JP2002326882A - 軽量気泡コンクリート - Google Patents

軽量気泡コンクリート

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JP2002326882A
JP2002326882A JP2001133331A JP2001133331A JP2002326882A JP 2002326882 A JP2002326882 A JP 2002326882A JP 2001133331 A JP2001133331 A JP 2001133331A JP 2001133331 A JP2001133331 A JP 2001133331A JP 2002326882 A JP2002326882 A JP 2002326882A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 嵩比重が0.3以上0.7未満で、気体透過
率を一定以上有しながら、高強度かつ表面平滑性に優
れ、さらには保釘力が高い軽量気泡コンクリート、並び
にそれらの製造方法を提供すこと。 【解決手段】 最大径300μmを越える気泡が実質的
になく、かつ最大径50μm以上200μm以下の気泡
の体積分率が20vol%以上30vol%以下であ
り、かつ最大径200μm以上300μm以下の気泡の
体積分率が2vol%以上15vol%以下であり、か
つ嵩比重が0.3以上0.7未満である軽量気泡コンク
リートおよびその製造方法。起泡剤を投入したスラリー
を、セラミックスビーズ等が充填された気泡発生装置内
を通過させて、軽量気泡コンクリートを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、軽量気泡コンクリ
ートおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軽量建材として一般的な軽量気泡コンク
リート(ALC)は、不燃で耐火性、断熱性に優れ、軽
量であり、施工性にも優れている等の多くの特徴を有し
ているため、壁、床、屋根、間仕切り等の建築材料とし
て広く使用されている。軽量気泡コンクリートは一般に
珪石、ポルトランドセメント、生石灰等を主原料とした
スラリーに、発泡剤や起泡剤等により気泡を導入し、硬
化させた後、オートクレーブ養生して製造されている。
このようにして製造された軽量気泡コンクリートは、一
般的には嵩比重が0.5〜0.6程度で、圧縮強度が4
〜5N/m2の範囲のものが多い。そして固体部分はト
バモライト結晶(5CaO・6SiO2・5H2O)、低
結晶性ケイ酸カルシウム水和物(以降CSHと記
す。)、および残留珪石を主体とする。これら軽量気泡
コンクリートの発泡剤としては、金属アルミニウムを用
いるのが一般的である。
【0003】一方、起泡剤としては非イオン系、イオン
系界面活性剤等を用いるのが一般的であり、その製造方
法は主に、起泡剤を含む水溶液を予め撹拌等により起泡
させた後に、これをスラリーと混合して気泡を含有させ
る方法と、起泡剤を含む水溶液とコンクリート材料との
撹拌混合作業時にスラリー中に気泡を含ませる方法など
が挙げられる。しかし、これらの方法で得られる気泡径
の多くは1mm程度の粗大なものが多く、結果として、
硬化体の圧縮強度、曲げ強度の低下、及び表面平滑性や
保釘力の劣化をもたらしている。
【0004】軽量気泡コンクリートの高強度に改善する
方法として、例えば特開平7−101787号公報に
は、起泡剤を用いずに軽量かつ高強度を有した軽量コン
クリートを製造する技術が開示され、また、特開平8−
12464号公報には、起泡剤を用いて軽量かつ高強度
を有した気泡コンクリートを製造する技術が開示されて
いる。両公報共に圧縮強度約20N/m2を越える建材が
報告されている。しかしながら、最低到達比重は0.7
〜0.8程度であり、軽量部材としては未だ不十分なレ
ベルである。
【0005】一方、軽量気泡コンクリートの平面平滑性
を向上させる検討として、例えばWO99/42418
には、径が200μm以上の気泡を実質的に含まずに嵩
比重0.3以上0.7以下の範囲で、従来の軽量気泡コ
ンクリートにない優れた平面平滑性及び強度が得られた
ことが報告されている。しかし、径が200μm以上の
気泡を実質的に含まない場合、すなわち気泡が導入され
ない場合、強度、表面平滑性ともに大幅に改善される
が、硬化体中の気体の透過率が非常に低くなる。気体透
過率の低下は、硬化体中からの水の拡散の抑制につなが
り、硬化体が濡れた場合の乾燥速度が遅くなる。従っ
て、気体透過率の高い、軽量かつ高強度、平面平滑性を
有する軽量気泡コンクリートが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、嵩比重が
0.3以上0.7未満で、気体透過率を一定以上有しな
がら、高強度かつ表面平滑性に優れ、さらには保釘力が
高い軽量気泡コンクリート、並びにそれらの製造方法を
提供すことにある。
【0007】
【課題が解決するための手段】本発明者らは、固体原料
に対する水の重量比および気泡の導入量、導入方法に着
目し、鋭意研究の結果、高強度かつ平面平滑性を維持し
ながら、気泡径200μm以上、300μm以下の気泡
の体積分率が一定範囲内に存在すると、気体の透過率を
高めることが出来ることを見出し、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明は、(1) 最大径300μmを
越える気泡が実質的になく、かつ最大径50μm以上2
00μm以下の気泡の体積分率が20vol%以上30
vol%以下であり、かつ最大径200μm以上300
μm以下の気泡の体積分率が2vol%以上15vol
%以下であり、かつ嵩比重が0.3以上0.7未満であ
ることを特徴とする軽量気泡コンクリート、(2) 水
銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1/4の
高さにおける対数分布幅が0.4以上1.2以下である
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の軽量気泡
コンクリート、(3) 少なくとも珪酸質原料とセメン
トと石灰質原料と硫酸アルミニウムもしくはその含水物
と水及び起泡剤を含む水溶液を、固体原料の総重量に対
する使用した全ての水の重量比が0.9以上2.5以下
になるように混合してスラリーを得た後に、該スラリー
を、気泡を含まないスラリーの単位容積に対する、気泡
含有させた後のスラリーの単位容積が1.1倍以上1.
35倍以下になるように気泡発生装置中で処理し、該気
泡含有スラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオー
トクレーブ養生することを特徴とする軽量気泡コンクリ
ートの製造方法、である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
軽量気泡コンクリートは、最大径300μmを越える気
泡が実質的になく、かつ最大径50μm以上200μm
以下の気泡の体積分率が20vol%以上30vol%
以下であり、かつ最大径200μm以上300μm以下
の気泡の体積分率が2vol%以上15vol%以下で
ある。ここでいう最大径300μmを越える気泡が実質
的にないこととは、本発明の軽量気泡コンクリートを破
断させて生じた面上において、30mm四方に最大径が
300μmを越える気泡が20個以下、好ましくは10
個以下、さらに好ましくは5個以下であることである。
最大径300μmを越える気泡が20個を越えて存在す
ると、表面平滑性が低下し、さらには強度低下を引き起
こす可能性がある。従来の材料では1mmを越える粗大
気泡を多く有しており、このような粗大気泡なくすこと
は強度向上につながると考えられる。
【0009】本発明の軽量気泡コンクリートは、最大径
50μm以上200μm以下の気泡の体積分率が20v
ol%以上30vol%以下であり、かつ最大径200
μm以上300μm以下の気泡の体積分率が2vol%
以上15vol%以下であることが必要であり、好まし
くは最大径50μm以上200μm以下の気泡の体積分
率が20vol%以上25vol%以下であり、かつ最
大径200μm以上300μm以下の気泡の体積分率が
2vol%以上10vol%以下である。
【0010】ここで、最大径50μm以上200μm以
下の気泡の体積分率が20vol%以上30vol%以
下であり、かつ最大径200μm以上300μm以下の
気泡の体積分率が2vol%以上15vol%以下であ
るとは、上記に記載する気泡の最大径の体積分率範囲を
満たし、かつ最大径50μm以上300μm以下の気泡
の体積分率が22vol%以上35vol%以下である
事を意味する。ここで、最大径50μm以上200μm
以下の気泡の体積分率が20vol%以上30vol%
以下であり、かつ最大径200μm以上300μm以下
の気泡の体積分率が2vol%以上15vol%以下で
あると、高強度で表面平滑性を有しながら、硬化体の気
体透過率を一定以上に保持することが可能となる。
【0011】本発明において、気泡の体積分率とは、本
発明の軽量気泡コンクリートの破断面の単位面積当たり
の全気泡の気泡径を計測し、その気泡径の分布から、気
泡がすべて円であると仮定して、面積を算出し、単位面
積に対する円の総面積の比率つまり気泡の面積分率から
算出した値のことである。任意の断面における、気泡の
面積分率は、体積分率に一致することから、ここで算出
された気泡の面積分率を気泡の体積分率とした。ここで
いう気泡径とは、破断面上のおのおのの気泡の最大径を
測定し(以降Laと記す)、つづいてLaに対して垂直
方向の同気泡の最大径(以降Lbと記す)を測定し、こ
れらLaとLbの平均径から算出した。これら気泡径
は、光学顕微鏡を用いて50倍の倍率で観察した像を印
刷して、手動で測定した。測定に際しては、気泡の計測
カウント数が1000個以上になるように単位面積を選
んだ。
【0012】また、ここでいう気泡とは、起泡剤により
生成した球状の空隙をいい、通常、球、楕円体、水滴
状、あるいはこれらが結合した形状をなすことから、亀
裂や欠けによって発生した空隙とは容易に区別できる。
さらに製造過程にて空気が混入して生じた不可避の気泡
も含める。本発明の軽量気泡コンクリートの嵩比重は、
0.3以上0.7未満の範囲にあり、好ましくは0.3
以上0.6以下である。ここでいう嵩比重とは、105
℃で24時間乾燥させた際の嵩比重、すなわち絶乾比重
を指す。0.3未満では本発明の目的とする高い強度は
得られない。逆に0.7以上では本発明の目的とする軽
量な気泡コンクリートの範疇からはずれる。
【0013】本発明の軽量気泡コンクリートにおいて
は、水銀圧入法で測定される微分細孔分布の最大値の1
/4の高さにおける対数分布幅が0.4以上1.2以下
であることが好ましい。ここで水銀圧入法とは、硬化体
内部へ水銀を圧入させて、その時の圧力と侵入量の関係
から細孔径の分布を測定するものであり、細孔の形状が
円筒形であると仮定して計算されたものである。従っ
て、細孔径の測定可能範囲は6nm〜360μmの範囲
であるが、この値は実際の細孔の直径を表すものでな
く、構成物質間の隙間の大きさの指標として使用され、
特に本発明の比重範囲の細孔構造を記述する際には有効
な解析手段である。水銀圧入法で測定された微分細孔分
布は、測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を一
次微分して得られる。通常、0.3以上0.7未満の嵩
比重の低い軽量気泡コンクリートの骨格を形成する部分
(以降マトリックスと記す)の空隙は、その測定範囲内
の細孔径6nm〜50μmの間で存在する。
【0014】微分細孔分布の最大値1/4の高さにおけ
る対数分布幅とは、細孔径分布の広がりを表す一つの指
標であり、微分細孔分布の最大値の1/4の高さにおけ
る細孔径分布の幅を対数にて表示したものである。その
算出方法を図1(A)、(B)に示す。最大値の1/4
の高さにおける対数分布幅が1.2を越えると空隙径が
50μm以下の細孔領域における細孔径分布は広い分布
を持つことになり、これはすなわち応力を担うマトリッ
クスの空隙の均一性が低いことを示す。そのために、局
所的な応力集中が生じやすくなり、圧縮強度の低下をも
たらす傾向がある。
【0015】例えば従来の軽量気泡コンクリートは、発
泡剤や起泡剤により導入された粗大気泡部を除いた部
分、すなわち骨格を形成するマトリックスに存在する空
隙は広い分布を持ち、水銀圧入法で測定された微分細孔
分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅は1.
2を越えている。すなわち、これら細孔領域に存在する
広い分布を持つ空隙が、水銀圧入法で測定された微分細
孔分布の最大値の1/4の高さにおける対数分布幅で
1.2以下にすることが、強度等の物性を改善すること
に好ましいと本発明者らは推測している。
【0016】本発明において、該対数分布幅は小さい方
が強度その他物性は向上するが、本発明の製造方法をも
ってしても0.4より小さい対数分布幅を得ることは難
しい。従って、水銀圧入法で測定される微細孔分布の最
大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.4以上
1.2以下であることが好ましい。さらに好ましくは
0.4以上1.1以下、特に好ましくは0.4以上1.
0以下である。本発明の軽量気泡コンクリートにおいて
は、トバモライトが主体であることが好ましい。
【0017】トバモライトは、従来の軽量気泡コンクリ
ートなどの組織中に通常みられる代表的な結晶性ケイ酸
カルシウム水和物の一つであり、板状あるいは短冊状粒
子形態をとる。本発明の軽量気泡コンクリートにおい
て、トバモライトが主体であるか否かは、珪酸カルシウ
ム硬化体の破断面の走査型電子顕微鏡観察と粉末X線観
察を併用することにより判断する。
【0018】すなわち、粉末X線回折において、トバモ
ライトの最強線(220)を越える他の回折ピークが存
在しないことである。ただし、トバモライトとともに、
結晶質シリカ、炭酸カルシウム、石膏が共存する場合、
トバモライトが主体であっても、これら共存物質の高い
結晶性のために、これらの物質の最強線がトバモライト
の最強線を越える場合があるが、この様な場合は走査型
顕微鏡観察下において、その構造が板状であるいは短冊
状の粒子が主体であると判断できれば、トバモライトが
主体であるとする。ここで板状あるいは短冊状の粒子と
は、1つの粒子において、互いにほほ平行な2つの表面
間の距離がその粒子の最小長さに相当し、その粒子の最
大長さが最小長さ(以降厚みと記す)の5倍以上である
粒子とする。もちろん、ここでいう最大長さ、厚みは二
次元への投影長さである。これらトバモライトの粒子の
大きさは特に規定はしないが、最大長さが数μm〜10
μmであることが好ましい。
【0019】通常トバモライトは、CSHと共存するこ
とが多い。CSHは様々な粒子形態をとることが知られ
ているが、通常、繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとる
ために電子顕微鏡下でトバモライト粒子と区別できる。
ここで、CSHは強度、耐候性、耐久性など建材として
の様々な必要性能を低下させるので、可能な限り含有し
ないことが好ましい。さらに、本発明の軽量気泡コンク
リートにおいて、少量の軽量骨材、補強繊維、樹脂等も
トバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有すること
ができる。
【0020】本発明の軽量気泡コンクリートは、粉末X
線回折において観察される、2つのトバモライトの回折
線(220)、(022)に挟まれた角度領域における
回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(22
0)回折ピーク強度Ibの比(Ia/Ib)が4.0以
上であることが好ましい。軽量コンクリート中にCSH
が多量に存在すると、建材としての様々な性質が低下す
る。トバモライトとCSHが共存する硬化体について、
粉末X線回折を行うと、トバモライトの(220)回折
ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域に、ブロ
ードなCSHの回折ピークが認められる。この回折ピー
クは通常29.1〜29.4°(2θ)付近に出現す
る。またCSHがトバモライトに比べて少ない場合、C
SHのピークは、トバモライトの回折線に吸収された形
になり、通常CSHの回折強度の測定は不可能となる。
【0021】ところがこの様な場合、トバモライトの
(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれ
た領域におけるX線の回折強度は、ベースラインに比べ
て高い値となることから、CSHの存在の有無を判定す
ることができる。軽量気泡コンクリートがCSHを全く
含まず、かつ高結晶性のトバモライトを主体とする場
合、同領域におけるX線強度の最低値はバックグランド
強度と一致する。すなわち2つのトバモライトの回折
線、(220)と(222)に挟まれた角度領域におけ
る回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(22
0)面の回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が大き
い程、軽量気泡コンクリート中に含有されるCSHが少
ない。
【0022】一方、たとえCSHが存在しない場合で
も、トバモライトの結晶性が低い場合には、Ib/Ia
は小さくなる。これは(220)と(222)が近接し
ているために、ピークのすそのが重なり合うためであ
る。トバモライトの結晶性が低下すると、軽量コンクリ
ートの強度劣化、および耐候性の低下が起こる。従って
いずれの場合でも、Ib/Iaの値は4.0以上が好ま
しく、さらに好ましくは4.2以上、それよりさらに好
ましくは4.5以上である。市販の軽量気泡コンクリー
トは、反応性の低い珪石源を用いることにより、トバモ
ライトの結晶性を高め、結果としてIb/Iaの値は高
くなっている。この値が高いにも関わらず強度が低い理
由は、1mm以上の粗大気泡を多量に含有するためであ
る。Ia、Ibの算出方法の概略を図2(A)、(B)
に示す。
【0023】本発明の軽量気泡コンクリートは、気体透
過率測定において0.11m4/sec・kg以上ある
ことが好ましく、さらに好ましくは0.12m4/se
c・kg以上である。気体透過率は、硬化体中の気体の
透過のしやすさを示し、気体透過率の値が大きくなるほ
ど気体が硬化体中を透過しやすい。硬化体中の気体の透
過の程度は、硬化体中に含まれる水の拡散の程度の指標
になると考えられる。すなわち、気体透過率が低いと硬
化体中からの水の拡散の抑制につながり、硬化体が濡れ
た場合、乾燥速度が遅くなる。従って、本発明の軽量気
泡コンクリートにおいては気体透過率がある一定以上あ
る方が好ましい。
【0024】以下、本発明の軽量気泡コンクリートの製
造方法について説明する。本発明の軽量気泡コンクリー
トの製造方法は、少なくとも珪酸質原料とセメントと石
灰質原料と硫酸アルミニウムもしくはその含水物と水及
び起泡剤を含む水溶液とを、固体原料の総重量に対する
使用した全ての水の重量比が0.9以上2.5以下に、
好ましくは固体原料の総重量に対する使用した全ての水
の重量比が1.0以上2.5以下になるように混合して
スラリーを得ることが必要である。なお、本発明におい
て固体原料の総重量には結晶水の重量は含めず、使用し
た全ての水の重量には結晶水の重量をも含める。
【0025】ここで珪酸質原料とは、結晶質の珪石、珪
砂、及び非結晶質の珪藻土、シリカフューム、フライア
ッシュ、天然の粘土鉱物、それらの焼成物等である。本
発明の軽量気泡コンクリートは、目的とする高強度を達
成するために、結晶性の珪石を用いることが好ましく、
なかでも微粉砕したブレーン比表面積で5000cm 2
/g以上の微粉珪石が好ましく、より好ましくは700
0cm2/g以上の微粉珪石である。珪酸質原料の添加
量は、本発明の軽量気泡コンクリートを製造する際の固
体原料に対して5重量%以上30重量%以下であり、好
ましくは10重量%以上25重量%以下である。
【0026】また、セメントは普通ポルトランドセメン
ト、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント等
の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするセメントをい
う。さらに、石灰質原料とは、酸化物換算でCaOを5
0重量%以上含む原料であり、石灰石あるいは消石灰を
いう。石灰質の添加量は、本発明の軽量気泡コンクリー
トを製造する際の固体原料に対して2重量%以上20重
量%以下であり、好ましくは2重量%以上15重量%以
下である。
【0027】本発明において、硫酸アルミニウムもしく
はその含水物を用いることにより、水/固体比を上げる
ことが可能になり、その結果気泡導入量が少なくても、
得られる比重を任意に制御し、かつ気泡径を自由に制御
できるようになった。その硫酸アルミニウムもしくはそ
の含水物の添加量は、固体原料に対して酸化物換算で
(Al23)で0.09重量%以上10重量%以下であ
り、用いる固体原料の総重量に対する、使用した水の重
量比(以降、水/固体比と記す)が0.95未満の場合
は、0.09重量%以上3重量%であることが好まし
く、より好ましくは0.12重量%以上2重量%以下で
あり、水/固体比が0.95以上1.9未満の場合に
は、好ましくは0.15重量%以上6重量%以下であ
り、水/固体比が1.9以上の場合には、0.2重量%
以上10重量%以下であることが好ましい。ここでいう
水量とは、水、結晶水及び起泡剤を含む水溶液中に含ま
れる水全てを含めたものをいう。
【0028】また、硫酸アルミニウムもしくはその含水
物における硫酸アルミニウムとは、化学式(Al2(S
43)からなる物質をいい、その含水物とは例えば化
学式(Al2(SO43・17H2O)で示されるような
結晶水を含む化合物をいう。原料形態としては粉末、ス
ラリー、水溶液いずれでも構わない。起泡剤を含む水溶
液としては、気泡を生成するものであれば任意の周知の
起泡剤を使用することができ、たとえば、動物蛋白系の
起泡剤としてマールP(麻生フォームクリート(株)
製)等が、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤の
オレイン酸ナトリウム、テトラプロピレンベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウ
ム等、非イオン系界面活性剤のオクチルフェノールのエ
チレンオキサイド付加物、高級アルコールのエチレンオ
キサイド付加物、ラウリル酸ジエタノールアミド等、カ
チオン系界面活性剤のトリエタノールアミンモノスアレ
ートの蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミンの酢
酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ス
テアラミドメチルピリジニウムクロライド等、両性界面
活性剤のラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウ
リルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベ
タイン等が挙げられ、イオン性や構造を限定するもので
はない。
【0029】起泡剤を含む水溶液の添加量に関しては、
特に規定しないが、起泡剤の量が少ないと、スラリー中
に気泡が得にくく、逆に起泡剤が多すぎるとスラリーの
粘度が増加し気泡が得にくい、従ってスラリー中の水の
重量に対して0.05重量%以上50重量%が好まし
く、さらに好ましくは0.1重量%以上45重量%であ
る。混合に関しては、任意のミキサーが使用可能であ
る。本発明に用いる起泡剤とは、軽量気泡コンクリート
で一般的に使用されている金属アルミニウム等による発
泡剤とは異なり、上記に示したような界面活性剤等を用
いて気泡を導入する起泡剤のことである。
【0030】固体原料と水からなるスラリーを混合する
温度については特に規定はないが、混合温度が低すぎる
と反応が進みにくい。従って混合直後の温度で40℃以
上、100℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以
上100℃以下である。また、スラリーを混合する時間
にも特に規定はないが、短すぎると各固体原料の均一分
散が不十分であり、長すぎるとセメントの水和が進行し
すぎるので予備硬化を遅らせてしまう。従って、10分
以上5時間未満が好ましく、より好ましくは30分以上
3時間未満である。
【0031】本発明の製造方法において、気泡を導入す
るに当たり、気泡を含まないスラリーの単位容積に対す
る、気泡含有させた後のスラリーの単位容積が1.1倍
以上1.35倍以下になるように気泡発生装置中で処理
することが必要である。これは本発明の目的である、3
00μmを越える気泡が実質的になく、かつ気泡径20
0μm以上、300μm以下の気泡の体積分率が一定範
囲内に存在させ、平面平滑性、高強度、一定以上の気体
透過率を達成するのに必須条件である。気泡を含まない
スラリーの単位容積に対する気体を含有させた後のスラ
リーの単位容積が1.35倍を越えると、気泡同士の合
一や破泡が起こり均一かつ微細な気泡を得ることが困難
になり、さらに表面平滑性を低下させることになる。ま
た気泡を含まないスラリーの単位容積に対する気体を含
有させた後のスラリーの単位容積が1.1倍未満では、
一定以上の気体透過率が得られない。
【0032】従って、本発明の軽量気泡コンクリートの
製造方法では、気泡を含まないスラリーの単位容積に対
する、気泡含有させた後のスラリーの単位容積が1.1
0倍以上1.35倍以下になるように気泡を導入するこ
とが好ましく、さらに好ましくは1.15以上1.30
以下に、よりさらに好ましくは1.20以上1.30以
下である。本発明において、気泡を含まないスラリーと
は、総固体原料及び水を加え混合し、さらに起泡剤を含
む水溶液を加えて得た気泡を含まないスラリーをいう。
【0033】本発明において、気泡発生装置とは、例え
ば図3に示すような通常、起泡剤を含む水溶液等を加え
泡沫を作製する装置をいい、主に液体投入部分と、液体
出口及びその先に接続されたビーズ等が充填剤された発
泡筒部分と、圧縮空気供給部分と、それらが接続された
圧力容器部分からなるものをいう。圧縮空気供給部分
は、供給する空気圧力を変えられるものが好ましい。本
発明において、発泡筒内に詰める充填剤は素材、形状に
ついては特に決まりはないが、セラミックスビーズ、ガ
ラスビーズ、金属たわし等の気泡が均一かつ微細になる
ものが好ましい。また、気泡発生装置中で処理すると
は、通常気泡発生装置内に起泡剤を含む水溶液等を投入
し泡沫を作製するのと同様に、起泡剤を含むスラリーを
通過あるいは滞留させる操作をいう。
【0034】本発明の軽量気泡コンクリート製造用の気
泡を含むスラリーは、起泡剤を投入したスラリーを、こ
の気泡発生装置内を通過あるいは滞留させるという操作
を行うことで得ることができる。ここで、発泡筒の長さ
は本発明の軽量気泡コンクリートを製造するにあたって
特に限定はないが、25cm以上150cm以下が好ま
しい。さらに、圧縮空気の圧力は本発明の軽量気泡コン
クリートを製造するにあたって特に限定はないが、0.
001MPa以上0.15MPa以下が好ましい。
【0035】この様にして得られた気泡含有スラリー
は、好ましくはそのまま型枠に流し込まれ成形される。
得られた成形体は、好ましくは40℃以上100℃以下
で1時間以上かけて予備硬化される。得られた予備硬化
体の切断は、軽量気泡コンクリートの製造に一般的に用
いられるワイヤーによる切断方法も使用できる。必要に
応じて任意の形状に切断された後に、オートクレーブを
用いて高温高圧養生される。オートクレーブの条件とし
ては、160℃(ゲージ圧:約0.54MPa)以上、
220℃(ゲージ圧:約2.3MPa)以下が好まし
い。得られた硬化体は乾燥され、本発明の軽量気泡コン
クリートが得られる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。な
お、本発明において使用される各種の測定方法は以下の
通りである。 [曲げ強度、圧縮強度]JIS R 5201の曲げ強
さ及び圧縮強さの測定に準じて測定した。すなわち、曲
げ強度測定に用いた試験体寸法は、40mm×40mm
×160mmであり、スパン幅は100mmである。圧
縮強度は曲げ試験で割れた半分の試料において、加圧面
40mm×40mmで上下両圧縮面が平行となる構造と
して最大荷重を測定した。なお試験体は、20℃、相対
湿度60%の乾燥器中で、硬化体の絶乾状態を基準とし
た含水量が、10±2重量%になるまで乾燥させ測定を
行った。 [気泡径の測定、体積分率]曲げ強度試験後の試料破断
面にエポキシ樹脂接着剤を含浸させ、エポキシ樹脂接着
剤が硬化した後に、表面を紙ヤスリで研磨して、試料表
面をキーエンス(株)製、デジタルHDマイクロスコー
プVH−7000を用いて観察した。気泡径の面積は、
気泡の最大径(La)を測定し、Laに対して垂直方向
の同気泡の最大径(Lb)を測定し、LaとLbの平均
径を円の直径と近似して面積を算出した。
【0037】[粉末X線回折:Ia,Ibの測定]強度
測定に用いた試料を乳鉢中で粉砕した後に、理学電気
(株)製RINT2000において、CuのKα線を用
いて測定した。測定条件は、加速電圧40KV、加速電
流は200mA、受光スリット幅0.15mm、走査速
度4°/分、サンプリング0.02°である。なお回折
線はグラファイトのモノクロメーターにより単色化され
てカウントされた。2つのトバモライト回折線(22
0),(222)に挟まれた角度領域におけるバックグ
ランドを含めた回折強度の最低値をIa、およびバック
グランドを含めたトバモライト回折線(220)の最大
強度をIbとする。なおこれら2つの回折線はそれぞれ
29.0°、30.0°(2θ)付近に見られる回折線
に対応する。図1(A)、(B)に算出方法の模式図を
示す。
【0038】[水銀圧入法による対数分布幅、細孔量割
合の算出]オートクレーブ後の硬化体を粉砕した後に分
級して得た2〜4mm部分を、105℃にて24時間乾
燥させて測定用試料とした。これら試料を、Micro
metritics社製、Pore Sizer 93
20を用いて細孔径分布を測定した。この時、水銀と硬
化体の接触角は130度、水銀の表面張力は484dy
n/cmとして計算を行った。測定された細孔径に対す
る細孔量の積算曲線を1次微分して得られる微分細孔分
布の最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つの場
合、大きい順にA1、A2とすると、対数分布幅は、
1、A2それぞれの常用対数の差となる。微分細孔分布
の最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つの場合の
算出方法を図2(A)、(B)に示す。微分細孔分布の
最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場
合は最大値を与える細孔径の常用対数と最小値を与える
細孔径の常用対数の差となる。 [嵩比重]曲げ試験に使用したものと同じ寸法のオート
クレーブ後の硬化体を105℃にて24時間乾燥させた
時の重量と寸法から算出した。
【0039】[表面平滑性]表面状態を目視で観察、ほ
とんど凹凸がない状態を○、凹凸が分かる状態を△、凹
凸がかなりある状態を×で評価した。 [鋸引き試験]木工用鋸を用いて硬化体を切断し、切断
しやすさを、容易に切断できる○、少し欠ける△、欠け
て切断できない×で表現した。また、切断面の状況をほ
とんど凹凸がない状態を○、凹凸が分かる状態を△、凹
凸がかなりある状態を×で評価した。 [保釘力試験]50mm×180mm×180mmの試
験体の中央に下穴(径3.0mm 深さ25mm)をド
リルにて制作した後、サラ木ネジ(径4.1φ、長さ4
5mm、八幡ねじ製 4−020−04145)を深さ
30mmまで手動でねじ込み、建研式付着力試験機を用
いて引き抜き測定をした。なお試験体は、20℃、相対
湿度60%の乾燥器中で、硬化体の絶乾状態を基準とし
た含水量が、10±2%になるまで乾燥させ測定を行っ
た。保釘力は、コーン破壊の有無で判断する。釘と硬化
体との保釘力が高い場合、釘を引き抜いたときに、釘に
付着した硬化体の一部も同時にとれるコーン破壊が起こ
り、保釘力が低いと釘だけが抜ける釘抜け現象が起こ
る。
【0040】[気体透過率]東洋精機製作所(株)製P
ERMEAGRAPHを用いて、φ50mm、高さ50
mmの試験体で気体透過率測定を行った。 [乾燥速度]40mm×40mm×160mmの試験体
を水中に40時間以上浸水させ、試験体を飽水させた
後、60℃、相対湿度40%の条件の乾燥器中で、硬化
体の絶乾状態を基準とした含水量が、20±2%になる
までの乾燥時間の測定を行った。
【0041】
【実施例1〜2】表1に示す原料配合比にて、撹拌機を
用いて混合を行った。混合は、60℃に加温した水に固
体原料を加えた後、混合槽を60℃に加温しながら、大
気圧で2時間行った。撹拌機の回転数は1200rpm
であった。なお、石灰質原料の投入については、表1に
示すような割合(一次投入:二次投入)で二段に分けて
投入を行った。すなわち、その他原料と同様にはじめか
ら加える一次投入と、大気圧で2時間撹拌を行った後に
加える二次投入である。二次石灰質原料投入後、同様な
条件で1分間混合を行った。混合後のスラリーにセメン
ト系材料用起泡剤の水溶液(マールP、加水分解蛋白3
5.0%、灰分0.6%、水分64.6%、麻生フォー
ムクリート社製)を上記スラリー中及び起泡剤を含む水
溶液の全水の重量に対して約1重量%加え、数秒起泡剤
を含むスラリーを数秒撹拌して、該起泡剤含有スラリー
を気泡発生装置(セルフォーム技術研究社製)内に投入
し、通常気泡を作製するのと同様の操作方法で空気圧力
0.025MPa、送液圧力0.025MPaの条件下
で通気を調節して、気泡を含まないスラリーの単位容積
に対する、気泡含有させた後のスラリーの単位容積が約
1.25倍になるように気泡を導入した。
【0042】その後気泡含有スラリーを型枠に流し込
み、60℃にて5時間保持して、予備硬化させた。これ
らを脱型してオートクレーブにて180℃で4時間、高
温高圧養生を行った後に乾燥して軽量気泡コンクリート
を得た。また、表1に示す珪酸質原料としては珪石粉砕
粉を、石灰質原料としては生石灰を、セメントは普通ポ
ルトランドセメントを、硫酸化合物としては二水石膏を
用いた。表1中の重量部は用いた水を含まない純分で表
記した。これら得られた軽量気泡コンクリートの各種物
性を行った。その結果を表2に示す。
【0043】軽量気泡コンクリートに対する最大気泡径
の体積分率は、50〜200μmで22〜25vol
%、200〜300μmで6〜7vol%あった。粉末
X線回折の結果、いずれの硬化体においても、最強線は
トバモライトの(220)回折線と同定された。曲げ強
度は実施例1で3.7N/m2、実施例2で4.6N/
2、圧縮強度はそれぞれ9.8N/m2、18.5N/
2であった。保釘力試験を行った結果は、コーン破壊
であった。気体透過率試験結果は実施例1で0.12m
4/sec・kg、実施例2で0.17m4/sec・k
gであった。乾燥試験結果は、硬化体の絶乾状態を基準
とした含水量が、20±2%になるまでに35〜40時
間かかった。
【0044】
【比較例1、2】表1に示す配合比で、起泡剤を含む水
溶液を添加しないこと以外は、実施例1、2同様な方法
で軽量コンクリートを作製し、各種物性測定を行った。
その結果を表2に示す。絶乾比重はそれぞれ、0.45
と0.70であった。軽量コンクリートに対する最大気
泡径の体積分率は、比較例1、2共に50〜200μm
で1vol%以下、200〜300μmで1vol%以
下であった。粉末X線回折の結果、いずれの硬化体にお
いても、最強線はトバモライトの(220)回折線と同
定された。気体透過率試験結果はそれぞれ0.10m4
/sec・kg、0.09m4/sec・kgであり、
実施例1、2に比べ低い値である。乾燥試験結果は、硬
化体の絶乾状態を基準とした含水量が、20±2%にな
るまでにそれぞれ85時間、75時間かかり、実施例
1、2に比べて乾燥時間が増加した。
【0045】
【比較例3】起泡剤を用いて、気泡を含まないスラリー
の単位容積に対する、気泡含有させた後のスラリーの単
位容積が約1.8倍になるように気泡を導入した以外
は、実施例1と同じ配合で、同様な方法で軽量コンクリ
ートを作製し、各種物性測定を行った。その結果を表2
に示す。絶乾比重は0.31であった。軽量気泡コンク
リートに対する最大気泡径の体積分率は、50〜200
μmで9.5vol%、200〜300μmで21vo
l%であった。粉末X線回折の結果、最強線はトバモラ
イトの(220)回折線と同定された。保釘力試験を行
った結果、釘抜けであった。気体透過率試験結果は0.
21m4/sec・kgであった。乾燥試験結果は、硬
化体の絶乾状態を基準とした含水量が、20±2%にな
るまでに40時間かかり、実施例1とほぼ同じであっ
た。
【0046】
【比較例4】市販のALCから無筋部分を採取して、各
種物性測定を行った。その結果を表2に示す。絶乾比重
は0.51であった。軽量気泡コンクリートに対する最
大気泡径の体積分率は、50〜200μmで0.26v
ol%、200〜300μmで1.7vol%であっ
た。粉末X線回折の結果、トバモライトの(220)回
折線よりも高いピークとして、石英の(101)回折線
のみが観察された。曲げ強度は1.4N/m2で、圧縮
強度は5.0N/m2であり、実施例1〜2より低い値
であった。保釘力試験を行った結果は、釘抜けであっ
た。気体透過率試験結果は0.22m4/sec・kg
であった。乾燥試験結果は、硬化体の絶乾状態を基準と
した含水量が、20±2%になるまでに20時間かかっ
た。
【0047】
【比較例5】表1に示される原料配合比にて固体原料及
び水を混合し、混合が終了した後、発泡剤として表1に
示す重量部のアルミニウム粉末を添加し、されに同じ温
度で1分間混合した後に型枠に流し込んだ以外は実施例
1〜2と同様にして作製し、各種物性測定を行った。そ
の結果を表2に示す。絶乾比重は0.56であった。軽
量気泡コンクリートに対する最大気泡径の体積分率は、
50〜200μmで2.3vol%、200〜300μ
mで5.3vol%であった。粉末X線回折の結果、い
ずれの硬化体においても、最強線はトバモライトの(2
20)回折線と同定された。保釘力試験を行った結果
は、コーン破壊であった。気体透過率試験結果は0.1
4m4/sec・kgであった。乾燥試験結果は、硬化
体の絶乾状態を基準とした含水量が、20±2%になる
までに35時間かかり、実施例1とほぼ同じであった。
【0048】
【比較例6】普通ポルトラルドセメント31重量部、生
石灰42重量部、ブレーン値11000の微粉珪石27
重量部、及び水16重量部を撹拌機を用いて60℃で混
合した。その後、撹拌を止めて静置し、60℃で4時間
保持して硬化させた。得られた硬化体の解砕物40重量
部、普通ポルトランドセメント13.6重量部、生石灰
13.6重量部、ブレーン値11000の微粉珪石2
9.8重量部、二水石膏3重量部、水118重量部、お
よび古紙パルプをミクロフィブリル化した繊維1重量部
を混合した後、得られたスラリーを型枠に流し込み、水
分の蒸発を抑制した状態で60℃で12時間かけて予備
硬化させた。予備硬化体を脱型して、オートクレーブに
て180℃で4時間蒸気養生を行って硬化体を得た。各
種物性測定を行った結果を表2に示す。
【0049】絶乾比重は0.51であった。粉末X線回
折の結果、いずれの硬化体においても、最強線はトバモ
ライトの(220)回折線と同定された。軽量気泡コン
クリートに対する最大気泡径の体積分率は、50〜20
0μmで1vol%以下、200〜300μmで1vo
l%以下であった。気体透過率試験結果は0.10m 4
/sec・kgであり、従来の軽量気泡コンクリート及
び実施例1,2に比べ低い値であった。乾燥試験結果
は、硬化体の絶乾状態を基準とした含水量が、20±2
%になるまでに85時間かかり、実施例1に比べて50
時間、比較例4に比べて65時間も乾燥時間が増加し
た。
【0050】
【比較例6】普通ポルトランドセメント18重量%、生
石灰32.2重量%、消石灰10.7重量%、及び平均
粒子20μm程度の珪石粉末41.7重量%と、これら
の合計に対して3重量%の二水石膏を混合し、全固体原
料に対して水/固体比0.79になるように水を添加し
てスラリーとした。このスラリーを40℃に加熱して、
離型剤を塗布したJIS R 5201のモルタル強度
試験用型枠(10cm×10cm×40cm;鉄筋を配
置していない)に注入した。この型枠を湿度80%およ
び温度50℃の雰囲気中に10時間おいて、スラリーを
予備硬化させた。予備硬化体を脱型して、オートクレー
ブにて180℃で7時間蒸気養生を行って、硬化体を得
た後、各物性測定を行った。その結果を表2に示す。絶
乾比重は0.88であった。粉末X線回折の結果、明確
なトバモライトの回折線は観察されず、最強線は石英の
(101)回折線であった。
【0051】軽量気泡コンクリートに対する最大気泡径
の体積分率は、50〜200μmで1vol%以下、2
00〜300μmで1vol%以下であった。気体透過
率試験結果は0.10m4/sec・kgであり、従来
の軽量気泡コンクリート及び実施例1,2に比べ低い値
であった。乾燥試験結果は、硬化体の絶乾状態を基準と
した含水量が、20±2%になるまでに85時間かか
り、実施例1に比べて50時間、比較例4に比べて65
時間も乾燥時間が増加した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の軽量気泡コンクリートは、軽量
かつ高い圧縮強度及び保釘力有し、表面平滑性に優れ、
さらには気体透過率を一定上に保持でき、乾燥時間が短
いという特徴を有することから、壁、床、屋根、間仕切
り材等に好適であり、産業上大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水銀圧入法における微分細孔分布の対数1/4
値幅算出方法の説明図である。 (A):実施例1の微分細孔分の最大値の1/4の高さ
における対数分布幅の算出例。 (B):比較例1の微分細孔分の最大値の1/4の高さ
における対数分布幅の算出例。
【図2】粉末X線回折における、Ia、Ibの算出方法
の説明図である。 (A):実施例1に対するIa、Ibの算出例。 (B):比較例1に対するIa、Ibの算出例。
【図3】本発明で用いる気泡発生装置の概略図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C04B 111:40 C04B 111:40

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大径300μmを越える気泡が実質的
    になく、かつ最大径50μm以上200μm以下の気泡
    の体積分率が20vol%以上30vol%以下であ
    り、かつ最大径200μm以上300μm以下の気泡の
    体積分率が2vol%以上15vol%以下であり、か
    つ嵩比重が0.3以上0.7未満であることを特徴とす
    る軽量気泡コンクリート。
  2. 【請求項2】 水銀圧入法で測定される微分細孔分布の
    最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.4以上
    1.2以下であることを特徴とする請求項1または2に
    記載の軽量気泡コンクリート。
  3. 【請求項3】 少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰
    質原料と硫酸アルミニウムもしくはその含水物と水及び
    起泡剤を含む水溶液を、固体原料の総重量に対する使用
    した全ての水の重量比が0.9以上2.5以下になるよ
    うに混合してスラリーを得た後に、該スラリーを、気泡
    を含まないスラリーの単位容積に対する、気泡含有させ
    た後のスラリーの単位容積が1.1倍以上1.35倍以
    下になるように気泡発生装置中で処理し、該気泡含有ス
    ラリーを型枠に注入し、予備硬化した後にオートクレー
    ブ養生することを特徴とする軽量気泡コンクリートの製
    造方法。
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