JP5579608B2 - セメント系配合物 - Google Patents

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Description

セメント系配合物および製品
関連出願の相互参照
本出願は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれている米国仮出願第60/976992号の優先権の利益を主張するものである。
水和セメント系配合物は、硬化のために水熱条件に曝露される場合が多い。
残念なことには、結晶質シリカは、セメント系配合物で使用される典型的な成分であるが、不十分なポゾランであり、カルシウムと十分反応することによってトバモライト(tobermorite)、すなわち、セメントにおける重要なケイ酸カルシウム水和物相の1つを形成しない。
概要
上述のように、本発明は、一般に、セメント系配合物の分野に関し、詳細には、配合物の改良、ならびにかかる配合物から物品、材料および製品を形成することに関し、1つまたは複数の実施形態では、水熱反応を受けることによって硬化する改良された配合物を提供する。
本明細書で提供される多様な実施形態中には、配合物で提供される1つまたは複数の反応物のポゾラン挙動を強化する配合物が存在する。本明細書の配合物は、通常水和環境で提供される少なくとも1つのカルシウム源、反応物およびフィラーを含む。用途に応じて、追加の成分を含み、操作することによって配合物の必要な特性をさらに定めることができる。
ある種の実施形態では、反応物は、含量、粉砕度、セメント−シリカ比が改変される結晶質シリカ、アルミナ源、フィラー源、変形物またはそれらの組合せである。
1つまたは複数の実施形態は、セメント系配合物であって、反応物と、カルシウム源と、フィラーとを含み、マトリックス形成後の配合物において、酸化カルシウムと全二酸化ケイ素のモル比が約0.80〜1.80であり、配合物において、酸化カルシウムと残留二酸化ケイ素のモル比が約1.0〜8.0であり、硬化後の配合物において全二酸化ケイ素のモル比が配合物の任意の供給源由来の反応シリカの和であるセメント系配合物を含む。
さらなる他の実施形態は、セメント系配合物であって、強化反応物と、カルシウム源と、フィラーとを含み、反応物が、結晶質シリカを含み、硬化後の配合物において、酸化カルシウムと全二酸化ケイ素のモル比が約0.80〜1.80であり、配合物において、酸化カルシウムと残留二酸化ケイ素のモル比が約1.0〜8.0であり、全二酸化ケイ素のモル比が硬化後の配合物の任意の供給源由来の反応シリカの和であるセメント系配合物を含む。
さらなる実施形態は、セメント系配合物であって、強化反応物と、カルシウム源と、フィラーとを含み、反応物が、結晶質シリカおよびアルミナ源を含み、カルシウム含量と(SiO2+A123)含量の重量比が約0.50〜1.30であり、硬化後の配合物において、Alと[Al+Si]の重量比が約0.06〜0.14であるセメント系配合物を含む。
他の実施形態は、セメント系配合物であって、強化反応物と、カルシウム源と、フィラーとを含み、反応物が、結晶質シリカおよび触媒を含み、触媒が、反応物から1つまたは複数の電子を引き抜き、それによって反応物の結合強度を低減し、触媒が、塩化物塩、アルカリ土類金属の亜塩素酸塩、および/またはアルカリ亜塩素酸塩を含むセメント系配合物を含む。
さらなる実施形態は、セメント系配合物であって、強化反応物と、カルシウム源と、フィラーとを含み、反応物が、結晶質シリカおよび触媒を含み、触媒が、反応物から1つまたは複数の電子を供与し、それによって反応物の結合強度を弱め、触媒が、可溶性水酸化物、フッ化物、炭酸塩、硫酸塩、イソシアネートおよび/またはケイ酸塩を含むセメント系配合物を含む。
追加の実施形態は、セメント系配合物であって、強化反応物と、カルシウム源と、フィラーとを含み、反応物が、結晶質シリカおよび粘土を含み、粘土が、反応物の反応性を増加させ、配合物の硬化時間を増加させ、粘土が、ヒドロキシル化粘土を含むセメント系配合物を含む。
さらなる実施形態は、セメント系配合物であって、配合物の約30重量%以下で供給される結晶質シリカの強化反応物を含み、反応物が、添加剤の存在下で水熱硬化中に反応し、添加剤が、添加剤を含まない等価の配合物と比較して配合物の硬化時間を増加することによって反応性を強化させるセメント系配合物を含む。
当業者であれば、図面と連携して以下に続く詳細な説明を読めば、他の重要な態様と一緒に上記の特徴および強化形態をさらに理解するであろう。
詳細な説明
特許請求の範囲によって規定された本発明は、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解することができる。その説明は、本明細書に含まれた表を参照しながら読まれるものとする。この詳細な説明は、例示のための特許請求された主題事項の例に関するものであり、本発明の範囲を限定するものでは決してない。本明細書で議論される多様な実施形態は、本発明を作製し使用するための単なる例示法であり、本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書に記載の配合物は、ポゾラン(反応物)、カルシウム源およびフィラーの間の反応に基づく。本明細書における適切で典型的なポゾランまたは反応物は、一形態では、結晶質シリカ(例えば、石英のシリカ)として提供されるシリカである。
ポゾランが、カルシウム源の存在下にあると、ケイ酸カルシウム水和物のマトリックスが形成されることは一般に理解されよう。残念なことには、結晶質シリカは、非常に不十分なポゾランであるので、この環境では十分に反応しない。結晶質シリカは、セメント系配合物のフィラーとして通常使用される不活性で比較的非反応性の材料である。不活性材料または反応性が不十分なポゾランに基づくことは、マトリックス形成のために非常に大量の材料が必要になることを意味する。結果として、かかる不十分なポゾランによって形成されるマトリックスでは、大部分のポゾランが未反応で残る(一般に、その全質量の70%超を構成する)。かかるポゾランが、セメント系配合物中に大量に存在し(例えば、配合物の40重量%または50重量%または60重量%を超えて)、反応性が不十分なポゾランである場合−このことは、シリカ質の砂で作製された最近の配合物では普通である−、大部分の形成マトリックスは、その後フィラーとして挙動する未反応ポゾランからなる。
粗砕結晶質シリカ粒子は、水熱条件下でセメント系配合物中で調製された場合、ポゾラン反応性が非常に不十分である。一般に、全質量の20%を少し超える表面層を構成する粒子の外側の小部分が、こうした条件下では実際に反応するのみである。これは、粒子の大きな体積を未反応中心として残し、フィラーとして働くことになる。したがって、最終組成物が水熱硬化後に必要な強度を実現するために、比較的大量のシリカ量(全重量の40%を超え、場合により60%を超える)を配合物中に組み込む必要がある。大量の未反応結晶質シリカは、その不十分な性能のために多くの点で望ましくなく、したがって、大きなポゾラン体積、大量の原材料およびかかる大体積の材料用の貯蔵が必要になる。特に水熱条件下で、結晶質シリカのポゾラン反応性を強化する必要性が依然として残存する。
本明細書に記載のセメント系配合物は、ポゾランの反応性および溶解を強化し、それによって配合物中に必要な実際のポゾラン量を低減する好ましい添加剤を用いてまたは用いないで反応性の高いポゾランで調製される。加えて、かかる調製は、硬化後のマトリックス中の残留(未反応)ポゾラン含量を低減するための手段を提供する。
1つまたは複数の好ましい実施形態では、強化ポゾランは、ポゾランの反応性が増加する配合物において提供される。反応物の反応性は、その表面積を改変することによって意図的に改良される。反応性を強化するための手段として、反応物粉砕、カルシウム源および/またはアルミナ源に関する比、フィラーの種類および/またはその供給源に関する比、1つまたは複数の好ましい添加剤の添加およびそれらの組合せに関する効果が挙げられる。1つまたは複数の実施形態では、ポゾラン(反応物)は結晶質シリカである。結晶質シリカなど本明細書に記載の反応物の反応性の意図的な変更は、セメント系材料、物品または製品用の有用な配合物を提供することが判明している。
本明細書に開示の1つまたは複数の実施形態によれば、例えば、1つまたは複数の触媒、消泡剤、アルミナ源の形態の好ましい添加剤の多様な組合せを、本明細書に記載のセメント系配合物中に含ませることによって硬化時の配合物の反応物の反応性および/または好ましい特性が強化される。
シリカは、一般に、二酸化ケイ素(SiO2)からなる天然産の鉱物を指す。二酸化ケイ素は、結晶質と非晶質の双方の形態で存在する。50重量%を超える、しばしば60重量%または70重量%を超える結晶質シリカが、通常、最近の(従来の)セメント系配合物で使用される。結晶質シリカは、石英、クリストバライトまたはトリジマイトの形態でもっともしばしば存在し;かかる形態は、しばしば相関しており、温度および圧力の異なる条件下で一方から他方に変化することができる。結晶質シリカのもっとも普通の形態は石英である。石英それ自体は、2つの異なる形態:α−石英およびβ−石英で産出する。もっとも普通の形態はα−石英であり、これは、火成岩(例えば、花こう岩、ペグマタイト)の主成分であり、ならびに砂岩および堆積岩(例えば、粘板岩、頁岩)中に多く産出する。石英はまた、多くの合成形態でも存在する。結晶質シリカの他の形態として、スティショバイト(stishovite)、モガナイト(moganite)およびコーサイトが挙げられる。
ポゾランは、セメント系配合物で結晶質シリカとして供給される場合、好ましくは、25重量%未満、好ましくは、20重量%未満、好ましくは、15重量%未満、好ましくは、10重量%未満(全乾燥重量基準)で存在する。一部の実施形態では、結晶質シリカは、約5%以下の量で配合物に添加することができる。他の形態で供給される場合、シリカ含量は、好ましくは、25重量%未満、好ましくは、20重量%未満、好ましくは、15重量%未満に留まる。一部の実施形態では、シリカ含量は、5重量%または約5重量%から最大約15重量%であってよい。
セメント系配合物中にポゾランとして供給される場合、本明細書に記載の反応性シリカなどの反応物は、カルシウム源と相互作用を行う。反応物は、反応性が強化されるように改変されるので、調製時の本明細書の配合物は、形成マトリックス中にみられる残留シリカ含量の量は大幅に減少する。残留シリカがマトリックスの50%および60%にもなる他の公知の配合物(例えば、当技術分野で公知のまたは作製された典型的な水熱硬化セメント系配合物)と比較して、一度硬化した本明細書の配合物は、残留(未反応)シリカが好ましくは、15%未満、10%未満または5%未満である。一部の実施形態では、残留シリカ含量は無視することができる。
結晶質シリカに加えて、本明細書に記載の反応物は、アルミニウム鉱石からなどの酸化アルミニウム(A123)の任意の形態のアルミナ源、水和アルミナ材料、1つまたは複数のポゾランおよび/または熱的もしくは化学的脱水酸基化によって安定化されたものを含めてのアルミノシリケートなど、1つまたは複数の添加剤をさらに含むことができる。アルミナ源の例として、限定されないが、アルミナ三水和物および粘土(脱水酸基または他の形態)が挙げられる。本明細書の1つまたは複数の実施形態では、シリカ(例えば、反応物)は、好ましくは安定化形態で(例えば、粘土、脱水酸基粘土、スラグ)アルミノシリケートとして供給される。アルミナ源は、通常、約0.25%〜10重量%である。アルミナ源は、6重量%未満であっても4重量%未満であってもよい。一部の実施形態では、アルミナ源は、3重量%未満であってよい。反応物が、アルミナ源を含む結晶質シリカである場合、シリカとアルミナの比は(重量%で)、5:1、4:1であり、3:1、2:1または1:1であってもよい。追加の実施形態では、シリカとアルミナの比(重量%で)は、1:2、1:3、1:4、1:5であってよく、1:10という高いものであってもよい。
本明細書に記載の反応物は、フィラーおよびカルシウム源と合わせることによってセメント系配合物が提供される。適切なフィラーは、それ自体が一般に反応性でなく、反応物と異なり、一般に、実質的に溶解しない材料である。フィラーは、完全に不活性であっても、部分的に不活性であってもよい。部分的に不活性なフィラーの例は粘土である。フィラーはまた、その中にフィラーが供給される配合物の水和に対してほとんど影響しない石灰質材料も含むことができる。適切な例として、炭酸カルシウムまたは石灰石、膨張パーライト、タルク、スラグ、石灰、ドロマイト、粘板岩ダストおよび輝緑石ダストが挙げられる。一部の実施形態では、石灰質材料は、反応物材料(例えば、シリカ質石灰石堆積物)を含むことができることも理解されよう。随伴非粘土鉱物もフィラーとしてみなすことができる。石灰が配合物中に供給される場合、大幅な量が消費され、石灰がセメント系反応中に遊離し、それによって、硬化後に起きる石灰華(lime blooming)を低減する。この石灰華は、硬化が水熱条件下である場合、通常発生する。
適切なフィラー材料は、乾燥配合物の約20〜80重量%または25〜70重量%または30〜65重量%の範囲の量で添加される。一部の実施形態では、フィラー量は、60重量%未満であっても50重量%未満であってもよい。フィラーの粒径は、通常1.5mm未満である。非常に微細な粒子のフィラーが、最近および公知のセメント配合物で使用されるが、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、好ましいフィラーはより粗い粒径を有してもよいことが分かっている。好ましくは、フィラー材料は、50ミクロン未満、好ましくは30ミクロン未満の平均粒径を有する。フィラーは、一般に、低密度であり、立方メートル当たり約90〜130キログラム(kg/m3)である。
カルシウム源は、通常、水硬性結合剤(例えば、セメント、クリンカ、ポルトランドセメント、高炉スラグ)として供給される。水硬性結合剤それ自体は、石灰石(通常、5質量%未満)、フライアッシュ、粘土、頁岩、砂、造粒鉄スラグ、または他の典型的な二次原材料のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。一部の実施形態では、水硬性結合剤は、シリカに富む結合剤(例えば、ビーライトセメント)である。有用な結合剤の例は、水和によって凝結する無水クリンカまたはスラグである。フィラーは、カルシウム源としても働く。追加または代替のカルシウム源として、非水硬性結合剤(例えば、水和または非水和の天然セメントである石灰含有材料)が挙げられる。数種の実施形態では、配合物中のカルシウムとシリカの比は、配合物が水熱条件下で硬化する場合、1.0に近いまたは約1.0である。しかし、比は、以下で説明されるように、反応物の量、その特性およびその反応性を考慮する場合、調整することができる。
通常、乾燥混合物中のカルシウム源は、約20〜95重量%の量であり、約30〜90重量%であってよい。1つまたは複数の実施形態では、カルシウム源は、35重量%を超え、85重量%未満である。しばしば、カルシウム源は、約1〜150ミクロンの平均粒径であり、100ミクロン未満または50ミクロン未満であってよい。カルシウム源は、約200〜450m2/kgまたは約250〜400m2/kgの粉末度指数(fineness index)を有してよい。
シリカ質材料を密度改変剤として本明細書に記載の配合物に添加することによって硬化配合物のかさ密度を下げる場合、その材料は、反応物として使用されるものと同じでも異なっていてもよい。或いは、一部の好ましい実施形態では、ケイ酸カルシウム水和物(CSH)を添加することもできる。
本明細書に記載の配合物は、繊維材料および/または上記のものに対する追加の化学的な添加剤をさらに含むことができる。他の化学的な添加剤は、硬化後の配合物の水分の移動を保持または減少すること、ならびに、セメント系配合物またはそれから形成される材料の加工性、耐久性および全体的な性能を改良することの助けになる。配合物中に組み込む場合、かかる添加剤は、乾燥配合物の約5〜50重量%、または10〜40重量%または15〜30重量%の量である。適切な化学的添加剤として、特に限定されないが、1つまたは複数の密度改変剤、分散剤、鉱物酸化物、水酸化物、金属酸化物、粘土、シリカフュームもしくは非晶質シリカ、地熱シリカ、難燃剤、バイオサイド、増粘剤、顔料、可塑剤、着色剤、分散剤、発泡剤、凝集剤、防水添加剤、減水添加剤、凝結速度改変剤、収縮補償剤(shrink compensators)、凝結促進剤、凝結遅延剤、ガス形成剤、空気同伴剤(air entraining agents)、硬化剤、ろ過助剤、雲母、珪灰石(wollastonite)、およびポリマー添加剤(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ポリエステルポリビニルアセテートおよび/またはポリスチレンのポリマーおよびコポリマー;メチルセルロース;ポリマー樹脂エマルジョンおよびそれらの混合物)が挙げられる。
ある種の実施形態では、繊維材料は、硬化前の配合物に添加することができる。繊維材料として、合成繊維および/または天然繊維(例えば、針葉樹および広葉樹由来のまたは非木材セルロース繊維などのセルロース繊維)および/またはロール、ベールおよび/または繊維化(例えば、ハンマーミル解砕または精製した)におけるパルプ由来の繊維を挙げることができる。かかる繊維は、脱リグニン化、漂白(部分的または他の方法)および/または処理によってなど適切に改変することができる。繊維処理として、クラフト法など当業者に公知の方法が挙げられる。適切な繊維の例として、セルロース繊維、セラミック繊維、グラス繊維、ミネラルウール、スチール繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ビスコース、ナイロン、PVC、PVA、レーヨンなどの合成ポリマー、ガラス、セラミック、炭素またはそれらの任意の混合物が挙げられる。
本明細書に記載のように、少なくとも強化ポゾランと、カルシウム(Ca)源と、フィラーとを含むセメント系配合物が存在する。多数の実施形態では、ポゾランは、ケイ素(Si)含有反応物である。ケイ素含有反応物は、やはり反応性を強化するアルミナ(Al)源など1つまたは複数の添加剤をさらに含むことができる。一部の実施形態では、反応物は結晶質シリカである。追加でまたは代替として、反応物は、アルミノシリケートである。前記成分をセメント系配合物と合わせると、硬化後に一定の割合に合うように元素比が選択される。特に、かかる割合は、水熱条件下で理想的に合う。比は、反応酸化物を基準にし、以下が挙げられる:
約0.50〜1.30または約0.60〜1.10または約0.70〜0.90のCaと(SiO2+A123)の重量比;
約0.06〜0.14または約0.07〜0.12または約0.08〜0.10のAlと[Al+Si]の重量比;
約0.80〜1.80または約1.00〜1.80または約1.20〜1.60のCaOと[全SiO2]のモル比であって、全SiO2が任意の供給源(非晶質および結晶質源を含めて)由来の反応シリカの和を指すモル比;および
約1.00〜8.00または約1.50〜5.00または約2.0〜3.0のCaO[残留SiO2]のモル比であって、残留SiO2が硬化後の1つまたは複数の結晶質シリカ源由来の反応シリカを指すモル比が挙げられる。
反応物が結晶質シリカである場合、水熱硬化後の残留結晶質SiO2含量(全重量に対して)は、5%〜30%または25%未満または20%未満であってよい。残留結晶性SiO2はまた、10%未満または無視できるほど少なくてもよい;残留SiO2は、硬化後の1つまたは複数の結晶質シリカ源由来の反応シリカである。
セメント系配合物は、通常、セメント系物品、材料および/またはセメント系複合製品になるように製造される。一般に、かかる物品、材料または製品を製造する好ましい方法は、水性媒体中に強化反応物、カルシウム源およびフィラー材料を供給することによって反応混合物を形成するステップを含む。成分は、通常、水性媒体中に乾燥形態で供給されるが、成分すべてが乾燥形態である必要はない。反応混合物は、成型物品にプレフォームされても、単純にプレ硬化してもよい。プレ硬化は、必須ではないが、多数の実施形態では、これは、成型物品に対して好ましいステップである。というのは、プレ硬化は、成型物品に安定性を与えることが分かっており、欠陥(例えば、ブリスター、ランダム膨張)を減少し、後期の硬化を促進する場合がある。大きさと形状に応じて、有用なプレ硬化時間は、成型後約2時間〜成型後約48時間、または成型後約6〜24時間、または成型後12時間未満である。一部の実施形態では、プレ硬化時間は、成型後最大約8時間であってよい。プレ硬化反応混合物(成型されたまたはその他の仕方で)は、次いで、水熱条件下でさらに硬化する。さらなる硬化後、混合物は、成型されても、さらに成型(プレフォームの場合)されてもよい。
一部の好ましい実施形態では、水性媒体は水である。かかる実施形態下では、反応混合物用の成分は、通常、プレ硬化の前に水性ミックスとして一緒に1回分にまとめられる。次いで、1回分にまとめられた反応混合物は、さらなる処理の前に、プレフォームされるか、そうでないかのいずれかである。一部のさらなる処理ステップでは、水性スラリーの場合、反応混合物の水含量が小さい方が有用である場合があることを理解されたい。実際、押出しなどのプロセスでは、反応混合物は、ペーストの形態であってよい。スラリーとペーストの中間の変形形態は、所望に従って調製されることになり、かかる変形形態は、過度の実験をすることなく作製される。
反応混合物をプレフォームする場合、混合物はグリーン物品(green article)に成形される。当業者に公知の多数のプロセスはいずれも、グリーン物品を形成するために有用であり得る。かかるプロセスとして、Hatschekプロセス、押出し、Mazzaパイププロセス、Magnaniシートプロセス、Fourdrenier法、射出成形、ハンドレイアップ、モールディング、流し込み、フィルタープレス、フローオンマシーンまたはロールプレス法が挙げられる。グリーン物品が形成された後、処理は、プレス、エンボスなどの追加のポスト成形プロセスを含むことができる。一例として、本明細書でさらに記載のセメント系配合物は、Hatschek法によって製造された。
成形されたグリーン物品は、水熱硬化など公知の硬化方法を使用して硬化する。1つまたは複数の実施形態では、水熱硬化は、オートクレーブに基づく。オートクレーブを使用する水熱硬化は、適切な温度および圧力条件を提供することが分かっている。適切なマトリックスは、成形物品の所望の強度特性に対して選択することができる(例えば、必要に応じてのトバモライト(tobermorite)含量の最大化など適切なCSH相の形成)。
数種の実施形態では、成形グリーン物品は、さらなる硬化の前にプレ硬化される。プレ硬化の一例は、成形グリーン物品を室温で数時間凝結させることである。
本明細書に記載のある種の配合物の驚くべき成果は、水熱条件下で反応混合物において提供される場合、反応混合物は、反応物とカルシウム源との反応の引金を引くことによって、トバモライト(Ca5Si6(O,OH)18・5H2OまたはCa5Si616OH2・4H2O)および加藤石(katoite)(アルミン酸三カルシウム6水和物としても知られているCa3A12(SiO41.5OH6またはハイドロガーネット(hydrogarnet))など高度CSH相が形成され、これらはセメント系マトリックスの強度寄与相を強化することである。本明細書に記載のある種の配合物では、寸法変化がほとんどなく、水分含量の変動がほとんどなく、公知で望ましい使用のための適切な機械強度を有する安定化マトリックスを形成することができる。
従来技術は、セメント系配合物が、乾燥固体重量基準で66重量%もの大量の選択された中間粉砕シリカをしばしば含むことになることを教示する。したがって、市販の配合物が、通常、中間粉砕シリカ(ブレーン値350m2/kgまたは約21ミクロン以上のメジアン粒子直径[d50]を有するシリカ粒子)に基づく場合、1つまたは複数の実施形態において、本明細書の配合物は、微粉砕シリカ(例えば、約5ミクロン〜15ミクロンのd50)を含むことができる。粉砕が微細になればなるほど、部分的には、反応物の表面積および硬化中にカルシウム源と相互作用を行う反応サイトを増加させるシリカ粒子の部分的な非晶質化(例えば、場合によっては非結晶質形態までの結晶性の部分的な変化)のために反応性がますます良好になる。
多数の実施形態では、本明細書に記載の反応性シリカは、ブレーン値500m2/kgを超え、ブレーン値700m2/kg以上である。本明細書の配合物は、反応性の強化に応じてしばしば、非常に少量の反応物を含む場合がある。多数の実施形態では、微粉砕シリカが、配合物の全乾燥重量に対して40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満または10重量%未満の量で配合物に添加される。本明細書で使用される微粉砕シリカは、通常、直径が20ミクロン未満、またはd50が15ミクロン未満もしくは10ミクロン未満である。一部の実施形態では、有用な高反応性シリカは、d50が約5ミクロンである。微粉砕シリカは、直径が約5ミクロンを超え、約15ミクロン未満であってよい。
上述したように、本明細書に記載の1つまたは複数の手段によってポゾランの反応性を増加させると、好ましい配合物に添加される反応物の最初の含量(量)が減少し、また硬化後に残存する未反応部分の残留含量も減少する。一例が表1に示されており、反応性の劣る中間粉砕石英シリカ(ブレーン値350m2/kg;21ミクロンのd50)を有する第1の配合物(A)が、高反応性微粉砕石英シリカ(ブレーン値700m2/kg;13ミクロンのd50)を有する数種の強化配合物(B、C、D)と比較されている。比較配合物はすべて(B、C、D)、同量のカルシウム源としてのセメントおよび同量の添加剤およびアルミナ源としてのAH3を有し、微粉砕石英シリカの量が異なっている。最初のシリカの%は、全乾燥成分に対する重量%である。配合物はすべて、水と水和し、残留シリカ含量および反応性を求める前に同じ水熱条件下で硬化した。残留含量は、定量X線粉末回折(XRD)によって求める。反応性は、存在する全シリカをケイ酸カルシウム水和物に転換した量と比較することによって評価する。
Figure 0005579608
別の例では、寸法250mm×250mm×8mmの繊維強化された本明細書記載のセメント系配合物のフィルターパッドを後加圧なしで調製した。この記載された例および他の記載された例用のフィルターパッドをHatschek法をシミュレートする公知のベンチスケール設計物に基づいて調製した。要約すれば、ボードとしてのプロトタイプを、表2に示したそれぞれの配合物を最初に混合し、ホバートミキサーを使用して均一なスラリーを形成することによって製造した。それぞれのスラリーを適切なプレスを用いて約3500psiで2つの鋼製脱水プレートの間で1分間圧縮することによって一体シート(約10’’×l0’’)を形成した。スラリーを鋼製ワイヤメッシュスクリーン(30〜40USメッシュ−スラリーミックスの下部およびトップに置いた)で支持し、鋼製フレーム金型中に置いた。シートを約12時間プレ硬化し、飽和蒸気環境、加圧条件下、高温(170〜I90℃)で約8時間オートクレーブ処理した。
表2、3および4を参照すると、対照である配合物Eは、高濃度の中間粉砕結晶質シリカ(53.25重量%、25ミクロンのd50)で作製された典型的なセメント系配合物である。配合物Eでは、反応物がこのように大量であるので、その反応物は、主として、フィラーとして働いた。水和アルミナとしてのアルミナ源も、配合物Eでは3.50重量%で供給した。対照配合物は、配合物Eと同じアルミナ源(2.75重量%の水和アルミナ)に加えて反応物としての15重量%の微粉砕結晶質シリカ(13ミクロンのd50)と、39.75重量%の石灰石としてのフィラーとを含む本明細書に記載の代表的な配合物(F)と比較した。使用した反応物が不十分なポゾランであるために、反応性を強化する試みのために対照配合物(E)ではアルミナがより高かった。双方の配合物に対して、同じカルシウム源の同じ量を供給した(35重量%)。加えて、双方の配合物に対してセルロース繊維の形態で繊維強化を実施した。それぞれの配合物に対する主成分を表2に示す;%はすべて、乾重量におけるものである。
Figure 0005579608
上記のようにプロトタイプに成形した配合物EおよびFを、3点曲げ強度(屈曲)分析および破壊係数(MOR)分析にかけた。分析用のサンプルは、190×50mmであり、分析は、飽和および乾燥条件下で行った。
曲げ(屈曲)強度は、20℃で約24時間水中に浸漬した後に測定した。これは、飽和MOR値を推定するのにも使用することができる。屈曲強度はまた、サンプルを20℃、相対湿度60%で乾燥した後に測定した。これは、乾燥MOR値を推定するのにも使用することができる。最終曲げ強度値は、3個または4個のデータポイントの平均として求めた。
さらに、240×24mmのサンプルを使用して、試料の収縮または水分移動を試験した。本明細書に記載の水分移動は、飽和条件下および乾燥条件下で測定した(例えば、水熱乾燥後)場合の全長の変化である。水分移動における%変化は、以下の式(1)で与えられる。
Figure 0005579608
飽和サンプルの最初の長さは、最長約48時間水中に浸漬した後に測定した。最後の長さは、サンプルを環境チャンバで105℃で乾燥した後に測定した(サンプル質量の変化が0.1%未満の時に、長さを測定した)。サンプルの炭酸化水分移動についても評価した。これは、サンプルをチャンバ中で二酸化炭素ガスにさらした前後で求める。収縮値は、2つ以上の試料の平均として測定した。サンプルの曲げじん性(flexural toughness)(最大荷重点までに試験用サンプルが吸収した単位体積当たりの全エネルギー)も試験した。
表3Aは、配合物Eまたは配合物Fから調製した代表的なサンプルに対する機械的特性を例示する。表は、本明細書に記載の配合物が、繊維セメントボードを調製するのに従来から使用される典型的なセメント系配合物(E)と比較して望ましいことを例示する。加えて、繊維補強量の低減が、本明細書に記載の改良配合物において可能であった。本明細書に記載の配合物(F)から調製したプロトタイプ中の水分移動は、より良好であり、そのために対照配合物と比較して寸法安定性が強化された。配合物Fが対照配合物(E、表2を参照されたい)と比較して水和アルミナ含量が21%少ないという条件では、この結果は全く予想外である。
Figure 0005579608
硬化後のシリカの反応性および結晶質シリカ含量(残留含量)を上記のように評価した。表3Bは、硬化前後のシリカ含量を例示する。反応シリカは、硬化前の配合物中の最初のシリカ含量から硬化後の残留シリカを差引いた重量%として同定される。シリカの反応性は、反応シリカを硬化前の配合物中の最初のシリカ含量で除したものである。マトリックス相(例えば、トバモライトまたは加藤石(katoite))は、X線回折データに基づいて評価した。
Figure 0005579608
表3Aおよび3Bは、最初の結晶質シリカ含量を大幅に低減した本明細書に記載の配合物(15重量%のシリカ含量、d50=13ミクロン)が、シリカに富む対照配合物(E)(53.25重量%のシリカ含量)に匹敵する曲げ強度を示すことができることを例示する。配合物Fは、配合物Eと比較して、反応シリカにおける約35%の低減、トバモライト含量における約45%の低減、および加藤石含量における約45%の増加(アルミナに富む結晶相)を示した。
表4Aおよび4Bは、反応物の反応性の増進(例えば、表面積の増加および/またはメジアン粒径の低減)によって通常不活性フィラー材料とみなされるもの(例えば、石灰石)の使用を増加させ、形成マトリックスの機械的特性を改良することが可能になることを示す。
Figure 0005579608
表4Aは、普通ポルトランドセメントの形態で供給されたカルシウム源と、粗い石灰石(粉砕して200メッシュを通過)として供給されるフィラーと、反応物とを含む追加の配合物(F2〜F7)を示す。反応物は、中間粉砕シリカ(21ミクロンのd50)、微粉砕シリカ(4ミクロンのd50)または超微粉砕シリカ(1.5ミクロンのd50)のいずれかであった。フィラーは、配合物F2、F4およびF6におけるシリカ含量の減少に対応するように調整した;全固体含量は、それぞれの配合物について同じであった。配合物はすべて、機械的ミキサー中で乾燥材料を水と混合してスラリーペーストを形成することによって調製し、温度約173℃の温度で蒸気オートクレーブで約8時間硬化した。硬化後、サンプルは、室温まで冷却し、酸不溶解残分および圧縮強度は、表4Bに示すように測定した。それぞれの配合物に対する主成分は、表4Aに示し、重量部で表す。
Figure 0005579608
表4Bは、それぞれの硬化製品の酸不溶解残分を示し、この残分は、残留する結晶質シリカ量(残留含量)の指標である。驚くべきことに、より多い量の不活性フィラーと組み合わせて表面積の増加した(粒径がより小さい)反応物がより少ない量である場合、圧縮強度がより大きかった(配合物F3およびF5)。したがって、適切な不活性フィラーと組み合わせて反応物の反応性が改良されると、成形製品に機械的特性が与えられる。加えて、例は、フィラーおよび反応物含量(および反応物の大きさ)はそれぞれ、所望の強度特性を備えた所望の製品に到達するように所定の方式で操作できることを示す。
それとともに、表1〜4は、本明細書に記載の強化配合物が、調製される際に、混合物中で適切で所望の反応を実施することを例示する。かかる配合物はまた、硬化時に、セメント系製品のために望ましい強度および耐久性も提供する。加えて、本明細書に記載のかかる配合物は、残留結晶質シリカを含む結晶質シリカの含量が大幅に少ないまたはより少なく、そのために、構造上の利点が、成形された現存のセメント系製品に匹敵するまたは潜在的に良好である。
したがって、本明細書に記載のセメント系配合物を使用すると、数種の利点が存在する。かかる配合物は、マトリックスを形成するためのセメント系反応を改良し、硬化中に反応物(例えば、結晶質シリカ)の反応性を強化し、硬化もしくはさらに硬化された材料、物品または製品中の残留反応物(例えば、結晶質シリカ)含量を低減する。
加えて、または代替の実施形態として、本明細書の配合物の反応性は、反応物に好ましいアルミナ源を提供することによって強化することができる。既に議論したように、好ましいアルミナ源として、限定されないが、アルミナ三水和物および粘土(脱ヒドロキシル化または他の形態)を挙げることができる。1つまたは複数の実施形態では、アルミナ源は、10重量%未満または6重量%未満または4重量%未満である。一部の実施形態では、アルミナ源は、3重量%未満であってよい。
さらなる例では、フィルターパッドのベンチスケール解析を既に記載したのと同様に実施した。フィルターパッドは、表5に記載した配合物を使用して調製した。その場合、微粉砕シリカ含量および/またはアルミナ含量は、所望の特性を提供するように調整した。パッドの寸法は、250mm×250mm×8mmであった。配合物はすべて、微粉砕結晶質シリカ(d50=13ミクロン)を用いて調製した;しかし、配合物H、IおよびJ中の反応物量は、配合物Gにおける60重量%超と比較して10重量%であった。したがって、配合物G中の大量の反応物は、反応物およびフィラー双方として働いた。配合物H、IおよびJはそれぞれ、石灰石の形態の追加のフィラーを供給された。カルシウム源は、配合物すべて(G〜J)について同じであり、ポルトランドセメントとして提供された。配合物すべてに対するアルミナ源は、水和アルミナまたは粘土のいずれかであった。この例では、粘土は、脱ヒドロキシル化粘土(メタカオリン)の形態であった。セルロース繊維の形態の繊維強化は、配合物すべて(G〜J)について同じであった。こうした配合物のそれぞれに対する主成分は、表5に示す;%はすべて乾重量である。
Figure 0005579608
配合物G〜Jは、フィルタープレスされ(表2〜4で既に記載されたように)、高温で(170〜190℃)8時間オートクレーブ中で硬化した。サンプルは、既に記載されたように、機械的に(3点曲げ)および物理的に(炭酸化前および後の水分移動および密度)評価した。代表的なデータを表6に示し、データは、少なくとも3つのサンプルから平均した。表は、本明細書の配合物が、匹敵する物理的および/または構造的特性を提供し、それぞれが改良された反応性を提供することを例示する(表7を参照されたい)。反応性シリカの量を低減し、好ましいフィラーで置換することによって、機械的および物理的特性(例えば、歪みおよび水分移動)をさらに改良することができ、前記配合物によって製造された製品の密度に対して望ましくない効果をほとんど及ぼさないようにすることができる。
Figure 0005579608
配合物G、H、IおよびJから製造したサンプルのマトリックスのシリカ反応性およびシリカ含量に対する分析(少なくとも2つ以上のサンプルの平均として提供される)を表7に示す。使用した手順は、表4に記載のものと類似であった。表は、反応性が、アルミナ源をアルミナまたは粘土のいずれかの形態で提供することによってさらに強化されたことを示す(配合物H、I、Jを参照されたい)。したがって、残留シリカは、アルミナ源が提供した反応性の強化によって劇的に低減した;アルミナ源としてのアルミナと粘土の双方によって、所望の物理的および機械的特性が提供された(表5を参照されたい)。アルミナ源の添加はまた、最初の配合物で使用した最初の反応物(例えば、結晶質シリカ)の量をより大きく低減することを可能にする。
Figure 0005579608
アルミナは、反応性を改良するための酸化物源を提供する。一例として、反応酸化物比の点で、配合物Hは、Ca/(SiO2+A123)重量比が0.91;Al/[Al+Si]重量比が0.10;CaO/[全SiO2]モル比が1.63;およびCaO/[残留結晶性SiO2]モル比が3.31であった。興味深いことには、配合物Hはまた、70%という最大のシリカ反応性を示した。
加えて、または代替形態として、本明細書の配合物の反応性は、反応物に好ましいフィラーを提供することによって強化される。既に議論したように、好ましいフィラーは、それ自体が反応性ではなく、反応物と異なり、溶解しない材料である。フィラーとして、炭酸カルシウムまたは石灰石、粘土、膨張パーライト、タルク、スラグ、石灰、ドロマイト、粘板岩ダストおよび輝緑石ダストを挙げることができる。
さらなる例では、配合物K、LおよびMを使用して、フィルターパッドの物理的、構造的、および化学的/反応特性のベンチスケール解析を(既に記載したのと同様に)実施した。フィルターパッドは、250mm×250mm×8mmであった。対照配合物(K)は、反応物とフィラーの双方として働く高濃度の不十分な反応物(60重量%超の中間粉砕結晶質シリカ、d50=25ミクロン)を用いて調製した。配合物LおよびMは、微粉砕結晶質シリカ(d50=13ミクロン)の反応性ポゾランおよび石灰石のフィラーAまたは空冷スラグのフィラーBのいずれかを用いて調製した。配合物はすべて、ポルトランドセメントと同じカルシウム源および水和アルミナの形態の同じアルミナ源を含んでいた。使用した反応物が不十分なポゾランであるので、アルミナは、対照配合物(K)においてより多くなった。配合物K、LおよびMに対する主成分を表8に示す;%はすべて、乾燥重量である。
Figure 0005579608
配合物K、LおよびMに伴う機械的および物理的特性(曲げ特性、水分移動および密度)を表9Aに示す。配合物LおよびM双方は、強度、歪み、水分移動および密度について匹敵し、望ましい特性を提供した。
Figure 0005579608
結晶質シリカのシリカの反応性および化学含量を表9Bに示す。配合物LおよびMはそれぞれ、結晶質シリカ含量および反応性の点で望ましい化学特性を提供した。上述したように、強化反応物がアルミナ源および好ましいフィラーとともに提供された場合、シリカの反応性が強化された(配合物LおよびMを参照されたい)。したがって、残留シリカの量が、配合物LおよびMでは大きく低減し、その場合、中間粉砕シリカなど不十分なポゾランではなくて、好ましいフィラーを使用した。
Figure 0005579608
記載の配合物は、本明細書の配合物が、反応性を改良するために酸化物源を提供することを示す。一例として、反応酸化物比の点で、配合物Lは、Ca/(SiO2+A123)重量比が0.82;Al/[Al+Si]重量比が0.08;CaO/[全SiO2]モル比が1.43;およびCaO/[残留結晶性SiO2]モル比が2.59であった。配合物Lは、シリカの反応性が大きく、約60%であった。
加えて、または代替形態として、反応性は、配合物のアルカリ性によって改良される。反応性の大きいシリカは、通常、10を超える、11を超える、または12もしくは13を超えるpHを有する水性環境で提供される。高アルカリ環境によってシリカのポゾラン活性が改良され、溶解性の増大が可能になり、それによって残留含量が減少する。
一例では、表10Aで開示されたようなセメント系配合物が提供された。すべての配合物において、水:固体の比は1.0であった。配合物はすべて、普通セメントとして供給された同じ量の同じカルシウム源、石灰石として供給された同じ量の同じフィラー、アルミナ水和物として供給された同じ量の同じアルミナ源、および微粉砕シリカ(20.6ミクロンのd50)または超微細シリカ(7.0ミクロンのd50)のいずれかとして供給された同じ量の反応性結晶質シリカを含んでいた。配合物D7およびE5は、新鮮な水道水で調製した。配合物D8およびE6は、新鮮な石灰水で調製した。配合物D3〜D6、E3およびE4は、熟成された。その場合、スラリーは、石灰水中で約4日間静置された。配合物D4、D5、D6およびE4では、pHは、水酸化ナトリウムで調整した。
Figure 0005579608
強度および残留シリカ含量は、既に記載したのと同様に求めた。より高いpH水準での強度の維持およびより高いpHでの残留シリカの反応性の低減を示すデータを表10Bに示す。
Figure 0005579608
加えて、または代替形態として、反応物の反応性および溶解は、反応物と1つまたは複数の触媒とを含む配合物で強化される。本明細書に記載の触媒は、反応物の活性化エネルギーを低下することによってポゾランとしてのその反応性を促進し、カルシウム源との表面反応性を強化する有機または無機の化合物である。触媒は、反応物(例えば、シリカ)から電子を引き抜き、それによって電子密度を減少させ、結合強度(例えば、Si−O結合)を減少させる第1の群であってよい。適切な電子求引性触媒は、例えば、カルシウムの塩化物塩(CaCl2)、アンモニウムの塩化物塩(NH4Cl)、リチウムカルシウム(lithium calcium)(LiCl)、ニッケルの塩化物塩(NiCl2)、および他のアルカリ土類金属の塩化物、ならびにアルカリ亜塩素酸塩である。
適切な触媒の第2の群は、1つまたは複数の電子を反応物(例えば、シリカ)に供与し、隣接する水酸化物イオンの電子移動(OH、水酸化物ジャンピングとも呼ばれる)と合わさった場合に反応物(例えば、Si−O)の結合強度を弱める電子供与体である。電子供与触媒の例は、水酸化物(例えば、水酸化カリウム[KOH]、酸化リチウム(lithium oxide)[LiOH]、水酸化ナトリウム[NaOH])、およびフッ化ナトリウム(NaF)、炭酸ナトリウム(NaCO3)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、イソシアン酸ナトリウム(NaSCN)、ケイ酸ナトリウム、炭酸リチウム(Li2CO3)、塩化リチウム(LiCl)、ケイ酸リチウムならびに他の可溶性水酸化物、フッ化物およびイソシアネートなどのさまざまなナトリウム、カリウムおよびリチウム含有触媒である。
電子求引性触媒は、通常、配合物が反応物とカルシウム源とを含む場合に提供される。電子供与触媒は、通常、配合物がアルミナ源を含む反応物とカルシウム源(例えば、酸化カルシウムまたはカルシウム含有水硬性結合剤)とを含む場合に提供される。両方の種類の触媒は、温度に対して敏感であり、反応時間を減少させ、最初の反応物含量および残留反応物含量を減少させる。配合物中の触媒含量(全乾燥成分に対して)は、通常、10%未満であり、4%未満または3%未満であってもよく、2%未満であってもよい。触媒は、消泡剤(例えば、分散剤)と組み合わせて提供することによって水熱条件下の配合物において全体の活性を改良し、泡形成を低減することができる。本明細書に記載のセメント系配合物に触媒を添加することによって、硬化後の残留シリカ含量の低減が促進され、配合物に最初に添加されるシリカの表面積を大幅に低減する必要がなくなる。一形態では、粘土も、触媒に似た挙動をする場合がある。
触媒挙動の一例を表11Aに示す。配合物O〜Vは、強化反応物(反応物と触媒)を用いて調製し、残留反応物含量は、60重量%(全乾燥成分に対して)における中間粉砕石英シリカ(ブレーン値350m2/kg;25ミクロンのd50)である反応物としての不十分なポゾランを有する対照配合物(N)と比較して評価した。残留シリカ含量は、すべての望ましい配合物(O〜V)において通常約40%、50%またはそれ以上減少した。前記配合物(O〜V)では、反応物は、40重量%における微粉砕石英シリカ(ブレーン値700m2/kg;13ミクロンのd50)であった。配合物はすべて、セメントとして供給された同じカルシウム源であり;比較の配合物も、AH3と同じ量で供給されたアルミナ源を含んでいた。比較の配合物はそれぞれ、異なる触媒を含んでいた。配合物はすべて、水で水和し、残留シリカ含量を求める前に同じ水熱条件下で硬化した。残留シリカ含量は、XRD、直線較正、および標準添加法を使用して既に記載したのと同様に求めた。
Figure 0005579608
表11Bは、温度が本明細書に記載の反応物の触媒活性化に対して影響を及ぼすことを示す。さらには、反応時間(硬化時間として)は、表11Bで分かるように、触媒によって大幅に減少し、硬化時間が、温度188℃で8時間からわずか3.5時間まで減少した。実際、残留シリカ含量は、わずか15度の温度上昇と65%を超える硬化時間の減少で大幅に(50%を超えて)減少した(188℃と比較した173℃の値を参照されたい)。追加の7度の温度上昇で(195℃と比較した188℃の値を参照されたい)、残留シリカ含量は、検出不能になった。したがって、触媒は、水熱硬化に対する指標である最高温度に到達する時間を低減するように思われる。表11Bでは、残留シリカ含量は、本明細書に記載の配合物(W)では195℃で検出不能であったが、対照配合物では、295℃まで検出不能にならなかった。約188℃を超える温度では、残留シリカ含量は、40重量%(全乾燥成分に対して)における微粉砕石英シリカ(ブレーン値700m2/kg;13ミクロンのd50)の反応物とLi2CO3触媒(1.3重量%で)とを含む配合物(W)で無視できるか、または検出不能であった。配合物W(触媒を含む)を対照配合物(触媒なし)と比較した。双方が、60重量%において、同じ粒径および中間粉砕シリカ含量であった(ブレーン値350m2/kg;25ミクロンのd50)。配合物はすべて、通常のカルシウム源としてのセメントとアルミナ源としてのAH3とを含んでいた。
Figure 0005579608
記載の他の例のように、触媒は、配合物がスラリーまたはペーストのいずれであるかに拘らず反応性を強化する(データは示さず)。電子求引性触媒を添加することによって反応性が増進した例(例えば、塩化物含有触媒)を、配合物YおよびZにおいて表12Aに、配合物BBおよびCCおよびDDにおいて表12Bに、配合物EEおよびFFにおいて表12Cに示す。
表12Aを参照すると、配合物は、反応物(d50が1.6ミクロンである結晶質シリカの形態で)と触媒と水酸化カルシウムの形態のカルシウム源とを含む乾燥成分として調製した。反応物およびカルシウム源は、比1:1(乾燥重量基準)で供給し、触媒は、表に示す量で添加した。これとともに、乾燥成分は、比1:3(重量/体積)で水と混合することによって反応混合物が形成された。対照配合物(X)は、同じカルシウム源と触媒なしの反応物とを含む反応混合物を含んでいた。反応混合物それぞれは、約30分間さらに混合することによって均一なスラリーを形成し、容器に移し、約180℃で16時間水熱処理をした。オートクレーブ処理した混合物は、ガラスビーカーに排出し、60℃で終夜乾燥した。乾燥したときに、粉末は、約2分間グラインダで粉砕し、X線回折(XRD)分析のために試料ホルダー上に装填して結晶質シリカ含量を定量した。回折計は、45kVおよび40mAに設定し、走査条件は、ステップサイズが0.02°でステップ当たり1秒であった。シリカ含量は、当業者に公知の直線較正法を使用して求めた。触媒は乾燥成分として供給し、重量%で与えられている。
Figure 0005579608
表12Aは、塩化物含有触媒が、反応性を改良し、残留シリカ含量および本明細書記載の配合物によって形成されるマトリックスを低減することを示す。塩化カルシウム(配合物Y)は、対照配合物(X)と比較して残留シリカ含量を936%低減し;塩化アンモニウム(配合物Z)は、対照配合物(X)と比較して残留シリカ含量を90%低減した。
表12Bの配合物は、約40重量%の同じ反応物(d50が13ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物AAを除く)と、約60重量%の水酸化カルシウムの形態のカルシウム源と、約3重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源とを含む乾燥成分として調製した。それとともに、乾燥成分は、水と混合することによってスラリーの反応混合物が形成された。反応混合物はそれぞれ、約30秒間さらに混合し、容器に移し、約170℃で8時間水熱処理した後に約60℃で終夜乾燥した。乾燥したとき、粉末は約2分間粉砕し、既に記載の類似の設定および較正を使用してXRDによって分析した。
配合物BBおよびCCでは、触媒は、乾燥成分として供給し、表12Bでは重量%で与えられた。双方の配合物BBおよびCCは、配合物中に触媒を含むことによって、触媒のない配合物と比較して、結晶質シリカ反応物の反応性が少なくとも47%改良されることを示した。
Figure 0005579608
表12C用の配合物は、約16重量%の同じ反応物(d50が7.0ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物DDを除く)と、約35重量%のポルトランドセメントの形態のカルシウム源と、約2重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源と、約42重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50である)とを用いて調製した。それとともに、乾燥成分は、石灰水と混合することによってスラリーの反応混合物が形成され、表12Bによって既に記載されたのと同様に加工した。反応性は、既に記載されたのと同様にXRDによって評価し、触媒のない配合物と比較して触媒を有する配合物すべてで改良されたことが分かった。
Figure 0005579608
電子供与触媒(例えば、OH-およびNa、KおよびLi含有触媒)もまた、本明細書に記載の配合物中の反応物の反応性を大幅に改良する。例を表13A〜13Gに示す。配合物は、スラリー/ペースト(表12A〜Cで記載のものと類似の方法を使用して)として調製するか、またはフィルターケーキ(表13Cおよび13D)もしくはフィルターパッドに成形した(表13E、13Fおよび13G)。
表13Aの配合物は、表12Bに記載したのと同様に調製した。乾燥成分は、約40重量%の同じ反応物(d50が13ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物GGを除く)と、約60重量%の水酸化カルシウムの形態のカルシウム源と、約3重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源とを含んでいた。それとともに、乾燥成分は、水と混合することによってスラリーの反応混合物が形成された。反応混合物はそれぞれ、約30秒間さらに混合し、容器に移し、約170℃で8時間水熱処理をした後に約60℃で終夜乾燥した。乾燥したとき、粉末は約2分間粉砕し、既に記載の設定および較正を使用してXRDによって分析した。配合物はすべて(HH〜MM)、触媒が、本明細書に記載の配合物中の結晶質シリカ反応物の反応性を改良することを示した。反応性は、触媒のない配合物と比較して少なくとも80%以上改良された。Li2CO3は、反応性を186%増加させ;LiOHは、反応性を157%増加させ;Na2CO3は、反応性を183%増加させ;NaOHは、反応性を140%増加させ;KOHは、反応性を82%増加させ;Na2SO4は、反応性を88%増加させた。
Figure 0005579608
表13Bの配合物は、表12Cに記載したのと同様に調製した。配合物はそれぞれ、約16重量%の同じ反応物(d50が7.0ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物NNを除く)と、約35重量%のポルトランドセメントの形態のカルシウム源と、約2重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源と、約42重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50)とを含んでいた。乾燥成分は、石灰水と混合することによってスラリーの反応混合物が形成された。配合物はさらに処理して、表12Cに記載のものと同様にXRDによって分析した。反応性は、触媒のない配合物(NN)と比較して触媒を有する配合物すべてで改良された。Li2CO3は、反応性を85%増加させ;LiOHは、反応性を67%増加させ;ケイ酸カリウム(例えば、KASIL−6、PQ Corporation、Philadelphia、PAの登録商標)は、反応性を300%増加させ;D型ケイ酸ナトリウムは、反応性を163%増加させ;8−Kすなわち、ケイ酸Liは、反応性を92%増加させ;25−ケイ酸Liは、反応性を47%増加させ;NaOHは、反応性を35%増加させた。
Figure 0005579608
表13Cでは、フィルターケーキは、約13重量%の反応物(d50が7.0ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物VVを除く)と、約35重量%のポルトランドセメントの形態のカルシウム源と、約2重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源と、約50重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50)とを含む(乾燥基準で)基本配合物を用いて調製した。配合物YYおよびA3はまた、1重量%の粘土も含み、配合物ZZおよびB3は2重量%の粘土を含んでいた。乾燥成分は、手で一緒に混合し、石灰水を添加することによってケーキスラリーの反応混合物が形成され、この反応混合物は、次いで別のもう1分間機械的に混合した。ケーキスラリーは、541ろ過紙を用いて漏斗中に注がれ、その表面が液体を含まなくなるまで真空ろ過された。フィルターケーキはそれぞれ、直径が約4インチであり、厚さが約1インチであった。ケーキは室温で約18〜24時間硬化し、270℃超で8時間さらに硬化した。硬化後、ケーキはそれぞれ、室温で約48時間水に浸漬され、次いで、半インチの立方体に切断され、表に示した圧縮強度分析それぞれに少なくとも6個の立方体に基づいて、その一部分を使用して圧縮強度試験を実施した。それぞれのケーキの残りの部分を105℃で終夜乾燥し、既に記載のXRDによって残留結晶質シリカ含量を分析した。圧縮強度の評価のために、制御された閉鎖力(closing force)をかけることができる機械的装置に連結した対向プレート間にサンプルを入れた。プレートが閉じると、破壊するまで材料によって抵抗力が供給され、その後、抵抗が終了する。圧縮強度は、最大抵抗力である。
表13Cの触媒含有配合物はすべて、反応物の反応性を増進し、形成されたセメント系マトリックス中の残留シリカ含量を大きく減少させることが分かった。加えて、配合物は、成形物品の構造的特性(例えば、圧縮強度)を操作するために所望に応じて特異的に変更できた。
Figure 0005579608
表13Dでは、フィルターケーキは、表13Cに記載したのと同様に調製した。フィルターケーキそれぞれは、約45重量%の反応物(d50が13ミクロンまたは約13ミクロンであるケイ砂)と、触媒(配合物C3を除く)と、約40重量%のポルトランドセメントの形態のカルシウム源と、0重量%のアルミナ源と、約45重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50)とを含む(乾燥基準で)基本配合物を有していた。触媒含有配合物(E3、F3、G3)に対して、多様な量の消泡剤を、それぞれ、0.17、0.67および1.33重量%で含ませた。配合物すべてで、石英スラリーを最初に粉砕することによって所望の粒径を実現し、それに対して、乾燥形態の追加の成分を添加した。スラリーの乾燥重量は、水と比1:1(重量/体積)であった。次いで、スラリーをろ過して、表13Cに記載のと同様にケーキに調製した。切断立方体は、圧縮強度分析およびXRDによる残留シリカ含量のために使用した。
表13Dの触媒含有配合物はすべて、反応物の反応性が少なくとも50%と大きく強化され、形成されたセメント系マトリックス中の残留シリカ含量を大きく減少させることが分かった。消泡剤を添加すると、圧縮強度が改良された。例えば、砂を粉砕し、触媒を添加すると、反応性が53%増加し、ケーキ強度が29%減少した。0.17%の消泡剤の存在下で触媒を含む反応物を浸漬すると、反応性が83%増加し、ケーキ強度が増加した。したがって、本明細書の配合物は、成形セメント系物品の構造的特性(例えば、圧縮強度)を操作するために所望に応じて特別に変更することができる。
Figure 0005579608
表13Eでは、フィルターパッドを調製して評価した。フィルターパッドそれぞれは、約15重量%の反応物(d50が13ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物H3を除く)と、約30重量%のポルトランドセメントの形態のカルシウム源と、約2重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源と、約42重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50)と、7重量%のセルロース繊維の形態の強化用繊維を含む(乾燥基準で)基本配合物を有していた。配合物すべてで、セメント、アルミナ、反応物および添加剤成分を乾燥形態で混合した。この混合物に対して、水と固体の比が約0.5で石灰水中に浸漬しておいた紙繊維を添加した。繊維セメント混合物を10分間混合することによってスラリーが形成され、鋼製フレームモールドに加えられ、トップとボトムで鋼製ワイヤメッシュスクリーンに支持された(30〜40USメッシュ)。次いで、適切なプレスを用いて1分間3500psiで2つの鋼製脱水プレートの間で混合物を圧縮することによって厚さ約8mmの10”×10”の一体シートが形成された。このシートを少なくとも約12時間、プレ硬化し、約8時間、加圧下、飽和蒸気環境下で高温で(270℃を超える)オートクレーブ処理した。硬化後、シートを切断して150mm×150mmサンプルにし、破壊係数(MOR)および弾性係数(MoE)について飽和サンプル(saturated specimens)で機械的な試験を実施する前に約24時間〜48時間水中に浸漬し;分析は、適切なMTS機を使用する3点曲げに対して既に記載のものと同様であった。それぞれのパッドの別の部分を、105℃で終夜乾燥し、粉砕して粉末となし、XRDによって残留シリカ含量を分析した。
MORおよびMOEについては、約170mm×8mm(正方形上で)の飽和サンプルを3点曲げ試験にかけた。要約すれば、サンプルを2つの円柱状支持台上に置き、力を中心にかけて破壊するまで曲げを引き起こした。かけた力、および漸増的にかけた力に対する試料の曲げを測定した。長方形プレートに対する破壊係数(MOR)および弾性率(MOE)を当業者に公知の公式から算出した。
NaOHを除けば、表13D中の触媒は、一般に、反応性を増進し、示したように成形後のマトリックス中の残留結晶質シリカ含量を低減した。NaOHは、その大きな溶解度のために効果がない場合がある。加えて、成形材料の機械的特性(例えば、MORまたはMoE)は、変化したが、これによって、本明細書に記載の配合物は、所望のように操作することができ、セメント系物品を調製するために有用であることが分かる。
Figure 0005579608
表13Eで記載したフィルターパッドの調製と同様に、追加のフィルターパッドを、表13Fに示すように、約15重量%の反応物(d50が7ミクロンである結晶質シリカ)と、触媒(配合物O3を除く)と、約30重量%のポルトランドセメントの形態のカルシウム源と、約2重量%のアルミナ水和物の形態のアルミナ源と、約42重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50)と、7重量%のセルロース繊維の形態の強化用繊維を含む(乾燥基準で)基本配合物を用いて作製した。表13Eに記載されているように、飽和パッドサンプル(saturated pad specimens)の破壊係数(MOR)および弾性率(MoE)を機械的に試験し、ならびにXRDによって残留シリカ含量を試験した。
表13Fの触媒は、反応性を増進し、成形マトリックス中の残留結晶質シリカ含量を低減した。加えて、成形材料の機械的特性(例えば、MORまたはMoE)は、変化したが、これによって、本明細書に記載の配合物は、所望のように操作することができ、セメント系物品を調製するために有用であることが分かる。
Figure 0005579608
反応物(d50が7ミクロンである結晶質シリカ)が10重量%で供給されることを除いて、表13Gの配合物を調製するために、表13Fに記載のものと同じ一般的な配合物を使用した。配合物はすべて、約42重量%の炭酸カルシウムの形態のフィラー(約25ミクロンのd50)および7重量%のセルロース繊維の形態の強化用繊維に加えて(表13F)、触媒(配合物R3を除く)を含んでいた。配合物X3は、2重量%の粘土も含んでいた。飽和パッド供試体の破壊係数(MOR)および弾性率(MoE)を機械的に試験し、ならびにXRDによって残留シリカ含量を試験した。
表13Gの触媒はすべて、反応性を増進し、硬化後の成形マトリックス中の結晶質シリカ含量を低減した。加えて、成形材料の機械的特性(例えば、MORまたはMoE)は、変化したが、これによって、本明細書に記載の配合物は、所望のように操作することができ、セメント系物品を調製するために有用であることが分かる。
Figure 0005579608
表13E〜13Gでは、数種の発見事項が存在した。例えば、LiOHおよびKOHは、結晶質シリカの反応性を増加するのに有効であり;双方の触媒は、一般に、触媒を含まない対照配合物に比較してパッドの強度を保持する。NaOHは、反応性を増進するためにしばしば非常にわずかしか寄与しないが、セメント系物品の強度を保持した。ケイ酸カリウム(例えば、Kasil−1)は、反応性を増加させ、強度を低減した。ケイ酸ナトリウムのD型は、ケイ酸リチウムと同じように反応性を増加させ、強度を低減または保持した。粘土(例えば、モンモリロナイト粘土)は、触媒活性を増進したので、シリカの反応性を増進し;粘土は、ケイ酸カリウムの活性を改良したが、セメントケーキの強度を保持または低減した。粘土は、ケイ酸ナトリウムの活性を改良し、成形セメントケーキの強度を保持し;追加の粘土の添加は、シリカの反応性をさらに増加させたが、成形セメント物品をさらに強化しなかった。
粘土は、触媒活性用の添加剤としておよび/または一種の触媒として作用することができる。加えて、および一部の実施形態では、粘土は、シリカおよびSiO2の供給源になることができる。粘土は、通常、約2%から30%もの結晶質シリカからなる。粘土は、表14で示したようにカルシウム源として供給される場合、セメントと反応する。表14では、配合物Y1およびY2は、シリカ含量が低い粘土(例えば、ベントナイト粘土)を含む。粘土は、反応物として供給され、最初の配合物(Y1)でまたは硬化後(Y2)に添加された。Y1では、乾燥成分の混合物は、水に添加し、機械的に混合し、約0.3トン/平方インチの圧力下でワイヤメッシュを通して漉された(strained)(生成ミックスが約30部の水および70部の固体になるまで)。次いで、ミックスは、水熱硬化にかけた(約8時間、最高約170℃の温度までの蒸気を用いて)。乾燥物品は、室温まで冷却し、XRDによって評価した(表15を参照されたい)。配合物Y2では、粘土は、最初の混合物から排除し、硬化後およびXRD分析の前にのみ、乾燥成分として添加した。かかる条件下では、粘土は、通常、室温で反応せず、したがって、対照として働く。配合物はそれぞれ、普通セメントとしてのカルシウム源と、粗い石灰石のフィラー(200メッシュを使用して)と、ベントナイト粘土の形態の同じ量の粘土と、精製パルプとして供給されたセルロース繊維の形態の強化用繊維とを含んでいた。
Figure 0005579608
表15は、トバモライトがY1を用いて形成され、Y2では存在しないが、水酸化カルシウム(例えば、ポルトランダイト(Portlandite))およびモンモリロナイト(元の粘土相)がY2で形成され、これによってこの配合物にはトバモライトが形成されるための十分な反応時間がなかったことが分かる。明らかに、Y1は、少量の遊離石英シリカしか含まない粘土が、適切な反応を形成し、トバモライトという重要なケイ酸カルシウム水和物相を形成するのに十分であることを示す。
Figure 0005579608
別の例では、粘土は、粘土がより大きい結晶質シリカ含量を有する多様な配合物で反応物として供給した。表16では、カオリンの形態で、約30%の結晶質シリカを有する粘土を多様な量で添加した(組合せが100部になるように、ポルトランドセメントとして供給したカルシウム源との関連で調整した)。表16の配合物は、表14に対して記載されたように加工した。
Figure 0005579608
表17は、表16の配合物においてXRDによって同定された相を示す。単独の粘土は、不十分なポゾランであり、トバモライトが全く形成されない不十分に形成されたマトリックスがもたらされる。本明細書に記載の配合物中に供給された場合、粘土はカルシウム源を含む反応物として供給され、優れたポゾランになる。実際、粘土がカルシウム源と一緒に適切に供給された場合、トバモライトおよびハイドロガーネット(hydrogarnet)の相が増加することが分かった。セメントと天然粘土の比(重量で)が1:1、2:1および3:1では、形成マトリックスは、主として、トバモライトおよびハイドロガーネットであった。セメントと天然粘土の比が、2:1超または3:1以上である場合、形成マトリックス中の残留粘土含量は、検出不能の濃度に到達した。本明細書で分かったように、反応性が増加すると、形成マトリックス中の残留粘土含量は、減少した(例えば、カルシウム源と粘土の間の反応の増加を介して)。
Figure 0005579608
ある種の粘土の追加の利点は、多数の粘土が、アルミノシリケート構造(例えば、カオリナイト粘土)としてのアルミナを含むことである。したがって、粘土は、カルシウム源との反応においてシリカ含有反応物の供給源として供給することができる。フィラーおよびアルミナ源などの追加の添加剤も、適切であれば、所望のセメント系配合物のある種の実施形態において供給することができる。
表18を参照すると、3つの配合物が、カルシウム源、アルミナ源およびフィラーとともに、シリカ含有反応物として供給された粘土を用いて調製された。それぞれの配合物(A4、A5およびA6)では、粘土含量を、粗い石灰石(200メッシュを通過した)の形態の第1のフィラー(フィラーA)とカウンターバランスさせた(was counter balanced)。粘土は、配合物A4、A5およびA6用の反応物として働いた。粘土は配合物A3には含まれておらず、このA3は、反応物が約60重量%の粗いシリカ砂(200メッシュ通過)として供給されている対照配合物として働いた。配合物A3では、反応物含量が大きいので、反応物は、フィラーと反応物双方として働き、追加のフィラーは含まれなかった。しかし、配合物A3に対して、アルミナ水和物の形態のアルミナ源が、添加されたので、配合物はすべて、アルミナ源を供給された。配合物はすべて、普通セメントの形態のカルシウム源と、精製セルロースパルプ由来のセルロース繊維の形態の強化用繊維とを含有した。成分は、乾燥形態で添加し、機械的ミキサーを使用して水と混合し、約0.3トン/平方インチの圧力下でワイヤメッシュを通して漉されることによって過剰の水を除去し、約30部の水および70部の固体である組成物を実現した。
Figure 0005579608
表18のセメント系配合物は、表14に記載のものと同様に、硬化し、酸不溶残渣技法および定量X線回折を使用して、残留石英含量を分析することによって未反応シリカ含量を明らかにした。加えて、硬化製品それぞれの一部分の飽和最終強度(saturated ultimate strength)および飽和最終歪(saturated ultimate strain)を双方とも曲げモードにおいて評価し(既に記載したのと同様の3点曲げ分析を使用して)、ならびに炭酸化前後の水分移動を評価した(表19)。表19は、反応物としての粘土が、アルミナ三水和物を伴うシリカ砂と比較して、セメント系製品に対してより優れてはいなくても匹敵する構造特性を提供することを示す。さらには、粘土を含む配合物は、反応性が大きいので、それから形成されるマトリックスが非常に少ないおよび/またはごくわずかな残留石英含量を有する。粘土とフィラーの比は、所望のように調整することによってマトリックスの望ましい構造的および/または化学的特性を実現することができる。したがって、反応物として粘土を含む本明細書の配合物は、シリカ砂を用いて既に作製したセメント系配合物のための好ましい代替物になり得る。実際、粘土は、カルシウム源およびフィラーと一緒に、粘土がより劣る反応物で置換されている組成物と比較して、それから形成された製品の化学的および機械的特性を保持または凌駕する(配合物A3を参照されたい)。
Figure 0005579608
少なくとも1つの形態では、触媒の挙動と同様に、粘土は、本明細書に記載の配合物用のカルシウム源を含む反応の反応性を増進することになる。粘土が、反応性を促進するための反応物および添加剤として供給される場合にこれが行われる。粘土は、反応性を増進するのみでなく、水熱条件下でセメント系配合物の反応時間(硬化時間として)を低減し、水熱硬化中のピーク温度までの時間を低減する。この例は、表19および20で提供される。
表19を参照すると、配合物の反応性を改良するための促進剤としての粘土は、粘土を含まない類似の配合物(B3)と比較して配合物B4で供給される。双方の配合物では、反応物は、砂(d50が約20μm)として供給され、カルシウム源は、普通セメントであり;市販の高範囲減水剤(high range water reducer)の形態の促進剤(accelerating agent)も双方の反応を促進するために双方の配合物に添加された。表19および20の量はすべて、重量部である。表20では、配合物B6〜B8は、2つの異なる促進剤、すなわち、粘土(B6およびB7)または市販の高範囲減水剤(high range water reducer)(B8)のうちの1つを含有し、促進剤はすべて、同じ重量部を提供するために添加された。これらの3つの配合物を促進剤を含まない対照配合物(B5)と比較した。表20の配合物はすべて、普通ポルトランドセメントである同じ量の同じカルシウム源、同じ量の粗い石灰石と同じフィラー、セルロースパルプの形態の同じ強化用繊維、およびプロセス助剤の形態の同じ量の添加剤を含有した。かかる配合物すべての反応物はまた、同じであり、砂の形態であった(d50が約20μm)。
表19および20の配合物すべてで、粘土は、モンモリロナイト粘土の形態であった。次いで、成分のすべてを混合することによって、スラリーを形成し、断熱カロリメータ内に置き、最高温度(T)に到達する時間および反応の最高温度(最初の48時間内)を記録した。表20は、本明細書に記載の改良反応物(例えば、粘土)を有する配合物では、反応速度がより速く、ピーク温度が、わずかに低いことを示す。
Figure 0005579608
Figure 0005579608
これとともに、表19および20は、粘土含量を本明細書に記載のセメント系配合物において操作することによって本明細書に記載の配合物の反応性および/または反応時間を改良することができることを示す。粘土は、カルシウム源と反応物とを含む配合物の反応性を増進する働きをし、50%を超えて、全体の反応時間を低減した(最高温度までの時間によって求める)。とりわけ、粘土の添加は、本明細書に記載の配合物の水和反応を改良し、促進することが分かった(例えば、B4、B6およびB7)。
さらなる別の例では、熱処理された粘土も本明細書に記載の配合物に供給することができる。天然モンモリロナイト粘土などの鉱物性粘土は、約2〜20重量%の範囲の石英含量を有する。かかる粘土はまた、そのアルミナ含量のためにアルミナ粘土と呼ぶこともできる。かかる粘土を熱処理すると、炭化水素汚染材料(例えば、有機物)が除去される。加えて、金属および塩などの無機物の体積および移動度も高温熱処理で除去することもできる。したがって、熱処理粘土は、より清浄であり、本明細書に記載の改良配合物用の反応物とアルミナ源双方を提供する。熱処理鉱物粘土の多様な鉱物およびシリカ特性を表21に示し、粘土の型Mは、モンモリロナイトである。
Figure 0005579608
表21からの熱処理粘土を使用して表22に示した配合物を調製した。それぞれの比較配合物では(D4〜D9)、表21からの粘土が、反応物として供給され、カルシウム源(普通ポルトランドセメントとして供給される)、粗い石灰石の形態のフィラー、および精製セルロースパルプとして供給されるセルロース繊維の形態の強化用繊維と混合される。対照配合物(D3)は、粘土を含まず、反応物とフィラー双方としてのシリカ砂(200メッシュを通過した)およびアルミナ三水和物の形態のアルミナ源に基づく対照配合物を表した。粘土はすべて、最高温度で1時間、最高900℃までの温度に曝露することによって最初に熱処理にかけて粘土の化学結合水を除去する。表22の材料は、乾燥成分を使用して部数で供給される。
Figure 0005579608
配合物は、機械的ミキサー中で乾燥材料を混合し、次いで、組成物が約30部の水および70部の固体になるまで、約0.3トン/平方インチの圧力下でワイヤメッシュを通して過剰の水を濾すことによって、処理した。この後に、約8時間、約170℃以上に到達する温度に設定された蒸気オートクレーブで硬化させた。室温まで冷却した後、表18に記載の酸不溶残分XRDを使用して、材料の残留石英含量を分析した。加えて、飽和最終強度(saturated ultimate strength)および飽和最終歪(saturated ultimate strain)(双方とも曲げモードにおいて)を評価し、ならびに既に記載の炭酸化前後の水分移動を評価した。データを表23に示す。
Figure 0005579608
表23から、熱処理粘土としての反応物に基づく配合物は、普通のセメント系配合物と置換できることが分かる。大幅に減少した残留シリカ含量に加えて、本明細書に記載の配合物によって、非常に優れていないまでも匹敵する曲げ強度および/または水分移動の低減がもたらされた。本明細書に記載の配合物(D6およびD7、それぞれ)で供給する場合、ナトリウム含有粘土(C6およびC7)によって、粗いシリカ砂を使用する対照配合物(D3)と比較してより大きい最終曲げ強度がもたらされた。
したがって、1つまたは複数の実施形態では、熱処理することができ、かかる配合物から形成する物品に必要である場合に適切な強度特性を有する改良セメント系配合物が本明細書に記載されている。本明細書に記載の配合物は、反応物としてのポゾランの反応性の増加に基づく。反応性は、粒子の表面積を増加させることによって、および好ましいアルミナ源、カルシウム源、フィラーおよび/または添加剤(例えば、触媒、消泡剤)の添加によって増加する。反応物を添加または選定することによって所望の最終製品の化学的性質および所望の強度(または他の機械的/物理的特性)にマッチさせることができる。本明細書に記載の反応物は、熱的に安定であり、水熱条件下の反応を実施することによって適切なマトリックス強度および相特性を有するセメント系製品を形成することができる。
結晶質シリカなど典型的に不十分なポゾランは、セメント源と容易に反応せず高強度特性を有するセメント系マトリックスを提供しないが、結晶質シリカの形態での本明細書に記載の反応物は、反応性、および成形製品に強度特性を提供するように設計される(engineered)と、良好な反応物である。さらには、記載されたように、成形製品は、反応性の程度に応じて(例えば、反応物の供給源および/または含量、アルミナ源、カルシウム源および/または添加剤)、トバモライトおよび/またはハイドロガーネット/加藤石含量が所望になるように設計する(engineered)ことができる。したがって、本明細書に記載のように、配合物は、多様な強度を有するセメント系材料、物品および製品を調製するように設計することができる(および、他の物理的および/または機械的特性)。
本明細書に記載のそれらの配合物および組成物は、石、粘土およびセメント製品などシリカを必要とする製品、ガラス、エナメル、セラミック製品ならびに釉薬に適している。本明細書の組成物はまた、研磨剤として、粉砕媒体として、クレンザー、建設材料において、コーティングのフィラーおよびエクステンダ(extender)として、木材もしくはセメントフィラーとして;ならびに化学薬品の製造においても有用である。
製造される配合物および組成物は、はるかに高い濃度の反応性の低いポゾラン(例えば、結晶質シリカ)を有する配合物および組成物と比較して、それに匹敵するまたはそれより優れた特性を示す。配合物は、マトリックスに対して所望の強度の寄与相を形成する反応性の高いポゾランを選択することによって、および硬化中の白華(blooming)を低減することによって(これは、本明細書に記載されていない典型的な石灰含有配合物で生ずる)硬化製品に適切な強度をもたらすように設計される。石灰白華(lime blooming)は、硬化配合物に対してコーティング上および接着上の問題、ならびに多数の例では、塗装時の表面脱色を引き起こす恐れがあるので、白華(blooming)の低減は、本明細書に記載の配合物を改良するために重要である。
本発明のステップに対する特定の代替形態が本明細書で記載されたが、特に開示されていないが当技術分野で公知の追加の代替形態も本発明の範囲内であるものとする。したがって、記載の実施形態を読み、添付の特許請求の範囲を考慮すれば、本発明の他の応用は当業者に明白であろうことを理解されたい。

Claims (10)

  1. シリカと、
    CaCl 、NH Cl、LiCl、NiCl 、KOH、LiOH、NaOH、NaF、Na CO 、Na SO 、NaSCN、Li CO 、K SiO 、Na SiO 、またはLi SiO と、
    カルシウム源と、
    フィラーと
    を含み、
    配合物の硬化後、酸化カルシウムと全二酸化ケイ素のモル比は0.80〜1.80であり、
    配合物の硬化後、酸化カルシウムと結晶質シリカ源由来の反応シリカのモル比は1.0〜8.0であり、
    全二酸化ケイ素は、結晶質および非晶質シリカ源由来の反応シリカの和を表し、
    配合物の硬化後、配合物中における結晶質シリカ源由来の反応シリカの含量は5〜30重量%である、
    セメント系配合物。
  2. 前記シリカが、配合物中に25重量%未満で供給され、ブレーン値500m2/kgを超える、請求項1に記載の配合物。
  3. 前記シリカが、結晶質シリカである、請求項1又は2に記載の配合物。
  4. 硬化後の配合物が、15%未満のマトリックス中の残留シリカ含量を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の配合物。
  5. 前記シリカは、直径が20ミクロン未満であり、d50が15ミクロン未満である、請求項1〜4の何れか1項に記載の配合物。
  6. 前記酸化カルシウムと全二酸化ケイ素のモル比は1.00〜1.60である、請求項1〜5の何れか1項に記載の配合物。
  7. 前記酸化カルシウムと全二酸化ケイ素のモル比は1.20〜1.60である、請求項1〜6の何れか1項に記載の配合物。
  8. 前記酸化カルシウムと結晶質シリカ源由来の反応シリカのモル比は1.50〜5.00である、請求項1〜7の何れか1項に記載の配合物。
  9. 前記酸化カルシウムと結晶質シリカ源由来の反応シリカのモル比は2.0〜3.0である、請求項1〜8の何れか1項に記載の配合物。
  10. 前記結晶質シリカ源由来の反応シリカの含量は30重量%である、請求項1に記載の配合物。
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