JP2001058883A - 軽量コンクリート複合体 - Google Patents

軽量コンクリート複合体

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JP2001058883A
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lightweight concrete
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Kunio Matsui
久仁雄 松井
Tadashi Shimizu
正 清水
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩比重が0.3以上0.7未満と軽量であり
ながら、建築材料、特に壁、床材料として好適な、たわ
み、剛性および強度に優れた軽量コンクリート複合体を
提供する。 【解決手段】 粉末X線回折において観察される、2つ
のトバモライトの回折線(220)、(222)に挟ま
れた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するト
バモライトの(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib
/Ia)が、3以上であり、嵩比重が0.3以上0.7
未満であり、基材中に最大径200μmを越える気泡が
実質的に無く、その内部に補強鉄筋または補強金網が埋
設されていことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で高強度、高
剛性を有するコンクリート複合体およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物の軽量化への要望から、セ
メント系建材の軽量化が求められている。従来、軽量建
材としては、軽量気泡コンクリート(ALC)が一般的
である。軽量気泡コンクリートは、セメント、珪石粉を
主原料とし、これに必要により生石灰粉、石膏等を加
え、水を添加してスラリー状とし、型枠で成形してオー
トクレーブ養生して製造される。これら軽量気泡コンク
リートは、比重が0.5から0.6付近と軽量であり、
さらに結晶性の高いトバモライト(5CaO・6SiO
2・5H2O)を多量に含むことから長期の耐候性に優
れ、建築物の外壁材、床材、内壁材として広く利用され
ている。これら軽量気泡コンクリートの圧縮強度は、4
0〜50kgf/cm2の範囲にある。一方面材として
重要な物性である曲げ強度は、素材の強度として10k
gf/cm2程度と低く、そのために内部に鉄筋を配置
することにより、設計強度を確保している。この鉄筋を
配置する必要性から、結果として単位面積当たりの重量
は増大しているのが実状である。さらに、軽量気泡コン
クリートは直径1mm程度の気泡を多量に含むことか
ら、欠けやすく、表面平滑性および鋸引き性等の加工性
に劣るという大きな欠点を有している。
【0003】軽量気泡コンクリートの強度を改善する方
法として、気泡径分布を制御する、独立気泡の比率を高
める、トバモライトの結晶性を高める、等の方法が試み
られてきたが、十分な効果を上げていないのが現状であ
る。また、特許2803561号には、気泡を用いずに
軽量化したALCに関する技術が開示され、圧縮強度で
200kgf/cm2を越える建材が報告されている。
しかし、同方法による到達比重は0.7が限界であり、
軽量建材としては未だ不十分なレベルである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、嵩比重が
0.3以上0.7未満と軽量でありながら、建築材料、
特に壁、床材料として好適な、たわみ、剛性および強度
に優れた軽量コンクリート複合体を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基材を構
成する物質の微細組織に着目し、鋭意研究を行った結
果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、 (1) 粉末X線回折において観察される、2つのトバ
モライトの回折線(220)、(222)に挟まれた角
度領域における回折強度の最低値Iaに対するトバモラ
イトの(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib/I
a)が、3以上であり、嵩比重が0.3以上0.7未満
であり、基材中に最大径200μmを越える気泡が実質
的に無く、その内部に補強鉄筋または補強金網が埋設さ
れていことを特徴とする軽量コンクリート複合体。 (2) 水銀圧入法で測定される基材中の細孔のうち、
細孔径が1.0μm以上の細孔が1vol%以上15v
ol%以下であることを特徴とする(1)に記載の軽量
コンクリート複合体。 (3) 窒素吸着法で測定される基材の比表面積が60
2/g以下であることを特徴とする(1)又は(2)
に記載の軽量コンクリート複合体。 (4) 基材の粉末X線回折において観察されるトバモ
ライトの回折線のうち、(220)面の回折ピーク強度
I(220)に対する(002)面の回折ピーク強度I
(002)の比(I(002)/I(220))が、
0.25以上であることを特徴とする(1)〜(3)に
記載の軽量コンクリート複合体。
【0006】(5) 珪酸質原料とセメントと、生石灰
及び消石灰の少なくとも1種と水を主成分とする原料
を、CaO/SiO2モル比1.2〜2.5の範囲にな
るように混合し、10分以上経過させて得た一次原料
と、珪酸質原料とセメントと、生石灰及び消石灰の少な
くとも1種と水を主成分とする二次原料を、CaO/S
iO 2モル比が0.6〜1.5で、かつ使用する珪酸質
原料、セメント、生石灰、消石灰およびその他の固体原
料の総重量に対する使用したすべての水の重量比が1.
0〜3.0になるように、スラリー状態で混合した後、
補強鉄筋あるいは補強金網が配置された型枠中へ注入後
硬化させ予備硬化体とし、引き続き予備硬化体をオート
クレーブ養生して製造されることを特徴とする(1)〜
(4)記載の軽量コンクリート複合体の製造方法に関す
る。
【0007】本発明は、珪酸質原料及びセメントと、生
石灰及び消石灰の少なくとも1種とを、高いCaO/S
iO2比となるように配合して水と反応させて得た原料
と、珪酸質原料及びセメントと、生石灰及び消石灰の少
なくとも1種とを、低いCaO/SiO2比となるよう
に配合した原料とを、適切な水/固体比の下で反応させ
ることにより、気泡剤を全く用いずとも嵩比重0.7以
下の軽量コンクリートが得られること、さらにこれら軽
量コンクリートは、高結晶性のトバモライトを多量に含
有し、その組織は従来にない構造を有していることを見
出したことに基づくものである。さらにこれに鉄筋ある
いは補強金網を複合させることにより、軽量でありなが
ら高強度、高剛性な従来にない建築材料が得られること
を見出したことに基づくものである。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
軽量コンクリート複合体の基材は、主としてトバモライ
ト(5CaO・6SiO2・5H2O)からなることが大
きな特徴である。ここで基材とは、本発明の軽量コンク
リート複合体のうち、補強鉄筋あるいは補強金網を除い
た無機質部分を指す。トバモライトは、軽量気泡コンク
リート(ALC)などの組織中に通常見られる代表的な
ケイ酸カルシウム水和物の1つであり、板状あるいは短
冊状の粒子形態をとる。ここでトバモライトが主体であ
るか否かは、軽量コンクリートの破面の走査型電子顕微
鏡観察と粉末X線観察を併用することにより判断でき
る。
【0009】すなわち、本発明において、主としてトバ
モライトからなりとは、粉末X線回折において、トバモ
ライトの最強線(220)を越える他の回折ピークが存
在しないことである。ただしトバモライトとともに、高
結晶性の物質(結晶質シリカ等の酸化物、あるいは炭酸
化物等)が少量共存する場合、トバモライトが主体であ
っても、共存する物質の高い結晶性のために、これらの
物質の最強線がトバモライトの最強線を越えることがあ
る。この様な場合、走査型電子顕微鏡観察下において、
その構造が板状あるいは短冊状の粒子が主体であると判
断できれば、例外として、主としてトバモライトからな
るとする。
【0010】ここで板状あるいは短冊状の粒子とは、1
つの粒子において、互いにほぼ平行な2つの表面間の距
離がその粒子の最小長さに相当し、その粒子の最大長さ
が最小長さ(以後厚みとする)の5倍以上である粒子と
する。もちろん、ここで言う最大長さ、厚みは二次元へ
の投影長さである。これらトバモライトの粒子の大きさ
は特に規定はしないが、最大長さが数μm〜10μmで
あることが好ましい。通常トバモライトは、低結晶質珪
酸カルシウム水和物(トバモライトゲルあるいはCSH
ゲル。以後CSHと略記する。)と共存することが多
い。CSHは様々な粒子形態をとることが知られてい
る。繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとる場合に限り、
電子顕微鏡下でトバモライト粒子と区別できる。この様
なCSHは、トバモライトの基本骨格を崩さない範囲で
含有できる。ここで、CSHは後述する様に、建材とし
ての様々な性能を低下させるので、可能な限り含有しな
いことが好ましい。さらに、少量の軽量骨材、補強繊
維、樹脂等もトバモライトの基本骨格を崩さない範囲で
含有することができる。
【0011】本発明の軽量コンクリートの基材は、トバ
モライトの板状あるいは短冊状粒子の間に、これら粒子
の最大長さと同等あるいはそれ以下の径を持つ空隙が多
量に存在することが好ましい。主としてこれら粒子間空
隙により軽量化を実現していることが、本発明の軽量コ
ンクリートの特徴の1つである。この構造により、本発
明の軽量コンクリートは、高い圧縮強度、弾性率および
曲げ強度を発現する一方で、繊維補強等を行わなくても
高い耐欠け性および良好な加工性を併せ持っている。
【0012】本発明の軽量コンクリート複合体の基材部
分の嵩比重は、0.3以上0.7未満の範囲にあり、好
ましくは0.35以上0.6以下である。ここで言う嵩
比重とは、105℃で24時間乾燥させた際の嵩比重、
すなわち絶乾比重を指す。嵩比重が0.3未満では本発
明の目的とする高い強度は得られない。本発明の軽量コ
ンクリート複合体は、基材中に実質的に最大径が200
μmを越える気泡が無いことを特徴とする。ここでいう
実質的に最大径が200μmを越える気泡が無いことと
は、本発明の軽量コンクリートを破断させて生じた面上
において、10mm四方に最大径が200μmを越える
気泡が20個以内であることとする。これら気泡は実体
顕微鏡等を用いて容易に観察できる。従来の軽量気泡コ
ンクリートは、直径100μm〜1mmの気泡を導入す
ることにより軽量化を実現しており、本発明の軽量コン
クリートとは、著しく構造が異なっている。最大径が2
00μmを越える気泡が実質的に無いことにより、従来
の軽量気泡コンクリートでは実現できなかった高い強度
が発現する。
【0013】本発明の軽量コンクリート複合体は、その
内部に補強鉄筋または補強金網が埋設されていことを特
徴とする。ここで補強鉄筋とは、鉄筋を所望の形状に配
列し、交叉接点を溶接加工したものを言う。また補強金
網とは鉄を網状に加工したもので、たとえばラス網等が
その代表的な例である。補強鉄筋もしくは補強金網の形
状、寸法、鉄筋の太さ、金網の目の大きさ、さらに軽量
コンクリート中に埋設する際の位置等、すなわち配筋の
仕方については、板の大きさ、用途等によって異なるた
めに一概に限定することはできない。なお、これら補強
鉄筋または補強金網は、耐久性上有効な防錆剤処理が施
されていることが好ましい。防錆剤としては合成樹脂系
等、公知のものを使用できる。
【0014】本発明の軽量コンクリート複合体は、基材
の粉末X線回折において観察される、2つのトバモライ
トの回折線(220)、(222)に挟まれた角度領域
における回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの
(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が3
以上であることが好ましい。基材中にCSHが多量に存
在すると、建材としての様々な性質が低下することは前
述した。一般にトバモライトとCSHを主体とする物質
について、粉末X線回折を行うと、トバモライトの(2
20)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領
域に、ブロードなCSHの回折ピークが認められる。こ
の回折ピークは通常29.1〜29.4°(2θ)付近
に出現する。またCSHがトバモライトに比べて少ない
場合、CSHのピークは、トバモライトの回折線に吸収
された形になり、通常CSHの回折強度の測定は不可能
となる。ところがこの様な場合、トバモライトの(22
0)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域
におけるX線の回折強度は、ベースラインに比べて高い
値となることから、CSHの存在の有無を判定すること
ができる。軽量コンクリート複合体の基材中にがCSH
を全く含まず、かつ高結晶性のトバモライトを主体とす
る場合、同領域におけるX線強度の最低値はバックグラ
ンド強度と一致する。
【0015】すなわち2つのトバモライトの回折線、
(220)と(222)に挟まれた角度領域における回
折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(220)
面の回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が大きい
程、基材中に含有されるCSHが少ない。一方、たとえ
CSHが存在しない場合でも、トバモライトの結晶性が
低い場合には、Ib/Iaは小さくなる。これは(22
0)と(222)が近接しているために、ピークのすそ
のが重なり合うためである。トバモライトの結晶性が低
下すると、基材部分の強度および弾性率の低下、さらに
寸法安定性等の建材としての諸物性の低下が起こる。従
っていずれの場合でも、Ib/Iaの値は3以上が好ま
しく、さらに好ましくは4以上である。
【0016】市販の軽量気泡コンクリートは、反応性の
低い珪石源を用いることにより、トバモライトの結晶性
を高め、結果としてIb/Iaの値は高くなっている。
この値が高いにも関わらず強度および弾性率が低い理由
は、前述の様に粗大気泡を含有するためである。なお、
ここでの強度IaおよびIbは、バックグランド強度を
含めた値であり、後述のI(220)とは区別する。I
a、Ibの算出方法の概略を図1(A)、(B)に示
す。
【0017】本発明の軽量コンクリート複合体は、水銀
圧入法で測定される基材中の細孔のうち、細孔径が1.
0μm以上の細孔が1vol%以上15vol%以下で
あることが好ましく、さらに好ましくはその径が0.5
μm以上の細孔が1vol%以上20vol%以下、よ
りさらに好ましくはその径が0.1μm以上の細孔が5
vol%以上45vol%以下、それよりさらに好まし
くはその径が0.1μm以上の細孔が5vol%以上4
0vol%以下である。
【0018】ここで水銀圧入法は、硬化体内部へ水銀を
圧入させて、その時の圧力と侵入量の関係から細孔径の
分布を測定するものであり、細孔の形状が円筒形である
と仮定して計算されたものである。従って、この値は実
際の細孔の直径を表すものではなく、構成物質間の隙間
の大きさの指標として使用されるものである。同法によ
り測定された細孔のうち1.0μm以上の細孔が15v
ol%を越えると、強度の低下をもたらすだけでなく、
毛細管現象による水分の移動が激しくなり、建材として
の性能を低下させる。
【0019】本発明の軽量コンクリート複合体は、窒素
吸着法(BET法)で測定される基材部分の比表面積
が、好ましくは60m2/g以下である。ここでトバモ
ライトの比表面積は結晶度が高くなるにつれて小さくな
り、高結晶性のトバモライトは、40〜50m2/gで
あることが報告されている(石膏と石灰,No.214
P.129(1988))。一方同文献によると、CS
Hの比表面積は200〜250m2/gと著しく高い。
すなわち比表面積の値は、トバモライトの結晶度とCS
Hの含有率を併せた指標と考えることができ、トバモラ
イトを含有する建材の性能を表す物性の一つと言える。
従って比表面積が60m2/gを越えると、トバモライ
トの結晶性の低下あるいはCSHの含有量の増加を意味
するところとなり、硬化体の強度が低下するとともに、
寸法安定性に代表される建材としての性能が劣化する。
従って本発明の軽量コンクリートは、窒素吸着法(BE
T法)で測定される比表面積が、好ましくは60m2
g以下であり、さらに好ましくは50m2/g以下であ
る。ここで比表面積が著しく低下することは、トバモラ
イト以外の低い比表面積を持つ物質が多量に混入してい
ることを意味することから、比表面積は20m2/g以
上が好ましい。
【0020】本発明の軽量コンクリート複合体は、基材
の粉末X線回折において観察されるトバモライトの回折
線のうち、(220)面の回折ピーク強度I(220)
に対する(002)面の回折ピーク強度I(002)の
比( I(002)/ I(220))が好ましくは0.
25以上である。トバモライトの板状あるいは短冊状の
粒子は、平面に垂直な方向すなわち厚み方向が結晶のC
軸方向と考えられている。従ってI (002)の相対
強度が増加することは、C軸方向の相対的な規則性が増
すことであり、それに伴い板状結晶の厚みも増加するこ
とを意味する。JCPDSカードNo.19−1364
によれば、理想的なトバモライト結晶のI(002)/
I(220)は0.8と記載されており、この値に近づ
くことで結晶の厚みが増し、単一結晶の強度が増加す
る。結果として、これら結晶から構成される硬化体の強
度も増加する。さらに結晶の規則性が増加することによ
り、耐炭酸化等の耐候性に代表される建材としての性能
も向上することが期待される。従ってI(002)/
I(220)の値は0.25以上が好ましく、さらに好
ましくは0.35以上である。これらI(002)、I
(220)の算出方法の概略を図2に示す。
【0021】以下、本発明の軽量コンクリート複合体の
製造方法について、詳しく説明する。本発明の軽量コン
クリートは、珪酸質原料と、セメントと、生石灰及び消
石灰のうち少なくとも1種と、水を主成分とする原料
を、CaO/SiO2モル比1.2〜2.5の範囲にな
るように混合し、10分以上経過させて得た一次原料
と、珪酸質原料と、セメントと、生石灰及び消石灰のう
ち少なくとも1種と、水を主成分とする二次原料を、C
aO/SiO2モル比が0.6〜1.5で、かつ使用し
た珪酸質原料、セメント、生石灰、消石灰およびその他
の固体原料の総重量に対する使用した全ての水の重量比
が1.0〜3.0になるように、スラリー状態で混合し
た後に補強鉄筋あるいは補強金網が配置された型枠に注
入した後に硬化させて予備硬化体とし、この得られた予
備硬化体をオートクレーブ養生して得られる。なお、本
発明において予備硬化体は、一次原料と二次原料とを混
合した後に硬化させて得られるオートクレーブ養生前の
ものをいう。
【0022】ここで珪酸質原料とは、結晶質の珪石、珪
砂、および非晶質の珪藻土、シリカヒューム、フライア
ッシュ等である。またセメントは普通ポルトランドセメ
ント、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント
等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするセメントを
言う。本発明で規定される水/固体比の範囲で、オート
クレーブ処理前に予備硬化させるためには、珪酸質原料
は高い反応性を持つことが必要である。さらに軽量コン
クリート中に未反応物質が多量に残留することは、欠け
易さを増大させ、強度の低下を招く。従って珪酸質原料
は、高反応性のものあるいは微粉砕したものが好まし
く、たとえばブレーン比表面積で測定して3000cm
2/g以上の粉末度のものが好ましく、さらに好ましく
は7000cm2/g以上である。粉末度があまりに高
くなると、原料の管理、ハンドリングの点で好ましくな
い。従ってブレーン比表面積で測定して、300000
cm 2/g以下が好ましい。
【0023】ところが上記の様な高い反応性の珪酸質原
料を用いると、石灰質原料と反応させた段階で、CaO
/SiO2モル比が1付近のCSHが常温下でも容易に
生成することが知られている。さらにこれらCSHは非
常に安定な物質であることから、その後に高温高圧の養
生を行っても、トバモライトへは容易に変化しないこと
が常識となっている。そこで、珪酸質原料とセメントと
生石灰及び/又は消石灰とを高いCaO/SiO2モル
比に配合して水と一定時間以上接触させて得た一次原料
と、珪酸質原料とセメントと生石灰及び/又は消石灰と
から成り、低いCaO/SiO2モル比の二次原料を混
合して硬化させることにより、高反応性の珪酸質原料を
用いても上述の安定なCSHが生成せずに、その後の高
温高圧養生により結晶性の高いトバモライトが多量に生
成することが本発明者らによって初めて見出された。
【0024】すなわち、一次原料は、珪酸質原料とセメ
ントと、生石灰及び消石灰のうち少なくとも1種と水を
主成分とする原料を、CaO/SiO2モル比1.2〜
2.5の範囲になるように混合し、10分以上経過させ
て得られるものである。ここでCaO/SiO2モル比
が1.2未満であると前述の安定なCSHがこの段階で
生成し、後の工程においてトバモライトの生成が抑制さ
れる。2.5を越えると、系内に水酸化カルシウム結晶
が多量に存在してしまい、軽量コンクリート中に大きな
空隙を発生させる。従ってCaO/SiO2モル比は
1.2〜2.5であることが必要であり、好ましくは
1.5〜2.0である。これら珪酸質原料、生石灰、消
石灰、セメントおよび水以外に、石膏、補強繊維、増粘
剤、骨材等を用いることもできる。一次原料粉体に添加
される水については、使用される珪酸質原料、生石灰、
消石灰、セメント及びその他の固体原料の総重量に対す
る使用される全ての水の重量比が、1.0〜3.0とな
れば特に規定はしない。
【0025】これら一次原料粉体と水の混合は通常工業
的に使用されるミキサーが使用可能である。得られた混
合物は10分以上、好ましくは30分以上経過させた後
に1次原料とする。この時著しく長い時間を経過させる
ことは、トバモライトの結晶生を低下させる。従って得
られた混合物は24時間以内をもって一次原料とするこ
とが好ましい。この時の温度は、セメントの水和反応を
促進させる上で、混合直後の温度で40℃以上、100
℃以下が好ましい。この時一次原料は、スラリー状態、
あるいは硬化した状態、いずれでも構わない。
【0026】以上のようにして得られた一次原料は、ス
ラリー状態ではそのままで、予備硬化している場合は解
砕してから二次原料と混合される。この時混合後のCa
O/SiO2モル比は、0.6〜1.5であることが必
要であり、好ましくは0.7〜1.2である。0.6未
満では未反応の珪酸原料が多量に残留し、トバモライト
の生成量も低下する。1.5を越えると軽量コンクリー
ト中に水酸化カルシウムが残留してしまい、炭酸化およ
び白華等の問題を生じる。この組成範囲にするために
は、二次原料のCaO/SiO2モル比は一次原料のそ
れに比べて低い値とすることが必要である。
【0027】また、一次原料と二次原料の混合比率は、
一次原料重量/(一次原料重量+二次原料中の粉体重
量)=0.2〜0.97(一次原料重量中の粉体重量/
(一次原料重量中の粉体重量+二次原料中の粉体重量)
=0.15〜0.85)にすることが好ましく、より好
ましくは、一次原料重量/(一次原料重量+二次原料中
の粉体重量)=0.30〜0.95(一次原料重量中の
粉体重量/(一次原料重量中の粉体重量+二次原料中の
粉体重量)=0.2〜0.8)の範囲である。ここで一
次原料重量とは水分を含む重量である。両原料の混合比
がこの範囲からはずれると、安定なCSHが生成しやす
くなり、トバモライトの含有量および結晶性を高めるこ
とが難しくなる。 さらに二次原料中には一次原料と同
様、石膏、補強繊維、増粘剤、骨材等を使用することが
できる。ここでパルプは補強繊維としての効果に加え
て、増粘剤、分散安定剤としても有効であり好適に用い
られる。さらに好ましくはミクロフィブリル化セルロー
スが用いられる。さらに石膏(CaSO4・2H2O)
は、セメントと共存した際にオートクレーブ処理前の予
備硬化体の強度を高める働きがあり、二次原料に対して
6重量%以下で添加されることが好ましい。
【0028】一次原料と二次原料粉体と水は、使用する
珪酸質原料、セメント、生石灰、消石灰及びその他の固
体原料の総重量に対する使用する全ての水の重量比が
1.0〜3.0になるように、スラリー状態で混合され
る。すなわち、(一次原料混合時に使用した水+二次原
料混合時に追加する水)/(一次原料中の粉体重量+二
次原料中の粉体重量)で表される重量比が、1.0〜
3.0の範囲になることを意味する。この範囲以外で
は、本発明において規定される嵩比重が得られない。高
強度で、かつ嵩比重の小さい軽量コンクリートを得るた
めには、この値は1.5〜2.8の範囲が好ましい。混
合は一次原料混合時と同様、任意のミキサーが使用可能
である。
【0029】この様にして混合されたスラリーは、好ま
しくはそのまま、補強鉄筋あるいは補強金網が配置され
た型枠に流しこまれ成形される。得られた成形体は、好
ましくは40〜100℃の間で3時間以上かけて予備硬
化される。得られた予備硬化体は、必要に応じて任意の
形状に切断された後に、オートクレーブを用いて高温高
圧養生される。切断には、通常軽量気泡コンクリートの
製造に使用されるワイヤーによるカッティング法等を利
用できる。オートクレーブの条件としては160℃(ゲ
ージ圧力:約5.3kgf/cm2)以上、220℃
(ゲージ圧力:約22.6kgf/cm2)以下が好ま
しい。得られた硬化体は乾燥され、本発明の軽量コンク
リート複合体が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明を具体
的に説明する。なお、本発明において使用される各種の
測定方法は以下の通りである。 [基材曲げ強度、基材圧縮強度]JIS R 5201
の曲げ強さおよび圧縮強さの測定に準じて測定した。す
なわち、曲げ強度測定に用いた供試体寸法は、40mm
×40mm×160mmであり、スパン幅は100mm
である。圧縮強度は曲げ試験で割れた半分の試料におい
て、加圧面40mm×40mmで最大荷重を測定した。
【0031】[基材弾性率]圧縮強度の測定に用いたも
のと同一形状の試料の側面中央に、ベース長10mm、
抵抗値120オームの歪みゲージ(東京測器研究所製F
LA−10−11)をシアノアクリレート系接着剤を用
いて貼り付け、圧縮強度の測定と全く同様にして強度試
験を行い、歪みゲージから測定される圧縮歪みと応力値
のグラフ(SSカーブ)の直線部分の傾きから算出し
た。 [基材嵩比重]曲げ試験に用いたのと同じ寸法の硬化体
を、105℃にて24時間乾燥させた時の重量と寸法か
ら算出した。 [気泡径の観察]オリンパス光学工業(株)製、実体顕
微鏡(SZ)を用いて、曲げ強度試験後の試料破断面を
40倍の倍率で観察した。 [水銀圧入法による細孔径分布]硬化体を粉砕した後に
分級して得た2〜4mm部分を、105℃にて24時間
乾燥させて測定用試料とした。これら試料を、Micr
ometritics社製、Pore Sizer 9
320を用いて細孔径分布を測定した。この時、水銀と
硬化体の接触角は130度、水銀の表面張力は484d
yn/cmとして計算を行った。細孔径が0.1μm以
上の細孔の割合は、細孔径が6nmから360μmの範
囲で測定された全細孔量を100%とした時の、0.1
μm以上の細孔の体積分率である。
【0032】[窒素吸着法による比表面積]水銀圧入法
に用いたのと同様の処理を行った試料を、さらに真空下
70℃で3時間乾燥させて測定用試料とした。これら試
料をQuantachrome社製、Autosorb
1−MPを用いて比表面積の測定を行った。なお測定
点は1試料につき6点とした。 [粉末X線回折:Ia,Ibの測定]強度測定に用いた
試料を乳鉢中で粉砕した後に、理学電気(株)製RIN
T2000において、CuのKα線を用いて測定した。
測定条件は、加速電圧40kV、加速電流200mA、
受光スリット幅0.15mm、走査速度4゜/分、サン
プリング0.02゜である。なお回折線はグラファイト
のモノクロメーターにより単色化されてカウントされ
た。2つのトバモライト回折線(220),(222)
に挟まれた角度領域におけるバックグランドを含めた回
折強度の最低値をIa、およびバックグランドを含めた
トバモライト回折線(220)の最大強度をIbとす
る。なおこれら2つの回折線はそれぞれ29.0゜、3
0.0゜(2θ)付近に見られる回折線に対応する。図
1(A)、(B)に算出方法の模式図を示す。 [粉末X線回折: I(002), I(220)の測
定]試料および測定条件は、Ia、Ibの測定と同様に
行った。ここでI(002)は、回折角6から9゜(2
θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得ら
れた真の回折強度である。同様にI 220)は、回折
角20から40゜(2θ)付近にかけて、バックグラン
ドを直線近似して得られた真の回折強度である。なお、
トバモライトの(002)回折線は、7.7゜(2θ)
付近に見られる回折線に対応する。図2に算出方法の模
式図を示す。 [表面平滑性]表面の状態を目視で観察して評価した。 [パネル曲げ強度]JIS A 5416 「軽量気泡
コンクリートパネル」9.5パネルの曲げ強さ試験、に
おいてL=1900mmとして測定した。
【0033】
【実施例1】表1の一次原料に示す原料を表1に記載の
配合比にて、攪拌機を用いて混合を行った。混合したス
ラリーは60℃に4時間保持して予備硬化させた。得ら
れた一次原料のうち一部を採取して解砕した後、表1の
二次原料に示す配合比にて、これらと二次原料粉体およ
び水をスラリー下で混合した後、内寸が高さ600m
m、長さ2000mm、幅100mmであり、5mm径
の鉄筋が配置された型枠に流し込み8時間かけて予備硬
化させた。これらを脱型してオートクレーブにて180
℃で4時間、高温高圧養生を行った後に乾燥して亀裂の
無い軽量コンクリート複合体を得た。この時の補強鉄筋
の配置概略図を図6に示した。ここで珪酸質原料は、一
次原料および二次原料ともにブレーン比表面積1100
0cm2/gの珪石粉砕粉を用いた。パネル曲げ強度の
測定結果を表3に示した。パネル強度測定後の基材のう
ち亀裂のない部分を切り出し、各種物性を測定した結果
を表2に示した。これら基材の破断面を走査型電子顕微
鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、いずれの基
材においても、図3(A)に代表されるほぼトバモライ
トの板状粒子と、少量の繊維状粒子から構成されてい
た。さらに粉末X線回折の結果、いずれの基材において
も、最強線はトバモライトの(220)回折線と同定さ
れた。
【0034】
【実施例2】表1の一次原料に示す原料を表1に記載の
配合比にて、攪拌機を用いて混合を行った。混合したス
ラリーは60℃に4時間保持して予備硬化させた。得ら
れた一次原料のうち一部を採取して解砕した後、表1の
二次原料に示す配合比にて、これらと二次原料粉体およ
び水をスラリー下で混合した後、内寸が高さ600m
m、長さ2000mm、幅100mmであり、5mm径
の鉄筋が配置された型枠に流し込み8時間かけて予備硬
化させた。これらを脱型してオートクレーブにて180
℃で4時間、高温高圧養生を行った後に乾燥して亀裂の
無い軽量コンクリート複合体を得た。この時の補強鉄筋
の配置概略図を図6に示した。なおここで珪酸質原料
は、一次原料および二次原料ともにブレーン比表面積1
1000cm 2/gの珪石粉砕粉を用いた。パネル曲げ
強度の測定結果を表3に示した。パネル強度測定後の基
材のうち亀裂のない部分を切り出し、各種物性を測定し
た結果を表2に示した。これら基材の破断面を走査型電
子顕微鏡を用いて観察を行った結果、その構造は、いず
れの基材においても、図3(A)に代表されるほぼトバ
モライトの板状粒子と、少量の繊維状粒子から構成され
ていた。さらに粉末X線回折の結果、いずれの基材にお
いても、最強線はトバモライトの(220)回折線と同
定された。
【0035】
【比較例1】表1の一次原料に示す原料を表1に記載の
配合比にて、攪拌機を用いて混合を行った。混合したス
ラリーは、実施例1と同一の補強鉄筋が配置された型枠
に流し込んだ後、60℃に8時間保持して予備硬化させ
た。これらを脱型した際に、鉄筋に沿った水平方向の亀
裂が上部に多量に発生していた。亀裂が存在する予備硬
化体をオートクレーブにて180℃で4時間高温高圧養
生を行った後乾燥して軽量コンクリート複合体を得たも
のの、亀裂が多くパネル強度の測定には適さないと判断
され測定は行わなかった。この複合体の基材のうち亀裂
の無い部分を切り出し各種物性を測定して表2に示し
た。なおここで珪酸質原料は、ブレーン比表面積110
00cm2/gの珪石粉砕粉を用いた。この硬化体の粉
末X線回折の結果、図5に見られる様に、トバモライト
の(220)回折線よりも高いピークとして、石英の
(101)回折線、およびCSHと推定される29.2
゜の回折線が観察された。また、硬化体の破面を走査型
電子顕微鏡を用いて観察を行った結果、図3(B)に見
られる様に、トバモライトの板状結晶とCSHと推定さ
れる繊維状鉱物がほぼ同量程度混在する構造であった。
【0036】
【比較例2】表2に示される原料を混合直後のスラリー
温度が50℃となる様に混合した。ここに発泡剤とし
て、先に使用した粉体に対して0.06重量%のアルミ
ニウム粉末を添加混合後、直ちに実施例1と同一の補強
鉄筋が配置された型枠に流し込み、60℃で3時間予備
硬化させた。これらを脱型してオートクレーブにて18
0℃で4時間、高温高圧養生を行った後に乾燥して亀裂
の無い軽量気泡コンクリート複合体を得た。この時の補
強鉄筋の配置概略図を図6に示した。なおここで珪酸質
原料は、ブレーン比表面積2500cm2/gの珪石粉
砕粉を用いた。パネル曲げ強度の測定結果を表3に示し
た。パネル強度測定後の基材のうち亀裂のない部分を切
り出し、各種物性を測定した結果を表2に示した。これ
ら基材の破断面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行っ
た結果、その構造は、粗大気泡周辺に存在するトバモラ
イトの短冊状粒子と、その他の部位ではトバモライトの
板状粒子および残留珪石と珪石周辺の粗大空隙が認めら
れた。さらに粉末X線回折の結果、トバモライトの(2
20)回折線よりも高いピークとして、石英の(10
1)回折線のみが観察された。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明の軽量コンクリート複合体は、軽
量でありながら高い初期亀裂強度および破壊強度を有
し、高強度、高弾性で耐火性に優れ、さらには表面平滑
性があり表面美観に優れることから、各種建築物の外壁
材、内壁材、床材に好適である。具体的には、耐火間仕
切り板、クロス直仕上げ用壁材、ビル用外壁、住宅床
板、耐火野地板、防火軒天、耐火被覆板、等に使用でき
る。また従来の軽量気泡コンクリートパネルと比較し
て、同一の設計強度の下で約30%の軽量化が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末X線回折における、Ia、 Ibの算出方
法の説明図である。 (A):実施例1に対するIa、Ibの算出例。 (B):比較例1に対するIa、 Ibの算出例。
【図2】粉末X線回折における、実施例1に対するI
(002)、I(220)の算出方法の説明図である。
【図3】実施例1(A)と比較例1(B)の走査型電子
顕微鏡写真である。
【図4】実施例1(A)と比較例2(B)の水銀圧入法
による細孔径分布曲線(積算曲線)を示すグラフ図であ
る。
【図5】実施例1(A)と比較例1(B)の粉末X線回
折のチャート図である。
【図6】実施例1,2および比較例2における補強鉄筋
の形状および位置を示す概略図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末X線回折において観察される、2つ
    のトバモライトの回折線(220)、(222)に挟ま
    れた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するト
    バモライトの(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib
    /Ia)が、3以上であり、嵩比重が0.3以上0.7
    未満であり、基材中に最大径200μmを越える気泡が
    実質的に無く、その内部に補強鉄筋または補強金網が埋
    設されていことを特徴とする軽量コンクリート複合体。
  2. 【請求項2】 水銀圧入法で測定される基材中の細孔の
    うち、細孔径が1.0μm以上の細孔が1vol%以上
    15vol%以下であることを特徴とする請求項1に記
    載の軽量コンクリート複合体。
  3. 【請求項3】 窒素吸着法で測定される基材の比表面積
    が60m2/g以下であることを特徴とする請求項1又
    は2に記載の軽量コンクリート複合体。
  4. 【請求項4】 基材の粉末X線回折において観察される
    トバモライトの回折線のうち、(220)面の回折ピー
    ク強度I(220)に対する(002)面の回折ピーク
    強度I(002)の比(I(002)/I(220))
    が、0.25以上であることを特徴とする請求項1〜3
    に記載の軽量コンクリート複合体。
  5. 【請求項5】 珪酸質原料とセメントと、生石灰及び消
    石灰の少なくとも1種と水を主成分とする原料を、Ca
    O/SiO2モル比1.2〜2.5の範囲になるように
    混合し、10分以上経過させて得た一次原料と、珪酸質
    原料とセメントと、生石灰及び消石灰の少なくとも1種
    と水を主成分とする二次原料を、CaO/SiO2モル
    比が0.6〜1.5で、かつ使用する珪酸質原料、セメ
    ント、生石灰、消石灰およびその他の固体原料の総重量
    に対する使用したすべての水の重量比が1.0〜3.0
    になるように、スラリー状態で混合した後、補強鉄筋あ
    るいは補強金網が配置された型枠中へ注入後硬化させ予
    備硬化体とし、引き続き予備硬化体をオートクレーブ養
    生して製造されることを特徴とする請求項1〜4記載の
    軽量コンクリート複合体の製造方法。
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