JP2002326883A - 撥水性珪酸カルシウム硬化体 - Google Patents
撥水性珪酸カルシウム硬化体Info
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Abstract
熱性に優れた性能を損なうことなく、珪酸カルシウム硬
化体表面から内部に至るまで撥水性を有する撥水性珪酸
カルシウム硬化体を提供することである。 【解決手段】 珪酸カルシウム硬化体及び内部空隙表面
にアルキルアルコキシシランからなる撥水層を有する撥
水性珪酸カルシウム硬化体。
Description
珪酸カルシウム硬化体及びその製造方法と使用方法に関
するものである。
性かつ軽量な建築資材が求められている。この様な建材
の代表的なものとしては、軽量気泡コンクリート(以下
屡々「ALC」)および繊維補強珪酸カルシウム(以下
屡々「ケイカル板」)が知られている。軽量気泡コンク
リートおよび繊維補強珪酸カルシウムは、その内部に後
述する様々な種類の気泡や空隙を内在し軽量化を図って
いる。
珪酸カルシウムは、軽量かつ断熱性に優れているため、
ビルまたは住宅の外壁材、床材、間仕切り材、屋根下地
材として広く用いられている。しかし、一方ではその耐
水性が劣り水を吸水し易いという問題がある。すなわ
ち、嵩比重が0.4〜1.2では、体積の約50〜85
%が空隙であり、この空隙に水が浸透し易く、水が入る
と断熱性や強度が低下するだけでなく、炭酸化や凍害の
促進を招き、亀裂などの問題を生じる場合がある。ま
た、吸水と乾燥の過程で膨潤と収縮を繰り返し、亀裂の
原因になる場合もある。
止する方法は、軽量気泡コンクリート表面への塗装であ
る。しかし、軽量気泡コンクリートの表面は、切断時に
形成される凹凸や気泡による凹凸が大きく、非常に多く
の塗料を塗布しないと耐透水性能が得られない。また、
現場塗装では、ピンホールなどができ易く、完全に吸水
を防止することは非常に困難である。更には、工場塗装
で予め軽量気泡コンクリート表面に完全な塗装を行って
いても、軽量気泡コンクリートは、現場で切断加工する
場合が多く、切断面から雨などの水が入り問題となる。
このように、塗装では軽量気泡コンクリートの吸水の問
題を十分に解消することが困難である。
速度を低減する方法として、特開昭58−55359号
公報、特開平3−54175号公報において、軽量気泡
コンクリート製造工程の原料スラリーにポリジメチルシ
ロキサンを添加する方法が提案されている。しかし、こ
のような方法では、軽量気泡コンクリートが吸水し易い
という問題をある程度解決することはできるが、本質的
に軽量気泡コンクリートの吸水を防ぐことはできず、軽
量気泡コンクリートの吸水問題を解決したとは言えな
い。
与する方法として、特開昭59−116465号公報に
おいて、軽量気泡コンクリート表面にアルコキシシラン
などの撥水剤蒸気を接触させる方法が提案されている。
しかし、この方法では、軽量気泡コンクリートに撥水剤
蒸気を単純に接触させるだけであり、撥水剤は拡散によ
り軽量気泡コンクリート内部空隙への浸透するのみであ
るので、本発明の比較例2に示すように、軽量気泡コン
クリートの表面から3mm程度の深さまでは撥水性を有
するものの、軽量気泡コンクリート内部までは十分な撥
水性が得られない。
報において、珪酸カルシウムを密閉容器に入れ減圧状態
にした後、アルコキシシランの蒸気を流入させる方法が
提案されている。しかし、この方法では、珪酸カルシウ
ムを密閉容器に入れて減圧状態にしているものの、十分
なアルキルアルコキシシラン蒸気が得られず、本発明に
比較例3として記載したように珪酸カルシウムの内部ま
で十分な撥水性を有する、接触角100度以上の撥水層
が得られていない。
でありながら、建築材料として好適な高比強度、高比弾
性率かつ弾性率あたりの高い圧縮強度を有しているだけ
でなく、珪酸カルシウム硬化体表面から内部に至るまで
優れた撥水層を有する撥水性珪酸カルシウム硬化体、そ
の製造方法および使用方法を提供することである。
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、主としてトバ
モライトからなり、粉末X線回折におけるトバモライト
の(220)面の回折ピーク強度Ibがトバモライトの
(220)面と(222)面の2本の回折ピークに挟ま
れた角度領域における回折強度の最低値Iaとの間に、
Ib/Iaが3.0以上となる関係を持ち、かつ嵩比重
が0.14以上1.0未満であり、かつ水銀圧入法で測
定された微分細孔分布において観測される最大ピークの
対数1/4幅が0.4以上1.2以下である珪酸カルシ
ウム硬化体を密閉容器に入れ加熱減圧(減圧後の圧力を
Pとする。)した後に、アルキルアルコキシシラン蒸気
を流入させて、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器
内のアルキルアルコキシシラン蒸気圧を上記圧力Pより
1000Pa以上高くすると、該珪酸カルシウム硬化体
内部の中心部空隙表面にまで撥水層を形成させ得ること
を見出し、本発明を完成するに至った。
けるトバモライトの(220)面の回折ピーク強度Ib
がトバモライトの(220)面と(222)面の2本の
回折ピークに挟まれた角度領域における回折強度の最低
値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上となる関係を
持ち、かつ嵩比重が0.14以上1.0未満であり、か
つ水銀圧入法で測定された微分細孔分布において観測さ
れる最大ピークの対数1/4幅が0.4以上1.2以下
である珪酸カルシウム硬化体表面および内部空隙表面
に、アルキルアルコキシシランから形成される撥水層を
有する珪酸カルシウム硬化体、 2.アルキルアルコキシシランが、炭素数3〜8のアル
キル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも
1種からなる前項1記載の珪酸カルシウム硬化体、 3.アルキルアルコキシシランが、炭素数1〜2のアル
キル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも
1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルア
ルコキシシランの少なくとも1種との混合物である前項
1記載の珪酸カルシウム硬化体、 4.アルキルアルコキシシランが、炭素数1〜6のアル
キル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも
1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキル
アルコキシシランの少なくとも1種との混合物である請
求項1記載の珪酸カルシウム硬化体、 5.撥水層の水の接触角が100度以上である前項1、
2、3または4記載の珪酸カルシウム硬化体、 6.珪酸カルシウム硬化体の厚みが10〜200mmで
ある前項1、2、3、4または5記載の珪酸カルシウム
硬化体、 7.珪酸カルシウム硬化体とアルキルアルコキシシラン
の表面および内部空隙表面に、アルキルアルコキシシラ
ンの撥水層を有する軽量気泡コンクリートを製造する際
に、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルコキシシラ
ンを用いる前項2記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方
法、 8.密閉容器内に珪酸カルシウム硬化体を入れて加熱減
圧した後(減圧後の圧力をPとする。)、アルキルアル
コキシシランの蒸気を上記密閉容器内に流入し、該密閉
容器内の圧力を圧力Pより1000〜100000Pa
高くして、アルキルアルコキシシランを珪酸カルシウム
硬化体表面および内部空隙表面に付着させる前項1記載
の珪酸カルシウム硬化体の製造方法、 9.珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器の加熱温度
が100〜300℃である前項8記載の、珪酸カルシウ
ム硬化体の製造方法、 10.前項1〜6のいずれかに記載の珪酸カルシウム硬
化体を、外壁材、床材、間仕切り材または屋根下地材と
して使用する珪酸カルシウム硬化体の使用方法、であ
る。
おける撥水性珪酸カルシウム硬化体とは、珪酸カルシウ
ム硬化体表面及び内部空隙表面全体に、アルキルアルコ
キシシランから形成される撥水層を有する珪酸カルシウ
ム硬化体である。また、本発明で用いられる珪酸カルシ
ウム硬化体とは、珪酸カルシウム化合物を含み、かつ硬
化して得られる任意の形状を有する材料の総称であり、
一般にコンクリート、硬化モルタル、軽量気泡コンクリ
ート、ケイカル板、珪酸カルシウム板等を指す。
は、主としてトバモライト(5CaO・6SiO2・5
H2 O)からなることが大きな特徴である。トバモライ
トは、軽量気泡コンクリート(ALC)などの組織中に
通常見られる代表的な結晶性ケイ酸カルシウム水和物の
1つであり、板状あるいは短冊状の粒子形態をとる。ま
た、本発明において、珪酸カルシウム硬化体が主として
トバモライトからなるか否かは、珪酸カルシウム硬化体
の破断面の走査型電子顕微鏡観察と粉末X線観察を併用
することにより判断する。
モライトの最強線(220)を越える他の回折ピークが
存在しないことである。ただしトバモライトとともに、
結晶質シリカ、炭酸カルシウム、石膏が共存する場合、
トバモライトが主体であっても、これら共存物質の高い
結晶性のために、これらの物質の最強線がトバモライト
の最強線を超える場合がある。そこで第二に、破断面を
走査型電子顕微鏡観察を用いて、顕微鏡の設定倍率25
00倍、35.4μm×18.9μmの領域で、気泡剤
による粗大気泡部以外のマトリックスを無作為に20箇
所観察し、板状あるいは短冊状のトバモライト粒子が観
察される面積割合の平均が50%以上あれば、主として
トバモライトからなるとする。
であることが好ましく、80%以上であることがより好
ましい。ここで粗大気泡部とは、粗大気泡および粗大気
泡から周囲5μmの領域をいい、自由空間が存在するた
めにトバモライトが生成しやすい領域をいう。しかし、
このような場合でも、粉末X線回折において、トバモラ
イトの(220)面の回折ピーク強度Ibに対するトバ
モライト以外の高結晶性の共存物質、すなわち結晶質シ
リカ、炭酸カルシウム、石膏の最強線の回折強度Icの
比(Ic/Ib)が3以下であることが好ましく、2以
下であることがより好ましい。
述したように顕微鏡の設定倍率2500倍で観察された
板状あるいは短冊状のトバモライト粒子を顕微鏡の設定
倍率5000倍で観察し、1つの粒子において、互いに
ほぼ平行な2つの表面間の距離がその粒子の最小長さ
(以下厚みと称する。)に相当し、その粒子の最大長さ
が最小長さの5倍以上である粒子とする。もちろん、こ
こで言う最大長さ、厚みは二次元への投影長さである。
これらトバモライトの粒子の大きさは特に規定はしない
が、最大長さが数μm〜10μmであることが好まし
い。
シウム水和物(CSH)と共存することが多い。CSH
は様々な粒子形態をとることが知られているが、通常は
繊維状、粒状、塊状の粒子形態をとるため、電子顕微鏡
下でトバモライト粒子と区別できる。この様なCSH
は、トバモライトの基本骨格を崩さない範囲で含有でき
るが、、CSHは強度、耐候性、耐久性など建材として
の様々な必要性能を低下させるので、可能な限り含有し
ないことが好ましい。さらに、少量の軽量骨材、補強繊
維、樹脂等もトバモライトの基本骨格を崩さない範囲で
含有することができる。
ルシウム硬化体(一実施態様)の粉末X線回折図であ
り、図1(B)は、従来のトバモライトの結晶性が乏し
い珪酸カルシウム硬化体の粉末X線回折図である。2つ
のトバモライトの回折線(220)、(222)に挟ま
れた角度領域における回折強度の最低値Iaに対するト
バモライトの(220)回折ピーク強度Ibの比(Ib
/Ia)が3.0以上である。珪酸カルシウム硬化体中
にCSHが多量に存在すると、前述したように建材とし
ての様々な性質が低下する。ここで粉末X線回折とは、
X線としてCuKα線を用いた粉末X線回折をいう。
存在すると、乾湿繰り返し時の寸法安定性が低下する。
さらに長期間大気中に放置されると、これらCSHは大
気中に含まれる二酸化炭素と容易に反応して、炭酸カル
シウムと非晶質珪酸に分解する炭酸化反応を起こす。こ
の時、体積の収縮を伴うことから亀裂、組織劣化が発生
することがある。特に、嵩密度が1.0以下の場合、通
気性がある程度あるためにこれら炭酸化反応が内部まで
起こり易い。トバモライトとCSHが共存する硬化体に
ついて、粉末X線回折を行うと、トバモライトの(22
0)回折ピークと(222)回折ピークに挟まれた領域
に、ブロードなCSHの回折ピークが認められる。この
CSHの回折ピークは通常29.1〜29.4°(2
θ)付近に出現する。またCSHがトバモライトに比べ
て少ない場合、CSHの回折ピークは、トバモライトの
回折線に吸収された形になり、通常CSHの回折強度の
測定は不可能となる。
バモライトの(220)回折ピークと(222)回折ピ
ークに挟まれた領域におけるX線の回折強度は、バック
グラウンドに比べて高い値となることから、CSHの存
在の有無を判定することができる。珪酸カルシウム硬化
体がCSHを全く含まず、かつ高結晶性のトバモライト
を主体とする場合、同領域におけるX線強度の最低値は
バックグランド強度と一致する。
も、トバモライトの結晶性が低い場合には、Ib/Ia
は小さくなる。これは(220)と(222)が近接し
ているために、ピークのすそのが重なり合うためであ
る。トバモライトの結晶性が低いと、珪酸カルシウム硬
化体の強度低下、および耐候性の低下が起こる。従っ
て、2つのトバモライトの回折線、(220)と(22
2)に挟まれた角度領域における回折強度の最低値Ia
に対するトバモライトの(220)面の回折ピーク強度
Ibの比(Ib/Ia)が大きい程、珪酸カルシウム硬
化体中に含有されるトバモライトの結晶性が高いことを
示す。また、珪酸カルシウム硬化体中にCSHが存在す
る場合においては、Ib/Iaが大きい程、珪酸カルシ
ウム硬化体中に含有されるトバモライトの結晶性が高
く、かつCSHの含有量が少ないことを示す。
/Iaの値は3.0以上であることが必要であり、好ま
しくは4.0以上、さらに好ましくは5.0以上であ
る。また、嵩比重が0.5以上の珪酸カルシウム硬化体
においては、Ib/Iaの値が5.0以上であると、特
に圧縮強度および弾性率が高くなり好ましい。従来から
市販されている軽量気泡コンクリートは、結晶性の高い
珪石を原料としてを用いることにより、トバモライトの
結晶性を高め、結果としてIb/Iaの値は高くなって
いる場合が多い。この値が高いにも拘わらず強度が低い
理由は、未反応の珪石が多量に残存していてトバモライ
トが真の主成分になっていないこと、および後述する
が、マトリックスに存在する空間が広い分布を持つこ
と、等の理由による。なお、ここでの強度IaおよびI
bは、バックグランド強度を含めた値であり、後述する
I(220)とは区別する。Ia、Ibの算出方法を図
1に示すが、2つのトバモライト回折線(220),
(222)に挟まれた角度領域におけるバックグランド
を含めた回折強度の最低値をIa、バックグランドを含
めたトバモライト回折線(220)の最大強度をIbと
する。
の嵩比重は、強度の点から0.14以上、軽量性の点か
ら1.0以下が好ましい。より好ましくは0.14〜
0.9、さらに好ましくは0.2〜0.7である。ここ
で言う嵩比重とは、105℃で24時間乾燥させた際の
嵩比重、すなわち絶乾比重を指す。本発明で用いられる
珪酸カルシウム硬化体は、水銀圧入法で測定される微分
細孔分布曲線における最大値の1/4の高さにおける対
数分布幅が0.4〜1.2であることが必要であり、好
ましくは0.4〜1.1、さらに好ましくは0.4〜
1.0である。
化体内部へ水銀を圧入させて、その時の圧力と侵入量の
関係から細孔径の分布を測定するものであり、細孔の形
状が円筒形であると仮定して計算されたものである。水
銀圧入法による細孔径の測定可能範囲は6nm〜360
μmの範囲であるが、この値は実際の細孔の直径を表す
ものではなく、構成物質間の隙間の大きさの指標として
使用され、特に本発明において、珪酸カルシウム硬化体
の細孔構造を記述する際には有効な解析手段である。水
銀圧入法で測定された微分細孔分布は、測定された細孔
径に対する細孔量の積算曲線を1次微分して得られる。
通常、嵩比重が0.14〜1.0の珪酸カルシウム硬化
体の場合には、その測定範囲内の細孔径6nm〜50μ
mの間に微分細孔分布が存在する。
の高さにおける対数分布幅(対数1/4値幅)とは、細
孔径分布の広がりを示す一つの指標であり、微分細孔分
布曲線における最大値の1/4の高さにおける細孔分布
の幅を対数にて表示したものである。その算出方法を図
2に示すが、水銀圧入法により測定された細孔径に対す
る細孔量の積分曲線を1次微分して得られる微分細孔分
布曲線における最大値の1/4の高さを与える細孔径が
二つである場合、(図2(A)、図2(B)参照)、大
きい順にA2、A1とすると、対数1/4値幅が1.2
は、A2、A1それぞれの常用対数の差となる。尚、図2
(C)に示すように、微分細孔分布曲線における最大値
の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、
それらのうち最大の細孔径A2の常用対数と最小の細孔
径A1の常用対数の差となる。
径が50μm以下の細孔領域における細孔径分布は広い
分布を持つことになり、これはすなわち、応力を担う骨
格を形成する部分(以下「マトリックス」という)間隙
の均一性が低いことを示す。そのために、局所的な応力
集中が生じやすくなり、弾性率、圧縮強度、弾性率あた
りの圧縮強度の低下をもたらす。該対数分布幅は小さい
方が強度その他の物性は向上する方向である。従来の材
料、たとえば軽量気泡コンクリートは、気泡剤により導
入された粗大気泡部を除いた部分、すなわち骨格を形成
するマトリックスに存在する空隙は広い分布を持ち、対
数1/4値幅は1.2を越えている。従来の材料では、
粗大気泡のみならず、これらの細孔領域に存在する広い
分布を持つ空隙が、強度、弾性率等の物性を改善するこ
との障壁になっていた。
塊状の粒子形態をとり、結晶質のトバモライトより微細
であることに加えて、ゲル細孔と呼ばれる0.1μm以
下の細孔を多量に含有している。そのため、珪酸カルシ
ウム硬化体中にCSHを多量に含有している場合にも対
数1/4値が非常に小さくなることがある。しかしかが
ら、対数1/4値幅が小さい場合でも、CHSを多量に
含有している場合もしくはトバモライトの結晶性が低い
場合には、それらに起因して高い弾性率、高い強度、弾
性率あたりの高い圧縮強度は得られない。
は、主としてトバモライトからなり、トバモライトの結
晶性が高い、すなわち上記Ib/Iaが3.0以上の珪
酸カルシウム硬化体であり、そのマトリックスを構成す
るトバモライトの板状あるいは短冊状粒子間の空隙径分
布、すなわちマトリックスにおける細孔分布を均一化し
ていることが大きな特徴である。それにより、気泡剤に
よる粗大気泡が存在する従来の軽量気泡コンクリートと
比較して、弾性率、圧縮強度、さらには弾性率あたりの
圧縮強度が、1.7〜2.2倍の物性を発現すること
が、また粗大気泡が存在しない場合には、さらに1.5
〜2.0倍の上記物性を発現することが可能となった。
線回折において観察されるトバモライトの回折ピークの
うち、(220)面の回折ピーク強度I(220)に対
する(002)面の回折ピーク強度I(002)の比
(I(002)/I(220))が好ましくは0.25
以上、さらに好ましくは0.35以上である。トバモラ
イトの板状あるいは短冊状の粒子は、平面に垂直な方向
すなわち厚み方向が結晶のC軸方向と考えられている。
従ってI(002)の相対強度が増加することは、C軸
方向の相対的な規則性が増すことであり、それに伴い板
状結晶の厚みも増加することを意味する。
よれば、理想的なトバモライト結晶のI(002)/I
(220)は0.8と記載されており、この値に近づく
ことで結晶の厚みが増し、単一結晶の強度が増加する。
結果として、これら結晶から構成される珪酸カルシウム
硬化体の強度も増加する。さらに結晶の規則性が増加す
ることにより、珪酸カルシウム硬化体の弾性率が増加
し、また耐炭酸化等の耐候性に代表される建材としての
性能も向上すると考えられる。これらI(002)、I
(220)の算出方法を図3に示すが、I(002)
は、回折角6〜9°(2θ)付近にかけて、バックグラ
ンドを直線近似して得られた真の回折強度であり、I
(220)は、回折角20〜40°(2θ)付近にかけ
て、バックグランドを直線近似して得られた真の回折強
度である。
は、補強繊維を0.05vol%以上3vol%以下含
有していることが好ましい。ここでいう補強繊維とは、
耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ステンレス繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維等の無機繊維、ア
ラミド繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の有
機繊維であり、このうち一種、あるいは二種類以上の混
合物として用いることができる。目的の性能を得るため
には、アラミド繊維、耐アルカリガラス繊維、カーボン
繊維が好ましく、さらにパラ系アラミド繊維を用いるこ
とが好ましい。
粗大気泡が存在するため、補強繊維を添加しても耐欠け
性や建築部材として重要な衝撃強度を増大させることが
困難であった。ところが本発明で用いられる珪酸カルシ
ウム硬化体は、微細空隙が均一に分布しているため、補
強繊維との接着性が大幅に向上して、珪酸カルシウム硬
化体の衝撃強度を大幅に向上させることが可能となっ
た。補強繊維の繊維長は、1〜20mmを用いることが
でき、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜8
mmである。補強繊維の含有量は、空隙まで含めた硬化
体の体積に対して、補強効果の点で0.05vol%以
上、均一分散の点で3vol%以下が好ましく、より好
ましくは0.1〜2vol%である。
硬化体は、補強鉄筋あるいは補強金網を該珪酸カルシウ
ム硬化体内部に埋設されていることが好ましい。ここで
補強鉄筋とは、鉄筋を所望の形状に配列し、交叉接点を
溶接加工したものを言う。また補強金網とは鉄を網状に
加工したもので、たとえばラス網等がその代表的な例で
ある。補強鉄筋もしくは補強金網の形状、寸法、鉄筋の
太さ、金網の目の大きさ、さらに珪酸カルシウム硬化体
中に埋設する際の位置等、すなわち配筋の仕方について
は、板の大きさ、用途等によって異なるために一概に限
定することはできない。なお、これら補強鉄筋または補
強金網は、耐久性上有効な防錆剤処理が施されているこ
とが好ましい。
を使用することができる。この様に補強鉄筋あるいは補
強金網を内部に配置することにより破壊時の耐力が著し
く向上する。特に本発明において、珪酸カルシウム硬化
体は、高結晶性に由来して圧縮弾性率が従来の材料に比
べて格段に高いため、鉄筋あるいは金網による補強が有
効になる。さらに前述したように均一な微細気泡のため
に、鉄筋との付着力も従来の軽量気泡コンクリートに比
べて大幅に向上させることが可能となった。
の製造方法は、少なくとも珪酸質原料とセメントと石灰
質原料を含むスラリーを予備硬化した後にオートクレー
ブ養生し、主としてトバモライトからなる珪酸カルシウ
ム硬化体を製造する方法であって、上記珪酸質原料とし
て結晶質である珪酸質原料を50wt%以上用い、かつ
硫酸アルミニウムもしくはその水和物を、酸化物換算
(Al2O3)で固体原料の総質量に対して0.09〜1
0wt%、その他の硫酸化合物を、上記硫酸アルミニウ
ムもしくはその水和物を含めて、SO3量換算で固体原
料の総質量に対して0.15〜15wt%となるように
上記スラリーに混合することが好ましい。なお、本発明
において予備硬化体とは、水和スラリーを型枠内に注入
し、硬化させて得られるオートクレーブ養生前のものを
いう。
が70wt%以上の原料を言う。たとえば、結晶質の珪
石、珪砂、石英およびそれらの含有率の高い岩石等、並
びに珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ、天然の
粘土鉱物およびそれらの焼成物等である。これらのうち
で結晶質の珪酸質原料とは、珪石、珪砂、石英およびそ
れらの含有率の高い岩石であり、粉末X線回折において
α−石英あるいはクリストバライト等のシャープな回折
ピークを呈するものをいう。また、非晶質珪酸原料と
は、珪藻土、シリカヒューム、フライアッシュ等の粉末
X線回折において固有の明瞭な回折ピークを示さないも
のを言う。また、セメントとは普通ポルトランドセメン
ト、早強ポルトランドセメント、ビーライトセメント等
の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするものを言う。
を製造するにおいては、用いる珪酸質原料のうち50w
t%以上が結晶質であることが必要である。珪酸質原料
の中でもシリカヒュームに代表される非晶質珪酸原料
は、結晶質珪酸原料に比べて著しく高い反応性を持って
いる。その著しく高い反応性のために、セメント、石灰
質原料と予備硬化させる段階で、CaO/SiO2モル
比が1付近のCSHが常温下でも特に容易に生成するこ
とが知られている。これらCSHは非常に安定な物質で
あることから、その後に高温高圧の養生を行っても、ト
バモライトへの変化は遅く、硬化体中には寸法安定性、
耐候性を低下させるCSHが多く残留してしまう。ま
た、トバモライトの結晶性も著しく低下することが知ら
れている。同時に、径が小さくかつ均一な細孔分布が得
られないために、目的とする高弾性率、高圧縮強度が得
られない。従って。珪酸質原料は50wt%以上が結晶
質である必要があり、好ましくは60wt%以上であ
る。
石が安価であることから好ましく、中でも微粉砕したブ
レーン比表面積で測定して5000cm2/g以上の微
粉珪石が好ましく、より好ましくは7000cm2/g
以上である。微粉珪石は余り細かくても、却って取り扱
いにくいという弊害が生じることからブレーン比表面積
で測定して300000cm2/g以下であることが好
ましい。微粉珪石は結晶質であるために予備硬化段階で
はほとんど反応しない。しかし、オートクレーブ養生中
の反応性は著しく高いために結晶性の高いトバモライト
を多量に生成させることが可能になる。珪石の粒度が、
ブレーン比表面積で測定して5000cm2/g以上と
細かいことは、オートクレーブ養生後に珪石が未反応の
ままで残留した場合にも、マトリックス中の残留珪石の
界面に生成される空隙の大きさを小さくする効果も有す
る。
える気泡が実質的に無い、すなわち気泡剤を用いずに嵩
比重0.5以下の珪酸カルシウム硬化体を得ようとする
場合、また気泡剤を用いる場合でも嵩比重0.3以下の
珪酸カルシウム硬化体を得ようとする場合には、水/固
体比を高くする必要がある。そのような場合には、製造
時に固体の沈降を防ぐ、および予備硬化時の硬化速度を
速める目的から、非晶質珪酸原料を一部使用することが
好ましいが、この時、非晶質珪酸原料を多く使用するこ
とは、トバモライトの生成量および結晶性の低下をもた
らす。非晶質珪酸質原料の使用量は、珪酸質原料のうち
5wt%以上50wt%未満が好ましく、より好ましく
は5〜40wt%である。ここで水/固体比とは、固体
重量(使用する原料が結晶水を含む場合、この結晶水の
重量を含む)の重量比を言う。
加量は、強度、成形成等の観点から、珪酸カルシウム硬
化体を製造する際の固体原料の総質量に対して酸化物換
算(Al2O3 )で0.09〜10wt%が好ましい。
用いる固体の総質量に対する使用するすべての水の比
(以下、水/固体比)が0.95未満の場合は、0.0
9〜3wt%であることが好ましく、より好ましくは
0.12〜2wt%であり、水/固体比が0.95以上
1.9未満の場合には、好ましくは0.15〜6wt%
であり、より好ましくは0.2〜4wt%であり、水/
固体比が1.9以上の場合は、0.2〜10wt%であ
り、より好ましくは0.25〜6wt%である。
物における硫酸アルミニウムとは、化学式(Al2(S
O4)3 )からなる物質を言い、その水和物とはたとえ
ば化学式(Al2(SO4)3 ・17H2O )で示される
ような結晶水を含む化合物を言う。いずれの場合でも結
晶水を除いた状態でAl2(SO4)3として80wt%
以上含有するものを言う。さらに原料形態としては粉
末、スラリーいずれでも構わない。その他の硫酸化合物
の添加量は、上記硫酸アルミニウムもしくはその水和物
を含めて、SO3換算で、珪酸質原料、セメント、硫酸
化合物原料、石灰質原料を含む固体原料の総質量に対し
て、予備硬化体の硬度確保の点で0.15wt%以上が
好ましく、硬化体のトバモライト含有量確保の点で15
wt%以下が好ましい。より好ましくは0.2〜10w
t%である。
の製造において、硫酸アルミニウムもしくはその水和物
を除いた、その他の硫酸化合物は特に限定されるもので
はなく、SO3ないしはSO4を含有する化合物であれば
良い。例えば、亜硫酸、硫酸、無水石膏(CaS
O4)、二水石膏(CaSO4・H2O )、半水石膏(C
aSO4・1/2H2O )等の石膏水和物、硫酸マグネ
シウムなどのアルカリ土類金属の硫酸塩、亜硫酸ナトリ
ウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム
などのアルカリ金属の硫酸塩、硫酸銅や硫酸銀などの金
属硫酸塩等であり、これらを単独で用いても複数同時に
用いてもよい。これらその他の硫酸化合物は、高結晶性
のトバモライトをより多量に生成させ、細孔の微細化か
つ細孔分布の均一化を実現させるために用いられる。こ
れらその他の硫酸化合物のうち、二水石膏が珪酸カルシ
ウム硬化体の主原料の一つとして使用するセメントに含
まれることから、特に好ましく用いられる。
その水和物と、その他の硫酸化合物を同時に用いること
は、高い水/固体比の下でも、固体の沈降を防ぎ、かつ
予備硬化反応を促進し、結果として得られる珪酸カルシ
ウム硬化体の強度および弾性率の向上をもたらすもので
あり、 本発明で用いられる珪酸カルシウム硬化体の製
造には好ましい原料である。本発明で用いられる珪酸カ
ルシウム硬化体の製造においては、硫酸アルミニウムま
たはその水和物をその他の固体原料および水と一緒に4
0〜100℃で10分以上、より好ましくは30分以上
混合することによって、水/固体比=5という非常に高
い水/固体比においてまで固液分離を抑制し、かつ短時
間の間に型枠からはずして移載可能な硬さまで予備硬化
させることができる。この0.67〜5に亘る広範囲の
水/固体比で制御されたスラリーをそのまま硬化させた
り、もしくはそれぞれの水性スラリーに適量の気泡剤、
例えばアルミニウム粉末を加えることにより、目的とす
る嵩比重かつ粗大気泡量を自由にかつ精度良く制御され
た珪酸カルシウム硬化体の製造が可能になる。
物と上記結晶質の微粉珪石の併用により、結果として得
られる珪酸カルシウム硬化体のマトリックスの細孔径を
極限まで微細化かつ均一化することができること、それ
により弾性率、圧縮強度、弾性率に対する圧縮強度を大
幅に向上することができる。現時点では、そのメカニズ
ムは必ずしも明らかではないが、硫酸アルミニウムまた
はその水和物および微粉珪石の併用により混合された水
性スラリーの分散性かつ均一性が向上する、結晶性の高
いトバモライトの多量生成を可能にする、同時にマトリ
ックスと残留した珪石の間に形成された空隙をより小さ
くできる、等のためと推定される。
ンドセメント、早強ポルトランドセメント、ビーライト
セメント等の珪酸成分とカルシウム成分を主体とするセ
メントを言う。さらに、石灰質原料とは酸化物換算でC
aOを50wt%以上含む原料であり、生石灰あるいは
消石灰等を言う。また、最大径200μmを越える気泡
を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体を製造する場
合には、珪酸質原料、セメント、硫酸化合物原料、石灰
質原料およびその他の固体原料は、水/固体比が0.7
7〜5になるように水性スラリー状態で混合することが
好ましい。最大径200μmを越える気泡を実質的に含
まない、高強度、高弾性率で、嵩比重が小さい珪酸カル
シウム硬化体を得るためには、水/固体比は、0.77
〜5の範囲が好ましく、より好ましくは0.9〜4の範
囲であり、さらに好ましくは1.2〜3の範囲である。
質的に含む珪酸カルシウム硬化体を製造する場合には、
水/固体比が0.67〜3.5、好ましくは0.85〜
3.3、より好ましくは0.96〜2.7になるように
水性スラリー状態で混合したた後に、気泡剤としてアル
ミニウム粉を混合したものを型枠に注入する方法が好ま
しく用いられる。アルミニウム粉末の添加量は、固体原
料の総質量に対して固体アルミニウム換算で0.002
〜0.8wt%であり、水/固体比が1.1未満の場合
には0.002〜0.15wt%であることが好まし
く、より好ましくは0.003〜0.1wt%であり、
水/固体比が1.1以上1.5未満の場合には0.00
5〜0.2wt%であることが好ましく、より好ましく
は0.008〜0.15wt%であり、水/固体比が
1.5以上2.2未満の場合には0.008〜0.3w
t%であることが好ましく、より好ましくは0.015
〜0.2wt%であり、水/固体比が2.2以上の場合
には0.02〜0.6wt%であることが好ましく、よ
り好ましくは0.03〜0.4wt%である。
れるものではなく、通常軽量気泡コンクリートの製造に
用いられる添加形態を用いることができ、アルミニウム
粉末を粉末で添加する方法、使用する水の一部をあらか
じめ別にしておき、その水にアルミニウム粉末を混合し
てアルミニウムスラリーとして添加する方法、軽量コン
クリート製造用のアルミニウムペースト(米国特許第
4,318,270号明細書参照)を添加する方法など
を用いることができる。気泡剤の添加量は、水性スラリ
ーの水/固体比と目的とする嵩比重によって決定され
る。気泡を含有させる方法は、金属アルミニウム粉によ
る発泡に限定されるものでなく、例えば従来用いられて
いるプレフォーム法(pre-foaming method)、すなわ
ち、起泡剤(pre-foaming agent)またはその水溶液に
空気を送り込んでフォームを形成し、そのフォームを水
性スラリーに混合させる方法(特開昭63―29548
7号公報参照)、起泡剤を水性スラリーに混合した後に
起泡機によってフォームを形成させる方法などが好まし
く用いられる。ここで、起泡剤はこの分野で従来用いら
れているものを用いることができ、その種類は特に限定
されないが、例えば合成界面活性剤系起泡剤、樹脂セッ
ケン系起泡剤、加水分解タンパク系起泡剤等が挙げられ
る。
は、高結晶性トバモライト生成を効果的に達成する観点
から、CaO/SiO2 モル比は好ましくは0.5〜
1.5、より好ましくは0.6〜1.3、さらに好まし
くは0.65〜1.1となるように水性スラリー状態で
混合される。固体原料と水からなるスラリーを混合する
温度について特に規定はないが、該混合により型枠注入
前にセメントの初期水和を進め、かつ珪酸質原料と石灰
質原料を反応させることによって、型枠注入後の予備硬
化を早める効果がある。従って、混合温度が低すぎる
と、反応が進まず、その後の予備硬化を遅らせることに
なる。従って、混合直後の温度で40〜100℃が好ま
しく、50〜100℃がより好ましい。水性スラリーを
混合する時間も特に規定はないが、短すぎると各固体原
料の分散が不十分で均一なスラリーが得られずかつセメ
ントの初期水和ならびに珪酸質原料と石灰質原料との反
応が進まない。また、長すぎるとその反応やセメントの
水和が進みすぎてかえって予備硬化を遅らせる。従っ
て、10分以上5時間未満が好ましく、30分以上3時
間未満がより好ましい。
珪酸質原料およびセメントと同時に混合すると、石灰質
原料がセメントの初期水和を遅らせる場合もある。従っ
て、予備硬化を早めたい場合には、石灰質原料以外の固
体原料と水を40〜100℃で、水性スラリー状態で1
0分以上5時間未満混合する第一工程を行った後に、石
灰質原料を加えて、さらに40〜100℃で30秒以上
1時間未満混合する第二工程を経てから型枠に注入して
予備硬化させる方法も好ましく用いられる。また、第一
工程で石灰質原料の一部を混合し、第二工程で残りの石
灰質原料を加えても良い。ここで原料の投入にあたり、
最初の第一工程におけるスラリーへの添加を一次投入、
後の第二工程における水性スラリーへの添加を二次投入
と、以後称する。
いたその他の硫酸化合物は、固体の沈降を防ぐ効果と同
時に、予備硬化を早める効果を有する。固体の沈降を防
ぐ効果は、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除い
たその他の硫酸化合物をそれ以外の固体原料および水と
一緒に40℃以上で10分以上混合する第一工程におい
て添加した場合に顕著に現われるる。一方、予備硬化を
より早める効果は、硫酸アルミニウムもしくはその水和
物を除いたその他の硫酸化合物の一部または全部を、第
二工程において添加してさらに40℃以上で30秒以上
混合した後に予備硬化させた場合に、より顕著に現われ
る。
2以上の場合には、固体の沈降を防ぐ必要性から、硫酸
アルミニウムもしくはその水和物を除いたその他の硫酸
化合物を、それ以外の固体原料および水と一緒に第一工
程において添加する方が好ましく、水/固体比が低い場
合には、硫酸アルミニウムもしくはその水和物を除いた
その他の硫酸化合物原料を第二工程において添加する方
が好ましい。一方、硫酸アルミニウムもしくはその水和
物も、固体の沈降を防ぐ効果と同時に、予備硬化を早め
る効果を有する。これら2つの効果を得るためには、硫
酸アルミニウムもしくはその水和物をそれ以外の固体原
料および水と一緒に第一工程において添加し40〜10
0℃で10分以上5時間未満混合することが好ましい。
ニウムもしくはその水和物、およびそれらを除いたその
他の硫酸化合物は、一次投入か二次投入かによってその
効果が異なる。従って、用いられる水/固体比、混合条
件(温度、時間)、求められる製造プロセスなどによっ
て、他の原料と同時に混合する方法、2つあるいはそれ
以上の工程に分割して添加混合する方法の両方が好まし
く用いられる。硫酸化合物もしくは石灰質原料を二次投
入した場合の混合温度に特に規定はないが、低すぎると
その後の予備硬化を遅らせることになる。従って、混合
直後の温度で40〜100℃が好ましい。また混合時間
についても特に規定はないが、短すぎると均一な分散が
得られず、長すぎるとその後の予備硬化を遅らせるた
め、30秒以上1時間未満が好ましく、1分以上10分
未満がより好ましい。
用されるミキサーが使用可能であるが、好ましくは低粘
度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機、例えば邪
魔板付きのパドルミキサーが用いられる。混合は、例え
ば低粘度モルタル用の高速回転羽根を持った攪拌機を用
い、60℃に加温した水に固体原料を加えた後、混合槽
を60℃に加温しながら、大気圧下で2時間混合する方
法があげられる。攪拌機の回転数について特に規定はな
いが、遅すぎると固体原料が沈降するため100〜25
00rpm程度の回転数が好ましい。混合は、大気中で
なく、例えば窒素のような不活性ガス下でも良いが、大
気中で混合する方が簡便なため好ましい。また、第二工
程の混合終了後、1〜5分程度の短時間減圧下でさらに
混合することにより、攪拌時の巻き込みによる気泡の低
減が図れて好ましい。この場合、第二工程の混合と減圧
下の混合時間を合わせて1時間未満にすることが好まし
く、より好ましくは10分以下である。
物性に悪影響を与えない範囲で、パルプ、発泡スチレン
ビーズ、有機マイクロバルーン等の有機軽量骨材、パー
ライト、シラスバルーン等の無機軽量骨材、メチルセル
ロース、ポリアクリル酸等の増粘剤、減水剤、高性能減
水剤等のセメント系材料において一般に用いられてる分
散剤、炭酸カルシウム、ドロマイト等の炭酸塩化合物、
珪酸ナトリウム等の硬化促進剤、リグニンスルホン酸、
グルコン酸塩等のセメント系材料において一般に用いら
れる硬化遅延剤、リン酸等の発泡遅延剤等を珪酸カルシ
ウム硬化体原料と混合することができる。これらは、こ
の分野で従来用いられているのと同程度の量を用いるこ
とができる。これらは他の原料と同時に混合しても良
く、また、第二工程の後、すらわち、他の原料の混合が
すべて終了した後に混合しても良い。混合時間は短すぎ
ると均一性が得られず、長すぎると工程中の全混合時間
が長くなる。そのため好ましい混合時間は、1〜5分で
ある。
劣化が少ないため好適に用いられる。パルプは広葉樹、
針葉樹を問わずバージンパルプ、古紙パルプ等を使用で
きる。これらパルプは増粘剤、分散安定剤、予備硬化時
の硬化収縮低減剤としても有効である。パルプの中で、
微粉砕パルプは水性スラリーの水/固体比が高いときの
固体の沈降を防ぐ効果、水性スラリーに適度な粘度を付
与する効果がある他、予備硬化段階またはオートクレー
ブ中での亀裂の発生を抑制する働きがある他、それ自身
も硬化体の加工性、強度に貢献することから好適に用い
られる。これら微粉砕パルプは市販品あるいは、乾式粉
砕品、あるいはスラリー状態で高圧ホモジナイザー等に
より微粉砕したものを用いることができる。パルプの含
有量は好ましくは0.1〜3.0wt%であり、さらに
好ましくは0.2〜2.0wt%である。
に応じて補強繊維が混合され、そのまま型枠に流しこま
れ成形される。この時、必要に応じて補強鉄筋あるいは
補強金網が配置された型枠に流し込まれ成形される。こ
こで、補強鉄筋あるいは補強金網は防錆処理が施されて
いることが好ましい。型枠に注入された水性スラリー
は、自己発熱あるいは外部加熱等により、好ましくは4
0〜100℃の間で1〜48時間かけて予備硬化され
る。予備硬化は、蒸気養生室、蒸気養生槽等の型枠に注
入された水性スラリーの水分蒸発を抑制した環境下で行
うことが好ましい。
発を防ぎながら型枠を加温することによっても行うこと
ができる。得られた予備硬化体は、必要に応じて任意の
形状に切断された後に、オートクレーブを用いて高温高
圧養生される。切断は軽量気泡コンクリートの製造に一
般に用いられるワイヤーによる切断法も使用できる。養
生の効果を高めるため、得られた予備硬化体を型枠から
外した後にオートクレーブで養生することも好ましい方
法である。オートクレーブの条件としては160℃(ゲ
ージ圧力:約0.52MPa)以上、220℃(ゲージ
圧力:約2.22MPa)以下が好ましい。
内部空隙とは、気泡剤による粗大気泡、粗大気泡同士を
部分的に繋ぐ連通孔、成形時に生じる毛細管空隙、トバ
モライト結晶間に生じる空隙やCSHに含まれるゲル空
隙などを含むすべての空間を言う。本発明で用いられる
アルキルアルコキシシランは、一般式をR1 nSi(OR
2)4-nで表すことができる。ここで、R1は炭素数1〜
18のアルキル基であり、R2はアルキル基であれば特
に限定されないが、最も汎用的なメチル基、エチル基が
好ましい。 nは1〜3の整数を表す。nが2以上の場
合、R1同士は同じであっても異なっていても良い。n
が1または2の場合、R2同士は同じでも異なっていて
も良い。
ランとしては、最も汎用的なアルキルトリアルコキシシ
ラン(n=1)が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基
を有する代表的なアルキルトリアルコキシシランとして
は、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメ
トキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルト
リメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラ
ン、オクチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエト
キシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリ
エトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチ
ルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランな
どが挙げられる。
る代表的なアルキルトリアルコキシシランとしては、ノ
ニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、
ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシ
シラン、デシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリ
メトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ヘ
キサデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリメト
キシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ノニル
トリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウン
デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラ
ン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシ
ラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシル
トリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラ
ン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルト
リエトキシシランなどが挙げられる。
基は、加水分解してシラノール基となり、更に、珪酸カ
ルシウム硬化体表面及び内部空隙表面で珪酸カルシウム
硬化体を構成するトバモライトやCSHが有するシラノ
ール基と化学結合してシロキサン結合を形成する。珪酸
カルシウム硬化体と化学結合したアルキルアルコキシシ
ランは、珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面で
単分子〜数分子層から成る膜を形成することで優れた撥
水性を発現すると推測される。
ルアルコキシシランは、炭素数1〜2のアルキル基を有
するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭
素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシ
ランの少なくとも1種との混合物、炭素数3〜8のアル
キル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも
1種、および炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキ
ルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜1
8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少
なくとも1種との混合物である。より好ましく用いられ
るのは、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルア
ルコキシシランの少なくとも1種、および炭素数1〜6
のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少な
くとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するア
ルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物で
あり、さらに好ましくは用いられるは、炭素数1〜6の
アルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なく
とも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアル
キルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物であ
り、さらに好ましく用いられるのは、炭素数1〜6のア
ルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくと
も1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキ
ルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物であ
る。炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキルアルコ
キシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜18のアル
キル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくとも
1種との混合物であることが特に好ましい。
るアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素
数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラ
ンの少なくとも1種との混合物の代表的なものとして
は、例えばメチルトリメトキシシランとプロピルトリメ
トキシシランの混合物、メチルトリメトキシシランとヘ
キシルトリメトキシランの混合物、メチルトリメトキシ
シランとオクチルトリメトキシランの混合物、メチルト
リエトキシシランとプロピルトリエトキシシランの混合
物、メチルトリエトキシシランとヘキシルトリエトキシ
ランの混合物、メチルトリエトキシシランとオクチルト
リエトキシランの混合物、エチルトリメトキシシランと
プロピルトリメトキシシランの混合物、エチルトリメト
キシシランとヘキシルトリメトキシランの混合物、エチ
ルトリメトキシシランとオクチルトリメトキシランの混
合物、エチルトリエトキシシランとプロピルトリエトキ
シシランの混合物、エチルトリエトキシシランとヘキシ
ルトリエトキシランの混合物、エチルトリエトキシシラ
ンとオクチルトリエトキシランの混合物が挙げられる。
ルアルコキシシランの少なくとも1種の代表的なもの
は、例えばプロピルトリメトキシシラン、イソブチルト
リメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オク
チルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラ
ン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエト
キシシラン、オクチルトリエトキシシラン、プロピルト
リメトキシシランとヘキシルトリメトキシシランの混合
物、プロピルトリメトキシシランとオクチルトリメトキ
シシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとヘキ
シルトリエトキシシランの混合物、プロピルトリエトキ
シシランとオクチルトリエトキシシランの混合物が挙げ
られる。
ルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜1
8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少
なくとも1種との混合物の代表的なものは、例えばメチ
ルトリメトキシシランとデシルトリメトキシシランの混
合物、メチルトリメトキシシランとドデシルトリメトキ
シシランの混合物、メチルトリメトキシシランとオクタ
デシルトリメトキシシランの混合物、エチルトリメトキ
シシランとデシルトリメトキシシランの混合物、エチル
トリメトキシシランとドデシルトリメトキシシランの混
合物、エチルトリメトキシシランとオクタデシルトリメ
トキシシランの混合物、プロピルトリメトキシシランと
デシルトリメトキシシランの混合物、プロピルトリメト
キシシランとドデシルトリメトキシシランの混合物、プ
ロピルトリメトキシシランとオクタデシルトリメトキシ
シランの混合物、メチルトリエトキシシランとデシルト
リエトキシシランの混合物、メチルトリエトキシシラン
とドデシルトリエトキシシランの混合物、メチルトリエ
トキシシランとオクタデシルトリエトキシシランの混合
物、エチルトリエトキシシランとデシルトリエトキシシ
ランの混合物、エチルトリエトキシシランとドデシルト
リエトキシシランの混合物、エチルトリエトキシシラン
とオクタデシルトリエトキシシランの混合物、プロピル
トリエトキシシランとデシルトリエトキシシランの混合
物、プロピルトリエトキシシランとドデシルトリエトキ
シシランの混合物、プロピルトリエトキシシランとオク
タデシルトリエトキシシランの混合物が挙げられる。ま
た、これらの代表的な例として挙げたアルキルアルコキ
シシランおよび混合物から選ばれる2種以上の混合物も
好ましい具体例である。
1〜2アルキル基を有するアルキルアルコキシシランの
少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有する
アルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合
物、炭素数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコ
キシシランの少なくとも1種、または炭素数1〜6のア
ルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なくと
も1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有するアルキ
ルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物を使用
すると、珪酸カルシウム硬化体の表面はもちろん、内部
空隙表面全体に水に対する接触角100度以上の撥水層
を形成することが可能となる。さらに、炭素数3〜8の
アルキル基を有するアルキルアルコキシシランの少なく
とも1種、または炭素数1〜6のアルキル基を有するア
ルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9
〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラン
の少なくとも1種との混合物を使用すると、得られた撥
水層は珪酸カルシウム硬化体の表面から中心部の内部空
隙表面に至るまで全体に亘って、水の接触角が130度
以上、更には150度以上の優れた撥水性を発現するこ
とが可能となる。
炭素数1〜2アルキル基を有するアルキルアルコキシシ
ランの少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を
有するアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との
混合物を用いた場合も、アルキルアルコキシシランを選
ぶことで水の接触角を130度以上にすることが可能で
ある。また、プロピルトリエトキシシランは、優れた撥
水性を発現し、かつあまり高温にしなくても高い蒸気圧
を得られることなどから使用し易く、好ましいアルキル
アルコキシシランである。
キルアルコキシシランを単独で珪酸カルシウム硬化体の
内部空隙まで浸透させるに充分な蒸気圧を得るには、2
00度以上の高温にすることが好ましい。そこで、蒸気
圧が高い炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルア
ルコキシシランの少なくとも1種の蒸気と、炭素数9〜
18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの
少なくとも1種の蒸気とを混合した混合蒸気は、炭素数
9〜18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラ
ン蒸気の分圧が小さいものの、珪酸カルシウム硬化体の
内部空隙まで浸透させるに必要な蒸気圧を有する混合蒸
気を得ることが可能となる。この得られた混合蒸気を用
いて形成された撥水層は、珪酸カルシウム硬化体の表面
から中心部の内部空隙表面に至るまで全体に亘って、混
合比にもよるが水の接触角150度以上の優れた撥水性
を有する。
るアルキルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素
数3〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラ
ン少なくとも1種との混合割合は、気化前の溶液で炭素
数1〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラ
ンが10〜60wt%が好ましく、30〜50wt%が
より好ましい。炭素数1〜6のアルキル基を有するアル
キルアルコキシシランの少なくとも1種と、炭素数9〜
18のアルキル基を有するアルキルアルコキシシラン少
なくとも1種との混合割合は、気化前の溶液で炭素数1
〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランが
60〜98wt%が好ましく、70〜95wt%がより
好ましく、更には75〜95wt%が特に好ましい。
キシシランを選択することで珪酸カルシウム硬化体の表
面及び内部空隙表面に水の接触角が100度以上、好ま
しくは130度以上、より好ましくは150度以上の優
れた撥水性を有する撥水層を形成することができる。本
発明の優れた撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体の製
造方法を説明する。本発明において、アルキルアルコキ
シシランを珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙表面
に至るまで浸透させて、珪酸カルシウム硬化体表面及び
内部空隙表面に撥水層を形成させる方法としては、珪酸
カルシウム硬化体を入れた密閉容器内を加熱減圧(圧力
P1)とし、次のこの密閉容器と弁で開閉が可能な管で
連結された別の密閉容器にアルキルアルコキシシランを
入れ、この密閉容器内も減圧とした後に加熱してアルキ
ルアルコキシシランの蒸気を該密閉容器内に発生させ、
予めアルキルアルコキシシラの蒸気圧を圧力P1よりも
高い圧力(圧力P2)とする。この状態で上記弁を開く
とアルキルアルコキシシラン蒸気は、珪酸カルシウム硬
化体の入った密閉容器内に流入し、珪酸カルシウム硬化
体の表面及び内部空隙に至るまで速やかに浸透させるこ
とができる。
閉容器を加熱するとき、珪酸カルシウム硬化体を長時間
高温にさらすと乾燥し亀裂が発生する可能性があるた
め、そのような場合は、乾燥を抑制するために飽和水蒸
気により加熱し、所定温度になった後に減圧すると良
い。ここで、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器の
加熱温度は、流入されるアルキルアルコキシシランの蒸
気が凝縮して液化しないことが肝要であり、流入される
アルキルアルコキシシランによって異なるが80〜30
0℃が好ましく、90〜220℃がより好ましく、更に
は100〜210℃が特に好ましい。また、珪酸カルシ
ウム硬化体を入れた密閉容器の減圧の程度は、より減圧
にすることが肝要であるが、通常は1000Pa以下と
することが好ましく、500Pa以下とすることがより
好ましい。
を珪酸カルシウム硬化体表面及び内部空隙に短時間で浸
透させるためには、アルキルアルコキシシランの蒸気が
冷却されて凝縮しない温度まで、珪酸カルシウム硬化体
を入れた密閉容器や密閉容器を繋ぐ管だけでなく、珪酸
カルシウム硬化体自体も十分に加熱することと、アルキ
ルアルコキシシランを入れた密閉容器を加熱して、予め
アルキルアルコキシシランの蒸気を十分に発生させ、ア
ルキルアルコキシシランの蒸気圧P2が珪酸カルシウム
硬化体を入れた密閉容器内の圧力P1より高い状態にす
ることが肝要である。好ましくはアルキルアルコキシシ
ランの蒸気を発生させる前に密閉容器内をできるだけ減
圧にして空気を取り除いた後にアルキルアルコキシシラ
ンを気化させて、密閉容器内を可能な限り、純粋なアル
キルアルコキシシランの蒸気で満たすことである。
閉容器内にアルキルアルコキシシランの蒸気を流入させ
る前に、アルキルアルコキシシランを入れた密閉容器内
を減圧にせず空気が入ったままで、更にはアルキルアル
コキシシランを十分に気化させない状態で上記弁を開け
ても珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内に流入す
るのはほとんどが空気である。両密閉容器内の圧力が均
一になった後にアルキルアルコキシシランが入った密閉
容器内が減圧状態となることで気化したアルキルアルコ
キシシランは、珪酸カルシウム硬化体の入った密閉容器
内に流入するものの珪酸カルシウム硬化体内部空隙には
拡散でしか浸透することができず、珪酸カルシウム硬化
体内部空隙まで浸透させるには非常に長い処理時間を要
する。
部へのアルキルアルコキシシランの浸透は、拡散でなく
圧力差が推進力となるため、非常に速やかに珪酸カルシ
ウム硬化体表面及び内部空隙表面に浸透するだけでな
く、珪酸カルシウム硬化体の表面から内部に至るまで優
れた撥水層が形成される。前述したように、珪酸カルシ
ウム硬化体内部への浸透は、圧力差が推進力となるため
珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器内を減圧にした
際の圧力P1とアルキルアルコキシシランの蒸気を流入
した後の圧力P2との差(P2−P1)で決定される。
したがって、必要とされる該圧力差は珪酸カルシウム硬
化体厚みに比例することになるが、通常、1000〜1
00000Paであることが好ましく、5000〜90
000Paであることがより好ましく、更には8000
〜80000Paであることが特に好ましい。必要とさ
れる圧力差(P2−P1)が珪酸カルシウム硬化体厚み
に比例することから、予め珪酸カルシウム硬化体の試験
片を用いて予備実験を行い、必要とされる圧力差(P2
−P1)を求める方法も好ましい態様である。
には、使用するアルキルアルコキシシランの種類やアル
キルアルコキシシランを気化させる密閉容器の体積によ
っても異なるが、温度は80〜300℃であることが好
ましく、90〜220℃であることがより好ましく、1
00〜210℃であることが更に好ましい。本発明にお
いて2種以上のアルキルアルコキシシランの混合蒸気を
得る方法は、それぞれのアルキルアルコキシシランを別
々の密閉容器に入れて所定温度まで加熱し気化した蒸気
を混合するか、または単純に同一密閉容器内にそれぞれ
のアルキルアルコキシシランを別々入れるか、もしくは
予めそれそれのアルキルアルコキシシランを所定の割合
で混合してから加熱しても良い。
は10mm以上が好ましく、25mm以上がより好まし
く、35mm以上がさらに好ましい。また、珪酸カルシ
ウム硬化体厚みは200mm以下が好ましく、150m
m以下がより好ましく、100mm以下がさらに好まし
い。本発明において、珪酸カルシウム硬化体内部に浸透
させるために必要な処理時間は、珪酸カルシウム硬化体
を入れた密閉容器とアルキルアルコキシシラン蒸気の流
入量によって異なるが、通常は数十秒〜2時間程度で十
分である。
ウム硬化体を入れた密閉容器及び珪酸カルシウム硬化体
自体が十分に加熱されているため、珪酸カルシウム硬化
体表面及び内部空隙内に浸透したアルキルアルコキシシ
ラン蒸気は、速やかに珪酸カルシウム硬化体と化学結合
し、撥水性を発現させることが可能となる。また、アル
キルアルコキシシラン蒸気を浸透させる処理時間が短
く、一部未反応のアルキルアルコキシシランが存在して
十分に撥水性が発現していない場合には、未反応のアル
キルアルコキシシランと珪酸カルシウム硬化体を反応さ
て撥水性を発現させるために室温で数日〜数週間放置し
ておくだけでも良いが、更には60℃〜180℃で0.
5〜5時間程度加熱するのが好ましい。ここで、加熱方
法は、特に限定されないが一般的な熱風加熱や遠赤外線
加熱または水蒸気加熱などを使用することができる。
面及び内部空隙表面に浸透させるアルキルアルコキシシ
ランは、十分な撥水性を発現させるためには、珪酸カル
シウム硬化体に対して0.1〜5wt%程度であること
が好ましいが、高価なアルキルアルコキシシランを多く
使用することは、コスト上昇に繋がるため、0.5〜3
wt%程度であることがより好ましい。本発明の方法で
処理した珪酸カルシウム硬化体は、表面から内部に至る
まで優れた撥水層を有しているため、耐水性能が著しく
向上しており、従来通りの塗装をしても使用できるが、
これまでのように珪酸カルシウム硬化体表面に塗装して
耐水性能を確保する必要がないため、化粧用の塗装をす
るのみもしくは塗装なしの素板で使用することも可能で
ある。また、該珪酸カルシウム硬化体は、耐凍害性能も
著しく向上しており、これまで凍害を起こすため使用が
制限されていた寒冷地での使用が可能となる。このよう
に、本発明の珪酸カルシウム硬化体は、従来通りの使用
はもちろんであるが、塗装や寒冷地の制限なしに外壁
材、床材、間仕切り材または屋根下地材として使用する
ことができる。
より具体的に説明する。なお、本発明において使用され
る各種の測定方法は以下の通りである。 1.粉末X線回折:Ia,Icの測定 温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽中にオートク
レーブ後の珪酸カルシウム硬化体を置き、絶乾状態を基
準とした含水量が10±2%になったところで測定用試
料とした。この試料を乳鉢中で粉砕した後に、理学電気
株式会社製のRINT2000において、CuのKα線
を用いて測定した。測定条件は、加速電圧40kV、加
速電流200mA、受光スリット幅0.15mm、走査
速度4゜/分、サンプリング0.02゜である。得られ
たX線回折図からバックグランドを含めたトバモライト
回折線(220)のピーク強度をIbとし、トバモライ
ト以外の高結晶性共存物質のピーク強度をIcとする。
鏡を用いて、設定倍率2500倍、35.4μm×1
8.9μmの領域で、気泡剤による粗大気泡部以外のマ
トリックスを無作為に20箇所観察し、板状あるいは短
冊状のトバモライト粒子が観察される面積割合の平均と
する。 3.粉末X線回折:Ia,Ibの測定 試料および測定条件は、Ia、Icの測定の場合と同様
である。2つのトバモライト回折線(220),(22
2)に挟まれた角度領域におけるバックグランドを含め
た回折強度の最低値をIa、およびバックグランドを含
めたトバモライト回折線(220)のピーク強度をIb
とする。これら2つの回折線は、図1(A)、図1
(B)に示すように、それぞれ29.5゜、28.9゜
(2θ)付近に見られる回折線に対応する。
割合 オートクレーブ後の珪酸カルシウム硬化体を粉砕した後
に分級して得た2〜4mm部分を、105℃にて24時
間乾燥して測定用試料とした。水銀圧入法において、細
孔径分布測定装置(米国Micrometritics
社製 PoreSizer 9320)用いて、試料の
細孔径分布を測定した。この時、水銀と試料の接触角は
130度、水銀の表面張力は484dyn/cmとし
て、測定された圧力を細孔径に換算した。得られた細孔
径に対する細孔量の積算曲線を一次微分して得られる微
分細孔分布の最大値における1/4の高さを与える細孔
径が二つである場合、大きい順にA2、A1とする。対数
1/4値幅は、図2(A)および図2(B)に示すよう
に、A2、A1それぞれの常用対数の差とする。また、図
2(C)に示すように微分細孔分布曲線における最大値
の1/4の高さを与える細孔径が二つより多い場合は、
最大の細孔径A2の常用対数と最小の細孔径A1の常用対
数の差とする。細孔径が0.1μm以下の細孔量割合
は、細孔径が6nm〜360μmの範囲で測定された全
細孔量を100%としたとき、0.1μm以下の全細孔
量の体積分率で表される。
レーブ後の試料を、105℃にて24時間乾燥させた時
の重量と寸法から算出した。 6.粉末X線回折:I(002),I(220)の測定 試料および測定条件は、Ia、Icの測定の場合と同様
である。ただし、I(002)は、回折角6〜9゜(2
θ)付近にかけて、バックグランドを直線近似して(図
3参照)得られた真の回折強度である。同様にI(22
0)は、回折角20〜40゜(2θ)付近にかけて、バ
ックグランドを直線近似して得られた真の回折強度であ
る。なお、トバモライトの(002)回折線は、図3に
示すように7.7゜(2θ)付近に見られる回折線に対
応する。 7.200μm以上の気泡数 オリンパス光学工業株式会社製の実体顕微鏡(SZ)を
用いて、上記含水率調整した測定用試料の破断面を40
倍の倍率で観察し、10mm四方内に存在する最大径が
200μm以上の気泡の数を数えた。異なる箇所5点で
測定を行い、その平均値を気泡数とした。
さ80mmの位置で切断し、幅40mm、厚さ40mm
の切断面上を幅方向及び厚さ方向に10mm間隔で各4
点の合計16箇所を温度20℃、相対湿度60%の条件
下で協和界面科学株式会社製の接触角計(CA−DT
型)により測定した。 9.耐凍害性 株式会社マルイ社製の凍結融解試験機(MIT−168
2−A3−特)により、JIS A−1435に準拠し
た気中凍結水中融解法で測定した。ここで凍結融解1サ
イクルに要する温度及び時間条件は、気中凍結時−20
℃で2時間、水中融解時+10℃で2時間である。ま
た、試料寸法は長さ160mm、幅40mm、厚さ40
mmとした。尚、各試料の耐凍害性は、次式で示される
体積保持率が95%以下になったサイクル数と定めた。 体積保持率=V1/V0×100 ここで、V0:試験前の試料体積 V1:所定サイクル終了後の試料体積 10.耐透水性 JIS K−5400に準拠して測定した方法で、24
時間に所定面積(口径75mm)中を試料に浸透した水
の透水量とした。ここで、試料寸法は長さ100mm、
幅100mm、厚さ50mmとした。
て使用した珪酸カルシウム硬化体は、硬化体原料として
表1および表2に示す配合量で次の固体原料および水を
用いて以下の方法で作製した。最大径200μmを越え
る気泡を実質的に含まない珪酸カルシウム硬化体を製造
する場合は、珪酸質原料として珪石粉砕粉、石灰質原料
として生石灰、セメントとして普通ポルトランドセメン
ト(表1にはOPCで表示)、硫酸アルミニウムとして
その18水和物、その他の硫酸化合物として二水石膏を
用いた。ここで、硫酸アルミニウム18水和物および二
水石膏は、それらの無水水和物の質量部を表1および表
2に示している。60℃に加温した水を投入した容量1
0Lのステンレス槽に、珪石粉末粉、生石灰、普通ポル
トランドセメント、硫酸アルミニウム18水和物を一次
投入し、ステンレス槽を60℃に加温しながら、攪拌機
((株)井内盛栄堂:ウルトラ攪拌機 DC−CHRM
25)の回転数1200rpmで水分の蒸発を抑制した
状態で大気圧下に2時間攪拌、混合した。
し、一次投入と同様の条件下で1分間攪拌、混合した。
固体原料と水の混合が終了した後、得られたスラリーを
型枠(25cm×15cm×7cm)に流し込み、水分の蒸発
を抑制した状態で60℃で5時間保持して予備硬化させ
た。次いで、予備硬化体を脱型して、オートクレーブ中
で飽和水蒸気雰囲気下に180℃で4時間、高温高圧養
生を行った後、乾燥して珪酸カルシウム硬化体を製造し
た。ここで、得られた珪酸カルシウム硬化体の諸物性を
表3に示す。これらの試料1〜試料4は、本発明におい
て上述した諸物性を満足するものであった。
質的に含む珪酸カルシウム硬化体を製造する場合は、硬
化体原料として、上述した固体原料の他に、珪酸質原料
としてシリカフューム(EFACO社製)、気泡剤とし
てアルミニウム粉末、増粘剤としてメチルセルロースお
よび水を表2に示す配合量で用いた。なお、二水石膏
は、試料5および試料7において一次投入し、試料6お
よび試料8では二次投入した。上述した同じ投入方法お
よび条件下で固体原料と水を攪拌、混合した後、更にメ
チルセルロースを投入して混合した。得られたスラリー
にアルミニウム粉末を添加して60℃で1分間混合した
後、スラリーを型枠(25cm×15cm×7cm)に
流し込んで発泡させた後、上述した方法で蒸気養生し珪
酸カルシウム硬化体を製造した。ここで、得られた珪酸
カルシウム硬化体の諸物性を表4に示す。これらの試料
5〜試料8は、本発明において上述した諸物性を満足す
るものであった。
の試料1〜4を長さ160mm、幅40mm、厚さ40
mmに切り出し、これを容積10000cm3の密閉容
器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管を185℃
に加熱した後、300Paに減圧した。次いで弁で開閉
が可能な管で連結された容積10000cm3の別の密
閉容器内にプロピルトリエトキシシランを80g入れ、
300Paに減圧した後に185℃に加熱してプロピル
トリエトキシシランを気化させて65000Paの蒸気
圧を得た。そこで上記弁を開放し、プロピルトリエトキ
シランの蒸気を珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器
内に約30秒間注入し、該密閉容器内の圧力を3200
0Paとした後、そのままの状態で1時間放置した。
00μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウ
ム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで
優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性
および耐凍害性を有することが確認された。
メトキシシランに換え、珪酸カルシウム硬化体を入れる
密閉容器内、付属する配管およびオクチルトリメトキシ
シランを入れた密閉容器内を200℃に加熱したこと以
外は、実施例1と同様な方法で撥水性を有する珪酸カル
シウム硬化体を製造した。本実施例により得られたすべ
ての最大径200μmを越える気泡を実質的に含まない
珪酸カルシウム硬化体は、表5に示すとおり表面から内
部に至るまで優れたな撥水性が発現しており、同時に優
れた耐透水性および耐凍害性を有することが確認され
た。
の試料1〜4を長さ160mm、幅40mm、厚さ40
mmに切り出し、密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び
付属する配管を200℃に加熱した後、300Paに減
圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された別の密
閉容器内にメチルトリメトキシシラン32g、オクチル
トリメトキシシラン48gを入れ、300Paに減圧し
た後に170℃に加熱して該混合アルコキシシランを気
化させて65000Paの蒸気圧を得た。そこで上記弁
を開放し、該混合アルコキシシランの蒸気を軽量気泡コ
ンクリートを入れた密閉容器内に約30秒間注入し、該
密閉容器内の圧力を32000Paとした後、そのまま
の状態で1時間放置した。
00μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウ
ム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで
優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性
および耐凍害性を有することが確認された。
メトキシシランおよびオクチルトリメトキシシランをオ
クタデシルトリメトキシシランに換え、珪酸カルシウム
硬化体を入れた密閉容器内および付属する配管ならびに
プロピルトリメトキシシラン68gとオクタデシルトリ
メトキシシラン12gを入れた密閉容器内を加熱する温
度を200℃にした以外は、実施例3と同様にして撥水
性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。
00μmを越える気泡を実質的に含まない珪酸カルシウ
ム硬化体は、表5に示すとおり表面から内部に至るまで
優れたな撥水性が発現しており、同時に優れた耐透水性
および耐凍害性を有することが確認された。
の試料5〜8を用いる以外は、実施例1と同様にしてし
て撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。本
実施例により得られたすべての最大径200μmを越え
る気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に
示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発
現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有
することが確認された。
の試料5〜8を用いる以外は、実施例2と同様にしてし
て撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。本
実施例により得られたすべての最大径200μmを越え
る気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に
示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発
現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有
することが確認された。
の試料5〜8を用いる以外は、実施例3と同様にしてし
て撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。本
実施例により得られたすべての最大径200μmを越え
る気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に
示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発
現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有
することが確認された。
の試料5〜8を用いる以外は、実施例4と同様にしてし
て撥水性を有する珪酸カルシウム硬化体を製造した。本
実施例により得られたすべての最大径200μmを越え
る気泡を実質的に含む珪酸カルシウム硬化体は、表6に
示すとおり表面から内部に至るまで優れたな撥水性が発
現しており、同時に優れた耐透水性および耐凍害性を有
することが確認された。
の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ40
mmに切り出し、そのままの状態で前記の方法で各性能
を評価したところ、本比較例により得られたすべての珪
酸カルシウム硬化体は、水の接触角は試料に滴下した水
滴が瞬時に吸水されるため測定が不可能であり、全く撥
水性を有していないことが確認された。また、該珪酸カ
ルシウム硬化体すべての耐透水性は60cm3以上、耐
凍害性は10サイクル以下となり、実施例1〜8に比べ
劣ることが確認された。本比較例のように撥水処理をし
ない珪酸カルシウム硬化体そのものは、撥水性、耐透水
性および耐凍害性は全く有していないことが確認され
た。
化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ
40mmに切り出し、プロピルトリエトキシシラン80
gを密閉容器内に入れ、該密閉容器内及び付属する配管
を185℃で1時間加熱した。本比較例により得られた
すべての珪酸カルシウム硬化体は、表面から内部に3〜
5mm程度しか撥水性を発現しておらず、不十分な撥水
性珪酸カルシウム硬化体であることが確認された。この
得られたすべての珪酸カルシウム硬化体切断面の接触角
を測定したところ、撥水性が発現している表面から内部
に3〜5mmまでは、水の接触角が100〜130度で
あるものの、それ以外は滴下した水滴が瞬時に吸水し全
く撥水性を有していないことが確認された。また、該珪
酸カルシウム硬化体のすべての耐透水性は、60〜70
cm3、耐凍害性は、15サイクル以下となり、実施例
1〜8に比べ劣ることが確認された。
キシシランの蒸気を接触させるだけでは、珪酸カルシウ
ム硬化体の表面近傍で撥水性が発現するものの、内部空
隙へプロピルトリエトキシシランが浸透せず、耐透水性
や耐凍害性もほとんど向上しないことが確認された。
化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ
40mmに切り出し、密閉容器内に入れ、該密閉容器内
及び付属する配管を60℃に加熱した後、300Paに
減圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された別の
密閉容器内にメチルトリエトキシシランを80g入れ、
60℃に加熱してから上記弁を開放しその状態で3時間
放置した。その後、試料を取り出し、120℃の熱風乾
燥機で1時間処理した。
シウム硬化体は、ほとんど撥水性は発現しておらず、珪
酸カルシウム硬化体表面は極めて僅かに撥水性が付与さ
れているもののそれ以外は全く撥水性は付与されていな
かった。この得られたすべての珪酸カルシウム硬化体切
断面の接触角を測定したところ、珪酸カルシウム硬化体
表面が20〜40度であったが、内部は滴下した水滴が
瞬時に吸水し全く撥水性を有していないことが確認され
た。また、該珪酸カルシウム硬化体すべての耐透水性
は、65〜80cm3、耐凍害性は10サイクル以下と
なり、実施例1〜8に比べ劣ることが確認された。
シシランを気化させて十分な蒸気圧を得ていない場合、
弁を開いても珪酸カルシウム硬化体入れた密閉容器内に
は空気しか入らず、その状態で3時間処理してもほとん
ど撥水性が付与されることはなく、耐透水性や耐凍害性
もほとんど向上しないことが確認された。
化体の試料1〜8を長さ160mm、幅40mm、厚さ
40mmに切り出し、密閉容器内に入れ、該密閉容器内
及び付属する配管を30℃に加熱した後、300Paに
減圧した。次いで弁で開閉が可能な管で連結された別の
密閉容器内にプロピルトリエトキシシランを80g入
れ、300Paに減圧した後に185℃に加熱してプロ
ピルトリエトキシシランを気化させて65000Paの
蒸気圧を得た。そこで上記弁を開放し、プロピルトリエ
トキシランの蒸気を珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉
容器内に約30秒間注入し、そのままの状態で1時間放
置した。
シウム硬化体は、表面から内部に3〜5mm程度しか撥
水性を発現しておらず、不十分な撥水性珪酸カルシウム
硬化体であることが確認された。この得られた珪酸カル
シウム硬化体切断面の接触角を測定したところ、撥水性
が発現している表面から内部に3〜5mmまでは、水の
接触角が128〜130度であるものの、それ以外は滴
下した水滴が瞬時に吸水し全く撥水性を有していないこ
とが確認された。また、該珪酸カルシウム硬化体すべて
の耐透水性は、45〜60cm3、耐凍害性は15サイ
クル以下となり、実施例1〜8に比べ劣ることが確認さ
れた。
シシランを気化させて十分な蒸気圧を得ていている場合
でも、珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器や配管及
び珪酸カルシウム硬化体自体を十分に加熱していない
と、注入されたプロピルトリエトキシシランは珪酸カル
シウム硬化体を入れた密閉容器内で凝縮して液化するた
め、珪酸カルシウム硬化体の内部空隙には浸透せず、内
部に撥水性が付与されることはなく、耐透水性や耐凍害
性もほとんど向上しないことが確認された。
から内部空隙表面に至るまで優れた撥水性を有してお
り、耐水性や耐凍害性に特に優れた珪酸カルシウム硬化
体である。また、本発明の製造方法によれば、珪酸カル
シウム硬化体の表面から内部に至るまでアルキルアルコ
キシシランからなる撥水層を短時間で形成することがで
きることから産業上、大いに有用である。
よびIa、Ibの算出方法を示すX線回折図であり、
(A)は本発明の一実施態様、(B)は従来のトバモラ
イトの結晶性が乏しい珪酸カルシウム硬化体の例につい
てのものである。尚、CPSとは、counts per secon
dの意味である。
法により測定された様々な珪酸カルシウム硬化体の微分
細孔分布および対数1/4値幅の算出方法を示す分布
図。
よびI(002)、I(220の算出方法を示すX線回
折図。
Claims (10)
- 【請求項1】 主としてトバモライトからなり、粉末X
線回折におけるトバモライトの(220)面の回折ピー
ク強度Ibがトバモライトの(220)面と(222)
面の2本の回折ピークに挟まれた角度領域における回折
強度の最低値Iaとの間に、Ib/Iaが3.0以上と
なる関係を持ち、かつ嵩比重が0.14以上1.0未満
であり、かつ水銀圧入法で測定された微分細孔分布にお
いて観測される最大ピークの対数1/4幅が0.4以上
1.2以下である珪酸カルシウム硬化体表面および内部
空隙表面に、アルキルアルコキシシランから形成される
撥水層を有する珪酸カルシウム硬化体。 - 【請求項2】 アルキルアルコキシシランが、炭素数3
〜8のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの
少なくとも1種である請求項1記載の珪酸カルシウム硬
化体。 - 【請求項3】 アルキルアルコキシシランが、炭素数1
〜2のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの
少なくとも1種と、炭素数3〜8のアルキル基を有する
アルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合物
である請求項1記載の珪酸カルシウム硬化体。 - 【請求項4】 アルキルアルコキシシランが、炭素数1
〜6のアルキル基を有するアルキルアルコキシシランの
少なくとも1種と、炭素数9〜18のアルキル基を有す
るアルキルアルコキシシランの少なくとも1種との混合
物である請求項1記載の珪酸カルシウム硬化体。 - 【請求項5】 撥水層の水の接触角が100度以上であ
る請求項1、2、3または4記載の珪酸カルシウム硬化
体。 - 【請求項6】 珪酸カルシウム硬化体の厚みが10〜2
00mmである請求項1、2、3、4または5記載の珪
酸カルシウム硬化体。 - 【請求項7】 珪酸カルシウム硬化体とアルキルアルコ
キシシランの表面および内部空隙表面に、アルキルアル
コキシシランの撥水層を有する軽量気泡コンクリートを
製造する際に、炭素数3〜8のアルキル基を有するアル
コキシシランを用いる請求項2記載の珪酸カルシウム硬
化体の製造方法。 - 【請求項8】 密閉容器内に珪酸カルシウム硬化体を入
れて加熱減圧した後(減圧後の圧力をPとする。)、ア
ルキルアルコキシシランの蒸気を上記密閉容器内に流入
し、該密閉容器内の圧力を圧力Pより1000〜100
000Pa高くして、 アルキルアルコキシシランを珪
酸カルシウム硬化体表面および内部空隙表面に付着させ
る請求項1記載の珪酸カルシウム硬化体の製造方法。 - 【請求項9】 珪酸カルシウム硬化体を入れた密閉容器
の加熱温度が100〜300℃である請求項8記載の、
珪酸カルシウム硬化体の製造方法。 - 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載の珪酸
カルシウム硬化体を、外壁材、床材、間仕切り材または
屋根下地材として使用する珪酸カルシウム硬化体の使用
方法。
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JP2001133286A JP4863570B2 (ja) | 2001-04-27 | 2001-04-27 | 撥水性珪酸カルシウム硬化体 |
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---|---|---|---|---|
JP2005179075A (ja) * | 2003-12-16 | 2005-07-07 | Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd | 低吸湿性軽量気泡コンクリート及びその製法 |
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-
2001
- 2001-04-27 JP JP2001133286A patent/JP4863570B2/ja not_active Expired - Fee Related
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