
なお、表中、比較例と示したものは、従来構造のX線検出器であって、実施例との比較のために示したものである。
上記した発明の構成によれば、隔壁層にシンチレータ層内の蛍光材料と光学的特性が異なる蛍光材料が含まれている。この場合、隔壁層の蛍光材料による発光がシンチレータ層の蛍光材料に作用し、シンチレータ層の蛍光材料が発生する光の強度を強め、あるいは、シンチレータ層内を進む光の減衰を抑え、輝度特性が改善する。また、シンチレータ層の蛍光材料で発生した光は、隔壁層内の蛍光材料と周辺のバインダーとの界面、あるいは、蛍光材料と空間との界面における屈折や反射で、隔壁層全体として拡散反射効果が確保され、或いは蛍光体と一緒にセラミックス微紛等の反射材や、色素含有樹脂或いはカーボンブラックなど無機の蛍光吸収材料を含有する事でシンチレータ層間の光の遮蔽効果が得られる。
従って、夫々のシンチレータ層で発生した蛍光は隣接画素まで到達すること無く各々の画素に対応する光電変換素子に入射して解像度特性の劣化が抑えられる。
その結果、印加電圧が低く信頼性が高い間接方式の利点を生かし、同時に、輝度特性や解像度特性などの画像特性を改善したX線検出器およびその製造方法が得られる。
産業上の利用可能性
本発明は、画像特性を改善したX線検出器およびその製造方法を実現できる。
本発明のX線検出器は、人体の胸部撮影の他、循環器や消化器などの診断にも適用可能である。また工業用のX線検出器も適用可能である。更に、2次元的に配列した平面検出器だけでなく、1次元配列のライン検出器(X線ラインセンサー)にも適用可能である。したがって、広い分野の産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施形態を説明するための回路構成図。
図2は、本発明の実施形態を説明するための図で、1つの画素単位部分を抜き出した断面図。
図3は、本発明の実施形態を説明するための特性図。
Claims (10)
- 画素単位の光電変換部と、前記光電変換部の各画素上に形成されたシンチレータ画素と、前記シンチレータ画素間の隔壁とを具えたX線検出器において、
前記隔壁は、前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料IIを含有することを特徴とするX線検出器。 - 画素単位の光電変換部と、前記光電変換部の各画素上に形成されたシンチレータ画素と、前記シンチレータ画素間の隔壁とを備えたX線検出器において、
前記隔壁は、前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含有することを特徴とするX線検出器。 - 前記蛍光材料II又は蛍光材料IIIが粒状の蛍光材料から成り、その蛍光材料II又はIIIの平均粒径φを蛍光材料II又はIIIの隔壁層内の体積充填率Dで除した値(φ/D)が前記隔壁幅の1/2以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のX線検出器。
- 前記蛍光材料Iが、Gd2O2S又はCsIを母材とする蛍光材料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のX線検出器。
- 前記蛍光材料II又はIIIが、Gd2O2Sを母材とする蛍光材料であることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれか1項記載のX線検出器。
- 前記蛍光材料IIIの最長蛍光波長が紫外領域にあることを特徴とする請求項2又は3又は4記載のX線検出器。
- 画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、
前記画素単位の光電変換部上に蛍光材料Iを含む層を形成する工程と、前記層から隔壁となる部分を除去して前記シンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料II及び/又は前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程とを備えたことを特徴とするX線検出器の製造方法。 - 画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、
前記画素単位の光電変換部上に前記蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料II及び/又は前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含む層を形成する工程と、前記層から前記隔壁となる部分以外の部分を除去して前記隔壁を形成する工程と、前記隔壁を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程とを備えたことを特徴とするX線検出器の製造方法。 - 画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、
前記画素単位の光電変換部上に樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により層を形成する工程と、前記層から前記隔壁となる部分を除去して樹脂材料又は金属材料による仮画素を形成する工程と、前記仮画素を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料II及び/又は前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程と、前記仮画素を除去する工程と、前記仮画素を除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程とを備えたことを特徴とするX線検出器の製造方法。 - 画素単位の光電変換部上にシンチレータ画素を形成する工程と、前記シンチレータ画素間に隔壁を形成する工程とを備えたX線検出器の製造方法において、
前記画素単位の光電変換部上に樹脂材料等の有機材料又は金属材料等の無機材料により層を形成する工程と、前記層から隔壁となる部分以外の部分を除去して樹脂材料又は金属材料による仮隔壁を形成する工程と、前記仮隔壁を形成する工程で除去した部分に前記蛍光材料Iを含む材料を充填して前記シンチレータ画素を形成する工程と、前記仮隔壁を除去する工程と、前記仮隔壁を除去した部分に前記蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最短蛍光波長と等しいかそれよりも長い最長蛍光波長を有する蛍光材料II及び/又は前記シンチレータ画素内に含まれる蛍光材料Iと光学的特性が相違し、かつ前記蛍光材料Iの最長蛍光励起波長と等しいかそれよりも短い最短蛍光波長を有する蛍光材料IIIを含む材料を充填して前記隔壁を形成する工程とを備えたことを特徴とするX線検出器の製造方法。
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