JPWO2003006968A1 - 表面検査装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、イメージセンサを有するカメラを用いて成形物、その他の種々の検査対象物の傷や汚れといった欠陥などの表面検査を行う表面検査装置及び方法に関する。
背景技術
従来では、例えば、押し出し成形物、引き抜き成形物やロール成形物などの検査対象物の表面欠陥などの検査には、光電変換素子を一次元に配列して構成されるラインイメージセンサ(ラインイメージセンサ)を用いたCCDカメラなどのカメラが使用されている。カメラが検査対象物上を一次元走査し、これにより得られた画像データに演算処理を施して検査される。
ビデオカメラなどに使用される二次元イメージセンサでは通常、撮像画素が視野幅方向に数百画素しかないのに対して、ラインイメージセンサは視野幅方向に数千画素もの撮像画素を集積化することが可能であるため、ラインイメージセンサを用いることにより、二次元イメージセンサでは不可能な幅の広い鉄鋼、紙、フィルムなどの検査対象物の表面検査を行うことが可能である。
このようなカメラにおいては、イメージセンサによる明度の読み取り精度に光電変換素子によってばらつきがある。このばらつきはイメージセンサを構成する個々の光電変換素子の感度の差などの原因によるものであり、素子ばらつきと呼ばれ、通常3%程度の値をとる。上述した従来の表面検査装置では、この素子ばらつきの範囲を越えた明度変化がないと、微細な欠陥などの検出を行うことができない。目視による明暗検出精度は1/1500〜1/2000と言われているので、ラインイメージセンサを用いた表面検査装置は目視の1/60の精度しかないことになり、目視検査の代替は不可能とされてきた。
そのため、イメージセンサの素子ばらつきを補償する方法が種々考えられている。一例として、ラインイメージセンサによって得られる画像データ列のうち主走査方向に連続する複数の画素からなるブロックの画像データを加算し、かつ隣接するブロックの加算データの相関演算を行う技術が知られている。
しかし、この方法は一つの主走査ライン上で隣接する画素にまたがっている欠陥に対しては検出が可能であるが、隣接する主走査ラインにまたがっている欠陥や、主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する主走査ラインにまたがっている欠陥に対しては検出を行うことができない。このため、検査精度の向上に限界があった。
本発明の目的は、検査対象物上の欠陥を隣接する主走査ラインにまたがっている欠陥や主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する主走査ラインにまたがっている欠陥を検出可能であり、表面状態の検査を精度よく行うことができる表面検査装置及び方法を提供することである。
発明の開示
本発明による表面検査装置は、検査対象物を主走査方向に走査するラインセンサを有し、画像データを得るカメラと、
前記主走査方向と直交する副走査方向に前記カメラと検査対象物とを相対的に移動させる副走査手段と、
前記カメラから出力される画像データに対し演算処理を施して前記検査対象物の表面状態を検査する演算処理手段とを備え、
前記演算処理手段は、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する画像データ列生成手段と、該画像データ列を用いて前記検査対象物の表面状態を検査する判定手段とを具備するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表面検査装置の構成を示す図である。検査対象物10は例えば押し出し成形物、引き抜き成形物やロール成形物などであり、表面検査時には図示しない主走査装置によって矢印Yで示す方向(副走査方向)に移動する。なお、成形物を成形時に検査する場合は、成形機の搬送機構が副走査装置となるので、格別な副走査装置を設ける必要はない。この検査対象物10に対向して、ディジタルカメラ11が設置されている。
ディジタルカメラ11は、結像レンズ12、CCDラインイメージセンサのようなラインイメージセンサ13、増幅器14及びA/Dコンバータ15により構成され、検査対象物10の表面の画像が結像レンズ12を介してラインイメージセンサ13上に結像される。ラインイメージセンサ13による検査対象物10上の読み取り幅をWとすると、結像レンズ12が標準レンズの場合、カメラ11から検査対象物10までの距離(対物距離)は約1.5Wに設定される。
ラインイメージセンサ13は、複数個(例えば、5120個)の光電変換素子を矢印Xで示す方向(主走査方向)に配列して構成されており、図示しない副走査装置によって主走査方向と直交する方向(副走査方向)Yに相対的に移動する検査対象物10上を主走査方向に走査して検査対象物10の表面状態を読み取り、画像信号を出力する。
副走査装置は、イメージセンサ13とイメージセンサ13上に結像される検査対象物10の像とを主走査方向と直交する副走査方向に相対的に移動させる装置であり、上記のように(a)検査対象物10をラインイメージセンサ13に対して副走査方向に相対的に移動させる構成の他、(b)ラインイメージセンサ13を検査対象物10に対して副走査方向に相対的に移動させる、(c)結像レンズ12をラインイメージセンサ13に対して副走査方向に相対的に移動させる、(d)ラインイメージセンサ13及び結像レンズ12を検査対象物10に対して副走査方向に相対的に移動させる、という構成であってもよい。
ここで、特に(b)、(c)、(d)の場合、ラインイメージセンサ13や結像レンズ12を例えば積層型の圧電アクチュエータや、静電アクチュエータのような微小駆動が可能なマイクロアクチュエータを用いて移動(振動)させればよい。
ラインイメージセンサ13から出力される画像信号は、増幅器14によって増幅された後、さらにA/Dコンバータ15により例えば8ビットパラレルのディジタルデータに変換され、ディジタルカメラ11から画像データとして出力される。
ディジタルカメラ11から出力される画像データは、画像処理装置16に入力される。画像処理装置16は、入力される画像データに対し所定の画像処理を施すことによって検査対象物10の表面状態の検査結果を出力するものであり、この例ではラインメモリ17、加算器18、演算処理器19及び判定器20によって構成される。
ラインメモリ17は、ディジタルカメラ11から入力される少なくとも1主走査ライン分の画像データを記憶するメモリであり、ラインイメージセンサ13における光電変換素子の素子数(例えば、5120素子)と同じ段数のシフトレジスタまたはFIFO(先入れ・先出し)メモリにより構成される。
ディジタルカメラ11から出力される画像データは、加算器18の第1入力端に供給されるとともに、ラインメモリ17に供給される。ラインメモリ17の出力は加算器18の第2入力端に供給される。加算器17はラインメモリ17の入出力の画像データA、Bを加算する。
ここで、加算器18の第1、第2入力A、Bにそれぞれ入力される画像データは、ラインイメージセンサ13の同一素子から得られる画像信号に対応している。すなわち、加算器18の入力Aに対して入力Bはラインメモリ17により1主走査ライン分の時間遅れている。例えば、入力Aにラインイメージセンサ13のi番目(i=1,2,…)の素子に対応する画像データが入力されるとき、入力Bには同じi番目の素子に対応する1主走査ライン前の画像データがラインメモリ17から入力される。従って、加算器18では図2に示すように入力A、Bにそれぞれ入力される副走査方向に隣接する2つの主走査ライン(Nライン目とN+1ライン目、N+1ライン目とN+2ライン目、…)の画像データ21が加算され、画像データ列22が生成される。
こうしてラインメモリ17と加算器18により構成される画像データ列生成器によって生成された画像データ列22は、演算処理器19に入力される。演算処理器19は、加算器18からの画像データ列に主走査方向Xに連続する複数の画素からなるブロックの画像データを加算(積算)してブロック内加算データを生成し、それをブロック内の最初の画素の画素データとし、かつ主走査方向で互いに隣接するブロック内加算データの相関値を算出する処理を、ブロックの位置を主走査方向にシフトさせて繰り返し行う。
具体的には、演算処理器19は図3に示すように、加算器18からの画像データ列22(図2参照)が初段に入力されるように接続されたM段のシフトレジスタ31及び2M段のシフトレジスタ32と、シフトレジスタ31の各段の出力を加算する加算器33と、シフトレジスタ32の後段のM段の出力を加算する加算器34と、加算器33、34の出力が供給される相関器35によって構成される。ここで、1主走査ラインの画像データの画素を主走査方向に連続する複数の画素からなるブロックに分割したとき、Mは1ブロックを構成する画素数である。このMの値は、任意に変更可能であることが望ましく、例えば1〜111というような値をとる。
図4は、演算処理器19の動作を説明する図である。加算器33では、加算器18から出力される画像データ列22のうち主走査方向に連続するM画素からなる一つのブロックの画像データが加算される。加算器34では、画像データ列22のうち加算器33で画像データが加算されるブロックに対して主走査方向に隣接した次のブロックの画像データが加算される。ここで、加算器33,34から出力されるブロック内加算データをb1,b2とすると、相関器35においては、例えば両者の差b1−b2が相関値36として求められる。
画像データ列22の新たな画素のデータがシフトレジスタ31,32に入力される毎に、図4に示すように加算器33,34で画像データが加算されるブロックの位置が順次主走査方向にシフトされ、同様の動作が行われる。このような動作により、加算器33,34からブロック内加算データc1,c2;d1,d2;e1,e2;…が順次出力され、相関器35からはc1−c2、d1−d2、e1−e2が相関値36として順次求められることになる。
ここでは、相関器25は隣接するブロック内加算データの差を相関値36として求めたが、隣接するブロック内加算データの比(b1/b2、…)を相関値36として求めてもよい。相関器25から出力される相関値36は、図1中の判定器20に入力される。判定器20は、例えばコンパレータによって構成され、相関器26から出力される相関値36を適当なしきい値と比較することによって、検査対象物10の表面欠陥の有無を判定し、その判定結果を表面状態の検査結果として出力する。
すなわち、検査対象物10上に欠陥があると、その欠陥の近傍ではラインイメージセンサ13の同一の素子に対応する画像データの大きさが副走査に伴って、つまり検査対象物10の相対的移動に伴って時間的に変化することにより、相関器35で得られる相関値36が大きくなって、判定器20においてしきい値を越えるため、判定器20でこの欠陥を認識することができる。判定器20の判定結果は、例えばパーソナルコンピュータにより処理されて図示しない表示装置により表示される。
上記のように構成された本実施形態の表面検査装置によると、まず演算処理器19においてブロック内加算を行うことによる累積機能と、主走査方向で隣接するブロック内加算データの相関をとることによる自己相関機能によって、ラインイメージセンサ13の素子ばらつきの影響を除去すると共に、相関器35で得られる相関値36が大きくなり、欠陥の検出感度を高めることができる。
さらに、本実施形態によると、特にラインメモリ17と加算器18を用いて副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算し、これにより得られた画像データ列を演算処理器19に入力することによって、図5Aに示すように検査対象物10上の欠陥51が一つの主走査ライン(図ではN番目のライン)内にのみ存在する場合は勿論、図5Bのように隣接する2つの主走査ライン(図ではN番目のラインとN+1番目のライン)にまたがっている欠陥52や、図5Cのように主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する2つの主走査ラインにまたがっている欠陥53を含めて検出可能として、さらなる高精度の検査が可能となる。
以下、この原理を詳細に説明する。
まず、図5Aに示すように検査対象物10上の欠陥51が一つの主走査ライン内にのみ存在する場合、図6Aに示すように一つの画素内に存在する欠陥50に対応する画像データ(カメラ11出力)に比較して、2つの画素にまたがって存在する欠陥51に対応する画像データの出力が小さくなる。1画素のデータが2画素に分配されるので、出力レベルは半分になる。次のラインでは欠陥が無いので、出力は0であり、副走査方向に隣接する2ラインの画像データを加算する加算器18の出力(画像データ列22)はNラインの画像信号と同じである。この画像データ列22が演算処理器19の累積機能によって主走査方向のブロック内の画素データが累積されて、当該ブロック内の所定の、例えば最初の1画素の画素データとされる。ここで、説明の便宜上、ブロックは2画素からなるとすると、加算器33は図6Bに示すように、1画素ずれた2つの画像データ列を加算する。このため、各画素データに次の画素データが加算されることになり、欠陥51に対応する画素c6´の画像データのレベルは欠陥50に対応する画素c2´の画像データと同じとなる(レベルが大きくなる)ため、欠陥50は勿論、欠陥51についても容易に検出することができる。
次に、図5Bに示すように隣接する2つの主走査ラインにまたがった欠陥52が存在する場合、図7Aに示すように一つの主走査ライン内の一つの画素内に存在する欠陥50に対応する画像データに比較して、欠陥52に対応する画像データの出力が小さくなる。これは、Nラインでも(N+1)ラインでも同じである。しかし、副走査方向に隣接する2ラインの画像データを加算する加算器18により、欠陥52に対応する画像データ列22の出力は欠陥51に対応する画像データ列22の出力と同じになる。このため、2つの主走査ラインにまたがって存在する欠陥52も、容易に検出することができる。
なお、図7Bはブロック内加算データを示すが、この例の場合は、主走査方向の2つの画素にまたがっている欠陥が存在しないので、ブロック内加算は不要である。 さらに、図5Cのように主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する2つの主走査ラインにまたがった欠陥53が存在する場合、図8Aに示すように一つの主走査ライン内の一つの画素内に存在する欠陥50に対応する画像データに比較して、欠陥53に対応する画像データの出力が小さくなる。1画素のデータが4画素に分配されるので、Nライン、(N+1)ラインとも欠陥53に対応する画像データの出力レベルは1/4になる。しかし、副走査方向に隣接する2ラインの画像データを加算する加算器18により、欠陥53に対応する画像データ列22の出力レベルは1/2まで増幅される。この画像データ列22が演算処理器19の主走査方向での累積機能による効果によって、当該ブロック内の所定の、例えば最初の1画素の画素データとされる。ここで、説明の便宜上、ブロックは2画素からなるとすると、加算器33は図8Bに示すように、1画素ずれた2つの画像データ列を加算する。このため、各画素データに次の画素データが加算されることになり、欠陥53に対応する画素c6´の画像データのレベルは欠陥50に対応する画素c2´の画像データと同じとなる(レベルが大きくなる)ため、欠陥50は勿論、欠陥53についても容易に検出することができる。
第2の実施形態
次に、図9を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。第2実施形態に係る表面検査装置の構成は図1に示した第1実施形態のものと同一である。
第1実施形態では、ディジタルカメラ11から出力される画像データ21について、ラインメモリ17及び加算器18を用いて副走査方向Yに隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列22を生成する際、これら2つの主走査ラインの副走査方向Yに隣接する2つの画素(主走査方向の位置が同じ画素)の画像データを加算している。
しかし、副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する方法は、これに限られるものではなく、例えば図9に示すような方法で画像データ列を生成してもよい。この方法では、副走査方向Yに隣接する2つの主走査ラインの画像データ21について、副走査方向に隣接しかつ主走査方向に隣接する4つの画素の画像データを加算する処理を該4つの画素の位置を一画素単位で主走査方向にシフトして行うことにより、画像データ列22Aを生成する。
この方法によると、画像データ列の各データの大きさが大きくなるため、検査精度をさらに高めることができ、また例えば図5C及び図8で説明したような主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する主走査ラインにまたがって存在する欠陥53を検出する上で特に有効である。
第3の実施形態
第2実施形態に係る表面検査装置の全体構成も図1に示した第1実施形態のものと同一である。第2実施形態と同様、第3実施形態も画像データ列の生成方法の変形に関する。
第3実施形態では、副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する際、第1実施形態と同様に図10Aに示すように2つの主走査ラインの副走査方向に隣接する2つの画素(主走査方向の位置が同じ画素)の画像データを加算して画像データ列を生成する処理に加えて、図10B、図10Cの処理を併用する。図10Bは、副走査方向に対して斜め右上がりの方向(第1の方向)で隣接する画素の画像データを加算して画像データ列を生成する処理である。図10Cは、副走査方向に対して斜め左上がりの方向(第2の方向)で隣接する画素の画像データを加算して画像データ列を生成する処理である。
図11は、第3実施形態における画像処理装置16Aの構成を示す図であり、ラインメモリ17Aは1主走査ライン分の画素数(この例では、5120画素)+1=5121段のシフトレジスタにより構成される。このシフトレジスタの入力と、5120段目の出力、5121段目の出力、5119段目の出力が加算器18A,18B,18Cによりそれぞれ加算される。これにより、加算器18Aからは図10Aに示す2つの主走査ラインの副走査方向に隣接する2つの画素の画像データを加算した画像データ列、加算器18Bからは図10Bに示す副走査方向に対して斜め右上がりの方向で隣接する画素の画像データを加算した画像データ列、加算器18Cからは図10Cに示すように副走査方向に対して斜め左上がりの方向で隣接する画素の画像データを加算した画像データ列が出力される。
これらの画像データ列は、それぞれ第1実施形態で説明したと同様の演算処理器19A,19B,19Cを経て判定器20A,20B,20Cに入力され、閾値判定される。これら判定器20A,20B,20Cの判定結果は、例えばパーソナルコンピュータにより処理されて図示しない表示装置により表示される。この場合、判定器20A,20B,20Cの判定結果を互いに区別が付くように色を変えて表示してもよい。
本実施形態によると、例えば検査対象物10上に存在する線状のような非常に細い欠陥であって、ラインイメージセンサ13上を斜めに横切るような欠陥に対しても、容易に検出が可能となる。すなわち、このような欠陥は2つの主走査ライン上で図10Bまたは図10Cに示すように副走査方向に対して斜めの方向で隣接する画素にまたがって現れるため、これらの画素の画像データを加算した後に演算処理器で処理することにより、容易に検出されることになる。
本発明は、その他種々変形して実施が可能である。例えば、上記実施形態ではラインイメージセンサを用いた場合について述べたが、光電変換素子をマトリクス状に配列した2次元イメージセンサ(エリアセンサともいう)を用いた場合にも有効である。
ラインイメージセンサでは、画素(光電変換素子)が隙間なく配列されるのに対して、2次元イメージセンサでは画素と画素の間に縦横に配線のための不感領域が存在する。しかし、本発明によると、副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データの加算機能と、主走査方向における累積機能により、このような不感領域による検出感度の低下を補うことができる。
また、実施形態ではラインメモリと加算器を用いて副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算した画像データ列を演算処理器を介してブロック内加算を行った後、判定器に入力したが、演算処理器を介さずに判定器に入力しても構わない。そのような構成においても、本発明の所期の目的を達成することができる。
人間の眼球は、固視微動と呼ばれる微小な震動を行っている。すなわち、眼球は上下左右を見るときの運動とは別に、固視微動を行うことによって、網膜が刺激に慣れないようにすることで、精度を上げていると考えられている。固視微動の主たる運動成分は、上下方向である。
本発明において隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算する処理は、このような人間の眼球の固視微動に相当している。すなわち、本発明では電子的な処理ないしは機械的な処理によって副走査方向の移動(微動)を行いつつ、隣接した2つの主走査ラインの画像データを加算した画像データ列を処理して表面検査を行うことにより、検査精度を上げているのである。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば検査対象物上の主走査ラインにまたがっている欠陥や、主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する主走査ラインにまたがっている欠陥を含めて検出可能として、表面状態の検査を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の第1の実施形態に係る表面検査装置の構成を示すブロック図、
図2は第1の実施形態における副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する動作を説明する図、
図3は第1の実施形態における演算処理器の構成を示すブロック図、
図4は図3に示す演算処理器の動作を説明する図、
図5A、図5B、図5Cは検査対象物上の種々の欠陥について説明する図、
図6A、図6Bは一つの主走査ライン内にのみ存在する欠陥とそれに対応する画像データ及びブロック内加算データの関係を示す図、
図7A、図7Bは隣接する2つの主走査ラインにまたがって存在する欠陥とそれに対応するブロック内加算データの関係を示す図、
図8A、図8Bは主走査ライン上で隣接する画素にまたがり、かつ隣接する2つの主走査ラインにまたがった欠陥とそれに対応する画像データ及びブロック内加算データの関係を示す図、
図9は本発明の第2の実施形態における副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する動作を説明する図、
図10A、図10B、図10Cは第3実施形態における副走査方向に隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する変形例を説明する図、
図11は第3実施形態における画像処理装置の構成を示すブロック図。
Claims (14)
- 検査対象物を主走査方向に走査するラインセンサを有し、画像データを得るカメラと、
前記主走査方向と直交する副走査方向に前記カメラと検査対象物とを相対的に移動させる副走査手段と、
前記カメラから出力される画像データに対し演算処理を施して前記検査対象物の表面状態を検査する演算処理手段とを備え、
前記演算処理手段は、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成する画像データ列生成手段と、該画像データ列を用いて前記検査対象物の表面状態を検査する判定手段とを具備する表面検査装置。 - 前記画像データ列生成手段は、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データのうち、前記主走査方向における同一位置の画素の画像データを加算する請求の範囲第1項に記載の表面検査装置。
- 前記画像データ列生成手段は、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データのうち、前記副走査方向に隣接し、かつ前記主走査方向に隣接する4画素の画像データを加算して前記画像データを得る請求の範囲第2項に記載の表面検査装置。
- 前記画像データ列生成手段は、前記カメラから出力される画像データを少なくとも1主走査ライン分記憶保持するラインメモリと、該ラインメモリの入出力の画像データを加算して前記画像データ列を得る加算器とを具備する請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の表面検査装置。
- 前記画像データ列生成手段は、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データのうち、前記副走査方向に隣接し、かつ前記主走査方向に隣接する4画素の画像データを加算して第1画像データ列を生成し、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データのうち、前記副走査方向に対して斜めの第1の方向で隣接する2画素の画像データを加算して第2画像データ列を生成し、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データのうち、前記副走査方向に対して斜めの第2の方向で隣接する2画素の画像データを加算して第3画像データ列を生成する請求の範囲第1項に記載の表面検査装置。
- 前記画像データ列生成手段は、前記カメラから出力される画像データを少なくとも1主走査ライン分記憶保持するラインメモリと、該ラインメモリの入力の画像データと1主走査ライン前の画像データを加算する第1の加算器と、該ラインメモリの入力の画像データと(1主走査ライン+1画素)前の画像データを加算する第2の加算器と、該ラインメモリの入力の画像データと(1主走査ライン−1画素)前の画像データを加算する第3の加算器とを具備する請求の範囲第5項に記載の表面検査装置。
- 前記判定手段は、前記画像データ列のうち前記主走査方向おいて連続する複数の画素からなるブロック内の画像データを加算してブロック内加算データを算出する累積手段と、前記主走査方向において隣接するブロックのブロック内加算データの相関値を算出する相関手段と、前記相関値を閾値判定する手段とを具備する請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか一項に記載の表面検査装置。
- 前記判定手段は、前記ブロックを前記主走査方向に1画素づつシフトさせて前記ブロック内加算と相関演算を繰り返し行う請求の範囲第7項記載の表面検査装置。
- 前記副走査手段は、前記検査対象物を前記カメラに対して前記副走査方向に移動させる請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか一項に記載の表面検査装置。
- 前記副走査手段は、前記カメラを前記検査対象物に対して副走査方向に移動させる請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか一項に記載の表面検査装置。
- 前記副走査手段は、前記カメラのレンズを前記ラインセンサに対して前記副走査方向に移動させる請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか一項に記載の表面検査装置。
- 前記副走査手段は、前記カメラのレンズ及びイメージセンサを前記検査対象物に対して前記副走査方向に移動させる請求の範囲第1項乃至第8項のいずれか一項に記載の表面検査装置。
- 検査対象物を主走査方向に走査するラインセンサを有し、画像データを得るカメラを用いる表面検査方法において、
前記主走査方向と直交する副走査方向に前記カメラと検査対象物とを相対的に移動させるステップと、
前記カメラから出力される画像データにおいて、前記副走査方向において隣接する2つの主走査ラインの画像データを加算して画像データ列を生成するステップ、
該画像データ列を用いて前記検査対象物の表面状態を検査するステップと、
を具備する表面検査方法。 - 前記検査ステップは、前記画像データ列のうち前記主走査方向おいて連続する複数の画素からなるブロック内の画像データを加算してブロック内加算データを算出する累積ステップと、前記主走査方向において隣接するブロックのブロック内加算データの相関値を算出する相関ステップと、前記相関値を閾値判定するステップとを具備する請求の範囲第13項に記載の表面検査方法。
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