JP4863570B2 - 撥水性珪酸カルシウム硬化体 - Google Patents

撥水性珪酸カルシウム硬化体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水性を付与した珪酸カルシウム硬化体及びその製造方法と使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築物の軽量化への要望から不燃性かつ軽量な建築資材が求められている。この様な建材の代表的なものとしては、軽量気泡コンクリート(以下屡々「ALC」)および繊維補強珪酸カルシウム(以下屡々「ケイカル板」)が知られている。軽量気泡コンクリートおよび繊維補強珪酸カルシウムは、その内部に後述する様々な種類の気泡や空隙を内在し軽量化を図っている。
【0003】
これらの軽量気泡コンクリートや繊維補強珪酸カルシウムは、軽量かつ断熱性に優れているため、ビルまたは住宅の外壁材、床材、間仕切り材、屋根下地材として広く用いられている。しかし、一方ではその耐水性が劣り水を吸水し易いという問題がある。すなわち、嵩比重が0.4〜1.2では、体積の約50〜85%が空隙であり、この空隙に水が浸透し易く、水が入ると断熱性や強度が低下するだけでなく、炭酸化や凍害の促進を招き、亀裂などの問題を生じる場合がある。また、吸水と乾燥の過程で膨潤と収縮を繰り返し、亀裂の原因になる場合もある。
【0004】
一般に、軽量気泡コンクリートの吸水を防止する方法は、軽量気泡コンクリート表面への塗装である。しかし、軽量気泡コンクリートの表面は、切断時に形成される凹凸や気泡による凹凸が大きく、非常に多くの塗料を塗布しないと耐透水性能が得られない。また、現場塗装では、ピンホールなどができ易く、完全に吸水を防止することは非常に困難である。更には、工場塗装で予め軽量気泡コンクリート表面に完全な塗装を行っていても、軽量気泡コンクリートは、現場で切断加工する場合が多く、切断面から雨などの水が入り問題となる。このように、塗装では軽量気泡コンクリートの吸水の問題を十分に解消することが困難である。
【0005】
そこで、軽量気泡コンクリート自体の吸水速度を低減する方法として、特開昭58−55359号公報、特開平3−54175号公報において、軽量気泡コンクリート製造工程の原料スラリーにポリジメチルシロキサンを添加する方法が提案されている。しかし、このような方法では、軽量気泡コンクリートが吸水し易いという問題をある程度解決することはできるが、本質的に軽量気泡コンクリートの吸水を防ぐことはできず、軽量気泡コンクリートの吸水問題を解決したとは言えない。
【0006】
また、軽量気泡コンクリートに撥水性を付与する方法として、特開昭59−116465号公報において、軽量気泡コンクリート表面にアルコキシシランなどの撥水剤蒸気を接触させる方法が提案されている。しかし、この方法では、軽量気泡コンクリートに撥水剤蒸気を単純に接触させるだけであり、撥水剤は拡散により軽量気泡コンクリート内部空隙への浸透するのみであるので、本発明の比較例2に示すように、軽量気泡コンクリートの表面から3mm程度の深さまでは撥水性を有するものの、軽量気泡コンクリート内部までは十分な撥水性が得られない。
【0007】
また、同様に特開平6−271371号公報において、珪酸カルシウムを密閉容器に入れ減圧状態にした後、アルコキシシランの蒸気を流入させる方法が提案されている。しかし、この方法では、珪酸カルシウムを密閉容器に入れて減圧状態にしているものの、十分なアルキルアルコキシシラン蒸気が得られず、本発明に比較例3として記載したように珪酸カルシウムの内部まで十分な撥水性を有する、接触角100度以上の撥水層が得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量でありながら、建築材料として好適な高比強度、高比弾性率かつ弾性率あたりの高い圧縮強度を有しているだけでなく、珪酸カルシウム硬化体表面から内部に至るまで優れた撥水層を有する撥水性珪酸カルシウム硬化体、その製造方法および使用方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibがトバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14以上1.0未満であり、かつ水銀圧入法で測定された微分細孔分布において観測される最大ピークの対数1/4幅が0.4以上1.2以下である珪酸カルシウム硬化体を密閉容器に入れ加熱減圧(減圧後の圧力をPとする。)した後に、アルキルアルコキシシラン蒸気を流入させて、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内のアルキルアルコキシシラン蒸気圧を上記圧力Pより1000Pa以上高くすると、該珪酸カルシウム硬化体内部の中心部空隙表面にまで撥水層を形成させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、
1.主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibがトバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14以上1.0未満であり、かつ水銀圧入法で測定された微分細孔分布において観測される最大ピークの対数1/4幅が0.4以上1.2以下である珪酸カルシウム硬化体であり、かつ該珪酸カルシウム硬化体の表面および内部空隙表面に、一般式
1 n Si(OR 2 4-n
(ここで、R 1 は炭素数1〜18のアルキル基であり、R 2 はアルキル基である。nは1〜3の整数を表す。nが2以上の場合、R 1 同士は同じであっても異なっていても良い。nが1または2の場合、R 2 同士は同じでも異なっていても良い。)で表されるアルキルアルコキシシランを用いて形成される撥水層を有する珪酸カルシウム硬化体であって、該撥水層は、該珪酸カルシウム硬化体を入れた100℃〜210℃に加熱された圧力P1の減圧密閉容器内に、100℃〜210℃に加熱された蒸気圧P2の該アルキルアルコキシシラン蒸気であって、該蒸気圧P2は該圧力P1よりも高い状態で流入させることで形成されることを特徴とする珪酸カルシウム硬化体、
2.該撥水層は、該珪酸カルシウム硬化体を入れた100℃〜210℃に加熱された減圧密閉容器内に、100℃〜210℃に加熱された該アルキルアルコキシシランの蒸気を流入させることで形成されることを特徴とする前項1に記載の珪酸カルシウム硬化体
3. 該撥水層は、該珪酸カルシウム硬化体を入れた圧力P1の減圧密閉容器内に、該蒸気圧P2の該アルキルアルコキシシランの蒸気を、圧力P2が圧力P1よりも高い状態で流入させることで形成されることを特徴とする前項2に記載の珪酸カルシウム硬化体。
4.前記アルキルアルコキシシランがメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランから選択されるアルキルアルコキシシランである前項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
.アルキルアルコキシシランが、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種からなる前項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体、
.アルキルアルコキシシランが、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物である前項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体、
.アルキルアルコキシシランが、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物である前項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体、
.撥水層の水の接触角が100度以上である前項1〜7のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体、
.珪酸カルシウム硬化体の厚みが10〜200mmである前項1〜8のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体、
10.珪酸カルシウム硬化体とアルキルアルコキシシランの表面および内部空隙表面に、アルキルアルコキシシランの撥水層を有する軽量気泡コンクリートを製造する際に、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルコキシシランを用いる前項記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法、
11.密閉容器内に珪酸カルシウム硬化体を入れて加熱減圧した後(減圧後の圧力をPとする。)、アルキルアルコキシシランの蒸気を上記密閉容器内に流入し、該密閉容器内の圧力を圧力Pより1000〜100000Pa高くして、アルキルアルコキシシランを珪酸カルシウム硬化体表面および内部空隙表面に付着させる前項1〜9のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法、
12.前項1〜9のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体を、外壁材、床材、間仕切り材または屋根下地材として使用する珪酸カルシウム硬化体の使用方法、
である。
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における撥水性珪酸カルシウム硬化体とは、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面全体に、アルキルアルコキシシランから形成される撥水層を有する珪酸カルシウム硬化体である。
また、本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体とは、珪酸カルシウム化合物を含み、かつ硬化して得られる任意の形状を有する材料の総称であり、一般にコンクリート、硬化モルタル、軽量気泡コンクリート、ケイカル板、珪酸カルシウム板等を指す。
【0012】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体は、主としてトバモライト(5CaO・6SiO2・5H2 O)からなることが大きな特徴である。トバモライトは、軽量気泡コンクリート(ALC)などの組織中に通常見られる代表的な結晶性ケイ酸カルシウム水和物の1つであり、板状あるいは短冊状の粒子形態をとる。また、本発明において、珪酸カルシウム硬化体が主としてトバモライトからなるか否かは、珪酸カルシウム硬化体の破断面の走査型電子顕微鏡観察と粉末X線観察を併用することにより判断する。
【0013】
まず第一に、粉末X線回折において、トバモライトの最強線(220)を越える他の回折ピークが存在しないことである。ただしトバモライトとともに、結晶質シリカ、炭酸カルシウム、石膏が共存する場合、トバモライトが主体であっても、これら共存物質の高い結晶性のために、これらの物質の最強線がトバモライトの最強線を超える場合がある。そこで第二に、破断面を走査型電子顕微鏡観察を用いて、顕微鏡の設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察し、板状あるいは短冊状のトバモライト粒子が観察される面積割合の平均が50%以上あれば、主としてトバモライトからなるとする。
【0014】
また、上記面積割合の平均は、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。ここで粗大気泡部とは、粗大気泡および粗大気泡から周囲5μmの領域をいい、自由空間が存在するためにトバモライトが生成しやすい領域をいう。しかし、このような場合でも、粉末X線回折において、トバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibに対するトバモライト以外の高結晶性の共存物質、すなわち結晶質シリカ、炭酸カルシウム、石膏の最強線の回折強度Icの比(Ic/Ib)が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
【0015】
ここで板状あるいは短冊状の粒子とは、前述したように顕微鏡の設定倍率2500倍で観察された板状あるいは短冊状のトバモライト粒子を顕微鏡の設定倍率5000倍で観察し、1つの粒子において、互いにほぼ平行な2つの表面間の距離がその粒子の最小長さ(以下厚みと称する。)に相当し、その粒子の最大長さが最小長さの5倍以上である粒子とする。もちろん、ここで言う最大長さ、厚みは二次元への投影長さである。これらトバモライトの粒子の大きさは特に規定はしないが、最大長さが数μm〜10μmであることが好ましい。
【0016】
通常トバモライトは、低結晶性ケイ酸カルシウム水和物(CSH)と共存することが多い。CSHは様々な粒子形態をとることが知られているが、通常は繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとるため、電子顕微鏡下でトバモライト粒子と区別できる。この様なCSHは、トバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有できるが、、CSHは強度、耐候性、耐久性など建材としての様々な必要性能を低下させるので、可能な限り含有しないことが好ましい。さらに、少量の軽量骨材、補強繊維、樹脂等もトバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有することができる。
【0017】
図1(A)は、本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体(一実施態様)の粉末X線回折図であり、図1(B)は、従来のトバモライトの結晶性が乏しい珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折図である。2つのトバモライトの回折線(220)、(222)に挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が3.0以上である。珪酸カルシウム硬化体中にCSHが多量に存在すると、前述したように建材としての様々な性質が低下する。ここで粉末X線回折とは、X線としてCuKα線を用いた粉末X線回折をいう。
【0018】
珪酸カルシウム硬化体中にCSHが多量に存在すると、乾湿繰り返し時の寸法安定性が低下する。さらに長期間大気中に放置されると、これらCSHは大気中に含まれる二酸化炭素と容易に反応して、炭酸カルシウムと非晶質珪酸に分解する炭酸化反応を起こす。この時、体積の収縮を伴うことから亀裂、組織劣化が発生することがある。特に、嵩密度が1.0以下の場合、通気性がある程度あるためにこれら炭酸化反応が内部まで起こり易い。トバモライトとCSHが共存する硬化体について、粉末X線回折を行うと、トバモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域に、ブロードなCSHの回折ピークが認められる。このCSHの回折ピークは通常29.1〜29.4°(2θ)付近に出現する。またCSHがトバモライトに比べて少ない場合、CSHの回折ピークは、トバモライトの回折線に吸収された形になり、通常CSHの回折強度の測定は不可能となる。
【0019】
ところがCSHが多量に存在する場合、トバモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域におけるX線の回折強度は、バックグラウンドに比べて高い値となることから、CSHの存在の有無を判定することができる。珪酸カルシウム硬化体がCSHを全く含まず、かつ高結晶性のトバモライトを主体とする場合、同領域におけるX線強度の最低値はバックグランド強度と一致する。
【0020】
一方、たとえCSHが存在しない場合でも、トバモライトの結晶性が低い場合には、Ib/Iaは小さくなる。これは(220)と(222)が近接しているために、ピークのすそのが重なり合うためである。トバモライトの結晶性が低いと、珪酸カルシウム硬化体の強度低下、および耐候性の低下が起こる。
従って、2つのトバモライトの回折線、(220)と(222)に挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibの比(Ib/Ia)が大きい程、珪酸カルシウム硬化体中に含有されるトバモライトの結晶性が高いことを示す。また、珪酸カルシウム硬化体中にCSHが存在する場合においては、Ib/Iaが大きい程、珪酸カルシウム硬化体中に含有されるトバモライトの結晶性が高く、かつCSHの含有量が少ないことを示す。
【0021】
本発明においては、いずれの場合でもIb/Iaの値は3.0以上であることが必要であり、好ましくは4.0以上、さらに好ましくは5.0以上である。また、嵩比重が0.5以上の珪酸カルシウム硬化体においては、Ib/Iaの値が5.0以上であると、特に圧縮強度および弾性率が高くなり好ましい。従来から市販されている軽量気泡コンクリートは、結晶性の高い珪石を原料としてを用いることにより、トバモライトの結晶性を高め、結果としてIb/Iaの値は高くなっている場合が多い。この値が高いにも拘わらず強度が低い理由は、未反応の珪石が多量に残存していてトバモライトが真の主成分になっていないこと、および後述するが、マトリックスに存在する空間が広い分布を持つこと、等の理由による。なお、ここでの強度IaおよびIbは、バックグランド強度を含めた値であり、後述するI(220)とは区別する。Ia、Ibの算出方法を図1に示すが、2つのトバモライト回折線(220),(222)に挟まれた角度領域におけるバックグランドを含めた回折強度の最低値をIa、バックグランドを含めたトバモライト回折線(220)の最大強度をIbとする。
【0022】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体の嵩比重は、強度の点から0.14以上、軽量性の点から1.0以下が好ましい。より好ましくは0.14〜0.9、さらに好ましくは0.2〜0.7である。ここで言う嵩比重とは、105℃で24時間乾燥させた際の嵩比重、すなわち絶乾比重を指す。
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体は、水銀圧入法で測定される微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける対数分布幅が0.4〜1.2であることが必要であり、好ましくは0.4〜1.1、さらに好ましくは0.4〜1.0である。
【0023】
ここで水銀圧入法とは、珪酸カルシウム硬化体内部へ水銀を圧入させて、その時の圧力と侵入量の関係から細孔径の分布を測定するものであり、細孔の形状が円筒形であると仮定して計算されたものである。水銀圧入法による細孔径の測定可能範囲は6nm〜360μmの範囲であるが、この値は実際の細孔の直径を表すものではなく、構成物質間の隙間の大きさの指標として使用され、特に本発明において、珪酸カルシウム硬化体の細孔構造を記述する際には有効な解析手段である。水銀圧入法で測定された微分細孔分布は、測定された細孔径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる。通常、嵩比重が0.14〜1.0の珪酸カルシウム硬化体の場合には、その測定範囲内の細孔径6nm〜50μmの間に微分細孔分布が存在する。
【0024】
微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける対数分布幅(対数1/4値幅)とは、細孔径分布の広がりを示す一つの指標であり、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける細孔分布の幅を対数にて表示したものである。その算出方法を図2に示すが、水銀圧入法により測定された細孔径に対する細孔量の積分曲線を1次微分して得られる微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つである場合、(図2(A)、図2(B)参照)、大きい順にA2、A1とすると、対数1/4値幅が1.2は、A2、A1それぞれの常用対数の差となる。尚、図2(C)に示すように、微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、それらのうち最大の細孔径A2の常用対数と最小の細孔径A1の常用対数の差となる。
【0025】
対数1/4値幅が1.2を越えると、空隙径が50μm以下の細孔領域における細孔径分布は広い分布を持つことになり、これはすなわち、応力を担う骨格を形成する部分(以下「マトリックス」という)間隙の均一性が低いことを示す。そのために、局所的な応力集中が生じやすくなり、弾性率、圧縮強度、弾性率あたりの圧縮強度の低下をもたらす。該対数分布幅は小さい方が強度その他の物性は向上する方向である。従来の材料、たとえば軽量気泡コンクリートは、気泡剤により導入された粗大気泡部を除いた部分、すなわち骨格を形成するマトリックスに存在する空隙は広い分布を持ち、対数1/4値幅は1.2を越えている。従来の材料では、粗大気泡のみならず、これらの細孔領域に存在する広い分布を持つ空隙が、強度、弾性率等の物性を改善することの障壁になっていた。
【0026】
ところで、一般にCSHは繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとり、結晶質のトバモライトより微細であることに加えて、ゲル細孔と呼ばれる0.1μm以下の細孔を多量に含有している。そのため、珪酸カルシウム硬化体中にCSHを多量に含有している場合にも対数1/4値が非常に小さくなることがある。しかしかがら、対数1/4値幅が小さい場合でも、CHSを多量に含有している場合もしくはトバモライトの結晶性が低い場合には、それらに起因して高い弾性率、高い強度、弾性率あたりの高い圧縮強度は得られない。
【0027】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体は、主としてトバモライトからなり、トバモライトの結晶性が高い、すなわち上記Ib/Iaが3.0以上の珪酸カルシウム硬化体であり、そのマトリックスを構成するトバモライトの板状あるいは短冊状粒子間の空隙径分布、すなわちマトリックスにおける細孔分布を均一化していることが大きな特徴である。それにより、気泡剤による粗大気泡が存在する従来の軽量気泡コンクリートと比較して、弾性率、圧縮強度、さらには弾性率あたりの圧縮強度が、1.7〜2.2倍の物性を発現することが、また粗大気泡が存在しない場合には、さらに1.5〜2.0倍の上記物性を発現することが可能となった。
【0028】
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、粉末X線回折において観察されるトバモライトの回折ピークのうち、(220)面の回折ピーク強度I(220)に対する(002)面の回折ピーク強度I(002)の比(I(002)/I(220))が好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.35以上である。トバモライトの板状あるいは短冊状の粒子は、平面に垂直な方向すなわち厚み方向が結晶のC軸方向と考えられている。従ってI(002)の相対強度が増加することは、C軸方向の相対的な規則性が増すことであり、それに伴い板状結晶の厚みも増加することを意味する。
【0029】
JCPDSカードNo.19−1364によれば、理想的なトバモライト結晶のI(002)/I(220)は0.8と記載されており、この値に近づくことで結晶の厚みが増し、単一結晶の強度が増加する。結果として、これら結晶から構成される珪酸カルシウム硬化体の強度も増加する。さらに結晶の規則性が増加することにより、珪酸カルシウム硬化体の弾性率が増加し、また耐炭酸化等の耐候性に代表される建材としての性能も向上すると考えられる。これらI(002)、I(220)の算出方法を図3に示すが、I(002)は、回折角6〜9°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度であり、I(220)は、回折角20〜40°(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度である。
【0030】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体は、補強繊維を0.05vol%以上3vol%以下含有していることが好ましい。ここでいう補強繊維とは、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維であり、このうち一種、あるいは二種類以上の混合物として用いることができる。目的の性能を得るためには、アラミド繊維、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維が好ましく、さらにパラ系アラミド繊維を用いることが好ましい。
【0031】
従来、たとえば軽量気泡コンクリートでは粗大気泡が存在するため、補強繊維を添加しても耐欠け性や建築部材として重要な衝撃強度を増大させることが困難であった。ところが本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体は、微細空隙が均一に分布しているため、補強繊維との接着性が大幅に向上して、珪酸カルシウム硬化体の衝撃強度を大幅に向上させることが可能となった。補強繊維の繊維長は、1〜20mmを用いることができ、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜8mmである。補強繊維の含有量は、空隙まで含めた硬化体の体積に対して、補強効果の点で0.05vol%以上、均一分散の点で3vol%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜2vol%である。
【0032】
また、本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体は、補強鉄筋あるいは補強金網を該珪酸カルシウム硬化体内部に埋設されていることが好ましい。ここで補強鉄筋とは、鉄筋を所望の形状に配列し、交叉接点を溶接加工したものを言う。また補強金網とは鉄を網状に加工したもので、たとえばラス網等がその代表的な例である。補強鉄筋もしくは補強金網の形状、寸法、鉄筋の太さ、金網の目の大きさ、さらに珪酸カルシウム硬化体中に埋設する際の位置等、すなわち配筋の仕方については、板の大きさ、用途等によって異なるために一概に限定することはできない。なお、これら補強鉄筋または補強金網は、耐久性上有効な防錆剤処理が施されていることが好ましい。
【0033】
防錆剤としては合成樹脂系等、公知のものを使用することができる。この様に補強鉄筋あるいは補強金網を内部に配置することにより破壊時の耐力が著しく向上する。特に本発明において、珪酸カルシウム硬化体は、高結晶性に由来して圧縮弾性率が従来の材料に比べて格段に高いため、鉄筋あるいは金網による補強が有効になる。さらに前述したように均一な微細気泡のために、鉄筋との付着力も従来の軽量気泡コンクリートに比べて大幅に向上させることが可能となった。
【0034】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体の製造方法は、少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰質原料を含むスラリーを予備硬化した後にオートクレーブ養生し、主としてトバモライトからなる珪酸カルシウム硬化体を製造する方法であって、上記珪酸質原料として結晶質である珪酸質原料を50wt%以上用い、かつ硫酸アルミニウムもしくはその水和物を、酸化物換算(Al23)で固体原料の総質量に対して0.09〜10wt%、その他の硫酸化合物を、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO3量換算で固体原料の総質量に対して0.15〜15wt%となるように上記スラリーに混合することが好ましい。なお、本発明において予備硬化体とは、水和スラリーを型枠内に注入し、硬化させて得られるオートクレーブ養生前のものをいう。
【0035】
ここで珪酸質原料とは、SiO2の含有量が70wt%以上の原料を言う。たとえば、結晶質の珪石、珪砂、石英およびそれらの含有率の高い岩石等、並びに珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ、天然の粘土鉱物およびそれらの焼成物等である。これらのうちで結晶質の珪酸質原料とは、珪石、珪砂、石英およびそれらの含有率の高い岩石であり、粉末X線回折においてα−石英あるいはクリストバライト等のシャープな回折ピークを呈するものをいう。また、非晶質珪酸原料とは、珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ等の粉末X線回折において固有の明瞭な回折ピークを示さないものを言う。また、セメントとは普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするものを言う。
【0036】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体を製造するにおいては、用いる珪酸質原料のうち50wt%以上が結晶質であることが必要である。珪酸質原料の中でもシリカヒュームに代表される非晶質珪酸原料は、結晶質珪酸原料に比べて著しく高い反応性を持っている。その著しく高い反応性のために、セメント、石灰質原料と予備硬化させる段階で、CaO/SiO2モル比が1付近のCSHが常温下でも特に容易に生成することが知られている。これらCSHは非常に安定な物質であることから、その後に高温高圧の養生を行っても、トバモライトへの変化は遅く、硬化体中には寸法安定性、耐候性を低下させるCSHが多く残留してしまう。また、トバモライトの結晶性も著しく低下することが知られている。同時に、径が小さくかつ均一な細孔分布が得られないために、目的とする高弾性率、高圧縮強度が得られない。従って。珪酸質原料は50wt%以上が結晶質である必要があり、好ましくは60wt%以上である。
【0037】
結晶質の珪酸質原料としては、結晶質の珪石が安価であることから好ましく、中でも微粉砕したブレーン比表面積で測定して5000cm2/g以上の微粉珪石が好ましく、より好ましくは7000cm2/g以上である。微粉珪石は余り細かくても、却って取り扱いにくいという弊害が生じることからブレーン比表面積で測定して300000cm2/g以下であることが好ましい。微粉珪石は結晶質であるために予備硬化段階ではほとんど反応しない。しかし、オートクレーブ養生中の反応性は著しく高いために結晶性の高いトバモライトを多量に生成させることが可能になる。珪石の粒度が、ブレーン比表面積で測定して5000cm2/g以上と細かいことは、オートクレーブ養生後に珪石が未反応のままで残留した場合にも、マトリックス中の残留珪石の界面に生成される空隙の大きさを小さくする効果も有する。
【0038】
ところで、たとえば最大径200μmを越える気泡が実質的に無い、すなわち気泡剤を用いずに嵩比重0.5以下の珪酸カルシウム硬化体を得ようとする場合、また気泡剤を用いる場合でも嵩比重0.3以下の珪酸カルシウム硬化体を得ようとする場合には、水/固体比を高くする必要がある。そのような場合には、製造時に固体の沈降を防ぐ、および予備硬化時の硬化速度を速める目的から、非晶質珪酸原料を一部使用することが好ましいが、この時、非晶質珪酸原料を多く使用することは、トバモライトの生成量および結晶性の低下をもたらす。非晶質珪酸質原料の使用量は、珪酸質原料のうち5wt%以上50wt%未満が好ましく、より好ましくは5〜40wt%である。ここで水/固体比とは、固体重量(使用する原料が結晶水を含む場合、この結晶水の重量を含む)の重量比を言う。
【0039】
硫酸アルミニウムもしくはその水和物の添加量は、強度、成形成等の観点から、珪酸カルシウム硬化体を製造する際の固体原料の総質量に対して酸化物換算(Al23 )で0.09〜10wt%が好ましい。用いる固体の総質量に対する使用するすべての水の比(以下、水/固体比)が0.95未満の場合は、0.09〜3wt%であることが好ましく、より好ましくは0.12〜2wt%であり、水/固体比が0.95以上1.9未満の場合には、好ましくは0.15〜6wt%であり、より好ましくは0.2〜4wt%であり、水/固体比が1.9以上の場合は、0.2〜10wt%であり、より好ましくは0.25〜6wt%である。
【0040】
また、硫酸アルミニウムもしくはその含水物における硫酸アルミニウムとは、化学式(Al2(SO43 )からなる物質を言い、その水和物とはたとえば化学式(Al2(SO43 ・17H2O )で示されるような結晶水を含む化合物を言う。いずれの場合でも結晶水を除いた状態でAl2(SO43として80wt%以上含有するものを言う。さらに原料形態としては粉末、スラリーいずれでも構わない。
その他の硫酸化合物の添加量は、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物を含めて、SO3換算で、珪酸質原料、セメント、硫酸化合物原料、石灰質原料を含む固体原料の総質量に対して、予備硬化体の硬度確保の点で0.15wt%以上が好ましく、硬化体のトバモライト含有量確保の点で15wt%以下が好ましい。より好ましくは0.2〜10wt%である。
【0041】
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体の製造において、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いた、その他の硫酸化合物は特に限定されるものではなく、SO3ないしはSO4を含有する化合物であれば良い。例えば、亜硫酸、硫酸、無水石膏(CaSO4)、二水石膏(CaSO4・H2O )、半水石膏(CaSO4・1/2H2O )等の石膏水和物、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の硫酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどのアルカリ金属の硫酸塩、硫酸銅や硫酸銀などの金属硫酸塩等であり、これらを単独で用いても複数同時に用いてもよい。これらその他の硫酸化合物は、高結晶性のトバモライトをより多量に生成させ、細孔の微細化かつ細孔分布の均一化を実現させるために用いられる。これらその他の硫酸化合物のうち、二水石膏が珪酸カルシウム硬化体の主原料の一つとして使用するセメントに含まれることから、特に好ましく用いられる。
【0042】
本発明において、硫酸アルミニウムまたはその水和物と、その他の硫酸化合物を同時に用いることは、高い水/固体比の下でも、固体の沈降を防ぎ、かつ予備硬化反応を促進し、結果として得られる珪酸カルシウム硬化体の強度および弾性率の向上をもたらすものであり、 本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体の製造には好ましい原料である。
本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体の製造においては、硫酸アルミニウムまたはその水和物をその他の固体原料および水と一緒に40〜100℃で10分以上、より好ましくは30分以上混合することによって、水/固体比=5という非常に高い水/固体比においてまで固液分離を抑制し、かつ短時間の間に型枠からはずして移載可能な硬さまで予備硬化させることができる。この0.67〜5に亘る広範囲の水/固体比で制御されたスラリーをそのまま硬化させたり、もしくはそれぞれの水性スラリーに適量の気泡剤、例えばアルミニウム粉末を加えることにより、目的とする嵩比重かつ粗大気泡量を自由にかつ精度良く制御された珪酸カルシウム硬化体の製造が可能になる。
【0043】
さらに、硫酸アルミニウムまたはその水和物と上記結晶質の微粉珪石の併用により、結果として得られる珪酸カルシウム硬化体のマトリックスの細孔径を極限まで微細化かつ均一化することができること、それにより弾性率、圧縮強度、弾性率に対する圧縮強度を大幅に向上することができる。現時点では、そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、硫酸アルミニウムまたはその水和物および微粉珪石の併用により混合された水性スラリーの分散性かつ均一性が向上する、結晶性の高いトバモライトの多量生成を可能にする、同時にマトリックスと残留した珪石の間に形成された空隙をより小さくできる、等のためと推定される。
【0044】
本発明において、セメントは普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするセメントを言う。さらに、石灰質原料とは酸化物換算でCaOを50wt%以上含む原料であり、生石灰あるいは消石灰等を言う。
また、最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体を製造する場合には、珪酸質原料、セメント、硫酸化合物原料、石灰質原料およびその他の固体原料は、水/固体比が0.77〜5になるように水性スラリー状態で混合することが好ましい。最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない、高強度、高弾性率で、嵩比重が小さい珪酸カルシウム硬化体を得るためには、水/固体比は、0.77〜5の範囲が好ましく、より好ましくは0.9〜4の範囲であり、さらに好ましくは1.2〜3の範囲である。
【0045】
一方、最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体を製造する場合には、水/固体比が0.67〜3.5、好ましくは0.85〜3.3、より好ましくは0.96〜2.7になるように水性スラリー状態で混合したた後に、気泡剤としてアルミニウム粉を混合したものを型枠に注入する方法が好ましく用いられる。アルミニウム粉末の添加量は、固体原料の総質量に対して固体アルミニウム換算で0.002〜0.8wt%であり、水/固体比が1.1未満の場合には0.002〜0.15wt%であることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.1wt%であり、水/固体比が1.1以上1.5未満の場合には0.005〜0.2wt%であることが好ましく、より好ましくは0.008〜0.15wt%であり、水/固体比が1.5以上2.2未満の場合には0.008〜0.3wt%であることが好ましく、より好ましくは0.015〜0.2wt%であり、水/固体比が2.2以上の場合には0.02〜0.6wt%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.4wt%である。
【0046】
アルミニウム粉末の添加形態は特に限定されるものではなく、通常軽量気泡コンクリートの製造に用いられる添加形態を用いることができ、アルミニウム粉末を粉末で添加する方法、使用する水の一部をあらかじめ別にしておき、その水にアルミニウム粉末を混合してアルミニウムスラリーとして添加する方法、軽量コンクリート製造用のアルミニウムペースト(米国特許第4,318,270号明細書参照)を添加する方法などを用いることができる。気泡剤の添加量は、水性スラリーの水/固体比と目的とする嵩比重によって決定される。気泡を含有させる方法は、金属アルミニウム粉による発泡に限定されるものでなく、例えば従来用いられているプレフォーム法(pre-foaming method)、すなわち、起泡剤(pre-foaming agent)またはその水溶液に空気を送り込んでフォームを形成し、そのフォームを水性スラリーに混合させる方法(特開昭63―295487号公報参照)、起泡剤を水性スラリーに混合した後に起泡機によってフォームを形成させる方法などが好ましく用いられる。ここで、起泡剤はこの分野で従来用いられているものを用いることができ、その種類は特に限定されないが、例えば合成界面活性剤系起泡剤、樹脂セッケン系起泡剤、加水分解タンパク系起泡剤等が挙げられる。
【0047】
本発明において使用されるすべての原料は、高結晶性トバモライト生成を効果的に達成する観点から、CaO/SiO2 モル比は好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.6〜1.3、さらに好ましくは0.65〜1.1となるように水性スラリー状態で混合される。
固体原料と水からなるスラリーを混合する温度について特に規定はないが、該混合により型枠注入前にセメントの初期水和を進め、かつ珪酸質原料と石灰質原料を反応させることによって、型枠注入後の予備硬化を早める効果がある。従って、混合温度が低すぎると、反応が進まず、その後の予備硬化を遅らせることになる。従って、混合直後の温度で40〜100℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。水性スラリーを混合する時間も特に規定はないが、短すぎると各固体原料の分散が不十分で均一なスラリーが得られずかつセメントの初期水和ならびに珪酸質原料と石灰質原料との反応が進まない。また、長すぎるとその反応やセメントの水和が進みすぎてかえって予備硬化を遅らせる。従って、10分以上5時間未満が好ましく、30分以上3時間未満がより好ましい。
【0048】
さらには、用いられる石灰質原料の全部を珪酸質原料およびセメントと同時に混合すると、石灰質原料がセメントの初期水和を遅らせる場合もある。従って、予備硬化を早めたい場合には、石灰質原料以外の固体原料と水を40〜100℃で、水性スラリー状態で10分以上5時間未満混合する第一工程を行った後に、石灰質原料を加えて、さらに40〜100℃で30秒以上1時間未満混合する第二工程を経てから型枠に注入して予備硬化させる方法も好ましく用いられる。また、第一工程で石灰質原料の一部を混合し、第二工程で残りの石灰質原料を加えても良い。ここで原料の投入にあたり、最初の第一工程におけるスラリーへの添加を一次投入、後の第二工程における水性スラリーへの添加を二次投入と、以後称する。
【0049】
硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物は、固体の沈降を防ぐ効果と同時に、予備硬化を早める効果を有する。固体の沈降を防ぐ効果は、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物をそれ以外の固体原料および水と一緒に40℃以上で10分以上混合する第一工程において添加した場合に顕著に現われるる。一方、予備硬化をより早める効果は、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物の一部または全部を、第二工程において添加してさらに40℃以上で30秒以上混合した後に予備硬化させた場合に、より顕著に現われる。
【0050】
水/固体比が高い場合、特に水/固体比が2以上の場合には、固体の沈降を防ぐ必要性から、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物を、それ以外の固体原料および水と一緒に第一工程において添加する方が好ましく、水/固体比が低い場合には、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸化合物原料を第二工程において添加する方が好ましい。
一方、硫酸アルミニウムもしくはその水和物も、固体の沈降を防ぐ効果と同時に、予備硬化を早める効果を有する。これら2つの効果を得るためには、硫酸アルミニウムもしくはその水和物をそれ以外の固体原料および水と一緒に第一工程において添加し40〜100℃で10分以上5時間未満混合することが好ましい。
【0051】
以上のように、石灰質原料と、硫酸アルミニウムもしくはその水和物、およびそれらを除いたその他の硫酸化合物は、一次投入か二次投入かによってその効果が異なる。従って、用いられる水/固体比、混合条件(温度、時間)、求められる製造プロセスなどによって、他の原料と同時に混合する方法、2つあるいはそれ以上の工程に分割して添加混合する方法の両方が好ましく用いられる。
硫酸化合物もしくは石灰質原料を二次投入した場合の混合温度に特に規定はないが、低すぎるとその後の予備硬化を遅らせることになる。従って、混合直後の温度で40〜100℃が好ましい。また混合時間についても特に規定はないが、短すぎると均一な分散が得られず、長すぎるとその後の予備硬化を遅らせるため、30秒以上1時間未満が好ましく、1分以上10分未満がより好ましい。
【0052】
固体原料と水の混合には、通常工業的に使用されるミキサーが使用可能であるが、好ましくは低粘度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機、例えば邪魔板付きのパドルミキサーが用いられる。混合は、例えば低粘度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機を用い、60℃に加温した水に固体原料を加えた後、混合槽を60℃に加温しながら、大気圧下で2時間混合する方法があげられる。攪拌機の回転数について特に規定はないが、遅すぎると固体原料が沈降するため100〜2500rpm程度の回転数が好ましい。混合は、大気中でなく、例えば窒素のような不活性ガス下でも良いが、大気中で混合する方が簡便なため好ましい。また、第二工程の混合終了後、1〜5分程度の短時間減圧下でさらに混合することにより、攪拌時の巻き込みによる気泡の低減が図れて好ましい。この場合、第二工程の混合と減圧下の混合時間を合わせて1時間未満にすることが好ましく、より好ましくは10分以下である。
【0053】
本発明において、珪酸カルシウム硬化体の物性に悪影響を与えない範囲で、パルプ、発泡スチレンビーズ、有機マイクロバルーン等の有機軽量骨材、パーライト、シラスバルーン等の無機軽量骨材、メチルセルロース、ポリアクリル酸等の増粘剤、減水剤、高性能減水剤等のセメント系材料において一般に用いられてる分散剤、炭酸カルシウム、ドロマイト等の炭酸塩化合物、珪酸ナトリウム等の硬化促進剤、リグニンスルホン酸、グルコン酸塩等のセメント系材料において一般に用いられる硬化遅延剤、リン酸等の発泡遅延剤等を珪酸カルシウム硬化体原料と混合することができる。これらは、この分野で従来用いられているのと同程度の量を用いることができる。これらは他の原料と同時に混合しても良く、また、第二工程の後、すらわち、他の原料の混合がすべて終了した後に混合しても良い。混合時間は短すぎると均一性が得られず、長すぎると工程中の全混合時間が長くなる。そのため好ましい混合時間は、1〜5分である。
【0054】
パルプは安価な上、オートクレーブ中での劣化が少ないため好適に用いられる。パルプは広葉樹、針葉樹を問わずバージンパルプ、古紙パルプ等を使用できる。これらパルプは増粘剤、分散安定剤、予備硬化時の硬化収縮低減剤としても有効である。パルプの中で、微粉砕パルプは水性スラリーの水/固体比が高いときの固体の沈降を防ぐ効果、水性スラリーに適度な粘度を付与する効果がある他、予備硬化段階またはオートクレーブ中での亀裂の発生を抑制する働きがある他、それ自身も硬化体の加工性、強度に貢献することから好適に用いられる。これら微粉砕パルプは市販品あるいは、乾式粉砕品、あるいはスラリー状態で高圧ホモジナイザー等により微粉砕したものを用いることができる。パルプの含有量は好ましくは0.1〜3.0wt%であり、さらに好ましくは0.2〜2.0wt%である。
【0055】
この様にして混合されたスラリーに、必要に応じて補強繊維が混合され、そのまま型枠に流しこまれ成形される。この時、必要に応じて補強鉄筋あるいは補強金網が配置された型枠に流し込まれ成形される。ここで、補強鉄筋あるいは補強金網は防錆処理が施されていることが好ましい。型枠に注入された水性スラリーは、自己発熱あるいは外部加熱等により、好ましくは40〜100℃の間で1〜48時間かけて予備硬化される。予備硬化は、蒸気養生室、蒸気養生槽等の型枠に注入された水性スラリーの水分蒸発を抑制した環境下で行うことが好ましい。
【0056】
また、予備硬化体は型枠上面からの水分蒸発を防ぎながら型枠を加温することによっても行うことができる。得られた予備硬化体は、必要に応じて任意の形状に切断された後に、オートクレーブを用いて高温高圧養生される。切断は軽量気泡コンクリートの製造に一般に用いられるワイヤーによる切断法も使用できる。養生の効果を高めるため、得られた予備硬化体を型枠から外した後にオートクレーブで養生することも好ましい方法である。オートクレーブの条件としては160℃(ゲージ圧力:約0.52MPa)以上、220℃(ゲージ圧力:約2.22MPa)以下が好ましい。
【0057】
本発明において、珪酸カルシウム硬化体の内部空隙とは、気泡剤による粗大気泡、粗大気泡同士を部分的に繋ぐ連通孔、成形時に生じる毛細管空隙、トバモライト結晶間に生じる空隙やCSHに含まれるゲル空隙などを含むすべての空間を言う。
本発明で用いられるアルキルアルコキシシランは、一般式をR1 nSi(OR24-nで表すことができる。ここで、R1は炭素数1〜18のアルキル基であり、R2はアルキル基であれば特に限定されないが、最も汎用的なメチル基、エチル基が好ましい。 nは1〜3の整数を表す。nが2以上の場合、R1同士は同じであっても異なっていても良い。nが1または2の場合、R2同士は同じでも異なっていても良い。
【0058】
本発明で用いられるアルキルアルコキシシランとしては、最も汎用的なアルキルトリアルコキシシラン(n=1)が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基を有する代表的なアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0059】
また、炭素数9〜18のアルキル基を有する代表的なアルキルトリアルコキシシランとしては、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0060】
アルキルアルコキシシランのアルコキシル基は、加水分解してシラノール基となり、更に、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面で珪酸カルシウム硬化体を構成するトバモライトやCSHが有するシラノール基と化学結合してシロキサン結合を形成する。珪酸カルシウム硬化体と化学結合したアルキルアルコキシシランは、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面で単分子〜数分子層から成る膜を形成することで優れた撥水性を発現すると推測される。
【0061】
本発明において好ましく用いられるアルキルアルコキシシランは、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種、および炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物である。より好ましく用いられるのは、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種、および炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物であり、さらに好ましくは用いられるは、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物であり、さらに好ましく用いられるのは、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物である。炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物であることが特に好ましい。
【0062】
ここで、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物の代表的なものとしては、例えばメチルトリメトキシシランとプロピルトリメトキシシランの混合物、メチルトリメトキシシランとヘキシルトリメトキシランの混合物、メチルトリメトキシシランとオクチルトリメトキシランの混合物、メチルトリエトキシシランとプロピルトリエトキシシランの混合物、メチルトリエトキシシランとヘキシルトリエトキシランの混合物、メチルトリエトキシシランとオクチルトリエトキシランの混合物、エチルトリメトキシシランとプロピルトリメトキシシランの混合物、エチルトリメトキシシランとヘキシルトリメトキシランの混合物、エチルトリメトキシシランとオクチルトリメトキシランの混合物、エチルトリエトキシシランとプロピルトリエトキシシランの混合物、エチルトリエトキシシランとヘキシルトリエトキシランの混合物、エチルトリエトキシシランとオクチルトリエトキシランの混合物が挙げられる。
【0063】
炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種の代表的なものは、例えばプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシランとヘキシルトリメトキシシランの混合物、プロピルトリメトキシシランとオクチルトリメトキシシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとヘキシルトリエトキシシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとオクチルトリエトキシシランの混合物が挙げられる。
【0064】
炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物の代表的なものは、例えばメチルトリメトキシシランとデシルトリメトキシシランの混合物、メチルトリメトキシシランとドデシルトリメトキシシランの混合物、メチルトリメトキシシランとオクタデシルトリメトキシシランの混合物、エチルトリメトキシシランとデシルトリメトキシシランの混合物、エチルトリメトキシシランとドデシルトリメトキシシランの混合物、エチルトリメトキシシランとオクタデシルトリメトキシシランの混合物、プロピルトリメトキシシランとデシルトリメトキシシランの混合物、プロピルトリメトキシシランとドデシルトリメトキシシランの混合物、プロピルトリメトキシシランとオクタデシルトリメトキシシランの混合物、メチルトリエトキシシランとデシルトリエトキシシランの混合物、メチルトリエトキシシランとドデシルトリエトキシシランの混合物、メチルトリエトキシシランとオクタデシルトリエトキシシランの混合物、エチルトリエトキシシランとデシルトリエトキシシランの混合物、エチルトリエトキシシランとドデシルトリエトキシシランの混合物、エチルトリエトキシシランとオクタデシルトリエトキシシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとデシルトリエトキシシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとドデシルトリエトキシシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとオクタデシルトリエトキシシランの混合物が挙げられる。また、これらの代表的な例として挙げたアルキルアルコキシシランおよび混合物から選ばれる2種以上の混合物も好ましい具体例である。
【0065】
アルキルアルコキシシランとして、炭素数1〜2アルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種、または炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物を使用すると、珪酸カルシウム硬化体の表面はもちろん、内部空隙表面全体に水に対する接触角100度以上の撥水層を形成することが可能となる。さらに、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種、または炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物を使用すると、得られた撥水層は珪酸カルシウム硬化体の表面から中心部の内部空隙表面に至るまで全体に亘って、水の接触角が130度以上、更には150度以上の優れた撥水性を発現することが可能となる。
【0066】
なお、アルキルアルコキシシランとして、炭素数1〜2アルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物を用いた場合も、アルキルアルコキシシランを選ぶことで水の接触角を130度以上にすることが可能である。
また、プロピルトリエトキシシランは、優れた撥水性を発現し、かつあまり高温にしなくても高い蒸気圧を得られることなどから使用し易く、好ましいアルキルアルコキシシランである。
【0067】
炭素数が9以上のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランを単独で珪酸カルシウム硬化体の内部空隙まで浸透させるに充分な蒸気圧を得るには、200度以上の高温にすることが好ましい。そこで、蒸気圧が高い炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種の蒸気と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種の蒸気とを混合した混合蒸気は、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラン蒸気の分圧が小さいものの、珪酸カルシウム硬化体の内部空隙まで浸透させるに必要な蒸気圧を有する混合蒸気を得ることが可能となる。この得られた混合蒸気を用いて形成された撥水層は、珪酸カルシウム硬化体の表面から中心部の内部空隙表面に至るまで全体に亘って、混合比にもよるが水の接触角150度以上の優れた撥水性を有する。
【0068】
ここで、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラン少なくとも1種との混合割合は、気化前の溶液で炭素数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランが10〜60wt%が好ましく、30〜50wt%がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラン少なくとも1種との混合割合は、気化前の溶液で炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランが60〜98wt%が好ましく、70〜95wt%がより好ましく、更には75〜95wt%が特に好ましい。
【0069】
本発明においては、用いるアルキルアルコキシシランを選択することで珪酸カルシウム硬化体の表面及び内部空隙表面に水の接触角が100度以上、好ましくは130度以上、より好ましくは150度以上の優れた撥水性を有する撥水層を形成することができる。
本発明の優れた撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体の製造方法を説明する。
本発明において、アルキルアルコキシシランを珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面に至るまで浸透させて、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面に撥水層を形成させる方法としては、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内を加熱減圧(圧力P1)とし、次のこの密閉容器と弁で開閉が可能な管で連結された別の密閉容器にアルキルアルコキシシランを入れ、この密閉容器内も減圧とした後に加熱してアルキルアルコキシシランの蒸気を該密閉容器内に発生させ、予めアルキルアルコキシシラの蒸気圧を圧力P1よりも高い圧力(圧力P2)とする。この状態で上記弁を開くとアルキルアルコキシシラン蒸気は、珪酸カルシウム硬化体の入った密閉容器内に流入し、珪酸カルシウム硬化体の表面及び内部空隙に至るまで速やかに浸透させることができる。
【0070】
ここで、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器を加熱するとき、珪酸カルシウム硬化体を長時間高温にさらすと乾燥し亀裂が発生する可能性があるため、そのような場合は、乾燥を抑制するために飽和水蒸気により加熱し、所定温度になった後に減圧すると良い。ここで、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器の加熱温度は、流入されるアルキルアルコキシシランの蒸気が凝縮して液化しないことが肝要であり、流入されるアルキルアルコキシシランによって異なるが80〜300℃が好ましく、90〜220℃がより好ましく、更には100〜210℃が特に好ましい。また、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器の減圧の程度は、より減圧にすることが肝要であるが、通常は1000Pa以下とすることが好ましく、500Pa以下とすることがより好ましい。
【0071】
ここで、アルキルアルコキシシランの蒸気を珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙に短時間で浸透させるためには、アルキルアルコキシシランの蒸気が冷却されて凝縮しない温度まで、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器や密閉容器を繋ぐ管だけでなく、珪酸カルシウム硬化体自体も十分に加熱することと、アルキルアルコキシシランを入れた密閉容器を加熱して、予めアルキルアルコキシシランの蒸気を十分に発生させ、アルキルアルコキシシランの蒸気圧P2が珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内の圧力P1より高い状態にすることが肝要である。好ましくはアルキルアルコキシシランの蒸気を発生させる前に密閉容器内をできるだけ減圧にして空気を取り除いた後にアルキルアルコキシシランを気化させて、密閉容器内を可能な限り、純粋なアルキルアルコキシシランの蒸気で満たすことである。
【0072】
つまり、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内にアルキルアルコキシシランの蒸気を流入させる前に、アルキルアルコキシシランを入れた密閉容器内を減圧にせず空気が入ったままで、更にはアルキルアルコキシシランを十分に気化させない状態で上記弁を開けても珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内に流入するのはほとんどが空気である。両密閉容器内の圧力が均一になった後にアルキルアルコキシシランが入った密閉容器内が減圧状態となることで気化したアルキルアルコキシシランは、珪酸カルシウム硬化体の入った密閉容器内に流入するものの珪酸カルシウム硬化体内部空隙には拡散でしか浸透することができず、珪酸カルシウム硬化体内部空隙まで浸透させるには非常に長い処理時間を要する。
【0073】
本発明において、珪酸カルシウム硬化体内部へのアルキルアルコキシシランの浸透は、拡散でなく圧力差が推進力となるため、非常に速やかに珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面に浸透するだけでなく、珪酸カルシウム硬化体の表面から内部に至るまで優れた撥水層が形成される。
前述したように、珪酸カルシウム硬化体内部への浸透は、圧力差が推進力となるため珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内を減圧にした際の圧力P1とアルキルアルコキシシランの蒸気を流入した後の圧力P2との差(P2−P1)で決定される。したがって、必要とされる該圧力差は珪酸カルシウム硬化体厚みに比例することになるが、通常、1000〜100000Paであることが好ましく、5000〜90000Paであることがより好ましく、更には8000〜80000Paであることが特に好ましい。必要とされる圧力差(P2−P1)が珪酸カルシウム硬化体厚みに比例することから、予め珪酸カルシウム硬化体の試験片を用いて予備実験を行い、必要とされる圧力差(P2−P1)を求める方法も好ましい態様である。
【0074】
また、これらの圧力差を適切に設けるためには、使用するアルキルアルコキシシランの種類やアルキルアルコキシシランを気化させる密閉容器の体積によっても異なるが、温度は80〜300℃であることが好ましく、90〜220℃であることがより好ましく、100〜210℃であることが更に好ましい。
本発明において2種以上のアルキルアルコキシシランの混合蒸気を得る方法は、それぞれのアルキルアルコキシシランを別々の密閉容器に入れて所定温度まで加熱し気化した蒸気を混合するか、または単純に同一密閉容器内にそれぞれのアルキルアルコキシシランを別々入れるか、もしくは予めそれそれのアルキルアルコキシシランを所定の割合で混合してから加熱しても良い。
【0075】
本発明で用いる珪酸カルシウム硬化体厚みは10mm以上が好ましく、25mm以上がより好ましく、35mm以上がさらに好ましい。また、珪酸カルシウム硬化体厚みは200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、100mm以下がさらに好ましい。
本発明において、珪酸カルシウム硬化体内部に浸透させるために必要な処理時間は、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器とアルキルアルコキシシラン蒸気の流入量によって異なるが、通常は数十秒〜2時間程度で十分である。
【0076】
本発明の製造方法においては、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器及び珪酸カルシウム硬化体自体が十分に加熱されているため、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙内に浸透したアルキルアルコキシシラン蒸気は、速やかに珪酸カルシウム硬化体と化学結合し、撥水性を発現させることが可能となる。
また、アルキルアルコキシシラン蒸気を浸透させる処理時間が短く、一部未反応のアルキルアルコキシシランが存在して十分に撥水性が発現していない場合には、未反応のアルキルアルコキシシランと珪酸カルシウム硬化体を反応さて撥水性を発現させるために室温で数日〜数週間放置しておくだけでも良いが、更には60℃〜180℃で0.5〜5時間程度加熱するのが好ましい。ここで、加熱方法は、特に限定されないが一般的な熱風加熱や遠赤外線加熱または水蒸気加熱などを使用することができる。
【0077】
本発明において、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面に浸透させるアルキルアルコキシシランは、十分な撥水性を発現させるためには、珪酸カルシウム硬化体に対して0.1〜5wt%程度であることが好ましいが、高価なアルキルアルコキシシランを多く使用することは、コスト上昇に繋がるため、0.5〜3wt%程度であることがより好ましい。
本発明の方法で処理した珪酸カルシウム硬化体は、表面から内部に至るまで優れた撥水層を有しているため、耐水性能が著しく向上しており、従来通りの塗装をしても使用できるが、これまでのように珪酸カルシウム硬化体表面に塗装して耐水性能を確保する必要がないため、化粧用の塗装をするのみもしくは塗装なしの素板で使用することも可能である。また、該珪酸カルシウム硬化体は、耐凍害性能も著しく向上しており、これまで凍害を起こすため使用が制限されていた寒冷地での使用が可能となる。このように、本発明の珪酸カルシウム硬化体は、従来通りの使用はもちろんであるが、塗装や寒冷地の制限なしに外壁材、床材、間仕切り材または屋根下地材として使用することができる。
【0078】
【本発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
なお、本発明において使用される各種の測定方法は以下の通りである。
1.粉末X線回折:Ia,Icの測定
温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽中にオートクレーブ後の珪酸カルシウム硬化体を置き、絶乾状態を基準とした含水量が10±2%になったところで測定用試料とした。この試料を乳鉢中で粉砕した後に、理学電気株式会社製のRINT2000において、CuのKα線を用いて測定した。測定条件は、加速電圧40kV、加速電流200mA、受光スリット幅0.15mm、走査速度4゜/分、サンプリング0.02゜である。得られたX線回折図からバックグランドを含めたトバモライト回折線(220)のピーク強度をIbとし、トバモライト以外の高結晶性共存物質のピーク強度をIcとする。
【0079】
2.トバモライトの面積割合
上記含水率調整した測定用試料の破断面を走査電子顕微鏡を用いて、設定倍率2500倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇所観察し、板状あるいは短冊状のトバモライト粒子が観察される面積割合の平均とする。
3.粉末X線回折:Ia,Ibの測定
試料および測定条件は、Ia、Icの測定の場合と同様である。2つのトバモライト回折線(220),(222)に挟まれた角度領域におけるバックグランドを含めた回折強度の最低値をIa、およびバックグランドを含めたトバモライト回折線(220)のピーク強度をIbとする。これら2つの回折線は、図1(A)、図1(B)に示すように、それぞれ29.5゜、28.9゜(2θ)付近に見られる回折線に対応する。
【0080】
4.水銀圧入法:対数1/4値幅、細孔量割合
オートクレーブ後の珪酸カルシウム硬化体を粉砕した後に分級して得た2〜4mm部分を、105℃にて24時間乾燥して測定用試料とした。水銀圧入法において、細孔径分布測定装置(米国Micrometritics社製 Pore Sizer 9320)用いて、試料の細孔径分布を測定した。この時、水銀と試料の接触角は130度、水銀の表面張力は484dyn/cmとして、測定された圧力を細孔径に換算した。
得られた細孔径に対する細孔量の積算曲線を一次微分して得られる微分細孔分布の最大値における1/4の高さを与える細孔径が二つである場合、大きい順にA2、A1とする。対数1/4値幅は、図2(A)および図2(B)に示すように、A2、A1それぞれの常用対数の差とする。また、図2(C)に示すように微分細孔分布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、最大の細孔径A2の常用対数と最小の細孔径A1の常用対数の差とする。
細孔径が0.1μm以下の細孔量割合は、細孔径が6nm〜360μmの範囲で測定された全細孔量を100%としたとき、0.1μm以下の全細孔量の体積分率で表される。
【0081】
5.嵩比重
長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmのオートクレーブ後の試料を、105℃にて24時間乾燥させた時の重量と寸法から算出した。
6.粉末X線回折:I(002),I(220)の測定
試料および測定条件は、Ia、Icの測定の場合と同様である。ただし、I(002)は、回折角6〜9゜(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して(図3参照)得られた真の回折強度である。同様にI(220)は、回折角20〜40゜(2θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強度である。なお、トバモライトの(002)回折線は、図3に示すように7.7゜(2θ)付近に見られる回折線に対応する。
7.200μm以上の気泡数
オリンパス光学工業株式会社製の実体顕微鏡(SZ)を用いて、上記含水率調整した測定用試料の破断面を40倍の倍率で観察し、10mm四方内に存在する最大径が200μm以上の気泡の数を数えた。異なる箇所5点で測定を行い、その平均値を気泡数とした。
【0082】
8.水の接触角
長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmの試料を長さ80mmの位置で切断し、幅40mm、厚さ40mmの切断面上を幅方向及び厚さ方向に10mm間隔で各4点の合計16箇所を温度20℃、相対湿度60%の条件下で協和界面科学株式会社製の接触角計(CA−DT型)により測定した。
9.耐凍害性
株式会社マルイ社製の凍結融解試験機(MIT−1682−A3−特)により、JIS A−1435に準拠した気中凍結水中融解法で測定した。ここで凍結融解1サイクルに要する温度及び時間条件は、気中凍結時−20℃で2時間、水中融解時+10℃で2時間である。また、試料寸法は長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmとした。尚、各試料の耐凍害性は、次式で示される体積保持率が95%以下になったサイクル数と定めた。
体積保持率=V1/V0×100
ここで、V0:試験前の試料体積
V1:所定サイクル終了後の試料体積
10.耐透水性
JIS K−5400に準拠して測定した方法で、24時間に所定面積(口径75mm)中を試料に浸透した水の透水量とした。ここで、試料寸法は長さ100mm、幅100mm、厚さ50mmとした。
【0083】
<珪酸カルシウム硬化体の製造>
試料として使用した珪酸カルシウム硬化体は、硬化体原料として表1および表2に示す配合量で次の固体原料および水を用いて以下の方法で作製した。
最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体を製造する場合は、珪酸質原料として珪石粉砕粉、石灰質原料として生石灰、セメントとして普通ポルトランドセメント(表1にはOPCで表示)、硫酸アルミニウムとしてその18水和物、その他の硫酸化合物として二水石膏を用いた。ここで、硫酸アルミニウム18水和物および二水石膏は、それらの無水水和物の質量部を表1および表2に示している。60℃に加温した水を投入した容量10Lのステンレス槽に、珪石粉末粉、生石灰、普通ポルトランドセメント、硫酸アルミニウム18水和物を一次投入し、ステンレス槽を60℃に加温しながら、攪拌機((株)井内盛栄堂:ウルトラ攪拌機 DC−CHRM25)の回転数1200rpmで水分の蒸発を抑制した状態で大気圧下に2時間攪拌、混合した。
【0084】
次いで、生石灰および二水石膏を二次投入し、一次投入と同様の条件下で1分間攪拌、混合した。固体原料と水の混合が終了した後、得られたスラリーを型枠(25cm×15cm×7cm)に流し込み、水分の蒸発を抑制した状態で60℃で5時間保持して予備硬化させた。次いで、予備硬化体を脱型して、オートクレーブ中で飽和水蒸気雰囲気下に180℃で4時間、高温高圧養生を行った後、乾燥して珪酸カルシウム硬化体を製造した。ここで、得られた珪酸カルシウム硬化体の諸物性を表3に示す。これらの試料1〜試料4は、本発明において上述した諸物性を満足するものであった。
【0085】
また、最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体を製造する場合は、硬化体原料として、上述した固体原料の他に、珪酸質原料としてシリカフューム(EFACO社製)、気泡剤としてアルミニウム粉末、増粘剤としてメチルセルロースおよび水を表2に示す配合量で用いた。なお、二水石膏は、試料5および試料7において一次投入し、試料6および試料8では二次投入した。上述した同じ投入方法および条件下で固体原料と水を攪拌、混合した後、更にメチルセルロースを投入して混合した。得られたスラリーにアルミニウム粉末を添加して60℃で1分間混合した後、スラリーを型枠(25cm×15cm×7cm)に流し込んで発泡させた後、上述した方法で蒸気養生し珪酸カルシウム硬化体を製造した。ここで、得られた珪酸カルシウム硬化体の諸物性を表4に示す。これらの試料5〜試料8は、本発明において上述した諸物性を満足するものであった。
【0086】
【表1】
Figure 0004863570
【0087】
【表2】
Figure 0004863570
【0088】
【表3】
Figure 0004863570
【0089】
【表4】
Figure 0004863570
【0090】
【実施例1】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料1〜4を長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmに切り出し、これを容積10000cm3の密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管を185℃に加熱した後、300Paに減圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された容積10000cm3の別の密閉容器内にプロピルトリエトキシシランを80g入れ、300Paに減圧した後に185℃に加熱してプロピルトリエトキシシランを気化させて65000Paの蒸気圧を得た。そこで上記弁を開放し、プロピルトリエトキシランの蒸気を珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内に約30秒間注入し、該密閉容器内の圧力を32000Paとした後、そのままの状態で1時間放置した。
【0091】
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0092】
【実施例2】
プロピルトリエトキシランをヘキシルトリメトキシシランに換え、珪酸カルシウム硬化体を入れる密閉容器内、付属する配管およびオクチルトリメトキシシランを入れた密閉容器内を200℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様な方法で撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0093】
【実施例3】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料1〜4を長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmに切り出し、密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管を200℃に加熱した後、300Paに減圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された別の密閉容器内にメチルトリメトキシシラン32g、オクチルトリメトキシシラン48gを入れ、300Paに減圧した後に170℃に加熱して該混合アルコキシシランを気化させて65000Paの蒸気圧を得た。そこで上記弁を開放し、該混合アルコキシシランの蒸気を軽量気泡コンクリートを入れた密閉容器内に約30秒間注入し、該密閉容器内の圧力を32000Paとした後、そのままの状態で1時間放置した。
【0094】
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0095】
【実施例4】
メチルトリメトキシシランをプロピルトリメトキシシランおよびオクチルトリメトキシシランをオクタデシルトリメトキシシランに換え、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内および付属する配管ならびにプロピルトリメトキシシラン68gとオクタデシルトリメトキシシラン12gを入れた密閉容器内を加熱する温度を200℃にした以外は、実施例3と同様にして撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
【0096】
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0097】
【実施例5】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料5〜8を用いる以外は、実施例1と同様にしてして撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0098】
【実施例6】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料5〜8を用いる以外は、実施例2と同様にしてして撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0099】
【実施例7】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料5〜8を用いる以外は、実施例3と同様にしてして撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0100】
【実施例8】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料5〜8を用いる以外は、実施例4と同様にしてして撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
本実施例により得られたすべての最大径200μmを越える気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認された。
【0101】
【表5】
Figure 0004863570
【0102】
【表6】
Figure 0004863570
【0103】
【比較例1】
上記製造方法で得た珪酸カルシウム硬化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmに切り出し、そのままの状態で前記の方法で各性能を評価したところ、本比較例により得られたすべての珪酸カルシウム硬化体は、水の接触角は試料に滴下した水滴が瞬時に吸水されるため測定が不可能であり、全く撥水性を有していないことが確認された。また、該珪酸カルシウム硬化体すべての耐透水性は60cm3以上、耐凍害性は10サイクル以下となり、実施例1〜8に比べ劣ることが確認された。
本比較例のように撥水処理をしない珪酸カルシウム硬化体そのものは、撥水性、耐透水性および耐凍害性は全く有していないことが確認された。
【0104】
【比較例2】
上記製造方法で得られた珪酸カルシウム硬化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmに切り出し、プロピルトリエトキシシラン80gを密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管を185℃で1時間加熱した。
本比較例により得られたすべての珪酸カルシウム硬化体は、表面から内部に3〜5mm程度しか撥水性を発現しておらず、不十分な撥水性珪酸カルシウム硬化体であることが確認された。この得られたすべての珪酸カルシウム硬化体切断面の接触角を測定したところ、撥水性が発現している表面から内部に3〜5mmまでは、水の接触角が100〜130度であるものの、それ以外は滴下した水滴が瞬時に吸水し全く撥水性を有していないことが確認された。また、該珪酸カルシウム硬化体のすべての耐透水性は、60〜70cm3、耐凍害性は、15サイクル以下となり、実施例1〜8に比べ劣ることが確認された。
【0105】
本比較例のように単純にプロピルトリエトキシシランの蒸気を接触させるだけでは、珪酸カルシウム硬化体の表面近傍で撥水性が発現するものの、内部空隙へプロピルトリエトキシシランが浸透せず、耐透水性や耐凍害性もほとんど向上しないことが確認された。
【0106】
【比較例3】
上記製造方法で得られた珪酸カルシウム硬化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmに切り出し、密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管を60℃に加熱した後、300Paに減圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された別の密閉容器内にメチルトリエトキシシランを80g入れ、60℃に加熱してから上記弁を開放しその状態で3時間放置した。その後、試料を取り出し、120℃の熱風乾燥機で1時間処理した。
【0107】
本比較例により得られたすべての珪酸カルシウム硬化体は、ほとんど撥水性は発現しておらず、珪酸カルシウム硬化体表面は極めて僅かに撥水性が付与されているもののそれ以外は全く撥水性は付与されていなかった。この得られたすべての珪酸カルシウム硬化体切断面の接触角を測定したところ、珪酸カルシウム硬化体表面が20〜40度であったが、内部は滴下した水滴が瞬時に吸水し全く撥水性を有していないことが確認された。また、該珪酸カルシウム硬化体すべての耐透水性は、65〜80cm3、耐凍害性は10サイクル以下となり、実施例1〜8に比べ劣ることが確認された。
【0108】
本比較例のように予めプロピルトリエトキシシランを気化させて十分な蒸気圧を得ていない場合、弁を開いても珪酸カルシウム硬化体入れた密閉容器内には空気しか入らず、その状態で3時間処理してもほとんど撥水性が付与されることはなく、耐透水性や耐凍害性もほとんど向上しないことが確認された。
【0109】
【比較例4】
上記製造方法で得られた珪酸カルシウム硬化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ40mmに切り出し、密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管を30℃に加熱した後、300Paに減圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された別の密閉容器内にプロピルトリエトキシシランを80g入れ、300Paに減圧した後に185℃に加熱してプロピルトリエトキシシランを気化させて65000Paの蒸気圧を得た。そこで上記弁を開放し、プロピルトリエトキシランの蒸気を珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内に約30秒間注入し、そのままの状態で1時間放置した。
【0110】
本比較例により得られたすべての珪酸カルシウム硬化体は、表面から内部に3〜5mm程度しか撥水性を発現しておらず、不十分な撥水性珪酸カルシウム硬化体であることが確認された。この得られた珪酸カルシウム硬化体切断面の接触角を測定したところ、撥水性が発現している表面から内部に3〜5mmまでは、水の接触角が128〜130度であるものの、それ以外は滴下した水滴が瞬時に吸水し全く撥水性を有していないことが確認された。また、該珪酸カルシウム硬化体すべての耐透水性は、45〜60cm3、耐凍害性は15サイクル以下となり、実施例1〜8に比べ劣ることが確認された。
【0111】
本比較例のように予めプロピルトリエトキシシランを気化させて十分な蒸気圧を得ていている場合でも、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器や配管及び珪酸カルシウム硬化体自体を十分に加熱していないと、注入されたプロピルトリエトキシシランは珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内で凝縮して液化するため、珪酸カルシウム硬化体の内部空隙には浸透せず、内部に撥水性が付与されることはなく、耐透水性や耐凍害性もほとんど向上しないことが確認された。
【0112】
【発明の効果】
本発明の珪酸カルシウム硬化体は、表面から内部空隙表面に至るまで優れた撥水性を有しており、耐水性や耐凍害性に特に優れた珪酸カルシウム硬化体である。また、本発明の製造方法によれば、珪酸カルシウム硬化体の表面から内部に至るまでアルキルアルコキシシランからなる撥水層を短時間で形成することができることから産業上、大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データおよびIa、Ibの算出方法を示すX線回折図であり、(A)は本発明の一実施態様、(B)は従来のトバモライトの結晶性が乏しい珪酸カルシウム硬化体の例についてのものである。尚、CPSとは、counts per secondの意味である。
【図2】図2(A)、(B)および(C)は、水銀圧入法により測定された様々な珪酸カルシウム硬化体の微分細孔分布および対数1/4値幅の算出方法を示す分布図。
【図3】珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折データおよびI(002)、I(220の算出方法を示すX線回折図。

Claims (12)

  1. 主としてトバモライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ibがトバモライトの(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14以上1.0未満であり、かつ水銀圧入法で測定された微分細孔分布において観測される最大ピークの対数1/4幅が0.4以上1.2以下である珪酸カルシウム硬化体であり、かつ該珪酸カルシウム硬化体の表面および内部空隙表面に、一般式
    1 n Si(OR 2 4-n
    (ここで、R 1 は炭素数1〜18のアルキル基であり、R 2 はアルキル基である。nは1〜3の整数を表す。nが2以上の場合、R 1 同士は同じであっても異なっていても良い。nが1または2の場合、R 2 同士は同じでも異なっていても良い。)で表されるアルキルアルコキシシランを用いて形成される撥水層を有する珪酸カルシウム硬化体
  2. 該撥水層は、該珪酸カルシウム硬化体を入れた100℃〜210℃に加熱された減圧密閉容器内に、100℃〜210℃に加熱された該アルキルアルコキシシランの蒸気を流入させることで形成されることを特徴とする請求項1に記載の珪酸カルシウム硬化体
  3. 該撥水層は、該珪酸カルシウム硬化体を入れた圧力P1の減圧密閉容器内に、該蒸気圧P2の該アルキルアルコキシシランの蒸気を、圧力P2が圧力P1よりも高い状態で流入させることで形成されることを特徴とする請求項2に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  4. 前記アルキルアルコキシシランがメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランから選択されるアルキルアルコキシシランである請求項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  5. アルキルアルコキシシランが、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  6. アルキルアルコキシシランが、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  7. アルキルアルコキシシランが、炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  8. 撥水層の水の接触角が100度以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  9. 珪酸カルシウム硬化体の厚みが10〜200mmである請求項1〜8のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体。
  10. 珪酸カルシウム硬化体とアルキルアルコキシシランの表面および内部空隙表面に、アルキルアルコキシシランの撥水層を有する軽量気泡コンクリートを製造する際に、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルコキシシランを用いる請求項記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  11. 密閉容器内に珪酸カルシウム硬化体を入れて加熱減圧した後(減圧後の圧力をPとする。)、アルキルアルコキシシランの蒸気を上記密閉容器内に流入し、該密閉容器内の圧力を圧力Pより1000〜100000Pa高くして、 アルキルアルコキシシランを珪酸カルシウム硬化体表面および内部空隙表面に付着させる請求項1〜9のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれか一項に記載の珪酸カルシウム硬化体を、外壁材、床材、間仕切り材または屋根下地材として使用する珪酸カルシウム硬化体の使用方法。
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