JPH11339253A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH11339253A
JPH11339253A JP10140002A JP14000298A JPH11339253A JP H11339253 A JPH11339253 A JP H11339253A JP 10140002 A JP10140002 A JP 10140002A JP 14000298 A JP14000298 A JP 14000298A JP H11339253 A JPH11339253 A JP H11339253A
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magnetic
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coating
side chain
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太 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロッピーディスク等の磁気記録媒体におい
て、潤滑剤のライナへの移行を防止する。 【解決手段】 非磁性下層2や磁気記録層3に、分子量
70以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステ
ル化合物を潤滑剤として添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体および
その製造方法に関し、さらに詳しくは、走行耐久性に優
れた重層塗布方式の磁気記録媒体およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ装置、ビデオ装置あるいは
オーディオ装置等に付随する磁気記録装置は、近年ます
ます小型軽量化、長時間化あるいはディジタル記録化等
が進展し、これら高性能磁気記録装置に用いられる磁気
記録媒体に対しても高密度記録化が強く要望されるよう
になっている。この磁気記録媒体としては、従来より塗
布型のものが主として用いられている。塗布型磁気記録
媒体は、磁性粉末、有機バインダおよび各種添加剤等を
有機溶媒に分散、混練して調整される磁性塗料を、非磁
性支持体上に塗布、乾燥、硬化することにより形成され
る磁気記録層を用いたものである。
【0003】塗布型磁気記録媒体においても、高密度記
録化、短波長記録化の要望が高まっており、例えば3.
5”クラスのフロッピーディスク(FD)の分野におい
ては100MB程度の大容量FDが実用に供され、さら
にこれを超える大容量のFDの開発も進んでいる。
【0004】高密度記録領域での磁気記録媒体の電磁変
換特性を改善する手法の一つとして、磁気記録層の薄膜
化が挙げられる。磁気記録層の薄膜化により、反磁界が
低減して記録時の自己減磁損失が減少する。また再生時
には位相ずれによる厚み損失が減少し、短波長領域での
電磁変換特性が改善される。ことにFDにおいては、磁
気記録層の薄膜化により、オーバーライト特性やピーク
シフト特性、ピーク半値幅特性においても優れた特性が
得られる。
【0005】しかし、磁気記録層の薄膜化にともない発
生する問題点の一つとして、磁気記録層表面の凹凸にに
よるスペーシングロスの増加がある。すなわち、磁気記
録層が薄膜化すると、下地の非磁性支持体表面の凹凸が
磁気記録層の表面性に忠実に反映される。したがって、
非磁性支持体の表面が粗であれば磁気記録層表面も粗の
状態となり、この結果、磁気記録媒体の電磁変換特性や
ドロップアウト特性の悪化を誘発する。
【0006】さらに前述した大容量FDにおいては、デ
ータ転送レートを向上するために高速回転が要求され
る。このためFDは磁気ヘッドとの摺動に対して過酷な
条件に曝され、磁気記録層の薄膜化もあわせて、磁気ヘ
ッドとの摺動に対しては負の要因となる。
【0007】このように、電磁変換特性から要求される
磁気記録層の薄膜化を実現するためには、磁気記録媒体
の高度な表面設計、および高速摺動系に対する優れた耐
久性を併せて実現する必要がある。
【0008】この要請に応えるため、塗布型の磁気記録
媒体においては、非磁性支持体と磁気記録層の間に、比
較的厚くまた表面性に優れた非磁性下層を介在させる重
層塗布方式が提案されている。重層塗布方式によれば、
非磁性下層の表面形状に追従することなく、磁気記録層
表面形状を自由に設計することができる。また非磁性下
層に種々の機能を付与することにより、磁気記録媒体の
耐久性を向上することも可能となる。すなわち、重層塗
布型の磁気記録媒体により、高密度記録と耐久性の要請
を両立することが可能となる。
【0009】重層塗布型の磁気記録媒体を製造するに
は、非磁性粉末および有機バインダ等を溶剤に分散して
調製した非磁性下層塗料を、非磁性支持体に塗布して非
磁性下層を形成する。この後、磁性粉末および有機バイ
ンダ等を溶剤に分散して調製した磁気記録層塗料を、先
の非磁性下層上に塗布して磁気記録層を形成する。FD
の場合には非磁性支持体の両面に非磁性下層および磁気
記録層を形成する。また重層塗布型磁気記録媒体の他の
例として、上層の磁性粉末とは異種の磁性粉末により磁
性下層を形成し、この上に磁気記録層を設ける場合もあ
る。この後、カレンダ処理、熱硬化処理等を経て、磁気
記録テープではスリッタ工程を経てテープ状とし、FD
では円盤状への打ち抜き工程を経てディスク状とし、カ
セットやシェルに収納して所望とする磁気記録媒体が完
成する。
【0010】ところで、磁気記録層上に微小な塵埃が付
着すると、ドロップアウト(ミッシングパルス)や磁気
記録層の損傷、さらには磁気ヘッドトラック面の損傷を
発生する場合がある。
【0011】このためFDにおいても、シェル内への塵
埃の侵入を防ぐため、シェル構造には様々な工夫がなさ
れている。またシェル内には、ライナと呼ばれる長繊維
の不織布が磁気ディスクを挟み込むように収納されてい
るのが一般的である。磁気ディスクはライナに緩く接触
しながら回転するため、磁気ディスク上の塵埃をかきと
り、磁気ディスク表面を清浄に保つ役割を担う。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、磁気ディス
ク表面がライナに直接接触するための不都合も新たに発
生する。例えば、走行耐久性に不可欠な磁気記録層表面
上の表面潤滑剤がライナに移行あるいはかきとられ、走
行性が低下する現象である。特に、高速回転が必要とさ
れる大容量FDにおいては、表面潤滑剤の欠落は是非と
も解決しなければならない問題である。
【0013】本発明はこのような背景から提案するもの
である。すなわち本発明の課題は、ライナ等の機構部品
への潤滑剤の移行を防止し、安定した潤滑性能、走行性
能が持続する高密度の磁気記録媒体およびその製造方法
を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述した課題
を達成するため、潤滑剤の分子構造を含めて様々な検討
を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明の磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に、非磁性下層および磁気記録層が順次塗布
形成された磁気記録媒体であって、この非磁性下層およ
び磁気記録層のいずれか少なくとも一方は、分子量70
以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化
合物を含むことを特徴とする。
【0016】また本発明の磁気記録媒体の製造方法は、
非磁性支持体上に非磁性下層塗料および磁気記録層塗料
を順次塗布する工程を有する磁気記録媒体の製造方法で
あって、この非磁性下層塗料および磁気記録層塗料のい
ずれか少なくとも一方は、分子量70以上の側鎖基を少
なくとも一つ有する脂肪酸エステル化合物を含むことを
特徴とする。
【0017】また本発明の別の磁気記録媒体の製造方法
は、非磁性支持体上に非磁性下層塗料、磁気記録層塗料
およびトップコート溶液を順次塗布する工程を有する磁
気記録媒体の製造方法であって、このトップコート溶液
は、分子量70以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂
肪酸エステル化合物を含むことを特徴とする。
【0018】いずれの発明においても、側鎖基として
は、炭化水素基または脂肪酸エステル基であることが望
ましい。
【0019】側鎖基の分子量は70未満では、潤滑剤の
ライナの移行を低減する効果が不十分であった。側鎖基
の分子量の上限については特に限定はない。しかしなが
ら、潤滑剤分子全体としての分子量が増大すると、粘性
が高くなりすぎ、あるいは常温で固形状となるので、高
速摺動用の潤滑剤としては不向きとなる。また磁気記録
層用塗料への内添や、トップコ−ト溶液への溶解が困難
となる等、製造プロセス上の制約もある。したがって、
潤滑剤分子の主鎖の分子量を超えない範囲、数値的には
数百程度以下の分子量が望ましい。
【0020】本発明の磁気記録媒体において、潤滑剤の
ライナ等への移行が低減する理由は必ずしも明確ではな
い。しかしながら、潤滑剤として比較的分子量の大きな
側鎖基を導入する分子量設計ことにより、磁気記録層あ
るいは非磁性下層内での潤滑剤の保持形態、磁気記録層
表面での吸着形態、さらにはライナとの吸着形態等が変
化するためと考えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態例により
図面を参照して説明する。本発明の磁気記録媒体の構成
を図1の概略断面図により説明する。このうち、図1
(a)は磁気テープやハードディスク(HD)等に適用
される片面塗布によるもの、図1(b)はFD等に適用
される両面塗布による磁気記録媒体である。
【0022】図1において、非磁性支持体1上に非磁性
下層2および磁気記録層3が順次形成されている。これ
らは、非磁性支持体1上に非磁性下層塗料および磁気記
録層塗料を順次塗布し、あるいはさらにトップコ−ト溶
液を塗布して製造することができる。また磁気記録層3
上にはさらに表面保護層等が形成されていてもよい。ま
た図1(a)の片面塗布媒体の場合には、非磁性支持体
1の他方の面にバックコート層が形成されていてもよ
い。
【0023】本発明が特徴とする分子量70以上の側鎖
基を有する脂肪酸エステル化合物は、非磁性下層2およ
び磁気記録層3の一方あるいは両方に含まれる。また磁
気記録層3表面あるいは保護層(不図示)の表面の表面
潤滑層に、本発明が特徴とする分子量70以上の側鎖基
を有する脂肪酸エステル化合物が含まれる。
【0024】磁気記録層3は磁性粉末、有機バインダお
よび各種添加剤等により構成される。磁性粉末としては
従来公知の酸化物系、金属系あるいは金属間化合物系等
の磁性材料はいずれも使用できる。酸化物系としては、
γ−Fe2 3 、Fe3 4、γ−Fe2 3 /Fe3
4 固溶体、これら酸化鉄化合物にCoが含有あるいは
被着されたもの、Baフェライト、CrO2 等が例示さ
れる。金属系としては、Fe、Co、Niおよびこれら
の合金、あるいはこれら単体金属や合金に、さらにC
r、Ti、Mn、Cu、Zn、Al、B、Si等の元素
を添加あるいは被着したもの、MnBi、MnAl等が
例示される。金属間化合物系としては、窒化鉄、炭化
鉄、硼化鉄等が例示される。
【0025】これら磁性粉末の粒子形状は、粒状、針
状、偏平状、板状等が選ばれるが、これらのうち、磁場
や形状による配向効果が得られる針状や板状のものが好
ましい。針状粒子の場合は、平均長軸長が0.01〜
0.5μm程度、好ましくは0.03〜0.3μm程度
であり、アスペクト比は3〜30程度、好ましくは5〜
10程度が選ばれ、これらの分布はシャープに揃ったも
のが好ましい。また板状のものは、マグネトプランバイ
ト系の六角板状が代表的であるが、その対角線長が20
〜300nm程度、好ましくは30〜100nm程度
で、板状比(対角線長/板厚)は2〜30程度、好まし
くは3〜10程度が選ばれる。この場合も分布がシャー
プに揃ったものが好ましい。いずれの磁性粉において
も、BET法による比表面積は45m2 /g以上が高密
度記録の観点から好ましい。
【0026】磁性粉末の磁気特性は、目的とする磁気記
録媒体の用途により選択されるが、保磁力は400〜2
000Oe程度、飽和磁化モーメントは60〜200e
mu/g程度が選ばれる。磁気記録層として形成された
場合に、面内磁気異方性あるいは垂直磁気異方性のいず
れを示してもよいが、ヒステリシスループの角形性Rs
や残留磁束密度Brに優れたものが好ましい。
【0027】磁性粉末を磁気記録層塗料中で良好に分散
するための分散剤は、従来公知のものをいずれも使用で
きる。分散剤の添加量は、磁性粉末に対して0.5〜
5.0重量%が適当である。
【0028】磁気記録媒体の帯電を防止するために、帯
電防止剤を添加してもよい。帯電防止剤は従来公知のも
のはいずれでもよく、その添加量は有機バインダの0.
01〜40重量%でよい。
【0029】磁気記録層の耐久性を向上するために、研
磨剤を添加することも好ましい。研磨剤の代表例はCr
2 3 であるが、これに限定されない。研磨剤の平均粒
径は0.03〜0.6μm、好ましくは0.05〜0.
3μmが選ばれる。その添加量は、磁性粉末100重量
部に対して3〜20重量部、好ましくは5〜10重量部
である。
【0030】この他、磁気記録層には必要に応じ安定
剤、防黴剤、あるいは防錆剤等が添加される。
【0031】一方の非磁性下層は、非磁性粉末および有
機バインダ等により構成される。非磁性粉末材料として
は、カーボンブラック、グラファイト、ヘマタイト、ベ
ーマイト、溶融アルミナ、α,β,γ−アルミナ等の各
種アルミナ、雲母、カオリン、タルク、粘土、シリカ、
酸化マグネシウム、酸化チタン(ルチルおよびアナター
ゼ)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸鉛、硫化
タングステン等の無機化合物、ポリエチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン等の
高分子樹脂、デンプン、あるいは非磁性金属等が例示さ
れる。これらの非磁性粉末は、Si化合物やAl化合物
により表面処理されていてもよい。表面処理量は、非磁
性粉末に対し0.1〜10重量%の範囲が選択される。
【0032】非磁性粉末の形状は、球状、正多面体ある
いは針状等でよいが、好ましくは針状が選ばれる。針状
の非磁性粉末を用いることにより、非磁性下層の表面性
が向上し、この結果、非磁性下層上に積層形成される磁
気記録層の表面性も、より平滑なものとなる。針状の非
磁性粉末を用いる場合には、その粒子形状は長軸が0.
5μm以下、さらには0.3μm以下が好ましく、アス
ペクト比は2〜20、好ましくは5〜10が選ばれる。
また非磁性粉末の比表面積はBET法で10〜250m
2 /g、好ましくは30〜100m2 /gがよい。
【0033】非磁性粉末の混合量は、非磁性下層を構成
する全成分の重量に対し、55〜99重量%、好ましく
は70〜95重量%とするのが適当である。この範囲を
選択することにより、非磁性下層および磁気記録層の表
面性が良好となる。
【0034】本発明が特徴とする分子量70以上の側鎖
基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化合物は、潤
滑剤として磁気記録層あるいは非磁性下層の一方、ある
いは両方に含まれる。あるいは磁気記録層の表面に形成
されるトップコ−ト層中に含まれていてもよい。この脂
肪酸エステル化合物の例としては、イソステアリルステ
アレート、イソステアリルオレエート、イソセチルステ
アレート、トリメチロールプロパンロパームカネート等
が例示される。これら化合物は単独で使用しても、従来
公知の潤滑剤と混合して用いてもよい。
【0035】磁気記録層塗料あるいは非磁性下層塗料に
直接添加する場合には、磁性粉末あるいは非磁性粉末に
対して0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量
%の添加量が選ばれる。磁気記録層上にトップコ−ト溶
液として塗布する場合には、0.5〜200mg/mm
2 、好ましくは30〜100mg/mm2 の潤滑剤量と
する。これらの潤滑剤量は、良好な走行性、耐久性と、
磁気記録層表面への過度のしみだしによる出力低下が無
い範囲として選択される。
【0036】磁気記録層および非磁性下層に用いる有機
バインダ材料としては、特に限定されないが、いずれも
従来より使用されている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、
反応型樹脂等のすべてが使用可能である。熱可塑性樹脂
は、熱硬化性樹脂や反応型樹脂等と混合して用いること
が望ましい。樹脂の分子量としては、平均分子量5,0
00ないし200,000の範囲が選ばれ、10,00
0ないし100,000のものが好適であり、15,0
00〜50,000がさらに好適である。熱可塑性樹脂
としては、例えば塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フ
ッ化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩
化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸
ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アク
リロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−アクリルニトリル
共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニル共
重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合
体、メタクリル酸エステル−エチレン共重合体、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレ
タン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネートポリウ
レタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、セルロース誘導体(セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースダイアセテー
ト、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジエン共重
合体、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、各種合成ゴム系
等があげられる。また熱硬化性樹脂および反応型樹脂の
例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン
樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹
脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポ
リマの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシア
ネートの混合物、低分子量グリコールと高分子量ジオー
ルとイソシアネートの混合物等、およびこれら樹脂の混
合物が例示される。これらの樹脂のうち、柔軟性を付与
するとされるポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体等の使用が好ましい。
【0037】これらの樹脂は、非磁性粒子の分散性を向
上するために−SO3 M、−OSO3 M、−COOM、
あるいは−PO(OM’)2 等の極性官能基を含有して
いてもよい(但し、MはHまたはLi、Ka、Na等の
アルカリ金属、M’はHまたはLi、Ka、Na等のア
ルカリ金属またはアルキル基をあらわす)。極性官能基
としてはこの他に−NR1 2 、−NR1 2 3 +
- の末端基を有する側鎖型のもの、>NR1 2 + -
の主鎖型のもの等がある(ここでR1 、R2 、R3 は水
素原子または炭化水素基であり、X- はフッ素、塩素、
臭素、ヨウ素等のハロゲンイオンあるいは無機、有機イ
オンをあらわす)。この他に−OH、−SH、−CN、
エポキシ基等の極性官能基であってもよい。これら極性
官能基の含有量は0.1〜8.0mol%であり、好ま
しくは0.2〜6.0mol%である。0.1mol%
では磁性粉の分散効果がみられず、8.0mol%を超
えると磁気記録層塗料がゲル化し易くなる。極性基を有
する塩化ビニル系共重合体は、例えば塩化ビニル/ビニ
ルアルコール共重合体等の水酸基を含む共重合体と、極
性基および塩素原子を有する化合物との反応により合成
される。極性基を有するポリエステルやポリウレタン
も、公知の方法により合成される。
【0038】これら有機バインダは単独で用いることも
可能であるが、2種類以上を併用することも可能であ
る。磁気記録層中におけるこれら有機バインダの量は、
磁性粉100重量部に対して5〜30重量部、好ましく
は10〜20重量部である。
【0039】上述した有機バインダを架橋硬化する硬化
剤として、例えばポリイソシアネート等を添加すること
が可能である。ポリイソシアネートとしては、トリメチ
ロールプロパンと2,4−トリレンジイソシアネート
(TDI)の付加体(例えば商品名コロネートL−5
0)が一般的であるが、4,4−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)やヘキサンジイソシアネート
(HDI)等のアルキレンジイソシアネートの付加体を
使用してもよい。この他、テトラグリシジルメタキシレ
ンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメ
チルシクロヘキサン、テトラグリシジルアミノジフェニ
ルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール等の
ポリグリシジルアミン化合物、2−ジブチルアミノ−
4,6−ジメルカプト置換トリアジン等のポリチオール
化合物、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ
化合物、エポキシ化合物とイソシアネート化合物の混合
物、エポキシ化合物とオキサゾリン化合物との混合物、
イミダゾール化合物とイソシアネート化合物の混合物、
無水メチルナジン酸等、従来より公知のものはいずれも
使用可能である。これら硬化剤の有機バインダへの配合
割合は、有機バインダ100重量部に対し5〜80重量
部、好ましくは10〜50重量部である。
【0040】磁気記録層塗料および非磁性下層塗料に用
いられる溶剤としては、いずれもアセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレ
ングリコールモノアセテート等のエステル類、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチル
エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテ
ル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化
炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化
炭化水素等が使用される。
【0041】磁気記録層塗料および非磁性下層塗料を調
製する際は、上述した各構成成分を混練して高濃度塗料
とした後、これを希釈、分散して所望の固形分の塗料と
する。高濃度塗料調製用の混練機としては、オープンニ
ーダ、加圧ニーダ、連続ニーダ、2本ロールミルあるい
は3本ロールミル等が採用される。希釈、分散のための
分散機としては、ボールミル、振動ボールミル、サンド
ミル等が使用される。
【0042】非磁性下層塗料および磁気記録層塗料を塗
布する非磁性支持体としては、通常の磁気記録媒体で用
いられるものはいずれも使用可能であり、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セル
ロースダイセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビ
ニル等のビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等のビニリ
デン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリ
イミド等の有機高分子が例示される。これらは単層構造
および積層構造の別を問わない。またその塗布面はコロ
ナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。また、
この非磁性支持体中に、SiO2 やラテックス等のフィ
ラーを含有させ、微細な表面突起を形成してもよい。こ
れら表面突起は、磁気記録層の表面性を制御して、磁気
記録ディスクの耐久性の向上等に寄与する。有機高分子
をFDや磁気カード用の非磁性支持体とする場合、その
厚さは30μm〜1mm程度でよい。磁気記録テープの
場合には3μm〜30μmが選ばれる。
【0043】さらにハードディスク等の磁気記録媒体の
場合には非磁性支持体としてAl系金属、セラミクスや
ガラス等の剛体基板を用いることができる。これら剛体
基板の表面にアルマイト処理等による酸化被膜や、Ni
−P被膜等を形成して、その表面硬度をさらに高めても
よい。
【0044】非磁性支持体上に非磁性下層および磁気記
録層を順次形成するための塗布方法は特に限定されず、
グラビアコート、押し出しコート、エアドクタコート、
ブレードコート、エアナイフコート、スクィズコート、
含浸コート、リバースロールコート、トランスファロー
ルコート、グラビアコート、キスコート、キャストコー
ト、エクストルージョンコート、あるいはスピンコート
等従来の方法はいずれも採用可能である。トップコート
溶液の塗布方法もこれらの方式やスプレーコートの他
に、LB(Langmuir-Brodget)法による形成も可能であ
る。トップコート溶液は、潤滑剤および必要に応じて防
錆剤等の溶質を主成分とし、アルコールやトルエン等の
溶剤を溶媒とした溶液系である。
【0045】重層塗布方式を用いる場合には、ウェット
オンドライ方式、ウェットオンウェット方式のいずれの
方法によってもよい。ウェットオンドライ方式は、非磁
性支持体上に非磁性下層塗料を塗布乾燥後、必要に応じ
てカレンダ処理、硬化処理を施し、この乾燥塗膜上に磁
気記録層塗料を塗布する方式である。またウェットオン
ウェット方式は非磁性下層塗料を塗布後、乾燥せずに湿
潤状態のままさらに磁気記録層塗料を塗布する方式であ
る。
【0046】ウェットオンウェット重層塗布方式のコー
ティングシステムの概略構成を、図2を参照して説明す
る。装置全体は、長尺の非磁性支持体13が巻回された
供給ロール11から巻き取りロール12に向けて非磁性
支持体13が搬送される間に、諸工程が施されるように
構成されている。すなわち、この搬送方向に沿って、塗
布装置14、磁場配向装置15、乾燥装置16およびカ
レンダ装置17がこの順に配列されている。
【0047】塗布装置14は、図示の装置は一例として
押し出しコート方式の要部であるコーティングヘッドが
示されており、これらは非磁性下層塗料用コーティング
ヘッド18および磁気記録層塗料用コーティングヘッド
19から構成されている。非磁性下層塗料用コーティン
グヘッド18および磁気記録層塗料用コーティングヘッ
ド19は一つの塗布装置に装備されていてもよく、別個
の塗料装置に個別に装備されていもよい。
【0048】コーティングヘッドの動作の概略を図3を
参照して説明する。非磁性下層塗料用コーティングヘッ
ド18および磁気記録層塗料用コーティングヘッド19
の内部にはいずれも塗料溜まり20,24が形成され、
コーティングヘッド先端部に向けてスリット21,25
が形成されている。塗料溜まり20,24から供給され
た各塗料は、スリット21,25を経由してコーティン
グヘッド先端部に押し出される。
【0049】一方非磁性支持体13は、コーティングヘ
ッド先端部と微小間隔を保って図中の矢印の方向に搬送
される。この過程で、非磁性下層塗料用コーティングヘ
ッド18により非磁性下層塗料の塗膜23が形成され、
この後直ちに磁気記録層塗料用コーティングヘッド19
により磁気記録層塗料の塗膜26が形成される。
【0050】図4はコーティングヘッドの他の例であ
る。図4の例は、複合型のコーティングヘッド27であ
り、この複合型コーティングヘッド27内部には非磁性
下層塗料用および磁気記録層塗料用の塗料溜まり20,
24、および所定間隔をおいてスリット21,25が形
成されている。
【0051】図5はコーティングヘッドのさらに他の例
である。図5の例も、複合型のコーティングヘッド27
であり、この複合型コーティングヘッド27内部には非
磁性下層塗料用および磁気記録層塗料用の塗料溜まり2
0,24、およびスリット28が形成されている。この
スリット28は、各塗料溜まり20,24が複合型のコ
ーティングヘッド27内で層状に一体化して、非磁性支
持体13上に非磁性下層塗料の塗膜23および磁気記録
層塗料用の塗膜26が同時に形成される。
【0052】
【実施例】以下、本発明の磁気記録媒体の製造方法につ
き、さらに詳細に説明を加える。以下に示す各実施例
は、本発明の理解を容易にするための例示であり、本発
明はこれら実施例になんら限定されない。
【0053】〔実施例1〕本実施例は、分子量70以上
の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化合物
として、C8 17CH(C6 13)CH2 OCOC17
35 (イソセチルステアレート,側鎖基の分子量85)
を用いた例である。
【0054】下記組成物をニーダおよびサンドミルによ
り混練および分散して、磁気記録層塗料および非磁性下
層塗料を調製した。
【0055】磁気記録層塗料組成物 (P/B=5) Fe系磁性粉末 100 重量部 (BET法による比表面積 50m2 /g,保磁力 1
600Oe) スルホン酸Na含有ポリウレタン樹脂 4 重量部 スルホン酸Ka含有塩化ビニル樹脂 16 重量部 カーボンブラック(旭#50) 4 重量部 α−アルミナ 8 重量部 イソセチルステアレート 4 重量部 メチルエチルケトン 200 重量部 トルエン 150 重量部 シクロヘキサノン 200 重量部
【0056】非磁性下層塗料組成物 (P/B=5) α−Fe2 3 100 重量部 (BET法による比表面積 52m2 /g) スルホン酸Na含有ポリウレタン樹脂 4 重量部 スルホン酸Ka含有塩化ビニル樹脂 16 重量部 イソセチルステアレート 4 重量部 メチルエチルケトン 200 重量部 トルエン 150 重量部 シクロヘキサノン 200 重量部
【0057】各組成物の分散液には、塗布直前に硬化剤
としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社
製 コロネートL)を5重量部添加した。
【0058】このように調製された磁気記録層塗料およ
び非磁性下層塗料を、図2のコーティングシステムを用
いて厚さ60μmのポリエチレンテレフタレートフィル
ムからなる非磁性支持体の一方の面上に同時重層塗布し
た。この後、塗膜が未乾燥状態である間に、磁気記録層
の面内で等方的に磁場配向し、乾燥した。さらに非磁性
支持体の他方の面上に同様に塗布、磁場配向および乾燥
の各処理を施した。塗布厚は、乾燥後の塗膜厚さとして
非磁性下層が1.5μm、磁気記録層が0.5μmとな
るようにした。その後、カレンダ装置により磁気記録層
表面両面の平滑処理を60℃の条件でおこなった。
【0059】このようにして得られた磁気シートは、直
径3.5インチの円盤状に打ち抜いた後、60℃のオー
ブン中で20時間、硬化熱処理を施し、実施例1のサン
プルシートを得た。
【0060】評価方法 サンプルシートは、次の方法により潤滑剤のライナへの
移行量を評価した。この評価方法につき、図6を参照し
て説明する。
【0061】図6(a)に示すように10枚のサンプル
シート30および11枚のライナ31を交互に積み重
ね、サンプルシートとライナのスタック32とする。こ
のサンプルシートとライナのスタック32を図6(b)
に示すようにシャーレ33中に収納して挟み込み、50
0gの分銅34で加圧する。この図6(b)の状態で7
5℃の恒温槽中で20日間保存後、サンプルシートを回
収し、サンプルシートから潤滑剤の抽出をおこない、潤
滑剤減少率(ライナへの移行率)を算出した。
【0062】潤滑剤の抽出操作は、保存後のサンプルシ
ートをヘキサンに含浸することによりおこなった。この
抽出溶液を一旦乾燥後、固化物を再度テトラヒドロフラ
ンに溶解した。このテトラヒドロフラン溶液をゲルパー
ミエーションクマトグラフィにより展開し、潤滑剤イソ
セチルステアレートを単離定量した。
【0063】基準サンプルとして、製造直後(移行試験
前)のサンプルシートをライナに接触させずに75℃の
恒温槽中で20日間保存し、この基準サンプルシートか
ら同様の方法により潤滑剤を定量分析した。
【0064】潤滑剤減少率は〔数1〕により算出した。
【0065】
【数1】
【0066】〔実施例2〕本実施例は、分子量70以上
の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化合物
として、CH3 CH2 C(CH2 OCOC1123
3 (トリメチロールプロパントリパームカネート 側鎖
基の分子量213)を用いた例である。
【0067】この化合物は、CH3 CH2 C≡基に、 -
(CH2 OCOC1123)基が3個結合したものである
が、3個の -(CH2 OCOC1123)基のうち、一個
を主鎖とし、残りの2個を側鎖と見做したものである。
したがって、側鎖としては分子量213のものが2個あ
る形をとる。
【0068】このトリメチロールプロパントリパームカ
ネートを4重量部用いた他は、前実施例1に準じてサン
プルシートを作成し、潤滑剤減少率を算出した。したが
って、重複する説明は記載を省略する。
【0069】〔実施例3〕本実施例は、分子量70以上
の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化合物
として、RCOOCH2 C(CH2 COOR1 )(CH
2 COOR2 )(CH2 COOR3 ) (ペンタエリス
リットテトラデカネート)を用いた例である。ただし化
学式中、R,R1 ,R2 およびR3 は、いずれもC7
15およびC9 19が50%ずつ混在した化合物である。
したがって、この化合物は側鎖基として分子量157あ
るいは185のものが2個ある形をとる。
【0070】このペンタエリスリットテトラデカネート
を4重量部用いた他は、前実施例1に準じてサンプルシ
ートを作成し、潤滑剤減少率を算出した。したがって、
ここでも重複する説明は記載を省略する。
【0071】〔比較例1〕潤滑剤としてオレイルオレエ
ート(側鎖基なし)を4重量部用いた他は、前実施例1
に準じてサンプルシートを作成し、潤滑剤減少率を算出
した。
【0072】〔比較例2〕潤滑剤としてブチルステアレ
ート(側鎖基なし)を4重量部用いた他は、前実施例1
に準じてサンプルシートを作成し、潤滑剤減少率を算出
した。
【0073】〔比較例3〕潤滑剤としてミリスチン酸
(側鎖基なし)を4重量部用いた他は、前実施例1に準
じてサンプルシートを作成し、潤滑剤減少率を算出し
た。
【0074】〔比較例4〕潤滑剤としてC4 9 (C2
5 )CHCH2 OCOC1531 (イソオクチルパル
ミテート、側鎖基の分子量29)を4重量部用いた他
は、前実施例1に準じてサンプルシートを作成し、潤滑
剤減少率を算出した。
【0075】〔比較例5〕潤滑剤としてC4 9 (C2
5 )CHCH2 OCOC1327 (イソオクチルミリ
ステート、側鎖基の分子量29)を4重量部用いた他
は、前実施例1に準じてサンプルシートを作成し、潤滑
剤減少率を算出した。
【0076】以上のように作成した実施例1〜3および
比較例1〜5のサンプルシートにつき、潤滑剤減少率を
〔表1〕にまとめて示す。
【0077】
【表1】
【0078】〔表1〕の結果を検討すると、分子量70
以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化
合物を潤滑剤として含む実施例1〜実施例3のサンプル
シートは、いずれも潤滑剤減少率が4.8%以下であ
り、極めて少ないことが明らかである。
【0079】これに対し、同じ脂肪酸エステル化合物で
あっても側鎖基を持たない直鎖型の化合物を潤滑剤とし
て含む比較例1〜比較例2のサンプルシートは、潤滑剤
減少率が30〜40%程度あり、実施例に比較して10
倍以上多い。
【0080】また比較例3ではエステルでなく脂肪酸そ
のものを潤滑剤として使用したが、潤滑剤として添加し
たミリスチン酸が磁性粉末に吸着して固定化されるであ
ろうことを考慮に入れると、潤滑剤減少率がすべてライ
ナへの移行に基づくものとは断定できない。しかしなが
ら、高温保存条件での耐久性の観点からも、本発明の目
的に沿うものではない。
【0081】さらに比較例4〜5では、側鎖基を含む脂
肪酸エステル化合物ではあるが、その側鎖基の分子量が
70未満であるため、潤滑剤減少率は満足すべき値が得
られない。
【0082】以上、本発明の磁気記録媒体およびその製
造方法につき詳細な説明を加えたが、これらは単なる例
示であり、本発明はこれら実施例に何ら限定されない。
例えば、実施例では分子量70以上の側鎖基を少なくと
も一つ有する脂肪酸エステル化合物を、磁気記録層およ
び非磁性下層の両方に内添する製造方法を採用したが、
いずれか一方の層に内添してもよい。また分子量70以
上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸エステル化合
物を、トップコート溶液として磁気記録層表面に塗布す
る方法を採用してもよい。これはいずれも他の潤滑剤と
併用してもよい。
【0083】また磁気記録媒体としてFDを例にとった
が、HDや磁気記録テープ、磁気カード等、磁気記録層
と非磁性下層を重層塗布するあらゆる磁気記録媒体に適
用して優れた走行性の向上効果等が得られる。さらに、
磁気記録層を2層とした層構成や、磁気記録層とは異種
の磁性粉末を非磁性下層に用いた層構成等、各種重層塗
布方式の磁気記録媒体に適用してもよい。
【0084】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ライナ等への機構部品への潤滑剤の移行を低
減し、長期間あるいは高温条件等過酷な保存あるいは使
用条件下においても、安定した潤滑性能、走行性能を発
揮できるの磁気記録媒体およびその製造方法を提供する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の層構成を示す概略断面
図である。
【図2】コーティングシステムの概略構成図である。
【図3】コーティングヘッドの動作の概略を示す図であ
る。
【図4】他のコーティングヘッドの動作の概略を示す図
である。
【図5】さらに他のコーティングヘッドの動作の概略を
示す図である。
【図6】サンプルシートからライナへの潤滑剤の移行を
測定する方法を示す図である。
【符号の説明】
1,13…非磁性支持体、2…非磁性下層、3…磁気記
録層 11…供給ロール、12…巻き取りロール、14…塗布
装置、15…磁場配向装置、16…乾燥装置、17…カ
レンダ装置、18…非磁性下層塗料用コーティングヘッ
ド、19…磁気記録層塗料用コーティングヘッド、2
0,24…塗料溜まり、21,25…スリット、23…
非磁性下層塗料の塗膜、26…磁気記録層塗料の塗膜、
27…複合型のコーティングヘッド、30…サンプルシ
ート、31…ライナ、32…サンプルシートとライナの
スタック、33…シャーレ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、非磁性下層および磁
    気記録層が順次塗布形成された磁気記録媒体であって、 前記非磁性下層および磁気記録層のいずれか少なくとも
    一方は、 分子量70以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸
    エステル化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記側鎖基は、炭化水素基および脂肪酸
    エステル基のうちのいずれか一種であることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体上に非磁性下層塗料および
    磁気記録層塗料を順次塗布する工程を有する磁気記録媒
    体の製造方法であって、 前記非磁性下層塗料および磁気記録層塗料のいずれか少
    なくとも一方は、 分子量70以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸
    エステル化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記側鎖基は、炭化水素基および脂肪酸
    エステル基のうちのいずれか一種であることを特徴とす
    る請求項3記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 非磁性支持体上に非磁性下層塗料、磁気
    記録層塗料およびトップコート溶液を順次塗布する工程
    を有する磁気記録媒体の製造方法であって、 前記トップコート溶液は、 分子量70以上の側鎖基を少なくとも一つ有する脂肪酸
    エステル化合物を含むことを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記側鎖基は、炭化水素基および脂肪酸
    エステル基のうちのいずれか一種であることを特徴とす
    る請求項5記載の磁気記録媒体の製造方法。
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