JPWO2002066396A1 - 高強度珪酸カルシウム硬化体 - Google Patents

高強度珪酸カルシウム硬化体 Download PDF

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Abstract

本発明により、主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibと、トバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの比Ib/Iaが3.0以上であり、かつ水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.40〜1.20である珪酸カルシウム硬化体、及びその複合体並びにそれらの製造方法が開示される。本発明の珪酸カルシウム硬化体及びその複合体は、嵩比重が0.14〜1.0と軽量でありながら、高い強度および弾性率を有し、それに加えて、耐炭酸化抵抗、吸水性、寸法安定性および耐欠け性に優れた建築材料として有用である。

Description

技術分野
本発明は、高強度珪酸カルシウム硬化体および高強度珪酸カルシウム複合体、並びにその製造方法に関する。更に詳しくは、主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibが、トバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14〜1.0であり、かつ水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.40〜1.20であることを特徴とする珪酸カルシウム硬化体に関する。また、珪酸カルシウム硬化体と、補強鉄筋または補強金網とからなることを特徴とする珪酸カルシウム複合体に関する。更に、これら珪酸カルシウム硬化体及び珪酸カルシウム複合体の製造方法に関する。
従来技術
近年、建築物の軽量化への要望から、不燃性かつ軽量な建築材料が求められている。
この様な建材として、これまでにも軽量気泡コンクリート(以下屡々「ALC」と称する)および繊維補強珪酸カルシウム板(以下屡々「ケイカル板」と称する)が知られている。軽量気泡コンクリートは、セメント、珪石粉を主原料とし、これに必要により生石灰粉、石膏等を加え、水を添加してスラリー状とし気泡剤(foaming agent)により発泡した後、型枠で成形してオートクレーブ養生して製造される。これら軽量気泡コンクリートは、嵩比重が0.5から0.6付近と軽量であり、さらに結晶性の高いトバモライト(tobermorite)(5CaO・6SiO・5HO)を多量に含むことから長期の耐候性、耐火性、不朽性に優れ、建築物の外壁材、床材、内壁材として広く利用されている。
これら軽量気泡コンクリートの弾性率は、1700〜2500N/mmの範囲にある。また、圧縮強度は、4〜5N/mmの範囲にある。一方、面材として重要な物性である曲げ強度は、素材の強度として1N/mm程度と低い。そのため、軽量気泡コンクリートは内部に補強鉄筋を配して、壁、床、屋根下地等の部位に用いられてきた。しかし、比重あたりの弾性率(以下「比弾性率」と称する)が十分でないためにパネルとして用いたときのたわみが大きく、支持部材間隔が長い部位には使用できないという問題があった。また、例えば住宅の床板に用いた場合、弾性率が十分でないために重量衝撃音に対する遮音性が悪く、軽量気泡コンクリートパネルの上にさらにモルタルを施工する等の複雑な工法がとられてきた。
一方、コンクリート系材料の内部に補強鉄筋を配して使用する場合、設計強度は素材の圧縮強度に応じて決定される。軽量気泡コンクリートは圧縮強度が低いために、その用途が制限され、特に高層階の建築物には使用できないという問題がある。また従来の軽量気泡コンクリートは保釘力が木材等と比べて著しく低く、屋根下地材、野地板等の釘打ちを要求される部位への使用が制限されている。保釘力は弾性率と圧縮強度の関係、たとえば弾性率に対する圧縮強度により決まる物性であり、軽量気泡コンクリートの場合この値が低いため、釘打ちによる局所的な歪みに耐えられず、釘周辺に微細な破壊が生じるために十分な保釘力が得られていない。
軽量気泡コンクリートの物性を改善する方法として、気泡径分布を制御する、独立気泡の比率を高める、トバモライトの結晶性を高める、等の方法が試みられている。
例えば、軽量気泡コンクリートの表面や内部に存在する気泡が見掛け上、亀裂として作用するために、強度を著しく低下させているとの観点から研究がなされ、例えば日本国特開平8−67577号公報には気泡の量を低減した高比重ALCに関する技術が開示されている。しかし、同公報においても高い圧縮強度を維持できる到達最低比重は1.1程度であり、嵩比重1.0以下では圧縮強度が急激に低下するという問題があった。また、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibとトバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaの比Ib/Iaが3未満であり、軽量気泡コンクリート中に一般的に見られるトバモライトと比較して結晶性が低く耐候性が不十分であり、特に大気中に含まれる二酸化炭素と容易に反応して、炭酸カルシウムと非晶質珪酸に分解する炭酸化反応を起こす中性化に対する抵抗が不十分であることから、外装建材としては使用が制限されるという問題があった。
また、例えば日本国特開平7−101787号公報には、気泡を用いずに軽量化したALCに関する技術が開示され、嵩比重0.7以上で圧縮強度20N/mmを超える建材が報告されている。しかし、該技術における嵩比重1.0以下の硬化体は主として結晶性が極めて低い珪酸カルシウム水和物からなるために耐候性、特に大気中の二酸化炭素に対する中性化抵抗は不十分であることから、外装建材としては使用が制限されるという問題があった。
また、鉄筋を配した外壁や床板等の構造部材として、板の長尺化や支持部材間隔の長大化が求められている近年では、構造設計上、軽量気泡コンクリートの3倍の強度を有する材料が求められている。例えば、WO99−42418号公報には、同じく気泡を用いずに軽量化したALCに関する技術が開示され、例えば嵩比重0.52で圧縮強度10N/mm、嵩比重0.69で圧縮強度19N/mmを越える建材が報告されている。しかし、WO99−42418号公報の技術における建材では、水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける対数分布幅(以下屡々「対数1/4値幅」と称する)が1.20を越えており、同じ嵩比重のもので比較した場合、その圧縮強度は軽量気泡コンクリートの圧縮強度のせいぜい2倍が限界である。さらに、弾性率に対する圧縮強度が十分でないという問題があった。また、気泡を用いないため従来のALC製造設備を用いることができす、生産性が低下するという問題があり、その生産性低下を補償するに十分な物性向上は得られないという問題があった。
一方、繊維補強珪酸カルシウム板(ケイカル板)は、結晶質あるいは非晶質珪酸質原料と石灰を反応させオートクレーブにより、補強繊維とともに硬化させたものであり、繊維の他にトバモライト、ゾノトライト(xonotlite)、結晶性が極めて低い珪酸カルシウム水和物(以下「CSH」と称する)等を主な構成物としている。ケイカル板の用途は嵩比重0.3以下の保温材、0.3〜0.4の耐火被覆材、0.6〜1.2の耐火建材に大別される。成形法は、嵩比重0.4以下ではフィルタープレス、嵩比重0.6以上では抄造法が用いられる。
ケイカル板は、繊維を5〜20重量%と多量に含むため、曲げ強度、靱性に優れ、高い加工性を持っている。反面、吸水率および乾燥収縮率が大きく、寸法精度に劣る。また、粉落ちが多い、表面硬度が低くキズがつき易いなどの欠点を持っている。さらにCSHを主構成物とするものは耐候性、耐久性に劣っている。従って、外装建材としての用途は制限され、主に内装用建材として用いられている。またこれらケイカル板は、曲げ強度に比較して圧縮強度が低く、さらに弾性率が非常に低いため、鉄筋を配して構造部材へ応用することは不可能である。
たとえば日本国特開平3−237051号公報(米国特許第5,330,573号公報に対応)では、トバモライトとCSHと石英と補強繊維からなる珪酸カルシウム成形体及びその製造方法が開示され、嵩比重0.55で10N/mm以上の曲げ強度を有する建材が報告されている。しかしながら、同方法では珪酸原料と石灰質原料を50℃以下の温度で水と混合することにより、成形体中のトバモライトの含有量を高めようとしているが、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibとトバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaの比Ib/Iaが3未満であり、軽量気泡コンクリート中に一般的に見られるトバモライトと比較して著しく結晶性が低く、耐候性、特に大気中の二酸化炭素に対する中性化抵抗は不十分であることから、外装建材としては使用できない。またトバモライトの結晶性が低いことに由来して弾性率が非常に低く構造部材としての利用はできない。
発明の概要
以上の状況に鑑み、本発明者らは、硬化体を構成する物質の結晶性および硬化体中の微細組織に注目して、高強度珪酸カルシウム硬化体および高強度珪酸カルシウム複合体、並びにその製造方法について鋭意研究を行った。
その結果、意外にも、少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、主としてトバモライトからなる珪酸カルシウム硬化体を製造する際に、50重量%以上が結晶質である珪酸質原料を用い、硫酸アルミニウムまたはその水和物およびその他の硫酸化合物を配合することにより、高結晶性のトバモライトを多量に含有し、かつ、微細な細孔が均一に分布するという、従来にない微細構造を有する珪酸カルシウム硬化体を得ることができることを見出した。また、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を用いることにより、高い水/固体比の場合にも固液分離を生じさせることなく成形体が得られることから、粗大気泡の量が自由に制御された嵩比重の低い珪酸カルシウム硬化体が得られること、更には気泡剤によって粗大気泡を導入しなくとも、嵩比重の低い珪酸カルシウム硬化体が得られることを見出した。
本発明は、これら珪酸カルシウム硬化体が、従来にない微細構造を有することにより、気泡剤による粗大気泡が存在しても、従来の軽量気泡コンクリートの数倍の強度、弾性率、かつ弾性率に対する圧縮強度を発現すること、気泡剤による粗大気泡が存在しない場合にはさらに1.5〜2.0倍の上記物性を発揮すること、かつ従来の軽量気泡コンクリートの欠点であった欠け易さを大幅に改善し保釘力に代表される釘打ち性能を大幅に改善することができる一方、高い加工性をも有することを見出したこと、さらに従来の繊維補強珪酸カルシウム板に比べて高い弾性率、高い圧縮強度および高耐久性を有することを見出したことに基づくものでもある。
従って、本発明の目的は、嵩比重が0.14〜1.0と軽量でありながら、建築材料として好適な高比圧縮強度、高比弾性率かつ弾性率に対する高い圧縮強度、さらには中性化抵抗に優れた珪酸カルシウム硬化体、さらにそれらに加えて、寸法安定性、耐欠け性、釘打ち性能に優れた珪酸カルシウム硬化体、およびそれに加えて構造部材に要求される設計強度を有した珪酸カルシウム複合体、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
本発明の上記及び他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、添付の図面を参照しながら述べる次の詳細な説明及び請求の範囲から明らかになる。
発明の詳細な説明
即ち、本発明の1つの態様によれば、主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibが、トバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14〜1.0であり、かつ水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.40〜1.20であることを特徴とする珪酸カルシウム硬化体が提供される。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的諸特徴及び好ましい態様を列挙する。
1.主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibが、トバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14〜1.0であり、かつ水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.40〜1.20であることを特徴とする珪酸カルシウム硬化体。
2.嵩比重が0.14〜0.9であることを特徴とする前項1に記載の珪酸カルシウム硬化体。
3.嵩比重が0.2以上0.7未満であることを特徴とする前項1に記載の珪酸カルシウム硬化体。
4.Ib/Iaが4.0以上であることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
5.弾性率Y(N/mm)と嵩比重Dから下記式(1)を用いて求められる値aが7以上であり、かつ圧縮強度S(N/mm)と弾性率Y(N/mm)から下記式(2)を用いて求められる値bが1.20以上であることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
a=(Y×10−3)/(D1.5) (1)
b=S/((Y×10−31.5) (2)
6.圧縮強度S(N/mm)と弾性率Y(N/mm)から上記式(2)を用いて求められる値bが1.30以上であることを特徴とする前項5に記載の珪酸カルシウム硬化体。
7.破断面上の10mm四方に含まれる最大径200μmを越える気泡が20個より多く、水銀圧入法で測定される細孔のうち、孔径0.1μm以下の細孔量の割合が、嵩比重Dが0.5〜1.0の場合には、下記式(3)で計算されるV(D)〜98vol%、Dが0.3以上0.5未満の場合には、下記式(4)で計算されるV(D)〜95vol%、Dが0.14以上0.3未満の場合には下記式(5)で計算されるV(D)〜90vol%であることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
(D)=50×D+40 (3)
(D)=100×D+15 (4)
(D)=200×D−15 (5)
8.破断面上の10mm四方に含まれる最大径200μmを越える気泡が20個以下であり、水銀圧入法で測定される細孔のうち、孔径0.1μm以下の細孔量の割合が、嵩比重Dが0.8〜1.0の場合には90〜98vol%、Dが0.5以上0.8未満の場合には下記式(6)で計算されるV(D)〜97vol%、Dが0.14以上0.5未満の場合には下記式(7)で計算されるV(D)〜92vol%であることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
(D)=100×D+10 (6)
(D)=150×D−15 (7)
9.粉末X線回折において、トバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibに対するトバモライト以外の高結晶性の共存物質の最強線の回折強度Icの比(Ic/Ib)が3.0以下であることを特徴とする前項1〜8のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
10.前項1〜9のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体と、補強鉄筋または補強金網とからなることを特徴とする珪酸カルシウム複合体。
11.少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、主としてトバモライトからなる珪酸カルシウム硬化体を製造する方法であって、上記珪酸質原料のうち、50重量%以上が結晶質である珪酸質原料であり、かつ上記水性スラリーが、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を、酸化物換算(Al)で固体原料の総重量に対して0.09〜10重量%、その他の硫酸化合物を、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO量換算で固体原料の総重量に対して0.15〜15重量%含有することを特徴とする珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
12.予備硬化により得られた予備硬化体を、型枠からはずした後に、オートクレーブ養生することを特徴とする前項11に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
13.少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料と水を、固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比が0.67〜3.5になるように混合した後に、気泡剤としてアルミニウム粉末を固体アルミニウム換算で固体原料の総重量に対して0.002〜0.8重量%混合して水性スラリーを得、該水性スラリーを型枠に注入することを特徴とする前項11又は12に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
14.少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料と水を、固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比が0.67〜3.5になるように混合した後に、起泡剤又はその水溶液に空気を送り込んで作製されたフォームを上記水性スラリーに対して5〜300vol%混合して水性スラリーを得、該水性スラリーを型枠に注入することを特徴とする前項11又は12に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
15.少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料と水を、固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比が0.77〜5になるように混合して水性スラリーを得、該水性スラリーを型枠に注入することを特徴とする前項11又は12に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
16.少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを得る工程が、珪酸質原料とセメントと硫酸アルミニウムもしくはその水和物とその他の硫酸化合物と石灰質原料の一部と水を混合する第一工程と、引き続き、残りの石灰質原料を加えてさらに混合する第二工程とを有することを特徴とする前項11〜15のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
17.少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを得る工程が、珪酸質原料とセメントと水と硫酸アルミニウムもしくはその水和物と石灰質原料の一部とを混合する第一工程と、引き続き、その他の硫酸化合物および残りの石灰質原料を加えてさらに混合する第二工程を有することを特徴とする前項11〜15のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
18.硫酸アルミニウム及びその水和物以外の他の硫酸化合物が二水石膏であることを特徴とする前項11〜17のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
19.結晶質珪酸原料が、ブレーン比表面積で5000〜300000cm/gの微粉珪石であることを特徴とする前項11〜18のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
20.前項11〜19のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法において、補強鉄筋または補強金網が配置された型枠に注入することを特徴とする珪酸カルシウム複合体の製造方法。
本発明における珪酸カルシウム硬化体とは、珪酸カルシウム化合物を含み、かつ硬化して得られる任意の形状を有する建築材料の総称であり、一般にコンクリート、硬化モルタル、軽量気泡コンクリート、ケイカル板、珪酸カルシウム板等を指す。また、本発明の珪酸カルシウム複合体とは、本発明の珪酸カルシウム硬化体と補強鉄筋または補強金網からなる建築材料を言う。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、主としてトバモライト(5CaO・6SiO・5HO)からなることが大きな特徴である。トバモライトは、軽量気泡コンクリート(ALC)などの組織中に通常見られる代表的な結晶性珪酸カルシウム水和物の1つであり、板状あるいは短冊状の粒子形態をとる。
本発明の珪酸カルシウム硬化体において、トバモライトが主体であるか否かは、珪酸カルシウム硬化体の破断面の走査型電子顕微鏡観察と粉末X線観察を併用することにより以下のように判断する。
まず第一に、粉末X線回折において、トバモライトの最強線(220)を越える他の回折ピークが存在しないことである。ただしトバモライトとともに、結晶質シリカ、炭酸カルシウム、石膏が共存する場合、トバモライトが主体であっても、これら共存物質の高い結晶性のために、これらの物質の最強線がトバモライトの最強線を超える場合がある。そこで第二に、破断面を走査型電子顕微鏡を用いて、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察し、板状あるいは短冊状のトバモライト粒子が観測される面積割合の平均が50%以上であれば、主としてトバモライトからなるとする(図5(A)参照)。また、上記面積割合の平均は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。ここで粗大気泡部とは、粗大気泡および粗大気泡から周囲約5μmの領域をいい、自由空間が存在するためにトバモライトが生成しやすい領域をいう。しかし、このような場合でも、粉末X線回折において、トバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibに対するトバモライト以外の高結晶性の共存物質、すなわち結晶質シリカ、炭酸カルシウム、石膏の最強線の回折強度Icの比(Ic/Ib)が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。ここで板状あるいは短冊状の粒子とは、上記のように顕微鏡の設定倍率2500倍で観測された板状あるいは短冊状のトバモライト粒子を顕微鏡の設定倍率5000倍で観察し、1つの粒子において、互いにほぼ平行な2つの表面間の距離がその粒子の最小長さ(以下「厚み」と称する)に相当し、その粒子の最大長さが最小長さの5倍以上である粒子とする(図5(B)参照)。もちろん、ここで言う最大長さ、厚みは二次元への投影長さである。これらトバモライトの粒子の大きさは特に規定はしないが、最大長さが数μm〜10μmであることが好ましい。
通常トバモライトは、低結晶性珪酸カルシウム水和物(CSH)と共存することが多い。CSHは様々な粒子形態をとることが知られているが、通常、繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとるために電子顕微鏡下でトバモライト粒子と区別できる(図5(C)、図5(D)参照)。この様なCSHは、トバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有できるが、CSHは強度、耐候性、耐久性など建材としての様々な必要性能を低下させるので、可能な限り含有しないことが好ましい。さらに、少量の軽量骨材、補強繊維、樹脂等もトバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有させることができる。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は粉末X線回折において観察される、2つのトバモライトの回折線(220)、(222)に挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が3.0以上である。珪酸カルシウム硬化体中にCSHが多量に存在すると、前述したように建材としての様々な性質が低下する。ここで粉末X線回折とは、X線としてCuKα線を用いた粉末X線回折を言う。珪酸カルシウム硬化体中にCSHが多量に存在すると、乾湿繰り返し時の寸法安定性が低下する。さらに長期間大気中に放置されると、これらCSHは大気中に含まれる二酸化炭素と容易に反応して、炭酸カルシウムと非晶質珪酸に分解する炭酸化反応を起こす。この時、体積の収縮を伴うことから亀裂、組織劣化が発生する。嵩比重が1.0以下の場合、通気性がある程度あるためにこれら炭酸化反応が内部まで起こり易く、外装用建材として使用する場合には致命的な欠陥となる。トバモライトとCSHが共存する硬化体について、粉末X線回折を行うと、トバモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域に、ブロードなCSHの回折ピークが認められる。このCSHの回折ピークは通常29.1〜29.4°(2θ)付近に出現する。またCSHがトバモライトに比べて少ない場合、CSHの回折ピークは、トバモライトの回折線に吸収された形になり、通常CSHの回折強度の測定は不可能となる。
ところがCSHが多量に存在する場合、トバモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域におけるX線の回折強度は、バックグラウンドに比べて高い値となることから、CSHの存在の有無を判定することができる。珪酸カルシウム硬化体がCSHを全く含まず、かつ高結晶性のトバモライトを主体とする場合、同領域におけるX線強度の最底値はバックグランド強度と一致する。
一方、たとえCSHが存在しない場合でも、トバモライトの結晶性が低い場合には、Ib/Iaは小さくなる。これは(220)と(222)が近接しているために、ピークのすそのが重なり合うためである。トバモライトの結晶性が低いと、珪酸カルシウム硬化体の強度低下、および耐候性の低下が起こる。
従って、2つのトバモライトの回折線、(220)と(222)に挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が大きい程、珪酸カルシウム硬化体中に含有されるトバモライトの結晶性が高いことを示す。また、珪酸カルシウム硬化体中にCSHが存在する場合においては、Ib/Iaが大きい程、珪酸カルシウム硬化体中に含有されるトバモライトの結晶性が高く、かつCSHの含有量が少ないことを示す。
本発明においては、いずれの場合でも、Ib/Iaの値は3.0以上であることが必要であり、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは5.0以上である。また、嵩比重が0.5以上の珪酸カルシウム硬化体においては、Ib/Iaの値が5.0以上であると、特に圧縮強度及び弾性率が高くなり好ましい。従来から市販されている軽量気泡コンクリートは、結晶性の高い珪石を原料として用いることにより、トバモライトの結晶性を高め、結果としてIb/Iaの値は高くなっている場合が多い。この値が高いにも拘らず強度が低い理由は、未反応の珪石が多量に残存していてトバモライトが真の主成分になっていないこと、および後に述べるように、マトリックスに存在する空隙が広い分布を持つこと、等の理由による。なお、ここでの強度IaおよびIbは、バックグランド強度を含めた値であり、後述のI(220)とは区別する。Ia、Ibの算出方法を図1に示すが、2つのトバモライト回折線(220),(222)に挟まれた角度領域におけるバックグランドを含めた回折強度の最低値をIa、バックグランドを含めたトバモライト回折線(220)の最大強度をIbとする。
本発明の珪酸カルシウム硬化体の嵩比重は、0.14〜1.0の範囲にあり、好ましくは0.14〜0.9、より好ましくは0.2以上0.7未満である。ここで言う嵩比重とは、105℃で24時間乾燥させた際の嵩比重、すなわち絶乾比重を指す。0.14未満では本発明の目的とする高い強度は得られず、1.0を越えると硬化体の重量が重くなりすぎるため軽量建材としては適さない。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.40〜1.20であることが必要であり、好ましくは0.40〜1.10、さらに好ましくは0.40〜1.00である。
ここで水銀圧入法とは、硬化体内部へ水銀を圧入させて、その時の圧力と侵入量の関係から細孔径の分布を測定するものであり、細孔の形状が円筒形であると仮定して計算されたものである。水銀圧入法による細孔径の測定可能範囲は6nm〜360μmであるが、この値は実際の細孔の直径を表すものではなく、構成物質間の間隙の大きさの指標として使用され、特に本発明の珪酸カルシウム硬化体の細孔構造を記述する際には有効な解析手段である。水銀圧入法で測定された微分細孔分布は、測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる。通常、嵩比重が0.14〜1.0の嵩比重が低い珪酸カルシウム硬化体の場合には、その測定範囲内の細孔径6nm〜50μmの間に微分細孔分布が存在する。
微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける対数分布幅(対数1/4値幅)とは、細孔径分布の広がりを表す1つの指標であり、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける細孔径分布の幅を対数にて表示したものである。その算出方法を図2に示すが、水銀圧入法により測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つである場合(図2(A)、図2(B))、大きい順にA、Aとすると、対数1/4値幅は、A、Aそれぞれの常用対数の差となる。尚、図2(C)に示すように、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、それらのうち最大の細孔径Aの常用対数と最小の細孔径Aの常用対数の差となる。対数1/4値幅が1.20を越えると、空隙径が50μm以下の細孔領域における細孔径分布は広い分布を持つことになり、これは即ち、応力を担う骨格を形成する部分(以下「マトリックス」という)の間隙の均一性が低いことを示す。そのために、局所的な応力集中が生じやすくなり、弾性率、圧縮強度、弾性率に対する圧縮強度の低下をもたらす。該対数分布幅は小さい方が強度その他の物性は向上する方向であるが、本発明の製造方法をもってしても0.40より小さい対数分布幅を得ることは難しい。従来の材料、たとえば軽量気泡コンクリートは、気泡剤により導入された粗大気泡部を除いた部分、すなわち骨格を形成するマトリックスに存在する空隙は広い分布を持ち、対数1/4値幅は1.20を越えている。従来の材料では、粗大気泡のみならず、これら細孔領域に存在する広い分布を持つ空隙が、強度、弾性率等の物性を改善することの障壁になっていたと本発明者らは推測している。
ところで、一般にCSHは繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとり、結晶質のトバモライトより微細であることに加えて、ゲル細孔と呼ばれる0.1μm以下の細孔を多量に含有している。そのため、珪酸カルシウム硬化体中にCSHが多量に存在する場合にも対数1/4値幅が非常に小さくなることがある。しかしながら、対数1/4値幅が小さい場合でも、CSHを多量に含有している場合もしくはトバモライトの結晶性が低い場合には、それらに起因して本発明の珪酸カルシウム硬化体の特徴である、高い弾性率、高い圧縮強度、弾性率に対する高い圧縮強度は得られない。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、主としてトバモライトからなり、トバモライトの結晶性の高い、すなわち上記Ib/Iaが3.0以上の珪酸カルシウム硬化体であり、そのマトリックスを構成するトバモライトの板状あるいは短冊状粒子間の空隙径分布、すなわちマトリックスにおける細孔分布を均一化していることが大きな特徴である。それにより、気泡剤による粗大気泡が存在しても従来の軽量気泡コンクリートの1.7〜2.2倍の圧縮強度、弾性率、かつ弾性率あたりの圧縮強度を発揮する。また、気泡剤による粗大気泡が存在しない場合には、さらに1.5〜2.0倍の上記物性を発揮することが可能となった。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、従来にない微細構造を主としてトバモライトからなるマトリックスによって実現することにより、従来の軽量気泡コンクリートと比較して高い比弾性率、比圧縮強度、さらには弾性率に対する圧縮強度を有する。本発明において、気泡剤による粗大気泡が存在しても、従来の軽量気泡コンクリートの1.7〜2.2倍の物性値を発揮すること、また粗大気泡が存在しない場合にはさらに1.5〜2.0倍の上記物性値を発揮することは、それぞれに重要な意義を有する。
従来、軽量気泡コンクリートは、粗大気泡を含有することが高い生産性を可能にしていた。従って、本発明により、従来用いられてきた設備の範囲もしくは最小限の付加設備によって高い生産性を維持しながら従来の数倍の物性値を有する建材の提供が可能になった。一方、気泡剤による粗大気泡を含有しない場合には、さらに著しい物性向上が得られるために、従来問題となっていた、補強鉄筋を用いる場合の用途の制限をなくすことができる。即ち、従来技術では考えられなかった支持部材間隔の長い部位への使用や高層階の建築物への使用への展開が可能になり、生産性の低下を補償するに十分な効果を有する。
本発明の珪酸カルシウム硬化体が、最大径200μmを越える気泡を実質的に有する場合には、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.1μm以下の細孔量の割合は、嵩比重Dが0.5〜1.0の場合には、下記式(3)で求められるV(D)〜98vol%が好ましく、より好ましくは下記式(3′)で求められるV12(D)〜98vol%であり、嵩比重Dが0.3以上、0.5未満の場合には、下記式(4)で求められるV(D)〜95vol%が好ましく、より好ましくは下記式(4′)で求められるV22(D)〜95vol%であり、
嵩比重Dが0.14以上、0.3未満の場合には、下記式(5)で求められるV(D)〜95vol%が好ましく、より好ましくは下記式(5′)で求められるV32(D)〜90vol%以下である。
(D)=50×D+40 (3)、
(D)=100×D+15 (4)、
(D)=200×D−15 (5)、
12(D)=50×D+45 (3′)、
22(D)=100×D+20 (4′)、
32(D)=200×D−10 (5′)
さらに、本発明の珪酸カルシウム硬化体が、最大径200μmを越える気泡が実質的に無い場合には、水銀圧入法で測定される細孔のうち、細孔径が0.1μm以下の細孔量の割合は、
嵩比重Dが0.8〜1.0の場合には、90〜98vol%が好ましく、より好ましくは95〜98vol%であり、
嵩比重Dが0.5以上0.8未満の場合には、下記式(6)で求められるV(D)〜97vol%が好ましく、より好ましくは下記式(6′)で求められるV42(D)〜97vol%であり、
嵩比重Dが0.14以上0.5未満の場合には、下記式(7)で求められるV(D)〜92vol%であることが好ましく、より好ましく下記式(7′)で求められるV52(D)〜92vol%である。
(D)=100×D+10 (6)、
(D)=150×D−15 (7)、
42(D)=100×D+15 (6′)、
52(D)=150×D−10 (7′)
細孔径0.1μm以下の細孔量の割合が上記範囲内であれば、各々の嵩比重において、より高い弾性率、圧縮強度および弾性率に対する圧縮強度を得ることができる。尚、上限は、現在の製造方法における限界値である。
本発明の珪酸カルシウム硬化体において実質的に最大径が200μmを越える気泡を有するとは、従来の軽量気泡コンクリート同様に、直径約100μm〜1mmの気泡が気泡剤を用いて導入された場合を意味し、本発明の珪酸カルシウム硬化体を破断させて生じた面上において、10mm四方に最大径が200μmを越える気泡が20個より多いことである。ここでいう気泡とは、原料混合時あるいは予備硬化時に気体が内部に閉じ込められて生じた球状の空隙を言い、通常、球、楕円体、水滴状、あるいはこれらが結合した形状をなすことから、亀裂や欠けによって発生した空隙とは容易に区別できる。
一方、実質的に最大径が200μmを越える気泡が無いこととは、上記の逆で気泡剤による気泡を含まないことを意味し、本発明の珪酸カルシウム硬化体を破断させて生じた面上において、10mm四方に最大径が200μmを越える気泡が20個以下であることとする。
ここで言う最大径とは、破断面上において観察される気泡の断面形状(円、楕円、水滴状あるいはこれらの合体した形状等)の最大長さを言う。これら気泡は実体顕微鏡等を用いて容易に観察できる。
上記細孔径0.1μm以下の細孔量の割合は、各々の嵩比重におけるマトリックスの細孔径の微細度、すなわち緻密度の指標である。従って、本発明の請求項1に規定される細孔径の相対的な分布広さに加えて、上記細孔径0.1μm以下の細孔量の割合を用いることにより、応力を担う骨格部であるマトリックスにおける細孔径の微細化および均一化度合いの指標を得ることができる。すなわち、上記の条件を満足することは、各々の嵩比重において、マトリックスの細孔径を極限まで微細化しかつ細孔径分布の均一化を実現したものであり、この従来にない微細構造を主としてトバモライトからなるマトリックスによって実現することにより、著しい物性向上を可能としたものである。
また、本発明の珪酸カルシウム硬化体は、弾性率Y(N/mm)と嵩比重Dから下記式(1)を用いて求められる値aがが好ましくは7以上、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9以上であり、かつ圧縮強度S(N/mm)と弾性率Y(N/mm)から下記式(2)を用いて求められる値bが好ましく1.20以上、より好ましくは1.30以上、さらに好ましくは1.40以上、特に好ましくは1.50以上である。
a=(Y×10−3)/(D1.5)≧7 (1)
b=S/((Y×10−31.5)≧1.20 (2)
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、微細構造を主としてトバモライトからなるマトリックスによって実現することにより、従来の軽量気泡コンクリートと比較して高い弾性率、圧縮強度を有する一方で、従来限界であった弾性率に対する圧縮強度を著しく向上させるものである。式(1)を用いて求められるaが7より小さいと、鉄筋を配したとしてもそのたわみ性能は低く、構造部材への使用、特に支持部材間隔が長い部位への使用が制限されることから好ましくない。
一方、従来の軽量気泡コンクリートもしくはその延長線上にある従来技術によって製造される材料は全て式(2)を用いて求められる値bがほぼ1であることから、弾性率に対して圧縮強度が一義的に決まってしまうという大きな制約を持っている。本発明は、これらの材料が本質的に持つ制約を打破し、弾性率に対する圧縮強度を向上させることに成功したものである。
一般的に材料の破壊時の歪み、すなわち限界歪みは、限界歪み=破壊強度/弾性率で表され、これは式(2)を用いて求められる値bに相当する。すなわち本発明の珪酸カルシウム硬化体は、従来にない限界歪みを有する材料とも言える。従って、本発明の珪酸カルシウム硬化体は局所的に大きな歪みを伴う様な使われ方にも対応できる。たとえば、本発明の珪酸カルシウム硬化体を釘あるいはビスを用いて固定する場合、あるいは本発明の珪酸カルシウム硬化体上にさらに他の建築材料をそれら固定具を用いて固定する場合、大きな保持力を発揮する。また、大きな保持力を必要とする屋根下地材等への使用も可能となる。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、式(1)および式(2)において規定される要件を同時に満たすことから、建築材料としての優れた性能が発揮される。
なお、本発明において規定される弾性率とは、動弾性率すなわち材料の共振周波数から計算される弾性率であり、静的な応力による変位応答から求めたものではない。動弾性率で規定することにより材料のあらゆる方向からの平均的な性能、すなわち材料の本質的な評価が可能である。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、窒素吸着法(BET吸着法)(Brunauer−Emmett−Teller equation adsorption method)で測定される比表面積が、好ましくは20〜85m/gであり、より好ましくは60m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下である。ここでトバモライトの比表面積は結晶度が高くなるにつれて小さくなり、高結晶性のトバモライトは、40〜50m/gであることが報告されている(石膏と石灰,No.214 P.129(1988)石膏石灰学会)。一方、同文献によると、CSHの比表面積は200〜250m/gと著しく高い。すなわち比表面積の値は、トバモライトの結晶度とCSHの含有率を併せた指標と考えることができ、トバモライトを含有する建材の性能を表す物性の一つと言える。従って比表面積が85m/gを越えると、トバモライトの結晶度の低下あるいはCSHの含有量の増加を意味するところとなり、硬化体の強度、弾性率が低下するとともに、耐候性、寸法安定性に代表される建材としての性能が低下することから好ましくない。一方、比表面積が著しく低下することは、トバモライト以外の低い比表面積を持つ物質が多量に混入していることを意味することから、比表面積は20m/g以上が好ましい。
水銀圧入法による細孔量と同様、比表面積は嵩比重に大きく依存する。嵩比重に応じた比表面積の範囲は、嵩比重0.5〜1.0の場合は、好ましくは20〜60m/g、より好ましくは50m/g以下であり、嵩比重0.35以上0.5未満の場合は、好ましくは20〜70m/g、より好ましくは60m/g以下であり、嵩比重0.14以上0.35未満の場合には、好ましくは20〜85m/gであり、より好ましくは70m/g以下である。なお、比表面積が著しく低下することは、トバモライト以外の低い比表面積を持つ物質が多量に混入していることを意味することから、比表面積は20m/g以上が好ましい。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、粉末X線回折において観察されるトバモライトの回折ピークのうち、(220)面の回折ピーク強度I(220)に対する(002)面の回折ピーク強度I(002)の比(I(002)/I(220))が好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.35以上である。トバモライトの板状あるいは短冊状の粒子は、平面に垂直な方向すなわち厚み方向が結晶のC軸方向と考えられている。従ってI(002)の相対強度が増加することは、C軸方向の相対的な規則性が増すことであり、それに伴い板状結晶の厚みも増加することを意味する。JCPDSカードNo.19−1364によれば、理想的なトバモライト結晶のI(002)/I(220)は0.8と記載されており、この値に近づくことで結晶の厚みが増し、単一結晶の強度が増加する。結果として、これら結晶から構成される硬化体の強度も増加する。さらに結晶の規則性が増加することにより、硬化体の弾性率が増加し、また耐炭酸化等の耐候性に代表される建材としての性能も向上すると考えられる。これらI(002)、I(220)の算出方法を図3に示すが、I(002)は、回折角6から9°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度であり、I(220)は、回折角20から40°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度である。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、撥水性物質を0.1〜3.0重量%含有することが好ましい。ここでいう撥水性物質とは、シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物、脂肪酸、脂肪酸塩、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等と水からなる樹脂エマルジョン等の撥水性物質であり、このうち一種または二種以上の混合物を用いることもできる。この中でも特に、シロキサン化合物、すなわち、ポリジメチルシロキサンやポリジメチルシロキサンのメチル基の一部が水素、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換されたシリコーンオイル、アルコキシシラン化合物、すなわち、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン化合物を使用することがさらに好ましい。
本発明の珪酸カルシウム硬化体の従来にない細孔構造に撥水性物質の疎水基の作用が加わって、優れた撥水性を発現することができる。本発明の珪酸カルシウム硬化体では、それぞれの嵩比重において、マトリックスの細孔径の極限まで微細化かつ分布の均一化を実現している。この従来にない細孔構造と撥水性物質との相乗作用により、新規な撥水性の向上が得られたものと推定される。具体的には、硬化体の表面と水との接触角が90°を越える場合、硬化体と水との接触角が同じであってもその細孔に水が入るためには、細孔分布が小さい硬化体の方がより大きな水の浸透圧を必要とすることに基づいている。撥水性物質の含有量は0.1〜3.0重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2重量%である。0.1重量%未満では撥水性が期待できず、3.0重量%より多いと本発明に規定される細孔構造、強度が得られなくなる。
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、補強繊維を0.05〜3vol%含有していることが好ましい。ここでいう補強繊維とは、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、セラミック繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維であり、このうち一種、あるいは二種類以上の混合物として用いることができる。目的の性能を得るためには、アラミド繊維、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維が好ましく、アラミド繊維を用いることがさらに好ましい。
従来の軽量気泡コンクリートでは粗大気泡が存在するため、補強繊維を添加しても耐欠け性や建築部材として重要な衝撃強度を増大させることが困難であった。ところが本発明においては、粗大気泡が存在しても微細空隙が均一に分布しているため、硬化体の衝撃強度を大幅に向上させることが可能となった。補強繊維の繊維長は、1〜20mmを用いることができ、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜8mmである。補強繊維の含有量は、空隙まで含めた硬化体の体積に対して、0.05〜3vol%が好ましく、より好ましくは0.1〜2vol%である。0.05vol%未満では十分な補強効果が得られず、一方3vol%を超えると混合時にファイバーホールができやすく、硬化体中への均一な分散が困難になる。
本発明の珪酸カルシウム複合体は、本発明の珪酸カルシウム硬化体と補強鉄筋あるいは補強金網からなり、通常補強鉄筋あるいは補強金網は珪酸カルシウム硬化体内部に埋設される。ここで補強鉄筋とは、鉄筋を所望の形状に配列し、交叉接点を溶接加工したものを言う。また補強金網とは鉄を網状に加工したもので、たとえばラス網等がその代表的な例である。補強鉄筋もしくは補強金網の形状、寸法、鉄筋の太さ、金網の目の大きさ、さらに珪酸カルシウム硬化体中に埋設する際の位置等、すなわち配筋の仕方については、珪酸カルシウム複合体の大きさ、用途等に応じて調整される。なお、これら補強鉄筋または補強金網は、耐久性上有効な防錆剤処理が施されていることが好ましい。
防錆剤としては合成樹脂系等、公知のものを使用できる。この様に鉄筋あるいは金網を内部に配置することにより破壊時の耐力が著しく向上する。特に本発明の珪酸カルシウム硬化体は、高結晶性に由来して圧縮弾性率が従来の材料に比べて格段に高いため、鉄筋あるいは金網による補強が有効になる。さらに前述した均一な微細気泡のために、鉄筋との付着力も従来の軽量気泡コンクリートに比べて大幅に向上させることが可能となった。
以下、本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造方法について説明する。
本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造方法は、少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、主としてトバモライトからなる珪酸カルシウム硬化体を製造する方法であって、上記珪酸質原料として結晶質である珪酸質原料を50重量%以上用い、かつ硫酸アルミニウムもしくはその水和物を、酸化物換算(Al)で固体原料の総重量に対して0.09〜10重量%、その他の硫酸化合物を、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO量換算で固体原料の総重量に対して0.15〜15重量%となるように上記水性スラリーに混合することを特徴とする。なお、本発明において予備硬化体とは、水性スラリーを型枠内に注入し、予備硬化させて得られるオートクレーブ養生前のものをいう。
ここで珪酸質原料とは、SiOを70重量%以上含有する原料を言う。たとえば、結晶質の珪石、珪砂、石英およびそれらの含有率の高い岩石、並びに珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ、天然の粘土鉱物およびそれらの焼成物等である。これらのうちで結晶質の珪酸質原料とは、珪石、珪砂、石英およびそれらの含有率の高い岩石であり、粉末X線回折においてα−石英あるいはクリストバライト等のシャープな回折ピークを呈するものをいう。また、非晶質珪酸原料とは、珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ等の粉末X線回折において固有の明瞭な回折ピークを示さないものを言う。
本発明の製造方法において、セメントは普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするセメントを言う。さらに、石灰質原料とは酸化物換算でCaOを50重量%以上含む原料であり、生石灰あるいは消石灰等を言う。
本発明の珪酸カルシウム硬化体を製造するにあたっては、用いる珪酸質原料のうち50重量%以上が結晶質であることが必要である。珪酸質原料の中でもシリカヒュームに代表される非晶質珪酸質原料は、結晶質珪酸質原料に比べて著しく高い反応性を持っている。その著しく高い反応性のために、セメント、石灰質原料と予備硬化させる段階で、CaO/SiOモル比が1付近のCSHが常温下でも特に容易に生成することが知られている。これらCSHは非常に安定な物質であることから、その後に高温高圧の養生を行っても、トバモライトへの変化は遅く、硬化体中には寸法安定性、耐候性を低下させるCSHが多く残留してしまう。また、トバモライトの結晶性も著しく低下することが知られている。同時に、径が小さくかつ均一な細孔分布が得られないために、目的とする高弾性率、高圧縮強度が得られない。従って、珪酸質原料は50重量%以上が結晶質である必要があり、好ましくは60重量%以上である。
結晶質の珪酸質原料としては、結晶質の珪石が安価であることから好ましく、中でも微粉砕したブレーン比表面積で測定して5000cm/g以上の微粉珪石が好ましく、より好ましくは7000cm/g以上である。微粉珪石は余り細かくしても、却って取り扱いにくいという弊害が生じることからブレーン比表面積で測定して300000cm/g以下であることが好ましい。微粉珪石は結晶質であるために予備硬化段階ではほとんど反応しない。しかし、オートクレーブ養生中の反応性は著しく高いために結晶性の高いトバモライトを多量に生成させることが可能になる。珪石の粒度が、ブレーン比表面積で測定して5000cm/g以上と細かいことは、オートクレーブ養生後に珪石が未反応のままで残留した場合にも、マトリックス中の残留珪石の界面に生成される空隙の大きさを小さくする効果も有する。
ところで、たとえば最大径200μmを越える気泡が実質的に無い、すなわち気泡剤を用いずに嵩比重0.5以下の珪酸カルシウム硬化体を得ようとする場合、また気泡剤を用いる場合でも嵩比重0.3以下の珪酸カルシウム硬化体を得ようとする場合には、水/固体比を高くする必要がある。そのような場合には、製造時に固体の沈降を防ぐ、および予備硬化時の硬化速度を速める目的から、非晶質珪酸原料を一部使用することが好ましい。この時、非晶質珪酸原料を多く使用することは、トバモライトの生成量および結晶性の低下をもたらす。非晶質珪酸質原料の使用量は、珪酸質原料のうち5重量%以上50重量%未満が好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。ここで水/固体比とは、固体重量(使用する原料が結晶水を含む場合、この結晶水の重量は含めない。)に対する使用したすべての水(使用する原料が結晶水を含む場合、この結晶水の重量を含む。)の重量比を言う。
硫酸アルミニウムもしくはその水和物の添加量は、本発明の珪酸カルシウム硬化体を製造する際の固体原料の総重量に対して酸化物換算(Al)で0.09〜10重量%であり、用いる固体の総重量に対する使用するすべての水の比(以下、水/固体比)が0.95未満の場合は0.09〜3重量%であることが好ましく、より好ましくは0.12〜2重量%であり、水/固体比が0.95以上1.9未満の場合には、好ましくは0.15〜6重量%であり、より好ましくは0.2〜4重量%であり、水/固体比が1.9以上の場合は、0.2〜10重量%であり、より好ましくは0.25〜6重量%である。添加量が0.09重量%未満であると、本発明の効果が十分に現れず、10重量%よりも多いと、水性スラリーの粘度が高くなりすぎて、成形性に問題が生じる。
また、硫酸アルミニウムもしくはその水和物における硫酸アルミニウムとは、化学式(Al(SO)からなる物質を言い、その水和物とはたとえば化学式(Al(SO・17HO)で示されるような結晶水を含む化合物を言う。いずれの場合でも結晶水を除いた状態でAl(SOとして80重量%以上含有するものを言う。さらに原料形態としては粉末、水溶液、スラリーいずれでも構わない。
その他の硫酸化合物の添加量は上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO換算で、珪酸質原料、セメント、硫酸化合物原料、石灰質原料を含む固体原料の総重量に対して0.15〜15重量%であり、好ましくは0.2〜10重量%である。添加量が0.15重量%未満であると、予備硬化体の硬化が遅くなり、15重量%より多いと、当該硫酸化合物が主成分の一つとなってしまい、得られる硬化体中のトバモライト含有量が減少する。
本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造方法において、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いた、その他の硫酸化合物は特に限定されるものではなく、SOないしはSOを含有する化合物であれば良い。例えば、亜硫酸、硫酸、無水石膏(CaSO)、二水石膏(CaSO・2HO)や半水石膏(CaSO・1/2HO)等の石膏の水和物、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩、硫酸銅や硫酸銀などの金属硫酸塩等であり、これらを単独で用いても、複数同時に用いてもよい。これらその他の硫酸化合物は、高結晶性のトバモライトをより多量に生成させ、細孔の微細化かつ細孔分布の均一化を実現させるために用いられる。これらその他の硫酸化合物のうち、二水石膏が珪酸カルシウム硬化体の主原料の一つとして使用するセメントに含まれていることから、特に好ましく用いられる。
本発明の製造方法において、硫酸アルミニウムまたはその水和物と、その他の硫酸化合物を同時に用いることは、高い水/固体比の下でも、固体の沈降を防ぎ、かつ予備硬化反応を促進し、結果として得られる珪酸カルシウム硬化体の強度および弾性率の向上をもたらすものであり、本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造には必須の原料である。
本発明の珪酸カルシウム硬化体の製造方法においては、硫酸アルミニウムまたはその水和物をその他の固体原料および水と一緒に40〜100℃で10分以上、より好ましくは30分以上混合することによって、水/固体比=5という非常に高い水/固体比においてまで固液分離を抑制し、かつ短時間の間に型枠からはずして移載可能な硬さまで予備硬化させることができる。この0.67〜5に亘る広範囲の水/固体比で制御された水性スラリーをそのまま硬化させたり、もしくはそれぞれの水性スラリーに適量の気泡剤、例えばアルミニウム粉末を加えることにより、目的とする嵩比重かつ粗大気泡量を自由にかつ精度良く制御された珪酸カルシウム硬化体の製造が可能になった。
さらに、硫酸アルミニウムまたはその水和物と上記結晶質の微粉珪石の併用により、結果として得られる珪酸カルシウム硬化体のマトリックスの細孔径を極限まで微細化かつ均一化することができること、それにより弾性率、圧縮強度、弾性率に対する圧縮強度を大幅に向上させることができる。現時点では、そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、硫酸アルミニウムまたはその水和物および微粉珪石の併用により混合された水性スラリーの分散性かつ均一性が向上する、結晶性の高いトバモライトの多量生成を可能にする、同時にマトリックスと残留した珪石の間に形成された空隙をより小さくできる、等のためと推定される。
本発明の製造方法において、最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体を製造する場合には、珪酸質原料、セメント、硫酸化合物原料、石灰質原料およびその他の固体原料は、水/固体比が0.77〜5になるように水性スラリー状態で混合される。最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない、高強度、高弾性率で、嵩比重が小さい珪酸カルシウム硬化体を得るためには、水/固体比は、0.77〜5の範囲であり、好ましくは0.9〜4の範囲であり、さらに好ましくは1.2〜3の範囲である。
一方、最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体を製造する場合には、水/固体比が0.67〜3.5、好ましくは0.85〜3.3、より好ましくは0.96〜2.7になるように水性スラリー状態で混合した後に、気泡剤としてアルミニウム粉末を混合したものを型枠に注入する方法が好ましく用いられる。アルミニウム粉末の添加量は、固体原料の総重量に対して固体アルミニウム換算で0.002〜0.8重量%であり、水/固体比が1.1未満の場合には0.002〜0.15重量%であることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.1重量%であり、水/固体比が1.1以上1.5未満の場合には0.005〜0.2重量%であることが好ましく、より好ましくは0.008〜0.15重量%であり、水/固体比が1.5以上2.2未満の場合には0.008〜0.3重量%であることが好ましく、より好ましくは0.015〜0.2重量%であり、水/固体比が2.2以上の場合には0.02〜0.6重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4重量%である。アルミニウム粉末の添加形態は特に限定されるものではなく、通常軽量気泡コンクリートの製造に用いられる添加形態を用いることができ、アルミニウム粉末を粉末で添加する方法、使用する水の一部をあらかじめ別にしておき、その水にアルミニウム粉末を混合してアルミニウムスラリーとして添加する方法、軽量気泡コンクリート製造用のアルミニウムペースト(米国特許第4,318,270号明細書参照)を添加する方法などを用いることができる。気泡剤の添加量は、水性スラリーの水/固体比と目的とする嵩比重によって決定される。気泡を含有させる方法は、金属アルミニウム粉による発泡に限定されるものでなく、例えば従来用いられているプレフォーム法(pre−foaming method)、すなわち、起泡剤(pre−foaming agent)又はその水溶液に空気を送り込んでフォームを形成し、そのフォームを本発明の水性スラリーに混合させる方法(日本国特開昭63−295487号公報参照)、起泡剤を水性スラリーに混合した後に起泡機によってフォームを形成させる方法などが好ましく用いられる。ここで、起泡剤はこの分野で従来用いられているものを用いることができ、その種類は特に限定されないが、例えば、合成界面活性剤系起泡剤、樹脂セッケン系起泡剤、加水分解タンパク系起泡剤等が挙げられる。
本発明の製造方法において使用されるすべての原料は、CaO/SiOモル比が0.5〜1.5、好ましくは0.6〜1.3、より好ましくは0.65〜1.1となるように水性スラリー状態で混合される。この値が1.5を超えると、トバモライト形成に必要な珪酸質成分が不足するためにトバモライトの生成量が著しく低下するだけでなく高結晶性のトバモライトが生成しない。また0.5未満では、珪酸質成分は十分であるが、未反応の珪酸原料が多量に残留するためにトバモライトの生成量も低下する。
固体原料と水からなる水性スラリーを混合する温度について特に規定はないが、該混合により型枠注入前にセメントの初期水和を進め、かつ珪酸質原料と石灰質原料を反応させることによって、型枠注入後の予備硬化を早める効果がある。従って、混合温度が低すぎると、反応が進まず、その後の予備硬化を遅らせることになる。従って、混合直後の温度で40〜100℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。水性スラリーを混合する時間も特に規定はないが、短すぎると各固体原料の分散が不十分で均一な水性スラリーが得られずかつセメントの初期水和ならびに珪酸質原料と石灰質原料との反応が進まない。また、長すぎるとその反応やセメントの水和が進みすぎてかえって予備硬化を遅らせる。従って、10分以上5時間未満が好ましく、30分以上3時間未満がより好ましい。
さらには、用いられる石灰質原料の全部を珪酸質原料およびセメントと同時に混合すると、石灰質原料がセメントの初期水和を遅らせる場合もある。従って、予備硬化を早めたい場合には、石灰質原料以外の固体原料と水を40〜100℃で、水性スラリー状態で10分以上5時間未満混合する第一工程を行った後に、石灰質原料を加えて、さらに40〜100℃で30秒以上1時間未満混合する第二工程を経てから型枠に注入して予備硬化させる方法も好ましく用いられる。また、第一工程で石灰質原料の一部を混合し、第二工程で残りの石灰質原料を加えても良い。ここで原料の投入にあたり、第一工程におけるスラリーへの添加を一次投入、第二工程における水性スラリーへの添加を二次投入と、以後称する。
硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物は、固体の沈降を防ぐ効果と同時に、予備硬化を早める効果を有する。固体の沈降を防ぐ効果は、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物を、それ以外の固体原料および水と一緒に40℃以上で10分以上混合する第一工程において添加した場合に顕著に現われる。一方、予備硬化をより早める効果は、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物の一部または全部を、第二工程において添加してさらに40℃以上で30秒以上混合した後に予備硬化させた場合に、より顕著に現われる。
水/固体比が高い場合、特に水/固体比が2以上の場合には、固体の沈降を防ぐ必要性から、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物を、それ以外の固体原料および水と一緒に第一工程において添加する方が好ましく、水/固体比が低い場合には、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物原料を第二工程において添加する方が好ましい。
一方、硫酸アルミニウムもしくはその水和物も、固体の沈降を防ぐ効果と同時に、予備硬化を早める効果を有する。これら2つの効果を得るためには、硫酸アルミニウムもしくはその水和物をそれ以外の固体原料および水と一緒に第一工程において添加し40〜100℃で、10分以上5時間未満混合することが好ましい。
以上のように、石灰質原料と、硫酸アルミニウムもしくはその水和物、およびそれらを除いたその他の硫酸化合物は、一次投入か二次投入かによってその効果が異なる。従って、用いられる水/固体比、混合条件(温度、時間)、求められる製造プロセスなどによって、他の原料と同時に混合する方法、2つあるいはそれ以上の工程に分割して添加混合する方法の両方が好ましく用いられる。
硫酸化合物もしくは石灰質原料を二次投入した場合の混合温度に特に規定はないが、低すぎるとその後の予備硬化を遅らせることになる。従って、混合直後の温度で40〜100℃が好ましい。また混合時間についても特に規定はないが、短すぎると均一な分散が得られず、長すぎるとその後の予備硬化を遅らせるため、30秒以上1時間未満が好ましく、1分以上10分未満がより好ましい。
固体原料と水の混合には、通常工業的に使用されるミキサーが使用可能であるが、好ましくは低粘度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機、例えば邪魔板付きのパドルミキサーが用いられる。混合は、例えば低粘度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機を用い、60℃に加温した水に固体原料を加えた後、混合槽を60℃に加温しながら、大気圧下で2時間混合する方法があげられる。攪拌機の回転数について特に規定はないが、遅すぎると固体原料が沈降するため100〜2500rpm程度の回転数が用いられる。混合は、大気中でなく、例えば窒素のような不活性ガス下でも良いが、大気中で混合する方が簡便なため好ましい。また、第二工程の混合終了後、1〜5分程度の短時間減圧下でさらに混合することにより、攪拌時の巻き込みによる気泡の低減が図れて好ましい。この場合、第二工程の混合と減圧下の混合時間を合わせて1時間未満にすることが好ましく、より好ましくは10分以下である。
本発明において、珪酸カルシウム硬化体の物性に悪影響を与えない範囲で、パルプ、発泡スチレンビーズ,有機マイクロバルーン等の有機軽量骨材、パーライト,シラスバルーン等の無機軽量骨材、メチルセルロース,ポリアクリル酸等の増粘剤、減水剤,高性能減水剤等のセメント系材料において一般に用いられる分散剤、炭酸カルシウム,ドロマイト等の炭酸塩化合物、珪酸ナトリウム等の硬化促進剤、リグニンスルホン酸,グルコン酸塩等のセメント系材料において一般に用いられる硬化遅延剤、リン酸等の発泡遅延剤等を珪酸カルシウム硬化体原料と混合することができる。これらは、この分野で従来用いられているのと同程度の量を用いることができる。これらは他の原料と同時に混合しても良く、また、第二工程の後、即ち、他の原料の混合がすべて終了した後に混合しても良い。混合時間は短すぎると均一性が得られず、長すぎると工程中の全混合時間が長くなる。そのため好ましい混合時間は、1〜5分である。
パルプは安価な上、オートクレーブ中での劣化が少ないため好適に用いられる。パルプは広葉樹、針葉樹を問わずバージンパルプ、古紙パルプ等を使用できる。これらパルプは増粘剤、分散安定剤、予備硬化時の硬化収縮低減剤としても有効である。パルプの中で、微粉砕パルプは水性スラリーの水/固体比が高いときの固体の沈降を防ぐ効果、水性スラリーに適度な粘度を付与する効果がある他、予備硬化段階またはオートクレーブ中での亀裂の発生を抑制する働きがある他、それ自身も硬化体の加工性、強度に貢献することから好適に用いられる。これら微粉砕パルプは市販品あるいは、乾式粉砕品、あるいはスラリー状態で高圧ホモジナイザー等により微粉砕したものを用いることができる。パルプの含有量は好ましくは0.1〜3.0重量%であり、さらに好ましくは0.2〜2.0重量%である。0.1重量%未満では、その効果が出現せず、また含有量が3.0重量%を越えると、水性スラリーに混合した時の粘度上昇が著しく、型枠への注入不良、巻き込み気泡等の原因となる。
この様にして混合された水性スラリーに、必要に応じて撥水性物質あるいは補強繊維が混合され、そのまま型枠に流しこまれ成形される。この時、必要に応じて補強鉄筋あるいは補強金網が配置された型枠に流し込まれ成形される。この時、補強鉄筋あるいは補強金網は防錆処理が施されていることが好ましい。型枠に注入された水性スラリーは、自己発熱あるいは外部加熱等により、好ましくは40〜100℃の間で1〜48時間かけて予備硬化される。予備硬化は、蒸気養生室、蒸気養生槽等の型枠に注入された水性スラリーの水分蒸発を抑制した環境下で行うことが好ましい。また、予備硬化は、型枠上面からの水分蒸発を防ぎながら型枠を加温することによっても行うことができる。得られた予備硬化体は、必要に応じて任意の形状に切断された後に、オートクレーブを用いて高温高圧養生される。切断は軽量気泡コンクリートの製造に一般に用いられる方法、例えばワイヤーによる切断法も使用できる。養生の効率を高めるため、得られた予備硬化体を型枠から外した後にオートクレーブで養生することも好ましい方法である。オートクレーブの条件としては160℃(ゲージ圧力:約5.3kgf/cm)以上、220℃(ゲージ圧力:約22.6kgf/cm)以下が好ましい。得られた硬化体は乾燥され、本発明の珪酸カルシウム硬化体が得られる。
本発明において、撥水性物質は、型枠に注入する前の水性スラリー、あるいは予備硬化体、あるいはオートクレーブ後の硬化体、いずれの工程においても添加することが可能であり、好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%添加される。ここで、水性スラリーに添加される場合は、そのままで、予備硬化体、オートクレーブ後の硬化体に添加する場合は噴霧等の手法とその後の乾燥等の熱処理を併用することが好ましい。硬化体内部までの撥水性を実現するためには、水性スラリーに添加することが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。以下の実施例および比較例において、採用される各種の測定方法は以下の通りである。
[曲げ強度、圧縮強度]
温度20℃、相対湿度(RH)60%の恒温恒湿槽中にオートクレーブ養生後の硬化体を置き、絶乾状態を基準とした含水量が10±2%になった時点の硬化体を測定用試料とした。曲げ強度および圧縮強度は、JIS R 5201の曲げ強さおよび圧縮強さの測定に準じて測定した。すなわち、曲げ強度測定に用いた試料は、寸法が40mm×40mm×160mmであり、スパン幅が100mmである。また、曲げ試験で割れた半分の試料において、加圧面を40mm×40mmとして最大荷重を測定し、これを圧縮強度とした。なお、ボード状試料、すなわち脱水成形や抄造法により得られる成形体(硬化体)の厚みが40mm未満の場合、接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を切り出して測定用試料とした。この場合、少なくとも直交する3方向の圧縮強度を測定して、これらの平均値を圧縮強度とした。
[動弾性率]
JIS A−1127の共鳴振動によるコンクリートの動弾性係数の試験方法に準じて測定を行った。測定には、測定用試料として曲げ強度の測定に用いたものと同一形状、同一乾燥条件の試料を用い、PCオートスキャン型動ヤング率測定器((株)マルイ製:MODEL MIN−011−0−08)により、測定用試料の縦振動を測定した。この縦振動の一次共鳴周波数から動弾性係数を算出し、その値を動弾性率とした。
[衝撃強度]
20℃および60%RHの恒温恒湿槽中にオートクレーブ養生後の硬化体を置き、絶乾状態を基準とした含水量が10±2%になった時点の硬化体を測定用試料とした。衝撃強度は、デジタル衝撃試験機(東洋精機製作所製:DG−UG)を用いて、シャルピー衝撃試験法に基づき測定した。測定条件は、ノッチを付けない10mm×10mm×100mmの試料をスパン60mmで両端を固定し、ひょう量1J、ハンマーのモーメント0.357Nm、軸心より打撃点までの距離23.0cm、ハンマーの持ち上げ角150°、周期0.969secである。なお、ひょう量とは、ある重さの振り子をある高さから試料に向けて振り下ろす場合の振り子の持つエネルギーを表す。
[予備硬化体硬度]
山中式土壌硬度計(No.351:標準型)を用いて、予備硬化を開始して5時間経過した後に予備硬化体の硬度を測定した。この測定では、型枠に接していない硬化体上面において、互いに3cm以上離れた箇所で3回測定し、その平均値を予備硬化体の硬度とした。
[嵩比重]
曲げ試験に供したたものと同じ寸法のオートクレーブ養生後の硬化体を105℃で24時間乾燥させた時の重量と寸法(体積)から、嵩比重を算出した。
[気泡径の観察]
実体顕微鏡(オリンパス光学工業(株)製:SZ)を用いて、曲げ強度試験後の試料破断面を40倍の倍率で観察し、10mm四方内に存在する最大径200μm以上の気泡の数を数えた。異なる箇所5点で測定を行い、その平均値を気泡数とした。
[水銀圧入法:対数1/4値幅、細孔量割合]
水銀圧入法(mercury porosimetry)により、多孔性特性及び孔径分布特性を測定することができる。また、水銀圧入法によって表面積も得ることができる。この方法は、試料を真空条件下に置き、外部から圧力をかけることにより、水銀を細孔構造内に浸入させるものである。加圧量の函数として水銀の浸入量を記録することによって、全細孔体積を算出し、様々な孔径分布特性を求めることができる。
オートクレーブ養生後の硬化体を粉砕した後に分級して得られた2〜4mm部分を、105℃で24時間乾燥して測定用試料とした。水銀圧入法において、細孔径分布測定装置(米国Micrometritics社製:Pore Sizer 9320)を用いて、試料の細孔径分布を求めた。この時、水銀と硬化体の接触角を130°、水銀の表面張力を484dyn/cmとして、測定された圧力を細孔径に換算した。
得られた細孔径に対する細孔量の積算曲線を一次微分して得られる微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つである場合、大きい順にA、Aとすると、対数1/4値幅は、図2(A),図2(B)に示すように、A、Aそれぞれの常用対数の差となる。また、図2(C)に示すように、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、最大の細孔径Aの常用対数と最小の細孔径Aの常用対数の差となる。
細孔径が0.1μm以下の細孔量割合は、細孔径が6nmから360μmの範囲で測定された全細孔量を100%としたとき、0.1μm以下の細孔径の全細孔量の体積分率で表される。
[窒素吸着法による比表面積]
水銀圧入法における条件と同じ乾燥処理を行った試料を更に真空下に70℃で3時間乾燥して、測定用試料とした。比表面積測定装置(米国Quantachrome社製、Autosorb 1−MP)を用いて、試料の比表面積をBET吸着法(Brunauer−Emmett−Teller equation adsorption method)により測定した。なお、測定点は1試料につき6点とした。
[ブレーン比表面積]
JIS R 5201のセメントの物理試験法における比表面積試験に準じて測定した。
[粉末X線回折:Ia,Ibの測定]
曲げ強度試験に用いた試料を乳鉢中で粉砕した後に、X線回折装置(理学電気(株)製:RINT2000)を用いて、CuのKα線の前記回折ピーク強度Iaおよび前記最低値Ibを求めた。測定条件は、加速電圧40kV、加速電流200mA、受光スリット幅0.15mm、走査速度4°/分、サンプリング0.02°である。X線回折線は、グラファイトのモノクロメータにより単色化されてカウントされた。
2つのトバモライト回折線(220)と(222)に挟まれた角度領域におけるバックグランドを含めた回折強度の最低値をIa、およびバックグランドを含めたトバモライト回折線(220)のピーク強度をIbとする。これら2つの回折線は、図1(A),図1(B)に示すように、それぞれ29.5°および28.9°(2θ)付近に現れる回折線に対応する。
[粉末X線回折:I(002),I(220)の測定]
試料および測定条件は、上記Ia,Ibの測定の場合と同様である。ただし、I(002)は、回折角6〜9°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して(図3参照)得られた真の回折強度である。同様にI(220)は、回折角20〜40°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度である。なお、トバモライトの(002)回折線は、図3に示すように、7.7°(2θ)付近に現れる回折線に対応する。
[パネル曲げ強度]
JIS A 5416「軽量気泡コンクリートパネル9.5パネルの曲げ強さ試験」に従い、L=1900mmとして測定した。強度試験において測定される荷重−中央部変位曲線において最初に変曲点を示す荷重(W)を初亀裂荷重、その時の中央部変位(δ)を初亀裂時たわみとした。パネル剛性は、式(11×W×L)/(768×δ)により算出される量であり、破壊荷重は、パネルが破壊するまで強度試験を行った時の荷重−中央部変位曲線における荷重の最大値である。
[パネル衝撃応答試験]
1枚のパネルをスパン1800mm単純支持して、JIS A 1418−2「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法第2部:標準重量衝撃源による方法」の付属書2に規定される衝撃力特性(1)の標準重量衝撃をパネル中央に1回与え、衝撃点直下の変位を非接触型変位計を用いて、変位がなくなるまで測定した。得られた応答曲線から強制応答変位、および変位が半分になるまでの時間(振幅半減期)、共振周波数を測定した。
[一面吸水率]
20℃および60%RHの条件下で重量変化のない40mm×40mm×160mmの測定用試料を40mm×40mmの面を下に向け、その下面から高さ1cmまで20℃の水に浸け、1日後および1週間後の重量を測定し、オートクレーブ養生後の硬化体が吸水した水の重量を水に浸ける前の試料の重量で割った値である。
[寸法安定性]
20℃および60%RHの条件下で重量変化のない40mm×40mm×160mmの測定用試料にひずみゲージ(株式会社共和電業製:KFW−5−120−C1−11 L5M3R)を貼り、これを40mm×160mmの面を上にして水面下に3cm沈め全面吸水させた。試験開始から1日後および1週間後のゲージのひずみ量を測定し、オートクレーブ養生後の硬化体1m当たりのひずみ量を求めた。
[炭酸化収縮率]
長期耐久性の尺度として、促進炭酸化反応時の収縮率を測定した。オートクレーブ養生後の硬化体の寸法を20mm×40mm×160mmとし、20℃および60%RHの恒温恒湿槽中で硬化体が平衡重量に達するまで乾燥した。この硬化体を温度20℃、相対湿度60%および炭酸ガス濃度10vol%の試験条件に維持した中性化促進試験装置(朝日科学(株)製:アサヒ−ルネイア)中に置き、3日目、7日目および14日目に標点間距離(150mm)の変化を顕微鏡を用いて測定し、下記の式により収縮率を算出した。
Figure 2002066396
[保釘力試験]
20℃および60%RHの恒温恒湿槽中にオートクレーブ養生後の硬化体を置き、硬化体の絶乾状態を基準とした含水量が、10±2%になった時点で測定試料とした。保釘力試験に供せられた180mm×180mm×50mmの試料の中央に、3.0mmφ、深さ25mmの下穴をドリルにより穿孔した後、4.1mmφおよび長さ45mmのサラ木ネジ((株)八幡ねじ製:4−020−04145)を深さ30mmまで手動でねじ込み、建研式付着力試験機(山本扛重機株式会社製;能力1.5トン、揚程10mm)を用いて引抜強度を測定した。なお、引抜強度測定が終了するには2つのタイプがあり、保釘力が弱い場合にはネジの抜けだしで終わり、保釘力が強い場合にはネジを中心とした円錐状に試料が破壊する(コーン破壊)。
実施例1〜19
(10mm四方内に直径200μm以上の気泡が20個以下の珪酸カルシウム硬化体の製造)
これらの実施例において、硬化体原料として表1および2に示す配合量の次の固体原料および水を用いた。すなわち、珪酸質原料として珪石粉砕粉または珪石粉砕粉とシリカフューム(EFACO社製)を用いた。更に、石灰質原料として生石灰、セメントとして普通ポルトランドセメント(Ordinary Portland Cement、表1〜7にはOPCで表示)、硫酸アルミニウムとしてその18水和物、その他の硫酸化合物として二水石膏および有機繊維として微粉砕パルプを用いた。ここで、硫酸アルミニウム18水和物および二水石膏は、それらの無水和物の重量部を表1および2に示している。
60℃に加温した水を投入した容量10Lのステンレス槽に、珪石粉砕粉、シリカフューム(実施例8〜11)、生石灰、普通ポルトランドセメント、硫酸アルミニウム18水和物および二水石膏(実施例8〜11)を一次投入し、ステンレス槽を60℃に加温しながら、攪拌機((株)井内盛栄堂:ウルトラ攪拌機DC−CHRM25)の回転数1200rpmで水分の蒸発を抑制した状態で大気圧下に2時間攪拌、混合した。次いで、生石灰および二水石膏(実施例8〜11を除く)を二次投入し、一次投入と同様の条件下で1分間攪拌、混合した。実施例2、7、10、13および16においては、その後、微粉砕パルプを添加して同様の条件下で1分間混合した。
固体原料と水の混合が終了した後、得られたスラリーを型枠(25cm×15cm×7cm)に流し込み、水分の蒸発を抑制した状態で60℃で5時間保持して予備硬化させた。次いで、予備硬化体を脱型して、オートクレーブ中で飽和水蒸気雰囲気下に180℃で4時間、高温高圧養生を行った後、乾燥して珪酸カルシウム硬化体を製造した。
製造された各珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表8および9に示す。また、実施例1において得られた硬化体を促進炭酸化試験および保釘力試験に供した。その結果をそれぞれ表16および17に示す。同じく、実施例1で得られた硬化体の一面吸水率および寸法安定性の測定結果を表18に示す。
さらに、実施例1において得られた珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折チャートを図1(A)、図3、図8(A)に、水銀圧入法における微分細孔分布を図2(A)に、走査型電子顕微鏡写真として顕微鏡設定倍率2500倍の写真を図5(A)および顕微鏡設定倍率5000倍の写真を図5(B)にそれぞれ示す。実施例2および18で得られた珪酸カルシウム硬化体の水銀圧入法における微分細孔分布をそれぞれ図4および図7中の各実線(A)で示す。
製造された各珪酸カルシウム硬化体について、その破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した。これらの観察結果によれば、いずれの硬化体の構造も、実施例1で得られた硬化体の電子顕微鏡写真を示す図5(A)および図5(B)で代表されるトバモライトの板状粒子と、極く少量の珪石粒子とから構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍下に35.4μm×18.9μmの領域を無作為に20箇所観察したところ、いずれの硬化体も、板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は80%以上であった。さらに粉末X線回折の結果は、いずれの硬化体においても、トバモライトの(220)が最強線であるか、あるいはトバモライトの(220)回折線を僅かに上回る最強線として石英の(101)回折線のみが観測された。
実施例20〜33
(10mm四方内に直径200μm以上の気泡が21個より多く存在する珪酸カルシウム硬化体の製造)
これらの実施例において、硬化体原料として、実施例1〜19で用いた固体原料の他に、気泡剤としてアルミニウム粉末、増粘剤としてメチルセルロースおよび水を表3および4に示す配合量で用いた。なお、二水石膏は、実施例20、21、25〜28および31において一次投入し、他の実施例では二次投入した。また、微粉砕パルプは実施例23および26でのみ用いた。
実施例1〜19と同じ投入方法および条件下で固体原料と水とを攪拌、混合した後、更にメチルセルロースを投入して混合した。得られたスラリーにアルミニウム粉末を添加して60℃で1分間混合した後、スラリーを型枠(25cm×15cm×7cm)に流し込んで発泡させた後、更に実施例1〜19と同様にして、珪酸カルシウム硬化体を製造した。
製造された各珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表10および11に示す。また、実施例20において製造された硬化体を促進炭酸化試験および保釘力試験に供した。その結果をそれぞれ表16および17に示す。さらに、実施例20で得られた硬化体の水銀圧入法における微分細孔分布を図6中の実線(A)で示す。
製造された各珪酸カルシウム硬化体について、その破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した。これらの観察結果によれば、いずれの硬化体の構造も、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、粗大気泡部以外のマトリックスが図5(A)および図5(B)の写真で代表されるトバモライトの板状粒子および極く少量の珪石粒子とから構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察したところ、いずれの硬化体も、板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は80%以上であった。さらに粉末X線回折の結果は、いずれの硬化体においても、トバモライトの(220)が最強線であるか、あるいはトバモライトの(220)回折線を上回る最強線として石英の(101)回折線のみが観測された。
実施例34
セメント系材料用気泡液(マールP液、麻生フォームクリート社製)を2.5重量%含む水溶液を用い、起泡機(セルフォーム技術研究所社製)を用いて、空気圧力0.25kg/cm、送液圧力0.25kg/cmでフォームを調製した。得られたフォームの密度は0.093g/cmであった。実施例12と同じ配合および同様の方法により、固体原料と水を混合してスラリーを調製した後、上記フォームをスラリーに対して27vol%混合して1分間混合した後、型枠に注入した以外は、実施例12と同様にして珪酸カルシウム硬化体を製造した。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表11に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、粗大気泡部以外のマトリックスが図5(A)および図5(B)の写真で代表されるトバモライトの板状粒子および極く少量の珪石粒子とから構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察したところ、上記領域に板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は80%以上であった。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
実施例35および36
実施例35では、実施例12と同じ配合および同様の方法で固体原料と水を混合してスラリーを調製した後にフォームを140vol%混合し、実施例36では、実施例1と同じ配合および同様の方法で固体原料と水を混合してスラリーを調製した後にフォームを58vol%混合した以外は、実施例34と同様にして珪酸カルシウム硬化体を製造した。
得られた各珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表11に示す。これらの硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、各硬化体の構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、粗大気泡部以外のマトリックスが図5(A)および図5(B)の写真で代表されるトバモライトの板状粒子および極く少量の珪石粒子とから構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察したところ、上記領域に板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は80%以上であった。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
実施例37
撥水系物質としてポリジメチルシロキサンを主成分とするシリコーンオイル(信越化学製:KF96−100CS)1.14重量部を二水石膏と共に二次投入した以外は、実施例1と同様にして珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を実施例1で得られた硬化体の物性と共に表18に示す。
実施例38
固体原料と水の混合が全て終了した直後のスラリー中に、最終硬化体(オートクレーブ中での養生が終了し、乾燥した後)の空隙を含めた体積に対して、繊維長6mmのアラミド短繊維(帝人製:Technora320)を0.5vol%添加し、オムニミキサーを用いて3分間混合した以外は、実施例1と同様にして珪酸カルシウム硬化体を製造した。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表19に、圧縮強度、衝撃強度および繊維添加量のデータを表20に、それぞれ実施例1の結果と共に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、図5(A)および図5(B)の写真で代表されるトバモライトの板状粒子と、アラミド短繊維および極く少量の珪石粒子とから構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍下に35.4μm×18.9μmの領域を無作為に20箇所観察したところ、上記領域に板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は80%以上であった。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線を僅かに上回る最強線として石英の(101)回折線のみが観測された。
実施例39
内寸法が高さ600mm、長さ2000mmおよび幅100mmであり、6mm径の鉄筋が配置された型枠に、実施例2と同じ配合で、約4500倍スケールで作製したスラリーを流し込み、5時間かけて予備硬化させた。予備硬化体を脱型して、ワイヤーにより厚み100mm、厚さ2000mm、幅600mmの大きさに切断した後オートクレーブに入れ180℃で4時間、高温高圧養生を行った後に、乾燥して含水率20重量%の亀裂のない珪酸カルシウム複合体を得た。この時用いた補強鉄筋の配置概略図を図9に示す。
得られた珪酸カルシウム複合体のパネル曲げ強度およびパネル衝撃応答の測定結果をそれぞれ表21および22に示す。衝撃応答は3回測定して平均した。また、パネルの鉄筋を除いた基材部分の各種物性を測定した結果、実施例2で得られた硬化体の物性とほぼ同等であった。
比較例1
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例1と同じ配合割合でかつ同様の方法で混合を行い、混合後のスラリーを型枠に流し込み、60℃で5時間保持した。しかし、固体の沈降、すなわち水と固体の分離が生じており、目的とする嵩比重の珪酸カルシウム硬化体は得られなかった。分離した水は使用した水の15重量%であった。
比較例2
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例2と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の水銀圧入法における微分細孔分布を図4中の点線(B)で示す。また、得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)最強線を僅かに上回る回折線として石英の(101)回折線のみが観測された。
比較例3
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例7と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線を大きく上回る最強線として石英の(101)回折線のみが観測された。
比較例4
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例9と同じ配合割合でかつ同様の方法で混合を行い、混合後のスラリーを型枠に流し込み、60℃で5時間保持した。しかし、固体の沈降、すなわち水と固体の分離が生じており、目的とする嵩比重の珪酸カルシウム硬化体は得られなかった。分離した水は使用した水の35重量%であった。
比較例5
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例10と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例6
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例16と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例7
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例20と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例8
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例22と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。混合したスラリーを型枠に流し込み、60℃で5時間保持して予備硬化させた時の予備硬化体の硬度は、実施例22においては10mmであるのに対し、0mmであった。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。得られた珪酸カルシウム硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例9
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例23と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。混合したスラリーを型枠に流し込み、60℃で5時間保持して予備硬化させた時の予備硬化体の硬度は、実施例23においては10mmであるのに対し、4mmであった。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例10
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例25と同じ配合割合でかつ同様の方法で混合を行い、混合後のスラリーを型枠に流し込み、60℃で5時間保持した。しかし、水と固体の分離が生じており、発泡した予備硬化体の底に水がたまっていたため、目的とする嵩比重の珪酸カルシウム硬化体は得られなかった。分離した水は使用した水の25重量%であった。
比較例11
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例26と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。混合したスラリーを型枠に流し込み、60℃で5時間保持して予備硬化させた時の予備硬化体の硬度は、実施例26においては10mmであるのに対し、2mmであった。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例12
硫酸アルミニウムを添加しなかった以外は、実施例31と同じ配合割合で同様の方法により、珪酸カルシウム硬化体を製造した。得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表12に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線強度を大きく上回るピークとして石英の(101)回折線のみが観測された。
比較例13〜16
表5に示される原料を混合直後のスラリー温度が50℃となるように混合した。珪酸質原料は、ブレーン比表面積2500cm/gの珪石粉砕粉を用いた。気泡剤として表5に示す重量部のアルミニウム粉末を用い、添加する量を変化させることにより発泡倍率を変化させた。アルミニウム粉末の添加混合後、コンクリート原料を直ちに型枠に流し込み、60℃で3時間予備硬化させた。得られた予備硬化体を脱型して、オートクレーブに入れ180℃で4時間高温高圧養生を行った後に乾燥して、嵩比重の異なる軽量気泡コンクリート(珪酸カルシウム硬化体)を製造した。
得られた各軽量気泡コンクリートの各種物性を表13に示す。また、比較例15で得られた軽量気泡コンクリートを促進炭酸化試験および保釘力試験に供した。その結果を表16および17に示す。さらに、比較例15で得られた軽量気泡コンクリートの水銀圧入法における微分細孔分布を図6中の点線(B)で示し、その粉末X線回折チャートを図8(B)に示す。一方、各軽量気泡コンクリートの破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、これらの構造はいずれも、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子および残留珪石と珪石周辺の粗大空隙が認められた。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線強度を大きく上回るピークとして、例えば図18(B)に示すチャート図で代表されるように、石英の(101)回折線のみが観察された。
比較例17〜19
3種の市販ALCから無筋部分を採取して、各種物性を測定した。得られた結果を表13に示す。これらのALCの破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、それらの構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子および残留珪石と珪石周辺の粗大空隙が認められた。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線強度を大きく上回るピークとして石英の(101)回折線のみが観察された。
比較例20
普通ポルトランドセメント31重量部、生石灰42重量部、ブレーン値7500の微粉珪石27重量部、および水160重量部を攪拌機を用いて60℃で混合を行った。その後、攪拌を止めて静置し、60℃で4時間保持して硬化させた。得られた硬化体の解砕物50重量部、普通ポルトランドセメント8.4重量部、生石灰8.4重量部、ブレーン値11000の微粉珪石30.1重量部、二水石膏3重量部、水53.9重量部、および古紙パルプをミクロフィブリル化した繊維0.42重量部を混合した後、得られたスラリーを型枠に流し込み、水分の蒸発を抑制した状態で60℃で12時間かけて予備硬化させた。予備硬化体を脱型して、オートクレーブに入れ180℃で4時間高温高圧養生を行った後に、乾燥して珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表5に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表13に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例21
普通ポルトランドセメント31重量部、生石灰42重量部、ブレーン値11000の微粉珪石27重量部、および水160重量部を攪拌機を用いて60℃で混合した。その後、攪拌を止めて静置し、60℃で4時間保持して硬化させた。得られた硬化体の解砕物40重量部、普通ポルトランドセメント13.6重量部、生石灰13.6重量部、ブレーン値11000の微粉珪石29.8重量部、二水石膏3重量部、水118重量部、および古紙パルプをミクロフィブリル化した繊維1重量部を混合した後、得られたスラリーを型枠に流し込んだ以外は、比較例20と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表5に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表13に示す。また、この硬化体の保釘力試験の結果を表17に、水銀圧入法における微分細孔分布を図2(B)にそれぞれ示す。さらに、得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例22
普通ポルトランドセメント38.3重量部、生石灰43.2重量部、ブレーン値11000の微粉珪石4.3重量部、シリカフューム14.2重量部、および水416重量部を攪拌機を用いて60℃で攪拌しながら4時間混合した。得られたスラリー89.65重量部、ブレーン値11000の微粉珪石9.15重量部、二水石膏1.2重量部、水5.8重量部、および古紙パルプをミクロフィブリル化した繊維0.8重量部を混合した後、得られたスラリーを型枠に流し込んだ以外は、比較例20と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表5に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表14に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、トバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例23
比較例20において、古紙パルプをミクロフィブリル化した繊維を混合した後に得られたスラリーに、気泡剤としてアルミニウム粉末0.065重量部を添加し、さらに同じ温度で30秒間混合した後に型枠に流し込んだ以外は、比較例20と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。得られた硬化体の各種物性を表14に示す。また、この硬化体の保釘力試験の結果を表17に示す。さらに、得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例24
比較例21において、古紙パルプをミクロフィブリル化した繊維を混合した後に得られたスラリーに、気泡剤としてアルミニウム粉末0.107重量部を添加し、さらに同じ温度で30秒間混合した後に型枠に流し込んだ以外は、比較例21と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。得られた硬化体の各種物性を表14に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部に存在するトバモライトの板状粒子と、その他の部位ではトバモライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子および珪石粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例25
普通ポルトランドセメント6重量%、生石灰39.4重量%、消石灰13重量%、および平均粒径20μm程度の珪石粉末44.8重量%と、これらの合計に対して3重量%の二水石膏を混合し、全固体原料に対し水/固体比0.62になるように水を添加してスラリーとした。このスラリーを40℃に加熱して、離型剤を塗布したJIS R 5201のモルタル強度試験用型枠(10cm×10cm×40cm;鉄筋を配置していない)に注入した。この型枠を湿度80%および温度50℃の雰囲気中に10時間置いて、スラリーを予備硬化させた。予備硬化体を脱型して、オートクレーブに入れ180℃で7時間水蒸気養生を行って、珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表5に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表14に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、主として繊維状粒子、残留珪石および珪石周辺の粗大空隙が認められ、板状の結晶は全く観察されなかった。さらに粉末X線回折の結果、明確なトバモライトの回折線は観測されず、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例26
普通ポルトランドセメント14重量%、生石灰30.3重量%、消石灰17.2重量%、および平均粒径20μm程度の珪石粉末43.2重量%と、これらの合計に対して3重量%の二水石膏を混合し、全固体原料に対して水/固体比0.66になるように水を添加してスラリーとした以外は、比較例25と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表5に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表14に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、主として繊維状粒子、残留珪石および珪石周辺の粗大空隙が認められ、板状の結晶は全く観察されなかった。さらに粉末X線回折の結果、明確なトバモライトの回折線は観測されず、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例27
普通ポルトランドセメント18重量%、生石灰32.2重量%、消石灰10.7重量%、および平均粒径20μm程度の珪石粉末41.7重量%と、これらの合計に対して3重量%の二水石膏を混合し、全固体原料に対して水/固体比0.79になるように水を添加してスラリーとした以外は、比較例25と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表14に示す。また、促進炭酸化試験における硬化体の収縮率を表16に示す。得られた硬化体の水銀圧入法における微分細孔分布を実施例18の水銀圧入法による細孔分布曲線(A)と共に図7に点線(B)で示す。さらに、硬化体の粉末X線回折チャートを図8(C)に示す。一方、得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、主として図5(C)の写真に見られるような繊維状粒子、残留珪石および珪石周辺の粗大空隙が認められ、板状の結晶は全く観察されなかった。さらに粉末X線回折の結果、明確なトバモライトの回折線は観測されず、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例28
生石灰0.74kgを2.60kgの70℃の温水で水和させて消石灰スラリーを得た。これを冷却して32℃のスラリーとした後に、珪藻土(325メッシュパス、SiO含有量79.0重量%)0.20kg、および冷水0.70kgを添加、混合した。この時の水/固体比は3.5であった。得られたスラリーを88℃で2時間かけてゲル化した。これを直ちに60℃まで冷却し、実施例1で用いた珪石粉砕粉0.81kg、耐アルカリガラス繊維0.11kg、針葉樹バージンパルプ0.11kgを添加して、オムニミキサーにおいて2分間均一に混合した。この混合物を内寸法40mm×160mm×40mmの金型に投入し、金網を通して水を排除しながら12kgf/cmの圧力で脱水成形した。この時、成形体の厚みは約20mmであった。これをオートクレーブに入れ飽和蒸気圧雰囲気下に180℃で8時間反応させた後、105℃で24時間乾燥して、成形体と同じ厚みの珪酸カルシウム硬化体を得た。この20mm厚の硬化体2枚をエポキシ系接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を作製して圧縮強度測定用試料とした。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表14に示す。また、促進炭酸化試験における硬化体の収縮率を表16に示す。得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、主としてパルプとガラス繊維から構成され、板状の結晶は極く僅かしか観察されなかった。さらに粉末X線回折の結果、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例29
厚み25mmの市販耐火被覆用ケイカル板について各種物性を測定した。測定された各種物性値を表14に示す。なお、圧縮強度の測定は比較例28と同様の方法で行った。粉末X線回折を行ったところ、珪酸カルシウムは主成分がゾノトライトであった。
比較例30
比較例28において使用した珪藻土0.4kgおよび消石灰(純度99%の市販試薬)0.32kgに水2.16kgを加え、攪拌、混合しつつ90℃に加熱して3時間反応させた。得られたゲル状物質に、普通ポルトランドセメント0.2kg、実施例1において使用した珪石粉砕粉0.2kg、および針葉樹パルプ0.016kg加えて混合した。この混合物を型枠に流し込み、40℃で8時間かけて予備硬化させた。その後、予備硬化体を脱型して、オートクレーブに入れ180℃で8時間高温高圧養生を行った後、乾燥して珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表14に示す。また、促進炭酸化試験における硬化体の収縮率を表16に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、不定形および短繊維状の粒子から構成され、板状結晶は極く僅かしか観察されなかった。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例31
濃度5重量%の硫酸アルミニウム水溶液に水酸化カルシウム水性懸濁液(CaO濃度:10重量%)を攪拌しながら添加速度(モル/分)0.6で添加して、CaO/Alのモル比を6に調整した。液温は全て60℃に調整した。その後、得られたスラリーを60℃で1時間攪拌して合成エトリンガイトを得た。次に、得られた合成エトリンガイト30重量%、消石灰26.9重量%、珪砂27.6重量%、ワラストナイト10.0重量%、木質パルプ5.0重量%および耐アルカリガラス0.5重量%を添加し、これに水を加えて固形分濃度10重量%のスラリーを調製した。スラリーを単層式丸網抄造機で抄き取って、厚さ約6mmに成形した。得られた成形体をオートクレーブ内で180℃の飽和蒸気雰囲気下に6時間養生した後、105℃で24時間乾燥することにより、珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。ここで、6mm厚の硬化体7枚をエポキシ系接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を作製して圧縮強度測定用試料とした。この珪酸カルシウム硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、主としてパルプ、ガラス繊維、繊維状の粒子および少量の珪石粒子から構成され、薄片状の結晶が少量観察された。さらに粉末X線回折の結果、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例32
消石灰10重量%と珪藻土10重量%を90℃で2時間反応させてゲルを得た。得られたゲル20重量%、消石灰27重量%、珪砂27重量%、ワラストナイト10重量%、パルプ5重量%、ガラス繊維1重量%、II型無水石膏10重量%および硫酸カリウム3重量%(対石膏換算)を配合し、12倍の水を加えて攪拌、混合した。更に水を加えて固形分濃度約3.1重量%の原料スラリーとし、これを厚さ約6mmに抄造した。次に、得られた抄造物を湿空雰囲気(湿度95%)下に30℃で8時間にわたり一次養生を行った。更に圧力容器中で飽和水蒸気雰囲気下に180℃で10時間水熱反応を行った後、乾燥して珪酸カルシウム成形体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。ここで、約6mm厚の硬化体7枚をエポキシ系接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を作製して圧縮強度測定用試料とした。得られた硬化体の粉末X線回折チャートを図1(B)に示す。また、得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、主としてパルプ、ガラス繊維、図5(D)の写真に見られるような繊維状の粒子および少量の珪石粒子から構成され、薄片状の結晶が少量観察された。さらに粉末X線回折の結果、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例33
60℃の温水中で生石灰を水和して得られた石灰乳にブレーン値が7500の珪石粉末を加え、Ca/SiOのモル比=1、水対固形分比=30となるように、更に水を加えて混合した。得られた原料スラリーを圧力14kg/cm、温度197℃の飽和水蒸気雰囲気下にオートクレーブ中で攪拌しながら、水熱反応を2.5時間行って準結晶スラリーを得た。得られた準結晶スラリー100重量部(固形分換算)にガラス繊維3重量部を添加、混合して水スラリーを得た。得られた水スラリーの固形分含量100重量部に対して、硫酸アルミニウム18水和物を無水物基準で1.5重量部、およびシリコーンオイルとして粘度30cpのメチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に水酸基を有する粘度90cpのジメチルポリシロキサンの1:1(重量比)混合物(トーレシリコーン(株)製:BY−16−805)2.5重量部を添加した後、4kg/cmで加圧脱水成形した。この時、成形体の厚みは約20mmであった。次いで、成形体を15kg/cmの加圧下に温度200℃のオートクレーブ中で7時間反応させた後、130℃で乾燥して、撥水性の珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。ここで、20mm厚の硬化体2枚をエポキシ系接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を作製して圧縮強度測定用試料とした。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、ガラス繊維とトバモライトと推定される薄片状粒子および繊維状粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定され、ゾノトライトの回折線が観察された。
比較例34
珪藻土および生石灰をCa/(SiO+Al)のモル比0.95で混合し、全固形分の12倍の水を加えてスラリーを調製した。得られたスラリーを常圧下に90℃で3時間加熱して、珪酸カルシウムゲルを生成させた。得られたゲル生成物に硫酸アルミニウムを固形分に対して10重量%の割合で添加した後、4kg/cmのプレス圧をかけて脱水成形した。脱水された成形体の厚みは約20mmであった。次いで、成形体を圧力10kg/cmの飽和水蒸気下にオートクレーブ処理を行った後、120℃で乾燥して珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。ここで、20mm厚の硬化体2枚をエポキシ系接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を作製して圧縮強度測定用試料とした。得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、薄片粒子と繊維状粒子から構成されていた。さらに粉末X線回折の結果、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定された。
比較例35
ブレーン値が11000の珪石粉末および消石灰(CaO換算74%)をCa/SiOモル比=0.65となるように計量し、これに水を加えて固形分濃度30重量%のスラリーを調製した。このスラリーをオートクレーブに入れて、10kg/cmの圧力で1時間水熱養生した。その後、6時間かけて除冷して珪酸カルシウム結晶ゲルを得た。次に、得られた珪酸カルシウム結晶ゲル54.5重量%、市販のβ型半水石膏11.5重量%、ブレーン値が6000の高炉スイサイスラグ11.5重量%、パルプ5重量%、ガラス繊維1.3重量%、ビニロン繊維0.2重量%、パーライト2重量%、ワラストナイト10.5重量%、消石灰1.5重量%、硫酸アルミニウム1.5重量%、およびタンパク質系遅延剤1重量%の割合からなる固体原料に水を添加し、ミキサーで混合して、固形分濃度10重量%の均一な原料スラリーを調製した。この原料スラリーを4kg/cmの圧力でフィルタープレスにかけて、脱水成形して半製品とした。この時、成形体の厚みは約20mmであった。得られた半製品を60℃で10時間養生した。養生し終えた半製品を乾燥して珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。ここで、20mm厚の硬化体2枚をエポキシ系接着剤を用いて張り合わせ、これから一辺40mmの立方体試料を作製して圧縮強度測定用試料とした。得られた硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、主として繊維状の粒子から構成され、少量の薄片状の結晶が観察された。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線強度を大きく上回るピークとして石英の(101)回折線のみが観測された。
比較例36
ポルトランドセメント15.0重量%、珪石60.0重量%、生石灰換算で22.0重量%の消石灰(消石灰/セメントの重量比で約2)、石膏3重量%、およびアルミニウム粉末0.01重量%を配合した水/固形分=0.66、CaO/SiOモル比=0.6のスラリーを40℃に加熱した。得られたスラリーを離型剤を塗布したJIS R5201のモルタル強度試験用型枠(4cm×4cm×16cm)に注入し、湿度95%および温度45℃の雰囲気下に型枠を10時間置いて、スラリーを硬化させた。得られた予備硬化体を脱型してオートクレーブに入れ、180℃、10気圧で高温高圧水蒸気養生を8時間行って、珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表6に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、粗大気泡部にトバモライトの板状粒子が観察されたのみで、粗大気泡部以外のマトリックスが不定形および短繊維状の粒子と極く少量のトバモライトの板状粒子から構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察したところ、上記領域に板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は10%であった。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線強度を大きく上回るピークとして石英の(101)回折線のみが観察された。
比較例37および38
比較例37ではアルミニウム粉末を0.020重量%、比較例38ではアルミニウム粉末を0.050重量%混合した以外は、比較例36と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表7に示す。
得られた各珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。また、比較例37で得られた硬化体の促進炭酸化試験における収縮率を表16に示す。一方、各硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、これらの構造は、粗大気泡部にトバモライトの板状粒子が観察されたのみで、粗大気泡部以外のマトリックスが不定形および短繊維状の粒子と極く少量のトバモライトの板状粒子から構成されていた。また、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察したところ、上記領域に板状のトバモライト粒子が占める面積割合の平均は10%であった。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回折線を大きく上回る最強線として石英の(101)回折線のみが観察された。
比較例39
比較例27において、得られたスラリーに気泡剤としてアルミニウム粉末を添加し、添加後更に同じ温度で30秒間混合した後に型枠に流し込んだ以外は、比較例27と同様にして珪酸カルシウム硬化体を得た。原料の配合量を各原料の総量に対する割合に換算した重量部を表7に示す。
得られた珪酸カルシウム硬化体の各種物性を表15に示す。この硬化体の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、主として繊維状粒子、残留珪石および珪石周辺の粗大空隙が認められ、板状の結晶は全く観察されなかった。さらに粉末X線回折の結果、明確なトバモライトの回折線は観測されず、最強線は石英の(101)回折線と同定された。
比較例40
固体原料および水からなる温度50℃のスラリーに、シリコーンオイル(信越化学製:KF96−100CS)を固体原料の全量に対して0.5重量%添加し混合した後に、アルミニウム粉末を添加混合した以外は、比較例15と同様にして軽量気泡コンクリート(珪酸カルシウム硬化体)を製造した。得られた軽量気泡コンクリートの一面吸水率および寸法安定性の測定結果を表18に示す。なお、軽量気泡コンクリートの一面吸水率および寸法安定性以外の物性値は、比較例15と同等のレベルであった。
比較例41
金属アルミニウム粉末を投入する直前のスラリー中に実施例38で用いたものと同じアラミド短繊維を0.5vol%添加した以外は、比較例15と同様にして軽量気泡コンクリート(珪酸カルシウム硬化体)を製造した。得られた軽量気泡コンクリートの各種物性を表19に、圧縮強度、衝撃強度および繊維添加量のデータを表20に、それぞれ比較例15の結果と共に示す。この軽量気泡コンクリートの微構造を観察したところ、アラミド繊維が存在する箇所を除いて比較例15のものとほぼ同様であった。
比較例42
図9と同じ寸法、仕様を持つ鉄筋にて補強された幅600mm、長さ2000mm、厚み100mmの市販軽量コンクリートパネル(旭化成株式会社製)について、パネル含水率20重量%の条件でパネル曲げ強度およびパネル衝撃応答の測定を行った。その結果をそれぞれ表21および22に示す。さらに別途購入した同仕様のパネルについて、鉄筋を除いた基材部分の各種物性を測定した結果、比較例15に代表される物性とほぼ同等であった。なお衝撃応答は3回測定して平均した。
比較例43
比較例21において混合が完了したスラリーを使用した以外は、実施例39と同様にして珪酸カルシウム複合体の製造を試みた。しかしながら、60℃で5時間予備硬化させた後に型枠を外したところ、予備硬化中に高さ方向の体積が減少して硬化体の沈降が観測され、そのために鉄筋の周囲に多くの亀裂が生じて、物性の測定が可能な複合体は得られなかった。
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産業上の利用可能性
本発明の珪酸カルシウム硬化体およびその複合体は、従来の軽量気泡コンクリートと同程度の耐火性を有し、軽量でありながら高い弾性率、高い圧縮強度を有し、かつ弾性率に対する高い圧縮強度を有し、耐炭酸化抵抗に優れ、加工性にも優れていることから、各種外壁材、内壁材等に好適に使用することができる。具体的には、耐火間仕切り板、クロス直仕上げ用壁材、防火軒天、耐火被覆板、ビル用外壁、住宅床板、耐火野地板等に使用できる。
特に、住宅床板の重量衝撃音の低減、これまで使用が制限されていた支持部材間隔の長い部位への使用、保釘力が要求される屋根下地材等への使用、高層階の建築物への使用などを可能にするものである。さらに、本発明の珪酸カルシウム硬化体を製造する際に、従来の軽量気泡コンクリート設備を利用することが可能であるので、高い生産性を維持することができる。
しかも、本発明の珪酸カルシウム硬化体が粗大気泡を含有していても、高い弾性率および高い圧縮強度を有し、かつ弾性率に対する高い圧縮強度を有することから、従来の数倍の物性を有する建材の提供を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
図1(A)及び図1(B)は、珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データ及び、Ia、Ibの算出方法を示すX線回折図である。尚、各図においてCPSとは、counts per secondの意味である。
図1(A):実施例1の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データ及び、Ia、Ibの算出方法を示すX線回折図である。
図1(B):比較例32の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データ及び、Ia、Ibの算出方法を示すX線回折図である。
図2(A)〜図2(C)は、水銀圧入法により測定された珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布及び、対数1/4値幅の算出方法を示す分布図である。
図2(A):実施例1の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布及び、対数1/4値幅の算出方法を示す分布図である。
図2(B):比較例21の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布及び、対数1/4値幅の算出方法を示す分布図である。
図2(C):特異な微分細孔分布を有する珪酸カルシウム硬化体における対数1/4値幅の算出方法を示す分布図である。
図3は、実施例1の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データ及び、I(002)、I(220)の算出方法を示すX線回折図である。尚、図3においてCPSとは、counts per secondの意味である。
図4は、水銀圧入法により測定された珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示す分布図であり、(A)は実施例2の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示し、(B)は、比較例2の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示す。
図5(A)〜図5(D)は、珪酸カルシウム硬化体の走査型電子顕微鏡写真である。
図5(A):破断面にトバモライト粒子が観測される面積割合の評価に用いた実施例1の珪酸カルシウム硬化体の走査型電子顕微鏡写真(顕微鏡設定倍率2500倍)の代表例である。
図5(B):実施例1の珪酸カルシウム硬化体の走査型電子顕微鏡写真(顕微鏡設定倍率5000倍)である。
図5(C):比較例27の珪酸カルシウム硬化体の走査型電子顕微鏡写真(顕微鏡設定倍率5000倍)である。
図5(D):比較例32の珪酸カルシウム硬化体の走査型電子顕微鏡写真(顕微鏡設定倍率5000倍)である。
図6は、水銀圧入法により測定された珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示す分布図であり、(A)は実施例20の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示し、(B)は、比較例15の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示す。
図7は、水銀圧入法により測定された珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示す分布図であり、(A)は、実施例18の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示し、(B)は比較例27の珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布を示す。
図8(A)〜図8(C)は、珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データを示すX線回折図である。尚、各図においてCPSとは、counts per secondの意味である。
図8(A):実施例1の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データを示すX線回折図である。
図8(B):比較例15の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データを示すX線回折図である。
図8(C):比較例27の珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データを示すX線回折図である。
図9は、実施例39および比較例42の珪酸カルシウム複合体における補強鉄筋の配置図である。

Claims (20)

  1. 主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibが、トバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14〜1.0であり、かつ水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.40〜1.20であることを特徴とする珪酸カルシウム硬化体。
  2. 嵩比重が0.14〜0.9であることを特徴とする請求項1に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  3. 嵩比重が0.2以上0.7未満であることを特徴とする請求項1に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  4. Ib/Iaが4.0以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
  5. 弾性率Y(N/mm)と嵩比重Dから下記式(1)を用いて求められる値aが7以上であり、かつ圧縮強度S(N/mm)と弾性率Y(N/mm)から下記式(2)を用いて求められる値bが1.20以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
    a=(Y×10−3)/(D1.5) (1)
    b=S/((Y×10−31.5) (2)
  6. 圧縮強度S(N/mm)と弾性率Y(N/mm)から上記式(2)を用いて求められる値bが1.30以上であることを特徴とする請求項5に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  7. 破断面上の10mm四方に含まれる最大径200μmを越える気泡が20個より多く、水銀圧入法で測定される細孔のうち、孔径0.1μm以下の細孔量の割合が、嵩比重Dが0.5〜1.0の場合には、下記式(3)で計算されるV(D)〜98vol%、Dが0.3以上0.5未満の場合には、下記式(4)で計算されるV(D)〜95vol%、Dが0.14以上0.3未満の場合には下記式(5)で計算されるV(D)〜90vol%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
    (D)=50×D+40 (3)
    (D)=100×D+15 (4)
    (D)=200×D−15 (5)
  8. 破断面上の10mm四方に含まれる最大径200μmを越える気泡が20個以下であり、水銀圧入法で測定される細孔のうち、孔径0.1μm以下の細孔量の割合が、嵩比重Dが0.8〜1.0の場合には90〜98vol%、Dが0.5以上0.8未満の場合には下記式(6)で計算されるV(D)〜97vol%、Dが0.14以上0.5未満の場合には下記式(7)で計算されるV(D)〜92vol%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
    (D)=100×D+10 (6)
    (D)=150×D−15 (7)
  9. 粉末X線回折において、トバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibに対するトバモライト以外の高結晶性の共存物質の最強線の回折強度Icの比(Ic/Ib)が3.0以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体と、補強鉄筋または補強金網とからなることを特徴とする珪酸カルシウム複合体。
  11. 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレーブ養生し、主としてトバモライトからなる珪酸カルシウム硬化体を製造する方法であって、上記珪酸質原料のうち、50重量%以上が結晶質である珪酸質原料であり、かつ上記水性スラリーが、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を、酸化物換算(Al)で固体原料の総重量に対して0.09〜10重量%、その他の硫酸化合物を、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO量換算で固体原料の総重量に対して0.15〜15重量%含有することを特徴とする珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  12. 予備硬化により得られた予備硬化体を、型枠からはずした後に、オートクレーブ養生することを特徴とする請求項11に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  13. 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料と水を、固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比が0.67〜3.5になるように混合した後に、気泡剤としてアルミニウム粉末を固体アルミニウム換算で固体原料の総重量に対して0.002〜0.8重量%混合して水性スラリーを得、該水性スラリーを型枠に注入することを特徴とする請求項11又は12に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  14. 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料と水を、固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比が0.67〜3.5になるように混合した後に、起泡剤又はその水溶液に空気を送り込んで作製されたフォームを上記水性スラリーに対して5〜300vol%混合して水性スラリーを得、該水性スラリーを型枠に注入することを特徴とする請求項11又は12に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  15. 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料と水を、固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比が0.77〜5になるように混合して水性スラリーを得、該水性スラリーを型枠に注入することを特徴とする請求項11又は12に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  16. 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを得る工程が、珪酸質原料とセメントと硫酸アルミニウムもしくはその水和物とその他の硫酸化合物と石灰質原料の一部と水を混合する第一工程と、引き続き、残りの石灰質原料を加えてさらに混合する第二工程とを有することを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  17. 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含む水性スラリーを得る工程が、珪酸質原料とセメントと水と硫酸アルミニウムもしくはその水和物と石灰質原料の一部とを混合する第一工程と、引き続き、その他の硫酸化合物および残りの石灰質原料を加えてさらに混合する第二工程を有することを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  18. 硫酸アルミニウム及びその水和物以外の他の硫酸化合物が二水石膏であることを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  19. 結晶質珪酸原料が、ブレーン比表面積で5000〜300000cm/gの微粉珪石であることを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  20. 請求項11〜19のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法において、補強鉄筋または補強金網が配置された型枠に注入することを特徴とする珪酸カルシウム複合体の製造方法。
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