JP2004163169A - 放射線検出器 - Google Patents

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Akiko Fujisawa
晶子 藤澤
Katsuhisa Honma
克久 本間
Kenichi Ito
健一 伊藤
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Abstract

【課題】解像度特性を向上することが可能であるとともに、感度特性を向上することが可能な放射線検出器を提供することを目的とする。
【解決手段】放射線検出器は、画素単位の光電変換素子13が複数配列してなる光電変換基板11と、光電変換基板11上に配置されたシンチレータ層39と、光電変換基板11上に形成されシンチレータ層39を画素単位に区画する区画部38と、を備えている。シンチレータ層39は、放射線により励起されて蛍光を発生する蛍光材料及び蛍光材料を結合するバインダを含んで構成されている。蛍光材料の屈折率nとバインダの屈折率nとの関係が、
/n < 1.5
であることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射線検出器に係り、特に、放射線画像を検出する間接方式の放射線平面検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、新世代のX線診断用検出器としてアクティブマトリックス型のX線平面検出器が大きな注目を集めている。このX線平面検出器において、照射されたX線を検出することにより、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。固体検出器であることから、画質性能や安定性の面でも極めて期待が大きい。このため、多くの大学やメーカが研究開発に取り組んでいる。
【0003】
実用化の最初の用途として、比較的大きなX線量で、静止画像を収集する人体の胸部・一般撮影用に開発され、近年商品化されている。より高い技術的なハードルをクリアして、透視線量下で秒30コマ以上のリアルタイム動画を実現させる必要のある循環器、消化器分野への応用に対しても近い将来に商品化が予想される。この動画用途に対しては、ノイズ(S/N:シグナル/ノイズ比)の改善や微小信号のリアルタイム処理技術等が重要な開発項目となっている。
【0004】
X線平面検出器には、大きく分けて直接方式と間接方式との2通りがある。
【0005】
直接方式は、X線をa−Seなどの光導電膜を用いて直接信号電荷に変換し、変換した信号電荷を電荷蓄積用キャパシタに蓄積する方式である。この直接方式は、X線により発生した光導電電荷を高電界により直接に電荷蓄積用キャパシタに導くため、ほぼアクティブマトリックスの画素ピッチで規定される解像度特性が得られる。
【0006】
直接方式のX線平面検出器は、X線の吸収率を上げて信号強度を確保するために、例えばa−Seの光導電膜を1mm程度の厚膜で形成している。また、X線フォトン1個当りの光導電電荷生成率を上げるためと、生成した光導電電荷が膜中の欠陥準位にトラップされることなく収電電極に到達させるため、かつ、バイアス電界と直角方向への電荷の拡散を極力抑えるために、例えば10V/μmの強バイアス電界を印加して用いる。
【0007】
すなわち、この例では、光導電膜のa−Seに対し、10kVの高電圧を印加することになる。このため、動作電圧の低いTFTを高電圧から保護する信頼性の確保や、暗電流と感度特性、熱的安定性などを兼ね備えた好適な光導電材料が見つからないなどの問題が生じている。
【0008】
一方の間接方式は、シンチレータ層によりX線を受けて一旦可視光に変換し、可視光をa−SiフォトダイオードやCCDにより信号電荷に変換して、電荷蓄積用キャパシタに導く方式であるため、直接方式で生じる耐高電圧の問題は生じない。また、シンチレータ材料や、フォトダイオードに付いても基本的な技術は確立している点で有利である。
【0009】
しかしながら、この間接方式は、シンチレータ層からの可視光がフォトダイオードに到達するまでの光学的な拡散及び散乱により、その分の解像度劣化を生じる。特に、感度特性を確保するために、シンチレータ層を厚膜にするほど、フォトダイオード等の光電変換素子に到達するまでの蛍光の広がりが大きく、解像度劣化が顕著となる。
【0010】
これに対して、この間接方式において、シンチレータ層を画素毎に分離するために隔壁を設けたX線検出器が提案されている。これにより、シンチレータ層内で発光した蛍光は、隔壁により横方向への散乱や拡散を抑制される。したがって、光学的なガイド効果により、蛍光をフォトダイオード等の光電変換素子に効率良く到達させることができ、解像度特性が改善される(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−166976号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シンチレータ層を隔壁によって画素分離したX線検出器などの放射線検出器では、隔壁に相当する部分が放射線感度に寄与しない。すなわち、放射線が隔壁に照射されても蛍光が発光することはなく、このため、シンチレータから隔壁に置き換えられた程度に応じて必然的にシンチレータ層の総発光量が低減する。したがって、1画素あたりの輝度が低下するため、放射線検出器としての感度が低下するといった問題を生ずる。
【0013】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、解像度特性を向上することが可能であるとともに、感度特性を向上することが可能な放射線検出器を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の様態による放射線検出器は、
画素単位の光電変換素子が配列してなる光電変換基板と、
前記光電変換基板上に配置され、放射線により励起されて蛍光を発生する蛍光材料及び蛍光材料を結合するバインダを含むシンチレータ層と、
前記光電変換基板上に形成され、前記シンチレータ層を画素単位に区画する区画部と、
を備え、
前記蛍光材料の屈折率nと前記バインダの屈折率nとの関係が、
/n < 1.5
であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態に係る放射線検出器について図面を参照して説明する。なお、この発明においては、X線、γ線、その他の各種放射線の場合に適用可能であるが、以下の一実施の形態においては、放射線の中の代表的なX線の場合を例にとり説明する。したがって、実施の形態の「X線」を「放射線」に置き換えることにより、この発明が対象とする他の放射線にも適用可能である。
【0016】
図1に示すように、X線を検出してX線の強度分布に対応する電気信号を出力するX線検出器1は、複数の画素を有するアクティブマトリクス型の光電変換基板11を有している。この光電変換基板11は、ガラスなどの絶縁基板上に、行方向(例えば図中の横方向)及び列方向(例えば図中の縦方向)に所定のピッチLで2次元的にマトリクス状に配列された同じ構造の複数の画素12を有している。図1に示した例では、9個の画素(12a〜12i)が図示されている。
【0017】
各画素12(a〜i)は、入射した光強度に対応して信号電荷に変換する光電変換素子として機能するフォトダイオード13、スイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(以下TFTと称する)14、信号電荷を蓄積する電荷蓄積部として機能する蓄積キャパシタ15などによって構成されている。
【0018】
各TFT14は、ゲート電極G、ソース電極S、及び、ドレイン電極Dを有している。ドレイン電極Dは、例えばフォトダイオード13及び蓄積キャパシタ15と電気的に接続されている。
【0019】
光電変換基板11の外部には、制御回路16が設けられている。この制御回路16は、TFT14の動作状態、例えばオン/オフを制御する。また、この制御回路16には、行方向に延びる複数の制御ライン17が接続されている。図1に示した例では、第1乃至第4の4個の制御ライン171乃至174が設けられている。それぞれの制御ライン17は、同じ行の画素12を構成する各TFT14のゲート電極Gに接続されている。例えば、第1の制御ライン171は、画素12a乃至12cを構成する各TFT14のゲート電極Gに接続されている。
【0020】
列方向には、複数のデータライン18が設けられている。図1に示した例では、第1乃至第4の4個のデータライン181乃至184が設けられている。それぞれのデータライン18は、同じ列の画素12を構成する各TFT14のソース電極Sに接続されている。例えば、第1のデータライン181は、画素12a、12d、12gを構成する各TFT14のソース電極Sに接続されている。
【0021】
それぞれのデータライン17は、対応する電荷増幅器19に接続されている。各電荷増幅器19は、例えば演算増幅器で構成され、その一方の入力端子a1にデータライン18が接続され、他方の入力端子a2は接地されている。一方の入力端子a1と出力端子bとの間にコンデンサCが接続され、積分機能を有する。また、コンデンサCに並列にスイッチSが接続され、例えばスイッチSを閉じてコンデンサCに残った電荷を放電する構成になっている。
【0022】
それぞれの電荷増幅器19は、並列に入力する複数の電気信号を直列信号に変換する並列/直列変換器またはマルチプレクサ20に接続されている。並列/直列変換器20は、アナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器またはデジタイザ21に接続されている。
【0023】
次に、この実施の形態に係るX線検出器の画素の構造について図2を参照して説明する。なお、図2では、1つの画素部分を抜き出して図示しており、図1に対応する部分には同じ参照符号を付して重複する説明は一部省略する。
【0024】
光電変換基板11は、ガラスなどの絶縁基板31上に形成されたTFT14及び蓄積キャパシタ15を備えている。
【0025】
TFT14は、3つの電気的接続、すなわちゲート電極G、ソース電極S、及び、ドレイン電極Dを備えている。ゲート電極Gは、絶縁基板31上に形成されている。このゲート電極Gは、絶縁膜32によって覆われている。また、このゲート電極Gは、同じ行に位置する他のTFT14のゲート電極Gとともに共通の制御ライン17に接続されている。例えば、TFT14をオン/オフする制御するためには、+10V及び−5Vが用いられる。
【0026】
ソース電極Sは、絶縁膜32上に形成された半絶縁膜33にコンタクトしている。このソース電極Sは、同じ列に位置する他のTFT14のソース電極Sとともに共通のデータライン18に接続されている。ドレイン電極Dは、半絶縁膜33にコンタクトしている。このドレイン電極Dは、フォトダイオード13及び蓄積キャパシタ15に接続されている。
【0027】
蓄積キャパシタ15は、絶縁基板31上に形成された下部電極34、絶縁膜32を介して下部電極34に対向して設けられた上部電極35などによって構成されている。上部電極35は、TFT14のドレイン電極Dと電気的に接続されている。
【0028】
TFT14及び蓄積キャパシタ15は、第1絶縁層361によって覆われている。この第1絶縁層361上には、フォトダイオード13が形成されている。フォトダイオード13の周囲の第1絶縁層361上には、第2絶縁層362が設けられている。この第2絶縁層362は、ほぼ矩形状のフォトダイオード13を囲むように枠状に形成されている。
【0029】
フォトダイオード13は、a−Siのpnダイオード構造、もしくはpinダイオード構造などで画素毎に形成される。このフォトダイオード13は、第1絶縁層361上に形成された第1電極131、第1電極131に対向して配置された第2電極132などによって構成されている。
【0030】
第1電極131は、第1絶縁層361の一部に形成されたスルーホール37を介してTFT14のドレイン電極Dに接続されている。第2電極132は、例えばスパッタリング法によってITOなどの透明導電膜を成膜することによって形成される。これら第1電極131と第2電極132との間には、バイアス電圧が印加される。
【0031】
なお、この実施の形態では、フォトダイオード13は、図1に示すように、蓄積キャパシタ15及びTFT14に重ならないエリアに形成されているが、受光面積を確保するために、TFT14及び蓄積キャパシタ15上に絶縁層を配して、これらを含む画素全域に収電電極を形成して、更にその上部にほぼ各画素の全面対応するフォトダイオードを形成するなどの構造も可能である。
【0032】
上述したような構造の光電変換基板11の上には、外部から入射したX線を可視光に変換する(すなわちX線により励起されて蛍光を発生する)シンチレータ層39が配置されている。また、この光電変換基板11上には、シンチレータ層39を画素単位に区画する区画部38が形成されている。
【0033】
すなわち、図2に示すように、シンチレータ層39は、光電変換基板11におけるフォトダイオード13上及び第2絶縁層362上に配置されている。このシンチレータ層39は、ほぼ同等の平均粒径を有する蛍光体粒子、例えばGOS(GdS:Tb,PR+3,CE+3,F)によって構成されている。また、シンチレータ層39に適用可能な蛍光体として、GdS:Tbを母材とする他のX線用蛍光体、CsI:Tl、CsI:Na、CaWO、LaOBr:Tm等のX線用蛍光体などでも構わない。
【0034】
区画部38は、上方よりシンチレータ層39に入射したX線40がシンチレータ層39内で蛍光41に変換され、この蛍光41が隣接する画素12のフォトダイオード13のエリアに極力干渉しないように、画素12を分離する境界に沿って形成される。これにより、シンチレータ層39は、主にフォトダイオード13に重なるエリアが残り、画素分離される。
【0035】
この区画部38は、シンチレータ層39内で発生した蛍光41のうち、隣接する画素12に向かって外方に散乱された蛍光411をシンチレータ層39の内部に向けて反射する光反射性を有する反射材料によって形成されても良い。また、この区画部38は、画素12に入射したX線のうち、隣接する画素12に向かって外方に散乱された散乱X線を吸収するX線吸収体によって形成されても良い。
【0036】
次に、このX線検出器の製造方法について説明する。
【0037】
まず、シンチレータ層39は、例えば以下のような方法で形成される。
すなわち、マトリクス状に配置された複数のフォトダイオード13などを有する光電変換基板11におけるフォトダイオード13及び第2絶縁層362の上に、液状のシンチレータ材料を塗布して、シンチレータ含有塗膜層を形成する。このシンチレータ材料は、X線を吸収して発光する蛍光材料と、樹脂バインダと、を含んで形成される。このシンチレータ材料は、ディスペンサやインクジェット、スプレー等を用いた塗布法により、例えば400μmの膜厚でベタ膜状に塗布される。
【0038】
シンチレータ材料に含まれる蛍光材料としては、前述したように、例えばGdS:Tbの粉末が利用される。また、シンチレータ材料に含まれる樹脂バインダとしては、ハロゲン化ビスフェノールAを原料としたエポキシ系樹脂、チオエーテル系樹脂、チオール系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族系ポリマーなどの樹脂材料が利用される。
【0039】
その後、60〜150℃で加熱する乾燥工程を通して有機溶剤を除去し、シンチレータ含有塗膜層を硬化させる。これにより、膜の剥離やクラック等を生じない良好なシンチレータ層39が形成される。
【0040】
続いて、区画部38は、例えば以下のような方法で形成される。
すなわち、シンチレータ層39における画素12間に、ダイシング法などにより溝部を形成する。この実施の形態では、溝部は、下地のフォトダイオード13及びTFT15に合わせて150μmのピッチで、約25μmの溝幅で形成した。
【0041】
なお、この溝部は、ダイシング法に限らず、紫外領域の主波長を有するレーザビームを照射することによる光化学分解を用いたシンチレータ層の除去、赤外領域の主波長を有するレーザビームを照射することによる加熱分解を用いたシンチレータ層の除去などによって形成しても良いし、さらに、バインダ材料を化学的に溶解して溝部分をエッチング除去する方法などで形成しても良い。さらに、この溝部は、光電変換基板11の第2絶縁層362まで到達する深さに形成しても良いし、溝部と光電変換基板11との間にシンチレータ層39が残るような深さに形成しても良い。
【0042】
その後、この溝部の内部に、光反射性を有する反射材料を充填することにより、区画部38を形成する。この区画部38を構成する反射材料としては、高屈折特性を有する微粒子、例えばTiO、またはX線発光蛍光体粒子、例えばGdS:Tb、あるいは透明セラミックスの微粒子粉体などが用いられ、さらに、膜の平坦性が高いものであればメタル膜であってもよい。この反射材料は、樹脂バインダと混合して塗布される。
【0043】
光電変換基板11の外部に接続される制御回路16などは、光電変換基板11にワイヤボンディングで接続する集積回路として製造すればよい。電荷増幅器19、マルチプレクサ20、デジタイザ21などもまた、光電変換基板11にワイヤボンディングで接続される集積回路として製造すればよい。
【0044】
さらに、シンチレータ層39の湿気による変質などを防ぐために、X線検出器1の主要部を、例えばアルミニウムやプラスチックなどの外囲器で覆って、真空封止しても良いし、あるいは乾燥気体を封入するしても良い。
【0045】
上述したように、この実施の形態に係るX線検出器によれば、X線によって励起されて蛍光を発光するシンチレータ層を区画部により画素毎に分離している。このため、デバイスへの印加電圧が高々数十ボルトと低い利点を生かした信頼性の高い間接方式でありながら、蛍光の拡散が抑制され、隣接する画素のフォトダイオードに到達することを抑制できるため、直接方式並みの高解像度を有する平面検出器を提供することができる。
【0046】
次に、上述したX線検出器におけるシンチレータ層39の構成について、より詳細に説明する。上述した構造のX線検出器では、蛍光の拡散を防止するための区画部の存在により、その分のシンチレータ層の体積が減少するため、シンチレータ層の総発光量が低下し、1画素当たりの輝度が低下してしまう。
【0047】
そこで、まずはシンチレータ層を構成する蛍光材料の屈折率nとバインダの屈折率nとに着目して、1画素当たりの輝度を向上するための条件について検討する。
【0048】
シンチレータ層の輝度特性は、蛍光材料自体の発光効率に加えて、シンチレータ層の実効的な蛍光透過率により大きく影響される。蛍光材料の発光効率は、材料固有のものであり、選択された材料によって決定される。つまり、蛍光材料の発光効率は、利用条件によって異なるものではなく、同一の材料を利用する限り発光効率は変わらない。
【0049】
一方、シンチレータ層の実効透過率は、利用条件によって異なり、実効透過率が大きいほど、フォトダイオードに到達する実効的な蛍光量が多くなり、輝度を向上することができる。この実効透過率は、蛍光材料の自己吸収率及びバインダの蛍光吸収率が小さいほど、また蛍光発光点からフォトダイオードに到達するまでの蛍光材料とバインダとの間の反射及び屈折に起因する蛍光の実効光路長が短くほど、高くなる。
【0050】
ここで、シンチレータ層として用いられる蛍光材料は、自己吸収率が十分小さいものが選択される。また、バインダとして用いられる材料も、蛍光材料によって発光された蛍光の主波長での吸収率が十分に小さいものが選択される。一方、蛍光の実効光路長を決定する蛍光材料の屈折率n及びバインダの屈折率nに関しては、蛍光材料の発光効率やバインダの塗布性などに重点をおいて材料選定されるために、一般には考慮されていない。
【0051】
蛍光材料の屈折率nは、バインダの屈折率nと比較して、ほとんどの材料で大きい場合が多い。蛍光材料の屈折率nと、バインダの屈折率nとの差が大きすぎると、互いの界面での全反射の割合や、蛍光の光路の屈折角が大きくなり、光路の屈曲が増大する。この結果、実行光路長が長くなってしまう。
【0052】
このため、蛍光材料の屈折率nと、バインダの屈折率nとの差できるだけ小さく、すなわちバインダの屈折率nが蛍光材料の屈折率nに近づく程度に大きくすることで、蛍光のフォトダイオードまでの実効的光路長を短縮することができる。
【0053】
バインダは、一般的に樹脂材料を用いている。バインダとして用いられる樹脂材料の屈折率は、1.4〜1.6程度の範囲に限られている。屈折率は、誘電率の平方根にほぼ比例する。フォトダイオードの感度特性に合った一般的な可視領域の光に対する誘電率は、樹脂材料に含有される原子の密度とそれら原子の電子分極の大きさに依存する。
【0054】
通常の樹脂材料では、炭素(C),酸素(O)、水素(H)、窒素(N)等の軽元素で構成されることから、単位体積当りに含有される原子の電子分極の総和は大差を生じない。そのことが前述のような屈折率の幅の狭さに繋がっている。これに対して、分子構造中に、少なくとも芳香族環、珪素(Si)、リン(P)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)のいずれかを含む有機材料からなるバインダを適用することにより、大きな電子分極を得ることができる。
【0055】
例えば、酸素(O)の替わりに硫黄(S)、炭素(C)の替わりに珪素(Si)、窒素(N)の替わりにリン(P)、置換基として塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などのハロゲンを含有することで大きな電子分極を得ることができる。これにより、バインダの誘電率が大きくなり、さらにはバインダの屈折率nを蛍光材料の屈折率nに近づける程度に大きくすることができる。
【0056】
したがって、蛍光の発光点からフォトダイオードに到達するまでの実効光路長を短縮することができ、輝度を向上することができる。
【0057】
図3には、蛍光材料及びバインダの屈折率比n/nと、輝度との関係の一例が示されている。ここで比較した3種類のX線検出器では、シンチレータ層を構成するバインダの材料以外は、すべて同一条件としている。シンチレータ層の膜厚は400μmとし、蛍光材料を構成する蛍光体粒子の平均粒径は40μmとした。蛍光材料は、GdS:Tbを使用した(屈折率n≒2.2)。
【0058】
比較例は、バインダとしてポリビニル系の樹脂を使用し、実施例1は、バインダとしてエポキシ系の樹脂またはアクリル系の樹脂を使用し、実施例2は、チオール系の樹脂を使用した。
【0059】
なお、この実施の形態では、蛍光材料の屈折率n及びバインダの屈折率nは、屈折計による臨界角法などの方法で測定される。また、このときの1画素当たりの輝度(cd/m)は、赤から緑の光線に感度を有するフォトダイオード、フォトマルを使用したHG−H2(富士フィルム社製増感紙)との輝度を比較するなどの方法で測定される。
【0060】
図3に示した結果から、蛍光材料の屈折率nとバインダの屈折率nとの関係が、
/n < 1.5
であることが望ましい。
【0061】
このように設定することにより、蛍光材料から発生した蛍光は、蛍光材料とバインダとの間で反射されながらフォトダイオードに導かれるが、蛍光材料とバインダとの屈折率比n/nが1.5を下回るほど、蛍光材料とバインダとの界面での全反射の割合や蛍光の屈折角が小さくなり、輝度を著しく向上することができる。
【0062】
換言すると、屈折率比n/nが1.00に近似するほど、蛍光材料からバインダへの蛍光の透過率が大きくなるため、光路の屈曲が抑えられる。したがって、蛍光の実効光路長が短縮され、フォトダイオードに到達する実効的な蛍光量が多くなり(すなわちシンチレータ層の実効透過率が向上し)、輝度を向上することができる。好ましい屈折率比n/nは、1.3〜1であり、さらに好ましくは1.2〜1である。
【0063】
続いて、シンチレータ層の膜厚Tと、蛍光材料の平均粒径Rとの関係に着目して、1画素当たりの輝度を向上するための条件について検討する。
【0064】
蛍光材料とバインダとの界面の割合が少ないほど、蛍光の光路での反射及び屈折の頻度も低くなる。このため、シンチレータ層を同一膜厚で形成し、しかも蛍光材料の充填率を同程度とした場合には、蛍光材料を構成する蛍光体粒子の平均粒径Rが大きいほど、蛍光体粒子の積層数が少ないことを意味し、当然、蛍光材料とバインダとの界面の割合も少なくなる。これにより、蛍光の反射及び屈折が抑制され、蛍光の減衰をさらに抑制することができる。
【0065】
図4には、シンチレータ層の膜厚Tと蛍光材料の平均粒径Rとの比T/Rと、輝度との関係の一例が示されている。ここで比較した3種類のX線検出器では、蛍光材料の平均粒径R以外は、すべて同一条件としている。シンチレータ層の膜厚は400μmとした。蛍光材料はGdS:Tbを使用した。
【0066】
また、比較例は、バインダとしてポリビニル系の樹脂を使用し、実施例1は、バインダとしてエポキシ系の樹脂またはアクリル系の樹脂を使用し、実施例2は、チオール系の樹脂を使用した。
【0067】
比較例では膜厚Tと平均粒径Rとの比T/Rを27とし、実施例1ではT/Rを16とし、実施例2ではT/Rを10とした。
なお、この実施の形態では、蛍光材料の平均粒径R及びシンチレータ層の膜厚Tは、例えばシンチレータ層の断面を走査型電子顕微鏡によって撮影することによって測定される。
【0068】
図4に示した結果から、シンチレータ層の膜厚Tと蛍光材料の平均粒径Rとの関係が
T/R ≦ 20
であることが望ましい。
【0069】
このように、シンチレータ層の膜厚Tと蛍光材料の平均粒径Rとの比T/Rを20以下と小さく設定することにより、蛍光材料とバインダとの界面での反射回数が少なくなり、輝度を著しく向上することができる。好ましい比T/Rは、20以下であり、さらに好ましくは10以下である。
【0070】
続いて、蛍光材料/バインダの屈折率比(n/n)及びシンチレータ層の膜厚/蛍光材料の平均粒径比(T/R)の積(T/R)・(n/n)に着目して、1画素当たりの輝度を向上するための条件について検討する。
【0071】
図5には、蛍光材料/バインダの屈折率比及びシンチレータ層の膜厚/蛍光材料の平均粒径比の積(T/R)・(n/n)と、輝度との関係の一例が示されている。この積(T/R)・(n/n)は、シンチレータ層における輝度に大きく影響し、一定値以上で特に輝度の改善効果が顕著に確認される。
【0072】
図5に示した結果から、蛍光材料の屈折率n、バインダの屈折率n、シンチレータ層の膜厚T、及び、蛍光材料の平均粒径Rの関係が
(T/R)・(n/n) ≦ 30
であることが望ましい。
【0073】
このように、積(T/R)・(n/n)を30以下と小さく設定することにより、シンチレータ層内をフォトダイオードに向けて進行する蛍光の反射回数が少なくなるため、蛍光材料からバインダへの蛍光の透過率が大きくなる。したがって、輝度特性を改善することができる。好ましい積は13以下であり、さらに好ましくは10以下である。
【0074】
以上説明したX線検出器によれば、シンチレータ層39は、区画部38によって画素単位に区画される。このため、隣接する画素12のシンチレータ層39への蛍光41の散乱を抑制することができ、画素12を完全に分離することができる。したがって、解像度特性を向上することができる。
【0075】
また、シンチレータ層39内で発光した蛍光41が区画部38に到達した際、蛍光41は、シンチレータ層39の内部に向けて反射される。このため、画素12毎の輝度を向上することができる。
【0076】
さらに、シンチレータ層39を構成する蛍光材料及びバインダの屈折率比(n/n)、シンチレータ層の膜厚に対する蛍光材料の平均粒径の比(T/R)、さらには、これらの積(T/R)・(n/n)を所定範囲に設定することにより、区画部38の存在による1画素当たりの輝度の低下を抑え、平面検出器としての感度特性を向上することができる。
【0077】
なお、上述した実施の形態において、X線40は、図6に示すように、シンチレータ層39の中心部分から上面に距離をおいて設置されたX線源51によって、放射状に放射される。このため、シンチレータ層39を画素分離する区画部38は、X線源51から放射された通常のX線(直進波)の進行方向と平行になるように形成されることが望ましい。
【0078】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0079】
この発明のX線検出器は、縦横に複数の画素が配列された構成のものについて説明したが、縦横の画素の比率が異なる(例えば、一方の画素数が1個の場合など)一見すると線状に構成されたX線検出器に適用するこも可能である。この場合、スイッチング素子はTFTを使用しなくとも実施可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、解像度特性を向上することが可能であるとともに、感度特性を向上することが可能な放射線検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係るX線検出器の回路構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示したX線検出器の1画素部分の構造を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、蛍光材料及びバインダの屈折率比(n/n)と、輝度との関係の一例を示す図である。
【図4】図4は、シンチレータ層の膜厚Tと蛍光材料の平均粒径Rとの比(T/R)と、輝度との関係の一例を示す図である。
【図5】図5は、蛍光材料/バインダの屈折率比及びシンチレータ層の膜厚/蛍光材料の平均粒径の比の積(T/R)・(n/n)と、輝度との関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、放射されるX線の進行方向と平行に形成した区画部の構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線検出器
11…光電変換基板
12…画素
13…フォトダイオード
14…薄膜トランジスタ(TFT)
15…蓄積キャパシタ
38…区画部
39…シンチレータ層
41…蛍光

Claims (4)

  1. 画素単位の光電変換素子が配列してなる光電変換基板と、
    前記光電変換基板上に配置され、放射線により励起されて蛍光を発生する蛍光材料及び蛍光材料を結合するバインダを含むシンチレータ層と、
    前記光電変換基板上に形成され、前記シンチレータ層を画素単位に区画する区画部と、
    を備え、
    前記蛍光材料の屈折率nと前記バインダの屈折率nとの関係が、
    /n < 1.5
    であることを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記シンチレータ層の膜厚Tと前記蛍光材料の平均粒径Rとの関係が
    T/R ≦ 20
    であることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 画素単位の光電変換素子が複数配列してなる光電変換基板と、
    前記光電変換基板上に配置され、放射線により励起されて蛍光を発生する蛍光材料及び蛍光材料を結合するバインダを含むシンチレータ層と、
    前記光電変換基板上に形成され、前記シンチレータ層を画素単位に区画する区画部と、
    を備え、
    前記蛍光材料の屈折率n、前記バインダの屈折率n、前記シンチレータ層の膜厚T、及び、前記蛍光材料の平均粒径Rの関係が
    (T/R)・(n/n) ≦ 30
    であることを特徴とする放射線検出器。
  4. 前記バインダは、分子構造中に少なくとも芳香族環、硫黄(S)、珪素(Si)、リン(P)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)のいずれかを含む有機材料からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線検出器。
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